第14号 令和7年6月4日(水曜日)
令和七年六月四日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 堀内 詔子君
理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君
理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君
理事 篠原 豪君 理事 鈴木 庸介君
理事 杉本 和巳君 理事 西岡 秀子君
逢沢 一郎君 英利アルフィヤ君
大空 幸星君 新藤 義孝君
高木 啓君 平沼正二郎君
広瀬 建君 松島みどり君
松本 尚君 茂木 敏充君
小熊 慎司君 亀井亜紀子君
竹内 千春君 武正 公一君
太 栄志君 山崎 誠君
渡辺 周君 高橋 英明君
西田 薫君 和田有一朗君
深作ヘスス君 西園 勝秀君
山崎 正恭君 阪口 直人君
…………………………………
外務大臣 岩屋 毅君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
外務大臣政務官 英利アルフィヤ君
外務大臣政務官 松本 尚君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 平井 康夫君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 石川 泰三君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 赤阪 晋介君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(出入国在留管理庁在留管理支援部長) 福原 申子君
政府参考人
(外務省大臣官房長) 大鶴 哲也君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 松尾 裕敬君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 林 美都子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 大河内昭博君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 今西 靖治君
政府参考人
(外務省北米局長) 有馬 裕君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局長) 安藤 俊英君
政府参考人
(外務省領事局長) 岩本 桂一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 奥野 真君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮本 直樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡本 利久君
政府参考人
(農林水産省農村振興局農村政策部長) 神田 宜宏君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 長崎屋圭太君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 辻阪 高子君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局次長) 玉原 雅史君
政府参考人
(観光庁審議官) 鈴木 貴典君
外務委員会専門員 山本 浩慎君
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委員の異動
六月四日
辞任 補欠選任
松本 尚君 平沼正二郎君
亀井亜紀子君 山崎 誠君
和田有一朗君 高橋 英明君
同日
辞任 補欠選任
平沼正二郎君 松本 尚君
山崎 誠君 亀井亜紀子君
高橋 英明君 和田有一朗君
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六月三日
女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(酒井なつみ君紹介)(第一五七八号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一六二一号)
同(浅野哲君紹介)(第一六二二号)
同(安藤じゅん子君紹介)(第一六二三号)
同(井坂信彦君紹介)(第一六二四号)
同(石井智恵君紹介)(第一六二五号)
同(枝野幸男君紹介)(第一六二六号)
同(おおつき紅葉君紹介)(第一六二七号)
同(岡本あき子君紹介)(第一六二八号)
同(小熊慎司君紹介)(第一六二九号)
同(小山千帆君紹介)(第一六三〇号)
同(志位和夫君紹介)(第一六三一号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一六三二号)
同(竹内千春君紹介)(第一六三三号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一六三四号)
同(田村貴昭君紹介)(第一六三五号)
同(田村智子君紹介)(第一六三六号)
同(寺田学君紹介)(第一六三七号)
同(福森和歌子君紹介)(第一六三八号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一六三九号)
同(本村伸子君紹介)(第一六四〇号)
同(山登志浩君紹介)(第一六四一号)
同(山岸一生君紹介)(第一六四二号)
同(山田勝彦君紹介)(第一六四三号)
同(有田芳生君紹介)(第一六八一号)
同(市來伴子君紹介)(第一六八二号)
同(大塚小百合君紹介)(第一六八三号)
同(金子恵美君紹介)(第一六八四号)
同(亀井亜紀子君紹介)(第一六八五号)
同(松下玲子君紹介)(第一六八六号)
同(新垣邦男君紹介)(第一七二〇号)
同(尾辻かな子君紹介)(第一七二一号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第一七二二号)
同(佐原若子君紹介)(第一七二三号)
同(堤かなめ君紹介)(第一七二四号)
同(西岡秀子君紹介)(第一七二五号)
同(藤原規眞君紹介)(第一七二六号)
同(円より子君紹介)(第一七二七号)
同(八幡愛君紹介)(第一七二八号)
日本国のジェノサイド条約批准を求めることに関する請願(岡田華子君紹介)(第一六七九号)
同(福島伸享君紹介)(第一六八〇号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第一七二九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国際情勢に関する件
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○堀内委員長 これより会議を開きます。
国際情勢に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房長大鶴哲也君外二十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○堀内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。広瀬建君。
○広瀬委員 おはようございます。広瀬建でございます。
時間をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、混迷を深める中東情勢についていろいろとお話をさせていただきたいと思います。
残念ながら、もう皆さんも御案内のとおり、力若しくは暴力といった、そういうもので世の中、中東の情勢は大きく左右をされてきて久しいわけですけれども、そうした地域、中東は地理的には非常に遠いですけれども、日本がそこで果たせる役割、ファンクションは何なのか、少し考えてみたいと思います。
中東は、戦後、戦前もそうですけれども、極めて複雑な歴史の変遷をたどってきている地域でありますが、日本は幸いにも、そういった観点からは余りしがらみのない国であると感じております。そういう意味では、中東全般に対して言うと、日本というのは感情的には非常にいいものを持たれているのではないのかなと私自身ずっと見てきております。そういう意味では、敵対的な感情を持たれていない、どの国とでもいいチャネルを持っていろいろな話ができる、そういうポジションにいるのではないかと思います。
ただ、先ほど言った力、暴力というものが大きく情勢を左右する地域でございますので、日本がそういった地域で果たせる役割というのは正直なかなか具体的には出てこないのかとは思いますが、その中で、じゃ、我々は傍観せずに何ができるのか、そんなことを少し深めて議論できればと思っております。
私も前職、民間企業におりまして、中東とはいろいろな接点を持たせてもらいました。長いこと、中東にも生活をしてきておりました。よく思っていたのが、日本の外交という観点からいくと、やはり、日本があの地域で、あのエリアで影響力を持てるような国になれば、今のような状況でも少しはいろいろな発言ができて、かつ今の混迷から平和に少しでも持っていけるんじゃないのかと思います。
例えば、中東は水資源がない国です。そういう地域で海水の淡水化をしているわけですけれども、そこで日本の企業の技術が、例えば中東の生活に欠かせない技術であるだとか、若しくは、当然ながら化石燃料を掘っているわけですけれども、石油だとか天然ガスの掘削技術、これも日本の技術がないとどうしようもないといったような事例があるとすれば、日本の影響力というのは非常に高まるんだと思いますけれども、残念ながら、現実的にはそこまでの優位性は、日本の今、技術という意味ではないという理解をしております。
一方で、今中東は脱石油、脱天然ガスということで、カーボンニュートラル関連技術に非常に大きくかじを切って投資を進めてきております。それから、コンテンツ産業、例えばサウジなんかもコンテンツ産業の投資ということで大きくかじを切ってきております。あとはまた、日本の教育制度なんかも昔から非常に注目をされてきておって、各地域、各国では、日本の教育制度、若しくは公文式塾なんというのもあちこちで見られるような例になっております。
そうした日本から出せるもの、いろいろあるわけですけれども、そうしたものを使いながら、日本がいかにこれから中東でプレゼンスを高めていく、もっと言うと、影響力を高めていけるのか、こうしたものをいろいろ考えておるわけですけれども、今、私の中ではなかなか妙案がありません。
先ほど言ったように、技術的なところで日本の技術がないと生活に大きな影響が出る、欠かせないというようなものがあればいいんですが、なかなかそうしたものが出てこない中で、じゃ、日本がどうしたら影響力を出していけるのか。この辺り、少し突っ込んだ議論をできればと思うわけですけれども、政府参考人のその辺りに関しての御見解なりスタンスをお聞かせいただければと思います。
○安藤政府参考人 中東地域は、シーレーンの要衝であるとともに、日本が原油輸入の九割以上を依存する地域でございます。中東地域の平和と安定は、日本のエネルギー安全保障の観点からも極めて重要と考えております。
近年、中東地域におきましては、ガザ、シリア、イランを始めとして情勢が大きく変動し、流動的かつ緊迫した状況が継続しております。
これまで我が国は、中東各国との良好な関係を基礎として、委員が御指摘のような取組、サウジとの間ではコンテンツ産業等の交流実績もございますし、UAEとの間では先端技術調整スキーム、そして、御指摘がありましたように、エジプトとの関係ではエジプト日本科学技術大学の設置、こういった協力を含めまして、まさに日本の強みを生かして各国との関係強化を推進し、関係国、機関とも連携しつつ、中東地域の発展や情勢の安定に取り組んでまいりました。
依然として中東情勢は緊迫しておりますけれども、今後も我が国として、地域の平和と安定のため、積極的な外交努力を行ってまいりたいと考えております。
○広瀬委員 ありがとうございます。
是非、今後とも影響力を行使し得るような外交、いろいろな多角的な試みがあると思いますけれども、本当にこういう混迷を極める時代にこそ、日本が出ていけば何とか話がスムーズにまとまるだとか少しでも平和につながる、そうした影響力を出せるような外交努力を、私も、もちろん、いろいろ知恵を出していきたいと思いますけれども、そういう観点で、また多角的な外交を戦略的に進めていっていただければと思います。
次のトピックスに移ります。ホルムズ海峡の封鎖、よく言われますけれども、ここについて少し触れたいと思います。
今もまさに、お米の備蓄ということがよく言われておりますけれども、日本のエネルギーは、もう言うまでもなく、特に石油はいまだに九〇%以上がホルムズ海峡、中東に依存をしております。天然ガス、LNGの方は大分多角化をできておりまして、中東依存度は低まってきておりますけれども、石油はまだまだ多くを中東に依存している。
中東の不安定要因の話が出てくると必ず出てくるのが、ホルムズ海峡の封鎖という事案でございます。私も、先ほど言ったように、中東に長くいましたので、イラン側から、それからUAEだとかオマーン側から、ホルムズ海峡を眺めることが多々ありました。本当にタンカーがひしめいているというのがホルムズ海峡でありますけれども、あそこが万が一封鎖されるようなことになると、これは当然、日本だけではなく世界のエネルギー市場にとって大混乱をもたらすということになろうかと思います。
そういう意味では、日本は石油の需要量がどんどんどんどん減ってきてはいるものの、いまだに自動車、航空機、それから船舶の動力源、また、これもパーセンテージが低くはなってきていますけれども、石油の火力発電の使用はまだ多々あります。
そういう中で、石油の備蓄ですね、備蓄状況が今どうなっているのか、この辺りについて教えていただければと思います。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、委員が御指摘のとおり、石油については相当海外に依存しておりますし、約九割はホルムズ海峡を通じて輸入をしているところでございます。
石油につきましては、これは一次エネルギーの約四割を占めまして、幅広い用途に使われますし、国民生活、経済活動に不可欠なエネルギー源であると考えてございます。ホルムズ海峡封鎖を始めとしたリスク、輸入途絶に備えまして、石油の備蓄の充実を図っているところでございます。
まず、仮にホルムズ海峡が封鎖されるような事態が起こりまして世界的に供給不足が発生するおそれがある場合には、IEA、国際エネルギー機関による協調行動の枠組みがございまして、その下で、民間石油備蓄の義務日数の引下げ、それから国家備蓄の放出等の措置を実施することになってございます。具体的な措置の内容につきましては、石油需給への影響度合いを検討した上で、個々の事態に応じて判断することになります。
有事の際には、我が国のエネルギー輸入が途絶する事態を想定しながら、備蓄石油の適切な放出を含めまして、エネルギーの安定供給に万全を期してまいりたいと考えてございます。
○広瀬委員 ありがとうございます。
有事の際、余り想定はしたくありませんけれども、何かあったときに、その備蓄している原油を速やかにスムーズに市場に流せるようなところも留意をしておくべきだと思います。その点、是非またよろしくお願いをしたいと思います。
最後の質問に移ります。今話題のイランでございます。
イランは、もう御案内のとおり、米国主導の経済制裁がずっと続いてきている国でして、とはいえ、この二か月、急転直下の動きを見せ始めております。この四月、五月と、恐らく五回、報道では五回と言われていますけれども、間接交渉ということで、オマーンを介しての経済制裁緩和に関する交渉がなされてきております。これが、間接交渉がいつ直接交渉になるのか、はたまた近い将来ディールになるのか、大いに注目をされてきているところであります。
先週も、武正委員の話だったと思いますが、同じような質問があったかと思いますけれども、この米国とイランの交渉において我が国が果たせる役割というような質問がありましたけれども、ここは正直、なかなか、米国と、それからオマーンを介してイランとの交渉に日本が役割を果たすということは難しいんだろうと思いますが、ただ、間接的に、若しくはイランの横にずっと寄り添って、イランと共にあるという姿勢を見せるということでは、日本も大きな役割を果たせるんじゃないのかなと思っております。
私も前職時代にはイランに駐在等もしておりまして、中東全般的に言えることですけれども、中東は本当に日本に対する親日感情が強い国ではありますけれども、イランは、そこでも極めて日本に対する思いが深い国だと感じてきております。
そういう中で、先週も話がありましたけれども、今の外務大臣のアラグチさんは元の駐日大使でもあります。そういう意味でも、日本ならではのファンクションをここで発揮できるのではないかというようには思っております。
近い将来、期待をしたいところでありますけれども、何かディールができたとしたら、当然、イランの経済封鎖は緩和され、若しくは完全に停止されるということになったら、イランの経済市場は再開するということになって、世界中のビジネス往来が出てくると思います。そこに当然、日本の企業も再参入ということになろうかと思いますが、その時点で、用意ドンで再参入ということではなくて、今、経済封鎖がある中でも日本ができること、政府と民間が一緒になってできることもあるのではないかというように考えております。
具体的には、今、米国のOFACの経済制裁があるわけですから、ほとんどの輸出品目については輸出できないことになっているわけですけれども、例えば、人道的物品、医薬品などはその制裁対象外だと理解をしております。そういう中で、今、日本が経済制裁の対象外のところでもって何ができているか、何をしているか、その辺りについて教えていただければと思います。
○岩屋国務大臣 広瀬委員には、イラン駐在経験を踏まえた非常に示唆に富む御質問をいただいて、ありがとうございます。
特に、日本は中東各国と良好な関係で、言ってみれば、いい人ではあるんですけれども、やはり、いなくてはならない人になっていくために、まだまだ様々な努力が必要だという御指摘は、全くおっしゃるとおりだと思っております。
イランについてですが、これまで、米・イラン間で五回にわたり協議が行われております。この動きは歓迎しておりますが、なかなか楽観できない状況でもあるなというふうに思っておりまして、我が国としても、このイランの核問題の平和的解決に向けた対話を進めるために、様々なレベルでイラン側に働きかけております。
