衆議院

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第1号 令和7年8月4日(月曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(令和七年八月一日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      伊藤 達也君    稲田 朋美君

      国光あやの君    河野 太郎君

      後藤 茂之君    小林 茂樹君

      高木  啓君    田所 嘉徳君

      田中 和徳君    谷  公一君

      土屋 品子君    寺田  稔君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    古屋 圭司君

      山田 賢司君    今井 雅人君

      大西 健介君    神谷  裕君

      川内 博史君    黒岩 宇洋君

      近藤 和也君    酒井なつみ君

      階   猛君    藤岡たかお君

      本庄 知史君    米山 隆一君

      早稲田ゆき君    池下  卓君

      徳安 淳子君    西田  薫君

      長友 慎治君    橋本 幹彦君

      赤羽 一嘉君    大森江里子君

      河西 宏一君    櫛渕 万里君

      田村 貴昭君    緒方林太郎君

令和七年八月四日(月曜日)

    午前八時五十九分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      伊藤 達也君    稲田 朋美君

      国光あやの君    河野 太郎君

      後藤 茂之君    小林 茂樹君

      高木  啓君    田所 嘉徳君

      田中 和徳君    谷  公一君

      土屋 品子君    寺田  稔君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    福田かおる君

      古屋 圭司君    山田 賢司君

      東  克哉君    阿部祐美子君

      今井 雅人君    大西 健介君

      神谷  裕君    川内 博史君

      近藤 和也君    酒井なつみ君

      階   猛君    高松 智之君

      西川 厚志君    野田 佳彦君

      藤岡たかお君    本庄 知史君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      渡辺  創君    池下  卓君

      岩谷 良平君    うるま譲司君

      徳安 淳子君    西田  薫君

      玉木雄一郎君    長友 慎治君

      橋本 幹彦君    森ようすけ君

      赤羽 一嘉君    岡本 三成君

      河西 宏一君    大石あきこ君

      櫛渕 万里君    田村 貴昭君

      緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       石破  茂君

   財務大臣         加藤 勝信君

   農林水産大臣       小泉進次郎君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   赤澤 亮正君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  尾崎壮太郎君

   政府参考人

   (内閣官房米国の関税措置に関する総合対策本部事務局次長)         高村 泰夫君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官)            井上 諭一君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    早川 智之君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 内藤惣一郎君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    片平  聡君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    緒方健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 辺見  聡君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  山口  靖君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            伊吹 英明君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)           佐々木正士郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  伊藤 晋哉君

   予算委員会専門員     藤井 宏治君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月四日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     福田かおる君

  黒岩 宇洋君     高松 智之君

  酒井なつみ君     野田 佳彦君

  藤岡たかお君     渡辺  創君

  早稲田ゆき君     西川 厚志君

  池下  卓君     岩谷 良平君

  徳安 淳子君     うるま譲司君

  長友 慎治君     森ようすけ君

  橋本 幹彦君     玉木雄一郎君

  大森江里子君     岡本 三成君

  櫛渕 万里君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  福田かおる君     深澤 陽一君

  高松 智之君     阿部祐美子君

  西川 厚志君     早稲田ゆき君

  野田 佳彦君     東  克哉君

  渡辺  創君     藤岡たかお君

  岩谷 良平君     池下  卓君

  うるま譲司君     徳安 淳子君

  玉木雄一郎君     橋本 幹彦君

  森ようすけ君     長友 慎治君

  岡本 三成君     大森江里子君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  東  克哉君     酒井なつみ君

  阿部祐美子君     黒岩 宇洋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(米国の関税措置等内外の諸課題)


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

安住委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。

 本日は、米国の関税措置等内外の諸課題についての集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣参事官尾崎壮太郎君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山下貴司君。

山下委員 自由民主党の山下貴司です。

 本日は、アメリカとの関税交渉、ガソリン暫定税率の廃止問題などについて伺います。

 まず、アメリカとの関税交渉について伺います。

 今回の合意は、国際的に見れば、日本がスタンダードを示したと言えるものであります。合意内容や、総理が示された関税よりも投資という原則は、EUとの合意でも踏襲されたように、トランプ関税対策のスタンダードになりました。日本がこのように示したスタンダード、これは世界に感謝されていると思います。

 まず、今回の日米合意の意義について総理からお聞かせください。

石破内閣総理大臣 せっかくの機会でございますので、もう一度、内容について簡単に御説明申し上げます。

 今般の合意では、自動車・自動車部品について、本年四月以降に課されました二五%の追加関税率を半減し、既存の税率も含め一五%とすることで合意をいたしました。相互関税につきましては、合意に至った時点で、対米貿易黒字国として最も低い一五%という数字を確保いたしました。今委員御指摘のように、これはその後のアメリカとEU、韓国などとの協議において先例として機能いたしておると認識をいたしております。

 経済安全保障上重要な半導体と医薬品について、仮に将来、分野別関税が課される際も、我が国が他国に劣後する扱いとはなりません。経済安全保障面に関しましても、合衆国への投資を通じて、半導体や医薬品等、経済安全保障上重要な分野について、日米が利益を得られる強靱なサプライチェーンをアメリカに構築していくために、日米で連携をいたします。他方で、今般の合意には、農産品を含め、日本側の関税を引き下げることは含まれておらないということが概要でございます。

 委員御指摘のように、これがこれから先のスタンダードになっていくということであります。

 二月の初旬にトランプ大統領とホワイトハウスで会談しました際に、関税よりも投資ということを申し上げました。これは、我が国は、合衆国に対する世界最大の投資国であり、世界最大の雇用創出国であり、賃金も非常に高いということになっておりますわけで、これをどうやって最大限に生かしていくか、そして、日本とアメリカが協力することで、アメリカに雇用を創出するとともに、日本の雇用も失うことなく、共に、技術、労働力、資本、そういうものを合わせていきながら、世界に対してよりよいものを提供していくという、これは、こういう言葉は余り簡単に使ってはいかぬのかもしれませんが、いわゆるウィン・ウィンの関係ということだと思っております。

 これを実現するに当たりましては、赤澤大臣始め、外務省も財務省も経産省も農水省も国交省も本当に一致してこのことに当たりました。また、国民の皆様の御協力、随時党首会談も開きましたが、野党の皆様方の御協力、御理解というものもいただいてきたというふうに考えておるところでございます。

 合意をしました、しかし、これをこれから実行に移すということでございまして、合意をするよりも実行に移す方が難しいという指摘もございます。引き続き、皆様方のお力添えを心からお願いを申し上げる次第でございます。

 ありがとうございました。

山下委員 総理から相当御説明いただきましたが、このパネル一、これがトランプ関税に対する各国の合意状況です。このように、対アメリカの貿易黒字国では、日本は最低の関税率の先鞭をつけました。さらに、日本だけが、総理御指摘のように、農産品も含めてアメリカからの輸入品に対する関税を引き下げていないということは、日本の交渉の力強さを物語るものであります。交渉を行った赤澤大臣に最大の敬意を払いたいと思います。

 比べ物にはなりませんが、私もワシントンで外交官をした経験がありまして、従軍慰安婦訴訟対策などでアメリカ政府を味方につけて連邦最高裁まで闘って、日本側の主張を認めさせた経験があります。当初、立場が異なるアメリカ政府を説得するのは本当に大変でした。赤澤大臣は、対米交渉を八回、最後は、ラトニック商務長官なども味方につけて、ホワイトハウスに乗り込んでディール、妥結をされました。

 しかし、このディールは日本にとって不利ではないかという指摘もあり、また、合意の詳細が文書化されていないということが指摘されています。

 パネル二を示します。これは、日経新聞が今回の日米合意の論点について一覧表にまとめたものであります。

 この一覧表によれば、文書がないことのメリットとしては、例えば、早い関税引下げを期待できる、大統領によるちゃぶ台返しリスクを低減するなどが挙げられておりますが、他方で、デメリットとして、進捗管理をめぐって日米でもめるリスクがあるんじゃないかということも言われています。

 赤澤大臣、アメリカとの合意を文書化しないのはなぜなんでしょうか。ほかの国はどうなんでしょうか。この記事にあるように、日米でもめるリスクはないのか。例えば、今回発出された大統領令には関税一五%で合意した自動車や自動車部品に関する関税の引下げ措置が含まれておりませんが、これは日米合意を文書化しなかったからではないかという指摘もなされておりますが、その点について、是非国民に分かりやすいように御指摘ください。

赤澤国務大臣 本年二月や六月の首脳会談や一連の首脳電話会談における石破総理とトランプ大統領との間のやり取り、あるいは閣僚間の議論を積み重ねた上で、最終的には、七月二十二日の私とトランプ大統領とのやり取りも踏まえ、両国の国益に資する合意ができたと考えております。

 ぎりぎりまで折衝を行ったこうした協議の経緯からして、共同文書は作成しておりません。

 これまでのところ、ベトナム、フィリピン、EU及び韓国と米国との間でも同様の状況というふうに認識をしております。

 共同文書を作成するか否かは、相手のあることであり、かつ、米国は我が国との合意後も多くの国と同時並行で関税に関する交渉を行っているといった諸事情も勘案する必要がございます。

 ただ一方で、確かに、文書を作ることのメリットとして、ここに書いてある、山下委員から御指摘のあった二点ですね、一つはピン留めをするというようなこと、もう一つは国民への説明責任を果たす上で分かりやすいということ。メリットがあることについては私も理解した上ででありますが、現時点で今申し上げたような判断をしているということでございます。

 特に、ピン留めの部分は、私どもが取りたいのは、関税一五%という、極めて遊びのない、大統領令でそれを出してもらえばもうそれで済むわけでありますので、そこをしっかり取っていくということだと思います。

 今後重要なのは、日米双方が一緒にいろいろなサプライチェーンをつくっていこうとか、そういう大変合意で盛り上がっている部分もあるわけでありまして、そういう面を生かして着実な履行に努めること。特に、米側の関税引下げのために必要なのは、大統領令の発出など、米国の国内措置であります。この点、米国時間七月三十一日にトランプ大統領は相互関税に関する大統領令に署名をし、日本に対する相互関税率は一五%とされたと承知をしております。

 政府としては、引き続き、米側に対し、今般の合意を着実に履行するための措置を速やかに取るように求めてまいります。また、日米間で引き続き緊密に意思疎通し、連携を図りながら、日米両国の相互利益に資する合意の着実な履行に努めてまいります。

山下委員 日本が最も必要としていた関税率一五%を大統領に明言させ、細目は信頼のある閣僚や事務レベルの交渉に委ねるというアプローチは、トランプ交渉では有効かつ効果的だと思います。

 例えば、ラトニック商務長官は、先ほど申し上げたように、赤澤大臣を自宅に招いて大統領の説得の予行演習もしてくれたというふうにも報道されておりますけれども、こうした閣僚同士の信頼関係があるからこそ、首脳には揺るぎない大原則を明言してもらって、細目は信頼できる閣僚間や実務レベルで詰めていくというのは、先ほど申し上げたように、外交上は現実的かつ効果的であると考えます。

 他国でも、合意の遅れがより高い関税率となった国がありますが、既に日本の相互関税率は八月七日から一五%とする大統領令は発出され、合意は実現しております。文書化にこだわって合意が実現しない、発動されないデメリットの方が私は大きいと思います。

 ただ、自動車や自動車部品の関税は、相互関税とも根拠法律が異なるということもあって、合意したEUや韓国も関税を下げる大統領令がまだ発出されていないということもありますし、先行するイギリスも大統領令の発出までに一か月以上かかったということも指摘しておかなければなりません。アメリカの事務的な手続というものがあるのでしょうが。

 とはいえ、早急にアメリカ側が自動車・自動車部品についても一五%の関税率を適用する、これを大統領が発動していただけるように強力に働きかけていただきたいと思いますし、あわせて、一五%といえども、非常にやはり企業の皆様には御負担ですので、引き続き、力強い、企業に対する支援やアメリカに対する働きかけ、これをしていただきたいと思います。

 それでは、日米合意の具体的内容について伺います。

 パネル二でございますが、このパネルにあるように、アメリカ側の説明では、例えば、日本は五千五百億ドルをアメリカの指示で投資する、投資利益の配分は日米で一対九とされています。しかし、赤澤大臣は、テレビのインタビューなどで、真水の出資、融資、融資保証があって、実際の出資額は八十兆円の一、二%であるというふうに話しておられましたが、具体的にはどういうことなのかということを国民の皆様に分かりやすいように御説明いただきます。

赤澤国務大臣 私どもが五月の半ばぐらいに、投資ということでゴールデン・インダストリアル・パートナーシップと名前をつけて提案したものが、その後、いろいろ拡大されたり、中身を議論して詰めていく中で、米国がジャパン・インベスト・アメリカ・イニシアティブというふうに呼び始めて、今般の合意では、それに基づき、米国への投資を通じて、経済安全保障上重要な九つの分野などについて日米が共に利益を得られる強靱なサプライチェーンを米国内に構築していこうということです。そのために、国際協力銀行、JBICや、日本貿易保険、NEXIが最大五千五百億ドル規模の出資、融資、融資保証を提供することを可能としております。

 全体のどの程度が出資案件になるかは、今後組成される案件次第であります。米国が、経済安全保障上重要な分野でどういうサプライチェーンをつくりたいのか、どういう順番でやるのか、日本に何を求めるのか、そういうことも見ながらしっかり決めていくということで、民間が主導する部分もありますので、予断を持って申し上げることは困難ですが、直近のJBICの出資残高は出融資残高の一・九%となっており、私の発言はこれを念頭に置いたものであります。

 ただ、繰り返しになりますが、今後、日米でよく協議をして決めていくということになります。その点については御理解を賜りたいというふうに思います。

 具体的なプロジェクトの選定等については、日本としても、米国と緊密に連携を図りつつ、日米双方の利益に資するものになるようしっかりと取り組んでいく。JBICとNEXIが協力する以上、我が国の利益にならないものについて我々が関与するということはありません。

 なお、プロジェクトを支援するJBICやNEXIは、日本企業の関与やメリットなど、出融資等に当たって必要となる要件が法令により定められておりまして、こういう要件を満たすプロジェクトの実施は、当然、日本側の利益にも資するというふうに考えてございます。

山下委員 具体的な投資の方法についてはプロジェクトごとの日米協議と合意が大前提なんですね。アメリカも自ら投資環境を整えた上で案件を示して、それに合意があれば投資されるということで、そもそも、日本が直接間接に利益を得る事業にしか投資しないというふうに私は理解しています。

 また、八十兆円というと巨額に見えますけれども、日本の企業の内部留保というのは六百兆円と言われますが、実は、そのうち現預金が三百五十兆円あります。これは、GDPがほぼ同じドイツの三倍、そしてバブル期の日本の二倍あるわけです。そうした現預金、この投資も期待できるでしょうし、また、日本からの投資で利益を得るのはアメリカだけではありません。アメリカで日本の製品を使った設備投資が盛んになれば、アメリカの日系企業や日本の関連企業も潤う。そして、日本国内の投資の拡大にもつながると考えております。地方創生はもとより、こうした好循環を生む政策を進めていく、これが我々の政策であります。

 しかし、そのために農業が犠牲になることは絶対あっちゃいけないということであります。

 小泉大臣は、日本の農業、農家を守るため、全力で交渉をサポートされたと聞いております。農産品の購入について、アメリカ側は、農産物などの購入額は八十億ドル、日本は米国産米の輸入を即時に七五%増加させて輸入割当てを大幅に拡大するなどと説明をしたやにも聞いておりますが、小泉大臣、日米関税合意によって日本の農業というのが犠牲になっていないのだということについて、国民の皆様に分かりやすく御説明いただきたいと思います。

小泉国務大臣 おはようございます。

 今、山下貴司委員が御指摘されたような、仮に農業が犠牲となっているような交渉だとしたら、隣の赤澤大臣と和やかにお話をしていることはありません。まさに今回、最初から赤澤大臣始めチームの皆さんが、農業を犠牲にするような交渉はしない、このことを有言実行していただいたと捉えています。

 今、テレビやラジオなどを聞いている、見ている米の生産者の皆さんには、新たな海外からのお米の流入はない、ミニマムアクセス米の枠内で対応する、主食用米としても入ってこない、こういったことで、安心をいただきたいと思います。

 引き続き、今、関税とか合意を超えて、民間の取引の中で、高い関税を払ってでもなお、国産米が高いことを受けて、アメリカから、また海外から相当、米の輸入が進んでいます。一方で、備蓄米の放出によって、最近では大手スーパーがカリフォルニア米を七百円値下げをしないと売れない。こういった状況は、間違いなく一定の、価格を抑えたことによる、海外のお米の流入を食い止めている、そういった成果だと思います。

 米の生産者の皆さんが最も懸念するのは、更に海外米が入ってくるのではないか、こういったことを、今回の関税交渉のアメリカとの合意、それに加えて、あらゆる農水省の政策としてもしっかりと取り組んでまいります。

山下委員 まさに小泉農林水産大臣は、生産者の方が本当に引き続き米の生産を続けたい、農家の方が引き続きやりたい、そういう思いで、適正な価格、これも見据えながら、もう一つは、やはり消費者も納得する価格、こうしたものをバランスを考えながらやっておられるということでございます。

 今、米については、非常に暑いということもあって、水不足も懸念されている、そういった中で本当に尽力されておるということで、この交渉においても全力でサポートされて、日本の農業は、農家は一切犠牲にならないという力強い御答弁をいただきました。

 小泉大臣は御退席されて結構でございます。

安住委員長 小泉大臣は退席してください。

山下委員 ありがとうございました。

 このほか、例えば、ボーイング社の航空機を百機購入するとか、アメリカ製の防衛装備品を年間数十億ドル規模で追加購入するなどの指摘があります。しかし、これは、私、当局から説明を受けたのは、元々日本が必要としたものを買うもので、当然必要性は日本政府が判断するということでありまして、これは当たり前のことであります。とすると、今回の日米合意というのは、経済を含めた安全保障面での強固な日米の結びつきが大前提であるというふうに考えております。

 今回の交渉は、現政権はもちろん、トランプ大統領の信頼の厚かった安倍総理を始め、長年の外交を担ってきた政府・与党の外交の成果というふうに私は考えております。

 それでは次に、ガソリンの暫定税率廃止の六党合意について伺います。

 ガソリン暫定税率は、民主党政権時代に当分の間税率と名称が変わっていますが、便宜上、暫定税率と申し上げます。

 私は、岡山という地方の出身の議員として、ガソリン暫定税率の廃止をしたいという思いは共有しております。都心では、車を一家で二台持つというのは、もしかしたらぜいたくかもしれませんが、地方では二台持つことは必要不可欠な場合もあります。また、燃料費の高騰などで厳しい状況にある物流に携わる方々も求めておられます。

 一方で、暫定税率は国、地方合わせて一兆から一・五兆円の財源でありまして、既に令和七年度予算に組み込まれているわけです。これを年度途中で廃止するということになると、代わりの財源がなければ国、地方共に予算が剥がされるかもしれない、そういうジレンマがあります。

