第11号 令和7年5月9日(金曜日)
令和七年五月九日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 堀内 詔子君
理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君
理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君
理事 鈴木 庸介君 理事 太 栄志君
理事 杉本 和巳君 理事 西岡 秀子君
英利アルフィヤ君 大空 幸星君
大西 洋平君 川崎ひでと君
神田 潤一君 坂本竜太郎君
塩崎 彰久君 新藤 義孝君
高木 啓君 広瀬 建君
松島みどり君 松本 尚君
茂木 敏充君 小熊 慎司君
亀井亜紀子君 篠原 豪君
竹内 千春君 武正 公一君
渡辺 周君 西田 薫君
和田有一朗君 臼木 秀剛君
西園 勝秀君 山崎 正恭君
阪口 直人君
…………………………………
外務大臣 岩屋 毅君
外務副大臣 藤井比早之君
外務副大臣 宮路 拓馬君
防衛副大臣 本田 太郎君
内閣府大臣政務官 友納 理緒君
法務大臣政務官 神田 潤一君
外務大臣政務官 英利アルフィヤ君
外務大臣政務官 松本 尚君
外務大臣政務官 生稲 晃子君
国土交通大臣政務官 高見 康裕君
防衛大臣政務官 金子 容三君
政府参考人
(内閣府国際平和協力本部事務局次長) 吉田 孝弘君
政府参考人
(出入国在留管理庁出入国管理部長) 礒部 哲郎君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 林 美都子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 濱本 幸也君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 山本 文土君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 三宅 浩史君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 村上 顯樹君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 町田 達也君
政府参考人
(外務省アジア大洋州局南部アジア部長) 宮本 新吾君
政府参考人
(外務省欧州局長) 北川 克郎君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(海上保安庁総務部長) 服部 真樹君
政府参考人
(防衛省大臣官房政策立案総括審議官) 廣瀬 律子君
政府参考人
(防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 家護谷昌徳君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 有馬 孝典君
政府参考人
(防衛装備庁装備政策部長) 坂本 大祐君
政府参考人
(防衛装備庁プロジェクト管理部長) 嶺 康晴君
外務委員会専門員 山本 浩慎君
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委員の異動
五月九日
辞任 補欠選任
逢沢 一郎君 川崎ひでと君
大空 幸星君 坂本竜太郎君
広瀬 建君 大西 洋平君
松本 尚君 神田 潤一君
深作ヘスス君 臼木 秀剛君
同日
辞任 補欠選任
大西 洋平君 広瀬 建君
川崎ひでと君 塩崎 彰久君
神田 潤一君 松本 尚君
坂本竜太郎君 大空 幸星君
臼木 秀剛君 深作ヘスス君
同日
辞任 補欠選任
塩崎 彰久君 逢沢 一郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)
日本国の自衛隊とイタリア共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とイタリア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)
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○堀内委員長 これより会議を開きます。
日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び日本国の自衛隊とイタリア共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とイタリア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両件審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房審議官林美都子君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○堀内委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。武正公一君。
○武正委員 おはようございます。
今日は、両条約について質疑をさせていただきます。
まず冒頭、プレボスト枢機卿がローマ・カトリック教会教皇に選ばれたこと、祝意を述べさせていただきたいと思います。
アメリカ初の教皇ということで、特にトランプ大統領がこれだけやはり世界をある面揺るがせておりますので、そうした中で、また教皇に求められるいろいろな力、これを期待をしたいというふうに思っております。
また一方、ジョセフ・ナイ氏が逝去されました。さきのアーミテージ元国務副長官の逝去に続いて、知日派、親日派と言われる方が相次いで亡くなられたこと、本当にお悔やみを申し上げるとともに、御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
改めて、こうした知日派、親日派が、特にアメリカですけれども、やはり多くのそうした親日派、知日派に出ていただけるような取組を、政府はもとより、また国会としても、日米議連、超党派でございますが、来週には立憲民主党もこうした日米友好議員連盟を立ち上げるということでございまして、ここにいる小熊衆議院議員も非常にその汗をかいていただいたということで、敬意を表したいと思います。
それでは、条約に入る前に、どうしてもここでちょっと聞かなきゃいけないので、ちょっと通告になかったんですが、お聞きをしたいんです。
自民党の西田昌司参議院議員の発言への抗議の申入れを、昨日、立憲民主党沖縄県連から立憲民主党の沖縄協議会が受けております。私も役員の一人でございます。
五月三日の沖縄での憲法記念日のシンポジウム、これは自民党沖縄県連も共催と伺っております。西田議員は、ひめゆりの塔の展示内容に対してひどいと断じ、歴史の書換えだと発言したとされています。まさに沖縄戦体験者の思いを踏みにじる発言ですが、七日の会見では発言の撤回を拒否しています。
昨日、立憲民主党の野田代表からも謝罪並びに発言の撤回を求めておりますが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 お答えする前に、私からも、亡くなられたジョセフ・ナイ先生の御逝去、心よりお悔やみを申し上げたいと思います。また、バチカンにおいて、プレボスト枢機卿がレオ十四世として新たな教皇に選出をされました。今後、新教皇の下で、我が国とバチカンとの良好な関係が一層発展することを希望したいと思います。
その上で、お尋ねでございますが、御指摘の西田議員の発言は報道等によって私も承知しておりますが、個別の議員の一つ一つの発言について政府の立場でコメントすることは差し控えたいと思います。
沖縄は、言うまでもなく、さきの大戦において一般住民を巻き込んだ苛烈な地上戦が行われて、二十万人もの多くの貴い命が失われるなど、筆舌に尽くし難い苦難を経験されたと認識をしております。
外務大臣としては、このような沖縄の歴史をしっかりと心に刻んで、引き続き沖縄の負担軽減に全力で取り組んでまいりたいと思います。
○武正委員 報道では小渕優子議員も、党の沖縄の会長として述べておられるところも報道されておりますが、特に、ひめゆりの塔に何十年も前に行った記憶で述べておられるというようなことも含めて、本当に実態を把握されないでこうしたことが述べられていること、極めて遺憾でありますし、やはりそうした、何といっても、顔を洗って出直してこいというか、本当に言いようのない発言だと思うので、政府としての立場は分かりますけれども、やはり自民党沖縄県連の共催でありますので、自民党を中心とした政府に置かれるそれぞれの閣僚においても、やはりこの点について自らのこととして臨んでもらいたいというふうに申し入れたいと思います。
そこで、両条約について伺いますが、お手元の方に資料をお配りしておりますように、大平三原則に基づいて各条約が国会で審議をされるということになっておりますが、特に、RAAもそうですけれども、まず、各国ACSAが国会に提出される理由、これについて伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 この条約が国会に提出される理由でございますか。
これは、もちろん、両国関係において、これまでも様々な防衛協力等を行ってきているところでございます。特に、物品、役務の相互の提供が円滑に行われることによって両国の防衛協力関係が一層発展をする、そのことを目的として条約を提出をさせていただいているところでございます。
○武正委員 今、大平三原則の資料をお手元にお配りしているので、大平三原則に基づいてお答えをいただきたいというふうに思います。
○岩屋国務大臣 ACSA関連国内法の共通規定化が実現した場合におきましても、これまで我が国が各国との間で締結をしてきたACSAの規定ぶりと同じ形でACSAを締結する場合には、国内法上の決済手続に関する規定を維持する必要がありますために、大平三原則に言う、いわゆる法律事項を含む国際約束に引き続き該当するわけでございます。
したがって、この場合、ACSAは引き続き国会で御審議いただくことになり、大平三原則の趣旨にのっとった形になっているということでございます。
○武正委員 この資料を見ていただくと分かるように、二段目に、国会承認条約の第一のカテゴリーとしては、いわゆる法律事項を含む国際約束、三段目には、次に、第二のカテゴリーとして、いわゆる財政事項を含む国際約束、そして第三のカテゴリーとして、こうした法律事項、財政事項を含まなくても、我が国と相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束、この三つが大平三原則に言う国会で承認を求める条約とされておりますが、この第一のカテゴリーであるということが今大臣からもお答えをいただきました。
ということは、今回、この条約の関連法案、既に衆議院で可決をして参議院に送付をされておりますが、防衛省設置法改正案、RAAも同様でございますが、今大臣が言ったように共通事項化ということで、これまで国ごとに法律に記載をして、条約が提出されたら必ず法律も、衆議院でいえば安保委員会に提出をされるということが、今後、共通事項化によって法案は提出されなくなる。国会とすれば、この外務委員会でしかACSAの条約については審議ができなくなる。これが非常に大きな今回の見直しになってくるというふうに拝察をいたします。
とすると、第一のカテゴリーにあります法律事項を含む国際約束だから国会の承認を求めるんだということと、今回の共通化によって、もう法律は新たに提出をしない、審議はしないということと矛盾があるのではないかと考えますが、御所見を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 防衛省が今国会に提出している改正自衛隊法第百条の九が御指摘の規定に当たるわけでございます。百条の九、全部読みませんけれども、「法律に別段の定めがある場合を除き、当該締約国との間の物品役務相互提供協定の定めるところによる。」というのが百条の九に当たるわけでございます。この規定を維持することによって、ACSAの実施に当たって自衛隊が物品又は役務を提供する際の決済手続がACSAの定めるところにより行われることになるわけでございます。
先ほど申し上げたように、これまで我が国が締結してきたACSAと同じ形でACSAを締結する場合には、これまで同様に国会で御審議をいただくことになるわけでございます。
○武正委員 私の指摘は繰り返しませんが、やはり大平三原則の第一のカテゴリーは法律事項を伴う条約は国会で承認をという、その法律事項が今回の共通事項化によって、衆議院の安保委員会にはこれからはもうACSAの条約を結んでも法律は提出しなくてもいい、安保委員会では審議しなくてもいい、これはこの大平三原則の第一のカテゴリーと矛盾するのではないですかということなんですが、お答えいただけなかったということでございます。
それで、防衛省がお見えでございますので伺いたいと思いますが、法案審議が、新たにACSAあるいはRAAが結ばれたときに国会関与が弱まることについてどのように担保をするのか。既に、衆議院本会議で我が党の篠原衆議院議員の質問にもお答えになっておられたり、あるいは衆議院安保委員会での附帯決議、こうしたことを踏まえて、今日は防衛大臣の出席もお願いしたんですが、かなわなかったんですけれども、今後、両条約の審議で、例えばこの外務委員会に防衛大臣が出席することなども含めて、どのように国会の関与を、法案が審議されなくなる中で担保をされるのか、防衛省としてお答えいただきたいと思います。
○本田副大臣 お答えいたします。
今後締結されるACSAが、先般衆議院にて可決された防衛省設置法等の一部を改正する法律案の範囲内となる場合、また、今後締結されるRAAが、先般成立したRAA実施法の範囲内となる場合には、これらの実施のための法整備が必要となることはございません。
ただし、新たなACSAやRAAに、仮にこれらの国内実施法の範囲内にとどまらない内容がある場合には法整備が必要となってまいります。
その上で、国の防衛政策について、国会議員の皆様に対する丁寧な御説明を通じて国民の皆様の御理解を得ることは極めて重要であり、また、附帯決議の御趣旨であるかと考えております。
防衛省といたしましては、今国会での法案の採決に当たりまして、御決議いただいた附帯決議を踏まえ、新しくACSA又はRAAが署名された際に、それらが自衛隊法に規定するACSA又はRAA実施法に規定するRAAに含まれることが想定される場合には、遅滞なく御決議をいただいた委員会に報告をし、御意見を求めたいと考えております。
また、お尋ねの、防衛大臣の外務委員会への出席といった具体的な国会運営に関することにつきましては、国会において御判断されるものと承知しておりますが、いずれにいたしましても、防衛省としては、国会における質疑に当たっては、答弁者が誰であっても丁寧な説明に努めていく所存でございます。
○武正委員 外交、安全保障、日本を取り巻く環境が非常に大事な時期であるだけに、防衛省、外務省、そして政府の国会への説明、また、国会の関与はより強めていく様々な工夫が今特に必要ではないかということを申し上げておきたいと思います。
続いて、日伊ACSA第一条第一項e、「それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動」に存立危機事態を法理的に含むか、実際の存立危機事態における物品又は役務の相互の提供を想定しているか、存立危機事態の想定における物品又は役務の相互の提供について協議をしたか、外務省に伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 日伊のACSAが適用される対象には、法理上は、存立危機事態の下での自衛隊とイタリア軍隊との間の物品、役務の提供も含まれます。
その上で、現実の事態に際して、いかなる国といかなる協力を行うかにつきましては、関係国からの具体的な協力要請や国内法令の要件等を踏まえて、我が国として主体的に判断することになります。したがって、ACSAを締結することをもって、イタリアとの間で存立危機事態における協力について具体的な想定がなされているということではございません。
また、イタリアとの間では、日伊ACSAが適用される対象には、法理上は、存立危機事態の下での自衛隊とイタリア軍隊との間の物品、役務の提供も含まれることを確認をしておりますけれども、これをもって、イタリアとの間で存立危機事態における協力について具体的な想定がなされているということではありません。
これまでの自衛隊とイタリア軍隊との活動実績を踏まえますと、実際に日伊ACSAの適用が想定される活動の典型例としては、共同訓練、PKOへの協力を始めとする国際平和協力業務、人道的な国際支援活動、大規模災害への対処などであると考えております。
○武正委員 今例示されました中で、共同訓練においては、この存立危機事態は含まれるんでしょうか。
○岩屋国務大臣 存立危機事態を想定した共同訓練をするかという意味でございますか。
それは、今想定しているわけではございません。
○武正委員 防衛副大臣にお伺いしますが、日伊間で存立危機事態を想定した訓練や存立危機事態における協力について協議をしているかどうか、伺いたいと思います。
○本田副大臣 お答えいたします。
イタリアとの間では、両国間の防衛協力を進展させるべく、様々なレベルにより防衛当局間で協議をしておりますが、現時点において、日伊間で存立危機事態における行動を前提とした訓練や協力について決まった計画はございません。また、現時点において、日伊間で存立危機事態における行動を前提とした訓練や協力について協議を行う予定はございません。
○武正委員 ありがとうございます。
じゃ、防衛副大臣、御退室ください。
○堀内委員長 本田防衛副大臣におかれましては、御退室いただいて結構でございます。
○武正委員 ありがとうございます。
続いて、RAAについて、合同委員会議事録について伺いたいと思います。
日比、フィリピンRAAでも合同委員会を設けることになっておりますが、既にRAAが、条約が締結をされている日豪、日英は、合同委員会議事録を作成することについてどのような決定がなされたのか。作成することを決めたならば、公表についてはどうなったか。また、公表されていないとすれば、その理由は。また、日本政府が公表しないとしたとすれば、その理由を。
これは相手があることですから、豪州との間で、あるいは英国との間で、あちらの主張ということで日本がそれを認めたということなのか、伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 日豪及び日英間の部隊間協力円滑化協定、RAAにおきましては、当該協定の実施に関して相互間の協議を必要とする全ての事項に関する両締約国間の協議機関として、合同委員会を設置することとされております。
日豪の合同委員会第一回会合は協定の発効直後の二〇二三年八月、日英の合同委員会第一回会合は協定発効直後の二〇二三年十月に、それぞれ実施をしております。それぞれ議事録が、相手国との間で確認の上、作成をされております。
その上で、合同委員会に関する事項につきましては、日豪、日英で、双方の同意がない限り開示しない旨が決定されております。議事録につきましても、相手国との協議を踏まえて、不開示を前提として作成された文書であり、公表をしておりません。
この不開示を決定した理由ですけれども、相手国との協議を踏まえまして、相手国との忌憚のない意見交換や協議を確保するためでございます。こうした対応は、他国との信頼関係が損なわれるおそれがある場合には、情報公開請求に対して行政文書を不開示とできると定めた情報公開法の趣旨とも整合的なものであると考えているところでございます。
○武正委員 前段の方は相手の理由でしょうか、開示しない理由というのは。両方で合意をしたということなんですけれども。
私は、やはりこうした合同委員会の議事録は公開すべきという立場で申し上げているので、再三、外務大臣あるいは総理も、こうした合同委員会、これは日米合同委員会の議事録ですけれども、公開するよう努力をすると。努力をするということは、相手側に対して何かオファーをしないと、これは合意にはならないわけですから。
例えば、こうした、今回も、日比、フィリピンのRAAでも同様のことがまたこれから行われるわけなので、やはり日本とすれば、何らかのルールで、国民の皆さんに要らぬ不安を与えないためにも、合同委員会の議事録は公開しようじゃないかというふうに日本側から呼びかけていかないと、いつもこういったやり取りで終わってしまうと思うんですが、外務大臣として、ちょうどまたこれで、日本とフィリピンでこうした条約を結ぶわけなので、そうしたお考えがおありになるか、また外務省としてそうした考えで臨もうというふうにお考えになるか、伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 先ほど申し上げたように、非公表としているのは、相手側との協議の上で、やはり忌憚のない意見交換や協議を確保するためには、基本的に非公表とするという合意に至った次第でございますが、委員が御指摘のように、同意が得られれば、できる限り公表をしていくという姿勢は必要だと考えております。
日比の場合は、これから合同委員会が、これがお認めいただければ、つくって、様々な協議、情報の取扱いについても行っていくということになりますので、その協議の上で決定していくということになりますけれども、御指摘の趣旨を踏まえた考え方はしっかりと持っておきたいというふうに思っているところでございます。
○武正委員 日比についてもうちょっと詳しくお聞きしますけれども、例えば、日比RAAに基づく合同委員会の議事録の扱い、合同委員会の組織、開催日時、議題、合意内容などの公表についてはいかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 先刻も申し上げましたが、御指摘の合同委員会の組織構成につきましては、協定の二十七条の4において、「各締約国の代表者をその共同議長とする。」旨規定をしております。この各締約国の代表者は、両国政府間で今後調整する予定でございます。
そして、御指摘の議事録の扱いについても、この協定は、合同委員会を通じた協議に際しての議事録の作成については特に規定をしておりません。仮に議事録を作成した場合の取扱いについては、両国間で調整の上、協定発効後に合同委員会で正式に決定をすることになります。
合同委員会の開催については、もちろん何らまだ決まっておりませんけれども、会合を行う場合は、協定発効後となります。また、会合を実施する場合の議題は、必要に応じて両国間で調整をすることになります。
合同委員会における具体的なやり取り、作成される書類や、取決めを含む決定事項、その他の合同委員会に関連した情報の扱いについては、日・フィリピン間で調整の上、協定発効後の合同委員会で正式に決定することになるわけでございます。
○武正委員 日比については、日本側の交渉担当者というか責任者はまだ決まっていないということなんですが、日英、日豪のRAAの責任者、担当者はどなたなんでしょうか。もし分かれば、教えていただきたいと思いますが。
○岩屋国務大臣 日豪の合同委員会、それから、まあ、それぞれ、日本側は、いずれも外務省の局の幹部が出席をしているところでございます。
○武正委員 局の幹部ということは、個別具体的にその役職名でこの人と、たしか日米合同委員会の場合は外務省の北米局長だったでしょうかね、そういった役職で、たしかそれぞれ担当が決まっていたというふうに記憶をしているんですが、日豪、日英のRAAではそういった形ではない、また、日比もそういった形ではないということでしょうか。
○岩屋国務大臣 担当の審議官が代表になっているということでございます。
○武正委員 是非、日比については、その担当の審議官から、合意議事録の公表などについて、より積極的な日本側からの提案をお願いしたいというふうに思います。
それで、先ほども触れましたが、二月十三日の私の衆議院本会議での質問に、石破総理は、日米合同委員会の議事録、これは、外務省がちょうど民主党政権のときに始めております外交文書の三十年公開ルールにのっとって、日米合同委員会の議事録も公開すべきであるという質問に、前向きに努力をする旨の答弁をしていただいておりますが、再度、外務大臣に、この公開について、三十年公開ルールについて御所見を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 一九六〇年の日米合同委員会合意におきまして、合同委員会の議事録は、日米双方の同意がなければ公表されないとされております。これは、日米間のまさに忌憚のない意見交換や協議を確保するためでございます。
その上で、日米地位協定の運用を含む日米間の様々な外交上のやり取りにつきましては、国民の皆様に丁寧に御説明する観点からも、今後とも、日米間で最終的に一致するに至った合意のうち、公表できるものは公表するように努めてまいりたいと思います。
○武正委員 せっかくなので、先ほどの日米合同委員会の日本側の責任者はどなたなのか、お答えいただけますでしょうか。
○岩屋国務大臣 北米局長でございます。
○武正委員 是非、北米局長には、この日米合同委員会議事録の三十年公開ルールについてアメリカ側に提案をお願いしたいというふうに思いますが、外務大臣、いかがですか。
○岩屋国務大臣 先ほど申し上げましたように、協議の上、最終的に一致するに至った合意のうち、公表できるものは公表するように努めてまいります。
○武正委員 重ねて申し上げますが、こっち側からオファーしないと、合意を待っていたら、いつまでたっても合意できないわけなので、やはり日本側の積極的な対応が必要だということを申し述べておきたいと思います。
それでは、この両条約についてはまたそれぞれ同僚の委員あるいは外務委員の皆さんにお譲りさせていただいて、日米交渉を伺いたいと思います。
外務大臣、第二回日米交渉では、自動車及び自動車部品へのいわゆる二五%関税措置、もう五月三日に自動車部品には発動されておりますが、これについて協議をしたのか伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 今回の協議における議論の詳細については、外交上のやり取りであるので差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で申し上げれば、協議においては、両国間の貿易の拡大、非関税措置、経済安全保障面での協力などについて具体的な議論を深めることができたと承知をしております。
我が方としては、相互関税を含む全ての関税措置についてこれを遺憾としているわけでございますから、当然、そういったものも含まれていたものというふうに考えております。
○武正委員 この場でも申し上げましたが、自動車・自動車部品への二五%関税措置は日米貿易協定違反としてWTOへの提訴も検討すべきではないかと申し上げております。これについて再度伺いたいのと、また、トランプ政権になって、米国を今回の関税措置について提訴した事例があるのかどうか、これも併せて伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 今般の米国の関税措置については、まず日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有しておりまして、これも繰り返し米政府側に伝えております。
その上で、今後の対応については、具体的な検討状況をつまびらかにすることは差し控えますが、何が日本の国益に資するのか、どの選択肢も捨てているわけではありませんけれども、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかを考えながら、考えてまいりたい。WTOに対する提訴についてもそうでございます。
第二期トランプ政権発足以降に取られた米国の関税措置については、これまでに中国とカナダが、WTO協定違反を根拠として、WTOの紛争解決手続に申立てを行っていると承知をしております。
○武正委員 先日、カナダのカーニー首相もトランプ大統領と会談をして、やはり記者からの質問で、五十一番目の州はということで、トランプ大統領がそういう可能性はあると言って、途端に両首脳の間で厳しいやり取りが始まっているというのも報道されておりますが、しっかり言うべきことを言っているなというふうにカナダの国民は受け止めたのではないでしょうか。
そこに行きますと、日本は本当にトランプ大統領に言うべきことを言ってきているのか、また、日米交渉でもそうなのか、固唾をのんで見守って、また、立憲民主党の野田代表からも、石破総理また各党の代表、党首に、是非国会決議を、国会としてやはりバックアップしようじゃないか、オール・ジャパンでいくにはやはりそれが必要ではないかということなんですが、なかなか調わないようですけれども。
ただ、二回目の交渉で、自動車・自動車部品が交渉の対象外と聞いて、本当にみんなびっくりしたというか、残念というか、一体何なんだというふうに思っていると思うんですね。場合によっては、ちゃんとやっていますよというのがこれから発表されれば、こんないいことはないんですが、もし本当にそういったことであり、また、昨日のイギリスとアメリカの合意については、十万台、イギリスからの輸出の車について一〇%の課税ということで合意ということですが、日本の場合は百四十万台輸出をしている。また、経済産業省からお答えいただいたように、カナダそれからメキシコから迂回しての輸出というのも含めますと、更にその台数は多くなってくるはずなんですね。
今日、この前に、立憲民主党での通商対策本部で伺うところでは、アメリカへの輸出について、自動車部品が中心だと思いますが、もういろいろ手続が煩雑で、いろいろな計算も難しいので、もし関税の納める額が低かった場合には、それで罰せられるということを避ける意味で、アッパーの二五%で納税をしているということが既に日本の自動車メーカーあるいは部品メーカーで行われているということも、先ほど、たしか経産省だったかな、そういうお答えがありました。