三月に、私は、アラグチ外相との間で電話会談を行いまして、やはり、イランが建設的かつ具体的な行動を取ることが不可欠だということを伝えさせていただきました。また、五月には、テヘランで次官級の協議を行っておりますほか、東京でも日・イラン局長協議を行うなど、イランには、IAEAとの協力を一層進めることの重要性を強調しつつ、やはり前向きで建設的な対応をすべきだということを伝え続けております。
今後も、イランの核問題の平和的解決に向けて、我が国でできる努力をしっかりやってまいりたいと考えております。
○広瀬委員 大臣、ありがとうございます。
まさに言われたとおり、いい人である日本、これはこれで保持していくべきだと思いますけれども、そこから、やはり、いなくてはならない友人という観点で、我々は、ある意味したたかなスタンスもいろいろ出しながら、中東外交をやっていければと思います。
中東は、イランが安定すれば中東が安定すると思っておりますし、中東が安定すると、地政学的には、やはりヨーロッパとアジアを結ぶ、若しくは、アフリカとアジアを結ぶゲートウェーにある地域でもありますので、そういう意味では、我が国にとっても非常に大事なエリアでありますので、そういう観点を持ちながら、戦略的にまた外交を展開していっていただければと思います。
ありがとうございました。終わります。
○堀内委員長 次に、小熊慎司君。
○小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。
この委員会も、今期は、あと、まだ予定が立っていないということで、実質上の最後になるかもしれませんが、野党筆頭理事の源馬さんの方からも、理事会で、目まぐるしく変わる国際情勢、またトランプさんのこともあるので、必要に応じて委員会を開催すべきだということは提案をいただいていますので、是非外務大臣もそれは受けていただきたいと思いますし、もしかすると最後になるかもしれないので。
今、さすが、中東に行ったことがある広瀬さんの深い議論でありましたけれども、私、実質最後かもしれないので、ざらっとメドレー的に、多岐にわたってやりたいと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。
まず、今日就任をされた、昨日韓国で、前大統領が罷免をされての大統領選挙でありましたけれども。この日韓、二国間というのは非常に重要な二国間であって、アメリカ、また、中国、ロシア、北朝鮮などを含む今のこの東アジア情勢の中でも、とりわけ重要な関係でもあります。この中で、新しい大統領、李在明さんが当選されて、就任をされましたけれども、この新大統領の下での日韓関係をどう構築していくか、大臣にお伺いをいたします。
○岩屋国務大臣 昨晩といいますか今日といいますか、イ・ジョミン新大統領が誕生をすることとなりました。
以前から申し上げておりますように、日本と韓国との関係は、これから、国際社会の様々な課題、地域情勢に対する取組という面でも、パートナーとして協力すべき重要な二国間関係だと思っております。
大統領選挙中の各候補の御発言についてもウォッチをしてまいりましたが、私どもは、日韓関係、日米韓協力の重要性は変わらないというふうに考えておりますが、イ・ジョミン候補、イ・ジョミン大統領の御発言の中にも……(発言する者あり)イ・ジェミンですかね、済みません……(小熊委員「ジェミョン」と呼ぶ)イ・ジェミョン。失礼しました。李在明大統領の御発言の中にもそういうものがあったと承知をしております。
したがいまして、日韓関係が引き続き安定的に前に進むように、しっかりと韓国の新政権側とも緊密にこれから意思疎通をしてまいりたいと考えております。
○小熊委員 新しい大統領、名前の呼び方を間違えると、我々も選挙で大変なことになりますので、二国間関係にひびが入らないように、是非、名前をお間違えにならないようにお願いをしたいなというふうに思います。
また、いろいろ心配された向きがありますけれども、決してこの方は反日ではなくて、政治家にありがちな、パフォーマンス的なところで言っていて、心底は、最近の発言だと、やはり日本との関係は重要だというふうに発言しておられますので、私も悲観しては見ていませんし、また、私も超党派の日韓議連の役員の一人でもあるので、議員外交を通じてこの二国間関係の進展に寄与していきたいと思いますので、また、お互い、政府と国会側とも連携しながら、二国間関係の強化に努めていきたいというふうに思います。外務省の方にも、大臣には、名前を間違えないように、是非レクをお願いをいたします。
次に、日ロ外交についてでありますけれども、このほど、ロシアのプーチン大統領が安倍元総理大臣の奥様である昭恵さんと面会をされました。林官房長官はコメントする立場にないとは言われましたけれども、あえて、外務大臣のこの面会についての見解というか評価をお伺いいたします。
○岩屋国務大臣 現地時間の五月二十九日、安倍昭恵元総理夫人がプーチン・ロシア大統領とモスクワで面会をされて、そのやり取りについてロシア大統領府が発表したと承知をしております。
今般の訪ロや面会の調整に関しては外務省としては関与しておりませんので、コメントすることは控えたいと思いますが、親交のあった元総理夫人とプーチン大統領が旧交を温められたということはよいことではなかったかというふうに思っております。
○小熊委員 今回は外交ルートを通じてしなかったということですが、昨年かな、トランプさんとお会いしたときも聞いたときに、そのときも林官房長官はコメントする立場にないと言っていたんですけれども、岩屋大臣はこの委員会で、ほかならぬ民間人なのでということでお答えをいただいています。昭恵さんは、大臣から見ればほかならぬ民間人なので、今、さらっとしたコメントでしたけれども。
この日ロ関係、特に昭恵夫人は、やはり、安倍元総理のレガシーを生かして日ロ関係もつないでほしいというような発言もされています。ただ、今、ロシアにおいてはウクライナと戦争していますし、そこに、事もあろうか北朝鮮から兵隊を連れていっているというとんでもないこともやっているわけです。簡単にはいかないわけでありますので。昭恵夫人が会ったことも、今、アメリカとのこともありますから、日本の囲い込みだみたいなことも推測をされる向きもあったりもしていますので、これはやはり大きなことだったと思います。あえてここでは再度の質問はしませんけれども、次に移りますが。
最近、ちょっと話題が飛びますけれども、大臣もトランプの映画を見てもらって、私もこの委員会で言ったら、いろいろな方から映画を見たよ、見たよと言われて、赤澤大臣も見ていただいて、ドキュメンタリーも見てくださいと言って宣伝していたんですけれども。
この際、申し上げますが、私は、映画の配給会社からも制作側からも、一切何ももらっていませんので。ただ、大分いろいろな方が見ていただいているということは非常にいいことだなと思いますし。
これも宣伝ではなくて、私も何も宣伝料はもらえませんが、元外務省でオーストラリア大使で退任をされた山上さんの「国家衰退を招いた日本外交の闇」という本があります。
個人的な見解を言えば、私もずっと外務委員会にいて、いろいろあるなという感じはしますが、ここの中で、まさに日ロ関係のことを言っていて、特に北方領土のこと。やはり、安倍政権のときに二島返還にやっちゃった、間違ったシグナルだったんだということを書いています。これによって更なる領土交渉ができなくなっているということの指摘がありますが。
そうであるならば、それはとんでもないことで、やはり、これは戦後、外務省また歴代の外務大臣が努力して積み上げてきて、本当に努力をした結果の東京宣言ですね。あれは、世界的に見ても外交上の金字塔になる宣言だったというふうに思います。四島を明記したわけですから。
やはり、ここが基本ラインで、ここから下がっちゃいけない。前に進むことはあっても、下がっちゃいけなかった。でも、これは山上さんの著作ですけれども、やはり、安倍政権のときに二島にして下がっちゃったという指摘がありますが、この事実確認等を含め、あと、私は、東京宣言が基本ラインで、そこから一歩たりとも下がらないで交渉していかなきゃいけないと思いますが、見解をお伺いします。
○岩屋国務大臣 ロシアとの領土交渉については、これまで様々な経過、変遷があるわけでございますが、当然のことながら、今委員が御指摘の東京宣言、これは重要な宣言だと思っております。これを含めて、これまでの日ロ間の諸合意、諸文書を踏まえて交渉に当たっていかなければいけないというふうに思っております。
政府としては、四島の帰属の問題を解決をして平和条約を締結するという方針を堅持しつつ、今後の領土交渉に当たってまいりたいと考えております。
○小熊委員 事実確認ですけれども、この山上さんの、ここに書いてあるとおり、安倍政権のときに二島返還に下がっちゃったんですか。そのシグナルが送られて、向こうはそういう認識でいるんですか。どういうふうに考えているか、見解を求めます。
○岩屋国務大臣 それについては、もうこの段階で申し上げることは控えさせていただきたいと思いますが、今申し上げましたとおり、政府としては、四島の帰属の問題を解決をし、平和条約を締結するという方針を堅持してまいります。
○小熊委員 ありがとうございます。確認できたことはいいことです。もし安倍政権のときに二島返還のシグナルを送ったのであれば、今の大臣発言は完全否定で、まさに基本的な四島返還、東京宣言を重視して、それに基づいて交渉していくということが確認されましたので。
安倍政権下でいろいろなレガシーがありましたけれども、これに関してはやはりちょっと負のレガシーであったので、これが大臣によって基本ラインに戻せたということは、まあ、相手の認識はまた別ですけれども、そのラインで、この東京宣言を重視して、これからも当たっていただきたいというふうに思います。
次に移ります。日中外交です。
まず、ちょっと大筋から。近年、習近平さんが人類運命共同体構築と言っているんですけれども、じゃ、具体的に何をやってきているのというと、まあ、そんなに大きな動きはないんですが、ちょっとこの後でも触れますけれども、徐々に具現化もしてきているところであって。
確かに、今、トランプ大統領がいろいろな国際秩序をぶっ壊しちゃっているので、新たな国際秩序というのも受け入れやすい、耳触りのいい話ではあるんですが、これは、日本も取り組んでいる国連改革をして、しっかり取り組んでいけばいい話であって、結局、中国の、自分のための新しい国際秩序と言っているように聞こえる節もあるわけです。
それはそうですよ。日本だって昔からいろいろなことを言っていたし、笹川さんも、世界は一家、人類は皆兄弟と。そこの発想があるの、習近平さん。それは笹川さんに聞けば分かるのか。この人類運命共同体という政治スローガンについて、日本政府としてはどのような見解をお持ちか、まずお聞きします。
○岩屋国務大臣 私は日頃から、人類というのは確かに運命共同体だなというふうに思うわけでございますが、中国が主張するこの人類運命共同体というのは、二〇二三年十二月に開催をされました中央外事工作会議開催後の発表においてなされたものでございまして、これは他国の取組ですから、これに関して政府としてコメントすることは控えたいと思いますが。
いずれにしても、中国に対しましては、国際社会と建設的な関係を構築をし、我が国を含む国際社会との対話と協力を重ねることによって、この地域の平和と安定に貢献することが期待をされているわけでございまして、是非、この地域の大国としての責任を正しく果たしてもらいたいというふうに思っております。
我が国としては、中国の安定的な発展が地域全体の利益にもなるという考え方の下に、戦略的互恵関係を包括的に推進して、建設的かつ安定的な関係を構築する、こういう方針で、あらゆるレベルで幅広い分野において意思疎通を図り、課題、懸案を減らす、協力と連携を増やすという方針で臨んでいきたいというふうに思っております。
○小熊委員 抽象的には、人類運命共同体というのは誰も否定はしないわけですよね、世界平和と言って誰も否定しないように。ただ、やっていることでいえば、この後の質問へ移りますけれども、国際調停院なんかは、やはりこれは中国の自国の利益のためにやっていることが透けて見えているので、目的は、抽象度の高いレベルでは、それは誰も否定しないし、私だって賛意を示すけれども、やっていることがやはりそれは違うので、具体的に行動に移していくと。
だから、国連もそれは完璧じゃないけれども、じゃ、その不備を補って国連改革をしていきましょう、そういうふうに言っていけばいいんじゃないか。人類運命共同体、抽象的にはいいですよという話で終わるんじゃなくて。そういう方に引き込んでいかないと、やはり中国の、中国はゲームのルールメーカーになりたいというだけでやっているしかないし。
あと、いろいろな世界各国の意識調査によれば、何年間も中国やロシアは嫌われている国のワン、ツーを争っているし、尊敬されない国のワン、ツーを争っている国ですよ。それが国際社会でイニシアチブを取ろうとしたって、それは取れるわけがないし。今言ったとおり、国連改革に引き込んでいくということをやらなきゃいけないと思います。
次に移りますけれども、だから、これも運命共同体の一つの動きだと思いますけれども、先月、香港で中国が主導した、グローバルサウスまた島嶼国なども含めた、グローバルサウスが中心となって三十か国以上参加して、国家間の紛争を解決する国際調停院を設立する署名式がありましたけれども、まず、この国際調停院に対して日本政府の見解を求めます。
○岩屋国務大臣 御指摘の国際調停院につきましては、今御指摘があったように、五月三十日に香港で設立のための署名式が行われて、中国側の発表によりますと、中国を含む三十三か国が署名をしたと承知をしております。
王毅外交部長は、この署名式におきまして、調停院の設立は、国連憲章の目的と原則を実行し、国際調停分野のメカニズムの空白を埋めるものであると述べられたと承知をしておりますが、この調停院がこれから具体的にどのように用いられるのかということについては必ずしも明らかになっておりませんで、まだその運営も開始されていないと承知をしています。
我が国としては、国際的な紛争の平和的解決は、ICJ、国際司法裁判所を始めとした国際司法機関の役割を重視をしております。この考え方に揺るぎはありません。したがって、調停院については、今後、情報収集、分析をしっかり進めて、今後の動きを注視していきたいと考えております。
○小熊委員 今大臣が言ったように、今、もう既にいろいろ国際社会で、仲裁裁判所の裁定も、二〇一六年、フィリピンとの間で出ている中で、それを無視しているんですね、中国は。
だから、さっきの国連改革と同じように、いろいろな国連機関のこういったものとか、条約に基づく仲裁裁判所とかICCとか、こういうものをいかによりよく改革をしていくかということが正しい道であって、新たにつくる、中国が今までこういういろいろな裁定に従ってきているならまだいいですよ、していなくて新たなルールを作りましょうというのが、言葉は悪いけれども、ルール無視者がまたルールを作るなんというのは、本当に言葉は悪いですよ、盗人が自分で刑法を作るようなものですから、これはやはり認め難いんですよ。だって、国際社会で出した判決に従っていないんですよ。それがルールメーカーになるというのは、ちゃんちゃらおかしい話であって。
この参加国も率先してやっているわけじゃないですよ、多分。中国にいろいろ札びらをひっぱたかれてやっているのか、気を遣ってやっているのかですから。対中国とか、日本だけが正しいことを言うんじゃなくて、この参加国にも、正しい方向性にやはり導いていかなきゃいけないと思います。
それは、グローバルサウスですから、財政的にもなかなか大変な国もありますから、そういう戦いになってくると思います。中国が取っている、いわゆるサラミ戦術の一つだと思いますよ。こうやって中国側にいろいろな形で陰に陽に引き込んでいく、これが人類運命共同体の実態です。抽象度的にはいい方向性だけれども、実態はこれですから、やはりよくない。
本当に世界のために資しているんだったら私も否定しないけれども、今回の調停院は、今までの仲裁裁判所の裁定にも従わずしてこんなのをつくるというのは、本当にちゃんちゃらおかしい話なので。これは、きちっとほかの国々にも、今既存にあるものをしっかり改革していきながら、しっかり国際秩序を保ちましょうという方向性に、日本政府は先頭に立たなきゃいけないというふうに思っています。
是非そういう方向性でやっていただきたいと思いますが、もう一度御発言をお願いします。
○岩屋国務大臣 先刻も申し上げましたように、我が国は国際司法機関の役割を重視をしております。また、国際社会においても、国際司法機関が安定的に、安全に活動できるように働きかけを強めてまいりたいと思います。
事は外交ですから、私も言葉を選んで申し上げますが、人類運命共同体あるいは国際調停院については、しっかり情報収集、分析を進め、今後の動きを注視してまいりたいと思っております。
○小熊委員 外務大臣ですから、それ以上は言えないでしょうけれども、情報収集といっても、調停院に関しては、もうネタばれしているので情報収集するまでもないと思いますよ。今後の動きはしっかり見極めて、参加している関係国に正しい道に戻っていただくような努力を是非していただきたいと思います。
次に移ります。
これも、外務省を始め政府関係者、また様々な関係者の御努力によって、東京電力第一原子力発電所事故に関わる、いわゆる処理水の海洋放出で、水産物の輸入停止措置が中国においてもありましたけれども、この度、輸入再開で合意をされましたが、我々福島県、被災地を始め、東京も含めた十都県についてはそのままでした。
科学的根拠で判断しますよと中国政府はずっと言ってきていて、じゃ、自分の科学的根拠を示せと私もいろいろな形で中国政府の人に言っていて、あんたらの基準はあるのかと言ったら、ごにょごにょとなっちゃっていたんだけれども、IAEAしかないだろうと言ったら、結局、彼らもIAEAの基準に従って自分でサンプリングしてやっていますけれども、その結果、何ともなかったと中国も判断したわけですよね。それもつながってきているんだけれども。科学的根拠になっているんだったら、十都県の規制を残すということは、科学的根拠はないんですよ。
まず、この完全撤廃に向け、それで、これは言っていたら是非あれですけれども、今回規制を外すといったときに、中国の報道官は相変わらず核汚染水という言葉を使っているんですね。科学的根拠のない言葉ですけれども。こういうことに、やはり、その都度抗議しなきゃいけないですよ。この点についてはどうですか。