 昨年十二月に暫定税率撤廃に向けた三党合意がなされて以後、我々与党としても、実現に向けて真摯な検討を重ねてまいりました。総理も三月の予算委で、例えば、赤羽委員からの質疑に対し、私どもとして、この問題に三党で早急に結論を得る努力は、現場において是非ともお願いしたいと答弁されておられます。また、自民党の森山幹事長も、今年度で暫定税率をやめる、約束と明言されてこられました。

 今回、与野党六党で暫定税率の廃止法案について七月三十日にまとまった合意文書について、総理に伺います。この合意文書では、「すみやかに与野党合意の上、法案を成立させ、今年中のできるだけ早い時期に実施する。」とあります。これは自民党総裁として指示したものでしょうか。総理に伺います。

石破内閣総理大臣 御指摘のとおりです。当然そういうことでございます。それは総裁として指示をしたことでございまして、その誠実、着実かつ早急な実現に向けて、政府としてもできますことはいたしてまいります。御指摘のとおりです。

山下委員 我々自民党も、先ほど申し上げたように、昨年十二月に三党合意をして以来、実現に向けて一貫して検討を進めてまいりました。しかし、一部から批判されているのは、三党合意を昨年末にしておきながら、つまり半年前にしておきながら、なぜ六月下旬の通常国会会期末で野党が提出したガソリン暫定税率廃止法案に反対したのかということであります。

 財務大臣に伺います。前国会での野党のガソリン暫定税率廃止法案の採決時に、財務大臣として賛成できない旨の意見を述べておられますが、それはなぜなんでしょうか。国民の皆様に分かりやすく御説明願います。

加藤国務大臣 本年六月に野党七党が共同提出した法案、揮発油税の当分の間税率を七月一日に廃止をするという中身でございました。六月二十日の衆議院財務金融委員会で、採決に当たり、政府としては反対であるとの内閣意見を申し上げさせていただきました。

 この法案については、ガソリン価格の大幅な低下によって流通、販売現場に混乱が生ずるおそれがあること、また、ガソリンスタンドにおいて事務負担が生じるなど関係者に多大な影響が生じる、さらには、国、地方合わせて約一兆円の恒久的な税収減に代わる恒久財源が示されていないといった、これまで指摘されていた課題がございました。加えて、法案の施行までの期間が大変短いということで業界団体などからも懸念が示されておられました。

 さらに、これらの課題に加えて、その法案において、政府に対して必要な法制上の措置が求められていたわけであります。仮に、ガソリンスタンドが在庫分について本法案に基づく金銭給付を受けた後に、製造業者にそのガソリンを返品することで税の還付を受けることになれば、重複して金銭を受けることが可能となります。そうした事態を排除するための別途の法改正を求められておりますが、施行までにそれが必要になると考えておりました。

 こうした多くの課題を踏まえると、政府として、残り二週間しかなかったわけであります、七月一日までは。これは現実的ではないと考え、そして、先ほど申し上げたように政府としての見解を申し上げさせていただいたところであります。

山下委員 先ほども御説明いただいたように、国、地方の予算、財源なくやれば、どこを削るんだとかどう削るのか、あるいは急に価格が増減することによってどうするのか、これを僅か二週間でやれというのは、これは本当にできるはずがないということであります。だから、今回野党の皆さんが提出されている法案も、二週間後とかそういうことではなくて、十一月一日ということを言われているのは多分そのことを踏まえられたのかなとも思いますが、国、地方の予算を削るのか、代わりの財源を見つけるのか、しっかり審議しなければ簡単に廃止などできるはずがないんです。

 実は、それを一番御存じなのが、私は野田佳彦元財務大臣であり、旧民主党の皆さんだと思います。

 これが、暫定税率が当分の間税率として維持された経緯を示すものであります。平成二十一年の政権交代選挙で、旧民主党はガソリン暫定税率の廃止をマニフェストに掲げましたが、旧民主党政権では、一年以上検討した挙げ句、当分の間税率と名前だけ変えて事実上維持されました。そのことを覚えておられる方も多いと思います。そう判断をした財務大臣こそ、野田佳彦議員であります。

 参議院財政金融委員会での御答弁で、野田佳彦当時の財務大臣は、マニフェストでは暫定税率を初年度から廃止をするということをお約束しておりましたけれども、厳しい財政事情や地球温暖化防止の観点などを勘案し、当分の間は税率水準を維持するという措置となりましたと述べておられます。暫定税率を事実上維持するという判断をするために、政権交代後、半年どころか一年以上もかけ、最終的には、他の税制と併せ、定例の十二月の税制改正大綱で決められたわけであります。

 そして、その後、東日本大震災による税収減対策のため、野田財務大臣の下でトリガー条項も凍結されました。それが今に続くガソリン暫定税率あるいは当分の間税率であります。

 しかし、これは批判しているわけではないんです。今よりも、今にも勝るとも劣らないほど民のかまどが消えていたリーマン・ショックの当時あるいは東日本大震災のときに、暫定税率を維持するという決断は大変な重荷だったと思います。為政者の苦しみ、恐らく、後ほど質疑に立たれる野田委員もお話しになるかもしれません。しかし、結果として、政権がマニフェストとして国民に約束したことを破ってしまった。私たち責任与党としてはこうしたことは繰り返せない、だから慎重になったということは御理解いただきたいわけです。

 暫定税率は国、地方合わせて一兆から一・五兆円の財源であり、既に令和七年予算に組み込まれています。代わりの財源を見つけなければ、これを年度途中で剥がすことになる。だからこそ、財源や手続について見通しを立てた上で十分な審議をしたかったのが我々与党でありました。だから、さきの国会のように、二、三時間の審議で強行採決、財源は後で見つけろというふうな丸投げということはできなかったわけであります。

 今回、六党合意でも、財源の確保、流通への影響、地方財政への配慮など、我が党が指摘した懸念が検討事項として共有された上で合意が調っておりました。総理におかれては、暫定税率の廃止、財源確保、流通への影響、地方財政への配慮という諸課題、これについてしっかりと六党間で合意を求められた。その上で是非、この合意に基づいて、暫定税率の廃止に向けて検討を自民党総裁としてもしていただきたいと思います。

 済みません、実はちょっと、あと残りがございましたので。

 暫定税率の廃止、学校給食費の無償化を含め、国民のための政策を進める決断を総理はされました。しかし、例えば、そうしたものには多額の財源が要ります。ガソリン暫定税率の廃止には一から一・五兆円の代替財源、そして来年度から始まる小学校の給食費無償化などにも数千億円の財源が要ります。しかし、ここで赤字国債を発行すれば、金利上昇のリスクがあり、国民の暮らしを圧迫いたします。

 そこで、私が財源の一つとして提案したいのは、外国為替資金特別会計、いわゆる外為特会の剰余金の活用であります。

 これは通常国会でも維新の青柳委員も指摘しておられましたけれども、外為特会というのは為替介入や外国への債務の支払いのために準備しておく基金でございますが、パネルを見ていただければ、日本の外貨準備高というのは中国を除けばG7では突出しています。このグラフはやや古く、二〇二一年のデータですが、最新の外為特会の残高は何と一・三兆ドルで、百九十四兆円にも達します。そして、ほかにも、金地金を外貨準備として利用する国もあるんですが、それを加えても、日本の外貨準備高はアメリカよりもはるかに多く、ロシアやインドの倍、他のG7諸国の数倍あるということであります。

 そして、この表にありますように、先週、令和六年度の外為特会の決算が発表されました。何と、外為特会の純利益に相当する剰余金は、消費税二%以上に相当する五・三六兆円です。そのうち三・二兆円は一般会計へ繰入れされますが、残り二兆円以上は再び外為特会に、繰入れされるなどして留保されています。

 実は、この十数年ほど、外為特会の剰余金、つまり純利益は二、三兆円はあるのに、全額を一般会計に組み入れることをしていません。なぜかというと、これは民主党政権時代に決められた毎年度の剰余金の三〇%以上を外為特会に留保するというルールがあるからです。このルールを二十二年の十二月に作ったのも野田当時の財務大臣です。

 ただ、弁護すると、これは民主党政権当時、一ドル八十円台前半という超円高不況の中で、外為特会のバランスシートが初めて赤字になったという事情があったんです。日本の場合、運用の大半が米国債なので為替の影響を直接受けます。しかし、今は一ドル百四十八円、外為特会の外貨資産の平均レートはざっくり一ドル百十円台ですから、外為特会のバランスシートは、内部留保三十兆円、為替差益四十兆円と、七十兆円もの黒字であります。

 私は、超円高で外為特会のバランスシートが赤字になったときに野田大臣の作られたルールというのは、今も維持する必要はもはやなく、財政が逼迫する中、剰余金は全額一般会計予算に組み入れて、例えば、さっき言った二兆円以上をガソリン暫定税率などの財源として活用すべきと考えておりますが、少なくとも、このパネルの最下段にあるように、「一般会計の財政事情に最大限配慮し、剰余金の一般会計への全額繰入も含めて検討」と書いてありますので、是非、財務大臣、こういうことも検討していただけないかと思いますが、いかがでしょうか。

安住委員長 加藤財務大臣、間もなく時間が参りますので、簡潔な答弁をお願いします。

加藤国務大臣 外為特会、今委員が御指摘のように、資産は外貨で持っております。そして、為替介入のときには、御承知のように、政府短期証券を発行して、それを原資として介入をしている、したがって、債務としては円で負債を持っている。そういった意味で、為替リスクと、それからそれぞれが、短期とそれから運用先において金利も違うので、為替と金利のリスク、これを持っているので、それをしっかり踏まえた対応が求められてきている。

 そして、先ほどあった、民主党政権時代において、運用の仕方がこれまでやや恣意的ではないかという指摘があり、何かが起きたときにしっかり対応できるという、理論的計算上、三割というルールは作ったわけでありますが、御指摘のように、それには、基本的な考え方ということでありまして、実際の運用においては必ずしも三割にこだわらない運用をしてきたというのがこれまでの対応でございますので、今申し上げた、リスクにはしっかり対応しながら、しかし、その時々における財政事情、こういったところもしっかり踏まえながら引き続き対応していきたいというふうに考えています。

安住委員長 山下君、時間が参りました。

山下委員 終わります。

 財源を見つけてしっかりとやらせていただきます。

 ありがとうございます。

安住委員長 これにて山下君の質疑は終了いたしました。

 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 おはようございます。

 立憲民主党代表の野田佳彦です。総理、よろしくお願いをいたします。

 総理は、先般の参議院選挙の結果をどう受け止めていらっしゃるかなんですが、私は、石破政権に対して、国民はノーという意思表示をしたというふうに思います。

 でも、総理は続投の意思が相当固いというふうにお見受けをいたしますけれども、続投をする理由を、七月二十三日の会見等々で、私は何回かお聞きしました。物価高の問題とか自然災害の問題、日米関税交渉の問題、あるいは厳しい安保環境の問題、いろいろと挙げていらっしゃいましたけれども、私はすとんと心に落ちてこないんです。

 続投をする意思があるとするならば、まだやり残したことがあるから、是非これだけでもやらせてほしいということがあるのかどうか。あるいは、参議院選挙で示された民意を踏まえて、これまで言ってきたことは、政策を修正して、反省をして、与党と野党と協議をして、ある種、君子豹変してでも比較第一党としての責任を果たしていくんだというようなことがない限り、続投をするということは民意を無視した居座りにしか私は見えないというふうに思います。今日はそういう観点から質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、政治改革は、依然として懸案で残っています。いわゆる裏金問題の解明はまだ十分できていません。

 加えて、そうした不祥事を根絶をするための処方箋として政治資金規正法の改正案が議論されていますが、我々は企業・団体献金の禁止を言っている。これについては、昨年の十月、自民党案がないから延長戦になりました。そして、今年の三月三十一日までに結論を出そうということでありましたけれども、自民党から出てきたのは公開を旨とする法案でしたね、透明度を増していこうということ。

 私は、公開、透明は賛成でありますけれども、企業・団体献金の廃止の方向に持っていくかどうか、それが確認できないまま年度末が終わり、会期末が過ぎ、サッカーでいうと、延長戦の前半戦も後半戦も終わって、もうPK戦で決めるしかないという状況だと思います。

 そのときに、やはり比較第一党と比較第二党が真摯に協議して結論を得る、毎日議論をしてでも結論を得て他党に賛同を呼びかけるということを、覚悟を決めてやらなければいけないのではないかと私は思っています。

 総理と私は、九三年、九四年の政治改革の議論を知っている世代です。その責任もあると思います。もう実務者だけに任せるのではなくて、私と総理で膝を突き合わせて協議して合意をしていく、そういう作業をする気はありませんか。

 例えば、企業・団体献金の禁止か公開かの論争を今やっていますけれども、落としどころは、透明化も徹底しなければいけないけれども、企業・団体献金の受皿を、公明党とかつて国民民主党案が、政党支部を限定して、政党本部と都道府県に一つの政治団体というような形で案を出しましたね、こういうことを軸にして、落としどころを一緒に協議していきませんか。いかがですか。

石破内閣総理大臣 そのようにさせていただきたいと思います。

 つまり、第一党、第二党だけで決めるものでは当然ありません。このルールは全ての政党に適用されるものでありますが、第一党、第二党が党首同士で真摯な議論をするということに大きな意味があると思っております。

 野田委員も、総理まで務められた方であります。政治の表も裏もよく御存じの方であります。

 では、仮に都道府県に一本化するといたしましょう。そうなった場合に、例えば、我が党が七千幾つ支部がある、それは多過ぎるじゃないか、その議論はまた丁寧にさせていただきたいと思いますが、ある支部に本当にいろいろな思いがあって、その支部に献金したいなという企業があったといたします。それが都道府県支部に一本化されると、本当に自分が支援したい支部に対してお金は行くんだろうかねというようなことも起こってまいります。

 それは瑣末なお話かもしれないけれども、どうすればフェアな形でできるか、どうすれば各党によって不公平が生じないか、そして、どうすれば政治というものがお金によって左右されるということが起こらないかという本質的な問題については、党首同士でお話をさせていただき、そしてまた、それが各党に共有されるような努力をしていくということだと思っております。

 野田代表と私は当選期数が二期違いますが、やはり、あの政治改革、細川内閣であり、羽田内閣であり、そしてまた村山内閣であり、そこにおける議論を知っている者の責任は、私はあると思っているのです。あの時代のことを知っている者がもう一度原点に返って真摯な議論をするというのは、私の方からもお願いしたいことでございます。

野田(佳)委員 各論の話はもうこれ以上しませんけれども、間違いなく七千八百は多過ぎです。個人の財布になっている可能性もありますので、それを制限していって、そしていつかまた見直しをするというのが私は妥当な考え方だと思いますが、これは具体的に協議していきましょう。公選法とか政治資金規正法とか、お互いのルールに関わることは、やはり比較第一党、第二党が協議をして、そして他党にも御賛同を呼びかけるというのがあるべき姿で、限られた時間であってもそれは決着をつけていきましょうということはお約束していただいたと確認をさせていただきたいと思います。

 もう一つ、続投したいという理由の中で物価高対策を挙げていらっしゃいますが、その中で、まずはガソリン税の暫定税率の廃止についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 私も地方をいろいろ回っていましたけれども、地方ほど、ガソリン税の暫定税率の廃止について御理解をいただいて御賛同いただいたと私は思いました。先ほどの山下委員のお話があったとおり、地方では、車一台では足りずに、買物に行くにも仕事をしに行くにも、医療や介護のサービスを受けるにも、どうしても車が必要であるという社会において、これは地域の活性化にもなる有効な物価高対策だと私は思いました。

 リッター二十五・一円、四十リッター給油すれば千円安くなる、これは有効な物価高対策だと確信をしていますので、今回も七党で共同提案を八月一日にさせていただきました。十一月一日から実施しようという中身になっていますけれども、これについては与党も御理解をいただいて、坂本国対委員長は、参院選で民意が明確になった、民意に従って政策づくりをしていくということで、民意を踏まえた、ある種正しい意味の君子豹変をしていただいたというふうに思います。そして、合意文書を交わしました。

 是非これは早期に、年内に成立をさせるということを、是非一緒に協力をして、確約をしていただけませんか。

 先ほどの山下委員のお話は、いろいろ課題のお話をしていました。確かにあるんです、課題は。財源をどうするか、地方への配慮をどうするか、流通への影響、課題はそのとおりです。でも、死に物狂いでその課題を乗り越えて、与野党で知恵を出し合って早期に、年内に実施をする、その構えであるということを、総理、確約していただけますか。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 それは各党で合意をしたことですから、そこを目指して、その実施ができるように私どもとしても努めていきたいと思っています。

 先ほど山下委員の質問にもございましたが、世の中いい話ばかりではございませんので、これを廃止したときに何が起こるのかということ。つまり、ガソリンが下がった、よかったねということで終わる話ではない。インフラの老朽化というのは、あちらこちらで、八潮もそうです、行田もそうかもしれません、人の命に関わるようなことがあちらこちらで頻発している。では、そのお金をどこから見出していくのかということについても合意をしていかねばならぬので、ガソリンが下がった、よかったよかったで済む話ではない。一方において、行田もそうです、八潮もそうです、人の命が懸かっているというお話でございます。

 じゃ、それを、いいんだ、地方財政が毀損してもいいんだ、インフラの整備が毀損してもいいんだということは、よもや誰も考えていない。しかしながら、同時に、増税ということもやりたくない。だとすればどうするんだということは、物すごいナローパスだと思っております。

 ですから、今代表が御指摘のように、本当に死に物狂いで議論を詰めていくということから解は見出せるかもしれない。そこを目指して、私どもとしても全力で努力をいたしたいと存じます。

野田(佳)委員 課題については共通認識と私も思っています。財源は死に物狂いで確保しなければいけません。先ほど山下委員が外為特会のお話もされていました、剰余金。令和六年度の特別会計の決算を見ましたけれども、十分使えるお金はいっぱい出てきていますよね。でも、これはワンショットのお金ではいけないので、恒久財源も含めてきちっと議論して成案を得ていきたいと思います。

 課題は分かっています。でも、課題があるから先送りではなくて、もう実務者協議が先週から始まりましたけれども、こんな課題がありますね、これは課題を乗り越えないとできませんねという感じだというんですよ。それじゃないでしょう。年内に実施するということが合意の基本であって、そのために、課題解決のために死に物狂いで知恵を出しましょうということだと思います。

 そのことを改めて党内で徹底していただきたい。総裁として徹底していただきたい。加えて、役所の皆さんにも協力をするように指示をしていただきたいと思いますけれども、これはイエスかノーかで結構でございますので、お答えいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 それは、互いにそうあるべきものでございます。野党におかれましても、それでは財源をどうするのかということについて、先ほど外為特会のお話をなさいましたが、物事には何でもメリットとデメリットがあるんだ、そこも共有しながら、もちろん、我々、与党の責任として指示は出します。そのようにいたします。同時に、野党におかれましてもそのことについて責任を持つんだということを、野田代表と私の信頼関係において確認させていただきたいと思います。

