第12号 令和7年4月23日(水曜日)
令和七年四月二十三日(水曜日)午前八時五十分開議
出席委員
委員長 西村智奈美君
理事 小泉 龍司君 理事 津島 淳君
理事 中野 英幸君 理事 鎌田さゆり君
理事 黒岩 宇洋君 理事 米山 隆一君
理事 金村 龍那君 理事 円 より子君
井出 庸生君 稲田 朋美君
上田 英俊君 上川 陽子君
神田 潤一君 草間 剛君
河野 太郎君 寺田 稔君
中西 健治君 平沢 勝栄君
森 英介君 若山 慎司君
有田 芳生君 篠田奈保子君
柴田 勝之君 寺田 学君
平岡 秀夫君 藤原 規眞君
松下 玲子君 萩原 佳君
藤田 文武君 小竹 凱君
森ようすけ君 大森江里子君
吉田 宣弘君 本村 伸子君
吉川 里奈君 島田 洋一君
…………………………………
法務大臣 鈴木 馨祐君
法務大臣政務官 神田 潤一君
最高裁判所事務総局刑事局長 平城 文啓君
最高裁判所事務総局家庭局長 馬渡 直史君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 小八木大成君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 竹林 悟史君
政府参考人
(法務省大臣官房政策立案総括審議官) 上原 龍君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 堤 良行君
政府参考人
(法務省大臣官房司法法制部長) 松井 信憲君
政府参考人
(法務省民事局長) 竹内 努君
政府参考人
(法務省刑事局長) 森本 宏君
政府参考人
(法務省矯正局長) 小山 定明君
政府参考人
(法務省保護局長) 押切 久遠君
政府参考人
(法務省人権擁護局長) 杉浦 直紀君
政府参考人
(出入国在留管理庁次長) 杉山 徳明君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 濱本 幸也君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文部科学戦略官) 今村 聡子君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官) 堀野 晶三君
政府参考人
(文化庁審議官) 小林万里子君
法務委員会専門員 三橋善一郎君
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委員の異動
四月二十三日
辞任 補欠選任
棚橋 泰文君 中西 健治君
若山 慎司君 草間 剛君
小竹 凱君 森ようすけ君
平林 晃君 吉田 宣弘君
同日
辞任 補欠選任
草間 剛君 若山 慎司君
中西 健治君 棚橋 泰文君
森ようすけ君 小竹 凱君
吉田 宣弘君 平林 晃君
―――――――――――――
四月二十二日
民事裁判情報の活用の促進に関する法律案(内閣提出第四二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
民事裁判情報の活用の促進に関する法律案(内閣提出第四二号)
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
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○西村委員長 これより会議を開きます。
裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官小八木大成さん、警察庁長官官房審議官大濱健志さん、こども家庭庁長官官房審議官竹林悟史さん、法務省大臣官房政策立案総括審議官上原龍さん、法務省大臣官房審議官堤良行さん、法務省大臣官房司法法制部長松井信憲さん、法務省民事局長竹内努さん、法務省刑事局長森本宏さん、法務省矯正局長小山定明さん、法務省保護局長押切久遠さん、法務省人権擁護局長杉浦直紀さん、出入国在留管理庁次長杉山徳明さん、外務省大臣官房審議官濱本幸也さん、文部科学省大臣官房文部科学戦略官今村聡子さん、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官堀野晶三さん及び文化庁審議官小林万里子さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○西村委員長 次に、お諮りいたします。
本日、最高裁判所事務総局刑事局長平城文啓さん及び家庭局長馬渡直史さんから出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○西村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。有田芳生さん。
○有田委員 おはようございます。有田芳生です。
今日は、旧統一教会、世界平和統一家庭連合の解散命令をめぐる諸問題について質問をしたいと思います。
まず、皆様方のところに資料はまだでしょうか、理事の皆さんには届いておりますけれども、資料の上の方、写真を三枚掲載しております。北海道の帯広の市内にあります天地正教という宗教団体ですけれども、まず、文化庁にお聞きをしますけれども、天地正教というのはどういう宗教団体なんでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
宗教法人天地正教につきましては、昭和六十二年、一九八七年に北海道知事において宗教法人天運教の設立の規則認証が行われ、その翌年、昭和六十三年に、同法人の名称を天地正教に変更する規則変更の認証が行われたところでございます。
なお、その後、平成七年の宗教法人法の改正に伴いまして、同法人は平成八年に所轄庁が北海道知事から文部大臣へ変更となり、現在、文部科学大臣所轄の宗教法人となっております。
○有田委員 天地正教と言っても多くの日本国民はまだ十分御存じでないわけですけれども、旧統一教会と密接な関係がある、むしろ一体であるということをこれからお示しをしたいんですけれども。
今答弁いただきましたように、天地正教というのは、元々、北海道の帯広で天運教という宗教団体として発足をしまして、川瀬カヨさんという方が教主を務めていらっしゃいました。そして、今答弁にありましたように、一九八七年に北海道庁の認証を経て宗教団体となり、翌年、一九八八年に統一教会の指示を受けて天地正教という名称に変更したというのは、二代目教主の新谷静江さんが裁判所に出した陳述書でも明らかにされております。
この天運教、天地正教なんですけれども、実は、この本尊というものがあるわけですけれども、統一教会というのは聖書を基にしたキリスト教系の宗教団体であって、「原理講論」という教理解説書を信者の皆さんは今も熱心に学んでいらっしゃるんだけれども、天運教、そして天地正教、この本尊というのは何なんでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの宗教法人天地正教につきましては、弥勒菩薩を本尊として教義を広めることを目的とする旨、登記でも明らかにされていると承知しています。
○有田委員 川瀬カヨさん、初代教主、そして、二代目の新谷静江さん。実は、川瀬カヨさんは、天運教を開いた後に、統一教会の信者になられます。そして、二代目教主である三女の新谷静江さんは、既成祝福といって、これは内部用語なんだけれども、一般社会で結婚をされた後に統一教会に入って、そして、一九七八年、ニューヨークで行われた合同結婚式、十二組なんですけれども、そこに参加をされた。教団の表現で言うと、既成祝福。つまり、教主それから二代目教主も統一教会の信者になったという経過なんですね。
そして、今答弁してくださったように、天地正教の本尊は、キリスト教系ではなくて仏教系ですから、弥勒菩薩。天地正教の機関紙である天地新報、一九九四年の一月一日号によると、弥勒菩薩は文鮮明さんのことであるという明記があるんですね。つまり、一言で言って、仏教系の宗教団体である、今もある天地正教は、文鮮明さんの化身である弥勒菩薩を今も信仰の対象にして活動をしている、そういう関係にあるんです。
これがなぜ重要かといいますと、今年の三月二十五日、皆さん御承知のように、東京地裁は、旧統一教会、世界平和統一家庭連合に対して解散命令を出しました。そこの文書の中に、これは新聞報道などの解散要旨だけでは分からないんだけれども、百十六ページにわたる解散決定文を読むと、資料にお示しをしましたように、写真の下の方ですけれども、こう書いてある。
利害関係参加人、つまり旧統一教会は、平成二十一年六月二十三日、責任役員会及び評議員会議において、残余財産の帰属先、つまり、清算手続が進んでいって財産が余った場合の帰属先について、次にありますように、北海道帯広市に主たる事務所を置く宗教法人である天地正教とする決議を行ったと書いてあって、その後、今答弁していただいたように、本尊は弥勒菩薩である云々ということが東京地裁の決定文にも明記されている。
つまり、ポイントは、旧統一教会が今後解散が確定したとして、そして清算手続が始まったときに、財産が余ったら、統一教会の信者が今代表役員をやっている天地正教に財産を移すということなんですよね。だから、実際、旧統一教会から、実質的な統一教会が支配をしている天地正教に移るということなんですよ。
だから、これはほかでも財産隠しなどのおそれがあるわけですけれども、統一教会は、実は、十六年前から、解散を見越して、財産が余ったときには天地正教に移しますよという、そういう、責任役員会及び評議員会議で決めているということなんですよ。
だから、ここに法の抜け穴があって、旧統一教会は、自分たちの財産というのを、この天地正教だけではなく、いろいろな形で、今、もう数年前から財産の移動をしているんだけれども、そういう巧妙なからくりを今たくらんでいるということがこの東京地裁の決定文にも明らかなんです。
文化庁にお聞きをしたいんですけれども、東京地裁で解散命令の決定が行われた、即時抗告が行われて、旧統一教会は東京高裁に今審議を求めているわけですけれども、解散命令が確定するのは、東京高裁が解散ですよと決めたら、そこでもう清算手続に入るわけですよね。そこのプロセスを少し簡単にお示しいただけますでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
一般論ということで申し上げますと、宗教法人の解散命令請求事件につきましては、地裁による解散命令の決定後、当該宗教法人から即時抗告がなされた場合には、今御説明ございましたように、高裁に係属するということになります。
高裁におきましても解散命令が出た場合には、最高裁に抗告することができますが、高裁の解散命令に基づきまして、裁判所により清算人が選任され、裁判所の監督の下に清算人が清算事務の一切を行うこととなり、清算手続が開始されます。
また、債権債務を整理し、解散事務費を差し引いてなお残る残余財産を処分し、清算結了の登記をする等の手続を経て、清算事務が終了いたします。
○有田委員 つまり、東京地裁が解散命令を、もう決定文を出しているわけですけれども、教団側は即時抗告を行って、東京高裁で審議がこれから始まるわけですけれども、最高裁まで行かずして、つまりポイントは、東京高裁の決定によって清算人が決まり、そして清算手続が始まるという、そういう理解でいいわけですけれども、引き続き文化庁にお聞きをしたいんですけれども、指定宗教法人というのは何なんでしょうか。
○小林政府参考人 指定法人、特定不法行為等被害者特例法の御説明も併せて申し上げたいと思いますが、特定不法行為等被害者特例法は、まず、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するため、宗教法人の財産の処分、管理の特例などについて定めている法律であると承知しております。
その法律に基づきます指定宗教法人の具体的な仕組みでございますが、所轄庁によりまして、宗教法人法第八十一条第一項第一号、つまり「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」に該当するとして解散命令請求がなされた宗教法人につきまして、当該宗教法人による特定不法行為等に係る被害者が相当多数存在することが見込まれ、かつ当該宗教法人の財産の処分及び管理の状況を把握する必要があることのいずれにも該当すると認められたときは、御質問の、所轄庁は指定宗教法人として指定することができることとされております。
この指定の効果といたしましては、不動産の処分等について少なくとも一か月前までに所轄庁への事前通知、それから四半期ごとの財務諸表の提出の義務が課されておりまして、所轄庁による財産の処分及び管理の状況の把握が強化されますとともに、財産の隠匿、散逸の抑止効果が期待されるものとなっております。
○有田委員 今の答弁のポイントは、被害者が相当多数と見込まれている、そこなんですけれども、では、引き続きお聞きをしますけれども、この指定宗教法人というのは今幾つあるんでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
現在、指定宗教法人として指定されている法人は、令和六年三月に指定されました旧統一教会の一法人のみとなっております。
○有田委員 もう一度、先ほどの質問に戻りますけれども、東京高裁でいずれ、恐らく秋ぐらいだと個人的には判断しているんですけれども、旧統一教会に対する解散命令が出された場合、その段階で清算人が裁判所によって決められる。その清算人の役割というのは、宗教法人法の規定でどうなっているんでしょうか。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
宗教法人法に基づきまして、第四十九条の二におきまして、清算人の職務として、現務の結了、それから債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の引渡しが規定されておりまして、清算人は、その職務を行うため必要な一切の行為をすることができることとされております。
○有田委員 今答弁なさったように、宗教法人法第四十九条の二、清算人の職務として、必要な一切の行為をすることができる。その必要な一切のことというのは具体的に書かれていないんですよね。だから、そこのところをもっと詰めていかないと、本当にきちんとした手続が取られるのかということが、これは弁護士から宗教者から多くの疑問があるんだけれども、これはオウムのときを振り返っても分かるように、宗教法人法の改正というのは猛反対も含めて大変ですから、今からこの清算人の役割について新たに決めていくということは、もうこれは不可能であると私は判断している。
そのときに、とても重要なことを文化庁の宗務課の方で提案をしてくださったんですけれども、四月十八日に、指定宗教法人の清算に係る指針検討会の開催について、そういう記者配付用の資料が出されましたけれども、この指針検討会、清算をするための指針というのはどういうことをこれからなさろうとしているんでしょうか。お答えください。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど先生の方からも御説明ございましたように、清算人は、清算の目的の範囲内で、その職務を行うために必要な一切の行為をすることができると法律上されておりますが、一方で、指定宗教法人は特定不法行為等に係る被害者が相当多数存在することが見込まれるなどの特殊性があるため、有識者の御意見を踏まえながら、信教の自由に配慮しつつ、清算手続を通じた被害者の救済と円滑な清算に資するための指針を策定していきたいと考えております。
具体的には、憲法、民事法等についての学識経験者や日弁連等の御協力を得て、実務経験を有する弁護士、宗教家による委員にお集まりいただき、清算人による指定宗教法人の財務状況の調査に関する事項、あるいは、特定不法行為等の被害者に対する賠償等債務の弁済に関する事項、清算に当たっての指定宗教法人の信者の信教の自由に対する配慮事項等について検討を行い、指定宗教法人の特性を踏まえた円滑な清算に資するための指針案の策定に向けた検討会を開催する予定としております。
○有田委員 統一教会というのは、旧統一教会は、一九五四年に韓国・ソウルで生まれて、日本には一九五八年から布教を始めて、一九六四年に東京都の認証を経て宗教団体になったんですけれども、皆さん御承知のように、高額献金だけではなくて霊感商法などなど、様々な社会問題を起こしてきた。
その宗教団体に対して、高額献金などを理由にして、東京地裁では解散命令を地裁段階では今出しているわけですけれども、それに対して、信者の、真面目な、本当に多くの真面目な信者さんたちが圧倒的に多いんだけれども、信者さんたちは今も、自分たちの信仰が弾圧されているんだ、宗教弾圧だと。そのことをあおるかのように、韓国の統一教会、家庭連合本部なども、つい先日大きな集会をやって、とにかく宗教弾圧を、アメリカのトランプ政権などの協力を得ながら、何とかしなければいけないというようなキャンペーンを内部で行っている。その指示を受けて、日本国内でも、東京では新宿、あるいは福岡などなど、全国で真面目な信者の皆さんが、宗教弾圧を許すな、そういう集会やデモを今も繰り広げていらっしゃる。
国会の前でもそういうシュプレヒコールを上げる方々が定期的にいらっしゃったんだけれども、そうではないんだということを、この指針検討会の中で、検討事項として、財産についてだけではなくて信教の自由に対する配慮事項というものも検討されるということなんですよね。
ですから、今、真面目な信者の皆さんは内部指示によって、解散命令が確定したら信者たちというのは今ある教団の施設を使うことができないんだというようなキャンペーンをやっていて、家庭教会、それぞれの家庭に信者たちが集まって信仰を守っていこうということを方針として出しているんだけれども。
だけれども、これはちょっと立ち入ったことでお答えできるかどうか分からないんですけれども、解散命令が確定しても、全国各地にある二百か所近い施設、信者さんたちが集まっている、そこがいきなり使うことができなくなるということはないんですよね。答えにくいですかね。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
解散命令請求の、その解散の決定ということではなく、清算手続が開始された場合ということでお答え申し上げたいと思いますが、信者らが宗教上の行為を行うことができるということは、そのようにされております。ただ一方で、清算人は清算法人の財産の管理権限を有しますので、憲法で保障される信教の自由や、宗教法人法第一項、第二項で、憲法で保障された信教の自由は、全ての国政において尊重されなければならないとされていることなどの趣旨を踏まえまして、清算人が具体的な状況に応じて施設利用の可否を判断するものになると認識しております。