○岩屋国務大臣 日本産水産物の輸入再開については、この間ずっと、あらゆるレベルで取組を進めてきたことでございまして、今般、一つ大きな前進をすることができたのではないかというふうに考えております。
輸出再開のためには輸出関連施設の再登録の手続が必要になるわけでございますが、ALPS処理水の海洋放出前に中国側に登録されていた施設から開始されることになるわけでございまして、海洋放出前の時点で十都県の施設の登録は認められていなかったために、御指摘のとおり、今般は十都県以外の施設からの輸出に限られるわけですが、当然、残る十都県産の水産物についても、あらゆるレベルで中国側に規制の撤廃を求めてまいりたいというふうに考えております。
ALPS処理水の表現についても、中国側とのやり取りの中で意思疎通をしっかり図ってまいりたいと思います。
○小熊委員 是非、この核汚染水という言葉を使っているのも科学的根拠がないということを中国側に指摘すると同時に、一日も早く、十都県も含め、十都県がそのままになっているということも科学的根拠がないので、また粘り強い交渉を続けていただきたいというふうに。これで終わりじゃないですよね、まだまだ道半ばですから。是非お願いをいたします。
次に、インド太平洋地域についてですが、このほど開かれたアジア安全保障会議、通称シャングリラ会合で、日本政府は、中谷防衛大臣がOCEAN構想、太平洋地域でのまさに多国間でのまずは平和安全保障ですね、この間も質疑させていただいたネットワーク型の安全保障です、これにやはり大きく寄与するものですし、このOCEAN構想については私も大いに賛意を示したいというふうに思います。
じゃ、具体的に今後どうしていくのということでありますけれども、先般もあったフィリピンとの円滑化協定や、様々な、物品役務協定、ACSAとか、あとOSAですね、政府安全保障能力強化支援のOSAなど、いろいろなものでこれを広げていく必要があるというふうに思います。
ただ、このシャングリラ会合は、大統領選もあったので、重要な国の韓国の国防トップが参加をしていませんでした。是非このOCEAN構想に、参加されていなかったので、もう大統領も決まって組閣もされるでしょうから、なるべく早く韓国の国防トップに直接、これは外務省の所管ではないのかもしれないけれども外交全般でもあるので、やはりこのOCEAN構想の説明、賛同を得る動きをした方がいいと思いますが、見解をお伺いします。
○岩屋国務大臣 中谷大臣は、先般のシャングリラ・ダイアログ、アジア安全保障会議において、いわゆる今委員がおっしゃったOCEAN構想についてのスピーチをされたというふうに承知をしております。
インド太平洋のためにという視点を持って、共通の価値と利益を共有し合う諸国が協力的な取組を通じて、シナジー効果を発揮して、一つの大きな取組にこれを構築していくという趣旨のお話をされたと承知をしております。詳しくは防衛省に聞いていただきたいというふうに思いますけれども。
今御指摘があったような、韓国も含めて、インド太平洋、様々な国にこういう構想を呼びかけていくことは必要だというふうに考えております。
○小熊委員 先ほど来言っているとおり、この地域においても韓国は重要な国なので、是非この構想に参加呼びかけを早急にしていただきたい。来ていなかったので、是非、それはリスペクトの意味も含め、なる早でやった方がいいというふうに思います。
次に、これまでも質疑してきましたが、OSAですね。
やはり島嶼国、財政的にも脆弱な国ですし、今回も中国の調停院にも参加させられちゃっているところもあるので。やはりこのOCEAN構想でも島嶼国も本当は入るわけで、エリア的には。ただ、軍隊を持たない国もありますから。OSAを通じてもっともっと広がり、この秋にはまた新たな支援が決まるというふうには聞いていますけれども。
その中で、実は、島嶼国の中でフランス領もあるんですね、イギリス領もあるんですけれども。イギリスは円滑化協定を結ばれています。フランスは去年から交渉が開始されて、今年には決まるのかな、フランスとの円滑化協定も。その辺も含め、実は、フランスも、太平洋島嶼国の中にフランス領がありますから、やはりフランスとの連携も、OSAの話じゃないですよ、フランスとの円滑化協定の話になっちゃっていますけれども、これも早急に締結すべきだと思うし。
質問としては、もっと加速度的に、今までの速度ではなく、トランプさんがもういろいろな意味ででたらめで、アジア太平洋地域の安全保障も揺らいでいますので、もうアメリカに頼り過ぎずに、日米関係を重視しながらも、やはり地域でのネットワーク安全保障はスピード感を上げなきゃいけないと思います。今までの取組は否定はしていません。ただ、今まで以上のスピード感が必要だと思います。
その点についてお伺いをいたします。
○岩屋国務大臣 今や、欧州の安全保障とインド太平洋の安全保障は密接不可分だと考えております。また、欧州側にもそういう理解がどんどんと広がってきていると思いますし、委員御指摘のように、このインド太平洋に領土を持っている国もございます。したがって、欧州の諸国のインド太平洋への安全保障上のコミットというものは大いに促進をしていってしかるべきだと思っております。
御指摘のあったOSAについても、二〇二三年に創設して以降、毎年予算を増額してきておりまして、本年度予算は八十一億円ですけれども、創設時からすると四倍、昨年からいうと一・六倍となっております。
今、計七か国に対して警戒監視能力の向上に資する機材などを中心に供与をしてきておりますけれども、更にこの取組も加速させていって、我が国、地域に望ましい安全保障環境を創出していくという努力を重ねてまいりたいと思います。
○小熊委員 倍増どころか自乗倍ぐらいでもいいと思うんですけれども、極端な話。
我が国の安全保障じゃないです。さっき言ったように、アメリカが世界の警察をやめているので、その世界の警察の一部の役割をこの地域で日本が果たしていくということですし、中国の軍事的台頭もありますから、それを見ながらのスピード感にしていかなきゃいけない。幾ら日本がアクセルを踏んだとしても、中国が先を行ったのでは元も子もないので、まさにそういうスピード感で是非やっていただきたいし。
フランスとのRAAも、今交渉中だと思いますけれども、早期に妥結して、なおかつ、フランス領が太平洋島嶼国の中にあります、PALMの一員でも、島嶼国会議の一員でもあるので、是非フランスとの連携も更に更に深めていくことをお願いを申し上げて、次に移ります。
またトランプさんの話題になりますけれども、ハーバード大学の留学生受入れの取消しが今混乱を来していて、一部報道でもいろいろありますけれども、二百五十名ぐらい日本人がハーバード大学にいるといいますが、いろいろ関係省庁にお聞きしたら、学部、大学院で大体百十名だそうです。研究者とかを入れると二百五十名ぐらいになるそうですけれども。
そのうち、いわゆる官費留学生というか、国家公務員の留学生は、人事院が所管しているものは、二三年度、二四年度、十名ずつで二十名。あと、ほかの関係省庁が独自に派遣もハーバード大学にもしているので、それ以上いるんですけれども。もうこの夏で卒業する方は帰ってくるだけだからいいんですが、今まだあと一年残している方、まさにこれから秋に留学しようとした方には本当に混乱の状況にあります。
F―1ビザのことをこの委員会でも聞いたときに、その後、外務省とも、国内にも相談窓口が必要だよね、今、在外公館ではいろいろな形でアナログ的に、口コミとかSNSでの情報発信もしているけれども、いろいろな日本人会に誰か困っている人はいませんかと、本当にアナログみたいな形でやっているんですけれども、国内にも窓口を設置して、関係する御家族とか友人が問合せできるようにというお話をさせていただいたら、文科省の方で、日本学生支援機構において、問合せ窓口の設置を国内でしていただいたところでありますので、関係の御家族とか、これから留学する人の不安解消にも役立ったな、文科省さんの連携は非常によかったなと思いますけれども、今後、実際、本当にどうなるかがまだ不透明感がありますが、適切な対応が求められています。
ただ、ほかの大学もいろいろなことをやられていますけれども、何でハーバードがとりわけ狙い撃ちされたかといえば、反ユダヤ主義に対する対応が不十分だったという理由です。イスラエルのパレスチナ自治区攻撃に関する、いわゆる反イスラエル抗議デモにちゃんと大学が対応しなかったということに端を発していると思うんですが。
もちろん官費留学生は政治的な活動は制約されていますけれども、一般の留学生がこのデモに参加するというのは個人の意思の自由ですけれども、アメリカはこういう措置をしているから、参加するということに対して何か注意喚起するのかしないのか。留学生がこうしたパレスチナ自治区への攻撃に関する反イスラエル抗議デモに参加することに対する見解をお聞きいたします。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
世界各地で、イスラエル、パレスチナ情勢に関連したデモが発生していることは承知しておりますけれども、日本人留学生の参加の是非も含め、政府としてその一つ一つにコメントする立場にないと考えております。
○小熊委員 大臣に聞きますが、それが正しいですよね、思想、信条を縛るわけにいきませんから。でも、トランプ大統領はここをやり玉に上げているんです。
反ユダヤ主義といっても、イスラエルも完璧な国ではないですから、それは、苛烈な歴史、不幸な歴史の中で差別を受けたユダヤ民族を私も否定するつもりはありませんが、じゃ、彼らがやっていることが全てイエスと言えるのかといえば、そうではなくて、やはりそこは、お互い、国際社会の中で、いい意味で指摘し合うということは必要なので、このパレスチナ自治区への攻撃も、それはやはりイスラエルは行き過ぎたところもあるんじゃないかという指摘で、学生たちが抗議することは別に間違ってはいないと思います。
そういうイスラエルに対してノーという意見も封じ込めようとするトランプさんの発想が、これは民主主義を破壊する行為ですから。ビザを取り上げられるかもしれないから、デモに参加するなよというようなことは是非ともないようにしていただきたいし、そういう意味では、アメリカのトランプ大統領のこの発想の措置は間違っているというふうに思いますが、大臣はどう思いますか。
○岩屋国務大臣 米国の政権が取っている措置でございますし、その中身について子細に承知をしているわけではございませんので、それについてコメントすることは避けたいと思いますが、日本人留学生が自由に意思を表明することは、当然、あってしかるべきことだというふうに思っておりますし、大事なことは、今留学しておられる方、これから留学を予定しておられる方々に影響ができるだけ及ばないように、政府として万全の対策を取っていくということだと思っております。
外務省としても、当然、相談の窓口を設けて丁寧に対応するようにしておりますし、今後、どういうふうになっていくのか、この段階では予断を持って申し上げることはできませんが、米国政府側ともしっかり本件に関して意思疎通を図ってまいりたいというふうに考えております。
○小熊委員 それは、アメリカの制度の中での話なので、コメントする立場にないというのは当然。私が言いたかったのは、イスラエルがやっていることに対して全部が全部是とするんじゃなくて、間違っていることは指摘するということは否定しちゃいけないし、そのことが、反ユダヤ主義というレッテルを貼ることは間違いですよね、それは自由主義社会としてはおかしいということを言いたかったわけで、その哲学は日本政府としては貫くべきだという話です。イスラエルを批判したのが全て十把一からげで反ユダヤ主義というのはおかしいということを言いたかったので、そういう姿勢で是非臨んでいただきたい。
次に移りますが、また掲示させていただきますけれども、「私が見た未来 完全版」という本が、今、日本でもそうですが、国際的に話題になっていて。
私もレクを受けたときにちょっと違うよと観光庁から指摘いただいたんですが、一部報道では、これによって、特に香港など、また一部のアジア地域で観光客が激減しているということですが、実際の現状。そもそも香港では五月、六月は日本に来る客は元々少なかったし、四月においては過去最高を記録したというふうにも聞いているんですが、現状。
あと、もう時間もないので。我々も子供の頃、委員長もそうでしょう、ノストラダムスがめちゃくちゃはやりましたけれども、一九七〇年代。今はそういうことで。ただ、誤解のないように。この作者はコメントしています。地震が予見できるかどうかということじゃなくて、常に防災意識を持つということが大事で、その注意喚起になればというふうに思っていますと、作者は冷静です。
ですから、まず今の現状と、あと、科学的根拠のないこういう情報発信に対してどう海外発信していくのか、併せてお聞きいたします。
○鈴木政府参考人 お答えを申し上げます。
四月の香港からの訪日旅行者数は、四月として過去最高の二十六万人を記録しておりますが、香港の航空会社の中には、五月以降、日本路線の減便を行っている会社があるものと承知をしております。航空便の減便につきましては、例年、香港からの旅行者数は、五、六月が閑散期となることや、今後の経済情勢の見通しなども含めて、航空会社において総合的に判断を行った結果であると認識してございます。
また、地震の予知につきまして、内閣府や気象庁が、日時と場所を特定した予知は現在の科学的知見からは困難である旨を改めて発信されており、観光庁といたしましても、日本政府観光局、JNTOの香港事務所を通じまして、同様の趣旨や、旅行を判断する際は公的な機関による科学的な情報を参照してほしい旨を発信してございます。
観光庁といたしましては、香港以外の市場も含めまして、五月以降の訪日客数の動向や航空便の減便、旅行のキャンセルの状況など、様々な点を注視しつつ、必要に応じて適切に対処してまいりたいと考えてございます。
○小熊委員 是非頑張ってください。
以上で終わります。ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、山崎誠君。
○山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。
今日も、外務委員会、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
度々取り上げてまいりましたハラスメント問題でありまして、私も重ねての質疑は大変心苦しいのでありますけれども、なかなか明確になりません。今日を最後にする思いで、質問を続けさせていただきたいと思います。
前回も取り上げたんですけれども、本年一月に一斉メールによって本人より告発のあった診療所の医師に対するハラスメント事案でございます。
四月二十三日の委員会で調査をお願いをいたしました。委員会に調査結果を提出するようにお願いをしたのでありますけれども、まだ回答をいただいておりません。調査中ということでありました。人事課からの説明は、一斉メールによる告発というのはなじまないとか、あるいはハラスメント相談とは受け止めていないとか、あるいは関係者の理解と異なる内容があるなどというような説明を受けた上で、いまだ内容について事実関係の確認作業を行っているとお聞きをいたしました。
私、このメールの配信は、この件を確認しますと、ずっとこのハラスメントを訴えてきて、ハラスメント相談窓口だとか、あるいは監察査察への訴えなども行ってきて、そして、納得のいく御対応をいただけなかったと。今回のこの出向を機に、やむを得ず送信したということであります。なので、一斉メールはなじまないとかという話以前に、それまでの経緯があるんだということをまずお伝えをしなければなりません。
いずれにしても、この内容について今確認中だと思いますが、どんな調査をされているのか、いつまでにこの調査を終えていただけるのか、お聞きをしたいと思います。
○大鶴政府参考人 お答え申し上げます。
前回の質疑での先生からの御指摘も踏まえながら、関係職員などからの聞き取り調査を鋭意行っております。その過程で、そもそもメールの指摘事項が広範、複雑にわたる事項でもございますので、それに加えまして、新たな証言が出てきましたりですとか、相互に食い違う見解が示されるというようなこともございまして、それら逐一について精査を行っております。時間がかかって大変恐縮でございますけれども、きちんとした調査を行うという観点から、相応の時間は必要かなというふうに思っております。
また、メールの性質ですけれども、先生から今御指摘がございましたが、このメールが出た直後に、その一斉メールになじまないというようなコメントを、当局、福利厚生室の方から差し上げたわけですが、それを見た同僚の別の医務官、これはメールを書いた御本人と非常に近しい方だと承知していますけれども、この内容は医師から医師に宛てた極めて専門的なメッセージであるということ、それから、そもそも出向している職員にそういう、今の人事当局が何かコメントするのはいかがなものかというようなこともございましたので。
こういう調査がそもそも御本人の意に沿うようなものなのかというところは正直よく分かりませんので、もし機会があれば、御本人から、この調査、引き続き、これは告発である、きちんとした調査をしてくれということであれば、改めて御指摘をいただければと存じます。
○山崎(誠)委員 今の御説明は、私は納得いかないんですよ。
医務官の仲間がそういうコメントをするのは自由でしょう。その指摘は当たっているのかもしれませんけれども、この内容自体は、こういうハラスメント行為があって出向せざるを得なくなっているということに対しての告発の内容は間違いありませんよ。これは、誰が読んでも、私はそういうふうに受け止められると思います。
そういう中で、是非、やはり第三者を入れた調査をきちっと行っていただきたい、調査中ということでありますから、それを重ねてお願いをする次第であります。
前回からの継続でありますけれども、この調査報告、ハラスメント認定の状況、処分について、本委員会に報告を求めたいと思います。委員長、取り計らいをよろしくお願いします。
○堀内委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議させていただきます。
○山崎(誠)委員 これは、やはり外務省の人事ガバナンスの信頼回復につながるというふうに思いますので、是非前向きにしっかりとした対応をしていただきたい。それが、外務省のこのガバナンス、これは間違いないんだという信頼につながりますので、よろしくお願いを申し上げます。
いつまでに報告いただけるか、時期、これも大事です。そのめどを教えてください。