野田(佳)委員 お互いに誠意を持って、年内に実施できるように汗をかいていきましょう。これはお約束していただいたと思います。

 続いて、日米関税交渉についても、是非これもやり遂げていきたいという御意思をお話をされていましたが、私どもも、日米関税交渉、本当にこれは国難だなとずっと思ってまいりました。国難だと思うのは、やはり相手側が通常の通商ルールを守らない、セオリーに立っていない、そして機嫌を損ねると何をするか分からない極めて厄介な存在で、厄介な交渉だと思います。ですから、交渉は相当御苦労されているというふうに思います。実際に交渉が合意されたとしても、実体経済にはプラスの影響がないわけですので、そういうことなども含めて、私はまさに国難とも言うべき交渉だったというふうに思います。

 ですから、最初から、これは足を引っ張るのではなくて、お尻をたたくということをずっと表現として申し上げてまいりました。何度かの与野党党首会談でも情報共有をさせていただいて、我々は、あえて政局にしようと思ったことは一度もありません。これからも基本的にはそうしたいと思っていますけれども、合意文書を作らないということについては、先ほどの担当大臣の御説明などもありましたけれども、これはすとんと落ちないですよね。だって、合意をしたという中で、自動車・自動車部品が一五%ですぐ実施されない、これは何でなんだと。

 これは、ある種、手柄のように言っていたじゃないですか。従来は二・五%の関税だったものが、引き下げられたとしても一五%ですね、今の二七・五から。それだって六倍なんですよ、六倍。でも、六倍だったら、まだ経営計画、事業計画を練って対応しようという気持ちになった、一種の安堵感が出たかもしれないけれども、いつまで二七・五が続くか分からないんじゃ計画の練りようもないじゃありませんか。そして、二七・五もずっと続くんだったら、これは実体経済に大きな影響が出てきますよ。合意したはずなのに大統領署名がすぐされない、これがまずおかしいじゃありませんか。

 加えて、私は、関税より投資ということを軸として交渉された、これは一つのやり方だったと思います。御苦労されたと思います。でも、その投資の中身も、アメリカ側のファクトシートだと、インベストメントとしか書いてないんです。出資じゃありませんか。日本側の解釈は、出資に融資に融資保証みたいなことを言っている。投資の解釈も違うでしょう。五千五百億ドルと書いてある。日本は最大と書いていますよね、最大。アメリカの文書はウィズオーバー、最低ですよ。最高と最低じゃ全然違うじゃありませんか。

 やはり文書を作らないことのそごの方が今マイナスが大きいのではないかという懸念を持っています。何で文書を作らないんですか。お答えいただきたいと思います。

安住委員長 では、最初、赤澤国務大臣。(野田(佳)委員「指名していませんけれども」と呼ぶ)説明させます。

赤澤国務大臣 まず、代表がおっしゃった、今回の関税措置について基本的に損のみであるというお話ですが、私どもはそうとは必ずしも考えておりませんで、これを、ピンチをチャンスに変えていきたいということです。

 本イニシアチブが、まさに我が国の経済安全保障を確保する観点、そして、我が国がコストカット型経済から三十年ぶりに転換し、その間に失われた成長機会を取り戻して余りある劇的な経済成長を実現する、総理がおっしゃる二〇四〇年までに名目GDP一千兆円という目標に向けて格段に加速化する、そういう観点で重要だというふうに思っています。そういう意味で、ピンチをチャンスに変えていく。単に損を負わされているという認識でやっているわけではありません。

 その上で、合意文書について申し上げますが、覇権国が今本当に、世界秩序も変えようとするに伴って、国際ルール、外交交渉のやり方も変えようとしています。二百か国以上に手紙を送りつけて、合意だと称して関税を上げちゃう。協議する国は限られている、だけれども、二十かそこらの国を、次々協議をする。

 そんな中で、向こうの国も大変忙しくやっています。ぎりぎりまで交渉し合意は発表するけれども、共同文書を作ろうとしていたら、いつまでたっても関税を引き下げてもらえなくなっちゃうということを一番恐れています。これまでのところ、ベトナム、フィリピン、EU及び韓国も、米国との間で共同文書の作成ができていません。

 なので、代表がおっしゃるとおり、共同文書を作ることの……(発言する者あり)

安住委員長 簡潔に。

赤澤国務大臣 はい。

 ピン留めのメリットや、国民への説明責任を果たすという意味で一定のメリットを認めますが、ルールが大いに変わっているこの激流の中で国益を守り抜こうとすれば、そういう意味で、これまでと同じ対応はなかなかできないということであります。

 その点については御理解をいただき、私どもは、引き続き、日米双方が合意の着実な履行に努めること、特に米側の関税引下げのために必要な大統領令の発出など、米側の国内措置を強力に求めてまいりたいというふうに考えております。

野田(佳)委員 私、今日は全部総理にお答えをいただくということで通告をしていますので、通告で呼んでいない大臣にお答えいただくというのは私はおかしいと思っていますので、まずそれを指摘したいと思いますし、長過ぎですよ、今の答弁も。長過ぎましたし、ほかの国でも文書を作っていないところはあると言うけれども、イギリスと作ったりしているじゃないですか。作っている国もありますよ。そういう国もあるという中で、例えば二〇一九年の日米貿易協定は文書を作りましたよね。作ったけれども事実上破棄されたんじゃないんですか。これはどうなったのか、質問しませんけれども、事実上破棄されたんじゃないんですか。

 同じトランプ政権ですよ。文書も作らなかったら、どんどん拡大解釈をして、日本はぼられ続けるんじゃないんですか。皆さん、そう思いませんか。その懸念の方が私は強いということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。これは多分、うなずいていらっしゃるということは、そう思っているということでしょうか。違うんですか。違うんだったら、じゃ、お答えいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 それは、八回訪米して、本当に物すごい議論をして、この内容を一番知っているのは間違いなく赤澤大臣でございます。ほかの誰よりも知っている。その彼をして、合意文書を作るメリットもある、デメリットもある、それはデメリットの方が大きい、我が国の国益にならない、よって合意文書を出さないという判断をいたしております。

 説明が長過ぎるというお話がありますが、この説明はそんなに簡単にできるお話ではありません。きちんと誠実に説明をしているということを短くしろということは、それは正確性を欠くことになります。

 私は、どちらが国益になるかということを考えたときに、今委員が最初におっしゃいましたように、相手が普通の人ではない、ルールを変えるという人なのだ。そうすると、先ほども答弁で申し上げましたが、合意をするよりも実行に移す方がより難しいというのがこの手の交渉でございます。

 そのときに、文書というものを作るということによって関税の引下げというものが遅れるということを私どもは一番恐れております。一番我が国の国益に関わります自動車の関税、これをきちんと下げる大統領令を発出する、まずそのことに全力を注いでいくべきなのであって、何が一番国益に資するかということを慎重に考えました結果、合意文書は作らないということを申し上げております。

 もしお時間をいただければ幾らでも説明を申し上げますが、限られた時間内でございますので、当面そのことを申し上げておきたいと存じます。

野田(佳)委員 全く見解の相違だと思います。私どもは足を引っ張るつもりはないと言ってきましたけれども、これは極めて心配だと私は申し上げて指摘をしていきたいというふうに思いますし、日米の合意で、私はこれで長い交渉のトンネルの出口に立ったのかと思ったけれども、これはまだ大筋合意にすぎずに、詰めなきゃいけない点がいっぱいある。ということは、これはトンネルの入口に入ったということじゃないんですか。ということは、相当続投が長い時間だということになりかねないなと逆に思いました。これは感想として申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で、日米合意の先に、やはり明らかに、こういうブロック経済化していくということは、さきの大戦につながったようなこと、これは歴史的な事実だと思います。そうならないようにするために、貿易リスクのあるアメリカは残念ながら外しながら、日本がまさに自由貿易体制の再構築の先頭に立っていかなければいけないという大通商戦略を持つべきじゃありませんか、こんなときに。

 動いてほしいとずっと思っているんですよ。例えば、TPPを拡充する、だから事務局を日本に置いたらどうかと提言しました。動いていないじゃないですか。TPPの内閣官房の対策本部があります。もっとフル稼働させたらどうですか。あるいは、RCEPを拡充する。あるいは、フォン・デア・ライエンEU委員長がEUとCPTPPとの連携を言い出した、どんどん緊密に連携したらどうですか。TICADをやるんでしょう、もうじき。アフリカも巻き込みましょうよ。中東もラテンアメリカも。もっと意欲的に、もっと能動的に動いたらどうですか。いかがでしょう。

石破内閣総理大臣 それはそのとおりです。でありますからこそ、フォン・デア・ライエンとも随分と長い時間議論もしましたし、マレーシアであり、ベトナムであり、フィリピンであり、インドネシアであり、そういうところをずっと歴訪しているのもそういうことでございます。

 ただ、第一次世界大戦後、アメリカが国際連盟をつくろうというふうに言い出して結局入らなかった、その後、ブロック化経済が進んでいった、その歴史というものも我々はよく認識をしなければいけないのであって、そこにどうやってアメリカも巻き込んでいくのかということを併せて考えていかなければいけないのだと思っております。

 我々は、EUとも連携します、ASEANとも連携します、アフリカとも南米ともそうですが、そこにおいて私が必ず、今日もベリーズの首相が参りますのでその議論をいたしますが、いかにしてアメリカを巻き込んでいくのかということも考えていかなければならない。そこは知恵の絞りどころだと思っております。

 また、私は、WTOを中心とした貿易のルールというのは今後もあるべきだと思っていますが、併せてWTOの改革というものも議論をしていかねばならない。途上国の地位というものにいつまでもこの国があっていいのですかという議論は当然あってしかるべきですが、そこにおいて対象とされた国は絶対嫌だということになりますわけで、WTOの改革と、そしてまた、アメリカも巻き込んだ、決してブロック化にならない経済体制というものをつくるために、また野田代表のお知恵もかりたいし、皆様方のお知恵もかりたいと思っております。

 決して容易なことではありませんが、そういう世界の公正な貿易のルールというのを作っていかないと歴史が悪い意味で繰り返すことになりかねないという非常に強い警戒感は、私は代表と共有するところでございます。

野田(佳)委員 どんどん行動してほしい、それだけ申し上げたいというふうに思います。

 その上で、実態として日米関税交渉でいろいろなことが決まってくる中で、先ほど自動車・自動車部品のお話をしましたけれども、今は二七・五ですよね、これが続くと、それは自動車メーカーを抱えているところ、部品工場の多いところ、地域に大きな影響が出てくる。雇用にも影響が出てくるかもしれません。

 相互関税も一五%ということですが、四月から一〇パーになりましたよね。元々ゼロだった、例えばお茶なんかゼロですよ、ゼロが一〇になり一五になる、これはどんどん打撃が増える。例えばホタテ。自動車に次いでアメリカに対する輸出額が多いのは魚介類なんですよ、大半がホタテですけれども。二〇二四年は八百九十四億円、アメリカに輸出しているんです。これも影響は出ますよね。

 個別の業種あるいは品目、四千三百十八品目ですか、アメリカに輸出、それをしっかりと洗い出して、実体経済に影響が出ないような経済対策を早期に講ずるべきだと思いますけれども、いかがでしょう。

石破内閣総理大臣 全くそのとおりです。

 ですから、自動車だけではない、自動車部品だけではない。ホタテがそうですね。それは、船橋のホンビノスガイを輸出しているかどうか、私は寡聞にして存じません。ですけれども、例えば盆栽はどうなんだい、日本酒はどうなるんだい、ニシキゴイはどうなの、金魚はどうなのと。

 それぞれの事業者さんにとっては死活問題なので、私が指示しているのは、あらかじめ、その四千三百十八とは何ですかと。それぞれ千か所、相談窓口がありますが、それぞれの千か所にどんな業者さんがおられますかということは、来られてから応じるのではなくて、こっちがきちんと調べておかねばならぬのだと思っております。じゃ、この品目はこれぐらいの関税になりますよということがその場でお答えをできなければならないし、それによって企業さんによっては資金繰り等々がございます。そこにおいて、じゃ、低利の、あるいは保証が非常に軽いような、どういうような資金調達の仕組みがあるかということも、これはきちんとお答えをしていかねばなりません。

 日々どんな御相談があったかということも、どんな業種から御相談があったかということも毎日把握をいたしておりますが、言われてからやるのではなくて、こっちからきちんと、プッシュ型というんでしょうか、そういう形でこの体制は間違いなく万全を、あえて万全と申しますが、そういう体制を構築をいたしますし、そこにおいて、それぞれの委員の皆様方の選挙区においても、うちの選挙区にこんなのがあるよ、この業種はどうなるんだいということはまた御指摘をいただいて、スピーディーに適切に対応いたしてまいります。

野田(佳)委員 相談窓口の設置、これは大事であって、あるいは資金繰りも。でも、これは春からおっしゃっていることですよ。八月七日からじゃありませんか、一五パー。これについてはもう相当に実体経済にも影響は出つつあると私は思いますので、早期に対策を練って実現をするということを是非やっていただきたいというふうに思います。

 その上で、またさらに物価高対策についてお尋ねなんですけれども、先般の参議院選挙では、自民党は給付金を物価高対策として掲げました。子供あるいは住民税非課税世帯の大人については四万円、そしてそれ以外の大人については二万円という給付金でございました。所要で三・数兆円でしたよね。でも、私が知っている限り、私も全国、地方をいろいろ回りましたけれども、自民党の候補者の中で、この給付金の話を公約としてしっかりしゃべっている人はほとんどいなかったと思いますよ。うなずいていらっしゃる。公約としていたのに誰も言っていないんですよ。

 結局、民意はどうだったか。物価高対策としては、本来はやはり物価を上回る賃上げ、これは与野党共通認識だと思います。その上で違いが出てきたのは、消費税減税をするのか、給付金だけでいくのか、これが大きな違いになりました。民意で示されたことは、私はやはり減税だったというふうに思うんです。

 にもかかわらず、今後、補正予算と言っちゃうと自民党内の政局が絡んでしまうから答えにくいかもしれませんけれども、経済対策を講じなければいけない、物価高対策を講じなければいけないという自民党の立場で、あの給付金はまだ実現しようとするんですか、あのまま。公約したけれども誰も語らなかったこと、民意で否定されたことを、あの給付金をあのまま実現しようとこれからも自民党は続けるんですか。

 我々は、食卓おうえん給付金という、これは食料品のゼロ税率とその先の給付つき税額控除をにらんだ三段構えの対策として、規模等は同じような、ただ、財源はちゃんとしっかり示しているつもりでありますけれども、食卓おうえん給付金というのを提示をいたしました。

 今まさに食卓の危機じゃありませんか。先ほど来少しお話が出ていましたけれども、高温と少雨によって農作物への影響が出てまいりました。夏物野菜は三割高ですね。養殖の魚も今五割増しですよ、五割増し。魚も、魚介類も。肉も、暑くて豚や鳥は生育が遅れていて、これも高くなっている。米だってこれまた高くなる可能性はありますよね、この少雨、高温で。

 というように、まさにこの猛暑のインフレが加速する中で、やはり給付金も必要だと思うんです。我々は減税と言っているけれども、税制改正が伴いますので、その前に急いで物価高対策として給付金も必要だと思いますが、自民党は、公約したあの給付金をそのまま実現しようとするんですか。我々の訴えた食卓おうえん給付金のようなものを考えるのか、お答えをいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 それは、民意は大事だと思っています。今回の選挙で示された民意をいかにして実現するかということを考えましたときに、私どもは、選挙のときに公約をいたしましたことが残念ながら十分に御理解をいただけたと思っておりません。そういう反省は強く持っております。それは私の説明の仕方が悪かったのかもしれません。

 ただ、私どもが考えていたのは、とにかく急ぐんだということ。早くやっていかなければいけない。消費税の減税というのには時間もかかる、システムの改修にも時間がかかる。まず急ぐんだということ。そして、生活に困窮しておられる御家庭、お子さんがたくさんいらっしゃる御家庭、そういうところに手厚くしていくためには、それは減税よりも給付でしょうということを申し上げましたが、必ずしも御理解はいただけなかった。

 今代表がおっしゃいます食卓おうえん給付金というものは、私は、代表のお話を直接演説現場で聞けるはずもないので、テレビで見ておるだけでございますが、問題意識は恐らく共通しているところはたくさんあるんだろうというふうに思ってまいりました。そして、国家財政というものに物すごく強い責任感を持っておられるのも代表であるということは、私もよく承知をいたしております。そこに必ず接点があるはずなのであって、私どもが比較第一党を頂戴をいたしました、御党が第二党でございます、第一党、第二党だけで物を決めるわけではございませんが、それだけの御支持をいただいている責任というものは、私どもは共有をしてまいりたいと思っております。

 どうすれば早いか、どうすれば困っている方に手厚いか、そしてまたどうすれば財政というものを傷つけないか、そして将来の社会保障というものに責任を持てるか。そのことについて徹底的に議論をして、国民の皆様方の御期待に応えるのが我々の責務であると承知をいたしております。

野田(佳)委員 私どもの食卓おうえん給付金というのは、食料品の消費税ゼロ税率を実現をするまでの間の当面の対策として打ち出した政策なんです。これはセットになっていく話なんですね。今少し消費税や社会保障の話も触れられましたけれども、消費税については、他の多くの野党も減税、食料品に限った話ではないところもあって、あるいは財源についても見解の違いがあったり、やり方とか規模感では違いがありますけれども、なるべく最大公約数でそろえていって、野党としての考え方を整理をしたいと思うんです。

 今日、重徳政調会長が他党の政策責任者に会議を呼びかけて協議をします。これ以降、この協議体で、消費税の問題も含めて野党間の協議を進めていきたいと思うんですね。野党としての考え方も整理をしていきたいと思いますけれども、野党だけではなくて、ガソリン税についても与党が協議に入っていただくようになりました。これは大きな前進だったと思うんですけれども、この減税についても、あるいは、一つの解だと前に党首討論のときにお話ししていただきました給付つき税額控除についても、与党として真剣に協議をする、検討するという可能性はありますか。いかがでしょうか。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 それは党首討論でも代表にお答えをいたしました。一つの解という言葉を私は使ったと思っております。

 給付つき税額控除は一つの解であり、そこへ至るまでの論点というものも出尽くしていると思っております。それは、資産の把握をどうするか、あるいは従来の生活保護等々との整合性をどう取っていくか。たくさん議論はありますね、以上、ここで終わってはいかぬというのはよく承知をいたしております。その問題について、給付つき税額控除を一つの解としながらも、そこに至るまでの問題点について議論を更に深めるということが重要だと思っております。