○有田委員 つまり、それを平べったい言葉で言えば、清算手続が始まって、債務が確定していく、そうすると、清算人はまずどこから処分をしていくかというと、空き地であるとか、所有している車であるとか、そういうものから処分をしていって、全国各地にある教団施設について、そこで信者の皆さんが籠城したり、清算手続を妨害するようなことがあれば別だけれども、最大限信教の自由を守る、そのための指針を今回の検討会で定めていく、そういう理解でよろしいんですね。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
そのような考え方もできるかと存じますが、先ほど申し上げましたように、清算人が実際の状況について判断していくということになりますので、そのような御理解を賜りたいと思います。
○有田委員 今日は、旧統一教会、世界平和統一家庭連合の解散命令とその行方について質問しているんですけれども、私は去年、この法務委員会でも質問しましたように、旧統一教会というのは、単なる霊感商法とか高額献金であるだけではなくて、様々な問題を社会問題として日本社会に出して、提示してきた団体なんですよね。
私は、一九九五年、オウム真理教の事件のときに、警察庁、警視庁の幹部に呼ばれ、何度も統一教会についても聞かれました。オウム真理教だけではなくて、統一教会についても聞かれた。そのとき、ある公安の、全国の幹部の皆さんたちに統一教会についての講義をすることもあった。霊感商法、そして高額献金、そして統一教会の歴史、そして、一九八七年五月三日、去年の法務委員会で質問しましたけれども、朝日新聞襲撃事件への疑惑などについても、警察庁、警視庁の幹部の皆さんにお話をしてきました。
そういう様々な顔を持っている統一教会なんですけれども、旧統一教会、懺悔録という本を、大江益夫統一教会元広報部長、国際勝共連合の渉外局長もなさっていた方なんですけれども、去年出されたこの本の中で、実は旧統一教会、国際勝共連合というのは、自衛隊なんかと協力をし合って、クーデター計画もあったんだということを具体的に明記されている。これは去年の法務委員会でも質問しましたけれども、信者の皆さんがライフル銃なんかの実射訓練なんかも行っていた。これはもう事実なんですよね。何人もの証人がいる。
そういう経過の中で、私は警察庁に伺いたいのは、垣見隆元警察庁刑事局長が「地下鉄サリン事件はなぜ防げなかったのか」という本を出されて、これは非常にリアルな内容なんですけれども、その中に非常に注目すべき内容があります。一九九四年、つまり地下鉄サリン事件が起こる前の年なんだけれども、警察庁の警備局の中で会議があって、そこでは統一教会とオウム真理教について注目している、そういうことを垣見さんは語っていらっしゃるんですよね。だから、そういう動きがあったんですよ。
私も、警察庁の幹部、警視庁の幹部に聞いていただけではない。例えば、青木理さんなんかも警視庁の幹部から聞いていた。あるいは、朝日新聞、読売新聞の編集委員なんかも、統一教会については非常に注目していると。つまり、私が聞いたのは、一言で言って、オウムの次は統一教会だと何度も聞いていた。その摘発のためには、経済問題から入っていくというようなことを聞いていたんですよ。
これはもう、今は一般的に多くの取材者たちが理解していることであり、今回初めて垣見隆さんが御本の中で紹介されているんだけれども、そういう認識は、当時、警察庁はあったんでしょうか。お答えできないだろうということを前提にしながら、この垣見さんの証言についてどう思われるかということを最後にお聞きしたいと思います。
○大濱政府参考人 お答えいたします。
個別具体的な捜査に関するお尋ねでございますので、お答えを差し控えたいと存じます。
○有田委員 つまり、答えはできないけれども、いろいろな問題があるということを皆さんに知っていただきたくて、今日は、質問の締めにしました。
終わります。
○西村委員長 次に、松下玲子さん。
○松下委員 立憲民主党の松下玲子です。よろしくお願いいたします。
刑務所の中がどうなっているのか、受刑者がどのように過ごしているのか、私たちが知ることはなかなか難しいです。新宿駅の地下の広場や府中刑務所の文化祭など、矯正展が開催されていることは承知をしています。再犯防止の観点からも、刑務所を含む刑事施設が地域社会と共にあることが重要と考えます。
私は、先日、映画プリズン・サークルを見て、島根あさひ社会復帰支援センターの取組の一端を知ることができました。そこは、想像していた刑務所とは異なり、明るく、対話によって受刑者の気づきが生まれる場所に見えました。
映画の中では、全国の受刑者が約四万人、更生プログラム受講者が四十人と、たった〇・一%の受刑者、千人に一人しか参加ができないと語られていました。その数の少なさには驚くばかりですが、それでも〇・一%に希望を感じ、人が罪を償うとはどういうことか、人が更生し、社会の一員として生きていくにはどうすべきかと考えるためにも、まずは刑事施設の実態と今後の課題を確認いたしたく、以下、質問してまいります。
現在の刑事施設数と受刑者数、構造改革特区を活用してスタートした刑務所、社会復帰促進センターの数と対象受刑者についてお伺いいたします。
○小山政府参考人 全国の刑事施設の施設数は、令和七年四月一日現在で、本所と支所を合わせまして百七十三庁でございます。このうち、社会復帰促進センターという名称がついております庁は、本所四庁でございます。
全国の刑事施設におけます令和五年末の受刑者の収容人員は三万三千八百八十二名でございます。このうち、社会復帰促進センター四庁の受刑者の収容人員は、合計で二千九百七十二名でございます。
○松下委員 今お答えいただいた中、四つの社会復帰促進センターの一つであります島根あさひ社会復帰促進センターについてお伺いをいたします。
TC、セラピューティックコミュニティーは、治療共同体や回復共同体と訳されることが多く、受刑者たちが互いに語り合い、人間的な成長を促す、再犯防止に向けた更生のための教育です。島根あさひ社会復帰促進センターではTCプログラムが実施されており、受刑者たちが罪の意識や責任を自覚し、社会復帰を目指す支援が行われています。
このTCの具体的な取組についてお伺いいたします。
○小山政府参考人 回復共同体、TCプログラムは、島根あさひ社会復帰促進センターの居室棟の構造を生かしまして、民間事業者が招聘いたしました外部の専門家による指導を設けるなどいたしまして、民間の創意工夫を取り入れたものでございます。
プログラムの対象者は、受講を希望する同センターの受刑者の中から、集団生活をすることが可能な者など一定の要件を満たした者を対象といたしまして、対象者を十五名から二十名の二つのグループに分けまして、三か月を一クールといたしまして、それを二クール、計六か月実施しております。また、一クール中には、一回九十分、計三十四回のグループワークを実施しております。
グループワークでは、自己の犯罪はもとより、様々なテーマにつきまして自己の経験や体験を振り返りますほか、自己の感情の変化などにつきまして受刑者が考え、語ることで、自分や周囲に対する理解や洞察を深め、集団生活への適応力の向上を図っております。
グループワーク自体は、薬物離脱や性犯罪防止指導といった特別改善指導等でも同様に行われているものでございますが、回復共同体、TCプログラムでは、その期間中、グループワーク以外の時間においても、グループが同じ居室棟の中で生活することで、日常生活における他者とのコミュニケーションを通じて、受刑者が社会の中で生きる個人としての責任を果たすための考え方や行動の仕方を互いに学び合うことが期待されているものでございます。
○松下委員 映画プリズン・サークルでは、あさひセンターの中が映っていました。刑務所の中の受刑者が、顔はモザイクで隠されてはいたんですけれども、こうして語っていることなどがドキュメンタリー映画として記録に残っているということは、これは私、すごいことだなというふうに思いました。
実際、今御答弁あったような他者とのコミュニケーションがまさに映画の中でも描かれていましたし、私は、その映画を見て、受刑者というと犯罪者という認識であったんですけれども、見終わった後には、加害者である彼らが実は被害者だった、生い立ちを語っている中で被害者の側面というのにすごく気づきを持って、そこで他者への痛みを感じたり自分の加害を認識したりする回復の過程というのを、映画の限られた時間ですが、見ることができました。
こうした独自のプログラムを実施しているこの施設と、再入所率、一般の施設と違うのかどうかというのを教えていただきたいと思います。再入所率について、全国と島根あさひの最新の数値を教えてください。
○小山政府参考人 最新の数値となります令和四年の出所受刑者の二年以内再入所率につきましては、全国の刑事施設では一三・〇%でございます。島根あさひ社会復帰促進センターでは三・七%でございます。
若干付言をさせていただきますと、刑事施設によりまして収容されている受刑者の犯罪傾向、刑期、年齢、問題性等の属性が異なります上、特に島根あさひ社会復帰促進センターに収容されます者は、犯罪傾向の進んでいない者という基準に加えまして、集団生活に順応できるや、心身に著しい障害がないと判定された者であるなど、他の刑事施設に収容される受刑者とは異なる特徴がございますことから、統計的な手法により直接比較するといったことは難しいと考えております。
○松下委員 もちろん、おっしゃることは承知いたしました。一概に、再入所率の違い、ただ、一〇%近い開きがあるんですけれども、それをもってこのTCの取組というのがどう効果を上げているかどうか、その部分だけでは見れない、元々の集団生活になじむ人を対象にしてプログラムを実施しているということもありましたので、そこはそうしたことも承知して考えたいと思いますが、でも、それでもやはり一〇%も違うというのは、これは非常に参考にすべき値ではないかなと私自身は思います。
島根あさひのTCの取組は他には類を見ない独自の取組のようですが、先ほども、民間が招聘し、外部講師を招いているということでありました。ただ、こうした取組、対話を取り入れた処遇は他の施設でも行われているのかどうか、お伺いいたします。
○小山政府参考人 今委員も御指摘のとおり、島根あさひ社会復帰促進センターにおける回復共同体の取組は、外部の専門家に関与していただく民間の創意工夫を取り入れた取組でございます。
他方、全国の刑事施設におきましても、対話を取り入れた処遇といたしまして、令和五年十月から一般改善指導、対話という新たな処遇類型を設けまして、その内容の一つでございます対話実践というものを行っております。この指導では、自身のことを語ることを通じて、自身の状況を改めて認識させるとともに、課題を克服するための援助が得られることを実感させ、更生への動機づけを高めることなどを目的といたしまして、職員等と受刑者が集中的かつ体系的に対話を行うものでございます。
○松下委員 従来の刑罰である懲役と禁錮を廃止し、新たな刑として拘禁刑が創設され、間もなく今年の六月から施行されます。この対話を取り入れた処遇を推進していくべきと私は思うのですが、この拘禁刑施行後においても対話を取り入れた処遇をしっかりと推進をしていくのか、お伺いをいたします。
また、あわせて、推進する上での職員の実施体制、職員研修等をどうするのかも教えてください。
○小山政府参考人 先ほどの御答弁で、指導類型と申し上げますべきところを処遇類型と申し上げてしまったようでございます。訂正をさせていただきたいと思います。
今の御質問にお答えいたします。
御指摘の拘禁刑下におきましても、個々の受刑者の特性等に応じた矯正処遇を実施することとしております。そのためには、受刑者自身が矯正処遇の必要性を理解し、自主的、意欲的に取り組めるよう動機づけを強化することが重要でありますことから、その有効な方法の一つとして考えられます対話を取り入れた処遇を推進していくこととしております。
令和六年度には、有識者を交えまして、矯正施設におけるオープンダイアローグの手法や考え方を取り入れた対話実践に関する検討会を複数開催いたしまして、効果的な対話実践の推進方法や実施方法などについて助言をいただいたところでございます。
これを踏まえまして、実情に応じて刑事施設内に対話実践プロジェクトチームを設置するほか、矯正管区ごとに体系的な集合研修を行うなどいたしまして、実施体制を整えることを予定しております。
○松下委員 実施をされていくということを教えていただきました。
やはり、この二〇二五年というのは、刑務所の役割というのが大きく変わる年になるのではないかなと思います。懲役と禁錮が拘禁刑に一本化され、受刑者の特性に応じたきめ細かい教育を目指すことになると思います。受刑者の人権がしっかりと守られて、教育を通じた、そして他者とのコミュニケーションを通じた更生が図られるように、是非、引き続き御尽力をいただきたいと思います。
次に、法制審議会についてお伺いをいたします。
過去の法制審議会の答申において、法改正の要綱が示されたものの、現在まで法案提出に至っていないものは幾つございますか。また、その内容も教えてください。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
調査、把握した限りで申し上げますと、これまで法制審議会において法改正について要綱が示されたもののうち、現在まで国会に法案が提出されていないものとしては、昭和四十年二月十九日付で答申のあった司法試験法の一部を改正する法律案要綱、昭和四十九年五月二十九日付で答申のあった改正刑法草案、昭和五十二年六月二十九日付で答申のあった少年法の一部改正に関する要綱、平成八年二月二十六日付で答申のあった民法の一部を改正する法律案要綱のうち夫婦別氏制度に関する部分など、そして最後に、令和六年九月九日付で答申のあった商法(船荷証券等関係)等の改正に関する要綱があるものと承知をしております。
○松下委員 今、五つ法案提出に至っていないものが、答申は出たけれども、ある。調べる限り、調査した限りとのことですが。答申というのは、いろいろ私も調べてみたところ、法案だけではなくて、法案提出に至らないような答申もあるということのようですので、今お調べいただいた中では五つあり、過去七十五年間で法制審の答申、総数自体は百二十九諮問数があるようですから、その中で限られた五つなのかなというふうに思います。
また、その中でも、平成八年、一九九六年の法制審、民法の一部改正、これは選択的夫婦別姓制度の部分ということでしたが、この制度の提言の調査を開始した経緯と、その答申がなぜ、これは他にも提言が、民法の一部改正は選択的夫婦別姓制度以外にも幾つも提言があったと思うのですが、なぜ他の提言同様に法案提出に至らなかったのか、教えてください。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
まず、経緯でございますが、夫婦同氏制度の見直しを含む婚姻及び離婚法制の見直しについては、昭和二十九年七月に法務大臣から法制審議会に対して行われた民法改正の包括的な諮問に基づきまして、その一環として、平成三年一月から、民法部会身分法小委員会ですが、ここにおいて調査審議が開始されたものと承知をしております。
これは、政府において、国連において採択をされましたいわゆる女子差別撤廃条約を批准したことや、当時、総理府の婦人問題企画推進本部に設置をされました婦人問題企画推進有識者会議において、男女平等の見地から婚姻及び離婚法制の見直しについて提言がされることが見込まれていたこと等を踏まえたものであったと承知をしております。
その後、法案提出に至らなかった理由でございますが、平成八年二月に選択的夫婦別氏制度を導入すること等を内容といたします民法の一部を改正する法律案要綱が答申をされましたが、この後、法務省は、平成八年及び平成二十二年に、法制審議会の答申を踏まえた改正法案の提出に向けた準備をしたところでございます。
しかしながら、選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、国民の間に様々な意見があったほか、当時の政権内においても様々な意見があったこと等から、改正法案の提出にまでは至らなかったものと承知をしております。
○松下委員 当時、答申が出たのは今から二十九年前になります。男女平等の観点から、他の婚姻に関する民法の部分は、その後改正が行われております。そして、様々、今、法案提出に至らなかった理由をお答えいただきましたが、政府内でいろいろな意見があった。
これは、私自身、この法制審の答申が出る前の段階の当時の資料にも少し目を通しました。答申以前にも議論があったのがその報告書からも分かりました。それでも、答申に至るまでの間では、結婚して同氏にしなければならないという、別氏を選ぶことができないということを、これはやはり解消しようということで答申が出されているわけです。
その後は、二十九年の間、政府としては二回法案提出しようと思ったけれども、できなかった。そして、議員立法でも、これは何度も提案はありましたが、実際には審議未了等で廃案になっているのを拝見をしています。
いろいろな意見があるといっても、そもそも、選択的で、選べる制度ですので、夫婦同氏、同姓にするもよし、別姓もよし、通称使用もよしという、これは実際には、この法改正によって、それぞれが人権が守られて、その人らしく生きていける、名前が異なっても家族として法律的にも守られて過ごすことができる、そういう制度でございますので、これは政治の役割として私たちは制度を確立をしなければならないということを、法制審の答申にのっとって制度を確立しなければならないということを改めて強く思いました。
続きまして、同じく法制審議会で、刑事法(再審関係)部会第一回の会議が、今週、一昨日開催されました。法制審において、刑事訴訟法の一部改正、いわゆる再審法の閣法提出準備を行っているということでよいのか、お伺いをいたします。
○森本政府参考人 お答えいたします。
法務省におきましては、再審手続に関する規律の在り方について、本年三月二十八日、法制審議会に諮問したところでございます。法制審議会において、再審制度に関する法整備について幅広い観点から検討をしていただき、改正を要する項目についてはその要綱をお示しいただきたいというふうに考えております。
法務省といたしましては、法制審議会において充実した調査審議が円滑に行っていただけるように尽力してまいりたいと考えております。
○松下委員 私は、昨年十二月のこの委員会質問でも、再審法を改正すべきだという質問をさせていただいております。
立法事実が明らかで、まさに冤罪で苦しんでいる方がいる、その事実に目を向けたら、これは法制審というのはどれくらい時間がかかるんだろう、一年半、二年とか、また先、この先もかかるのかなということで、不安を覚えもいたします。早急に再審法を改正するためにも、超党派の議連も準備をしている議員立法が提案された場合の法制審の位置づけや役割はどうなるのかということを教えてください。
○森本政府参考人 まず、議員立法に関わる事柄について当局として所見を述べることは差し控えたいと思います。