○大鶴政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、新しい派生論点なんかも発生しておりますので、今この場でいついつまでにということを確約することはちょっと申し上げかねます。
○山崎(誠)委員 丁寧に御対応いただけるということを御期待をしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
時間の関係で、ちょっと二番を飛ばしまして、三番に移らせていただきたいと思います。外務省のハラスメント相談窓口についてということでございます。
これまで、私のところに何件かハラスメントの訴えが届いています。それぞれ、ハラスメントの相談窓口に対応を求めたんだけれども、にっちもさっちもいかないということで、私のようなところに声が届くということであります。
実際に、過去、例えば三年分、二二年、二三年、二四年で、何件相談を受領していますか。
○大鶴政府参考人 お答え申し上げます。
人事当局におきましては、人事院規則一〇―一六に基づきまして、二〇二〇年六月一日から、パワーハラスメントに関する職員からの苦情のお申出及び相談を受ける職員を配置しております。そこにおけます苦情相談の数については、現時点で人事当局が把握している限りでございますが、令和四年度で三十四件、令和五年度が六十八件、令和六年度が五十八件を受領しております。
職員からの苦情相談に対応するに当たりまして、相談員は、関係者のプライバシー、名誉、その他人権を尊重するとともに、知り得た秘密を遵守するということにしております。相談の内容についてお答えすることは差し控えたいと存じます。
○山崎(誠)委員 相談内容、一個一個個別にお聞きをしようとは思いません。ただ、その内容、例えばパワーハラスメントなのかセクシュアルハラスメントなのか、そういった種別、どういうパワハラ、例えば上司から部下に対して、管理職から部下に対して、そういうハラスメントというものがどのぐらいあったのか、そういうケースがあるのかないのか、そういったところをもう少しお話しいただけませんか。
○大鶴政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました数字につきましては、以前、先生から主意書で御質問いただいた際に、パワーハラスメントについてだということでございましたので、パワハラの件数として申し上げております。
これ以外に、セクハラの部分についても別途ございまして、それぞれ数字を申し上げますと、令和四年度が十一件、令和五年度十四件、令和六年度八件、これは受領しておるところでございます。
それぞれ個別の内容につきましては、恐縮でございますが、ここでのお話というのは差し控えさせていただきます。
○山崎(誠)委員 ほかの省庁との比較ができれば分かるのかもしれませんけれども、多いと思います。特に令和の四年ですかね、六十八件、セクハラ十四件というようなお話もあります。
私は、これは非常に、内容も分析をしなければいけないし、適切な対応あるいは処分も必要なのではないかと思いますが、この中で処分に当たるような対応を取った事例というのはございますか。
○大鶴政府参考人 ハラスメントの、実際にあったという認定が行われた数については対外的に公表しておりませんで、ここでもなかなか申し上げることは難しいのですが、別途、懲戒処分、ハラスメントに限りませんけれども、外務省として懲戒処分を行った事案につきましては、人事院の年次報告書で毎年公表をしてきております。
例えば、二〇二三年、令和五年は三件、令和四年は三件、これらの件数の中にはハラスメントによる処分も含まれます。また、懲戒という一番重い処分以外の、指導ですとか、内規による処分が行われた件というのはほかにもございます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
ここで、相談対応がどのぐらい被害者の皆さんに寄り添っているのかというのが、私は問われると思うんです。
今の御説明では、大体、概要的には対応は分かるのでありますけれども、私が接しているハラスメントの事案というのは、相談窓口に相談をしてもなかなか寄り添って対応してくれない、例えば、それで監察査察に行かなければいけないとか、あるいは人事院に行かなければいけない、そういう流れが残念ながら多いというふうにも思います。そういうケースもあるのではないかと思います。
私は、相談対応についての被害者の納得、どのぐらい納得をしているのかという調査、これを是非やっていただきたいと思うんです。今、三年間の数字をいただきましたけれども、それだけでも百数十人の方々が相談窓口に訴えてきている。これをお聞きをすると、ハラスメントの、例えば処分が納得いかないとか、自分の訴えが受け入れられなかったので納得いかない、納得いかないというか、その対応に不満だというのはあるんだと思います。
私が言いたいのは、人事課のその相談窓口が頼りになったかどうかという、それはある意味、客観的に調査ができる要素ではないかと思っております。是非、この調査を実施をしていただきたい、相談者に対して、この相談窓口に対する納得度、相談対応の納得度を調べるようなアンケート調査を実施していただきたいと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
○大鶴政府参考人 お答え申し上げます。
相談者からのハラスメントに関する提起につきましては、丁寧にこれを聴取して、かつ相談者の意向を確認した上で、関係者のプライバシーにも配慮しつつ、相談者の話だけでなく、複数の第三者、行為者からのヒアリングも非常に幅広く実施して、客観的な情勢把握に努めてきております。また、そこで得られました客観的な事実関係を踏まえて、関連の法令、規則に基づいた公正で適切な解決策を検討し、その結果を相談者に丁寧に説明してきております。
その上で、なお本人が納得できないという場合におきましては、先生の御指摘がございました、外務省内であれば監察プロセス、さらには人事院に相談といった不服申立てのスキームが準備されているということもございますので、それら事後の展開を見ることで相談者の納得度は測れるのではないかなと思っております。
また、ハラスメント窓口における相談におきましては、一番最後、こういうことでということで丁寧な説明、もちろん、先ほど申し上げたとおり、処分や指導につながったものについてはその時点で御納得いただいているケースが多いと思いますが、そうでなかった場合についても、その理由を丁寧に説明する等、納得が得られるように取り組んできておりますので、このようなことを通じて、その納得度ということは我々としておおむね把握できているかなというふうに考えております。
○山崎(誠)委員 これまで、今日は詳細はお伝えしていないですけれども、結局、人事課、あるいは私が取り上げた事例であれば診療所、これもそういう意味では官房の組織の中の一部だと思います。非常に相談窓口に近い皆さんが、ハラスメントの、パワハラの加害者になっているということなんですよ。
だから、私は、この相談窓口というものが果たして本当に機能しているのか、これまでの皆様とのやり取りでも、本当に被害者のことをどこまで真摯に考えているのか、非常に疑問になる対応がございました。ここを一つ一つ述べることはいたしません。そういう私の経験にも基づいて、是非ここは虚心坦懐に、被害者、訴えている方々の声を一回聞いてみていただきたい。
重ねて、このアンケート調査、どんな形でも構いません、もちろん匿名で実施をしていただきたい、そして信頼を上げていただきたい。官房長の御説明のようなプロセスは当然あるんだと思います。それが本当に機能しているかどうかの検証をお願いをしています。
大臣、是非この調査、お願いをしたいんですけれども。
○岩屋国務大臣 そのアンケートという手法が適切、効果的かどうかということはともかく、いずれにしても、委員がおっしゃったように、相談者が納得できるということが大事だと思いますので、相談者が納得が得られるような相談対応にするように、私からも改めて指示をしておきたいと思います。
○山崎(誠)委員 大臣、ありがとうございます。
私の事例でいきますと、解決というにはほど遠い、そこのプロセスで二次被害が起きているということで、私はすごく深刻だと思って、ここは何度も取り上げさせていただいておりますので、是非今の御指示を徹底をいただきたいと思います。
言うまでもないのでありますけれども、外交というのは、信頼関係、チームワークが必須のお仕事だと思います。職位の上下だとか、あるいは、外務省から、出向者が来ていただいて仕事をしていただく、そういう身分とか立場で区別されて意見が言えないとか、意見を言うとパワハラに遭う、そういう職場では絶対いけない、改善する必要があると思います。
公正公平でハラスメントのない職場、内向きな隠蔽体質を私は感じるのであります。これを何とか改めていただきたいと思います。大臣、御対応を求めたいと思います。
○岩屋国務大臣 外務省で働く職員は、言うまでもないことでございますが、日本外交という志を共有する大切なファミリーでございます。外交の最前線で皆が活躍していってほしいといつも願っているところでございます。
したがいまして、その皆さんが能力を最大限に発揮できるように、パワハラの防止や適切な対応を徹底してまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 大臣、ありがとうございます。
是非御対応を、また、事案等について一部取り上げさせていただきましたけれども、内容を大臣にも御確認をいただいて、不適切なことがあれば。
私は、パワハラの対応の一番大事なことというのは、パワハラ、セクハラ、本当に被害者の立場にどこまで立てるかだと思うんですよね。いろいろな、外部からの評価とかもありますでしょう。あいつが悪いんだとか、特定の個人を誹謗中傷するような、そのためにハラスメントを訴えているんだとか、そういうことがとかく言われるのでありますけれども、例えば兵庫県の例とかフジテレビの例とか、組織的にそういうふうな風土が、やはりハラスメントを蔓延させてしまうんだと思います。
そういった組織にはなっていないと信じておりますけれども、是非ここは、先ほどの相談対応の見直し、あるいは効果の検証も含めて、御対応いただきたいとお願いを重ねてさせていただきます。
それでは、残り時間、二番目のテーマ、外務医務官の活用というテーマを取り上げさせていただきます。
これは、私、以前から訴えをしておりまして、実は、コロナの前から、外務医務官の方のお話を聞いて、是非ということで御提案をさせていただいたこともございました。
ちょうど日本版のCDCが立ち上がったところでありまして、専門家組織であります国立健康危機管理研究機構、本年の四月から正式に立ち上がっています。CDCの主な役割は、情報収集、集約、リスク評価と聞いています。
さきのコロナウイルスの感染拡大のときも、海外の情報が極めて大事で、外務省の職員、医務官の中には、海外、例えばインドで大活躍をして、外交青書にもその活躍は紹介されている。私は、これが一つのモデルになって、海外で起きていることにアンテナを張ってネットワークで察知をするには、外務医務官の存在というのは非常に有用ではないかというふうに思っております。
厚労省の方に今日はお越しいただいていると思います。CDCを立ち上げていく中で、外務省の医務官の皆様、医師の資格を持っている医療の専門家が全世界の在外公館にいるということでありますから、これを活用しない手はないというふうに思うのであります。
これは私からの提案でありますけれども、是非、この外務医務官のネットワークを正式なCDCのメンバーとして位置づけて、そして活躍する場を設けていただきたいと思うのでありますけれども、お考えをお聞きします。まず、厚労省から先に。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
感染症関連情報の収集に当たりましては、本年四月に設立をいたしました国立健康危機管理研究機構、JIHSから、感染症情報の集約、分析、リスク評価の報告に加えまして、厚生労働省において、現地外務医務官からの情報を有する外務省等の関係省庁や、WHO、JICA等の関係機関、諸外国の保健省との連携を通じて、多様な情報源からの情報収集に努めているところでございます。
このように、外務医務官からの情報も含めまして、厚生労働省において感染症対策の立案に、迅速に感染症情報を活用しておりまして、引き続き、関係省庁と密に連携しながら、感染症対策に取り組んでまいりたいと考えております。
なお、JIHSと外務医務官の連携に関しましては、JIHSにおいて、国際的な感染症に関する幅広い分野で働く専門人材を育成するために感染症インテリジェンス研修等を実施しているところ、これらの研修に外務医務官も参加していただいておりまして、引き続きこうした連携を維持発展してまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 厚労省にもう少しお聞きしたいんですけれども、私が申し上げたのは、正式なメンバーとして活躍の場を与えていただきたいということです。情報を必要なときにもらうというのはあると思うのでありますけれども、もっと積極的に活用する。
私は、ここは省庁の垣根が非常に高くて、外務医務官、存在はあるけれども、厚労省の組織とは別に動くということで、きちっと組織として取り込む、そういう姿勢はないと思うんですよ。
厚労省、どうですか。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
先生の御指摘の点は、外務省の職員、特に外務医務官の方をJIHSの方に出向させて、あるいは併任させてというようなことであるかというふうに思いますけれども、そういった在り方もあると思いますけれども、連携の在り方につきまして、引き続き外務省と意思疎通をしてまいりたいというふうに考えております。
○山崎(誠)委員 外務省にお聞きをします。
私は、医務官の皆さんの職責というんでしょうか、職域というんでしょうか、今、簡単に言うと、在外公館のメンバー、館で仕事をしている皆さんの健康管理とか、そこに一つ力点があって、それ以上のことというのは、もちろんやっている方もいらっしゃるんでしょうけれども、場合によっては、そんな必要はないよと止められている、そういう医務官の声も聞きました。
まずは、医務官の皆さんの活用に当たっての、職務をもっと広げていただいて、せっかく海外に出ているのであるから、例えば現地の医療機関との連携とか、あるいは研究者との連携とか、そういう窓口の機能を外務省としても医務官に与えていただきたいんですけれども、いかがですか。
○大鶴政府参考人 お答え申し上げます。
先生が御指摘のとおり、在外公館医務官の主要業務といたしましては、職員とその家族の健康管理が主たるものだというふうに考えておりますけれども、現地大使及び総領事の労務管理の下で、必要に応じまして、空いた時間といいますか、余裕のあるときに、現地医療情報の収集でありますとかその報告、あるいは、先生がおっしゃいました現地の医療関係者との関係構築、また、そこで得られた知見について現地在留邦人の方々への情報提供、こういったものについてはやっていただいてよろしいのではないかなというふうに考えます。
○山崎(誠)委員 やっていただいてよろしいんでしょうかじゃなくて、そこをちゃんとやりましょうよと、そういう職務に切り替えていただきたい。
インドの事例を御存じかどうか、お詳しくなければあれですけれども。やはり非常にそこからの情報は大事だった、そして、インドの専門のお医者さんとのネットワーク、現地のネットワークも本当に生かされたということだと思っております。これを職務に加えてもらいたい、正式な職務にしてもらいたい、そういうお願いです。
○大鶴政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、現地の状況次第によって、現地在外公館の職員でありますとかその家族、及び現地在留邦人への必要な情報提供、こういうものを害さない限りにおいてやっていただくのは構わないと思いますし、そこのあんばいといいますか、どこまでやっていい、どれぐらい割いていいというのは、現地大使及び総領事の判断の下で行うということになっておりますので、それでお願いできればと思います。
また、先生が御指摘の在外公館におけます情報収集の結果、各医務官からの日本の感染症対策等において参考になると思われる情報については、これまでも、厚生労働省始め関係省庁の方への情報の伝達、共有というのは行ってきております。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
どうも今のお二人の答弁を聞いていると、消極的なんですよね。
本当にこれからどういうことが海外で起きて、それが日本に影響するか分からない。コロナの教訓を生かすという意味では、私は、外務医務官のような方々に、もっと任務を広げて、さっき厚労省の審議官からもありましたけれども、兼職をするような形にして、きちっと組織的にこの活用を検討いただきたいと思うのであります。
大臣、最後に、是非旗を振って、ちょっと領域は違うかもしれませんけれども、大事な外務省のスタッフ、機能を生かすという意味で、是非厚労省と交渉いただきたい、新しい考え方を入れていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○岩屋国務大臣 官房長から累次説明をさせていただいたように、外務医務官は、各国の在外公館において多岐にわたる業務を遂行して、重要な役割を果たしてくれていると承知をしています。
感染症対策などについてどういう関係省庁と連携するかということについては、厚労省を中心にした関係省庁と引き続き意思疎通をしてまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 時間になりましたので、終わりますが。もっと積極的でいいんじゃないでしょうかね。何もこれは無理がない話だと思います。省庁の垣根があるからできないんですよ。これを一緒に是非、政治主導で、政治のリーダーシップで実現をいただきたいと重ねてお願いをしまして、終わります。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、竹内千春君。
○竹内(千)委員 立憲民主党の竹内千春です。
今日は、国際人権保障に対する日本政府の姿勢についてお伺いをさせていただきます。
今、世界では、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ地区の攻撃、中国の新疆ウイグル自治区や香港における人権問題、ミャンマーの軍事政権、様々な人権問題が起きています。トランプ大統領も、国連の人権理事会から離脱したり、ICC職員への制裁を可能にする大統領令に署名するなど、人権軽視の言動が顕著になっています。
