第3号 令和7年12月4日(木曜日)
令和七年十二月四日(木曜日)午後一時三十分開議
出席委員
委員長 宮下 一郎君
理事 古賀 篤君 理事 谷 公一君
理事 簗 和生君 理事 近藤 和也君
理事 升田世喜男君 理事 緑川 貴士君
理事 猪口 幸子君 理事 石井 智恵君
勝俣 孝明君 勝目 康君
金子 容三君 国定 勇人君
笹川 博義君 田畑 裕明君
土田 慎君 土屋 品子君
西田 昭二君 野中 厚君
平沼正二郎君 深澤 陽一君
古川 直季君 穂坂 泰君
若山 慎司君 阿部祐美子君
市來 伴子君 梅谷 守君
大島 敦君 岡島 一正君
岡田 悟君 小山 展弘君
佐々木ナオミ君 辻 英之君
森山 浩行君 吉川 元君
渡辺 創君 青柳 仁士君
徳安 淳子君 田中 健君
福重 隆浩君 山口 良治君
櫛渕 万里君 堀川あきこ君
…………………………………
国務大臣
(防災庁設置準備担当)
(国土強靱化担当) 牧野たかお君
国務大臣
(防災担当) あかま二郎君
総務副大臣 高橋 克法君
内閣府大臣政務官 古川 直季君
法務大臣政務官 福山 守君
文部科学大臣政務官 清水 真人君
農林水産大臣政務官 広瀬 建君
政府参考人
(内閣官房国土強靱化推進室次長) 山本 巧君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 鎌原 宜文君
政府参考人
(内閣官房防災庁設置準備室次長)
(内閣府政策統括官) 横山 征成君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 大槻 大輔君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 橋本憲次郎君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 福田 毅君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 加藤 主税君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 吉田 恭子君
政府参考人
(消防庁審議官) 鳥井 陽一君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 門前 浩司君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 古田 裕志君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官) 金光謙一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 榊原 毅君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 伊澤 知法君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 熊木 正人君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
政府参考人
(水産庁資源管理部長) 魚谷 敏紀君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 山崎 琢矢君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 笠尾 卓朗君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 藤田 昌邦君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 豊嶋 太朗君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 林 正道君
政府参考人
(観光庁審議官) 田中 賢二君
政府参考人
(気象庁次長) 小林 豊君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 成田 浩司君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 大井 通博君
衆議院調査局第三特別調査室長 江成 友幸君
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委員の異動
十二月四日
辞任 補欠選任
国定 勇人君 勝目 康君
野中 厚君 穂坂 泰君
深澤 陽一君 金子 容三君
古川 直季君 土田 慎君
佐々木ナオミ君 阿部祐美子君
辻 英之君 吉川 元君
渡辺 創君 岡田 悟君
同日
辞任 補欠選任
勝目 康君 国定 勇人君
金子 容三君 深澤 陽一君
土田 慎君 古川 直季君
穂坂 泰君 若山 慎司君
阿部祐美子君 佐々木ナオミ君
岡田 悟君 市來 伴子君
吉川 元君 辻 英之君
同日
辞任 補欠選任
若山 慎司君 野中 厚君
市來 伴子君 渡辺 創君
―――――――――――――
十二月四日
被災者生活再建支援制度の抜本的拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三二号)
同(志位和夫君紹介)(第二三三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二三四号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第二三五号)
同(田村貴昭君紹介)(第二三六号)
同(田村智子君紹介)(第二三七号)
同(堀川あきこ君紹介)(第二三八号)
同(本村伸子君紹介)(第二三九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
災害・防災に関する総合的な対策に関する件
――――◇―――――
○宮下委員長 これより会議を開きます。
災害・防災に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、内閣官房国土強靱化推進室次長山本巧君外二十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○宮下委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西田昭二君。
○西田(昭)委員 自由民主党、能登半島出身の西田昭二でございます。
本日は、質問の機会をいただきましたこと、心から感謝を申し上げるところでございます。
昨年の能登半島地震から、発災からもう一年と十一か月、奥能登豪雨災害から一年と二か月が経過をいたしたわけでございます。本当に、これまで国からの全面的な支援、そしてまた全国の皆様方からの温かい御支援、御協力によって、復旧復興は確実に一歩ずつ進んでいるところでございます。
また、この災害特においても、多くの皆様方に、能登半島に対する温かい御支援、御協力、そしてまた復旧復興に対しての質問をいただいているところでございます。改めて感謝を申し上げるところでございます。
あかま防災担当大臣にも、大臣に就任をしてすぐに、あれは十月三十日であったかと思っております、能登の被災地への視察にお越しいただきました。ありがとうございました。奥能登や和倉温泉、また、液状化の被害が大変大きかった内灘町の現状について、視察や被災地からの声を直接お伺いをしていただいたところでございます。
復興に向けて、まだまだ長い道のりではありますが、その際に、来たときにお感じになられたこと、そしてまた、この復旧復興に対しての思い、決意に対して、改めてここでお伺いをさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
○あかま国務大臣 西田委員にお答えいたします。
十月三十日に能登の方にお邪魔させていただき、被災地、また、その状況というものをつぶさに。もちろん、限られた時間でございましたので、つぶさにといっても、やはりその時間の中で。ただ、その際に、わざわざ西田委員にお見えいただき、大臣、こうなんですよ、ああなんですよという御助言、またお声を賜ったこと、大変感謝申し上げます。
それぞれ、珠洲、輪島、七尾、内灘を訪問させていただきました。やはり目の当たりにすると、その被害の甚大さ、また、先生がおっしゃってもいただきましたが、復旧復興を着実にという話でございますが、確かにと思いながらも、果たしてそれが十分に、着実に、確実に、スピード感を持ってというと、やはりまだまだと思うように見ながら、被災地、被災現場、また声を賜っておりました。
ただ、それでも、やはり、これから次のフェーズ、更にその先ということを考えれば、更に決意を新たにそのことに思いをはせる、また、着実なる、先が見える復興、これに資さなければならないというふうに思っております。
更に具体的に申し上げれば、輪島市の朝市通り、ここでございますけれども、確かに公費解体は進んでおります。また、これから、いわゆる復興のまちづくり、これを更に描いていかなければならないことは大きな課題だと思っています。
和倉の話、これは、先月までで二十軒中八軒の再開、逆に言えば、まだ十二軒はこれからだという話。
さらに、液状化被害の現場にあっては、いわゆる土地境界の課題。ここにあっては、たしか首長さんが、いやいや、専門家が足りないんだという話。
こういった具体の話を伺いながらも、いかに国として、また、国として更に県、市との連携をどのようにという話を、これからまたしっかりと連携しながらというふうに思っております。
確かに、被災地にあって、それぞれの被災者の方々はある種の平穏な生活を送られながらも、また、その方々が更によかったよと思えるような創造的復興に向かって、是非、これから先生の御助言、御示唆というものを賜りながら、しっかりと国として、また県、市と連携しながら取組を強くしてまいること、これを改めて決意させていただきます。
以上です。
○西田(昭)委員 ありがとうございます。
担当大臣の諸先生方が、フェーズ、フェーズごとに被災地に入ってその状況を確認していただく、そしてまた、直接、被災状況や様々な要望を聞いていただくということが被災地にとっても大変大きな勇気にもなりますし、後押しにもなると思っておりますので、どうぞまたよろしくお願いをいたしたいと思います。
また、昨年に引き続き、被災地では慰霊祭の計画をさせていただいているところでございます。先日の県議会でも、馳知事より正式に、来年の一月一日に慰霊祭を行うというお話があったわけでございます。また、政府からも、被災地に来ていただいて、復旧復興に対する励ましのメッセージ等をいただければと思っておりますので、是非ともまた御検討いただければと思っております。
次に、防災庁設置準備担当大臣及び国土強靱化担当大臣である牧野復興大臣に、能登の災害、そしてその復旧復興、まだまだ道半ばでありますが、その過程で得た様々な教訓を、新しく設置される防災庁に、そして御担当であります国土強靱化にどう生かしていかれるのか、御所見を賜りたいと思います。
○牧野国務大臣 西田委員にお答えいたします。
能登半島地震と、その復興の最中に発生した豪雨により亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された全ての方々に心からお見舞いを申し上げます。
能登半島地震は、山がちな半島という地理的特徴や、高齢化率が高いという社会的特徴のある地域で発生しており、災害関連死の防止に向けた避難生活の環境整備や被災者支援に行政と取り組むNPOや民間企業との連携を更に強化することなどの重要性が認識されたと承知しております。
来年度中の設置を目指しております防災庁におきましては、漏れやむらのない被災者支援や産官学民の連携、伴走型の被災地への支援体制の構築に力を入れていきたいと考えております。
また、第一次国土強靱化実施中期計画におきましても、令和六年能登半島地震の教訓も踏まえ、避難所の環境の抜本的改善に取り組むことにしております。
私も近々、能登の現場に伺う予定をしておりまして、能登の災害の教訓もしっかり踏まえ、防災庁の設置や国土強靱化に全力で取り組んでまいります。
○西田(昭)委員 牧野大臣、ありがとうございます。
本当に大変お忙しい中でありますけれども、時間を調整をしていただいて能登に入っていただけるということで、是非ともそういう状況をつぶさに見ていただきながら、復旧復興に対してのお力添えを賜りたいと思っております。
よく被災者の意見をお伺いしていく中で、防災庁設置に向けての様々な意見もあります。この能登半島地震の様々な教訓をしっかりと生かしてほしい、様々な課題、細かいこともありますけれども、避難所の在り方であったりとか、そういったことを直接御意見を言われる方もおいでます。そういったものをしっかり積み上げながら、私どももこれからもしっかり提言をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、十一月十八日に、大分県佐賀関において大規模な火災が発生をいたしました。強風と密集した住宅地という条件が重なり、短時間で被害が拡大をいたしました。
まず、被災された皆様方に心からお悔やみとお見舞いを申し上げるところでございます。
この大火災は、私ども、能登半島地震発災直後、輪島市での大火災と重なり、能登の地域の皆さん方も、多くの方々が本当に胸が締めつけられるような思いであったかと思っております。
今回の火災に対して、政府がいち早く災害救助法及び被災者生活再建支援法の適用などを決定し、被災者支援と復興に向けた体制を迅速に整えたことは、本当に高く評価をできるものと私は思っております。
また、消防、自衛隊、自治体が緊密に連携し、延焼防止と避難支援に全力を尽くされたことに対して、現場の御尽力に深く敬意を表するところでございます。
この度の大規模火災は、地震、津波などの広域災害発生時にも想定される延焼型都市火災の危険性を改めて浮き彫りにしたものと思います。特に、木造住宅が密集し、高齢化が進む地域では、避難や初期消火の遅れが重大な被害につながることになります。また、今回の火災では、強風や水利不足といった地形的、気象的要因が消火活動を困難にしたと承知をしているところでございます。
こうした教訓を踏まえて、国として延焼型都市火災への備えをどのように強化していかれるのか、また、地域特性を踏まえた初動対応計画の改善、防災インフラ整備や水利確保に向けた自治体支援を消防庁及び国土交通省としてどのように進めていくのか、政府の見解を伺いたいと思います。
○鳥井政府参考人 まず、消防庁よりお答えいたします。
大分市の大規模火災を受けまして、消防庁では、十一月二十三日から延焼拡大要因の検証を主眼にした消防庁長官調査を開始したところであり、まずは、大分市消防局等と連携し、今回の火災の延焼拡大要因について分析をしたいと考えております。
今後の取組についてでございますが、これまで消防庁では、糸魚川市大規模火災や輪島市大規模火災の教訓を踏まえまして、木造密集地域での活動計画の策定や強風下における消防対策の推進について各消防本部への要請、また、遠距離の送水が可能になるスーパーポンパー等の整備推進、消防団活動に必要な資機材等の整備推進などに取り組み、消防力の充実を図ってきたところです。
今後とも、今までの取組や長官調査の結果、今回の火災の教訓等を踏まえまして、密集市街地等を抱える自治体の消防力の更なる充実に向けて、必要な検討をしてまいります。
○豊嶋政府参考人 お答え申し上げます。
佐賀関地区のような建物が密集した地域は、老朽木造住宅の建て詰まりや道路幅員が狭いことなどにより、火災時に延焼の危険性が高いという課題を有しております。
こうした地域の安全性を高めるためには、延焼を抑制し、避難や緊急車両の進入を可能とする道路の整備、老朽建築物の除却と建て替えによる不燃化、こうした取組が有効でございます。国土交通省におきましては、住宅市街地総合整備事業や土地区画整理事業などにより、これらの取組への支援を行っているところです。
一方で、こうしたハード面の取組は、地元住民等の皆様の理解を得ながら、地道に少しずつ進めていく必要があります。防災マップの作成ですとか避難訓練の実施等、ソフト対策についても、防災・安全交付金等により、地方公共団体の取組を支援しているところであります。
今回の火災による被害状況等も踏まえまして、全国の地方公共団体へ、密集市街地の改善整備の必要性を注意喚起し、大規模な延焼火災が発生する危険性が高い市街地の有無の確認などを働きかけるとともに、地方公共団体と連携しながら、密集市街地の改善整備にしっかりと取り組んでまいります。
○西田(昭)委員 火災は、一度発生すれば、生命や財産、そしてまた地域コミュニティーを一瞬にして奪う状況でございます。事前防災の視点に立った政府の積極的な取組に引き続き取り組んでいただきたいと思います。
次に、十月二十七日に、岸田元総理を代表とする、能登半島地震を踏まえた被災者目線での災害対応を実現する会で、衆参両院の十一名の皆さん方で現地視察を行わせていただきました。本委員会でも、谷、古賀理事や土屋、平沼委員にも御参加をいただきました。ありがとうございました。復旧復興が確実に前進している一方で、なお残る課題も確認をいたしました。そして、提言書を取りまとめ、十一月二十六日に、高市総理へ緊急提言という形で申入れをさせていただきました。本委員会でもその提言の中で幾つか質問をさせていただきたいと思っております。
まず一つ目は、なりわいの再生として、観光、雇用の再建についてでございます。
能登地方において、観光業、とりわけ和倉温泉を中心とした宿泊業の再生が欠かせません。現行のなりわい再建支援補助金は上限十五億円となっておりますが、建設単価や資材費、人件費の上昇によって、再建費用が当初の想定を大きく上回るケースが見受けられるわけでございます。また、複数の宿泊施設を有する事業者もあり、単一施設当たりの上限設定では実情に合わないという声も現地で多く聞かれるわけでございます。
そこで、こうした実態を踏まえて、施設の規模や数に応じた柔軟な制度運用、そしてまた旅館業向けの新たな支援策の検討について、政府の御所見を伺いたいと思います。
○山崎政府参考人 まず、なりわい再建支援補助金の部分について経済産業省からお答えを申し上げます。
委員御指摘のなりわい再建支援補助金につきましては、発災以来、石川県と連携をしまして、九百三十者に対して百三十八・七億円の復旧費用に関する補助を今までしてきているところでございます。