こういったことが実際にあるわけですし、これは非常に、閣僚会合、次回は五月中旬以降ということで、場合によっては外務大臣もというようなことも含めて、かなり多くの閣僚が協議に臨む可能性もあるわけですので、是非、強い対応がやはり必要ではないかというように思っております。
昨日、欧州委員会は、米国との関税をめぐる交渉が不調に終わった場合、新たに一千億ユーロの報復措置を明らかにしております。世界貿易機関に紛争解決を正式に求めるとしたというふうに報じられておりますが。
ちょうど昨日、第六回日・EUハイレベル経済対話において、WTOを中核としたルールに基づく多角的自由貿易体制を維持するための日・EU間連携の重要性を再確認したと、外務大臣あるいは外務省が発表されておりますが、改めてこうした、EUとの連携もやるんだ、EUと一にWTO改革にも努めるんだと。
先ほどの紛争処理についても、上級委員会がスタックしている、止まっている状況についても、有志で何とかこのスタックしている、止まっている上級の委員会を動かす新たな裁判官みたいな人を選ぶなども含めて今やっていますという話も、先ほど外務省からも伺っておりますが、再度、外務大臣、やはり強い姿勢でここは臨んでいくべきではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
○岩屋国務大臣 まず、昨夕開催いたしました日・EUハイレベル経済対話に触れていただきましたが、昨日の対話におきましては、WTOを中核とするルールに基づいて、多角的自由貿易体制を維持するための日・EU間の連携の重要性、それから、経済安保を確保していく上で、日・EUを始めとする同志国が連携することの重要性を確認をしました。その中で、委員御指摘のWTO改革についても議論を行ったところでございます。
その上で、日米の関税協議に戻りますと、様々な選択肢はテーブルの上に置いておりますけれども、目的は米国政府による関税措置の見直しを実現することでございますので、どういう方法が最も効果的なのか、そのことを考えて、最も適切な対応を取っていきたい。国会からの御支援も是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。
○武正委員 是非、強い対応を今必要としているのではないかというふうに思いますし、今、国会からのということなので、今日、それぞれ各党の外務委員の皆さんもお見えですので、是非、国会として、このWTO、オール・ジャパンで応援できる、また、交渉チームが、あるいは赤澤大臣が背中をしっかりと押してもらっているというふうに思えるような、やはり国会決議が必要なんではないかということを再度御提案をさせていただき、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、篠原豪君。
○篠原(豪)委員 篠原豪でございます。
本日は、外務委員会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
この根拠法である自衛隊法の改正案につきましては、本会議でも登壇をさせていただきまして、質問をさせていただきました。
その上で、今日は、いろいろとこの内容について、誤解ではないですけれども、やはり国民の皆様がどう思われるかということについて、ちょっと基本的なところから伺わせていただきたいと思います。というのは、議事録を見ていますと、こういった基本的なところがしっかりと整理されていないということがちょっとありますので、やらせていただければと思います。よろしくお願いします。
このACSA、物品役務相互協定ですけれども、これは部隊間レベルで物品や役務を相互融通するために不可欠な協定で、したがって、物品、役務を提供する根拠法であると考えている方がどうも多いようなんですが、事実は、ACSAとは、締約国それぞれの国内法令に基づいて実施される物品、役務の提供に際して適用する決済手続等の枠組みを定めるものであります。したがって、物品、役務の提供の根拠はあくまでも国内法でありますので、質疑を通じて、これを分かりやすく聞かせていただきたいと思います。
そこで、まず、自衛隊と他国軍隊との間で物品、役務を提供する際の根拠となる国内法の名称と根拠条文を、それぞれの事態に応じて、活動ごと、つまり、武力攻撃事態、存立危機事態、重要影響事態、国際平和共同対処事態、そして、国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動、人道的国際救助活動、大規模災害への対処のための活動、海賊対処行動、平時の共同訓練、連絡調整等の日常的な活動に分けて教えていただければと思います。
○本田副大臣 お答えいたします。
御指摘の活動に関連しまして、我が国がACSA締約国の軍隊に物品、役務を提供する根拠となる条文について申し上げますと、武力攻撃事態等及び存立危機事態における活動に関しましては、米軍等行動関連措置法第十条。重要影響事態における活動に関しては、重要影響事態法第六条第一項及び第二項等、船舶検査活動法第五条第七項。国際平和共同対処事態における活動に関しては、国際平和支援法第七条第一項及び第二項等、船舶検査活動法第五条第七項。国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動、人道的な国際救援活動に関しては、PKO法第九条第四項。大規模災害への対処のための活動に関しては、海外の災害につきましては、自衛隊法第百条の六第一項第八号及び第二項等、我が国の災害については、自衛隊法第百条の六第一項第五号及び第二項等。海賊対処行動に関しては、自衛隊法第百条の六第一項第三号及び第二項等。共同訓練については、自衛隊法第百条の六第一項第一号及び第二項等。連絡調整等の日常的な活動については、自衛隊法第百条の六第一項第十号及び第十一号並びに第二項等といった条文となっております。
○篠原(豪)委員 それぞれの実施件数について、これまでの状況を教えてください。
○本田副大臣 各事態や活動ごとの直近五年間の実施件数につきましては、平時の共同訓練は八百十四件、連絡調整等の日常的な活動は二千百三十五件、海賊対処は三百四十件、大規模災害への対処のための活動は六件となっております。
○篠原(豪)委員 今お話をされていたのは、二点、要点がありまして、物品、役務の提供根拠は今おっしゃっていただいた国内法であるということと、実際にこの五年間、どのような、それぞれの事態や活動ごとに実施をされたかということを聞かせていただきましたけれども、実際に行われたのは、大規模災害等への対処活動、海賊対処行動、平時の共同訓練、そして連絡調整等ということでございまして、つまり、武力攻撃事態、存立危機事態、重要影響事態も入らないんですけれども、PKO活動、国際連合平和維持活動、人道的国際救援活動、そして国際連携平和活動についても行っていないということなので、まず、このことを確認させていただいたことは大切なことだと思います。ありがとうございました。
次に、ACSAの未締約国への物品、役務提供についてお伺いします。
ACSAの締結をしていない国の軍隊であっても、物品、役務の提供だけは可能とされています。いますけれども、ACSAに代わってそれを可能にする法律名と関連条文を教えていただければと思います。
○坂本政府参考人 お答えを申し上げます。
物品の提供に関しましては、ACSAを適用しない場合でありましても、例えば、物品管理法第二十九条の規定に基づきまして、防衛省の事務事業に支障を及ぼさないと認められるものであれば貸付けを行うことができます。この場合は、財政法第九条の規定によって、有償により貸付けとなるものでございます。また、役務の提供につきましては、それぞれの活動に付随するものとして、各活動の根拠規定に基づきまして実施できるものと考えてございます。
なお、実際に提供を行う場合には、物によっては防衛装備移転三原則上の制約を受ける場合もございます。
○篠原(豪)委員 もう一つ関連してお伺いしたいんですけれども、もしこれを、ACSAが存在しない場合は、特段の反対給付は受けないことになるということでよろしいんでしょうか。また、受けないということになれば、ACSAを結ばないことで日本が不利益になるということは考えられるんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、物品につきましては、財政法の規定によりまして、これは有償という形になってございます。
それから、役務に関しましては、提供の実施はそれぞれの活動の根拠法に基づいて行いますけれども、償還につきましては特段の根拠法がございませんので、これは償還は行われないということでございます。
○篠原(豪)委員 特段の反対給付は受けられないということですね。
ACSAがあった場合は、通常の財務手続よりも迅速かつ柔軟な提供が可能になるとされていますけれども、具体的にどのように手続が異なるのか御説明ください。
○本田副大臣 ACSAがあることによりまして、各種の制約が緩和されまして、物品、役務を提供する際の手続が簡素化されます。
具体的に申し上げますと、物品管理法及び財政法の規定に基づく物品の貸付けは、貸し付けても国の事務事業に支障を及ぼさないと認められるものについてのみ認められますが、有償での提供となります。このため、貸付料等の適正な対価について、相手方とその都度交渉をした上で徴収するという必要が生じてまいります。
これに対しまして、ACSAを定め、ACSAに基づく手続による場合には、無償での物品の提供が可能となり、物品管理法に基づく場合と比べ、物品、役務を提供する際の手続も交渉が不要になるなど、より簡素化されることとなります。
○篠原(豪)委員 ちなみに、あるとないので、どのぐらいの遅れが生じるんでしょうか。分かりますか。
○本田副大臣 お答え申し上げます。
ただ、具体の事案によって異なると思いますし、その交渉の内容によりますので、ここで具体的に何日遅れるということまで申し上げることはできませんが、やはり、交渉が不要になるという意味では、簡素化されると理解しております。
○篠原(豪)委員 これまでの実績からすると、数日から数週間遅れるというふうに聞いていますので、そういうことなんだろうと思っております。
ACSAが未締結の場合でも、物品、役務の提供範囲は、ある場合と同じと考えていいのか、何らかの制約があるのか、お答えください。
○本田副大臣 ACSA未締結の場合でありましても、防衛省・自衛隊側と相手国との間で合意された範囲内で実施されることから、ACSA未締結の場合でも、提供の範囲に制約があるわけではありません。
その上で申し上げれば、先ほど参考人からも答弁を申し上げましたとおりでありますが、物品の提供であれば、例えば、物品管理法第二十九条の規定に基づきまして、防衛省の事務事業に支障を及ぼさないと認められるものであれば貸付けを行うことができます。また、役務の提供については、それぞれの活動の根拠を基に実施できるものと考えております。
なお、実際に提供を行う場合には、防衛装備移転三原則上の制約を受ける場合もあり得るということは変わりはございません。
○篠原(豪)委員 平時の訓練とか共同演習の場合、通常はできない、また個別の調整が必要になるということだと思いますので、それぞれ手間がかかるんだろうというふうに思っています。
ACSAは、アメリカと他のNATO軍との間で、兵たん支援、補給品、サービスの交換を簡素化するためにそもそも制定された協定で、我が国は一九九六年に初めて締結をしています。以降、ACSAに基づいて物品、役務の相互提供が行われてきた歴史がありますが、それまでは、ACSAに基づかずに、自衛隊が一方的に米軍に物品、役務の提供を自衛隊法等の規定によって行ってきたとされていますが、それまでのその実施件数というのを教えてください。
○本田副大臣 ACSA締結以前に米軍に対して行った物品、役務の提供につきましては、平成三年のペルシャ湾における機雷除去等の活動に際して、海上自衛隊の艦艇が機雷除去等を実施している米軍の艦艇に対して、物品管理法に基づいて燃料を提供したことがございます。
○篠原(豪)委員 ここまで言及がある中で、米軍等行動関連措置法の第十条、これは防衛出動を命じられた自衛隊が相互融通する物品、役務として補給というのが規定されていますが、仮に日本が有事になった場合にも、その補給には武器の提供を除くというふうにされています。
その理由として、政府は、これは二〇二三年五月九日の参議院外交防衛委員会での答弁ですけれども、米国軍との協議の中でも、特に武器につきましてはその支援ニーズがなかったことを踏まえ、ACSA締約国との間では相互に提供する物品に武器を含めないこととしてきたと答弁しています。この米側の判断の背景には、合衆国軍需リストというのがあって、これが日本を含む同盟国に対して、誘導弾等の高機能兵器の提供を制限していることがあるんだろうと考えています。
しかし、近年、日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなり、我が国も、長年専守防衛に反するとみなしていた長距離ミサイルの配備に踏み切り、また、米国との間でもアメリカのトマホークを共同生産することが計画をされ、結果的に提供されることになったことを踏まえると、単にニーズがないとも言えない情勢になってきているのではないかと思います。
昨年、日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議、DICASですけれども、これが新設されている中で、日本有事であっても、武器提供を除くを今後とも維持するのか。その場合に、理由はどういうふうに考えているのかということを、現時点で政府から教えていただければと思います。
○本田副大臣 米軍等行動関連措置法に基づく、自衛隊による行動関連措置としての物品及び役務の提供に関し、「(武器の提供を行う補給を除く。)」との規定については、米軍及び米軍以外の外国軍隊が自衛隊から武器の提供を受けることを必要とするような状況が想定し難いということから、同法に定める自衛隊による物品及び役務の提供から除外されているところであります。
その上でですが、御指摘のような国際情勢を鑑みますと、防衛上のニーズについては、委員御指摘のような厳しさを増す安全保障環境を踏まえながら、不断に検討を重ねてまいりたいと考えております。
○篠原(豪)委員 AUKUSとか、先端技術協力が今現実化している中でありますので、そういった中で、高機能兵器の提供を制限するかどうかというのは、これは議論になっていくんだと思いますので、その辺をこれからもしっかりと議論させていただきたいと思っております。
次に、アメリカの遠征前進基地作戦の兵たん支援の問題について少し伺いたいと思いますけれども、ACSAは、あくまでも兵たん支援に関する協定であり、いかなる軍事行動への関与を国に義務づけるものではないとされています。
ところで、二〇二三年の十一月に第一二海兵沿岸連隊に改編された海兵隊が、部隊を分散して南西諸島の島々に展開し、島々を移動しながら中国軍を攻撃し、制海、制空権の獲得を目指すということになっています、この遠征前進基地作戦を遂行するに当たって、自衛隊の補給活動、具体的には、米軍の装備品の修理に使う部品の調達、弾薬の相互融通、燃料補給と輸送を期待している旨を司令官は述べています。
そして、この海兵隊が展開する第一列島線はまさに中国のミサイルの射程圏内にありますので、たとえ補給活動の場所が現に戦闘行為を行っている現場ではないとしても、いつ自衛隊が中国からミサイル攻撃を受けてもおかしくないんじゃないかというような指摘もあるわけです。
兵たん支援であっても、実質的に軍事活動とは一体化をし、武力行使の一体化論の延長線上にある問題に、そのようになってくると発展してくるのではないかというふうにも思います。その際に、このような補給活動が、アメリカが求めていることについて、日本としては、憲法九条との関係からどういうふうに考えられるのかということについて、現時点での考え方を教えていただきたいと思います。
○本田副大臣 いわゆる他国の武力行使との一体化については、我が国が憲法九条により武力の行使を行うことが許されない場合において、我が国が行う他国の軍隊に対する補給、輸送等、それ自体は直接武力の行使を行う行動ではありませんが、他国の行う武力の行使への関与の密接性等から我が国も武力の行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得るとするものでございます。そのような武力の行使と評価される活動を我が国が行うことは、憲法第九条により許されないという考え方に変わりはございません。
その上で、ACSAの対象となる活動の場面ごとに申し上げますと、まず一つ目として、訓練、大規模災害対処、参加五原則の下で我が国が参加しているPKO活動などにおける協力の場面では、基本的に他国軍隊による武力の行使は想定がされないということから、一体化の問題は生じないと考えられております。
次に、重要影響事態や国際平和共同対処事態における協力の場面においては、それぞれ重要影響事態法、国際平和協力支援活動法において現に戦闘行為が行われている現場では支援活動を実施しないことなどを規定しており、支援活動が他国の軍隊の武力の行使と一体化することがないようにそもそも措置をしております。
さらに、武力攻撃事態等における協力の場面では、武力の行使の三要件を満たす場合には我が国が武力の行使を行うことが許され、その場合には基本的に他国の武力の行使との一体化それ自体が問題とはならないと考えております。
したがいまして、関係する国内法に従って行う自衛隊の支援活動については、憲法上の問題を生じることはないと考えております。
○篠原(豪)委員 現在のところはそういうことは生じないというふうに考えているということなんですけれども、このEABO、遠征前進基地作戦はアメリカの海洋プレッシャー戦略の下に行われるんですが、中身を見てみますと、かなり犠牲を覚悟した上での作戦の考え方というふうになっていますので、改めて、このことについては、やはり憲法上どうなっていくかという議論は出てくるんだと思いますので、その際にもしっかりとした議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、イタリアとのACSA協定の意義です。
ウクライナ侵略をしているロシアに、北朝鮮は、大量の砲弾や一万名を超える兵員をロシアに送って、中国も、エネルギーの輸入や精密部品の供給を通じてロシアの継戦能力を支えて、そして、軍事、経済のあらゆる面で団結を強めている状況です。同時に、ロシアがウクライナの領土を獲得すれば、東アジアにおける中国の力による現状変更の試みを肯定する事態につながりかねないということでございます。
その結果、仮に台湾有事が発生するといったことになれば、アメリカはアジアにかかり切りになると思われますので、ヨーロッパの安保の最前線に立つウクライナに関与することができなくなるということがやはり心配されてきているということでございます。ロシアにフリーハンドを与えているということになれば、これは非常にまずいと。
このような、欧州とインド太平洋の安全保障は、だから、やはり一体化しているんだと考えています。とりわけ、NATO主要国が艦艇等をインド太平洋に派遣をし存在感を高めることは、中国に対する強力な抑止力になるということで、今実際にやっているわけでありまして、一方で、肝腎なのはNATOの諸国の対中脅威認識で、これがなければ対中抑止策というのは利かないわけです。今そういう状況に変わってきているんだと思います。
その上で、この対中脅威、ヨーロッパの中で、二〇二二年の六月にNATO首脳会議で採択されたストラテジックコンセプト、新戦略概念で初めて中国を名指しをして、中国の明示的な野心と強圧的な政策は、我々の利益、安全保障、価値に対する挑戦であるというふうに位置づけています。これまでは、それ以前は、ヨーロッパの対中政策はかなり融和的なものでありましたので、これは大きな転換だというふうに思っております。
イタリアは、もうこれは御存じのように、二〇二三年までは一帯一路に参加していまして、同じ年に、インド太平洋におけるイタリアの関与という文書も発表したということでございます。この中国との経済的な結びつきを強めていくということについて、これをどのように評価しているのか、政府のお考えをお聞かせいただければと思います。
○岩屋国務大臣 委員が御指摘のとおり、今や、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は密接不可分だというふうに考えております。
イタリアですが、イタリアは、ドラギ前政権下の二〇二二年に「イタリアのEUインド太平洋戦略に対する貢献」と題する文書を公表をして、インド太平洋地域における具体的協力案件を公表しました。
一方で、イタリアは、これも御指摘があったように、中国の一帯一路について、二〇一九年に参加を表明したものの、二〇二三年十二月には離脱を通知したと承知をしております。また、メローニ首相が昨年七月、また、マッタレッラ大統領が昨年十一月に中国を訪問するなど、中国との間の貿易赤字を解消すべく、経済関係の強化を重視しているということも承知をしております。
私どもとしては、イタリアと第三国の関係について評価することは控えたいと思いますけれども、日本とイタリアとの間では、戦略的パートナーシップの下に、二〇二四年に発表した日伊アクションプランに基づいて、安全保障、経済など幅広い分野で二国間関係を強化しつつ、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けても協力していくという考えを示しているところでございます。
○篠原(豪)委員 イタリアは、戦略的に距離を取りつつ、経済関係についてはやはり協力をしていくというところだと思いますので、我々はこれからまさにACSAを結んで様々な関係強化をしていくという中で、そのように考えている国でもあるということなので、しっかりとした日本としての立場を強化していっていただくためにも発言をしていっていただきたいと思いますので、そして、それできちっと理解していただけるようにしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、二〇一七年に発表したアメリカの国家安全保障戦略で、トランプ政権はアメリカ・ファースト、米国第一を前面に出したのはもう皆さん御存じのとおりでありますけれども、これは、オバマ前政権の国際協調主義を否定したものであります。トランプ政権になって、アメリカが国際社会で率先して指導力を発揮しようとしなくなったことで、それを補完するイニシアティブをどう取っていくのかということが大事だということでございます。
日本政府は、日米同盟をもちろん基軸としながらも、米国への過度な依存を避けるため、仲間を増やすことで危機を未然に防ぐ、そして、不測の事態にも迅速に対応するということが必要ですけれども、その仲間というのは、法の支配、民主主義、自由貿易主義といった価値観を共有するこの欧州諸国にほかならないというふうに思っているわけです。
日米同盟を補完する準同盟関係の強化が日本の外交、安全保障のもう一つの基軸だということは、これまでもおっしゃられていると思いますけれども、改めて、今、先ほどの質疑にもありましたけれども、このタイミングで、今イギリスの話もありましたし、提訴するような話もありました。EUはWTOに提訴すると言っていますので、トランプ関税のことについては。ですので、そのことについて、どういうふうに考えているのかというのをもう少し踏み込んで教えていただければと思いますので、お願いします。
○岩屋国務大臣 我が国は、今、戦後最も厳しいと言っていい安全保障の環境、また複雑な安全保障環境に直面をしているわけでございます。その中にあって、自由で開かれたインド太平洋を実現をしていくということからしても、日米同盟が我が国の外交、安全保障の基軸であることは、今後とも基本的には変わらないと考えております。
その上で、まさに同志国、同盟国との関係強化を幅広く図っていかなければいけないと思っておりまして、その意味では、委員御指摘の欧州というのは極めて重要なパートナーだと考えております。
これを準同盟関係というふうに言うかどうかは別にして、経済面はもちろんですけれども、欧州との安全保障面での協力の強化ということをしっかり図っていきたいと考えておりますし、東南アジアもそうですし、中東もそうだと思います。日米を基軸としながらも、多層的、重層的な、多元的な協力関係を構築していくことがますます重要になってきているというふうに考えているところでございます。
○篠原(豪)委員 今日は、質問の中で、油の補給関係とか、あと、UNMISSの韓国に対する、ACSAがない中でどのように提供を、何に基づいてやってきたのかみたいな話もさせていただこうかと思ったんですが、もう時間ですので。
最後に、武正先生もおっしゃられたので、私からも一つお伺いしたいと思うのは、今のに関連してなんですけれども、トランプさんはTPPを永久に離脱すると言って、CPTPPをつくったわけですね、十一か国で。そこで自由貿易をしっかり守っていこう、強化していこうということなので、まず、この枠組みもしっかり使っていただいて国際連携を深めていただいて、彼のやり方に対する圧力を一緒にかけていただきたいということと、あと、ASEAN諸国がやはりトランプ関税の標的になっている国が多いので、ここも、RCEPがありますし、先ほど申し上げました日・EU・EPA……
○堀内委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。
○篠原(豪)委員 ということなので、こういったところをしっかりやっていただきたい。サプライチェーンの構築もありますので、ここも絶対にやっていただきたいというふうに思っております。
あと、最後に、日、米、欧州の中央銀行が金融スワップ協定も、これまではコロナのときにやっていますから、為替相場についてもしっかりとそういった枠組みをつくってやっていただきたいということをお願いを申し上げて、私の質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○堀内委員長 次に、小熊慎司君。
○小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。
協定の質疑に入る前に、防衛副大臣に来ていただいていますので、そっちの方を先にちょっとやりたいと思います。
中国の海警局の船が日本の領海に侵入した上に、船から飛び立ったヘリコプターが領空を侵犯したことを受けて、外務省は駐日大使に厳重に抗議をしていますし、また、外務省は、大使館の次席公使代理を外務省に呼んで厳重に抗議もしているところであります。
尖閣諸島周辺で中国機による領空侵犯というのは、過去、今回を含め三回ほどありますけれども、ヘリコプターによる領空侵犯は今回が初めてというふうに確認をしているところであります。この尖閣諸島の周辺での中国の行動というのは大変許し難いものでもありますし、今回の領空侵犯に関しても、逆に中国側が、日本が領海を侵しているというふうに言って、とんちんかんなことを言っているわけであります。
これまでは海保が一生懸命頑張っていただいてこの領海を守ってきていただいたわけでありますけれども、領空となるとやはり自衛隊でやっていくしかないわけであります。さらに、今回、ヘリコプターですから、自衛隊機もスクランブル発進したんですけれども、飛行機とヘリコプターと、ちょっと対応が違うのかな、やはりヘリとか、最近でいうドローンとかも使って、こうした領空を守るということもやってこなきゃいけないというふうには思いますけれども、防衛副大臣、答弁をお願いします。
○本田副大臣 お答えいたします。
領空侵犯の方法、また、ヘリによるか、ドローン等によるか、様々な領空侵犯の在り方というのは想定をされるところでありますが、それぞれに対してどういう対処を取るかというのは、その時々の事態に応じて適切な手法を取るべきだと考えておりまして。
今回は、ヘリでの領空侵犯に対しまして戦闘機を緊急発進させたということでございますが、御指摘のとおり、様々な手法を今後検討も重ねる必要があるかと思います。
○小熊委員 状況に応じてということですけれども、じゃ、ヘリに対して飛行機、戦闘機というのは、やはりちょっと違うなという感じなんですかね。適正だったということですかね。やはりヘリにはヘリに対する対応が必要だというふうに、今、これから検討していくということですか。今何も決まっていなくても、検討していくということですか。ヘリには戦闘機で有効だということですか。どっちですか。ちょっと有効ではないので違うことを検討する。どっち。
○本田副大臣 お答えいたします。
ヘリだから戦闘機のスクランブル発進が適当だ、適当でないということではございませんで、時間、タイムの問題ですとか、様々な状況に応じて検討せざるを得ないというのが実情だと思っておりまして。
今般の領空侵犯事案においては、現場で対応に当たっていた海上保安庁の巡視船により当該ヘリコプターに対する退去警告等を実施するとともに、自衛隊は航空自衛隊南西航空方面隊の戦闘機を緊急発進をさせて対応したというところでありまして。
そのおかげをもちまして領空侵犯は継続することなく終了しておりまして、政府全体として、厳正な対応を実施できたものと考えております。
○小熊委員 殊更過剰に反応する必要はないんですけれども、中国の過去の例を見ると、いろいろなやはり実験というか挑発行動をしていますので、こっちも冷静に対応しなきゃいけない。
私、ちょっとだけ居合いをかじっているんですけれども、我が党には実力七段の今井雅人という議員がいるんです。八段を目指すと、すごいことなんですけれども、私は居合いをかじっているぐらいですが。その私なりの解釈でいうと、やはり隙を見せたらやられるんですね。余計な剣の振る舞いをしたら、それはよくないことですから、隙を見せないということが、踏み込ませないということが大事なので、この間合いですね。
今回のヘリは間合いを詰めてきたので、これまでの対応ではやはりよくなくて、この詰めてきた間合いを、これまでどおりの対応であれば、ここに隙ありというふうに中国は判断すると思います。より過剰な行動を取ってくると思います。だからといって、尖閣に自衛隊基地を置けとまでも私も言いませんけれども、やはりこうした新たな対応に対しても、これまでの対応ではなく、それに応じた間合いの取り方があるというふうに思いますので。