 私は、最終的に給付つき税額控除をするというようなことを今断定的に申し上げるつもりはございません。しかしながら、問題点を共有いたします以上、それを乗り越えていくための技術というものについて、更なる議論をして答えを出したいと思っています。じゃ、そこに至らないとするならばどういう答えがあるのかということも併せてお示しをして、それを選挙で問うのか、その前に一致を見るのか、そこについてはこれから先の議論だと思いますが、問題点があります、以上ということにはいたしません。

野田(佳)委員 ちょっと整理したいと思うんですけれども。

 給付金、減税、給付つき税額控除、これを我々はセットでお訴えをしていますけれども、それぞれ検討をし、協議をする可能性があるというふうに今、可能性があるじゃなくて、するということで理解をしてよろしいですか。

石破内閣総理大臣 給付つき税額控除というものを目指してということを私は申し上げませんが、その答えは出さなきゃいかぬ、じゃ、そうでないとすればどうするのということについての答えも出さねばならぬ。そういう意味で、代表のおっしゃいますことには同意をする次第でございます。

野田(佳)委員 給付つき税額控除について、これに限っては、今、階さんを中心に、所得の把握の問題などを含めてどうするかなど制度設計をしている最中で、これはなるべく早く御提示をしたいと思いますが、そういう協議を是非させていただきたいと思います。

 給付金、次につなげる減税の可能性、そしてその先の給付つき税額控除、こういうものについて、是非真摯に協議をさせていただければというふうに思います。

石破内閣総理大臣 そのとおりにいたしたいと思います。

 同時に、決して忘れてはならない論点は、医療であり、年金であり、介護であり、子育てであり、物すごい少子化が進んでいる中にあって、この内容をどうするのということも併せて議論をいたしませんと、これは議論として成り立ちません。

 そこは、いかにして医療費というものをよりよいものにしていくか。それは、維新の会の皆様方から例えばOTCの提起がございます、あるいは病床の削減というものの提起もございます。各党さんからいろいろな議論がございますので、いかにして国民の社会保障というものを構築していくかということも併せて議論をさせていただき、解を見出したいというふうに私は思っているところでございますので、この点については代表の御理解を得たいと思います。

野田(佳)委員 ちょっと時間がなくなってきましたので、最後の質問になるかもしれませんけれども。

 今週は歴史に向き合う週じゃありませんか。八月六日、八十年前に広島で人類で初めて原爆が投下された、八月九日は長崎、この悲劇を忘れてはならないというふうに私は思うんです。

 そして、去年、日本被団協がノーベル平和賞を受賞をして、核廃絶に向けた機運が国際社会で広がるかなと思っていたんですけれども、残念ながら、逆に分断と対立がどんどんどんどん起こって、核兵器の使用をほのめかすような発言が出てきたりとか、核兵器の開発を急ピッチで急ぐような国が出てきたり、逆行する動きが多いと思うんです。

 加えて、イランへの核施設の攻撃について、広島、長崎を引用して正当化しようとするような米国大統領の発言があったり、あるいは、参議院選挙戦中に核武装安上がり論のような発言が飛び出したり、私は極めて憂慮すべき事態だと思っています。

 今、核だけに限って申し上げましたけれども、御党の参議員が五月に、沖縄県民の感情を逆なでするような、歴史の実態を踏まえない、史実を踏まえない、歪曲した解釈の暴言を吐きましたね。もう一回きちっとやはり過去の歴史に向き合うということをやらなければいけないんじゃないんでしょうか。

 私は、必ずしも五十年、六十年、七十年と十年刻みで談話を出すべきだとは思っていませんでした。でも、たまたまこの八十年というのは、歴史を忘れた、歴史が風化してきているんじゃないか、戦争の記憶が風化してきているんじゃないかという発言とか行動が多過ぎるので、あえてこの八十周年というのは談話を、閣議決定する時間がもうないから談話は無理としても、何らかの総理のコメントは私は出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 委員も私も同じ昭和三十二年生まれで、戦争の体験はない、しかし、育ったときに、日本は戦争に負けたんだということを親からも周りの人たちからも教わって育った世代です。町にはまだ戦争の傷痕が残っていた、そういう時代に私も委員も育ちました。

 風化ということはあってはならないことだけれども、時間の経過とともに薄れていく、だとすれば、能動的に積極的に、風化をしないような努力というものは必要なのだと思っております。形式はともかくとして、この風化というものを避けるために、どうしてもならないために、そして戦争というものを二度と起こさないためのそういうような発出というものは、私は必要だと思っています。

 しかしながら、そこにおいて、五十年談話、六十年談話、七十年談話、私はずっと見てまいりましたし、それに関わったこともございます、そこにおける積み重ねというものは大事にしていきたいと思っています。その上でなお何を言わねばならないのかということは、五十年談話、六十年談話、七十年談話をディテールに至るまで子細に読んだ上でそれは判断をしたいと思っております。

 政府としてなすべきことは、我が日本国としてなすべきことは、二度と戦争を起こさないためにどうするのかということを、単なる思いの発出だけではなくて、何を誤ったのかということ、それは、歴史の評価ということは別物でございます。七十年談話に、政治システムは歯止めたり得なかったという文言がございますが、では、なぜ歯止めたり得なかったのかということについてはきちんと考える必要があるだろうと思っております。

 私どもの世代が、あるいは我が国が今年世界に向けて何を発出するかということは、私自身の思いとして強いものがございますので、またいろいろな御意見を踏まえながら、よりよきを期してまいりたいと考えております。

安住委員長 所定の時間は過ぎておりますが、会派としての時間調整をするということで、質疑を続行します。

野田(佳)委員 じゃ、最後の今のコメントに対する一言でありますけれども。

 帰らぬ人となった人たちがたくさんいます。その犠牲の上にこの国は今成り立っています。帰らぬ人となったのは、戦闘で亡くなった人もいらっしゃる、大空襲や原爆で亡くなった無辜の民もたくさんいらっしゃる、その御家族も苦労されてきた、そのことに思いを致して、帰らぬ人になった方がたくさんいた、そういうことにしっかりもう一回思いを致すということは、私は大事だと思うんですね。

 そのためにも、これこそ総理の真骨頂だったんじゃないんですか。ある意味、一番やりたかったことじゃないんですか。党内政局的にはいろいろあるでしょう。あるでしょうけれども、続投するんだったらば、本人がやり遂げたいと思うことをやり遂げるべきだと私は思います。

 そのことを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

安住委員長 この際、渡辺創君から関連質疑の申出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。渡辺創君。

渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創でございます。野田代表に続いて質問を行いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、一枚目のパネルを御覧いただきたいというふうに思うんですが、これは石破総理の、御自身の御発言です。平成二十三年七月、二〇一〇年の参院選から一年になろうとする時期でありますが、参院選で敗北した民主党の菅直人総理に向けて、衆議院予算委員会、この場での発言です。

 石破総理は、参議院選挙を政権選択の選挙ではないとした上で、しかしながら、政権の是非を主権者たる国民に問うたのが参議院選挙の意義と強調して、トータルとして政権の是非を問うものだと主張されました。さらに、政権を正せというのが選挙結果であり、選挙をなめないでください、主権者たる国民の選択なんですと大変強い口調でおっしゃっていますが、御記憶がございますでしょうか。

石破内閣総理大臣 国会の質疑に責任を持つのは当然で、記憶をしているのは当然のことでございます。

 このときの質疑のときに、私は自民党の政調会長でございました。自分のいただいております鳥取県選挙区でも全身全霊戦って、議席を獲得をいたしました。

 それは、そのときそのときの発言に責任を持つのは当然で、このときのやり取りというのはユーチューブでも今でも見ることができますので、そんなに暇があるわけでもありませんが、このときのやり取りというのは、私は常にリマインドするようにいたしておるところでございます。

渡辺(創)委員 十五年前、当時の菅政権と今の石破政権、参議院選における国民の評価によって窮地に追い込まれているというところでは似通った状況かと思いますし、衆議院での多数がないという意味では、石破政権の方が厳しいと言えるかもしれません。今回の選挙結果は与党に厳しい結果と言えたかと思いますけれども、石破総理の言葉をかりれば、政権の是非を国民に問うた結果ですよ。政権を正せというのが選挙の結果だということになると思います。

 総理は、今回のこのような選挙結果になった理由をどのようにお考えですか。

石破内閣総理大臣 勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けありというんですか、勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしでしたね。これは野村克也さんが私どもに教えてくれた言葉でもありますが、やはりそれは、一つ一つの選挙区あるいは比例区、そこにおいて、なぜなんだということを子細に分析する必要があるというふうに考えておるところでございます。それは、今までとは違うような状況が現出をした、多くの党が出現をし、それぞれが支持を集められた、そういう結果でもございます。そこは、きちんとした分析をしていきませんと対応もできないので、負けに不思議の負けなしというのはそういうことだというふうに考えておるところでございます。

 いつまでもだらだらとそんなことをしていいわけではございませんので、我が党としては、きちんと期限を区切り、きちんとした議論の末に、次につながる、そういうような分析をしていかねばならないと考えております。私がここで、これが敗因だということを断定できるという立場にはございません。

渡辺(創)委員 総理が言及がないのではっきり聞きますが、政治と金の問題、裏金の問題、これも拭い去れない不信感があって影響したのではないかというふうに思います。あれだけ大きな国民の怒りを、昨年の衆議院選挙の結果でも示された。しかし、通常国会では、先ほど野田代表からもありましたが、政治資金に関する政治改革にも結論を出せなかった。

 裏金問題の整理が不十分だというのが政権与党への評価に影響したのではないかと、素直に見れば、一つの要因と言えるかと思いますが、この点について総理はどうお考えですか。

石破内閣総理大臣 結果として、その点について十分な御理解がいただけなかったということは、私として率直に認めるところでございます。

渡辺(創)委員 総理も認めるところかと思います。

 石破総理の進退をめぐって、自民党さんの中ではかまびすしい状況が続いているかというふうに思います。八日には両院議員総会も開かれるそうだというふうに聞いておりますが、石破総理に退陣を求める声を上げていらっしゃる方々の中には、いわゆる政治と金の問題、裏金問題での責任を問われた方々も少なくないように見受けられます。こういう姿が国民の目にどういうふうに映っているのかなというふうに感じるところではありますが、あわせて、自民党の選挙総括、先ほど総理もおっしゃりましたけれども、執行部の責任も含めて重要だろう、それをやらなきゃいけないとおっしゃっていますね。党内外でも注目されています。

 私が自民党の選挙総括に口を出す立場にはありませんけれども、石破総理は、自民党総裁として、選挙総括の中で、この間の裏金の問題の対応や、そこからつながっていく政治改革に関する国会での対応が不十分であったか否か、この点についてきちんと検証、評価をする、そして、その上で選挙総括につなげていくというお考えがあるんでしょうか。一人の国民としてお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 それは、この議論を同じときにした野田代表と今やり取りをしたとおりでございます。そのときの経緯をどれだけの方が御存じかは、私は承知をいたしません。

 ただ、私の反省として、選挙制度を変えれば政治はよくなるというふうに私どもは思っておりました。そのために、その思いの者たちは、いっときは、党を出ていけとか、派閥を辞めろとか、そういうことを言われて、党を出た者もいました。派閥も辞めた者もいました。それは、本当に全身全霊で戦っていたという記憶が私はございます。しかし、選挙制度を変えただけで政治はよくならなかったということもまた事実でございます。

 国民が議員を選ぶのではなくて政権を選択するのだから、そのコストは国民の皆様方にも一部御負担をいただくべきであるという議論がそのときございました。それは本当に正しかったのかということもあります。これは、あのときが一つの熱病に浮かされたみたいだというような、そういう酷評をされる方もありましたが、何が足りなかったのかということも、あの時代を知る者として次の時代にきちんと残していかねばならないと思っております。

 そこにおいて、不公正があってはならない、不公平があってはならない、不正があってはならない、公開性を高めねばならない。しかしながら、政党が余りに公権力に依存する、あるいは資金を持った者に有利になるということがあってはならないというのは、今も思いは変わりません。

 いずれにいたしましても、このことについては我が党としてきちんと答えを出さねばならないし、全党に共通するルールでございますから、御党の御提案も十分承りたいと存じます。

渡辺(創)委員 私は、昨年の政治と金の問題が影響したかということ、そのことを総括で踏まえて議論するかと聞いたので、真摯な姿勢であれば、今のところにストレートにお答えいただきたいと思いますが、期待できませんので、次に進みます。

 ちょっと順番を変えて伺いますが、まず物価高対策です。

 先ほど野田代表とやり取りがありましたが、我が党の政策にどうつながっていくかということはいいです、おいておきます。

 まず、この参議院選挙で自民党さんが、石破総理が公約として主張された二万円、四万円の給付、六月十三日に表明をされたと思いますが、このことは、参院選の結果を受けて、実施されようとしているのか、それとも、もう諦めてやらないというお話なのか、明確に御答弁ください。

石破内閣総理大臣 それは、先ほど来お答えしているように、各党との議論というものでどういうような成果が出てくるかということによるのだと思っております。やるのかやらないのかというのは、当然のことながら、この議会の承認をいただかなければできません。できないものを主張しても仕方がありません。

 しかしながら、私どもが申し上げた問題点、それは、次の時代に負担を残さない、早くなければいけない、困った方に手厚くなければならぬ、その目的をほかの手法でも達成できることがあるとするなら、そちらを取るというのも一つの解ではございましょう。

渡辺(創)委員 国民の皆さん、見ていますよ。分かりやすく。総理がおっしゃったことですよ。

 もちろん、国会でどういう話になるかという問題はあると思いますが、政府の責任者として、与党のトップとして、それを提案し、やろうとする意思があるのかという極めて分かりやすい質問をしています。明確に答えてください。

石破内閣総理大臣 それは、実現する目的、早くなければいけない、国家財政に傷をつけてはいけない、社会保障をきちんとしなければならない、困っている人に手厚くなければならない、それを実現するための手法がほかにあるとせば、それを取ることにやぶさかではございませんが、各党の協議というものを経ないで、私としてこうだということを申し上げることはいたしません。当然のことです。

渡辺(創)委員 では、具体的に伺いますが、今の提案をどこで行うつもりなんですか、総理。国民の皆さんは今の生活が苦しいから待っていて、自民党の総裁が言うことを信じて投票された方々もいらっしゃるはずですよね。様々な問題を解決して、この国会情勢の中で総理としては実現する必要があると考えるならば、それはどこで提案して、どうやって進めるんですか。ただ言っているだけだったら、政治空白でしょう。やる意思を明確に示して、どういうスケジュールでやるのかを明確に答弁しないと、国民の皆さんは何も分からないですよ。

石破内閣総理大臣 ですから、各党で真剣に協議をするのでしょう。政府だけで決められることではございません。それぞれの党がそれぞれの民意を受けて議席を得ておられるのです。そういう方々が集まってきちんと議論をするのであって、それは全て政府が決めるのだ、その法案というものは認めないのだ、予算というものは認めないのだということでは、何にも進まないじゃありませんか。

 各党において、もちろん御党もそうです、どのような議論、つまり、先ほどの野田代表との話で、目的は全く変わらない、あえて全くと申しますが、そのような認識を持ちました。だとすれば、解が出るのにそれほど時間がかかると私は思いません。

渡辺(創)委員 具体的にそれをどこでどう提案されるんですか、野党に対しても。国会でそれを実現に向けてやらなきゃ分からないと総理はおっしゃっているけれども、具体的にどんなアクションで、いつ、どんな形で国会に提案し、野党にも協議を持ちかけるんですか。それをやるのが総理の責任でしょう、今の答弁であるのならば。それを明快に答えてくださいよ。

石破内閣総理大臣 これから夏休みも返上で各党は真剣な議論が行われる。いつ国会を召集し、どのような議論を行うのかということは、政府において決める立場にはございません。各党が議論をされて、国会を開くべきということであれば、それは政府として召集をするということになりましょう。そこにおいて、何にも決まらないで国会の議論をしても仕方がないことであって、いかにしてその議論を各党が責任を持って行うかということだと私は思っております。

渡辺(創)委員 今の総理の答弁を聞いていると、もっと積極的に、与党のトップとして、そういう協議の場をつくるなど努力をされない限り、政府無用だと言っているのと同じですよね。なので、では具体的にどう進めるのか、この国会状況の中でどういう新しい解を出そうと総理として努力をされようとしているのか、それが全く分かりませんよ。

石破内閣総理大臣 この国会の会期は明日までということに相なっております。そういうような議論をする国会を召集すべきという御議論も当然ございますし、政府としてもそれは重視をしていかねばならない。政府として主体的に決めるべきことでもございます。

 しかしながら、そこにおいて何が議論されるかというのは、まさしく各党が、我が党は政策責任者に、きちんとしたその協議に臨むという問題意識を、問題意識といいますかね、それを共有をしております。ですから、夏休み返上で、できれば公開で、そういう議論もきちんとしたいと思っています。その議論がどれだけ濃密に行われ、早くそれを議論する国会というものを開くということについて、委員とそんなに意識の相違はないと思っています。

 政府だけで決めるものではございません。選挙の結果を踏まえて、各党が責任を持ってきちんと議論をする、それも議会政治の当然の在り方です。

渡辺(創)委員 今、夏休み返上で進めるという意思が総理にあるということが分かりましたので、関係する皆さんはそういう対応をなさるんだろうというふうに思います。

 ガソリン暫定税率も今日議論がありました。総理、先ほどおっしゃっていることは分かりますけれども、今総理が、自民党さんの中でも石破総理替わった方がいいんじゃないかという声もあっているような状況の中で、政治空白をつくることはトランプ関税からいってもできないと言っている、ガソリン暫定税率も先ほど話したような議論があった、物価高が続く中で国民の生活をどうするかという今言った問題もある。一般論で考えれば、いずれのことを考えても、補正予算が早く要る気がするんです。そのことをきちんと議論するという環境をどうやってつくっていくのか。

 今の答弁をずっと聞いていると、ちょっとうがった見方かもしれませんが、総理、次の臨時国会までにどうなっているか分からないから自分じゃ何も言えない、そんなふうに国民の目に見えるかもしれませんよ。そうじゃなくて、先ほど野田代表も言ったように、強い意思として石破総理がやりたいことがあるならば、そこに向けての道筋を示すというのは、政権を持っている責任じゃないんでしょうか。

石破内閣総理大臣 先ほど来申し上げているとおりです。

 委員がどのように私と野田代表のやり取りをお聞きになったか、私は知る由もございませんが、私と野田代表の間で、それをやらなければいかぬという問題意識は共通をしているのであって、代表と総裁が共有したことについて、それは委員も御理解をいただきたいと思っております。

渡辺(創)委員 もう一回確認しますが、減税も含めての補正予算、やる意思があるのかということだけお答えください、総理としての立場で。

石破内閣総理大臣 それは、各党のお話合いも踏まえて、補正予算は必要であれば組むということでございます。今ここにおいて、補正予算を組みますということを断言はいたしませんが、それぞれの民意を踏まえて、各党において夏休み返上でもその詰めた議論を行い、その結果を受けて私どもとして判断をするということでございます。

