第11号 令和7年4月18日(金曜日)
令和七年四月十八日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 西村智奈美君
理事 小泉 龍司君 理事 津島 淳君
理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君
理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君
理事 金村 龍那君 理事 円 より子君
井出 庸生君 稲田 朋美君
上田 英俊君 上川 陽子君
神田 潤一君 河野 太郎君
棚橋 泰文君 寺田 稔君
長坂 康正君 平沢 勝栄君
福田かおる君 森 英介君
森下 千里君 若山 慎司君
岡田 華子君 篠田奈保子君
柴田 勝之君 寺田 学君
平岡 秀夫君 藤原 規眞君
松下 玲子君 萩原 佳君
藤田 文武君 小竹 凱君
大森江里子君 平林 晃君
本村 伸子君 吉川 里奈君
島田 洋一君
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法務大臣 鈴木 馨祐君
法務大臣政務官 神田 潤一君
外務大臣政務官 生稲 晃子君
最高裁判所事務総局刑事局長 平城 文啓君
政府参考人
(警察庁長官官房総括審議官) 重松 弘教君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君
政府参考人
(法務省刑事局長) 森本 宏君
政府参考人
(法務省矯正局長) 小山 定明君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 杉山 徳明君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 町田 達也君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局長) 安藤 俊英君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
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委員の異動
四月十八日
辞任 補欠選任
棚橋 泰文君 長坂 康正君
若山 慎司君 森下 千里君
有田 芳生君 岡田 華子君
同日
辞任 補欠選任
長坂 康正君 棚橋 泰文君
森下 千里君 福田かおる君
岡田 華子君 有田 芳生君
同日
辞任 補欠選任
福田かおる君 若山 慎司君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
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○西村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、本案に対し、津島淳さん外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。米山隆一さん。
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情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○米山委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
第一に、検察官が電磁的記録提供命令を受ける者に対して行う、みだりに電磁的記録提供命令を受けたこと等を漏らしてはならない旨の命令については、一年を超えない期間を定めて行うこととしております。
第二に、附則において、電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させ、又は電磁的記録に係る記録媒体を押収するに当たっては、デジタル社会において個人情報の保護がより重要となっていることに鑑み、できる限り被告事件又は被疑事件と関連性を有しない個人情報を取得することとならないよう、特に留意しなければならないこととしております。
第三に、附則において、政府は、被告人等にとって弁護人等の援助を受けることが重要であることに鑑み、刑事訴訟法第三十九条第一項の規定による接見のほかに、身体の拘束を受けている被告人等と弁護人等との間における映像と音声の送受信による通話を可能とするための運用上の措置について、地域の実情を踏まえ、被告人等と弁護人等との間の秘密の確保に配慮するとともに不正行為等の防止に万全を期しつつ、必要な取組を推進するものとしております。
以上であります。
何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○西村委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
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○西村委員長 この際、お諮りいたします。
本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房総括審議官重松弘教さん、警察庁長官官房審議官松田哲也さん、法務省刑事局長森本宏さん、法務省矯正局長小山定明さん、出入国在留管理庁次長杉山徳明さん、外務省大臣官房参事官町田達也さん及び外務省中東アフリカ局長安藤俊英さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○西村委員長 次に、お諮りいたします。
本日、最高裁判所事務総局刑事局長平城文啓さんから出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○西村委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。黒岩宇洋さん。
○黒岩委員 おはようございます。立憲民主党の黒岩宇洋でございます。
今日は、今、米山理事の方から読み上げられた修正が、これは、与野党共に知恵を出して、閣法に対する本則を含む修正ということで、大変珍しい、意義ある、与野党合意の上でこの修正案が出された。やはりこの修正案の意義についてしっかりと確認をしたいと思いまして、ついては、先週、私どもは、ある事業者のところに、実務を知りたいということも含めて、視察に行ってまいりました。
その一場面というか、そのやり取りを確認しながら、この修正案、全てではないんですけれども、特に附則の四十条についての必要性について、改めて経緯をたどってみたいと思っております。
それでは、局長にお聞きしますけれども、この視察に際して、私の方からリクエストして、事前に幾つかこの電磁的記録命令の例示、実際には四つの例示を作ってもらって、実際に事業者がそれに対して回答できるのかどうか、要するに、それが特定できて回答できるのかどうかという、こういったことを視察の現場でやり取りしたんです。
そのうち、一つ、○年○月○日から同月○日までの、これは期間を区切って、何々何番の電話番号によって送受信されたメールの通信記録及びその内容、これを回答してください、送ってくださいと。これについては、一般的ですけれども、これは回答可能だと。
それで、同じ条件で、同年いついつ何月までの、そして何番の携帯電話によって送受信されたメールのうち、これに前提条件を加える、本件犯行に関係すると思料されるもののという条件を入れて、同じく通信履歴及びその内容。
これについて、じゃ、これは回答できるのか、特定できるのかということについて、事業者に今質問するわけじゃなくて、局長ですけれども、これは、回答はできる、ないしは困難か、一般的にはどう思われますか。
○森本政府参考人 お答えいたします。
基本的に、事業者の方でありますと、本件に関係しているか否かということに対する判断がなかなか難しいと思いますので、そういう意味では、先生が最初に挙げられた例と比べて、二つ目の方が、文言上絞られているかのようにも見えますけれども、事業者としてはなかなか判断がつきにくいのではないか、そういう意味では、回答はしにくいのではないかというふうに考えます。
○黒岩委員 そうなんですよね。ある前提条件を組んで、絞られているかのように思えるけれども、実は、そこには主観が入るがゆえに、実は特定できないという、ちょっと論理矛盾した物事が起こる。
では、ちょっと別の角度から聞きますけれども、電磁的記録命令ではなくて、通常の差押許可状で、これは大体、物を示しますから、これは物ですからね、電磁的記録じゃなくて。だから、ちょっと文言が少し変わりますけれども、こういう差押許可状は、こういう命令が可能かどうかということを判断してもらいたいんですけれども、一応、例示として読み上げますね。
メモ帳、通帳、その他本件犯行に関係すると思料される一切のもの。後段の部分は一緒です。これは、物の差押許可状の場合は、この命令というものは出せますか。そして、物は押収できますか。
○森本政府参考人 お答えいたします。
差押許可状には、差し押さえるべきものを特定して記載することとされておりますが、差押えは捜査の初期の段階で行われるものでございまして、捜査機関において、疎明資料が十分でなく、証拠物件を個別的、具体的に把握し得ないことも多いことから、一般的に、差し押さえるべきものの特定につきましては、差し押さえるべき対象の同一性を判断し得る限り、ある程度抽象的、概括的な表示も許されると解されております。
その上で、差し押さえるべきものの特定につきましては、個別の事案ごとに具体的な事実関係や証拠関係に基づいて判断されるべき事柄でありますので、一概にお答えすることは困難でございますけれども、具体的な特定の物件あるいは種類を例示した上で概括的な記載をする方法も許されると解されており、実務上も、概括的な特定の仕方がなされる場合はあるものというふうに承知しております。
○黒岩委員 これは、局長、さっき言ったけれども、答弁書を書く人、長過ぎる。だから、速く読もうと思って局長が苦しくなって、御労苦お察ししますけれども。
要は、可能なんですよ。差押許可状の場合だったら、今言ったように、当該事件と関係があると思料するものはという、これでオーケーなんですよね。これでよく問題になるわけです、それでがっさり持っていかれるじゃないかと。この前提条件がついたって、がっさり持っていかれる。
ただ、ここで改めて聞きますけれども、じゃ、電磁的記録命令だと、今言った前提条件付のものは取得できない。でも、差押許可状だと、今言った抽象的な前提条件付のものが押収できる。この違いの原因は何ですか。
○森本政府参考人 裁判官が発した令状に基づいて、捜査機関が捜索、差押現場に赴いて捜索、差押えをする場合には、そこで、本件に関係しているかどうかというものを判断した上で持ってくるという作用が入りますので、実務上、そういった記載も許されているものというふうに解しております。
○黒岩委員 もう少し分かりやすく言うと、物の場合は、どれが犯行に関係しているかどうかというものを捜査側が判断するわけですよ。だから、これは関係している、関係していないということで持ってこれる。だけれども、この電磁的記録命令においては、これは業者側の判断だから、それは業者側にとって、何が犯行に関係するかどうか、そんな判断できっこないから、それはできませんねとなっている。
こういう理由なんですが、結果として何が起こるかというと、冒頭に森本局長がおっしゃったように、実は、だから、電磁的記録命令の方が前提条件なしで、今私が例示したように、そのメールの内容、いわゆる一切の内容を全部持ってこれちゃうんですよ。送らせることができちゃうんですね。そうなるんですよ、これは、ある意味矛盾だけれども。
先ほど私が例示した電磁的記録命令、その内容といった場合は一切ですから、当然、当該犯行と関連性を有しない情報が含まれる場合はあるわけですよね。
○森本政府参考人 お答えいたします。
令状請求する段階で、これまでも繰り返し答弁申し上げておりますけれども、裁判所が関係があるという判断をした範囲内のものになりますので、先生がおっしゃっている全てかどうかは別といたしまして、そういう形で提供させた電磁的記録の中には、結果として、被疑事件等の立証に直接的には用いられないものも含まれることはあり得ると考えておりますが、そのことによって直ちに電磁的記録提供命令が違法、不当の評価を受けるものではないというふうに判断しております。
○黒岩委員 違法かどうかを言っているんじゃなくて、今、僕は当たり前の質問をしたのであって、いつからいつまでの誰々のメールですから、それは全て犯行のことだけメールをやっているわけはないわけですよ。その中にいろいろな情報が含まれる。
今申し上げたとおり、前提条件がつけられないという電磁的記録命令の特性からして、より、実は今までの差押許可状よりもはるかに関連性のない情報を取得されてしまう可能性があるという、このことを今改めて確認したんですね。だから、やはりそこについての我々の憂慮する懸念点を何とか払拭しようということで、今回、附則の四十条というものが生まれたんだと思っております。
そこで、もう時間がないので、米山提出者にお聞きしますけれども、これは本則の修正ですから、これは秘密保持命令が未来永劫かかっている、すなわち、今言ったように、関連性がない、プライバシーといったものが捜査当局に押さえられているかもしれないけれども、それについて、それを要は押収されたことも、未来永劫それを知らない、知られないというような状況は困るんじゃないのということで、この秘密保持命令の、一年を超えない期間ということで、私も期間を決めたことというのは物すごく重みがあると思います。
ただ、この期間というのは妥当であったのかどうか、どういうプロセスでこの期間を決めたのか、米山さん、教えてください。
○米山委員 お答えいたします。
本改正案において創設される秘密保持命令には、これは修正前の改正案ということですけれども、捜査機関が何らの期間の制限なく発することができることとされており、委員会質疑でも疑問が呈されました。
そこで、本修正案では、秘密保持命令の保秘期間につきまして、一年という期間制限をかけることとしております。
上限を設けた趣旨につきましては、捜査の実務上、秘密保持命令の必要がなくなったときに速やかに取り消すという運用を徹底することは難しいと考えたことから、まずは一定の期間、制限を置くことといたしました。
その上で、上限を一年とした趣旨につきましては、電磁的記録提供命令や秘密保持命令が犯罪捜査の初期段階から利用されるものであることや、当委員会での参考人質疑で紹介いただいたドイツの例が六か月であったこと等を踏まえつつ、捜査への支障の防止とのバランスも考慮し、与野党間の協議を経てこのようになったものです。
なお、今ほど申しましたとおり、数字自体には制度的に絶対こうでなければならないという理由があるものでもございませんので、全ての法律がそうであるように、一般論として、一定期間の運用後の見直しはあり得るものと考えております。
○黒岩委員 よく分かりました。
特に重要と言ったら怒られちゃうんだけれども、これは皆さんのお手元にもあると思いますが、修正案の要綱の二の四十条、これはとにかく、ここにあるとおり、できる限り被告事件又は被疑事件と関連性を有しない個人情報を取得することとならないよう、特に留意しなければならない。これは附則でもやはりより具体的なものをイメージしたいので、米山提出者、特に、できる限りとか、関連性を有しない、特に留意しなければならない、これはどのくらいの運用を期待しているのか、イメージしているのか、修正案の修正趣旨としてお聞かせください。
○米山委員 お答えいたします。
本修正案で追加される附則第四十条では、電磁的記録を提供させる場合には、できる限り事件と関連性を有しない個人情報を収集しないよう、特に留意すべきこととされております。議員御指摘のとおりでございます。
具体的には、裁判官がその発する令状に、提供させるべき電磁的記録等や差し押さえるべき電磁的記録媒体を記載、記録する際、あるいは、これに基づいて警察官等が実際に電磁的記録媒体の押収を行う際に、できる限り被告事件又は被疑事件との関連性のない個人情報を取得することとならないよう、十分に吟味することが求められることになります。
これはもちろん、被告事件又は被疑事件との関連性のない個人情報を取得しない、全く取得しないことが最も望ましいですが、当然ながら、令状発付段階では、どこにどのような情報があるか完全には分からないので、被告事件又は被疑事件との関連性のない個人情報を全く取得しないことは難しいことを前提に、しかし、可能な限り被告事件又は被疑事件との関連性がある情報のみが対象となるよう、意を砕く必要があるということでございます。
また、その際、事件との関連性については、漠然と、事件と関連する一切の情報のように全体的、抽象的に判断するのではなく、可能な限り個別具体的に判断されるべきものと考えております。
加えて、「特に」、かぎ括弧がついての「特に」は、デジタル社会において個人情報の保護がより重要になっていることから、電磁的記録については、今ほど申しました被告事件又は被疑事件との関連性のない個人情報を取得しないことについて、一般の物とは異なる注意が必要であることを示したものです。
修正案提出者としては、この条項といいますか、この附則により、事件と無関係な個人情報の収集を防止し、プライバシーの保護にも資することとなるものと考えております。
○黒岩委員 私、正直ちょっと、答弁ゾーンとしてはしようがないんだろうけれども、不満です。やはり、抽象的な文言を説明しろと言って、結局、抽象的なものでしか返せないから。
結論は、僕は大臣にお願いしたいんだけれども、やはりこれは運用の部分で相当心構えも必要になってくる、更に抽象的なことを言ってしまいましたけれども。でも、どういったものかということを示さないと、これだけの懸念事項が出てきたわけだから、この修正を受けて、やはり運用でしっかりとその懸念を払拭していくんだ、そういう意味合いも込めて、ちょっと大臣の方から強い意思を発していただきたいと思います。御答弁ください。