まだ出ておりませんので、仮定の御質問にお答えすることは困難ではございますけれども、法務省といたしましては、再審制度の改正は、基本法である刑事訴訟法の改正に関わるものであり、刑事司法の制度及び実務に非常に大きな影響を及ぼし得るものでありますことから、刑事法に関する基本的な事項をつかさどる法制審議会に対して十分な御審議というものをお願いしたということでございまして、法務省といたしましては、十分に御審議いただいた上で、大臣も何度も申し上げておりますが、できる限り早期に答申をいただきたいというふうに考えているところでございます。
○松下委員 分かりました。
続き、いわゆる証人テストについてお伺いいたします。
証人テストの法的根拠とその運用実態についてお伺いいたします。また、不適切な証人テストが行われないように何か取り組んでいることがあるか、教えてください。
○森本政府参考人 お答えいたします。
いわゆる証人テストは、刑事訴訟規則百九十一条の三の、証人の尋問を請求した検察官又は弁護人は、証人その他の関係者に事実を確かめる等の方法によって、適切な尋問をすることができるよう準備しなければならないとの規定に基づいて行われております。
一般論として申し上げますと、検察当局におきましては、証人尋問を円滑に行うため、証人が体験した事実、記憶状況、表現能力等について十分確認などをして、証人テストを適切に実施しているものと承知しております。
不適正な証人尋問が行われないようにという御質問がございましたけれども、仮に不適正、不当な証人テストが実施されることにより証言の信用性に問題があると疑われる場合には、証人尋問においてその経緯等が吟味され得るものと承知しておりますけれども、日々の業務におきましては、上司の指導を通じ、適切なテストの実施に努めているほか、無罪判決等があった場合には、控訴の要否等を検討する過程で問題点について検討したり、勉強会を開催しましたり、あるいは会合において事例を報告するなどして問題を共有する。さらに、捜査、公判上の不適正な行為については、調査の上、指導監督を行うなどして、適正な検察権の行使に向けた改善や再発防止を図っているものと承知しております。
○松下委員 証人尋問で証人テスト自体が正しく運用されていたかということは、証人テストそのものの録音や録画がなければできないと私は思います。検証可能なように証人テストを録音、録画すべきと考えますが、いかがですか。
○西村委員長 森本刑事局長、時間が来ていますので、答弁は簡潔でお願いいたします。
○森本政府参考人 証人テストは、今述べましたとおり、取調べとは異なりまして、本来、その際における供述内容それ自体を証拠として収集することを目的とした手続ではございません。
先ほど申しましたとおり、不当な証人テスト等が実施されることにより証言の信用性に問題があると疑われる場合には、証人尋問においてその経緯等が吟味され得るものでございまして、証人テストを録音、録画することについては、その必要も含めまして、極めて慎重な検討が必要であるものと考えております。
○西村委員長 松下さん、時間ですので、終わってください。
○松下委員 はい、済みません。
慎重に検討して、録音、録画を証人テストでもしていただきたいと思います。
以上です。
○西村委員長 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前九時四十一分休憩
――――◇―――――
午後零時四十分開議
○西村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。鎌田さゆりさん。
○鎌田委員 立憲の鎌田さゆりでございます。
お聞き苦しい声でございますけれども、何とかお許しをいただきたいと思います。
通告に従いまして、区分所有法、引き続き質疑をさせていただきたいと思います。
今日は資料を四枚配付をさせていただいております。
一枚目が、これは国土交通省のホームページから引用したもので、数字が余りにもちっこいので、私の方で、七百四・三万戸というのを赤く、見やすいようにさせていただいたんですけれども、まず大臣に伺いたいと思います。
大臣、法務大臣と国土交通大臣と共同提出で、この区分所有法、マンションの共用部分に係る損害賠償請求権の行使の円滑化のための法改正の提出者でもいらっしゃいます。大臣は、今回のこの区分所有法の改正で、日本の、今現在、マンションストック数およそ七百四万戸、そして、およそ一千五百万人住民がいる、その方々にとって、この区分所有法の改正は、日々の暮らしの安全を守って、担保する法律になるというふうにお考えでいらっしゃいますか。それとも、ちょっと今立ち止まって考えた方がいいんでないかなと思っているところなど、ございませんでしょうか。
○鈴木国務大臣 今先生御指摘のように、約七百四・三万戸ということで、また、このマンションのストック総数も非常に多い状況であります。
そういった中での今回の法改正ということでありますけれども、区分所有法におきましては、民法の共有の規定ですと、共有者全員、この同意が必要と考えられています共有部分の変更や建物の建て替えでありますけれども、そういったところが一定の多数決で決定をすることができることとするような、そういった趣旨の改正であります。そういったことで、区分所有建物の管理あるいは再生、この円滑化に資すると私どもとしては考えているところでもあります。
例えば、区分所有者の利害状況に配慮をしながら、管理者が基本的に現区分所有者及び旧区分所有者を代理をすることができるとするなどの内容となっていますので、共有部分等について生じた損害賠償請求権の行使の円滑化についても図られているものであります。
そういったことで、私どもといたしましては、区分所有建物、この管理を円滑化をするということで区分所有法の趣旨に合致をするものでありますし、そういった意味において、そうした利便性、これを上げるものというふうに我々としては考えて、提出をしてございます。
○鎌田委員 大臣、実はそうなっていないから、私はしつこくこの法改正に疑義を申し立てているわけであります。
じゃ、民事局長に伺っていきます。
二十六条、この法改正、これは、共有部分の修補に代わる損害賠償請求権が各区分所有者に分属して、今も大臣おっしゃいましたけれども、各区分所有者が個別に行使することができるという考え方を前提としていますよね。前提としていると思うんです。
ただ、果たして、そのような考え方でいきますと、共用部分の本質、修補に代わる損害賠償請求権の本質に整合するのか。あるいは、これは特別法ですから、民法の、区分所有法は。この区分所有法の十五条一項の共用部分の随伴性、十五条二項の分離処分の禁止、さらに、十二条から導かれる分割請求の禁止と整合するのか。その根本的な疑問をこれは積み残しちゃったままの法改正に私はなっていると思います。
そこで、伺いますが、二十六条の改正で別段の意思表示としてというふうに記載されていますが、これは具体的にどのようなことを想定されていますか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
今般閣議決定をされましたマンション法の改正法案におきましては、区分所有者等の有する共用部分等について生じた損害賠償金等の請求権の行使の円滑化を図るという観点から、管理者は、当該請求権を有する区分所有者又は旧区分所有者を代理し、訴訟追行することができるものとしつつ、旧区分所有者が管理者に対して別段の意思表示をした場合には、管理者は、旧区分所有者の請求権について代理、訴訟追行することはできないこととしております。
これは、旧区分所有者は、集会等を通じて管理者を監督することが困難な立場にあることから、管理者による代理行使、訴訟追行を望まない旧区分所有者については、管理者による代理、訴訟追行をされないことを可能とする必要があることを踏まえたものでございます。
この別段の意思表示でございますが、管理者に対して、管理者による代理、訴訟追行を望まない旨を表示する必要がありまして、一般論として申し上げれば、例えば、旧区分所有者が管理者に対して、管理者による代理、訴訟追行を望まない旨の書面を送付した場合には、別段の意思表示がされたものと考えられます。
○鎌田委員 ありがとうございました。
その今おっしゃった二十六条改正なんですけれども、前にもこの法務委員会で質問しました平成二十八年の東京地裁判決、ここで出された判決の不都合を回避すべく設けたのだと思いますけれども、それでよろしいですよね。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
御指摘の平成二十八年東京地裁の判決では、共用部分等について生じた損害賠償請求権の発生後に一部でも区分所有権が譲渡されると、その譲渡をした区分所有者のみならず、他の区分所有者を含め、管理者において訴訟追行することが一切認められない旨、判断をされました。
このような判断に対しては、管理者による代理行使、訴訟追行を認めた趣旨が没却されているとの指摘がされております。
そこで、今般閣議決定されましたマンション法の改正法案におきましては、区分所有者等の有する共用部分等について生じた損害賠償金等の請求権の行使の円滑化を図るという観点から、管理者は、当該請求権を有する現区分所有者を代理等することができ、また、当該請求権を有する旧区分所有者も基本的に代理等することができるものとして、区分所有権の譲渡がされた場合でも、当該請求権について管理者による代理行使、訴訟追行が可能であることを明確にしております。
○鎌田委員 次の質問に行く前にちょっと聞きたいんですけれども、この改正案は、共用部分の瑕疵に関する損害賠償請求権についての、各区分所有者に分属して帰属していて、専有部分を売却した旧区分所有者、一番最初の原始区分所有者、この方も損害賠償請求権を保有し続けて、そして各人が個別行使できるということ、これが前提になっていますよね。伺います。
○竹内政府参考人 共用部分について、共用部分の瑕疵により生じた損害賠償請求権でございますが、分譲業者と元の区分所有者との売買契約に基づく請求権ということになりますので、各買主であります区分所有者が元々請求権者であり、区分所有権を譲渡したとしても、その方が請求権者であるという認識でおります。
○鎌田委員 そこのところが、局長、これは特別法であって、先ほど冒頭に申し上げたように、旧区分所有者の損害賠償請求権をそうやって保有することを認め続けると、今そこに住んでいる人の損害賠償請求権を守ることができないですよ。
だから、前の法務委員会でも訴えたとおり、私は、マンションが転売されたときに損害賠償請求権も当然に移るべきだと。そうじゃないと、原始区分所有者、十年前か二十年前か分からないですよ、最初の区分所有者、買った人、その人に損害賠償請求権を残したままにしておくと、あっ、瑕疵が見つかった、これはみんなの共用部分だ、タイルが剥がれてくる、危ない、近隣住民のお子さんにとっても危ない、直しましょう、じゃ、みんなで損害賠償、業者が直してくれないから裁判を起こそうとなったときに、旧区分所有者にその権利を与えておくと、捜さなくちゃいけないんですよね、前の法務委員会でもおっしゃいました。海外に行ったらどうするんですか、亡くなってしまっていたらどうするんですか、見つからなかったらどうするんですか。いつまでも裁判を起こせないで、今そこに住んでいる人の安全を担保することができないんじゃないかというのが、私は引き続き訴えていきたいと思っております。
旧区分所有者、これは原始ですね、原始区分所有者が、損害賠償請求金のうち、損害賠償の訴えを起こして勝ちました、修補の費用五千万をかち取ることができました、原始区分所有者、今そこに住んでいないんですよ。これは、局長はもう御存じだと思うけれども、法務委員の皆様も御存じだと思うんですけれども、今そこに住んでいないんですよ。一番最初に買った人よ。その人が、損害賠償請求権で、はい、補修費用五千万をかち取ることができました、その後に、一番最初の区分所有者が、何だ、私に二百万、自分の持分があるよね、二百万私に下さいと言ったら、この二百万は、修繕のために使えるんじゃなくて、その原始区分所有者に渡さなきゃいけないですよね、局長。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
管理者は、今般閣議決定をされましたマンション法による改正後の区分所有法第二十六条第二項に基づきまして、契約不適合責任に基づく損害賠償金を現区分所有者又は旧区分所有者を代理して受領するということになります。そのため、管理者は、本人である旧区分所有者から返還を求められた場合には、これを引き渡さなければならないというのが原則であります。
もっとも、共用部分の管理に関する事項として、共用部分について生じた損害賠償金について、各区分所有者又は旧区分所有者が個別に受領することを禁じ、その使途を建物の瑕疵の修補のために用いるものとする旨を集会の決議で決し、又は規約で定めておくことが可能であると考えられます。あらかじめこのような集会の決議又は規約の定めをしていくことで、損害賠償金を旧区分所有者に渡さずに建物の修補費用に充てることが可能となると考えております。
○鎌田委員 今規約の話を局長は触れられたんですけれども、ちょっと規約はまた後ほどということで。
損害賠償請求の訴えを起こそうと思ったときに、原始区分所有者の居場所を捜さなきゃいけないですよね。こういう裁判を起こすことになりますからと通知をしなければなりませんよね。今、外国人の方が、投資目的でマンションを購入するという人が非常に多いんですけれども、その外国人の方に通知をするために一生懸命捜さなくちゃいけなくなりますよね。そこの手間とか費用というのは考慮されないんですかね。いかがでしょう。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、旧区分所有者を代理するという場合のことを御指摘なさっていて、その旧区分所有者の所在がどこか分からないというような場合かと思いますが、基本的には、旧区分所有者については、登記の記録を見ることで旧区分所有者が誰かということが判明するということになると思いますし、もし旧区分所有者の方が本当に所在が不明だという場合には、公示による方法で通知をするということが考えられるところでございます。
○鎌田委員 外国人の場合は、最初、購入したときは住所を届けることが必要になっているんですけれども、もし誰かに転売した場合、住所変更があった場合には、外国人だと住所を調べられないんですよ、現実は。多くの国には住民票の制度はありませんから、調べられないんですよ、原始区分所有者を。
それから、今、通知が届かない場合は公示という方法があるというふうに局長は答弁されましたけれども、連絡が取れない以上は、債権の譲渡を受けることはできませんでしょう、公示したって。連絡が取れない以上、原始区分所有者から債権譲渡を受けることができなくて、賠償金の返還請求権の放棄を求めることもできないんじゃないですか、連絡がつかなければ。どうですか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
先ほど、公示の方法によると申し上げましたのは、管理者が旧区分所有者を代理して訴訟追行しようというときに、管理者が旧区分所有者に通知する方法として、公示をするということが方法として考えられるというふうに申し上げたものでございまして、債権譲渡の手段として公示というものではないと考えております。
○鎌田委員 私が聞いたのは、とにかく、この法改正が、原始区分所有者ときちんと連絡を取って、その人が別段の意思があるのかないのか確認しなくちゃいけないわけだから、特にあるんだったら、その人の意思確認をしなくちゃいけないわけでしょう、今回の法改正で。それで、連絡が取れずに公示をするということもあるということですから。
今、債権譲渡を受けるというためではないとおっしゃったんだけれども、債権譲渡を受けないと、結局、賠償金の返還請求権の放棄を求めることもできないじゃないですか、元々持っている人の。その放棄をちゃんと、はい、私は放棄しますからどうぞ、今住んでいる人でやってくださいと、それを得なければ損害賠償を起こせないじゃないですか。
結局、公示した分の賠償金、これは、返還請求権が時効で消滅するまで何年間か塩漬けになりませんか。伺います。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
管理者が得た賠償金がそのまま塩漬けになってしまうのではないかというお尋ねでよろしいでしょうか。
先ほど申し上げましたような管理規約によって、賠償金の使途を制限したり、あるいは別段の意思表示を制限したりすることで、管理者が得た賠償金を旧区分所有者に渡さなくて済むようになるというふうに考えております。
ですから、その場合には、その後に、いつその賠償金を使って修繕するかという問題になりますので、必ずしも、得たものがそのまま塩漬けになっているというわけではないように考えております。
○鎌田委員 結局、返還請求権が時効で消滅するまで五年間かかるんですから、この通知が届かなくて、公示しても連絡が取れなくて、債権譲渡を受けることができなくて、賠償金の返還請求権の放棄を求めること、これもできないとすると、返還請求権が時効で消滅するまで五年間塩漬けのままになるんですよ、現場は、実態は。
だから、霞が関で、国交省の皆さんと法務省の皆さんがこの法改正案を作ったけれども、実際に地方の現場でマンションの瑕疵が見つかったときに、これはみんなで裁判を起こして、ちゃんと修繕費用をみんなでかち取るために闘いましょうというときに、この法改正は、東京地裁の平成二十八年の不都合をなくそうと思って法改正されたんでしょうけれども、実際、現場でこういう問題にぶち当たっている人たちにとっては、全く、申し訳ないんだけれども、これは机上の空論だと言わざるを得ないんですよ。現場ではそうはいっていない。
さっきからずっと、局長は管理規約という言葉をおっしゃっています。今日は資料として、二枚目から四枚目まで、続けて三枚お配りをさせていただいておりますけれども、このポンチ絵は法務省さんと国交省さんとでお作りになったものですけれども、このポンチ絵、法制審で審議されていませんよね。伺います。標準管理規約、この改定をすれば大丈夫だというふうに書いてあるこのポンチ絵三枚、法制審で審議されていませんよね。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の資料の、三枚組のポンチ絵になっておりますが、その三枚目に、標準管理規約の改定というふうに書いてある部分がございまして、ここが御指摘の部分かと思います。
今般の閣議決定をされましたマンション法の改正法案におきましては、管理者は、現区分所有者である者のみならず、区分所有者であった者を含む損害賠償請求権を有する者を代理し、規約又は集会の決議によって、当該請求権を有する者のために、原告又は被告となって訴訟追行をすることができるとする一方で、旧区分所有者が別段の意思表示をした場合には、旧区分所有者を代理して訴訟追行することができないこととしております。