今委員御指摘になられました当補助金の補助上限、一事業者当たり最大十五億円、こういうのがございますが、こちらに関しまして、それを超えた投資を事業者の方が行う場合については、この補助金に加えまして、能登半島地震復興支援ファンド、これによる債権買取りを始めとする金融支援、こういったことなどの支援施策を講じているところでございます。
直接的ではございませんが、委員御指摘の、事業者の方が建設費の高騰などに対応しやすくするために、事前着手、さらには分割申請、こういったことを可能としまして、活用を周知するなどの制度改善も取り組んでいるところでございます。
なお、今般の経済対策におきましても、令和六年能登半島地震を始めとする自然災害からの復旧復興に全力で取り組むという旨が盛り込まれまして、同補助金、我々の補助金につきましては、令和七年度補正予算案に約二百五十億円を計上しているところでございまして、これら支援策を組み合わせながら復旧を着実に後押ししてまいりたいと思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
観光庁におきましては、能登半島地震からの復興に向けた観光再生支援事業におきまして、誘客コンテンツの造成や情報発信、プロモーションに加えまして、能登半島地域の宿泊施設の営業再開に向けた経営企画支援を実施しており、引き続き、来年度の予算要求に盛り込んでいるところでございます。
また、能登半島地域を対象とした応援復興割につきましては、被災地の復興状況を踏まえ、地元の御意見を伺いながら、より手厚い旅行需要喚起策を行うことを検討してまいりたいと考えております。
引き続き、能登半島地域の観光の復興に向けてしっかり支援してまいります。
○西田(昭)委員 手厚い支援を誠にありがとうございました。
それに加えて、これまで、雇用調整助成金の延長であったりとか、また在籍型出向の拡充も含めた対応も、対応していただくことに本当に感謝を申し上げるところでございます。引き続きよろしくお願いを申し上げます。
次に、医療、福祉、そして生活支援の継続についてでございます。
被災地の病院や福祉施設でも、資材費、人件費の高騰により再建費が大きく膨らみ、既存の補助制度では十分に賄い切れない状況が出ているところでございます。特に奥能登地域では、人口減少や医療人材不足も深刻であり、地域の医療体制の持続性をどう確保するかが大きな課題であります。また、応急仮設住宅から災害公営住宅への移行も進む中で、見守りや相談支援といった生活支援の継続も極めて重要でございます。
政府として、医療福祉施設の再建支援の上限の見直しや被災者の生活支援の継続的な財政措置について、御所見を伺いたいと思います。
○榊原政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年能登半島地震は激甚災害に指定されており、被災した医療施設の復旧に向けて、公的医療機関に係る国庫補助率のかさ上げとともに、補助上限額の撤廃、建物や医療用設備に加え、医療機器の復旧費用への補助対象の拡大などを行っており、医療施設等の負担軽減を図ることとしております。
また、被災した社会福祉施設等の復旧に向けて、施設の復旧のための国庫補助率のかさ上げ、事業再開に必要な備品購入経費の支援などを行っており、令和七年度補正予算においても必要な経費を計上してございます。
さらに、委員御指摘のとおり、奥能登地域が抱える事情も相まって、地域医療体制等に課題があるという現状も十分に踏まえ、引き続き、医療福祉施設の復旧復興に全力で取り組む観点から、必要な財政支援を検討していきたいと考えております。
また、被災者の見守りや相談支援については、引き続き、被災者の方々が安心して日常生活を営むことができるよう、過去に本事業を活用した特定非常災害の被災自治体との均衡の観点や被災地の復旧復興の実情も考慮した上で、必要な財政支援をしっかり検討してまいりたいと考えております。
○西田(昭)委員 ありがとうございます。
本当に、能登地域は医師の偏在地域でもございますし、被災を受けた医師の方々が廃業するという状況もあります。また、救急搬送でもいろいろ課題がありますので、引き続き支援をお願いしたいと思います。
最後に、現地では、地盤隆起、沈下に伴うインフラ被害が長期化し、同時に、建設資材や技術職員の不足が復旧のボトルネックとなっているところでございます。工事単価が実勢と乖離しているという指摘もあり、現場の努力に見合った柔軟な対応が求められるところでございます。
液状化被害の対策としての土地境界再確定加速化プランの着実な実行、そして復興歩掛かりや復興係数といった制度導入を含め、現場の実態に即した工事単価の人員確保の仕組みが必要だと考えております。さらに、被災自治体では技術系職員を中心にマンパワー不足が深刻であり、複数年度にわたる安定的な派遣体制、また財政的な裏づけが必要不可欠であります。
被災自治体の入札契約についても、政府として、現場実態を踏まえた工事単価や資材価格の見直しや、被災自治体のマンパワー不足を踏まえた地方公共団体への支援について、今後の取組をお聞かせをいただきたいと思います。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
入札における不調、不落を防止し、能登地域における迅速な復旧復興を進めていくためには、実勢価格を踏まえた適正な予定価格の設定など、現地実態に即した適切な発注が重要であるというふうに考えてございます。
国土交通省といたしましては、被災自治体に対しまして、指名競争入札の適用拡大や復旧復興JVの活用、見積り徴収による単価設定など、復旧復興工事の円滑な実施について通知をしておりまして、これを踏まえ、被災自治体においては、入札契約の柔軟な運用を実施しているものと承知してございます。
一方、建設業者からは、被災市町は膨大な復旧復興工事への対応に追われ、マンパワー不足から、一部工事においては適切な発注がなされていないとの声も聞いております。そのため、国土交通省において、各市町から入札契約に関する課題をお伺いしまして、分析の上、個別の助言等を行っております。
また、入札不調の課題を抱える珠洲市と協力いたしまして、担い手不足や発注事務に関する課題等を解決するためのスキームの検討を支援する事業を実施しているところでございます。この事業の成果を他の被災市町にも共有することで、入札不調の防止に役立てていきたいというふうに考えてございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、被災自治体に寄り添ったきめ細やかな支援に努めてまいります。よろしくお願いします。
○西田(昭)委員 是非ともよろしくお願いをいたします。
引き続き、現場の声に耳を傾け、スピード感を持って被災者目線での復興を進めていただくよう強くお願いを申し上げ、質問を終わりとさせていただきます。
ありがとうございました。
○宮下委員長 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。
政府関係者の皆様、議員の皆様にも、様々な形で能登半島地震、豪雨へのお力添えをいただきまして、心から感謝を申し上げます。一歩ずつ前へ進んできています。本当にありがたいと思っています。
一方で、ただでさえ過疎化が進んでいた地域において、激烈な突風が吹いているかのような状況で、今人口が減少してきています。出ていかれる方にもそれぞれ御都合がありますので、無理にということは本当に難しいことはあるんですけれども、大変厳しい中で、今、被災地の皆様、そしてふるさとを能登に置かれている方が苦労されている、頑張っているということに対して、また引き続き心を寄せていただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、質問に入らせていただきます。
今、公費解体が随分進んできました。ありがたいと思っています。ただ一方で、幾つかの町会においては、もう半分以上建物がなくなっているということで、私たちとしても、見晴らしがいいという言葉がこんな悲しいときにも使われるのかという、今そういうつらい局面でもあります。
そして、今、家を解体して、固定資産税のことが問題となっています。家を解体すると、六分の一の固定資産税が元に戻る、六分の一から考えると六倍になるということですが、今、二年特例ということで延長していただいていますが、来年の三月末でこの期限が切れるということになっています。
東日本大震災や熊本地震のときにはかなり延長していただいていたということも存じておりますが、地元の皆様そして行政の方々からも、延長してくれないかという要請が出ています。何とか延長していただきたいんですが、いかがでしょうか。
○高橋副大臣 近藤委員の御質問に答弁をいたします。
近藤委員御指摘のとおり、震災等により滅失又は損壊した住宅の住宅用地特例の適用といいますのは、二年間という原則があります。
ただ、近藤委員が御指摘もされましたが、過去の災害におきましては、それぞれの復興状況等を鑑みてこの特例措置の適用期限を延長しているというところでありまして、例えば熊本地震については、被災後二年を超えて、通算八年分まで延長をしているところです。
御指摘の適用期限の延長につきましては、国土交通省からも要望を受けておりますし、被災地の復興状況であるとか、被災自治体の御意見、また、今、近藤委員の御意見等も踏まえまして、令和八年度税制改正プロセスの中で丁寧に現在議論を行っております。
今その税制改正プロセスの中で議論中でございますので、これ以上の突っ込んだ答弁ができないということを御理解いただきたいと思いますが、政治家として気持ちは一緒でありますことだけは申し添えさせていただきます。
失礼いたします。終わります。
○近藤(和)委員 お気持ちを受け止めていただきまして、ありがとうございます。丁寧なということであれば、結果に結びつけていただけるのかなというふうに私も信じています。
副大臣、もうこれで結構です。ありがとうございます。
○宮下委員長 副大臣、どうぞ御退室ください。
○近藤(和)委員 ありがとうございました。感謝いたします。
それでは、TACについて質問をいたします。
漁獲高を制限し、枠を決めていこうということですが、皆様御存じのとおり、スルメイカに関しては十一月から、特定の規模の船については、もうこれ以上捕ってはいけませんよという命令が出ています。実際には、どこどこが捕り過ぎじゃないかとか、これから自分たちは漁をまだ始めていないのに何で止めるんだ、不公平だとか、額を増やせという議論がありますが、すぐできることとできないことがあるのは存じ上げています。
それで、災害特でありますから、被災地という観点で少し質問させていただきます。
資料一を御覧ください。
これはスルメイカの現行水準ということで、五トン未満の船について、この程度は目安として捕っていいですよというものでございます。令和七年管理年度とするもので、石川県のところを囲んでありますけれども、令和七年度分については、令和三年、四年、五年、三年間の平均値を取っています。
問題は、この令和三年、四年、五年については、平和七年、八年、九年分はこの三年間なんですけれども、令和十年、十一年、十二年については、令和六年、七年、八年の平均値ということになります。
ここで、能登の目線でいきますと、令和六年、ほとんど漁ができなかった方々がたくさんいらっしゃいます。ですから、令和十年の目安数量のときには、この漁ができなかった部分を平均で入れられてしまうと、目安が下がってしまうということになります。
これは一例ということで、このスルメイカに限らず、TAC全般に関して、今後、どんな災害があって、漁ができないということも十分あり得るわけですから、被災をする、そして漁ができなかったということを、今後、目安だけではなくて、いろいろなTAC全般について考慮していくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
○広瀬大臣政務官 お答えいたします。
御案内のとおり、資源管理基本方針において、漁獲可能量の配分の基準を、漁獲実績を基礎としつつも、漁業の実態その他の事情を勘案して定める旨を規定しております。
このため、議員御指摘の、例えば震災による影響は勘案され得るものと考えておりまして、これまでにも、大規模な災害が発生した場合において、被災前の実績を考慮して配分を行った事例もあります。
そういう意味では、今後の配分においては、震災による影響の度合いも踏まえつつ、TAC資源ごとに個々に判断をしてまいりたいと思っております。
ありがとうございます。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
勘案され得るということで、勘案するということでいいんですよね。今首を振りづらいかもしれないですけれども、被災地の皆様は心配されていますので、今までも勘案されてきたし、勘案され得るという御答弁をいただいて、これで地元の方々も少し安心できるのではないかなと思いますので、感謝いたします。ありがとうございます。
それでは、政務官、これで結構です。ありがとうございます。
○宮下委員長 政務官、どうぞ御退室ください。
○近藤(和)委員 次の質問ですけれども、監視カメラについてお話を伺いたいと思います。
まず、こちら、ちょっと手元で、石川県警の方々がまとめられた被災直後からの手記ですが、御覧になられたことはありますか。実際はネットで四百ページ以上に及ぶものなんですけれども、見られたことがない方は是非とも一度目を通していただければと思います。
資料の二ページ目には表紙だけつけましたが、個人として、組織としての葛藤だとか苦労だとか、本当に様々な、私もこれを話し過ぎますともう言葉が出なくなってしまいますのでこれ以上はいたしませんが、本当に警察の皆様には感謝しかございません。そして、今後の被災地、防災のためにも大変貴重な資料になり得るというふうに思います。是非とも、皆様、一度目を通していただければと思います。
そして、その上でなんですけれども、この資料の中にも、監視カメラを二か月余りの間に、今までは大災害のときでも監視カメラをそれだけ大量につけたということは余りないということは警察庁から聞きましたが、千台ものカメラをつけていただきました。人がいないところへ、許可をもらうのも大変だったと思いますし、そもそも、トイレもできないような、水が使えないような状況で千か所増やすのは本当に大変だったと思います。
そして、今現地を歩いていますと、監視カメラをちゃんと維持してほしいという声、やはり今でも空き巣などが入っています、皆さん目にしていますので、何とか維持してほしい、増やしてほしいという声が出ています。
実際には、被災直後は、警察庁、予備費でつけていただいたということを聞いています。そして、平時のときであればそれは県単位でやるものですよということも聞いているんですが、今でも能登は、一歩ずつ進んでいますが、相当長い道のりの復旧復興になると思います。
今、石川県の方で、県警の方でどうされるか分かりませんが、現地の声を、皆様の声を受けて、防犯カメラを維持したい、増やしたいというときには、石川県も相当お金を使っていますから、これからも必要なので、何らか応援してもらえないかという声があったときには国としても応援していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
避難生活における安心、安全というものは非常に重要だというふうに認識しております。
今お話のあった、千台の防犯カメラという話、この案件でございますが、最初、設置は令和七年三月末までを予定しておったというふうに伺っております。ただ、被災地における犯罪の情勢だとか、そうした声なんかを踏まえて、今年の九月末まで延長をしていたというふうにも伺っております。そこでまた、公費解体がおおむね終了した現在という中にあって、石川県警察が継続設置する一部、これを除いて撤去したというふうに承知をしております。
ただ、地元の声であるとか、また、より安心だ、安全だということを踏まえて、じゃという話にあって、引き続き設置ということであるならば、これは石川県であるとか地元市町村と、しっかりその声を賜りながら、また丁寧に対応をしていかなければならないというふうに思っておりますので、緊密なそういった連携の中でまた導き出していく部分だというふうに思っております。
以上です。
○近藤(和)委員 丁寧に対応していく、緊密に連携を取り合うということで、必要とあらばということで、今は微妙かもしれないですけれども、何とかお願いをしたいというふうに思います。
それで、次ですが、資料三を御覧ください。
これは大災害があったときの窃盗犯罪をピックアップしました。東日本大震災、熊本地震、そして今回の能登半島地震です。
この広野町というのは、福島第一原発から二十キロから三十キロ圏内で、実は私の知り合いの方がいらっしゃって、被災直後から私はこの広野町だけにずっと通っていました。二十キロから三十キロ圏内なので、入ろうと思えば入れるんですね。五千人ぐらいの人口のところで、実際には、しばらくの間、百人前後しかずっといらっしゃいませんでした。ですから、警察の方も頑張っていただいたんですが、泥棒がかなり入っていました。
私も地域をずっと回っていましたが、窓ガラスが結構割れているんですね。なぜかというと、窓ガラス、泥棒をしようという人間が石を投げて、こらと出てきたらそこには人がいる、出てこなければ入れるということで、その方の家にも私は泊まりましたけれども、枕元に木刀を置いている、そういうような状態でした。実際、数字でこういうふうに表れております。
そして、今回の能登半島地震でも、左側が地震の一年前、中列が災害があった年、そして一番右端が今年ですけれども、残念ながら、珠洲は、今年になって減ってはいますが、災害前よりはやはり多い。輪島、能登町、穴水に至っては、まだ増えているという状況でございます。
犯罪が減っていないということで、今までの議論の中で、ただでさえ困った人がいるときに犯罪行為をするなんてふざけるなということは、国会でも度々議論されています。私も厳罰化を当然求めたいと思うんです。
資料の四です。
今までやり取りされてきております。過去四回分をピックアップしたんですが、青色の文字のところは、重罰化、引上げ、そして、軽いのではないかということを取り上げています。一方で紫色の文字のところでは、厳正に対処するということで、実際には、そんなに変わった対応というのをしているようには残念ながら見受けられません。
そして、法務省に聞きましたら、検察官の方が求刑の段階で、行為の悪質性、大災害のときに盗人を働くなんてとんでもないとか、結果として、災害で心も体もつらいときに泥棒に入られて更に体も気持ちも悪くなってしまった、こういったことを加味した上で求刑していますよと言うんですけれども、裁判所、そして最高裁にも聞きましたら、災害時に窃盗などをしたということに対して刑が重くなっているというデータは残念ながら収集していないということでございました。なかなか難しいということも聞いたので。