○鈴木国務大臣 今御議論いただいた修正案でありますけれども、この委員会での様々な真摯な議論、これを通じての修正、私も承知をしているところであります。まさにそれを真摯に受け止めた上で、今おっしゃいましたように、運用の面でということで御指摘いただきました。
まさにこの修正案が可決をされた上で、本法律案が改正法として成立をした場合には、その趣旨、これが一番大事だと思いますので、その趣旨を踏まえて、我々としても適切に対応していきたいと思っております。
○黒岩委員 触れられませんでしたけれども、附則の四十一条ではオンライン接見の一つの入口を私は開けたと思っておりますので、この修正案を受けながら、また一歩一歩、よきものにしていきたいということをお願いして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○西村委員長 次に、篠田奈保子さん。
○篠田委員 立憲民主党・無所属、篠田奈保子でございます。
まず、今回、電磁的記録提供命令の秘密保持命令について、一年という修正が出されました。この修正案の刑訴法二百十八条三項が可決、成立した場合なんですけれども、秘密保持命令の期間が安易に上限の一年とされる運用が懸念されるのではないかなというふうに思います。
刑事事件は、単純な窃盗の事件から大規模な企業の背任事件など、様々に、捜査に長期、短期かかる事件があるというふうに思います。秘密保持命令を行うに当たっては、必要な最低限の期間を定めるとともに、その必要がなくなった場合には、期間経過前であっても速やかにこれを取り消すというような運用が必要となると思います。
そういった運用を関係機関において周知徹底をしていただきたいと思いますけれども、このような周知徹底がなされるというふうに理解してよいでしょうか。
○鈴木国務大臣 この修正後の本法律案によります改正後の刑事訴訟法第二百十八条第三項、今御指摘もありましたけれども、必要があるときはということで、一年を超えない期間を定めて秘密保持命令を発することができるということとなります。そういうことで、秘密保持命令、これを発するに当たっては、一年を超えない範囲において裁判官が必要な限度で期間を定めるということとなります。
同時に、この七項におきまして、捜査機関は、必要がなくなったときは秘密保持命令を取り消さなければならないということとしておりまして、したがいまして、捜査機関も、これは、秘密保持命令の必要がなくなった場合には、当該命令を発する際に定めた一年上限のこの期間、この経過前であっても、これは当然速やかに取り消さなくてはならないということになります。
そういったことの中で、捜査機関による秘密保持命令の適正な運用、この確保は極めて大事でありますので、法務省といたしましても、関係機関に、今申し上げました点も含めて、この制度の内容あるいは運用上の留意点、この周知をしっかりと図ってまいりたいと考えております。
○篠田委員 是非よろしくお願いを申し上げます。
次に、今回の刑事デジタル化法、様々に捜査機関側の便宜について資するような法改正は多いんですけれども、被疑者、被告人の防御権、弁護人を受ける、依頼を受ける権利については、このデジタル化法に残念ながら多くは盛り込まれていないというふうに思っています。
そこで、やはり今回、オンライン接見、今回の法律では残念ながら入りませんでしたけれども、しっかりとそれを前進させていくということのコンセンサスは得られたのかなというふうに思います。
そこで、今行われている非対面外部交通の拡大と今後のオンライン接見について、次にお伺いをいたします。
まず、現状なんですけれども、一部の拘置施設で行われている電話、テレビ電話による外部交通についてなんですが、拘置施設の全体の数の中で外部交通に対応している施設数、その割合は今どうなっていますでしょうか。
○小山政府参考人 令和七年四月一日現在でございますが、全国の拘置所及び拘置支所の全体数は九十九施設、拘置所が八施設、拘置支所が九十一施設でございまして、このうち電話による外部交通を実施している施設は九施設ございますため、その割合は約一割でございます。
○篠田委員 次に、警察署の施設についてお伺いいたします。
全国に千六か所あるというふうに前回の法務委員会でお聞きをしたんですが、全国に千六か所ある留置施設のうち外部交通に対応している施設数、その割合についてもお伺いいたします。
○重松政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの電話連絡による外部交通でございますけれども、これに対応しておりますのは、令和六年四月一日現在でございますが、全国の一千六百の留置施設のうち五十七施設でありまして、その割合は約五・七%でございます。
○篠田委員 拘置施設で約一割、それで警察署の留置施設のうち約五・七%ということで、本当にまだまだなんですよね。
これに関連して、令和五年、六年、七年にそれぞれこの非対面外部交通について拡充するために予算計上がなされてきたと思うんですが、それぞれの年度で予算計上は幾らなされてきたのでしょうか。
○森本政府参考人 お答えいたします。
法務省におきましては、令和五年度、六年度につきましては特段の予算を計上しておりませんが、それ以前から必要に応じてアクセスポイントを設けるなどしてきたところでございます。
令和七年度予算におきましては、オンラインによる外部交通を拡充するための環境整備経費として約三千八百八十九万円を計上しております。
○篠田委員 三千八百八十九万円ということなんですが、この予算で非対面外部交通ができる場所が全国で何か所増えるということになるのでしょうか。
○森本政府参考人 お答えいたします。
九道県の計十三地域でオンライン外部交通を実施するための環境整備経費が計上されておりますので、その数になります。
○篠田委員 ありがとうございました。
私のいる北海道も、一部この予算によってなされるということで、大変うれしくは思いますけれども、一年で十三か所しか増えないというのは、かなり速度としていかがなものかなというふうに思います。
令和八年度においては、では、この予算は幾ら計上する予定なのかと何か所増やす予定なのか、もしめどが分かりましたら教えてください。
○森本政府参考人 拡大となる地域につきましては、日本弁護士連合会及び関係機関と協議の上で、被告人等が収容されている刑事施設が遠方の地域や、管内の弁護士が少なく、遠隔地の弁護士が受任せざるを得ない地域など、その必要性が高い地域を順次選定しておるところでございまして、令和八年度以降についても、現在、今まだ検討を進めているところでございまして、現時点でどれぐらいになるかというのをお答えするのは困難でございます。
○篠田委員 是非、今回の法務委員会の議論も踏まえて、大規模に拡大をしていただき、予算獲得に頑張っていただきたいと思いますし、私たちも応援をさせていただきたいというふうに思います。
次に、法務大臣にお伺いをいたします。
前回の委員会において、本村伸子委員の質疑に対して、一か所の拠点を整備する予算について、大体一か所三百万円という答弁がございましたが、全国に整備するとしても、全国のまず拘置所、拘置支所九十九か所に整備をするとしても、そんなに大きな予算が必要な状況ではないというふうに私は考えるんですね。是非、五年以内に整備をいただけないでしょうか。
○鈴木国務大臣 前回、約三百万円、一か所ということで御答弁を、本村先生との答弁だと思いますが、申し上げました。
実は、それは令和七年度の予算ということで、先ほど局長からも答弁させていただきましたように、約三千八百八十九万円、それは十三か所ということで、単純に割るとということでありました。
ただ、実際、その内訳ということで申し上げれば、例えば端末の整備経費であったり、あるいは防音ブースの整備経費、あるいはインターネット回線の工事経費、インターネット通信料ということでありまして、例えば、場所によっては余剰スペースがない施設も当然あって、その場合には大規模な工事が必要となる、要はその単価が上がっていくケースもこれはかなりあるのが実態であります。
ということで、一か所三百万円だから、その掛け算でどうにかなるんじゃないか、そういった思いもあると思いますが、私どもとしてもなるべく早く整備をしたいと考えておりますが、その具体的なスケジュールをここでお示しをすることはなかなか困難であります。
必要性の高い地域、ここはやはり迅速にやっていくことが必要です。そういった優先順位も含めて、私どもとしてしっかりと考えていきながら、日本弁護士連合会様ともしっかりと協議をしながら、一層その取組は加速をしていきたい、そう考えております。
○篠田委員 御答弁ありがとうございました。
過去の法務大臣答弁ですね、二〇二四年四月八日の参議院の決算委員会で、ここにいらっしゃる、委員でいらっしゃる小泉法務大臣からは、目指すところは同じ、財政について責任を持っているという答弁がこの案件についてなされております。目指すところは同じというのは、全国一斉導入ではなくても、最終的には全国でオンライン接見が実施できる体制を整えることを意味すると私としては理解をしています。そしてまた、そのための必要な予算措置について、小泉法務大臣は過去に、財政について責任を持っている、知恵を絞っていきたいと明言をしております。
今の政府においても、その方針に変わりはないということでよろしいでしょうか。
○鈴木国務大臣 目の前に小泉先生がいらっしゃいますので、なかなか、答弁をするのも照れるところでありますけれども。
まさに今お話のありました答弁、これは小泉元法務大臣が、北海道においてオンライン接見のニーズが高いために、先行してこれを実施をしていただけないか、そういった御質問に対して、そのような地域において迅速にオンラインによる外部交通を実現する必要がある、そういった趣旨で、目指すところは同じという御答弁をされたと考えております。
まさに必要性の高い地域において迅速にオンラインによる外部交通を実施する、そのための環境整備、これは極めて大事だということ、我々としてもそこは認識が一緒でありますので、まず、目指すところは同じ、これはそのとおりだと思いますし、あるいは、今様々予算計上もしながら、この方向性、これは考えております。
そういった中で、財政について責任を持っている、あるいは知恵を絞っていきたい、これはまさに私も同じ思いでありまして、必要性が高い地域について迅速に環境の整備を行っていくことが必要である、まさにその趣旨で、前にいらっしゃる小泉元法務大臣と私も思いは一緒でございます。
○篠田委員 思いが一緒だということをしっかりとこの場で確認できて、大変有意義だったというふうに思います。
この観点から、今回の修正案附則第四十一条では規定が盛り込まれております。
今実施されている、今議論になった電話、テレビ電話による外部交通というのは、先ほど数字がありましたけれども、アクセスポイント、まだまだ少な過ぎるんですね。そしてまた、会話の秘密性も十分に確保されていないということだったり、時間が短時間に限られているということで、弁護人としては、被疑者、被告人と事務連絡程度のやり取りしかできないのがやはり現状で、本来の接見の代用とはなり得ていないというのが実情です。
皆さんがもし知らない地域で交通事故を起こして逮捕、勾留されてしまった、どうしたらいいか分からない、やはりすぐ弁護士に来てほしいのではないでしょうか。そしてまた、やはり毎日弁護士に会って、様々なことを話したり、打合せしたり、不安を解消したりしたいのではないかというふうに思うんです。
参考人質疑で、冤罪事件が、やはりまだまだ取調べが可視化されておらず、人質司法が継続しているということで、弁護人の立会いまで必要なんだということを議論している中で、そもそも弁護士と会ったり連絡が取れないということ自体が私はどうかしているというふうに思いますので、修正案附則第四十一条が可決、成立した場合には、テレビ電話による外部交通について、アクセスポイントの大幅な追加、秘密性の確保、この取組が一層推進されるというふうに期待しておりますけれども、この四十一条の附則の趣旨をしっかり踏まえた対応をいただけるか、改めて最後に法務大臣にお伺いをいたします。
○鈴木国務大臣 この修正案の附則第四十一条、その中にも、「地域の実情を踏まえ、被告人等と弁護人等との間の秘密の確保に配慮するとともに」と、そういったことも書かれております。
そういった中で、私どもとしても、従来から、そうしたオンラインによる外部交通の実施、これまでも行ってきておりますし、今、その拡大に向けて関係機関や日本弁護士連合会との間での協議を実施しておりますけれども、やはり、秘密性ということを今御指摘いただきました。
このオンラインによる外部交通の拡充に当たりましては、被告人等と弁護人等とのやり取りについての秘密性の配慮、これは極めて大事、重要であると我々も認識をしております。これはこれまでも配慮してきたところでありますけれども、まさにそうした附則の趣旨を踏まえまして、この附則の規定を含む修正後の法律案、この本法律案が改正法として成立をした場合には、その附則の趣旨をしっかりと踏まえながら、引き続き、関係機関と協議をして、秘密性への配慮、これもしっかりと考えながら、一層その取組を進めてまいりたいと思っております。
○篠田委員 是非、秘密性の配慮についてよろしくお願いを申し上げます。
次に、この修正案附則第四十一条について修正案提出者にお伺いをいたします。
この附則四十一条には、秘密性の確保に配慮するとともにという言葉が入っております。この秘密性の確保を規定しているのは、どんな意義や効果を期待しているのか。また、将来のオンライン接見の制度化を目指すためのものということと私としては理解をしたいところですが、その理解でよいでしょうか。
○米山委員 お答えいたします。
まず、今ほどの大臣の答弁とも多少かぶるんですけれども、被告人等の防御権を保護する上で、弁護人等との接見は重要な意義を有するものでございますので、本修正案の附則第四十一条は、そのような認識を前提として、従来から運用上の措置として一部の拘置所や警察において実施されてきたオンラインによるいわゆる外部交通について、それが、人口密度が低く、弁護士が少なく、また、接見のために長距離の移動を要する等の地域におきまして、特に被告人等の防御権を実質的に保障することになることから、映像と音声の送受信による通話を可能とするための必要な取組を推進するべきこととしたものでございます。
また、附則第四十一条において秘密の確保に配慮することとしたのは、被告人等にとって、捜査機関の干渉を受けることなく弁護人等と連絡を取り合い、適切な法的助言を受けることが重要であるからにほかなりません。
一方、このようなオンラインによる外部交通をオンライン接見として制度化することについては、法制審でも様々な議論があったものと承知しております。
修正案提出者といたしましては、まずは、政府において、オンラインでの外部交通を行うことができる施設の拡充等の取組を積極的に推進していただくことと考えておりますが、この取組は、今後のオンライン接見の制度化について議論を行う際の土台となるものと考えております。
○篠田委員 ありがとうございます。
しっかりとオンライン接見の全国統一化、そして法制化を望んで、私も頑張ってまいりたいと思います。
次に、済みません、視点を変えて、ビデオリンクによる証人尋問についてお伺いをいたします。
ビデオリンク方式による証人尋問については、法廷において対面で行われる尋問に比較して、やはり証人の状況を詳しく観察できないというような弊害があるかなというふうに思っております。
私も民事裁判などでオンラインで証人尋問を行ったことがありますけれども、やはり、その証人のリアクションですとか、うなずきとか、視線とか、態度とか、そういったいわゆる臨場感、ライブ感という点では、なかなかやりにくかったし、何となくタイムラグがあって、やり取りがちぐはぐというか、そういうような体験もしたこともございます。
そういったまたビデオリンク方式による証人尋問のいわゆる特性を踏まえて、証人に対する反対尋問権が実質的に保障されて、ビデオリンク方式でやるかどうかの判断が適切かつ慎重に行われるように、本改正により追加されるこのやり方、趣旨及び運用について、裁判官にしっかりとその辺りを周知徹底いただきたいと思うんですが、最高裁、いかがでしょうか。
○平城最高裁判所長官代理者 最高裁といたしましては、法案が成立した場合には、改正法の内容、趣旨、この周知をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
○篠田委員 是非よろしくお願いをしたいと思います。
そして、今回の改正法では、電子データによる証拠開示についても規定がされました。電子データによる証拠開示に当たっては、セキュリティーの確保などを理由として、被告人や弁護人の利用を不当に制限するような不合理な負担を課すことがないように留意をいただきたいと思いますが、この点に関してはいかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 この改正によりまして、証拠書類あるいは証拠物、これが電磁的記録である場合に、検察官の選択によって、オンラインの方法や、あるいは電磁的記録を複写する方法による証拠の開示も、これは可能となるということであります。そのことは、弁護人の防御準備における利便性の向上に資するものと我々としては考えております。
他方で、こうした方法による証拠の開示につきましては、やはり紙媒体によるものとは異なって、情報流出のリスクがある上に、あるいは一旦流出した場合には拡散をされてしまう、そういったおそれもあるわけであります。
そして、開示対象となる証拠の内容、これは様々でありまして、例えば、以前当局の答弁でもありましたと思いますが、性犯罪の被害状況が撮影された動画データのように、一たび流出をすると、被害者の、関係者のプライバシー等に甚大な影響を及ぼすものもあるわけであります。
したがいまして、オンラインの方法や、あるいは電磁的記録を複写する方法による証拠の開示、これにつきましては、関係者のプライバシー等の保護や、あるいはセキュリティーの確保の観点、これは極めて重要であると考えております。