是非、副大臣、最初の答弁のとおり、いろいろな状況に応じて適正に対処する、検討もすると言っていたので、ヘリは初めてですから、この新たな状況の中で、あらゆる適切な対処が取れるように検討して。また、中国はこういうことをしちゃいけないんですけれども、なったときに、あれっ、検討の結果何も変わらなかったなんてことのないように、是非しっかりと実行をしていく検討を続けていただきたい。改めて答弁をお願いします。
○本田副大臣 重要な御指摘をありがとうございます。
引き続きまして、真剣に厳正に検討を続けてまいりたいと思います。
○小熊委員 是非お願いします。
領空に関しては、海上自衛隊、海上保安庁ではできませんからね。あくまで海のところは、それは海上保安庁で今のところはいいとは思いますけれども、領空に関してはこれは自衛隊がやるしかないので、しっかり危機意識を持ってやっていただきたい。
副大臣はもう結構です。副大臣、ありがとうございました。
○堀内委員長 本田防衛副大臣におかれましては、御退室いただいて結構です。
○小熊委員 それでは、協定の質疑に入りますけれども、日伊物品役務相互提供協定、日伊のACSAについてですが、これまでも質疑に出て、いろいろ重なりましたので、ちょっと絞ってやっていきたいというふうに思います。
ちょっと確認ですが、この日伊のACSAによって、存立危機事態を始めとする平和安全法制に定める各種事態において、イタリア軍への物品、役務の提供が万全な形になるのかどうかをまず確認させてください。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
ACSAは、締約国それぞれの国内法令に基づいて実施される物品、役務の提供に際して適用する決済手続等の枠組みを定めるものでございますので、物品、役務の提供の根拠はあくまでも国内法でございます。
存立危機事態を含む平和安全法制に定める各種事態における各国の軍隊への物品、役務の提供は、平和安全法制により既に可能となっております。したがいまして、ACSAの締結によって、これらの事態における物品、役務の提供が可能になるわけではなく、平和安全法制の運用が拡大するわけでもございません。ACSAは、あくまでも、これらの事態における物品、役務の提供について、ACSAが規定する決済手続等を適用することを定めるものでございます。
○小熊委員 もう一つ確認しますけれども、日伊だけではなくて、ACSAの締約相手国は、武力行使の三要件に言う我が国と密接な関係にある他国に該当するのかどうか、そこを確認させてください。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
武力の行使の三要件に言う我が国と密接な関係にある他国について、いかなる国がこれに当たるかについては、武力攻撃が発生した段階において個別具体的な状況に即して判断されることになりますが、米国以外の外国がこれに該当する可能性は、現実には相当限定されていると考えております。
また、ACSAの締結とこの我が国と密接な関係にある他国の認定とは、法的に何ら関係性はございません。
○小熊委員 しっかりと論点整理されてここまで仕上げたということに関しては安心をいたしました。
次に、日本・フィリピン部隊間協力円滑化協定、日本とフィリピンのRAAについてお伺いをいたしますが、これも質疑が重なりますので、ちょっと絞ってやっていきたいと思います。
この協定の第十五条2の情報保護に関する規定が、日豪部隊間協力円滑化協定及び日英部隊間協力円滑化協定の第十五条の2の規定ぶりとは異なっています。それについて説明をお願いします。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
この協定及び日豪、日英部隊間協力円滑化協定の第十五条2は、いずれも秘密情報の取扱いについて規定してございまして、また、適用可能な情報の保護に関する両締約国間の協定及び取決めに言及してございます。
日豪、日英間では、ここで言う適用可能な情報の保護に関する両締約国間の協定に該当するものとして、情報保護協定が存在いたします。これに対しまして、日・フィリピン間では、これに該当する協定若しくは取決めが現時点で存在いたしません。
このような協定、取決めが存在しない中でも、秘密情報の適切な保護、取扱いを確保できるような文言を調整いたしました結果、日豪、日英部隊間協力円滑化協定とは異なる規定ぶりとなったものでございます。
○小熊委員 了解しました。
先ほど、我が党の篠原委員の質疑にもありましたとおり、安全保障環境が大きく変わってきている中で、トランプさんになる前から、アメリカの安全保障もハブの関係からネットワーク型に変えていくと。そういう中で、トランプさんがあんな、役割を。
確かに、アメリカは、安全保障の分野でも経済の分野でも、エースで四番でしたよ、自由主義陣営の。ただ、もうエースで四番は辞めるという感じになってきていて、おまえらは何もしていないじゃないかと。いや、全員野球でちゃんとやってきていたわけですよ、我々は。別にピッチャーだけが偉いわけじゃなくて、例えば、ほかの内野手だって外野手だっているし、はっきり言えば、グラウンドキーパーだっているわけです。
日本は陰ひなたなくやってきたというのが、ちゃんとアメリカに伝わっていなかった。トランプさんに理解されていなかった。ほかの人で理解している人もアメリカは大勢いるわけですけれども、理解していなかったということですから、不安定な状況になるので、やはりネットワーク型の安全保障環境をしっかりつくっていくという意味では、ACSAにしてもRAAにしても、もっと他国に、世界的に広げていかなければならないというふうに思っています。とりわけ、アジア地域の安全保障環境は非常に厳しい状況になっています、中国の軍事的台頭。
あと、鈴木庸介議員も言われたと思うけれども、ウクライナの人から言われましたけれども、ロシアは日本も隣国でしょうと言われました、海を挟んでいるけれども。遠いヨーロッパの国ではないわけです。そうすると、まさに日本を取り巻く環境というのは、本当に安全保障環境が厳しい状況になっているということであれば、より日米同盟は基軸としながらも、ここも大きくトランプ政権の中で変わってしまうので、やはりより今まで以上にネットワーク型の安全保障環境をつくっていくという意味では、このRAAもACSAもより加速度的に他国と結んでいくということが望まれるというふうに思います。
今回、日伊と日・フィリピンのものに関しては、これは外務省の皆さん、担当を含め、外務大臣がリーダーシップを発揮して、よくここまで仕上げていただいたなと労をねぎらいたいというふうに思いますし、これにとどまることなく、今言ったとおり、加速度的にほかの国との交渉も進めていって、アジア地域の安定、ひいては世界の安定に資する形で更に御精進をいただきたい。我々も後押しをしていくということを申し上げさせていただいて、次に移りたいというふうに思います。
先ほど言ったとおり、トランプさんがいろいろ変えてきちゃっているので、本当に世界の盟主だったわけです、この自由主義の国の中で。エースで四番がエースで四番を辞めると言っちゃって。じゃ、ロシアとか中国がエースで四番をやるのかといったら、それもとんでもない話ですから、ちゃんとやっていかなきゃいけない。
アメリカ自身が尊敬される国でもなくなってきているわけです、世界の中で。アメリカのソフトパワーというのはあったのに、自分で自分のソフトパワーを捨てちゃった。シャープパワーというものも外交上ありますけれども、そのシャープパワーで自分自身を傷つけているに等しいわけです。だから、トランプ政権というのはバンダルズなので、こういう人たちとどうやっていくかというのは非常に難しいところがありますが、単にエースで四番を辞めるんじゃなくて、いろいろなものを壊していっている、そういう集団になってしまっているので、ほかの国と連携して守っていかなきゃいけない。
そういうときに、アメリカの科学研究資金援助が削減をするという、これはアメリカの利益じゃなくて世界益でもありました、アメリカのこの科学研究支援というのは。この中で、EUは研究者を受け入れるために、五億ユーロ、日本円で八百億円以上、資金を出しますよと言っていますし、フランスも、どうぞ来てくださいとやっています。日本もやるべきだと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。
○岩屋国務大臣 その前に、前段で委員がお触れになったネットワーク型の安全保障協力が今まで以上に重要になってきているという御指摘は、全く私も同感でございますので、そういう協力関係を更に拡充、拡大していけるように努力をしてまいりたいと思います。
その上で、米国の科学技術政策の動向、欧州連合やフランスなどによる米国などの研究者の誘致に向けた動きなどが出てきていることは承知しておりまして、関心を持って注視をしております。我が国としても、国内外の優れた研究者を引きつけることは、我が国の科学技術イノベーションの推進に向けて非常に重要だというふうに理解をしております。
この観点から、現在、関係省庁におきまして、研究費や研究ポストの確保など、国内外を問わず、優秀な研究者が我が国で研究したいと思えるような研究環境の整備をすること、それから海外の優秀な研究者を引きつけるための世界トップレベルの研究拠点を整備すること、そして国際卓越研究大学への大学ファンドによる支援などの取組が今進められていると承知をしております。
外務省としても、このような取組に向けて、各国への積極的な施策の発信、また情報共有などを通じて、関係省庁としっかり連携してまいりたいと考えております。
○小熊委員 いや、ちょっと、八十点の答弁。足りない。大臣、足りないと気づかない。国際的な研究拠点でしょう、受入れ体制をつくる。大臣も、安倍政権以来、全閣僚が復興大臣なんでしょう、心意気は。F―REIがあるじゃないですか、今、これからやろうとしている。世界に冠たる国際研究拠点施設、今、福島で、この間、開所式をやりましたけれども。やろうとしている、世界に冠たるものを造ると言っているんですよ。もうその準備があるわけですから。F―REIで、だって、誘致、もう種があるんですから。そこをもう一回。やれば百点になりますから。
○岩屋国務大臣 もちろん、そのことも念頭にあって先ほど申し上げたわけでございまして、福島における研究拠点への研究者の誘致ということもしっかり念頭に置いて、取組を進めてまいりたいと思います。
○小熊委員 二つあります。
F―REI、世界に冠たると言っていながら、ほかの、ちょっと比べようがないですけれども、日本の独法の研究機関の予算と比べると少ないんですね、まだちゃんと完成してスタートしているわけじゃないからですけれども。世界に冠たると言いながら、済みません、度々野球の話で、プロ野球で活躍する、メジャーリーグで活躍すると言っているのに、やっていることは草野球みたいなレベルの予算なんですよ、国際比較すると、このF―REIについている予算。
だから、まず予算の確保も必要です、心意気だけじゃなくて。トップレベルの人を呼ぶといったら、それはそれなりの、研究者だけじゃなくて、スタッフとかも含め、また実験などにもお金がかかるということですから、これは相当の予算が必要です。ただ、限られた資源の中でやるしかないというのも分かっています。
あとは、これは是非留意していただきたいのは、各国が自分の国益だけのことを考えて引っ張るんではなくて、まさにこれは地球益の話なので、そういう意味で、科学者たちを支えるという意味がありますから、現実では予算の確保をしっかりしていくということと、あとはその中で、我欲ではなくて、やはり世界全体を考えた上で、日本もそこに役立ちますよという心意気、志がなきゃいけないということです。
もう一言、お願いします。
○岩屋国務大臣 まさしく、これからの科学技術というのは、国益のみならず、国際公益といいますか、地球的規模の課題にしっかり答えを出していけるような技術をつくり上げるということが求められているというふうに思いますので、これは、もちろん外務省のみならず、関係省庁全部で取り組んでいかなければいけない課題でありますが、そのことをしっかり念頭に置いて、取組を進めてまいります。
○小熊委員 是非その中心にF―REIがあることをお願い申し上げて、次に移ります。
過日の外務委員会でも、四月には鈴木庸介議員が、ICCの意義づけ、また全般的な、根本的なことについて質疑をされました。また、三月二十八日は太委員が、アメリカの制裁について触れています。一部制裁があって、その後、まだアメリカの制裁の動きがないというふうに私も確認はしています。
ただ、この大統領令によって、政府の動きだけじゃなくて、ICCと関わっている、国際刑事裁判所と関わっている、いろいろな民間の企業や団体も腰が引けてきているということも見受けられているし、また、職員の皆さんからもそうした不安、はっきり言えば銀行が取引をICCとやめちゃうんじゃないか、じゃ、給料が未払いになるんじゃないか、あと、飛行機会社もICCには売りませんとかなるんじゃないか、そういった類いまで不安が出ているというふうに聞いています。
これまで時間がありました。太委員は、撤回要請を、声明を出せと。ヨーロッパは非難声明を出しました。それで、出してくださいと。日本がICCを支えている、法の支配を尊重しているというその姿勢は確認はされたんですけれども、それを態度に示せと言って質疑を終わられて、それからまた一か月以上たちましたけれども。
この間、ICCの所長が日本人の赤根さんですから、赤根さんを含め、ICCとどう連携を取ってきたのか、連絡してきたのか。そしてまた、太議員からの、時間がありましたけれども、声明に関してはどうなのか、お聞きいたします。
○岩屋国務大臣 ICCが、独立性を維持し、また、安全を確保しながら活動を全うできることが重要だと考えております。
米国によるこの対ICC制裁については、様々なシナリオを念頭に、赤根所長を始め、ICCや他の締約国とも密接に意思疎通を行ってきております。また、米国に対しても様々なレベルで働きかけを行っておりますし、私からもルビオ国務長官にも直接問題提起をいたしております。
それから、国会の御承認を受けまして、先月、ICC予算の我が国の分担金の支払いを速やかに行ったところでございます。ICCの分担金の最大の拠出国である我が国のこうした対応は、赤根所長を始めICCからも、あり得べき資金繰りのリスクに対応する上で大変有意義であると評価をされているところでございます。
引き続いて、この動向をしっかりと注視するとともに、赤根所長とも丁寧なコミュニケーションを取りつつ、この問題に適切に対応していきたいと考えております。
○小熊委員 赤根さんと連絡を取り合っているということは一つ安心というか、これからも密接に連携を取って、不安の解消、そしてまた、世界の中で、ちゃんと日本は法の支配を尊重し、しかも、それを支えているということをしっかり表していくということは重要ですが、太委員の提案された声明に関してはどうですか。
○岩屋国務大臣 声明というのは……。
○小熊委員 ヨーロッパの国は非難声明を出していて、その三月の太委員の質疑では撤回声明を出せと言われているので、それはどうするんですか。
○濱本政府参考人 お答え申し上げます。
制裁をめぐっては、ICCやその他の締約国とともに緊密に連携しながら、様々なシナリオを念頭に検討を行ってきているという状況でございます。
我が国としましては、ICCが独立性を維持して安全を確保する、その任務を、活動を全うできることが大事だと思いまして、引き続き適切に対応していきたいと考えております。
○小熊委員 やはり毅然としたことが必要だと思いますよ。だから、日本は物を言わないと。日米同盟は大事なんですけれども。
古く言えば、大臣も知っている白洲次郎さん、吉田茂さんの側近が、だから、プリンシプルがない日本だと嘆いておられましたし、軟弱外交と言われるんだったら、後日、抜かったと言われないようにして、軟弱外交と非難されればいいんだ、どうせならと。ただ、正しいことはしっかり言うべきだということを彼は言っています。という意味であれば、言うべきことはやはり言うべきなんです。ちゃんとやっていますと、玉虫色でうまくいく場合もあるけれども、言うべきことは言っていくということが独立国家日本の姿として当たり前ですし。
岩屋さんも、例えばですよ、急に何か家庭の話になりますけれども、御飯を食べているときに、奥さんに、ここに御飯粒がついていたら、御飯粒がついているよと言うでしょう、取ったらって。だから、アメリカも間違っているとしたら、間違っているよと言うのは、別に文句を言って非難することじゃないんですから。個人攻撃じゃないですから。
だって、アメリカは、だから、さっきの、バンダルズだし、やっていることが間違っているので、あっ、間違っているよと言うのが本当の友情ですよ。本当の家族ですよ。間違ったことをやっていないのに間違っていると言われるのは、それは愛がない。大臣、家庭で愛があるから、ちゃんとお互い指摘し合うじゃないですか。だから、愛を持ってアメリカに厳しいことを言わなきゃいけないんですよ。
もう一回、大臣、お願いします。
○岩屋国務大臣 御飯粒の話が果たして適切な例かどうかというのはちょっと疑念がありますが、それはおっしゃるとおりだと思っておりまして、米国に対しても、同盟国であるがゆえに、友人であるがゆえに、言うべきことはしっかり言っていかなきゃいけないと思っておりますし、言ってきていると私は考えております。
ただ、問題は、課題を解決をするということが目的ですから、そのためにどういう対応を取ることが一番適切か。つまり、米国に物は言えども、対外的にどういう物の言い方をするかということなどについては、答えを得る、問題を解決する、結論を得るというために、やはり様々考えなければいけないというところも、御理解をいただければというふうに思います。
○小熊委員 僕は、アメリカはファミリーと言ったのに、友人に格下げになっちゃったけれども。
韓国大使館の人としゃべって、中国とアメリカをあんたらはどういうふうに見ているのといった話を、ちょっと最後にしたいと思います。
中国は日本と同じように大事な隣国です、友人ですと言いました。じゃ、アメリカは、あんたらは同盟を結んでいるんでしょう、何と言ったら、それはブラザーだと言いました。どっちが兄貴でどっちが弟というと面倒くさくなるので。日本はアメリカとも同盟関係ですから、やはりファミリーです。中国は大事な友人の一つということで。ファミリーですから、より盲目にならずに指摘をしていただく、毅然とした外交をしていただくことをお願い申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、中曽根康隆君。
○中曽根委員 おはようございます。自由民主党の中曽根康隆でございます。
質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、藤井副大臣におかれましては、わざわざお運びいただきまして、感謝を申し上げます。
早速質問に入りたいんですけれども、いわゆるゴールデンウィーク、大型連休中の岩屋外務大臣の外遊について、ちょっとお伺いをしたいというふうに思います。
本人が本当はいらっしゃったらよかったんですけれども、いらっしゃらないので、本当はその本人の体感も含めた感想も聞きたかったんですけれども、しようがないので。
期間、そして、どの国を訪問して、各国においてどういった成果があったのかをまず教えていただきたいと思います。
○藤井副大臣 中曽根委員にお答え申し上げます。
岩屋外務大臣の外遊でございますけれども、四月二十五日から五月四日までの期間、岩屋外務大臣はバチカン、ニューヨーク、セネガル、サウジアラビア、フランスを訪問いたしました。
最初に訪問したバチカンでは、大臣はローマ教皇フランシスコ台下の葬儀に参列いたしました。教皇の葬儀に日本から現職の閣僚、現職の外相が参列するのは初めてでございまして、日本のプレゼンスを示すことができました。また、この機会を活用し、大臣はバチカンの国務長官やシビハ・ウクライナ外相などと懇談をしたところでございます。
続いて、大臣はニューヨークを訪問し、二〇二六年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議第三回準備委員会に出席をいたしました。一般討論演説を行い、来年のNPT運用検討会議に向けて、対話と協調の精神を最大限発揮し、一致団結して取り組むべきであると呼びかけたところでございます。また、グテーレス国連事務総長と意見交換を行い、国連と多国間主義に対する日本の強いコミットメントを示したところでございます。
セネガルでは、大臣はファル外相との会談に加えまして、ファイ大統領及びソンコ首相に表敬を行うとともに、セネガル日本職業訓練センターを視察し、これらを通じ、人材育成を中心とした協力の推進、投資拡大などの経済関係強化を確認したところでございまして、本年八月の第九回アフリカ開発会議、TICAD9の成功に向け、セネガルと連携していくことを確認したところでございます。
サウジアラビアでは、大臣とファイサル外相との間で、同国が積極的な役割を果たしている中東情勢及びウクライナ情勢等で両国の緊密な連携を確認したところでございます。また、ブダイウィ湾岸協力理事会、GCC事務総長との間で、日・GCC・EPAの早期妥結や、地域、国際情勢の安定化に向けた連携を含め日・GCC協力を強化し、そのために、第二回日・GCC外相会合の早期開催に向けて調整していくことで一致をしたところでございます。
最後に訪問したフランスでは、大臣はバロ外相と会談し、バイルー首相に表敬したところでございます。フランスは来年のG7議長国であり、会談では、二国間関係の強化に加え、フランスが積極的に関与を進めるウクライナ情勢など、地域情勢について率直に議論したところでございます。また、アズレー・ユネスコ事務局長との会談では、大臣からは、教育、科学、文化などあらゆる分野における日本の貢献を強調し、先方からこれに対する感謝が示されたところでございます。
国際社会が分断を深める中、率直な対話と国際協調を通じて多国間主義を実現し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することがかつてなく重要となっております。こうした観点から、今回の岩屋外務大臣の出張では、各機関、各国との連携を深めることができたと考えております。
今後とも、対話と協調により、各国との連携をしっかり深めていく外交を展開してまいりたいと思います。
○中曽根委員 ありがとうございます。
今副大臣から御説明をいただいたとおりで、各国においてとにかく重要なお仕事をされているわけです。外務大臣にしかできない仕事をされているというふうに思います。まさに国益に資する仕事をしに行ったということです。
しかし、この外遊に先立った先月の参議院の議運の理事会において、了承されなかったわけですよね。なぜかというと、野党の議員の方が反対をしたと。その理由は、物価高対策に注力しなくてはいけないときに、外遊は本当に必要なのかという話でありました。私は、この報道を見たときに、本当に、ちょっと目を疑いました。
世界の秩序がこれだけ今不安定になって、戦後築いてきたものが崩れようとしているこのときに、経済的な戦争も起きているし、軍事的な戦争も起きているし、各国がいろいろな意味で疑心暗鬼になっている。こういうときこそ、やはり日本が積極的に他国とコミュニケーションを取りながら、そして、リーダーシップを発揮するときなんですよね。
物価高対策は当然重要です。もちろん重要です。政府は、だからこそ、官房長官を中心にしっかりと万全な体制を整えているわけでありますから。やはり、外務大臣というのは、本来の外務、外交、これをやるのが仕事なわけでありまして、これからも必要であれば、もちろん国会日程というのは配慮しなくてはいけませんけれども、堂々と日の丸を背負って、日本の代表として各国を飛び回ってもらいたいというふうに思います。
フェース・ツー・フェースで堂々と話をする、これによってトップ間の信頼関係を築くということがやはり外交関係の基礎中の基礎でありますから、これからもいろいろな意見に惑わされず、外務省を始め大臣には堂々とやっていただきたいというふうに思います。
続いての質問ですけれども、この大型連休中、私自身も台湾に訪問してまいりました。自民党の青年局長という立場で行ってまいりましたけれども、今回も、頼清徳総統、蕭美琴副総統、林佳龍外交部長、そしてNSCのゴショウショウ秘書長、また韓国瑜立法院長、様々な方と長時間にわたり意見交換しましたけれども、いろいろな一致点を見出すことができました。
特に、その前提となるのは、やはり日本も台湾も四方を海に囲まれている島国であるということであります。海洋国家、海というものが極めて重要になってくる。いかにして海を守り、その海を戦略的に活用するか、こういったところで非常に共通の認識を持つことができました。
言うまでもなく、食料、エネルギー、そういった経済安全保障上、この海というのは重要なわけでありますし、第一列島線、これは日本、台湾を含めて重要であり、また、今回、RAAの締結を進めているフィリピンもこのライン上に位置しているわけであります。
政府に問いたいんですけれども、海洋国家としての日本、海の重要性及びその保全、そして戦略的な活用、これについて、いま一度外務省の見解をお伺いしたいというふうに思います。
○藤井副大臣 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、資源等の多くを海外からの輸入に依存する我が国にとりまして、シーレーンにおける航行の自由の確保は重要な課題でございます。
日本は、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化し、地域の平和と安定を確保すべく、同盟国、同志国と海洋安全保障分野での連携を積み重ねてまいりました。
例えば、東南アジア各国において、ODAを通じた海上法執行機関、OSAを通じた海軍への支援を継続しております。また、海上保安官をインド太平洋沿岸国の海上保安機関に派遣し、地域の海上保安能力の向上に貢献してまいりました。加えて、我が国自衛隊は、同盟国、同志国と二国間及び多国間の訓練を行っておりまして、引き続きこれらの協力を発展させてまいります。
御指摘の海洋の戦略的活用につきましては、関係省庁と連携し、海洋が有するポテンシャルを最大限に活用し、我が国の国力の向上など、国益につなげていくことが重要と考えておるところでございます。
○中曽根委員 ありがとうございます。
この自由で開かれたインド太平洋というのが、言葉だけでなく、実際にしっかりとこの海を守り活用する、日本が率先して引き続き世界に対して海の重要性を示していくということを、是非ともお願いをしたいというふうに思います。
次の質問に移りますけれども、今回、日比間でRAAの締結が進められていますけれども、これにより、自衛隊がフィリピン国内での訓練や後方支援活動を行うことがまた可能となって、事実上、東シナ海とか又は南シナ海といった地域での自衛隊のプレゼンスが高まることにもつながる可能性があるというふうに思っております。
私、これはもちろん賛成です、賛成ですけれども、こうした動きが、海洋進出を進める中国との間で、偶発的な衝突であったり、又は外交的な緊張というものを高めるリスクも当然内包しているというふうに考えておりますけれども、政府としては、こういったところのリスク、どういったふうに評価をしているか、お答えください。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
まず、このRAAの締結の意義でございますけれども、我が国とフィリピンは、これまでも、安全保障それから防衛分野で様々な協力を進めてきておりますが、この協定の実施により、両国間のこうした協力が更に促進され、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられることが期待されます。
御質問のあった中国との衝突リスクについてでございますけれども、日・フィリピン部隊間協力円滑化協定、RAAは、特定の国を念頭に置いたものではございません。日本とフィリピンの協力活動の実施が円滑化されること自体によって、御指摘のようなリスクが高まるとは考えてございません。
○中曽根委員 もちろん、特定の国を意識しているものではないというのは認識しておりますけれども、昨日も、南シナ海において、中国軍のフリゲート艦が二隻、フィリピン軍艦に至近距離で追尾した上に、進路を横切って衝突リスクを発生させているわけであります。スカボロー礁は当然フィリピンのEEZでありまして、中国が一方的に領有権を主張している場所であります。海警の船ではなくて、今回、軍艦でありますし、また、直接的な影響を与えているというのは結構異例なことだというふうに思います。要するに、徐々にやはりエスカレートをしていっているわけですね、中国のこの挑発行為というものが。
当然、フィリピンが当事者としてこれを毅然とした態度で対応していくのもそうですけれども、やはり、日本を含めた同盟国、同志国というのが一体となって、力による現状変更を許さないんだという強い姿勢を見せなきゃいけないというふうに思いますし、そういう意味では、このRAAというのはまた非常に有意義なものだというふうにも思っております。
また、つけ加えますと、さっきも出ましたけれども、五月三日には、尖閣周辺、中国の領海侵犯そして領空侵犯がありました。そして、船からヘリコプターを飛ばして領空侵犯したということは、いずれはドローンなりヘリの尖閣への上陸、すなわち領土の侵犯にもつながる可能性が非常に高いというふうに思います。
もう言われていることですけれども、遺憾とか懸念とか、こういった言葉はほぼ意味がないし、中国側的には全く響いていないものというのはもう明らかでありますので、やはり具体的なアクションが必要ですし、向こうはどこまでやると何をしてくるかと見ていますので、ああ、今回も何もなかったな、じゃ、もうちょっと行こうという、これはもうどんどんどんどん押し込まれていくのが目に見えていますので。
