衆議院

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第10号 令和7年6月3日(火曜日)

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令和七年六月三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 近藤 昭一君

   理事 石原 宏高君 理事 武村 展英君

   理事 平口  洋君 理事 阿部 知子君

   理事 松木けんこう君 理事 森田 俊和君

   理事 空本 誠喜君 理事 仙田 晃宏君

      五十嵐 清君    勝目  康君

      古賀  篤君    坂本竜太郎君

      佐々木 紀君    島田 智明君

      深澤 陽一君    宮内 秀樹君

      山際大志郎君   大河原まさこ君

      川原田英世君    齋藤 裕喜君

      佐藤 公治君    篠原  孝君

      野間  健君    馬場 雄基君

      松下 玲子君    猪口 幸子君

      沼崎 満子君    福重 隆浩君

      北野 裕子君    竹上 裕子君

      中村はやと君

    …………………………………

   環境大臣         浅尾慶一郎君

   経済産業副大臣      古賀友一郎君

   環境副大臣        小林 史明君

   国土交通大臣政務官    国定 勇人君

   環境大臣政務官      五十嵐 清君

   環境大臣政務官      勝目  康君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  佐々木啓介君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         中  裕伸君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           古田 裕志君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       井内  努君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       佐藤  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           西  経子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           関村 静雄君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           押切 光弘君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  長崎屋圭太君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           殿木 文明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           真鍋 英樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            伊藤 禎則君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        和久田 肇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           後藤 慎一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           横山 征成君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     秋田 未樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       中尾  豊君

   政府参考人

   (環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官)      大森 恵子君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          前田 光哉君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  土居健太郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            松本 啓朗君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  植田 明浩君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局長)         白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策統括官)           秦  康之君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          金城 慎司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 井上 主勇君

   環境委員会専門員     野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月三日

 辞任         補欠選任

  川原田英世君     松下 玲子君

  齋藤 裕喜君     野間  健君

同日

 辞任         補欠選任

  野間  健君     齋藤 裕喜君

  松下 玲子君     川原田英世君

    ―――――――――――――

五月二十二日

 全ての水俣病被害者を一刻も早く救済することに関する請願(斎藤アレックス君紹介)(第一二七七号)

六月三日

 国内象牙市場閉鎖に関する請願(松木けんこう君紹介)(第一七八〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 環境の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

近藤委員長 これより会議を開きます。

 環境の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る五月十九日に行いました福島県における環境の基本施策に関する実情調査につきまして、参加委員を代表して、その概要を私から御報告申し上げます。

 最初に、飯舘村に向かう車中において、環境省から、同省が実施している除去土壌に係る環境再生事業について説明を聴取しました。

 次に、飯舘村長泥地区において、環境省による再生利用実証事業を視察しました。

 次に、大熊町において、佐藤大熊町議会副議長及び同町職員と懇談を行いました。

 大熊町からは、町の復興状況や二〇四五年までの県外最終処分に関する町としての考えについて説明を聴取しました。

 その後、同町における除染の現状や帰還困難区域内の避難指示の解除状況、中間貯蔵施設に対する住民の反応、同町のなりわいの復活に向けた取組、町外の避難先における町民のコミュニティー維持に係る課題等について意見交換を行いました。

 次に、中間貯蔵事業情報センターを視察した後、中間貯蔵施設内の土壌貯蔵施設と道路盛土実証事業を視察しました。

 当委員会といたしましては、福島県全体の復興を進めるため、大変重い御決断で中間貯蔵施設の建設を受け入れていただいた大熊町、双葉町や、再生利用実証事業に御協力いただいている飯舘村、そして、日々、地域の復興、再生に向けて御尽力されている全ての関係者の皆様に対し、心から敬意と感謝の意を表する次第であります。

 また、当委員会は、福島県の復興、再生に向け、除去土壌を始めとする様々な課題に対し、会派の違いを超えて精力的に取り組む必要があると改めて認識いたした次第であります。

 最後に、今回の視察に当たり御協力いただきました全ての関係者の皆様に深く御礼申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

近藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官佐々木啓介さん、内閣府食品安全委員会事務局長中裕伸さん、文部科学省大臣官房審議官古田裕志さん、厚生労働省労働基準局安全衛生部長井内努さん、農林水産省大臣官房生産振興審議官佐藤紳さん、農林水産省大臣官房審議官西経子さん、農林水産省大臣官房審議官関村静雄さん、農林水産省大臣官房審議官押切光弘さん、林野庁森林整備部長長崎屋圭太さん、経済産業省大臣官房審議官殿木文明さん、経済産業省大臣官房審議官真鍋英樹さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長伊藤禎則さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長和久田肇さん、国土交通省大臣官房審議官後藤慎一さん、国土交通省大臣官房審議官横山征成さん、国土交通省航空局航空ネットワーク部長秋田未樹さん、環境省大臣官房政策立案総括審議官中尾豊さん、環境省大臣官房地域脱炭素推進審議官大森恵子さん、環境省大臣官房環境保健部長前田光哉さん、環境省地球環境局長土居健太郎さん、環境省水・大気環境局長松本啓朗さん、環境省自然環境局長植田明浩さん、環境省環境再生・資源循環局長白石隆夫さん、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎さん、環境省総合環境政策統括官秦康之さん、原子力規制庁長官官房審議官金城慎司さん、防衛省大臣官房審議官井上主勇さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

近藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

近藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂本竜太郎さん。

坂本(竜)委員 皆様、おはようございます。また、本日も質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 そして、ただいまは委員長の方から、せんだっての視察についての御報告をいただいたところでございます。私の地元であります福島県の浜通り、この直面しております大きな課題について、参加された委員の先生方におかれましては、改めての御理解や御認識をいただいたものと存じておるところでございます。

 本当に重い課題でございますが、この国が避けては通れない、あの地域だけの話では到底ないんだということを改めて皆様方に是非とも御理解いただいて、本日は、この点一点に絞ってるるお伺いをさせていただく次第でございます。

 同時に、委員長からもございましたように、この間、全ての皆様に大変なお力をいただいておりますし、これからも長期にわたってあらゆる皆さんのお力なくしてなし得ませんので、冒頭に改めての御礼、感謝とお願いを申し上げさせていただく次第でございます。お世話になります。

 早速でございます。

 三十年という年月、これを、先祖伝来の土地を国にいわば託した、それをもってこの地域の復興を進めるんだという重い御決断を、地権者の方も地元の首長さんもそれを受け入れ、大変な御判断を受け入れて今日があって、既に十年がたって、お約束の年限まで二十年を切ってしまった。この十年間、難しい問題ですから致し方ない側面はございますが、なかなかこの進捗を見て取ることができなくて、様々な御不安がよぎり、焦りが生じ、いろいろな御発言やいろいろな場面があったことは皆様方も御承知のとおりと思います。

 そういったことを踏まえて、この短期間で、昨年末に、まさに政府を挙げてこれを進めるんだということを国が示すべく、全ての閣僚の皆様おそろいの下で閣僚会議を開いていただいて、去る五月の二十七日に二回目の会議が開かれたと伺っておるところでございます。この短期間に、次なる一手というか、新たな方策が検討され、いよいよこれが示されつつあるという段階かと思っております。

 まずは、既に報道等にはございますが、この環境委員会の場、立法府の場におきまして、改めて、除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議での示された内容についてお示しをいただきたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議でございますが、去る五月二十七日に、福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等の推進に関する基本方針について決定をいたしております。

 本基本方針におきましては、復興再生利用の推進、復興再生利用等の実施に向けた理解醸成、リスクコミュニケーション、県外最終処分に向けた取組の推進を三本柱とする具体的な取組の方針を示しております。

 具体的には、復興再生利用の推進について、官邸での利用の検討を始めとして先行事例の創出等に取り組むことや、理解醸成、リスクコミュニケーションについても、各府省庁が様々な機会を捉えて国民や関係機関等への理解醸成の取組を進めることといった点を盛り込んでございます。

 今回の基本方針は、二〇四五年三月までの県外最終処分の実現に向けて、政府一体となって取組を進めるための方針となっております。これを着実に実行するため、今年の夏頃に当面五年程度のロードマップを取りまとめることとしております。

坂本(竜)委員 具体的な取組についていよいよ、ようやくと言うとあれですけれども、実際、そういう状況で示されたわけでございます。

 一つには、これはある意味、政治的ないきさつでそういう流れになったかと承知しておりますが、この国の行政府の中枢である総理大臣官邸の敷地内において、早速、再生利用、活用をしていただける見込みがあるということで、これは非常に分かりやすいことでありますし、こういったものも丁寧に進めながら、最大限、国民の皆さん方の御理解につながるような効果を発揮していただかなければ意味を成さないわけでございます。

 官邸で土を使えばいいという程度の話ではない、大変重いものである第一歩であると思っておりますので、なかなか、これから中身を構築されるとは思いますが、現時点でどのように活用されていくのか、お伺いさせていただきます。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました、官邸での利用の検討を始めとした、政府が率先した先行事例の創出等に取り組むということでございますけれども、具体的な中身につきましてもお答えを申し上げます。

 除去土壌の官邸での復興再生利用につきましては、三月の予算委員会におきまして、石破総理の方から、官邸での再生利用を是非行いたい旨の御発言があったことも踏まえまして、基本方針に盛り込んでございます。本推進会議の下、そうした取組も含めまして、政府によります案件創出の検討を率先して進めていくということにしてございます。

 官邸での利用に関しましては、現在、官邸の関係者とも調整をしながら、具体的内容や時期等を検討しているところでございまして、現時点では具体的にお答えすることは差し控えたいというふうに考えてございます。

坂本(竜)委員 じっくりと中身を詰めていただいて、先ほど申しましたように、いい形にしていただきたい。最初が肝腎でありますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 もう一つの内容として、環境省さんがしっかりリードしていただいた上で、まさに全省庁挙げての、各府省庁の取組を展開していくということでございます。

 例えば、広報の在り方を取っても、環境省さんが示したものを、ほかの役所の皆さんもそれを活用していただくということがあろうかと思いますが、これを任せっ切りにしないで、それぞれの役所の関係先、最終的には一人一人の国民の皆様に行き届くまで、環境省さんの方でしっかりこれをリードし、後押ししていただかなければ意味がないわけで、役所内で、霞が関の中だけで共有が図られただけでは意味がないという部分は十分御理解いただいていると思います。

 どういった形で、今回の柱の一つに掲げていただいております全省庁挙げた理解醸成の取組を進めていただくのか、お示しいただきたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 先日、二十七日に開催されました本推進会議で決定いたしました基本方針におきましては、県外最終処分の実現に向けて、官邸での利用の検討を始めまして先行事例の創出に取り組むことに加えまして、各府省庁が様々な機会を捉えて国民や関係機関等への理解醸成の取組を進めるといった点を盛り込んでおります。

 この推進会議におきまして、官房長官より、基本方針を踏まえ、ポスターやチラシ、ウェブサイト、SNS等を通じた情報発信を各府省庁において速やかに行うよう、理解醸成について具体的な御指示がございました。

 それを踏まえ、まず政府全体の取組として、復興再生利用の推進に向けたポスターを作成いたしまして、関係省庁での掲示等も順次始めているところでございます。今後、各種媒体を通じまして、政府一体となった情報発信について検討してまいる所存でございます。

 また、何より、情報発信のためには、政府部内におきまして、復興再生利用の必要性、安全性の浸透を図るということが必要でございます。そのためには現地を見ていただくということが重要でございまして、環境省のみならず、本推進会議の関係省庁の職員に向けても中間貯蔵施設等の現地視察を積極的に呼びかけ、視察を行っていただいているというところでございます。

 引き続き、一層、各府省と連携しながら、復興再生利用の必要性、安全性等に係る情報発信に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

坂本(竜)委員 是非活用していただいて、動画も、既に発していただいているものの中には百三十万回以上の再生回数を誇っているものもございますので、引き続き活用していただきながらも、お話にありました、現地に運んでいただく。我々もこの間、皆さんに運んでいただきましたけれども、非常に、百聞は一見にしかず、そのとおりであると思います。各省庁、行政府の方のみならず、一人でも多くの国民の方にそういった機会、観光という側面では語れないんですけれども、第一原発の状況も含め、あの地域の復興の状況も含め、様々な形と結びつけてお運びいただくことで理解醸成につながるものと思っておりますので、いろいろな機会を創出していただければと強くお願い申し上げさせていただく次第でございます。

 そして、この理解醸成の前提にもなるわけですけれども、先ほど、視察内容に含まれておりました、再生利用をどう進めていくのか。そこも御覧いただきましたが、道路や盛土について、積極的に技術的な開発を今進めていただいている。非常に課題もあろうかとは思いますが、大いなる可能性もあるものと思っています。これをいわば資源として活用できるものにしていく、自信を持ってこれを活用していくことができる状況になって、もって国民の皆さんの御理解が進み、最終的に、極力少なくなった、減容化された除去土壌の県外最終処分につながらなければ意味がないわけでございます。

 そこで、復興再生利用推進の取組についてどのような状況にあるか、お答えいただきたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 県外最終処分の最終処分量の減容のためには、復興再生利用を積極的に活用し、その容量を減らしていくという取組が必要になってございます。

 環境省では、復興再生利用のため、これまで減容に関する技術開発や再生利用の実証事業、あるいは全国的な理解醸成の取組、こういったものを進めてまいりました。

 御指摘の復興再生利用に関しましては、再生利用ということで、これまで、飯舘村の長泥地区での農地造成実証事業や、中間貯蔵施設での道路盛土実証事業等を行い、安全性等を確認してまいりました。これらの実証事業で得られた知見や国内外の有識者からの助言を踏まえまして、本年三月に復興再生利用に係る基準省令や復興再生利用のガイドラインを策定いたしてございます。

 技術開発という面におきましては、一応そういう意味で、省令やガイドラインというものに結実はしておりますが、今後、基本方針を踏まえて復興再生利用を積極的に展開をしていくという中で、必要となる技術的な課題については関係機関等と連携をしながら適切に検討を行ってまいりたい、その上で復興再生利用を展開してまいりたいというふうに考えてございます。

坂本(竜)委員 まだまだいろいろ模索中な面もあると思いますけれども、やはり、具体的な活用の在り方が見えなければ、地元の皆さんの安心にもつながらないですし、何と申しましても国民の皆さんの御理解には至らないわけでございますので、粘り強く、確かなものを導き出していただきたいとお願いをさせていただく次第でございます。

 また、花ですね。この間、飯舘の長泥のすばらしい花が咲き乱れていました。視察くださった方にお持ち帰りいただくような取組もしていただいていますけれども、いろいろなシーンでそのお花を世に出していただくような形、こういったことも今後は検討していただいて、最大限の活用をもって理解の醸成に努めていただきたいとお願いをさせていただく次第でございます。

 ここで、ちょっとまた別な切り口でお尋ねさせていただきますけれども、先ほど、三十年という年月の重みについて冒頭申し上げましたが、この除去土壌というのは専らどこから来ているのか。それは、御家庭のお庭であったり、あるいは学校や幼稚園といった教育施設の校庭、園庭ということもありますが、ほとんどがあの地域の主力産業であった農業、農地からのものであります。

 僅か五センチほどの土を剥いで中間貯蔵施設に貯蔵しているわけでございますけれども、自然にあの豊かな恵み、土壌が醸成されるまでに、一センチつくられるまでに百年かかる、自然の中では。近代では、様々な手を加えて加速化しているものはございますけれども、自然の側面におきますと、一センチで百年、すなわち五センチというと五百年のあの地域の豊かな恵みが奪われたということになるんです。

 それを補完するために、その後、新たに別なところから持ってきた土を入れていただいて戻していただいたということもあるんですけれども、なじみのない土でやった分、山の方から持ってきていただいたりして、なかなか別なものが混ざっていたりとか、あるいは別な復興の現場から持ってきたもので異物が混入していたりということで、五百年の歴史が奪われた上に、別の土を持ってきていただいたことで、ちょっと荒らされてしまったという農地も多分にある、実はこういう側面もあるんです。

 是非、この現実と時間という歴史の重みを、御認識を改めていただいて、あの地域、営農再開を果たしていくんだという力強い決意で今邁進しているところでございますから、この五百年の歴史を取り戻すべく、農地の地力、元々あった力をどれだけ取り戻すことができるかが営農再開にとっての鍵となりますし、あの地域の誇りであり、新しい歴史の創造に係ってくるわけでございます。

 そこで、除染した農地の地力の回復に向けた取組についてどのように御支援いただけるのか、お伺いをさせていただきます。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 除染後の営農再開に向けては、栽培の基本となる土づくりをしっかり行っていただくことが重要であります。

 このため、地力の回復に向けて、有機物である堆肥の運搬や施用、圃場を深く耕すことによる土壌改良、これらに要する経費を支援しているところであります。

 また、地域では大規模な牧場の整備が進められているというふうに承知しておりますが、今後、この牧場の整備が進めば、そこで生じた家畜ふん尿を地域の資源として活用していく取組も想定されるところでありまして、農林水産省としても、地域資源を活用した堆肥等の利用促進に必要な機械や施設などの整備を支援しているところであります。

 引き続き、営農再開に向けた地域の課題を丁寧に把握し、関係省庁とも連携して対応してまいる考えでございます。

坂本(竜)委員 あえて環境省さんじゃなくて農林水産行政をお伺いさせていただきました。

 今お話しいただきましたように、地元で、地力を回復するための堆肥づくりについても、まさに循環型の在り方についてもこれから取り組もうという兆しがありますので、是非応援していただきたい。農水行政としてもそうですけれども、循環型ということからすれば環境行政、こういうことになるわけです。そもそも、この除染の流れからすればリーダーシップは環境省さんに取っていただいて、まさに各省庁連携していただくことでこれがかない、歴史がまたつくられていくわけでございますので、是非力強い推進をお願いさせていただく次第でございます。

 この理解醸成は難しいところですけれども、一つ成功事例があります。一昨年のALPS処理水の海洋放出でございます。これも大きな不安が先立って、漁業関係者の方々に御理解いただくのに大変苦労いただいているところで、まだ御理解をいただくのに御苦労を実はいただいている最中であるところでございます。

 それでも現実的にお進めいただいているという中で、国民の皆様方が比較的冷静に受け止めていただいて、恐れていた風評には至らなかった。そればかりか、大分御支援、応援をいただいて、あの地域の宝であります常磐物についての魅力を改めて御理解いただいて、非常に消費にもつながっている。漁獲量がそもそも今はまだ回復し切れていないので、少ないので、応援していただいている方々に提供できないという逆転現象もあるぐらいでございますが、そういった実例がございますし、IAEAとの連携も含めて、それがかなってきた経緯もございます。同じようにというか、それ以上にこの件についても力強く国民の皆さんの幅広い御理解をいただける様々な余地、可能性はあると信じておりますので、是非力強く信念を持って進めていただきたいと思うところでございます。

 今までのやり取りを経て、今日は大変爽やかなシャツでお出ましの浅尾大臣に、爽やかながらも力強い御決意のほどを最後にお伺いさせていただく次第でございます。よろしくお願いします。

浅尾国務大臣 お答えいたします。

 二〇一一年三月に発災いたしました東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故を受けて、これまで環境省では、除染を始めとした環境再生の取組を進めてまいりました。

 福島県内の除染で発生した除去土壌等については、福島全体の復興のため、御地元の大熊町、双葉町の皆様方に大変重い御決断をいただき、中間貯蔵施設を受け入れていただいた上で、現在当該施設において保管をしているところであります。

 この中間貯蔵施設の受入れに当たっては、福島県内で生じた除去土壌等の中間貯蔵開始後三十年以内、すなわち二〇四五年の三月までの県外最終処分の方針を国として地元と約束をしており、この方針は法律にも規定された国の責務となっているところであります。

 県外最終処分の実現に向けては、昨年十二月に設置した推進会議の下、政府一体で復興再生利用の案件創出等に向けて取り組んでいくこととしており、先週二十七日には第二回会合を開催し、基本方針を取りまとめたところでありまして、先ほど局長の方からるる答弁をさせていただいたところでありますが、私自身、推進会議の副議長として、取組が一層進むように尽力をしてまいります。

 引き続き東日本大震災の被災地、とりわけ福島の復興に向けて全力で取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

坂本(竜)委員 国との約束ですから、約束を果たさないことはあり得ませんので、是非よろしくお願いします。国民の皆様を代表している国会議員の全ての皆さん方にも、まず更なる理解をいただいて、これを全ての皆さんのお力で進めていただけますよう、私もしっかり汗をかいてまいりますことをお誓い申し上げ、お願いを申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、松下玲子さん。

松下委員 立憲民主党の松下玲子です。

 質問の機会をいただきましたことを、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 本日は、有機フッ素化合物、PFASについて質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、有機フッ素化合物、PFASの食品健康影響調査、リスク評価についてお伺いいたします。

 食品安全委員会とPFASワーキンググループによるPFASのリスク評価過程で最重要とされた参照文献が非公開会合の中で大量に除外、追加されたと、高木基金PFASプロジェクトが明らかにし、各メディアでも報道されている問題です。

 当初、食品安全委員会は、議事録も資料も全て公開されており説明可能としてきましたが、この参照文献の大量除外と追加に至った根拠は公開された議事録には記載されておらず、このことを参議院の三月二十八日予算委員会や四月九日決算委員会で食品安全委員会も認めています。そして、九回の公開会議とは別に、二十四回にわたる非公開会合を開催してきたことを食品安全委員会は明らかにしました。

 先週、五月二十九日参議院環境委員会で食品安全委員会は、非公式会議で話し合われた先生方の御意見のメモ、音声データやメールは一年未満の行政文書として廃棄済み、存在してはいないと答弁されています。

 行政文書の管理について定めた内閣府本府行政文書管理規則の第十二条二項には、以下のように記載されています。「政策立案や事務及び事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等の記録については、文書を作成するものとする。」と記載されています。

 この非公開会合の討議記録は、行政文書管理規則第十二条の政策立案などに影響を及ぼす打合せに当たるのではないでしょうか。お答えください。

中政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、前回の参議院の環境委員会において、私の方から、録音等につきまして存在したんだけれどもそれは廃棄したというふうな説明があったというふうな御説明でございましたが、私が申し上げたのは、その際に職員が作ったかもしれない個人メモであったりとか、あと先生とのメールのやり取りといったもの、それらについては、準備作業の中において、資料という形で体現されたりとか、あるいは、その次のワーキンググループに提出される資料の中にそういうコメント等についてこれらが反映されたことをもって、基本的には役割を果たしたということで廃棄したということでございます。

 内閣府の規則に基づく我々の運用の整理でございますが、我々としては、資料の作成を目的として一時的に作成されたメモ等であって、目的の資料に内容が反映されたものについては、我々食品安全委員会事務局の中での運用として、公文書等の管理に関する法律二条第六項の歴史的文書等、又は意思決定過程や事務及び事業の実績の合理的な跡づけ、検証に必要な文書に該当せず、かつ、内閣府の管理規則に規定する、意思決定の途中段階で作成したもので、当該意思決定に与える影響がないものとして、長期間の保存を要しないと判断される文書に該当するものとして、保存期間一年未満の文書として位置づけているというところでございます。

松下委員 私はまず、行政文書に当たると思うんですがどうですかとお聞きしたのですけれども、端的ではなくて、ちょっと、お答えの中で、作ったかもしれない個人メモやメールを、役割を果たして廃棄とお答えになっています。作ったかもしれないという日本語はとてもおかしいと思うんですけれども、個人メモやメールを、役割を果たして廃棄された、作ったかもしれないというのはどういうことですか。

中政府参考人 紛らわしい表現で申し訳ございません。

 これは、作ったことは想定されます。想定されたものについて、ただ、我々は行政文書管理簿でこれを管理しているわけではございませんので、事実としてしっかりと把握はできていないということで、そういう紛らわしい表現を使ってしまいました。

 恐らく、恐らくというか、ほぼ確実にメールのやり取り等というのは、実際にコメントをメールでもらって、それをコメント集というものであったりとか、あるいはドラフト案に対して先生方からコメントが来ますので、それを吹き出しの形で入れ込んだり、あるいは反映させたりというふうな作業は実際に行われておりますので、そういうメールのやり取りは実際にあったことは確実でございます。

松下委員 では、やはりメモやメールはあったということで、それが今のお答えだと、食品安全委員会は行政文書に当たらないから廃棄をしたということだと私は受け取ったんですけれども、行政文書に当たらないとするその明確な根拠をお示しいただきたいんです。

 私は、「食品安全委員会事務局の行政文書に関する保存期間基準(保存期間表)」というのを見ているんですけれども、これを見ると、食品健康影響評価が終了する日に係る特定日以後三十年又は文書を作成若しくは取得した日に係る特定日以後三十年、いずれか長い期間、食品健康影響評価に関する文書は保存の義務があると思うんですが、行政文書に当たらない根拠、そして、廃棄したとおっしゃっているので、廃棄したその根拠も教えてください。

中政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問いただいた中で、個人的なメモ、備忘録みたいなものですね、これはそもそも意思決定のために組織的に共有しているものではないので、これは行政文書に当たらないということでございますが、先ほど申し上げたようなメールのやり取り、そういったものについては、明らかに組織的なやり取りをしておりますので、これは行政文書に当たるというふうに考えております。

 行政文書に当たるんですが、先ほども御説明させていただきましたとおり、一旦作成したものでも、その目的の資料に内容が反映されたことをもって、実際にそのメモ自体の目的は達成されていて、むしろそれが反映された文書というものが外向けの説明責任を果たすための文書としてきちんと保存されるということをもって、その大本のメモについては、保存期間一年未満の文書として位置づけているということでございます。決して、行政文書ではないというふうに申し上げているわけではございません。

松下委員 分かりました。行政文書と位置づけていると。

 だとすると、この食品安全委員会の保存期間基準の、私は、ガイドライン等制定の経過に関する文書、ガイドライン等の制定又は改廃の根拠となった文献に当たると思いますので、中分類にワーキンググループ(○○課)とありますので、これは一年じゃなくて、保存期間三十年となっています。一年としたその根拠について教えてください。

中政府参考人 済みません。今御質問いただいた内容は、文献というのは評価書の根拠となった論文のことでございますか。そういったものは、きちんとこれは保存はされております。

 ただ、先ほど申し上げましたのは、こういった準備作業の中で、事務局職員とワーキンググループのメンバーとの間でやり取りされたメールであったりとかというものについて申し上げておりまして、これについては、先ほど申し上げたとおり、資料の作成を目的として一時的に作成したメモ等で、目的の資料に内容が反映されたものについては、長期間の保存を要しないと判断される文書に該当するものとして、そういった保存期間一年未満の文書と位置づけているということでございます。

松下委員 私、メモは聞いていないんですよ。メール。メールは行政文書に当たるとおっしゃったので、それがなぜ一年未満に、行政文書に当たるとして、廃棄をしてしまったのかということを私は聞いたんですね。ガイドライン、食品安全委員会事務局の保存期間基準を見ても、三十年というのは私は明らかだと思っています。PFASワーキンググループ、この準備作業の打合せは、政策立案などに影響を及ぼすと考えるのが自然であって、一年未満に当たるとの説明は考えづらいです。

 そして、事前の選定では最重要文献とされながらもPFASワーキンググループにより除外された文献の一つに、多摩地域の水道水で高濃度のPFASが検出されたとする二〇一二年の研究がありました。この文献を除外した根拠は公開資料のどこにも記載がないことを、食品安全委員会も認めています。

 代わりに評価書では、農水省の二〇一二年から一四年のトータルスタディーダイエットの結果を使っています。今日資料としてお配りしている資料三の部分になります、今説明しているのは。これは、東京一拠点のどこかで取った水道水をスーパーで購入したペットボトルの水で半分に薄めた結果、飲料水に含まれるPFASはゼロと評価したデータです。右側のデータですね。除外されたのが左側の文献です。

 実際に多摩地域で飲まれてきた水道水中のPFASは、ゼロではありませんでした。多摩、国分寺市や府中市では、現在の暫定目標値を二、三倍超える濃度の水道水を少なくとも十数年飲んできたということが、東京都水道局の公開資料でも示されています。