そういった観点から、私どもといたしましては、関係者のプライバシー等を保護しつつ、弁護人の防御準備における利便性の向上を図る観点から、弁護人の要望を踏まえながら、できる限り、オンラインの方法や、あるいは電磁的記録を複写する方法による証拠の開示を認めていく、そういったことが望ましいと考えております。
本法律案が改正法として成立をした後には、検察当局においても、今申し上げたような観点から、適切な運用、これに努めてまいりたいと思っております。
○篠田委員 是非よろしくお願いいたします。
今法務大臣からありましたように、刑事事件の記録というのは、性犯罪の被害者の個人情報だったり、様々に、本当にセンシティブな情報の宝庫でございますので、是非是非、システムを構築するに当たっては、サイバー攻撃などで捜査、公判で用いられる個人情報が流出することがないように、しっかりと厳格なセキュリティー水準を確保いただきたいというふうに考えております。
また、司法関係者の、やはり私たち弁護士も含めてですけれども、デジタルリテラシーをしっかりと向上させるということの研修についても大切だというふうに思っておりますので、この点について、デジタルセキュリティーについて、最高裁からも、どのような取組をする予定なのか、お答えいただければと思います。
○平城最高裁判所長官代理者 最高裁といたしましては、関係機関ともしっかり連携、協議しつつ、改正法の円滑、適正な運用のために必要な措置をまず検討してまいります。
また、システム障害時を含めて司法手続を継続していく、そのような体制整備に努めてまいりたいと考えております。
○篠田委員 是非よろしくお願いを申し上げます。
最後に、更なるデジタル化についてお伝えをいたします。
今回、オンライン接見が残念ながら法制化されませんでしたけれども、やはり、被疑者、被告人の側からしっかりとしたデジタル化の恩恵を受けていくための更なる発展が必要かと思いますし、デジタル化による刑事手続の一層の効率化について、引き続き検討を行っていただきたいというふうに思います。特に、被疑者、被告人の利便を向上させるという観点では、まだまだ今回の法改正は不十分だと思いますので、必要があると認めるときは、しっかりと、改正、所要の措置を講じていただきたいと思っております。
その点について、法務大臣、御見解をお伺いいたします。
○鈴木国務大臣 更なるデジタル化ということであります。
今回の法律案でございますけれども、情報通信技術の進展、普及に伴い、刑事手続等においてもそうした技術を活用して、手続の円滑化、迅速化、さらには、これに関与する国民の皆様方の負担の軽減を図るということが喫緊の課題ということで、現時点において考えられる法整備、これを行うというものであります。
当然、情報通信技術はこれからもどんどんと進展、普及をしていくこと、これは想定をされるところであります。この成立の後も、やはりそういったことは当然変わっていきますので、引き続き、デジタル化による刑事事件の一層の効率化、あるいは刑事手続に関与する者の利便性の向上、これを図っていくことが重要であると考えております。
被疑者、被告人の利便性の向上というお話もありました。オンラインの外部交通等々、そういったことは今も運用としてやっておりますけれども、法務省といたしましては、そうした今御指摘の観点から、不断の検討、これを進めてまいりたいと考えております。
○篠田委員 是非よろしくお願いいたします。
私も、様々にこのデジタル化法案が現場で動くようになりましたら、現場での様々な不都合などを、しっかりと声をいただいて、また更なる改正、ブラッシュアップに向けて頑張ってまいりたいと思います。
本日はありがとうございました。
○西村委員長 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。警察庁長官官房総括審議官重松弘教さん。
○重松政府参考人 一点、訂正をさせていただければと存じます。
先ほど、全国の留置施設の数につきまして、一千六百というふうに申し上げましたけれども、一千六の誤りでございました。大変失礼いたしました。
○篠田委員 了解いたしました。訂正ありがとうございました。
○西村委員長 次に、柴田勝之さん。
○柴田委員 実は、篠田委員が、私が聞きたいことがたくさんあるということで質問時間を譲っていただきましたので、ゆっくり伺いたいと思います。
電磁的記録提供命令について、先ほど黒岩理事からも質問があった点なんですけれども、少し角度を変えてお伺いしたいと思います。
現行法における物の差押えにおいても、捜査機関が現場で実際にその物を見て、被疑事実に関連すると思われるもののみを差し押さえている。すなわち、令状に記載されているからといって、その品目の物件を犯罪事実と無関係のものまで何でもかんでも差し押さえるわけではないんですよという御説明をいただいております。
我々弁護士の実務感覚としては、実際には洗いざらい関係ないものも結構持っていっているんじゃないでしょうかと本当は言いたいんですけれども、その点はおくとして。参考人質疑で指宿教授も言及されていました、いわゆる包括的差押えに関する最高裁判例、これは、電子データを記録した記録媒体などを差し押さえる場合においても、令状に記載されたデータであれば何でも持っていってよいというわけではなくて、データの内容を確認して、犯罪事実に関連するデータのみを入手すべきである、それが原則であることを前提にした上で、妨害行為などによってそのような確認ができない例外的場合に、データの内容を確認せずに行う包括的差押えも許容される旨を判示しているというふうに理解されます。
実際の捜査実務においても、この最高裁判例の趣旨に沿って、可能な限りはデータ内容を確認して、犯罪事実に関連するデータのみを入手する、そういう運用がなされているという認識でよろしいでしょうか。伺います。
○森本政府参考人 お答えいたします。
まず、憲法三十五条一項は包括的な押収を禁止しておりますので、どのようなものが包括的な押収というかという点については、憲法ではまず禁止されているということが前提でございまして、これを受けて、現行の刑事訴訟法では、これまでも答弁しているところでございますが、裁判官が発する差押許可状には差し押さえるべきもの等を具体的に特定して記載することとされており、捜査機関が差し押さえることができる記録媒体であれば、記録媒体は令状に記載されたものに限定されます。
そして、令状の審査に当たっては、裁判官は、令状請求書に記載された差し押さえるべきものと被疑事件との関連性等を吟味した上で、関連性があると認めたものだけを令状に記載することとなりますので、差し押さえることができるものは関連性があるものに限定されることになりますが、御指摘の最高裁決定におきましては、事例判断ではございますけれども、捜査機関による捜索の現場における被疑事件との関連性の有無や程度の確認につきまして、捜索差押許可状による複写の処分の対象となる電磁的記録に被疑事件等と関連する情報が記録されている蓋然性が認められる場合、差押えの現場における電磁的記録の内容確認の困難性や確認作業を行う間に情報の毀損等が生ずるおそれ等に照らすと、許可状の執行に当たり、個々の電磁的記録について個別に内容を確認せずに複写の処分を行うことは許される旨判示しているものと承知しております。
捜査当局におきましては、法令や今御紹介した判例の趣旨を踏まえて、捜索の現場において、令状に記載された物件の範囲内で被疑事実と関連性があるものと判断したものを差し押さえているものと考えております。
○柴田委員 今の、要するに、令状に書いてあっても、現場でできるだけデータとかを内容を確認して、関係があるものに更に現場で絞り込んでいますということだと思うんですね。
ところが、電磁的記録提供命令では、命令を受けた者は、令状に提供させるべき電磁的記録として記載されたデータは全て提供しなければいけない。現行法による差押えのように、データの内容を確認して、犯罪事実に関連するデータのみを選んで提供するということはできないと先ほど黒岩理事への答弁でもおっしゃったと思います。
そうすると、その結果、犯罪事実に関連しない電子データが結果的には大量に収集されてしまうということが起こり得るんじゃないでしょうか。伺います。
○森本政府参考人 電磁的記録提供命令におきましては、現行の差押えとは異なり、被処分者に電磁的記録の提供を命ずる処分であることから、これも繰り返し答弁しているところでございますが、一般的には、そうした処分の性質上、被処分者、提出する方におきまして何を提出すればいいのかということが判断できるものでなければならないということになりますので、被処分者において何を提供すればよいのか判断できるようにするために、令状において、提供させるべき電磁的記録が現行の差押えにおける差し押さえるべきものに比べてより具体的に特定されることになり、被処分者はそれに従って命令の対象となる電磁的記録を提供することとなるというふうに考えております。
○柴田委員 今の御答弁は、電磁的記録提供命令の実務上、重要な答弁であると思います。
今までの差押えの実務では、令状の差し押さえるべきものとして、本件に関係あると思料されるパソコンとかハードディスクといった一応品目は挙げられているものの、最後に、これらに関連するものというような記載があったりして、かなり幅広な記載になっているわけですが、捜査官が捜索、差押えの現場で事件に関係あるものだけにきちんと絞り込むので多少幅広でもいいんですということにされていたわけです。
しかし、電磁的記録提供命令においてはそのような現場での絞り込みができないので、令状請求の段階で、提供させるデータの絞り込み、これを現行法での差押えよりも更に厳格に行わなければならないということになると思います。しかし、そのことは、改正法の条文を見ても、どこにも書いてないんですね。ですから、その旨は特に実務に当たる捜査機関に周知徹底していただく必要があると考えますが、そのようにしていただけるのか、法務大臣に伺います。
○鈴木国務大臣 今局長から答弁させていただきましたけれども、電磁的記録提供命令におきましては、被処分者、ここに電磁的記録の提供を命ずるという処分の性質上、やはり、令状において、提供させるべき電磁的記録が現行の差押えにおける差し押さえるべきものに比べてより具体的に特定をされるということとなると考えられます。
そうしたことで、この法律案、成立をした場合には、捜査機関において適切な運用の在り方、これは検討すると承知をしておりますけれども、私どもといたしましても、通達等によりまして、今申し上げた点も含めて、これは、現場の捜査機関の対応が大事でありますから、捜査機関に対して制度内容あるいは運用上の留意事項の周知、これをしっかりと図ってまいりたいと考えております。
○柴田委員 被疑者がサーバーに預けたデータを何でもかんでも持っていく、そういうようなことが決してないようにお願いしたいと思います。
次に、改正案の刑訴法百十一条三項は、電磁的記録提供命令によってオンラインで電子データを提供させたときは、当該電磁的記録の内容を確認するための措置を取ることその他必要な処分をすることができるとしていますが、この必要な処分には具体的にどのようなことが含まれるのでしょうか。また、この必要な処分には、電磁的記録提供命令を受けた者に対して一定の行為をさせることを刑事罰をもって強制することは含まれていないと理解してよいかも併せて伺います。
○森本政府参考人 お答えいたします。
本法律案による改正後の刑事訴訟法第百十一条第三項の電磁的記録の内容を確認するための措置を取ることその他必要な処分とは、電磁的記録提供命令により提供された電磁的記録について、検証や保管の必要性の有無を判断するための処分をいうものと考えております。
例えば、電磁的記録提供命令により提供させた電磁的記録について、内容の精査、分析をするために複写することなどが考えられるところでございます。
後段の、何か被処分者に協力を求めることがあった場合ということですが、については、仮に、同項による処分の過程で被処分者に何らかの協力を求めることがあり、被処分者がそれに応じなかったとしても、電磁的記録提供命令違反となるものでもなく、電磁的記録提供命令違反の罪により処罰されることにもならないものと考えております。
○柴田委員 今の点もはっきりさせていただく必要があると思って、お伺いしました。
次に、電磁的記録提供命令というのは、あくまでも電子データの提供を命じるものであって、命令の内容として提供者に何らかの供述を求めることはないという理解で間違いないでしょうか。まず確認させてください。
○森本政府参考人 お答えいたします。
電磁的記録提供命令は、条文上、必要な電磁的記録を提供することを命ずる命令と規定しているとおり、既に存在している電磁的記録の提供を命ずるにとどまるものであることから、電磁的記録提供命令によって被処分者に供述を求めることは、もとより想定しておりません。
○柴田委員 これは本会議での質疑からちょっと懸念を示させていただいていたところでありますが、電磁的記録提供命令の運用に当たっては、命令を受ける者をして、捜査機関にパスワードを教えなければ犯罪になると誤信させてパスワードを供述させる、そういったことのように、憲法上保障された自己負罪拒否特権を実質的に侵害することがないように特に留意すべきことを捜査機関に周知徹底をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。法務大臣にお伺いします。
○鈴木国務大臣 これまでも御答弁申し上げておりますけれども、この条文上、もう既に存在している電磁的記録の提供を命ずるものにとどまるものであって、供述を求めるものではないということで、憲法第三十八条第一項の自己負罪拒否特権と抵触するものではなくて、そして、一般に、供述を強制されているとの誤解を被処分者に生じさせるものでもないと私どもとしては考えております。
もっとも、この提供命令をするに当たっては、捜査当局において、電磁的記録提供命令が当該電磁的記録に係るパスワード等の供述を強要するものではないということも含む制度内容の正しい理解を前提とする必要があると考えております。
必要に応じて、供述を強要するものではないということ、あるいは不服申立てをできるといったことを相手方にしっかりと教示をするということなど、その権利を不当に侵害することがないような適正な運用、これがなされる必要があるということを我々も認識をしております。
この法律案、改正法として成立をした場合には、まさに捜査機関において適正な運用の在り方、この検討が必要と考えておりますし、私どもとしても、通達等によりまして、捜査機関に対して、制度内容あるいは運用上の留意事項の周知、これをしっかりと図ってまいりたいと考えております。
○柴田委員 ありがとうございます。今おっしゃった点も是非周知徹底をお願いしたいと思います。
次に、電磁的記録提供命令に伴う秘密保持命令について少し伺います。
今までの御答弁では、秘密保持命令の必要があるときの例示として、通信事業者等が顧客の通信に関する情報を第三者に提供したときに、当該顧客にそのことを通知すべき契約上の義務を負っているという場合がずっと挙げられてきておりましたけれども、通信事業者がそのような義務を負っておらず、実際の運用上も顧客に通知していないという場合にも、必要があるときに当たり得るのでしょうか。当たり得るとすれば、どのような場合でしょうか。お答えください。
○森本政府参考人 どのような場合が必要があるときに当たるかにつきましては、個別の事案ごとに具体的な事実関係、証拠関係を踏まえて判断されるべき事柄ではありますけれども、御指摘の、通信事業者が顧客の通信に関する情報を第三者に提供したときに、当該顧客にそのことを通知すべき契約上の義務を負っておらず、実際にも顧客に通知していないような場合であっても、例えば、通信事業者に対し、その関係者である被疑者に係る電磁的記録の提供を命ずる場合において、当該通信事業者から被疑者に対して電磁的記録提供命令により電磁的記録が提供された事実等が伝わると罪証隠滅行為や逃亡につながるおそれがあるときには、必要があるときに当たり得るものと考えられるところでございます。
○柴田委員 今の御説明、やや一般的でない、ちょっと例外的な、業者と被疑者がつながっているというような御説明だったと思います。
ちょっと我々弁護士視点でいいますと、実務上、通信事業者などの被疑者以外の者に対する電磁的記録提供命令の場合においては、捜査の密行性などを理由に、ほぼ全ての場合に秘密保持命令がなされてしまうんじゃないか、そういう状況も予想されるところです。
被疑者以外の者に対しても、あくまでも必要があるときに限定して秘密保持命令が出されるという理解でよろしいんでしょうか。また、必要があるときの判断は、通信の秘密とかプライバシー権が制限されることになる情報主体、被疑者とかであることも想定されますが、そういう情報主体に不服申立ての機会を与える必要性というものも考慮した上で慎重に行われるべきものという理解でよろしいか、伺います。
○森本政府参考人 お尋ねの秘密保持命令は、その必要があるときに限って発することができるものである上、これを発するにはまず裁判官の許可が必要となります。その必要があるときとは、捜査の目的を達するために電磁的記録提供命令を受けたこと等の漏えいを防止する必要がある場合をいうものと考えております。
この必要があるときに該当するとして許可するか否かは、裁判官において、個別の事案ごとに具体的な事実関係、証拠関係を踏まえて適切に判断されるべき事柄であるため、その判断の在り方について一概にお答えすることは困難でございますが、その判断に当たって、秘密保持命令が発せられた場合には、電磁的記録提供命令により提供された電磁的記録に記録されている個人情報等の主体は、事実上、電磁的記録提供命令に対する不服申立てがしにくくなるといったことなどにつきましても、一事情として考慮されるものと思われます。
いずれにせよ、本法律案が改正法として成立した場合には、その適正な運用を確保するために、制度の内容や趣旨等については周知を図ってまいりたいと考えております。
○柴田委員 今の、ちょっとしにくくなるというのは、前もちょっと気になるなということは御指摘しましたが、それはちょっともうおくことにして、今御答弁いただいた秘密保持命令は、あくまでも必要があるときに限定すべきということを捜査機関に周知徹底していただきたいんですが、そのようにしていただけるでしょうか。法務大臣に伺います。