それで、法務省に今伺いたいと思います。
求刑の段階であれば、例えば、普通だったら一年求刑している、でも災害のときだったら二年、三年求刑しているということが明示されれば、災害のときに窃盗犯に入る、そういう動機を抑え込む、抑制する効果があると私は思うんです。そういうデータがあるのかないのか。そして、ないのであれば、作っていくことが、犯罪の抑止力、そして被災者のためになると私は考えるんですけれども、いかがでしょうか。
○福山大臣政務官 検察当局においては、個別事件の捜査、公判を遂行するに当たり、当該事案における犯行態様や、結果の悪質、重大性、犯行に至る経緯や犯行後の状況など諸般の情状を総合的に考慮し、適切に事件の処理を行っており、被災者の方々の窮状に乗じて犯行に及ぶなど悪質と認められる事案については、そうした事情も考慮した上で厳正に対処しているものと承知しております。
御指摘の求刑についても、個別の事案における諸般の情状を総合的に考慮して決せられたものであって、単純に、災害時の犯罪か否か、あるいは被災地での犯罪か否かといった要素だけに着目して求刑を比較しても、御指摘のような観点から、有意なデータを得ることは困難であると思われます。
したがって、御指摘のような統計やデータを収集することについては、慎重に検討する必要があると思っております。
○近藤(和)委員 結局、慎重に検討すると言って、大災害時の犯罪を減らすということに残念ながらつながっていないわけですよ。本当に私は残念だと思います。いい答えをもらえないという前提で聞いたんですけれども。
そうすると、求刑段階で明確に差をつけているということが分からないのであれば、刑を重くしていくということしかないのかなというふうに思います。
それで、資料の五ですけれども、海外では、刑事責任の加重理由ということで、自然災害、地震だとか洪水だとかということで刑を重くするという国が幾つもございます。そして日本においても、例えばストーカー規制法ですとか、今まで罪じゃなかったことに網をかけていて、そして実際の行為が及ばないようにさせていくということですとか、児童ポルノ禁止法ですとか、今までよりも更に、児童対象であれば刑が重くなるとか、そしてまた、リベンジポルノ防止法ですとか、あと、例えば車の運転に関しても、過失致死のところから、危険運転ということで更に刑を重くした、これは閣法ですよね。そしてさらには、自動車運転処罰法では、無免許の運転の人であれば刑を重くする、こういったことをしてきているんです。
それで、最後になりますけれども、あえて防災庁設置担当大臣に伺いますが、事前防災と、緊急時の対応と、そして復旧復興、かなり幅広い中での防災庁の責任だ、役割だと私は思っています。そして、その中で、被災地での犯罪は厳罰になるんだということをすることによって、被災者の方々の気持ち、盗みに入る人が少ないとか、安心して地元に残れる、避難所にいる、仮設住宅に住めるという環境そのものをつくっていくべきだというふうに思うんです。現在の法体系の中では抑止力にはなかなかなり得ていない。警察の方は頑張っていますよ。一方で、立法府ももっともっと頑張っていくべきだと思うんです。
防災庁設置法の議論が来年行われますけれども、こういった抑止をしていくという観点、被災者の方々の気持ちを少しでも安らかにしていくという点での議論が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○牧野国務大臣 近藤委員の御質問にお答えします。
発生時の避難生活、また復旧復興期の被災地における住民の方々の安全、安心を確保することは大変重要であるというふうに考えております。
令和八年度中の設置を目指している防災庁では、被災地に寄り添った伴走型の被災地への支援体制を構築していくことにしておりまして、法務省また警察庁など関係省庁と連携しながら、委員の御指摘があった犯罪の抑止の観点も含めて、安全、安心な避難生活の環境の確保に向けて何ができるか、そして何を求められているのか研究してまいります。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
自然災害を防ぐことができないということは幾つもあると思いますけれども、人間の犯罪は何らかの形で努力すれば少なくしていくことができると思いますので、何とぞお力添えをいただきたいと思います。
ありがとうございました。
○宮下委員長 次に、吉川元君。
○吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。
本日は、質問の機会をお与えいただき、誠にありがとうございます。
本日は主に、先般発生をいたしました佐賀関の大規模火災についてお伺いをしたいというふうに思います。
質問に入る前に、まず、今回の大規模火災でお亡くなりになられた方の御冥福をお祈りしますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
まず、冒頭お聞きしたいのは、火災、ようやく先般鎮火をしたということでありますが、実際どの程度の被害が出たのかについて、焼失面積、戸数、死者、それから、けがをされた方、あるいは避難者の数等について、消防庁に尋ねます。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
十一月十八日に発生いたしました大分市佐賀関での火災では、現時点で、焼失面積約四万八千九百平方メートル、焼損棟数百八十二棟、死者一名、負傷者一名の被害が生じておりまして、十二月三日時点で、七十九名の方が避難所に避難されているところでございます。
○吉川(元)委員 これはメディアなどでも報じられているんですが、先ほども少しお話がありましたけれども、やはり空き家がこの火災が拡大した一つの要因ではないかというようなことも言われておりますが、その辺りについては、消防庁、何か御見識はおありでしょうか。
○鳥井政府参考人 お答えいたします。
一般論としましては、空き家が増加すると、火災の発見が遅れる可能性が高まるとともに、空き家の管理状況が悪い場合には、繁茂した草木への着火や、建物の傷んだ箇所からの延焼の危険性が高まると考えられるところです。
なお、今回の火災における延焼拡大の要因については、消防法に基づく調査を行っているところでございまして、その中で空き家の影響についても分析してまいりたいと考えております。
○吉川(元)委員 次に気象庁に伺うんですが、私も現場に入りまして被災された方のお話を伺うと、十八日から十九日にかけて大変強い風が吹いていたというようなことが言われております。当時の気象状況については把握はされていらっしゃいますでしょうか。
○小林政府参考人 お答えいたします。
火災が発生した十一月十八日は、日本付近の気圧配置はいわゆる西高東低の冬型となり、大分県の豊後高田アメダスで最大瞬間風速十六・三メートルを、愛媛県の瀬戸アメダスで十八・三メートルを観測するなど、関門海峡を抜けた強い北寄りの風が、佐賀関に面した豊後水道で吹いておりました。また、火災が発生した十八日の前日十七日朝から十九日明け方にかけまして、大分地方気象台では、大分市に対し強風注意報を発表しておりました。
○吉川(元)委員 佐賀関の現場の近くには風量計がないということで、正確な風速がどのぐらいあったのかというのはなかなかはっきりしないところでありますけれども、今言われたとおり、注意報が出されていたということ。
それから、今日お配りさせていただいた資料で、これは消防庁配付資料ということで大きな写真を一枚載っけておりますが、右下に小さな写真が出ております。少し離れたところに蔦島という無人島があるんですけれども、火災現場からここまで、約一・五キロ近い距離がございます。ここまで火の粉が飛んだということを考えますと、相当に強い風が当時吹いていたということが推測できるのではないかというふうに思います。そういう意味でいうと、大きな自然災害だと私は考えているところであります。
そこで、あかま大臣にお尋ねをいたします。
大臣も早速現地に入っていただいて、被災者の声等々も聞いていただいたということでありますが、やはり激甚災害指定にすべきではないかというふうに考えます。残念ながら、昨日の本会議では総理から激甚災害指定は難しいというような答弁がございましたけれども、被害の状況、これは恐らく平成に入って以降最大規模の、いわゆる人家を含む火災ではないかというふうに思いますが、激甚災害指定についての大臣のお考えを伺わせてください。
○あかま国務大臣 今委員お話しのとおり、せんだって、被災地の方に赴いてまいりました。また、吉川委員の方からも、地元からの声を踏まえた要望等もいただいております。
その上で、ああした大規模な火災でございました。亡くなられた方がいらっしゃる。また、多くの方々が被災されている。私の方からも、お悔やみと、また心からのお見舞いをまず申し上げたい、そう思います。
その上で、いわゆる激甚という話でございます。
今し方話のあったとおり、総理の方から本会議にあって発言があった。この大規模火災については、公共土木の施設関係、農地関係及び林野火災等の被害状況、これを確認した結果、関係省庁から激甚災害の対象となる被害額の報告がなかったということを踏まえて、激甚災害の指定は難しいというふうに考えております。
ただ、現場に赴いた中で、どのような形の支援が今後でき得るのか、最大限、地元、被災者の心に寄り添った支援というものをしっかり捉まえていきたい、そう思っております。
○吉川(元)委員 今回の火災は、先ほどお話がありましたが、十八日に発生をいたしました。次の十九日には災害救助法が適用され、さらに二十五日には、これはまた後ほど少し伺いますが、被災者生活再建支援法の適用が決まっております。
生活再建支援法の第一条の「目的」のところでは、対象となる方について、「自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者」となっております。災害救助法あるいは被災者生活再建支援法の対象になりながら、激甚災害の対象にならない。やはりなかなか納得しづらいなというふうにも思います。
先ほども申し上げましたけれども、規模でいえば、二〇一六年に糸魚川で大規模な火災が発生をいたしましたが、その規模を超えるような面積あるいは焼失戸数ということでありますし、平成以降でいえば、人家への被害が最大という状況になっております。
今の基準に達していないから指定できないということで終わらせるのではなくて、やはり柔軟な対応を是非お願いをしたいというふうに思います。また、今後も同様の災害が発生することが想定をされます。基準自体の見直し、これも必要ではないかというふうに思いますけれども、大臣のお考えを伺います。
○あかま国務大臣 吉川委員にお答えいたします。
被災者生活再建支援金というのは、災害による財産の損失、これを補填するものとしてではなく、いわゆる見舞金的な性格というものとして被災者を側面的に支援するものというふうに位置づけられております。加えて、都道府県の基金、これを活用しておりますので、その財源の半分を全国の都道府県が負担していることから、拡充という議論等については、その部分も考慮、留意しなければならないというふうにも考えなければならないと思っています。
また、過去の震災等々、現在も支給が継続されている他の災害における被災者との公平の確保といった課題もあり、そういった部分については、より慎重、丁寧に検討をしていかなければならないと思います。
先ほども述べましたとおり、いかなる形の支援というものができ得るのか、これはまた、各関係団体としっかりと協議をしながら、寄り添った形の支援をしてまいりたい、そういうふうに思います。
○吉川(元)委員 ちょっと次の質問に係るような御答弁でありましたけれども、やはり基準を少し見直していくことが必要なのではないのかなと。特に、今高齢化社会ということで、ここもまさにそうなんですけれども、そういう中で、激甚災害指定の在り方についても、基準の在り方も含めて是非御検討いただきたいというふうに思います。
次に、生活再建支援制度は金額が少ないのではないかというお話をさせていただいたら、先に答弁をされてしまいましたので。
今お渡しした資料の裏側ですけれども、見ていただくと、こういう状況なわけです。表の方の赤い地域は、ほとんどこんな状況で、何一つ残っていない。裏側に四枚写真をつけておりますけれども、こういう状況であります。極端に言えば、携帯電話一個持って逃げるのが精いっぱいだったというお話も伺っておりますし、次の日から着る下着もない、そういう状況の中で避難をされている方がたくさんいらっしゃいます。
現在、全国各地から支援物資が届いてきておりますので、その部分については大分緩和されてきておりますけれども、いずれにしても、これから生活再建に向けて、見舞金ということではありますが、やはり、特に今物価が上昇をしておりますので、そういう中で、この金額の引上げを是非検討していただきたいというふうに思いますし、我が会派としては既に、この金額、家を再建する場合は全部で三百万ということですけれども、これを倍増するような法案も提出をさせていただいております。是非政府の中でも御検討いただきたい。
これに関連して、厚労省に伺いたいんですけれども、能登半島地震では、住宅に被害を被った被災者世帯への支援、新たな交付金制度が実施をされました。趣旨、目的を見ますと、高齢化が著しく進み、半島という地理的制約から住み慣れた地を離れて避難を余儀なくされている方など、地域コミュニティーの再生が乗り越えるべき大きな課題となっている能登地域の実情、特徴を踏まえとあります。
実は、この佐賀関というのはまさにこれにぴったり当てはまる。佐賀関半島の一番先にあるのが今回災害のあった場所でありますし、高齢化率もやはり非常に高い。さらに、地域のつながりが非常に深くて、今回、これほど大きな規模でも死者が一人で何とか抑えることができたのは、みんなで声をかけ合って、動けないお年寄りをみんなで担いで逃げ出した。
今被災している方が一番心配しているのは、やはりここに戻ってきたいという思いが本当に強いんです。ただ、二次避難が今から始まります。恐らく、二次避難は、すぐ入れるところということで、大分市内の市営住宅等が活用されるという話も伺っております。そうしますと、みんなまたばらばらになっていく。やはり皆さんの思いはここに戻りたい。
そういうことを考えたときに、先ほどの新たな交付金制度、これはまさにこれと全く適合すると思いますが、この制度の対象になるというふうに私自身は考えるんですが、厚労省はどのような御見解ですか。
○伊澤政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年能登半島地震の際に実施いたしました地域福祉推進支援臨時交付金、委員からも御指摘のようなものでございますけれども、こちらは能登地域の六市町に限定して行われたというものでございまして、委員からも御指摘ございましたけれども、能登半島における極めて広範かつ甚大な被災状況に加えまして、過疎地において著しく高齢化率が高く、半島という地理的な制約もある中といったような諸事情がございまして、極めて特殊な事情を考慮して、あくまで限定的、集中的に実施したものであるというふうに承知してございます。
こうした能登の事情も踏まえますと、今回の局地的な火災、災害において能登半島と同様の支援ということに関しましては、なかなか難しいのではないかというふうに考えているところでございます。
○吉川(元)委員 いや、能登地域は確かに広範で大変大規模であることは、そうだと思います。ただ、その地域全体が燃えてなくなったということに関して言えば、それは能登も佐賀関も同じ状況だというふうに思いますし、先ほど挙げた趣旨、目的に本当に合致をするような状況が今実際に佐賀関には存在しているわけです。だとすれば、同じようにきちんと支援を届けるというのがやはり政府の務めだというふうに私は思います。
時間が来てしまいました。本来は空き地の関係で少し総務省にもお聞きしたいことがございましたが、わざわざ来ていただいて申し訳ありませんが、また別の機会に、空き地、空き家対策、それから住宅特例の話をさせていただければというふうに思いますので、今日はこれで終わります。
ありがとうございました。
○宮下委員長 次に、阿部祐美子君。
○阿部(祐)委員 立憲民主党の阿部祐美子です。
本日は、災害対策特別委員会において質問の機会をいただきましたこと、委員長始め理事の皆様、そして各委員の皆様方に御礼を申し上げます。
私からは、離島における防災並びに災害復旧支援についてお伺いしたいと思います。
私の選挙区であります東京三区は、品川区に加えて、伊豆諸島や小笠原諸島までも含まれます。その伊豆諸島にあります八丈島やあるいは青ケ島、今年の九月に台風二十二号と二十三号が立て続けに襲来をいたしました。そして、土石流が発生し避難所に流れ込んだり、あるいは多数の家屋が損壊するなどの被害がありました。また、電気、水道、通信などのインフラが途絶し、長期にわたって断水が続くなど、住民の生活とそして産業に多大な影響がありました。
被災直後から、内閣府始め各省庁、自衛隊、そして海上保安庁、東京都や多くの自治体、そして個人の方々からも多くの御支援をいただいたこと、また、強く要望しておりました局所激甚災害指定も一昨日決定されたこと、大変ありがたいと、地元の皆様方からも感謝の声をいただいているところです。ありがとうございます。
ただ、三か月たった現在も、被災者の支援や、農業、漁業、観光など事業の復活は道半ばであり、島嶼部特有の課題も見えてまいりました。
本日は、島の方々のお声をお伝えするとともに、今後の島の防災、事前防災の在り方について伺っていければと思います。
東京都の島々は、内地から百キロ以上、最も遠い小笠原までは約千キロ離れております。物資の輸送は船便に頼り、平素よりその輸送力は限定的です。今回の災害でも、一回目の台風で損傷した家屋を応急処置するための資材が届かないまま二度目の台風を迎えてしまいました。救援物資も天候によっては届かないとなると、備蓄は本当に三日分でいいのか、場合によっては海水の淡水化装置などが必要なのではないか。
そういった様々な視点から考えて、今、防災基本計画改定の一環として、備蓄品のガイドラインの検討をされているというふうに聞いております。離島など地域の特性に合わせた品目や数量となるよう求めますが、検討の方向性についてお伺いをしたいと思います。
○横山政府参考人 お答えいたします。