そこで、まず大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
国際社会において、こういう基本的人権の尊重という、そんな普遍的価値が揺らいでいく今ですけれども、日本はこれからも、国際社会において、人権を尊重する態度、人権問題に関して毅然と取り組む、そんな人権外交の姿勢を維持されていくのか、まず大臣の見解をお聞かせください。
○岩屋国務大臣 人権は言うまでもなく普遍的な価値の中核でございまして、人権擁護は全ての国の基本的な責務だというふうに考えております。我が国は、これまでも、深刻な人権侵害に対してははっきり、しっかり声を上げてまいりました。また、対話と協力を基本としまして、民主化に向けて、あるいは人権擁護に向けた努力を行っている国との間では、二国間対話や協力を積み重ね、また自主的な取組を促し、支援をしてきております。
我が国としては、こうした取組を積み重ねつつ、引き続き人権を重視した外交を進めてまいりたいと考えております。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
人権は普遍的価値の中核、人権擁護は責務だ、人権外交を重視していくというお言葉、ありがとうございます。
言うまでもなく、この国際人権の概念は第二次世界大戦の悲惨な経験から誕生しました。人権問題を国内問題と当時捉えていて、ナチスのホロコーストにも介入しなかった、そんな反省を踏まえ、人権問題に国境はないとの観念が共有され、世界人権宣言が採択された。これを実効あらしめるために、各種人権条約が作成されました。
日本でも、主要な国際人権条約八つ、自由権規約、社会権規約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、障害者の権利条約、人種差別撤廃条約、拷問等禁止条約、そして強制失踪条約を批准しています。
でも、人権条約を批准したからといって、実際に人権侵害が生じたときに、それだけでは救済はされない。もちろん、国内裁判所への救済は可能ですけれども、裁判は費用や時間もかかることも現実です。広く市民が迅速に、費用がない場合でも人権救済を求めることができるのが国内人権機関。国や自治体もまた人権侵害を引き起こす可能性は否めないので、国内人権機関は政府から独立が必要だというふうに言われています。
そこで、国内人権機関の設置について伺いたいと思います。
一九九〇年、パリで開催された国内人権機関の地位に関する原則、いわゆるパリ原則が採択され、一九九三年に国連が開催した世界人権会議で採択されたウィーン宣言及び行動計画で、パリ原則にのっとった国内人権機関の設立と強化が推奨されました。それを受けて国連が定めたビジネスと人権に関する指導原則、この三本の柱の一つが救済へのアクセス、その中で国内人権機関の重要性がうたわれています。企業活動においても、人権尊重の実現に国内人権機関の設置は極めて重要です。
二〇一八年の段階で、各国で既に百二十以上の国内人権機関が設置されています。今ではもっと増えていると思われますが、日本では、いまだにこれが設置されていません。二〇二〇年に、日本は、ビジネスと人権に関する指導原則を国内において実施するため、ビジネスと人権に関する行動計画を作成していますが、その中でも、この指導原則が求める日本国内での国内人権機関の設置に関しては何らの言及がありませんでした。
その後、国連ビジネスと人権作業部会が二〇二三年に訪日調査を行って、日本に対して国内人権機関の設置を勧告しています。また、翌年、二四年には、国内のステークホルダーから聴取して作成されたステークホルダー報告書でも、国内人権機関の実効的な救済へのアクセスに関する役割、特に基礎的、間接的な役割は、企業の人権尊重の取組を促進する上でも有益であるという結論がされて、政府に対し、パリ原則に合致した国内人権機関を設置すること、この議論を継続することを提案されています。
このように、国内外から国内人権機関の設置が求められている中で、政府は今まさに、今年度中にビジネスと人権に関する行動計画の改定版を出すその作業を進めているところだと思います。
そこで、伺います。
現在進められている同行動計画の改定版、この中ではパリ原則にのっとった国内人権機関の設置を明示的に言及されているかについてお伺いいたします。
○松尾政府参考人 お答え申し上げます。
現行の行動計画の規定に基づきまして、昨年五月の関係府省庁連絡会議において、ビジネスと人権に関する行動計画の改定作業に着手することが承認され、現在、改定作業が進められているところでございます。
御指摘のございました救済へのアクセスを含め、その具体的内容については、今後、ステークホルダーの方々と協議を行いつつ、政府内で調整を行っていくこととしておりますので、この場におきましてお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、今後も行動計画を着実に実施していくとともに、本年中の行動計画の改定を目指して、ステークホルダーの方々の関与も得ながら、引き続き省庁横断的に取り組んでいく考えでございます。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
今お話のありました、ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議はもう全十一回開催されていると考えます。そして、先ほども申しましたように、前回の行動計画が二〇二〇年から二〇二五年、もう今年度中に次の改定版が出るという時期に来ていると思います。
これで、今後これから検討するといって、それが時期的に間に合うのか。現実的に言ったら、もう既に、今までの間にそのことが検討されてきてしかるべきではないのかというふうに思います。そのことについて、次に、大臣の方に受け止めを。
今、実際、世界の中でこれだけ多くの国が国内人権機関を設置している、でも、日本は設置していない。国内人権機関を設置を主導するこの原則の改定の時期にある今こそ、実効性のあるものとして、国内人権機関の設置を推進するべきではないかと私は思うんですが、大臣の受け止めを教えてください。
○岩屋国務大臣 国内における人権機関の設置を含めて、ビジネスと人権ということについて様々な指摘があるということについては承知をしております。この人権救済制度の在り方につきましては、これまでなされてきた議論の状況を踏まえて、法務省において不断に検討しているというふうに承知をしております。
外務省としては、法務省を中心とした関係府省庁と緊密に連携しながら、ビジネスにおける人権尊重の取組を推し進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○竹内(千)委員 ありがとうございます。
今、法務省がというお話もあったんですけれども、やはり、国際条約、条約を所管する立場の大臣ということからも、そしてまた、先ほどの人権擁護を推し進めていくという、そのような立場からも、国際社会において求められているこの国内人権機関、政府から独立した国内人権機関の設置について、是非とも今後前向きに進めていただきますようお願いを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、社会権規約委員会に対する政府報告書の提出の遅延について伺います。
自由権規約や社会権規約などの日本が加入している人権条約は政府報告書審査制度というのがあって、加盟国が自国におけるその条約上の権利の実施状況について報告し、国連の条約委員会がこれを審査し勧告を出す、そういう制度があります。
社会権規約について、社会権規約委員会は、二〇一三年の五月十七日に、日本の第三回定期報告に関する総括所見を出しています。ちなみに、その中でも、国内人権機関がいまだに日本に設置されていない、このことについても懸念を持って留意するという指摘がされています。これは繰り返すことはいたしませんが。
この中で、委員会が日本政府に対し、第四回となる定期報告書を二〇一八年五月三十一日を期限として提出することを要請をされている。現時点でこの当該期限から七年以上が経過をしているんですが、まだこれが提出されていない模様です。
昨年十二月に、日弁連の事務総長名で、外務省総合外交政策局人権人道課長宛てに、第四回日本政府報告書の提出予定の有無、提出が遅れている理由、作成状況及び提出予定時期、もし提出を予定していないなら同報告書を提出しない理由等について、今年の一月三十一日の期限をめどに照会が行われていますが、外務省からは回答がなく、日弁連の担当者からの電話での問合せに対して、現在検討中であるとの回答があったという報告を受けています。
そこで、お伺いをいたします。
この第四回政府報告書、今日現在までに提出はされているでしょうか。されていない場合は、いつまでに提出をされることになっているでしょうか。ちなみに、この前の第三回報告も、二〇〇六年六月三十日が期限であったところを三年以上遅れて日本は提出をされているようです。今回は七年を超えています。この提出についてお伺いします。
○松尾政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の第四回政府報告については、社会権規約委員会から二〇一八年五月三十一日までに提出するよう要請を受けておりました。当該要請を踏まえまして作業を進めておりましたが、政府報告は関係する府省庁が多岐にわたり、また作業も膨大なものであるため、同日までに提出できず、鋭意作業中である旨、事務局に伝達をしておりました。
その後、二〇二一年一月、同委員会事務局から、政府報告の提出を不要とする簡易手続導入の連絡があり、我が国からは、簡易手続への切替えを希望する旨連絡をいたしました。二〇二三年二月、事務局から、簡易手続のリソースが承認され次第その手続を移行するが、それまでの間は通常の政府報告手続を奨励する旨の連絡がございました。この連絡を受けまして、現在、第四回政府報告の早期締結に向け取りまとめ作業を行っているところでございます。
社会権規約の締約国として、政府報告の提出が求められていることについては十分認識しており、政府報告の提出に向けて鋭意作業を進めていく所存でございます。
○竹内(千)委員 今のお話だと、簡易報告に移行するけれども、今現在は通常の手続を奨励されていると。ということは、七年遅れているということには変わらないという理解をしました。
資料一を見ていただきたいんですが、これは国連のデータを基に、日弁連の社会権規約に関するワーキンググループが作成した資料になりますが、この遅延状況、G7の中では、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、この四か国は遅れがなく、遅れがあるカナダ、イタリアでも五年未満、その中で、日本だけが五年以上の遅れということになっています。
日本は国連人権理事会の理事国にもなっていて、国連人権の実施において国際的に模範となるべき立場になると思います。その日本が七年も政府報告書の提出が遅れるということは、この人権尊重に対する、日本がこれを軽視しているんじゃないか、そのような評価にもつながるのではないかというふうに考えますが、この点に関しまして、遅延しているこの状況について、大臣の見解をお聞かせをいただきたいと思います。
○岩屋国務大臣 政府報告は、今も答弁をさせていただいたように、関係する府省庁が多岐にわたっており、作業も膨大なものでございます。また、社会権規約委員会から簡易手続でいいよと言われた後、やはりやってねという、そういう経緯もありまして、作成に時間を要しているものだと思いますが、これは好ましくないということは全く御指摘のとおりでございまして、政府報告の早期の提出に向けて鋭意作業を進めていかなければいけないというふうに思っております。外務省としても、関係省庁と連携をして、その努力をしてまいります。
○竹内(千)委員 関係省庁の数が膨大というのは、これは日本だけに限ったことなのかなという気がいたします。やはり七年も超えているということで、大臣には、もうこれは大変遺憾だ、一刻も急ぐようにするというような、そういう答弁がいただけると思っていたので、ちょっと残念ではありますが、人権擁護を推し進めるというその強い立場からは、是非とも、このようなことを繰り返さないように、早急な対応をお願いいたしたいと思います。
次に、個人通報制度についてお伺いをいたします。
国際人権条約上の権利が侵害されたと考える個人が国内の裁判手続等で救済されなかった場合に、国際人権条約の機関に人権侵害を直接通報することができる制度が個人通報制度です。個人通報制度は、これら人権条約の履行を国際的に監視し、人権を国境を越えて保障するために必要不可欠な制度です。
資料二を御覧ください。
先ほど、日本が批准している主要な国際条約を八つ申し上げましたが、ここに記載があります八つになります。
一番上の例えば自由権規約、これを批准している百七十三か国のうち百十六か国が、この個人通報制度を導入しています。しかし、日本は、日本の列、全部三角がついているんですけれども、この三角、個人通報は受け入れていない、批准はしているけれども、個人通報に関しては手続を取っていない。要するに、日本は、いずれの条約についてもこの個人通報制度を導入していない。
いかなる個人通報制度も利用できない国は、実はG7においては日本だけです。アメリカも三角とバツしかありませんけれども、米印にありますように、アメリカは米州人権機構の規定する個人通報制度を受け入れているということで、G7においては日本だけです。
日弁連の個人通報制度実現委員会によりますと、OECDの加盟国の中でこの個人通報制度が一つもないのは、日本とイスラエルだけです。その他の主要なアジアの批准状況は、その下に参考までに書いてありますけれども。
政府は、二〇二〇年の三月に、自由権規約第七回政府報告書審査の政府回答の中で次のように言っています。個人通報制度については、本規約の実施の効果的な担保を図る趣旨から注目すべき制度と認識している。そしてまた、次のようにも述べています。同制度の受入れについては、我が国の司法制度や立法政策との関係での問題の有無、個人通報制度を受け入れる場合の実施体制の検討課題につき、政府部局で検討を行っている。その一例として、個人通報制度関係省庁研究会、これを立ち上げたこと、人権諸条約に基づき設置された委員会等に対する個人からの通報事例を可能な限り収集し、同委員会等の対応等についても研究を行っている。そして、引き続き、各方面から寄せられる意見も踏まえ、同制度の受入れの是非について真剣に検討を進めていく。
二〇二〇年にこのような回答をしているんですが、その一年半後の二〇二一年九月、女子差別撤廃条約実施状況の第九回報告でも全く同じ文面で報告がされています。そして、その三年後の二〇二四年六月、上川外務大臣の国会答弁もほとんど同じ文言で答弁がされています。
そして、二〇二四年五月、法務委員会においても、外務省からほとんど同じ答弁がされていますが、ここで、これまで二十三回にわたり個人通報制度関係省庁研究会を開催するとともに、諸外国における個人通報制度の導入前の準備や運用の実態などについて調査を行ってきていると答弁されています。
そこで、この繰り返し外務省が引用されている個人通報制度関係省庁研究会についてお伺いをしたいと思います。
資料三を見てください。
この資料は、昨日夕方に外務省から提出をいただいた資料ですが、私の知る限りといいますか、これはどこにも公表がされていません。二十回までの分を、これも、外務省提出資料という形ですが、以前の、ここは確認が取れていないんですが、質疑か何かで出されたもの。今、外務省のウェブサイトでは、最後の、二〇二三年十二月二十一日に外務省において本研究会が開催された、外部講師として前田直子拷問禁止委員会委員が出席したことなどが書かれているだけであります。
昨日いただいたこの資料を見ますと、二〇〇五年から二〇一〇年、最初が、二十年前の二〇〇五年に始まっています。二〇〇五年から二〇一〇年までは割と定期的に頻繁に実施をされていますが、もうそれ以降は、二〇一〇年以降、次、裏のページになりますと、もう四年置き、二年置き、三年置きというような形で、開催頻度が下がってきているという状況があります。
ただ、自由権規約については七回もこの研究が進められていますし、最後の五回の分は、我が国における個人通報制度導入の検討ということで研究がされています。
ここでお伺いをしたいのが、これまで二十年かけて二十三回のこの研究会を行ってきて、以前の報告にもありました、これまでの検討、事例の収集、研究等を通じ、個人通報制度を導入しているほかの国で、司法制度や立法政策との関連で何か具体的な問題が生じた実例があったのか。あるとすれば、条約ごとにどういう内容であったのか。諸外国における個人通報制度導入前の準備、運用の実態、そのような調査について、報告書の中でも今調査を行っていると述べられている。これらの結果を、成果を教えていただきたいと思います。
○松尾政府参考人 お答え申し上げます。
政府といたしましては、これまで二十三回にわたり個人通報制度関係省庁研究会を開催するとともに、諸外国における個人通報制度の導入前の準備や運用の実態について調査などを行っております。
この個人通報制度関係省庁研究会は、各参加者の率直な意見交換を確保するために非公開を前提としており、その詳細についてはお答えを差し控えさせていただきますが、直近では、二〇二三年十二月に第二十三回個人通報制度関係省庁研究会を開催いたしました。この研究会におきましては、人権諸条約における個人通報制度に関する最新の状況について研究し、我が国における同制度の導入をめぐる論点について研究をいたしました。
○竹内(千)委員 参加者の率直な意見を確保する、そのことと、例えば中間報告を出すですとか、いつ、どんなテーマで議論が行われているとか、どんなメンバーが研究を行っているかということは矛盾することではないと思うんです。
多くの方たちがこの個人通報制度の導入を待っているということであれば、二十年も続けているこの研究会、少なくとも成果を中間、中間ででも出す必要があるんじゃないかと思うんですが、ちょっとこの点についてもう一度改めて聞かせてください。