○鈴木国務大臣 この適切な運用は極めて大事でありますので、私どもといたしましても、法案成立の場合には、関係機関に対して、この必要性の判断の在り方、これを含めて、制度の内容あるいは趣旨等について周知をしっかりと図ってまいりたいと考えております。
○柴田委員 さっき申し上げたように、被疑者以外のサーバー管理者などに命令を出すときには常に秘密保持命令もしますよと、そういう安易な運用がなされないように改めてお願いして、次に移りたいと思います。
次に、電子データの取扱いに関する規定についてお伺いしたいと思います。
電磁的記録提供命令の導入によって、強制的な電子データの収集方法が充実します。その結果、従来よりも更に多くの電子データが捜査機関により収集、蓄積されることが予想されます。そのことによって国民のプライバシー権などの権利を侵害する結果にならないように、電磁的記録提供命令の導入に当たって、捜査機関における電子データの取扱いに関する規定を制定ないし改正することが必要、適切であると考えますが、この点について法務大臣の御見解を伺います。
○鈴木国務大臣 まさに、従来より更に多くの電子データの収集、蓄積、そういった懸念、今御指摘をいただきました。そういった中にあって、押収されたデータ、この適切な保管、管理、あるいは、必要な期間保管した後の廃棄の在り方、廃棄をするということに関するものなど、押収されたデータの適正な取扱いに関する規定等の整備、これは極めて大事だと私どもとしても認識をしているところであります。
具体的な規定の在り方、ここについては、引き続き検討をしっかりとしてまいりたいと考えております。
○柴田委員 それから、何度もこれは指摘されているところですが、電磁的記録提供命令が取り消された場合でも、入手したデータやその複製データは消去しません、普通の証拠と同じように使いますというのは、不服申立てによる事後規制の意味がなくなってしまいますし、国民の理解は到底得られない話であると思っております。
違法収集証拠排除法則が適用されるような重大な違法であるかは別として、命令が取り消された以上は、違法な手続で入手された証拠であることは間違いないわけですから、それを踏まえた適切な取扱いがなされるよう、命令が取り消された場合に関する定めも、今答弁のあった電子データの取扱いに関する規定においてきちんと規定して周知徹底すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
○森本政府参考人 押収されたデータや電磁的記録媒体が不適切に利用されることのないようにすることは重要であるというふうに認識しておりまして、そのために必要な事項につきましては、先ほど大臣の御答弁にもありましたとおり、規定やあるいは通達等によって周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○柴田委員 私の聞いたのは、要するに、不服申立てで取り消されたような場合には、その点にきちんと留意した上で適切な取扱いをすべきなんじゃないでしょうかということで、今のはちょっと一般的な御質問だったので、取り消された場合についてどうですかということについてお答えください。
○森本政府参考人 不適切な利用がないようにということは当然なんでございますが、取り消される場合であっても、その取消しの幅が、やはり軽微なものから、多分、手続違反みたいなものから、それから重大なものまでありますので、全ての場合に証拠として一切取り扱えないことになるとなると、これは、これまで述べましたとおり、これまでの刑事法の体系と、その整合性が問題になりますので、そこはちょっとケース・バイ・ケースだと思いますけれども、不適切な利用等がなされないということにつきましては周知徹底してまいりたいと考えております。
○柴田委員 そういう両極端の場合について聞いているわけではなくて、やはり、取り消されたような場合には、程度は別にして、違法な手段によって入手された証拠であることは間違いないわけですよね。だから、その点は捜査機関においてきちんと認識して、それに応じた取扱いをすべきということにならないんでしょうか。伺います。
○森本政府参考人 一般的には、先生がおっしゃっているような形で、かなり、これは違法で使っちゃいけないでしょうというものの場合には、まさに先生おっしゃったようなケースが妥当すると私も実務家としては思うのですが、本当に、違法で取り消されるといっても、単純な手続違反というのもあり得るものですから、その全ての場合について一切というところまでなかなかいかないと思いますので、そこについては、きちんと、事案を基に、適切に対応できるようにしてまいりたいと考えております。
○柴田委員 さっきも言いましたけれども、違法収集証拠排除法則で取り消されるというのは本当に重大な違法なときなんですよ。今の御答弁だと、そのとき以外は普通に使えますと聞こえちゃうんですけれども、そういう理解でいいんですか。
○森本政府参考人 重ねてで申し訳ございません。
違法収集証拠として排除されるもの以外の場合には全て使うと言っているわけではなくて、これまでの判例実務等も踏まえながら、そこにつきましては、当然のことながら、そういった証拠を後に利用することが、裁判官から見たらおかしいでしょうというような場合というのはあり得ると思いますので、そういった、これまでの実務の蓄積も考えながら、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
○柴田委員 ちょっとあれなんですが、大体これぐらいにしておきます。
それで、次に、特に犯罪事実に関係ない個人情報を含むような電子データは捜査機関がいつまでも保有しておくべきではないと考えますけれども、他方で、捜査機関の見立てに沿わない電子データが恣意的に消去されるようなことのないように、先ほど法務大臣からお答えのあったその規定において、消去についても一定の基準をきちんと定めて周知徹底すべきと考えますが、その点はいかがでしょうか。
○森本政府参考人 お答えいたします。
押収されたデータが、委員御指摘のような、恣意的に消去されるなどといった不適切な取扱いがなされないようにすることは、当然のことながら重要であるというふうに認識しておりまして、その点につきましては、今後、各種規定や通達等によって、そのような事態が生じないように周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○柴田委員 今電子データの取扱いに関する規定について法務省のお考えをお伺いしましたけれども、そういう規定整備とか周知徹底は警察においても必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。警察庁に伺います。
○松田政府参考人 お答えいたします。
まず、規定の整備についてでありますが、警察においては、これまでも、国家公安委員会規則である犯罪捜査規範や通達等に基づいて、証拠物件や捜査資料の適正な管理に努めてきたところであります。
一般論として、法律の改正に伴って新たな制度の運用が開始される場合には、国家公安委員会規則や通達を改正することがあるところです。改正法が成立して電磁的記録提供命令が創設された場合には、提供を受けた電磁的記録の適正な取扱いについて必要な規定の整備を検討してまいりたいと考えております。
また、周知についてでありますが、改正法等の内容や趣旨について、警察庁において通達を発出するなどして都道府県警察への周知を図り、都道府県警察において適正な捜査がなされるよう指導を徹底してまいりたいと考えております。
○柴田委員 ありがとうございます。
次に、改正案による刑訴法五十四条の三第一項は、弁護士である弁護人は、裁判所又は裁判官に対する申立て等を原則として電磁的記録により行わなければならないとしていますが、その例外となる同条二項のその責めに帰することができない事由について、先日の委員会で、法務大臣からは、その被告人の防御権や弁護人の弁護権を不当に制約しないように解釈、運用されるべきという御答弁をいただきましたけれども、実際にこの事由の認定を行うのは裁判官になりますので、この点についての最高裁の御見解を伺います。
○平城最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
被告人の防御権や弁護人の弁護権、これを不当に制限することがないということについては非常に重要だと思っておりまして、最高裁といたしましては、改正法の内容、趣旨に従って適切に運用されるものと認識しております。
○柴田委員 ありがとうございます。
次に、電磁的記録提供命令と通信傍受法との相違について改めて伺います。
今までの御答弁で、電磁的記録提供命令が取り消された場合に入手データを消去することは、現行の刑事訴訟法の体系と整合しなくなってしまうのでできませんといった御答弁をいただいていると思っております。
しかし、通信傍受法では現にそのような規定を置いているわけですから、電磁的記録提供命令について同様の規定を置くことも決して不可能ではないと思います。これは私の意見ですが、要するに、捜査機関としては通信傍受法のような厳しい規制はちょっと困るということにすぎないのではないかと思っております。
今までの御答弁では、通信傍受法と同様の規律を電磁的記録提供命令について設けない理由として、通信傍受は継続的かつ密行的に通信の秘密を制約する処分であるが、電磁的記録提供命令はそうではないという御説明がされていますが、この継続的かつ密行的というのは具体的にどういう意味なんでしょうか。詳しく御説明をお願いいたします。
○森本政府参考人 通信傍受法における通信傍受は、傍受令状に定められた一定の期間、まずは十日以内の期間を定め、当該期間は裁判官が必要と認めたときには十日以内の期間を定めて延長できて、最大で三十日を超えることはできないとされていますが、それだけの期間、一定の期間にわたって現に行われている他人間の通信の内容を知るために当該通信の当事者のいずれの同意も得ずにこれを受けるというものでございます。
先日の答弁において、このような通信傍受の性質を捉えて、通信傍受は継続的、密行的に憲法の保障する通信の秘密を制約する性質の処分であるとお答えしたところでございます。
○柴田委員 電磁的記録提供命令でも、例えば、サーバー管理者に対して、被疑者の一定期間のメール履歴を提出させる、そういう場合には被疑者の通信の秘密を継続的に侵害しており、かつ情報主体である被疑者に提供の事実を知らせないという意味で、密行的に侵害しているのではないか。電磁的記録提供命令が継続的かつ密行的に通信の秘密を制約する処分でないとなぜ言えるのか、お答えください。
○森本政府参考人 電磁的記録提供命令は、通信の秘密を制約するとしても、その処分の一時点において既に存在している電磁的記録の提供を命ずるものであることから、一定の期間にわたって現に行われている他人間の通信の内容を知るためにこれを受ける通信傍受とは異なり、継続的に対象者の権利を制約するものとは言えないと考えます。
また、電磁的記録提供命令は、電磁的記録を提供させる者に命令の内容を告知して行うものでございますから、通信の当事者のいずれにも事前に告知しないで行う通信傍受と異なり、密行的に対象者の権利を制約するものとも言えないのではないかというふうに考えております。
○柴田委員 ちょっといま一つだと思いますが、次に行きます。
今の刑事訴訟法の体系というのは、証拠物や書類といった有体物が証拠の中心だった時代のもので、電子データによる証拠というのは想定されていなかったと思います。
電子データは、膨大な情報を含んでいる一方で、複製も容易といった、有体物とはかなり違った性質を有する上に、現在は、国民の個人情報やプライバシーの保護が以前よりもかなり重視されるようになっております。古い刑事訴訟法の体系にこだわる結果、電磁的記録提供命令が取り消されても、取消しの意味がないですねというような、国民の理解が得られない事態も生じていると思います。
そう考えると、電子データによる証拠の性質や個人情報保護の必要性も踏まえて、少なくとも電子データによる証拠については、当局の言われる刑事訴訟法の体系そのものの見直しも今後検討すべきではないかと考えますが、法務大臣のお考えを伺います。
○鈴木国務大臣 電磁的記録提供命令、そして通信傍受法による通信傍受、まさにこれは、継続性あるいは密行性という観点から、当然、処分としての性質が異なることから、両制度を単純に比較をすることはできないのではないかと考えております。
その上で、電磁的記録提供命令を含む刑事訴訟法上の強制処分について、捜査機関に対して、被処分者以外の者への通知あるいは処分が取り消された場合における情報の消去を義務づけることについては、我が国における刑事法の基本的な考え方との整合性等が問題となることから、私どもとしては、慎重な検討を要するものであると考えております。
○柴田委員 今後は慎重な検討が必要であるということで、まあ、検討はされるというふうに伺っておきたいと思います。
犯罪の捜査というのはとても重要なことなんですけれども、それがゆえに、対象とされた被疑者や関係者の人権に対する配慮が不十分であったということが、今まで明らかになった様々な問題事例の大きな原因になっていると私は思っております。
ただ、第一線で捜査に当たっている皆さんは、成果を上げることに一生懸命になる余り、被疑者などへの人権の配慮が不十分になってしまう、そういう可能性は否定できないと思います。だからこそ、そのようなことがないように、法律や政省令、通達といったもので被疑者などの人権が侵害されないようにしておく、それが私たち政治家や法務省幹部の皆さんの役割ではないでしょうか。今回の法案は、その点でまだ不十分な点が残っていると私は思っております。
犯罪捜査だけではなく、国民の人権を守るということも法務省の大切な職責であるはずです。その点について、法務大臣のお考えをお聞かせください。
○西村委員長 大臣、時間が来ていますので、簡潔に、要領よくお願いいたします。
○鈴木国務大臣 今御指摘の趣旨、そういったことも踏まえまして、様々、今後とも検討してまいりたいと思います。
○柴田委員 では、最後に、刑事手続のデジタル化に当たって、捜査機関や裁判所の利便性だけではなく、刑事手続の対象にされる被告人等の人権への配慮を忘れてはならないということを改めて申し上げて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西村委員長 次に、藤田文武さん。
○藤田委員 維新の会の藤田文武でございます。
刑事デジタル法につきましては、デジタル化については私もおおむね賛同するところでありますけれども、今回のやはり注目、重要な点は、電磁的記録提供命令だと思います。
前回の質疑で、幾つか実務的なイメージもたどりながら質問を聞いていったところなんですけれども、今日はちょっと修正案について米山議員に質問をしたいと思います。
その前提として、電磁的記録提供命令が、特に大規模通信事業者にお願いする、命令を下すといって大量なデータを取得するというわけでありますけれども、そのときには、令状に、先ほどの質疑にもありましたが、請求をするデータというものがちゃんと絞り込めるように命令を出すということで、これには結構技術的にもいろいろな問題があるので、前回の御答弁でいうと、事前の調整とか協力みたいなものも非常に重要だというような御答弁もありました。
すごく単純に考えてみると、元々あった記録命令付差押えには秘密保持がないわけですね。この電磁的記録提供命令にはあるんですよ。その実態としては、事前に非常に良好な関係のある大規模通信事業者等が想定されて、きれいにちゃんと切り分けられるように、その命令にちゃんと適合するように出せるように令状を書いてもらう、こういう趣旨だと思うんですね。
ふと、やはり考えたときに、捜査のために協力してくれといってデータを出してくださいと命令を出して、苦労して出していただいて、それをしゃべったら罰するぞというのは結構酷な話だなと単純に思うんですよね。元々あった記録命令付差押えにはなかったわけなんですよ。
それは、じゃ、趣旨は何かというと、非協力的な事業者等が、被疑者に直接又は間接的にその情報が伝わることによって起こる懸念への言及がありましたよね。ただ、それだけじゃなくて、法律ですから、全体にそれを網かけしないといけなくて、全員にこの秘密保持命令がかかってくるというのは、やはりちょっとなかなか、すっきりしないものもあるんですね。
そこで、今回、修正案については、一年を超えないというところを修正で提案されているわけでありますけれども、まず一つ目は、その修正案の提出者の一つの趣旨も踏まえて、今お話ししたとおり、秘密保持命令というのはそもそもこの法律案に必要なんだろうかという問いについてお答えいただけたらと思います。
○米山委員 質問に対してお答えいたします。
秘密保持命令の前提となる電磁的記録提供命令については、今ほどお話もございましたが、捜査に協力的でない者に対し発せられることも想定されるところでございます。
これの、協力的というところですが、そこはやはり、今ほどお話もありましたが、いろいろなグラデュエーションがあるんだと思います。それはもちろん、出す以上は、出す前に一定の話合いをし、その話合いが成立する程度の協力性はもちろんあるとして、しかし、そこまでは協力するけれども、ただし、直ちに、何というか、保持者に、しかもその保持者がある程度犯罪に関わっているかもしれないという疑いを持った上でそれを知らせるというような意味で、協力的でないという方もおられる。
要は、協力的でないにもいろいろな段階があるということだと思うんですが、そのような協力的でない者に対して発せられるということも想定されるところでございます。
したがいまして、そのような者が捜査機関から電磁的記録提供命令を受けた場合には、命令を受けたことなどを被疑者に伝えることで捜査に支障を及ぼすおそれがそういう意味であるということで、本改正案で創設された秘密保持命令につきましては、一定の必要性があるということに関しましては、提出者としても認めているところでございます。