国が定める防災基本計画におきましては、地方公共団体は、大規模な災害が発生した場合の被害並びに外部支援の時期を想定して、孤立が想定されるなど地域の地理的条件や過去の災害等を踏まえ、必要とされる物資についてあらかじめ備蓄することとされてございます。委員御指摘のとおり、地域特性に応じた備蓄をしていくということが重要だというふうに考えてございます。
その上で、国といたしましては、本年の七月に施行されました改正災害対策基本法で、年一回、自治体に物資の備蓄状況の公表を義務づけたことを踏まえまして、今後ですけれども、自治体が備蓄すべき品目や数量等の指針の策定をしてまいりたいということで検討したいと考えてございます。その中で、地域特性等を踏まえて、できるだけ具体的な考え方をお示しできるようにしていきたいと考えてございます。
○阿部(祐)委員 ありがとうございます。
是非よろしくお願いいたします。その際、環境の厳しい地域ほど必需品というのが増えてくると思いますので、そこも柔軟に御支援がいただけるとありがたいです。
さて、今回被災をいたしました八丈町は人口約六千七百人、青ケ島村は人口約百七十人と、日本で最も小さい自治体となっております。今回の災害は財政的にも大きな打撃です。復旧の経費や、あるいは住民税の減免、事業の落ち込みなどで、来年度の税収も激減をすることは必至となっております。
既に交付税の前倒し交付はありましたけれども、今後、今年度生じた経費とそれから来年度の減収分をどのように支えていくのか、お伺いをしたいと思います。
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘いただきましたように、総務省といたしましては、被災自治体における当面の資金繰りを円滑にするため、十一月に定例交付する普通交付税の一部を繰り上げて十月十七日に、東京都八丈町及び青ケ島村に交付したところでございます。
また、御指摘の、今年度の財政需要や来年度に見込まれる税収減につきましても、被災自治体の実情を丁寧にお伺いし、特別交付税を含め、地方交付税や地方債による地方財政措置を講ずることにより、財政運営に支障が生じないよう万全を期してまいります。
○阿部(祐)委員 ありがとうございます。
不安の大きい部分でもありますので、是非早めに見通しを示すとともに、息の長い御支援をいただければと思います。
次に、行政相談についてお伺いします。
被災した方々に対して、住まいやお金、税金、また医療、そして事業への支援など様々な支援策を用意されていることは大変ありがたいと思っております。ただ、それらの手続に対して町の職員が必ずしも精通をしているわけではなく、また、災害前から職員不足も深刻でした。ガイドブックに載っている以上のことはお互いに正確に分からなくて困っているというようなことも現地ではお伺いいたします。
できれば詳しい方に対面で教えていただきたいとのことですが、ガイドブックに記載された来所相談の住所は新宿区となっているんですね。島内での特別行政相談あるいはオンライン相談会など工夫ができないか、お伺いしたいと思います。
○大槻政府参考人 お答えいたします。
台風二十二号及び二十三号の被災者を支援するため、これまで、総務省の職員が八丈町を訪問し支援ニーズを把握するとともに、生活支援情報をまとめたガイドブックを作成し、町に確認いただいた上で、町と協力をして全戸配布を開始しているところです。
委員御指摘のような、顔の見える形で被災者の御相談に対応できる特別行政相談所の開設については、八丈町ともよく連携をして、被災者のニーズ等を踏まえつつ、前向きに検討してまいります。
○阿部(祐)委員 ありがとうございます。
災害からどのくらいの時期がたったかでまたニーズも変化していきますので、是非柔軟に御対応いただければと思います。
それから、青ケ島村ですが、地理的条件によって、船の就航率が大変低く、また、救援物資や人員の輸送が限定的です。今回は、海底ケーブルの損傷によって、通信も一時途絶えました。今の時代、通信の途絶というのは、大きな不安そして孤立につながるだけではなくて、災害情報に基づく適切な行動を取るということにも支障が出てまいります。
青ケ島村に限らず、通信インフラの脆弱性というのが懸念される離島や地域に対し平時から増強を図るべきだと考えております。この増強をどのような形で、総務省としてどのように進めていらっしゃるのか、また今後も含めて教えていただければと思います。
○吉田(恭)政府参考人 お答え申し上げます。
災害時には、被災者の方々に情報が確実に届けられる環境の確保が必要不可欠であり、通信が果たすべき役割は大変大きいと認識しております。
こうした認識の下、災害時において通信サービスが確保されるよう、伝送路の多重化に加え、委員御指摘の離島等については、携帯電話基地局などについて、より長時間の停電対策を求めているところでございます。
こうした取組にかかわらず通信が途絶した場合には、電気通信事業者は、移動基地局などの応急復旧機材の設置により通信サービスの維持、復旧を速やかに進めることとされており、総務省におきましては、こうした取組を支援するため、離島も含め、電気通信事業者による応急復旧機材の整備への支援に積極的に取り組んでおります。
また、離島等に応急復旧機材が配備されていない場合には、必要とする地域への速やかな輸送が重要となります。先般の青ケ島の通信サービスの支障におきましても、関係省庁等との連携により、迅速な復旧に尽力したところでございます。
総務省におきましては、引き続き、関係機関等と連携し、離島等のアクセスが困難な地域も含め、災害時の通信サービスの確保にしっかり取り組んでまいります。
○阿部(祐)委員 ありがとうございます。
一義的には事業者にしっかりやってもらうということだと思うんですけれども、離島になれば運搬費もかかるということで、そうしたことも含めて御支援をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
災害廃棄物です。
島の廃棄物の十年分とも言われる災害廃棄物が発生しております。これも大きな課題となっております。
島嶼部は平地が限られ、また、災害廃棄物の仮置場の確保、あるいは、分別をするための場所というのも確保が難しい状況です。処分場やあるいは焼却施設の余力も小さくて、そして、島外への廃棄物搬出は船舶に頼らざるを得ない。そのために、コストも、そしてかかる期間も膨大になってまいります。島では廃棄物の処理計画の策定に大変苦労をしているところです。
この点も踏まえ、どのような支援が期待できるのか、環境省の方にお伺いできますか。お願いします。
○成田政府参考人 お答え申し上げます。
令和七年台風第二十二号及び第二十三号により八丈町において家屋等から発生した災害廃棄物の量は、十一月十三日時点の推計値で約一・五万トンとなっております。現在、八丈町においては、島内で処理を進めながら、災害廃棄物処理実行計画を作成中であり、島内で処理が困難な災害廃棄物については、島外への運搬処理を行う方針であると承知いたしております。
環境省におきましては、災害廃棄物の島外への運搬処理も災害等廃棄物処理事業費補助金の対象としており、今後、当該補助金により、災害廃棄物処理に係る財政支援を行ってまいります。また、発災以降、地方環境事務所職員等を派遣いたしまして、補助金の活用方法等に関する技術的助言を行っているところでございます。今後も必要な支援をしっかりと行ってまいります。
○阿部(祐)委員 ありがとうございます。
そういう形で、環境省さんでは、家屋等から発生した災害廃棄物について、金額だけではなくて、その運搬というところまで、また技術的な支援もしていただいて大変ありがたいのですけれども、災害廃棄物はそれだけではなくて、町がまとめた数字では、家屋からの発生量が約一万五千トン、それ以外の、倒木等というのがそれより多い二万一千トン、土砂の方は、国交省ということでもあるんですけれども、今度はこれは十二万トン近くというふうに推計をされているわけです。それらを切り分けていく、あるいは、この倒木はどこでやってくれるんだとか、この場所にある倒木はどこの管轄なのだという、その切り分けというのも町にとっては大きな負担でもありますし、また見通しのつきづらいところだと思います。
ですので、ここはしっかりと横串を刺して、そして、全体像としてどう切り分けていくのかということも含めて御支援を、あるいは助言などもいただき、お手伝いをいただければと思っております。
最後に、あかま大臣にお伺いをしたいと思います。
今見てきたように、離島で災害があった場合、被災後の救援物資の輸送、あるいは、応援の人員の受入れのキャパシティー、そして、各種修繕や事業再開のための資材や機器を輸送するコスト、時間的なコストも含めてですけれども、それから、災害廃棄物の仮置き、島外搬出のための費用と期間など、内地とはやはり違ったハードルがたくさんあるということなんですね。こうした島嶼部の状況を踏まえますと、やはり島こそ事前防災というものが非常に大切になってくると思います。
そして、今申し上げた島というのは国境離島でもありますので、この国境離島で災害のために人が減ったりあるいは事業が継続できなくなってくると、今度は、もう島だけの問題ではなくて、オール・ジャパンの問題に私はなってくると思っております。
こうしたことも踏まえまして、あかま大臣、領土担当の大臣もされているということでありますので、島の事前防災、どのように備えて、そして持続可能なものにしていくか、その思いをお伝えいただければと思います。
○あかま国務大臣 阿部委員にお答えいたします。
今し方、一連の質問の中でもあった地理的な要件というもの、これは非常に、事前防災、また復旧復興にあって様々な制約というものがあること、これを踏まえた事前防災、また段取り。さっき、必要な物資、備品リスト、これもまたガイドラインで示しますけれども、その地理的な条件に合ったものを急いでという話がございました。
そして、今回、離島ということと、有人国境離島、また領土という視点からもという話でございました。もちろん、有人だ無人だ云々に限らず、防災というものは、丁寧に、また、何か起こった際には十分に対応できるようにというふうに思っておりますので、離島も含めという中にあって、過去の経験も生かすことが大事であろうし、また、一連、今日は総務省、環境省、それからという話がありました。各省庁との連携も踏まえた防災ができる体制をより強く推し進めてまいりたい、そう思います。また、御示唆、御教示願えたらと思います。
以上です。
○阿部(祐)委員 どうもありがとうございました。終わります。
○宮下委員長 次に、緑川貴士君。
○緑川委員 立憲民主党の緑川貴士です。
今月の一日に日本銀行の植田総裁が、熊の出没被害が日本経済に与えている影響について、ある種の自然災害のようなものだ、一部の地域で大きな影響が懸念をされているところだと発言をされています。国民経済の健全な発展に寄与する役割を持つ日銀のトップとして、大きな影響を及ぼす自然災害であるという認識、御発言というのは非常に重いというふうに思います。
災害対応を所管されるあかま大臣の御所見を伺いたいと思います。
○あかま国務大臣 緑川委員にお答えいたします。
今、日銀の植田総裁の発言というのは、直接私はそのときに伺っていなかったんですが、改めてその発言というものを捉えて、この発言でございますけれども、熊被害が、自然災害そのものではないものの、経済に自然災害と同様の影響を及ぼす事象であるという趣旨の発言であったというふうに理解しております。
災害対策基本法において、災害というのは、異常な自然現象や大規模な事故により生ずる被害と定義されております。国土及び国民の生命、身体又は財産に相当程度の被害が生ずるような場合を想定をしております。
○緑川委員 私は秋田県に住んでいますけれども、今の状況をちょっとお伝えしますと、この秋の行楽シーズンは、やはり残念ながら、宿泊、観光のツアーのキャンセルが相次ぎました。そして、屋外イベントも次々に中止になって、また、この時期にぎわうはずの繁華街も、人が出歩いていません。寒いからというだけではないんですね。飲食店は忘年会で書き入れどきのはずなんですけれども、熊に警戒ということで、会社から飲み会の自粛をするように指示が出ているところもあったり、予約が次々にキャンセルになることで、地域経済に、売上げに大きく響いています。
大きな影響が災害並みに起きておりますし、山は餌となるドングリが大凶作、人里の食べ物に依存して、来年一月になっても、もしかしたらこれは出続けるんじゃないかというふうな可能性も言われています。年末年始、冬の本格的な観光への影響も広がり始めています。
そして、家庭では、子供たちが外に出られない。運動ができません。友達と外遊びをする機会も減っています。こういう外出の自粛、生活の変化、これが、発育への悪影響だったり、ストレスなどの心理的な大きな負担に子供たちもなっています。まさにコロナ禍を思い出してしまうような、こういう秋田県内の状況なんです。
市町村の頑張っている行政の農林課の担当も、これはもう災害対応と同じだと、疲弊をしながら現場の対応に日々当たっていただいています。被害を受けている地域で公助による支援が受けられるように、自助、共助ではやはり限界があります、災害級と言われてきたこの級を取って熊被害を災害として考える、災害対策法の定義にこれを加える必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
委員の方も恐らく御案内だと思います。先月、関係閣僚会議という中にあって、クマ被害対策パッケージというものが示されました。その中にあって、環境省のみならず、防衛省又は警察の方、また、今まさに当面という話であり、又は中長期という中にあっての、例えば頭数管理であるとか、これから繰り返しその出没というのが起こり得る中でどのようにという話、まずはそれを着実に実行していくことをもって、被害の最小化又は被害をなくすということが大事なんだろうというふうに思っているんです。
先ほど、災害対策基本法というのはこういう定義ですよと申し上げて、それにいきなり行こうというわけにはなかなかまいらない。災害級という話、これは、全くもってそう言われていることは承知をしておりますが、まずはこのクマ被害対策パッケージにあって、もしかしたらどこかに漏れが、いやいや、これじゃ十分じゃないという話になるかもしれない。また、その中にあっては、是非そうした声も踏まえながらというふうに思っておりますが、いずれにせよ、今月どうなるんだという危機感を持ちながら対応、対策してまいること、これをもってしっかりと皆様方の安心に資するようにしてまいりたい、そう思います。
○緑川委員 やはり大臣おっしゃっていただいたように、不断のパッケージの見直しというのが必要だと思いますし、今、中長期に、短期に、そして喫緊に対応するべきというふうにフェーズごとに書いてあるんですけれども、やはり未来の話なんですよね。これから被害を最小限に抑えていきます、管理をしていきますという話、私たちは全く異存はありません。
ただ、これまで起きた被害に対する支援が足りないんですよね。個人、企業で備えをしていなかったから、これは個人の保険で対応してください、支援はありません、こういう自己責任では片づけられない問題なんですよ。自分の生活や経営にここまで影響が生じるというふうに、個人がどこまで予測して判断できた被害でしょうか。
企業の責めによらない、こういう、経営努力のみではどうしようもない、キャンセルや需要の蒸発による売上げの減少、イベントの準備にかかった経費、地域経済の損害に対して、国が制度上ここは、災害というふうにここから位置づけると時間がかかってしまうというのであれば、やはり特例として支援できるようにしていくべきではないですか。いかがですか。
○あかま国務大臣 様々な影響、また、その地域にあって被害によるまさに経済的なという部分、またさらには、場合によっては、小さいお子さんなどが日常生活にあってという話はあろうと思います。
では、その支援というものは何が適切かというのは、少なくとも防災だけでなく、これは関係省庁を含めて、また地元自治体も含めて、どのような形でフォローができるんだ、どのような形になるといわゆる平穏な生活が回復できるんだ、また、支援というものの在り方の議論というものを、地元ともそうした機会がある中でまた話すタイミングがあるのかもしれませんが、いずれにせよ、我々とすれば、いわゆるクマ被害対策パッケージ、これを推し進めることで平穏を取り戻してまいりたい、そう思っています。
○緑川委員 やはり、残念ながら、何度も申し上げるんですが、パッケージにはこういう支援については書いていないんですね。
そして、法改正をするという前提でお話はしましたけれども、しなくても、例えば、災対法の第二条一項の条文の中の「その他の異常な自然現象」として法解釈として熊被害を含めていく、あるいは、政令で定める原因として、この施行令第一条の条文、放射性物質の大量放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模事故、ここに例えば熊類による全国的な被害というふうに明記する政令改正を行うということで十分可能だというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。
○あかま国務大臣 繰り返しになりますが、現時点において、関係閣僚会議を開き、クマ人身被害対策パッケージをしっかり実行すること、これをもって是非、当該地域、またこれ以上の被害を食い止めるということに尽きるんだというふうに思っています。
○緑川委員 パッケージに書いていないから申し上げていることなんですね。
中小企業が例えば突発的な、今、使えない公的な支援というのはたくさんあるわけです、災害の影響で売上げが中小企業も減少しています、私の県内の宿泊業、観光業、そして飲食店。運転資金を借りたいというときに、信用保証協会が保証を行うセーフティーネット保証四号というものがありますけれども、中小企業庁に確認をすると、現状では熊被害の影響による売上げ減少は対象にならないと言われました。
ただ、ここは判断なんですよ。内閣府防災が、これをまずは災害だと、これは法的に災害というふうに言わなくても、災害救助法を適用すれば補償が可能になります。大臣の御決断次第だと私は思います。事業者が経営に見通しを立てられるように支援をしていただきたい。是非とも御英断をいただきたいと思います。お願いします。
○あかま国務大臣 今、お話、秋田県、もちろん岩手県、また他の地域、それぞれの被害地域、また、よく、そうした声、どのような声があってということを踏まえながら、また重く受け止めたい、そういうふうに思います。