○松尾政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、個人通報制度関係省庁研究会は、各参加者の率直な意見交換を確保するために非公開を前提としておりまして、その詳細についてはお答えを差し控えさせていただきますが、前回の二十三回個人通報制度関係省庁研究会は二〇二三年十二月二十一日に行われまして、本研究会には、外務省のほか、内閣府、法務省の関係者が出席をいたしました。また、外部講師として前田直子拷問禁止委員会委員が出席をいたしました。そして、拷問禁止委員会における活動のほか、本条約における個人通報制度をめぐる最新の状況について研究し、我が国における同制度の導入について議論をいたしました。
○竹内(千)委員 今、私、いつ研究会を行ったかとかを聞いたわけではなく、しかも、今お答えいただいたことは外務省のウェブサイトに書いてあることであります。
最後に、改めまして大臣にお伺いいたします。
やはり、大事な人権を守るというときに、個人通報制度、日本とイスラエルだけです、OECDの中で。それを二十年研究を続けてきて、そして、何らの、表にどんなことをやっているのかも見せていない。
まず、個人通報制度の導入の意義、必要性、それと、この研究会の持ち方、見せ方、少なくともどういうことを研究しているのかとかを、ほかの審議会とかでも、別に具体的に誰が何を言いましたなんて書く必要はないわけで、どういうことが議論されているかということは、国民の知る権利の上でも出すべきじゃないかと思います。
その件も含めて、大臣の見解、受け止めをお聞かせください。
○岩屋国務大臣 個人通報制度は、条約の実施の効果的な担保を図るという趣旨からは注目すべき制度であるというふうに考えております。
他方で、同制度の受入れに当たりましては、人権諸条約の委員会から、委員は司法の専門家でいらっしゃいますけれども、国内の確定判決とは異なる内容の見解、通報者に対する損害賠償や補償を要請する見解、法改正を求める見解等が出された場合に、我が国の既存の司法制度それから立法政策との関係でどういうふうに対応するか、また実施体制をどうするかということも含めて、検討すべき論点は多々あるんだというふうに認識をしております。したがって、検討に時間がかかっているということだと思います。
各方面から寄せられている意見をしっかり踏まえて、関係省庁と連携して、更に真剣に検討を進めていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
○竹内(千)委員 大臣も御存じと思いますけれども、この個人通報制度は、日本国内の司法制度で認定された事実、まずはこちらで救済がされなかったときのものです。条約違反を判断するもので個人通報の結果が仮に最高裁の結論と異なっても、じゃ、その最高裁の結論が覆るということではなく、その後どうするかということを政府等がもう一度改めて考える、そのための準備を今されていると思うんですね。ほかの国は導入ができているということが一つ。そして、二十年間検討が続いているということ、このことを重く受け止めていただきたいと思います。
時間が来ましたが、最後に一点だけ。
私、国会議員になって最初の質疑が外務委員会で、その外務委員会の一番最初の質疑のとき、昨年の暮れだったと思いますが、女性差別撤廃委員会からの勧告、選択的夫婦別姓などがもう四回も繰り返されている、この勧告をどう受け止めますかという、そのときに、大臣から真摯に受け止めていくというようなお言葉をいただいたんですが、今まさに、二十九年ぶりに選択的夫婦別姓が、議員立法という形ですけれども、この国会にかかっています。
条約を所管する大臣として、もちろん立法府に踏み入れないとしても、やはり条約を所管する大臣としては、政府内で働きかけ、条約を履行する、守るよという意味での働きかけ、こういうのがあってもいいんじゃないかと私は思うんですが、済みません、最後に一言だけお願いします。
○堀内委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力ください。
申合せの時間は過ぎておりますので、御協力いただければと思っております。(竹内(千)委員「一言いただけたら、お願いします」と呼ぶ)
○岩屋国務大臣 外務省としては、女子差別撤廃条約の所管省庁として、関係省庁とよく連携して適切に対応してまいりたいと思います。
○竹内(千)委員 ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、高橋英明君。
○高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。
この外務委員会では初の質疑になりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
四年前、予算委員会で初めて外国人問題の質疑をしましたけれども、そのときには、まあまあバッシングをされたわけですけれども、あれから見てみますと、今や本当に多くの方々が外国人問題に関して質疑をしております。それだけ大きな問題なんだろうというように思っておりますけれども。
私の地元は、私、生まれも育ちも、六十二年間、川口市で生まれ育っておりますので、どんな問題かは皆様御承知かと思います。本当に全国区になってしまって、いいんだか悪いんだかよく分かりませんけれども。
実は、もう三十年ぐらい前から始まっております。一人の働き者のクルド人が来たんですよ。そうしたら、そこの会社の社長が、当時はほかの外国人もいましたけれども、クルド人はよく働くということで、仲間を呼んでくれということで、それから芋づる式にどんどんどんどん増えてきて、まさかここまで増えるとはちょっと思いませんでしたけれども。
この大きな問題は七、八年ぐらい前から、私は懸念をしておりました。当時は、落選中でございましたので、議員ではなかったので、なかなか声は届きませんでしたけれども。
川口市というのは、実は昔から外国人が多いんです。だから、非常に外国人には寛容な市民が多いと私は思っています。ところが、今回の問題だけは、これはどうもいかんともし難いというのが実情なのかなというふうに思っています。
やはり、入口、出口、両方しっかりやっていかなきゃ駄目なんだろうと思っているんです。この質問は、いろいろな人が何回も言っているのであれですけれども、私も実現するまで言い続けようと思っています。まずは、入口の部分のビザですよね。トルコのビザの査証免除。聞くと、同じ答弁ですよ。トルコとは友好国だからできないという答弁をするわけですけれども。
例えばJESTAですか、二、三年で稼働するという予定になっていると思いますけれども、稼働するまでの期間だけでも、やはりしっかりトルコ政府と免除をやめるからということを話をして、トルコとの友好関係がこんなことで崩れるとは私は絶対に思えないんですよね。その点、大臣のお考えをお聞かせください。
○岩屋国務大臣 御指摘の案件については、トルコとの間では、昨今の国内での報道や国会での御議論も念頭に、犯罪の防止や出入国在留管理上の懸案を解消すべく、二国間の対話、協力の強化に今取り組んでいるところでございます。
しかしながら、これを直ちに停止すれば、やはり企業の経済活動の停滞や人的交流の減少など、政治、経済、文化及び観光を含む相手国、地域との間の関係の様々な側面において一定のマイナスの影響が及ぶということは避けられないというふうに思います。
したがって、トルコに対する査証免除措置を直ちに停止することは考えておりませんけれども、引き続き、当該措置の実施状況を不断に注視しながら、トルコ側との協議をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○高橋(英)委員 先日、河野さんも、私が大臣だったら、すぐにこれはやめるというようなことを言っていました。
岩屋大臣も、先日、中国に行って、自民党さんのコンセンサスが取れていなかったと思いますけれども、にもかかわらず、ああいった中国への緩和の優遇を発表するということは、大臣の気持ち一つでできるんじゃないですか。お聞かせください。
○岩屋国務大臣 私の現大臣としての判断は、先ほど申し上げたとおりです。
○高橋(英)委員 先日、去年だったかな、今年か、予算委員会のときに、私の知人の会社の従業員が十九歳のクルド人の無免許運転でひき逃げされて、亡くなりましたよ。本当に身近な問題なんですね。国民の生命の問題なんです、はっきり言って、地元では。石破総理も言っていましたけれども、我々政治家の一番の責務は国民の生命と財産を守ることだと明確に言っておりました。
岩屋大臣、国民の生命と、今言った様々なマイナス要因、どちらが重いんですか。
○岩屋国務大臣 どちらという問題ではないと思いますよ。国民の生命財産が大事であるということは当然のことであって、国として責任を持っていかなければいけないということだと思います。
一方、査免措置については、先ほど申し上げたとおり、トルコとの間では、査免措置の重要性については認識を共有してきております。したがって、今般の事案といいますか、特にお地元での事案については、様々な、総合的な対策が必要だと考えております。
そういう中にあって、直ちに査免措置を停止するということは考えてはおりませんけれども、引き続き、トルコ側ともしっかり協議、協力を進めていきたいと思いますし、関係省庁とも協議を進めていきたいと思っております。
○高橋(英)委員 大臣、この問題に関して、トルコ政府としっかりと議論したことはあるんでしょうか。
○岩屋国務大臣 様々なレベルで協議をしております。
○高橋(英)委員 では、一度しっかりと、どんな議論をしたのかを、この場では結構ですので、聞かせていただきたいというふうに思います。
私は、先ほど言いました国民の生命とこの件は、同レベルでは、同じ尺度では測れないという意味なんだろうと思いますけれども、ただ、言えるのは、国民の生命よりも重いものはないということだ、これは大臣も認識をしていると私は信じていますので、よろしくお願いをしたいというように思います。
いいかげん、けりをつけましょうよ、本当に。本当に、地元の方々、特にこの問題に携わっている人間はかなり疲弊してきているので、是非お願いをしたいというように思います。
時間がないので、ちょっと順番を変えたいと思いますけれども、外国人への融資についてちょっとお聞かせいただきたいというように思います。
代表者、ほとんど名前だけの代表者、実質的な経営者、外国人、在留資格がない、そういった会社に、金融機関、そして保証協会もひもづけして融資をしている事実があるんですが、どういうことなんですかね。ちょっとお考えをお聞かせください。
○西野大臣政務官 一般論としてまず申し上げたいと思いますが、融資をするかどうかの段階では、金融機関が各調査に基づいて、経営判断の下、経営の利益になるかどうかに基づいて判断するというふうに思いますけれども、その際には、実質的な経営者が誰なのか、あるいは事業実態がどうなのか、さらには返済能力があるのかどうか、こういったことをしっかり調査した上で融資するかどうかを決めるというふうに思いますが、もし仮に、その調査が十分ではなくて不法滞在者等に融資をしている、それがゆえに債務が毀損するということになりかねませんので、それはやはり大きな問題だというふうに思っています。
さらには、融資した後、融資を管理するという段階でも同様でございまして、返済能力があるかどうかという観点、さらには実質的な経営者が誰なのかという観点もしっかり調査した上で管理をしていくということが重要だと思いますので、それが不十分ということであれば大変問題なことだというふうに思っています。
金融庁としては、融資の審査、さらには融資後の管理を含めて、金融機関が業務の適切性を確保していくようにしっかりモニタリングしていきたいというふうに思います。
○高橋(英)委員 今、一般論と言いましたけれども、一般じゃないですよね、どう考えても。特殊事情だというように思いますし、また、今、利益を追求する云々ありましたけれども、金融機関というのは本当に公的な部分に近いというように思いますので、ましてや保証協会まで一緒になってやっているということですから、在留資格がないということは住民票がないということですからね、そういった会社に融資をするというのは尋常ではないというふうに思いますけれども、ちょっといま一度お考えを聞かせてください。一般論じゃないですよ。
○西野大臣政務官 個別の事案につきましては、手元に情報等がありませんので、正確に申し上げることはできませんが、やはり実際的な経営者が誰なのかということをしっかり把握できていないまま融資をするということは問題だというふうに思いますので、しっかり金融庁としてもモニタリングしていきたいと思います。
○高橋(英)委員 地元では、実質的な経営者はしっかりと把握していますよ、誰が経営しているのかと。ですので、この辺はちょっとしっかりと問題提起をしていただきたいというように思います。
では、次に移りたいと思いますけれども、中国人の留学生についてちょっと聞きたいんです。
今、アメリカで、トランプ大統領が何となく情報漏えい的な部分で非常に懸念があるということで、いろいろ中国人の留学生について規制みたいなものをかけていると思いますけれども、今、我が国にはどれぐらいの中国人留学生がいるのか。大学、短大、在留者等々いっぱいいるというふうに思いますけれども、それぞれちょっと人数を教えてください。
○福原政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年末現在、留学の在留資格で我が国に在留する外国人のうち、中国人は十四万一千四百九十六人でございます。
○奥野政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねのうち、いわゆる中国人留学生で我が国の高等教育機関に在籍している者の数でございますが、独立行政法人日本学生支援機構における令和六年度外国人留学生在籍状況調査によりますれば、ちょっと調査時点が法務省さんと違いますが、令和六年五月一日時点で約九万五千人となってございます。
○高橋(英)委員 まあまあ結構な数だなというふうに思いますけれども、大学において、情報漏えいとかそういった危機管理というのはどうなっているんでしょうか。
○奥野政府参考人 お答え申し上げます。
大学等において機微技術が国外に流出することがないよう、大学等におきましては外為法に基づいた安全保障貿易管理を徹底することが不可欠でございます。
このため、文部科学省は、経済産業省と連携し、大学等に対して、安全保障貿易管理の徹底を要請する通知の発出や説明会等における注意喚起等を行ってまいりました。
その結果、まず、大学等における技術流出防止に必要な体制整備等が進捗していると考えてございます。更に加えまして、研究者等による情報開示と、それに基づく大学等におけるリスクマネジメントなど、研究インテグリティー確保の取組も定着してきたほか、現在、経済安全保障上の重要技術流出の防止につきましては、内閣府を中心として、リスクマネジメントの手順書等、政府全体としての検討がなされておるところでございます。
文部科学省としましては、引き続き、関係省庁と緊密に連携しながら、我が国の大学等における機微技術流出防止に係る取組を促進してまいる考えでございます。
○高橋(英)委員 我が国の情報管理、情報漏えいの危機管理、非常にこれは懸念されているというふうに思いますので、スパイ防止法もないわけでありますから、しっかり大学においてやっていただきたいというように思います。
ちょっと時間が来てしまいましたので、大臣、最後に、外国人問題は非常にこれから大きな問題となります。我が党も、しっかりと大きなテーマとして党一丸となって取り組んでまいりたいと思いますので、是非お願いを申し上げます。
終わります。
○堀内委員長 次に、西田薫君。
○西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。
早速質問させていただきたいと思います。
まずは、我が国のEEZ圏内に中国が無断で設置をしたブイについてお伺いをさせていただきます。
先週です。五月二十八日に、与那国島南方に中国が我が国に無断で設置をしたブイが撤去されたというニュースを報道で見ました。これは間違いないですよね。撤去されていますよね。そして、二月には、尖閣諸島沖に中国が無断で設置をしていたブイが撤去されたということであります。今現在、我が国EEZ圏内には、中国が無断で設置をしたブイ、いわゆる無断ブイが一切ない、一つもないという状況であります。
これまで日本政府も外務省も抗議をずっと続けていたかと思うんですが、現在そのブイがないという現状において、まずは外務大臣の御所見をお伺いします。
○岩屋国務大臣 昨年の十二月の与那国島南方の我が国排他的経済水域で確認されていたブイに関しては、本年五月に当該ブイが我が国EEZに存在しなくなったと確認をしております。そして、昨年十二月から五か月にわたって航行警報も出していたわけですけれども、これも取り消されたところでございます。
このようにしてブイの問題がなくなったということは、前向きな動きだというふうに受け止めております。
○西田(薫)委員 私も、今もう中国のブイがないということは、よかったというふうに思っているんですが、しかし、残念にも思っているんですね。本来は、我が国政府がしっかりとブイを撤去すべきだったんじゃないかなというふうに思っているんです。
世界から見ると、日本が抗議をしたから中国が撤去をしたという見方をする人もいらっしゃるでしょうが、多くの皆さんは、日本のEEZ圏内に無断でブイを設置したとしても、日本政府は何もできない、ただ抗議だ抗議だと言うことしかできないということを内外に示してしまったんじゃないかなというふうに思っておるんですね。そういった中で、やはり私は、しっかりと日本がそのブイを撤去すべきだったというふうに改めて思っております。
そして、今回、この質問は、これまでの対応を批判するような形で質問したいというふうには全く思っていないんですね。これからが大事だと思うんですよ。今、全くこの日本のEEZ圏内には無断ブイがないということでありますので、今後もし中国がまた無断でブイを設置した場合には、すぐ撤去する、もう毅然たる対応をする、こういった意思表示というのは非常に大事じゃないかなというふうに思っているんですが、外務大臣の御所見をお伺いします。
○岩屋国務大臣 ブイの撤去に関しては、以前もやり取りしたと思いますけれども、国連海洋法上の問題といいますか、取り除いていいという規定になっておらないという問題などもあるわけでございます。
いずれにしても、このようなブイが設置されることはあってはならないことでございまして、今後とも、関係省庁が連携をして、警戒監視をしっかりと行ってまいります。
○西田(薫)委員 そこなんですよね。撤去したらいけないということもないわけなんですよね。要はグレーな部分ということで、それをそこまで答弁されると、やはり中国につけ入る隙を与えてしまうんじゃないかなというふうに思うんですね。