ちょっと、次の質問とかぶるのかもしれませんが、またその一方で、しかし、確かにおっしゃるとおり、それが永遠だというのはいかがなものか、過大な負担もかけるということで、本改正案では、秘密保持命令を何らの制限なく発することができることとされていることにつきましては、委員会質疑でも疑問が呈されておりまして、そこで、本修正案で、秘密保持命令の保秘期間につきましては一年という期間制限をかけることとしております。
○藤田委員 ありがとうございます。趣旨には賛同したいと思います。
私は、やはり何かちょっと、善意の協力者に対して命令を下して、しゃべったら罰則だぞというのは何かすごくシンプルに国民感情として承服できないところもあって、なので、やはり抑制的にやっていただきたいというのが願いなんですけれども。
じゃ、先ほど御答弁いただいたとおり、永久に続くというのはちょっとやり過ぎだということで期間を設けるということで、今回については、一年以内という期間を設定するという修正案を提案しているわけでありますけれども、この一年以内という設定のある種の根拠とか妥当性みたいなものの理由があればお示しいただけたらと思います。
○米山委員 この上限を一年とした趣旨、根拠につきましては、電磁的記録提供命令や秘密保持命令が犯罪捜査の初期段階から利用されるものであることや、当委員会での参考人質疑で紹介していただいたドイツの例が六か月であったこと等を踏まえつつ、捜査への支障の防止とのバランスを考慮し、与野党間の協議を経てこのようになったものです。
この当初からということは、要は、大体最初からやっていますので、一年ぐらいしますと、それ相応に一定程度の捜査のめどがついていることが多い、そういう趣旨でございます。
ただ、そのような趣旨をもってこのようになったものでございますが、今ほど申しましたこの理由というのをよく考えてみますと、数字自体に、制度的に絶対こうでなければならないという理由があるものではないということでございますので、全ての法律がそうであるように、一般論として、一定期間の運用後の見直しはあり得るものと考えております。
○藤田委員 ありがとうございます。
修正案提出者への質問はこれで終了しますので、もし離席されるようでしたら、してください。ありがとうございます。
刑事デジタル法は、総論、私も、このデジタル化については賛成の立場でありますが、やはり今回、かなり長い時間の、そして各委員から非常に様々な論点が出ましたので、あとは運用をやはり抑制的に、しかも誠実に運用していくということが大事かと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
今日は、残りの時間は、また引き続いて、外国人の話をやりたいと思います。済みません。
この数回にわたりまして、ちょっと各論もやらせていただいてきました。例えば、難民申請の手続の話やビザ免除の話、又は、教育現場との連携や苦悩の話、それから自治体との連携ですね、自治体に起こっている現場の苦悩や制度的な穴、こういったことも様々質疑をしてきました。
我が党では、その他にも個別事例を取り上げていることもありまして、例えば生活保護の問題や、様々幅広く個別事例を取り扱ってきたわけであります。
ただし、私の一番の関心事、問題意識というのは、そういうミクロ、個別領域ももちろん重要ではありますけれども、マクロでの外国人を我々日本人がどのように受け入れているかという、そういう全体を見渡したときの話が一番重要だというふうに思っているわけであります。
そこで、何度もお示しをさせていただいてきましたが、実態でいうと、直近二年間においては、三十万人ずつぐらい外国人の数が増えていっている。そして、このスピードでいくと、かなり速いペースで、そして想定よりも上回るペースで、どんどんどんどん日本国内における外国人の比率が増えていく。(発言する者あり)
ちょっと静かにしてもらっていいですかね。済みません。
○西村委員長 御静粛に願います。私語は慎んでいただくようにお願いいたします。
○藤田委員 気になってしまって。済みません、ちょっと静かにお願いします。
そうやって、どんどんどんどん、いわゆる人口構成、国内における人口構成が変わっていくということにやはり危機感を持たないといけないんじゃないかというのが私の一番の問題意識なんです。
しかも、この問題は、様々連携して取り上げてきたんですけれども、例えば、一番初めに私が取り上げたのは、年金財政の話から取り上げました。年金財政には、若い働き手として外国人が入ってきた場合はプラスに寄与するんですね。だから、年金財政を所管し、計算する部門からすると喜ばしいことなんですけれども、でも、それは十数年後、また二十年後、三十年後、違うんじゃなかろうかという、そういう懸念もあるし、そしてそれが、誤差の範囲ではなく、かなり大きくなっていくという意味で、年金の財政、つまり、財政にも影響するし、労働者問題にも影響するし、雇用の問題にも影響するし、そして地方自治も影響し、治安にも影響していく、部門横断的な話というのが、これが非常に難しいところであります。
その上で、二月二十一日の衆議院予算委員会で、石破総理にこのような趣旨のやり取りを何度かさせていただいた上で、この司令塔機能が必要じゃないか、そして戦略やビジョンが必要じゃないかという問いをしたところ、総理からは、アドリブだったのかも分かりませんが、人口庁という、例えばという意味だと思いますが、ネーミングで、そのような外国人や人口政策を統括する司令塔の必要性に前向きに言及がありました。すぐに省庁をつくるというのは非常に重たい作業でありますから、明日、あさってでできる話じゃありませんが、私は、この方向性を言及していただいたのは非常に評価できることだと思います。
こうした、部門横断的に問題を解決し、未来を予見していく、そしてビジョンを示していくという司令塔機能、石破総理は人口庁とおっしゃいましたが、このような組織又は国家における機能についての必要性について、法務大臣の見解を聞きたいと思います。
○鈴木国務大臣 委員のいろいろな、様々な問題意識、これまでも様々議論もさせていただいて、大きな問題意識としては全く共感をするところでありますし、まさにその意識は共有をさせていただきたいと思っております。
その上で、司令塔機能ということで申し上げると、現在のところでいうと、政府においては、官房長官と法務大臣、これが議長となって、十九閣僚を構成員とする外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議というものがありまして、外国人材の受入れ、共生に係る諸問題について、関係行政機関の緊密な連携の下で、必要な知見等を結集をして、政府一体となって総合的な検討を行うこととしております。
ただ、委員の問題意識ということでも、私が承知をしているところで申し上げると、恐らく、様々な観点から日本の経済、今後を考えたときに、やはりどういった人材、外国の人材が必要なのかといった要請の一方で、まさにトレードオフというか、同時に考えなくてはいけないこととして、日本の社会としてどの程度それが許容されるのか、まさにそういったところのバランスの中でどうこれから外国人ということに対して向き合っていくべきなのか、そういった趣旨ではないかと私は推測、推察をしております。
そういったことで申し上げると、やはりこれまで、外国人をどのぐらい受け入れるといったときに、例えば、今年から始まる育成就労あるいは特定技能、こういったところの枠といったところは、ボトムアップの、各業界の積み上げということであるわけでありますけれども、全体を、どうそこをある意味でコントロール、マネージをしていくか、そういった観点、これまで十分にそれがあったかといえば、恐らくこれから局面が変わり得る中で、どう考えていくのかということを、我々はこれをしっかり考えていかなくてはいけないんだろうと思っております。
予算委員会での総理からの御答弁についても、問題意識としては同様のものがあろうと私も考えておりまして、そういった意味で、何らかの司令塔機能であったり、あるいは現在の機構の中でどういう議論をしていくことができるのか、そういった整理をまずはしていくことが肝要ではないかと考えております。
そういった形としての司令塔をどこに置くのかとか新たに置くのかとか、そういった議論、もちろん大事でありますけれども、同時に、何が問題点、論点であるのか、そういったことをしっかりと、まずは議論、検討を早急にして、その上で、必要なそういったことを考えていくということが肝要ではないかと私は考えております。
○藤田委員 ありがとうございます。
しかも、大臣個人の思い等も織り交ぜながらお話しいただいたことに感謝申し上げたいと思います。
まさにこの問題は、個別領域だけの話にとどまらず、国家全体を揺るがしていく可能性がある、それぐらいのインパクトがある問題でありまして、しかも、これが、三年後、五年後、しっかりとした議論がなされずに、今、産業界はやはりたくさん入れてほしいという要請が多いものでありますから、それに伴って、ボトムアップだけでどんどんどんどん門戸を開いていくことによって、気づけば物すごいスピード感になってしまうということが、私が一番恐れるのは、過度な分断を生む、特に諸外国を見れば政治的分断にまで発展していく、そういうことを懸念するものなんです。ですから、これから勉強会もいろいろ立ち上げられてということをお聞きしていますので、是非いろいろ引き続き議論をしたいと思います。
その上で、前回、前々回に少し議論させていただきましたが、じゃ、そういうのをトータルに今やるものがないと。なので、今の機構の中でもできることはやっていかないといけないし、それは、その最終的な司令塔の絵姿というのを議論しましょうと。ただ、今の中でもできることというのはやはりやってほしいという思いがあって、一つは、今後の在留外国人の増加数に対して公式に予測する機能を持つべきじゃないかということを前回申し上げました。
出入国在留管理庁は、これまでのデータを整理して、こうですよという、答弁する機能はあるんだろうと思いますが、例えば、技能実習とか、これぐらい、五年で何人というのが計画であったりとか、昨年のトレンドだったりとかそういうものがある中で、じゃ、来年は、去年は三十万人、三十五万人ぐらいか、増えました、その前も三十万人ぐらい増えました、今年はどれぐらい増えるんだろうと気になるのは当然ですよね。そのときに、大体こういう積み上げだったらこうなるよ、いや、もしかしたら五十万人かもしれないということをこの大変重要な委員会の表の議論でできないというのは、私は駄目なんじゃないかなと思うんですよね。
なので、そういう予測する機能、せめて今年そして来年ぐらい、又は五年ぐらいのスパンで、もちろん、それがぴったり合わなくてもいいと思うんです。イレギュラーがあるから上下するけれども、そういう予測機能を持つ、そして、それがこういう場で議論ができるということが私は必要だと思うんですけれども、大臣はどう思われますか。
○鈴木国務大臣 今、私どもとしても、いわゆるEBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングということで、やはりそうしたエビデンスといったものにきちんと立脚をした政策決定、これが大事だということで、政権運営は当然のことながら進めております。
そういった中で、数の予測、これが大事なのはまさにそのとおり。やはり将来の数の予測、この重要性、私どももそれは同じ思いであります。
ただ、その一方で、かなり、上位、中位、下位といろいろな恐らく幅も出てくると思いますし、厳密な意味の予測というよりは、やはり、しっかりとしたそうしたトレンドをどうきちんと捉えるのか、そういったことが大事だと思っておりまして、もちろん制度であったりやり方、これは様々な議論もしていかなくてはいけないと思います。公表することのメリット、デメリットも当然あると思いますので、そこは様々な観点を含めながら考えていきたいと思っております。
まさに今現在においても、厚生労働省の施設等機関である国立社会保障・人口問題研究所において、在留外国人も含めた日本の将来の人口推計、この作成、公表をしておりますので、この統計あるいは研究内容、今後の外国人の受入れの在り方を検討する上で極めて有益な情報だと思っておりますが、やはり外国人がどのぐらい、これはまた別の観点もありますので、そういった意味においては、そうした統計の在り方、これはかなり優先順位の高い項目として私どもとしても検討していかなくてはいけないと考えております。
○藤田委員 ありがとうございます。
社会保障・人口問題研究所の予測は私も参考にさせていただいていますし、その方々の分析というのには本当に敬意を払いたいというふうに思います。
これは年金財政のときにもあったんですけれども、年金財政は、様々、いわゆる定義づけをして、いろいろな数値を仮定で置いて、それで計算するわけなんですけれども、じゃ、その根拠はというと、社人研のデータを使っていますと。じゃ、社人研のデータに対しての信用性とか、又はそれに対する考えはあるのかというと、いや、それは社人研のデータなので厚労省には責任がないんですという見解なんですね。つまり、あくまでシンクタンクの予測というか評価なわけなんですね。なので、私は、やはり国家自体が主体的にそういう機能を持って、責任を持って議論するということが必要だと思うんですね。
というのも、事実上の移民政策に近い、ある種、マクロの数的にもそういう増え幅だし、加えて、入口から永住までを見据えた制度に育成就労で移行しましたね。ですから、そういう長期滞在を見据えた入口にも踏み出しているという面においては、諸外国でいうと、もう移民政策と言って、堂々とそれに対する対策や細やかな統合政策というものを打ち出し、国民のコンセンサスを得るというのがポピュラーなわけなんですね。
ただ、移民政策は取らない、そういう趣旨の中でやっていくと。今の数字の議論もそうですけれども、それを示すか示さないかも、私も議論はあると思いますよ。ただ、これだけ据えていっている中では、正直に、いろいろなシミュレーションがあるけれどもこうなんだということをお示しして議論するのが私はいいんじゃないかなと思っています。
その上で、さっきありました社人研のデータは、これは一番最初に出たときは結構衝撃的だったんですが、二〇七〇年には一〇%を超えるよ、そういう予測だったんですが、これは設定が、年間の増え幅が十六万人だったときなんですね。今はもうその倍以上になっていまして、三十万から三十五万人ぐらい増えていくということに計算をし直すと、二〇四〇年代には確実に、今のペースだったら、しかも少子化、出生率の低下も相まって、日本人との比率は一〇%を二〇四〇年に超えるというのが、これもほぼ確実な予測になるんですよ。
そうしたときに、二十年ぐらいたったら一〇%。今三%ですから、三倍ぐらいですね。そういう状況というのが、これは適切に受入れがオーケーだったらそれぐらいは全然スピード感的にもボリューム的にも許容できるんだという主張は、それはそれであると思います。私は、これはかなり速いスピードで、この社会がもつんだろうかという懸念を大きく持っているんですね。
この今僕がお示しした確実な予測されるスピード、二〇四〇年代に一〇%を超えていく、しかも、偏在し、集住しますから、二〇%、三〇%の市町村がごろごろと出てくる、そういう二〇四〇年代の絵姿を考えたときに、これはスピード感的にもボリューム的にも適切である、又は、社会がしっかりとこれを受け入れられるかどうかという問いに対して、大臣の見解を問いたいと思います。
○鈴木国務大臣 まず、済みません、最初に、先ほど育成就労のスタートを今年と申し上げましたが、実際は令和九年六月までに施行ということですので、そこの点は訂正をさせていただきたいと思います。
その上で、今御指摘の、二〇四〇代に一〇%になり得るという現在のスピードということでありますけれども、今の現状ということで申し上げますと、今は、日本の外国人の人口割合、OECDでも下から三番目という状況でありますけれども、現時点でのOECD全体の外国人の人口割合というものが大体一〇%強という状況で、今のOECD全体の平均というか、全ての人口の中の外国人割合ぐらいの割合に今後なっていき得る、そういった感覚でいることが大事かなと思っております。
その上で、先ほど藤田先生もおっしゃいましたけれども、平均が一〇%ということは、当然、非常に多くなるエリアもあれば非常に少ないエリアも出てくるということで、やはり、二〇%という可能性も指摘をされましたけれども、かなりのそういった場所が起こり得るということは当然に我々は想定しておかなくてはいけないと思います。まさにそうなれば、外国人の受入れの問題、まさに諸外国で起こっているのは、やはり住民の皆さんの感情、そういった摩擦ということであろうと思います。まさにそこをどうしっかりと我々として対処をしていくのか、そのことが、今後、日本がある意味で開かれた自由な国であるためにも必要だというのが私の問題意識でもありますし、その点で、十分な対応をしていかなくてはいけないという意識で、今様々な対応に取り組んでおります。
一〇%になり得るということの中で、我が国の労働市場、国内労働市場、あるいは社会保障制度、教育、治安、様々な観点からいろいろな影響が出得ますので、そこは我々としても、なってから大変だということではなくて、事前にしっかりとした対応ができるような準備をしっかりと考えておかなくてはいけない、そういった時期に差しかかりつつあるのではないかというのが私あるいは法務省の問題意識であります。
○藤田委員 ありがとうございます。
今、OECD平均が一〇%ぐらいという話がありましたけれども、私、個人的には、やはりトータルのいわゆる受入れ数又は比率、総数又は比率というものに方針を決め、ある種のキャップをかけていく、また、上がっていくスピードにも抑制的にキャップをかけていくということが私は方針として必要なんじゃないかなと思っているんですね。それはちょっと後で御意見を、最後に聞きたいんですが。