 なぜ水汚染を明らかにした最重要文献が除外され、代わりになぜ飲料水に含まれるPFASはゼロというデータが使われたのか。公開資料のどこにも説明がないのは、汚染の実態を隠しているのではないかと言わざるを得ません。公開資料に根拠がないのですから、この判断をした根拠というのを、二十四回の非公開会合の中でしか求めることができません。

 食品安全委員会とPFASワーキンググループによる二十四回の非公開会合で話し合われた討議記録は、食品健康影響評価の経過に関する文書に当たるのではないですか。お答えください。

中政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の準備作業における議事録や議事メモ等の記録につきましては、先日来、参議院環境委員会において、川田議員より公表すべきとの要求を受けて、理事会協議事項というふうになっていたものでございます。

 今は理事会協議事項ではなくなったわけでございますが、食品安全委員会といたしましても、与野党筆頭理事等と御相談させていただきながら、実際に存在している行政文書については、その全てについて情報公開法の整理に基づき提出していただくべく、準備をしてまいったところです。

 ただし、御指摘の議事録については、事実といたしまして、川田議員にも御説明させていただいておりますが、作成していないというところでございます。

松下委員 私の質問に端的にお答えいただきたいんですね。私は、食品健康影響評価の経過に関する文書にこの二十四回の議事録は当たるのではないですかと。作成していませんと自信満々にお答えになられたんですけれども、それは何を基に作成をしていないということをお答えにできるんですか。

 食品健康影響評価の経過に関する文書に当たると私は思います。だから、作成しないといけない文書なんですね。これは当たるんですか、当たらないんですか。お答えください。

近藤委員長 中食品安全委員会事務局長、端的にお答えをお願いします。

中政府参考人 事実として、これは作成していないというところでございます。これは、当たるか当たらないかはさておき、事実として、策定していないというのが現実でございます。

松下委員 でも、二十四回の会議を開催しているんですよ。そこで議事録も作成していないというのは、私はやはりおかしいと思いますよ。その二十四回の会議は、大本の九回の会議に影響を与えていますよね。そして、食品健康影響評価の経過に関する文書に当たると私は思うんですよ。

 文書ごとの保存期間を定めた同規則別表一、食品安全委員会の行政文書に関する保存期間表の事項九には、その他の行政機関に対して示す基準の設定及びその経緯の具体例に、食品健康影響評価の経過に関する文書の保存期間三十年と書いてあるんですよ。経過に関する文書の保存期間が一年以上なのですから、非公開会合の討議記録は今も保存されていなければならない、ましてや、作成していないなんということはあり得ないと思うんですが、いかがですか。

中政府参考人 PFASワーキンググループの議事については、きちんと、会議自体がユーチューブで公開されていて、そこで使われている資料というものも全てホームページに掲載されて公表されております。

 その上で、その議事録というものについても、しっかりと、議事が行われた後、議事に参加いただいた専門家の先生方にも参加いただいて、これについて全て公開させていただいているところでございます。

 我々としては、先ほどの必要な行政文書としては、それらのものをしっかり公表させていただいて、そこでもって説明責任を果たしているというふうな理解でございますので、これについては、こういう形でずっと運用させていただいているということでございます。

松下委員 質問に答えてほしいんですね。

 九回のワーキンググループ、ユーチューブとか聞いてもいないんですけれども、示していますと。でも、その表の会議の裏では、二十四回にもわたって非公開の会合が行われているんですね。それを、PFASワーキンググループ非公開会合二十四回、ここでどんな議論があって、どうして論文が入れ替えられたのかというのを明らかにしていただかなければ、科学的な見地に基づいて出された評価書の結果であるかどうかということを検証できないんですよ。二十四回の会合について、これは討議記録をお示ししていただきたいと思います。

 総理大臣も予算委員会の中で、人の安全、健康に関わること、多くの議論があることを承知していますが、やはり公開ということが大事であって、包み隠すことなくいろいろな議論を公開していくということ、これが、科学的見地に基づいて厳正に判断されるために政府として努力するとおっしゃっているんですよ。

 なぜ、九回の表の会議、そして二十四回の裏の会議が非公開で行われたのか、そして会議が終わった今に至っても討議記録が公開されないのかを教えてください。表の会議はいいです。

中政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁させていただきましたが、我々、ここに残っている行政文書については全て誠実に公開させていただきたい。

 一部、やはり先生方のコメントなど、非公開の会合として、そういう前提で集まっていただいてやっているものですので、そこで出た発言とかを後になって公開するというふうになりますと、それはやはり、こういったコメントみたいなものを見たSNS等でいろいろな批判を浴びたりするということ、実際にございます。こういうふうなものを避けるために、我々としては、黒塗りの措置とか、そういったことというのも実際にやらなきゃならないということで、そういう作業をやった上で、ただ、できる限り公表させていただきたいというふうな形で今作業をさせていただいているところです。

 委員が、CERIの文献を差し替えたというふうな御指摘、それを証明するために、我々としても、こういった準備作業というか、実際にドラフトという案を作るときのコメントをかき集めるような作業なわけなんですが、そういったところも含めて、全ての細かいやり取りをあらかじめきちんと公表しておかなければ、裏で何をやったか、不正というか、けしからぬことをやっていないということは証明できないんじゃないかというふうなお話なのかというふうに今解釈させていただきました。

 我々は、科学的な見地でこういう判断を行ったというところをきちんと、議事録であったりとか資料であったりとか、あと評価書本体、こういったところで示しているわけでございますので、それ以上の打合せ的なものの、しかもそれの中身については全てワーキンググループに提出される資料に体現されているもの、それを全て長期間にわたって保存するというふうな運用はなかなか難しいというふうに考えております。

松下委員 聞いたことを端的にお答えいただきたいんですね。

 表と裏に会議があって、裏の会議は最初から先生方に非公開にしていたから今更公開なんかできないよと今聞こえました、私。そうお答えになったというふうに認識をいたしました。

 何で二十四回の作業部会、非公開と約束したんですかね。それがそもそも不思議です。食品安全委員会が健康影響評価を策定するに当たって、九回と二十四回、どちらも公開で行うべきだったと思います。

 百歩譲って、当時は細かい議論があって、賛否両論あって、議論が分かれることもあるから、そこに、公平な議論を行うために非公開に当時はしていたかもしれません。でも、もう議論は終わったんですから、評価書も策定されているんですから、今になっては公開文書としてしかるべきだと思いますし、委員の先生方というのは皆さんそれぞれ専門家で、科学者で、矜持を持ちながらお仕事をされていると思いますので、そこに、SNS云々とおっしゃいましたけれども、御自身の信念に基づいて出された結果というのは受け止めて、あとは国会だったり国民が検証する、判断をするのが重要なんじゃないでしょうか。

 私は、食品安全委員会は実際に、非公開の会合、今ある討議記録はこれからでも公表していただきたいと思います。科学的知見に基づいているかどうかというところをしっかりと検証させていただきたいと思いますが、お答えの中で根拠がなく討議記録を今の時点で明らかにされないということは、不透明なリスク評価を行って、これはアメリカと比べて二百から六百六十六倍ものPFASを摂取しても健康影響評価がないとする値を導き出しているんですね。それを基に、五十ナノグラム・パー・リットルという飲料水の値が決められたと言わざるを得ません。

 二十四回にわたる非公開会合は、米国と比較して数百倍高い基準設定に至る経緯であり、ここでの討議記録を廃棄したということは、私はとても受け入れられません。導き出した基準が妥当で安全だというのならば、自信を持って安全だとおっしゃる、評価書で示していますと自信満々に今おっしゃったじゃないですか。だったら、その根拠を国民に示していただきたいと思います。

 改めて、非公開会合の討議記録を含む全ての記録の開示を求めますが、いかがですか。端的にお答えください。

中政府参考人 お答え申し上げます。

 我々、先ほどから答弁させていただいておりますが、行政文書として残っているものは全て、必要な黒塗り等の措置を講じた上できちんと開示させていただくべく今準備を進めているところでございます。

松下委員 私がなぜこのPFASの問題、水の汚染、地下水の汚染の問題に力を入れて取り組むかというのは、私の地元は東京の多摩地域です。この間も汚染が確認されていますし、地域住民や農業者からも不安の声をいただいています。そして、評価書の見直しを求める声というのも届いています。

 私自身、前職は東京都の武蔵野市の市長で、安全な水の安定供給を責務とする水道事業者でもありました。五十ナノグラム・パー・リットルという値が、水道事業者にとっては、今のままで対策がいいのかとちょっと安心してしまったところもあるんです。でも、はっとしました。安心しちゃいけない。これは、健康に影響を与えてしまう可能性があることはできるだけ、できるだけ値を少なくすることが未来に責任を持った取組だと思いますので、今後、指標値、評価書の見直し又は水道水の目標値の引下げ等を要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、篠原孝さん。

篠原(孝)委員 おはようございます。立憲民主党、略称民主党の衆議院の篠原孝でございます。

 今日もというか、今日は、前回はそんなに資料を出してありませんが、今日は作るのに相当時間がかかったんですけれども、資料を提供して、何を指摘し、質問したいかというと、環境省の仕事の体制ですね、きちんとしていただきたいということで、私の意見ですけれども、聞いていただきたいと思います。

 資料を見ていただきたいんです、横紙の資料を。環境省と防衛省の事務次官の出身省庁というのを。これは前から気がついていたんですけれども、非常に情けないなと。見ていただくと分かると思います。同じように、かつて庁だったのが省になった。二〇〇一年に環境省になり、二〇〇七年に防衛省になる。

 防衛省は、二〇〇九年に中江公人というのが、どうでもいいことが書いてありますけれども、これは農林水産省の私が大臣官房企画室のときに私の下にいたんです。私の読めない字を一生懸命清書していました。彼が防衛省にも行っていて、それで彼が最後の外様の次官です。どうしてかというと、よく考えているなと思いました。本当に人柄のいい男で、誰からも嫌われないのです。守屋、変な次官だったんです。その後、守屋派と反守屋派の内紛が続いているので、中立のということで、彼がちょっと経験があったので、防衛事務次官になったんです。仕方ないと思います。しかし、その後ずっと、もう防衛省になったんだしと、簡単に言うと防衛庁の生え抜きです。これは当たり前のことです。

 ところが、環境省、左側を見てください。早々と西尾哲茂さんが二〇〇八年に初の生え抜きで事務次官になりました。しようがないと思います。それまで、七一年、まだちょうど事務次官の年齢に達しないんだから、ほかの省庁、主として厚生省、今の厚生労働省ですけれども。だけれども、最近、二〇〇〇年になってからも三人が外からで、みんな大蔵省、財務省で、特に最近は三年しか環境省にいない方が事務次官になっています。考えてみていただければ分かるんですけれども、経済産業省の事務次官に財務省の次官が行って、経済産業省の役人が黙って受け入れますか。屈辱ですよ。こんな変な人事をしている国はないし、日本でもたった一省、環境省だけです。

 僕は、環境省に頑張ってもらわなくちゃいけないと思うんです。行政の中で、一般経済は民間企業がしっかりしていますよ。教育とかはいっぱい関係者がいる、医療もいっぱいいる。でも、環境は役所がきちんとしなかったら行政が進んでいかないんだと思うんです。物すごく大事だと思うんです。しっかりしていただかないといけない。

 僕は、環境省の役人は立派で、天下り先なんてないですよ。そんなことを考えて、某役所に行って、留学して、はい、さようなら、そういう人もいっぱいいるそうですけれども、そんなふらちなのは環境省にはいないです。日本の環境問題、おかしいぞ、自分がやってやろうと言っているわけです。この人たちは出世とかそんなに考えていないと思います、結果であって。ですけれども、これは屈辱的ですよ。

 これは是非お願いですけれども、浅尾環境大臣のときには、内閣人事局がいろいろ言ってくるそうですけれども、絶対拒否すべきだと思います。していただきたいんですけれども、決意、これはイエスしか答えがないと思いますけれども。

浅尾国務大臣 お答えいたします。

 事務次官については、当然のことでありますけれども、能力、経験、識見、人柄などの観点から適切な人材を選定しております。

 結果として、環境庁一期生が適齢期に達して以降、今御指摘がありましたけれども、多数のプロパーの次官を輩出しており、また、能力本位で、事務官からも、そして技官からも人選をしてきたところであります。

 引き続き、プロパーの職員の人材育成に努めながら、今後も適材適所を徹底していきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 そんななまくらな答弁じゃ駄目ですよ、それは。事務官、技官のはいいですよ。優秀な人を次官にすればいいんですけれども、ほかの省庁なんというのはあり得ないですよ。こんなことは絶対許しちゃいけないと思いますよ。これは挙げて大臣の拒否権にかかっているんだ。拒否権というか、そんなことを押しつけてくるのがそもそも間違いだと思います。是非そうしていただきたいと思います。

 次に、次のページですけれども、環境保健部の問題です。

 これはびっくりしました。示したら偶然こうなっているだけだという、確かにそうでした。事務次官をやられた人たちでちょっと調べたら、西尾さん、それから南川さん、それから小林さんと環境保健部長をやっておられますから。だけれども、これを見ると、節目節目にはやったんですが、みんな変わらないんですね。厚生省の医系技官が部長で。それで、理屈に合っています、企画課長というのは事務屋、事務官がやっていて、五十年たっても同じなんです。これは驚異的だと思いますよ。

 僕は医系技官が必要だと思いますが、これだったら、いつまで植民地か外様みたいな、こんなことをしているんですか。環境省でちゃんと医系技官を採用して、環境省に骨をうずめて。別に僕は、環境保健部だけじゃなくて、ほかの局でもいっぱい仕事していいんです、そんな、幾らでもできるはずです、そういうふうにすべきだと思うんですけれども、これも絶対やっていただきたいんです。

 厚生労働省に聞きました。誰が言ったかというのは名を伏しますけれども、そうしてもらった方がいいと言いましたよ。おかしいと、ずっと環境省に出向して、また戻ってと。落ち着いて仕事ができないと思いますよ。あっちでプロをつくってちゃんとやってくれているんだったらいいけれども、やはり環境省もだんだんでかくなってくる。人数を見てください。一九七四年、三十九人が、今は九十七人です。しかし、頑迷固陋というか伝統墨守というか、環境保健部という名前はずっと変わらないんですね。ほかの局の名前なんかは変わっている、変わるのがいいというわけじゃないんですけれども。もっと大胆に変えていかなくちゃならない、それは人ですよ。

 例えば、医者じゃなくちゃ仕事ができないというわけじゃないですけれども、環境問題、公害問題なんかになると人間の体に悪影響を及ぼしますから、必ず医学的な知識が必要になってくるんです。初代環境庁長官大石武一さんは医者ですよ。それから、初代の公害課長で環境行政の基をつくった橋本道夫さんも医者ですよ。彼らは使命感を持ってやったと思います。今も持っておられると思いますけれども、駄目、中途半端だと思います。

 環境省で立派な医系技官をつくってください。これもイエスしか答えはないんだから、ちゃんと答えてください。

浅尾国務大臣 御指摘のとおり、環境省所管の環境保健部の所管事務においては、環境問題についての知見と医学的な知見の双方が不可欠でありまして、環境省のプロパーの事務系の人と、厚生労働省からのいわゆる医系技官がチームを組んで仕事をしている。こうした医系技官の方々にも大変貢献をしていただいているところであります。

 今、御指摘は、環境省プロパーの医系の技官ということなんだろうと思います。そのためには、環境省が継続的に医師を採用していくことが必要だということになってくるわけでありますが、実際に医師のポストとしては大体十名程度ということでありまして、そうなってまいりますと継続的に採用していくには少し難しいところがあるかなということになってくるわけでありまして、結果として、環境省に複数回出向していただきながら、厚生労働省の採用であっても複数回出向していただきながらステップアップしている医系技官のケースも多々あって、今後もそういった中で、両省で密にコミュニケーションを行って、ベストの人事となるようにしていきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 これも残念ながら官房長の答弁みたいですね。これね、分かるんです、行ったり来たりすればいいんです。だけれども、本家本元、親元は環境省で、厚生省に出向し、外務省にも出向し、ほかのところで、悪いことをしているというか、悪いことって、公害を一番つくっているのは経産省ですから、経産省の公害の元の役所や何かに出向すればいいんです。だけれども、本家本元は環境省だ、そういう人をつくって、いっぱいほかの省庁のポストを食って抑制すればいいんですよ。そういうずるいことを考えればいいんだろうと私は思います。

 だから、絶対にアンブレラミニストリーですよ。環境で網にかかって、みんな、どこの省庁にも関わりがある。それは外務省も同じようなことで、外交というので。だから、それを利用してやれば私はいいんだろうと思います。そうじゃないと、ほぼよくないと思いますよ。

 それで、これはそもそも論になって、環境省だけで解決のつく問題じゃないですけれども、技官の仕事こそきちんとやってもらわなくちゃいけないんだよ。事務官なんというのは、どうでもいいなんて言っちゃいけないけれども、私もそれだったんですけれども、どうでもいい。技術者はちゃんとした知識があって、そこにいてもらわなくちゃ困るんですよ。この人たちの意見、見解をきちんと採用して、そして行政をするというのは大事だと思います。それが日本の霞が関にはちょっと欠けているところがあるんじゃないかと思います。

 かつては、これは余り知っている人はいないんですが、勅任官というのがあって、それはお雇い外国人、技術なんです。だから、その延長線上で技術者を物すごく大事にしていたんです、戦前は。戦後はそれをないがしろにして、だから、環境省の事務次官は財務省から来て、知識はないんですよ。こんなのは大臣と副大臣と政務官だけでたくさんですよ。事務次官もこんなのが来られたら、下はたまらないと思いますよ、知らないのがぽっと来て。そういうふうにしてください。そういう状態に環境省はなっているんですよ。

 次、また資料を見ていただきたいんですけれども、環境省の仕事ぶり、本人たちは非常に熱心で真面目なんですが、今回のは実例を示す、実例。

 この関係で、人繰りはどうなっているのというので聞いて、厚生労働省に聞きました。厚生労働省は一枚一枚、これはちょっと部数が多くなるので、小さくなって済みませんが、一番上の厚生労働省は医系技官を十一人毎年採用しているとか、僕の質問に対してきちんきちんと答えているんです。

 外務省は、そんなに答えてもらわなくたっていいのに、小さいですけれども、カラー刷りの右側のですね。どういうのがあったかというと、これはもう、私のアイデア、もう挫折しましたけれども、どうせそんなポストがないという答えが返ってくると分かっていましたから。さっき言った、ほかの省庁に出すというのに、各大使館の医務官っているんです、病気の。そこに三年行って、環境アタッシェと医務官と両方やったらいいじゃないかと言ったら、外務省は、とんでもないと。医者を十年やった人じゃないと役に立たないと。それはそのとおりです。こんな、役所でちょろちょろしていたのが診察できるわけないですからね。だけれども、それでもこれだけ丁寧にやって、地図までああしてよこしてくる。

 一番下が環境省です。冷たいんですよ。あちこちの委員会とか行ったりしてやっていますけれども、悪気があるときもあるけれども、普通、なくても、国会議員に対して冷たいんですよ、議員のやつは何を言っているかと。しようがないんです、余り議員と何かやるということがないですからね。外務省もそうなんです。逆に、外国出張したときにアテンドしたりして、世話を焼いているのが自分たちだから、もう冷たいです、踏ん反り返っています。環境省は踏ん反り返っていないですけれども、冷たいんですよ。

 見てください。本人たちは気がついていない。議員たちを巻き込んで、例えばCOPにも一緒に行って議員外交をやってもらう、そういう姿勢がないんですよ。我々、ウルグアイ・ラウンド、TPP、農林議員、自民党も我が党もついていきますよ。そういうことを考えないんですよ。

 これを見てください、これも直すようにしてください。説明も、僕の農林水産省と違うんですよね、見ているといっぱい。人数はそんな来なくたっていいですよ、一生懸命手を挙げて、でかい声で、分かっていただこうといってやるんです。農林水産省みたいに変な役所はないですよ。政策をきちんと考えるよりも、国会をちょろちょろ回って、うるさい農林議員たちに理解していただく、これに膨大なエネルギーを費やしています。

 環境省なんて、そういう感覚はほぼゼロです。いや、いいですよ、ちゃんとやってくれるんなら。ちゃんとやっていなくてそういうこともするんじゃ駄目なので、もっと政治家とかほかの人たちに説明する。そういう姿勢が如実に表れてどじをしたのがマイクオフ事件ですよ。あんなの、農林水産省の役人が地方に行って現地説明会して、あんなことをする気もないですし、夜中までとっちめられますよ、このばか農政で、霞が関で何も知らないくせに何やっているんだといってやられます。そういう場面が環境省の役人にはないということですね。

 どうもこれはいけないので、大臣、こういうのを、大臣は優しい、そういう人ですけれども、大臣の態度や何かもみんな環境省の人に持っていただきたいと思います。気がついていないんですよね。

 次、この間の野生動物保護法のときに、これはあえて聞きませんでした、私は野生動物に変えろというのをやっていたんですけれども。

 それで、資料を見てください、四ページ。名称変更がこんなにあるんです。だけれども、何でかたくなに、この前ちょっと資料だけやって説明しませんでしたけれども。私は環境委員会も長いんですよ、近藤委員長が長いんですけれども、その次の主ですよ。それで、一番最初は十九年前にこのことを言っているんですよ。四回ぐらい、鳥獣というのはそんなに悪い名前じゃないけれども、けだものというのはあんまりじゃないの、みんな変えているんだからと。

 見てください、こうやって変えているんですね。これは僕の分類ですけれども、差別的なのはみんな変えていますよ。一番最新は、一番下を見てください、下請企業を受託企業と。傑作なんですけれども、孫請企業というのはそのまま残るんです、法律用語じゃないから。下請というのは屈辱的ですよね、やはりよくない。それから、日本工業規格と日本産業規格なんて、そんな変えなくてもいいような気がしますけれども、変えているのは、やはり産業、広いんだと。

 環境省でもちゃんと変えたのがあるんですよ。動物の保護及び管理に関する法律を、動物の愛護及び管理に関する法律と変えているんです。これはどういう事情で、どうやって変えたんでしょうか。

五十嵐大臣政務官 お答え申し上げます。

 動物保護管理法から動物愛護管理法への法律名の変更は、平成十一年の議員立法による改正により行われたものと承知をしております。

 改正前においても、動物の虐待の防止や適正な取扱い、飼養等に関する規定を置き、それらを保護と呼んでおりましたが、愛護の表現は、それらを言い表すのみならず、人と動物のよりよい関係づくりを通じた生命尊重、友愛等の情操の涵養という法の目指すところによりふさわしい表現であると考えられたことから、目的規定などにおける保護の文言が愛護に改正される際に、法律名も併せて改正されたものと承知をしております。

篠原(孝)委員 美しい答弁で、そのとおりだと思います。愛護の方が広いんですよ。動物を虐待から守るだけじゃなくて積極的につき合っていこう、動物と。これだったら鳥獣の獣ですよ。いや、下に見ているんじゃないと言いますけれども、やはりけだものですよ。こんな名前は変えたらいいんですよ、平安時代に使っていたからといって、今も伝統墨守で、誰もそんなことやれなんて言っていないんです。

 いっぱい変えているんですよ、もう、右側に書いてありますけれども、都道府県は、野生生物や野生動物に変えているのが半分以上です。ただ、農林部局は絶対鳥獣です。分かりますよ。作物を荒らしちゃう、このやろうめだから、けだものだから蹴散らすというのは、それはしようがないですよ。だけれども、こちらは、熊、撃ち殺すと。しようがないですよ、人間に危害を与えるから。だから、僕はその部分は、どうかなと思うけれども、けちをつけません、それはしようがないと思う。だけれども、鉄砲で撃って殺すんだったら、名前ぐらい、戒名ぐらい優しい名前にしてやっていいんだと、それが野生動物ですよ。どうしてそういう情け心がないのか。人間と動物のつき合いですよ。そのはざまにあるのが、私は、象徴的なのは野生動物だと思う。動物保護を動物愛護に変えた、理屈に合っていますよ、こっちの方が絶対に。

 例えば、体育の日をスポーツの日にしているんですね。これもよく分からない。別にみんな気がつかないというか、体育しかスポーツなんてやらなかった。学校でやるわけじゃなくて、それをみんなもうそこら中でやるようになった。スポーツだと、それでスポーツの日に変えると。当然のことで、反対は起きないし、時代に合わせてと。

 それで、下の、鳥獣を野生動物というのがあるんですね。けだもの、これ、ちょっと質問取りに来た人とやっていたら、けだものなんて変な言い方じゃないと言うので三角にしましたけれども、差別的じゃないんだと言うので。それで、ワイルドライフと使っていますし、一般的に使っています。自治体もそうやっているんです。

 だから、僕は、議員立法なんかじゃなくて、来年変えろとは言いませんよ。この次に鳥獣保護を変えるときは、もう名前を変えて、野生動物保護法に変えて提出していただきたいんです。本当は、望むらくは、その四年ぐらいずっと環境大臣をやっていただきたいんですけれども、まあ、そうはいかないでしょうけれども、それをちゃんと心に留めておいていただきたい。特に環境省の真面目なお役人の皆さん方に、自分たちで発議して変えていこうという意欲がちょっと欠けているんじゃないかと私は思いますよ。もっと自信を持って環境行政をやっていただきたい、これもその一つだと思います。大臣、いかがですか。

浅尾国務大臣 お答えいたします。

 鳥獣保護管理法の第二条第一項において、鳥獣とは鳥類又は哺乳類に属する野生動物とされているところでありまして、御指摘の点については、野生動物とは一般に鳥類や哺乳類以外の動物も含む概念だというふうに理解しておりまして、本法が対象とするのは鳥類と哺乳類のみであること、加えて、鳥獣という言葉は日本書紀や鳥獣人物戯画等にも使われ、古くから、かつ、広く普及している言葉であります。

 獣の漢字は、常用漢字として扱われ、獣医師法を始め鳥獣保護管理法以外の法令においても広く使われており、差別的な意味は含まれていないこと等から鳥獣保護管理法の法律名を今使用しているということでありまして、御指摘の点については、御指摘は御指摘として承らせていただきますが、現在はこういう形になっているということであります。

篠原(孝)委員 まだちょっと時間あるんですか。

 分かりますよ。順序からいったら、これはそんなにぎゃあぎゃあ言いませんけれども、姿勢としてそうしていった方がいいと。ほかのところは本当にびっくりするぐらい軽やかに変えているんですよ。何でそんな、環境省というのは新しくできた役所ですし、そんなに伝統はないですよね、そんなに墨守する必要はないと。僕は、文学の世界ではいいですよ、鳥獣を使って、昔から使われているんだから。だけれども、国民を相手にするというときに、鳥獣というのは子供たちに分からないと思いますね。野生動物の方がいいですよ、子供たちを相手にしてやっていかなくちゃいけないということですよ。

 それで、もう一つ。さっき大石武一さんが出たので、大臣が何でもできると、大石武一さんはどういうことをされたかというのを今環境省の人たちも忘れているんじゃないかと思いますけれども、行け行けどんどんですから。今だってばかなことをしていますよ。

 昨日、僕は神宮内苑に行きました。水がかれて、木が枯れている。僕は今日も外苑の会合があるんですけれども、船田元さんと一緒にやっている会合があるんです。小池百合子知事ががんがん、選挙のときだけおとなしくしていましたけれども、始めていますよ。

 しかし、おかしいと思いますよ。首都圏で、首都圏というか、首都で緑が一番ないのは東京ですよ。ほかのところで造ればいいんだよ、お台場でも銀座でも。それをわざわざ神宮外苑に百メートルを超えるビルを三つも建てる。気が狂っていると僕は思います。

 それで、大石武一初代環境庁長官はどうされたのか。田中角栄首相、そして群馬、新潟、福島の知事、みんなそろって、尾瀬沼を潰して観光地にすると。これを彼は、彼というのは、初代大石環境庁長官は阻止して、今はどうなっているんですかね。みんな尾瀬に行きます。そういうことをできるんですよ。ストップできる。だから法律ないですよ、そんな。環境庁長官、今は環境大臣がストップできる。だから、そういうことができるんですよ。是非そういうことをしていただきたいと思います。