渡辺(創)委員 トランプ関税の話に移りたいというふうに思います。

 ちょっと失礼ながら、赤澤大臣、一言申し上げたいと思います。

 先週の金曜日、お昼に民放の情報番組を見ました。大臣が、トランプ関税交渉の舞台裏を軽快に、時に軽妙に、饒舌に語られておられました。もちろん、幾多の御苦労を乗り越えてですから、敬意を表したいと思いますし、そういうお気持ちも分からなくはないです。けれども、八月の一日というのは、そんなに万々歳の一日だったんでしょうかね。

 相互関税については新しい税率の適用日が大統領令で分かったわけですが、自動車関税に関しては、結局、米国から何の言及もないまま、いつ適用されるのかも分からないという状況です。関係する産業の皆さんからの混乱は続いて、ため息と困惑が続く一日になった。日々影響額もどんどん大きくなっています。新聞を見たら、そういう声ばかり載っていますよ。更に言えば、相互関税の対象分野も、昨年から比べればみんな厳しい状況を迎えるのは不可避という状況なわけです。農業を始め、関税とは異なる形で影響を受ける皆さんも、政府の説明が判然としないという不安を抱えています。八月一日というのは、そういう一日だったんじゃないかなというふうに私は思います。

 もちろん、赤澤大臣のことを拍手喝采されている方もいらっしゃると思いますが、中には本当にしんどい思いで推移を見ていらっしゃる方もいらっしゃるという中で、果たして、大変失礼ながらあえて申し上げますが、担当大臣が手柄を喧伝しているかのように見える姿を公共の電波の中でさらしているというのは、私は相当違和感がありました。先ほどの議論を聞いていても、まだ、トランプ関税問題、とても解決とは言えないし、トンネルの入口ではないかというふうに野田代表がおっしゃったところでありますので、そのことを踏まえていただきたいと思います。

 本題に移りますけれども、今回のトランプ関税ですけれども、いろいろな経緯があるというのは分かりますけれども、国民の皆さんに示されている政府の説明は、紙にするとこの一枚だけですよ。これしか分かりません。

 もちろん、様々な御苦労があったのもよく分かりますし、税率の問題でいえば、最悪の事態を避けることができたというのは一定の成果と言えるのかもしれません。けれども、やはり今回のことは、政府の説明とアメリカのファクトシートには大きな食い違いがあって、本当のところはどうなのかということも国民の皆さんは分からないでいますし、こういう状況は、関税の処理の問題だけではなくて、国民に対する説明責任という意味では、やはり十分とは言えないという状況が現状なんだということを私は確認しておく必要があるというふうに思います。

 国民への説明責任という点を総理はどうお考えになっているのか。私は、現状、不十分だと思いますが、総理の見解をお伺いします。

石破内閣総理大臣 委員がどれほど国際交渉に今まで携わられたか、私は寡聞にして存じません。そこの上で失礼な点があったらお許しをいただきたいと思いますが、私は、農林水産大臣のときも随分とこの交渉、農産物交渉には携わってまいりました。言えないことはたくさんあります。言った途端に交渉がぶっ壊れることも多々ございます。言えないことがございます。ですから、説明責任を果たしていないではないかということを御指摘をいただきますが、その都度その都度、誠意を持って説明はいたしてまいりました。政府部内でも情報はごく限られた者しか持っていない、共有していないということがございました。だからこそ、この交渉はここまで来たのだと思っております。

 先ほど野田代表との質疑でも申し上げましたが、そうはいったって、四千三百十八品目あるわけです。それぞれの方々にどんな影響が及ぶかということは、これ以上ない体制で臨んでまいります。そして、交渉全体が毀損しないように、必要な説明は今後とも行ってまいります。不十分だ、この人はこう言っているぞということがあれば、是非御指摘ください。この場でなくても結構です。

渡辺(創)委員 私は、総理がおっしゃるように、国際交渉に関わったことはありませんけれども、国民のほとんどの人はそういう人たちですよ。そういう皆さんに対して、自分たちは交渉の経験が分かるから、自分たちが考えているんだから、黙って見ていればいいんだというような姿勢であるならば大きな問題だと思いますから、物の言い方は考えた方がいいのではないかと思います。

 防衛装備品についてお伺いをします。

 今年四月十四日の衆議院予算委員会で、総理は、我が会派の後藤祐一委員に、防衛装備品の爆買いというカードを軽々しく切ることはないかというふうに問われて、貿易摩擦解消、貿易赤字解消という観点もあるが、何が日本の安全保障体制を強化するのにふさわしいか第一に考えるべきであって、軽々にカードを切るものだとは思っていないと答弁されました。つまり、防衛装備品を交渉カードに使うことには慎重だという姿勢だったんだと思います。

 今回の合意に伴うアメリカのファクトシートには、年間数十億ドルに上る米国防衛装備品の追加購入というふうにあります。これは爆買いではないんでしょうか。年間数十億ドルというのは、どの水準か分かりませんが、八月一日のレートでいえば、仮に三十億ドルなら四千五百二十四億円、五十億ドルなら七千五百四十億円、七十億ドルなら一兆五百五十六億円、年間追加するということになっています。

 そもそも、この内容は、なぜアメリカのファクトシートにあって日本の説明にはないのか。合意しているのか、していないのか。総理、御説明ください。

石破内閣総理大臣 足らざるところは担当大臣から御説明申し上げますが、今回の交渉において、防衛装備品をどれだけ買うので、じゃ一五%とか、そういうお話は一切いたしておりません。そのようなことは全く議論になっておりません。

 そして、爆買いなんぞというものは、国民の税金でするものですから、必要じゃないものを買ったりはいたしません。しかしながら、同時に、同盟国であります以上、どういうものを我々が装備品として持つことがこれから先の日米のインターオペラビリティーにおいて有用かという話をしていかねばならないのは当然のことです。

 そしてまた、合衆国から防衛装備品を買うことで、貿易赤字というものは結果的に減るということはございますが、今回の交渉において、それをカードとして使ったとか議論したということは全くございません。

渡辺(創)委員 合意していないということですね。じゃ、アメリカ政府は、日本との認識が合致していることじゃないことを言っているということでいいんですね。

石破内閣総理大臣 それは、ファクトシートの性質をどう考えるかということだと思っております。それは、合衆国としてどのような意味合いを持ってああいう文書を出したかということにはいろいろな議論がございまして、私どもにもいろいろな見解はございますが、そのことが合意としての成果物であるということは全くございません。

渡辺(創)委員 もう一回だけ確認しますが、総理、話もしていないと言いましたよね、さっき。話もしていないことをアメリカはおっしゃっている。

石破内閣総理大臣 今回、その話をする権能を持った者、そういう者は出しておりません。そこにおいて、アメリカにおいて、例えばヘグセス長官でありますとかコルビー次官ですか、そういう方々が、この問題について、私どもの責任ある者とそういう議論をしたということはございません。

 それはそれ、これはこれでございますが、先ほど申し上げたように、装備品を購入するということが結果的にアメリカからして貿易赤字の削減につながるということは認識をしておるところでございます。しかしながら、そこは、目的と手段を混同してはいかぬのは当然のことであります。

渡辺(創)委員 していないとおっしゃったので、その前提でいきますが、自民党の木原稔前防衛大臣、自民党安全保障調査会長が六月十三日に、防衛力整備計画の前倒し改定に言及をされて、目標を達成するために手段は縛られない、縛られることはないというふうに発言されています。時期を同じくして、米国と日本の間で、防衛費をGDP比の三・五%まで引上げを求められたという報道もありました。

 この一連の流れが今回の年間数十億ドルに上る米国防衛装備品の追加購入という話と連動するのではないかと受け止める国民がいても全然不自然ではないというふうに思いますけれども、確認をしておきたいんですが、令和九年度までが対象となっている現行の防衛力整備計画を改定するという考えはないということで、総理、よろしいですか。

石破内閣総理大臣 合衆国の関税措置に関する日米協議の中で、我々として既に決定しております防衛力整備計画などに基づく当面の防衛装備品の購入に係ります考え方について、我々は説明をいたしたものでございます。これを超えて防衛装備品を購入するということについて説明をいたしたものではございません。

 今、三とか三・五とかいうお話がございましたが、そういうような具体的な提案が私どもの方にあったわけではございませんし、私は政府の責任者として、そういうことを認識をしておるわけでもなければ、外務大臣、防衛大臣とこれを共有しているものでもございません。現状はそういうことでございます。

渡辺(創)委員 私は総理の考えを確認したんですよ。現行の防衛力整備計画を改定する考えがありますかと聞いています。

石破内閣総理大臣 現在のところ、そういう考え方は持っておりません。これは、我が国が我が国として決めるべきものでございます。現在のところ、そういう考えを持っているものではございません。

渡辺(創)委員 農業分野についてお伺いをします。

 米国のファクトシートによると、米国産米輸入を即時に七五%拡大し、輸入枠を大幅に拡張するというふうにあります。七五%拡大というのは合意事項でしょうか否か、明確に答えてください。イエス、ノーだけで結構です。

赤澤国務大臣 米国との間でお話を申し上げたのは、MA米の範囲内で、私どもは、食料安全保障上、いざというときに主食用米に使えるような、そういう米について増やしてきている中であると。そういうことを御説明の上、米国との間では、米の輸入量について、今申し上げたような方向で検討するという話をしているということでございます。

渡辺(創)委員 七五%拡大は合意かどうかと聞いています。はっきりと。

安住委員長 赤澤国務大臣、明確に。

赤澤国務大臣 政府としては、MA制度米の枠内で、日本国内の米の需給状況等も勘案しつつ、必要な米の調達を確保していくという考えです。

 我が国からは、昨今の需給の動向、食料安全保障の観点等を踏まえ、日本米と品質が近く、加工用に適した中粒種の調達を大幅に増やしており、このことについては米側にも伝えております。

 米国作成のファクトシートの個別具体的な文言にコメントすることは差し控えますが、その上で申し上げれば、米国側は、我が国が既に実施しているこうした取組を更に拡充することにより、結果的に米国産米の輸入が増えることとなると想定しており、ファクトシートに七五%輸入拡大と記述したものと考えております。

渡辺(創)委員 極めて不誠実な答弁だと思います。

 次に、原則、主食用米は使わないMA米制度の話ですけれども、確認しますが、MA米の規模、総枠規模、それとSBSの総枠規模は、変わらないということでよろしいですか。端的に答えてください。

石破内閣総理大臣 変わりません。

渡辺(創)委員 このパネルを御覧いただきたいと思いますけれども、現実的に、今のMA米の枠内で上限を変えずに米国からの輸入量を七五%増やす、これは本当にできるんですかね。

 見ていただければ一目瞭然ですが、MA米の制度の上限は七十七万トンです。米国からの現在の輸入量は三十四万六千トン。これを七五%増にすると六十万五千トン強ということになります。そうすると、現在、合計で四十万トンを超えているタイや中国、オーストラリアの分は半減以下という割合になるわけですね。日米政府が言っていることを合わすと、こういうことになるわけです。

 これは本当に大丈夫なんでしょうか。こんな仕組みの運営ができるのか、さらには、WTO上の問題はないのか、総理の見解をお伺いします。

安住委員長 石破内閣総理大臣、時間が参りますので、最後の答弁になります。

石破内閣総理大臣 できます。それは我が国の主権の範囲内で決めることでございます。御懸念には及びませんし、政府内できちんと議論の末のことでございます。

安住委員長 渡辺君、時間が参りました。

渡辺(創)委員 それであれば、農水省からもそういう説明をきちんと聞きたいと思います。

 以上で終わります。

安住委員長 これにて野田君、渡辺君の質疑は終了いたしました。

 次に、岩谷良平君。

岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。よろしくお願いをいたします。

 今回、トランプ関税、脅迫とも言えるような高関税から引き下げる合意がなされました。このことにつきましては、赤澤大臣及び関係当局の皆様に敬意を表したいというふうに思います。

 ただ、今回の合意で八十兆円もの巨額のお金を出すことになりました。なぜこのような不平等な合意に至ったのか、この点につきまして三つの核心的な質問をぶつけていきたいというふうに思います。

 第一に、この八十兆円の投資と言われておりますが、これは本当に投資なのか。悪い言葉ですが、単にお金を出すだけの、みかじめ料のようなものではないのかということをお伺いしたいと思います。

 第二に、なぜ我が国はこのような不利な条件をのまざるを得なかったのか。その背景には、租税特別措置といったような既得権によって、いびつな日本の経済構造、一つの産業に依存するような、そういった日本の経済構造が背景にあるのではないか。

 そして、三つ目は、今後、アメリカのみならず各国と対等な関係を築いていくためには、やはり国力が重要である、すなわち経済成長が重要である。この経済成長実現のための、我が党が訴える社会保険料を下げる改革であるとか副首都についてお伺いしたいというふうに思います。

 是非、総理に正面からお答えいただきたく、お願いをいたします。

 まず、今回の合意で最も深刻な問題についてお伺いをいたします。

 先ほど申し上げましたが、表向きは、これは八十兆円、五千五百億ドル。これは投資とか融資とか、そういった言葉で表現されておりますが、実態は、単にお金を差し出すだけの、もう一度申し上げますが、みかじめ料みたいなものじゃないのか。

 アメリカのラトニック商務長官は、今回の合意について、アメリカのメディアに対して極めて露骨な表現を使われていますね。日本が望んだのは、一五%という関税率を買うことだったと。買うことだったと。この発言に今回の問題の本質が表れているように思います。

 さらに、先ほどから問題になっております、ホワイトハウスが公表したファクトシート、この中に、日本は、アメリカの中核産業の再建と拡大のために、アメリカの指示で五千五百億ドルを投資する。米国の指示でと書かれています。さらに、トランプ大統領の指示により、これらの資金はアメリカの戦略的産業基盤の活性化に向けられるとあります。トランプ大統領の指示でと書かれています。

 これらの表現を素直に読んだら、これは投資じゃなくて、やはりお金をただ出すということではないのか、これは一体どこが投資なのかと思わざるを得ません。

 しかし、政府は、投資あるいは融資、融資保証という表現を使って、あたかもビジネス上の投資であるかのような説明をされておりますが、総理、これは本当に投資なんですか。関税率を下げるための、単にお金を差し出す、みかじめ料を払うというだけの話なんではないでしょうか。そして、投資であるというならば、それに見合うだけのリターンがあるはずですけれども、その保証は一体どこにあるんでしょうか。お答えください、総理。

赤澤国務大臣 まず、岩谷委員にも、是非、外交交渉についてどんなことが普通はあるかということは御理解いただきたいのは、それぞれ交渉の中では、これは余り自分の国にとってはいいことではないけれども、おまえの国にとってはメリットがあると言い、いざ交渉が終わったら、うちの国は勝った勝った、いっぱい取ったと言うのは外交交渉あるあるでありまして、相手国の閣僚が言っていることをそのままうのみにすることは、事実を誤りますので、控えていただきたいというのは率直なところであります。

 加えて、先ほども申し上げたとおり、私どもはみかじめ料なんて全く考えていませんで、日米で経済安全保障上必要な重要分野でサプライチェーンをつくり上げる。日米、それと少なくとも同志国でつくり上げる、そのことに大変な意味があり、うまくその投資が成功すれば我が国経済に大変大きなメリットがあるということを考えてやっているわけでありまして、今委員がおっしゃったようなことをそもそも考えているものではありません。

 今回の合意は、日米が共に利益を得られる強靱なサプライチェーンを米国内に構築するために、政府系金融機関のJBICやNEXIから最大五千五百億ドルの出資、融資、融資保証を提供可能にするものです。JBICによる出資については配当が、融資については融資契約に基づき利子が、NEXIによる融資保証の提供においては保証契約に基づく保証料がそれぞれ支払われます。JBICやNEXIが無償の資金提供を行うわけではありません。

 そもそも、対象となる経済安保上重要な九つの分野等への投資は、日本企業へのメリットがあるもの、そういう条件でやるわけでありまして、それに加え、我が国が強靱なサプライチェーンを構築する上でも重要なものであることから、我が国の国益に資するものと考えて合意をしたものでございます。

岩谷委員 極めて曖昧だと思いますね。これは八十兆円ですよ。その内訳や返済計画、リスクの評価、そういったものは何一ついまだ示されていないというふうに思います。

 さらに、この不透明な投資には更に重大な問題が潜んでいます。それは、投資判断の主体性が日本にはないのではないかということなんですね。つまり、アメリカ側は四半期ごとに実施状況を評価すると一方的に宣言しておられますね。これは、アメリカが日本の投資実績をチェックして一方的に評価するということなんです。

 先日、我が党の前原共同代表が党首会談で確認させていただいたところ、もし米国が不満を感じれば、関税を再度二五%に引き上げると。それは恐ろしい仕組みだと思うんですよね。

 仮に、日本の独自の判断で、アメリカにこう言われたけれども、これは投資したらリスクが高過ぎる、リターンがない、そういった理由で投資を見送った場合、アメリカが三か月ごとに評価し、チェックし、日本は言ったとおりやっていないじゃないかということで、約束違反だ、関税を二五パーに引き上げる、そういうことを言われてしまう可能性があるんじゃないか。

 ですから、表向きは日本に主体性があるといいながら、実際はアメリカの言いなり。繰り返しになりますが、やはりこれはみかじめ料的な、単なるお金を出すというだけの話じゃないか。この点は総理にお答えいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 みかじめ料という表現が正しいかどうか。反社会的勢力に対して、何とか勘弁してくださいなみたいなことでお金を払うというニュアンスだとすれば、それは実態と違うのではないかと思っております。それは言葉の問題ですが。

 ここにおいて、委員も経営者でもいらっしゃいましたし、民間にもおられたので、民間の契約というものがどういうものなのかということはよく御存じのとおりでございます。

 そこにおいて不利な契約というものをすることは、会社においてできません。そんなことは株主が認めることではございません。そういう契約はそもそも結びようがないということでございます。私どもの企業にとってきちんとしたメリットがないというようなこと、言われるままにリスクも度外視してやるというようなことは、そもそも契約の世界においてあり得るお話ではございません。

 JBICによります出資につきましては配当、融資については融資契約に基づいた利子、NEXIによる融資保証の提供においては保証契約に基づく保証料というものが入ってくるものでございます。そういうプロジェクトが、本当にそういうものに採算に合うのかどうなのかということは、それぞれの企業が判断をすることであって、政府がそういうものについて、この契約を結べというような権能はそもそもございません。それはビジネスの常識というものでございます。

 そこにおいてアメリカ政府が検証するということであるならば、そこにおいて何らの問題がないということをきちんと示すということが必要なことであって、何らの問題もないものでなければそもそも契約として成り立たない、当たり前のことでございます。