というのも、今いろいろミクロで出ている問題というのは、確かにイレギュラーだったり、小さなともしびというか、種火ぐらいの問題のことも多数あるんですよ。ただ、ずっと言っているんですけれども、人は、営みがあって、そしてそのボリュームが増えていって、一%、二%、集団の中にいて、権利がちゃんと守られているということが、二〇%になり三〇%になりすれば、もちろんその主張というものを実現するという例えば政治的なパワーも働くし、そうやって、今、目に見えて起こってきている問題が、初めからみんな悪意を持って日本に入ってきて問題を起こしているとは私は思わないんですよね。それがやはり、量の問題というのが非常に影響してくるというのが諸外国の事例を見ても明らかで、この総量の議論又は比率の議論というのを私は逃げずにやるべきだろうというふうな意見なんですね。
そこについて、最後、大臣の見解を聞いて、終わりたいと思います。
○鈴木国務大臣 将来の外国人の受入れ、総量ということでありますけれども、まさにそれは、経済成長の視点、あるいは産業政策の視点、さらには労働政策の視点、税、社会保障への影響の視点、あるいは地域のコミュニティー、さらには治安への視点、様々な視点を考慮する必要があるんだろうと思っております。
そういった中で、今様々な問題が出ているところで、やはり私、これは考えなくてはいけないと思っていますのは、一つには、今様々問題が指摘されていることが多いのは、ある意味、不法に滞在をしている、そういった者についてのものが多いと少なくとも今承知をしております。
ただ、もちろん、これがかなり増えてくれば、いろいろとそうではない事象も当然想定し得る、これは諸外国のこれまでの経験をしっかりと我々も考えていかなくてはいけないと思いますけれども、そういった中にあって、キャップをかけるべきなのか、そこは、まだそういったことについて、今私の立場で申し上げる状況ではないというのが正直な私の所感であります。
その上で、今後の外国人材の受入れにつきましては、政府全体で多角的な観点からの検討をしていく必要があると思っておりまして、先ほど御指摘もいただきましたけれども、私も、そういった問題意識の中で、これから入管行政、法務行政の中で何ができるのか、どうするべきなのか、政府全体でどうするべきなのか、そういった視点の下で、法務大臣の、私の下での、経済学、社会学、あるいは諸外国の状況に精通をした有識者の方々からの意見をお聞きをするということで、勉強会、研究会という形で、将来的な在留外国人の受入れの在り方を含めて検討を始めたところでありますので、しっかりその検討をまずはさせていただきたいと思っております。
○藤田委員 ありがとうございました。
今日はこれで終わります。
○西村委員長 次に、小竹凱さん。
○小竹委員 国民民主党の小竹凱です。
本日も質疑の機会をいただき、ありがとうございます。
私からは米山委員には質問いたしませんので。不手際があれば、済みません。是非よろしくお願いいたします。
この法案に関しましては、何度も私も質問させていただきましたが、その上で、与野党協議の上、本則部分の修正にも至ったというところは大変意義が大きいというふうに思っております。
余談ですけれども、何度も委員会をしておりますと、私のところに回ってくる頃には、今日の質問も大体答えられてしまっていますので、何回もする場合はたまには逆回りでも、そうすると皆さん、私たちの気持ちも少し分かってもらえるのかなというふうに思いますので。これは全然質問でも何でもありませんので、よろしくお願いいたします。
まずは、ビデオリンク方式の件について質問いたします。
先日の本会議で、私から大臣に対して、ビデオリンク活用によって、被疑者、被告人の弁護を受ける権利が弱体化したり、裁判の公平性が損なわれたりする可能性があることを指摘したところ、大臣は、本法案については、被疑者、被告人、弁護人は、ビデオリンク方式による場合であっても、映像と音声の送受信を通じて、陳述、供述、尋問等の行為を十分に行うことが可能であることから、本法案におけるビデオリンク方式に関する法整備により、被疑者、被告人の権利保護等が損なわれるものとは考えておりませんというような答弁をいただきました。
一方で、先日の参考人質疑で、私が池田参考人に対して、対面性が持つ実態的機能、ビデオリンク方式によって損なわれるのではないか、具体的には、信頼性や評価性が低く出てしまうのではないかというようなことを伺ったところ、池田参考人からは、画面越しであることで、事実認定者に与える影響が、情報量が削減されてしまって、その信用性の評価が難しくなるという問題がある、実際には、裁判所において当事者の権利保護の観点と並んで事実認定に与えるインパクトを考慮して最終的に判断されるという意味においては、やはり一段落ちる、例外的な手段だということは否定できないというような回答をいただきました。
このことを踏まえて、改めて、ビデオリンク方式を用いる裁判の公平性について、いま一度、どう考えていらっしゃるのか、公平性をどう確保していくのか、これから何か工夫を考えているのか、この辺りについて考えをお聞かせください。
○鈴木国務大臣 現行法の下での証人尋問でありますけれども、これは、公判廷において対面により行うということが原則ということとなっております。
もっとも、法律上、一定の要件を満たす場合には、ビデオリンク方式によって証人尋問を行うことができるということとされておりまして、この方式、ビデオリンク方式によって証人尋問を行うということは、証人の負担軽減あるいは手続の円滑化、迅速化に資すると私どもとしては考えているところであります。
証人尋問をビデオリンク方式によって行う場合においても、被告人、弁護人は、映像と音声の送受信を通じて証人の供述を聞き、十分な尋問をすることは可能ということで、実は最高裁の判例でもそういったことが、ビデオリンク方式による証人尋問を定める刑事訴訟法の規定が証人審問権を侵害するものではないということが判示をされているところであります。
ビデオリンク方式による証人尋問につきましては、今御指摘もありましたけれども、法廷において対面で行われる尋問等に比べて証人の状況を詳しく観察できないなどの指摘があるということは承知をしておりますが、一般的に、裁判所においては、ビデオリンク方式による証人尋問の実施について、刑事訴訟法の規定に基づいて、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聞いた上で適切に判断をしていると私どもとしては承知をしているところであります。
いずれにいたしましても、この法律案、これが改正法として成立をした場合には、引き続きこのビデオリンク方式、この方式による証人尋問が適切に運用されるように、その運用が大事でありますので、そうした運用がされるように関係機関にこの改正の内容あるいは趣旨、これをしっかりと適切に周知をしていきたいと考えております。
○小竹委員 ありがとうございます。
もちろん円滑化や迅速化を否定するものでありませんが、やはり一方で、池田参考人からもあったように、そういった一段評価が落ちるというような意見も現場から、また多くの方から出ているということを踏まえて、この次の質問ともちょっと重なってしまうところがあるんですが、最終的には、現状では、必要に応じて裁判所が運用、判断していくわけでありますが、公平性を考えたときに、法の規定として、原則として被疑者、被告人の同意がある場合に限定するというような修正の方向性、可能性というのは現状どういうふうに検討されているのか、お伺いします。
○森本政府参考人 お答えいたします。
証人尋問の実施方法につきましては、まず公判期日の手続を主宰する裁判所が決すべきものと考えられるところ、現行法においても、ビデオリンク方式により証人尋問を実施するに当たっては、検察官、被告人又は弁護人の同意は必要とされていないところでございます。
また、ビデオリンク方式による証人尋問におきましても、先ほど大臣から答弁がありましたとおり、検察官、被告人又は弁護人は、映像と音声の送受信を通じて証人の供述を聞き、十分な尋問をすることが可能と考えております。
実際にも、例えば、証人が傷病又は心身の障害により同一構内に出頭することが著しく困難と認める場合など、検察官、被告人又は弁護人の同意の有無にかかわらず、ビデオリンク方式により証人尋問を行う必要性があるという場合もやはりあり得るのではないかということで考えており、そこで、本法律案においても、ビデオリンク方式による証人尋問の実施について、検察官、被告人又は弁護人の同意があることを要件としていないところでございます。
したがって、御指摘のような規定を設けることまでは現時点で考えておりませんけれども、いずれにしましても、本法律案が改正法として成立した場合には、引き続き、ビデオリンク方式による証人尋問が適切に運用されるように、関係機関に対して本改正の内容や趣旨については適切に周知してまいりたいと考えております。
○小竹委員 ありがとうございます。
もちろん、規定ではないところですが、別に誰がどう見ても極悪人のような方を擁護しているわけではなくて、普通の方だって、一般、我々の立場だってそういうふうなケースに陥る可能性がありますので、そういった方にとって裁判が公平に行われるように、是非努めていただきたいというふうに思います。
次に、修正案について盛り込まれた新たな規定について伺います。
まず、第二百十九条の修正部分についてお伺いします。
今回の修正で、命令及び同項の規定による許可に係る期間を定める文言が追加されました。これは、電磁的記録の提供命令やそれに伴う裁判官等の許可、秘密保持命令が例えば挙げられますけれども、それらの有効期間を設ける趣旨と理解しております。
元々の法案では、提供命令に付随する秘密保持命令の期間の定めがなく、無期限で課し得るということが可能であったため、その濫用に対する懸念の声が上がっておりました。この修正により期間が定められるわけでありますが、具体的にどの程度の期間を想定しているのか。運用上のガイドラインなどを設けて、全国で統一的な、適正に運用されるような、そういったイメージを持っていくのか、これらについて現状を伺いたいと思います。
○森本政府参考人 規定につきましては先生御紹介いただいたとおりでございますが、具体的にどのような、どの程度の期間が定められることになるかというのは、個別の事案ごとに具体的事実関係や証拠関係を踏まえて判断される事柄であり、一概にお答えすることは困難かなと思っております。
やはり事案によって、罪証隠滅のおそれの程度とか、この委員会でも議論が出ていますが、かなり異なりますので、やはりケース・バイ・ケースにならざるを得ないところはあるかなと。そういうものの積み重ねで今後判断されるのではないかというふうに思います。
御指摘の修正案が可決された上で本法律案が改正法として成立した場合には、捜査機関に対して、秘密保持命令についても適切な運用の在り方を検討していくものと考えておりますが、法務省としても、捜査機関に対して制度の内容や趣旨の周知を図ってまいることで適切な運用がなされるように努めてまいりたいと考えております。
○小竹委員 ありがとうございます。
まさにこれは事案によるケース・バイ・ケースで、本当にそのとおりだと思います。
ですからこそ、こうした提供命令の発出や秘密保持命令の運用状況については被疑者本人には知らされない仕組みでございますので、ちょっと質問を一問飛ばしますが、第三者の監査、検証など独立したチェック機能を設ける、そういう必要性もあるのではないかと考えますが、この点についても見解を伺いたいと思います。
○森本政府参考人 お答えいたします。
捜査機関による電磁的記録提供命令及び秘密保持命令は、裁判官の発する令状や、裁判官の許可がなければ発することができず、必ず独立した裁判官による司法審査を経て発せられるものである上、不服申立ても可能でございます。そうした裁判官によるチェックに加えて、電磁的記録提供命令及び秘密保持命令の運用状況について、御指摘のようなチェックの仕組みを設ける必要性は乏しいものと私どもとしては考えております。
また、そのような仕組みを設けることは、第三者が個別の電磁的記録提供命令や秘密保持命令に係る裁判官の判断の当否を事後的に評価することになりかねず、司法権の独立の観点からも問題が生じると考えておりまして、御指摘のような仕組みについて設けることについては慎重な検討を要するものと考えます。
○小竹委員 ありがとうございます。
まさにこれから運用されていくことになりましたら、随時その運用方法については、それは事後でも構いませんので、チェックをして、厳しい運用管理をしていただきたいというふうに思います。
次に、これも附則四十一条にありました、オンライン接見の部分について質問したいと思います。
映像及び音声の送受信による面会における秘密性確保の配慮といった趣旨の規定が盛り込まれた、これは一つ大きな意義であるというふうに理解しております。
現在一部の拘置所などで試行されているものでは、事前予約が必要で、通話時間も十五分から二十分程度と短く、さらに、弁護人との秘密交通権が十分に確保されていないなど、たくさんの課題が指摘されています。
こうした中で、本法案附則において秘密性の確保に配慮するとの文言が入ったことは重要ですが、具体的に何をもって秘密性を確保していくのか、ここを確認させてください。
技術面について伺っていきますが、システム上で通話内容が録音、記録されてしまうようなことがありますと後から精査される懸念が生じますが、録音、録画機能等は設けないという方向を目指している理解でよろしいでしょうか。伺います。
○森本政府参考人 法務省といたしましても、被告人等と弁護人等とのやり取りについて秘密性に配慮することは重要であると認識しておりまして、これまでも配慮してきたところでございます。
今後のオンライン外部交通の拡充に当たっての技術的な検討については現在検討を進めているところでございますが、御指摘のような、録音等をすることは一切想定しておりません。
○小竹委員 ありがとうございます。
技術的な独立性の部分についてもお尋ねいたします。
オンライン面会のため、通信システムそのものも捜査当局が恣意的にアクセス、傍受できないようにすることは重要かと考えますが、面会システムを矯正当局が管轄の独立したネットワーク上で運用し、その他の捜査機関から物理的、技術的に切り離す措置が考えられます。その仕組みが検討されているのか。また、物理的にも、ほかの方が仮に気になってもアクセスできないぐらいの技術的な防御壁といいますか、そういった物理的な切離しもあるのか。この二点について、現行の仕組みの充実度の評価と、今後の取組に向けて、見解を伺いたいと思います。
○小山政府参考人 お答えいたします。
現在行われております電話による外部交通も、令和七年度に拡大予定のオンライン外部交通も、いずれも矯正局が面会用の独立したネットワークを所管して運用しているものではございません。そのアクセスポイントといたしましては、矯正施設のほか、検察庁等をこれとしております。
これは、弁護人等の利便性にも配慮をした場所にアクセスポイントを設置するため、関係機関及び日本弁護士連合会との協議を踏まえたものでございまして、それぞれのアクセスポイントでは秘密性にも配慮しているものと承知しております。
かかる観点から、矯正施設のみの面会用のネットワークを新たに構築するためには、技術面、体制面での課題がありますほか、アクセスポイントを仮に矯正施設に限った場合、立地面でかえって利便性を損ねるといったおそれもあるというふうに承知しております。
引き続き、秘密性に必要な配慮を行いつつ、利便性の観点等からも、必要性の高い施設について関係機関等との協議を重ねまして、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○小竹委員 ありがとうございます。
今回の附則に秘密性の確保に配慮という文言が入りましたので、是非ここは引き続き運用していただきたいというふうに思いますし、また、予算についても伺っていきます。
先日の参考人質疑で、坂口参考人が再三にわたって予算の都合で厳しいと思いますがと言っていたのがちょっと私は気になって、現場レベルの肌感も含めて参考人はおっしゃったと思うのですが、この指摘が、お金がないという指摘だと思いますが、ここが的を得ているのでしょうかと聞くつもりだったんですが、先ほどの篠田委員の質疑で大体、予算措置が取られていないことであったり、令和七年度の予算が三千八百八十九万円ということが明らかになり、かなりこの参考人の意見は的を得ていたのだろうと、改めて確認させていただきました。
この点については、我々も、また周りの皆さんも協力できることはしていきますので、是非予算獲得に向けて、法務省、頑張っていただきたいというふうに思います。
また、予算の都合で導入が遅れているというのは、またこれはかなり大きな問題だと思いまして、例えば憲法二十五条で、いわゆる第一項、生存権は国民の生活の質を保障するものであり、この権利を基に、生活保護の制度であったり最低賃金の議論がなされているものと理解しておりますが、生活保護の月々の支給が、予算の都合上不十分となるとは、これは考え難いことですよね。そう考えると、オンライン接見は憲法三十四条や三十七条で保障されている国民の権利であるというようなことも、だから必要予算なんだということも交渉材料にしていただいて、是非予算確保に向けて頑張っていただきたいというふうに思います。
また、今言いましたけれども、国民の権利保障のところにも焦点を合わせて、今後のオンライン接見の必要性を改めてどう考えているのか、伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 小竹先生に予算の確保のアドバイスもいただきまして、ありがとうございました。しっかり頑張っていきたいと思います。
その上で、今、オンライン接見についてということでありますけれども、弁護人との接見、これは、被疑者、被告人の防御権を保障する上で重要な意義を有するもの、そう認識をしております。
この委員会の質疑でも様々御指摘もいただきましたが、やはりオンラインによる外部交通の実施に対するニーズが高い地域、これがあることも重々承知をしているところであります。ただ、アクセスポイント方式によるオンライン接見、法制審の議論におきましても、全ての刑事施設等でオンライン接見を実現できる見通しがない中で権利化をしてしまうと、大部分の施設においてまさに被疑者等が法律上認められた権利を行使できない、そういった状況が長く、長期にわたって続いてしまう、そういった指摘もありました。