法制審議会の区分所有法制部会におきましては、旧区分所有者による別段の意思表示を標準管理規約の定めにより制限することについて議論をされておりまして、こうした議論の内容等も踏まえ、国土交通省とも連携して、マンション標準管理規約での対応について検討を進めてきたところであります。
○鎌田委員 いやいや、最初、このポンチ絵三枚は、法案が出てきてから随分たってから出てきたんですよ。
なぜならば、今そこに住んでいる人を守れない。でも、法務省さんと国交省さんから出てきたこのポンチ絵では、三枚目、一番最後の資料になりますけれども、標準管理規約を改定しますので大丈夫ですと。これを、標準管理規約を改定すれば、それぞれのマンションの管理規約も改正されますから、だから住民の皆さんの安全は担保されますという説明を私も自分の部屋で受けましたよ。受けたけれども、これは遡及されないでしょう。
今住んでいる人じゃなくて、これからマンションを買う人、これからマンション、分譲を買って住む人のための標準管理規約であって、遡及されないですよね。そうしたら、冒頭に訴えた七百万戸以上の既存のマンション、住人の方々、ここから置き去りにされるじゃないですか。
遡及になりますか、どうですか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
標準管理規約の改定に伴いまして、各区分所有建物において規約を変更した場合に、その規約変更がされた時点で区分所有者であった者は、当該規約で定められた義務を負うことになります。
他方、各区分所有建物において、規約が変更される前に区分所有権を他に譲渡するなどして区分所有者ではなくなった者は、当該規約で定められた義務を負うことにはなりません。
○鎌田委員 私が聞いているのは、これは遡及されるかどうかと聞いているんです。
○竹内政府参考人 失礼しました。
お答えします。
規約が変更される前に区分所有権を他に譲渡するなどして区分所有者ではなくなった者につきましては、当該規約で定められた義務を負うことにはなりませんので、その意味では遡及はしません。
○鎌田委員 遡及しませんよね。
だから、今現在そこで、もう築四十年の、築三十年のマンションにお住まいの住民の方々にとっては遡及されませんから、この標準管理規約を改定しても。でも、法務省も国交省も、説明にいらっしゃったときは、管理規約を改正すれば大丈夫だからという説明をされたけれども、管理規約を改正するのに区分所有者の四分の三の賛同が必要だ、それは局長、御存じですよね。四分の三の賛同を得るというのはどれだけ大変か分かりますか。
結局、これは遡及されないので、今住んでいる、そこに住んでいる古いマンションの方々にとっての共用部分の瑕疵、これを一〇〇%修繕することは、この法改正では不可能なんです。だから、その不可能をなくすために、今回の区分所有法の改正案、我々、修正を求めていきますので、でも、主管は国交委員会になると思いますけれども、是非そこのところは局長もまた頭を柔らかくしてお考えをいただきたいと思います。
私の質疑時間はもうあと三十秒ぐらいで終わりますので、今日はこのくらいにさせていただきますが、この区分所有法の改正、大臣、答弁は要りませんが、これからマンションに買って住む人には、標準管理規約を改定すると、何とか、共用部分が何か壊れちゃったというときの修繕費用にお金を使えるけれども、今までずっと住んでいる人にはこのお金が回っていかないんですよ。そうすると、五年間塩漬けになったり、あと、元々の原始区分所有者を地球の裏側まで捜しに行かなくちゃいけない、そんなことも発生するんですよ。ですので、是非ここは、共同提出者である法務大臣、国交大臣とともに、柔軟な御思考を賜りたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○西村委員長 次に、萩原佳さん。
○萩原委員 日本維新の会の萩原佳です。
本日は、子供への性犯罪、これをちょっとテーマにるる聞いていきたいと思います。
子供への性犯罪については、後を絶たないような状況です。
昨年末に東京都練馬区立の中学校の元校長が教え子の女子中学生に性暴力をした事件では、卒業後に東京都の窓口に相談したことで発覚いたしました。元校長は懲役九年の判決となっています。
文部科学省の人事行政状況調査によると、令和五年度に児童生徒や同僚らへの性暴力、セクハラで処分された公立学校の教員は令和四年度に比べて七十九人増の三百二十人になり、過去最多となっています。三百二十人のうち、児童生徒ら、子供への性暴力による処分は三十八人増の百五十七人で、懲戒免職が百五十五人、停職が二名でした。
懲戒免職という厳しい処分がされていることは評価できますが、学校での子供への性犯罪は増加傾向にあります。まずは、文部科学省としてどのように捉えられているのか、どのように対策を徹底していくのか、お伺いいたします。
○今村政府参考人 お答えいたします。
委員から御紹介いただきました数値のとおり懲戒処分等の状況になってございまして、教育職員等による児童生徒性暴力等が依然として根絶に至っていないことは重く受け止めております。児童生徒等を守り育てる立場にある教師が、児童生徒等に対して性犯罪、性暴力等を行うことは絶対にあってはならないことです。
文部科学省としましては、令和三年度に成立したいわゆる教員性暴力等防止法及び同法に基づく指針を踏まえた取組について、これまでも様々な機会を捉えて各教育委員会等に対して徹底を求めるとともに、未然防止のための対応事例などの具体的な事例を盛り込んだ実践事例集や教職員向けの研修用動画を作成、公表し、周知を図っております。
文部科学省としては、引き続き、児童生徒等を教育職員等による性犯罪、性暴力等の犠牲者とさせないという断固たる決意で、これらの取組を徹底してまいります。
○萩原委員 今対策をお話しいただきましたけれども、表現方法は非常に悪いとは思うんですけれども、たった一人の変態が何人も何十人もの子供を傷つけている、このことは真摯に受け止めるべきだと思いますし、そして、現在出ている、処罰されている方というのはあくまで氷山の一角でしかないと考えておりますので、その点についても本当に自覚すべきだと思っています。
また、被害に遭っている子供自身が、その学校の先生から言われて卑わいな言葉を言わされたりとか、そういうのを含めて、自身が被害に遭っていることすら分からないということもあると思いますので、そういう声をより拾う体制、子供へのアンケートを行うとか、アンケートは行っているのかもしれませんけれども、そういう姿勢を是非徹底していただいて、子供たちの声なき声を拾えるよう対応を取っていただきたいなと考えておりますので、この数が、定量的なところでしか判断は難しいと思いますけれども、減るような取組をしていただきたいなと考えております。
そして、次の質問です。
教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が、令和五年四月にデータベースの規定を含めて施行されています。過去四十年間に性暴力などで有罪判決や懲戒処分を受けて免許の失効や取上げとなった人の氏名や生年月日、免許状の番号、失効の年月日やその理由などをデータベースに登録しています。データベースにより性暴力で懲戒処分を受けた人が再び学校で教えることがなくなって、再犯を防止することが期待されております。
既にこのデータベースの活用が始まって二年程度経過しておりますけれども、現在の運用状況と実績もお聞かせください。
○堀野政府参考人 お答え申し上げます。
文部科学省では、委員御指摘のとおり、児童生徒性暴力等を行ったことにより免許状が失効又は取上げ処分となった特定免許状失効者等に関するデータベースを整備しており、教育職員等を任命、雇用しようとする際には、このデータベースを活用することは義務になっております。令和五年四月一日から運用を開始しており、令和七年四月一日時点で計二千六百九十八件の特定免許状失効者等のデータが記録されております。
一方で、私立の学校法人等において、データベースへのユーザー登録や適切な活用ができていない事例が確認されたことを踏まえまして、データベースの適切な活用について、先月末に改めて周知を行ったところでございます。
引き続き、文書による周知に加えまして、様々な会議等においても、データベースへの確実な情報の登録や適切な活用について、重ねて周知してまいります。
○萩原委員 ありがとうございます。
今お答えいただいた中で、不適切な事例、適用事例ですか、というのは何が要因でその不適切な事例が行われたのか、ちょっと教えてください。
○堀野政府参考人 お答え申し上げます。
実際、現場の方にアンケートを取ったところ、一部の私立学校法人等において、採用数は恐らく少ないというところは、毎年そう大量に採用するわけではないので、そういった場合に、採用候補者が全て女性であったとかあるいは新卒だったというために活用は不要と考えてしまった、こういったような声がございまして、ただし、これはやはりそういうことであってもきちんとデータベースを確認する必要がありますので、この点、しっかり誤解のないよう周知をしてまいりたいと考えております。
○萩原委員 そうですね、確認しないということはこのデータベースの意味というのが分かり切っていないということだと思いますので、是非、そのような不適切な事例がないように、また、適宜運用していって、まず入口のところからこういう教員を採用しないような取組というのを続けていただければと思います。
いろいろ、るる聞いていきますけれども、次に、日本版DBS法についてお伺いします。
昨年六月に成立した日本版DBS法によって、学校、幼稚園、保育園、児童館などは性犯罪歴の照会が義務化されました。塾、学童保育、スポーツクラブなどの民間事業者は、日本版DBS法により、認定制となっています。民間事業者は、義務の対象者と同等の措置を実施する体制が確保されている場合、認定を取得することができるようになっています。日本版DBS法は令和八年度までが期限となっており、現在、施行に向けて準備中だと思います。
以前の国会質疑では、個人が一人で行っている事業、個人事業主について、施行までに対応をどうしていくのかという検討を進めていくことでしたけれども、その検討状況をお伺いしたいと思います。認定制に参加する団体を増やしていくために、児童生徒に接するニーズが少ない民間事業者でも対象にすべきと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。お願いします。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
子供性暴力防止法におきます個人事業主の取扱いの検討状況について御質問いただいたと思います。
個人が一人で行っている事業につきましては、児童対象性暴力等を防止するために法律で定められた措置、例えば、従業員の研修あるいは相談窓口の設置といったことがございますが、こうしたものを講じることが通常困難と考えられることや、個人の事業主がその犯罪歴を取得することができてしまうと第三者から悪用されるおそれがあり、これは、個人情報保護法において、刑の執行等に係る個人情報は開示請求の対象から適用除外となっておりますけれども、これと同趣旨でございます。
こういったことから、純粋に個人のみで行っている事業者につきましては、法案の検討段階における有識者の検討会での議論も踏まえまして、本法の認定対象事業に含めることは困難という整理がされているところでございます。
他方、個人が一人で行っている事業について、一切、一律に対象としないということではなくて、どのような組織体であれば主体的に防止措置を取ることが可能かといった運用上の工夫も含めまして、具体の事例を踏まえながら検討を進めてまいります。
先日の有識者の検討会では、例えば、マッチングサイトの運営者がベビーシッターとの間で委託契約を結び、児童福祉法上の認可外保育施設として届出を行った場合、こういう場合には認定対象とする対応が、これはまだ議論中でございますけれども、そういった議論も行っているところでございます。
○萩原委員 個人情報保護法との関連という話もございましたが、例えば塾であれば、進路相談とかを含めて、夜に生徒と塾の講師が一対一になる機会というのはありますし、すごく込み入った話というのをすると思います。そういう状況になると、やはり子供の危険性というのは高まるんじゃないのかなと思っております。
そして、どうやって対応させていくのかというところに関しても、私自身、商売柄、数多くの事業者とか、会社の、小さな企業、小さな個人事業主で塾をしているようなところ、講師を何人か雇ってというところも見ておりますけれども、そういう意味でも、どう管理していくのかというのは非常に難しい問題があるというのは理解できます。
ただ、子供への性犯罪、これは本当に心に深い傷を負わせて、魂の殺人とも言われておりますので、そういうことを越えてやはり子供を守っていくというのは大事だと考えておりますし、厳しく規制はしていくべきだと考えておりますので、是非、検討段階ということではありますけれども、より厳しい形で、そのような危険がある子供たちに、性暴力を受けないような体制というのをつくっていただければと考えておりますので、よろしくお願いします。
続いて、質問をさせていただきます。
大阪では、性暴力被害者のワンストップ支援サービスとして、SACHICOという組織がありまして、二十四時間無休で運営して、年間四千件近い相談に応じておりましたけれども、人手や資金の確保が困難になってきました。
そこで、大阪府は、今年二月に補助事業から委託事業への見直しを行って支援強化を行い、今年度中に大阪府の施設に移転し、病院の連携を図ることで特定の病院に過度な負担がかからないようにしようとしています。
こうしたワンストップ支援センターは、全国では五十二か所あります。相談件数は七万件近くにも達しております。この点に関しては、国は昨年度に六億円を予算計上していますが、非常に資金難の状態にあると聞いております。
ワンストップ支援センターが持続的な運営ができるよう、政府は法整備や予算措置を含めた更なる支援を行うべきだと考えておりますけれども、その点についてどのようにお考えになっているのか、お聞かせください。
○小八木政府参考人 お答え申し上げます。
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、被害者の意思を尊重しつつ、被害直後からの医療的支援、法的支援、心理的支援などを可能な限り一か所で提供する相談窓口であり、全ての都道府県に整備されてございます。
内閣府は、交付金により、センターの整備、運営に関する都道府県等の取組を支援しているところでございます。この交付金につきましては、各都道府県等に相談支援体制の充実を図っていただくべく、令和六年度は、先ほど委員から御指摘ございましたように約六億円、令和七年度は七億円超の執行を可能とするなど、毎年度、必要な予算の確保に努め、都道府県等に活用を促しているところでございます。
内閣府としましても、全国のどこであっても、ワンストップ支援センターに相談に来られた被害者の方が必要な支援につながることができること、これが重要であると認識してございます。引き続き、都道府県等に対し、交付金の更なる活用を促すとともに、適切な支援を提供できるよう、各地域でのワンストップ支援センターと関係機関とのネットワークづくりを推進するなど、ワンストップ支援センターの運営の安定化及び支援の質の向上に努めてまいります。
○萩原委員 非常に教科書的な御回答だったかなと思っております。
六億円、五十二か所、大体、一つのセンター当たり一千万超ぐらいだと思いますけれども、それの補助で本当に足りるのかというところはちょっと考えていただきたいなと思っています。
どのセンターも非常に資金難の話がありますし、多分、請求があったものについては全てお金は出しているよということだとは思うんですけれども、その範囲であったりとか、また、周知がもしかしたら足りないというところもおっしゃっている中にはありましたけれども、そういうところも本当に徹底していただいて、今のやり方でいいのか、その資金、全部お金を配ればいいというものではないのはもちろん理解しておりますけれども、本当に相談窓口としては非常に大切だと思っておりますので、是非、その充実を図るよう対応をお願いいたします。
続いては、時効の延長についてお伺いいたします。
不同意性交罪では十五年の公訴時効、不同意性交致傷罪では二十年の公訴時効になっています。民事事件ではありますけれども、先日、三十年以上前に実父から性的虐待を受けて、後にPTSDを発症したとして四十代女性が実父に損害賠償を求めた事案で、最高裁は除斥期間が経過したとして上告を退けました。
性犯罪ではグルーミングという子供を手懐ける手口がよく使われるため、被害に気づいて相談できるまで時間がかかることがよくあります。韓国では十三歳未満への性犯罪については公訴時効をなくしていますけれども、日本でも同じように、子供に対する性犯罪については公訴時効をなくす方向はいかがかなと考えておりますが、お考えをお示しください。
○鈴木国務大臣 今先生おっしゃいましたように、令和五年の刑法等改正、この中で、性犯罪につきましては、一般的に、その性質上、被害申告が困難である、あるいは他の犯罪と比較をして類型的に被害が潜在化しやすい等を踏まえて、公訴時効期間を五年延長されたところであります。
同時に、そのところの、二百五十条の第四項というところになりますけれども、若年者につきましては、やはり様々な状況があります。例えば、社会生活上の自律的な判断能力あるいは対処能力が十分かということ、あるいは知識経験等も不十分、そういったこともありますので、そういった中で、性犯罪の被害に遭った場合に、やはり若年者は大人と比較をして性犯罪の被害申告がより困難である。そういった観点から、このときの改正においても、被害者が十八歳未満である場合については、その者が十八歳に達するまでの期間に相当する期間、性犯罪の公訴時効期間を更に延長する、そういった措置を取っているところであります。
私どもといたしましては、まずはこの改正をしたところでありますので、こうした規定が適切に運用されるということが大事だと思いますが、その上で、附則においても、政府として、施行後五年を経過したところで、この法律の施行状況等を勘案し、あるいは性的な被害の実態等も踏まえつつ、速やかに施策の在り方について検討を加えるといったことが定められておりますので、私どもとしても、こうした附則の規定の趣旨を踏まえて、実態も把握しながら、関係府省庁とも連携をした上で適切に対応してまいりたいと考えております。
○萩原委員 そうですね、是非適切な対応というところをお願いしたいと考えております。
私の市議会議員時代の話になるんですけれども、地元で、小学校時代に担任から体を触られる、夜、放課後呼び出されていろいろ触られたみたいな話を聞いて、その方が、自身の子供さんが小学校に入ったときにまだいた、普通の顔をして教えていた、そういう話を聞いて非常に気分が悪くなったし、こういうのは何とかできないんだろうかという相談を受けたことがあります。