○緑川委員 重くお受け止めをした、それをしっかり行動に移していただくということを大きく期待をしたいというふうに思っております。心よりお願い申し上げたいと思います。
企業だけではないんですね。個人にも大きな影響が出ています。
熊に襲われて亡くなられた方が多くいらっしゃいます。現状、災害ではないので、これは法律に基づく災害弔慰金の支給も受けられないんです。
また、法律に基づく、精神又は身体に著しい障害を受けた場合の災害障害見舞金の制度もあります。熊の被害も同じように、精神的に、肉体的に深く大きな傷を負って障害が残ったり、多くの方が、医者が言うと八割がPTSDを発症する。この被害はまさに被害としては法律の要件に当たるはずなんですが、この見舞金も支給されていないんです。
さらに、被害世帯に貸し付ける援護資金も、世帯主は借りることができません。熊が家や倉庫を壊した場合の補償というのは、火災保険で対応できる場合はあっても、全てではありませんし、清掃の費用は保険では補償されません。自己負担になります。
熊被害を受けた個人にとって、公的支援が現状では個人に対しても余りにも乏しいと思いませんか。熊による全国的な深刻な被害です。特例として、今回は弔慰金、見舞金、援護資金の対象とするべきではないでしょうか。
○横山政府参考人 お答えいたします。
今、具体的な個別の制度の適用の関係の御指摘を受けました。我々の方でも、災害と認めることによって、それが発動するのかしないのか、制度そのものとしてどういうふうに発動させるのかという辺りを関係省庁とも確認いたしまして、対応を検討させていただきたいと思います。
○緑川委員 これまで検討されたことはなかったですか。
○横山政府参考人 今までの要望として、具体的なそのようなニーズを今までの時点では具体的に検討するまでに至ってはございませんでした。
○緑川委員 今回初めて議題になったということですので、では、是非ともこれは検討して実行していただきたいというふうに思いますし、被害者が受けた心の傷、あるいは体の深い傷というのは、あるいは社会的衝撃というのは、もうこれは災害なんですよ。自然災害に巻き込まれるのと何ら変わるものではないというふうに思います。
ましてや、熊の行動範囲が広がって、一部地域とは言えないんですよね。これまで被害がほとんど起きてこなかった人里、予測できない場所で被害が起きている。もうこれは個人の責任とか会社の責任という問題じゃないんですよ。勤務中の被害であれば労災認定されます。けがに係る通院、手術費などは三割負担となります。ただ、これが休日に襲われたら労災が下りない。負担が大きくなりますし、年金暮らしの御高齢であれば、更にこの実費の負担というのは実質大きいわけですよ。
ですから、その後の人生を少しでも、これは自助で共助でどうにもならないんだったら、公助しかないじゃないですか。こういうことをしっかりと検討していただきたい。改めてお願いします。
○横山政府参考人 政府として、熊対策に対して最大限対応していくという方針であるということは私としても承知してございます。
繰り返しになりますけれども、具体的な制度それぞれはそれぞれの趣旨がございます。委員御指摘のように、災害という言葉に当てはめれば、発動するのかどうかも含めて、しっかりそこは勉強しなければならないということで、御検討させていただきたいと思ってございます。
以上でございます。
○緑川委員 自治体では独自の見舞金制度などを設けているところはありますけれども、ほとんどのところではこういう制度がないんですね。頼りになるのはやはり国の公助なんですよ。全国一律で、どこの地域で起こった被害にしてもしっかりと対応できるようにしていただきたいと思います。
時間の関係で、残りの問いに行かなければなりません。
放置されてきた柿や果樹、クリなどが熊を人里に引き寄せる餌となってきました。出没地域には所有者が分からない土地、いわゆる所有者不明土地が多く残っていて、ここにこうした誘引物が放置されています。自分たち一人一人は、所有者が分かっているところでは柿やクリを取り除いても、ほかで所有者不明土地一つあるだけで、ここに誘引物があれば、熊は嗅覚が鋭いのでここに集まってきます。その集落の住民の命の危険と隣り合わせという状況が常に生まれているわけです。
各省庁が所管する所有者不明土地に対する複数の制度はあるんですけれども、いずれも手続には長い場合では一年以上を要する、あるいはお金も非常にかかります。これを待っていては、現場で対策が取れません。危険を除去できないという現状があります。
熊の出没を警戒するべき地域で放置されている誘引物については、これは所有者が特定できているかできていないかにかかわらず、しっかり措置する、早期に対応していく必要があると思います。いかがですか。
○成田政府参考人 お答え申し上げます。
環境省といたしましては、熊の人の生活圏への出没を防止するために、熊を誘引する柿等の除去を行うことは重要であると認識しておりまして、交付金で支援しているところでございます。
その上で、御指摘のような特例措置を設けるという点につきましては、財産権との調整も必要であることから、慎重な検討を要するものと認識いたしております。
なお、今先生から御指摘がございましたように、管理不全土地や所有者不明土地にこのような誘引物が存在する場合は、既存の制度により除去等を行うことが可能となる場合もあることと承知いたしております。
○緑川委員 財産権のお話をされましたけれども、土地とか家とかという話じゃないんですよね。憲法で、財産権の保障と併せて、財産権は公共の福祉に適合するように法律で定めるということ、つまり、社会全体の利益のために制限されることがあるというふうに書いてあるわけなんですが、放置された柿やクリ、誘引物を除去するということが、空き家を解体するとか家や土地を処分するという財産権の制約に比べてどうですか。大きな制約ではないと思います。
公共の福祉の適合の範囲でありますし、地域住民の命の危険がまさに及んでいる状況なわけで、そういう既存の制度という悠長な話をしていられる場合じゃないと思うんですよ。いかがですか。
○成田政府参考人 先ほど、既存の制度という答弁を申し上げましたが、既存の制度の所管省庁と検討してまいりたいと考えております。
○緑川委員 最後なんですが、クマ被害対策パッケージ、政府の中長期に取り組むこととして、自治体における専門人材の育成、適切な個体数管理のための統一的な手法による個体数推定とあるんですけれども、この課題について、お配りしている資料を御覧いただきたいと思います。
都道府県別の専門職員の数なんですけれども、赤いマーカーを引いたところが熊対策に当たる専門職員の数です。最も多いところが兵庫県の十六人、そして島根県で十人、岡山が六人、北海道が六人であるのに対して、青森、宮城はゼロ人、岩手、秋田、山形、福島は一人ずつという状況です。
全国的に専門人材というのは不足しているんですが、その中でも特に東北。熊の生息数が多いところにもかかわらず、人材が圧倒的に東北で足りていません。こういうところにまずは優先して人材の確保を支援していただきたい。
その上で、専門的な研修を受けた人材が現場で経験を積んで、そういう人がまた指導者として新たな人材を育成するという、この循環、仕組みもつくっていく、こういうことも見据えて、重点的に、今足りないところに、本当に足りないところに支援をしていただきたいというふうに思っています。
そして、済みません、残りもう一つなんですが、個体数推定の方法も都道府県によってばらばらになります。異なる調査の方法や解析モデルが使われています。
例えば推定調査では、秋田、岩手のように、県境をまたいで生息している同じ個体群を調査しているのに、秋田ではセンサートラップ調査、そして岩手ではヘアトラップ調査、それぞれ同じ生息群が重なっているのに違う調査を行っています。調査の方法が両県で異なっていて、国主導でこの統一化を図っていく必要があります。そして、調査のサンプル数から生息数を推定する解析モデルも違っています。両県を含めて、全国の多様な調査、解析データを国として一元管理していくことが重要だと思います。
ただ、国でも、国立環境研究所の個体数推定の専門家というのは非常に少ないのが現状です。国でも、環境省に専門的に助言できる人が圧倒的にいないんです。国も人材を確保して、調査データを誰がどれだけ収集して、データを一元的に管理するかという国の仕組みづくりも必要だというふうに思っています。
ここにお答えいただければと思います。
○宮下委員長 環境省成田大臣官房審議官、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○成田政府参考人 お答え申し上げます。
環境省におきましては、専門人材やガバメントハンター等の育成につきまして、大学等と連携いたしまして、若手人材の育成などを行っております。また、それに交付金による支援を行っているところでございます。その上で、本年度の補正予算につきましても、交付金の使途を拡大するなど、自治体が雇用する人件費も支援対象としたいというふうに考えております。
また、個体数推定につきましては、環境省においても、都道府県と連携しながら、特に今年度熊の出没が多かった東北地方から熊の生態調査を開始いたしまして、全国的な調査を進めたいと考えております。個体数推定や捕獲目標数を精緻化いたしまして、科学的かつ統一的な統計手法を踏まえた個体数管理を地方自治体と連携して進めてまいりたいと考えております。
○緑川委員 また議論させていただきます。
ありがとうございました。
○宮下委員長 次に、青柳仁士君。
○青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。
大臣所信の中で、これから防災庁を設置していくということと、そして、一元的な機能性の高い防災を日本として行っていくというようなことをるる述べられていたと思います。
一方で、現在、災害対策基本法第五条では、市町村を防災の責任主体とするということが定められております。これがやはり現場の方でいろいろな問題を起こしておりまして、実際、千七百四十一自治体があると千七百四十一個の災害対応マニュアルであるとか防災体制というものがある、今こういう状況にあります。そして、ある自治体では必要とされる物資がある自治体にはなかったり、あるいは、それの調達においても、各自治体でそれぞれ発注するものですから、大量に発注すれば安く済むところを高い値段で買わざるを得ないとか、様々な問題が起きているわけです。
これに対して、防災庁を設置することである種の一元化、集約化というのを図っていこうというところだとは理解するんですけれども、災害対策基本法の第五条、ここを変えずに、市区町村が基本的には防災の主体、責任者であるということを変えずに防災庁だけができても、実態は変わらないんじゃないかというふうにも思われるんですが、その点についてお伺いできればと思います。
○牧野国務大臣 青柳委員にお答えします。
防災は地域の特性に応じた対応が必要でありまして、地域の実情に精通して住民に最も近い立場である市町村が特に初動で対応することで、的確に取り組むことができると考えております。
令和八年度中の設置を目指している防災庁は、我が国の防災全体を俯瞰的に捉えて、徹底した事前防災と発災時から復旧復興までの一貫した災害対応の司令塔機能を担い、特に徹底した事前防災に力を入れることにしております。
具体的には、防災庁の設置を見据えて、今年度から内閣府に各都道府県のカウンターパートとなるふるさと防災職員を置いて、避難生活の環境の改善に向けた物資や資機材の整備など、自治体の事前防災の取組を幅広く推進していくことにしております。
防災庁設置後も、こうした取組を更に拡充して、市町村における防災体制の底上げに取り組んでまいります。
○青柳(仁)委員 一つ、そういった各市町村の取組というのを包括的に指導をしたり、あるいは支援をしたりするという防災庁、これは一定の意味があるとは思うんですが、やはり市町村が主体というふうになっていますと、例えば、私の地元なんかでも一つ大きな大和川という川が流れておりますけれども、そこが氾濫した場合には、近隣の何十という市が同時に被災をするわけですけれども、その場合、それぞれ違ったマニュアルで違った住民対応をするということではなかなか難しいと思いますし、中核市もあれば普通の市もあり、小規模な町みたいなところもある。
そうすると、大きなところでは管理体制だとかチームがいたり、あるいは専門人材がいたりするかもしれませんが、小さな町とかだと、そもそも兼務でやっていてよく分かっていないとか、そうすると連携の体制も取れないということになってきますので、ここはやはり非常に問題が大きいのかな、特に広域災害のときに問題が大きいのかなというふうには思います。
なので、この点、防災庁を設置するに当たっても、今回、法律改正はしないという前提だと思いますので、その前提でもやれることというのをしっかりと進めていただく必要があるのかなと思っております。
その中で、実際現場の方にお話を伺いますと、幾つかここが特に問題だということを皆さんおっしゃるんですけれども、そのうち一つがいわゆるプッシュ型支援というものでありまして、これは基本法の第四条のところですね、都道府県が主体になってやる場合に、市町村に対して、例えば物資をプッシュ型で届けることができるということなんですね。受入れ、仕分、配布ということをお願いするんですが、ただ、最後の受入れ、物資を送るところまではプッシュ型でいいんですけれども、その受入れ、仕分、配布、そこは市町村が結局やるということで、キャパシティーのない市区町村だと、そこで止まってしまう。
止まってしまっているから意味がないし、それから、それだけじゃなくて、これをこうしてください、ああしてくださいという指示と物資がそこで滞留してしまっているので、市町村側としても、ほかにやらなきゃいけないことがいっぱいあるのに、それもやらなきゃいけないという更なる負荷になる。ですから、それで結局、物も動かないし、市町村の方も負担が大きくなってしまう、こういう問題も起きているということなんです。
これについては、ちょっとこれは二問まとめてお聞きしますが、法律改正をしない前提でやるとした場合に、先ほど申し上げたような、ばらばらの市町村がやるというところに対して、防災庁としてどういう取組が可能なのかということと、その中で特にプッシュ型支援について、これは、例えば物資の輸送から配布まで一体で都道府県の側が行う仕組みということも考え得ると思うんですけれども、こういったことに転換するようなことはいかがでしょうか。
○あかま国務大臣 青柳委員にお答えいたします。
いわゆる自治体間の体力格差というのか、能力格差というのかという話が一個、あと、プッシュ型支援だと、地元自治体が相当ストレス、負担になるよという話にあって、その自治体間の格差をどうやってボトムアップするのか、ならすのかという話から話を申し上げれば、間違いなく、どの自治体にあったって、尊厳ある避難所生活、その環境というものが担保されなければならないということは大前提で、具体的には、避難所運営等の避難生活支援のためのガイドライン、いわゆるチェックリストを作成している中で、自治体に対して、これをしっかり周知してくださいな、そして、スフィア基準等に従って、良好な避難所生活、避難所環境の確保が行われるようお願いをしておるところでございます。
ただただ、さはさりなんでという話になるんだと思いますけれども、自治体同士の相互支援が機能しやすいように、例えば、避難所におけるトイレカーなんかの資機材については、いわゆる災害対応の車両の登録制度を導入して、広域で連携して物資を購入、相互補完できる仕組み、こんなものをまた今、更に追求、探求、研究してまいらなければならないというふうに思っております。
あわせて、今、いわゆるプッシュ型支援ということに関して、それが相当地元にとってはという話になりますが、自治体それぞれにあって、少なくとも、自治体が全てそれを引き受けてというだけでなく、いわゆる民間のリソース等々も活用しながらということはあり得るんだろうというふうに思っています。
また、民間の様々な団体ということの力をどうかりて、どのように利用できるんだということもまた内閣府防災として各自治体にもお示ししておるところでございますので、また地元からの声を賜りながら、それぞれがいわゆる事前防災への対応をスキルアップ、レベルアップできるように更に努めてまいりたい、そう思います。
○青柳(仁)委員 いろいろな手だてを是非考えていただきたいんですが、ちょっと今、御答弁の中に少し入っていなかったかなと思うところがあるので、改めて聞かせていただきたいんです。
私が申し上げたのは、民間との連携をしていくだとか、あるいは、そういう共通する資機材なんかは共同調達する仕組みをしていく、これはすごくいいことだと思います。是非、防災庁で御検討いただけたらと思うんですが、一個ちょっと明確にお答えいただきたかったのはプッシュ型支援ですね。
これは、だから、市町村が結局それをさばき切れないという問題が実際出ていて、特に小さなキャパシティーのないところだと、はっきり言えば、迷惑みたいな状態になっちゃっている。ですから、そこに人を増やすことができないのであれば、都道府県の側が逆にそこに手をかしてあげるということも、この法律のたてつけ上、別にそれが否定されるほどの法的な縛りがあるとは思えないんですが、そういった方策も考えてはいかがですかという質問なんですが、いかがですか。
○あかま国務大臣 今、先ほどの答弁の中で、いわゆる民間のリソースをという話、それはそれとしながらも、自治体のそうした負担にあって、都道府県が支援をよりすべきだという御趣旨でよろしいんでしょうか。
もちろん、都道府県のみならず、これはあらゆるリソースが相互補完であったり連携であったり、共同していかなきゃならないんだと思っています。
例えば、国という立場に立てば、国交省なんかは、いわゆる物流事業者との連携、災害協定の締結を促して、またそれに対していろいろとノウハウを示していたり、また、市町村において、いわゆる協定が難しい、要請することが難しいといった場合には、国がそれに成り代わって働きかけをするなどしておりますので、これはまさに、都道府県だとか国がという話でなく、それぞれがうまく相互補完でというふうに思っております。
また、自治体の負担という中でいけば、いわゆるマンパワーの部分、つまり、そこの専門性だとかそういったスキルアップ、これについても、内閣府防災として、被災自治体の職員の負担軽減にも努めるように取り組んでおります。
以上です。