そういった中で、この法律案で権利として規定をするということとはしなかった、その経緯は以前も委員会の質疑でも申し上げたところであります。
他方で、刑訴法上の権利という位置づけではないものの、実務的な運用上の措置として、従来から一部の地域において、検察庁あるいは法テラスと拘置所等との間のオンラインによる外部交通の実施をしてきたところでありまして、先ほど予算の話も御指摘いただきましたが、現在、弾力的にその実施を拡大をしていくべく、関係機関あるいは日本弁護士連合会との間で協議をしているところでありまして、ここはしっかりと、我々としては、その取組、きちんと加速をしていきたい、そのことを考えております。
法制化ということで申し上げると、今申し上げましたオンラインによる外部交通に係る取組の進捗状況、これを見ながら検討していくことかと考えております。
○小竹委員 ありがとうございます。
今回の法改正で一つ進んだこととは思いますが、これはまだまだ不十分だと思っておりますので、これからまた次に向けて取り組んでいただきたいというふうに思います。
また、最後に、附則四十条に関してもお尋ねいたします。
今回の附則で、できる限り関係のない個人情報を収集しないような留意規定が、歯止め規定だと理解しておりますが、過去には、岐阜県警の大垣署による市民監視事件、無関係な個人情報を収集していたことが問題となり、名古屋高裁でこういった抹消を命じる決定をされておりますが、その後のルールはいまだ整備されていないというような指摘もありますので、こういったことを踏まえて、今後の情報の扱い方、この点を、政府として具体的な取組内容を是非お答えいただきたいというふうに思います。
○西村委員長 森本刑事局長、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
○森本政府参考人 お答えいたします。
本法律案が改正法として成立した場合には、捜査機関において、修正案により設けられることとされている附則の規定を含めまして、刑事訴訟法、それから刑事訴訟確定記録法や法務大臣訓令である記録事務規程などの各種事務規定などに従って、適切な証拠の収集や保管、保存に努めていくということが肝要であるというふうに考えております。
○小竹委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○西村委員長 次に、本村伸子さん。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
電磁的記録提供命令の令状で取得をする情報の限定に関して、質問をさせていただきたいと思います。
鈴木大臣は、四月一日の法務委員会でこのように答弁をされました。提供を命じることができる電磁的記録は、令状に記載、記録された範囲に限定されると規定していますということ、そして、関連性があると認めたもののみを令状に記載、記録することとなります、また、被疑事件等との関連性があるものに限定をされることとなりますし、その命令に対しても不服申立てをすることができるというふうにおっしゃっております。
この不服申立てがなかなか使えないというのが現実であるということも各委員が論戦をしてきたところです。また、関連性等があると認めたもののみを令状に記載、記録ということも繰り返し答弁をされました。
また、最高裁は、電磁的記録提供命令における令状に、どのように具体的に特定をしていくかにつきましては、これまでの令状の記載方法等も参考にしながら、まさに現場の裁判官同士で議論されるべきものでありますけれども、一般論として申し上げれば、被疑事実との関連性を有する範囲のものに限られることはもとより、被処分者においてどの電磁的記録を提供すればいいのか判断できる程度の特定が必要になるものと考えておりますというふうに答弁をされております。
このことに関しまして、電磁的記録提供命令の情報の取得、令状の情報の取得の範囲は、具体的にどのように限定をしていくのかという点について、法制審の部会でどのように具体的に議論をされたのかというのをまず確認をさせていただきたいと思います。
○森本政府参考人 お尋ねの点につきましては、まず、部会の第七回会議において、弁護士である委員から、令状でどの程度特定するかといった点からも議論の対象となるとの趣旨の意見が示され、第十回会議におきましては、刑事法研究者である委員から、電磁的記録提供命令の対象となる電磁的記録は、現行の記録命令付差押えと同様に、令状において被疑事実等との関連性を有する範囲が明示、特定されることになると考える。さらに、現行の記録命令付差押えの令状における記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録について、例えば○年○月から○月○日までの間における電話番号○○○○番の携帯電話の通話履歴などといった形で記載することが考えられるものとされているという事務当局の説明を踏まえ、その刑事法関係者の委員の方からは、記録命令付差押えと同様の特定がなされることになると思われ、一般探索的、包括的な電磁的記録の取得が可能となるものではないといった趣旨の御意見が示されるなどしたものと承知しております。
○本村委員 今、議論、局長が紹介をしていただきましたけれども、かなり部分的な御紹介だったというふうに思います。
先ほど御紹介がありました法制審議会の刑事法(情報通信技術関係)部会の委員の久保有希子弁護士、第二東京弁護士会の方ですけれども、第七回の部会で次のようにおっしゃっておりました。大事な点だというふうに思いますので、ちょっと長いんですけれども、御紹介をさせていただきたいというふうに思います。
是非今後については、この令状の記載事項という議題についても論点とした上で、適切な情報を前提とした電磁的記録提供命令とし、令状の記載の仕方がどうあるべきかということを、情報の性質を踏まえて検討すべきだと思います。
令状について、次にちょっと、最高裁が出した決定の、二〇二一年二月一日の最高裁の判決の部分ですけれども、また引用いたします。
リモートアクセス令状の記載事項は、例えば、一点目として、差し押さえるべきパーソナルコンピューター及びスマートフォン、タブレット端末からの接続可能なファイル保存用サーバーの記録媒体の記録領域であって、当該パーソナルコンピューター等の使用者に使用されているもの、二点目として、差し押さえるべきパーソナルコンピューター及びスマートフォン、タブレット端末からの接続可能なメールサーバーの記録媒体の記録領域であって、当該パーソナルコンピューター等の使用者のメールアドレスに係る送受信メールその他の電磁的記録を保管するために使用されているものという記載になっていました。
ということで、これでどこまで特定されているのだろうかといった点については、恐らく共感していただける方もいるのではないかと想定をしているところです。現状の令状が実際にどのような記載になっていて、記録命令付差押えの場面では、どのような令状でどのような情報が取得されているのかということは、やはり前提として確認をし、その上で、情報通信技術の進展に伴いどのような令状の記載事項になるべきか、対象物としてどのような特定をするべきかといった点も改めて検討すべきではないかと考えますと。
少しはしょりますけれども、それはやはり、情報を取得する場面において、ともすれば包括的な差押えになりがちであり、それがなぜかというと、先ほど申し上げたように、情報がどのような形のものがあるのかが予想できず、リスト、件名だけでは予測できないということに伴うものではないかと思います。そうすると、それを前提としてもなお、令状で第三者の権利を侵害しないように事前にどのような形で特定できるのか、それはもちろん限界があるということは承知していますけれども、事前にまずは令状審査で規律をさせるべきということは、今、吉田幹事がおっしゃったところであり、そうすると、まさにこの部会の場で、今はどういう形になっていて、それによってどういう問題が生じていて、誰の権利が侵害されているのかということも、やはり一から検討するべきではないかというふうにおっしゃっております。
久保弁護士が法制審の部会で提起をしているこういう中身をちゃんと議論したのかという問題があります。
先ほど、第十回の法制審の中央大学の小木曽先生の発言や刑事局の参事官の発言なども御紹介がありましたけれども、それはかなり、久保弁護士がおっしゃったそのレベルの議論ではなく、本当に短時間、確認できないことを確認しているような、全く根拠となり得ない、そういう内容となっております。
この法制審の部会でも、やはりこの令状に書くべき情報を限定していくという部分の議論が全く不足しておりますし、そのことが確定的じゃないというふうに思うんですけれども、その点、大臣、ちゃんと議論したというふうにお考えでしょうか。
○鈴木国務大臣 先ほど局長からも答弁をさせていただきましたけれども、そういった意味においての様々な議論、そういったことにおいては、少なくとも、今、私どもとして、この法案というところで考え得るのに必要な議論ということはされたと我々としては考えております。
○本村委員 令状で第三者の権利を侵害しないように事前にどのような形で特定できるかというところ、どういう形になっていて、それはどういうふうな問題が生じていて、誰の権利が侵害されているのかという点を一から検討するべきというふうに久保弁護士がおっしゃっておりましたけれども、やはり、その議論をしっかりとやるべきだというふうに考えております。
今日は、修正案の提案者の米山提案者にもお願いをしているんですけれども、附則で、電磁的記録の提供を受け、又は電磁的記録媒体を押収するに当たって、デジタル社会における個人情報保護の必要性に鑑み、できる限り被告事件又は被疑事件との関連性のない個人情報を収集することがないよう、特に留意しなければならないとありますが、できる限り被告事件又は被疑事件との関連性のない個人情報を収集することがないよう特に留意とは、どのように限定をされることを想定しているのかという点、お示しをいただきたいと思います。
○米山委員 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、本修正案では、追加される附則第四十条で、電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させる場合においては、できる限り被告事件又は被疑事件と関連性を有しない個人情報を取得することとならないよう、特に留意すべきことと定めております。
この規定により、裁判官が発する令状に、提供されるべき電磁的記録等や差し押さえるべき電磁的記録媒体を記載、記録する際、あるいは、これに基づいて警察官等が実際に電磁的記録媒体の押収を行う際に、できる限り被告事件又は被疑事件との関連性のない個人情報を取得することとならないよう、十分に吟味することが求められることとなります。
これはもちろん、被告事件又は被疑事件との関連性のない個人情報を全く取得しないことが最も望ましい、これは当然なんですけれども、当然ながら、令状発付段階ではどこにどのような情報があるのか完全には分からないので、被告事件又は被疑事件との関連性のない個人情報を全く取得しないことは難しいことを前提に、しかし、可能な限り被告事件又は被疑事件との関連性がある情報のみが対象となるよう、意を砕く必要があるということでございます。
また、その際、事件との関連性については、漠然と事件と関連する一切の情報のように、全体的、抽象的に判断するのではなく、可能な限り個別具体的に判断されるべきものと考えております。
加えて、「特に」、このかぎ括弧つきで「特に」は、デジタル社会において個人情報の保護がより重要になっていることから、電磁的記録については、今ほど申しました被告事件又は被疑事件との関連性のない個人情報を取得しないことについて、一般の物とは異なる注意が必要であることを示したものです。
この規定により、事件と無関係な個人情報の収集を防止し、プライバシーの保護にも資するものと考えております。
○本村委員 もう一点ですけれども、電磁的記録提供命令を受け、捜査機関に情報を提供したことを漏らしてはならない秘密保持命令について、一年を超えない期間を定めることによって不服申立てに一定の実効性を持たせるという、報道に書かれておりました。
一年たって、電磁的記録提供命令を受け、情報を提供したことに対する秘密保持命令が解除されて、命令を受けた人が情報の帰属主体である本人に提供したことを教えてくれなかったら、不服申立てを行うことはできないというふうに思いますけれども、電磁的記録提供命令を受けたことを教えてくれる、そういう可能性はかなり低いのではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
○米山委員 本改正案において創設される秘密保持命令は、この修正が入りますと、一年以内で定められた期間が経過することによって当然にその効力を失い、保秘義務はなくなります。したがって、電磁的記録提供命令等を受けた者は、任意ではありますが、情報の帰属主体に通知することができるようになるものと理解しております、できるようになります。
この点、電磁的記録を第三者に提供した場合には本人に通知する契約上の義務を負っている事業者もあると承知しておりますが、通信事業者が一般消費者の契約においてそのような定めをしているとは限らないので、必ずしもその可能性が高くはないというのは、委員御指摘のとおりとは思います。
しかし、電磁的記録提供命令を受けて、この情報の帰属主体に通知されることもあるわけでございますし、その契約につきましては、それは民間同士の契約でございますので、今後の状況に合わせて、民間同士において対応がなされていくものと考えております。
○本村委員 修正案を出されたということで、そのことも議論をもっともっとしなければいけないというふうに思っているんですけれども。
法制審議会の刑事法(情報通信技術関係)部会の久保有希子弁護士、先ほども御紹介をいたしましたけれども、第十五回の会合、最後の会合で、次のように語っております。
最後に、私は、この部会で議論の経過についても強い疑問を持っています。この部会は、有識者の集まりとして、捜査機関の便宜ばかりを考慮するのではなく、国民の権利利益の保護、実現、憲法上の権利保護についても十分考慮することが期待されています。ところが、事務当局から提示された案に対して、委員、幹事から様々な観点からの質問が寄せられるというよりは、むしろなぜか事務当局案を根拠づけるような委員からの説明がなされることが多くありました。反対意見を述べても、特に理由の説明のないまま、案に反映されないことも多くありました。今後、この部会の議事録に基づいて、議論の経過が公正なものであったかについて、一般市民による検証がなされることを期待したいと考えていますというふうに語っておりました。
この法制審部会で久保弁護士がおっしゃっておられるように、今回の法改定は、捜査機関にとって都合のよいものばかりです。国民、住民の皆さんの権利利益の保護、実現、憲法上の権利保護についても十分に考慮されておりません。採決するべきではなく、私は、撤回をして、捜査機関の濫用防止策を強化することや、犯罪に関係のない方々のプライバシー保護を始め、権利保護の部分をもっと強化をするべきだというふうに思います。
そのことを強く指摘をいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○西村委員長 次に、吉川里奈さん。
○吉川(里)委員 参政党の吉川里奈です。よろしくお願いいたします。
刑訴法の改正において、今回、電磁的記録提供命令と併せて創設される秘密保持命令について伺います。
この命令は、審議会議事録を見る限り、アメリカ連邦法を参考に提案されたようですが、アメリカでは、対象はグーグルなど通信事業者に限られ、企業や個人は含まれておりません。一方、本法案では、個人や企業にも罰則つきの秘密保持命令が課され、出勤記録や社内メール、位置情報なども対象となり、警察から突然に行われる電磁的記録提供命令に応じる際に、話が外部に漏れると罰則になることが想定されます。私たち国民にとっては、法改正によって、知らないうちに重い義務とリスクを背負うことになるかと思います。
アメリカと比べても過度であり、企業や個人の負担が重過ぎると思うのですが、大臣、ここまで対象を広く課す必要性は本当にあるのか、国民が納得できる明確な立法事実をお示しください。
○鈴木国務大臣 本法案における秘密保持命令でありますけれども、電磁的記録提供命令の被処分者として、捜査に非協力的、協力的でない者等も想定をされる中で、そのような者が、命令を受けたことや、あるいは、命令により電磁的記録を提供したことなどを犯人等に伝えることによって、犯人等が証拠隠滅行為あるいは逃亡に及ぶおそれがあるということに鑑みまして、捜査に重大な支障が生じることを防止をするために創設をするものとしているものであります。
そして、電磁的記録提供命令を受ける者のうち、通信事業者以外の事業者あるいは個人につきましても、捜査に協力的でない者がいるということ、これは当然に想定をされるところであります。したがいまして、本法律案における秘密保持命令につきましては、通信事業者等だけではなくて、その他の事業者あるいは個人も対象にする必要があると我々としては考えているところであります。
先ほどアメリカという話もありましたけれども、例えば、ドイツにおきましては、捜査の過程で捜索等を受けた者に対して、捜索等を受けた事実を他人に開示をすることを禁ずる命令を発することができ、これに違反した場合には制裁があるということがありますが、このドイツの場合には、その命令の対象者、これは限定をされていない、そういった事例もあると我々としては承知をしているところであります。
○吉川(里)委員 もしこの法案が通った場合にも、運用面においてしっかりとチェック、見直しをしていただきたい点であるというふうに私は思います。