防衛省もそうだし、海保もそうだし、外務省もそうですけれども、やはり一体となって日本としての明確なメッセージ、アクションというのを期待をするところでありますし、フィリピンと日本、同じ価値を共有するとよく言いますけれども、価値の共有のみならず、同じ危険とか同じ脅威を共有しているという意味では、より一層具体的な連携が必要になってきますので、是非ともそこら辺の認識も強めていただきたいというふうに思います。
次の質問に移りますけれども、今回、我が国はイタリアとのACSA締結を進めております。既に複数のNATO加盟国とも同様の協定を締結しておりますけれども、さらに、日本政府はNATOのウクライナ支援司令部への参加も表明をしておりまして、日本とNATOの連携はこれまで以上に強まっていくものというふうに思っております。
昨日、来日しているEU代表部の高官とも、私、経済安保のこと、外交のことを含めて意見交換をいたしましたけれども、やはり、現在の国際情勢の中で、EUとしてもより一層、これから日本との連携、安全保障にしても、外交にしても、経済にしても強めていきたいというような発言がありました。
今回のACSAを含むEUとの連携の動きというのは、インド太平洋と欧州の安全保障を結ぶ戦略的連携を形成する上で意義深い一方で、同時に、地域の対立構造への関与が日本としてより深まっていく、そういった潜在的リスクも否定できないというふうに思います。政府として、このリスクをどのように捉えているか。
また、一般的に見て、アメリカがNATOからどちらかというと抜けていくときに、日本がそこに積極的に入っていく、こういったことは、当然、一国としての外交戦略があった上でこういう大きなアクションは起こしていかなきゃいけないと思いますけれども、政府のそこら辺の認識を是非ともお聞かせいただきたいと思います。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
まず、現在、ロシアのウクライナ侵略を含む厳しい安全保障環境の中にありまして、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分、こういった認識は、我が国のみならず、欧州各国あるいは多くの国において共有されております。
そういった中で、我が国として、委員のおっしゃられました、EU、欧州の同志国あるいはNATOを含む欧州の同志国との間で、安全保障分野の協力、これを深化させることは非常に重要だと考えておりまして、NATOとのパートナーシップ、これを戦略的に強化しております。
委員がおっしゃいましたとおり、我が国とNATOとの関係強化に対して、否定的な立場を取る国、あるいは潜在的なリスクについて言及するような向きもございますけれども、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しております。こういった中で、我が国としては、引き続き、同盟国あるいは欧州各国を含む同志国間のネットワークを重層的に構築することなどを通じて安全保障体制を強化していくことが重要だと考えております。
○中曽根委員 ありがとうございます。
日本が、東アジアのみならず、世界のどこまで、どれくらいコミットをしていくのかというのは、是非とも、ビッグピクチャーの中で、国益というものを軸にした上でいろいろとアクションを起こしていただきたいというふうに思います。場合によっては、防衛的には連携しないけれども経済的には連携するというところもあると思いますし、一つ一つテーラーメイドで細やかな関係というのを築いていただきたいし、そのときの世界に対するインパクトというのも踏まえた上で、粛々と、したたかに、戦略的にやっていただきたいというふうに思います。
最後に、今回、石破総理が、日比首脳会談において、日本とフィリピンのACSAの締結に関しても御発言をしましたけれども、同盟に近いパートナーという表現を用いられました。これは当然、日米同盟はありますけれども、これとの比較において、同盟に近いパートナーというのはどういう意味合いを持つのか、政府としての公式の認識を明らかにしていただきたいと思います。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
フィリピンは、シーレーン上の戦略的要衝に位置しておりまして、我が国と基本的な価値そして原則を共有する戦略的パートナーでありまして、近年、我が国との間での安全保障、防衛協力を強化してきております。
フィリピンとの間では、これまでも、能力構築支援、防衛装備・技術協力、共同訓練などを進めるとともに、OSAによる沿岸監視レーダーシステムなどの供与を決定してきております。また、昨年七月には、今まさに御審議いただいております日比RAAに署名したところでございます。
先般の総理訪問時には、日・フィリピン首脳間で、ACSAについても交渉開始をするということで一致してございます。また、情報保護協定の早期締結の重要性も確認するなど、安全保障、防衛協力を進めてきているところでございます。
今般の総理による御発言は、そうした安全保障面での二国間関係強化を踏まえたものでございまして、今後とも、フィリピンとの間の安全保障協力を重層的に進めていきたいと考えております。
○中曽根委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、山崎正恭君。
○山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。
我が国が今回RAAを締結しようとしているフィリピンは、シーレーンの要衝に位置し、我が国とは基本的価値や戦略的利益を共有をする戦略的パートナーとされています。また、フィリピンは、我が国と同様にアメリカとの同盟国でもあります。
フィリピンとのRAAの締結の意義については、政府は、日・フィリピン両国部隊間の協力活動の実施が円滑化され、両国間の安全保障、防衛協力が更に促進されるとともに、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられることになると説明していると承知しております。
地域を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、このRAAの締結が両国の安全保障において大きな意義を有することは私も理解しているところであります。
また、我が国とフィリピンとは、二〇二六年、来年に、国交正常化七十周年と戦略的パートナーシップ十五周年を迎えようとしています。
そこで、両国の外交関係においての節目の年を迎えるに当たり、今般のRAAの締結が我が国の外交上どのような意義を有していると考えられるのか。二国間のみならず、我が国の対ASEAN地域や、さらに、インド太平洋地域に対する外交などにおける意義も含めて、所見をお伺いします。
○藤井副大臣 お答えいたします。
この協定は、日・フィリピンの一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続を定めることや、同部隊の法的地位を明確にすること等を通じ、共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にするとともに、部隊間の相互運用性の向上を図るものでございます。
この協定の実施により、我が国とフィリピンとの間の安全保障、防衛協力が更に促進され、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられることが期待されると考えております。
○山崎(正)委員 ありがとうございます。
日本とフィリピンのRAA協定は安全保障分野の協力を強化するものですが、同時に、ODAによる巡視船の供与や、防衛装備・技術協力など、経済、技術分野の連携も進められています。
そこで、安全保障協力の強化が経済協力や技術移転などにどのような相乗効果をもたらすと認識しているのか、所見をお伺いします。
○藤井副大臣 フィリピンは、シーレーン上の戦略的要衝に位置し、我が国と基本的な価値や原則を共有する戦略的パートナーであり、近年、我が国との安全保障、防衛協力を強化しているところでございます。
フィリピンとの間では、これまでも、巡視船供与を含む海上法執行分野の協力を進めるとともに、能力構築支援、防衛装備・技術協力、共同訓練、政府安全保障能力強化支援、OSAによる沿岸監視レーダーシステム供与の決定など、安全保障、防衛協力を進めてきておるところでございます。
今般、石破総理がフィリピンを訪問した際には、首脳間で、RAAの発効に向けたプロセスの進展を歓迎した上で、OSAや防衛装備・技術協力を引き続き重層的に推進することや、情報通信や資源エネルギー分野を始めとする経済分野の協力を進めることについても確認したところでございます。
引き続き、両国の戦略的パートナーシップを一層強化すべく、経済、安全保障分野を始めとする幅広い分野での協力を進め、フィリピンとともに法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化していく考えでございます。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
次に、これまでRAAを日豪や日英でしっかり締結してきて、そういった運用状況も含めてお聞きしたいと思います。
その趣旨は、現在、フランスとの間でもRAAの締結に向けた交渉が行われており、近いうちに締結承認案件が国会に提出され、審議されることが推測されることもありまして、そういった内容についてしっかり把握しておきたいというのがありますので、お聞きしたいと思います。
政府は、RAAの締結により、出入国手続が簡素化されることや、訪問部隊が港や空港を使用する際の条件が定められたりすることで、災害救援活動を含め、協力活動の実施が円滑化されることが期待されると説明しています。
そこで、日豪、日英の各RAAが適用された協力活動の際、接受国である我が国に来訪した訪問部隊の構成員等の出入国手続等はどのように行われたのか。その実情について、例えば、入国前の準備や、入国、出国審査、税関手続、検疫手続など、通常の手続に比べてどのように簡素化され、どのようなメリットがあるのか、お伺いします。
○有馬政府参考人 お答えを申し上げます。
これまでに、日豪、日英円滑化協定、RAAでございますが、この適用を受けた豪州軍、英国軍の構成員が我が国に来訪した際の出入国手続等につきましては、例えば、出入国について、派遣国が発給する身分証明書及び旅行証明書等によってこれを行うということが可能となりまして、査証取得や旅券携帯の義務が免除されること、それから、派遣国による公用品の輸入に関します税関手続につきまして、事前の口上書等による調整を要することがなく、関税等の免除が可能となったことといった簡素化のメリットが実際にあったというところでございます。
また、このほかにも、例えば、派遣国の構成員による接受国での公用車両の運転につきまして、派遣国が発給する運転免許証により直接可能になるといったような点において、事前準備における簡素化のメリットがこれもまた実際にあったというところでございます。
今申し上げたとおり、円滑化協定の活用によりまして、一方の国の部隊が他方の国を訪問して協力活動を実施する際の手続、調整は実際に簡素化されておりまして、日豪、日英間の協力活動をより円滑に実施することが可能となった、このように考えてございます。
○山崎(正)委員 次に、施設・区域等について規定している日・フィリピンRAAの第八条の3では、「この協定のいかなる規定も、一方の締約国が他方の締約国の領域において軍事施設を設置するための根拠となるものと解してはならない。」と規定しています。この規定は、日豪や日英の各RAAでは見られなかった規定であります。
RAAは、締約国の一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続やその部隊の法的地位を定めるものであり、何かを可能にするための権限を与えるものではないと承知していますが、そこで、その上で、あえて第八条3の規定を設けた背景についてお伺いいたします。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
この協定の第八条3、今御質問いただいた条文でございますけれども、これはフィリピンの憲法の規定も踏まえた上で策定されております。フィリピンの憲法には、第十八条といたしまして、ごく限定された特定の場合を除いてでございますけれども、外国の軍事基地、軍隊又は施設はフィリピン国内に認めない、このような規定が憲法に書き込まれております。
このことを踏まえた上で、この協定が、一方の締約国が他方の締約国の領域に軍事施設を設置するための根拠とはならないということを確認的に規定をしたものでございます。日豪、日英のRAAについても、日・フィリピンのRAAと同様に、一方の締約国の部隊が他方の締約国の領域において、その同意を得ることなく活動を実施するための根拠とはなりません。
RAAは、派遣国部隊が一時的に接受国に滞在する際の協力活動の実施を円滑化することなどを目的とするものでございまして、日豪、日英RAAが、一方の締約国が他方の締約国の領域において軍事施設を設置するための根拠とならないことは当然であると考えております。
○山崎(正)委員 ありがとうございます。
次に、ACSAについてお伺いしたいと思います。
我が国は、これまでに、アメリカやオーストラリア、英国、カナダ、フランス、インド及びドイツとの間でACSAを締結しており、イタリアとの間でACSAが締結されれば、我が国にとっては八か国目となります。
そこで、イタリアとの間のACSAの締結後は、具体的にどのような場面での同協定の適用を想定しているのか、お伺いします。
また、政府として、本協定が日伊両国の安全保障協力や国際社会の平和、安全への貢献にどのような具体的効果をもたらすと考えているのか、併せてお伺いいたします。
○藤井副大臣 自衛隊とイタリア軍は、共にPKOを始めとする国際平和協力業務や第三国における大規模災害への対処を行った実績があるほか、各種共同訓練を活発に実施してきているところでございます。
また、自衛隊とイタリア軍との間では、艦艇、航空機の相互訪問、実務者会合、部隊間交流を含む活発な防衛協力、交流が実施されているところ、それに伴い、補給、施設の利用、修理・整備、空港・港湾業務等の支援の必要性が高まっておりまして、これらの場で物品役務相互提供協定、ACSAが適用され得ると考えております。
日伊間の安全保障、防衛分野での協力関係が深化する中、イタリアとのACSAを締結することにより、物品、役務の相互提供を円滑に行えるようにすることは、我が国の安全保障に資するのみならず、日伊両国が国際社会の平和及び安全により積極的に寄与することにつながるものと考えております。
○山崎(正)委員 次に、現在、日本とイギリスとイタリアによるGCAP、次世代戦闘機共同開発が行われています。
生産と運用なので、ちょっと関係が薄いかもしれないんですけれども、防衛装備や技術協力なども進展していますが、このACSAの締結が将来的な共同運用やメンテナンス体制などにどのような相乗効果をもたらすと考えているのか、政府の見解をお伺いします。
○有馬政府参考人 お答え申し上げます。
委員が御指摘いただきましたとおり、現在、イタリアとの間では次期戦闘機の日英伊共同開発を進めてございまして、こうした機会を捉えながら、イタリアとの間での防衛装備・技術協力をしっかり進めていくというところでございます。
こうした中で、一般論として申し上げますれば、日伊ACSAによりまして、自衛隊とイタリア軍との間で物品、役務の相互の提供を円滑に行う、これが可能となることで、将来的な装備品の共同運用、維持整備を含め、両者が共に活動に従事する現場でより緊密な連携が促進されるものと考えております。
例えば、航空機に関連する物品、役務の相互の提供としては、搭乗員に対する食料や宿泊等の提供、航空機が消費する燃料、それから部品・構成品の提供、修理業務の提供等が円滑にされるということを想定してございます。
これにより、例えば、自衛隊とイタリア軍が共同訓練等に共に従事する現場におきましては、より緊密に連携することができるようになり、部隊間の相互運用性の向上に資することが期待されているところでございます。
○山崎(正)委員 先日、ベトナム及びフィリピンを訪問した石破総理は、四月二十九日、フィリピンのマルコス大統領との間で日・フィリピン首脳会談を行ったと承知しています。
会談において、両首脳は、部隊間協力円滑化協定、RAAの発効に向けたプロセスの進展を歓迎するとともに、運用面での連携を更に強化するために、今後、ACSAの締結に向けた交渉を開始することで一致したと承知しています。また、情報保護協定の早期締結の重要性を確認し、政府間での議論を行っていくことでも一致したと承知しています。
そこで、フィリピンとの間でACSAが締結されると、東南アジア諸国との間で初めてとなりますが、フィリピンとのACSA締結の意義や必要性について、政府はどのように認識しているのか、お伺いします。
また、二〇二四年六月の首脳会談において、ニュージーランドとの間でACSAに関する議論を加速化させることで一致したと承知していますが、ニュージーランドとのACSAに関する議論の現状も含め、今後のACSA締結の予定や政府の方針について、併せてお伺いいたします。
○藤井副大臣 ACSAは、自衛隊と外国軍隊との間で物品、役務の提供を行う際の決済手続等の枠組みを定めるものでございます。本協定により、両者の間で物品、役務の相互の提供を円滑に行うことが可能となり、両者が共に活動に従事する現場でより緊密な連携が促進されます。フィリピンとの安全保障協力を一層推進する観点から、早期妥結に向けて交渉してまいります。
また、日本とニュージーランドとの間では、昨年六月のラクソン・ニュージーランド首相訪日に際する首脳会談において、委員が御指摘のとおり、あり得べきACSAに関する議論を加速させることで一致したところでございます。これを踏まえ、現在、両国間で議論をしているところでございます。
政府といたしましては、各国との安全保障、防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係や、自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、具体的ニーズ等も踏まえながら必要なACSAの締結等に取り組んでまいります。
○山崎(正)委員 次に、アメリカの関税措置についてお聞きしたいと思います。
昨晩、アメリカとイギリスの関税政策に対する合意が発表されて、詳細はまた今後数週間でまとめるというふうにございましたけれども、この政策に関しまして、非常に日本国内において様々なところで影響が出ているところであります。
そこで、公明党としましては、四月二十二日に、西田幹事長が中心となりまして、石破総理の方にこの対応についての提言をしたところでございますが、特に裾野の広い日本の基幹産業である自動車関連企業を始めとして、多くの事業者の投資判断や賃上げへの深刻な影響等が懸念されておるところでございます。
特に、EV車の普及策の廃止を検討するなどといったことによって、様々なそれによる投資への影響等が出ておるところでございまして、しっかりとそれらのことについて、早期の見直しの実現に向けてあらゆる角度から分析し、守るべきは守り、攻めるべきところは攻めて、日本の国益の最大化を図ってほしいということで、積極的に日米双方の利益につながる協議をお願いしたいとしたところでございます。
そこで、貿易国家である日本にとって自由貿易の仕組みは生命線でありますが、アメリカ・トランプ政権における、世界経済へ大きな影響が出ている中、いわゆるCPTPPまたRCEP等、そういったところに、将来的に米国も参加可能なプラットフォームを構築、強化することが重要であると考えます。
そこで、そのためにCPTPP首脳会議の日本での早期開催を検討していただきたいと考えますが、それについての認識をお伺いいたします。
○藤井副大臣 ルールに基づく自由貿易体制の維持拡大は、我が国の経済外交の柱でございます。世界で保護主義や内向き志向が強まる中、我が国が自由貿易の旗振り役としてリーダーシップを発揮することはますます重要となっております。このような観点から、我が国は、御指摘のCPTPPやRCEP等を通じた経済連携の推進に積極的に取り組んでおります。
CPTPPにつきましては、我が国として、新規加入や協定の一般的な見直しを始めとして、引き続き枠組みの発展に向けた議論に積極的に貢献していく所存でございます。
我が国としては、様々な会合において引き続きこのような取組をリードし、自由で公正な経済秩序の維持拡大に取り組む考えであり、こうした考えに基づき、御提案も踏まえながら、今後の進め方について検討してまいりたいと思います。
○山崎(正)委員 最後に、済みません、サプライチェーンを支える中小企業の皆様方に、この関税のコスト等のしわ寄せが行かないようにということの質問を立てておりましたけれども、時間が来ましたので、要請にさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。以上で質問を終わります。
○堀内委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時二十一分休憩
――――◇―――――
午後零時三十一分開議
○堀内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。今日もよろしくお願い申し上げます。
まず、生稲政務官、お忙しい中、どうもありがとうございます。マーシャル諸島への出張、お疲れさまでございました。
この出張について幾つかお伺いさせてください。
まず、今回の出張にかかった費用、予算はどのくらいになりますでしょうか。
○大河内政府参考人 御質問の生稲政務官及び同行者のマーシャル諸島出張に係る予算、これは約二百六十七万円でございます。
○鈴木(庸)委員 二年八か月、閣僚級が行っていなかったということで伺っているんですけれども、僅かこの一か月半前にはハイネ大統領が日本にいらしています。石破総理就任以来、三度目の来日ということで、相当な頻度で向こう側からは来ているわけですね。
石破総理と会談されたときに、例のアマタ・カブア国際空港ターミナルの改築の話とか、第十回太平洋・島サミットのコミットメントの話とか、あと、給水システム整備支援の話、太平洋島嶼国の存在に関わるという気候変動の話、さらには、PIF、太平洋諸島フォーラムの太平洋強靱性ファシリティーとか、本当にかなり多岐にわたる話をトップ同士でしているわけです。このほかにも、今回政務官が行かれたJENESYSや青少年交流事業といった話についても会話が及んでいます。
トップ同士がここまで話し合っている僅か一か月半後に政務官として行かれたわけですけれども、その成果物というのは何になりますでしょうか。成果物、今回の出張で得たものというのは何になりますでしょうか。
○生稲大臣政務官 御質問ありがとうございます。お答えいたします。
出張の必要性についてであるというふうに思っておりますけれども、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化の観点から、価値や原則を共有する太平洋島嶼国・地域との連携を更に強化していくことはとても重要であるというふうに考えています。
マーシャル諸島への訪問は、外務省政務としては二年四か月ぶりでありました。実際に訪問して、我が国がマーシャル諸島を含む太平洋島嶼国を重視している姿勢をアピールするということは、太平洋島嶼国との協力強化にとって不可欠であると考えての訪問でした。この機会にまた東太平洋戦没者の碑を訪問しまして、献花も行ってまいりました。
今回の訪問では、三月の日・マーシャル首脳会談のフォローアップとして、ハイネ大統領を含むマーシャル諸島要人との間で、二国間関係の強化及び地域情勢について率直な議論を行うことができたというふうに思っています。そして、この訪問により、両国が共有する基本的価値や原則を土台として、マーシャル諸島との協力関係を一層強化することができたというふうに考えております。
以上です。
○鈴木(庸)委員 政務官もハイネ大統領に会われたということなんですけれども、最初に外務省からいただいているペーパーには、ALPS処理水の海洋放出に懸念が示されていることについて、ハイレベルでの丁寧な説明及び情報提供を継続する必要があるとしているんですが、このことについては、ハイネ大統領との会談で直接伝えていらっしゃいますでしょうか。
○生稲大臣政務官 お答えいたします。
私の方から、ALPS処理水の海洋放出が安全に実施されてきている点を強調してまいりました。ハイネ大統領からは、日本の透明性のある説明に対して高い評価が示されたということです。
○鈴木(庸)委員 ということなんですが、政務官のSNSを拝見しても、大統領と会ったということについては一切書かれていないですし、私の見落としかもしれないんですけれども、マーシャル諸島側の各種発表を見ても、外務貿易大臣代行との会談については示されているんですけれども、そこで、先ほどの空港プロジェクトとか海上パトロール施設についてはインフラの話の意見交換をしたということで。
ただ、ここにも、ALPS処理水について、日本にとって大変重要な話だと思うんですが、これについて話し合われたということが一切書かれていないんですけれども、この辺りは、事実関係としては外務貿易大臣代行にも伝えているということでよろしいんでしょうか。
○生稲大臣政務官 それはしっかりと伝えております。
そしてまた、ちょっと、なかなか電波の関係も悪かったので、すぐにインスタグラム等に上げられなかったんですが、ハイネ大統領との会談のことも私は載せたと思います。
○鈴木(庸)委員 外務省にも伺いたいんですけれども、大統領と会った、ALPS処理水についてのお話をするということでペーパーの一番最初に来ていて、それが外務省の発表にも向こう側の発表にも一切見当たらないということだったんですが、これは、なぜそういうことになってしまっているんでしょうか。
○大河内政府参考人 お答え申し上げます。
個別の会談の内容に関します報告、これは個々の事案を踏まえて我々は対応しているところでございます。できるだけ丁寧に御説明していきたいと思っているところでございまして、そういう中で、今回のALPS処理水の案件に関しましても、このような場も活用させていただきまして、我が国の取組、そして各国の反応、これを引き続き御説明申し上げたい、こういうふうに思ってございます。
○鈴木(庸)委員 ALPS処理水の話は、我が国にとって大変大事なことということで、いろいろなところには出ていなかったけれども、政務官の方とお話ししたということなので、一つ安心はいたしました。是非、顔を合わせるといったことが大事だということは承知しているんですけれども、費用対効果も含めてやっていただければとお願いを申し上げます。
それでは、ACSAの話、RAAの話に行く前に、政務官は、もうこちらで御退室いただいて結構です。ありがとうございます。
○堀内委員長 生稲外務大臣政務官におかれましては、御退室いただいて結構です。
○鈴木(庸)委員 日本が結んでいるACSAなんですけれども、インドとも御案内のように結んでいるんですが、令和三年からですけれども。自衛隊とインド軍との間の緊密な協力を推進するということになってくるわけなんですけれども。
アメリカがいろいろな形で介入している戦争を除くと、ACSA締結国で他国と戦闘状態に入った国というのは初めてということになるのではないかと思うんです。また、さらには、インドもパキスタンも核を持っているわけです。
パキスタンと交戦中のインドとの間にACSAが結ばれていることについての所見を伺えますでしょうか。
○岩屋国務大臣 インドとのACSAは、自衛隊及びインド軍の両者が共に活動に従事する現場において、自己の活動や相手との連携を効率的に行うために必要な物品、役務を相互に円滑に提供するための仕組みを整備するためのものでございます。
したがいまして、自衛隊が活動していない場所における物品、役務の提供は想定されないということでございます。
○鈴木(庸)委員 インド側からも何も連絡が来ていないという理解でよろしいわけですよね。
○岩屋国務大臣 そのとおりでございます。
○鈴木(庸)委員 是非、巻き込まれないように細心の注意を払って、協力も進めていただければと思います。
それでは、日本とフィリピンのRAAについて伺わせてください。
特に政治活動を慎むことというのが条文にあるんですけれども、具体的にどのようなことが政治活動に該当すると考えていらっしゃいますでしょうか。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
日・フィリピン部隊間協力円滑化協定、RAAの第三条は、接受国において、接受国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動、特に政治活動を慎むことは、訪問部隊、その構成員及び文民構成員の義務であると定めております。
日・フィリピンRAAの第三条に言うこの政治活動の一つの典型例としましては、訪問部隊の構成員や文民構成員が接受国において政治的な集会などに出席し、政治的な演説をすることが挙げられる、このように考えております。
○鈴木(庸)委員 あと、八条に、締約国が他方の締約国の領域において軍事施設を設置するための根拠となるものと解してはならないという言葉が、ほかのRAAと比べて、わざわざ出てきているんですけれども、何か背景はあるんでしょうか。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
この協定の第八条3は、先ほどの審議でもございましたけれども、フィリピンの憲法の規定も踏まえた上で、この協定が、一方の締約国が他方の締約国の領域に軍事施設を設置するための根拠とならないことを、あくまで確認的に規定したものでございます。
○鈴木(庸)委員 確認ということで。
また、ちょっとそのままなんですが、十五条の2のところでは、情報保護の内容が日英RAAとまた異なっているんですけれども、これはどういう理由で異なっているんでしょうか。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