この二月のとき、尖閣沖のブイを撤去したとき、中国政府は、中国外務省の報道官です、設置した場所での任務完了ということを堂々と言っているわけなんですよね。それであれば、逆に、日本の政府としても、再三にわたる抗議、そして国際社会から中国も非難を受けているということから、反省をして撤去をしたということを日本政府は発表してもいいぐらいなんですよ。向こうは勝手に我が国のEEZ圏内にブイを設置して、調査完了しました、任務完了しましたと堂々と言いのけているわけですよね。余りにも弱いと思います。
この質問をするのを実はちゅうちょもしていたんですね。しっかり力強い御答弁をいただいたら次につながるんじゃないかなというふうに思ったんですが、弱い御答弁だったら、ますますまた、こういったものというのは増えていくんじゃないかなと非常に懸念しながら、強い答弁をいただきたいな、強い答弁をいただくことが、今までの弱腰と言われてきた日本外交の起死回生を図ることができるんじゃないかなというふうに思っていたんですが。強い御答弁で、無理でしょうか。もう一度お願いします。
○岩屋国務大臣 強いとか弱いとかいう次元の話ではないと思いますね。
ブイの話でいうと、先ほども申し上げたとおり、関係国がどこまで物理的な措置を取ることが国際法上許容されるかについては、明確な規定はなく、国家実行の蓄積も見られないということは重ねて申し上げておきたいと思います。
いずれにしても、我が国は我が国の主張をしっかりと伝え続け、ブイがなくなったという結果が出たわけでございます。見れば分かるということだと思います。
○西田(薫)委員 強い弱いの話じゃないということをおっしゃいましたが、強く言わないといけないんですよ。だから、今まで日本外交というのは、なめられてきたというふうに私は思っておりますよ。
これを何度も言ってももう時間がないので、もう次の質問に移りますけれども。
次は、沖ノ鳥島沖でこれまた中国が海洋調査をした、我が国のEEZ圏内で海洋調査をしたという質問に関係して質問させていただきたいと思うんですが。実は、この質問、先週の当委員会におきまして、自民党の大空先生が質問されました。非常にすばらしい質問だったというふうに思っております。
これまでの日本外交は果たしてこれでよかったのかということを含めて、こういった海洋調査をされる、そしてまた世界各地には慰安婦像が設置をされているという現状から、やはりしっかりと検証しないといけない、反省しないといけないというような趣旨の御質問だったと思うんですね。私も全く同じような思いなんですね。
いま一度しっかりと反省し、そして検証しないといけないというふうに思っておるんですが、大臣の御所見をお伺いします。
○岩屋国務大臣 中国の調査船のお話ですけれども、五月二十六日、海上保安庁が、沖ノ鳥島の東約二百七十キロメートルの我が国排他的経済水域において、中国の海洋調査船がワイヤのようなものを海中に延ばしているのを確認をいたしました。
これは我が国の同意を得ていないことから、同日、海上保安庁により当該活動の中止要求を行うとともに、外交ルートを通じまして、中国側に、我が国の同意を得ない海洋の科学的調査は認められず、即時に中止すべき旨の抗議を行ったところでございます。
中国に対しては、引き続き責任ある行動を強く求めてまいります。
○西田(薫)委員 何かをされれば、そのような形で強い抗議をされるんですね。
であれば、さっきの話ですよ。まだされていない段階でも、しっかりと毅然たる態度で強い御答弁があったら、こうならないと思うんですよね。それがないからこそ、こうなっていっているんじゃないかなというふうに思うんです。
先般、その質問の中の御答弁で、AIを駆使しながら情報分析をされるというような御答弁、政府参考人の方から御答弁があったと思うんですよね。私、AIを駆使するというのが、ちょっと、全く理解はできないんですね。これこそ、やはり政治家がしっかりと、日本人の、そしてまた日本国を思って訴えていく、これはAIに任せるようなものじゃないと思うんですよね。
日本の政治家として、しっかりと強い覚悟と思いが必要であるというふうに思っておりますし、こういった分野においてAIが、情報分析だけなんでしょうかね、情報分析だけであったらまだいいんですけれども、こういった思いをしっかり伝えていくというのが、まさしく日本の国会議員だと思いますし。
我々国会議員というのは、国際協力、国際調和、こういったものもしっかりやっていかないといけない。しかし、やはり日本をしっかりとアピールしていくというのが大事だというふうに思っております。その点について、最後に、大臣、どうでしょうか。
○堀内委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
○岩屋国務大臣 AIに関しては、いわゆる公開情報をしっかり分析するという文脈で申し上げたことだと思います。
いずれにしても、中国に対しては、主張すべきは主張し、責任ある行動を引き続き強く求めてまいります。
○西田(薫)委員 しっかりやってください。よろしくお願いします。
○堀内委員長 次に、西岡秀子君。
○西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。
今日も質問の機会をありがとうございます。
早速質問に入らせていただきます。
あと二か月後に広島、長崎原爆の日が訪れます。まさに八十年の大変節目の年に当たりますけれども、今現在、岩屋外務大臣、広島、長崎平和式典への御出席につきまして、どのような御予定であるかどうか、まずお伺いをいたします。
○岩屋国務大臣 まだ日程的に確定をしておりません。諸般の事情が許せば、参列したいと考えております。
○西岡(秀)委員 ありがとうございます。是非、御出席いただけますことを心から要望させていただきたいと思います。
長崎には、被爆体験者の問題という、長崎市にとっても県にとっても大変重要な課題がございます。
被爆から八十年を経た今にあっても、確かに原爆に遭いながらも、当時の旧長崎市の行政区域を基本に国が指定した被爆援護の対象区がつくられたために、被爆者と認められない、いわゆる被爆体験者と言われる方々がおられます。被爆八十年を経て高齢化する中で、苦しみながらも病身を押して、被爆者として認めてほしいという切実なお訴えを続けておられます。今日お配りをいたしております新聞記事にも、岩永千代子様の切実な思いが記事として掲載をされております。
長崎では、式典終了後に、毎年、例年でございますけれども、総理、厚生労働大臣、外務大臣と直接お会いをいたしまして、同席の下で、被爆者四団体の皆様からの要望をお聞きする、要望の場が毎年設けられております。昨年は、岸田総理、武見厚労大臣、上川外務大臣が御出席の下で開催をされました。昨年は、これまでその場に出席が認められておりませんでした被爆体験者の皆様が初めて出席をさせていただいて、その場で総理に直接要望する大変貴重な初めての機会をいただきました。
被爆体験者の皆様の思いは、被爆者として認めてほしいというこの一点でございますけれども、昨年、岸田総理との面会を経て、総理の方でも厚労大臣と御相談をいただいて、様々な対策を講じていただく検討に入っていただきましたけれども、残念ながら、被爆者として認められることはかないませず、被爆者と同様の医療費助成の拡大にとどまりました。
被爆者の皆様、被爆体験者の皆様も高齢化が進んで、大変、今本当に残された時間がない状況になっておりますけれども、今年被爆八十年の大きな節目に、石破総理を始めとして、福岡厚生労働大臣、岩屋外務大臣に是非直接お会いをいただいて、被爆体験者の皆様の切実な声をお聞きいただきたいというふうに思います。
このことについては、今日、厚生労働大臣政務官にお越しをいただいております。是非、厚労大臣にもお伝えをいただいて、被爆者と認めていただけるよう、救済に向けて取り組んでいただくことを切に要望させていただきますけれども、御見解をお伺いをしたいと思います。
○吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。
長崎原爆平和祈念式典後に開催をされております御指摘の被爆者の方々の御要望をいただく会について、今年の詳細は現時点で決まっていないため、お答えをすることはまず困難であるというふうに申し上げるところでございます。
被爆体験者の方々につきましては、これは過去に最高裁まで争われて、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったとは言えず、被爆者と認定できない旨の判示がなされている中で、昨年、今委員からもありましたように、当時の岸田総理から厚生労働省に対しまして、早急に課題を合理的に解決をできるようにと、具体的な対応策は調整をする指示がなされたところであります。
そうしたことを受けまして、昨年十二月より、被爆者と同等の幅広い一般的な疾病についてまでを含めた医療費助成、これを実施をしているところでありまして、引き続き、こうした対策を着実に実施をしてまいりたいと思っております。
○西岡(秀)委員 今、政務官からお話がございましたけれども、今年の原爆の日、厚労大臣の御面会につきまして、是非、厚生労働大臣にお伝えをいただきたいというふうに思いますけれども、政務官から一言いただきたいと思います。
○吉田大臣政務官 今委員から面会の御要望があったということにつきましては、大臣にお伝えをさせていただきます。
○西岡(秀)委員 今日、通告はいたしておりませんけれども、岩屋大臣におかれましては、是非、石破総理に御面会いただけますようにお願いをさせていただきたいと思いますけれども、一言いただけますでしょうか。
○岩屋国務大臣 広島、長崎の式典には、例年必ず内閣総理大臣は参列をしておられますので、私からもお伝えしたいと思います。
○西岡(秀)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
これで、厚生労働大臣政務官につきましては、御退室いただいて結構でございます。ありがとうございました。
○堀内委員長 吉田厚生労働大臣政務官におかれましては、御退室いただいて結構です。
○西岡(秀)委員 続きまして、いわゆる万博外交への対応についてお伺いをさせていただきます。
大阪万博につきましては、十月十三日までの期間中に、百人以上の首脳や閣僚級の要人が来日することが見込まれております。現在、外務大臣が直接対談、お会いになった方々は、何か国の首脳や官僚とお会いになったかどうかということについてお伺いをさせていただきます。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
四月に大阪・関西万博が開幕して以来、多くの国、地域、そして国際機関から首脳、閣僚級の要人が来日してございます。
こうした要人の訪日に際し、岩屋外務大臣は、カウンターパートである各国外相等との間で会談や懇談の機会を積極的に設けております。現時点までに、十五の国・地域との関連の会談が実施されているところでございます。
○西岡(秀)委員 ありがとうございます。
会談の機会には必ず拉致問題について言及をいただきまして、国際社会にも広く理解を得ることが極めて重要だと考えますけれども、これまでの大臣の御対応を含めて、御見解をお伺いをさせていただきます。
○岩屋国務大臣 対談の際には、必ず拉致問題を取り上げております。国際機関の性質、種類によってはこの問題を取り上げない場合もありますけれども、二国間会談等については、できるだけこの拉致問題を取り上げるようにしております。
やはり国際社会の理解と協力ということが不可欠だと思っておりますので、今後とも、まだまだこの万博会合は続いてまいりますが、しっかりと拉致問題について我が国の立場を説明し、理解と支持を得てまいりたいと考えております。
○西岡(秀)委員 大臣から御答弁いただきました。しっかり国際社会への岩屋大臣の発信、大変大きな意味があるというふうに思いますので、是非引き続きのお取組をお願い申し上げたいと思います。
続きまして、北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」への支援体制についてお伺いをさせていただきます。
日本で唯一、海外に向けて短波放送が送信可能なKDDI八俣送信所においては、NHKが包括的使用権を有しており、その一部を特定失踪者問題調査会が借りて、北朝鮮へ向けて「しおかぜ」の放送を行っておられます。家族からの呼びかけを含めて、日本と拉致被害者をつなぐ極めて重要な放送であると認識をいたしております。
北朝鮮からの妨害電波が度々出されている、このことからも、この「しおかぜ」の放送が極めて有効な手段であるということが明確であるというふうに考えておりますけれども、一方で、この八俣送信所に設置をされております百キロワット送信機の老朽化やNHKの削減計画によりまして、三百キロワット送信機四基体制となって、この百キロワット送信機二基が破棄される計画となっております。
工事中の二波放送の継続が危ぶまれたわけでございますけれども、妨害電波を考えて二波放送がされているというこの体制の継続が危ぶまれたわけでございますけれども、昨年八月、NHK放送の支障のない範囲で二波体制が維持されることが決定をいたしましたけれども、五月からは一波体制の時間帯もあるなど、相変わらず不安定な運用が続いているというふうに私は認識をいたしております。
現状の状況、認識について、総務省にお伺いをいたします。
○赤阪政府参考人 お答えいたします。
「しおかぜ」の送信設備につきましては、特定失踪者問題調査会、KDDI、NHKの三者間の取決めに基づき運用されております。
この枠組みの中で、御指摘の「しおかぜ」の送信時間帯や送信体制の在り方も含め三者間で協議を行いまして、NHKの国際放送に支障がない範囲で、最長で本年十月までを予定しております送信設備の移行工事期間中の運用体制を取り決めたものと承知をしているところでございます。
その結果、本年五月から工事完了までの期間につきましては、御指摘のとおり、一波になっている時間帯は一部あるものの、他の時間帯では二波同時体制が維持されているものというふうに認識をしてございます。今回の移行工事の完了によりまして、「しおかぜ」が安定的に維持されるものと期待をしているというところでございます。
政府といたしましては、三者間における協議が重要であるという認識の下、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないよう、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。
○西岡(秀)委員 今、御説明がありましたけれども、拉致問題は我が国にとって最重要課題であると同時に、この拉致問題、極めて重大な人権侵害だというふうに考えます。この意味からしますと、我が国の「しおかぜ」放送、今、妨害電波を発しながら、北朝鮮が妨害をしているという状況も踏まえると、しっかりこの体制、二波体制を維持していくということは、やはり国家としての私たちの決意を示す上でも大変重要なことであるというふうに考えております。
一方で、今あらゆる物価高騰が起こっておりますけれども、当然、電気代の高騰ということも発生をいたしておりまして、八俣送信所の設備の更新に伴います送信費用の値上げと相まって、現下の電気代の高騰によって費用が大幅に増加をいたしております。
送信体制の維持が、特定失踪者問題調査会、今、調査会としてクラウドファンディングまで取り組んでおられる状況でございますけれども、大変資金的にも厳しい状況に置かれ、放送の維持が極めて不安定な状況になっているというふうに認識をいたしております。
国としても、費用の高騰に対する支援体制の強化が必要だと考えますけれども、このことにつきまして内閣官房にお尋ねをいたします。
○平井政府参考人 お答え申し上げます。
北朝鮮域内への情報伝達手段が限られている中で、拉致被害者の方々を始め北朝鮮住民や北朝鮮当局に対し、日本政府や日本国民、さらには国際社会からのメッセージを伝達する手段として、北朝鮮向けのラジオ放送は極めて効果的であります。
このような考えから、政府としては、「ふるさとの風」及び「日本の風」といった北朝鮮向けラジオ放送を自ら運営するとともに、特定失踪者問題調査会との間の業務委託契約を通じまして、調査会が運営する「しおかぜ」の放送枠の中でも別途「ふるさとの風」の放送を行っているところでございます。
御指摘の「しおかぜ」の送信費用の増加につきましては政府としても十分に認識しておりまして、調査会との間の業務委託契約について、予算措置を講じた上で、費用の増加にしっかりと対応する形で契約を締結したところでございます。
今後とも、調査会とも連携しつつ、ラジオ放送による北朝鮮内への情報発信を積極的に行ってまいりたいと考えております。
○西岡(秀)委員 しっかり政府としてもこの高騰に対する対策を取っていただけるということでございますけれども、今後の状況も見ながら、しっかり放送の維持のための御支援を引き続き強化していただくことをお願い申し上げたいというふうに思っております。
このことに関連してお尋ねをさせていただきますけれども、短波放送の重要性についてお伺いをさせていただきます。
現在、インターネット、衛星放送が普及する中で、経済性から考えますと、費用負担の重い短波放送は国際社会においても縮小傾向にあることは事実でございますけれども、ロシアによるウクライナ侵攻によりまして、通信設備が攻撃を受けたために通信が途絶する事態が実際に発生をいたしております。有事のみならず、災害時の通信の途絶や、海底ケーブルが万一切断する等のリスク、これは今、大変喫緊の課題であるというふうに私自身は考えております。
外務省としても、今日お配りをいたしておりますけれども、短波ラジオの携帯を、改めてこの重要性を呼びかける、このことをホームページ上でも掲載をされております。
先ほども申し上げましたけれども、拉致問題が我が国にとって最重要課題であることも踏まえて、北朝鮮への情報伝達の手段が限られる中で、極めて有効な拉致被害者へのメッセージを伝えることができる手段である「しおかぜ」放送、これをしっかり確保していくだけではなくて、邦人保護の観点からも、破棄される予定の百キロワット送信機の更新を進めるなど、短波放送のための通信機の保有台数を増やす必要があると考えますけれども、岩屋大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○岩屋国務大臣 御指摘のとおりだと思います。
拉致被害者への情報伝達ということももちろんでございますけれども、緊急事態発生時の在外邦人との連絡についても、短波放送を含めて多くの手段を確保しておくということが重要だと思っております。