○青柳(仁)委員 ちょっと、もう一回聞きはしませんが、一応趣旨だけもう一回申し上げておくと、物資等のプッシュ型支援のときに、今、現状は、一応、災害対策基本法第五条に基づいて、物資を持ってくるところまでは都道府県がやるんです。ですけれども、後はよろしくねという感じになっているんです。じゃなくて、もう全部任せてねという形で、受入れ、仕分、配布まで都道府県がやるということは、今やっていないんです。それを全部市区町村に投げちゃっているから問題が現場で起きているということなので、そこをピンポイントに改善した方がいいんじゃないですかという提案だったんですが、これはちょっと別の質問もあるので、一旦もうこれで。御検討を是非していただけたらと思うんですけれども。
もう一点、非常に重要な、これも実際に防災に関わられている方々からのお声ということで、いっぱいあったんですけれども、特にというところで一つ申し上げると、今、各市区町村でやっている訓練というのは、避難の避難訓練と、それから避難所開設訓練しかやっていないんですよ。だから、長期の避難所運営の訓練というのはどこもやっていないんですね。でも、実際には、長い間ずっと避難所を運営する必要があったり、その間にやはり災害関連死で亡くなってしまう方がたくさんいる。亡くなってしまうのはもう最悪のケースなんですが、亡くならないまでも、具合が悪くなってしまう、病気になってしまう、あるいはストレスを抱えてしまう、近隣の人たちとけんかを起こしてしまう、そういった人間関係のトラブルだとか不快なことはたくさん起きているわけなんですね。
ですが、ある程度ノウハウがあれば避けられるようなことが、全然訓練もしていないしノウハウもないから、それが避けられずに実際に起きてしまっているというのが現場の状況で、現場の方々は、何でこんなにチームワークが悪いんだろうみたいな感じで、皆さん、非常にそれについて問題意識を持っておられるという状況があるんです。
ここはやはり、各市区町村で、経験のあるところもあるし、能力もキャパシティーも違うでしょうから、そういうところに任せるというよりかは、まさに民間とかNPOだとか、あるいはそういった支援に慣れた方々とふだんからしっかりチームを組むなり、あるいは避難所運営そのものに対しての研修、ノウハウも育てていくなりして、しっかりとそこら辺をサポートできるような姿勢というのをつくっていくべきだと思うんですが、この点についての御所見をお伺いできますか。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
まさに、避難所運営を適切に行うには、平時からその運営のノウハウを鍛錬、訓練、プラクティスして積み重ねていくことが大事だというふうに思っています。
多分、委員おっしゃるのは、いわゆる自主防災隊がとか避難所運営、自治会だとか町内会だとかそういった方々、また、そこに自治体職員が少し入っているんだろうか、そういったことを踏まえながらも、ただ、長期になると、なかなかなかなかそうじゃないよねという話だと思っています。
もちろん、そのことを踏まえて、内閣府において、地方自治体職員等を対象にまさに研修を実施をして、いわゆる災害対応のスキルの向上に努めておるところで、もう少し具体的に言うと、職員のみならず、いわゆるボランティアの方々に対しても、令和四年度から避難生活支援リーダー、サポーター研修、これを実施しております。令和六年度までに全国で約九百五十名のいわゆる修了、そうした方々を輩出しております。
こうした取組というものを更に強化をして、また、もちろん、それぞれの自治体またそれぞれの地域にあって、こうしたいわゆる避難生活、避難所におけるリーダーを育てていきましょうよ、また、そういった人材を育成していきましょうよ、そんな機運というものを含めて事前防災に当たるんだろうというふうに思っていますので、是非これからも我々としてそうした人材が育つよう取組を強化してまいりたい、そう思います。
○青柳(仁)委員 日本には、政府の方、行政の方以外でも、民間にもこういった被災、災害に関するノウハウや問題意識あるいは熱意を持った方はたくさんいますので、そういった方々の現場の状況ですとか声も聞いた上で、しっかりと制度づくりをしていただければと思います。
時間が来たので、以上で終了します。ありがとうございました。
○宮下委員長 次に、石井智恵君。
○石井委員 国民民主党・無所属クラブの石井智恵です。
愛媛県松山市の出身でございます。私、医療の現場で働いておりましたので、この委員会では災害医療について取り上げさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、質問に入らせていただきます。
まずは、大規模災害における病院船についてお伺いいたします。
先日、高市総理が就任後初めてとなります、政府による原子力総合防災訓練が愛媛県で行われました。訓練では、震度七の地震が発生、伊方原子力発電所内で原子炉を冷却する機能が喪失し、そして総理が緊急事態宣言を発令したと想定をして、全閣僚が参加され、愛媛県やその周辺自治体、住民二万人の参加による大規模訓練が行われました。この政府による原子力総合防災訓練が愛媛県で行われたのは十年ぶりであります。
現場は日本一細長い佐田岬半島がありまして、訓練では、道路が寸断された際の避難について検証がされました。特に、道路が寸断されたときには陸からの救援が非常に難しく、災害時の医療確保は最重要課題となっております。
その中で、令和三年の議員立法によって生まれた船で医療を提供する仕組みは、まさに海に浮かぶ病院でありまして、病院船に大きな期待が寄せられています。
まず、資料一を御覧ください。
写真にあります船はアメリカ海軍の保有する病院船マーシー号でありまして、日本に寄港したときのものでありますが、病床数は千床、そして、手術もでき、八十床の集中治療室、二十床の術後回復室を持って、大学病院並みの高度医療を備えています。
日本でも、阪神・淡路大震災の教訓から病院船については検討され始め、沿岸部が壊滅的な被害を受けた東日本大震災後にも必要性が叫ばれておりまして、南海トラフ大地震やまた首都直下型地震を見据えて、内閣府が主導で検討されておりました。
能登半島地震の際には、NPO法人による災害医療支援船が活躍している様子を私もインターネットで拝見しておりまして、海に囲まれているこの日本で、病院船、必ず必要だというふうに思っておりました。いよいよこの病院船が来年の一月に運用開始をされるということでありまして、大変期待をしているところであります。
そこで、あかま大臣にお伺いいたします。
病院船運用開始における現在の準備状況そして整備状況について、どこまで進んでいるのか、教えていただけますでしょうか。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
船舶活用医療、いわゆる病院船という話でございますけれども、この運用が令和八年の一月からということで、その進捗。
船舶を活用した医療提供体制の整備については、まず整備推進計画が本年の三月に閣議決定をされたというところで、現在は、今申し上げた令和八年の一月からの運用開始に向け、関係省庁と連携をして集中的に準備を進めているところでございます。
より具体的に申し上げれば、まず、医療従事者の確保、船舶の確保、また、医療関係団体や民間船舶事業者との協力の協定を年内に締結すべく、まさに今協議を行っているところでございます。
加えて、大学病院と同じぐらいのということでありましたけれども、いわゆる資器材の方、これもありますので、こういった備蓄についても、今必要な調整を行っておるところでございます。また、いわゆる病院船の実効性の向上のため、先月の十六日には、実際に船舶を使用したいわゆる実動訓練を実施するなど、関係者の連携だとか、また練度の向上に向けて今取り組んでおるところでございます。
いずれにせよ、令和八年の一月の運用ということでございますので、その体制整備には万全を期してまいりたいというふうに思っております。
以上です。
○石井委員 ありがとうございます。
運用に向けていよいよ大詰めということでありますので、万全な準備、是非よろしくお願いをいたします。
私、愛媛から大阪に行くときはよく大型フェリーを利用しておりまして、夜出て船の中で一泊して朝着くという船旅を何度も経験をしております。今の大型フェリーは、個室も完備をされておりまして、特に揺れることもありませんし、かなり快適に過ごせるようになっております。
この大型フェリーの病院船への活用は非常に可能だと思っておりましたので、運用には大変期待をしているんですけれども、災害時には、今定期的に運航している大型また中型のフェリーを一時借りて、そして運用するということでありまして、様々やはり課題があるというふうに思います。災害発生後、被災地への派遣調整、停泊する港の状況、そして人材確保など、あらゆる想定をした上で準備をしていかなければならないというふうに思います。
これまで実証実験やまた訓練などを行ってきた際の船舶医療運用の主な課題点は何か、また現時点での検討状況について、お伺いしたいと思います。
○鎌原政府参考人 お答え申し上げます。
大規模災害時におきます船舶活用医療は、災害対応、医療、船舶等の様々な専門分野により実施をされる複合的な活動であります。このため、まずはこれらの多様な関係者間の連携、協力体制を確保し、円滑かつ効果的な船舶活用医療を実施することが重要と考えております。
また、被災地に船舶を派遣するためには、航路が啓開をされ、港の係留施設が使用可能な状態にあることが前提となりますため、これらの情報を迅速に把握し、船舶の安全を確保した上で速やかに船舶の派遣ができるよう、訓練等を通じて手順などを確認しておくことが必要と考えております。
加えまして、海上及び船内という特殊な環境の中での活動となりますことから、訓練などを通じた習熟と併せて、今後、医療関係団体等と連携をしまして、船舶活用医療に精通した人材の育成、確保を図っていくことも必要と認識をしております。
これらの課題を踏まえながら、引き続き、船舶活用医療提供体制の充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
○石井委員 ありがとうございました。
大規模災害時は、やはり余震とか、津波がまた起きるかもしれないということで、安全な場所に移動することも想定をしないといけないというふうに思います。また、被災地以外で受入れの自治体をどのように確保するのかといったこと、そことの連携についても検討していく必要があるというふうに思います。
また、医薬品とかは、今の段階では、医療チームが用意するというほかに、被災自治体が手配するというふうになっておりまして、ただでさえ陸の災害救援で大変な中で、その負担も大きくなるというふうに思っております。やはり被災していない自治体からの応援も必ず必要だというふうに思います。その連携についてはやはり国が主導していく必要があると思いますので、国としての支援を是非よろしくお願いしたいと思います。
資料一にありますとおり、現在、日本の病院船については、法律では、国が独自で医療船を保有するというふうに書かれておりますけれども、当面は、今使っている民間の船舶、大型フェリーを借りて対応することになっております。
果たして災害時にそれが迅速に使えるかということが重要な課題になってくると思います。当面の間は、民間船舶を活用していく上で協定を結ぶことになると思いますけれども、やはり、使用する器材の運搬、そしてまた、船内で使用可能なエリアをどうするのかなど、現在どのような課題、そして想定をして活用していくのか、教えていただけますでしょうか。
○鎌原政府参考人 お答え申し上げます。
船舶の確保につきましては、今委員御指摘のとおり、本年三月に閣議決定をされました整備推進計画におきまして、船舶を保有するまでの当面の間は、民間の船舶事業者の協力に基づき、民間の既存船舶を活用するというふうにされてございます。
現在、複数の民間カーフェリー事業者と協定締結に向けて協議を行っているところでありますが、発災時に円滑な協力が得られますよう日頃から船舶活用医療への理解を深めていただくとともに、使用する可能性のある船舶を活用した訓練などを通じまして医療従事者が船舶の構造や特徴に慣れておくことが必要と考えております。また、発災時には、航路や港湾の安全性の確認など十分な調整を行った上で派遣要請を行う必要があると考えてございます。
引き続き、民間カーフェリー事業者と十分に協議、調整を行いまして、より実効性の高い船舶活用医療活動となるよう体制整備を進めてまいりたいと考えております。
以上です。
○石井委員 ありがとうございます。
お借りするに当たっては協定を結んでいくことになると思いますけれども、やはり、大規模災害は長期になることを予想して、民間事業者との契約、あらゆる想定をしていかなければならないというふうに思います。
アメリカのマーシー号のように国の保有の病院船があれば、設備も充実して、より高度な医療、対応ができるというふうに思います。予算はかかると思いますけれども、やはり人の命が懸かっている問題でありますので、国の保有の病院船についての導入も同時進行で是非進めていただきますように、よろしくお願いいたします。
続いて、豪雨災害などからの流域治水対策のデジタル活用についてお伺いをいたします。
愛媛県では、西日本豪雨災害によって川が氾濫して、町全体が浸水して大きな被害に遭いました。今治市では、県内で初めて、企業と共同でAIによる監視システムを開発して、AIが二十四時間三百六十五日、対象地域の水位を監視して、深夜帯やまた天候の急変時においても、一時間後の水位を予測してシステムから関係者に通知できるようにしております。それによって、治水対策の負担が軽減でき、またさらに、初動への準備期間を確保することができるようになったということであります。まさに、予測の精度、そしてまたスピードは命を守る鍵になるというふうに思っております。
デジタルを活用した防災対策については、どの自治体もしのぎを削って、そして独自で開発をして、また導入に向けて取り組んでいるところでありまして、やはり更に国の後押しを期待しているところであります。
国土強靱化に向けて、防災のデジタル化、牧野大臣の御決意をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○牧野国務大臣 石井委員にお答えをいたします。
今御指摘のように、インフラの整備、また管理のための担い手不足に対応するためには、デジタル、またAIといった技術の活用が重要であると考えております。
本年六月に策定した第一次国土強靱化実施中期計画におきましても、デジタル等新技術の活用による国土強靱化施策の高度化を施策の柱に位置づけるとともに、最先端のデジタル等の新技術を活用した、線状降水帯、台風などの予測精度の更なる向上、また河川情報の充実、さらには一元的な情報収集・提供システムの整備といった対策を位置づけております。
引き続き、最先端のデジタル、またAIの技術を活用して国土強靱化の取組を着実に推進してまいります。
以上です。
○石井委員 ありがとうございます。
防災におけるAIの活用は国民の命を守ることになると思いますので、是非また進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、流域治水におけるデジタル化について、またお伺いいたします。
資料二を御覧ください。
島根県美郷町では、AIを活用して堤防の水門を遠隔で操作して自動で開閉する実証実験が行われております。大雨のときには、川の増水を防ぐために川の開閉を行っていきますけれども、これまでは、人が手動で行っていたために危険を伴いました。東日本大震災のときには、水門を閉める作業で多くの消防団が犠牲になってしまいました。今は、自動で開閉できるオートゲートも普及をしてきております。
資料三を御覧ください。
こちらに国交省のデジタル化に向けた取組が示されております。災害のときには、避難を呼びかけるために危険箇所に行って命を落としてしまっていた方もいらっしゃいました。また、人口減少が著しくて高齢化が進んでいる地方においては、大規模災害から住民を守るためには、人の力をできるだけ最小限にして、効率のよい対策を行っていかなければなりません。
そこで、国交省にお伺いいたします。
流域治水における省人化、人がいなくてもできる防災対策、現在の取組、どのように実現していくのか、教えていただけますでしょうか。
○宮下委員長 国土交通省林水管理・国土保全局長、答弁は簡潔にお願いします。
○林政府参考人 お答えいたします。
気候変動による水災害リスクが高まる中、人口減少、少子高齢化の更なる進展など、社会情勢は大きく変化しており、デジタルを始めとする様々な技術を活用して流域治水の推進、省人化、高度化を進めることが重要であると考えてございます。
このため、例えば、小規模な樋管、樋門について、省人化、高度化の観点から、水位差を活用して自動的にゲートが開閉するフラップゲートへの切替えを進めています。さらに、委員御指摘のように、デジタル技術を活用した樋門の開閉操作の自動化について、AIの活用を含め検討を進めているところでございます。
このほか、樋門、樋管以外についての取組も進めてございます。例えば、流域の様々なデータを日常業務や災害業務において効率、効果的に利活用できるようデータを一元的に管理、共有化する情報基盤プラットフォームの構築を進めてございます。データや情報の取得を自動化、効率化するため、衛星、センサーなどを活用した災害情報の把握、このような取組も進めてございます。
国民の安全、安心を確保するため、引き続き、積極的にデジタル技術を活用し流域治水を進めてまいります。
○石井委員 ありがとうございました。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○宮下委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党・無所属クラブの田中健です。よろしくお願いいたします。
私からは、南海トラフの地震と台風十五号等の被害についてお聞きをしたいと思います。
まず、南海トラフ地震についてです。
政府の地震調査委員会は、今年九月に、三十年以内の発生確率について、十二年ぶりの見直しを行いました。これまでが八〇%だったものを、一つ目が二〇から五〇、そして二つ目が六〇%から九〇%と、二つが併記をされることになりました。
まず、この理由を伺います。
○古田政府参考人 お答えいたします。
地震調査委員会では、海溝型地震や活断層で発生する地震を対象に、規模や一定期間内に地震が発生する確率などを予測した長期評価を取りまとめてきました。
南海トラフ地震の発生確率については、今般、観測値の誤差や計算モデルの見直し等に関して新たな科学的な知見があったことから、計算方法を見直しました。