この協定及び日豪、日英のRAAの第十五条2は、いずれも秘密情報の取扱いについて規定してございます。また、適用可能な情報の保護に関する両締約国間の協定及び取決めに言及してございます。
日豪、日英間では、ここに言う適用可能な情報の保護に関する両締約国間の協定に該当するものとして、情報保護協定が存在いたします。他方、日・フィリピン間では、これに該当する協定、取決めが現時点で存在いたしません。
このような協定、取決めが存在しない中でも、秘密情報の適切な保護、取扱いを確保できるような文言を調整した結果、日豪、日英RAAと異なる規定ぶりとなったものでございます。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
そういう中で、仮に、RAAの中で武力攻撃事態が協力活動中に発生したという場合にはどういう対応になって、その際の認定のフローについても御説明をお願いいたします。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
武力攻撃事態における協力活動に関してでございますが、協定の規定上、協力活動の内容は特段限定されていないため、武力攻撃事態などの状況において協力活動を実施することとなる可能性は、協定上は排除されていません。
一方で、自衛隊の活動は、あくまで憲法及び自衛隊の活動根拠を定める法令の認める範囲内においてのみ実施されるものでございまして、この協定が、憲法を含めた法令を超えて自衛隊が何らかの活動を行うための根拠を与えるものではございません。
いずれにいたしましても、個別具体的な協力活動の内容は、両締約国の法令の定める範囲内で、その都度、両国間で適切に判断し、相互に決定することとなります。
なお、協力活動の認定の仕方について御質問がございましたけれども、両締約国が協力活動として相互に決定するに当たりましては、防衛当局間の調整を行いつつ、最終的には我が国の外務省も関与した形で決定するという流れになることを想定しております。
○鈴木(庸)委員 可能性があるというところがまた残ってしまったんですけれども、ここもまた議論の必要があると思うんですが。オーストラリアのときもそうだったんですけれども、結局、裁判権という話が次に出てくると思うんですね。裁判権が、二国において競合する場合の公務の定義というところになってくるんですけれども、ちょっとそのまま次の質問に行かせていただくんですが。
御案内のように、フィリピンは二〇〇六年の六月に死刑制度を廃止しております。仮に、自衛隊員が国外犯の処罰規定に該当するような犯罪を犯した場合は、どのような対応となるんでしょうか。オーストラリアのときと同じような形になるんでしょうか。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
まず、大前提として申し上げますが、この協定の下で協力活動を行うに当たりまして、訪問部隊の構成員などにより犯罪行為がなされることがあってはならない、このように考えております。
その上で申し上げれば、この協定の下でフィリピンを訪問中の自衛隊員が、我が国の法令及びフィリピンの法令のいずれによっても罰することのできる罪を犯した場合は、裁判権を行使する権利が競合することとなるため、我が国の当局とフィリピンの当局のいずれが裁判権を行使する第一次の権利を有することとなるかが協定の規定に従って決まることとなります。
具体的に申し上げますと、専ら派遣国たる我が国の財産、安全のみに対する罪や、専ら自衛隊員の身体、財産のみに対する罪、また、自衛隊員の公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪であれば、派遣国たる我が国の当局が裁判権を行使する第一次の権利を有し、その他の罪であれば、接受国たるフィリピンの当局が裁判権を行使する第一次の権利を有することになります。
○鈴木(庸)委員 そうすると、その公務の定義というところがまた難しくなってくるとは思うんですが。
もう一つ申し上げると、仮に、今そういうことがないようにというお話はあったんですが、自衛隊員の方がフィリピンで裁判にかかることになったときに、ドゥテルテさんもそれでいろいろ今問題になっていますけれども、フィリピンの裁判の透明性というところについては大いに疑問が残るところかとも思うんですけれども、その辺りはどのように担保していく予定でしょうか。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
他国の制度のことでございますので、政府として、御指摘のようなフィリピンの裁判制度の透明性について評価する立場にはございません。
他方、その上で、自衛隊員がフィリピンで裁判を受けるようなことがあってはならないことが大前提でございますけれども、仮に御指摘のような事態が生じた場合には、個別の事案に即して、協定の規定に沿って適切に対応がなされることとなります。また、政府としても、それを確保するために最大限努力してまいります。
○鈴木(庸)委員 個別の事案に即してということになると、先ほど申し上げた公務の定義、裁判の競合において公務をどう定義するかというところで、また解釈の違いが出てくると思うんですが、この辺りの基準はあるんでしょうか。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
公務に関しては、協定上、きちんと規定されておりますけれども、その解釈について、フィリピン側と日本側で解釈の相違があって意見の不一致があった場合の対応でございますが、これは当然、それを解決するために双方で誠意を持って協議をするということになると思います。基本的にはそういった協議をもって解決をしていくということで、政府としてはそういうふうに取り組んでいくつもりです。
○鈴木(庸)委員 協議をするしかないということなんですね。
もう一つ、政情が不安定なときもあるフィリピンなんですけれども、御案内のように、VFA、訪問米軍に関する地位協定というものがフィリピンとアメリカ軍の間で結ばれていましたけれども、ドゥテルテ政権の下で、御案内のように、上院議員のビザとかそういう関係で破棄騒動が起こりました。つまり、地位協定を一方的に破棄するような、政治的なボラティリティーが高い部分があると思うんですけれども、こうした場合、日本としてどうするのかという所見、見解を伺えればと思うんですが。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
ドゥテルテ政権が、当時、米比訪問軍地位協定、いわゆるVFAでございますが、この破棄を発表いたしまして、後にそれを撤回したということは我々としても把握しております。他方、政府として、御指摘のようなフィリピン政府による対応について評価する立場にはございません。
日本とフィリピンの間の関係は非常に良好でございますし、その良好な関係は、フィリピンでの政権が替わっても、常に維持するように我々としては努力してきておりますし、一定程度それは達成されていると思います。今後も、仮に政権が替わりましても、これは政府と政府の間の約束事ですので、それがきちんと守られるように努力していくつもりです。
○鈴木(庸)委員 ありがとうございます。
そういうふうな中で、南シナ海でフィリピンが関与する不測の事態というものが起こり得るということは十分あり得ると思うんですけれども、その辺りの巻き込まれのリスクについての所見も伺えますでしょうか。
○岩屋国務大臣 このRAAは、日・フィリピンの一方の国の部隊が他方の国を訪問して協力活動を行う際の手続や同部隊の地位等を定めるものでございます。その際、言うまでもないことですが、自衛隊の活動は、あくまでも憲法及び自衛隊の活動根拠を定める法令の認める範囲内においてのみ実施されることになります。
したがって、この協定は締約国相互の軍事支援を法的に義務づけるものではなくて、この協定の適用対象となる協力活動は、その都度、両国間で適切に判断して相互に決定することになりますので、御指摘のような懸念は想定されないものと考えております。
○鈴木(庸)委員 巻き込まれないように細心の注意をお願いしたいと思います。
次に、日伊ACSAについて伺わせてください。
過去の国会答弁でも出てきているんですけれども、引き続き伺うんですが、提供国の事前同意があれば、受領国が第三国の部隊等に物資を移転するということは認めるんでしょうか。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
日本、イタリアの物品役務相互提供協定、ACSAは、第三条2におきまして、協定の下で提供される物品、役務を、提供締約国政府の事前の同意を得ないで、受領締約国政府の部隊以外の者に移転してはならないと定めております。したがいまして、委員が御指摘のとおり、提供締約国政府の事前の同意があれば、受領締約国政府が受領した物品、役務を、同国政府の部隊以外の者に移転をすることもあり得る規定となっております。
その上で申し上げますと、我が国が提供した物品、役務の移転に事前同意を与えるか否かについては、我が国として主体的に判断し、適切に対応していく考えであります。
○鈴木(庸)委員 今回も弾薬は含まれないということでよろしいわけですよね。
ACSAをいっぱい結んでいるアメリカの会計検査院、GAOの資料を見ると、アメリカの場合は本当に多くのところとACSAを結んでいるんですけれども、仮に支払われていない、要は、ACSAをいろいろやって、いろいろなところにいろいろ提供してあげたんだけれども、一千五百億から二千億ぐらい支払われていない。ACSAは、アメリカほどの規模でやるのと日本の規模は違うとは思うんですけれども、この支払いが滞るというケースが多々散見されます。
これまで、自衛隊がACSAに基づいて物品等を融通した際に、その返還については、対価も含めて適切にされているんでしょうか。また、その請求はどのように具体的にやられているんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答えを申し上げます。
ACSAを適用して、物品、役務の提供を受けた場合には、事前に調整した決済要領に基づきまして、提供した国に対しまして、物品の返還であるとか、あるいは通貨によって償還を求めるということになってございます。
実態として申し上げますと、この物品の返還や通貨償還については、締約国間との取決めにおいて、提供日から一年以内に実施するということが定められておりますけれども、一年を経過しても償還を受けていないものもあるところでございます。
一例で申し上げますと、一昨年、令和五年の十月に、日本の会計検査院から自衛隊が指摘を受けてございますけれども、海上自衛隊が提供しました物品、役務の決済について、一年を経過しても償還を受けていないものが、その当時で計百十件、約一億三千五百万円あった。これにつきまして、その後、約半年から一年かけまして、相手国に対して償還を求めた。働きかけを様々なレベルで実施をしたことによりまして、現在では、この百十件については全て決済が完了したところでございます。
他方、一年を経過しても償還を受けていない物品というのは、その後、また新たに発生もしてございます。ただ、件数、金額は、百十件、一億三千五百万円よりは減ってございます。これらについても速やかに償還が受けられるように、引き続き、提供を受けた国に対して調整を実施しているところでございます。
○鈴木(庸)委員 アメリカよりも日本の自衛隊さんの方が取立ては優秀だということなんですね。
ちょっと次の質問を飛ばさせていただいて、最後に、RAAとACSAを結ぶ他国との関係について伺わせてください。
日本はフランスとも結んでいますけれども、フランスの場合は排他的経済水域の九割がインド太平洋上に存在するので、フランスにとっては日本とACSAなりRAAを結ぶメリットはあると思うんですけれども、日本にとってフランスと結ぶメリットというのは何なんだろうと考えたときに、何か巻き込まれリスクだけあるので余りメリットを感じないんですけれども、その辺りをどう考えていらっしゃいますでしょうか。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
フランスは、日本にとりまして、共通の価値や原則を共有する特別なパートナーでありまして、二〇二三年には、両首脳間で、特別なパートナーシップの下での日仏協力のロードマップというものを発出しております。
そのフランスは、委員御指摘のとおり、太平洋に領土を有しているインド太平洋国家でありますので、我が国との間では、日本への寄港を含む共同訓練ですとか、ニューカレドニアにおける日仏間の共同訓練等、日仏両国間で具体的な協力をこれまでも積み重ねてきております。
フランスとの間では既にACSAを締結済みでありますが、さらにRAAの交渉も開始されております。こうした取組を通じて、両国間の安全保障、防衛協力が更に促進されることで、フランスの関与も得て、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられるということを期待しております。
○鈴木(庸)委員 でも、こちら側がフランスの例えば本土でRAAみたいな話というのは、なかなかなりにくいと思うんですよね。
フランスだけじゃなくて、去年のパシフィック・スカイズ24だと、スペインも来ている。このスペインについても、だんだん何か、イギリスとかフランスほどじゃないけれども、何となくじわっと距離を縮めてきている雰囲気があるんですけれども、この辺とのACSAの話というのは出ているんでしょうか。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
スペインとのACSA締結の可能性、排除はもちろんいたしませんけれども、現時点におきまして、スペインとの間でACSAの交渉は行ってはございません。
○鈴木(庸)委員 今、何を申し上げたいかというと、やはり空軍需要というのが、やはり今、特にヨーロッパでは騒がれていて、海軍を派遣するより空軍をぽこっとやった方が十分の一ぐらいの費用で展開ができる。彼らにとっては、日本というのはすごく便利な国だと思うんですよね。貸した金も返すし、ちゃんと組織の体制もすごくしっかりしている中で。ですから、例えばインド太平洋で展開するときも、空母なりをわっと送ると、もうとんでもないお金がかかっちゃうけれども、空軍でぱぱぱっと、こちらの方で受入れ体制があれば、ヨーロッパの国としては本当においしいわけです。
じゃ、彼らの戦争なり彼らの展開に巻き込まれる可能性がある我らとして、それと見合うか、それ以上の価値を国益として得ているのかというと、私は大変疑問を持っていまして、同じ価値観を共有するという考え方は分かるんですけれども、それよりも巻き込まれのリスクというところにも是非御留意をいただきたいと思うんですが。
最後に、この空軍需要が今後更に増加することが見込まれると思うんですね、そのことについての大臣の見解を伺えますでしょうか。
○岩屋国務大臣 委員御指摘のとおり、近年、各国の空軍のアセットを含め、欧州諸国の軍隊が我が国を含むインド太平洋地域を訪問して、我が方でいえば、自衛隊との共同訓練や部隊間交流を行っております。
再三申し上げておりますが、今や欧州とインド太平洋、アジアの安全保障は密接不可分というか一体のものになりつつある中で、こういう共同訓練や部隊間交流を通じて、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境に対する欧州諸国の理解を深めるとともに、欧州の同志国のインド太平洋に対する関与によって、地域の平和と安定に寄与し得ると考えているところでございます。
そういう意味で、今後とも、防衛協力、交流というものを進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○鈴木(庸)委員 是非向こうの空軍需要を満たしてあげるだけではなくて、我々の国として、向こうからそれ以上のものを取るような覚悟で外交をしていただければと思います。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、太栄志君。
○太委員 太栄志でございます。大臣、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
まず、先月、大臣はニューヨークを訪問されました。NPTの再検討会議の準備会ということで、我が国の外務大臣としては七年ぶりということで。私も先月の質問でも指摘させていただきましたが、今まさに、このNPT体制が揺らぐ、そういった本当に厳しい局面の中、大臣御自身が出席されて、そしてこのNPT体制維持ということと、また再検討会議へ向けた団結をしっかりと訴えられたこと、これは本当に意義深いことだったということで考えております。本当にお疲れさまでございました。
それでは、早速行きたいと思います。
世界が今まさに激動しています。そういった中で、まず、やはり我が国としてしっかりと防衛力を整備すること、また同盟国である米国との関係を深化させることは大事でありますが、一方で、トランプ政権下でアメリカの世界への関与が低下していく中で、やはり、まさに今回審議する二つの協定、RAA、部隊間協力の円滑化協定と、ACSA、物品役務相互提供協定、このような同志国との安保での関係強化、これを多層的、多角的に進めていくことこそがまさに重要であるというふうに思っておりまして、引き続き、我が国としては、もちろん、今回、協定の審議を尽くした上で、このRAA、ACSA締結を積極的に展開していただきたいというふうに私は考えておりますので、よろしくお願いいたします。
まず、我が国は、二〇二二年の国家安全保障戦略において、優先する戦略的なアプローチとそれを構成する主な方策として、同志国などとの連携の強化として、ACSAやRAAの締結などの取組を進めるとしており、また、同志国間のネットワークを重層的に構築、拡大して抑止力を強化する取組の一つとして、このRAA、ACSAを位置づけています。
今回、RAAに関しては、オーストラリア、イギリス、そして三か国目としてフィリピンと締結を目指している。ACSAは、アメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダ、フランス、インド、ドイツにプラスして、イタリアが今回七か国目だということで。今回のイタリアで、ACSAをG7の全メンバーと締結していることで、アメリカの同盟国を中心に、着実に協力を進展させていること、これは本当に私も評価できるというふうに思っております。
ここで、政府のこのRAA及びACSAの具体的な締結の戦略に関して、ちょっと大臣に確認をさせていただきたいと思っています。
大臣は、先月の十五日ですか、参議院の外交防衛委員会でも、RAAというものは戦略的観点で進めなきゃいけないと明確に述べられている。また、インド太平洋の同志国との間、また、中略しますけれども、インド太平洋以外の地域の国とも必要に応じて安全保障協力を進めていくことは非常に重要だと。そして、この辺も含めて、防衛省とよく協議をして戦略的に進めていきたいと考えているというふうに発言されております。
そこで、政府として、それではどのような方針また基準をもってこの締約国を選んでいるのか、その点に関して、大臣、教えてください。
○岩屋国務大臣 明確な基準というものを設けているわけではないんですけれども、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する我が国としては、今委員が御指摘になった国家安全保障戦略に基づいて、同盟国、同志国間のネットワークを重層的に構築する取組をやっていこうとしております。
その中でも、特に自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、安全保障分野を含め、幅広い分野で各国との協力を進めてきているわけでございまして、そういう意味でいうと、当然、このインド太平洋の中での同盟国、同志国というのは、できるだけやはり優先的に、そういうACSAやRAAという取決めを、協定を結んでいくことが望ましいだろうと思っております。
さっきも欧州の話が出ましたが、このインド太平洋にコミットを強くしていただいている国々との間でも、そういう安全保障、防衛協力といったものを積極的に進めていきたいという考え方に基づいて、相手国との二国間関係、あるいは自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、それから相手国からの要望等を総合的に勘案しながら、しっかりとそういう締結の要否を検討して、前に進めていきたいと考えております。
○太委員 ありがとうございました。
大臣、今、明確なものはないということであったんですけれども、まさにFOIP、自由で開かれたインド太平洋、この構想を守っていくというお話だったと思っております。
見てみると、欧州の国がやはり先行しているんですよね。そういった中で、例えば、シーレーンを防衛することを優先するのか、あるいは、インド太平洋と欧州大西洋はまさに不可分だということを強く認識してもらうために、まずは、だから欧州からやっているのか。そういった、どちらが優先とかという、これもないということで、それは何かありますか、そこら辺は、大臣の御見解。
○岩屋国務大臣 大きな考え方としてはさっき申し上げたとおりですけれども、その中で、やはり、これまでの相手国との二国間関係とか、防衛協力、安全保障協力などの実績とか、又は、自衛隊と相手国軍隊とのこれまでの交流の実績であるとか、相手国の要望も総合的に勘案しながら決めていっているというか、選んでいっているというか、検討していっている、そういうふうに御理解をいただければと思います。
○太委員 分かりました。
是非ともそこはまさに戦略性を持って、本当に今厳しい情勢が続いておりますので、そこをまた引き続きどうか進めていただきたいというふうに思っております。
一方、私が一つ気になるのが、といいましても、大事な同志国との締結がやはりうまく進んでいないんじゃないか、スピードが遅いのじゃないかということを思っておりまして、まず韓国ですね。
もちろん、今、韓国は政治が大変不安定で、それどころじゃないとは思うんですが、一方、今、韓国の進歩系の野党の、共に民主党の候補者も、日本と、あるいは日米韓のそういった協力というのは大事だということも発言されています。
そういった中で、韓国との関係に関して、二〇一一年でした、当時、北沢大臣のときに、そのときに韓国とは協議入りへ向けて確認されているはずです。それから十四年たっていますが、なぜこんなに長く、大事な、本当に今、朝鮮半島有事もどうなるか分からないですよ、そういったときなのにもかかわらず、韓国とのACSAが進んでいないのか、なぜ頓挫しているのか。その点をどういうふうに分析されているのか、教えてください。大臣、お願いします。
○岩屋国務大臣 韓国とのACSAの締結については、現時点で決まっていることはないんですけれども、日韓の間においては、現下の厳しい安全保障環境については認識を共有できているというふうに考えております。そのような日韓間で共有されている認識に基づいて、どういう協力関係が望ましいかということを協議をしっかりしていきたいというふうに思っております。
実務レベルで協議はACSAに関しても行っていますが、締結を前提とした交渉開始には至っていないというのが実際でございまして、相手のある話でもありますので詳細は控えたいと思いますが、いずれにしても、日韓の協力、あるいは日米韓の連携というものが必要だという認識においてはしっかりと共有できているというふうに考えております。
○太委員 認識を共有したのであれば、今、相当厳しい状況、しかも、朝鮮半島有事あるいは台湾海峡有事が連動しかねない、そういった状況でもあると思っていますので、そういった意味では、是非とも、しっかり制度化することが大事だと思っておりますので、大臣、どうか引き続き、この取組を加速していただきたい。よろしくお願いいたします。
次に、ニュージーランドですね。
これも二〇一四年以降、日・ニュージーランドの首脳会談で、ACSAに関して検討することで一致しましたが、それから、昨年もですか、議論を加速していこう、そういったお話もあったとは聞いておりますが、ここはまだ進展がありませんね。その点に関して、どんな状況でしょうか。まだ締結できないんでしょうか。
○岩屋国務大臣 御指摘のとおり、ニュージーランドとの間では、昨年六月、ラクソン・ニュージーランド首相訪日に際する首脳会談におきまして、あり得べきACSAに関する議論を加速させるということで一致をしたところでございまして、これを踏まえて今両国間で議論をしているところでございます。
政府としては、各国との安全保障、防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係、自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、具体的なニーズを踏まえながらACSAの締結に取り組んでいきますが、ニュージーランドとの議論も加速をさせていきたいと考えております。
○太委員 まさにインド太平洋ですね、安全保障の上でも大事なパートナーと思っておりますので、是非とも進めていただきたいと思います。
次に、ASEANに関してお伺いしたいと思っております。
まさに今回のフィリピンとのRAAの締結で、また進んでくれるんじゃないかと期待しておりますが。まさにASEAN諸国とは、大事なシーレーンを守るためにも大事だと思っておりますが、その点に関しても是非とも、ここはもう、ちょっと時間があれなんで質問しませんが、引き続きの展開をしていただきたい。
そして、もう一つ、もう本来なら、地政学的には一番やらなきゃいけないのはまさに台湾だと思うんですね。まず、もう別に、台湾とは非政府間の実務関係で進めているということでありますので、ACSAとかRAAとかそういった話じゃなく。
といいますのも、今年の二月の本会議で石破総理は、和田議員の質問に対して、「日台間の協力、交流の更なる深化を図ってまいります。」と石破総理がおっしゃっています。具体的には、安全保障に関するものも含めて台湾との関係を積極的に進めていく、推進していくというふうに明言されているんです。
ここは、私も前回、台湾との情報共有を何とかしてほしいということをお訴えさせていただきましたが。もちろん、まさに非政府間でいろいろと進めていただいていることだと思っておりますが、やはり、まず台湾、ここを、安保協力、何らかの手だてでまた引き続き加速していただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、フィリピンとのRAAに関して伺っていきたいと思っております。
先ほど来ずっと大臣からも、このフィリピンの地政学的な重要性ということは伺ってきました。そういった中なんですが、今回の日・フィリピンのRAAでやはり一番期待できることは、今回の協定の締結を受けて、海洋安全保障分野における協力が推進できるんじゃないかということだと思っておりまして、これまでも、ODA、またOSA、フィリピンに対して我が国から能力構築支援というのが行われてきました。
今回の協定を受けて、今後、どういった形でこの協力関係が進んでいくのか、その点、教えてください。
○岩屋国務大臣 フィリピンは、シーレーン上の戦略的要衝に位置しております。したがって、しっかり安全保障、防衛協力を強化していかなければならないと思っております。
これまでも、巡視船供与を含む海上法執行分野の協力、それから能力構築支援、防衛装備・技術協力、共同訓練、OSAによる沿岸監視レーダーシステムの供与の決定など、こういった協力を進めてきております。
また、総理がフィリピンを訪問した際には、首脳間で、RAAの発効に向けたプロセスの進展を歓迎した上で、OSAや防衛装備・技術協力を引き続き重層的に推進するということを確認をしております。
引き続いて、両国の戦略的パートナーシップを一層強化すべく、経済、安全保障を含め、幅広い分野での協力をしっかりと維持強化していきたいと考えております。
○太委員 ありがとうございます。
その上で、やはり、今、アメリカが東南アジアからも世界からもどんどん関与を薄めていっていく状況で、そういった発言が続いておりますけれども、一方、日、米、フィリピンの海洋協力というのが私は大事だと思っておりまして、実際、昨年の十二月、東京で日米比の海洋協議が初めて開催されました。
そういった中で、今後、この協議をどういった形で発展させていくのか、あるいは第二回会議はどうなっていくのか、そういったところを是非ともこれは我が国が主導してやっていくべきことだと思っておりますので、その点に関しまして、大臣、どういった御見解でしょうか。
○岩屋国務大臣 御指摘のとおり、日、米、フィリピンの協力は非常に重要だと思っております。このインド太平洋地域の平和と安定に資するものであって、これからも積極的に推進していかなければいけないと思っております。
今御指摘があった、昨年十二月には初の日米比海洋協議を開催をし、それぞれ二か国間で進めている具体的な協力も確認するとともに、二〇二五年以降も日、米、フィリピン協力のモメンタムを維持、継続、強化していくために努力することで一致をしております。その際に、フィリピンから本年第二回協議を主催したいとの提案があって、我が国としてもこれを歓迎したところでございます。こういう協力を更に進めてまいりたいと考えております。
○太委員 ありがとうございました。
是非とも、更にどう第二回を開催して、また定例化していくのか。そして、もう一つは、できればハイレベル化というのもひとつ検討していただきたい。今、局長級あるいは政治レベルで、そういったところを見据えながら、是非とも実質的な協議を進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、先日、石破総理がフィリピンと首脳会談を行った中で、情報保護協定の早期締結の重要性ということを確認されました。今後、政府間で議論していくということで一致されました。