 その前に、事務次官をほかの省庁からというのをやめ、医系技官をちゃんとつくって、環境省の皆さんがもっと晴れやかな気持ちで仕事をできるような体制をつくっていただけることをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、馬場雄基さん。

馬場(雄)委員 皆さん、お疲れさまでございます。福島県出身、立憲民主党の馬場雄基でございます。会派を代表し、質問をさせていただきます。

 まず冒頭、今回の視察の件でありますけれども、テーマに除染土、東日本大震災及び原子力災害で発生した除去土壌の課題を取り上げていただきまして、各会派の皆様方が福島の地に実際に足を運んでくださったことに厚く御礼を申し上げたいというふうに思っています。委員長、そして理事の皆様、そして参加してくださった皆様、御用意してくださった職員の皆様、そして協力してくださった全ての皆様方にありがとうございますとお伝えをさせてください。

 しかし、感謝で終わるわけにもいかないのがこの究極の現場の話でもあります。与野党の垣根を越えて、一層の皆様方の御理解及びお知恵をおかしいただきたいというふうに思っております。

 浅尾大臣、先週ですかね、閣僚会議におきまして、首相官邸での利用も含めた基本方針ということが検討されたというふうに伺っております。官邸敷地内では花壇などの使用も想定していくということでありますが、是非視察に行っていただいた皆様方も想像していただきたいんですけれども、あの膨大な量です。あの膨大な量を花壇で賄うというのはなかなか難しいというふうに、皆様方が多分言葉にならない思いになられるというふうに思います。

 そこで大事になるのは、再利用を大幅に進めていくためには、各自治体の理解であったり、あるいは各企業の理解であったり、それをどういうふうに進めていくかということになります。それを、この究極の本事業を、善意の気持ちで、あるいは使命感に委ねていてはいけないというふうに思っています。

 つまり、各企業や自治体が等身大で検討していく、等身大の気持ちで検討していくには、再利用における経済的合理性の検討が必須だというふうに思います。復興を後押ししたい、そういうふうに思ってくださる自治体や企業は数多くいらっしゃると思います。無理して進めるのではなく、等身大で、地に足をつけて議論ができるように進めていただきたいというふうに思っているわけであります。

 浅尾大臣、昨年度と状況は変わりました。政府の体制も、一層前に進もうという今になりました。基本方針の中に、再利用における経済的合理性、インセンティブを含めて検討いただけないでしょうか。

浅尾国務大臣 お答えいたします。

 再利用を進めていかなければいけないということは御指摘のとおりであります。

 御指摘の復興再生利用に係るインセンティブについては、現時点で方針は決まっておりません。

 まず大切なことは、復興再生利用の必要性、加えて、安全性等について全国民的な理解醸成を図るとともに、福島復興に向けた再生利用の機運や、安心感、納得感の醸成、さらには社会的受容性の向上に向けた取組を行うことが重要だと考えております。

 今申し上げました安全性についての全国民的な理解、安全なものであるということをまず理解をしていただくということが大事でありまして、このため、積極的かつ分かりやすい情報発信などの全国に向けた理解醸成活動を推進するとともに、風評被害を生じさせないという観点から、リスクコミュニケーションの強化のために必要な取組を検討していきたいというふうに考えています。

 インセンティブについて、現時点で方針は決まっていないということは、逆に言えば、必要以上のインセンティブをつけた場合には、じゃ、安全じゃないのではないかと裏の予見を与えてしまう可能性もあるということを是非御理解をしていただきたいというふうに思います。

馬場(雄)委員 等身大で各自治体や企業が進めていく上で、あそこから土をわざわざ持っていきますというふうに言ったときに、市場の原理に基づいてうまくいくとは到底思えません。市場の原理をやはり少しはゆがめていかなければ進まないから、私は政府の価値があるというふうに思っています。

 これは是非皆様方にも理解いただきたいんですが、昨年度、復興特別委員会において、土屋前復興大臣からは、インセンティブは選択肢の一つであるという答弁を我々はいただいております。しかし、本事業においては環境省が実施主体であります。環境省自身が前に進めていただかない限り、恐らくこの話は進まないんだと思うんです。

 繰り返します、状況が変わりました。五か年計画を作られると伺っております。その中においてこの検討がなければ私は進まないというふうに思いますので、検討していないというわけではなく、今後含めて選択肢の一つ、まずは復興大臣と環境大臣の言葉をそろえていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

浅尾国務大臣 今申し上げたとおりでありますけれども、インセンティブ、経済合理性は当然必要です、受け入れる側にとって。そのことと必要以上のインセンティブとはまた別の話だということで、是非御理解をいただければと思います。

馬場(雄)委員 聞いてくださっている方々は皆さん理解していると思っていまして、私は必要以上のインセンティブということは一切言っておりません。選択肢の一つにしていただけるということ、そう受け止めさせていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 しかし、再利用の五か年計画とありましたけれども、期限が明確に定められているのは最終処分です。最終処分こそ本丸でありますので、この五か年計画における再生利用以上の進捗管理、最終処分に向けて実際に進めていただきたいというふうに重ねてお願いを申し上げます。

 続きまして、中間貯蔵に持っていく前にあった仮置場の話です。あの膨大な量、行っていただいた皆さんはお気づきだと思うんですけれども、そこに行く、到達する前には仮置場があったわけでして、その仮置場について、この教訓を是非未来に生かしていただきたい、そういう趣旨で質問させていただきます。

 お手元の資料を見ていただきたいんですけれども、原状回復完了というところが表の一番右にあるわけでありますけれども、中間貯蔵施設に土が運び込まれる前に、福島県の各地で土壌の一時的待機場所として設置されたのが仮置場であります。役目を終えた仮置場は当然地権者に戻されるわけですけれども、確認したいのは、ここに書いてある原状回復という言葉、定義になります。

 環境省さんに端的に伺います。

 仮置場が地権者に戻った後、市町村に苦情が寄せられた事例があるのかないのか、その事実確認だけお願いします。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 仮置場の原状回復につきましては、所有者に御意向などをお伺いしまして、土地の形状復元や、農地におきましては地力回復のための施肥といった措置を講じまして、所有者と数次にわたり御相談した上で、最後に現地確認を行った上で返地をしてございます。

 ただし、議員御指摘のように、返地後に土中に石やれきなどが確認されるなど、返地時点で判明しなかった事象が確認された場合には、土地所有者と調整の上、合理的かつ可能な範囲内で必要に応じて追加対策の施工を行うなど丁寧な対応に努めております。

 このような方針の下で、御指摘のように、地権者の御意向に丁寧に対応してきたところでございます。いろいろな御意見はお伺いしてございます。返地の段階で苦情がゼロだということではございません。いろいろな御意見を伺っています。

 また、農地におきまして、営農再開支援につきまして、復興庁ないし農林水産省の事業を活用できるなどの支援もございます。様々な必要な措置を講じて、引き続き円滑な返地に努めてまいります。

馬場(雄)委員 お答えありがとうございます。本当に素直におっしゃっていただきまして、ありがとうございます。

 実際に、岩が残っていたりとか遮蔽土が残っていたり、そういう事例がなかったわけではないんです。ただ、大臣、ここはしっかりと受け止めていただきたいんですけれども、その後、しっかり農水省さんとか、あるいは復興庁さんにちゃんとつないでいただいて、その事業はしっかり進んでいるというふうに私は報告を受けています。もしあったら、それをしっかりと御報告させていただきたいと思いますが、現状、しっかり進んでいるということは大臣も理解していただきたいです。

 ここで私が申し上げたいのは、次の災害があったときに、この原状回復という言葉をしっかりと受け止めさせていただきたいなというふうな思いなんです。行政側から見た原状回復の姿と、そこにある地権者、住民の感情からくる原状回復という言葉には、やはりそごがあるんだというふうに思います。実際に今のケースでいうと、この右の表にあるところの原状回復をした後に課題が発見されているんですね。つまり、地権者としては原状回復されていないわけです。けれども、行政側としては原状回復していますよという報告になってしまうんです。

 そこを是非少し丁寧に進めていただきたい、先ほどお言葉もありましたけれども、進めていただきたいというふうに思いまして、浅尾大臣に、あってはならないと思いますが、今後同じようなケースが起きたときに、原状回復という言葉をもう少し丁寧に、住民に寄り添った形で行っていくということをここでお答えいただけないでしょうか。

浅尾国務大臣 除染等を速やかに行う上では、各地に仮置場を整備することが不可欠であった中で、御協力いただいた地権者を始めとする関係者の皆様には心から感謝を申し上げます。

 除去土壌等の搬出が終了した仮置場については、環境省や市町村において、所有者の方に、例えば、営農再開に向けた御意向などを伺って、順次その御意向を踏まえて原状回復を行って、できるだけ早期に地権者にお返しをすることとしております。

 引き続き、地元の皆様に寄り添い、しっかりとお考えを伺いながら、関係省庁とも連携して仮置場の返地に当たってまいりたい。つまり、今御指摘があったとおり、考えを伺った上で、それにのっとって返地をしていきたいというふうに考えております。

馬場(雄)委員 大臣、ありがとうございます。

 まさに、先ほど坂本委員からもありましたけれども、まさにこの土地を国にしっかりと、差し出すという表現はよくないですけれども、渡さなければ復興が前に進まないというようなことで、かなり地権者の方々はプレッシャーがかかっていたものでもあるというふうに思います。だからこそ、そこは政府の責任においてしっかりと地権者側の目線に立ってしっかりと遂行するんだということは、次のことに向けて、政府の教訓にしていただきたいなというふうにお願いをさせていただきたいと思います。

 続きまして、万博です。ちょっと機運が高まってきたなというふうにも思っているんですが、万博について伺いたいと思います。

 先月、東日本大震災、原子力災害の復興ブース、これも盛況であったということを伊藤復興大臣からも報告をいただきました。

 ただ、私が気になっているのは、その後どうするのかという点であります。

 特に大屋根リングですよね。大屋根リングは、これは是非、資料を見ていただきたいんですけれども、二ページ目、三ページ目ですね、福島県産材そして技術を相当結集させていただきまして、復興のあかしとも評していただき、資料のとおり、経産省さん始め政府としても、大屋根リングを歩きながら復興に思いをというふうに高く評価していただいたというふうに私は信じています。造って終わりではなくて、環境を守り、資源を循環させて、万博及び復興のあかしというものがしっかりと未来につながっていくということを含めて、本物の価値になるんだというふうに私は思っています。

 しかし、現在、大屋根リングにおいて、再利用の可能性調査、これは別な質疑の中で答弁いただきましたけれども、二十者から再利用における提案がありましたというふうな御報告をいただきました。この二十者の再利用というものが一体どの程度の規模になるのか、全体の規模と併せて参考人に伺います。

真鍋政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の二十者からの再利用の提案につきましては、二〇二五年日本国際博覧会協会が、二〇二四年の二月に、大屋根リングのリユース等有効活用の可能性の検討をするに当たりまして幅広く提案の募集を行った結果、自治体、建設会社、木材加工メーカーなど、二十者からの御提案の提案書をいただいたものでございます。

 その時点、すなわち二〇二四年二月時点で見込まれる需要量といたしましては、大屋根リング全体が約二万六千立方メートルに対しまして、約六千立方メートルであったというふうに承知をしているところでございます。

馬場(雄)委員 二万六千分の六千というところで、ありがとうございます、今お話をいただきました。

 いろいろ方法が検討されていると思うんですけれども、まだまだやはり道半ばなんだろうなというふうに思っていまして、当然、ミャク市!というものもホームページ上にあって、リユースを促進するためのホームページが立ち上がったというふうに伺ってはいるんですけれども、実際にこの公募みたいなものは始まっているわけではないんですよね。

 これは少し反応だけ伺いたいんですけれども、苦戦しているように我々は、私は受け止めたんですが、実際担当されている者として、任せて大丈夫だ、任せてもらって大丈夫だという範囲のものなのか、少しちょっとやはりみんなで機運を高めていかないとまずいよねというふうに感じておられるのか、その点を是非ちょっと伺いたいんですが、いかがでしょうか。

真鍋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、博覧会協会におきまして、二〇二四年の八月に万博サーキュラーマーケット、ミャク市!のサイトを立ち上げまして、リユースの検討に関するお問合せの対応ですとか説明会の実施、こういったものを行っているところで、需要の掘り起こしを頑張っているところでございます。

 引き続きしっかりと資源の有効活用をしていただくべく取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

馬場(雄)委員 是非皆様も一緒に考えていただきたいんですが、二万六千分の六千というところで、これもやはり期限がある問題であるということを考えると、なかなか御答弁が難しかったこともあるとは思うんですが、青信号ではないんだろうなというふうに受け止めます。

 じゃ、黄色信号、まあレッド信号でもないと信じたいんですけれども、黄色信号であった場合には、黄色を青にしていくために様々な打てる手があるならば打つ手をしていかなければいけないという中で、ちょっと気になっていたんですけれども、一月に日本国際博覧会協会の持続可能性局が出した資料、一月二十一日に出されている資料なんですが、リユースの準備期間について、公募を開始するのが三月だというふうになっていたと思います。

 私、これは正しいと思うんですよね。それを青信号に持っていくには、まさに万博のあの大屋根リングを見ていただいて、あっ、これはうちにもどうかなというふうに、あの感動とともに、いかがでしょうかというふうに持っていくのが必然だというふうに思っていまして、三月から開始させようとしていたその形跡が見られたのは、私、これは正しいなというふうに思ったんです。しかし、今確認させていただきましたが、まだ公募はスタートしていない状況なんですよね。

 是非やはり合わせていただいた方がいいと思っていまして、過去を遡ってもしようがないですから、少なくともこの十月までの開催期間中に、多くの方々に、見ていただいた方にいかがですかというふうな体制を早急につくるべきだというふうに思っておりまして、少なくとも、今月中とかそういったところから公募の開始をスタートできるように整えていただくことはかないませんでしょうか。

真鍋政府参考人 お答えいたします。

 リユース先につきましては、博覧会協会におきまして、委員御指摘のとおり、公募を行い、決めることとしております。

 現在、今月中、六月中の公募開始を目指して準備を進めているところでございまして、できるだけ早い時期に開始し、その中でリユース先を決定していくということになります。

 いずれにいたしましても、資源利用をしっかりと図っていく観点から、多くの方々に御参加いただき、リユースされていくよう、働きかけてまいりたいと思います。

馬場(雄)委員 ありがとうございます。

 今月中を目指すということでしたので、しっかりと見守らせていただきたいと思います。やはり、会場に行ったあの躍動感の中でしっかりと訴えていくということが何にも増して重要だと思いますし、先ほどの、やはり、除染土の話もそうですが、期限が明確にあるものですから、今できることは全てやり尽くすということの覚悟が私は必要だというふうに思っていますので、打てる手があるならば全てやる、その覚悟で是非お願い申し上げます。

 しかし、ちょっと困ったことがありまして、例えば、再利用も含めてですけれども、民間企業や各自治体が、では、実際に再利用をやりましょうというふうに志を持ってやろうとしたときに用いることができる公的支援というものがそもそもあるのかなというふうに思いまして、大阪からいろいろ持っていこうとするとコストがかかるなというふうに思ったんですが、公的支援の現状について伺いたいと思います。

真鍋政府参考人 お答えいたします。

 大屋根リングについてでございますが、リユース先で活用いただける支援策につきましては、リユース先におきまして、どういった施設を造るのか、どういうふうに使われるのか等にもよりますことから、一概にお答えすることはちょっと難しい状況でございます。

 リユース先で活用していただく支援策として、例えば、リユース品でありますとか中古品とか、こういったものを施設の整備に使用する、それが補助対象経費になっているというような場合にはもちろんお使いいただけるわけでございまして、そういったところを工夫していただきながら、自治体、民間企業の方にしっかりと活用していただければというふうに考えているところでございます。

馬場(雄)委員 なかなか、具体的になると厳しいというところがありまして、もう一歩、少し検討していただかないとなかなか進んでいかないのかなというふうに危惧しています。

 例えば、交付金を使えますよと私は伺ったんですけれども、各自治体は交付金をほぼ使い道を決めていると思いますので、今から交付金を使えますよと言われても厳しいものがあると思います。持っていくというところまで考えてやはりスキームをつくるのが本来は筋じゃないかなというふうに思いますので、是非ともその点は一考していただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 時間が少しなくなってきましたので、最後の質問にさせていただきたいと思うんですが、先ほど申しました土壌しかり、大屋根リングしかり、やはり未来を見抜く姿勢というのは絶対に必要だというふうに思います。実際の未来の当事者たちがやはり参加していく政治の環境というのが私は必要だと思っていまして、今回、被選挙権年齢の部分もかなり機運が盛り上がってきているような気がしておりますが、本質的には、若者が等身大で意見を述べることができる場を当たり前に整備していくということだというふうに思っています。

 そこで、昨年に、温対法の質疑において、高校生など若者を有識者に含めることを要望させていただき、また、附帯決議にも盛り込ませていただきました。その後の環境省の進捗や変化について伺います。

土居政府参考人 お答えいたします。

 昨年六月から十二月までの間、新たなNDCを含む地球温暖化対策計画の改定につきまして、環境省、経済産業省の合同審議会において議論を行いました。

 この合同審議会におきましては、二十代から三十代を含む若者世代にも参加いただいたほか、委員の半数を女性にするなど、専門分野、年齢層、男女のバランスに留意しつつ審議を行ったところでございます。

 また、若者団体を含む様々な主体からのヒアリング結果も踏まえて計画の改定の検討を進めたところでございます。

 気候変動対策の検討プロセスにおきましては、様々なステークホルダーに耳を傾けることが重要であると認識しておりますので、今後もこのような取組を進めてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 環境省の皆さん、ありがとうございます。本当に進んだなというふうに、正直、素直に喜びたいというふうに思っています。是非とも環境省が先駆者となって広げていただきたいなというふうに思っています。

 まだ、やはり、高校生を含めるというのは、なかなか、いろいろな工夫であったり課題があるなというふうに思いましたので、そこは御一緒に考えさせていただきたいと思いますけれども、是非このいい流れを浅尾大臣には加速していただきたいというふうに思っています。

 非常に環境分野は若者と親和性が高くて、あらゆる方々から私は伺うんですけれども、大体、エコであったりあるいは動物愛護から社会的関心を抱き、政治に関心を持ちましたという方が非常に多くいらっしゃると思っています。だからこそ、この環境省が、日本に、若者の、当事者の意見を聞くという新しい文化を環境省が自らつくっていくんだというような力強いメッセージ及びその実践を、浅尾大臣には力強くお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

浅尾国務大臣 御指摘のとおり、若い方と環境分野というのは親和性が高い、大変関心を持っていただいていると私も思っております。そうした中で、気候変動や生物多様性の損失など影響をより深刻に受けるのは若者を含む将来世代であり、こうした若者世代の思いや声をしっかりと受け止めて施策を検討していく必要があると私も思っております。

 例えば、新たにNDCを含む地球温暖化対策計画を議論した環境省、経済産業省の合同審議会においては、今ありましたように、専門分野、年齢層、性別等のバランスに留意しつつ、若い世代にも委員として参画いただいて審議を行い、また、若者世代を含む様々な主体からのヒアリング結果も踏まえて計画の改定の検討を進めたところであります。

 また、昨年五月に閣議決定された第六次環境基本計画の策定過程においては、中央環境審議会総合政策部会において、ユース団体に属する十代から二十代の方からも意見聴取を実施した上で、パブリックコメントを通じて、若者を含む幅広い国民の御意見を聞きながら策定してきたところでありまして、引き続き、環境問題に関わる立場や価値観の異なる多様な主体、世代の対話や協働取組への若者の参加の機会を支援するとともに、政策形成過程において若者などの意見表明の機会の拡充に努めてまいりたいと考えております。

馬場(雄)委員 立法府の決議が社会を前に進めていくことの、本当に喜びを感じています。是非とも、環境省からいい未来をつくるため、政策形成プロセス、若者に交ざっていただけるように、私も頑張りたいと思います。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、松木けんこうさん。

松木委員 松木けんこうでございます。

 質問の前に、浅尾さんにちょっとお話ししたいことがあって、さっきの、松下さんがいろいろとPFASのことで話をしていたと思うんだけれども、結局、彼女が言いたいのは、やはり、正規の会合は九回か何かやって非正規の会合は二十何回もやっている、裏で何かやっているんじゃないか、こういうふうに見えるよということを一番言いたかったのかなというふうに思います。そして結果が、やはりアメリカの規制から見てもゆるゆるの規制が、まあ決まったのか決まっていないのか私は詳しいことは分からないんだけれども、分からないじゃ駄目だろうけれども、そういうことを彼女は言いたかったんだなというふうに思いますので。

 まあ、裏もあれば表もあるので、それは裏の会合があるのも分かるんだけれども、しかし、幾ら何でも表が九回で裏が二十四回というのは、もうちょっと裏を減らしてちゃんと表にしていくという努力はやはりしないと、ちょっと何か余りよく思われない可能性があると思いますので、なるべく環境省は、大臣の今日のかりゆしと同じで明るい役所であってもらいたいというふうに思いますので、是非それをちょっと頭に入れておいてください。答えはいいですから。

 それで、まず、今日は私もいろいろなところからお願いされていまして、まず、象牙の取引のことでちょっとお話を聞きたいと思いますけれども。

 今、象というのは、特にアフリカゾウの話なんですけれども、今、四十一万頭ぐらいになっちゃっているんですね、二〇一六年の報告で。元々、五百年前、まあ五百年前は私がいたわけじゃないんだけれども、二千万頭ぐらいいたそうですよ。そして、欧米の方々がアフリカに進出するようになってから、どんどんどんどん減っていったということのようでございまして。

 このアフリカゾウというのは一言で言っても、サバンナに生息するサバンナゾウと赤道付近の熱帯雨林に生息するマルミミゾウの二種類がいるそうです。そして、この五十年間で大体サバンナゾウが六〇%減ったということですね。マルミミゾウに至っては過去三十一年間で八六%も減っているということなんですね。非常に、このままいくと本当にいなくなってしまうんじゃないかということを言われているわけですね。

 アフリカゾウに対する脅威としては、アフリカの人口増加というのがありますわね。そして、土地の開発、こういうことももちろんあって、生息地の喪失とか分断化なんかも象が減っている一つの原因だというふうに言われているんですけれども、その中で、やはり密猟がかなり大きいんじゃないかという話もあるんですね。

 そして、象というのは、私もこれは初めて知ったんですけれども、母系家族らしいんですよ。要するに、おばあちゃんがいて、それがリーダーで、その娘の母象たちが一緒にいて、その子象たちがいるということになっているそうなんですね。これが結局密猟で皆殺しにされちゃうということのようでございます。これは本当によくないことだというふうに思います。

 そして、日本はそういうことには関係していないように思いたいんだけれども、なかなか結局そうでもないということで、日本が象の違法な国際取引にどのように寄与しているかについては、ワシントン条約のゾウ取引情報システムのデータに示されているということで、二〇二〇年にコロナ禍が深刻化する前の十年間、二〇一〇年から一九年に日本が関与した象牙押収は合計で二百五十七件、押収された象牙の総重量は三・三トンに及ぶというふうに言われています。

 象牙の取引というのは禁止になったんだけれども、自国の中の市場というのはそのまま残った国が当初多かったんですね。そして、日本にもかなり在庫があるんです。その在庫でいろいろなものを作るわけですよね。そうしたら、それが結局、今、日本は一番初めは多分、象なんかいませんから、だから、輸入したんですよ。しかし、今度は日本から輸出されているんですわね。輸出されるということは、これは違法になっているはずなんだけれども、これは非常にまずいなというふうに私も思うし、こういうことで違法に輸出されることによってどんな影響があるのかというのをお聞かせいただきたいと思います。

植田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の象牙の違法輸出がもたらす問題点に関しましては、違法輸出が密猟につながり、象の個体群の維持を脅かすことが懸念をされているものと承知をしております。

 ただ、二〇一六年のCITES決議で閉鎖が求められている国内市場は、象の密猟や違法取引を助長する国内市場でありまして、我が国では、象牙の国内外の流通について外国為替及び外国貿易法や種の保存法において厳格な管理がなされていますことから、このような国内市場には当たらないというふうに考えております。

 いずれにしましても、環境省としては、こうした問題が起こらないよう、引き続き関係省庁と連携をして、象牙の違法輸出を防ぐための制度の周知や流通の厳格な管理に取り組んでまいりたいと考えております。

松木委員 是非頑張ってもらいたいんだけれども、しかし、日本の市場が海外の方で密猟に対して影響を与えていないという話はやはり当たらないと思うよ、これ。結局、輸出されているでしょう。輸出されているということはどういう影響が出るかというと、やはり需要というのを刺激することになるわけでしょう。だから、需要が刺激されるからまた密猟が起きているんだというふうに思うので、やはりそれはなかなか許されないことだと思いますので、是非やはり考えていかなきゃいけないことだと思いますし。

 そして、日本と同じように合法的な国内市場から象牙が輸出されるという問題を抱えている国々が、条約決議を尊重すべく、一部の品目に関する例外を除き、象牙の国内販売を次々に禁止しました。EU、イギリス、アメリカなどもそうです。G7諸国で国内象牙市場の閉鎖をしていない国は、いよいよ日本だけということになってきました。

 これもやはりそろそろ考えていかなきゃ駄目なことだと思いますし、何でもかんでも駄目だとは言わないので、例えば三味線のばちとかああいうものというのは、文化財だとか、文化に対してのものなので、そういうものは許していったらいいと思うんだよね。しかし、なるべくなくしていくという方向をきちっと考えていった方が何かいいような気がするんですけれども、そこら辺はどうですか。方向性だけでいいよ。

植田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の、国内の象牙の取引でございますけれども、これは種の保存法において行っておりますけれども、今でも原則禁止をしておりまして、例外的な取引も厳格に管理をしておるような状況でございます。

 そして、種の保存法でありますけれども、これは、国内の対応、国外の対応と両方ありますけれども、これはちょうど昨年より、前回の法改正の内容を含めた、法の施行状況の評価をまさに進めているところであります。

 この結果を踏まえて、有識者による検討会を設置し、今年度から来年度にかけて、法改正を含めた制度の改善の方向性について検討して、整理をする予定であります。その際に、法改正の必要性等は、本検討会の結果を踏まえて判断してまいりたいと考えております。

松木委員 改正案が出てくる可能性がそろそろということだね、局長、そういうことでしょう。これからなんだろうけれども、是非早くやった方がいいよね。それを是非お願いをしたいというふうに思います。

 時間があればもっと、ちょっと細かいことを聞きたいんだけれども、いろいろなところからいろいろなものを頼まれているので、次に行きます。

 次は何かというと、今度はPCBのことについてなんですけれども、世界の環境を守るために、ストックホルム条約というのがありますよね、その中に、PCBについて質問をさせていただきます。

 低濃度PCBに関する国際的な取決めがあります。その条約では、二〇二五年の、令和七年までにPCBの使用を廃絶、二〇二八年、令和十年までに適切な管理を行うと定められている。日本では、この条約に基づき、処理期限を二〇二七年、令和九年三月三十一日と設定しています。保管方法は、廃棄物処理法規則八条の十三に規定する保管基準に従い、適正に保管する必要があるとされています。

 そこで聞きたいんですけれども、まず、今の段階でこれが守られなければ、罰則というのは当然、あるんですかね。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 関連の規制について、遵守していない場合は、罰則、ございます。(松木委員「どんな罰則があるの」と呼ぶ)

 直ちに今、ちょっと申し上げにくいんですけれども、例えば、罰金刑なり懲役なりいろいろあったと思いますが、済みません、ちょっと詳細は、条文を確認してみないとはっきりしたことは申し上げにくいんですが。