当然、私と近い年の方でしたので、二十五年とか、二十年というのはとっくに過ぎているような状況ではありましたので、どうしようもないという状況で、何とかできないのかなというのは当時非常に強く思った記憶がありますので、五年の見直し期間というところはあるとは思いますけれども、そのようなケースというのはかなりあると思っておりますので、公訴時効の期間の延長というのは是非行っていただきたいというのをお願いさせていただきます。
では、続きまして、性犯罪者の住所提供についてお伺いいたします。
一部の都道府県では、性犯罪を犯して服役された後、出所者に、カウンセリングなどの再犯防止、社会復帰のための支援を行っています。性犯罪をした者の出所後の住所等については、都道府県などが把握する仕組みは現状ない。そのため、出所した者に対しては、再犯防止のための取組を行うことは困難です。
再犯防止のための取組として、性犯罪をした者が刑務所等の施設を出所する際に任意で国に届けられたような情報を自治体に提供する、そういう形であれば、このような場合、強制的にというところじゃなくて、プライバシーの問題も生じないと考えるんですけれども、住所等を届け出る仕組みというのを国として構築することについてはどのように考えられているのか。法務省、お願いします。
○小山政府参考人 出所者等に関します情報は、犯罪の経歴等が含まれる個人情報でございまして、その取扱いにつきましては特に配慮を要しますことから、委員御指摘の、刑事施設出所者、出所後の本人の住所についても、本人の同意なく、地方公共団体に対し情報提供を行うといったことは慎重な検討を要するものの、やはり、矯正局といたしましても、地方公共団体が再犯防止の取組を行うために必要となる情報の提供は重要であると考えております。
この点、現在、刑事施設におきましては、大阪府子どもを性犯罪から守る条例の施行に伴いまして、大阪府に対し、届出者の同意を前提といたしまして出所者の情報を提供しておりますほか、福岡県における性暴力を根絶し、性被害から県民等を守るための条例の施行に当たりましても、出所者の情報を提供するとしているところでございます。
また、関係法令に基づきつつ、特に地方公共団体における支援が必要と認められる満期釈放者等につきましては、性犯罪者に限ることなく、支援を受けるよう働きかけを行いますとともに、支援対象者の同意に基づき、本人の再犯防止や円滑な社会復帰に資する情報を提供するものとしておりまして、引き続き、地方公共団体に対します適切な情報提供を進めてまいりたいと考えております。
○萩原委員 ありがとうございます。
今答弁の中でおっしゃっていた大阪府子どもを性犯罪から守る条例、これは、刑期を終えてから五年がたつまでの間、大阪府内に住む場合には大阪府への届出、まあ大阪府に住む場合というのもありますけれども、を義務づけられています。法務省としては、今おっしゃったような形で、情報提供等をしていることは承知しております。
大阪の例でいうと、カウンセリング、これは、かなりアットホームな雰囲気で、一対一の対話形式で行って、そして発言するようにされている。それを受けられた方のアンケートでは、カウンセリングを受けて、性犯罪を防ぐきっかけになったと答えている者が多く、一定効果があるとは思っております。
性犯罪、この再犯を防止するためには、そういう意味では、地域において継続的な支援が受けられるようにすることが重要であると考えますが、都道府県等との連携、大臣にお伺いしますが、どのように行われていくのか、お答えください。
○鈴木国務大臣 今御指摘の、性犯罪、これを含む犯罪全般でもありますけれども、こうした犯罪を犯した者、この再犯防止も極めて大事でありますが、そういった中で、やはり、刑事司法手続を離れた者に対して、地域社会において継続的にこうした対応を行っていく、このことが重要だと考えています。
まさに、この点については、我々法務省としては、関与できる範囲は限定されてしまいますので、地域住民に対しての様々な行政サービスを提供する地方公共団体、この果たす役割は極めて大きいと思っております。
そういった中で、私どもといたしましては、地方公共団体との連携強化を図るとともに、その取組を支援するために様々な施策を実施をしているところであります。
今御指摘の、性犯罪の再犯防止ということで申し上げれば、令和四年度に、地方公共団体が活用可能な、性犯罪の再犯防止に向けた地域ガイドライン、この策定を行って、各都道府県あるいは政令市等々に提供したところであります。
この中でも、記載で少し申し上げますと、各地方公共団体においては、誰もが、性犯罪、性暴力の加害者にも、被害者にも、傍観者にもならないよう、このガイドラインを参考として、性犯罪をした者に対する再犯防止の取組に尽力をいただきたい。そういった内容ともなっておりますが、私どもといたしましては、こうした形で、地方公共団体、ここに対して引き続きこうした活用を働きかけをするとともに、同時に、全国にあります保護観察所等におきましても、このガイドラインの活用に当たっての相談あるいは問合せに対応できるようにすることで、こうしたガイドラインが一層活用され、きちんとした対応がされるように、私どもとしてもしっかりと支援を行っていきたいと考えております。
○萩原委員 御答弁ありがとうございます。
今おっしゃった性犯罪の再犯防止に向けた地域ガイドライン、これを作って、地方自治体に再犯防止、再犯者を減らすための取組を促していることは承知しております。
ただ、ちょっとレクを受けた際に、このガイドライン、採用した団体が二団体、採用予定が三団体、検討中が四十一団体ということとなっており、非常に利用率というのは低いのかなと思っております。
是非、なぜ利用率が低いのかというところの原因を分析していただいて、性犯罪の再犯防止を徹底する仕組みというのを国が主導していっていただければなと考えております。
最後に、自治体では、結局、ガイドラインがあってもそれを活用できないというところなんですけれども、性犯罪の防止に必要な知識や技術を十分に有していないのが現状です。そのためには、再犯防止を進めていくために人材を育成することが必要ですが、こうした人材の育成に関する支援についてどのように考えられているか、お願いいたします。
○西村委員長 鈴木大臣、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
○鈴木国務大臣 令和五年の三月の第二次再犯防止推進計画でも、こうした人材育成も含めて、様々対策を掲げております。
こうしたことを踏まえまして、我々としては、地方公共団体による再犯防止の取組を促進するための協議会、この開催をして、再犯防止の取組において蓄積をされた成果等の共有、あるいは、こうした自治体の職員研修等に様々、我々としても講師を派遣する等々の、そういった地方公共団体の団体職員の人材育成にも努めているところでございます。
○萩原委員 ありがとうございます。
私自身、性犯罪、特に子供に対する性犯罪は、許しちゃいけない、唾棄すべき犯罪の一つだと考えております。是非、より厳しい対応、そして防ぐ取組をしていただくことをお願いして、私からの質疑とさせていただきます。
ありがとうございます。
○西村委員長 次に、円より子さん。
○円委員 国民民主党の円より子です。
実は、昨年十二月にICCの赤根智子所長にお会いをいたしまして、直接お話を聞く機会がございました。本日は、このICC、つまり国際刑事裁判所が今どうなっているのかお聞きをしたいと思っております。
御存じのように、ICCは、ジェノサイドの犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪及び侵略犯罪など、重大な犯罪を犯した個人を訴追、処罰する独立した常設機関として二〇〇二年にオランダ・ハーグに設置されました。もちろん史上初の常設の国際刑事司法機関です。
日本はこのICCの最大の資金拠出国だそうですが、その金額は幾らで、またICCの全体予算に対してはどのくらいの割合でしょうか。お尋ねいたします。
○濱本政府参考人 お答え申し上げます。
分担金拠出についての御質問でございます。
我が国は、二〇〇七年のICC加盟以降、ICCの分担金の最大の拠出国として、財政面でICCの活動を支えてきているところでございます。
二〇二五年のICC予算に占める日本の分担金の率でございますけれども、一四・六四六二%でございまして、額にして約四十六億円ということでございます。
○円委員 四十六億円が少ないか多いかはともかく、最大の拠出国ですから、それだけ拠出しているということは、法に基づく国際秩序の重要性を当然理解して、そしてICCを強力に支援しているということだと私も思います。
ところが、どうも最近、皆様も御存じのように、日本政府は法の支配に後ろ向きになっているように思われます。
といいますのも、この国際刑事裁判所に対して各国が不当な圧力を強めてきております。
ロシアは、ウクライナ侵攻をめぐって子供をロシア国内に連れ去った戦争犯罪の容疑でプーチン大統領らに国際刑事裁判所が逮捕状を発行したことに対して、主任検察官であるカリム・カーン氏や、当時裁判官として審理を担当した今の所長の赤根智子氏らを指名手配いたしました。
また、国際刑事裁判所が、民間人に対する食料や医薬品等の搬入を妨害し、飢餓を戦争手段としたこと等を理由とした戦争犯罪及び人道に対する犯罪の容疑でイスラエルのネタニヤフ首相らへ逮捕状を発行したことに対して、米国のトランプ大統領は、本年二月六日、国際刑事裁判所及びその関係者への制裁を可能とする大統領令に署名いたしました。そして、カリム・カーン氏を制裁対象者として指定いたしました。
米国の制裁によりまして、制裁対象者は、米国企業のサービスを受けることができなくなった結果として、米国のマイクロソフト社が製作したICCの基幹システムにアクセスできなくなり、また、国際的な銀行送金が米国を経由していますことから、国際送金による給与等の支払いを受けることもできなくなりました。
さらに、制裁はICCの捜査に協力した非米国人企業も対象者となり得るとされたため、これを恐れた銀行がICCの送金業務を拒絶するなど、ICCの中核的な業務の遂行に大きな制約が生じてしまっております。
アメリカは制裁対象者を拡大するという動きも出ておりまして、もしこれが実施されれば、ICCが一切の活動を継続できなくなり、ひいてはICCの存在自体が消滅してしまうのではないかというようなことも関係者は危惧していらっしゃるそうです。
当該大統領令に対しては、ローマ規程に加盟する七十九の国と地域が、法の支配を脅かすとして共同で非難声明を発表しました。残念ながら、これに対して、日本政府はこの共同声明に加わりませんでした。なぜ加わらなかったのでしょうか。
○濱本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の共同声明というのは二月七日の有志国によるものと承知しておりますが、これへの対応については、様々な要素を総合的に勘案した上で決定したものでございます。
同時に、委員御指摘のように、国際刑事裁判所、これは世界初の常設の国際法廷でございまして、元最高検検事で我が国出身の赤根智子氏を所長としている機関でございます。
我が国は、重大な犯罪行為の撲滅と予防、法の支配の徹底のためにICCを一貫して支持してきておりまして、例えば、米国の大統領令発出に先立つものではございますが、一月二十三日にICC締約国会議議長団の声明に参加しております。この中身としましては、制裁措置に対して深刻な懸念を表明するという内容でございます。
○円委員 なるほど、共同声明には加わらなかったけれども、その前に出した議長団声明、それには加わられたと。だからいいと思われたのでしょうけれども、ちょうど石破総理とトランプ大統領の会談の前でしたから、会談への悪影響を懸念したのかと臆測されたり、日本政府はふがいないんじゃないかとの批判も出ております。
ICCの独立性や安全を尊重する必要があり、政府としてきちんと強力に支持しているとおっしゃるんだったら、もっと外に向かってICCを守るという強いアピールを出すべきではないでしょうか。
○濱本政府参考人 御指摘のように、ICCというのは、重大な犯罪の撲滅と予防、法の支配の徹底のために重要な役割を果たしてきているということでございます。
二月七日の有志国の声明については、様々な要素を総合的に勘案して判断をしたということでございますが、ICCが独立性を維持して、安全を確保しながらその活動を全うしていくということが大事と考えております。そのために、今後の関連の動向も重大な関心を持って引き続き注視していきたいと思っております。
米国に対しましては様々なレベルで働きかけを行ってきておりまして、例えば、岩屋外務大臣からルビオ国務長官にも直接提起してきているということでございます。
引き続き、米国やICC、他の締約国と意思疎通を行いながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
○円委員 大国による一方的な現状変更を認めることにもこのことはつながりかねませんし、東アジア情勢が緊迫したときに、国際司法に救済を求めても、ないがしろにされかねないという危惧も抱いております。
人道に対する犯罪には、人の強制失踪として、拉致も含まれております。御存じのとおりです。北朝鮮による日本人拉致問題を抱える我が国がICCのローマ規程の締結国になることは、大きな意味がありました。その拉致問題も、残念ながら未解決のままです。
このことからも、ICCを支持する強いメッセージを、先ほどからも申し上げておりますが、出すべきだと思いますし、さらに、制裁を撤回させるために具体的な、ルビオさんと岩屋外務大臣が話されたということではありますが、撤回させるための具体的な働きかけはなさっているんでしょうか。
○濱本政府参考人 お答え申し上げます。
やや繰り返しになりますが、米国に対しては様々なレベルで働きかけを行ってきているということでございます。岩屋外務大臣からも、ルビオ国務長官に対して直接提起してきているということでございます。それから、赤根所長とも丁寧なコミュニケーションを取ってきているということでございます。
米国、それからICC、そして他の締約国と意思疎通を行いながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
○円委員 赤根所長も身の危険も感じるようなこともあって、日本政府は、オランダ政府にも赤根所長の身の安全を確保してほしいというようなことも働きかけていらっしゃるということも聞いておりますけれども、ICCをきちんと守っていく、その働きを十分に発揮してもらうためにも、法の支配を強化し、そして世界を牽引する立場と日本がなるためにも、例えば、ICCの広報拠点として東京事務所をつくって、駐在員を日本に置くという話もICCの方では検討されていると聞いておりますが、日本政府としては、これについてはどういうふうに動いていらっしゃるんでしょうか。
○濱本政府参考人 お答え申し上げます。
ICCは、ICC普及等のための締約国との関係強化にかねてから関心を有していると承知しております。その関連で、地域駐在員を配置する、日本に配置するという構想があることについては承知しております。
その上で、ICCの地域駐在員を配置させることにつきましては、これは予算に関わる問題でもございます、締約国の間でその必要性等について現在協議が行われているというのが現状でございます。我が国としましては、積極的に議論に参加してまいりたいと考えております。
○円委員 積極的に議論に参加なさるだけではなくて、今現在、百二十五か国の加盟国中に、アジア太平洋地域では十九か国の加盟国しかないと聞いております。日本も、この地域での拡大は不可欠だと以前の審議でも答えていらっしゃいますけれども、ICCの拠点を自国に置くことに対して、アジア諸国にも、自分の国にそうした拠点を置きたい、そういう動きもあると聞いておりますが、最大拠出国である我が国が手をこまねいている間に、他の国にそうした拠点ができてしまうのではないか。もちろん、アジアの中に広がることは、別に我が国じゃなくても十分いいことだとは思いますけれども、でもやはり、赤根所長を出し、そして最大拠出国でもある日本が、アジアにおいてきちんと加盟国を拡大していくためにも拠点を持つということは、それこそ、議長団声明には加わったといっても、まだメディアでもどこでも日本政府がとても後ろ向きなように捉えられている、こういう現在、共同声明に加わらなかったけれども、実質的な支持をこの東京事務所を持つようなことで表明できるのではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。
○濱本政府参考人 お答え申し上げます。
ICCが真に普遍的かつ実効的な裁判所になるためには、アジア太平洋地域を始めとする締約国の拡大が不可欠であるという具合に考えております。そのような認識から、我が国は、各国に対してICC加盟を働きかけているところでございます。引き続き、このような努力をやっていきたいという具合に考えております。
その上で、地域駐在員につきましては、これは締約国間の間で議論をする必要はどうしてもございます。そのような議論に我々として積極的に参加してまいりたいと考えております。
○円委員 ICCとの間で特権・免除協定を締結する計画が検討されているかどうかもお伺いします。
ICCに協力を提供するためには、ICCと特権・免除協定を締結する必要がありますが、既に七十九か国が協定を締結しておりますが、日本はまだしておりません。広報拠点としての支局を置くためにも、こうした特権・免除協定を締結することは必須と考えますが、これについての進展はどうなっているのか、お答えください。
○濱本政府参考人 ICCローマ規程上は、裁判官、検察官、次席検察官それから裁判所書記に対しては外交使節団の長に与えられる特権及び免除と同一の特権、免除を享有するという具合に規定されていることでございます。したがいまして、委員御質問の点というのは、先ほどのICCの地域駐在官を配置させることと絡むということではあると思っております。
ICC特権・免除協定の締結につきましては、地域駐在員配置に関する締約国の間の議論の状況も見極めつつ、その必要性について検討してまいりたいと考えております。
○円委員 二〇〇七年の衆議院外務委員会で可決したICCに対する協力等の法律の附帯決議では、ICCが管轄権を有し、かつ、管轄権を行使し得る重大な犯罪について、国内で捜査し訴追し、かつ、処罰するための体制及び運用の確保に努めることとあります。
政府に対し、特段の配慮が求められておりますが、現在まで、日本国内の法制化は進んでいないように思っておりますが、ほとんどの今のある法律で大丈夫だというふうなお答えもあったようでございますけれども、例えば、民用物、すなわち、軍事目標以外のものを故意に攻撃することを計画している者たちの犯罪を未然に防ぐことが挙げられますが、日本では、建造物等損壊罪及び器物損壊罪には未遂犯処罰規定がないため、民用物に損壊の結果が発生したときにしか、基本的に処罰できないんですが、これらについて政府は今後どのように進めていかれるでしょうか。
