答弁本文情報
平成元年七月十一日受領答弁第三三号
内閣衆質一一四第三三号
平成元年七月十一日
内閣総理大臣 宇野宗佑
衆議院議長 田村 元 殿
衆議院議員滝沢幸助君提出陪審制度についての質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員滝沢幸助君提出陪審制度についての質問に対する答弁書
一及び三から六までについて
刑事事件における陪審制度は、陪審法(大正十二年法律第五十号)により昭和三年十月一日から実施されたが、陪審法の停止に関する法律(昭和十八年法律第八十八号)により、昭和十八年四月一日以降停止されたまま現在に至っている。昭和三年十月一日から昭和十八年三月三十一日までの間、陪審の評議に付された事件の数は、合計四百八十四件であって、その結果の内訳は、有罪三百七十八件、無罪八十一件、公訴棄却一件、陪審更新二十四件である。
陪審法の施行が停止されたのは、陪審の評議に付される事件が逐年減少し、昭和十三年以降は毎年四件ないし一件にすぎないという状態にあったこと及び陪審制度を維持することが当時の状況下において困難であると認められるに至ったことによる。
現在も陪審法の施行が停止されたままでいるのは、現行の裁判制度が適正かつ円滑に運営され、これを国民が支持していることによると考える。
我が国において陪審制度を再び実施するかどうかについては、国民の教育水準等を考慮に入れても、なお検討すべき種々の問題があり、今後とも関係当局において慎重に基礎的な研究を続けていく必要があるものと考える。
御質問は、最高裁判所の調査に係る事項であり、政府として答弁する立場にない。