松木委員 済みません、ちょっと質問取りのときに、僕の質問の仕方が、多分、僕の方が悪かった。申し訳ない。

 いずれにしても、罰則というのはあるんだけれども、そんなにきつい罰則なのかなというのがあって、結構業界の人たちも心配しているんですけれども、今でもなかなか守られていない感じがあるよという話もあるんですね。

 それで、二〇二八年の目標というのは、これはおいておいてもいいんだけれども、是非、あと五年ぐらい余裕を見て、それこそ今度、五年後には、二〇二八年から見てということなのかな、もっともっとしっかりした厳罰化するということをしないと、なかなか日本からこういうものがなくならないよということを言う方がいますので、それを是非頭に入れてこれから環境省の方でお取り組みをいただきたいと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問いただきました低濃度PCB廃棄物については、現在も令和九年三月末の処理期限内の処理を目指し鋭意取り組んでいるところでございますけれども、現在も使用中の低濃度PCB含有製品が多数存在しておりまして、こうした製品が処理期限である令和九年三月末以降に廃棄されることが想定されるところでございます。

 このため、現在、中央環境審議会において、使用中の低濃度PCB含有製品の管理を徹底する仕組みや、処理期限以降に発生する低濃度PCB廃棄物が確実に処理される仕組みについて検討を進めているところでございまして、しっかり検討を進めてまいりたいと考えております。

松木委員 大切なのはそこだと思うんだよね。やはりしっかりなくしていくということだと思いますので、是非これからも努力をしていただきたいというふうに思います。

 何せ、二〇二七年の三月三十一日というのが処理期限ということになっているんだけれども、多分到底これは無理だというのがどうも業界の人たちの気持ちみたいだから、それも酌んであげて、いろいろと皆さんでまたいいことを考えていただきたいというふうに思います。

 それともう一つは、アニマルウェルフェアのことで聞きたいというふうに思います。

 まず、アニマルウェルフェアというのは、役所的にはどこが担当ということになるのかが、余り決まっていないような決まっているようなところがあるようなんですけれども、どこなんでしょうか。

植田政府参考人 確かに、御指摘のとおり、アニマルウェルフェア全体で担当しているという省庁は、具体的にどこというのはないんですけれども、やはり、動物愛護の観点からアニマルウェルフェアについていろいろな基準等を定めているのは環境省でありまして、産業動物とかそういったところの対応というのは農林水産省あるいは厚生労働省、こういったところが一緒になって対応するというのが現実でございます。

松木委員 三つぐらいが関与しているというふうに聞いていますけれども、是非、環境省が大将になって頑張っていただいたら私はいいなというふうに思っていますし。

 そこで、世界的に見ても、今、例えば、特に鳥の話をしますけれども、食鳥の処理の話なんですけれども、やはりなかなか、世界的には意識喪失を行うことを前提としてやるということになっているんだけれども、国内の食鳥処理場の七割以上が、世界では今当たり前に行われていることがなかなかされていないような状態なんですね。

 やはり非常に問題が大きいことだというふうに思いますので、何とか少し早くこういうことがもっともっと実現できるように頑張っていただきたいけれども、今、現状はどんな感じですか。

植田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の、日本国内の食鳥処理場において実施をされております事前の意識喪失を伴わない屠殺行為について、まさにアニマルウェルフェアの観点から不適切であるといった意見があることは承知をしております。

 環境省としましては、まさに先ほど申し上げたとおり、畜産物の生産、流通を所掌する農林水産省や、食鳥処理場の公衆衛生を所掌する厚生労働省と連携をしつつ、諸外国等における科学的知見や制度等について情報収集するなど、必要に応じ、動物の殺処分方法に関する検討を更に進めてまいりたいと考えております。

松木委員 とにかくおいしくいただくわけだから、人間というのはどうしても何かを殺さなきゃ生きていけない、そういう動物なんですわね。だから、やはり、命をいただくときは、いただきますと言ってもらうわけだから、なるべく痛い思いはさせないというのは結構大切なことだというふうに思いますので、是非、早くそうしていただきたいというふうに思いますし、世界でもそうなっていますので。世界がやっているから日本はやらなきゃ駄目だとか、そういう言い方はしませんけれども、でも、やはり大切なことだというふうに思います。

 是非、このアニマルウェルフェア、特に、あと、鳥のケージ飼いの問題もあるでしょう。ケージ飼いというのは非常に問題にされているんだけれども、ケージ飼いでいい部分もあるんだね。

 私、いろいろなことを調べてみたら分かったんですけれども、一つはやはり、我々、生で卵を食べるでしょう。これはケージ飼いだから食べやすいんだね。なかなか、平飼いでやっちゃうと、いつ生まれたのか分からなくて、ちょっとそれが厳しくなるということも聞いていますので。であれば、ケージ飼いの今の広さというのは、まあ、もうちょっと広げてあげるとか、何かそういう研究をこれから環境省の皆さんにもうちょっとやっていただきたいというふうに思っています。これは答えはいいです。

 いずれにしても、動物愛護というのは大切ですから、それを一生懸命やってもらえるのは環境省の皆さんだと思いますので、是非頑張ってください。

 そしてもう一つ、最後に、もう時間が多分、終了しちゃったのか。でも、ちょっとだけ聞きたいんですけれども、この間、私、いわゆるペット動物のことで聞いたんですけれども、あの後、ペット動物に関して何か動きがあったのかどうか、それを教えていただきたいんですけれども。

植田政府参考人 お答えをいたします。

 先日の委員会において御指摘をいただいて、それほど余り時間がたっておりませんので、なかなかいろいろなことが進んだというわけにはいきませんけれども、今までにも、一部のブリーダーの業界関係者からヒアリング、お話を伺ったりして、そういった状況の把握に努めているところであります。

松木委員 ありがとうございます。

 是非、やはり業界とか団体の人たちの話を聞いてやってください。やはり、十五頭だけだったらなかなか商売にならぬぞという話が随分ありますので。いろいろな問題があったのはよく分かっています。でも、彼らも非常に、業界、団体を健全化して、これから頑張っていきたい、こういう気持ちを持っていますので、そういうことも踏まえて考えていただけたらありがたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、空本誠喜さん。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。

 今日も四十分も時間をいただきまして、ありがとうございます。しっかりと質問させていただきます。

 まず、有機フッ素化合物、総称PFASの検出問題について、今全国各地で出ています。工場とか、また基地があったところとか、そういったところに出ていますけれども、最新の環境省さんとしての把握、どのように把握されていらっしゃいますでしょうか。まずは簡潔にお答えください。

松本政府参考人 お答えいたします。

 河川等におけるPFOS等につきましては、令和二年に要監視項目に位置づけております。それによりまして、水質汚濁防止法に基づく常時監視の一環として、全国の地方自治体におきまして、地域の実情に応じたモニタリングを行っていただいております。

 環境省では、これらの測定結果を取りまとめて公表をしております。令和三年度は全国で千百三十三、令和四年度は全国で千二百五十八、そして、令和五年度は全国二千七十八もの調査地点での測定結果が報告されているところでございます。

 令和五年度、この全国二千七十八もの調査地点のうち、暫定目標値五十ナノグラム・パー・リットルを超過した地点は二百四十二地点でございます。過去からの継続的な調査、また超過地点周辺の追加調査を除きまして、超過が新たに確認された地点は四十二地点だったということでございます。

 なお、これら全ての超過地点におきまして、PFOS及びPFOAに関する対応の手引きというものがございまして、それに沿った対応がなされていまして、地下水を飲用している場合は水道水への切替えを行うなど、PFOS等の飲用摂取防止のための取組が既に取られているところでございます。

 以上であります。

空本委員 ありがとうございます。

 今全国でどこでも出てくるというのがこのPFAS、PFOA、こういったものでございますけれども、これについて、吉備中央町にも委員会で視察に行きまして、活性炭、野ざらしだったものに対して雨が降って、そして水で流れていく、そして水源に流れ込んでしまって、その水源が使えなくなってしまったということもございました。

 そういった中で、そういう、各地においてやはり対策を打っていかなきゃいけない。まずは、住民の皆さんに対する健康調査、また吉備中央町では血液検査、私はそこまで必要ないというふうな見識をいろいろ皆さんから聞いているんですけれども、この健康調査と血液検査、血中濃度測定、この必要性について、環境省としてどのようにお考えでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 一部の地方自治体におきましては、住民の方々の健康支援や不安軽減のため、自治体の判断として、お住まいの住民に対して健康調査や血液検査を実施することとしたものと承知しております。

 PFOS等が原因で起こり得ます健康影響としましては、コレステロール値の上昇ですとか発がん等の関連が報告されておりますが、現時点での知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が個人に生じるか明らかとなっておらず、血液検査の結果のみをもって健康影響を把握することは困難であるとされております。

 したがいまして、環境省としましては、PFASの血中濃度と健康影響の関係性を明らかにすることが重要であると考えておりまして、国内外の知見の収集を推進しますとともに、科学的に評価可能な疫学調査や研究を推進しております。

 また、コレステロール値の上昇、発がん等につきましては、地方公共団体が既存統計の活用による地域の傾向把握に取り組むとともに、既存の健診の定期受診を推進することが望ましいと考えております。

 答弁は以上です。

空本委員 いろいろなところで出てきて、自治体は的確に対応していて、健康調査もされていらっしゃるということでありますが、そのときに、全国各地、工場があった地域とか、先ほど言いましたけれども、そういう活性炭、そういったものから、又は基地周辺で検出されたというものもあります。そういった中で、こういう濃度、一定基準の五十ナノグラムを超えた場合の処置について、今、水道のやり替えとか上水道に切り替えるとかありますが、地域の土壌とかそういったものに対する考え方、標準というのはどのように定めていらっしゃるでしょうか。

    〔委員長退席、松木委員長代理着席〕

松本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のあったとおり、PFOS等につきましては、飲み水を経由した健康リスクの低減を図ることが最重要と考えてございます。

 お尋ねの、工場やその周辺、川も含めまして、いわゆる河川等で暫定目標値を超えるPFOS等が検出された場合には、令和二年に環境省が策定したPFOS及びPFOAに関する対応の手引きに基づいて、地元の自治体におきまして適切な対応が図られるよう技術的な助言を行っているところでございます。

 その適切な対応というのは、具体的に申しますと、何よりも、周辺住民のPFOS等の飲用摂取を防止する観点から、井戸水を飲用している周辺住民がいらしたら、水道水への切替えを周知する。また、自治体におきましては、工場周辺等につきまして、継続的な、追加的なモニタリング調査をしっかりやる。そういう対応を行うように自治体に対して周知を行っているところでございます。

空本委員 まだモニタリングだけを行っている程度なので、やはり、土壌の回収、改善、除去、こういったものも必要なのかなと。

 去年八月一日に、第五回のPFASに関する総合戦略検討専門会議が行われて、対応状況について発表等をされていらっしゃいます。前の伊藤大臣の方から、この検討会議、しっかりとまた進めていくという御発言をいただいています。

 そういった中で、例えば、大阪の摂津市にある工場においてかなり高濃度が出てきて、周辺住民の方々、若しくは作業されていらっしゃった工場の方々の健康の問題、職業暴露の問題、こういったものをすごく心配されていらっしゃる方もいるんですが、その辺は、厚労省さん、どのように把握されて、どのように対応されているでしょうか。

井内政府参考人 個別の事業所に関するお答えというのはちょっと差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、PFASのうち、PFOA、PFOSにつきましては、労働安全衛生法におきまして、PFOAを二〇一七年から、PFOSを二〇二四年からリスクアセスメント対象物として指定をしております。これにより、現在は、職場におけるリスクアセスメントの実施を事業者に義務づけ、その結果に基づく適切な暴露低減等の措置の実施を求めているところでございます。

 こうした措置が適切に実施されるよう、労働基準監督署が事業者に対する指導を行っているという現状でございます。

空本委員 健康診断とかその辺をされながらそういう健康の確認をされていらっしゃるということでありますけれども、やはり暴露の問題については少し検討していただきたいと思いますし、そういった問題について後ほど大臣からは総括でいただきたいと思うんですけれども、そういった、去年は八月に第五回の検討会議をやっていますが、そういったところで前に進めることが必要かと思いますので、是非、そういった各省庁横断的に取組をお願いしたいと思います。

 そして、私の地元東広島市におきましても、米軍の川上弾薬庫というものがございます。こちらでも周辺で出てきた。こちらについては、もう確実に、基地内というか弾薬庫内にある一部の箇所が、やはりそこが発生源であろうというふうに自治体の方も見ています。

 けれども、なかなか情報開示、防衛省さんの方から、何度も何度もこっちの委員会でお願いしておりますので、頑張っていらっしゃっているというのはよく理解しているんですが、今どういう状況で、どのようにこれから対応していかれますでしょうか。防衛省さん、お願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としましては、川上弾薬庫周辺におきまして暫定指針値を超えるPFOS等が検出され、地域の皆様が不安を抱えていることにつきまして重く受け止めており、広島県及び東広島市からの御要請を踏まえ、米側に対しまして、川上弾薬庫の泡消火薬剤の保有や使用履歴等を確認し、昨年九月に関係自治体に情報提供をしたところでございます。

 具体的には、米側からは、一九九一年から二〇〇九年までの間、PFOSを含む旧式の泡消火薬剤を使用した消防車の点検及び訓練を行っていたこと、消火活動での使用履歴はないこと、事故による漏出はなかったこと、川上弾薬庫内にあった泡消火薬剤の原液等は二〇二〇年に焼却処分済みであり、現在、PFOSを含む泡消火薬剤を保有していないことといった説明を受けたところでございます。

 更なる情報提供や調査実施等の関係自治体の御要望につきましては、防衛省としましては、様々な機会を捉えて米側に働きかけているところであり、引き続き、地元の皆様とよく相談しながら、関係省庁とも緊密に連携して対応してまいりたいと考えているところでございます。

空本委員 是非お願いします。

 これは、繰り返し私もこの委員会でお願いするしかないと思っております。それは、防衛省さんがしっかり今対応していただいていることは本当に理解しております。けれども、やはり、こういった機会にしっかりお願いし、また、全国各地にも基地もございますし、そういったところで、安心醸成、こういったものが必要でありますので、是非、防衛省さん、各省庁と横断的に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、一点、もしといいますか、もう確実なんですけれども、発生源が基地内なんですよね。その場合、上水道を引くのは、自治体の敷地内、直前までは自治体の費用で行うんですね。さらには、実際に敷地内に入れば、住民の方が自己負担で水道を引かなきゃいけない。川上弾薬庫の地域の方々は、完全に井戸水だったんですね。住民の方々と、私、しっかり話をしていまして、そういった、決定といいますか、確認できた段階で、国の財源的なサポートをお願いしたいんですが、いかがですか。それだけお願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 PFOS等につきましては、これまでも日本国内において様々な用途に使用されてきましたと承知しておりまして、現時点におきまして、米軍施設・区域周辺におけるPFOS等の検出と在日米軍との因果関係について、確たることを申し上げることは困難でございます。

 その上で、仮に、米軍施設・区域からその周辺へのPFOS等の流出が判明されれば、米側に必要な対応を求めますとともに、関係自治体の御要望も踏まえまして、関係省庁と連携し、適切に対応してまいります。

    〔松木委員長代理退席、委員長着席〕

空本委員 是非よろしくお願いします。

 そして、最後、浅尾大臣に総括して聞きたいんですけれども、去年、伊藤前大臣が、やはり、第五回の検討会議、専門家の会議をしっかり継続していくと。そちらについては、農水省、やはりいろいろな問題もあります。そういったところをやっていただきたい。

 さらに、ここを一点言っておきますと、先ほどちょっと聞き忘れたんですけれども、実は、焼却して、PFAS、PFOAって、八百五十度とか千百度とかで燃やすんですね。燃やして、完全に分解して、そして無害化するというのがあります。そういった中で、やはりそういう対応も含めて検討会議で考えていただきたい。

 もう一点は、汚泥、ちょっと乾燥した汚泥とかを燃やすときには、逆に焼却炉がなかなかその温度まで上がらないという問題もあると聞いております。そういった意味で、実際の対応というのは、その専門家会議で、こういう事細かな対処方法、こういったものをしっかり取り組んでいただきたい。

 農水省さんの方には、農産物への吸い上げとか、水の吸い上げによる移行、今、水稲、米とかではなかなか上に上がっていかず、玄米若しくは精米すれば何も問題ないんじゃないかということを言われておりますが。

 農産物に対する影響、そして、先ほど申し上げましたが、汚染土壌、汚泥、こういったものに対する処分のやり方、それを横断的に、対応をしっかりお願いしたいと。それは、環境省が音頭を取って行うべきものでございます。浅尾大臣、いかがでしょうか。

浅尾国務大臣 お答えいたします。

 PFOS等については、地域の方々の不安の声などを真摯に受け止めつつ、科学的知見を踏まえた対応を着実に進めているところであります。

 環境省では、地域の方々の不安の解消や円滑なリスクコミュニケーションの促進の観点から、リーフレットの提供やホームページからの情報発信、自治体に対しては、より詳しい情報を収録したハンドブックの配付などを進めているところであります。

 こうした取組に加えて、地域の実情に応じてPFOS等の測定を行っている地方自治体の皆様から水質測定結果等の情報をいただきながら、対応の手引きを踏まえて、更なる調査等について必要な助言を行っているところであります。

 東広島市の事案においては、水質調査等について検討することを目的とした有識者委員会が設置されており、環境省もオブザーバーとして参加し、必要な助言を行っているところであります。

 引き続き、健康影響や対策技術等に関する知見や、排出源の特定に関する事例に、自治体への情報提供をする等、技術的な支援に努めてまいりますとともに、いずれにしても、各省連携して、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えています。

空本委員 是非、財源面を含めて、自治体に対する支援も含めて、検討をお願いいたします。

 続いて、電力の問題、再エネの問題、こういった問題を取り上げていきたいと思います。

 スペインやポルトガルで、皆さん御存じのとおり、大停電が発生しました。その原因究明、資源エネルギー庁さんとしてどのように捉えられていらっしゃるか、エネルギー、電力の専門家としての見解をいただきたい。そして、あわせて、系統対策、系統の再エネの出力抑制、出力制御、こういったものに対する基準、これは、どのような形で、誰が決めているのか。それについて、まとめて御説明をお願いします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、停電の関係ですが、現地時間四月二十八日に発生した欧州の大規模停電につきましては、当局である欧州系統運用者ネットワークにおいて要因の分析が進められているところでございます。

 当局によりますと、現時点で判明している情報としては、スペイン南部での複数の電源の停止、またイベリア半島の周波数が低下したことによるスペイン、ポルトガルでの負荷遮断、またスペイン―フランス間の連系線の遮断などの事象が短時間のうちに発生したとされております。

 経済産業省といたしましては、まずは、欧州当局の分析を注視をするとともに、その結果を踏まえまして、必要に応じて国内での対応を検討していきたいと考えております。

 また、二点目ですが、系統対策やそういったものにつきまして、資源エネルギー庁でどのようにということでございますが、系統対策や出力制御を含めて、電力系統に関連する制度につきましては、審議会で審議をし、幅広い専門家の御意見を踏まえた上で決定するものでございます。その審議会の資料につきましては、資源エネルギー庁の職員が、専門家と意見交換をしながら、資料作成を行っているところでございます。

空本委員 それで、系統対策、そういったものは、電力の専門の方々をもって日本の基準作りをされている、そして、それを事務方の皆さんが取りまとめているということだと思います。

 後ほどちょっと、またこれについては言及したいんですけれども、その前に、エネ庁さんが令和七年二月に示された二〇四〇年度におけるエネルギー需給見通し、シナリオを幾つか出されていらっしゃいますが、CO2削減を含めて、その中で、5番、技術進展シナリオ、CO2削減がなかなかいかないよという、最後の、現実的な解なのかなと思いますけれども。それについて、技術進展シナリオと書いてあるんですね、その技術進展というのは、どういうものがどういうふうに、技術が進展するのか、エネ庁さんからお答えください。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました二〇四〇年度のエネルギー需給見通しでは、二〇四〇年度温室効果ガス七三%削減、二〇五〇年カーボンニュートラルを前提に、そうした国際公約の実現には更なるイノベーションが不可欠であるとの考え方の下、再エネ、水素等、CCSなどの分野において技術革新が実現することを想定した上で、我が国の将来のエネルギー需給の姿を一定の幅でお示ししているところでございます。

 御指摘の技術進展シナリオにつきましては、二〇四〇年度時点において革新的な脱炭素技術の開発が期待されたほど進展せず、コスト低減等が十分に進まないような事態にもエネルギーの安定供給を確保するべく、参考値としてお示ししたものでございます。

空本委員 余り技術が進展しないシナリオですね。よろしくお願いします。でも、これが本当に現実的なんですよね。それは御理解いただいて。

 それで、ここから本論でございます。

 エネ庁さん、本庁において、また系統電源とか、また、電気主任関係の技術者の方がいらっしゃるのかな。若しくは、これから原子力を推進していくに当たって、高速炉又は次世代型の革新炉をどんどん造っていこうというふうに考えていらっしゃるに当たって、どの程度の技術者の方々を擁していらっしゃるのか。全体像を見ていなければ、やはり、原子力の推進とか電力、再エネの加速というものはなかなかできないと思うんですが、エネ庁さんよりお答えください。

山田政府参考人 お答えを申し上げます。

 技術系の人材ということで少しお話をさせていただきますとすれば、資格という面でちょっとお答えをさせていただければと思うんですが、現在、我々資源エネルギー庁において、職員に保有する資格の申告というものは義務づけておりませんが、そのため正確な人数というのは把握しておりませんけれども、例えば、電気主任技術者でありますとか原子炉主任技術者、核燃料取扱主任者、放射線取扱主任者というような資格の形で確認した限りにおきましては、それぞれ、一名、ゼロ名、一名、三名ということで、重複を除いて計四名の職員がそうした資格を保有している、そういう状況でございます。

 また、安全を所管しております大臣官房の産業保安・安全グループというのがございまして、また産業保安監督部というところもございまして、こういったところで電気主任技術者についても同様に確認いたしましたところ、保安・安全グループの方では五名、産業保安監督部では二十名が電気主任技術者についての資格を保有しているということでございます。

空本委員 保安の方であれば、やはりそういった方々がちゃんと技術的に見ていかなきゃいけない。そして、本庁の方では、それほど私も必要はないと思いますが、何人かやはりちゃんと配置して。ただし、経済産業省、資源エネルギー庁ですので、スペシャリストとしてではなくて、ゼネラリストとして養成していく。そして、全体的にエネルギー計画を見ていく、作っていくという意味で、全てを審議会の大学の先生とか電力会社とかメーカーとかに投げるのではなくて、自らが考えなければいけない、そういうふうな形の組織に変わっていただきたいと思っております。それで今回聞きました。

 環境省さんにも聞こうと思ったんですが、環境省さんは、逆に、各省庁からまた、必要があれば来ていただくという形でも私はいいのかもしれないと思っています。

 そういった意味で、資源エネルギー庁さんの技術者登用、こういった意味で、スペシャリストはスペシャリストで必要なんですが、ゼネラリストとしての必要性、そして登用の計画、こういったものを考えていただく、特にあるんじゃないかと思うんですが、古賀副大臣、いかがでしょうか。

古賀副大臣 御指摘の、エネルギー政策は大変幅広い知見が必要だ、こういうふうに考えておりまして、国際情勢でありますとか、あるいは法律、経済、さらには技術的な話、様々な知見が必要であります。

 そういった中で、企画立案ということでありますけれども、例えば、同一ポストにおける任期の長期化をやっておりましたり、あるいは技術や知見を有するまさに学者の先生を審議会委員に委嘱させていただいたり、あるいは、IEAあるいはIAEA等の国際機関との連携、こういったことをやっているわけでございますが。

 先ほど、ゼネラリストの育成という話もございました。我が省といたしましては、工学のバックグラウンドを持つ学生の採用を含めて、そうした専門性を持つ職員等の採用や出向者の受入れ、こういうことを行っております。

 行政が高度化、複雑化する中におきまして、大変専門的知見の確保は重要なテーマであると考えておりますので、引き続きそうした取組を進めてまいりたい、こう思っております。

空本委員 すばらしい御回答をいただきまして、ありがとうございます。

 そういえば、この間、武藤大臣に、GX法案に関して、私は、リチウムイオンバッテリーとか普通の蓄電池とか、このサプライチェーンを、中国に行っているものを返してくれ、日本につくり込みましょうよと言ったら、事務方の方は最初抵抗されたんですが、武藤大臣はやりましょうと堂々とおっしゃったんですね。

 今、古賀副大臣もそういう御意見だと私は感じましたので、やはり、分かる人がたくさん、実は、保安院の方々が規制庁に行かれて、もうそっちに行っちゃって、技術者は実は規制庁にたくさんいらっしゃる。それは分かっているんですが、エネ庁さんの方にもやはりゼネラリストとしての技術が分かる人がいる、ここが強みなんですよね。是非お願いいたします。

 そして、ここからは規制庁さん、エネ庁さん、両方に聞くんですが、再処理施設の審査、MOX燃料工場の審査、規制庁として、どのような技術系職員の皆さんがやっていらっしゃるか、その人員体制、こういったものを一緒に教えてください。

金城政府参考人 お答え申し上げます。

 再処理施設とMOXということで、両方ですけれども、まず、日本原燃株式会社の再処理施設については、現在、令和四年十二月二十六日になされた第二回目の設計及び工事の計画の認可申請に対する審査を行っています。審査の内容に応じて、研究職の職員など、原子力規制庁内のほかの部署に属する職員と協力して対応することもありますが、基本的には、担当の規制委員会の委員の下、私も含めまして、現在、十三名の技術系職員が中心となって審査を行っています。

 一方、MOX燃料加工施設につきましては、全体で四分割の申請になっていますけれども、第二回目の分割申請に対して、今年、令和七年三月二十五日に設計及び工事の計画の認可を行ったところであります。現時点で、事業者から、三分割目ですね、次回の分割申請はなされていませんが、今後申請があった場合には、先ほどお答えした再処理施設の審査担当職員十三名に審査事項を割り振り、それらが中心となって審査を行うことになると考えています。

空本委員 実は、金城審議官は、私の大学の同じ研究室でございまして、実は私は応用物理学会で放射線賞を取ったことがあって、そのときに、指導された高橋教授の下で、デジタル処理の放射線の計測をやっていらっしゃって、同じ研究室でずっと、コーヒーを一緒に飲んだり、いろいろしておりまして、そういう方が実は規制庁にちゃんといらっしゃるんですよね。だから、そういう方々に実際にしっかり見ていただきたいと思っております。

 そして、エネ庁さんとして、再処理、MOX燃料、操業開始はいつと考えていらっしゃいますか、簡単にお答えください。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 再処理施設及びMOX燃料工場につきまして、日本原燃は、現在、再処理工場につきましては令和八年度中、MOX燃料工場につきましては令和九年度中を竣工目標としているものと承知をしております。

空本委員 検査体制も、やはり原燃さんの方もすごく体制は強化しているということなんですが、年度はもう見えていますので、それに対して加速していただきたいし、技術系職員も、規制庁はもっともっと増やしていって、審査体制を強化していただきたいと思っております。

 ちょっと先、五番は飛ばします、質問通告の大きな六ポツの方に行きます。

 次世代の革新炉、軽水炉の革新炉ですね、沸騰水型若しくは加圧水型の革新炉、これの新増設、どこに行うべきか。どのようにお考えでしょうか、資源エネルギー庁さん、お答えください。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました件ですが、次世代革新炉の開発、設置につきましては、第七次エネルギー基本計画でお示ししているとおり、政府としては、地域の理解を大前提に、廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での建て替えについて、具体化を進めていく方針でございます。

 この方針の下で、引き続き、立地地域や事業者とコミュニケーションを重ねながら、次世代革新炉の具体化に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

空本委員 ということは、BWRでは浜岡原発とか、PWRだったら美浜とか、そういったところが候補になると思います。

 そういったところを、実は、事業者の方々は言えません。メーカーとか、また電力の方々は言えない。言えるのは政治家であり、そしてやはり行政庁、推進する行政庁が言うしかないんですよね。今、場所は特定していませんけれども、そういったことをしっかり言っていかなきゃいけないと思っています。