○森本政府参考人 お答えいたします。
まず、ICCローマ規程におきましては、対象犯罪を各締約国において処罰できるようにすることが義務づけられているものではないというふうに承知しております。
その上で、委員御指摘のように、一部処罰できないものというのが存在していることは私どもも承知しておりますが、重大犯罪につきましてはそのほとんどが既に現行法において処罰可能であって、現行法において処罰できないものは極めて限られているということがございまして、そのために、ICCローマ規程と現行法との理論的に認められる処罰の僅かな間隙と言ったらあれかもしれませんけれども、それを埋めるために新たな罰則を設けるまでの必要性を認めるまでには至っていないというところでございます。
もっとも、先ほどの附帯決議については、国内で捜査し訴追し、かつ、処罰するための体制及び運用の確保に努めることが求められておりまして、重大犯罪のほとんどが現行法の範囲内で処罰可能であることから、我が国が管轄権を有する事案が発生した場合には、捜査当局において法と証拠に基づいて適切に対処するものと考えております。
○円委員 ICCを始めとする国際機関への人材育成についても、これも附帯決議に入っているんですが、法務省が取り組んでいることをお伺いしたいと思います。
○堤政府参考人 お答えいたします。
法務省は、国際刑事裁判所を始めとする国際機関等とも連携しつつ、法の支配の推進に取り組んでおりまして、そのような取組を支える、国際感覚と法的思考能力を併せ持つ人材を広く育成することが重要であると考えております。
そこで、法務省は、法務、司法分野で国際社会をリードできるような国際法務人材の育成を図るため、日々の業務遂行における指導のほか、語学研修、在外公館や国際機関での業務経験等に加えまして、職員を幅広く国際関係業務に携わらせるなどすることにより、国際感覚の涵養と法的思考能力の向上に努めております。
また、法務省は、将来、国際社会において活躍する人材の育成という観点から、若者のエンパワーメントの推進にも努めておりまして、国連薬物犯罪事務所の協力の下、国内外から多数の若者の参加を得て、法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラムを定期的に開催しております。
法務省としましては、引き続き、こうした取組を進めることにより、国際社会において活躍する人材の育成に努めてまいりたいと考えております。
○円委員 先ほどお話ししたように、赤根さんにお会いしたときは、まだトランプ大統領の大統領令が出る前でしたが、本当に大変な状況だと言われて、世界中の戦争の惨禍に苦しむ被害者の希望が託されていることを忘れないでほしいと訴えられました。
また、彼女はこうも言っておられました、ICCは、国家や団体から独立した司法機関であり、脅しに屈することは決してしないと。本当に毅然とした立派な御姿勢でした。
でも、ICCは今存続の危機にさらされております。我が国が果たすべき役割と責任は大変大きく、ICCの活動を支えることは国際社会における法の支配を守ることにもなります。法務大臣にもICCの支援をお願いしたく、御所見をお伺いしたいと思います。
○西村委員長 鈴木大臣、時間になっていますので、簡潔にお願いします。
○鈴木国務大臣 私自身も、赤根所長、法務大臣就任前もそれ以降も、いろいろな機会でお話もさせていただいております。
法の支配、これは極めて今国際社会でも大事だと思いますし、まさにそこ、法の支配に基づく国際秩序の維持強化、この観点から極めてICCは重要だと思っております。
我が国としても、ICCの独立性、これを尊重してきているところでもありまして、先ほど事務方からも申し上げましたが、検事の派遣等々、人的にもやっております。あるいは、共同のセミナーを行う等々もやっております。
今後とも、外務省と連携しながら、ICCの活動をしっかりと支援してまいりたいと思います。
○円委員 ありがとうございました。終わります。
○西村委員長 次に、本村伸子さん。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、再審法の改正に関しまして質問をさせていただきたいと思います。
再審制度見直しに関する法制審議会刑事法(再審関係)部会のメンバーについてなんですけれども、再審法で何本も論文を書いた、再審法の専門的知見がある学者、研究者の方々が全て無視をされ、そして、刑事訴訟法の教科書で触れておられる方々はお見えになるんですけれども、幹事の方にアメリカ法との比較を書いておられる方もおられるんですけれども、再審法で何本も論文を書いた知見のある方々が入っていない。やはり、これはバランスに欠いている、公正性に欠いているというふうに考えます。
再審法について何本も論文を書き、深めている専門的知見のある学者、研究者の方々を委員として入れるべきだというふうに考えますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 私といたしましては、再審制度に関して専門的知見を有する研究者の方も含めて、諮問をいたしました内容に照らして、再審請求事件の実情を踏まえながら、再審制度について幅広い観点から検討を行っていただくのに適した方々、こういった方々に委員、幹事をお引き受けいただいたと考えているところでございます。
○本村委員 少なくとも、再審法に関する論文を多く書いている学者、研究者の方々は特別委員にするなど、お話を一回だけではなく複数回、何度も聞いて、知見を踏まえるべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 様々な立場の方々からの声を踏まえて、こうした調査審議が行われるということも、これは大事、重要であると私も考えております。
ただ、その上で、今回、そうした委員、幹事ということで申し上げれば、先ほど申し上げましたように、今、諮問内容等に照らし合わせて、再審請求事件の実情を踏まえながら、再審制度について幅広い観点から検討を行っていただくのに適した、ふさわしい方々にお願いをしていると私は考えております。
○本村委員 是非、専門的な知見のある学者、研究者の方々からもしっかりと意見を聞いて、それを踏まえて審議をするべきだというふうに思っております。
再審弁護に取り組み、日弁連の再審法の改正実現本部の鴨志田祐美弁護士や、あるいは、袴田さんの無罪事件で再審開始決定と死刑と拘置の執行停止の決定を行った裁判官でありました村山浩昭弁護士が入ったということはよかったというふうに思いますけれども、しかし、学者、研究者の部分でバランスに欠いている、公正性に欠いているというふうに思いますので、是非、その点を是正しながら、議連の方も動いてまいりますけれども、法制審の方、公正なやり方をまず前提としてやっていただきたいというふうに思っております。
次に、改定民法について質問をさせていただきたいというふうに思います。
自民党の筆頭理事であられます小泉元法務大臣とはこの問題でやり取りをさせていただきましたけれども、人格尊重義務そして協力義務が明記をされました。DV、虐待ケースの場合は、人格を尊重しておらず、加害者側は協力義務違反に当たるという答弁もございました。
そこで、伺いたいというふうに思うんですけれども、DVの範囲なんです。
法務省民事局が出しております「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」という解説のパンフレットがあるんですけれども、ここの人格尊重や協力義務というところの部分で、DVの範囲が正しく認識されているのかということを少し疑問に思いましたので、質問させていただきたいと思います。
内閣府のホームページにあるDVの範囲ですけれども、身体的なもの、精神的なもの、経済的なもの、性的なものということで、様々書かれております。
平手で打つですとか、物を投げつけるですとか、大声でどなる、誰のおかげで生活できているんだと言う、生活費を渡さない、外で働くなと言ったり、仕事を辞めさせたりする、殴るそぶりをしたり、物を投げつけたりするふりをして脅かすとか、あるいは、嫌がっているのに性的行為を行うですとか、避妊に協力しないですとか、そうしたことが書かれているわけですけれども。
人格尊重義務、協力義務の部分、協力義務違反であるDVの範囲に含まれるものは、内閣府のこのホームページにある内容を全て含んでいるということでよろしいでしょうか。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
父母相互の人格尊重、協力義務や、子に対する人格尊重義務の違反の有無ですが、個別具体的な状況におきまして個々の事情を前提に判断されるべきものであり、客観的な基準を示すことは困難であることを御理解いただきたいと思います。
その上で、一般論として申し上げれば、委員御指摘の内閣府のウェブサイトに挙げられているような行為、すなわち殴ったり蹴ったりするなど直接何らかの有形力を行使する行為、心ない言動等により相手の心を傷つける行為、嫌がっているのに性的行為を強要する、中絶を強要する、避妊に協力しないといった行為等があった場合には、あくまで個々の事情にはよるものの、委員御指摘のような義務違反があったものとして、親権者の指定、変更の審判や、親権喪失、親権停止の審判等においてその違反の内容が考慮される可能性があると考えております。
○本村委員 協力義務と書いてあることが支配の手段として使われてはならないというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○竹内政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、改正民法では父母相互の人格尊重、協力義務の規定を創設したところでございます。この規定は、子に関する権利の行使又は義務の履行に関しまして、その子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならないという親の責務を明確化したものでございます。
どのような場合にこれらの義務に違反したと評価されるかは個別具体的な事情に即して判断されることとなりますが、あくまで子の利益という観点から判断されるものでありまして、御指摘のような協力義務違反が支配の手段として使われることは規定の趣旨に反するものであり、あってはならないと考えております。
○本村委員 身体的、精神的、性的暴力は支配の手段であるということを前提とし、支配から子供とともに逃げることが人格尊重、協力義務規定によって妨げられる、こういうことはあってはならないというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 まさにそうした意味において、身体的暴力、精神的暴力又は性的暴力から避難をする必要がある場合には、他方の親に無断で子とともに転居したとしても父母相互の人格尊重、協力義務の違反にはならない、これはこれまでも御答弁申し上げてきたとおりであります。
○本村委員 少しパンフレットを見て心配になったものですから、こうした質問を、参議院では仁比聡平参議院議員も繰り返し質問させていただいておりますけれども、是非このパンフレットも、もうちょっと分かりやすく改定をしていただきたいというふうに思っております。
協力義務が支配の手段として使われてはならないこと、精神的、身体的、性的暴力は支配の手段であることを前提とし、支配から子供とともに逃げることが人格尊重、協力義務規定によって妨げられてはならないということを、今、関係府省庁の連絡会議を行っているというふうに思いますけれども、議論をしているQアンドAに是非今言った趣旨を書いていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 今御指摘のQA、解説資料、これは十分な理解を当事者やあるいは関係諸機関の方々にいただく、そういったことになるように検討を行っているところであります。昨日開催をされた関係府省庁等連絡会議幹事会の第三回会議においても意見交換を行って、関係府省庁等の意見も踏まえて更に検討を進めているところであります。
今、国会で御質問いただいた点、これは参議院でも衆議院でもそういった点で御議論いただいております。こうしたことがしっかりと明確になるように、改正法の趣旨、内容を十分に理解いただけるようなQAとなるように作成に取り組んでまいりたいと思っております。
○本村委員 是非お願いをしたいと思います。
改定民法では、家庭裁判所が正しくDVや虐待を見抜き、子供、被害当事者の安全を守ることが肝になってまいります。DV、虐待についてはどのような暴力が含まれると研修をしているのか、そして具体的に被害当事者の安全を守るためにどのような研修を行ってきたのか、その点について伺いたいというふうに思います。裁判官、調停委員そして調査官を含めて研修の徹底をしていただきたいというふうに思いますけれども、最高裁、お願いをしたいと思います。
○馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
委員御指摘の改正家族法におきましては、必ず単独親権にすべき場合の考慮要素とされている子の心身に害悪を及ぼすおそれとか、父母の一方から他方への身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれにつきましては、必ずしも身体に対する暴力に限られるものではなく、精神的、経済的、性的なDVや虐待が含まれると説明されているものと承知しておりまして、そのような点を含めて、改正法の趣旨や内容につきましては、裁判官や関係職員に対して研修、また情報提供等を実施してきているところでございます。
また、いわゆる離婚調停事件、また親子交流に関する事件等の家事事件におきまして、DVや虐待といった安全、安心に関する事情は最優先で検討されるべきものと認識されておりまして、このような観点から、適切な審理を行うべく、裁判官を始めとする関係職員に対しては、DVや虐待に関する専門性の向上のため、DVや虐待の加害者及び被害者の心理の理解を始めとする研修を繰り返し実施してきているところでございます。
具体的には、学識経験者によるDVや虐待に関する講演を行ったほか、DVや虐待の認定判断や心理に関する共同研究といった研修を行ってまいりました。さらに、家裁調査官が行った研究におきまして、海外の知見を含めて情報収集した上で分析がなされており、専門性の向上に当たってはそのような先行研究も活用されているところと承知しております。
今後も、改正法の趣旨、内容の適切な理解の下で、DVや児童虐待に関する家庭裁判所の判断を含む運用が適切に行われるよう、引き続き、調停委員の研修を行う各家裁に対しても、必要な支援をしっかりと行ってまいりたいというふうに思っております。
○本村委員 命や安全が脅かされる、そういうことが絶対にないようにしていただきたいというふうに思います。
そして、リーガルアビューズに関しても小泉元法務大臣とは論戦をしてまいりました。二〇二四年四月十日の衆議院法務委員会で、リーガルアビューズと言われるような被害の実態を調査し、対策を是非検討していただきたいということを小泉法務大臣に質問をしたところ、小泉大臣は、そういう状況におられる弁護士の方々の実情を法務省としてお伺いする機会、これは必要だというふうに思いますというふうに答弁をされ、私が、網羅的にしっかりと調査をして対策を打てるようにしていただきたいというふうに再度質問をいたしましたら、大臣が、まず代表的な方々のお声を聞いて、その状況をしっかり把握させていただいてから検討したいと思いますというふうに答弁をされました。
状況の把握、対策の検討はどこまで進んでいるのか、そして、DV被害当事者を支援する弁護士が誰もいなくなる、そういう事態を絶対に避けるために、一刻も早く対策を打っていただくということを強く求めたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○西村委員長 鈴木大臣、時間が参りますので、簡潔にお願いします。
○鈴木国務大臣 DV被害者に寄り添って活動する弁護士の存在、被害者の権利保護のために欠かせない存在と我々も認識をしております。意見表明やあるいは議論であっても、個人に対する人格攻撃やあるいは支援者、弁護士等に対する業務妨害、これに及ぶことはあってはならない、こう考えております。
従前も、我々、民事局において、DV被害者を支援する団体あるいは弁護士等との情報交換、これを行っているところであります。引き続き、DV被害者の支援を行っている方々の協力も得ながら、円滑な改正法の施行に向けてしっかりと取組を進めていきたいと思っております。
○本村委員 リーガルアビューズに関して調査を是非していただき、対策をもっと強化していただきたいということを強く求め、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○西村委員長 次に、吉川里奈さん。
○吉川(里)委員 参政党の吉川里奈です。よろしくお願いいたします。
お配りした資料を御覧ください。本年四月二十一日、読売新聞オンラインに、「「簡単に取れる」日本のビザ、中国人からの相談殺到 食い物にする「移民ブローカー」の存在」と題する記事が掲載されました。
経営・管理、在留資格は、本来、日本の経済の成長と競争力強化に資する外国人材の受入れを目的とした制度です。しかし、現在、実態を伴わない事業で申請し、実際には、日本での移住のみを目的とした外国人による申請が目立ち始めています。
この記事では、実態のないペーパー会社を使ってビザを取得させる手口や、二百二十万円でビザと居住をセット販売する移民セットなどの例が紹介されています。さらには、中国のSNS上で、簡単に取れる、マニュアルつきで安心などと拡散され、制度の目的外の悪用がビジネスとして成立している実態が明らかになっております。
ここで伺います。この記事に書かれている実態について、出入国在留管理庁はどの程度把握されているのか、この対応ができているのか、お聞かせください。
○杉山政府参考人 在留資格、経営・管理で在留する外国人が増加傾向にありますところ、その中には、御指摘いただいたとおり、経営実態が疑わしい事案があると指摘されていることは承知しているところでございます。
入管庁におきましては、経営実態に問題があると疑われる場合には、実態調査等により事実関係を確認し、慎重に審査しており、経営実態がないことが判明すれば、不許可処分とすることとしております。
○吉川(里)委員 そういう、実態のない部分がもう分かっているということは、氷山の一角ではないのでしょうか。その抜け穴を利用されているということに私は危機感を持つべきだと考えます。