岩谷委員 私は、民間の企業経営出身です。民間で、八十兆はおろか、一万円でも五万円でも、契約書なしで金を差し出すなんてことはあり得ませんよ。契約書がないじゃないですか、今回、民間の例を出されましたけれども。それから、民間の投資判断は、当然、企業利益に基づいて判断される。だけれども、アメリカ側が勝手に評価するということの問題点を指摘をさせていただいているんですね。

 そもそも、アメリカに日本は弱点をつかれたと思っているんですね。それは何かというと、自動車産業にやはり過度に依存した日本の経済構造じゃないかと思っているんです。

 その原因なんですけれども、これはやはり、租税特別措置、これが影響していると我々は考えています。研究開発税制とか、一見正当に見える名目で、特定産業、特に自動車産業に、いわば税優遇をしてきたわけですね。その結果、確かに自動車産業は伸びましたし、ただ、過度に依存をするような産業構造になってしまった。

 ここをアメリカが、的確にこの急所をついてきたなというふうに感じています。自動車関税というもので脅しをかければ日本は何でも言うことを聞くだろう、そんなふうに見透かされたのではないのかというふうに思うんですね。

 もちろん、自動車産業の発展というのは企業努力が一番の理由ですよ。それは当然なんですが、我々は、かねてより、この既得権となっている租税特別措置の廃止というものを訴えてきました。この既得権を守ることで、日本の産業、経済がむしろ脆弱になっているのではないかということを考えているわけなんですね。

 ついでに申し上げますと、自民党さんは、その自動車関係の企業、業界団体から多額の献金を受け取っておられますね。この企業・団体献金の禁止を我々は求めていますけれども、自民党さんは反対されています。この企業・団体献金の見返りが、租税特別措置といった不透明な税制優遇につながっているのではないかと、反対をされるからこそ余計に疑ってしまうわけなんですね。

 先ほど立憲の野田さんと、落としどころを見つけようとお話をされていましたが、我々維新の会は安易に妥協するつもりはありません。最も厳しい案でこれからも提案をさせていただきたいというふうに思います。

 この企業・団体献金の禁止は今日は議論しませんが、総理、この租税特別措置という既得権を守るかのような不透明な税制が、結果、多様な日本の産業の発展を阻害し、そこが弱点となって今回の交渉も不利になった、そんな認識はありませんか。

石破内閣総理大臣 御党の問題意識はよく理解をいたします。ですから、租特によって結果として減税になっているわけで、だとすれば、それは裏返せば国民の負担になるわけで、それは国民の負担に値するものなのかどうなのかということはきちんと説明する必要があるだろうというふうに私は思っておるところでございます。

 そこは、政府部内において、全くその研究開発における租税特別措置というものが、それは不当な優遇につながっていないということをお示しをすることは、それは、国民の税金をまける、軽減する、御負担ですね、これを結果として増やすということにもなりかねないものであって、この使い道が正当であるということはちゃんと説明をしていかねばならないというふうに考えております。

 と同時に、自動車産業がこれまで日本産業の屋台骨、関連産業を含めれば、そういうものを担ってきたことは間違いない事実であり、血のにじむような努力があったし、自動車会社にもいろいろな自動車会社があります。厳しい自動車会社もあります。そこにも労働者がいるわけで、そういう方々に対する配慮というものをしていかねばなりませんが。

 やらねばならぬものは、多分共通していると思いますが、もっと内需は拡大できないかということ。そしてまた、もっと輸出先というものは多角化できないかということ。ほかの産業、すなわち、農業であり、漁業であり、林業であり、そういうものに伸ばす余地はないかということ。あわせて、他国からの投資というものが日本は世界最低水準にございますので、いかにして他国の投資を呼び込むかということも、併せて集中的に議論をし解を出さないと、この国にサステーナビリティーはないという危機意識は共通するところでございます。

岩谷委員 この租税特別措置、総理が今おっしゃいました、国民の納得が大事だと、そのとおりだと思います。だったら、何で公開しないんですか。どの企業がどんな優遇を受けているか。今、企業コードしか公開していませんよね。企業名を公開してくださいよ。

 それから、国民の納得ができないことの一番の理由の一つは、企業・団体献金を受け取った与党自身がそういう租税特別措置というものをやっているということですよ。だったら、国民に納得していただくために、企業・団体献金はやはり禁止すべきだと思いますよ。

 その上で、内需拡大が重要だというお話がありました。同感です。ですから、今回の交渉で、やはり国力を高めていくこと、すなわち経済成長を日本がきっちりしていかなければ、いつまでたっても不利な交渉になってしまうというふうに思うんですね。

 国を強くしなければならない、その観点からお伺いしたいと思うんですけれども、我々は、日本の経済成長には、センターピンとして、社会保険料を改革で下げることが絶対的に必要だと考えております。まさに経済力なくして外交力なしですから、この点を一点突破で、日本の経済を成長させたいと思っているんですね。

 パネルを御覧いただきたいと思いますけれども、これは繰り返し訴えています。国民医療費を改革で、年間まずは四兆円削減しよう、それによって、国民一人当たりの社会保険料を年間六万円引き下げよう、こうすれば、直接的に現役世代の皆さんの手取りが増えますし、また、企業側の負担が減りますから、賃上げの原資ができるわけなんですね。こうして手取りを増やし、賃上げをし、個人消費を伸ばし、経済を成長させようということをお訴えしているわけなんですね。

 我々は、与党寄りだとの批判もいただきながら、しかし、予算案に賛成しました。それはなぜかといったら、この社会保険料を下げる改革というので合意をしたからですよ。

 私自身も幹事長として、ほぼ毎週のように、自民党さん、公明党さんとのこの社会保障改革の三党協議に自ら出席して、毎週、半分けんかみたいになりながら、だけれども、真摯に協議をしてきました。その結果、例えば、余っている病院のベッド、余剰病床を十一万床削減しよう、これで医療費を削減していこう、社会保険料を下げていこうということも合意をしましたし、それを骨太の方針にも明記をしていただきました。一定の成果を今上げつつあると思います。

 この社会保障改革、これはまさに今の維新の吉村代表及び前原共同代表体制とか執行部が心血を注いできたテーマです。ただ、大変失礼ながら、今、自民党さんの中では、総理は辞めるべきだとか、幹事長は責任を取るべきだ等々の声が上がっております。しかし、これは個人の合意ではなくて、公党間の合意です。したがって、どなたが総理・総裁になられようとも、どなたが幹事長、執行部になられようとも、この合意は生きていると私は考えていますし、そして、我々維新の会も同じですよ。体制が変わっても、これは党と党としての約束ですから、当然履行しなければならないと思っていますが。

 この点、総理に改めてですけれども、しっかりと明確に、今後もどのような体制になっても、社会保障改革は進めていくんだ、合意は生きているんだということを答弁いただきたいと思います。

    〔委員長退席、奥野委員長代理着席〕

石破内閣総理大臣 公党間の約束というのはそういうものです。個人でやったものではございません。公の党同士の約束は、どんな体制になろうとも守っていくのは当たり前のことで、その点は委員と認識が共通しておるものでございます。

    〔奥野委員長代理退席、委員長着席〕

岩谷委員 今、総理であり、そして自民党のトップである石破総理からそのような御答弁をいただきましたので、しっかり自民党、公明党さんの皆さんもお聞きいただいたというふうに思いますので、今後も協議を続けたいというふうに思います。

 同じく経済成長という観点から、我々はもう一つ主張させていただいています。これは副首都構想です。副首都によって多極分散型の日本をつくって、経済を成長させていこうということです。

 パネルを御覧いただきたいんですけれども、これはもう皆さんも御存じのとおりですけれども、世界は、アメリカもドイツもオーストラリアも多極分散型の都市構造になっていますね。それから、例えば隣国の韓国でも、ソウルから行政機関を移すということ、二〇〇五年に法律を作って、そして、今、世宗市というところにどんどんまさに移していっているということであります。

 日本においても、首都直下型の地震等のリスクを考えますと、やはり首都機能のバックアップというのは必要だとかねてから議論されておりますし、ただ、この副首都構想というのは、単なる首都機能のバックアップというだけにとどまらず、この副首都に例えば大胆な権限を与えて、あるいは大胆な規制改革を行って、緩和を行って、その副首都が都市として成長すること、これによって日本の経済が成長していくという経済成長戦略だというふうに考えております。

 これは大阪のみならず、例えば神奈川や愛知や福岡等複数の都市が副首都になってもいいかもしれません。今党内で制度設計をしておりますから、またお示しをしたいと思いますけれども、やはり日本の成長をやっていくためには、多極分散型の日本にして、都市の成長が日本全体の成長を引っ張る、そんな副首都構想というのをやるべきだと思いますけれども、総理の率直な今のお考え、お聞かせ願いたいと思います。

石破内閣総理大臣 それは首都直下型地震にしても南海トラフにしてもそうですが、起こるか起こらないかじゃなくて、いつ起こるかの話でございますから、そこにおいてリダンダンシーという観点からも、首都機能というものを代替できる、そういうものは必要なんだと思っています。その点については全く異存はございませんが、委員がおっしゃるのは、単にそれにとどまっては駄目だということをおっしゃっておられるのだと思っております。

 そうすると、御党の中でも、今、基本法なのか何なのか分かりませんが、どういう構想を持っておられるのか。政府の中におきましても、総務省を中心に、そういうような議論は今後なされるということは必要なことだと思っています。ですから、お互い理念を語ってもしゃあないので、こういうような法律なのだということ。そして、文化庁の京都への移転だけでもどれほど大変だったかということでございます。そういうようなものを乗り越えて、どうやってやっていくのか。

 そして、委員御指摘のように、それが日本経済全体の発展にもつながるのだ、それが例えば山陰であるとか北陸であるとか、そういうような、副首都にはならないけれども、そういうところにも裨益をするのだというようなお話を法律に基づいてきちんと議論をしていくという体制の構築は一刻も早く必要だというふうに考えておるところでございます。

 基本的なお考えには異存はございません。

岩谷委員 我々日本維新の会は、現実的な改革提案をしていきます。そして、今の副首都であるとか社会保険料を下げる改革、これは選挙でお約束したことですから、有言実行で次世代のためにやっていきたいと思いますので、是非これからも真摯な議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて岩谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。総理、よろしくお願いいたします。

 これまでの各党の代表者の質疑を聞いていて、例えば、政治と金の問題は党首同士でやろうとか、今も、社会保障制度改革をやっていこうとか、いろいろな御答弁をいただいていますが、そもそも、総理、いつまで続投されるんですか。今から幾つか質問しますけれども、総理と話をして約束して、それがどこまで責任を持って履行されるのか、そのことをまず最初に確認させていただきたいと思います。

 党内で様々な議論があることは承知しておりますけれども、総理の御意思として続投されるのか。されるとして、いつまで、例えば秋の補正までとか、どのようなことを今お考えになっておられるのか。続投するならどういう理由をもってするのかということを、国会において、そして国民に対して説明をいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 今朝からお答えをいたしておりますように、この日米合意というものは、私どもの政権においてずっとアメリカと交渉を続けてきたものでございます。そして、合意をすることも大変でしたが、これからこれをどう実行に移していくか、四千三百十八もある、そういうような品目の取扱いがなされている事業者さんが、本当にこのことによって不当な不利益を受けないかということまではきちんと見ていかねばならないと思っております。

 それがいつまでかということは、今断定はできません。しかしながら、そういう不安がいつまでも続いていいはずがないし、不安定な状況がいつまでも続いていいとは思っておりません。そういうようなことの解が早く見出せるように、私どもの政権として、皆様方のいろいろなお知恵もいただきながら、御協力もいただきながら、国難という言い方をあえてするならば、その突破というものが一日も早かるべく、私どもとして努力をしていきたい。

 それがいつなのかということは断定はできません。それが早くできるようにするのは当然のことだと思っております。

玉木委員 大分長くされるなという印象を受けましたね。

 では、伺います、ちょっと順番を変えますが。

 赤澤大臣のこの間の交渉は、私は敬意を表したいと思いますし、いわゆる追加関税、レシプロカルなタリフについて、二五と言って一五に下がったので、下がった感じがしますが、結局上がっているので、上がっているのは上がっていますが、各国比較の中でいうと、一五%は、正直言うとよく頑張られたなという気はします。

 ただ、問題は自動車の関税です。いわゆる分野別関税、ここについて、八月一日の大統領令、そして八月七日から施行されるというのはあくまで相互関税の部分でありまして、既に課せられている二五%、プラス乗用車については二・五%を加えて二七・五%ですけれども、これは現在もかけられているわけですね。

 一番肝腎なものは、この分野別関税、自動車の関税を果たして一五%まで下げられるかどうかということなんですが、このことについては、ホワイトハウスのファクトシートにも記述が出てこない。ベースライン一五%という記述はありますけれども、いわゆる分野別のことについては言及がない。

 ただ、総理から党首会談でお示しいただいた中には、二つ並べて書いてあって、相互関税の一五%、その下に、自動車の分野別関税も一五%になりますが、正確に書かれてあって、ここには八月一日ということは書いてないんですね、日本側の資料も。

 質問です。

 今の総理の続投の期間とも密接に関係すると思いますけれども、この自動車の分野別関税、既に二五%かけられていますが、これはいつ一五%に下がるんでしょうか。新たな大統領令の発出が必要だと思いますけれども、それはどのようなめどなのか。これは多くの自動車関連産業の経営者、そしてそこで働く従業員の皆様、また来年の賃上げ、こういったことにも密接に関係するので、見通しをお示しください。

赤澤国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、覇権国がかなり外交交渉のルールも今までと違うやり方をしている中で、相場観というものがなかなかありません。

 そういう中でありますが、私どもとして、通常、第三国の交渉の状況など、これについて必ずしも参考にならないということを申し上げていますが、その上で、一点申し上げれば、アメリカから見て貿易黒字国であり、しかも十万台の関税割当てを関税一〇%にするという内容のイギリスが、合意をした後で大統領令が出るまでに、私の記憶が正しければ一か月と八日間かかっていると思います。その上で、更に、それが実際に実施されるまで、たしか二週間かそこらかかっていたと思います。私どもよりも条件がいいはずの英国がそういう状況であるということは念頭に置きながら、できるだけ早くこれを実現したいと思っています。

 代表がおっしゃったとおり、これはもう毎日、私も繰り返し申し上げていますが、一時間に一億円の損失が出ている企業、一日に十億円の損失が出ている企業、一日に二十億円の損失が出ている企業、我々はもう重々承知をしておりますので、一刻も早く実現するように全力で働きかけてまいりたいというふうに思っております。

玉木委員 総理、これは、赤澤大臣とトランプ大統領ともやっていましたけれども、ここは総理とトランプ大統領がやって突破するしかないんじゃないですか。この合意を、一定程度の合意が出て赤澤大臣が握手している写真も見ましたけれども、その後、総理からトランプ大統領に電話の一本を入れた、あるいは、ここまでよくやってくれたね、これからもやっていこう、そういうコミュニケーションを、あの後、電話会談でもやっておられますか。

石破内閣総理大臣 これは合意が実現しました後、政府といたしまして、私の名前でステートメントは出しております。直接電話はいたしておりません。その会談の是非あるいは実施時期も含めまして、今いろいろな動きはございますが、今ここで断定的なことを申し上げることはできません。

 代表がおっしゃいますように、最後は大統領との間で決めなければいかぬという場面があろうかと思います。それは、国会のお許しもいただきながら、ちゅうちょなくやっていかねばならぬと思っております。

 そこにおいて、いかなるテーマが出てくるか。先ほど安全保障についての議論もございました。今回そういう議論は全く出ておりませんが、貿易は貿易として、これから先、日米の在り方について問題提起があったときに、私どもとしてどのようにしてそれに応ずるのかということ、応えていくのか、対処するのかということも、出たとこ勝負というお話にはなりませんので、それは時期も内容も国益に最大限資する形で決めてまいりたいと思っております。

 必要であれば会談を行うことは全くちゅうちょするものでもございませんし、やるべきものだと考えます。

玉木委員 必要は生じているんじゃないですかね。赤澤大臣からも、一日、毎日毎日膨大な不利益と損失が生じているということは今お認めになったとおりですけれども、だったら、今こそ総理が動く必要があるんじゃないですか。続投の意義はそこにあるんじゃないですか。

 なぜトランプ大統領と、つまり、我が国にとって最大の輸出品目は自動車関係です、基幹産業は自動車ですよ。そこの関税が二七・五で今の時点も変わらないというのは、交渉の成果が出ていないじゃないですか。

 赤澤大臣から説明があったように、文書を作らないことのメリットとして、早く署名してもらう、これが一つのメリットだと思いますが、それは私も分かりますよ。ただ、そのメリットを生かせていないんじゃないですか。文書を作らない中で、一番最大の輸出産業である自動車の関税が二七・五のままというのは、メリットを生かせていないじゃないですか。

 大変これは我が国の今年度のGDPの成長率にも大きな影響を与えますので、総理がまさに動くべきときではないかと。これは早急に、必要性があるかないかではなくて、必要性はありますから、今。いろいろな形でトランプ大統領に、ここはトップがやるしかないと思いますよ。

 総理、続投するんだったら、それを覚悟を決めてやる、それが日本国の内閣総理大臣の仕事ではないですか。いかがですか、総理。

石破内閣総理大臣 御指摘はよく理解をできます。

 それをも含めまして、国益の最大化ということ。別に、続投を実現するためにとか、そんなけちなことを申し上げているわけではございません。どうすれば国益が最大限に実現をされ、多くの方々の心配というものを解消できるかというために、最善の決断をいたしてまいりたいと存じます。

玉木委員 国益が今、日々失われていると思います。だから、総理大臣に動いてほしいということを申し上げておるので、これは是非よろしくお願いします。

 幾つか事実だけ確認します。

 外交交渉なので、結果が出たら、それぞれ自国民向けに、いろいろな、少し盛って話すというのはよくありがちなので、それは分かります。

 ただ、これはラトニック商務長官が、一言で言うと、日本は銀行であると言っていますね。オペレーター、運営者ではなくて、アメリカにプロジェクトの選択、決定、そして実行の権限を与えると、これはブルームバーグでおっしゃっています。

 また、ファクトシートの中でも、アメリカ・トランプ大統領のディレクションでやるとか、五千五百億ドルをディレクテッド・バイ・ザ・ユナイテッドステーツと。これは文書上も明示されておりますけれども。要は、日本は金を出すだけだと。しかも、五千五百億ドル。

 これもよく言われる、九対一のプロフィットシェアだと。JBICがこれまで一・九%までしか出資していないのに、その比率を割り当てて、得べかりし利益というか、避けることのできた損失と比べればましだという赤澤大臣の説明も何となく分かるんですが、でも、よく分からないんですね。

 これは一体何が決められたのか、文書で確認できないので。JBICやNEXIを使いますという、政府系金融機関の出資、融資、融資保証ですということになっていますが、簡単に、一体どういうことになっているのか。端的に言うと、日本は銀行なんですかということですよ。日本は銀行なんですか。