 そして、再処理施設、今、六ケ所の再処理施設はまだ竣工していませんけれども、実際に、もう一個、もう一基、再処理施設が私は必要だというふうに考えています。二号機を六ケ所村に造ることは可能だと思っていますが、そういったことに着手するお考えはないでしょうか。これも、古賀副大臣、よろしくお願いします。

古賀副大臣 この六ケ所の再処理工場、一号機といいますか、先ほど、令和八年度中の竣工目標とお答え申し上げたんですが、それに続く施設という話でございますけれども、これについては、今直ちに設計、建設に着手する状況にはない、こう考えておりますけれども、この六ケ所再処理工場の稼働状況、あるいは原子力発電所の稼働状況とその見通し、さらには、これを踏まえた核燃料の需要量や使用済燃料の発生量などを総合的に勘案して引き続き検討していきたい、こう考えております。

空本委員 一号機、今はまだ竣工していませんが、こちらはぱんぱんなんですね。もう二号機について考えなければ、二〇四〇、二〇五〇年に処理はし切れないというふうに考えております。

 そして、核燃サイクル、絶対高速炉がなくては駄目なんです。高速炉といえども、高速増殖炉がなければ駄目だと思います。実証炉の設計着手、これにもう入らなきゃいけないと思っていますが、では、どこに造るんだと。「もんじゅ」ではなかなか難しい。これは、廃炉、若しくは研究炉に変わっていくというところです。

 そこで、私の提案でございますが、先ほど、再処理工場、二号機も造りましょう、そしてもう一個、高速増殖炉については東京電力の東通原発建設所、ここに造ったらどうでしょうか。副大臣、いかがでしょうか。

古賀副大臣 御指摘の高速増殖炉実証炉についてでありますけれども、現在、高速炉の実証炉の研究開発、概念設計を行っているという段階でございまして、将来的な建設予定地は現時点では決まっていない、こういう状況であります。

 今後、実証炉の設計や研究開発の進捗も踏まえながら、炉の設置主体、そして立地の検討を行っていくべきもの、このように認識をいたしております。

空本委員 是非検討をお願いしたいと思います。

 場所的にいうと、やはり、再処理が近い、六ケ所に近い東通ぐらいしか、高速炉、地元の御了解をいただけるところはないと私は思います。今の廃炉措置をしているところには、新しい高速炉は無理です。東通原発は、東北電力さんがあります、今はちょっと審査中でありますが、その上かな、東京電力さんの敷地がちゃんとあります。ここは、東通村の皆さんは理解はかなりされる、六ケ所村周辺の自治体の方々も絶対理解してくれます。

 こういった意味で、国は高速炉を造っていこうということをもう計画されていらっしゃいますので、そこの動きを加速する。そういったときに、先ほど言いましたけれども、エネ庁さんの中で、原子力が分かる技術者の方がちゃんといてくれて、総合的に、そういうエンジニアリングも含めて考えてくださる方がいなきゃいけないんですよ。そうじゃなければ、造れないんですよ、推進できないんですよ。

 ということで、技術者を、なかなかすぐには育てることができないかもしれませんけれども、規制庁さんから、また返してくれと言うのはなかなか厳しいかと思いますけれども、人材、民間からの登用もあり、そういった意味で、しっかりお願いしたいと思っております。

 そして、高速炉については、大洗若しくは「もんじゅ」、敦賀で経験された方々は、設計、建設された方々は、六十代どころか、七十代が主体、主力でありました。そういった方々の知見というものをしっかり私たちは継承していかなきゃいけない。

 私、こういう質問をするときに、エネ庁さんも規制庁さんも来ていただいて、環境省さんも来ていただいて、一緒にいろいろ話をするんですが、これ知っていますか、これ知っていますか。例えば原子力だったら、発電技検とあとNUPECという研究機関、取りまとめ機関がございます。そこにはすごい過去の研究、試験データとか、全部眠っているんですよ。また、「もんじゅ」なんかについても動燃さんがしっかり握っています。そういった知見と、また、七十代、六十代の方々の今まだお元気なうちに技術を全部盗む、そういう取組をやらなければ、高速炉はできません。いかがでしょうか。まず、これは政府参考人、お願いします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございました高速炉につきましては、「もんじゅ」以降、炉の設計や建設が行われていないという状況にございまして、人材の確保、育成や現場技術の承継などは重要な課題であると思っております。

 日本原子力研究開発機構及びメーカーでは、若手技術者とベテラン技術者の共同作業や知見のデータベース化などを通じまして、設計、製造のスキル維持向上や技能の承継に取り組んでいると聞いております。

 その上で、二〇二三年から実施している実証炉開発での設計作業や機器製作試験を通じて、高速炉に関する技能承継の機会は更に増えているというものと考えております。

 引き続き、高速炉の研究開発を進めつつ、技術の承継や人材確保を進めてまいりたいと考えております。

空本委員 是非お願いします。

 それと、原発輸出というのがまた再考されております。

 そして、二〇二四年十一月、昨年の十一月、ベトナム、ニントゥアン原子力プロジェクトが再開しております。それについて、私、実は個人的にベトナムの偉い方々と会ったりしています。

 この間、ベトナムの国会議長さんが十二月にいらっしゃいました。そのときに、私は今、ベトナム日本専門家協会、これは広島大学の金子副学長、あと、チャン・ダン・スアン、ベトナムから来ている広島大学の教授、そして私空本が一緒にそういう専門家協会をつくって、日本の半導体技術やエネルギー技術、また原子力技術、こういったものを技術協力していきたいということで話しまして。

 マン・ベトナム国会議長とも十二月、長崎で、先に東京に来られて参議院とか議長にお会いになられていますが、その後、お帰りになるときにマン議長に私は長崎でお会いしています。そして、前の国家主席でありましたトゥオン・ベトナム社会主義共和国主席とも、私はお会いしていませんけれども、広島大学の越智学長がお会いしていて。

 この協会、私たちが、専門家協会、ベトナムと友好を結んでしっかり技術協力しようじゃないかという協会、こういったところで、私自身、原子力、これまで東芝で開発、研究もしてきました、実機も知っています、また、金城審議官と同じような形で勉強もしてきています。そういった意味で、プライベートではありますけれども、実際、ベトナムとの協力をしっかり行っていこうかな、技術協力したいなと思っていますが、よろしいでしょうかね、古賀副大臣。

古賀副大臣 空本委員の御活動に敬意を表したいと思います。

 このベトナムのニントゥアン第二原子力発電所の建設プロジェクトについては、今、ベトナム側からの新たな提案について、日・ベトナム間で実務的な議論を開始しているという状況でありまして、我が国としては、どういった協力が可能なのか今後検討を進めていく、そういった状況でございます。

 その上で、いいか悪いかという御指摘でございますが、委員の政治家としての御活動内容について政府としてお答えする立場にはないことは御理解いただきたいと思います。

空本委員 専門家としての立場からしっかりと技術協力をさせていただきたいと思っておりますし、また、この原発が日本が取れるかどうかというのがすごく問題で、取れなかったときにどうなるかということも考えながら、次にベトナムとの協力関係を考えるときには、人的な協力は絶対必要であります。先に技術者同士で話し合うとか、そういったつながり、ベトナムの大使や、またベトナムの福岡の総領事、私、交流させていただいて、この国家主席若しくは国会議長が、ベトナムの方が認めてくれた協会がございますので、そこを中心として活動させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次に、仙田晃宏さん。

仙田委員 午前中最後の担当をさせていただきます、国民民主党・無所属クラブの仙田晃宏です。

 本日は、質疑の時間をいただき、誠にありがとうございます。

 六月に入り、通常国会も残り一か月を切ってまいりました。それと同時に、私の地元岐阜県においても、ぎふグリーンフェスティバル二〇二五の開催期間が六月十五日と、残り二週間となっております。私にはまだ浅尾大臣からお声がけいただいておりませんが、是非大臣には、岐阜県への御来訪をお待ちしまして、百聞は一見にしかずでございます、グリーンを感じに足を運んでいただければというふうに思っていますので、是非よろしくお願いします。

 また、先日、環境委員会の皆様にて、福島の視察を行いました。コーディネートくださいました環境省の皆様、大変ありがとうございます。冒頭は、視察した本件に対する質問をさせていただきたいと思っております。

 まず初めに、JESCO法についてお伺いいたします。

 本年夏頃、政府一丸となって当面五年程度で主に取り組む復興再生利用の推進や理解醸成、リスクコミュニケーションを中心としたロードマップを取りまとめるとお聞きしております。こちら、先ほど、冒頭、既に坂本委員から決意をお聞きしておりますが、改めて、浅尾大臣の決意を、意気込みをお伺いさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

浅尾国務大臣 お答えいたします。

 福島県内で生じた除去土壌等の中間貯蔵開始後三十年以内の県外最終処分という方針は、国としての約束でありまして、法律にも規定された国の責務でございます。

 先日、五月二十七日の閣僚会議において、福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等の推進に関する基本方針を作成したところであります。

 その際、本閣僚会議の議長である林官房長官からは、全閣僚に対し、復興再生利用の推進に向けて、官邸での利用の検討を始め、政府が率先して先行事例の創出等に取り組むことや、復興再生利用の必要性、安全性に係る徹底した情報発信に取り組むこと等について指示がございました。

 県外最終処分の実現に向けて、ロードマップの策定に当たって、政府が一丸となり、こうした指示事項もしっかりと踏まえながら、基本方針を着実に実行できるものとなるよう、私自身、閣僚会議の副議長として尽力いたしてまいります。

仙田委員 ありがとうございます。

 浅尾大臣からの心強い御答弁を伺い、改めて、環境再生と地域の復興にかける強い御決意を感じました。放射性物質による環境汚染という未曽有の課題に対し、JESCO法を始めとした法制度の下で、現場に寄り添いながら着実に取り組まれていくことに心より敬意を表します。政府一丸となって策定される今年の夏のロードマップが地域住民の安心と希望につながることとなるよう、私自身、しっかりと協力、支援をしてまいりたいと存じております。

 続いての質問に移らせていただきます。

 中間貯蔵開始後三十年以内に福島県外での最終処分を完了するために、国民の理解醸成が重要であると考えております。そこで、環境省で、全国での理解醸成活動等を実施されておられますが、これはとてもすばらしい取組だと思っております。そして、環境省からも一割の職員の方々が出向されているとお聞きしております。

 環境省の取組を感じはしますが、まだまだ周知徹底が足りない、そう考えております。例えば、福島県民の皆様を対象とした現地視察、メディアとのタイアップを含めて、環境省の具体的な理解醸成活動の取組についてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 除去土壌等の県外最終処分、再生利用の実施に当たりまして、必要性、安全性等に関する国民の皆様の御理解が大変重要だというふうに認識してございます。

 環境省では、最終処分、再生利用の必要性や安全性等に関する御理解を広げるため、これまで、有識者の御意見もいただきながら、例えば、中間貯蔵施設や飯舘村長泥地区等での現地視察会の開催、福島県外の全国で九回にわたっての対話フォーラムの開催、全国の学生等を対象とした講義、ワークショップ、SNS等による情報発信、他機関と連携したイベントでの展示など、様々な理解醸成のための取組を実施してまいりました。

 本年三月には中間貯蔵事業情報センター、四月には環境再生事業を実施している飯舘村長泥地区に広報施設であります「ながどろひろば」を開所いたしまして、情報発信と現地視察の受入れ体制も強化してございます。また、政府全体の取組といたしまして、復興再生利用の推進に向けたポスターを作成し、関係省庁での掲示等も順次始めてございます。

 今後は、こうした取組を通じまして、三月にお示しした県外最終処分、復興再生利用に係る基準等を踏まえまして、科学的根拠に基づく分かりやすい説明及び情報発信によりまして、福島だけの課題ではなくて日本全体の課題として理解醸成にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

仙田委員 御答弁ありがとうございます。

 お恥ずかしながら、正直、私は、この視察にお伺いするまで、ここまで環境再生事業が大規模に行われているということを存じ上げておりませんでした。ですので、大熊町、双葉町を含めて、皆様の御決断にも改めて心から敬意を表したいと思っておりますし、中間貯蔵施設が福島県外での最終処分に円滑に移行していくためには全国の理解と協力が不可欠であり、引き続き国民の皆様への丁寧な情報発信と対話を重ねていただくことが重要と考えております。

 環境委員会には地元選出の国会議員がいらっしゃいます。地域の皆様の声を国政に届けると同時に、地元を知っていただくことも政治家の役割だというふうに思っております。福島の再生なくして日本の再生はございません。今後の更なる取組の充実と着実な進展を、環境省の皆さんはもちろん、地元選出の国会議員の方に期待しつつ、次の質問に移らせていただきます。是非、汗をかいて頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、二〇一六年に制定した山の日、こちらに関連する質問をさせていただきたいと思っております。山の日が二〇一六年に制定されて、来年で十年の節目を迎えてまいります。今、山林の保有と管理についてお伺いをさせていただきたいと思っております。

 国、民間、自治体、そして今そのどれにも当てはまらない不明のもの、それぞれの割合について教えていただけますでしょうか。

長崎屋政府参考人 お答えいたします。

 我が国の森林の所有形態につきましては、国が所有する国有林が約三割、地方公共団体が所有する公有林が約一割、個人や法人が所有する私有林が約六割となっております。

 私有林につきまして、不在村化や世代交代によりまして、所有者が直ちに判明しない森林や所有者の所在が不明な森林が発生しておりまして、森林の経営管理を進める上では大きな課題の一つとなっております。

 こうしたいわゆる所有者不明森林がどのくらい存在するかにつきまして一例を申し上げますと、令和五年度に地籍調査を実施した地区におきまして、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない割合が、林地の場合、筆数ベースで約三割あったという調査結果があるところでございます。

仙田委員 ありがとうございます。

 約三割が今不明な土地ということで、最近ですと山を駆け下りたりしていくトレッキングランというものがはやっておりまして、知らない土地に入っている、そして不明な土地に入っているということは、イコールやはり不法侵入になってしまうというところも一つ課題かなというふうに思っております。ですので、これを取り締まっていく、管理していくためにも、入山料を議論をしていくことや、登山道の管理について、これの議論も遅れる原因だと思っておりますし、誰かが管理していかないと危険な部分があるというふうに思っています。

 この不明なものに関しまして、これから、国が管理していく方針があるのか、不明な土地をどうしていくのか。例えばですけれども、五年不明なものでしたら国が管理して民間に売る、競売するというのも一つのやり方というふうに思っておりますので、林野庁さんの見解をお伺いさせていただきたいと思っております。

長崎屋政府参考人 お答えいたします。

 所有者の不在村化、あるいは世代交代が進む中で、所有者不明森林への対策は喫緊の課題であると認識しております。

 農林水産省といたしましては、森林法の改正によりまして、平成二十四年から新たに森林所有者となった方に対して市町村への届出を義務づけるとともに、平成三十一年から所有者に関する情報を取りまとめました林地台帳制度の運用を開始することで、こうした所有者などの把握に努めているところでございます。

 さらに、所有者が不明な状態であっても森林の適切な管理がつなげられるように、所有者の探索、公告等の手続を経れば市町村へ経営管理の権利設定ができる特例を含む森林経営管理法を平成三十一年から施行しているところでございます。

 こうした取組とともに、政府全体といたしましては、森林を含む所有者不明土地の発生を予防すべく、相続登記、住所等変更登記の義務化ですとか、相続した利用しない土地を国庫に帰属させる制度、こういった措置もしておりまして、引き続き関係府省と連携して取り組んでいく考えでございます。

仙田委員 御答弁ありがとうございます。

 不明な土地をなくすために、是非引き続き継続してやっていただきたいなというふうに思っておりますけれども、やはりそれを管理していくにもお金がかかってくるというふうに思っております。ですので、富士山でいけば、今は入山料という形で四千円、富士山の観光客から徴収して、いろいろな管理資源として成立しております。全国一律入山料を取るべきという考え方もあると思っておりますけれども、こちらについて環境省さんの見解をお伺いさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

小林副大臣 利用者から入域料等を受け取って、利用環境の整備や調査モニタリングに使うというのは、これは地域の自発的な取組が促進されますし、自然環境の保全と、あとは持続可能な活用がより一層促進されるものと考えていますので、環境省では国立公園における利用者負担による保全の仕組みづくりを積極的に進めてきています。

 例えば、妙高戸隠連山の国立公園の妙高山、火打山とか、大山隠岐国立公園の大山の入域料の導入事例などがあります。あとは、滝登りを予約制にしてそこでお金を取るみたいな形もやっていたり、いろいろなやり方を広げているところなんですね。

 一方で、全国一律というのはなかなか状況が難しいと思っていまして、多分、仙田さんも意識されていると思うんですけれども、やはり価格に差があるでしょうし、地域によっては私有地が国立公園の中にあって、やはりそこで費用を取っちゃうとそこの利用数が減るんじゃないかとか、いろいろな事情があります。

 その点では、一律でどんとやるというよりは、こういう事例なんかも共有しながら、考えていただける方々には積極的に活用していただいて、自発的にそこを守り、活用していただく流れをつくっていくのがいいかなと思っています。

 そういう意味で、地元の広い関係者の下でしっかり合意形成ができるようにしていくことが重要だと考えていますので、今後も各地域で皆さんと連携しながら、適切に進めていきたいと考えております。

仙田委員 御答弁ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、お金を取ることが目的ではございませんで、所有地をしっかり明確にして、しっかりと環境保全を含めてやっていくというのが大事でございますので、登山道の安全確保でしたり、管理体制の整備、さらには入山料制度の議論を含めて、これが障壁になる課題というところもございますので、現実的な解を求めていくというところを含めて引き続き検討をしてまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、農地相続についてお伺いさせていただきます。

 令和五年の農水省の調査によりますと、岐阜県では六百八十八ヘクタールの遊休農地があるという試算結果が出ております。そして、地元農家のお話でございますけれども、やはりお隣の農地が、相続人が、息子さんが都心部に住まわれていることで、耕作放棄地になってしまい、荒れ放題になっているということで、大変お困りになられている事例がございます。

 こういう事例はやはり各地に散見されているのではないかというふうに思料されまして、これはやはり現行制度で農地が無条件に相続されることによりまして、相続人が都市部在住の場合、農業経営が困難となり、結果的に耕作放棄地が増加する事態になってしまっているのではないかなというふうに思っております。

 この点について、相続の在り方を見直し、放棄農地の発生防止につなげるための新たな手だてが必要な時代に来ているのではないかなというふうに思っておりますので、現行制度における農地相続の課題と遊休農地になった場合の対応、そして、相続された、耕作放棄地防止に向けた対応策、こちらについての見解をお伺いさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

押切政府参考人 お答えいたします。

 農業者の高齢化の進展などによりまして農地の相続件数が増加する中、農村の状況に鑑みますと、不在村の方が相続によって農地の所有者となるケースも増加していくことが考えられます。このような農地の適正利用の確保が重要ということでございます。

 このため、まずは、農地の相続人を把握する観点から、相続時に農業委員会への届出を義務づけているというところでございます。農業委員会では、毎年、農地の利用状況調査を行いまして、遊休農地等について所有者の利用意向を調査をしてございます。不在村所有者の農地が遊休農地化することがないよう、これに基づき対応をしているというところでございますが、他方、農業委員会にとって他の自治体に居住する不在村所有者の意向を確認することが難しい、これが課題となってございます。

 また、本年三月に作成されました地域計画におきまして、地域の将来の農地利用を示す目標地図を作成し、不在村所有者の農地を含め、利用されなくなるおそれがある農地を担い手に集約をするということとしております。

 この四月に閣議決定をされました食料・農業・農村基本計画では、所有者だけでなく相続人まで意向を把握し、相続前における権利移転の促進ですとか、相続発生の時点で農地の適正利用を確保する新たな方策を検討するということとしておりまして、これに基づき農地の相続をめぐる課題に取り組んでまいります。

仙田委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただいたとおり、やはり農業委員会でやれるマンパワーというのも限界だというふうに思っております。ですので、これはここの委員会ではございませんけれども、例えばマイナンバーカードを使って、今の生年月日、住所を含めた四情報以外に電話番号も追加する等で、そこで管理していくこともできるかなというふうに思っております。

 ですので、農地を相続していくというところは、これから持続的に農業を続けていかれる方、そして土地を守っていく方という部分も一層強化が必要だというふうに思っておりますので、農業基本法の新たなる改正を含めて、是非ここは力を合わせて頑張ってまいりたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

 次に、度々になりますけれども、浄化槽についてお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

 環境省では一〇〇%の清掃実施率を目指しておられるというふうに思いますが、現在、全国の浄化槽については清掃実施率が六四%程度にとどまるなど、適正な維持管理が十分に行われていないとの御指摘がございます。一方で、岐阜県では九五%の清掃実施率を誇っております。

 そこで、大臣にお伺いさせていただきます。

 浄化槽の保守点検、清掃率はどのように向上させようとされておりますか、御答弁をお願いいたします。

浅尾国務大臣 お答えいたします。

 令和五年度の保守点検実施率は全国平均で、御指摘のとおり七四%、清掃実施率は全国平均で六四%となっております。

 浄化槽の維持管理義務は浄化槽管理者にあり、保守点検や清掃実施率を向上するためには、都道府県等から浄化槽管理者への指導が徹底されていることが重要となります。都道府県等がこうした指導を適切に行うためには、浄化槽台帳による正確な実態の把握が必要となります。

 環境省では、浄化槽台帳の整備と台帳に基づく都道府県等による浄化槽管理者への適切な指導が進むよう、自治体向けの指導・助言マニュアルやデジタル化事例集を整備し、その周知を進めているところであります。

仙田委員 御答弁ありがとうございます。

 台帳整備をしっかりして一〇〇%を目指すという御答弁でございますけれども、やはり浄化槽といった部分をしっかり管理していくという意味でいきますと、今回、私の出身の会社はNTTというところでございまして、小林副大臣も元NTTで同じでございますけれども、昔は一家に一台の固定電話がありました。しかし、今は、時代とともに、一人に一台携帯電話が持たれるような時代になっております。電話におきましては代替手段が固定電話から携帯電話というふうに替えることができるんですけれども、やはり浄化槽、こちらについては、そこに住んでいる住民の皆様が選べるものではなく、下水をやるのか浄化槽をやるのかどちらかしかない、選択肢がない、代替案がない状況でございます。

 やはり、都市部におきましては下水がありますけれども、田舎に行けば行くほど浄化槽の役割は大きくなってくると思います。しかし、民間のサービスでいきますと、やはり集中しているところ、回数を一日に約四十件ぐらい回らなきゃいけなくなりますと、遠隔地そして山岳地帯に行けば行くほど、そこに対する手が回ってこない。そういうふうにいきますと、なかなか台帳を整備していくというところに対する気持ち、モチベーションが上がってこないんじゃないかというふうに思っております。

 ですので、私は、しっかりと業者の方に責任感を持たせるためにも、地区割り、区域割りという考え方も一つ、一〇〇%を目指す意味ではやり方としてはあるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、そこに対する大臣の見解をお伺いさせてください。

浅尾国務大臣 廃棄物処理法上、一般廃棄物処理計画には、一般廃棄物に関して、発生量、処理量の見込みや適正処理に関する基本的事項などを定めるものとされており、浄化槽の清掃について記載することは求められておりません。

 区域割りについては、環境省の有識者検討会の報告書において、清掃を含む維持管理の実施率の向上と区域割りとの関係は乏しいとされております。区域ごとの清掃業者が定められたとしても、浄化槽管理者が清掃をきちんと発注しない限りは清掃実施率の向上につながらないと考えられています。

 一方で、浄化槽法においては年一回以上の清掃の実施が浄化槽管理者に義務づけられており、浄化槽の機能を維持するためにもこうした義務を遵守していただく必要があります。

 清掃率の向上には、浄化槽台帳整備の充実を通じた各浄化槽管理者の清掃実施状況の正確な把握と、それに基づく都道府県等からの指導徹底が必要と考えており、こうした対応がより一層進むよう、環境省では引き続き財政支援を行ってまいりたいと考えております。

仙田委員 ありがとうございます。

 台帳整備をしていくというところはあるんですけれども、やはり具体的にどうやってやっていくかという部分と、その台帳を誰が入力していくかというところもすごく重要なところになってくるというふうに思っております。

 ですので、やはりそこの、台帳を整備していく、みんなが閲覧できるようにしていくといった意味でも、今はデジタルというものが一つのキーワードになっておりまして、保守点検業者も、そして点検業者も、監視機関も全てシステムに、台帳にアクセスできる、そういうふうに効率的に上げていくべきじゃないかなというふうに思っております。

 ですので、業者間の共有も徹底していくべきだというふうに思いますし、住民の皆様にもデジタル活用というのを進めていくべきだというふうに考えておりますので、大臣の見解をお伺いできればと思いますので、よろしくお願いします。

浅尾国務大臣 御指摘のとおり、効率的に浄化槽の維持管理に関する情報を収集し、それを浄化槽台帳に反映するために、デジタル化の推進というのは大変重要だというふうに思います。

 環境省では、有識者検討会において、デジタル化を含む浄化槽の維持管理向上に向けた対応策等について議論を行い、昨年十一月に報告書を取りまとめたところであります。

 報告書を踏まえ、浄化槽台帳の整備、活用に関するデジタル化事例集を作成しており、御地元の岐阜県の事例や、保守点検、清掃業者が自ら契約している浄化槽の保守点検、清掃記録や法定検査結果を閲覧できるシステムを活用している鹿児島県の事例など、様々な好事例をお示しし、自治体への周知に取り組んでいるところであります。

 予算面においても、浄化槽の維持管理情報のデータ化や台帳システムの整備に対する補助事業を実施しており、引き続きデジタルを活用した台帳整備をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。

仙田委員 ありがとうございます。

 そうしましたら、次に、浄化槽の保守点検についてお聞きしたいと思います。

 お配りさせていただきました資料一の、今後の浄化槽の在り方に関する懇談会の資料を御覧いただきたいというふうに思っております。こちらは平成二十八年三月に出されたものでございますけれども、保守点検の回数をまとめた資料でございます。

 今私がいる岐阜県におきましては、年間の平均回数、真ん中あたりでございますが、最少、最大含めて年三回ということでございます。こちらも、先日、浄化槽の見学をさせていただきましたら、浄化槽の消毒液も四か月はもつというところもありますので、三回というところは理にかなった回数かなというふうに思っております。一方で、真ん中下の辺りでございますが、岡山県にいきますと十二回ということで、毎月一回やっている状況でございます。

 四か月に一回、若しくは月に一回やっている。点検の規定回数というものを超えているという部分と、地域差があるんじゃないかなというふうに考えておりますけれども、こちらについてどのように考えていらっしゃるのか、御見解をお願いいたします。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年に取りまとめられました有識者懇談会の提言におきましては、地域の自然的社会的条件や個々の浄化槽の状況を踏まえ、年三回を超える保守点検を行うことで、より水環境の保全が図られるとの意見が紹介されております。御指摘の回数の地域差は、そのような各地域の事情の差により生じているものと考えております。

 また、同じ有識者懇談会の提言では、年三回を超えて保守点検を行っている理由として、季節変動、臭気対応、消毒剤、機器類の定期点検、不具合への早期対応などが挙げられているところでございます。

仙田委員 ありがとうございます。

 今、地域差というふうにおっしゃられましたけれども、地域差で四倍にもなってしまうというのはやはりおかしいのではないかなというふうに思っております。

 平成十四年二月の改訂版の環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部が出されましたガイドラインでいきますと、保守点検をやるときには七十五個のチェック項目があるわけでございます。七十五個を毎日四十戸回らなきゃいけないといったときに、三回、四か月に一回やる部分と一か月に一回やる部分、チェックリストが同じであればそこまでの差が出てこないというふうに思っております。