そもそも、情報提供、例えば、外部からそういった実態がないという情報提供がなされるということですが、これは、初回の申請時には、実態調査をする手がかりというものがそもそもありません。現行の審査体制は書類が中心であって、不正な申請を見抜くには明らかな限界があると思います。本人面談であったり、抜き打ちの現地確認など、審査の厳格化をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○杉山政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、経営・管理の在留審査について、現状においても、事案に応じ実態調査を実施するなど、厳格な対応を行っているところでございます。
また、例えば、本年二月に、入管法違反を始めとする犯罪を未然に防止し、外国人の在留の公正な管理を図るため、東京入管、警視庁及び日本行政書士連合会の三者間で相互に情報共有を図るための協定書を締結したところでございます。
これにより、入管法等の関係法令に違反する事案、違反するおそれのある事案等に関する情報の共有が図られることから、入管法違反を始めとする犯罪を未然に防止し、外国人の在留の公正な管理に資することが期待されるところでございます。
入管庁といたしましては、引き続き、このような取組を通じて、関係機関等との連携を図りながら、在留諸申請に対して厳格に審査を行ってまいりたいと考えております。
○吉川(里)委員 厳格に審査を行っていくというふうに伺いましたが、国民から見ると、日本の制度が恣意的に悪用されている深刻な状況であって、政治不信のみならず、政府に対する信頼を損ねるゆゆしき問題だと私は思います。
法務大臣は、この記事を読んでどうお感じになられたのか、このままの制度で大丈夫なのか、若しくは抜本的なこういったところに関する制度改正をお考えなのか、お聞かせください。
○鈴木国務大臣 今御指摘の経営・管理、こうした在留の諸申請、こういったことの中で、事業実態に疑義がある、そういった事案もある、そう承知をしております。
まさに適正な在留管理を図る上では、このような事案に対して慎重に審査をし、厳格に対応していく必要があると思っておりますし、これは、この経営・管理にとどまらず、やはりルールというものをしっかり守っていただく、あるいは、それにのっとって、そうした審査、我々も厳格にやっていかなくてはいけないと考えております。
そういった中で、入管庁におきましても、更に実情をしっかりと精査をした上で、審査方法と運用面の改善、これも必要な面もあろうと思いますから、必要に応じて、基準自体、そういったことも含めて見直しをしっかりと検討していく必要があると考えております。
○吉川(里)委員 検討していくということですけれども、これはやはり歴史的な観点からも考えていかなければならないと私は考えます。
御記憶のとおり、平成元年から十年頃にかけて、中国の密航組織、蛇頭による大量密航事件というものが相次ぎました。貨物船を使い、密航者をコンテナに積み込み、中には幾人もの死者とともに非人道的な手法で多くの密航者が日本に送り込まれ、国民の不安をあおり、治安や労働市場に大きな混乱をもたらしたことは記憶にも残る事件です。
経営・管理ビザ制度の悪用は、表向きは合法でありながら、実態は、かつての蛇頭による密航の進化版とも言え、ブローカーが金もうけのために不正な方法で外国人を送り込む格好な手段となっています。
日本の制度の隙間をついて大量の外国人が流入する仕組みは、我が国の人口構成、地域コミュニティー、治安、さらには将来的な政治的発言力にまで影響を及ぼしかねない危機感を私は感じております。
大臣は、こうした状況に対して、過去の教訓を踏まえ、法務行政の責任者として、今後日本をどう守っていこうとお考えなのか。リーダーとしての気概をお聞かせください。
○鈴木国務大臣 外国人の受入れに当たっては、当然、外国人の人権への配慮、これはあると思いますが、同時に、ルールにのっとって外国人を受け入れていく、これは先ほど御答弁申し上げたとおりでありますけれども。そして、同時に、ルールに違反する者に対しては厳正に対処をしていく、対応していくことが極めて大事だと思っております。
そういった意味の中で、日本人と外国人、互いの尊重という、そういった共生社会の実現が大事でありますけれども、同時に、やはり、水際ということで、在留資格制度の適切な運用を含めて出入国在留管理の徹底をする等々、社会の安心、安全、このことも極めて大事だと思っておりますので、まず、この点、しっかりと取組を進めていきたいと思っております。
○西村委員長 吉川さん、時間ですので、お願いします。
○吉川(里)委員 本当に、国家の形というのは、リーダーの姿勢で決まると私は考えております。
今、国民の関心は外国人問題に向けられており、制度の隙をつく不正な滞在や活動、難民制度の悪用、外国資本による土地の買収、企業の買収、現場には大きな負担というものも生じております。外国、特に中国は、非軍事的手段で影響力を拡大しており、これに対応するためには、やはり、外国人代理人法やスパイ防止法の制定というのは私は急務だと考えております。
過去を鑑みて、未来を見据え、そして、今の日本人の国益、そして国民の安心、安全の暮らしを守るために、是非しっかりとした法務行政をよろしくお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。
ありがとうございました。
○西村委員長 次に、島田洋一さん。
○島田(洋)委員 日本保守党の島田です。
まず、LGBT難民に関してです。
同性愛者だというチュニジア人男性のケース、紛争事案になっているわけですけれども、何度か取り上げましたけれども、国は、この男性に関しては、本人の供述どおり、家族、親族からの暴力行為が仮にあったとして、国家による迫害は認められないということで難民不認定とした。ところが、大阪地裁、高裁がその不認定処分は不当だというので取り消したわけです。
これは、チュニジアというのは、もう何度も言いましたけれども、日本がアフリカで三か国だけビザを相互免除している信頼できる国という位置づけにある、そういうところをLGBT迫害国だと認定するというのは大変問題だと思うんですが。
そこでお聞きしたいのは、国が難民不認定として以降、チュニジアにおいて、性的少数者が国家による迫害を受けたというような事例はあるんでしょうか。
○鈴木国務大臣 チュニジア国内の状況につきましても、最新の出身国情報として収集をしているところであります。
ただ、今御指摘のような事例、これは個別の難民認定判断に密接に関連する情報ということでありまして、申し訳ありませんが、その有無も含めてこの情報の内容についてお答えすることについては差し控えたいと思いますが、いずれにしても、常に最新の状況を我々も把握する責務があると思っておりますので、適切に対応していきたいと思っております。
○島田(洋)委員 チュニジア国家によるLGBT迫害がないということがますますはっきりしたということであれば、もう一度、そういった情報を基に、この人物に関してしっかり難民審査をするということをしていただきたい。でないと、もちろん、LGBTの方、これは差別、迫害があってはならないわけですけれども、偽装LGBT難民がどっと日本に来る、その扉を開くようなことを今やりかねないという大変危ない状況にあると思うので。
この方は、まだ難民認定書は渡していないわけですよね、大臣。
○鈴木国務大臣 まず前段として、偽装LGBT難民ということを今おっしゃいましたが、そういったことが押し寄せるようなこと、これは断じてあってはならないことでありますので、その対応をしっかり我々としても責任を持って進めていきたいと思っております。
同時に、今、今回の件で難民認定証明書の交付をしたかどうか、個別の事案ということで、大変申し訳ありませんが、この場ではお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、難民不認定処分の取消しを命じる判決が確定をした場合、当該処分時における難民該当性は公権的に確認をされたということとなります。処分時以降に難民該当性を否定される事情変更がないかを検討し、これがない場合には速やかに難民として認定をするとの運用となっております。
○島田(洋)委員 類似の、ウガンダ人女性、同性愛者だと称する方、この方に関しては大阪地裁で不認定処分取消しという判断が出て、すぐ当時の齋藤健法務大臣が控訴もせずに難民認定書を交付した。このときは、法務省は、大臣が難民認定書を交付したと発表しているんですよね。だから、今、鈴木大臣が、個別のケースなので発表できないと言われたのは納得できないんですけれども、とにかく時間の関係で、この件は非常に重要なテストケースなので、しっかり、大臣が言われたように、対応していただきたい、今後も注目したいと思います。
その関連で、トランスジェンダーだと自認する人々の中には、これも何度か取り上げましたけれども、オートガイネフィリアという自己女性化性愛症と言われる人たちが入っている。つまり、女性的な化粧をしたり、女性的な下着を着けたりに性的興奮を覚えるんだけれども、あくまで性的対象者は女性、そして、性的絶頂感を得るのは男性外性器を通して、だから、性転換手術などはあくまで拒否する。こういうタイプの自称トランスジェンダーが女性専用スペースに入っていくというのは女性の保護の点で大変危険だと思うんですが、この点の大臣の認識と、どういう対応を考えておられるのか、お願いします。
○鈴木国務大臣 今、自称トランスジェンダーということでお話をされました。
法務省として、性同一性障害特例法、これを所管している立場でありますので、その立場から申し上げますと、性同一性障害特例法の定める要件、手続によって性別変更が認められた場合には変更後の性別とみなされますが、このような性別変更が認められない限り、本人がトランスジェンダーと称しているのみで性別変更を前提とした取扱いが認められるものではないと認識をしております。
その上で、女性専用スペースということでありますが、これは各施設の利用に関してどのようなルールを設けるか、これは各施設の管理者の判断に委ねられる事項でありますので、法務大臣として見解を申し上げることについては差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、各施設で適切に対応されることと考えております。
○島田(洋)委員 各施設の管理者に任せるというのでは非常に危ういので、やはりもうちょっと法的な枠組みをきっちりしていかないといけないと思います。
少なくとも、男性外性器を備えた人物が、私は女性なんだ、心はと、それで女性スペースに入っていくということは、これは原則として禁じるということにしておかないと、女性の保護ができないと思いますが、その点で、そもそも男性と女性というのをどう定義するのか。
今、アメリカの上下両院で多数を占めている共和党においては、例えば、女性というのは受胎時において大きな生殖細胞を作り出す性に属する人、男性というのは受胎時において小さな生殖細胞を作り出す性に属する人たちをいうんだというふうに、一つの非常に科学的な定義を示しているんですが、この点、政府においては、男性と女性、生物学的にそもそもどう定義しているんでしょうか。
○西村委員長 鈴木大臣、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
○鈴木国務大臣 男性と女性、どのように定義するか、これは、これが問題となるそれぞれの法律あるいは規則等の趣旨、目的に照らして定められるものでありまして、一概にお答えをすることは困難でありますので、その点は、私の立場からということでは御理解をいただきたいと思います。
○西村委員長 島田さん、時間です。
○島田(洋)委員 時間が来たので終わりますけれども、トランスジェンダーだと称してそれを悪用するという危険人物がいますので、やはり女性の保護の観点から、この辺りの議論は更に深めていきたいと思います。
終わります。
○西村委員長 次に、大森江里子さん。
○大森委員 公明党の大森江里子でございます。
本日は、質問の機会を頂戴し、ありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は、子供に対する人権擁護の取組について御質問いたします。
現在、日本において子供たちの人権が守られているとは言えない状況が続いています。
文科省の資料によりますと、令和五年度における小中高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は、七十三万二千五百六十八件と過去最多、いじめの重大事態の発生件数も増加し、過去最多でした。
また、厚生労働省の資料によると、児童虐待も増加傾向で、全国の児童相談所が令和五年度に対応した十八歳未満の子供への虐待件数は、二十二万五千五百九件で過去最多でした。
そして、厚生労働省の別の資料によると、令和六年度の小中高生の自殺者数は五百二十九人で、統計のある一九八〇年以降、過去最多でした。
そのような中、不安や悩み、困難を抱える子供に向けて法務省が行っているこどもの人権SOSミニレターの新聞記事を目にしました。とてもすばらしい取組を行っていることを知り、今回、質問させていただくことといたしました。
初めに、法務省において、子供の人権問題に関して実施している取組はどのようなものがあるのかお聞かせください。
○杉浦政府参考人 お答えいたします。
法務省の人権擁護機関では、子供の人権問題につきまして、法務局職員や人権擁護委員が様々なツールを活用して相談に応じているところでございます。
具体的には、先ほど御指摘のありました、悩み事を書いた手紙を郵送料の負担なく法務局に送って相談することができるこどもの人権SOSミニレター、それから、フリーダイヤルの専用相談電話、こどもの人権一一〇番、インターネット人権相談受付窓口、SOS―eメール、LINEじんけん相談などを通じまして、子供の人権侵害事案の早期発見に努めております。
これらの相談において人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として調査を行い、事案に応じた適切な措置を講じているところでございます。
○大森委員 ありがとうございました。
それぞれの取組の状況についても、利用状況などを教えていただきたいと思っております。また、主な相談内容や、深刻なケースが見つかった場合の対応方法、取組によって救済できた事例など、可能な範囲で教えていただけますでしょうか。お願いいたします。
○杉浦政府参考人 子供に対する各種の人権相談のうち、例えばこどもの人権SOSミニレターにより相談を受けた件数は、直近の統計であります令和五年度におきましては七千五百十一件でございます。また、令和六年にこどもの人権一一〇番に寄せられた相談件数は一万三千九百七十一件です。
主な相談内容としましては、学校におけるいじめ、体罰、虐待などがありますが、これらの中では学校におけるいじめに関する相談が最も多数を占めております。
また、相談の内容が深刻なものである場合、例えば、いじめや虐待などを理由に自殺をほのめかしたり保護を求めているような場合には、直ちに警察や児童相談所等に連絡しまして当該児童生徒を保護するなど、関係機関と連携しながら、速やかに児童生徒の生命身体の安全を図ることとしておりまして、実際にも、そのような対応が功を奏しまして、児童生徒が保護されるに至った事例もございます。
○大森委員 ありがとうございました。
先ほどのこどもの人権SOSミニレターですが、今年の配付時期はいつ頃になりますでしょうか。子供から手紙が届いた後、返信するまでの手順や、返信する際の配慮などを教えていただけますでしょうか。また、受け取った手紙はどのように管理されているのか、お伺いいたします。
○杉浦政府参考人 こどもの人権SOSミニレターにつきましては、毎年、全国の小中学校の全児童生徒を対象に配付しておりまして、本年度におきましても、各学校ごとに、五月下旬から七月上旬にかけて順次配付することができるように準備を進めているところでございます。
子供たちが悩み事を書いてポストに投函したミニレターが最寄りの法務局に届きますと、人権擁護委員や法務局の職員がその全てに目を通しまして、一通一通丁寧に返事を書いております。
返事の内容が事案に応じた適切なものとなるように、担当者限りではなくて、法務局内の複数の者の検討を経た上で、速やかに返信しております。
また、ミニレターには希望する連絡方法を記載する欄がございまして、本人の希望に応じて電話や手紙で返事をするほか、例えば保護者に知られたくない内容の場合には、手紙の返信先を学校とするなどの配慮も行っております。
法務局が受け取ったミニレターにつきましては、その後に本人から更に相談があった場合などに速やかに対応ができるように、適切に保管しているところでございます。
○大森委員 ありがとうございました。
次に、人権擁護委員についてお伺いいたします。
人権擁護委員の募集と選考はどのように行われるのか、お聞かせください。また、現在の人数と平均年齢、また報酬があるのか、また任期なども教えていただけますでしょうか。お願いいたします。
○杉浦政府参考人 人権擁護委員の委嘱の手続等につきましては、まず、市町村長におきまして、地域の住民の中から人権擁護委員にふさわしい候補者を、地方議会の意見を聞いた上で、法務局に推薦していただいております。法務局においては、推薦を受けた候補者について、地元の弁護士会及び人権擁護委員連合会に意見を求めるなどして検討した上で、法務大臣が委嘱をするといった手続が取られています。
また、現在、全国で約一万四千人が委嘱されておりまして、任期は三年、平均年齢はおおむね六十七歳でございます。人権擁護委員に対しては、給与は支給されておらず、活動に要した費用を弁償しているところでございます。
○大森委員 ありがとうございました。
もう少し詳しく教えていただきたいのですが、人権擁護委員が子供の人権問題に対して行っているこれまでの活動についてもお伺いいたします。
○杉浦政府参考人 人権擁護委員は、子供の人権問題に関しまして、先ほどお答えしたとおり、様々なツールを活用して相談に応じているほか、子供たちの人権問題への理解を深めるため、例えば人権擁護委員等が学校に赴いて、いじめ等の問題を題材に、互いの人権を尊重することの重要性について理解を深めることなどを目的とした人権教室や、花を栽培することを通じて優しい思いやりの心を体得させることを目的とした人権の花運動を実施しているところでございます。
○大森委員 ありがとうございました。
今年度から子供を対象に、人権擁護委員による訪問活動を始めるとの新聞記事がありました。主な派遣先として、放課後子供教室などが予定されているとのことですが、実施方法についてお聞かせください。
○杉浦政府参考人 いじめや虐待の件数が引き続き高水準にあるなど子供を取り巻く人権状況は非常に深刻であるところですが、子供からの自発的な相談を期待することができない場合も多いものと考えられます。
そこで、今年度から、地方公共団体やNPO法人等の子供の居場所づくりに取り組む団体と連携しまして、地域の人権擁護委員が放課後子供教室等の子供の居場所に直接出向いて、少人数、対話型の人権教室を実施するなどして子供たちと直接触れ合い、交流する中で、人権に関する悩みについて相談に応じ、解決につなげる取組を始めることといたしました。