赤澤国務大臣 まず、日本人は資金提供者だ、銀行であって運営者ではない。銀行であっての部分は、これは一部合っているところはございます。これは、間違いなくJBICは銀行でありますので。特に、何か先ほどみかじめ料みたいなお話がありましたけれども、銀行であれば当然金利は入ってきます。それは相手も認めていることだということですよね。

 だから、全体として、申し上げられるのは、日米双方に利益があるからこれをやっているわけで、特に、アメリカの指示ということをおっしゃいましたけれども、これは、トランプ大統領が、日米が協力して経済安全保障分野の重要分野、どこでサプライチェーンをつくり上げたいか、その優先順位とか時期とか順番とか規模とか、そういうものについて問題意識を持たれて御提案されることは間違いないと思います。

 それに対して、私どもは、JBICやNEXIが法令上のいろいろな履行のときの条件とかを負っていますけれども、それを守りながら、我が国の民間企業も参加をして、両国が協力してサプライチェーンをつくり上げること、これが、日米共に利益を得られる強靱なサプライチェーンを米国内に構築していくこと、これに日本企業へのメリットもあると思うこと、さらには、我が国の経済安全保障を確保し、今後の経済成長を実現していく上でも極めて重要なものであると考えるから協力しているわけでございまして、何かしら一方的にお金を出して終わり、それはただアメリカに言われるがままというようなものではないということについては、御理解を賜りたいというふうに思います。

 あと、九対一について言うと、これは、米国側が、むしろ、私どもは貢献する、各プロジェクトに米国側が相当、要するにやる気を持って貢献をするということの表れだというふうに理解をしておりまして、何かしら、全然やる気はないけれども、日本から金だけ持っていこうとしているみたいな理解は、私どもはしておりません。

玉木委員 でも、一%出資するとき、アメリカは九%出資する、その覚悟を見せることが前提だということなんですけれども、多分、アメリカはそう思っていませんよ。

 とにかく、今いろいろ説明をいただきましたが、そういったことを公式文書で、内閣官房のホームページか官邸のホームページで出してくださいよ。

 すごく疑問なのは、例えば、米についてはイミーディエトリー、速やかに七五%増やす、ボーイングは百機、防衛装備品はアディショナルという言葉をあえて使って、追加でと書いて、全部書いているんです。総理から御説明いただいた中には、例えば、米の七五%の数字は出てこないし、ボーイングの百機も出てこないし。書いたらいいじゃないですか、こういう合意をしているんだったら。何で書かないんですか。米の七五%ぐらい書けるんじゃないんですかね。

 今、赤澤大臣からも言ったようなことをちゃんと公式に、多分、今から合意文書を作るのはもう難しいと思います。だから、せめて、日本として、我が国政府として認識しているのはこれでございますよというのは、官邸のホームページでも、総理、出されたらどうですか。いかがですか、総理。

石破内閣総理大臣 それは合意文書ではございませんので、相手の考えというものとすり合わせる必要がないということは認識をするところでございます。

 ただ、日本政府としてそういうものを示します以上は、これは相手の考えとそごがあってはなりませんので、先ほど米の例をお示しになりましたが、間違いなく、日本国として、これはそれぞれの産業の皆様、国民の皆様方に間違いなく言えることだというようなことはきちんと示したいと思っております。

 何が必要で何が必要ではないかということは、今の御指摘も踏まえまして、政府部内で検討させていただきます。

安住委員長 玉木君、間もなく時間が来ますので。

玉木委員 では、もうこれで終わりますけれども、アメリカ側からばかり発信が続いて、既成事実が積み上がっていくのはよくないと思うんですよ、総理。ですから、ちゃんと、日本側としての認識はこうだということはきちんと示さないと、それは、我が国国民に対して、国会に対しても説明責任を果たしたことにならないと思うんですね。

 まして、ないと思いますけれども、だらだら長引くことによって石破政権が長引く、そんなことを石破総理がまさか考えているとは思いませんけれども、そんなことを疑われないためにも、しっかりとした交渉内容については明らかにすることと、そして、もう一回言いますけれども、トランプ大統領と直接交渉していただけますね、特に自動車に関して。もう一回お願いします、最後。

石破内閣総理大臣 それは、その必要性というものをよく認識をいたしております。よくリスクも踏まえながら、国益が最大化するように努力をいたしてまいります。

 また、結論は早く出なければいけませんが、これも、代表も国際関係に通暁しておられる方ですから御存じだと思いますが、アメリカ国内においては、日本に譲り過ぎじゃないのみたいな議論もいっぱいあるわけでございます。それは、合衆国としては、いや、そんなことはないと言わねばならないわけでございますが。

 私どもとして、本当に、赤澤大臣を中心に、全身全霊、国益の最大化のためにやってまいりました。国益を一切損ねないとは申しませんが、本当に、そのデメリットといいますかダメージといいますか、それを最小化するために全身全霊でやってきたと思っております。

 これは、この後も、合意よりも実行の方が難しいと今日何度も申し上げておりますが、それをきちんと果たすために、また皆様方の御示唆を、野田代表風に言えば、お尻をたたいていただきながらやってまいりたいと思っておりますので、是非とも、今後とも御指摘を賜りたいと思います。

 訪米につきましては、今の御指摘を踏まえて、政府部内で検討いたします。

安住委員長 終わってください。

玉木委員 実行を遅らすことで延命を図るようなことはやめていただきたいと思います。

 終わります。

安住委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 公明党政調会長の岡本三成です。

 今回の関税の基本合意、お疲れさまでした。今日のこの議論を聞いていましても、一般的な認識はこんな感じだと思うんです。日本がかち取ったものは、関税を一五%に抑えさせることができた、そして、日本が差し出したものは、投融資を五千五百億ドル、約八十兆円、これを行うというのを差し出したというようなことが一般的な認識だというふうに今思いました。

 けれども、私は、国益を最大化するには、マインドセットを変えるべきだと思っているんですね。アメリカに五千五百億ドル、八十兆円分の投融資をできる機会を獲得したというふうにマインドセットを変えることが何より重要だというふうに思っています。

 アメリカは、これまでも、そしてこれから少なくともしばらくは世界最大の経済市場であり、そして安定的な成長を成し遂げています。実際、昨年、日本からアメリカへの投資というのは八千百九十二億ドル、百二十兆円。別に政府が旗を振っていなくても民間企業がやっています。これは別に慈善事業をやっているわけじゃないんですね。もうかると思っているからやっているわけです。

 今、最大のリスクは、相手が言ってくる、例えばアメリカ政府やトランプ大統領が言ってくるというのを待つのではなくて、こちらから選択肢を示すことだと思うんです。こういう経済安全保障上のプロジェクト、アメリカのサプライチェーンにも、両国にもメリットがある、是非やっていきましょうと。

 先ほど赤澤大臣のお話を聞いておりますと、この五千五百億ドルのうち、出資は、JBICのアセットアロケーションを考えると、一、二%程度になるのではないかという一つの予想を立てていましたが、私、もっと増やした方がいいと思っているんですね。一対九というのも、もし日本のそのプロジェクトに対する出資比率が一〇%だったら、リターンは一〇%、当然です。三〇%や四〇%のエクイティーを取ればいいと思っていますし、もし一〇%だったら、プロジェクト数を増やしていけばいいというふうに思っています。

 もちろん、融資で利子も入ってきます。そして、融資保証で保証料も入ってきますけれども、エクイティーを取ることを中心に、今、もう既に経産省やそして厚労省の皆さんには、事業会社の皆さんと話合いをする、その背中を押してほしいんですね。半導体事業、医薬品事業、日本にとっても大きなメリットがあります。

 能動的にプロジェクトを日本がつくっていくという、マインドセットを変えて、今回の合意が、関税を一五%に抑えたのも大きな日本のメリット、そして、投融資をできる、こんなに巨額の。日本製鉄がUSスチールに投資をしたいと言ったときに、アメリカがさせないと言って、みんな大変な騒動でした。今回、投資してくれと言われて、また騒動になっています。理解できないんですね。

 最大のチャンスだという思いで、日本政府が民間企業と速攻、プロジェクトの話合いを始めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 米国に投資できるチャンスであると捉えるという委員の御指摘は、まさに我が意を得たりと思っております。我が国の国益を実現する観点から、米国に投資できるチャンスを最大限生かしていきたいと思います。

 今回、米国への投資を通じ、経済安全保障上重要な物資について、日米が共に利益を得られる強靱なサプライチェーンを構築するために緊密に連携していくことで合意しました。この取組は、日米の共通の繁栄、産業の強靱性、技術的なリーダーシップの基盤を確立することにより、日米両国の経済安全保障上の結びつきを強化し、日本の戦略的不可欠性を高めるとともに、我が国の経済成長を更に加速をさせていくものであります。

 今後、合意の履行の着実な実施あるいは医薬品や半導体等の様々な戦略的分野における案件の組成に向け議論を重ね、日米双方で緊密に連携してまいります。

岡本(三)委員 総理、これは、立ち位置の確認、マインドセットの転換、一番大切なところですので、総理にも一言御答弁をいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 大変いい御指摘をいただきました。

 そうなんですよね。何かこっちが常に被害者みたいな気分になってはいかぬのだということであって、大きなビジネスチャンスを我々は手にしたのだというふうにマインドセットを変えるということの意味は、御指摘をいただいて、本当にありがとうございました。

 日本製鉄とUSスチールのときもそうだったんです。これは多分駄目だろうみたいな話でした。ですけれども、それを、日本の技術、資本、アメリカの労働力でもっといいものを作り出して、世界にという考え方。

 私どもは、今回の合意がいかにしてウィン・ウィンで、世界のために貢献できるかということ。この分野は物すごい広いんだと思っております。バイオであり、量子であり、あるいは医薬品であり、物すごい広い分野において日米の協力の可能性というものはございますし、あるいは、造船というものを考えれば、韓国も入ってくるのだと思っております。そういうような国々のいい部分を糾合する形でマインドセットというものを行い、今後に努力をしてまいりたいと思います。

 御指摘を誠にありがとうございました。

岡本(三)委員 その上で、今回の関税で私が感じましたのは、やはり、米国への輸出に依存し過ぎないような日本の産業構造を構築していくことだというふうに思っているんですね。そのために最も大切な今後の政府の戦略は、私は、科学技術政策を強化していくことではないかというふうに思っています。

 現在、政府では、第七次、二〇二六年から三〇年までの科学技術・イノベーション基本計画を策定していらっしゃいまして、例えば、基礎研究から社会実装への移行の迅速化、そして、サイエンスとビジネス、これが近接化していくということを政府が後押しする大切なタイミングになっています。

 科学技術人材の育成、そして大学の研究力の機能の強化、又は官民の研究開発投資の確保、これはすごく大切で、民間の皆様にもこの科学技術分野に投資をしていただくためには、政府のリーダーシップが何より重要であります。

 そして、この分野が進んでいくと、若い皆さんが将来に対して希望を持てるような、日本の新しい産業構造を開いていくことができるというふうに思っているんですね。例えば、核融合発電、日本に小さい太陽をつくるような新しい発電の技術であったり、又は、衛星、そして量子も、量子技術が進むと、例えば、個人情報で大切な医療情報や金融情報、これも、量子暗号で、物すごくハッキングできないような情報の共有もできるようになってきます。

 このために、特にこれから、科学技術の分野に、予算も今、文科省、経産省、そして様々な役所が別々にやっているんですけれども、横串を刺して、政府が科学技術予算を倍増するぐらいな、何なら、総理、私はプログラム法を作ってもいいんじゃないかというふうに思っているんですが、科学技術政策に対する政府の政策の強化、総理に是非実現していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 私も、AIあるいはフュージョン、そして量子、現場を見てまいりました。見ないと分からないので。まあ、見ても分かったかどうかは甚だ怪しいものであるが、これはすごいねと。特に、この地上に太陽をつくるということができますと、日本のエネルギー事情というのは一変するわけであって、それは、お金をかける価値は十二分にあるということだと思っております。量子もそうで、それによってどれだけ世界が変わるか。AIは、よほど気をつけませんと危険な世の中をつくりかねませんので、そこも併せてのことでございますが。

 倍増できるかどうか、厳しい国家財政ではございますが、今年度中に次期科学技術・イノベーション基本計画を策定をいたしますので、そこにおいて、岡本政調会長の意見も十分に踏まえながら、これはお金の多寡というよりも、この国の将来が懸かったものだというような認識の下に議論を進めて、結論を得たいと思っております。

岡本(三)委員 その上で、一つ一つの政策を進めようと思うと、財源が必要になってきます。いろいろな政策のときに、財源をどこから持ってこようかというふうな議論をしてきたんですが、いよいよ、財源を探す時代から財源をつくる時代に移行していきたいというふうに思っているんですね。

 ソブリン・ウェルス・ファンド、日本版の政府系ファンド、これを是非つくっていきたいというふうに思っています。今年の骨太の方針にも、我が党から提案をして、ソブリン・ウェルス・ファンドの創設を検討するという文言も入れました。実際、諸外国、ノルウェーやシンガポール、シンガポールは法律で、ソブリン・ウェルス・ファンドのリターンの半分は一般会計に入っていまして、昨年でいうと、一年の国家予算の約二割はソブリン・ウェルス・ファンドからのリターンというところまで来ています。

 日本も様々な財源、外為特会も一・三兆ドル、これは流動性が必要のないところまでUSトレジャリーで運用しているので、リターンリスクが悪過ぎます。また、日銀も、金融緩和のときに購入したETF、これは七十六兆円あります。

 そのほかにも、いろいろなところがありますので、この財源も、政府そして与野党を超えて議論をしながら、大きくコストパフォーマンスがいいような投資を行い、特に日本は、財源のみならず、GPIF、年金運用法人の今の運用体制、そしてリスクマネジメントシステム、世界トップクラスになっています。自主運用を始めて二十四年になりますけれども、パフォーマンスの、アセットアロケーションが悪かったときも含めて、年利は、リターンは四・三六、直近十年間はアセットアロケーションを変えてかなりよくなった、その水準では年の利回り六・八一%。この五年だけで、運用益で増えた金額は百兆円を超しています。

 こういうノウハウも活用しながら、是非、ソブリン・ウェルス・ファンド、日本の財源をつくるという姿勢を示す意味からも実現していきたいと思っているんですが、総理、御答弁いただけませんでしょうか。じゃ、財務大臣。

加藤国務大臣 岡本委員からこれまでもそうした御指摘もいただいております。

 ソブリン・ウェルス・ファンドをつくるときには、そのファンドの原資をどうするかという問題等々もあると思いますが、ただ、御指摘のように、GPIFもそうでありますけれども、いかにリターンをよくしていくのか、それから、お金には機会費用というのが発生しているわけでありますから、やはり、そういった点をしっかり認識をしながら、今、我々よく、金利のある世界と申し上げておりますが、まさにそうした、稼ぐ金利と負担する金利、あるいはリターンですね、それを両方見ながら、しっかり運営をしていく中で、いかに財政の効率化を図っていくのか、これにはしっかり取り組んでいきたいと思っております。

岡本(三)委員 今、加藤大臣がおっしゃったようなことも含めて、政府、与野党で是非議論をしていきたいというふうに思っておりますし、私も、何人か加藤大臣に日本トップクラスの資産運用のプロを御紹介申し上げましたが、是非、政府系ファンドができたらお手伝いしたいという人もたくさんいらっしゃいますので、前向きに進めていただきたいというふうに思います。

 最後の質問になります。

 私、今回のトランプ関税の議論の過程で、我が国最大のリスクの一つは、今後の景気が先行き不透明だということで、賃上げマインドが、このムードが後退してしまって、賃上げの勢いが止まってしまうことじゃないかと思っているんですね。

 今日は最賃の七回目の審議会が行われておりまして、これは合意間近だと報道されていますけれども、全国平均で千百十八円、これは上げ幅としては六%、六十三円の上げ幅になるような見通しですけれども、そうすると、日本全国で最賃が千円以上になります。

 最賃が大事なのは、最賃プラス七十五円から百円ぐらいのところの時給が大幅に上がっていくという歴史でありまして、今回でいえば、月給二十万円ぐらいの方が二十五万円を目指していく、中間所得層がより高い所得になっていくための大切な手段だというふうに思っています。

 その上で、企業業績がしっかりと確保できるように支援はしていきたいんですが、去年は、上場企業は四期連続で過去最高益、中小企業もマクロでは絶好調。けれども、必ずしもそれが賃金に回っていないんですね。労働分配率は、残念ながら昨年は五十一年ぶりの低水準、内部留保は過去最高、配当金ばかり増えて賃金に回っていかないというこの状況を、今までは賃上げ税制等を行ってきましたけれども、赤字の企業も多いです。どういうふうに賃上げのインセンティブをもっと増やして、そして、内部留保や配当金に回っているものを積極的に賃金に回していくか。

 例えば、中小企業である程度賃金を上げていただければ補助金が受けやすくなるとか、中小企業である程度以上の賃金を上げていただければ日本政策金融公庫からの借入金利が値下げになるとか、企業経営者からすると、賃金を上げることが会社の利益にもつながるという。どういうふうに今後賃上げのマインドを更に後押しするかということに関して、赤澤大臣の戦略、そして決意をお伺いしたいと思います。

安住委員長 時間が参っていますので、簡潔な答弁をお願いします。

赤澤国務大臣 委員の、労働への分配を高めていくことが重要、それが物価上昇を上回る賃金上昇の鍵と、まさに御指摘のとおりで、これも我が意を得たりでございます。

 その上で、最低賃金について議論が進んでおりますが、例えば、各都道府県において中央最低賃金審議会の目安を超える最低賃金の引上げが行われる場合、特別な対応として、政府の補助金における重点的な支援、まさに今委員が御指摘になったようなことです、また、交付金等を活用した都道府県における地域の実情に応じた賃上げ支援の十分な後押しにより、生産性向上に取り組み、最低賃金の引上げに対応する中小企業、小規模事業者を大胆に後押しをしていきたいと思っています。

安住委員長 簡潔に。

赤澤国務大臣 加えて、企業の利益が、株主への分配のほか、賃上げ等の人材投資や、新事業、研究開発の投資などに活用されることも重要と考えており、こうした観点から、情報開示を充実させるなど、引き続きコーポレートガバナンス改革も進めてまいりたいと思います。

安住委員長 終わってください。

岡本(三)委員 終わります。ありがとうございました。

安住委員長 これにて岡本君の質疑は終了いたしました。

 次に、大石あきこさん。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 石破総理、いつ辞めるんですか。

石破内閣総理大臣 それをこの場で申し上げることはいたしません。

 先ほど来お答えをしておるとおり、私どもとして手がけてきた課題、そういうものにきちんと見通しをつけるということは私どもの政権の責任だと考えております。

大石委員 石破総理、今回の参議院選挙の結果を受けて、消費税減税そしてガソリン暫定税率廃止、やりますか。

石破内閣総理大臣 これも、先ほど来お答えをしておるとおりでございます。

 それでは、代替財源をどうするのか、時間はどうなるのか、本当に困っていらっしゃる方に本当に早く手厚く届くのか、その後、社会保障政策はどうなるのか。それは、れいわはれいわなりの考え方があるのだろうと思っておりますし、なければ議席を得ておられないのだと思います。そこにおいて答えを見出すということが一番急ぐのであり、議論をしておしまいということには相なりません。