 ここについては、引き続きやはり回数をしっかりと改めて調査していくということも必要ではないかというふうに思っておりますけれども、今、平成二十八年からもう約十年経過しております。改めてこの保守点検の回数を調査するというところも必要だと思っておりますけれども、そこの点について、いかがでしょうか。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 保守点検の回数につきましては、ただいま御紹介いただきました調査結果はございますけれども、確かに御指摘いただきましたとおり、かなり時間がたっているものでございますので、保守点検の実態については、今年度中の取りまとめを目指して改めて調査を実施してまいりたい、このように考えております。

仙田委員 ありがとうございます。

 回数が多いからいいというわけでもないと思っていますし、少なければいいというものでもないと思いますが、やはり適正にしっかりと作業がされているというところが大事だと思っていますので、是非、環境省さんにおかれましては、そこの部分をしっかりとお願いできればなというふうに思っております。

 次に、資料二を見ていただきたいなというふうに思っております。

 こちらも、通常の使用状態におきまして、定められた期間中に一回を超えて保守点検を行うにもかかわらず当該基準に照らして説明できないことは望ましくないと考えられるというふうに示されておりますけれども、浄化槽のことを知らない設置者に規定回数を超えて点検を分かりやすく説明しているというふうに思われているかどうか。先ほどの十二回の部分もそうでございますけれども、環境省さんの見解をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年の環境省通知では、法令に基づく最低限の回数を超えて保守点検を行う場合、保守点検業者から浄化槽管理者に対してその必要性と作業内容を詳細に説明することが重要である旨を周知しているところでございます。

 浄化槽管理者に対する個別の業者の具体的な説明内容を国として網羅的に把握しているものではございませんけれども、各地域において保守点検回数に関する苦情が多く生じているという情報は、現時点では把握はしていないところでございます。

仙田委員 ありがとうございます。

 回数が多いという苦情はないというところでありますけれども、先ほどの話で、やはり適正な価格というところと適正な回数というのが必要だと思っております。ですので、一回千円で一万二千円なのか、四回で三千円で一万二千円なのか、こういう考え方もあると思います。

 ですので、十二回というところが妥当であるのかないのか、そして、そのときの料金が幾らなのかを含めて、アンケートで、今後、回数を取るのと併せて、一回当たりの保守点検の料金は幾らなのかというところも併せて、環境省にはアンケートを含めて調査をお願いしたいというふうに思っておりますけれども、そちらについての御見解、御回答をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 保守点検の実態につきましては、どういった形で調査するのが適当なのかも含めましてしっかり検討させていただいた上で、今年度中の取りまとめを目指して調査を実施してまいりたい、このように考えております。

仙田委員 ありがとうございます。

 是非、そこは、やり方を含めて調査の方法を検討していただきたいと思っていますし、そこに必要であれば私もしっかりと入って検討していきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 そして、最後の質問に移らせていただきます。

 空き家問題についてお伺いさせていただきたいというふうに思っています。

 私の地元岐阜県笠松町で、長年管理されていなかったお寺が老朽化しまして、最終的には自然に倒壊してしまうという非常に残念な事例がございます。今回は、人通りが少ない夜間に発生したため、被害者はいらっしゃらなかったんですけれども、いつ倒壊してもおかしくない建物を放置せず、未然に防ぐことは政治の役割だというふうに考えております。

 やはり、この背景には、空き家を譲渡する際に発生する譲渡所得税や、空き家を解体するあるいは改修する際にかかる費用が負担になってしまうというのはあると思っております。

 ですので、近年、空き家が増えている中でも、税制や予算を含めた支援が必要だと考えておりますけれども、国土交通省が取り組んでいる施策を教えていただけますでしょうか。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 国土交通省では、税制面や予算面の措置といたしまして、一定の要件の下で相続した空き家を譲渡した場合に譲渡所得を最大三千万円控除する税制措置、あるいは空き家の改修や除却などの費用の自治体等に対する支援、官民連携などモデル的な空き家対策の取組への支援などの取組を推進しているところでございますし、また、そのほかにも、空き家法等に基づきます施策として各種の支援措置も講じているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、空き家の所有者や自治体に対し、これらの取組の周知を図りつつ、様々な側面から総合的な空き家対策を進めてまいりたいと考えております。

仙田委員 ありがとうございます。

 いろいろと施策を打っていただいておりまして、空き家対策の支援金も含めてあるというふうに思っております。やはり、地方が継続的かつ実効性のある空き家対策をしていくには官民の連携が必要だと思っておりますし、地域特性を踏まえた柔軟な対応は不可欠だというふうに思っております。

 引き続き現場の声を踏まえた政策の推進をやっていきたいなというふうに思っておりますので、私のお願いを申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

近藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十二分開議

近藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。野間健さん。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 本日は、水俣病問題について質問をさせていただきます。

 大臣、これはもう言わずもがなというか、もう当然のことなんですけれども、環境省は、熊本の水俣病、新潟水俣病を始め公害問題が契機となって設立されたと思います。それで、環境省、環境大臣のお立場として、こういう公害をもたらした原因企業がありますよね、それと、それによって被害を受けた住民の皆さん、この企業の側に立つのか、あるいはこの被害を受けた住民、市民の側に立つのか、そのお立場はどちらなんでしょうか。

浅尾国務大臣 当然のことでありますけれども、その原因を起こしたところはしっかりとその責任を取っていただかなければいけないということだと思いますし、被害を受けた方にはしっかりと寄り添った対応をしていくということであります。

野間委員 当然そうだと思うんですね。

 それで、大臣、今、水俣病の問題、先日も新潟にも行っていただき、また五月一日は熊本に前日から入っていろいろと懇談をしていただいたわけですけれども、この水俣病問題、大臣は昨年の就任直後の環境新聞のインタビューで、一九九五年と二〇〇九年の二度にわたって政治解決がなされ、最終的かつ全面的な解決が施行されてきましたという御発言もありました。水俣病問題はもう終わったと思われますか。

浅尾国務大臣 水俣病については、公害健康補償法の施行、二度にわたる、今御指摘ありました、政治解決等多くの方が様々な形で多大な努力をされてまいりました。しかし、現在もなお、水俣病の症状に苦しんでおられる方、認定申請を行う方、水俣病による偏見、差別や地域の亀裂に苦しんでおられる方など様々な立場があると承知をしており、水俣病問題が終わったという認識は持っておりません。

 平成二十一年に制定された水俣病被害者救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法、いわゆる特措法の前文において、「地域における紛争を終結させ、水俣病問題の最終解決を図り、環境を守り、安心して暮らしていける社会を実現すべく、この法律を制定する。」と示されているところであります。環境省としては、こうした最終解決の実現を目指し、現行法の丁寧な運用や医療、福祉の充実、地域の再生、融和、振興などの取組を進めてまいります。

野間委員 今大臣がおっしゃったように、水俣病に関わる紛争を解決するんだと。ですから、まだ紛争は引き続いて今あるということですよね。それと、やはり、特措法三条は、あたう限りの救済をするんだということで、まだ道半ば、救済は済んでいないという御認識をいただいたと思います。

 今、訴訟で救済を争っている皆さんも、全国に数多くおられます。地裁の判決などは今出ていますけれども、大臣は、今裁判をやっていますが、これについて、この裁判をずっと闘っていくんだ、和解しないんだというような御発言もどこかであったと思うんですが、今もそういうお考えは変わらないんでしょうか。

浅尾国務大臣 裁判について詳しくコメントすることは差し控えさせていただきますが、近時の最高裁の判決と異なることがあるということでありますので、その点については裁判の中で今争っているところでございます。

野間委員 多分、今おっしゃったように、裁判はこれから続けていくということなんですが、今までの水俣病の裁判の中で、政府側の証人という方が、いろいろ、法廷に出て証言されています、水俣病について。

 私は、一々そのお名前は言いませんけれども、日時だけ言いますと、二〇一九年七月十九日の福岡高裁、これは、ある医科大学の名誉教授、政府側の証人、この人に対して、証人は、水俣病の患者さん、どれぐらい診られましたかと質問されて、地域は水俣病の患者さんがいないので、私は一例も診ていません。そしてまた、二〇二〇年の十月九日、大阪地裁、これも、ある大学の准教授、お医者さんですね、水俣病について専門的に研究されたわけではないということでよろしいんですかと聞かれましたら、そのとおりです、ほとんど水俣病には詳しくないですと答えています。証言しています。また、ある大学病院の先生、証人は、じゃ、水俣病はこういうものだという定義のようなものはお持ちなんですかと聞かれて、定義は、感覚は持っておりますが、定義は持っておりません。証人は、水俣病の診断基準というものは自分なりにお持ちですかと聞かれまして、それは持っておりません。こういう方々が政府側の証人として水俣病の裁判に出廷されているんですね。

 私、このお医者様方、先生方を非難するというつもりはないんです。非常に正直に多分答えているんですね。もうそのとおりだと思います。

 しかし、政府として、水俣病の診断、判定、いろいろ、そういうための訴訟の中で、全く水俣病の患者さんを診たことがないような人、触れたこともない。まあ、言ってみれば、お米を食べたことがないのに、お米について、いろいろ、味がどうだとか食感がどうだとか評論しているようなもので、こういう方々を政府側は証人として出して裁判をやっているわけですね。

 これだけを見ても、先ほどちょっとお聞きしたんですけれども、環境省さんは、どちらの側に立って行政をしているのか。これは当然、被害者の方々の証言、裁判を否定するためにこういう証人を出しているんですけれども、こういう方々が証人に来ても、何の、迫力といいますか、真剣味を感じないわけです。こういう方しか多分用意できなかったんだろうと思うんですけれども。

 こういうところを見ても、裁判をしてこれから勝っていくんだという姿勢が全然我々としては受け取れないですし、大臣、こんなので、役所の人たち、いいんですか。大丈夫ですか。

浅尾国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、個別の訴訟について、お答えは差し控えさせていただきます。

野間委員 大臣としてはそう言わざるを得ないのかと思いますけれども、誰が見ても、これは真剣に訴訟をやっているんじゃないんだな、何か引き延ばしてやっているんだなとしか思えないわけであります。

 続いて、水俣病の特措法第五条には、そこを根拠として、いわゆる救済措置の方針というものが閣議決定で決まっておりました。その中で、救済措置の対象地域、この地域に住んでいる人はもう検査をしなくてもいわゆる暴露、水銀を、恐らく魚をいっぱい食べただろうということで対象地域というのを認定されているわけですけれども、これは、どういう経緯、根拠で特措法上の対象地域というのは決められたんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 水俣病被害者特措法における対象地域につきましては、ノーモア・ミナマタ訴訟において裁判所が示した和解所見を基本に、平成二十二年に原告と合意、さらに、訴訟をしなかった患者団体との協議も踏まえて、特措法の救済の基本方針において、救済の対象地域が定められたものと承知しております。

 以上です。

野間委員 なぜ私がそんなことを質問するかといいますと、この対象地域外の方でも、隣町とか、あるいは、この対象地域の長島という一つの島がありますけれども、その真ん中から東側だけが認められ、西側は認められない。ほとんど同じ地域ですから、魚を食べたり、みんなしているんですね。だけれども、そこの線引きをされて、こちらは対象外だ、そういうある意味不当な、自然でない線引きが行われているので、これが大きな問題になっているんですけれども。

 これは、今お話あったように、今、資料一ということで、対象地域を出させていただいています。ちょっとこれはコピーがあれで見にくいんですが、その裁判の和解の中でこういう対象地域を決めたということで、この水俣病総合対策医療事業の地域、ちょっと色が薄くて見えないんですが、次のページのカラーのもので見ますと、ブルーのところがその地域なんです。

 ですから、御質問するのは、この熊本県が水俣病総合対策医療事業で決めている地域と、それから、国がいわゆる裁判所の和解で勧告された地域と、これはもうほとんど、ちょっと二か所つけ加えたところがありますけれども、これと重なっていると考えてよろしいんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 水俣病被害者特措法の対象地域を設定する際に、熊本県の地域におきましては、熊本県の総合対策医療事業の対象地域に一部地域を熊本県が追加されたと伺ってございます。

 答弁は以上です。

野間委員 ですから、その熊本県の決めた対象地域をほぼそのまま踏襲して水俣病被害者の対象地域としたということですよね。

 私も、熊本県がどういうふうにこの対象地域を決めたか調べてみましたらば、熊本県からは、この地域の一つの大字ですね、昔の大字、その単位、その大字に一人患者さんがいたらそこは対象地域にしたということで、これが決まっているんですね。このときは、それにプラス二か所も決めているんです。恐らくそれも、そういう基準によってここはプラスにされていると思うんです。

 ということでよろしいでしょうか。そこまでちょっと確認したいんですけれども。

前田政府参考人 水俣病特措法の対象地域を設定する際に、熊本県の総合対策医療事業の対象地域に一部地域を熊本県さんが追加したということで、繰り返しになりますが、聞いてございます。

 以上です。

野間委員 そうしますと、この対象地域外のところでも患者さん、被害者さんがいた場合、大字に一人以上いれば対象地域になると思えるんですけれども、どうお考えですか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 特措法の制定時に対象地域について協議されて、そのときに熊本県さんが一部追加されたということは知っているところでございます。

 以上でございます。

野間委員 そこでどうも作業がストップしてしまっているんですが、その次のページ、資料二というところの図を見ていただきますと、その後、この特措法の中で対象地域外だけれども、グリーンで塗った地域、ここに確かに被害者の方がいるんですね。それで、認定され、救済をされています。

 そういう地域に患者さん、被害者、当然いると思いますし、そこはやはり、暴露要件が免除されるといいますか、そこは当然、対象地域にならなきゃいけないと思うんですけれども、どうでしょうか。

前田政府参考人 御指摘の水俣病被害者特措法における対象地域は、そこに一定期間の居住歴のある方の暴露を受けた可能性を踏まえまして、暴露に係る個別の証明を求めることなく、迅速な救済を図るために設けたものであるという一方で、その対象地域の外に居住歴のある方につきましても、個別に暴露の有無を判断し、相当数の方が救済の対象になったと承知をしてございます。

 以上です。

野間委員 その次の資料三というのを見ていただければ明らかなんですが、公健法から九五年の政治解決、特措法で認定された全ての方を合計しますと、七万二千三百人の方が救済されています。この方々の居住の分布というのが、熊本県、鹿児島県、あるいは新潟を含めて、データがあるんですね。私も鹿児島県に確認したら、それはありますということでした。

 環境省は、これは非常に重要な被害者の方の分布の状況だと思うんですけれども、これは当然把握されていると思うんですが、なぜこれを、疫学調査、今いろいろやられていますけれども、こういったところの非常に重要な参考データとして公表されないんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 公害健康被害補償法における認定ですとか、あと平成七年政治救済及び平成二十一年水俣病被害者特措法における給付対象者につきましては、その申請手続を関係県市において実施されておりまして、分布状況の公開につきましては、関係県市において適切に判断されると考えてございます。

 答弁は以上です。

野間委員 そうやって県に責任を転嫁してといいますか、そうやって出さないのが今日までなんですよね。ですから、そういう意味で、先ほど私も大臣にお聞きしたように、どちら側に環境省さんがついているのか、そういう被害者の側についていないんじゃないかなという疑念を、我々も、また被害者の皆さんも、地域住民の方も抱くわけですよね。本当に残念なことです。

 これはやはり大臣の力で、データはあるわけですから、個人情報という問題もあると思いますけれども、それは、どこどこに一名とか二名いた、そういうことだけでいいんですから、是非出していただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

浅尾国務大臣 今、保健部長の方から答弁させていただいたとおりでありまして、認定等を関係県市において行っているということでございますので、関係県市において適切に対応するということ。

 データの、所有というふうに申し上げるのがいいのかどうかは別として、県市において行ったことでありますので、県市において適切に対応するというふうに考えております。

野間委員 残念な回答です。

 そのほか、先ほどのお話じゃないですけれども、環境省さんが患者にいわゆる寄り添った姿勢をなかなか見せていないことがいろいろあるんですね。

 これは、一九八九年にWHOが毛髪に含まれている水銀の基準、これは、今、環境省さんでは五〇ppmが一つの基準になっているということなんですけれども、資料、新聞記事をそこにもつけさせてもらっていますけれども、資料の四になりますか、WHOが、どうも五〇ppmよりも小さい値でも妊婦さんなんかが発症するおそれがあるということで、この基準をもっと厳しくしようということをやりました。そうしましたら、環境省は、いや、これをやられると水俣病のいろいろな問題に全部波及して大変なことになるということで、環境省が反論文書まで学者の人を動員して作ってやりました。

 そして、結局、WHOも、日本がそんなに反対するならということで、この基準の改定はしなかったんですけれども、そういう妊婦さんなんかにはマイナスの影響があるよ、胎児にも影響するということで、そういう警告はしたんですけれども、そこまではいかなかったという例があります。

 これは、恐らく、大臣がおっしゃっている国際的な科学的知見の基準に裁判が合っていないという、その部分なんですけれども、実際は、そういう例がいろいろ出ているんですね、イラクとか、いろいろなところの水銀の被害者。

 やはり、こういったことは厳しくした方がいいと思うんですよ。甘くしているよりは厳しくした方が、それをやるべきなのが私は環境省だと思うんですけれども、残念ながら、これも、こうやって環境省は反論をしたりして、ここを通さなかったということなんですけれども、どう思われますか、こういう対応。

浅尾国務大臣 御指摘のWHOにおけるメチル水銀の環境保健クライテリアの見直し案については、昭和六十三年度に環境庁の委託事業であるメチル水銀の環境保健クライテリアに係る調査において、見直し案の内容の科学的評価が行われたと承知をしております。

 いずれにせよ、環境保健クライテリアの見直しは、WHOにおいて国際的に専門家によって評価検討が行われたものと認識しています。

 なお、WHOにおける当該見直しに係る検討においては、結果として基準値は変更されなかったものと承知しております。

野間委員 度々、裁判のとき、これは国際的な学術的な知見であるとおっしゃっていますけれども、例えば、二〇〇〇年に米国の学術会議、これが発表した調査では、成人の最近の研究では、五〇ppm以下の毛髪水銀値が視覚系の障害及び神経運動障害と関連していて、五〇ppmに基づいた現在の参照値が十分なものではないということも発表されています。

 ですから、当時からまだまだいろいろな研究もなされて進歩していますので、そういったことを是非また研究していただいて、国際的な最新の学術的な見地から判断していただきたいと思います。

 そして、また資料で五でしょうか、新聞記事をつけさせていただいています。これは、二〇一二年、水俣病の溝口訴訟といって有名な訴訟でしたけれども、その裁判で、この人は水俣病だということを立証するためにあるお医者さんに証言してもらおうと思ったら、国が、そういうことを言わないでくれ、こんなことをされたら困ると虚偽証言を要請したということが出ております。こういうことまでして、患者側に寄り添うんじゃなくて、何かやはり企業、原因企業を助けるようなことをしているんですね。

 事実ですよね、これは。

前田政府参考人 お答えいたします。

 訴訟に関することであり、事実関係も含めまして、コメントは差し控えさせていただきます。

 その上で、一般論で申し上げますと、専門家に虚偽の証言をさせようとすることはございません。

野間委員 これは、当時、いろいろな取材をして、間違いないことだと思いますので、そういったことはあったのではないかと推測されます。

 そして、これはもうはっきり表に出ている話ですけれども、二〇〇九年に、皆さんの環境省の環境保健部長さん、原徳寿さん、この方が相当いろいろなことを言っているんですね。患者の人たちは要するにお金目当てでやっているんじゃないかとか、不知火海の魚じゃなくて、鯨に水銀が含まれているから、鯨をいっぱい食べたからなったんじゃないかとか、いろいろな暴言を吐いて、これが朝日新聞に当時掲載されています。やはり、皆さんの、水俣病関係の医系技官のトップの方がこういう発言を軽々しくしているんですね。

 あれから時間がたったといっても、そういう意識が省内にはあるんじゃないんですか。どうも、そうとしか思えないんですけれども、いかがですか。

前田政府参考人 御指摘の原元環境保健部長の発言につきましては、平成二十一年当時、誤解を招く発言であったということを認め、現地の関係団体等に不安を与えてしまったため、当時の斉藤環境大臣は原部長に対し厳重に指導したと承知をしてございます。

 答弁は以上です。

野間委員 大臣、いかがですか。そういう何か意識が脈々と今も残っているんじゃないんですか。そんなことはないですか。

浅尾国務大臣 そういった意識は全く持っておりません。

野間委員 であればいいんですけれども、どうも、熊本や新潟での皆さんの姿勢がどっちを向いているのかなということを皆さんはおっしゃっています。

 そして、これは直接環境省の問題とは言えないかもしれません。先日、家庭教師のトライ、熊本県の宇城市のいろいろな広報関係、あるいはトライの動画の教材。この中で、水俣病は遺伝をする、水俣病は感染する、こういう、とんでもない、事実に基づかない言説が流布をされています。

 トライさんは、環境省に何かおわびに行った、口頭でかどうかは分かりませんけれども、謝罪のあれはインターネット上で出て、動画は取り消しているということでありますけれども。

 環境省さんに説明に行くのもいいんですけれども、被害者とか患者さんには、準備しているとかという話ですけれども、イの一番に行って、自分たちが間違っていたと謝るべきだと思うんですけれども、最初、環境省さんに何か行って謝っている。おかしいと思いませんか。いかがですか。

浅尾国務大臣 御指摘ありました宇城市及びトライグループの件については、こうした事態が発生してしまったことについては非常に残念な思いであります。

 トライグループの件について特に御指摘がありましたので、トライグループの社長らに対して、今回の事態を重く受け止めるように伝えた上で、再発防止策を含めた今後の対応について報告を要請するとともに、環境省、経済産業省及び文部科学省の連名で、業界団体、これは公益社団法人全国学習塾協会というところを通じて、団体所属の民間教育事業者へ教材作成に当たっての注意喚起を行うよう依頼し、本日、その文書を発出いたしました。

 環境省としても、水俣病に対する誤った情報や差別、偏見をなくしていくため、これまでも様々な取組を進めてきたところではありますが、正しい知識、情報が伝わっていなかったといったような今回の事態を踏まえ、関係自治体とも協力して、より一層誤解払拭、差別解消に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

野間委員 もう時間で、終わりますけれども、やはり環境省さんの姿勢が、本当は特措法でいろいろな啓発事業をいろいろやっているんですよね。例えば、途上国に人を派遣して水俣病のことを啓発するとか、途上国の人に水俣に来てもらっていろいろなレクチャーをする。お金をかけたそういうことをしているんですけれども、国内で、熊本県の中でまだまだそういうことが残っているということ、これは、環境省さんのやはり施策が行き届いていない結果、そして、今のように残念ながら患者、被害者に寄り添っていない姿勢がこういったところに反映していると思います。

 是非寄り添った姿勢に転換していただいて、最終解決に向けて頑張っていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、阿部知子さん。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 私は、ただいまの野間委員の御質疑に引き続いて、環境省の在り方を大臣にお尋ねしたいと思います。

 今野間さんがお取り上げになったのは、特に水俣病問題で、さきに私がこの場で質問をさせていただいた宇城市でのカレンダーの問題、そして、今般の家庭教師トライにおける水俣病が遺伝性の疾患であるという誤った記載等々、相次いでおります。

 それに対して、環境大臣として、浅尾大臣は各々のそういうことを起こしたところに対しての善処を求めているわけですが、こうやって余りに引き続いて起こるということは、やはり、我が国の水俣病に対する受け止め方、あるいは、国の責任はどこにあるのか、どうして水俣病が起こってしまったのか、そもそもの問題に立ち返らないと、私は、モグラたたきみたいに、そこに、次、宇城市の問題、こっち、トライの問題とやっていても、本質的に解決することがないと思います。

 また、今日野間委員がお示しになった、いわゆる環境省の中でこれを担当しておられる例えば環境省環境保健部長の発言が、鯨を食べたからではないかとか、それから、診断書は信用できないとか、非常にこの問題について、私は、環境省の姿勢、ひいては、国の責任をどう考えて、徹底して省庁の中にリーダーシップを取って職員をリードしているかに関わると思うんです。

 冒頭お伺いしたいですが、浅尾大臣は、なぜ水俣病は起こったか、そして国の責任は何であるとお考えでしょう。一問お願いします。

浅尾国務大臣 御案内のとおり、水俣病そのものは、原因企業がメチル水銀を排出していたということ、そして、それが魚介類に蓄積され、それを食べられた方々が、メチル水銀が、有機水銀が蓄積されて発症したということでありまして、我が国の公害の原点ということであります。

 国としても、環境をしっかりと守っていかなければいけない、公害を防いでいかなければいけない、そういった観点から、そうした公害が起きてしまったこと、起こさせてしまったことについて、しっかりとその責任を感じ、そうしたことが二度と起きないようにしていかなければいけないというのが国の責務だというふうに考えております。

阿部(知)委員 大臣は包括的におっしゃってくださいましたが、もちろん、汚染を起こしたチッソという企業、実は、昭和七年からアセトアルデヒドの加工をやっていて、水銀が出ていた。そして、戦争を挟んで、戦後の高度経済成長期に事業規模が拡大されて、今までを勝る水銀が湾に捨てられた。そこから汚染が始まるわけですが、でも、企業がそういうことを起こしたときに国が迅速に正しく対応しておれば、私はここまでの不幸はなかったと思うんです。

 大臣もお聞き及びかもしれませんが、一九五三年に猫がくるくると回って狂ってしまう。そして、一九五五年には月浦という湾のところの猫が全滅をしてしまう。そして、そこに住んでいた女の子のきょうだい二人が初めての公式患者認定を受けるのが一九五六年であります。

 しかし、実際の水俣のチッソ工場の排水が止められたのは一九六八年であります。一例目が公式認定されてから十二年もたって初めて止められるわけです。

 その間、企業は、企業の排水であることを否定したり、あるいは、国は一九五八年に水質二法というのを作ってこの地域の水質についての規制をかけたわけですが、元を断たなきゃ駄目、排水を止めなければこれはずっと続くわけです。そのことが、二〇〇三年の最高裁で、国の不作為ですね、水質二法に基づく規制が不十分なものであったゆえにこれだけの患者さんを生んでしまったと。ここは国賠訴訟になるわけです。国の責任ということを是非浅尾大臣には省庁に徹底をして共有していただきたいです。

 そういうものがないと、患者さん、被害者への目線も、仮病ではないか、お金欲しさではないか。みんなつらいから訴えるんですね。裁判など本当はしたくない、だけれども、認められないから自分の命のぎりぎりのところでやっているということなんだと思います。

 今の私が申し上げた水質二法の規制が不十分で、それだけじゃなくて、当時の経済企画庁は、実は、協議会を開催していたものも中断させて、一九六〇年です、以降、排水をある意味知っていながら規制しなかった結果なのであります。私はそう認識しておりますが、大臣、いかがでしょうか。

浅尾国務大臣 水俣病は、環境が破壊され、大変多くの方が健康被害に苦しまれてきた、我が国の環境行政の原点であると累次にわたって申し上げてきているわけでありますけれども、今御指摘のいわゆる水質二法については、平成十六年の水俣病関西訴訟の最高裁判決において次のように判示がなされたと承知をしております。

 すなわち、住民の生命、健康等に対する深刻かつ重大な被害が生じ得る状況が継続していたこと、水俣病の原因物質及び排出源が高度の蓋然性をもって認識し得る状況にあったこと等から、水質二法に基づく権利権限を行使しなかったことは、法の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、著しく合理性を欠くものとされ、国家賠償法第一条一項の適用上違法とされたものと承知をしております。

 この内容を真摯に反省し、このような悲惨な公害を決して再び繰り返してはならないと考えています。

阿部(知)委員 チッソに問題があるのはもちろんのこと、国にも大きな問題があった。実は、今般トライが遺伝病だと記していますが、一九六二年、胎児性の水俣病が初めて世に知られるようになりました。それまで水銀が胎盤を通過するということは知られておらず、原田さんというお医者さん、私も一緒に検診に行ったことがありますが、その検診の中で初めてこの胎児性の水俣病というものを見て、逆に水銀を胎盤から赤ちゃんに送ることでお母さんの身は守られた。水銀の排出の一つの道であったわけです。遺伝したわけではなく、その意味で、宝の子と呼ばれています、子供たちは。