子供たちの悩みに寄り添い、一つでも多くの声をすくい上げて解決につなげることができるよう、取組を進めてまいりたいと考えております。
○大森委員 ありがとうございました。
子供の人権を守るという視点、また、これまでのミニレターなどの取組の知見を生かしていただきたいと思っております。
続きまして、長年、長期休暇明けの前後は小中高生の自殺が増えるというつらい傾向があります。また、子供たちが不登校になりやすい時期とも言われています。
この時期に少しでも子供たちの変化に対応できる方法を増やすためにも、せっかく訪問活動というすばらしい取組を始められますので、子供たちのためにも、夏休み明けには開始できるよう進めていただきたいと思いますが、御見解をお聞かせください。
○杉浦政府参考人 御指摘のとおり、夏休みが終了して学校が再開する時期は、学校での生活に悩みを抱えて不安を覚える子供たちもいるものと認識しておりまして、そのような子供たちに寄り添った対応をすることが重要であると考えております。
訪問活動の開始時期につきましては、現時点では具体的な時期は申し上げられませんが、できる限り早期に取組を始めることができるように、関係機関との調整を進めてまいりたいと考えております。
○大森委員 是非早い時期のお取組をお願い申し上げます。
人権擁護委員は子供に対する専門職ではありませんので、訪問活動を始めるに当たっては、人権擁護委員が必要な知識を学べる研修が必要だと思っております。研修などは予定されているのでしょうか、お伺いいたします。
○杉浦政府参考人 人権擁護委員に対しましては、その能力向上を図ることを目的としまして、最初の委嘱時を始めとしまして、様々な機会を通じて研修を随時実施しているところでございます。
子供の人権問題に関する研修についても、これまで既存の研修の中で実施しているところでございますが、今般、訪問活動を始めることも踏まえまして、研修内容の一層の充実に努めてまいります。
○大森委員 ありがとうございました。
子供に接するに当たっては、いろいろな専門的な知見なども必要になってくるかと思いますので、是非とも研修の充実をお願い申し上げます。
最後に、子供の人権擁護に対する法務大臣の御決意をお伺いいたします。お願いいたします。
○鈴木国務大臣 子供の人権擁護、これはもう極めて大事なことであります。子供一人一人の人権と尊厳が尊重され、健やかで生き生きとした生活を送ることができる社会、この実現は極めて大事なことでございます。
私どもといたしましても、人権擁護機関で子供からの人権相談に幅広く応じ、あるいは、人権相談等を通じて人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には人権侵犯事件として調査を行う等々、事案に応じた適切な措置を講じております。また、子供の人権を守ろうということを啓発活動強調事項の一つに掲げて、各種人権啓発活動を行っているところであります。
まさに極めて大事な子供の人権擁護ということでありますので、こうした活動をしっかりと私も進めてまいりたいと考えております。
○大森委員 ありがとうございました。
児童の権利に関する条約、別名子どもの権利条約が一九八九年十一月二十日に国連総会において採決されました。条約の締約国、地域の数は百九十六であり、日本は批准して三十年以上たっています。条約には、生きる権利、育つ権利、あらゆる暴力から保護される権利、教育を受ける権利、休み、遊ぶ権利などが定められ、子供が権利の主体であることを明確にしています。子供の人権を守るため、法務省がリーダーシップを発揮していただきたいと思っております。
また、新聞記事には、自殺を図った小中高生のうち四割以上がふだんと変わらず学校に出席していたことがこども家庭庁の委託調査で分かった、周囲が本人の変化に気づいていないケースが二割を超えていた、調査結果からは自殺リスクが高い子供へのケアを強化する必要性が浮かび上がったとありました。
最近はメールやLINEでの相談を選択する子供が増えているかと思いますが、ミニレターといった手紙だから相談できるという子供もいると思いますので、手紙の利用件数が減る傾向であったとしても、手紙を選択する子供がいるのであれば、是非とも手紙も続けていただきたいと思っております。
本日は、ありがとうございました。以上で私の質問を終わらせていただきます。
○西村委員長 次に、中野英幸さん。
○中野(英)委員 自由民主党の中野英幸でございます。
本日は、質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。
さて、今般の報道においても、埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人に関する、いわゆる川口クルド人問題が取り上げられることが多々散見をしております。それに関して、我が国の不法に滞在する外国人の問題も世間から注目を浴びております。
私としましても、不法滞在する外国人の問題が我が国における今後の外国人材の受入れに与える悪影響を懸念しており、特に育成就労制度の運用開始を控え、今後も日本に在留する外国人の数が増加することが予想される中で、適切な環境整備をしていくことは急務であると考えております。
また、誰もが安心、安全に暮らしていくことのできる共生社会の実現のためには、外国人の人権に配慮をしながら、ルールにのっとって外国人材を受け入れ、適切な支援等を行っていくとともに、ルールに違反する者に対しては厳正に対応していくことが重要であると考えております。
本日は、不法滞在外国人の取締りなど、外国人の入国、在留等を管理する出入国管理庁のこれからの諸問題への対応策の具体的な検討状況について質問をさせていただきたいと存じますので、お願いをさせていただきたいと存じます。
まず最初に、鈴木法務大臣にお伺いをさせていただきたいと存じます。
政府は、二〇三〇年までに訪日外国人旅行者数六千万人を目指すとの目標を踏まえ、電子渡航認証制度、いわゆる日本版ESTAの導入を検討するとしてきたと認識をいたしております。観光立国を推進する観点から入国審査の円滑化を図るべきとの指摘がある一方で、ビザ免除国から短期滞在で入国した外国人の一部が不法滞在をし、またその一部が送還を拒否しているなどといった現状を鑑みれば、入国審査の厳格化を図る必要があると考えられるわけであります。
そこで、改めまして、電子渡航認証制度の意義についてお伺いをさせていただきたいと存じます。
○鈴木国務大臣 今検討中の電子渡航認証制度、いわゆる日本版ESTAでありますけれども、これは、オンラインで外国人の訪日する方々に身分事項あるいは渡航目的等をあらかじめ申告をさせる、それで事前のスクリーニングを行うことを可能とするものであります。
テロリストであったり、あるいは、先ほど御指摘ありましたが、やはり査免国から短期滞在で入国した結果の不法滞在等々、そういったことも言われておりますので、まさにそうした不法滞在を企図するような外国人、こうした我が国にとって好ましくない外国人の来日、これを未然に防止をするものであります。すなわちこれは、より一層厳格な出入国在留管理の実現に資するものであります。
同時に、観光立国推進のために、これからかなり多くのインバウンドということも見込まれておりますので、入国審査の一層の円滑化、これも大事であります。
そういった意味で、こうした必要なスクリーニングを行った外国人については、新規に導入する機器などを通じて、利用して、円滑な出入国審査を実現をすること、これも検討しているところであります。
まさに今申し上げましたように、この日本版ESTAは、厳格化そして円滑化、この両方の観点から有意義なものと考えております。
○中野(英)委員 ありがとうございます。
大臣の方も、いわゆる出入国管理の厳格化と円滑化双方が担保されるよう是非よろしくお願いをさせていただければと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
また、そういった中で、電子渡航制度については早期の導入が必要だということが指摘を各方面からも言われているわけでありますけれども、先日の三月二十八日の参議院予算委員会において法務大臣から、できる限り早期に導入できるように検討を加速していきたいとの発言もありました。
この制度の現在の検討状況及び導入時期の見通しについて、鈴木法務大臣にお伺いをしたいと存じます。
○鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたように、この日本版ESTA、これは、厳格化、円滑化、この両面で極めて大事なものであります。
そういった中で、この制度の早期導入が不可欠だということで、私も再三あちこちで申し上げてまいりましたし、また、出入国管理庁に対してその検討の加速を指示をしてきたところであります。
出入国管理庁におきましては、諸外国の実態調査、あるいは電子渡航認証制度の対象者等の検討を進めているほか、あるいは制度の導入までのスケジュールについても、どの程度早期の導入が可能かということを改めて検討を行ってきたところであります。
従来は二〇三〇年ということで申し上げてまいりましたけれども、その結果として、今後、電子渡航認証制度の手続あるいはシステム開発に向けた検討、これを更に加速をさせることによって、これまで想定してきた二〇三〇年よりも導入時期を前倒しをすることができる、そうしためどが立ったところであります。
まさに、急増する訪日外国人旅行者数、この対応をするために、二〇二八年度中の日本版ESTA、この制度導入を目指していきたいと我々としては考えているところであります。
○中野(英)委員 ありがとうございます。
大臣の参議院予算委員会の御発言から、やはり、何といいましても、この時期を早めていくということについて、今日の私の質問までの間にこれだけ進捗がし、二〇三〇年からというものが、二〇二八年度を目指して準備を進めているということでありますので、本当に心強く思いますし、また、これに対応していった職員の皆様方の御努力に心から敬意を表したいと存じます。
いずれにせよ、諸外国の関係や、またシステム開発、こういったことについてはやはり時間を重ねなければなりませんので、急ぎながら、そして確実に進めていただくようにお願いをさせていただきたいと存じます。
次の質問にさせていただきたいと存じます。
出入国在留管理行政をめぐっては、在留諸申請や難民等認定申請の審査の迅速化、不法滞在者の早期送還等が喫緊の課題となっておりますけれども、こうした課題に対応していくために、出入国管理庁の職員の増員による体制強化を図ることはもちろんのことながら、DXの取組を積極的に検討していくことが必要であると思いますが、この点について法務当局の御見解をお伺いしたいと存じます。
○杉山政府参考人 在留諸申請や難民等認定申請の審査の迅速化、不法滞在者の早期送還等の課題に対応していくためには、人員を含めた必要な体制整備に加えて、デジタル技術の活用等を検討していくことが重要であると考えております。
電子渡航認証制度の導入に伴い、当庁が取り扱う外国人の入国から出国までの各種情報について一元的な管理を進め、それら情報を有効に活用しながら、各種審査の迅速化、不法滞在者の効果的、効率的な摘発の実施と早期送還等を図っていくことを考えております。
まずは、電子渡航認証制度の導入に向けて準備を進めつつ、これら出入国在留DX、いわゆる入管DXの取組についても、適切な出入国在留管理行政を実現するための一体のものとして検討を進めてまいりたいと考えております。
○中野(英)委員 ありがとうございます。
是非、私も適切な出入国管理行政の実現を強く期待しておりますので、どうぞこれからも引き続きよろしくお願いをしたいと思います。
次の質問に移らさせていただきます。
退去強制を逃れ、就労することを目的として、濫用、誤用的な難民認定申請を繰り返している者が既に社会的な問題となっております。令和六年に退去強制手続等を行った外国人のうち、不法就労事実が認められた者は七六・四%に及んでいるものとデータにもあります。
このような状況を放置すれば、育成就労制度の施行にも大きな支障になると考えられます。令和五年の改正入管法で導入された送還停止効の例外をきちんと運用できるよう、難民認定申請の濫用、誤用について、より踏み込んだ具体的な施策が必要ではないでしょうか。
また、難民の審査が終われば、退去強制令書が発付されている者については速やかに送還をしなければ、何の意味もないと思います。このような者に早期送還に向けた具体的な対策はあるのでしょうか。
この点について、今の検討状況について、是非、鈴木法務大臣にお伺いをいたします。
○鈴木国務大臣 誤用、濫用的な難民認定申請を行う者も含め、送還を忌避する者の速やかな送還、これは極めて重要な課題と認識をしております。
特に、難民等認定申請の早期処理、ここについては、その運用を改善をしてしっかりとスピードアップできるように、私の方からも、適切な指示ということで、各所に行っているところであります。
また、御指摘の送還停止効の例外を適切に運用していくことということはもちろんでありますけれども、それに加えて、難民認定申請の審査の迅速化、あるいは速やかな送還、これを促進をするための方策等、これをどうやって実現をするのか、これはまさに今、恐らく、川口の話も最初御指摘されましたけれども、非常に大事なところだと思っております。
その具体的な方策、今、神田大臣政務官の下で具体的な検討を行うよう私の方からも指示をしているところでありまして、検討結果についてはしかるべき時期に公表してまいりたいと考えております。
○中野(英)委員 大臣、ありがとうございます。
是非、こういったことについては、やはり矛盾を生じないような体制づくりをしていくことがこれからの外国人の受入れのしやすい体制をつくっていくものだと思いますので、お願いをしたいと思います。
最後にもう一問、お願いをさせていただきたいと思います。
不法滞在の外国人を送還することはもとより、新たな不法滞在者の発生を防ぐためには、そもそも外国人にルールを守ってもらうことが大切であります。外国人にルールを守ってもらうために、受入れ環境整備の司令塔として入管庁はどのような施策を行うのか、鈴木大臣にお伺いしたいと存じます。
○鈴木国務大臣 二〇一八年以降でありますが、私ども法務省が司令塔機能というか総合調整機能、こういった役割を果たして、関係省庁あるいは地方公共団体との連携を強化をするということとなっておりまして、私、法務大臣を共同議長とする外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議ということで、様々、開催もして、議論もしているところであります。
こうした中にあって、まさに外国人にルールを守ってもらう、そういったことの中で、必要なこととして考える中で、政府としては、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ等に基づいて、外国人に日本のルールを正確に、正しく理解をしてもらう、これが大事でありますので、そういった観点から、例えば、ガイドブックあるいは動画の作成、公表を行っていたり、あるいは外国人支援コーディネーターの育成、認証を通じた予防的支援、あるいは外国人在留支援センターにおける相談対応などの取組を行っております。
また、令和六年度より新たに、法務省職員が、民間団体等が主催する対話型オリエンテーション、これは入国前と在留中の外国人、これを対象としておりますけれども、に参画をして、こうした対話をしながら双方向的に日本のルール、制度についての理解を得られるような、そういった取組を進めております。
いずれにしましても、しっかり責任を持ってそういった対策を進めていきたいと思っております。
○中野(英)委員 ありがとうございます。
私たち日本人もやはり外国人も双方が理解を深めていく、こういった社会をつくっていかなければならないわけでありますから、引き続き、様々な機会やメディアの活用等を通じて是非広報に努めていただきますよう、お願いをしたいと存じます。
いずれにせよ、外国人不法就労者等の問題については、多くの皆様方がいらっしゃいます。特に地方自治体は、そういった中での、外国人不法労働者の問題についてはいろいろな負担をかけてしまっているというのが今の現状でありますので、私も当時、法務大臣政務官として、川口を訪問させていただいて視察をさせていただきました。その中での現状というものを、当時市長からもお伺いしております。
そういったことを踏まえて、これから我々法務行政にある役割というのは本当に重要な役割でありますので、どうぞ引き続きお願いをしたいと存じます。
以上で私の質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
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○西村委員長 次に、内閣提出、民事裁判情報の活用の促進に関する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。鈴木法務大臣。
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民事裁判情報の活用の促進に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○鈴木国務大臣 民事裁判情報の活用の促進に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、デジタル社会の進展に伴い民事裁判情報に対する需要が多様化していることに鑑み、民事裁判情報の活用の促進に関し、国の責務、法務大臣による基本方針の策定、民事裁判情報を加工して第三者に提供する業務を行う法人の指定等について定めることにより、民事裁判情報の適正かつ効果的な活用のための基盤の整備を図るものであります。
その要点は、次のとおりであります。
第一に、政府は、この法律の目的を達成するため、民事裁判情報の活用の促進のための施策を策定し、最高裁判所は、民事裁判情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとしております。
第二に、法務大臣は、民事裁判情報の活用の促進の意義に関する事項等を定めた基本方針を定めなければならないものとしております。
第三に、法務大臣は、民事裁判情報に仮名処理等を行った情報の作成、提供、管理等の業務を行う法人を、その申請により、全国に一を限って指定することができ、指定法人は、業務規程を定め、法務大臣の認可を受けた上で、その業務を行うものとしております。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いを申し上げます。
○西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十五日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十七分散会