南海トラフでは二種類の計算モデルを適用することができまして、一つ目は、地震発生時期の間隔と地震の規模に関連する隆起量データを使うSSD―BPTモデル、もう一つが、発生間隔のみを使うBPTモデルがありますが、現時点では、科学的に優劣がつけられないため、これら二つの計算モデルに基づく確率値を併記しております。
ただ、この二つの確率値は共に、見直し前と同じく、地震発生の可能性が最も高いランクに分類されるものだという点が重要だと考えております。
南海トラフ地震の発生確率について、高いという評価は変わっておらず、地震発生に対する防災対策や日頃からの備えに引き続き努めていただけますよう国民の皆様に呼びかけてまいります。
○田中(健)委員 今二つのモデルを言っていただきました。いわゆる時間予測モデル、これは唯一、南海トラフ地震の発生率にのみ使われているモデルです。またもう一つは、全国統一の算出方法の単純平均モデル。この二つが、前回の二〇一三年も、資料を見ていただければ分かるように、説明文には両論併記されていたんですが、今回は本文、主文に載せられることとなり、二つが併記されたということです。
これまでの議論では、この二つの話をしますと、政府は、二〇〇一年の地震調査委員会において、時間予測モデルの方がより精度高く次の地震の発生を予測できると考えられるということを言っていましたが、ではこの前提は崩れたという理解でよろしいでしょうか。
○古田政府参考人 お答えいたします。
前回、第二版、平成二十五年公表時においても、二つの計算モデルは科学的に優劣をつけられなかったため、時間予測モデルとBPTモデルの二つのモデルから計算した確率値を共に公表資料の中に記載しつつ、第一版を踏襲した時間予測モデルで計算した確率を主たる評価として用いていました。
BPTモデルの確率値が主たる評価として扱われていないことについての有識者の意見や国会質疑などを踏まえ、今回の改訂では、確率計算方法の改善を加えた上で、BPTモデルの確率も本文に併記することとしました。
今回改訂しました両確率値とも、見直し前と変わらず、最も高いという評価でございまして、繰り返しになりますが、地震発生に対する防災対策や日頃からの備えを引き続きお願いしたいと考えております。
○田中(健)委員 今説明は、確率論と発生確率の危険度と一緒に議論をしているんです。ですからちょっとかみ合わないんですけれども、今回は併記せざるを得なかったんじゃないかと思っています。
今までもこの問題は出てきていたんですけれども、併記しないでここまで来たんですが、もう併記せざるを得ない状況に来たんじゃないかと思います。なぜならば、新たな調査結果の、成果はないと言っていますし、さらに、どちらが適当かは科学的にも優劣をつけられないとまではっきり言っているわけですね。
ですから、今までも両方やってきた。しかしながら、世の中に出てきたのは、八〇%程度だ、ずっとこれが言われてきたんです。もちろん準備することは大事ですよ、私は低けりゃいいと言うものではないんですが、何が言いたいかというと、意図的に低い数字を出さないで、もしも高い数字を出して科学的根拠というものが軽んじられたとするならば、それは大きな問題だということであります。
科学というのは、もちろん科学的事実を基に進めなきゃなりません。今回でいえば、科学としては地震学であります。そして、防災対策という私たちの政策にどうつなげていくかというのが問われているんだと思いますが、この地震予測、どう考えても、皆さんも分かりにくいですよね、二つあって、この確率がどっちか優劣もつけられないと言っているんですから。
ですから、私は今こそ地震予測の必要性というのを考えるときに来ているんじゃないかと思いますが、政府の考え、今日来ていただいていますので、伺います。
○清水大臣政務官 お答えいたします。
地震の発生につきましては、不確実な自然現象であり、その発生の可能性を科学的根拠として定量的、客観的に示すために確率が求められており、各国でもこれは採用されているところであります。
地震調査研究推進本部では、防災対策を効果的に推進し、国民の防災意識を高めるために、地震の発生確率と揺れの予測を組み合わせた全国地震動予測地図を公表しており、その際、日本国内で強い揺れに見舞われる確率がゼロとなる地点は存在しないこと、その確率が数%未満の場合でも、事故死などと比べ決して低い確率ではないこと、このため地震は国内どこでも発生し得ることを念頭に防災対策を行っていくことが必要であること等も併せて、丁寧に情報発信を行わせていただいているところであります。
他方、確率評価の伝え方については、これまでも不断の見直しを行ってきたところであります。引き続き、有識者の御意見も賜りながら、分かりやすい周知、広報の在り方について検討してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 一般論は分かります。各国でももちろんやっていますし、地震予測をしているんですが、今回の南海トラフは、まさに国家的プロジェクトとして進めてきて、そして八〇%だと言って、もう本当に三十年以内に起きるというふうに皆が思っていたのが、モデルによってこれだけ差が出てきてしまう。じゃ、科学的根拠というのは何なんだろうということをもう一度考えないといけないし、もしも両方正しいならば、私は、余り確率なんて関係なくて、それよりも、もう起きるということを前提とした、さらには起きた後のこととか、そういったことに政策をシフトしていった方がいいんじゃないかという問題提起でお話をさせていただきました。
済みません、時間がありませんので、またこの議論をさせていただければと思います。
二点目は、台風十五号の被害についてです。
被災者生活再建支援法は、一定規模以上の住宅被害が発生した市町に居住する被災者のみが対象となりますが、今回、台風十五号では、私の静岡県は、牧之原市というところ、テレビでもよく出ましたが、大変被害が大きく適用となりましたが、お隣の吉田町というのは適用されませんでした。
今回、竜巻の被害というのが初めてで、日本で最大級の竜巻の被害が出ました。竜巻というのはほかの地震や水害とは違う被害でありまして、適用区域の不均衡の解消というのが必要ではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○あかま国務大臣 まず基本として、災害による支援、これは住民に身近な自治体による対応がまず原則だということであります。
他方で、ある一定規模以上の災害の場合には、当該の自治体のみで対応するのが難しい、困難というふうに考えられるということで、被災者生活再建支援法により、一定以上の住家被害を受けた方に対して、全都道府県の相互扶助及び国の財政支援による支援金の支給、これを行っている。
全ての被災区域を支援の対象とすることについては、自治体間でどのようにお互い助け合うのか、国と自治体でどのように役割分担するのか、また、国や都道府県の財政負担等の課題もあるというふうに理解をしております。その意味では、慎重に対応、また検討しなきゃならない、そういう話だというふうに理解をしています。
○田中(健)委員 台風十五号は、激甚災害においては、牧之原も吉田町も両方とも対応になっていますので、やはり同じ災害で被災した全ての人に、市町村に対する適用をすることが必要かと思っていますので、お願いしたいと思います。
もう一つは、被害認定調査です。
竜巻などの被害というのは、屋根が飛んでしまったりしますので、被害が生じている場合でも、全壊等を判定するのには内部調査する必要があったりして、なかなか調査業務に時間がかかっています。水害や地震は簡易判定基準というのがありますけれども、竜巻にはないものですから、是非、今回の被害を基に検討をしていただければと思います。いかがでしょうか。
○宮下委員長 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○あかま国務大臣 速やかな支援につなげるように、調査が迅速にできるように検討してまいります。
以上です。
○田中(健)委員 ありがとうございます。是非とも、検討の方、よろしくお願いします。
以上です。
○宮下委員長 次に、福重隆浩君。
○福重委員 公明党の福重隆浩でございます。
時間の制約もありますので、早速質問に入らせていただきます。
十一月五日の代表質問において、我が党の斉藤代表は、能登半島地震からの創造的復興を進める上で、深刻化する人手不足、担い手不足を解消するため、国の全面的な支援を求めました。
公明党は、発災以来、単なる原状回復にとどまらず、地域の未来を見据えた創造的復興を一貫して主張してまいりました。
能登半島においては、昨年元日の大規模地震、そして九月の豪雨災害と、二度の大規模災害に見舞われ、復旧はいまだ道半ばであります。復興計画は自治体主導で策定される一方で、仮設住宅や避難生活の長期化に伴い、地域コミュニティーの分断と人口流出が加速しています。輪島市や珠洲市では人口減少率が一一%に達し、集落の存続危機や、町じまいを考えざるを得ないとの声、また、戻りたいが戻れないという切実な思いが広がっております。
今必要なのは希望ある復興であり、ふるさとが必ず復興すると確信できれば、帰りたいと思う方は必ずいらっしゃいます。若い世代が将来を描ける地域にするためには、自治体任せにすることではなく、国主導による力強い地方創生と切れ目のない財政支援が欠かせません。
そこで、お伺いをいたします。
能登半島地震におけるインフラ復旧の遅れ、人口流出、コミュニティーの分断、人手不足、担い手不足といった現状を政府としてどのように認識しているのでしょうか。また、創造的復興と地方創生を一体で進めるために、住宅、インフラ、産業、コミュニティー、人材を総合的に支える具体的な支援策と財政措置を今後どのように講じていくのでしょうか。能登半島地域に希望ある復興を実現するための政府の決意を併せてお示しください。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
復興と一概に言っても、まさに希望があるという意味合いは強いんだと思っております。また、そこには、元のとおりに戻すという旧来の、いわゆる原状復旧という話じゃなく、創造的復興、そういった意味。僕は、この間被災地に行ったときに、被災住民としゃべっておるときに、先が見えなきゃ嫌だよねという会話をしたんですよ。その意味でいえば、希望だとか先が見えるとか、まさに次が生まれるといった、そんな復旧復興でなきゃならないということを思っています。
その上で、能登半島地震復旧・復興支援本部、これが司令塔になっていて、復旧復興を全面的にバックアップしておる。加えて、創造的復興タスクフォース、これを設置して、関係機関、関係者が緊密な連携を図りながら、予備費などを使いながら、切れ目なく着実に進めてきたというふうには理解しております。
先生がおっしゃる今後という部分にあっては、人口減少という課題もあるし、また、どうしたら持続可能な地域になり得るんだ、どうしたら実現可能なんだということ、これはまず被災自治体が主体となって考える部分があると思います。その中でいわゆる地域ビジョンというものが見えてくるし、それをしっかり国としても後押しすること、これが大事、肝要だというふうに思っています。
より具体的に言えば、石川県が作った創造的復興プラン。地域が考える地域の未来を尊重する、若者や現役世代の声を十分に、確かにこれも大事だと思います。多様な形で地域のことに携わる関係人口、黙っていたって人口は減るよね、でも関係人口を増やすことによってという部分における持続可能性というのもあるんだろうと思っているし、更に言えば、女性、外国人、また障害をお持ちの方も含めて多様な視点が積極的に取り入れられる、そうした視点を持った、いわゆる持続可能なまちづくりの方向性というものが見えてきたんだろうと思っています。
我々国として、こうしたプランの実現に向けて、国も県も市も、また、現場が抱える課題というものを一個一個丁寧に、そして、まさに先生がおっしゃるとおり、未来が希望が持てる、そうした復興にしていかなきゃならないと思っていますので、内閣府防災を始め関係省庁と一体となって、連携を持って取り組んでまいりたい、そう思います。
○福重委員 御答弁ありがとうございました。
被災地に赴かれて声を聞かれた、これは大事なことだと思います。本当に、被災者に寄り添いながら、強いリーダーシップを持って進めていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
私は、災害関連死ゼロを目指して活動されている避難所・避難生活学会さんから十年以上にわたり、多岐にわたる御助言や御要望をいただいてまいりました。
過去の熊本地震では、直接死五十名に対し災害関連死は二百名以上と、助かった命が避難生活の中で失われる悲劇が四倍以上も発生しております。能登半島地震でも、停電下の寒さ、断水によるトイレ不足が高齢者の健康を急速に奪いました。
避難所・避難生活学会では、いわゆるTKB、トイレ、キッチン、ベッドの四十八時間以内の配備を強く推奨しておられます。また、これらを国際的な人道支援基準であるスフィア基準にのっとって運用することで、避難所の快適性向上につなげることが重要であると思っております。
加えて、避難所の環境改善においては、空調と非常用電源の整備、確保が重要であります。
公明党として、避難所の環境改善の観点から、二四年十一月に、石破前総理に対し、五年をめどに空調設置一〇〇%を目指し加速化するべきとの提言をさせていただきました。その後、政府の総合経済対策に、体育館の空調設置に関して、ペースの倍増を目指して計画的に進めると明記され、実際、二四年度補正予算に七百七十九億円が計上され、費用の二分の一を国が支援する交付金が新設されました。
そこで、お伺いいたします。
TKBの四十八時間以内の配備について、現在、国としてどの程度の実効性を持って準備ができているのでしょうか。また、避難所となる体育館等の空調設置率及び非常用電源の確保状況について、最新の取組の進捗をお示しください。
○横山政府参考人 まず私から、TKBの関係を御説明させていただきます。
避難した被災者が発災直後から尊厳ある生活を営めるよう、避難所などの環境を整備するための取組を進めることは重要と考えてございます。
内閣府におきましては、昨年十二月に、スフィア基準に沿って、自治体向けの避難生活に関する取組指針を改めました。本年六月から、災害対応車両を登録するデータベースの運用も開始しているところでございます。こういうことを通じて、良好な避難生活を迅速に確保できるよう取組を進めているところでございます。
具体的には、トイレについてでございますけれども、発災直後から五十人に一基の設置をまず求める、これを迅速にやる。そして、トイレカーの登録に当たり、し尿処理方法等を記載いただくとともに、発災後にし尿処理体制を迅速に確保できるように、環境省との連名事務連絡も出して、自治体の現場の体制を整えているところでございます。
食事についてでございますけれども、登録制度において、平時から事業活動を行っている方がキッチンカーの派遣と併せて対応することを基本としてございます。また、避難所のガイドラインにおいて、地元の飲食業者等の炊き出しの協定締結のモデル例なんかもしまして、市町村の取組が進むように促しているところでございます。
ベッドにつきましては、健康被害を防ぐ観点から、段ボールベッドを含みます簡易ベッドの確保及び発災時の避難者への提供、これを求めるという形でお示しをしているというところでございます。
引き続き、TKB中心に、関係省庁と連携しながら、良好な避難生活環境の確保に向けた取組を進めたいと考えてございます。
○金光政府参考人 お答え申し上げます。
公立小中学校の体育館につきましては、本年六月に閣議決定されました第一次国土強靱化実施中期計画に基づきまして、令和十七年度までに、避難所となる体育館の空調設置率を一〇〇%とすることを目指しております。現状といたしましては、本年五月一日時点で空調設置率は二三・七%となっておりまして、また、地方自治体によって差が見られるところでございます。
文部科学省といたしましては、空調設置を加速化するため、先ほど委員からも御指摘ございましたが、補助率を二分の一にいたしますとともに、補助単価を引き上げるなど、国庫補助制度の充実を図ってきたところでございます。
文部科学省といたしましては、引き続き、地方自治体が計画的に整備できるよう予算の確保等に取り組んでまいります。
○福重委員 ありがとうございました。
ちょっと今のに関連してお伺いいたしますけれども、国土強靱化実施中期計画には、公明党の強い推進で、避難所の再エネ設備、蓄電池の導入が六月に閣議決定をされました。迫りくる巨大災害に備えるためにも早急な整備が必要であると思いますが、今後の取組についてお伺いをいたします。
○大井政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきました、避難所となる公共施設などへの再エネ発電設備や蓄電池の導入につきましては、平時の脱炭素と有事の防災力強化、この同時実現の観点から、極めて有効な手段であると考えております。
これまでも、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に位置づけまして、導入支援を実施してきております。昨年度末までに、合計千十二施設への導入を支援したところでございます。
今後の取組につきましては、今御指摘がありましたとおり、本年六月に閣議決定された第一次国土強靱化実施中期計画におきまして、令和八年度以降の十年間で、追加三千施設への導入という目標が定められているところでございます。
環境省といたしましては、この目標を達成すべく、今次補正予算案におきまして四十億円を計上しておりまして、導入を加速化していきたいと考えております。
よろしくお願いします。
○福重委員 御答弁ありがとうございました。
是非スピード感を持って進めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
公明党は、近年の気候変動による自然災害の頻発化、激甚化、及び今後差し迫る巨大災害を見据え、本年六月四日、当時の石破総理に対し、防災庁の早期創設を提言いたしました。
災害が起きてからの事後対応ではなく、平時から備える事前防災へ社会構造を転換し、日本の防災体制が世界をリードする、その力強い司令塔機能として防災庁には大きな期待を持っているところでございます。
高市総理も、所信表明で、防災体制の抜本的強化を図るべく、来年度の防災庁の設立に向け準備を加速すると明言されましたが、重要なのは、加速の中身、すなわち組織の質と量であります。