次に、近年、裁判所など重要機関がサイバー攻撃を受ける事例が相次いでおります。アメリカ・テキサス州では裁判所が業務停止、日本でも閉域網の病院が攻撃をされました。この際、NECの電子カルテのシステムが使えなくなり、病院業務に支障を来した例があり、閉域であれば安全という時代はもう終わっております。さらに、北朝鮮による電磁パルス攻撃のリスク等も指摘をされています。イランでも、閉じた核施設がスタックスネットによって物理的に破壊された事例というのもございます。
刑事手続が止まれば、令状発付や証拠保存ができず、重要な業務が麻痺します。本当に刑事手続のデジタル化が大丈夫なのかという点では、多くの国民は不安を感じております。令状発付などを行う裁判所はサイバー攻撃や障害時にどう備えているのか、国民が安心できる説明を求めます。
○森本政府参考人 刑事手続のデジタル化を実現するための新たなシステムにつきましては、委員御指摘のとおり、機微な情報を取り扱い、犯罪事象への迅速な対応が常に求められるという刑事手続の特性に鑑みて、高いセキュリティーの確保を大前提とした上で、書類の電子化、それから関係機関等での円滑、迅速なオンラインでの発受などを可能とするシステムの開発、整備に向けて、最高裁判所や警察庁等の関係機関、設計、開発業者と今緊密に連携しつつ検討を進めております。
サイバー攻撃等へのリスクへの対処につきましても、委員からも言及がございました刑事手続専用の閉域回線を通じて裁判所及び警察とデータの送受信を行うこと等を想定しているほか、外部から入手した電磁的記録については無害化を徹底することなども含めまして、セキュリティー対策に万全を期すべく検討を進めているところでございます。
また、システムの障害の対応につきましても、万が一システムに障害が発生した場合でも迅速な対応が可能となるよう、この点につきましても関係機関等と検討を進めているところでございます。
○吉川(里)委員 いろいろと検討はされているかと思うんですけれども、検討会の議事録等も、私、拝読させていただきましたが、まだまだ審議では具体的なセキュリティー対策が話し合われているようには感じませんでした。今後の運用の議論においては、業者等に丸投げするのでもなく、サイバー攻撃の専門家のチェックや意見を取り入れていただき、実効性のある対策を講じることを求めます。
本法案の審議も最後となりましたが、電磁的記録提供命令では、本人に知らされずに事件と無関係な情報まで収集、保有され、たとえ命令が違法であっても、そのデータは消去されず、捜査情報として利用される可能性はございます。密行性の必要性は理解しますが、本人不在のまま大量の個人情報が取得、利用される仕組みに国民の一人として強い違和感を覚えております。
さらに、秘密保持命令によって、企業や個人に重い義務と罰則を科す点、そしてシステム全体のセキュリティーへの懸念はまだまだ拭えません。開発に当たっては、無理のないスケジュールと十分な検証期間を確保し、万が一サイバー攻撃や障害が発生しても刑事手続が止まらない体制づくりを強く求めます。
あわせて、証拠の信頼性を守るため、司法関係者のデジタルリテラシーの底上げも急務です。
国民の安心と信頼を置き去りにしないデジタル化への取組を強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西村委員長 次に、島田洋一さん。
○島田(洋)委員 日本保守党の島田です。
この刑事デジタル法案は、情報セキュリティーの確保が非常に重要であります。本日は、サイバー攻撃に対する抑止力の強化に絞って、いろいろ、幾つか質問したいと思うんですが。
まず、その前提として、本日も参議院で能動的サイバー防御導入法案、これが審議されております。出席いただいている生稲外務政務官は参議院議員でもあるわけで、かつこれは今内閣提出法案ですけれども。例えば、中国あたりからこの刑事デジタルシステムに攻撃が行われた、その攻撃元が特定できたという場合には、日本側から無害化措置、反撃措置を直ちに取る、こういう理解でよろしいんでしょうか。
○生稲大臣政務官 お答えいたします。
大変恐縮でありますけれども、事前に通告を受けていない質問でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○島田(洋)委員 これは内閣提出法案です。今通常国会の最重要法案で、外務省も関係する話なので、今のお答えは納得できないんですけれども、ちょっと時間の関係で、後でいろいろお聞きするとして。
情報セキュリティーの確保のためには、例えば、難民認定をめぐる紛争事案が増えるほどに、外国の、海外の諸機関とのデータのやり取りというのも当然増えてくるわけですよね。そもそも、だから、そういう難民認定をめぐる紛争事案が減れば、海外とのデータのやり取りも減って、その分、情報漏出の可能性も減るという関係が一般的に言えると思うんですけれども、その点で、やはり特に偽装難民による難民認定申請等に抑止力を働かせていくということが大変重要だと思うんです。
これは鈴木大臣にも過去何度かお聞きした事案で、性的少数者と称するチュニジア人の男性に関して、国は、鈴木大臣の認識でも、この方は家族から暴力行為を受けたかもしれない、だから、DVの被害者であるかもしれないけれども、チュニジアという国からの迫害はないという認識の下、裁判でも争ってこられたわけですが、大阪地裁、高裁では国の難民不認定処分を取り消すという判断が下された。
過去に、平成十八年にクルド人に関して難民不認定とされて裁判になって、認定しろという判決が出た。しかし、その場合、そのときは、国が新たに様々な情報を集めて、もう一度難民審査をして、改めて不認定という処分を下しているわけですね。
もちろん、性的少数者に対する差別、迫害があってはならないというのは当たり前のことですけれども、日本は、LGBTなんだと言えば、迫害されているんだと言えば、幾らでも難民として受け入れてくれるということになれば、それこそ偽装難民が何億人と押し寄せてきかねない。そういう意味で大変重要だと思うんですけれども、これは、再びそのチュニジアに関していろいろな最新情報を集めて、再び難民審査をして、厳正に認定、不認定を決める、そのプロセスは今進んでいるんでしょうか。
○鈴木国務大臣 まずは、それぞれ個別の事案については、それぞれのプライバシー等々もありますので、そこについてのお答えということは差し控えをさせていただきたいと思います。
その上で、一般論として申し上げれば、難民不認定処分の取消しを命ずる判決、これが確定をした場合には、当該処分時における難民該当性は公権的に確認をされたということとなりますので、処分時以降に難民該当性が否定される事情変更がないかを検討し、これがない場合には速やかに難民として認定をすることとしているところであります。
加えて申し上げると、先ほど偽装難民ということがございました。まさにそうしたことにおいて、そういったことは今後とも、これまでもでありますけれども、そういったことが日本において起こらないように、私どもとしても全力を、万全を尽くしているところであります。
○島田(洋)委員 この件はまだ、一般審議の場で更にいろいろお聞きしたいと思うんですけれども。
それで、このチュニジアという国は、アフリカで三つだけ日本が相互にビザ免除をしている国の一つです。こういうビザ免除をしている、つまり、基本的に信頼できる国というのをLGBTの迫害国だというふうに認定してしまう、これは整合性がないように思いますけれども、生稲さん、いかがですか。
○生稲大臣政務官 チュニジアを含む北アフリカ地域というのは、欧州とサブサハラ諸国をつなぐ、アフリカ市場へのゲートウェーの位置を占めていて、国際貿易や物流の観点からも大変重要であります。
我が国としましては、有能な人的資源に恵まれて、地域のハブとしても多面的な潜在性を有するチュニジアとのパートナーシップを重視していて、長い二国間関係の歴史も共有しています。特に、経済面や文化面での交流を通じて、友好、信頼関係を築いてまいりました。
島田先生から御指摘のあった点も、他国の内政に関わる事項でありますので、お答えは差し控えさせていただきますが、いずれにせよ、日本政府としては、引き続き、チュニジアとの関係強化に取り組んでまいります。
○島田(洋)委員 ちょっと時間がないので、これはまた今度追及しますけれども、石破内閣で外国に対して常に毅然とした態度を取っていると示すことが、やはりデジタルシステムに対する抑止力にもつながると思うんですけれども。
その点、生稲政務官、政務官に就任後、靖国神社に行ったことはないとカメラの前で明言しながら、政務官就任前に行ったことがあるんですかと聞かれたらお答えできない、こういう情けない対応だったんですね。やはり諸外国からばかにされると思うので、どうなんですか。政務官就任前、政治家として靖国神社に行かれたことがあるならあるとはっきり言われるべきだと思いますけれども。
○生稲大臣政務官 本日は、政務官の立場として答弁をしておりますので、現在の立場に鑑みて、お答えすることは差し控えさせていただきます。
○西村委員長 島田さん、時間ですので、御協力お願いします。
○島田(洋)委員 今のお答えは全く納得できないので、中国、韓国にも更に石破内閣はばかにされたんじゃないですか。
時間が来たので、これで終わりますけれども、また出てきてください。
終わります。
○西村委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○西村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子さん。
○本村委員 私は、日本共産党を代表して、刑事デジタル法案に反対の討論を行います。
本法案は、刑事訴訟手続のデジタル化に乗じて、捜査機関の利便性や権限を拡大するものです。一方で、国民、住民の権利保障や弁護活動に資する制度は盛り込まれず、人権保障に逆行するものです。
現行法上のUSBなど電磁的記録媒体での押収、任意捜査による情報収集においても、捜査機関は本人等に知られることなく大量の電磁的記録を入手しています。スマートフォン等が一度捜索、差押えされると、そのデータ等は全て捜査機関の支配下に置かれ、必要な情報が抜き取られます。大量の情報は分析することで、人の思想や私生活などを明らかにし、新たな権利侵害を生み出します。現状でも、犯罪と無関係の個人情報が集められ、プライバシー侵害が起きています。
罰則つきの電磁的記録提供命令が創設されることで、捜査機関はデータの帰属主体の本人に知られることなく、より速く大量の電磁的記録を収集、蓄積、利用することが可能となり、事件との関連性がない大量の情報が収集される危険性は高まります。しかも、捜査機関に提供したことを漏らさないことを義務づける秘密保持命令も可能となり、違反した場合の罰則も創設されます。捜査機関の濫用を防ぐ手続は盗聴法よりもありません。
犯罪と関係のない個人や団体の情報を捜査機関が収集、蓄積するのに何の歯止めもなく、消去義務の規定、捜査機関の濫用への罰則もありません。
通信の秘密を侵す盗聴法でさえ、個人情報の収集への不服申立ての機会を保障するために当事者への事後通知が必要なのに、この法案で設けられている電磁的記録提供命令では本人に通知されません。
電磁的記録の性質上、事件との関連性がある情報を特定することは困難であり、令状は包括的で無限定な提供命令になる危険性があります。
最高裁は、これまで、裁判官は厳格に令状審査を行ってきた、電磁的記録提供命令の令状審査においても変わらないと説明しています。しかし、参考人質疑で、複数の参考人が、今も事件と関係ない個人情報が包括的に差し押さえられており、問題があると指摘しました。
令状審査に当たって、データが保管された時間、通信の相手方、事件と関連性がある情報内容等の特定を法定する必要があります。
国民、住民の権利、利益、自由を守るため、検察当局、検察機関、捜査機関の情報の収集、保有、利用などの濫用防止、消去のルールを作ること、独立した第三者機関を設置する立法措置こそ必要です。
以上を申し述べ、反対討論といたします。
○西村委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○西村委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、津島淳さん外四名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○西村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○西村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○西村委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、津島淳さん外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び日本保守党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。篠田奈保子さん。
○篠田委員 篠田奈保子です。
ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 身体の拘束を受けている被疑者又は被告人にとって弁護人又は弁護人となろうとする者の援助を受ける権利が重要であることに鑑み、映像と音声の送受信によるいわゆるアクセスポイント方式によるオンライン接見についての環境整備を進めるとともに、その進捗状況に応じて法制化の必要性について検討を行うこと。併せて、現在実施されているテレビ電話を含む電話による外部交通制度・電話連絡制度に関しては、秘密の保持や、手続の円滑化、対象地域の拡大、映像と音声の送受信による方法への切換等の検討を進めること。
二 ビデオリンク方式による証人尋問等については、証人等の負担軽減や手続の円滑化及び迅速化に資する一方で、法廷において対面で行われる尋問等に比して、証人の状況を詳しく観察できないなどの指摘があることを踏まえ、証人に対する反対尋問権が実質的に保障され、裁判所におけるビデオリンク方式の採用の判断が適切に行われるよう、本改正により追加される要件及びその趣旨について周知すること。
三 電磁的記録提供命令制度の運用に当たっては、対象となる電磁的記録について、できる限り特定して令状の請求が行われるとともに、犯罪事実と関連性のない個人情報ができる限り収集されることのないように適切に令状審査が行われるよう、制度の内容及び趣旨について、関係者へ周知すること。また、収集された情報が個人の重要なプライバシー情報等を含み得ることに十分に留意し、定められた規定に基づく消去も含め、適正かつ厳重な管理を行うこと。
四 電磁的記録提供命令をするに当たっては、必要に応じ、自己の意思に反して供述することを命ずるものではないこと及び当該命令に対して不服申立てができることを教示するなど適切に対処するよう周知すること。
五 電磁的記録提供命令に係る秘密保持命令を発するに当たっては、必要な限度で期間を定めるとともに、その必要がなくなった場合には、捜査機関において、期間経過前であっても速やかにこれを取り消す運用とするよう関係者へ周知すること。
六 検察官が弁護人に対して証拠書類等の閲覧・謄写の機会を付与するに当たっては、関係者のプライバシー等を保護しつつ、弁護人の利便性の向上を図る観点から、弁護人の要望を踏まえつつ、できる限り、オンラインによる電磁的記録の閲覧・謄写の方法によることを可能とするとともに、電磁的記録については複写による謄写の方法を認めるよう、留意すること。
七 捜査機関が収集した証拠が改ざん・差替えや破棄等をされることなく適切に保管される措置を講じるよう努めること。
八 オンライン等の方法による裁判所に対する申立て等については、弁護人による迅速かつ適切な弁護活動を不当に阻害することのないよう、留意すること。
九 電磁的記録文書等偽造罪の適用に当たっては、虚偽の名義又は内容の電子データによる他人の権利・利益の侵害に対して厳格に対処できるようにするとともに、SNSへの投稿等が過度に広汎に罰せられることにより表現の自由が不当に抑制されることのないよう、留意すること。
十 改正法の施行に必要となるシステムを構築するに当たっては、サイバー攻撃等により捜査・公判で用いられる個人情報の流出が生じることがないよう、厳格なセキュリティ水準を確保すること。また、ビデオリンク方式の利用における成り済ましや第三者による不当な介入、デジタル証拠の漏洩や改ざん防止のために必要な措置について不断に検討し、必要な対策を講じるとともに、システム障害時にも司法手続を継続できる体制の整備に努めること。併せて、システムの開発及び運用準備のスケジュールに無理が生じることのないよう検討を進めるとともに、制度の開始に先立って必要な検証・試験運用期間を設けること。また、司法関係者のデジタルリテラシーの向上のための研修等について検討を進めること。
十一 今後における捜査・公判手続のデジタル化の更なる進展のため、デジタル化による刑事手続の一層の効率化について引き続き検討を行うとともに、刑事手続に関与する者の利便性を向上させる措置について検討を行い、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講じること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○西村委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木法務大臣。
○鈴木国務大臣 ただいま可決されました情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。
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○西村委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○西村委員長 次回は、来る二十三日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十九分散会