大石委員 やはり石破総理には、ちょっと言いにくいんですけれども、さっさと辞めていただきたい。

 先ほど来申し上げたと。今日も言っていましたし、前から言っていますけれども、消費税を集めたらこの国の社会保障がうまくいくかのようにうそを言わないでいただきたいんです。そのうそは、三点指摘しますね。

 一点目ですが、消費税は社会保障にろくに使われておりません。これまで国民から巻き上げた消費税、これは累積五百兆円ですが、そのうちの三百兆円が法人税減税、資本家への減税の穴埋めに使われました。いわば無駄遣いですね。

 そして二つ目です。そもそも消費税は社会保障の安定財源にしてはいけません。社会保障の財源は、申し上げますと、国債発行と大金持ちから税金を取ることと、そして国債発行によって経済成長をして新たな財源を生み出すこと、これによって行わなければいけないんです。

 そして三点目には、社会保障がそもそも国費投入が足りないんですよ。今、政府が、二〇二四年予算でいいますと、年間三十七・七兆円しか出していないんですね。その二十六兆円が国民から巻き上げた消費税なんですよ。それで、社会保障というのは、別で国民が、社会保険料の負担が既に八十・三兆円なんですよね。だから、既に国民負担が八十・三兆円で、国は安定した社会保障といいながら三十七・七兆円しか出していなくて、しかもその大半が消費税という国民から巻き上げるものだとすると、これは結局、国民負担が高くなっているだけなんですよ。

 実際に、国民負担でいいますと、モデルケース、国民健康保険の方ですけれども、月三十万ぐらいの収入の人が今や月六万円も社会保険料を取られていますので、それに加えて消費税ですので、これでは本当に、子供も産めませんし、国が滅びます。

 先ほども維新の方とか、医療費の四兆円削減とか、自民党と公明党と維新で合意して、しょぼいことをやっていきますとか言っていて、それで国民負担は下がりませんし、お年寄りを始めとして国民を殺すという宣言に等しい。これは通常国会でも申し上げてまいりました。

 ですから、石破総理も、財源確保の議論がない減税、給付は無責任だとかいって、石破総理だけではない、与党のみならず、本日だって野党の皆さんも、やはり国債発行は悪だ、しっかり赤字とつけていこう、赤字国債としっかり呼んでいこうな、ガソリン暫定税率廃止も、自民も、やると言ったにもかかわらず、何か国債発行は駄目なんだ、とにかく減税は駄目なんだ、ほかの財源や外為特会はどうやと。外為特会はさっさとやってください。だけれども、そんなので足りませんよ、社会保険料を下げるということを考えてもですね。立憲の野田代表も、死に物狂いでと。一兆円から二兆円の話でしょう。まだまだ足りないんですよ。

 皆さんが財源の責任とおっしゃいますが、そうしたら、国民生活への責任はどうなるんですか。このままいったら国は滅びますよ、本当に。というか、半分滅んでいます。

 それで、何かさっき公明党の方が、マインドセットが必要や、アメリカに八十兆円取られたじゃなくて、自ら差し出すんや、そういうマインドセットやとおっしゃっていて、そんなものはもうマインドコントロールですよ。ようしらふでそんなことを言えますね。マインドセットというのは、こうですよ。アメリカに八十兆円、投資やといって差し出せるんであれば、国民に投資してください。マインドセットしてください。

 トランプ関税の話も今日言いました。総理も今日のこの質疑の中で、トランプ・アメリカ大統領に対して、相手が普通の人ではないと言っていましたよ。そうでしょう。赤澤大臣が頑張っていったんや、赤澤さんがトランプの部下のラトニックに交渉の予行演習をしてもろうたんやとか、そんなの、恥と思わないんですか。それ、マインドコントロールでしょう。

 そんなの、総理、全国の消費生活センターに電話して相談してみてください。相手、普通やないんです、口約束で契約を結ぼうと思うんやけれども、結んでいいと思うかと。やめろと言われますから。全国のどの消費生活センターの相談員にも言われますから。そのような次元のやっちゃいけないやばいことをやって、果てには、マインドセット、マインドの切替えや、前向きにいこうとか、そんなこと、なれませんよ。国民生活、考えてください。国会の外の生活、考えてくださいよ。

 それで、石破総理に、トランプ関税の件も含めてお伺いしたいんですけれども、内閣も、これは本来は、国民主権、御主人様は国民ですよね。なのに、この惨状を見れば、内閣の御主人様は今、アメリカですよね。

 この交渉でも、けんかするわけにはいかぬからと、相手、普通の人やないけれども、ましなことになった、もうマインドセットで、ましどころか前向きにいこうみたいな、そんな方向に引きずり込まれたら、本当に、本来の御主人様である国民生活が終わってしまいます。

 それで、本当にこれは石破総理にお願いしたいんですけれども、石破総理にお尋ねします。アメリカとの交渉については全て国会の承認を必要とする、そのような原則を入れてください。

石破内閣総理大臣 それは、国会の承認を要するものと要しないものとございます。法律を伴い、権利義務を伴うものであれば、当然国会の承認が必要となりますが、それ以外で、国会の承認を必要としないものがたくさんございます。

 委員がおっしゃいますように、全て国会の承認を必要とするというのは、今の憲法を頂点といたします日本国の法秩序というものを変えるということでございますので、そこはもう少しよく御研究を賜りたいと思います。

大石委員 まず、今、大平三原則というのが適用されていますよね、国際約束をするときに。この八十兆円を差し出すというものに関しても、本来であれば、融資が焦げついたときに日本政府がかぶるリスクが絶対あるはずで、それは、詳細が語られていないだけで、だから、本来なら財政措置を伴うんですよね。そうであれば、大平三原則に基づいても、これは国会の承認が要るはずだと考えますよ。

 しかし、私が思うのは、もうそういう次元でもないと思うんですよね。もう完全にマインドコントロールされているし、トランプ関税だけのみならず、南西シフトだったりとか安保三文書とか、この国の国民の生活への影響が甚大過ぎる、国が滅びてしまうレベルのことも国会承認なしにやっているのはおかしいんですよ。

 国会の秩序が壊れると言っていますけれども、この国では議院内閣制ですから、国会には行政監督権がありますので、秩序が壊れるだとか当たらないだとかいう指摘こそ当たりません。れいわ新選組が政権を担ったときには、このような原則を入れます。

 終わります。

安住委員長 これにて大石さんの質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 消費税減税について、石破総理に質問します。

 厳しい物価高騰が続く中で、参議院選挙では消費税減税が大きな争点となりました。そして、選挙後の世論調査でも、七五%の国民が消費税の減税あるいは廃止を求めています。

 総理、結論はもう出ています。参議院選挙で示された民意を受け止めて、消費税減税に踏み出すべきではありませんか。

石破内閣総理大臣 消費税について、今日のいろいろな質疑でも明らかになりましたように、各党とも消費税減税についての、野党でもですね、意見が違います。そうしますと、そこの整合というものを図っていきませんと結論は出ません。

 民意というものを反映しながら、消費税の在り方、そしてまた、その結果何が起こるのか、国家財政がなお毀損をされ、それによって日本国の信用がどうなるのか、金利がどうなるのか、それによって国民生活はどうなり、物価がどうなるのか、選挙のときには五分、十分の演説ですから、そういうところまで議論ができません。ですけれども、どうしたら国民の物価高というものを解消できるかということと併せて、さあ、民意は出たんだ、消費税を減税せよ、分かりました、では、それによって何が起こるかについても、問題意識をきちんと共有しながら解を見出す、これが責任ある政党の在り方だと思っております。民意はきちんと尊重しなければならないのは当然のことでございます。

田村(貴)委員 責任ある議論は我が党もやっていきます。

 自民党の参議院の候補者の四割が消費税の負担について引下げを主張したんですよ。そして、参議院選挙で、自民党を含めて全当選者の六割が消費税減税の立場を示していたんです。まさに国民への約束だったんですよ。民意を実行に移すべきです。

 総理は、七月二十六日のNHKインタビューで、消費税減税を検討する可能性について問われて、消費税を減税しても社会保障や国家財政は大丈夫というのであれば意見を出していただきたいと述べられました。はい、私たち日本共産党は意見を述べています。消費税五%引下げの財源は、赤字国債に頼らず、大もうけをしている大企業と富裕層に応分の負担を求めることで賄うことが可能であるということを示してまいりました。

 パネルと資料を御覧いただきたいと思います。大企業のもうけに対する法人三税の負担割合を示したものです。二〇一二年の税引き前の利益は二十九兆二千億円に対して、法人三税は九兆四千億円で、その割合は三二・二%でありました。ところが、直近、二〇二三年、税引き前利益は七十七兆一千億円と大きく増やしたのに対して、法人三税は十五兆二千億円と、その割合は一九・七%と大きく下がっているわけであります。

 もうけは増やしているのに納める税金はさして変わらない、こんなことをやっていていいんでしょうか。大企業には十分な負担能力があることは明白ではないですか。総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 応能負担の考え方というものをきちんと見直すということは、私はあってしかるべきことだと思っております。

 ですから、今二〇二五年ですが、二〇一〇年代の十年間どうだったかということを考えたときに、日本には幾ら会社があるのか、それは私も正確には存じませんが、企業の売上げは七%伸びた、配当とかあるいは経営者に対する報酬とかは一四〇%伸びている、しかしながら、労働者の収入は二%か三%しか上がっていない、こういう数字がございます。

 これをどう考えていくかということについて、私どもが大企業に奉仕するとかそういう決めつけはいかがなものかと思いますが、労働者というものが豊かになっていくということ、そしてまた、格差というものがなくなっていくということがその社会を発展させるということについては、経営者の方々はもう十分御理解をいただいていることだと思っております。

 要は、どうやってこの国を発展させるかということ、そして格差のない社会をつくるかということで、方法論は違いますけれども、目指すところは私は一致してきているのだというふうに認識をいたしておるところでございます。

田村(貴)委員 決めつけじゃなくて、私は事実を申し上げているんですよね。

 七月六日に行われたインターネット党首討論会で、我が党の田村智子委員長が、大企業は今以上に税金を負担する能力があると指摘しました。これに対して石破総理は、負担する能力がある人には、法人であれ自然人であれ、御負担をお願いすることはやっていかなければならないと述べたのであります。

 大企業は、減税に次ぐ減税を受けて、内部留保は今や五百三十九兆円ですよ。空前の規模に膨れ上がっている。大企業に負担能力があることは明白であります。総理が心配する国家財政は大丈夫なのか。いや、大丈夫ですよ。応分の負担を求めるべきであります。

 社会保障の財源、消費税がその財源であると判を押したように言ってきましたけれども、消費税だけが財源なんでしょうか。

 パネルの二枚目、資料を御覧いただきたいと思います。消費税を導入した一九八九年度と二〇二五年度の地方税を含む税収の国内総生産、GDPの比較です。消費税は〇・九%から五%へと約五倍に上昇しています。一方、国と地方を合わせた法人税は六・九%から四・二%に下がり、所得税、住民税を合わせた個人所得課税も七%から六%へと減少しています。

 総理に尋ねます。

 社会保障の財源である税収が法人税から消費税に置き換わったのは一目瞭然です。所得の低い人ほど重くのしかかる消費税に頼るやり方はもうやめるべきではありませんか。

石破内閣総理大臣 それは、景気の変動と安定的な税収というものをどう考えるかというお話も関連をいたします。つまり、法人税であったり所得税であったりという直接税は、景気の変動によって税収が恐ろしく振れますので、これを社会保障の安定的な財源のメインに据えることは本当に正しいのかという議論もきちんとしていかなければなりません。

 それは、もうけ過ぎのところからもっと取ったらいいではないか。それと同時に、これから先、社会保障の需要というものは、もちろんいろいろな改革はしていくにしても、方向としてはやはり増える方向にあるのだろうと思っております。そのときに、安定的な税収というものを考えていかねばなりません。いろいろな方向から社会保障の財源というのは考えていかねばならないものでございまして、そういう点も含めまして、これからの在り方というものを各党が、御党のおっしゃいますような責任ある財源というものが本当にそうであるのかどうかということも含めまして、私どもの主張も含めまして、きちんとした答えを出す必要があるということは認識を一にするところでございます。

田村(貴)委員 景気の変動とおっしゃいました。消費税は景気に左右されないという意味なのかも分かりませんけれども、どんなに景気が悪化しても、売上げがある以上、事業者は消費税納税から逃れられないんですよ。どれだけ物価が上がっても、最低限の生活費にも消費税というのは容赦なくのしかかる税金なんですよ。困っている人から消費税を安定的に搾り取る、こんなやり方では暮らしも経済も安定しません。そのことは、この三十年間の歴史が証明しています。

 総理、私も参議院選挙でたくさんの声を聞きました。お米を始め物価高騰に国民は悲鳴を上げています。更にこの猛暑、野菜とか豚肉などの値上げが拍車をかけています。その先行きが見えません。

 それから、民間団体の調査では、低所得者の一人親家庭では、一日二食以下が三二・三%に上っている。三食食べられない。自分は我慢しても子供たちには少しでも多く食べさせたい、このお母さんの声は総理の耳に届いていますか。

 インボイス制度を考えるフリーランスの会が五月に一万人の実態調査の結果を発表いたしました。課税事業者の九〇・八%が消費税に強い負担を感じ、八割近くが価格転嫁できないでいます。消費税を五%に引き下げたら、この苦しみから解放されます。

 そして、トランプ高関税で、数兆円の影響がこれから出てきます。日本の対米輸出額は約二十一兆円です。だからこそ、暮らしと経済を安定させる、支える実効ある対策が必要なんですよ。だからこそ、消費税の減税は絶対に必要なんですよ。

安住委員長 田村君、時間が参りました。まとめてください。

田村(貴)委員 分かりました。

 総理、決断すべきです。消費税率を五%に引き下げ、インボイスを廃止することを強く要求して、質問を終わります。

安住委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後、よろしくお願いいたします。

 赤澤大臣にお伺いしたいと思います。

 今日、日米合意、日米合意と皆さんがよく言っていたんですが、あれはそもそも合意なんですかね。国際法の原則であるウィーン条約法条約に、合意は拘束するという表現があります。そういう意味での合意なのか。もっと分かりやすく言うと、この日米合意と言われるものは法的拘束力を持つ国際約束なのかという問題があると思います。

 赤澤大臣、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 米国の関税措置に関する今般の日米間の合意は、法的拘束力のある国際約束ではございません。

 一般論として申し上げれば、口頭の了解であっても、国際法上、法的拘束力を有し得ることについては、政府としてかねてから答弁してきているとおりでございますが、今般の日米間の合意は法的拘束力のある国際約束ではございません。今般の日米間の合意について更に申し上げれば、日米が負うべき法的な義務を創設するものとして作成したものではなく、繰り返しになりますが、法的拘束力のある国際約束ではございません。

緒方委員 ということは、実は現時点においては単に両者の意見が一致しているだけだということだと思うんですね。つまり、この合意は、単に双方が自主的に行う行為のセットのように見えるんですけれども、いかがですか。

赤澤国務大臣 繰り返しになりますが、法的拘束力がないことはそのとおりであります。

 しかしながら、お互いにテーブルの上に、まあ、これは緒方委員が一番御案内と思いますが、欲しいものと相手に出すものを並べて、全体として、自国として欲しいものがあるから相手が求めてきたものに応じようという意味での、何といいますか、きちっと約束したものが取れないとばかり言うことではなくて、相手も欲しいものがあるから、こちらが欲しいものについてもきっちり応えるだろうということについては前提にしているということは申し上げておきたいと思います。

緒方委員 これは、それぞれ日本政府、アメリカ政府を拘束する合意ですか。もう一回。

赤澤国務大臣 これについては、要は行政機関同士のある意味で合意ということで、だから、これは国会の承認を得るような法的拘束力のあるものではございませんけれども、行政機関同士では約束についてしっかり実現をしようという類いのものだと思っております。

緒方委員 続きまして、米についてお伺いしたいと思います。

 WTO協定が発効して三十年、ずっと言われ続けたのは、米のミニマムアクセスにはアメリカから一定数量を買うという密約の存在です。これを私はずっと国会で聞いてきたんです。アメリカの三十年前の交渉担当者は、密約はあったと言っています。しかし、これまで政府答弁で、ないと言っています。ということは、公式見解として、日本側で今回の合意の発射台となる数字は存在しないということですよ、決まった数字がないわけですから。

 そして、私は通常国会で、ミニマムアクセス枠の中にアメリカ枠がつくれますかと聞いたところ、それもつくれないと言われたんです。ということは、何を目指すかということについても数字がないわけですね。

 これらを合わせると、今の輸入量も確たる数字がなく、そして合意後の数量も決められないということです。これだと、輸入を増やすというコミットメントをすることすらできないと思うんですね。

 赤澤大臣、何を合意してきたんですか。

赤澤国務大臣 こちら側の、合意ということですけれども、少なくとも、これまで農林水産省が答弁してきたとおり、ミニマムアクセス米のうち、米国産米の輸入数量や輸入シェアに関する約束は存在をしておりません。ミニマムアクセス米の輸入については、国内実需者のニーズ、輸出国の生産状況、輸出余力等を勘案して入札を実施をするということであります。

 これまで米国産米の輸入が比較的安定して推移していることについては、米国産中粒種が国産の加工用米の品質に近く、国内の実需者からの一定の需要があること等による入札の結果です。

 今回、米国と話をしてきたのは、我々は、経済安全保障あるいは食料安全保障上、いざというときに主食用に使えるような中粒種、これについては割合を増やしていくという国内事情があるということは説明をしており、アメリカ側からいろいろ求められる中で、現在アメリカが、輸入している額、大体七十七万トンの中の三十四万トンかと思いますが、それについて一定割合増やすというような方向については我々の政策の方向性に合致しているものであるというような説明をしてきております。

緒方委員 ちょっとよく意味が分からなかったですが、これは私、多分違うと思うんですよ。これまでも密約があって、そして今回も密約をくっつけて、密約の二乗になっているんだと思います。

 石破総理、いかがですか。

安住委員長 石破内閣総理大臣、間もなく時間が参りますので、簡潔な答弁をお願いします。

石破内閣総理大臣 密約なぞはございません。

 これが本当に、日本の農業者、水田耕作者、稲作農家に影響を与えないということは、私どもとして断言をいたします。そうならないように今回も合意をしておりますし、その点は長い、日米の農産物、特に米の交渉の中で積み重ねてきたものでございますので、それに違背はございません。

緒方委員 終わります。

安住委員長 これにて緒方君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして本日の集中審議は終了いたしました。

 次回は、明五日午前十一時五十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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