 そして、そのことを、しっかりと被害を国が支えないと、鯨を食べたわけではないのです。そのことが忘れ去られていると、いろいろな、水銀の髪の毛の中の濃度を測って足りないとか、切り捨てる政策ばかりがここまで続いてきたことは、私は極めて残念です。

 そして、大臣もおっしゃいました、環境省という省庁は、この事件によって、いわば規制を強化してしっかりと環境を守ろうということが原点で、水質汚濁法という法律に水質二法を変えて、同時に発足している省庁であります。

 そして、その水質汚濁法ということに関して、次にPFASの問題で少しお尋ねをさせていただこうと思います。

 私もこの委員会で何回も有機フッ素化合物、PFASの問題を取り上げてまいりましたが、実は、空本委員もおっしゃったように、汚染は拡大の一途、すなわち、汚染として測られる地点はどんどん増えております。

 環境省の担当部署で構いませんから、先ほどお話のあった、二千七十八地点を測って二百四十二が基準値を超えていたという御答弁でありましたが、果たして、汚染源が、どこが何を垂れ流して汚染しているか、分かったところはこのうち何か所あるでしょう。

松本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁で申し上げましたのは、令和五年度、全国二千七十八の調査地点で調査が行われまして、二百四十二地点で暫定指針値五十ナノグラム・パー・リッターを超過したところがございますということでございました。

 その汚染源の特定ということにつきましては、様々なところからPFASが出ていることもございまして、特定することは一般には非常に難しいという状況でございます。

 汚染が特定されたところにつきましては、特に御下問がなかったので、今は準備できておりません。申し訳ありません。

阿部(知)委員 そのこと自身が問題ですね。これだけだだ漏れしていて分からない。私があらかじめ質問を投げていないから答えられないなんて、ちょっと信じられません。多分六か所だと思いますが、部屋で事前レクを受けたときに伺っています。

 そして、どんなところが汚染源になっているか。有名なのは岡山の吉備ですよね。活性炭を捨てちゃった。あるいは、京都の綾部。産廃工場の流れからそこに汚染が来た。あるいは、沖縄の基地もそうかもしれません。

 私はその具体的な項目を挙げてくれとお伝えしましたが、そのときは聞けませんでしたので今日ここで伺おうと思いましたが、とても残念です。すべからく、どこが汚染源かを特定する意欲がないと、私は怒りを持って指摘をさせていただきます。どんなにかその地域の人が不安になっているか、対策に追われているか。水俣病と同じ構造ではないですか。汚染源をきちんと行政が把握しようとしない。放置する。拡大する。犠牲が起きる。起きてからでは遅い。このことを学んだと私は思います。

 そして、二つ目の質問ですけれども、今般、水質については基準値を設けることになりました。基準値にすれば測定が義務づけられますし、より飲料水についての安全性は高まってまいります。

 一方で、地下水とか河川とか、環境について広がっているPFASについては、水質汚濁防止法というものの規制と工場の排水規制、一つは工場などでは、基地もありますけれども、などによって規制されていくべきものだと思います。

 果たして、現段階で、PFASは水質汚濁防止法上どんな規制がかかっているでしょう。これも担当部署で構いません。

松本政府参考人 お答えいたします。

 PFOS及びPFOAによる健康リスクは、繰り返しになりますが、飲み水や食品などを経由した摂取、これが主な要因として考えられております。このため、河川など公共用水、地下水についても、当然のことながら摂取しないことが重要と考えております。

 こうした観点から、今年の五月、中央環境審議会からいただいた答申のとおり、水道の水源となる公共用水域や地下水域においては指針値、これを重点的な環境モニタリングの目安といたしまして、委員御指摘のありました、直接飲用に供する水道の水質基準、こちらと合わせて運用するということによりまして、飲み水の摂取を通じた健康リスクをより効果的に低減することが適当であると考えてございます。

 その上で、同答申では、環境中への流出また拡散に関する知見、効果的、効率的な対策技術に関する知見、水質汚濁を通じた農水産物への移行に関する知見、これらを収集することが必要とされておりまして、環境省としましては、こうした知見を収集しながら、お尋ねのございました排水等への対応も含めまして、今後の対応をしっかり検討してまいりたいと考えてございます。

阿部(知)委員 一見丁寧に見えて、私の質問にはお答えじゃないと思うんですね。

 水質汚濁防止法上、今やっておられることは、化審法、化学物質の取扱法に合わせて、PFOS、PFOAが指定物質になったので、令和五年から、もしそういうものが事故で流出したら報告をするという体系を取っているんです。でも、事故じゃなければ、どれくらい垂れ流していても報告も規制もされないんです。私が質問したのは、どんな規制の方法で扱われていますかということですので、そこを明確にしていただきたかったと思います。

 この間、地域の汚染について、例えば、兵庫県の神戸市と明石市から環境省に対して、河川が汚染して、十月には、PFOAが十万ナノグラム・パー・リッター、PFOSが千五百、今のは明石のデータです。同様に、神戸市でも、高濃度の汚染があるので汚染源を特定してほしい、対策をどうするのか、規制をしてほしいという要望が上がっております。当然だと思うんですよね。

 実は、大臣、御存じでしょうか、ダイキンだって、排水の基準値というか、規制値はないんですよ、法的には。地下水が何万ナノ・パー・リッターになっても。工場だって困っているんです、規制値じゃないから。何万ですよ。

 こういうものがあちこちで起こっているときに、今後、環境省として、より迅速な汚染源の特定と、必要な規制、特に私は、工場の排水の中のこうしたPFASの規制だと思いますが、これについてはどうお考えでしょう。

浅尾国務大臣 まず、お答えする前に、先ほど私は、水質二法に基づく規制権限をと本来読み上げるべきところ、水質二法に基づく権利権限と発言いたしましたので、規制権限と訂正をさせていただきます。

 そして、お尋ねの件でありますが、今年二月十日に明石市長、神戸市長が来省され、PFOS等の基準の設定等に関する御要望をいただきました。PFAS対策については、こうした地域の方々の不安の声などを真摯に受け止めつつ、科学的知見を踏まえた対応を着実に進めているところであります。

 PFOS等による健康リスクは、飲み水や食品などを経由した摂取が主な要因と考えられており、原因のいかんにかかわらず、健康リスクを低減するため、飲用摂取を防止することが重要であると考えております。

 このため、環境省では、地下水等から暫定目標値を超えるPFOS等が検出された場合には、地方自治体に対して、水道水への切替えなどの取組を始めとした技術的助言を行っております。

 さらに、水道水中のPFOS等について、水道事業者に水質検査及び基準遵守を義務づけるなど、水質基準へ引き上げる方向性が取りまとめられたところであります。

 こうした取組を通じて、国民の安全、安心を確保しつつ、科学的知見を踏まえながら必要な対応を検討してまいります。

阿部(知)委員 申し訳ないけれども、遅いし、現実をきっちり私は把握していないと思います、明石市の例でも、神戸の例でも。

 これからますます半導体工場などが稼働いたしますと、有機フッ素化合物の排水ということが起こってまいります。現に熊本市でも、TSMCが稼働する前と後で、有機フッ素化合物の、PFOSやPFOAではありませんが、同じ範疇に入るものの値が高くなってきている。もちろん、このPFAS問題は、今すぐそこで何か起こるのではなくて、長年の蓄積とか環境汚染とか土壌への移行とか、いろいろな広がりを持つものでありますから、私は、今後、環境を健全にしながら産業を発展させていく、そうでなければ水俣に何も学ばなかったことになりますので、大臣にはこのTSMCの件もお伝えしておきますので、環境省としてどんな規制があればよいとお考えになるか、是非早急に検討していただきたいと思います。

 最後は、時間がないので、質問ではなくて指摘をさせていただきたいと思います。

 今回、中間貯蔵の放射性物質、土壌を環境の中に、外に移すということであります。今日、局長に御答弁に来ていただきましたが、申し訳なく、時間がないので指摘だけですが、放射性物質は閉じ込める、散らばらせない、コンクにして管理するものと決まってございます。これを地域の外に出すということには、それに基づく法令がなければ規制もできませんし、そもそもやるべきでもありません。そうしたことに新たに環境省が踏み込もうとすることには、先ほど申し上げた規制庁としての環境省の名を捨てるのかと思いますので、指摘をさせていただいて、終わらせていただきます。

近藤委員長 次に、沼崎満子さん。

沼崎委員 公明党の沼崎満子です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 最初に、持続可能な航空燃料、いわゆるSAFについて質問をさせていただきます。

 五月一日、関西国際空港から国産のSAFを使用した初の旅客便が飛び立ちました。航空機は、鉄道などほかの輸送手段と比較して二酸化炭素の排出量が多く、ヨーロッパでは飛び恥などと言われるなど、脱炭素化の取組が急務と思います。その中で、植物由来の廃食油などを原料とするSAFは、従来の燃料に比べてCO2を約八〇%削減できる可能性を持ち、大きな期待が寄せられています。

 本年四月には、堺市に国内初のSAF生産工場が完成しました。国際的な流れに後れを取らないためにも、日本は二〇三〇年までに国内航空会社の燃料の一〇%をSAFにする目標を掲げていると認識しています。公明党としても、政府への提言や国会での質問を通じて、SAFの生産、供給の促進を後押ししてきました。今後とも、この取組を広げていくことが、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて重要な取組と考えております。

 そこでお聞きしますが、初めに、現在の日本国内でのSAFの導入状況と、導入に際して直面している主な課題についてお聞かせください。

秋田政府参考人 お答えをさせていただきます。

 御指摘いただきましたとおり、航空分野におきます二〇五〇年カーボンニュートラルに向けましては、CO2削減効果の高いSAFの導入を推進する必要がある、このように考えております。

 このため、国土交通省といたしましては、二〇三〇年の本邦エアラインによる航空燃料使用量の一〇%をSAFに置き換える目標を掲げさせていただくとともに、大手エアラインにおきましても、当該一〇%目標を記載いたしました航空運送事業脱炭素化推進計画を策定しているところでございます。

 現在の状況につきましては、世界全体でSAFの供給がまだ十分ではない中、徐々に利用が進められている、このように承知をしております。

 今年度より、国産SAFの大規模製造が開始されまして、大手エアラインがこれを利用しておりますことから、SAFの導入拡大につながっていくもの、このように考えております。

 今後の一層の導入拡大に当たりましては、製造コスト、原材料の確保、供給量の拡大と需要の確保が課題である、このように認識しております。

 このため、資源エネルギー庁と共同で官民協議会を開催し、エアラインや石油元売会社とともに、国際競争力のある価格での国産SAFを安定的に製造、供給、利用できる体制の構築に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、官民連携して取り組んでまいります。

沼崎委員 ありがとうございます。

 今、課題を教えていただきましたけれども、SAFの国内製造をこれからますます促進していく必要性があると思いますが、そちらに対しては具体的にどのような取組を行っているでしょうか。今御紹介いただきました安定的なSAFの原料確保や国内で国際競争力のある価格設定を実現するために、製造コスト削減に対する支援や取組などについてお聞かせください。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 SAFを供給していく上での課題は、原料の安定調達それから価格であるというふうに認識をしてございます。

 経済産業省といたしましては、国際競争力あるSAFを国内で製造するために、GX経済移行債を活用いたしまして、今後五年間で約三千四百億円の大規模なSAF製造設備への投資支援を行っております。本年二月には四件の投資計画を採択したところでございます。

 また、国内投資を促進する観点からは、戦略分野国内生産促進税制を措置いたしまして、SAFの生産、販売量に応じた税額控除を受けられるよう措置をしているところでございます。

 加えまして、原料調達の観点でございますけれども、グローバルサウス補助金を活用いたしまして、SAFの原料確保に取り組む事業者に対する支援も決定しているところでございます。

 関係省庁とも連携をしていきながら、今後、課題解決に向けまして、積極的に対応してまいりたいと考えてございます。

沼崎委員 ありがとうございます。かなり大規模な支援が進んでいるなというふうに感じました。

 また、これからより効率的にSAFの製造を国内で進めていくための技術開発などに対する支援もございましたら教えてください。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、経済産業省では、NEDOを通じまして、二〇二一年度から二〇二四年度にかけまして、廃食用油等からSAFを製造する、HEFAと呼ばれていますけれども、HEFAの技術への研究開発支援といたしまして、コスモ石油の堺製油所における大規模な製造実証を行ったところでございます。その結果、日本初の大規模な製造プラント、これは大体年間約三万キロリットルでございますけれども、昨年十二月に完工いたしまして、本年四月に供給が開始をされております。

 また、HEFAの技術に次ぐ大規模製造可能な技術でございますけれども、エタノールからSAFを製造する、ATJと呼ばれています、アルコール・トゥー・ジェットの略でございますが、この技術につきまして、これはグリーンイノベーション基金を活用して二〇二二年度から支援を行っておりまして、これは現在、出光興産が千葉事業所にてプロジェクトを進めてございます。

 それから、今後、SAFの中長期的な需要拡大に対応するためには、木くずですとか都市ごみ、そういったものからSAFを製造する技術、ガス化をしてガスから燃料に合成する技術でございますけれども、その改良と高度化に取り組むということで、新たな製造技術の開発も支援しているところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じまして、SAFの製造技術開発に取り組む事業者を後押ししてまいりたいと考えてございます。

沼崎委員 ありがとうございます。私の知らない様々な技術が随分進んでいるということに期待を覚えました。

 また、SAFの導入に当たっては、製造コストや運用コストが非常に高いということが懸念されております。航空業界がコスト負担をすることになりますけれども、負担軽減のためにどのような支援策が検討されているか、教えてください。

秋田政府参考人 お答えをさせていただきます。

 利用側における軽減策という御質問でございますが、国土交通省といたしましては、SAFの原料の多様化はコストの低減に資すると考えておりますことから、新たな原料によりSAFの製造を目指される国内事業者が行います国際認証の取得に当たりまして、これを支援するなど、国産SAFの安定供給に向けた環境整備に取り組ませていただいております。

 その上で、国際競争力のある国産のSAFと既存のジェット燃料との差額につきましては、これを環境価値と捉えまして、利用者に御負担をいただくことが基本になろうか、このように考えております。このため、SAFの環境価値の可視化に向けました考え方を整理し、ガイドラインを作成するなど、理解の醸成に向けた取組を始めさせていただいているところでございます。

 引き続き海外における動向や国産SAFの製造状況を注視してまいりたい、このように考えております。

沼崎委員 ありがとうございます。

 利用者の負担ということもございますので、しっかり周知、啓蒙ということも重要になってくると思いますが、私が今回この質問をしようと思ったきっかけというのが実はございまして、横浜市で、イオンさんと協力して家庭用の廃食油を回収する、そういった事業をやっておりまして、その視察をしたことが興味を持ったきっかけになりました。こういった取組も周知には非常に重要だなというふうに思っております。

 イオンなどの企業が家庭用廃食油の回収拠点を設置してこのような取組を行っていますけれども、SAFの原料として活用できる家庭から排出される廃食用油の回収率は事業用と比べると低く、まだ活用が進んでいないというふうに聞いております。家庭用廃食油の回収を進めるための体制づくりや、このような回収事業を推進している民間企業との連携をどのように強化し、推進していく予定でしょうか。お聞かせください。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきましたとおり、SAF原料確保の観点から、家庭用廃食用油の回収が極めて重要であると私どもとして考えております。しかしながら、現状、家庭用廃食用油を分別収集している市町村が全体の約三割にとどまっていることを、私どもとしてこれは大変重い課題だと認識しております。

 こうした状況を踏まえまして、環境省では、市町村による家庭用廃食用油の回収体制整備に向けた取組を後押しするため、一般廃棄物の標準的な分別収集区分を示した一般廃棄物処理システム指針を令和七年三月に改定いたしまして、廃食用油を標準的な分別収集区分の一つとして位置づけるとともに、令和六年度補正予算におきまして、廃食用油を含む地域の資源性廃棄物の回収、選別、再資源化に係る技術実証等について新たな支援メニューを設けさせていただいたところです。さらに、今年度より廃食用油の分別収集に要する経費について、新たに特別交付税措置を講ずることとされているところでございます。

 また、民間企業と連携した取組につきましては、先ほどお話しいただきました横浜市の事例のほかにも、例えば、岡山県岡山市において、回収した廃食用油をもとに民間企業にてバイオディーゼル燃料を製造し、ごみ収集車の燃料として使用している事例もございます。こうした事例について、環境省では事例集を作成し周知させていただいているところです。

 本年九月に大阪にて開催する予定としております資源循環自治体フォーラムの場などを活用して、民間企業との連携事例を含め、廃食用油の回収、活用に関する好事例を地方自治体へ更に周知をしてまいりたいと考えております。

沼崎委員 ありがとうございます。

 まさに今から広がっていくところなのかなというふうに、また好事例の御紹介もいただきましたので、私もしっかりこれからも後押しをしていきたいと思います。

 少し質問が変わりまして、建設現場のリサイクルで生じるコンクリート塊の利用に関しての御質問をさせていただきます。

 建設リサイクル法の制定以降、建設廃棄物の最終処分量は、二〇〇〇年の千二百八十五万トンから、二〇一八年には約一千万トン減少して、コンクリート塊の再資源化率は九九%以上に達していると認識しています。一方、私は神奈川県に今住んでおりますけれども、神奈川県では再資源化は非常に進んでいるんですけれども、廃コンクリートの再利用の方が進んでいないということで、課題があるというふうにお聞きしています。

 全国的に見て、建設現場での廃コンクリートの再利用状況は現在どのようになっているのか、お示しください。また、このような地域における廃コンクリートの再資源化を更に促進していくためには、どのような支援や取組を行っていますでしょうか。お聞かせください。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 建設工事により発生したコンクリート塊は、約九四%が再生クラッシャーランに再資源化され、道路の路盤材等として利用されております一方で、首都圏におきましては、再生クラッシャーランの在庫が積み上がっているとの声があることは議員御指摘のとおりと承知いたしております。

 国土交通省におきましては、循環経済の実現に向けまして、循環資源の利用と生産の拡大を進めており、建設リサイクル分野におきましても、建設廃棄物を同種の製品として再生利用する水平リサイクルの推進や、再生資材の需要拡大のための取組を推進しているところでございます。

 コンクリート塊につきましては、品質面等での課題を踏まえ、技術的検証等を行った上で、再生クラッシャーラン以外の用途拡大に向けまして、建設工事における再生コンクリート骨材としての利用拡大の検討も実施してございます。

 今後とも、関係業界等のお声や有識者の皆様の御指摘等も踏まえまして、国交省として積極的に建設リサイクル施策を展開してまいりたいと考えております。

沼崎委員 せっかくリサイクルが非常に進んでいますので、利用の方も是非進めていただきたいと思います。

 次を最後の質問にさせていただきます。

 二〇二七年に横浜市で開催されます国際園芸博覧会、グリーンエキスポ二〇二七は、持続可能な開発をテーマに、世界中の多様な園芸文化や技術を紹介し、地域経済の活性化や国際的な文化交流を促進する重要なイベントです。私も神奈川県に住んでおりますので、この博覧会を非常に楽しみにしております。特に、この博覧会は環境負荷を最小限に抑えるために様々取組が行われていると承知しておりますが、サステーナビリティーを中心に備えたこのイベントが重要なメッセージになることを期待しています。

 この国際園芸博覧会におけるサステーナビリティーに対してどのような施策を行っているか、具体的な内容に関してお聞かせください。お願いいたします。

浅尾国務大臣 御地元の二〇二七年国際園芸博覧会の基本的な考え方として、自然再興、気候変動への対応、循環経済への移行など、GXやグリーン社会の実現を含むSDGs達成への貢献を掲げております。

 環境省としては、博覧会の環境対策の促進や、この機会を捉えた我が国の環境政策の発信、展開を通じて、SDGsの達成に寄与する博覧会とすべく積極的に貢献してまいります。

 具体的には、会場におけるエネルギーの脱炭素化や3R等の取組の推進、自然共生サイトなど自然との共生、調和に関する取組の発信、関連事業として位置づけられている横浜市内の公共施設、民間施設への再エネ導入推進等を行ってまいります。あわせて、様々な機会やチャンネルを活用し、開催に向けた機運醸成にも取り組んでまいります。

 引き続き、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

沼崎委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

近藤委員長 次に、北野裕子さん。

北野委員 参政党の北野裕子でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、今日、五月二十二日の産経新聞の記事の内容を基に、再エネ事業に関する質問をさせていただきたいと思います。

 ロイター通信の報道によりますと、中国製の太陽光発電システムについて、複数の製品から仕様書に記載のない不審な通信機器が見つかり、これにより、遠隔操作で送電網に不具合を生じさせ、広域停電を引き起こす可能性もあると記事にございました。

 これについて、太陽光発電業者にヒアリングをしましたところ、業界内でもそうした機器の存在がうわさされており、あえて中国製を使わないようにするというような業者もあるということを聞きました。

 インバーターには通常、運用管理用の通信機能が備わっているんですけれども、仮に仕様書にない機能がひそかに搭載されていた場合、これは単なる瑕疵ではなく、明白な安全保障上の懸念事項であると考えております。

 アメリカでは、政府調達のインフラ設備に関しては、ソフトウェアの部品表、いわゆるSBOMを提出しない業者とは契約しないという事実上の義務化の動きが見られております。電力事業におきましてはFIT等から多額の公的資金が入っておりまして、公益性が高いものですので、こうした規制を官民かかわらず取り入れていくべきではないのでしょうか。

 これを踏まえ、経産省の方にお伺いをいたします。

 今回の記事にありますような太陽光発電システムのみならず、送配電、配電事業者を含め、電力事業関連製品につきまして、サイバーセキュリティーの観点からどのようなチェックがされているのか、お聞かせください。また、第三者による現地調査、報告など、実地調査、検査等の実効性を確保するための方策があれば併せて教えていただけますでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただきました太陽光発電設備等のサイバーセキュリティー対策につきまして、電力安定供給の観点から様々な対策を進めているところでございます。

 具体的には、太陽光発電設備を系統につなぐ際に、一般送配電事業者におきまして、サイバーセキュリティー上の観点を含めた安全性の確認を行っており、特に、五十キロワット以上の太陽光発電設備につきましては、電気事業法において、不正アクセスからの防護措置を講ずることなどを求めているところでございます。

 加えまして、太陽光発電等につきまして、サイバーセキュリティーの確保を一層推進する観点から、一定のセキュリティー基準を満たすIoT製品にラベルを付与するJC―STAR制度の活用などの検討を行っているところでございます。

 また、御指摘いただきました送配電分野を含む電力分野の設備につきましては、電力の安定供給確保の観点から、経済安全保障推進法に基づきまして、一定の基準を満たした電気事業者が重要な設備の導入や維持管理等の委託を行う場合に、政府がその設備等に関する計画を事前に審査することとしております。

 報道の件に関しまして、有志国とも問題意識を共有し、関係団体から情報収集を行っているところでございます。

 今後とも、電力の安定供給を確保する観点から、太陽光発電設備や送配電分野を含むその他の電力設備のサイバーセキュリティー対策にしっかりと努めてまいりたいと存じます。

北野委員 ありがとうございます。

 エネルギー庁さんが出しておられます小規模太陽光発電設備のサイバーセキュリティ対策についてという資料の中にも、太陽光発電の監視装置に内在する脆弱性が悪用され、サイバー攻撃の踏み台にされる事案が発生するなど、分散型電源に対するサイバーセキュリティー上の懸念が指摘されていると書かれています。

 今回のインバーターの問題だけではなく、実際、昨年の五月には、中小規模の太陽光発電施設の遠隔監視機器がサイバー攻撃を受けまして、インターネットバンキングの不正送金に利用されたという事案が出ております。停電や送電網への影響だけではなく、太陽光パネルを所有する個人がサイバー攻撃を受けるリスクが明るみになっております。

 このような中で、東京都は新築住宅への太陽光パネルを義務化しまして、全国的にも約七百の自治体がゼロカーボンシティー宣言をしている状態を見ますと、今後各地で中小規模の太陽光発電が増えていくものと思われています。サイバーセキュリティー上の安全確保をしないままに走り続けるのはどうなのかと思います。

 上記を踏まえてお伺いいたします。

 現在、国内の太陽光パネルは約九五%が外国製でございます。そのうちの八割が中国製となっておりまして、そもそも国家基盤であります電力インフラ設備を海外メーカーに依存していること自体が問題だと考えるのですが、一般的に、電力事業について、設備導入に当たりましてメーカーの資本関係については確認しているのでしょうか。経産省さんにお答えいただければと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 発電分野におきましては、電力の安定供給を確保する観点から、経済安全保障推進法における基幹インフラ制度におきまして事前審査制度が設けられているところでございます。

 具体的には、出力五十万キロワット以上の発電設備を有する発電事業者が、重要な設備を導入する場合や、その維持管理等の委託を行う場合に、当該設備の供給者等の出資者情報等を含め、政府がその設備等に関する計画を事前に審査することにしております。

 本制度を含めた関係法令を適切に執行し、引き続き国民生活と経済活動にとって不可欠な電力の安定供給に努めてまいりたいと考えております。

北野委員 ありがとうございます。

 五十万キロワット以上についてはチェックしているということだったんですけれども、再エネ、特に太陽光発電に関しましては五十万キロワット未満の中小規模のものがほとんどなんですね。

 先ほど申し上げましたアメリカにおけるSBOM提出の実質的義務化をなぜ日本でも検討していただきたいのかといいますと、国内の太陽光パネルの九五%が海外製で、その八割が中国製なんですよ。中国の軍事戦略概念、いわゆる超限戦では、経済的、法律、通信、情報戦すらも戦争の一手段としてみなされています。こうした概念の下では、太陽光発電システムが国家電力網に接続されていること自体、国防上のリスクとなり得ます。エネルギー安全保障の観点からも、事業の大小にかかわらず監視を強化していくべきだと考えます。

 エネルギーにかかわらず、インフラ全般に関して、安全保障の取組、考え方をちょっとお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー分野を含む国民生活、経済活動の基盤となります重要なインフラについて、安定的な役務の提供が確保されることは非常に重要であるというふうに考えております。

 また、我が国の経済安全保障の取組は特定の国を念頭に置いたものではございませんけれども、御指摘の概念も含め、安全保障に関する考え方も踏まえながら、経済、産業が直面する様々なリスクを継続的に点検し、対応に万全を期していくことが重要であるというふうに認識をしてございます。

 国家安全保障局といたしましては、経済産業省から答弁のあった取組も含めまして、引き続き、関係省庁と連携して、経済安全保障の観点から必要な取組を不断に実施してまいりたいと考えております。

北野委員 ありがとうございます。

 特定の国に対してということではなくというふうにおっしゃっていましたけれども、もう既に特定の国からサイバー攻撃を受けているんですよ。政府の方針により、これからますます太陽光パネルが増えていくんです。なので、政府全体としてより一層責任感を持ってサイバーセキュリティー確保に取り組んでいただかないと困ります。国民の代表として強くお願いをいたします。

 そして、ここまでリスクを冒して政府が進めている再エネ事業によって一体誰が得をしているのでしょうか。

 再エネ賦課金として、標準な一般家庭で月々千二百円、年間にしますと一万五千円近く国民は負担しています。配付しました記事の中にも、賦課金が中国勢を間接的に利しているとの指摘もあると書かれておりますが、全く同感でございます。そもそも再エネ事業は国益にかなうのかどうかという疑問が多々あります。

 この再エネ事業なんですけれども、環境省が所管している脱炭素化支援機構というのがありまして、これは公的資金を用いて民間プロジェクトを支援する制度なんですけれども、支援対象には代表者が外国籍である日本法人や海外で事業を展開している企業などが見受けられるんですね。

 表向きには日本企業でありましても、資本だったり意思決定、技術が国外に依存している構造であれば、結果的に国費が海外に流出するのではないかと私は考えています。

 参政党としまして、何でも反対しているわけではありません。日本の経済成長やエネルギー自給率の向上に資するものであれば、まだ設立した、投資した意味は分かるんですけれども、無駄なこと、国内に還元されないものはやめていただきたいというのが訴えでございます。