これは、まさに二〇二三年から、警戒管制レーダーも日本からフィリピンに移転されておりますし、GSOMIA締結ということは、本当にフィリピン軍と自衛隊が協力を更に深めていく、その更なるきっかけになると思っておりまして。ですが、一方、GSOMIAがまだ締結されていない中で、RAAを締結するのはフィリピンだけですよね。ACSAの前にRAAというのもフィリピンだけなんです。
大臣は、秘密情報の提供を伴い得るRAAや、ACSAをGSOMIAに先行させることの妥当性についてどのように考えているのか、その点に関して教えてください。
○岩屋国務大臣 先行させたということでもないんですけれども、RAAが先に調ったわけですけれども。秘密情報保護協定がない中でございますので、今般の日比RAA第十五条には、このような協定、取決めが存在しない中にあっても、秘密情報の適切な保護、取扱いを確保できるようにすべく規定しているものでございます。
情報保護協定についても、できるだけ早く調うように、是非議論を前にしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。
○太委員 分かりました。
それで、ただ、やはり我々が気にしなきゃいけないのは、このRAA協定によって提供される秘密情報について、まさに先ほどおっしゃっていましたけれども、具体的に、じゃ、どのように保護措置というのが働くのか。その点、大丈夫でしょうかね。もう一度、その点、御返答いただけますか。お願いいたします。
○岩屋国務大臣 したがって、先ほども申し上げましたとおり、今般の協定の中において、秘密情報の適切な保護、取扱いを確保できるように規定を置いているわけでございますが、これはこれとして、委員御指摘のように、情報保護協定についても、先般の首脳会談においても重要性を確認をしております。議論をしっかり行っていこうということで一致をしておりますので、これから、両政府間で情報保護協定締結の可能性や必要性を検討した上で、交渉入りについて判断をしていきたいと考えております。
○太委員 分かりました。
では、次に、イタリアとのACSAに関してお伺いしたいと思っております。
その意義に関しては先ほど来もお話しいただいているとおりで、これまでの安保協力が進む中でのいろいろなニーズも含めて合致してきたということと、まさにインド太平洋のところ、欧州が安全保障と密接不可分だということで、意義深いことだと思っております。
ここで確認したいのは、協定を運営していく上で、実務上の補足的な細目や手続を定めるのが手続取決めでありますが、日伊のACSAの手続取決めは現在交渉中ということでありますけれども。例えば、日米のACSAに関しては手続取決めが公表されています。一方、カナダあるいはフランスとのACSAでは、手続取決めというのは公表されていないということでありますが、イタリアとは公表されるのかどうか、その点、教えてください。
○岩屋国務大臣 御指摘の手続取決めですけれども、協定の下で行われる物品、役務の要請、提供、受領及び決済の実施について、その条件の補足的な細目及び手続を定める防衛当局間の文書でございます。
今、日伊のACSAの手続取決めの内容は、両国間で調整中でございます。
手続取決めは、それ自体が国際約束を構成するものではなくて、それを行政府の権限の範囲内で実施することができる事項でございます。公表については、相手国側における取扱いも踏まえ非公表としておりますが、そのような中にあっても、国会での議論に資するべく、手続取決めの要旨を協定の説明書に含めて国会に参考提出させていただいている次第でございます。
○太委員 この点は、まさに民主的な統制の面からも本当に大事なことだと思っておりますので。アメリカとは公表していますね。そういった意味で、秘密情報に関しては除いた形でもいいと思いますので、そういった公表の在り方というものを是非とも検討していただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。
次にお伺いしたいんですが、存立危機事態における物品、役務の提供の可能性に関して。
この協定の第一条では、それぞれの国の法令により物品、役務の提供が認められるその他の活動のために、必要な物品、役務の提供に適用されるとあります。
我が国の法令により物品、役務の提供が認められるその他の活動としては、重要影響事態、武力攻撃事態、存立危機事態などのいわゆる有事における提供が含まれると理解してよいのでしょうか。お答えください。
○岩屋国務大臣 我が国の国内法に基づいて行われる活動については、法理上は、例えば存立危機事態の下でも物品、役務の提供は含まれる。だから、それが排除されているわけではないのでありますけれども、これまでの自衛隊とイタリア軍隊との活動実績を踏まえますと、実際にACSAの適用が想定される活動の典型例としては、共同訓練、あるいはPKOへの協力を始めとする国際平和協力業務、人道的な国際救援活動、あるいは大規模災害への対処等であると考えておりますので、存立危機事態を想定しているようなものではございません。
○太委員 確かに、存立危機事態下での物品、役務の提供は法理上排除されていないものの、実際にこの適用を想定する場面というのは、船舶、航空機の寄港、共同訓練、大規模災害の対処などであるということで、基本的には存立危機事態での適用は想定していないという趣旨の答弁であったと理解いたしました。
日本を取り巻く国際情勢、この厳しさが増す中で、より広く、まさにパートナーを多角化していくということの必要性は、もう先ほど来私も何度も言っているとおりでありますし、イタリアとの防衛協力を深化させなきゃいけないというふうに考えております。
そういった意味で、私は、存立危機事態下での物品、役務の提供が法理上排除されていないこと一点をもってこのACSAの締結に反対するということは疑問があるということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
朝鮮国連軍の適用除外についてお伺いしたいと思います。
第六条で、本協定は、朝鮮国連軍として行動するイタリア軍隊が実施するいかなる活動にも適用しない旨規定されていますが、政府は、現実的なニーズが今存在しないとしておりますが。朝鮮国連軍として行動するACSA締約国軍隊について、あえてACSAの適用除外とする必要はないのではないかというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 もう委員が既に御指摘されましたが、朝鮮国連軍は、国連軍地位協定に基づいて在日米軍施設・区域の使用が認められておりますが、横田飛行場に後方司令部要員四名を置くほか、部隊は配置されていないのが現状でございます。
また、朝鮮国連軍内部の連絡調整等、後方支援のための航空機等の一時的な立ち寄りの際に、これらの施設・区域を使用してはいるものの、その際の物品、役務の提供は専ら米軍が実施しているのが現状でございます。
こういった現状を踏まえまして、豪州、英国、フランス、カナダとのACSAは、朝鮮国連軍を構成する部隊として行動する相手国軍隊を適用対象としておらず、今般のイタリアとのACSAにおいてもこれを踏襲したところでございます。
○太委員 やはり、まさに朝鮮半島有事、もちろん起こしちゃいけないんですが、そのときを想定したときには、イタリア軍が朝鮮国連軍として行動する事態が発生したとしても、ACSAに基づいた物品、役務の提供はできないということでありますけれども。
やはり日本国内の米軍基地に長期にわたって国連軍の部隊が所在する可能性だったりとか、あるいは出撃するために一時的に日本に所在する部隊があることも想定されますので、ここは是非とも更に検討を進めていただきたいというふうに思っております。お伝えさせていただきます。
まだ、大丈夫ですか。
○堀内委員長 申合せの時間が経過しています。
○太委員 済みません。
一つ、ごめんなさい。防衛省の方に来ていただきまして、大変申し訳ないんですが、また別の機会でさせていただきたいと思っております。
引き続き、是非ともこのACSAをしっかりと推進して、我が国としての平和を守って、国際社会に貢献していただきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○堀内委員長 次に、和田有一朗君。
○和田委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。
大変今日は長時間の審議、皆さんお疲れさまでございます。また、大臣に至っては、世界中を回りながら、長時間、国会にも答弁を求められるということで、非常にお疲れだと思いますが、お体に気をつけて、頑張っていただきたいと思います。御苦労さまでございます。
では、質問に入りますが、条約、協定を聞かなければいけないんですが、その前に、やはり私からも、ほかの委員の方も何人もお聞きになりましたが、これはもう喫緊の、外務委員会では絶対に聞かなきゃいかぬことだ、ほかの政党の皆さんもお聞きになりましたが、やはり聞かなきゃいけないと思って、私は先に聞かせていただきます。
尖閣の話でございます。
もう既に今日午前中からも、話題というか議題になりましたけれども、尖閣周辺に中国海警が入って、ヘリを飛ばして領空侵犯をした、それに対して日本国政府は抗議をした、抗議をしたら、今度は向こうから逆の抗議が来た、こういうことでございます。
まず、このことについての事実関係をお伺いします。
○大河内政府参考人 事実関係について申し上げます。
先週五月三日午後ゼロ時十八分頃から、中国海警船の四隻が順次、尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入いたしまして、二十一分頃から三十六分頃にかけて、うち一隻の海警船から発艦したヘリコプターが飛行しているところを海上保安庁の巡視船が確認した、こういう次第でございます。その後、これら四隻、同日午後一時三分頃まで、いずれも領海から退去したということでございます。
海上保安庁におきましては、この中国海警船の四隻に対しまして、領海からの退去命令、そして、進路規制を繰り返し実施いたしました。また、当該ヘリコプターに対しまして、退去警告を実施するとともに、自衛隊におきましても、航空自衛隊南西航空方面隊の戦闘機を緊急発進させ対応した、これが事実関係でございます。
その上の外交上のやり取りの事実関係でございますが、今回の領海侵入及び領空侵犯は極めて遺憾であるということでございますので、同日三日に、船越外務事務次官から呉江浩在京中国大使、そして、金井アジア大洋州局長から趙宝鋼在京中国大次席公使代理に対して、極めて厳重に抗議するとともに、再発防止を強く求めた、こういうことでございます。
事実関係は以上でございます。
○和田委員 その後、報道ベースですけれども、中国は日本に対して、そのことについて抗議をしたという報道がありました。この点について、事実関係はどのように把握されておりますか。
○大河内政府参考人 御質問の件に関しまして、中国側から独自の主張があったということは事実でございますが、我が国としては全く受け入れられない旨明確に述べたということでございます。
これ以上の詳細に関しましては、外交上のやり取りでもございますので差し控えさせていただきますが、いずれにせよ、極めて遺憾ということで、中国政府に対して極めて厳重に抗議するとともに、再発防止を強く求めた、こういう次第でございます。
○和田委員 中国から日本に対しては、どういうルートで、どういう形で、何を言われたのか。そして、日本側は、どのように、誰が、それに対してもう一度きっちり反対をし、抗議をしたのか。もう一回、そこら辺、分かりますか。
○大河内政府参考人 外交ルートのやり取りでございまして、今申し上げました東京におけるやり取りに関しましては、外務省外務事務次官から在京中国大使に対して三日の午後、そして、外務省アジア大洋州局長から在京中国大次席公使代理に対して三日の午後に、それぞれ申し入れたということでございます。
また、北京におきましても、在中国大使館の次席公使から中国外交部のアジア司長に対しまして、これは四日の午前でございます。また、在中国大の公使から中国外交部の辺境海洋事務司副司長に対しても申し入れてございます、これは三日の午後でございます。
以上が外交上のやり取りでございます。
○和田委員 ということは、報道ベースで、中国側が日本に対して、日本が抗議をしたことについて抗議をしてきたというのは、外交ルートでは言ってきていないということですか。そして、それについて、日本政府としては何らかのそれに対する更なる抗議をしていないということでしょうか。
○大河内政府参考人 やや繰り返しの御説明になりましたので恐縮でございますけれども、今回の件に関しまして、中国側から独自の主張があったということは事実でございますけれども、これに対して、我が国としては全く受け入れられない、その旨明確に述べている、このようなやり取りがあった次第でございます。
○和田委員 誰が独自の主張をし、外交ルートで誰がどのように日本側からそれについてやり取りしたかというのをお聞きしたんですが、お答えがないのですから、繰り返したってしようがないので。本当は、しようがないことはないんですよ。持ち時間があるもので。
もう一回聞きましょうかね。これはどうなんですか。かみ合っていないんですよ。私が聞いているのは、直接言ってきたんですか、日本の北京の大使館か何かに、向こうの次官か何かが、おい、おまえ、言っていることが間違っているじゃねえかと言ってきたのかどうかということを聞いているわけですよ。
○大河内政府参考人 繰り返しになりますけれども、日中間でのやり取りに関しましては、私が先ほど申し上げました東京及び北京におきます関係者の間でやり取りが行われたということでございます。
我が方からは、厳格な形での、極めて厳重に抗議したということでございますし、また、中国からは独自の主張があったということでございますが、我が国からは全く受け入れられない旨明確に述べた、このようなやり取りが先ほど申し上げた関係者間であったということでございます。
○和田委員 独自の主張があったという意味が、余り一般的にはよく理解できないわけです。
ただ、報道ベースでは、中国は日本に対して、日本が抗議をしたことについて抗議をした、そう言っているわけで、そんなことを言われる筋合いも当然ないわけですから、しっかり対応しなければいけない。そこで、事実関係を今、確認しました。
そういう中で、今日午前中からもいろいろと議論が出ていましたが、やはり今、もう我々は中国と厳しく向き合う状況になってきている。
ここから私の個人的な意見ですけれども、今、日中のこのとげを抜いて友好するために、パンダでも頼めばいいんじゃないかなんという向きもある。パンダ外交だと言う人がいる。もう今の時代、パンダを頭を下げて借りる話かと、私はそう思うんですよ。
今まで、いろいろとお聞きしても、戦略的互恵関係だというようなことをよく御答弁になっていましたけれども、もはや戦略的互恵関係というのは、ベースが壊れているんじゃないかと私は思うんです。
これはやはり、日中友好の二十一世紀委員会ですか、そこら辺の時代の、胡錦濤さんの時代のムードの中でベースができ上がってきている一つの流れであって、今の習近平、いわゆる覇権主義国家であり、膨張主義であり、冒険主義である習近平体制の中では、もはや私は、こんな、戦略的互恵関係なんていって、頭を下げてパンダを貸してくださいと言っているような状況ではないと思うんです。
そこら辺について、大臣はいかがお考えになりますか。
○岩屋国務大臣 中国については、我が国にとっては、ある意味、永遠の隣人でもありますし、地域の大国として、やはり地域に責任を有する国家であるというふうに思っております。したがって、日中両国が地域と国際社会の平和と繁栄にとって共に重要な責任を有している。そういう中で、戦略的互恵関係ということを言っているわけでございます。
お互いに共通利益を拡大をして、そのことによって両国関係を新たな高みに発展させていくという考え方でございまして、平たく言うと、課題、懸案というのを一つずつ減らして、協力できることを一つずつ増やしていくということをやっていこうということを、最初の石破・習近平首脳会談でも、この戦略的互恵関係というのを確認をしているところでございます。
そういう考え方に基づいて、言うべきは言いながら、戦略的互恵関係を前進させていきたいと思っておりますが、御指摘のパンダの話は、これはちょっと別次元の話かなというふうに私は考えておりまして、複数の地方自治体や動物園からパンダの貸与を希望する声が寄せられていることも事実でございますので、そういうことを通じて両国民の交流が継続されるという、また、国民感情の改善につながるということに資してくれればいいなというふうには考えておりますが、先ほどから申し上げている戦略的互恵関係という文脈とはまた次元の違う事柄かなというふうに考えております。
○和田委員 各地方自治体やいろいろなところから声があるんだ、こういう話がありましたが、私は、今わざわざパンダを日本に連れてくる必要はない。連れてくるというのは変な言い方ですね、何と言うんだろう、これは誘致というものでもないですね、あれではないと思います。
パンダを、そんなことで頭を下げているぐらいだったら、もっとすることがあるだろう、もっとしっかりと交渉すべきことがあるだろうと私は思うんです。これで甘い顔をして、ああ、日本にはパンダを貸してやれば何でも言うことを聞くや、こういうふうに思われるようではあってはならないと私は申し上げたい。だから、パンダは要らないと私は思います。パンダには罪はないが、パンダは要らない、私はそう思います。
これは私の意見ですからね。それはおいておいて、次の協定等に行きますが、もう皆さんがお聞きになっていることなので、さらっとおさらいのつもりで聞きます。
日本、イタリアのACSA締結、これから一緒に飛行機も造ったりもするわけですけれども、そういうことも含めながら、イタリアとは我々は親しくしていく必要がある。そういう中で、このACSA、イタリアとのACSA締結の意義をお伺いします。
○岩屋国務大臣 イタリアとの間では、価値や原則を共有する重要なパートナー関係だというふうに思っておりますし、自由で開かれたインド太平洋についてもコミットをしてくれている国でもあります。
そういった意味で、今回ACSAを締結することによって、自衛隊とイタリア軍隊との間で物品、役務の提供を行う際の決済手続が円滑に推進、促進されるということによって、両国の安全保障、防衛分野、あるいは更に幅広い分野における協力関係が強化されるもの、そのことが国際社会の平和及び安全に積極的に寄与することにつながっていく、そのように考えているところでございます。
○和田委員 以下、質問は防衛の方にお聞きしようと思うので、もし何でしたら、大臣、お手洗いに行っていただいて。
今度はフィリピンです。近年、フィリピンとの間で安全保障を深化させているわけですけれども、もう午前中来ずっとその話は出ました。もう一度おさらいの意味で、その意義と今後の方針をお伺いします。
○金子大臣政務官 フィリピンは戦略的要衝に位置する日本の戦略的パートナーであり、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、フィリピンとの間で様々な分野で防衛協力を強化することが重要であります。
フィリピン軍との間では、共同訓練や防衛装備移転等を始めとして様々な協力活動を実施してきており、今年二月の日・フィリピン防衛相会談では、両国の防衛面での協力と連携を更に一段高いものに引き上げていくことで一致をいたしました。具体的には、ハイレベル交流や防衛大学校等への留学生の受入れなどの重層的な人的交流、共同訓練や部隊間協力の一層の活発化などで一致をいたしました。
また、先月の日・フィリピン首脳会談では、ACSAの締結に向けた交渉を開始することで一致するとともに、情報保護協定の早期締結の重要性を確認し、政府間での議論を行っていくことで一致いたしました。
こうした点を踏まえまして、防衛省・自衛隊としては、日・フィリピン間の安全保障、防衛協力を引き続き強化していく考えです。
○和田委員 今、既にACSA締結に向けた必要性みたいなものも出てきたんですが、そこら辺の認識をもう一度、フィリピンとの間のACSA締結に向けた必要性についてもう一度お伺いいたします。
○金子大臣政務官 そもそもACSAは、自衛隊と相手国の軍隊が活動を行うに際し、両者の間の物品、役務の相互提供に適用される決済手続等の枠組みを定めるものでございます。
自衛隊とフィリピン軍との間では、艦艇、航空機の訪問や実務者会合、部隊間交流を含む活発な防衛協力、交流を実施しております。例えば、本年二月及び四月から五月にかけて、海上自衛隊の艦艇がマニラに寄港し、フィリピン海軍と親善訓練を実施したほか、四月から五月にかけて、米比主催多国間共同訓練、バリカタンに自衛隊が参加をいたしました。RAAの発効によって、相互に相手国における二国間訓練や多国間訓練への参加の機会が更に増加することも見込まれます。
以上のような状況の下、自衛隊とフィリピン軍の間で、ACSAを適用した物品又は役務の相互提供を可能とする体制を整備する重要性が高まっていると認識しております。
○和田委員 そこで、フィリピンとの間での話がそうやって進んでいくわけですが、そのずっと先にはオーストラリアがあり、ニュージーランド、既にニュージーランドの議論ももう出ました。
ただ、ここでもう一回お聞きしたいと思うのは、日豪は既にACSAを締結しているわけですが、ニュージーランドとの間での安全保障の協力を強化していく意義というものが、今日午前中もあった、先ほどもあったわけなんですけれども、もう一度そのことについて、重要だと思いますので、ニュージーランドとの関係についてお聞きしたいと思います。
○金子大臣政務官 我が国とニュージーランドは、同じ太平洋の南北に位置するとともに、基本的価値を共有しておりまして、インド太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、重要な戦略的協力パートナーと考えております。
ニュージーランドとの間では、昨年だけでも二度の防衛相会談を実施したほか、昨年九月には、初となる二国間の共同訓練を海軍種間で実施いたしました。また、平成三十年以降、ニュージーランドは、北朝鮮籍船舶の瀬取りを含む違法な海上活動に対する警戒監視活動のために、我が国周辺への航空機や艦艇の派遣を実施しており、今後も、そうした機会を捉えた各種の防衛協力、交流の進展が見込まれます。
こうしたニュージーランドとの防衛協力、交流は、両国の防衛当局間の認識共有や相互運用性の向上等に資することで、自由で開かれたインド太平洋の実現につながるものと考えております。こうした中で、昨年六月の日・ニュージーランド首脳会談では、ACSAの議論を加速させることで一致しました。
今後、防衛省としては、ACSAの協議開始に向けて外務省と連携していくとともに、引き続き、共同訓練の実施を含む防衛協力、交流を進めてまいります。
○和田委員 当然、バイですから、相手がある話ですから、ちゃんと積み上がっていっているんでしょうけれども、ニュージーランドはウェルカムだと思います。この間、ニュージーランドの大使館でお話しする機会があったんですけれども、非常にそのことについても関心を持っておられましたので、是非とも早く、加速してやっていただきたいと思います。
そこで、お聞きしたいのは、オーストラリア、ニュージーランドは、ずっと太平洋を取り囲んでいるわけですよね、環太平洋というか。その先に第一列島線というか、フィリピンから日本に向かって、大陸に向かって弧を描いている、自然の防波堤みたいなのがあるわけです。そのときに、やはり、この段階でよく見てみると、フィリピンとはこういうふうになりました、ニュージーランドとも豪州ともこうやっていますと。ところが、穴が空いている。さっきも議論が出ましたけれども、台湾の部分が抜け落ちているわけですね。
日本と台湾は国交がありません。外交上、私は国交のない国家と言いますけれども、国交のない国家が存在して、穴が空いているわけです、安全保障上。その点をどのように埋めるべきか、これを考えなければならないと私は思いますが、その点についていかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもちろんですけれども、国際社会全体の安定にとっても重要だと考えております。したがって、台湾をめぐる問題はあくまでも対話によって平和的に解決されるべきであるというのが我が国の一貫した立場でございます。
我が国としては、こうした立場を中国側に累次直接伝えておりますし、関係各国の共通の立場として明確に発信をしてきております。今後とも、こうした外交努力を続けてまいります。
その上で、政府としては、台湾との関係は非政府間の実務関係として維持していくという立場を踏まえまして、日台間の協力と交流の更なる深化を図っていく考えでございまして、台湾との間で引き続き幅広い実務関係を発展させていきたいと考えております。
○和田委員 対話によって平和的にと言うんですが、結局、一番最初に申し上げた尖閣の話も、今日の新聞記事だと、中国海警船、領海を出るというタイトルになっているんですね。この間までは、接続水域を出るだったんです。いつの間にか、領海を出るようなもう文言になってきて、ついにヘリコプターまで入ってくるようになってきて、こういう状況で、サラミ的に、サラミを切り取るように、ずっともう入ってきている状況なんです。
そういう中で、やはり力によって抑止力を働かせるということが必要になってくる。その中で、私は、台湾のあの島の辺りにこの穴が空いてしまっているのではないか、日本から見たときに、日本が行うべきことの中で、安全保障上、穴が空いているのではないかということを私は申し上げたわけでございます。
これは幾らお聞きしても答えは出ませんから、ここはここで一旦終わりますが、そういう意味で私は申し上げておりますので、一度そういうことも俎上にのせてほしい、こう思います。
次に、ずっと日本と中国との関係に関わることで聞いていくんですが、トランプ政権の関税政策を含めた外交についてです。
今の米国の政策というのは、いろいろな議論はありますが、恐らく、やはり中国をどう抑え込むかということに米国は注力をしているのではないか、そういうふうに私は思います。それは、関税でどこの国とどこの国が交渉して、アメリカがどれぐらい助かったとか、そういうことを言うかも分かりませんが、最終的には、かつてソビエトをアメリカは潰してしまった、潰したんですよ。はっきり言って、国家を潰したんです、あれは。そこまで行くように中国を封じ込めたいという意図で、全精力を使っているのではないかと私は思います。
ならば、そういう中で、そういう考え方を持つとすれば、そういう考え方のアメリカとつき合っていくべきだろうと。それは、中国の機嫌を取って、今、だから、中国に少し甘い顔をして、いい顔を向けて、何かそういうふうなことをするというんじゃなしに、こういうときに、やはり我々は、アメリカの本当の意図とは何かを見た上でアメリカとつき合うべきだと思うんですが、そういう考え方についてどうお思いになりますか。
○岩屋国務大臣 米中両国の関係は、今、関税戦争みたいなことが言われておりますが、今後もリーダーシップを競い合っていくライバル関係ということなんだろうと思います。しかし、それが本格的な衝突につながるということは決して望ましいことではなくて、米中両国の関係が安定をするということも国際社会にとって極めて重要であるというふうに考えております。
米国とは、二月の日米首脳会談におきましても、日米関係を維持強化していくということを確認したと同時に、東シナ海や南シナ海における力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対する、台湾海峡の平和と安定が重要であるということも確認をしておりまして、中国をめぐる諸課題についても意見交換を行っているところでございます。
引き続き、米国との信頼関係の下に、中国に対しては、その立場にふさわしい責任を果たしていくように求めていきたいというふうに考えているところでございます。
○和田委員 今日の新聞を見ますと、元USTRの代表補、マイケル・ビーマン氏という方がこういうことを言っておられますね。「中国への懸念に日本が積極的に対処し、日本を経由した輸出の遮断などに動けば、対米交渉でカードにできるかもしれない。」と。要は、日本が中国とどう向き合うかということによって、アメリカとのこの関税の協議なんかでもカードにしていくことができるのではないかというような議論が出ています。
すなわち、やはり我々が中国とどう向き合うかが、アメリカとのこの今の難しい交渉の一つの糸口を出すかも分からないと私は思いますので、そのことを申し添えて、次に移りたいと思います。
先ほど太先生もちょっと触れていただきましたが、二月十三日の石破総理の帰朝報告質疑の際に私が質問したときに、日台間の協力、交流の更なる深化を図ってまいります、具体的には、安全保障に関するものも含めまして、台湾をめぐる状況に関し情報収集などを行う等、幅広い分野で実務的な情報共有や協力関係を積極的に推進していきますという答弁があったんです。これは何のことかなとずっと思っていたんですが、改めてここでお伺いしたいんです。具体的にこれは何を指しているんでしょうか。
○大河内政府参考人 台湾側との間では、我が国の民間窓口機関でございます日本台湾協会等を通じまして、平素からあらゆる機関と緊密なやり取りが行われてございます。日本としても、そうした取組を積極的に政府としても後押ししている、こういう状況でございます。
具体的に例を挙げますと、交流協会によります台湾との実務的な情報共有、協力、幅広く行われてございますが、例えば、一九七六年から続いてございます日台貿易経済会議、このような枠組みがございますほか、近年は、日本、米国、台湾、オーストラリア、カナダが共催いたしまして、専門家等が地域課題について話し合いますグローバル協力訓練枠組み、このような枠組みもでき上がってございまして、このように多数の枠組みが活動している、こういうことでございます。
政府といたしましては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していく、このような立場を踏まえつつ、日本、台湾間の協力と交流の更なる深化を図っていく、このようなことを考えている次第でございます。