その観点から、政府としては、短波放送の受信機の準備を外務省海外安全ホームページで呼びかけております。また、全世界向けに短波放送を実施しているNHKとの間で、緊急時において連携する体制を構築をしているところでございます。さらに、北朝鮮で緊急事態が発生した際の在外邦人への連絡手段としては、NHKの短波放送に加えまして、政府が運営する「ふるさとの風」や「日本の風」を通じて安全情報等を発信することも可能でありますが、引き続き、緊急時の在外邦人との連絡体制に万全を期してまいりたいと考えております。
○西岡(秀)委員 是非しっかり体制強化をお願い申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○堀内委員長 次に、西園勝秀君。
○西園委員 公明党の西園勝秀です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず初めに、外国人の不動産取得についてお伺いいたします。
最近、国会では、外国人による日本国内の土地の取得が相次いでいることについて、安全保障の面で問題があるのではないかという議論がなされています。
我が国には外国人の土地取引を規制する外国人土地法が存在しますが、この法律が制定されたのは大日本帝国憲法下の大正十四年であり、現在では実効性を持たない幽霊法となっています。
また、WTOに加盟する日本には、サービス貿易に関する一般協定、GATSに基づき、日本国内における外国人の土地取引に対しては基本的に日本人と同じに扱う、いわゆる内国民待遇が課されており、さらには、外国同士を差別してはならないという最恵国待遇の義務も課されています。したがって、特定の国の外国人を念頭に置いた土地利用の規制は、WTO上できないこととなっています。
このような現在の状況下で、外国人によって取得された土地が日本を標的とした軍事目的に使われる可能性もあるのではないかといった不安の声が広がっています。では、果たしてこうした懸念が実際に起こり得るのかどうかということについて、土地利用の観点から政府の見解を伺いたいと存じます。
防衛関連施設等の重要施設の周囲おおむね一キロメートル、また国境離島等、重要土地等調査法が及ぶ範囲内であれば、日本を標的とした軍事目的の土地利用は防ぐことができると思いますが、重要土地等調査法が及ばない範囲は大丈夫かという心配があります。
そこで、国土交通省にお伺いします。
土地基本法においては、内国民待遇を受ける外国人であっても、日本人と同様に、土地の利用に際して公共の福祉を優先することが求められています。また、同法第六条第三項では、「土地所有者等は、国又は地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力しなければならない。」とされており、一定の責務が課されています。そして、国土利用計画法に基づき、国、都道府県、市町村は、それぞれ、国土の利用に関する計画が定められています。
こうした法制度の下、外国人が所有する土地が、万が一日本を標的とした軍事目的に利用されようとしている場合には、土地基本法や国土利用計画法など国土交通省所管の法律によって規制することは可能なのでしょうか、お聞かせください。
○玉原政府参考人 お答えいたします。
土地基本法は、委員御指摘のとおり、土地についての基本理念や土地所有者の責務などを定めることにより、土地利用や管理に係る施策等の規範となっております。
また、国土利用計画法は、適正かつ合理的な土地利用を確保するため、一定規模以上の土地取引について、土地の利用目的などを都道府県知事に届け出ることとしており、その内容が不適正な場合などには勧告等を行う仕組みとなっております。
○西園委員 ありがとうございます。
在留する外国人が日本に対して軍事的な行動を起こした場合の罰則規定としては、刑法における内乱罪や外患罪がありますが、これまでにこれらが適用された事例はないと承知しております。これまで我が国の治安が維持されてきたのは、刑法に基づき、それぞれの犯罪事実に即した適切な対応がなされてきたことによるものと考えております。
そこで、犯罪を取り締まる立場にある警察庁にお伺いいたします。
在留する外国人が日本において軍事的な行動を起こそうとしている準備段階にある場合、それを抑止する手段はあるのでしょうか。
○石川政府参考人 お答えいたします。
個別の事案に対する対応につきましては、当該事案の内容に応じて検討していくことになりますけれども、一般論として申し上げますと、警察といたしましては、公共の安全と秩序の維持という責務を果たす観点から、我が国の国益が損なわれることのないよう、幅広く対日有害活動に関する情報収集と分析に平素から努めているところでございます。
その上で、違法行為に対しましては、取締りなどを行うほか、事態の推移に応じまして、関係省庁とも緊密に連携しつつ、適切に対処していくことになるというふうに考えております。
○西園委員 ありがとうございます。
日本は治安のよい国として世界から評価されておりますが、それは警察官の皆様が日夜献身的に任務に当たってくださっているたまものであるというふうに思います。くれぐれも安全面には留意され、どうか犯罪を未然に防ぐ取組、本当にまさに外国人がこういう形で軍事行動を起こすというようなことがあったとしても、それをしっかりと防いでいただきたい、そのことを是非お願いを申し上げます。
次に、森林について伺います。
外国人が所有する民有林については、日本人と同様に、樹木の伐採などにより土地の形状を変更する場合、森林法に基づき、都道府県知事の許可が必要であると認識しておりますが、もし外国人が無許可で開発を行った場合にはどのような罰則が科せられるのでしょうか、お聞かせ願います。
○長崎屋政府参考人 お答えいたします。
森林法では、保安林制度あるいは林地開発許可制度によりまして、森林の保全と適正な利用を図っているところでございます。具体的には、所有者が外国人であるか否かにかかわらず、一定規模を超えて普通林を開発する場合は都道府県知事の許可を要するほか、保安林を開発する場合は農林水産大臣等による指定の解除を要するといった措置を講じているところでございます。
仮に違法な開発等が行われた場合は、中止命令や復旧命令の監督処分を行うとともに、法定刑として三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金が科されることとなっております。
農林水産省といたしましては、これらの制度が適切に運用されるように、都道府県等と連携しながら、森林の保全管理に努めてまいります。
○西園委員 ありがとうございます。しっかりとした森林の保全管理、よろしくお願いいたします。
では、次に、農地についてお伺いいたします。
外国人が所有する農地について、農地以外の目的に転用する場合には、農地法に基づき、都道府県知事の許可が必要であると認識しております。農地法においても、森林法と同じく、外国人が無許可で土地の改良を行った場合には、日本人と同じように罰則が科せられるのでしょうか、お聞かせ願います。
○神田政府参考人 お答えいたします。
農地法では、農地を農地以外のものにする場合は、国籍のいかんにかかわらず都道府県知事等の許可を受ける必要がございます。
許可を受けることなく無断で転用を行った場合、農地法第五十一条に基づき、都道府県知事等は、原状回復等の措置を講ずべきことを命ずることができることとされております。また、無断で転用を行った場合や原状回復等の命令に従わない場合、農地法第六十四条の規定によりまして、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金が科されることとなってございます。
農林水産省といたしましては、都道府県等と連携しながら、農地の適正利用の確保に努めてまいります。
○西園委員 ありがとうございます。農地に関しましては、特に今、お米の問題などで本当に農地の重要性が増しておりますので、是非適切な管理をお願いいたします。
この外国人による日本の土地購入について懸念の声があるのも事実でございます。確かに、国民の安全を守る観点から、国防上のリスクも踏まえ、こうした動向には慎重に対応していく必要があると考えます。一方で、外国人の方々が日本に移り住み、あるいは日本でビジネスを展開することによって、新たな雇用が生まれたり経済の活性化につながるなど、国民生活の向上に資する側面があるというのも事実です。多様な価値観が交錯する現在の国際情勢の中で、日本の国益と国民の安全をいかにして両立させていくかは極めて難しい課題であり、繊細なバランスが求められます。
岩屋外務大臣は防衛大臣としての御経験もおありであり、外交、安全保障のエキスパートであられます。こうした局面にあって、日本の主権や安全を守ることの重要性や御決意を改めてお聞かせいただければと存じます。
○岩屋国務大臣 国家として、領土、領海、領空に対する外部からの侵害はこれを排除して、国の主権を守るということは当然の責務だと思っておりますけれども、今日委員が触れていただいたように、国の領域内においても自国民の安全を守ることは極めて重要な課題であると考えております。
我が国は次第に外国人の数が増えてきているわけでありますが、国際社会から比べると、ある意味では後進国なんだと思います。外国人と安全に共生していくということが大切だと思います。諸外国の事例も参考にしながら、やはり日本ならではの安全な外国人との共生社会というのを考えていかなきゃいけないというふうに思っておりまして、今、与党の中でも様々御検討いただいているというふうに承知をしております。
そういうものも参考にさせていただきながら、関係省庁と緊密に連携をして、国内における国民の安全の確保、安心の確保ということにも外務省としても鋭意取り組んでまいりたいと決意をしております。
○西園委員 ありがとうございます。
まさに今本当に、これからの世の中、外国人の皆様との共生ということが大きなキーワードだと思います。その中でも、国民の生命財産を守っていただくということは本当に政府に強く求めていきたいと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。
法務省にも実はお話を伺いたかったんですが、ちょっとお時間の関係で割愛させていただきます。
外務省、警察庁、法務省、農林水産省、林野庁、国土交通省の参考人の皆様は、ここで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。
○堀内委員長 参考人の皆様、どうぞ御退席いただいて結構でございます。
○西園委員 では、次に、外国人介護人材を受け入れる環境整備についてお伺いいたします。
現在、我が国では、急速な高齢化の進行により、介護を必要とする方が今後更に増加していくと予想され、これに対応していくことが喫緊の課題です。一方で、介護現場では、他の産業と比較して賃金水準が低く、離職が相次いでいます。
人手不足が深刻化する中で倒産に追い込まれる介護事業所も増えており、私の地元静岡県でも、サービスを続けたくても人手が足りず困窮しているという悲痛なお声を幾つも伺っております。介護事業所を守り、また介護を必要とする方々を守るためにも、現場を支える人材の確保に早急な対応が必要です。
この点を踏まえ、私は、四月二日の外務委員会において、技能実習、特定技能一号、EPA介護福祉士候補者の外国人介護人材を増やしていくためには日本語研修の充実が不可欠であることを訴えました。また、人手不足に直面している介護の現場において外国人人材に安心して従事していただくためには、彼らの文化的背景を理解し、異文化の中でも働きやすい職場環境を整えていくことが重要であり、それが将来的に安定した外国人介護人材の確保につながるという点についても質問をさせていただきました。
今年四月からは外国人介護人材による訪問介護が可能となるなど、制度の拡充が進んでいることは、長年にわたり厳しい介護の現場を支えてきてくださった事業所また家族の皆様にとって、一筋の光明になったことと思います。しかし、一方で、どのように制度を使ったらいいのか分からない、外国人が日本人と同様に働いてくれるのか不安だというようなお声も寄せられております。特に、小規模で運営している事業所に必要な情報が届いていないと感じます。
こうした現状を踏まえ、外国人介護人材を受け入れるための環境整備をどのように整えていくべきと考えているのか、また、事業所に対して必要な情報をどのように届けていくのか、政府の御見解をお聞かせください。
○堀内委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
介護サービスの担い手を確保することが喫緊の課題であります中で、外国人材の確保と、それから我が国への定着支援の両面で取組を進める必要があるというふうに考えております。
こういった観点から、介護施設と就労希望者とのマッチングでありますとか、あるいは都道府県が行う研修、あるいは、介護事業者の方に対しても、現地での説明会、送り出し国との関係構築、あるいは介護福祉士の資格取得の支援といったようなものも含めて、こういった支援を実施している、経費の補助を実施しているということでございます。
人材の受入れに当たりましては、特に、都道府県の役割が重要だと……
○堀内委員長 答弁は、申合せの時間を経過しておりますので、御答弁を簡潔にお願いします。
○岡本政府参考人 はい。失礼しました。
先生の御地元の静岡県でも、そういった自治体主導で地域の実情に合った取組を進める例が増えているというふうに承知をしておりますので、こうした事例の周知も含めて、人材の確保、定着のために取り組んでいきたいというふうに考えております。
○西園委員 ありがとうございました。
終わらせていただきます。
○堀内委員長 次に、阪口直人君。
○阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。
五月二十八日から三十一日にかけて、カンボジアのフン・マネット首相が来日されていました。
私は、平和外交の力の源泉の一つは、政府として国境を越えて、戦争や人権侵害に苦しむ方々の側に立てるかということだと思っています。信頼される、尊敬される国になるということは、これは日本の国益にもつながると思っているんですが、このフン・マネット首相との首脳会談後の共同声明への疑問を基に、今日は質問したいと思います。
まず、関連部分を引用します。
両首脳は、民主主義及び法の支配の促進について意見交換を行った。石破総理は、法制度整備支援、選挙支援及び日本の民主主義の知見共有を通じて、カンボジアの取組を引き続き後押ししていく意図を表明した。フン・マネット首相は、この分野での日本の貴重で継続的な協力に謝意を表明し、こうした協力の成果をカンボジア社会に根付かせるために一層努力していく意図を表明した。これに関連し、フン・マネット首相は、人権理事会における、カンボジア人権状況決議のペンホルダーを務める日本の役割を高く評価した。
とあります。
私には理解不能なんです。民主主義の知見共有を通じて、カンボジアの取組を引き続き後押しとありますが、カンボジアの民主主義は大きく後退していると言わざるを得ません。協力の成果を根づかせるといっても、今、自由に発言もできない社会になってしまっています。また、人権状況決議のペンホルダーの日本の役割を高く評価とありますが、厳しく指摘してくれたことを評価するのか、見て見ぬふりをしたことを評価するのか、意味不明です。
質問します。
カンボジアの人権状況については、首脳会談の中でどのようなやり取りがあったんでしょうか。
○岩屋国務大臣 五月三十日の石破総理、フン・マネット首相の首脳会談の前に、二十八日に、私はプラック・ソコン副首相兼外務大臣と会談をいたしました。そのときには、カンボジアの民主主義に関しては厳しい意見があるということを率直に申し上げました。
首脳会談に私は同席しておりませんが、そこでは、健全な民主主義の構築には国民が多様な意見を表明し得る環境が重要だということを石破総理からお伝えいただいたというふうに承知をしております。
こちら側がホストでお迎えをして、首脳会談の共同声明というか貼り出しをしたということでございますので、そこら辺は是非御理解をいただければと思います。私は、両首脳間で民主主義について率直な意見交換がなされたというふうに聞いております。
○阪口委員 カンボジアの外務大臣兼副首相に対して厳しく指摘をしたということ、これは評価すべきことだとは思いますが、ただ、この共同宣言にそれが全く反映されていないこと、これは大きな問題だと思います。
私のこの質疑がクメール語に訳されて、実は数百万人の方々が見ていらっしゃるんですね。数万のコメントのほとんどが、私の問題提起への期待や賛同でした。フン・マネット首相は、経歴も人柄もカンボジア人の方々からの期待は大変大きいものだっただけに、今失望も大きいこと、そして、この人権問題を見て見ぬふりをすれば、日本への人々の失望につながりかねないこと、これは強く指摘をしておきたいと思います。
次に、ミャンマーについて質問します。
国連人道問題調整事務所が五月二十三日に発表した報告によると、ミャンマーの大地震により緊急に人道支援を必要とする人は二百万人に上ります。また、国内避難民は過去最悪の三百五十万人に達し、一方で、国軍の砲撃や空爆は続いています。
自然災害を悪用する国軍を利する支援になっては本末転倒だと思いますが、日本からの支援は民主派勢力が支配する地域の国内避難民に届くものになっているのかどうか、この点、お答えいただきたいと思います。
○岩屋国務大臣 これまで我が国は、緊急援助物資の供与、それから国際緊急援助隊医療チームの派遣、医療資機材等の自衛隊機による輸送、また六百万ドルの緊急無償資金協力を決定し、実行しております。被災地域の学校への給水タンクやテントあるいは緊急支援セットの供与をしたほかに、JICAが専門家チームを派遣して、支援ニーズの調査を行ったりしております。
アクセスが非常に難しい地域があるということは事実でございますけれども、一人でも多くの必要とする人に届くように、国際機関あるいは現地のNGOとも更に連携をして、様々な方法で引き続き取り組んでいきたいと考えております。
○阪口委員 全ての厳しい状況にある方々に確実に届くような、こういった人道的な配慮が必要だと思いますので、是非この点については配慮をいただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○堀内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二分散会