 今、国民は、脱炭素よりも、物価高騰により経済的に苦しんでいます。地球温暖化の真偽は定かではありません。確実に言えることは、国民は、お米の価格高騰によりまして、明日食べる飯に困っている状態です。毎月賦課金に払うお金千二百円があったら、一キロでも多くのお米が買いたいんです。これが今の日本の現状なんですね。

 今、環境省さんが所管しております脱炭素化支援機構なんですけれども、支援を受けている企業が支援金額は非開示なんですね。現在、脱炭素化支援機構が支援をしている会社は三十八社あるんですけれども、そのうち三十五社が支援金の金額を非開示としているんですね。公的な資金がどのように使われているのかを把握できない状態では国民は納得ができません。支援機構の立ち上げ当初から原則開示を求めてきたということなんですけれども、なぜ非開示を認めてしまったのか、この点についてお伺いをいたします。

大森政府参考人 お答えいたします。

 株式会社脱炭素化支援機構、略称JICNにおきましては、官民ファンドの運営に係るガイドラインを踏まえ、支援決定を行った案件の概要につきまして、プレスリリース等により開示をしてきたところでございます。

 しかしながら、支援決定金額につきましては、透明性を持った情報開示の重要性を認識しつつも、事業者や共同出資者の競争上の機微情報に当たること等の理由から、開示の合意に至らない場合が多かったと認識しております。

 今後の案件につきましては、JICNでは、投資実績の透明性を持った情報開示や適時適切な報告を一層行うため、原則、支援決定金額を開示することとし、実施に向けて強く働きかけていくことになっております。

 環境省といたしましても、引き続きJICNの情報開示について適切に指導監督してまいりたいと考えております。

北野委員 ありがとうございます。

 強く働きかけているという御回答をいただいたんですけれども、私たちは直ちに中止してほしいとかと言っているわけではないんですね。例えば、開示に期限を、三年とか五年とか設けて、ちゃんとお尻を切っていただきたいんですね。そうしないと、いつまでも開示しない会社が出てくる可能性もあるんですよ。具体的な開示を強く求めていただきまして、必ず国民の理解が得られるような対応を、環境省さんを含め、関係する金融機関と連携していただきたいと思います。

 もうそろそろ時間がありませんので、私たち参政党は、いろいろ国民のためにやっていかなければいけないということで、環境委員会でたくさん私は質問させていただいているんですけれども、脱炭素化の下に、国外から機器、資材、資本が急速に流入している状態に私は本当に危機感を抱いております。脱炭素ビジネスに猛進する余りに国内の安全が脅かされるようであっては本当に本末転倒でございます。私たち国民の安心、安全な暮らしを、各省庁連携していただいて、これからも皆さんと一緒に取り組んでいただければと思います。

 私からの質問は以上とさせていただきます。本日はありがとうございました。

近藤委員長 次に、竹上裕子さん。

竹上委員 日本保守党の竹上裕子でございます。

 本日は、質疑の時間をいただき、誠にありがとうございます。

 まず、本日の問題の一つです。本日は、不適正ヤード問題に対する政府の認識と規制の現状について伺います。

 ヤードとは、改めて言うまでもありませんが、主に金属スクラップや廃車部品を保管する屋外施設です。近年、鉄スクラップの価格高騰などを背景に、スクラップ業者が全国的に急増しております。

 不適正なヤードにおいては、環境対策が不十分なまま設置、操業が行われ、不適切な処理や、高く積まれたスクラップの山、特に、フレコンバッグの中身も見えてはいるんですけれども、非常に恐ろしい、中身が見えながら山積みに野ざらしになっているという状況で、近隣住民に深刻な影響を及ぼしています。また、外国人が経営するヤードも多く、不法就労や盗難車両の解体といった犯罪の温床となり得る懸念も生じている現状が報じられております。

 環境省は、昨年、四十七都道府県及び八十二政令市を対象としたヤードに関する実態調査を実施いたしました。その結果、事業場数は三千二百六十件、また、本当に火災も起きているわけですが、火災や土壌、地下水汚染などの生活環境保全上の支障が百六十五事業場で発生し、合計二百十一件で確認されたとの報告がなされています。

 しかし、この調査では、全体の約四〇%の自治体が依然として事業場を把握していないなど、極めて不完全な実態把握の状況であると考えます。

 ヤード問題の現状が十分に把握できず、不適正な状況が放置されている主な理由は、既存の法律では十分な対応ができないという点にあると考えます。

 例えば、ヤードで扱われる金属スクラップなどは、基本的に、有価物であると言われると、これが廃棄物処理法などの既存の法律による規制対象外であると承知しており、さらに、自治体からも手が出せないという状況になってしまいます。

 環境省は、平成二十九年の廃棄物処理法の改正により規制強化が図られたと、参議院の環境委員会、今年の三月二十四日ですね、の答弁で述べられていらっしゃいますが、それでは、なぜいまだにヤードの現状の把握ですら不十分で、全国各地で問題が野放しにされているのでしょうか。

 平成二十九年の改正で創設された有害使用済機器保管等届出制度、これに関する政策の限界について確認いたします。また、日本全国のヤード問題について政府としてどのように認識されているのか、お答えいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 ヤードにおける雑品スクラップの不適正な保管等に起因する生活環境保全上の支障事例に対応するため、平成二十九年の廃棄物処理法の改正により、廃棄物に該当しない家電等の保管又は処分を業として行う場合の届出制度が創設され、規制強化が図られたところでございます。現在問題になっておりますのは、この規制の網の外でございまして、この規制の網の外のヤードが近年問題になっている、このように認識しております。

 ただいま御指摘いただきましたとおり、昨年環境省が自治体に対して行った実態調査の結果、この平成二十九年の廃掃法の改正で規制対象となったものの外、この制度の対象外である金属スクラップ等を保管、処理するヤードにおいて、騒音や悪臭、公共用水域や土壌の汚染、火災といった生活環境保全上の支障が発生している事実が明確となっており、これにつきましてはしっかりとした対策が必要だと認識しております。

 具体的には、本制度の対象外である金属スクラップ等を保管しているヤードは全国で三千二百六十確認されており、このうち、百六十五のヤードにおいて直近一年間で二百十一件の生活環境保全上の支障が生じているということにつきましては、ただいま御指摘いただきましたとおりでございます。

 こうした状況を踏まえまして、現在、中央環境審議会の下に設置された小委員会において、ヤードの環境対策について制度的措置の本格的な検討を進めているところであり、制度的対応の強化を環境省として図ってまいりたい、このように考えております。

竹上委員 今、金属スクラップ等のということでおっしゃいましたが、解体廃材、それをフレコンバッグに入れて野積みし、また何年もそれが経過していることということが、水田耕作をしている近くに住んでいる農業の方々、それから、何とかしてほしいと訴えている自治会長さんたちの現状があります。まだまだこの政策の手ぬるさというものを感じております。

 ということで、法の隙間をついて、先ほど述べましたような不適正なヤードに関する様々な問題が全国各地、豊橋に住んでいる私だけの問題ではない、そういう日常的な監視と取締りが急務となっております。

 このような状況を放置すれば、適正にヤードを運営している業者の評判、百年事業者さんでしっかりと適正にヤードを経営している、そういう方もいらっしゃるわけですが、リサイクル業界全体への悪影響も懸念されます。

 現在、都道府県では五自治体、そして政令市では三自治体が不適正なヤードに関する条例を制定しております。しかし、自治体による条例ではやはり規制内容に限界があり、その実施にも、予算や人員の確保といった、そういう問題の課題を抱えております。

 さらに、特定の自治体が規制を強化すると、規制の緩い地域へと不適正ヤードがどんどん移転してまいります。関東の方から、今、愛知の方へといううわさも非常に流れておりまして、心配しているところなんですが。

 そこで、法的規制に加え、環境省の人員、予算面での措置を含めた国レベルの包括的な不適正ヤード規制と対策を早急に実施する必要があると考えますが、いつまでに対応するつもりか、できれば今年度中に対応できないものかどうかということで、浅尾環境大臣の御意見と、それから決意を伺いたいと思います。

浅尾国務大臣 お答えいたします。

 ヤードでの不十分な環境対策により、生活環境保全上の支障を生じさせている不適正ヤード問題が全国に波及しつつあります。不適正な事業者がヤード規制条例を設けていない地域に逃れるような動きをしている、今御指摘がありました、との声も聞いており、国として取り組むべき重大な課題と受け止めています。

 このような現状を踏まえ、環境省として、昨年十月にヤード環境対策検討会を設置し、金属スクラップ等のヤードに関する環境対策の在り方に関して有識者の皆様に御議論いただき、今年三月に報告書を取りまとめました。

 現在、検討会の報告書や議論を踏まえ、中央環境審議会の小委員会において制度的対応の検討を進めており、今夏を目途に中間取りまとめを行いつつ、法制的な検討を更に深めていく予定となっています。

 不適正なヤード事業者に対して環境保全措置を遵守させることで、資源循環の推進に貢献している事業者との公平な競争環境が確保されるよう、実効性のある制度の構築に向けて、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えています。

竹上委員 ということで、法規制などをやっていただけるということではあるんですが、罰金を払って終わりということにならないような改善命令、そして原状復帰、自然環境の回復というものも目指していっていただきたいと思います。

 続きまして、産経新聞、太陽光パネル九五%外国製、先ほど参政党の北野議員が質問されていましたが、それについて、環境省は、この報道の事実関係ですね、五月二十二日付産経新聞、業界団体である太陽光発電協会による出荷データを集計したところ、二〇二四年、太陽光パネルの国内シェアは海外製品が九四・九%に上る、十年前と比べて約三五ポイントも伸びたとの報道。この事実関係について政府はほぼほぼ把握していらっしゃることと思いますが、安全保障面については先ほどお答えしていたのを私も聞いております。国内産業的な面においても御回答いただけたらと思います。どのように把握しているのか、お教えいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただきました報道にありますとおり、業界団体の太陽光発電協会によりますと、二〇二四年の太陽光パネルの国内シェアは海外製品が九四・九%に上ったと承知をしてございます。

 今御指摘いただきましたような産業政策の観点から、シリコン型太陽電池につきましては、欧州や中国等の海外市場が猛烈なスピードで拡大する中で、原材料のシリコンの安定調達や市場の拡大に対応した十分な規模の設備投資がなされず、結果として厳しい価格競争にさらされ、急速に日本企業の製品のシェアを落としたものと認識してございます。

竹上委員 結局、中国メーカーを利するだけの再エネ賦課金のお金が払われている。国内に全く還元しないお金、それから、国内の産業を育てることにもつながらないお金となっていることが分かりました。何とかこれについても取り組んでいただきたいと思います。

 次の質問なんですが、洋上風力発電に関する問題です。

 政府は、エネルギー政策や産業政策として洋上風力に係る取組を推進し、今国会において、先ほど通過いたしましたが、再エネ海域利用法の改正案を提出するなど、準備が進んでおります。しかしながら、海岸沿岸部や岸壁付近に洋上風力発電施設が建設された場合に、環境や漁業へどういった影響が発生するのか、この点について懸念が残ります。

 私の地元である愛知県の三河湾でいえば、三河港を造成した際に、地域の漁業協同組合が漁業権を放棄しました。港という公共性のある施設であるためですが、失ったものは非常に大きく、ノリ養殖場、アサリの稚貝がたまる浅場、ウナギの稚魚、シラスが集まる重要な干潟を失う寸前となりました。

 このため、前芝海岸、六条潟、それから汐川干潟などでは、地元研究者の加藤正敏先生を始めとして一般市民が保護活動を県と国に訴え、干潟の再生と浅場造成を行い、昭和の頃ほどではないにしても、三河湾の高級海産物としてようやく市場出荷ができるまでに復活しかけております。

 こうしたことを踏まえますと、洋上風力発電設備が造成された場合、気づかないところで海洋資源が失われ、再生不能の沿岸となる危険性が想定されます。

 そこで、まず、我が国の海洋環境、それから漁業への影響の観点から、政府は洋上風力発電に関してどのような規制基準を設定しているのか、伺います。

 あわせまして、既設の洋上風力発電に関して、まだまだ数は少ないわけですが、魚介類の漁場海域、干潟等においてどのような影響が生じているのか、伺います。よろしくお願いいたします。

秦政府参考人 お答え申し上げます。

 一定規模以上の洋上風力発電事業の実施に当たりましては、事業者におかれまして、環境影響評価法に基づく環境影響評価手続、これを行って、地域の自然環境の状況に応じまして、希少な動植物ですとか、あるいはその生息環境、こういったものへの影響などを含めまして、事業に関する環境影響を回避、低減するための保全措置を講じていただいている、こういう状況にございます。

 また、再エネ海域利用法の改正法におきましては、洋上風力発電事業に係る区域の指定、これに先立ちまして、環境大臣が、海中も含めまして、環境保全の観点から必要な調査を行うということとなってございます。事業者は、こういった結果を踏まえまして、環境影響に係る予測、評価を行うこととしておりまして、洋上風力発電事業においても適切な環境配慮が確保されていく仕組みとしてございます。

 御指摘の漁業海域あるいは干潟に関しましては、再エネ海域利用法に基づきます案件形成の仕組みにおいては、経済産業大臣及び国土交通大臣によりまして、法定協議会での漁業者さん等も含めました協議を通じて利害関係が図られていくというふうに認識をいたしてございます。

竹上委員 特に、沿岸の自治体が沿岸を管理する、そういう意味では、環境省さんの改正アセスメントによる事前調査、国主導による事前調査というのが非常に重要になってまいります。

 引き続き、最後の質問です。

 洋上風力発電に関する漁業関係者の反応についてお伺いします。

 洋上風力発電に関しては、特に浮体式の場合は、はるかかなた、EEZの、そういうところで設置されるわけですが、漁業活動に関しては、物理的に一定の制約が課されることは不可避であると言えるため、洋上風力発電設置の際には、沿岸の自治体、そして地元関係者、特に漁業関係者とのコミュニケーションが非常に重要になってまいります。

 そこで、漁業関係者が洋上風力設置についてどのような姿勢で現在あるのか、それから、環境省としての認識をお伺いいたします。特に、我が国においても漁獲量の多い地域である九州地方、それから東北地方沿岸部、そのようなところでは洋上風力のポテンシャルも高いと言われております。今後、開発が進んでいくことが予想されますが、これらの地域の漁業関係者が洋上風力発電の設置に対してどのような意見を持ち、どのように訴えているのか、環境省として把握している現状をお伝えしていただけたらと思います。お願いいたします。

秦政府参考人 先ほどの答弁で申し上げたように、法定協議会の意見を聞かなければならないということで、意見の取りまとめの中に漁業者等の利害関係者からの意見も当然ながら含まれておるものと承知をいたしております。

 今御指摘いただきました九州地方や東北地方などを含めまして、地域ごとに漁業の種類ですとかあるいは利害関係者の範囲が様々でございますので、御意見の内容も異なるとは認識しておりますが、おおむね共通するものといたしまして、事業の実施に際しまして、洋上風力の事業者が漁業影響調査を実施し、その結果に応じて対策を講じることですとか、あるいは、地域や漁業との共生策の検討や実施、こういったことが比較的共通して意見として盛り込まれているものと承知をいたしております。

 また、国が促進区域の指定に伴いまして事業者を公募する際、事業者に対しまして、協議会の意見、今申し上げたような意見を尊重すること、これを求めてございます。こうした仕組みによりまして、漁業関係者の御意見を踏まえた事業が選定された事業者にて実施されていく仕組みとなっているものと認識をいたしてございます。

竹上委員 ありがとうございました。

 三河湾の再生に約五十年近くかかりました。これから新しい洋上風力発電が設置されるに当たって、そのような悲劇が起きないような形でしっかりと事前対策をお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

近藤委員長 次に、中村はやとさん。

中村(は)委員 皆さん、お疲れさまです。今日は朝九時から始まったこの環境委員会、大変長丁場になりましたけれども、最後の質問者となりました。皆さんも大分お疲れのようなので、最後に、ここにいる皆様の眠気が吹っ飛ぶような革新的な質問を用意したと思うんですけれども、あとはそのハードルをくぐるだけなので、新人らしく元気よく質問させていただきたいと思います。

 気候政策シンクタンクであるクライメート・インテグレートさんが二〇二五年四月二十五日に「政策決定プロセスの検証 第七次エネルギー基本計画・GX二〇四〇ビジョン・地球温暖化対策計画」というレポートを公開いたしました。お手元の資料を御覧ください。

 二ページのサマリーで、「議論の場・人選・審議内容を通じ、経産省が主導、気候・エネルギー政策統合が図られず」との指摘があります。政策決定プロセスの在り方及び委員構成について、これから質問いたします。

 まず、政策決定プロセスの在り方について、次期NDCの政策決定プロセスを例に質問いたします。NDCとは、御案内のとおり、パリ協定に基づき五年ごとに更新する温室効果ガスの排出削減目標でございます。

 五ページを御覧ください。真ん中、緑色の棒ですね、中央環境審議会、産業構造審議会では、二〇二四年十一月二十五日まで六回の合同会議が開かれ、十二月三日に行われる基本政策分科会に引き継がれるよう示されております。

 中環審、産構審合同会合の第六回会合の終了間際に示された事務局資料では、直線的な削減経路を軸に、つまり、弧を描くのではなくて、二〇五〇年に向けて一直線にCO2を削減するというふうに検討を進めてはどうかとあり、これが十二月三日の基本政策分科会に示されております。

 経済合理的に考えますと、弧を描くように、上に凸の形になって、つまり、最初はスロースターターで、だんだんと指数関数的に後半がぐっと伸びていく形が望ましく、例えば農業分野とかそのほかの分野でも、雇用などの経済的課題との両立を図る上では、ほとんどがこういった弧を描く目標を立てているわけです。

 しかし、一方で、十二月三日の基本政策分科会では六つの専門機関によるエネルギー需給シナリオの分析結果が示されましたが、そのうちの五つが直線的な削減経路を前提とした分析結果となっております。

 十一月二十五日の中環審、産構審合同会合の第六回会合の結果をもって専門機関に分析依頼をすることは、専門機関の分析に要する時間から困難であることから、次期NDCは事務局案どおりに進めることが既定路線で、中環審、産構審合同会合の議論は当初から想定されていないと見えております。

 しかしながら、一人の委員の、議論の進め方が雑だったのではないかという問題提起により、中環審、産構審合同会合では、第七回以降の議題である地球温暖化対策計画の見直しの議論の中で次期NDCの議論は続いてはいるんですが、恐らくこの議論が政策決定に反映されないのではないかと私は予見しております。

 既に十二月三日に設定されていた基本政策分科会に間に合わせるためとは考えておりますが、失礼を承知で申し上げるならば、非常に乱暴な審議プロセスであり、また、パブコメ後に意見を反映させる場もなく、多様な専門性や経験を持つ委員や国民からの意見を反映させる政策決定プロセスになっていないのではないかと私は考えているのですが、大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。

浅尾国務大臣 お答えいたします。

 新たなNDCについては、昨年六月から十二月までの間に環境省、経済産業省の合同審議会を全九回開催し、様々な主体からのヒアリング結果を踏まえ、検討を進めてまいりました。特に昨年十二月には、合計三回、約十時間にわたり集中的に御議論いただき、委員同士での双方向でのやり取りを含め、様々な角度から討議を行っていただきました。

 こうした審議会における多様な御意見とその後のパブリックコメントの結果も踏まえ、新たなNDCを含む地球温暖化対策計画の閣議決定に至ったものであり、可能な限り丁寧な議論を行いながら適切にプロセスを進めたと認識をしております。

 いずれにしても、気候変動対策の検討プロセスにおいては、様々なステークホルダーの声に耳を傾けることが重要と認識をしております。目標実現に必要な施策の検討、実施の過程で、引き続き様々なステークホルダーとの対話を継続してまいりたいと考えております。

中村(は)委員 分かりました。

 では次に、審議会などの委員構成について質問をいたします。再びお手元の資料二ページを御覧ください。

 主な会議体の委員構成については、「業種・年代・性別・スタンスにおいて、公正と均衡が図られず、特定の層の立場が強く反映される構造となっている。」と実は指摘されております。六ページで業種について、そして九ページでスタンスについての分析がなされておりますが、エネルギー多消費産業が多く、エネ転換に積極的な需要側企業や非営利団体からの参加が少なく、化石燃料中心の既存システムからの脱却に慎重な委員が多数を占めると指摘し、七ページの年代及び八ページの性別では、ほとんどの会議体で五十から七十代が過半数を占め、三十代以下の次世代の参加はごく僅か、男性が七〇%超を占めると報告されております。このレポートの十ページのまとめでは、エネルギー政策の決め方について、公平性、透明性の観点から検証と改革が求められるのではないかとまとめられております。

 政策決定プロセスの在り方につきましては、事務局原案に対する委員の議論の場や時間が確保され、事務局原案の提示時でのパブコメ実施で、会議体の解散前に一度はパブコメについての議論がなされることが必要かと考えますし、また、委員構成の是正につきましては、原案は環境省、経産省で策定しても、それをチェックする第三者機関が必要ではないかと考えますが、こうした提案についての省庁の御見解と、また、次回エネルギー基本計画見直しに向けての是正の検討が省庁内で始まっているのかをお尋ね申し上げます。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー基本計画のお話としてお答え申し上げます。

 エネルギー基本計画を主に議論しております基本政策分科会は、エネルギー基本計画を含め、エネルギー政策の全体像について議論するための審議会でございまして、こうした議論を進める上で必要な学識経験者が委員として参画をしておるところでございます。

 具体的には、エネルギーの各分野に加えまして、国内外の経済、エネルギー多消費産業、消費者、大企業や中小企業など産業界、金融などの各分野から学識経験者や専門家が委員として参加をしておりまして、エネルギー政策を進めていく上で必要となる知見者がバランスよく参画されているものと理解をしております。

 その上で、引き続き多様な意見を取り込みながらエネルギー政策の検討を進めていくべく、委員の人選について今後も不断に検討を進めてまいりたいと考えております。

中村(は)委員 この審議会の在り方あるいは委員の選任の仕方、こういった声があるということに対して、いや、ちゃんとやっているんだというような御回答があるということは予想はしていたんですけれども、しかし、第三者機関がそのように指摘しているということはそれなりに重く受け止めなくてはならないと私は考えております。是非環境省の皆様もこのことについて重く捉えていただいて、次回以降に是非生かしていただきたいということを強く要望をさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。

 次に、第七次エネルギー基本計画の達成に向けて質問いたします。

 太陽光発電にかなり偏った再エネの導入目標となっております。例えば、二〇四〇年の再エネ電源比率は四割から五割、そのうち太陽光は二三から二九%とする目標が示されております。一方で、太陽光事業に対する規制はますます厳しくなっております。二〇四〇年目標を達成するためには、現時点で導入されている設備容量の倍以上の容量をこれから導入していく必要があるかと思いますが、そこに向けた突破口はあるのでしょうか。

 現在は年間五ギガワット程度の導入が進んでいると言われておりますが、このペースを維持しているだけではたどり着きません。また、足下では事業者に対する規制が強化されており、かつ、過去のような高いFIT価格に支えられた大規模案件の大量導入にはもはや期待できない現状があります。

 こうした状況において、これまでの累計容量を上回る容量を導入する道筋は描き難いと考えられ、既に目標達成は困難と見えますが、どうお考えでしょうか。

浅尾国務大臣 我が国の電源構成に占める再エネの比率は二〇一一年度の一〇・四%から二〇二三年度には二二・九%となるなど、これまで着実に導入が進んできております。

 御指摘の太陽光発電については、二〇四〇年度に向けて更なる導入拡大が必要であり、FIT、FIP制度による導入拡大に加えて、屋根や壁面の有効活用も含め、自家消費型や地産地消型の導入についても積極的に進めていくことが重要と考えております。

 このため、環境省としては、政府実行計画等に基づく公共施設への率先導入、住宅や建築物への自家消費型の太陽光発電の導入支援、地域脱炭素推進交付金等による支援を通じた地方公共団体が主導する地域共生型、地域裨益型の再エネの推進など、FIT、FIP制度によらない再エネの導入拡大に取り組んでいるところであります。

 今後とも、こうした施策を進めながら、関係省庁や地方公共団体と連携し、二〇四〇年度も見据え、太陽光発電を始め、地域と共生した再エネの導入拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

中村(は)委員 ありがとうございます。

 最後に、営農型太陽光についてお伺いしたいと思います。私の地元ではだんだん増えてきたんですが、要は、畑の上に太陽光パネルがあるような形のやつですね。

 第七次エネルギー基本計画においては、「発電と営農が両立する営農型太陽光発電については、事業規律や適切な営農の確保を前提として、地方公共団体の関与等により適正性が確保された事業の導入の拡大を進める。」とされておりますが、営農型太陽光においては、パネル下部での適切な営農がなされないなど、不適切な事例が多く見られております。

 例えば、私が関係者から伺ったのが、営農型のパネルの下で育てている作物のうち、何と七割がサカキ、要は神棚に掲げるようなサカキですね。サカキも大切は大切だと思うんですけれども、果たして七割を占めてしまうのは何でなのかといったらば、要は育てやすいわけですね。一回植えたらそれっ放しにしておけるというようなこと。あるいは、ひどい例だと、業者によっては、パネルの下をのぞき込んだらブルーベリーの鉢が一個だけ置いてあった。

 何でそんなことが起きてしまうんだろうということを考えたときに、度々この環境委員会でも御指摘があるんですが、森林を切り開いて太陽光パネルを設置するというのは非常にナンセンスだ、環境破壊をしているんだか保護しているんだか全く分からないというような指摘があって、業者もこれに対しては非常に心苦しく思っている。そうしたらば、土地の有効活用をするにはどういったところに目をつけるかといったらば、耕作放棄地なわけですね。この耕作放棄地に狙いを定めてパネルを造ったんだけれども、そもそも農業をやる人がいないから放棄地になっているわけですから、パネルを設置した後、農業はただやっているふりをしているというような事例が非常に散見されるというわけです。

 一方で、上述のエネルギー基本計画の目標達成のためには、農業と両立した太陽光事業の拡大は不可欠であると考えられております。

 また、再エネと農業の両立により、太陽光の売電収入からの還元や、太陽光事業者からの地代や営農委託などの収入によって農業法人の収入が下支えされるスキームも考えられ、農業を持続可能なビジネスにする一助になることも考えられます。

 不適切な事業者は野放しにしない一方で、規律ある事業遂行が可能な事業者を支援し、拡大させるための施策を立案する必要があると考えておりますが、この点についていかがお考えでしょうか。

 また、再エネ事業者の観点からは、二十年間といった長期にわたり確実に営農を継続してもらえる農業法人とパートナーシップを組むことができるかどうかが根本的な課題とされており、日本における農業が衰退していく中で、確実に農業と発電事業を両立した長期持続可能な事業スキームを組み上げることは容易ではありません。

 こうした状況の中で、営農型太陽光を電力事業と農業いずれの視点からも意義ある事業に仕立てるべく、政策的なてこ入れが必要と考えておりますが、いかがでしょうか。

土居政府参考人 お答えいたします。

 営農型太陽光発電は、再エネの最大限導入に貢献するだけでなく、売電収入等を通じた農業経営基盤の安定化や荒廃農地の再生など、農業振興にも資する有効な取組であると認識しております。

 環境省では、脱炭素先行地域の千葉県匝瑳市、岩手県の陸前高田市を始め、複数の自治体の取組を地域脱炭素推進交付金で支援をしておりますほか、営農型太陽光発電の導入に取り組む民間企業等への補助事業も行っております。

 さらに、営農型太陽光発電の更なる普及に向けて課題となります事業性の向上や地域の理解などに対応するため、農林水産省と連携し、これまでの支援等を通じて得られました工夫を事例に即して事業者等に紹介するマニュアルの作成を進めております。

 これらの活動を通じ、地域共生型の発電事業を推進してまいりたいと考えております。

中村(は)委員 お時間が来ましたので、私の質問はこれで終わります。

 ありがとうございました。

近藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五分散会


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