○和田委員 それが精いっぱいの御答弁だろうとは思います。また、そこまで、ある部分、私的には、ああ、そこまで申し上げるようになったんだなとは私は思ったんですけれども、それはさておいても、バイだけではなくて、これからマルチの中で、台湾と日本が共にそういうふうにしていろいろな作業をしていくということも考えられると思うんです。今さっきはそういうことについての御答弁も、若干触れられました。そこからお聞きしていきたいんです。
それもあるんですが、先ほどフィリピンとの間で防衛大学に留学生を招聘しますとか、そういうのがありました。それぞれの国で軍事演習というのがあるんですね。台湾は台湾で国軍がやっているし、日本は日本で富士の裾野でやったりと。そういうときに、お互いに武官、日本の場合、武官という表現が正式名称でありませんけれども、そういう武官を、それぞれの国でやるもので視察にお互いに行き来するということはできないのでありましょうか。防衛省にお伺いします。
○金子大臣政務官 政府といたしましては、台湾との関係は、一九七二年の日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持していくとの立場であり、御指摘の点を含め、台湾との関係については、こうした基本的立場を踏まえ、適切に対処していく考えでございます。
○和田委員 その適切というのは、いろいろな、何というんでしょうね、応用は利くと私は思っているんです、いろいろな解釈の中で。
将来的に、やはり、軍事演習にいろいろな知恵を使って、いろいろな人が出かけていく、あるいはやってくるということを研究すべきだと思います。いろいろな形で研究して、知恵は出ると思います。それを申し上げておきたいと思います。
そして、更に次に、先ほどフィリピンの話を出しましたけれども、日本の防衛大学あるいは防衛医科大学に留学生を台湾から受け入れるということはできないものでしょうか。
○金子大臣政務官 繰り返しにはなりますけれども、政府としては、台湾との関係は、一九七二年の日中共同声明を踏まえまして、非政府間の実務関係として維持していくとの立場であり、台湾との関係については、こうした基本的立場を踏まえ、適切に対処していく考えでございます。
○和田委員 これも同じことです。
次に、では、防衛省が駄目なら、今度は海上保安官と台湾のコーストガードについてはどうだということをお聞きしたいんです。
MOUなんかで実務的な関係を結んでいます。密輸の取締りをやったり、救助など、いろいろ関連性はあると思うんですが、この海上保安官と台湾コーストガードの交流、行き来というのは今どうなっておりますか。
○服部政府参考人 お答えします。
海上保安庁と台湾コーストガード、すなわち海洋委員会海巡署との間に覚書はございませんが、日台双方の民間窓口機関である日本台湾交流協会と台湾日本関係協会の間では、二〇一七年に海難捜索救助分野の協力に関する覚書、二〇一八年に密輸及び密航への対策に係る協力に関する覚書が結ばれております。
これらの覚書に基づく、日本台湾交流協会からの協力要請を受け、海上保安庁は年一回程度の双方の実務者を交えた会合にオブザーバーとして参加するなど、必要な協力や交流を行ってきております。
○和田委員 ありがとうございます。
こういったいろいろな知恵を使いながら、前に向いていけることがあるんじゃないかと私は思います。
次に、では、海上保安大学校というものがあるんですね、防衛大学校があるように。ここに、台湾コーストガードから、そういういろいろな、現実に現場で人が溺れているときにお互いに行って助けたりするんですから、そういう方々を招いて、幹部候補生というんですか、留学生を受け入れるということは海上保安大学校には無理なんでしょうか。
○高見大臣政務官 委員が御指摘の海上保安大学校でありますけれども、海上保安庁の幹部候補生として必要な知識や技能を教授し、心身の錬成を図るために、人格の陶冶とリーダーシップの涵養、高い教養と知識の習得、強靱な気力、体力の育成を教育方針として教育訓練を行っている機関であります。
加えて、現在、海上保安能力強化に関する方針に基づきまして、巡視船、航空機等の大幅な整備を進めているところでありまして、海上保安能力を着実に強化していくために必要となる人材の確保、育成をすることが喫緊の課題でありますことから、現在、諸外国の海上保安機関の幹部候補生を受け入れるという計画はございません。
○和田委員 これも将来的にわたってやはり抑止を働かせるという意味の中で、ひとつ一度検討してみる価値があると私は思いますので、御提案申し上げます。
次に、台湾のシンクタンクとの交流を深められないか。今、マルチで民間のいろいろなものがあるんですけれども、例えば、台湾の国防安全研究院と交流を深めて、日本の防衛研究所との研究員の相互交流、シンポジウムにおいて、向こうでやるもの、こっちでやるものに相互に研究者がやってくる、そういったことはできないものでしょうか。いかがでしょうか。
○金子大臣政務官 先ほども申し上げましたが、台湾との関係は非政府間の実務関係として維持していくとの立場、こうした立場に基づいて適切に対処していく考えです。
その上で、一般論として、防衛研究所に所属する研究者が海外の研究者と学術的、専門的な意見交換を実施することは有益であると認識しておりまして、平素から様々な国際交流が行われております。
○和田委員 平素から様々な国際交流をより深化をさせて、より発展をさせていくように努力していただきたいと思います。
そこで、ここまで、何を聞いても日中共同声明に基づきという言葉が出てくるんです。前、何回も私もこのことについてはお伺いしたし、質問主意書も出したことがありました。今回、浜田議員から、NHK党の浜田さんから、質問主意書で、日中共同声明の法的拘束力についてはいかんという質疑があった。これに対して、法的拘束力はないという答弁が返されたということだそうです。
対米トランプ外交の観点から考えても、いろいろな形で抑止力を深めるために、中国と向き合うために、台湾との関係を一度立ち返って考え直すべき時期が来ていると私なんかは思うんです。
こんな中で、先ほどパンダの話もしましたけれども、甘い顔をして中国の御機嫌を取るんじゃなくして、対中姿勢を厳しく今打ち出していくべき好機だと私は思うんです。このときを逃したら、中国に対して厳しく言うべきことを言うときは、私は難しいんじゃないかと思う。こういうときだからこそ、逆に、ある意味、その姿勢として、厳しいことをはっきり言うということが必要だと思います。
ある意味、こういう、災いを転じて福となすというのか、ピンチはチャンスと考えればいいのか。要は、こういうときだからこそ、日本ははっきり言うべきことは言う。下手に出て何でも頭を下げて、今だから仲よくしましょうや、いや、こうですよなんというんじゃなくて。私はそうだと思うんですが、そういう考え方について、いかがお考えに外務大臣はなりますでしょうか。
○岩屋国務大臣 中国に対しては一貫して、言うべきことは言ってきておりますし、これからも言うべきことはしっかりと言ってまいります。その上で、戦略的互恵関係を進めて、建設的で安定的な関係を構築するということも希求していきたいと考えているところでございます。
何か我が方が中国の御機嫌を取っているなどというのは誤解だというふうに申し上げておきたいと思います。
○和田委員 日本が中国に御機嫌を取っているというものではない、言うべきことは言っているし、誤解だと言うならば、パンダは要らないと私は思いますが、これは私の意見ですわ。それは、そこまでにいたします。
そこで、台湾との関係を考えたときに、やはり二国間でFTAとか、そういったものも考え得ると思うんです。やはり経済的に、これほど半導体に関してもいろいろな形で密接な関係が深まっていっているときですから、FTAとかEPAとか、こういったものをもう一度真剣に考えていくべき時期が来ているように思いますが、その点についていかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 台湾は、我が国にとっては基本的価値を共有する、また緊密な経済関係を有する極めて重要なパートナーであって、大切な友人でございます。こうした観点から、双方の民間窓口機関の間で対話や民間取決めを積み上げてきておりますが、最近では、昨年の十二月以降、日台電子商取引取決めの更新に係る交渉を開始するなど、経済連携の強化に取り組んでおります。
我が国の台湾との関係に関する先ほど来の基本的立場を踏まえつつ、幅広い経済関係を視野に入れながら、日台間の協力と交流の更なる深化を図っていく考えでございます。
したがって、二国間と言うと語弊が出てくるわけですけれども、マルチの枠組みなどに建設的に参加をしていただくような環境整備などにはしっかり努力していかなければいけないと考えているところでございます。
○和田委員 今大臣からマルチという言葉が出ました。防衛の方に申し上げておきますが、やはりマルチの中でいろいろな関係性というものはあるだろうし、つくっていけるだろうし、そのことが抑止に働くと私は思いますので、申し上げておきたいと思います。
あと数分ですが、ベネズエラのことをずっと聞こうと思って質問を持っていたので、何問かだけでも行きます。
ベネズエラの国の現在の政情はどうなっておりますか。
○町田政府参考人 ベネズエラでは、昨年七月に大統領選挙が行われまして、本年一月にマドゥーロ大統領が就任式を行っております。
我が国は、全てのベネズエラ国民の意思が尊重されるよう、投票結果の信頼性を裏づける上で必要な全ての情報が公表され、大統領選挙プロセスの透明性が確保されることを求めてまいりました。
それにもかかわらず、ベネズエラ政府は十分な説明責任を果たさないまま、大統領就任式が実施されたことは遺憾であると考えておりまして、我が国は、与野党間の対話の実施など、ベネズエラにおける全ての関係者の広範な参加を得て、諸問題が解決され、一刻も早く民主主義が平和裏に回復されることを強く求めております。
引き続き、国際社会と連携しつつ、ベネズエラに働きかけていく所存でございます。
○和田委員 そうですよね。民主的な体制になっているとは思えないわけです。大統領選挙に関しても非常に疑念が残っている。そういう意味で、今のベネズエラというのは、非常に政情が、ある意味、不安という表現がいいかどうか分かりませんが、非常に我々から見ると不信を抱くような状況になっている。
その中で、シャルルボワG7において、外務大臣発言、欧州連合上級代表発言による宣言について、このベネズエラの関係で事実関係をもう一度お伺いします。
○町田政府参考人 三月十三日にカナダ・シャルルボワで開催されましたG7外相会合の中南米情勢に関するセッションにおきまして、ベネズエラ情勢についても議論が行われました。
そして、この会合後に発出されましたG7外相会合共同声明において、ベネズエラにおける民主主義の回復、マドゥーロ政権による平和的な抗議活動の参加者への抑圧及び拘束の停止、並びに全ての政治犯の解放を改めて求めたところでございます。
○和田委員 了解です。
ちょっとはしょりまして、最後に、やはり独裁政権なわけですよね、ベネズエラというのは。選挙も非常に不確かな選挙でなっている、居座っているという大統領であって、弾圧もやっている。こういう独裁政権、ベネズエラの独裁政権に対して日本も制裁を科すべきではないかと私は思いますが、そういった点も含めて、大臣はいかがお考えになりますか。
○岩屋国務大臣 シャルルボワのG7外相、もちろん私も出ておりましたが、ベネズエラについても話題になりました。各国とも、ベネズエラに一日も早く民主主義が平和裏に回復されなければならないという考え方で一致をしているところでございます。
現状、我が国としてベネズエラに制裁を科すことは考えておりませんが、ベネズエラに民主主義が回復されるために何が効果的かという観点から、引き続き、G7各国と連携して対応していきたいと思っております。
やはり対話をする、何といいますか、窓口だけは確保した上で、働きかけをしっかり行っていきたいと考えております。
○和田委員 しっかりとした態度で、ベネズエラがまともな国になるように、政情がまともに安定していくように、日本政府も努力してもらうことを希望しまして、終わります。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、臼木秀剛君。
○臼木委員 国民民主党の臼木秀剛と申します。
今回、初めて外務委員会で質問をさせていただきます。委員長を始め委員の皆様方に、改めて感謝を申し上げます。
私、昨年の十月に初当選をさせていただいて以来、外務委員会は初めてということで、今回、条約の審議というものはどういうことをやるんだろうということをいろいろ勉強させていただきました。
その中で、憲法上、条約の承認については国会で行うということですけれども、皆様方、既に当然御存じの中で大変失礼ですけれども、条約というものはいわゆる広義の国際約束というものであって、それを国会に、承認を要する国会承認条約と行政取決めに分けて、国会承認条約については、今まさにこの外務委員会で質疑、審議を行っているということだと理解をしております。
その上で、今日、午前中に武正委員からもお話がありましたけれども、この国会承認条約と行政取決め、これに分ける基準として、いわゆる大平三原則というもの、大平報告、当時の外務委員会で報告されたものではありますけれども。
国会承認条約に分ける大平三原則については、先ほど武正委員からも資料が配られておりますけれども、裏側になりますが、行政取決めに当たる国際約束、国際約束がどういう基準で行政取決めになるのか、ちょっと表裏の関係になりますけれども、参考人で結構ですので、御説明いただけますでしょうか。
○濱本政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の大平三原則、これは、昭和四十九年二月二十日に大平外務大臣から御説明したことでございますが。
この中で三つ、いわゆる法律事項を含む国際約束、いわゆる財政事項を含む国際約束、そして、我が国と相手国との間あるいは国家間の一般の基本的関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束であって、それゆえに、発効のために批准が要件とされているものについては国会の御承認をいただくものということになっているわけでございます。
そして、その上で、それ以外の国際約束については、いわゆる行政取決めとして、行政府の権限で締結しているということでございます。
○臼木委員 ありがとうございます。
そのような原則、ルールに基づいて、それぞれ国会承認条約と行政取決めということで分けて、国会で議論を行っているわけです。
今日、午前中、武正委員も御指摘をされていました。今回、ACSAにつきまして、国内担保法を一般法形式にすることによって国会審議が十分に行えなくなるのではないかという御指摘がありました。
ただ、過去には、社会保障協定に関する、個別でやっていたものが一括法形式になったということで、百六十六回国会だと承知をしておりますけれども、それ以降も、国会承認条約として、それぞれの協定が国会の中で議論をされているものと承知をしております。
念のための確認、もう一度私からも確認させていただきたいんですけれども、各国、様々、ACSAの締結、これからも行われると思います。特に、先日、日本、フィリピン間でもACSA締結に向けての議論を進めていくというお話もありました。今後、ACSA締結に際して、それぞれ締結された場合には、国会承認条約として国会提出をし、国会での議論がこの外務委員会できちんと行われていくのか。その上で、その場合は、大平報告、大平三原則のどの要件に当てはまるから国会承認条約として審議がされるようになるのか。二点、参考人からで結構です、お答えいただけますでしょうか。
○濱本政府参考人 お答え申し上げます。
現在御審議いただいているACSAのように、いわゆる法律事項を含む、これには既存の法令、法律の維持義務というのも含まれるわけでございますが、これと同内容のようなACSAが締結されるということでございましたら、引き続き国会の御承認をいただくということだと理解しております。
○臼木委員 ありがとうございます。
とはいいながらも、やはり、一般法形式になることによって、それぞれ所管の委員会での議論の機会はなくなり、外務委員会でその分きちんと審議をしなければいけなくなると思いますし、また、それぞれの交渉の中で、国会日程もあるとは思いますけれども、今、外務省の皆様方の中では、やはり国会承認条約にするという負担は重たいと思いますので、なるべく行政取決めであったり、そういった交渉もされ得るということもお聞きをしたことがありますので、国会審議の重要性ということはますます高まってくるのではないかと思っています。
その上で、やはり政務三役の皆様方も、今は行政の立場におられますけれども、きちんと、政治主導ということで設けられた政務三役でありまして、国会議員としての立場も持った上で、こういった点を見ていく。さらには、この外務委員会での国会承認条約の審議の重要性というのは、これからますます高まってくるのではないか。
意見めいたことにはなるんですけれども、もし何か、大臣、御意見があれば伺えますでしょうか。
○岩屋国務大臣 国会の御承認をいただくべき国際約束かどうかというのは、ただいま事務方から答弁をいたしましたように、これまで大平三原則に基づき判断をしてきております。
その上で、行政取決めについても、一般の外交案件と同様に、必要に応じまして、国会における質疑等を通じて、その内容について十分説明をさせていただき、御理解を得ていきたいと考えております。
行政取決めということになりますと、年間で二百五十本とか三百本とか、そういうロットになっていきますが、もちろん、お求めに応じて、必要なものは説明をさせていただき、また御理解を質疑等を通じて得てまいりたいというふうに考えております。
○臼木委員 ありがとうございます。
資料を私もつけていたんですけれども、すっかり忘れておりましたけれども、国会承認条約の件数というのは大体十件から十五件程度で推移しているものの、行政取決めの件数は、おっしゃっていただいたように、二百件後半から三百件ぐらい毎年ありますけれども、こちらの行政取決めについても、やはりきちんと国会としても見ていく必要があるんであろうなということをまずは私も学ばせていただきましたので、よろしくお願いいたします。
では、次の質問に参ります。
ACSAですね。今回、日伊ACSAのそれぞれ条文の方を見ておりましたところ、六条のところで朝鮮国連軍についての規定があります。これは日豪また日英のACSAの中でも設けられている条文ではありまして、私も、事前にレクを受けた際に、この条文の意味というものをお聞きをしたところ、地位協定に基づいて、それぞれのきちんと活動根拠を切り分けて明確にしていく必要があるんだということ、さらに、入国目的を明確にした上できちんと切り分けもできるし、さらには、今現在としては米国の方で対応していただいているので、こういう規定を一応念のため入れているというようなお話を伺いました。
というお話を伺って、なるほどなとは思っていたんですけれども、ちょっといろいろまた調べていくうちに、平成二十九年三月の外務委員会において岸田当時外務大臣が御発言をされておられますけれども、この朝鮮国連軍の規定の意義というものについて、簡潔に申し上げるならば、現実的なニーズが今存在しないというのがお答えのポイントになるという答弁をされておられました。
というこの御答弁を見て、おやっと思ったんですけれども、現状、ニーズがないからこういう規定があるという話なのかというのがまず一点目です。その上で、今、国際情勢は大変不安定になってきておりますので、仮にニーズが発生をした場合、ニーズが出てきた場合に、この六条の朝鮮国連軍との関係の規定、これはどういうふうになっていくのかということをちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。参考人で結構です。
○山本(文)政府参考人 お答えいたします。
朝鮮国連軍については、国連軍地位協定に基づき日本国内の在日米軍施設及び区域の使用が認められておりますが、その際の物品、役務の提供は、専らこれは米軍が実施しているというのが現状でございます。したがって、朝鮮国連軍として活動する活動がACSAの対象から除外されていることによって特段の支障は生じていないというふうに考えております。
その上で、一般論として申し上げれば、今委員が御指摘のとおり、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさと複雑さを増しております。そういう中で、適切な枠組みの在り方については不断の見直しを行っていくということは、政府として当然の責務と考えております。
したがって、各国とのACSAについても、今後、実際に運用を積み重ねる中で、御指摘のような観点も含めて様々な検討を行っていきたいと考えております。
○臼木委員 ありがとうございます。
ちょっと、何か分かったような分からないような感じがするんですけれども。
現状、現実的なニーズが今存在しないからこの規定は設けているけれども、国際情勢が不安定化する中によって、ACSAの今、全て、日豪、日英、そして今回、日伊のACSAでも入れているこの規定については、この条文の在り方も含めて、今後のACSAの締結に際しては少し考慮をする可能性がある、検討の余地があるという理解でよろしいのか、もう一度御答弁いただけますでしょうか。
○山本(文)政府参考人 お答えいたします。
先ほど述べたとおり、今、物品、役務の提供は専ら米軍が実施しており、特段問題ないというふうに考えておりますが、将来的に何かそういうことが、一般論として申し上げることになりますけれども、引き続き検討はしていきたいというふうに考えております。
○臼木委員 ありがとうございます。
それから、ACSAの関係でもう一問ですけれども、ACSAにつきましては、篠原委員も御指摘をされていた、今回、決済をより簡易にするための手続を定めたものであるということでありました。実際に、先ほど御答弁もあったとおり、同種、同等及び同量の物品を提供するなり金銭に換算して償還をするということで決済がされているということでありましたけれども。
金銭で償還するということを考えた場合に、日本側が債権を有する、相手国からもまた反対債権がある場合には相殺という手段も可能ではないかとは思うんですけれども、相殺という言葉が先ほど出てこなかったんですけれども、実際に、そもそも決済手段として相殺という手段を取り得ることが可能なのか、また、実際の現場において決済のときに相殺という方法が用いられているのか、外務それから防衛のそれぞれ政府参考人で結構です、御答弁いただけますでしょうか。
○金子大臣政務官 まず、ACSAの決済方法について、先ほども答弁があったという話でしたけれども、物品の場合は、一、提供を受けた物品の返還、二、同種、同等及び同量の物品の返還、三、提供国政府の指定する通貨により償還となり、一方で、役務の場合は、一、提供国政府の指定する通貨により償還、二、同種かつ同等の価値を有する役務の提供によって決済することとなっております。
その上で、例えば燃料の決済につきましては、締約国間で相殺についての合意がなされている場合、おおむね半年ごとに相互に提供した燃料を相殺をし、残余の分については通貨による償還を実施しておるところでございます。
○濱本政府参考人 やや繰り返しになりますが、協定上の扱いについて御説明いたしますと、物品につきましては、満足のできる状態及び方法で返還する、そうでなければ同種、同等及び同量の物品を満足できる状態及び方法で返還する、そうでない場合には通貨により償還するということでございます。
加えまして、役務につきましては、通貨により償還するか、同種かつ同等の価値を有する役務を提供することとされているところでございます。
○臼木委員 ちょっと明確にお答えをいただけなかったと思いますけれども、外務省さんに、相殺ということも可能だということの理解でよろしいでしょうか。
○濱本政府参考人 お答え申し上げます。
協定上は、相殺という言葉は使われておりません。
○臼木委員 ありがとうございます。
文言に忠実にということですので。ただ、実務上、燃料油等につきましては相殺というところで対応されているということですから、可能だということだとはお聞きをしています。
その上で、これから各国とACSAを締結するに当たって、やはり現場の皆様方のこういった決済、実際、日伊のACSA、日本、イタリアの軍隊間の、自衛隊とイタリア軍の間の物品提供の件数はまだまだ少ないというふうにはお聞きはしておりますけれども、これから、ACSAの締結により様々な物品提供が起こり得る可能性があります。
そのときに現場の負担を下げるためにも、相殺、実際は協定上は使われていないということですけれども、手段としての相殺ということを用いていき、より簡易な決済ということを可能にすべきではないかなと個人的にも思いますし、そういった方法も含めて各国間と交渉を行っていくということもあると思いますけれども、外務大臣、御意見を伺えますでしょうか。
○岩屋国務大臣 ACSAは、言うまでもなく、物品、役務の提供を行う際の決済手続等の枠組みを定めるものであって、これを円滑に行うことが可能とすべく定める協定でございますので、委員が今御指摘になったことも含めて、緊密な連携が更に進んでいかなければ意味がない、円滑な決済等が進んでいかなければ意味を成さないわけでございますから、御指摘等も踏まえて適切に対応してまいりたいと思っております。
○臼木委員 ありがとうございます。
先ほどの質疑にもありましたけれども、会計検査院からの決済の遅れの指摘もあるわけですし、できるだけ簡易な決済ということは、やはり我が国としても相手国に要求をしていくべき事項ではあると思っておりますので、是非、今後、交渉に当たっては御留意、御配慮いただければと思っております。
それから、ちょっと日伊ACSAからは離れますけれども、次世代戦闘機開発、日英伊三か国での共同開発を決定して、今協議を行っておるわけですけれども。
中期防のときには、我が国主導でということで戦闘機開発を行っていくんだということが、二〇一八年に決定をしていたかと思います。当時の観点としましては、要求性能、それから改修の可能性、そして国内産業基盤の確立、整備というところが、やはり私としてもここは非常に重要だなと思っていたところ、英国、いろいろ経緯はあったとはお聞きはしていますけれども、日英伊三か国で行うようになったと聞いています。
この国内産業基盤という視点、ここはきちんと守ることができるのかということについてだけ一点、防衛省、防衛の方からお答えいただけますでしょうか。
○金子大臣政務官 次期戦闘機につきましては、平成三十一年度から平成三十五年度までを対象とした中期防衛力整備計画におきまして、国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手することとし、潜在的な可能性を有する国との国際協力を模索してまいりました。
その結果、要求性能の実現可能性、スケジュール、コスト等の様々な観点から、英国、イタリアとの国際共同開発が最適な選択肢であると判断をいたしました。この過程におきまして、高い即応性等を実現する国内生産、技術基盤の確保を含めた我が国主導の開発が実現できるとの確信も得ております。
次期戦闘機の国際共同開発におきましては、これまで我が国が蓄積した戦闘機開発に必要な経験や技術を活用しつつ、他国の英知も取り込みながら、国際的に活躍する次世代エンジニアの育成や我が国防衛の足腰を支えるサプライチェーンの強靱化等を図ることができると考えております。
引き続き、競争力のある防衛産業の構築という観点も踏まえまして、日英伊三か国の官民でしっかりと連携をし、次期戦闘機の共同開発を着実に推進してまいります。
○臼木委員 ありがとうございました。
時間となりましたので、終了いたします。ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、西岡秀子君。
○西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。
今日は、二つの協定の質疑ということで、まず、日・フィリピンRAAにつきまして質問させていただきます。
四月二十九日に、フィリピンを訪問中の石破総理が、マルコス大統領との首脳会談におきまして、ACSAの交渉開始とともに、情報保護協定の早期締結へ向けて議論を行っていくことを確認をされました。
このことが確認された中で、今回、今日質疑いたしておりますRAA協定を締結して、今後、フィリピンとの連携強化をどのように図っていく方針であるかということについてお伺いをさせていただきます。
○宮本政府参考人 お答えいたします。
フィリピンは、シーレーン上の戦略的要衝に位置し、我が国と基本的な価値や原則を共有する戦略的なパートナーでございます。近年、我が国との安全保障、防衛協力を強化してきております。
フィリピンとの間では、これまでも、能力構築支援、防衛装備・技術協力、共同訓練などを進めるとともに、政府安全保障能力強化支援、いわゆるOSAによる沿岸監視レーダーシステムなどの供与を決定しております。また、昨年七月には、今回まさに御審議いただいております日・フィリピンRAAに署名したところでございます。
先般、石破総理がフィリピンを訪問されましたけれども、その際に、首脳会談において、物品役務相互提供協定、ACSAの交渉開始でも一致しました。また、情報保護協定の早期締結の重要性を確認し、政府間で議論を行っていくことで一致したところでございます。
今後も、こうした取組を継続し、フィリピンとの連携強化を進めてまいりたいと考えております。
○西岡(秀)委員 今御答弁がありましたように、現時点においては、情報保護協定が存在をしておりません。その中で、本協定によって提供される秘密情報をどのように保護していく方針であるかということについてお伺いをさせていただきます。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
日・フィリピンRAAの第十五条2は秘密情報の取扱いについて規定しておりまして、また、「適用可能な情報の保護に関する両締約国間の協定及び取決め」に言及しております。
日・フィリピン間では情報保護協定が存在しておらず、そのほかにも、今申し上げた「適用可能な情報の保護に関する両締約国間の協定及び取決め」に該当するものは現時点で存在いたしません。
日・フィリピンRAAの第十五条2は、このような協定、取決めが存在しない中でも、秘密情報の適切な保護、取扱いを確保できるようにすべく規定したものでございまして、日・フィリピン双方が自国の法令に従い、この協定に従って提供された秘密情報を保護するための適切な措置を取ることになります。
○西岡(秀)委員 本協定十五条二項で規定をされていて、しっかり情報が保護されるということで御答弁をいただきました。
続きまして、これは防衛や安全保障の分野だけではないんですけれども、今、米国関税、これが、日本にとってもそうですけれども、ASEAN諸国にとっても大変大きな、深刻な影響が懸念をされている中で、中国もASEAN外交を活発に今行っているということがございます。先ほど申し上げた石破総理も、昨年から、ラオス、マレーシア、インドネシア、そしてこの度のフィリピン、ベトナムと、ASEAN諸国を歴訪されております。
その意味では、ASEAN諸国は極めて日本にとっても、また、今、米国関税の下で、中国がこれまでアメリカが果たしていた役割の空白部分に、しっかりそこに存在感を示そうとしているところも大変懸念をしているわけでございますけれども、大変重要な地域であるということは間違いのないことでございまして、石破総理も、ベトナムとも2プラス2の実施やOSAの適用を申し合わせたというふうに承知をいたしております。
今日お配りをさせていただいておりますけれども、外務省が各国の日本に対する評価ということで調査をされておりますけれども、この調査結果でも分かるとおり、ASEAN諸国の中でも日本に対する認識には、この数字を見ますと、まだ差があるわけでございますけれども、極めて我が国にとっても重要な地域であるこのASEAN諸国と今後どのように連携を強化していくのか、これは経済面も含めてのお尋ねでございますけれども、大臣にお尋ねをさせていただきます。
○岩屋国務大臣 西岡委員が御指摘のように、東南アジア外交というのは日本外交の最優先事項の一つだと考えております。言うまでもなく、東南アジアは世界の成長センターでもありますし、自由で開かれたインド太平洋実現に向けた鍵でもございます。
石破総理も、これも委員の御指摘があったように、就任以来、ラオス、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムと、東南アジアに集中して行っていただいております。私も機会を得て、追っかけてずっと回りたいというふうに思っております。
今般の総理のベトナム、フィリピン訪問では、産業の高度化、それから経済強靱化、アジア・ゼロエミッション共同体、AZECを通じた協力を確認をしてきたところでございます。また、安全保障協力を一層強化していく必要があると思っておりまして、総理のベトナム、フィリピン訪問でも、ベトナムでは外務・防衛次官級の2プラス2の創設、それから、フィリピンではACSA交渉開始で一致をしたところでございます。
今後とも、是非、東南アジア外交ということを優先事項の柱に据えて取り組んでいきたいと考えております。
○西岡(秀)委員 今、大臣から力強い御答弁をいただきました。
続きまして、一問、後に回させていただきまして、日伊のACSAの協定についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
もし、大臣、御退席でございましたら。
国内実施法である自衛隊設置法の一部を改正する法律案の中で、ACSAについて、本協定を機に共通規定化するということが盛り込まれております。
先ほどから議論があっておりますけれども、共通規定化をした理由、また、今後、協定締結時に共通規定化の例外が生じることが予想されますけれども、この共通規定化の例外が生じた場合に、どのような場合を想定しているのか、そして、その場合にはどのように対応していく方針であるかということをお伺いをしたいと思います。
○北川政府参考人 お答え申し上げます。
まず、ACSAの国内実施法の共通規定化の理由ですけれども、これは、これまで我が国が各国との間で締結してきたACSAについては、日米ACSA以外のACSAに規定する活動の範囲及び提供される物品、役務の類型が定型化しておりまして、これに伴い、これらのACSAの国内実施法である自衛隊法及びPKO法の改正内容は基本的に同様となっているということだと承知しております。
その上で、ACSAに規定する活動の範囲及び提供される物品、役務の類型は定型化しておりますが、共通規定の例外が生じる場合、これは限定的と考えております。また、仮に例外が生じた場合には、法改正が必要になるというふうに理解しております。
外務省といたしましては、各国とのACSAの締結に当たり、防衛省を含む関係省庁と緊密に連携をして、ACSAの国内実施を確保していくことが重要だと考えております。
○西岡(秀)委員 私からも、先ほどから議論があっております、この共通規定化後に国内法の法改正が行われない場合におきましても、しっかり、衆議院におきましても、報告、意見を求めるという附帯決議が、安全保障委員会の附帯決議で盛り込まれておりまして、やはり、国会審議を通じた国民への理解、特に防衛、安全保障の分野に対しては、国民の理解というものが極めて重要だと考えますので、私からもその点を付言をさせていただきたいと思います。
それでは、大変時間が短くなってしまいましたので、最後に、岩屋大臣の海外出張についてお尋ねをさせていただきたいと思います。
先般、私、質問でも申し上げておりましたけれども、今般、様々な海外出張、重要な海外出張を行われておりますけれども、私からは、NPT運用検討会議第三回準備委員会に御出席をされ、演説をされ、また、賢人会議のイベントにも参加をされたと聞いております。また、来年のNPT再検討会議の日程も、四月二十七日から五月二十二日ということで決定をされたこともございます。
大臣の今回のこの委員会に出席された成果についてお尋ねをさせていただきます。
○岩屋国務大臣 成果と言うほど誇るべきものがあったかどうかというのは……(発言する者あり)
今般、NPTの運用検討会議に向けての準備委員会は非常に大事な会だと思いまして、大臣としては七年ぶりに参加をさせていただきました。
これは、この委員会でも、国会でも御議論になった、核禁条約オブザーバー参加の問題もありました。私ども、オブザーバー参加を見送るという判断をさせていただいたんですが、その際に、やはり核保有国と非保有国が共に集っているNPTの枠組みの中でしっかり汗をかいていくことが現実的な取組だということを申し上げさせていただきました。そういう経緯もあったがゆえに、この準備委員会でしっかりと日本の主張を伝えなければいけないという思いで行ったところでございます。
御指摘のように、準備委員会では、一般討論演説を最初に行わせていただきました。そして、今こそ、NPTの原点に戻って締約国みんなが結束して、粘り強い対話によって、核軍縮、核不拡散、これをもう一度確かなものにしていかなければいけないということを訴えさせていただいた次第でございます。
その際に、被団協の皆様のこれまでの御努力、また、ノーベル平和賞の話もさせていただきました。また、この二年半かかって我が国の主導で進めてきた国際賢人会議が提言をまとめていただいておりましたので、そのことにも触れさせていただいたと同時に、サイドイベントにも出席をさせていただいて、そこでも挨拶をさせていただきました。
来年の運用検討会議に向けて十分にこれを活用していくことによって、更にこの議論が熟して、来年、しっかりとした成果を上げられるように、引き続き全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○西岡(秀)委員 岩屋大臣が七年ぶりに御出席されて演説をしていただいた、私、大変大きな意義があったというふうに思います。
来年は、過去二回、成果文書が発出されておりませんので、その成果文書の発出へ向けて、是非日本がリーダーシップを持っていただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、阪口直人君。
○阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。
まず、日本、イタリアのACSAについて質問します。
自衛隊とイタリア軍の間で活動時に物品や役務を相互に提供する枠組みで、武器は対象外ですが、以前は武器として対象外だった弾薬そしてミサイルは、今対象になっているわけですね。
少し振り返ってみますと、二〇一四年、それまで武器として分類されていた弾薬やミサイルが、突然、閣議決定で防衛装備に分類変更されました。これは例えて言えば、野球のバットがスポーツ用品からけんかの道具に分類が変わる、その逆バージョンのようなものだと思います。私、四月一日ということで、エープリルフールかと思いました。それぐらい違和感のある、また、答弁する側からすると、説明のしようがない変更だったのではないかと思います。
従来、日本は、武器輸出三原則に基づいて、武器の輸出を厳しく制限をしていました。しかし、二〇一四年、まさにこの年に防衛装備移転三原則が閣議決定されたことによって、防衛装備品の輸出が可能になり、そして弾薬やミサイルがその中に含まれるようになったということです。
大臣、これはおかしいと思いませんか。なし崩し的に解釈を変更する極みだと思うんですが、この点、ちょっと質問通告はしていないんですが、大臣の思いをお聞かせいただければと思います。
○岩屋国務大臣 弾薬の提供については、緊急の必要性が極めて高い状況下にのみ想定されるものであって、他国部隊の要員等の生命、身体を保護するために使用される弾薬の提供に限ることなどを含む、いわゆる当時の五党合意というものがあります。
政府としては、この五党合意の趣旨を尊重して適切に対処していく考えでございまして、今般においてはイタリア側に説明済みでございまして、理解を得ているところでございます。
○阪口委員 これは、緊急の事態だからこそ、より慎重にならなければいけないことだと思うんですね。
移転後の防衛装備、特に弾薬、ミサイルの適切な管理ということをどのように担保していくんでしょうか。特に、目的外使用や第三国への流出についてどのように防いでいくのか、伺いたいと思います。
○北川政府参考人 私からお答え申し上げます。
まず、日・イタリアのACSA、今回の御審議いただいているACSAでございますが、その第三条におきまして、協定の下で提供される物品、役務を、提供締約国政府の事前の同意を得ないで、受領締約国政府の部隊以外の者に移転してはならないこと、また、提供される物品、役務の使用は国連憲章と両立するものでなければならないことを規定しております。
したがいまして、我が国がイタリア軍に弾薬を提供した場合、これが我が国の事前の同意なくイタリア軍以外の者に移転されること、あるいは国連憲章と両立しない形で使用されること、これは想定されておりません。
その上で、弾薬の提供につきましては、緊急の必要性が極めて高い状況下にのみ想定されるものでありまして、他国部隊の要員等の生命、身体を保護するために使用される弾薬の提供に限るということを、先ほど申し上げましたいわゆる五党合意がございます。
日本政府としては、この五党合意の趣旨を尊重し適切に対処していく考えでありまして、この点についてはイタリア側にも十分説明済み、理解を得ているところでございます。
○阪口委員 この弾薬の管理というのは、私は非常に難しいと思っています。
思い出していただきたいんですが、テロ特措法に基づいて、インド洋においてアメリカ、イギリス軍などの艦隊に給油を行っていた海上自衛隊の艦船が、当時イラク戦争に参加していたアメリカ空母キティーホーク機動部隊に燃料の提供を行っていたということが後に明らかになりました。
これは全く違う目的に使用されたわけですね。これは大変重大なことだと思いますが、同時に、これは弾薬やミサイルのコントロールが非常に難しいということも示していると思います。是非、この点においては本当に慎重な対応が求められているということ、これは重く受け止めるべきだと思います。
次の質問ですが、ACSAの相手国によって弾薬が対象になる、ならない、この差というのはどのように考えればよろしいんでしょうか。
○山本(文)政府参考人 お答えいたします。
これまでに我が国が署名又は締結している物品役務相互提供協定、いわゆるACSAでございますけれども、そのうちインドとのACSAにおいては弾薬は適用対象としておらず、そのほか、具体的にはアメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イタリアとのACSAにおいては弾薬を適用対象としているところでございます。
この点については、政府としては、各国との安全保障や防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係や、自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、また具体的ニーズ等も踏まえながら相手国と交渉を行っており、その結果として、弾薬を含む各ACSAの適用対象となる物品及び役務について、相手国と一致しているところでございます。
○阪口委員 次に、円滑化協定、RAAについてお伺いします。
この日本とフィリピンの準同盟国化につながる円滑化協定は、アメリカが主導する対中包囲網構築により深く日本をコミットさせることになります。今、南沙諸島において、中国とフィリピンは領土をめぐって紛争状態にあります。いつ本格的な武力衝突になるか、これは本当に大変危うい状況にあると思います。
日本がなし崩し的にこの紛争に加担しないこと、これはどのように担保するんでしょうか。
○岩屋国務大臣 このRAAは、あくまでも日・フィリピンの一方の国の部隊が他方の国を訪問して協力活動を行う際の手続や同部隊の地位等を定めるものでございます。自衛隊の活動は、これはもう言うまでもないことですが、憲法及び自衛隊の活動根拠を定める法令の認める範囲内で行われる、実施されるものでございます。
したがって、この協定が締約国相互の軍事支援を法的に義務づけるものではありませんので、適用対象となる協力活動は、その都度、両国間で適切に判断して相互に決定する、もちろん我が国は主体的に判断をするということになりますので、御指摘のような懸念は想定されないものと考えております。
○阪口委員 説明は説明として理解しますが、ただ、巻き込まれてしまう可能性を危惧するということ、これは皆さんとも共有したいと思います。
次に、日本、ジブチ地位協定についてお尋ねしたいと思います。
日本は、ジブチというアフリカの国と地位協定に類する協定を結んでいます。ソマリア沖のアデン湾での海賊対処活動で、二〇〇九年以降、自衛隊を派遣しているんですね。
この日本、ジブチ地位協定は、日米地位協定以上にジブチの主権を侵害するような内容になっております。例えば、日米地位協定だと、日本でアメリカ兵が事件、事故を起こした場合には、公務と公務外によって区分けをして、公務外の事件、事故については、日本側で一応、形式的には第一次裁判権を行使できるようになっています。しかし、ジブチにおいては、公務であろうと公務外であろうと、自衛隊員が事件、事故を起こした場合は、現地の法律から一切免責される。まさに治外法権と言えるような協定をジブチ政府と結んでいるんです。
防衛省によると、ジブチを拠点とした自衛隊の海賊対処事案は、二〇一一年の二百三十七件をピークに、その後減少しています。二〇二〇年以降の対処事案は毎年何件でしょうか、お答えください。
○英利大臣政務官 ありがとうございます。委員の御質問にお答えいたします。
国際的な海賊事案の統計を発表している国際商業会議所、ICC傘下の国際海事局によりますと、二〇二〇年以降のソマリア沖・アデン湾における海賊事案の発生件数は、二〇二〇年でゼロ件、二〇二一年で一件、二〇二二年でゼロ件、二〇二三年で一件、二〇二四年で八件であります。
委員が御指摘のとおり、自衛隊がジブチに行きました二〇〇九年から二〇一一年まで、年間二百件以上となっておりましたが、自衛隊を含む各国部隊による海賊対処活動を始めとした国際社会の継続的な取組により、現在はこのように、ピーク時と比べて低い水準で推移しております。
ありがとうございます。
○阪口委員 私も、日本が史上初めて自衛隊を派遣したカンボジア、二番目のモザンビーク、そして三番目に派遣した東ティモールで、自衛隊の方々と綿密に協力しながら活動を行っておりました。実に勤勉に責任感を持った仕事をされていたと思います。一方で、本当に現地のニーズにマッチした仕事だったのかという点については、疑問に思うことも多々ありました。政治が決めたことに対して、命の危険も感じながら懸命に任務を果たされている姿、同じ状況で活動する仲間として、いつも我が事のように見ておりました。
今回、アルフィヤ政務官はジブチに行かれて、自衛隊員の方々と交流し、また激励もされたということです。現場を見てどのように受け止めたか、お聞きしたいと思います。一方で、この海賊対策としての自衛隊派遣はほぼ役目を終えているのではないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
○英利大臣政務官 ありがとうございます。
委員が御指摘のとおり、ジブチにゴールデンウィーク中に行ってまいりました。
先ほどお伝えしましたとおり、まず、海賊事案数につきましては、自衛隊を含む各国部隊による海賊対処活動を始めとした国際社会の継続的な取組により、現在はピーク時と比べて低い水準で推移しておりますが、自衛隊派遣継続の意義につきまして、海賊を生み出す根本的な原因であるソマリア国内の貧困等はいまだ解決しておらず、二〇二四年に入ってからも海賊の活動は活発化の様相を見せておりまして、依然予断を許さない状況となっております。現地でも、そのようなブリーフィングを私も受けました。また、各国部隊も、引き続き、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動を実施している状況であります。
このような状況を踏まえ、政府としましては、極めて重要な海上交通路における航行の安全確保に万全を期すとともに、国際社会の平和と安定に貢献するため、引き続き、ジブチ自衛隊拠点を活用しながら、諸外国の部隊を含む国際社会と連携して、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動を確実に実施していく必要があると認識しております。
ありがとうございます。
○阪口委員 状況については理解しました。ただ、外国の軍隊が駐留しているというのは、本来、主権の侵害でもあり、いわば異常なことなんですね。したがって、役目を終えたら撤退するということを常に意識しながら必要な活動を行うということだと思います。
問題なのは、日本とジブチの地位協定の内容を見ると、ジブチ政府が自衛隊員に対して刑事裁判権を行使しないことが規定されているため、ジブチの国内法が直接適用されない状況が生まれていることなんですね。この協定は、自衛隊員の行動が日本の法令の管理下にあることを確保するためのものです。
ただし、国外犯処罰規定と関連する部分については法の空白が生じています。日本の刑法第二条から第四条二項に基づき、日本国外での犯罪でも一定条件下では日本の法律で裁くことが可能ですが、この規定には過失犯が含まれていないことが問題になっています。
例えば、ジブチで自衛隊員が車で現地の人をはねて殺してしまった場合、日本の法令に基づき、この国外過失を刑事手続にかける、そして処罰することというのは可能でしょうか。いかがでしょうか。
○本田副大臣 お答えいたします。
国外における自衛隊員の過失行為に関わる国外犯処罰規定の在り方については現在検討を進めているところでありますが、自衛隊員は、法令を遵守し任務を全うするよう厳しい教育訓練を行っており、過失における事故等についても発生しないよう、部隊において安全管理を徹底するなど指導を行っているところであります。
いずれにいたしましても、海外における自衛隊の活動が一層増加、多様化していることを踏まえ、その過失行為に係る国外犯処罰規定の在り方については検討をなお進めてまいりたいと考えているところです。
○阪口委員 この答弁は本質からは外れていると思うんですね。幾ら自衛隊の方々が厳しく訓練を受けていたとしても、事故というのは起こり得るんだと思います。
二〇二〇年の二月十九日の予算委員会で、山尾志桜里議員が当時の河野防衛大臣に質問したところ、「防衛省・自衛隊として、この問題、しっかり検討していく必要はあるだろうと私は思っておりまして、検討のための準備を始めていきたい」、こういう答弁をされています。また、当時の茂木外務大臣も、この河野大臣の答弁を肯定するような答弁をされていると私は受け止めています。
これは、お聞きしたところ、この点について検討し、準備をしているという状況なんでしょうか。それとも、大臣の答弁がそのままに放置されているのか。これはどう考えればよろしいんでしょうか。
○本田副大臣 お答えいたします。
御指摘のとおり、河野元防衛大臣は御指摘のような答弁を差し上げたところでありまして、検討のための準備を始めていきたいということでありました。現在は検討を進めていると先ほど答弁で申し上げたとおりでございます。
○阪口委員 検討を始めるのに五年もかかっているというのは、これはちょっと時間がかかり過ぎだと思うんですね。実際、自衛隊の方々が現地で活動を続けている、過酷な中で活動を続けていて、いつどんな事故、事件が起こるか分からない、これは政府にとっても大変リスクのある状況だと思います。大臣の答弁というのは大変重いものだと認識しています。これは直ちに取りかかっていただきたいと思います。
次に、日本、ジブチの地位協定を互恵性のある平等なものに変えるということは、私は、日米地位協定をまさに互恵性のある平等なものに変える上での説得力を生み出す第一歩になると思います。したがって、ジブチにおけるこの任務が本当に必要なものかという不断の検討と同時に、この地位協定の問題点を速やかに正していく、直ちに取りかかっていただきたいと思います。この点、いかがでしょうか。
○岩屋国務大臣 この日・ジブチ地位取決めでございますけれども、言うまでもなく、これはジブチに派遣される自衛隊員等の要員の法的地位を適切な形で確保するために締結したものであって、締結以来、海賊対処活動のための活動拠点の安定的な運営を確保する上で重要な役割を果たしていると思っております。
一方で、国家安全保障戦略においては、ジブチ政府の理解を得て、在外邦人等の保護に当たってもジブチの自衛隊の活動拠点を活用していくとしているところでございます。これを踏まえて、二〇二三年には、日・ジブチ地位取決めを準用する交換公文を締結をいたしまして、在外邦人等の保護措置や輸送を行う自衛隊の地位を適切な形で確保することを可能としたところでございます。
当然、それぞれ、ジブチ政府とのしっかりしたやり取りを経てこのような取決めを行っておりますので、我が国として、現時点で改正する必要があるとは考えておりませんが、今後、またジブチ政府ともしっかりやり取りをしていく中で、その必要性については、もし必要があれば考えていきたいというふうに思っております。
○阪口委員 五年前の河野大臣は改正する必要があると考え、今、岩屋大臣は必要がないと。これは閣内不一致というべきかどうか分かりませんが、やはりこの辺りの考え方もしっかりと検討して、そして、統一した考えを持って臨んでいただきたいと思います。
終わります。
○堀内委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○堀内委員長 これより両件に対する討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。鈴木庸介君。
○鈴木(庸)委員 立憲民主党の鈴木庸介です。
私は、会派を代表して、日・フィリピンRAAに賛成、日・イタリアACSAに反対の討論を行います。
急速に変化する安全保障の環境において、同盟国であるアメリカがトランプ政権下で安全保障上の負担を低減する傾向である今日、G7メンバーであるイタリアや、志を同じくするアジアの国々との外交、外交・安全保障上の関係を強化することは、我が国の安全保障戦略上、大変重要です。よって、二国関係を促進することを対外的に示すこととなる二国間のACSAやRAAを締結することの意義は、以前に増して重要になってきています。
立憲民主党は、実際に、日伊ACSAの適用が想定される共同訓練、PKOや国際救援活動、大規模災害への対処等の活動の典型例については積極的に連携を深めるべきとの立場であり、日伊間の関係強化を重要視する姿勢を示すため、賛成するという議論もありました。
ただし、立憲民主党は、安保法制成立後に審査したACSAに関しては、本協定に適用対象として明記されている、それぞれの国の法令により物品、役務が認められるその他の活動に、法理上は存立危機事態等を含むことの問題を指摘した経緯がございます。
一方で、外務省は、ACSAは各種活動の際の物品、役務の提供について決済手続を適用することを定めるにすぎず、ACSAの締結によってこれらの事態における物品、役務の提供が可能になるわけではないことを改めて明確にしました。また、法理上に存立危機事態を含んだとしても、日伊間でその事態における協力について具体的な想定がなされていることは意味しないとの回答がありました。また、防衛省からも、日伊間で存立危機事態における行動を前提とした訓練や協力について計画はないこと、また、それらについて協議する予定も現時点ではないことを確認しました。これらの回答によって、条約の適用対象、想定される共同の活動について、以前のACSAの審議時より更に明確になったと言えます。
しかし、日伊ACSAについては、違憲部分を含む安保法制を前提とした協定に現時点で賛成できず、積み残された課題が残るという考え方から、今回は反対することといたしました。
なお、今回の日伊ACSA並びに日比RAAのそれぞれの関連法制については、共通事項化したため、今後のACSA並びにRAAの条約承認時には、関連法制の質疑は行われなくなる。国会の関与がより弱くなる関連法制の改正が行われたことは極めて遺憾です。
次の両条約審議では、外務委員会に防衛大臣が出席するなどの対応をした上で、議論が深まることを求めます。
○堀内委員長 次に、阪口直人君。
○阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。
日本、イタリアのACSA、日本、フィリピンのRAAについて、共に反対の立場から討論いたします。
まず、日本、イタリアACSAは、自衛隊とイタリア軍の間で物品や役務を相互に提供する仕組みで、先ほども申し上げましたが、武器は対象外だけれども、以前は武器としてみなされていた弾薬やミサイルが対象になっていること、これは大変に危険な状況を招きかねないと考えています。
二〇一四年には、それまで武器と分類されていた弾薬が、突然、閣議決定で防衛装備に分類変更がされました。
従来、日本は武器輸出三原則に基づいて武器の輸出を厳しく制限していたにもかかわらず、突然、十分な議論もなく、二〇一四年に閣議決定によって防衛装備品の輸出が可能になったわけですね。二〇二三年十二月には、更に政策の改正により防衛装備品の定義が明確化され、弾薬の輸出が可能な条件が整理されています。
移転後の防衛装備、特に弾薬の適切な管理がどのようになされるのかと先ほど質問しましたが、特に目的外使用や第三国への流出についてどのように防ぐかということについて、明確な答弁は得られなかったと考えています。
先ほどもこれは例として挙げましたが、テロ対策特措法に基づいてインド洋でアメリカ、イギリス軍などの艦隊に給油を行っている海上自衛隊の艦隊が、イラク戦争に参加していた米空母キティーホーク機動部隊に燃料の提供を行っていたことも明らかになりましたが、政府は、このことについて明確な説明、そして検証を行っておりません。弾薬などの管理は大変難しくて、想定外の目的に使われることを制御できません。
また、円滑化協定、RAAについては、アメリカと日本は同盟関係にある一方で、アメリカとフィリピンも同盟関係にあります。日本とフィリピンの準同盟化につながる円滑化協定は、アメリカが主導する対中包囲網構築により深く日本をコミットさせることにつながってまいります。
したがって、日本とアメリカが平等な主権国家同士の関係を築くためには、日米間のこれまでの密接な友好関係は維持しつつ、アメリカ追従の外交政策を見直すことが必要と考えていますが、しかし、この協定は結果的に対米追従を強化するものになることを危惧します。
円滑化協定の発効で、自衛隊が中国の海洋進出の抑止を狙う南シナ海などの共同軍事訓練に参加しやすい状況を生み出してしまいます。
現在、南沙諸島において、中国とフィリピンは領土を争う紛争状態にあります。今の紛争、小競り合いがいつ本格的な武力衝突になるか分からない緊張状態にあります。日本がなし崩し的にこの紛争に加担しない、巻き込まれないことをどのように担保するのか、大臣の答弁では十分には理解することはできませんでした。
この二つの協定は平和国家日本の未来を危うくするものと考えて、反対をいたします。
以上です。
○堀内委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○堀内委員長 これより採決に入ります。
まず、日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○堀内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
次に、日本国の自衛隊とイタリア共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とイタリア共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○堀内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○堀内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十二分散会