現在の内閣府防災担当は、各省庁からの出向者が大半を占め、二、三年で交代してしまうのが実情でございます。これでは、過去の災害の教訓やノウハウが個人や組織に蓄積されることができません。
そこで、お伺いをいたします。
政府が目指す抜本的強化とはどのようなことを考えておられるのか。特に、創設される防災庁には、省庁の寄せ集めではない専任の人材確保をどのようにしていかれるのか。
また、災害現場では、県、市区町村の職員自らが被災しながらも、避難所運営、罹災証明の発行に追われ疲弊していく姿を何度も目の当たりにしてきました。外部からの支援を効果的に受ける受援力の強化に、国による強力なバックアップ体制が不可欠でございます。
今後、国として、プッシュ型の人的支援のみならず、DX活用による業務効率化などの技術支援、そして財政面でのバックアップをどのようにされるのか、現場の負担を抜本的に軽減するための具体的な制度設計について、政府の御見解をお伺いいたします。
○牧野国務大臣 福重委員にお答えをいたします。
令和八年度中の設置を目指している防災庁につきましては、我が国の防災全体を俯瞰的に捉え、徹底した事前防災と発災時から復旧復興までの一貫した政府全体の司令塔機能を担うのにふさわしい組織とするべく、体制を検討しております。具体的な組織については現在検討中でありますが、現在の一人の政策統括官の下での定員二百二十名の組織を更に強化拡充する方向で調整してまいります。
防災庁といたしましては、過去の災害対応の経験やノウハウを蓄積することが重要と考えており、新たな職員を採用し育成するとともに、省庁間の人事交流や民間の人材の登用などを通じまして、防災のエキスパートの人材を確保してまいります。
また、地域の事情に精通して災害対応の最前線に立つ自治体職員への支援としては、内閣府におきまして、現在、あかま大臣の下、都道府県ごとのカウンターパートとなりますふるさと防災職員の配置による自治体の事前防災や災害対応への支援、また、国、自治体や関係者が災害情報を迅速に集約して共有するシステムの提供、さらには、災害用資機材の整備や避難所の運営といった自治体の災害対応に対する財政支援などに取り組んでいるところでございます。
防災庁におきましても、こうした取組を更に充実させることに加えて、地域レベルでの具体的なシミュレーションに基づく地域ごとの災害リスクの評価への支援、また、災害時のワンストップ窓口として、伴走型の被災地への支援を行うなど、産官学民が緊密に連携し、効果的かつ効率的に事前防災や災害対応に臨む体制や制度を更に拡充してまいります。
○福重委員 御答弁ありがとうございました。
今お話の中で、エキスパートを民間からもというようなこともございました。やはり人材の採用、育成、こういったところがしっかりと行われることが大事だと思いますので、是非ともよろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
政府は、今年十月、南海トラフ地震の発生確率を見直し、今後三十年以内の発生確率を六〇から九〇%程度以上へと引き上げました。内閣府の資料では、南海トラフ地震の被害想定について、冬の深夜に発生した場合は死者が二十九万八千人で、そのうち約七割が津波によるものと言われております。首都直下地震についても、今後三十年以内にマグニチュード七程度の地震が発生する確率は約七〇%と言われております。
東日本大震災の復興に長く携わってこられた岡本全勝元復興事務次官は、災害対策は大きく三段階に分かれ、被害想定や防災計画を作る事前防災、発生後の救急や避難所運営などの初動応急対応、そして、インフラ建設や産業再生といった復旧復興であると述べられております。
この中で唯一、被害そのものを減らし、失われる命を救うことができるのが、第一段階の事前防災です。家庭での家具の固定、地域での自主防災活動や避難訓練、自治体による備蓄や計画策定、これらの地道な事前防災こそが運命の分かれ道となります。
政府では、新総合防災情報システム、SOBO―WEBを運用しておりますが、その最大の目的は国民の命を守るためであります。SOBO―WEBの活用を含め、災害対策基本法や防災基本計画において事前防災をどのように位置づけておられるのでしょうか。
また予算についても、南海トラフ地震の経済被害想定は約二百九十二兆円、首都直下地震は約九十五兆円と試算されています。これほど壊滅的な被害を防ぐためには、平時における事前防災への投資こそが最もコスト対効果の高い政策であります。事前防災に必要な予算、どの程度確保しておられるのでしょうか。
以上二点について、御答弁をお願いいたします。
○あかま国務大臣 お答えいたします。
災害対策基本法において、まさに事前防災の重要性、これが示されております。また、災害対策基本法であるとか防災基本計画において、災害予防、災害応急対策、続いての災害復旧の各フェーズ、各段階の対策、これが示されております。このうち、主に災害予防というものが、まさに事前防災に該当するんだろうと思っています。
SOBO―WEBの活用等を含め、災害応急対策、それから災害復旧を的確かつ迅速に実施するために、まさに発災前から取り組む対策が事前防災に位置づけられております。その事前防災があることによって被害がより最小化できるという意味にあって、いわゆる予算という部分、御質問があったんだと思っています。
この予算についてでございますけれども、事前防災については、この取組は各省庁いずれも実施されておりますが、内閣府防災担当、それから内閣官房の防災庁設置準備室、ここにおいての令和七年度当初予算の総額という意味では約百四十六億円、また、今般閣議決定された補正予算案の中では約百二十二億円。これらは主に、災害予防、それから災害応急対策の高度化や自治体の支援のための予算でありますので、これらを活用して、政府全体の事前防災の充実、また災害対応力の強化に取り組んでおるところでございます。
以上です。
○福重委員 申し訳ございません、SOBO―WEBに対して端的にお答えできますでしょうか。
○横山政府参考人 SOBO―WEBの活用も、これ自体が災害応急対策を迅速に行うための事前の準備作業でありますので、構築する予算、あるいは習熟する予算等が事前防災に該当するものだと考えてございまして、そういう予算が計上されているということでございます。
○福重委員 私、SOBO―WEBは、ある意味で、関係機関が情報を共有して迅速な対応が取れるようにというような形で国が整備されているんだというふうに思っております。
私、その上で、もしこれはお答えできればなんですけれども、こういった情報というのが、やはり自分事、パーソナルな情報として国民の皆さんに、避難をするときの指標として使えることがいいのではないかなというふうに常に思っているんですけれども、こういったことに対して国としては検討を進めているのかどうか、分かれば教えてください。
○横山政府参考人 SOBO―WEBそのものは、まだ未確定の情報とか少し機微に触れる情報も取り扱って災害対応機関で情報を共有するというのを一次的な役割として整備していますので、それそのものの情報をぱっと外に、一般の方にお見せするというのは難しいんですけれども、その中で、一般の方に共有してむしろ把握していただいた方がいいという情報をオープンにできる方向で、そういうものがどれか、どういうふうにオープンにするかというような検討はしたいと考えてございます。
そういうことがうまくいくようになれば、結果として、またそこからそれぞれのパーソナルな端末等にどうやって供給するかというのは民間業者の御協力も必要ですけれども、そういうふうな方向性で検討していきたいと考えてございます。
○福重委員 ありがとうございました。
是非、持てる情報をやはり個人単位で受けられるように。そうすることによって、避難の迅速な対応というものが取れるようになると思います。そういった意味で、情報を本当に国民に伝えられるような、そういうようなシステム構築というものを是非目指していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
時間の関係で一問飛ばさせていただきまして、郵便局を常設の地域備蓄倉庫へということに移らせていただきます。
災害物資の備蓄、配送拠点についてお伺いいたします。
全国には郵便局がおよそ二万四千局ございます。特に、過疎地や離島において、津々浦々まで張り巡らされたこのネットワークは災害時における命綱となり得ると私は考えております。郵便局を避難場所として活用する自治体もあり、高知市の高知中央郵便局は、南海トラフ地震を想定した津波避難施設として高知市から指定を受けて、約千二百人を収容できるとのことでございます。
また、郵便局でのオンライン診療の実証事業が行われるなど、郵便局は、単なる郵便の窓口から地域の生活支援拠点へと役割を進化させています。この機能を、災害時における備蓄、情報、見守り、支援の基点として最大限活用するべきではないでしょうか。
特に注目すべきは、神奈川県相模原市の事例です。市と郵便局が協定を結び、局内の空きスペースを備蓄倉庫として活用、更に画期的なのは、災害時にこそその備蓄品を郵便局が持つプロの配送ネットワークを使って避難所へ届けるスキームを構築している点でございます。
相模原市のように、備蓄場所の提供と配送までをパッケージにした連携の取組を強力に水平展開していくべきだと私は思っております。また、郵便局を常設の地域備蓄倉庫として位置づけることについて、国としての基準や運用指針を策定する考えはおありでしょうか。政府の御見解をお伺いいたします。
○宮下委員長 消防庁門前国民保護・防災部長、時間が経過していますので、簡潔にお願いします。
○門前政府参考人 消防庁の方から、前段の部分についてお答えをさせていただきます。
委員御指摘のとおり、自治体と郵便局との間で相互応援協定を締結し、物資の保管、緊急輸送などの取組が行われているものと承知しており、郵便局が地域の防災拠点としても重要な役割を果たし得ると認識しております。
このため、総務省消防庁においては、令和五年六月に、防災分野における自治体と郵便局が連携した優良事例をまとめた事例集を作成し、全国の自治体に周知を行っております。
今後も、総務省といたしましては、日本郵便とも連携を密にするとともに、市町村長や自治体職員に対し、研修などの機会を通じて、御紹介のありました相模原市などの優良事例を紹介するなど、引き続き、自治体と郵便局の連携が促進されるよう取組を進めてまいります。
○宮下委員長 内閣府横山政策統括官、簡潔にお願いします。
○横山政府参考人 御指摘のとおり、地方公共団体、備蓄場所に困っているという声を聞く場合もございます。郵便局が活用できる可能性があるのではないかなと考えてございます。
郵便局は、地域の生活のインフラの一つとして、地域に根差した、住民にとって大変身近な存在でもございます。地方公共団体の備蓄場所確保の観点も含めて、災害時における郵便局の活用可能性について地方公共団体に周知するなど、引き続き関係省庁と連携して取り組みたいと考えてございます。
○福重委員 是非、自治体と郵便局の橋渡し役を務めていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○宮下委員長 次に、櫛渕万里君。
○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。
あかま大臣、能登半島地震から間もなく二年、石川県が十二月一日に人口統計を発表しました。それによると、この大地震とその後の豪雨による二重災害で大きな被害のあった奥能登地域の人口が、地震が発生した昨年の元旦から著しく減っています。
パネル一を御覧ください。
こちらですけれども、先ほど近藤委員からも突風が吹いているかのような状況だという表現がありましたが、輪島市で三千二百九十四人減って一五%減少、珠洲市では二千七人減って一七%も減少しています。
さらに、パネル二です。
輪島市と珠洲市、能登町の三つの自治体は、昨年の元日と比べて職員数が一割減ったとのことなんですね。
あかま大臣、まず、このことに対する受け止めをお聞かせください。端的にお願いします。
○あかま国務大臣 今、被災地域における自治体の人口減、さらに自治体職員も一割減だという御指摘がありました。
もちろん、その地域にあって、未来にまた希望が持てる、持てない、様々な要素があるんだろうと思っています。地域が持続可能となるような復旧復興、創造的な復興にこれから更に取組を強くしなければならない、そう思っております。
○櫛渕委員 奥能登の高齢化率は五〇%を超えると言われています。確かに頻発する地震に不安を覚える人はいたとしても、誰も高齢化してから自分のふるさとを離れたいと思う人はいないですよ。決定的に被災者支援が足りていない。
我が党の山本太郎代表は、ずっとこのことを警告してきました。何度も能登半島に足を運んで、能登半島地震で、奥能登、国土面積のたった〇・四六%という地域さえも国は救えずにどうするんだ、被災者支援や復興にもっとお金をかけて支援に力を入れてくれ、放置をしないで人々を救ってくれ、こう訴えて、過疎地域だから、人口減少地域だからお金を使わない、コンパクトにコンパクトに、こういうことなのか、このような追及をずっと政府にしていたんです。
ほぼその懸念が当たる形となり、このような状況を招いているという、その自覚と責任、大臣はお感じになっていらっしゃいますか。たった〇・四六%の国土を守れない、そうした政府に、このままでは災害大国日本を守れないと思いますよ。
自治体の職員が一割減ったことについても、ニュースでは経験者を再び採用すると報じていますけれども、本質はそこではないと思うんですね。
私も発災して二週間後に輪島と珠洲を訪れていますけれども、もう既にそのときから自治体職員は疲弊し、本人もその家族も被災者なんですよ、被災者が被災者を支援するというこの枠組みが既に破綻しているということは、もう既に十四年前、東日本大震災であれだけの津波と原発事故を負って全てを失った被災自治体の悲鳴の声、ずっと訴えがありましたよね。だからこそ、被災したときに、自治体だけでなく、災害NPOや民間団体の経験や知見を活用して被災者支援をどう最大化していくのか、このことがずっと問われ続けて、そのために実効性ある仕組みをつくろうじゃないかということがこの間議論されてきました。
今年の八月も、能登半島は再び豪雨に見舞われています。一週間降り続いた雨は、昨年九月の大雨の雨量を超えているんです。今も能登の支援に入っている災害NPOや団体にお聞きすると、もう人々は心が折れて、またかという声もあったと聞きます。自治体から断水が心配という連絡、自治体からですよ。珠洲市内では、川の増水、一部冠水、土砂災害がまた発生して、こうした声が届くのは、その連絡を受けたのは災害NPOです。急遽、可能性のある地域の家庭へ飲料水の配布を行ったのは、そうしたNPOや連携されている団体なんですよ。幸い人的被害や床上浸水は免れたそうですけれども、またしても能登半島に大きな爪痕を残しています。
大臣、こうした現場や被災者をいかに助けていくのか。今年五月にそのために災害関連法が改正されたわけですが、どういう運用になっているのか、伺っていきたいと思います。
まず、被災者援護協力団体の登録制度についてです。
そもそも、れいわ新選組は、この制度は、行政の命令の存在と災害NPOやボランティアが重んじる自主性とが相入れない点や救助費が支給されない点など、反対の立場ですが、それ以前に、この制度そのものがこのままだと悪影響が出かねないと懸念しています。
というのも、十月に第一弾として六団体が登録、先日四団体が追加されましたが、半年でたったの十団体しか登録していない。数も少ないし、内容を見ても、これまで災害の現場で実績を積んでいる主要団体が必ずしも入っていないんです、一部だけ。誰が選ぶのか、基準は何かと聞いたところ、内閣府防災の政策統括官が担当し、提出された書類の要件を満たせばそのまま登録するというお答えでした。
これでは、政府のお墨つきが欲しいから、そうした理由だけで申請する団体が出てきたり、説明会に参加したある団体に聞くと、書類の手続が大変で時間がかかるだけで何がメリットなのか分からないとか、むしろ、活動が中途半端に公開されて評価が低いと判断されたときのデメリットが大きくなりかねないという警戒の声もあります。実績がある団体ほど、登録してもしなくても、これまでどおり自主的に真っ先に被災地に駆けつけるわけですから関係がないという声も聞こえてきますよ。
つまり、本来、災害救援団体のホワイトリストを作成したいという政府の意図とは裏腹に、よく現場を知らない団体もあり得る。もちろん、実効性ある団体も登録していますが、要は、ごちゃ混ぜリストになりかねません。また、行政側から見れば、どこまで団体の信頼データベースとなり得るのか、むしろ混乱の元にもなりかねない。
あかま大臣、これは、内閣府防災が募集して団体登録させるのをやめて、常日頃から顔が見える関係で現場の団体とつき合いのあるJVOADや災害中間支援組織に任せてはいかがですか。また、中間支援組織は全国で今二十六組織となりましたけれども、地域によってまちまちなんですよ。あるいは、存在していない県もまだありますね。国が各都道府県に働きかけて中間支援組織とマッチングして、関係団体に登録団体として募ることを任せてはどうですか。そういうことを依頼する、いかがですか。
○あかま国務大臣 今御指摘のある被災者援護協力団体の登録制度でございますけれども、さきの通常国会で成立した災害対策基本法等の一部改正をする法律案により創設されたもので、本年七月一日の施行以降順次、登録、申請、受付、今先生御指摘のとおり、十一月末時点で十団体。これにあって、内閣府防災は、この制度の趣旨として、登録団体の活動内容、さらには活動実績等の情報を全国の自治体と広く共有することで連携体制づくりの後押しを図って、もって、発災直後からきめ細かく質の高い被災者支援を実施しているところでございます。
もちろん、これからも様々な団体に協力いただけるよう、またNPO等にも数多く登録していただけるよう、努力、丁寧にまた説明をしてまいりたい、そう思います。
○櫛渕委員 大臣、質問に答えてください。中間支援団体や、実効性ある制度にするために提言しているんです。
こうした制度設計が何で問題になるかといえば、初めから、官民連携と言いながら、現場を知る中間支援組織や災害NPOの専門性ある人たちと事前に話をしない、そして制度設計に関わらせない。一方的に後から登録してくれと言ったって、それは実態として機能しません。
今、災害が発生するたびに、現場では、災害NPO、行政、社会福祉協議会、地域による行政書士会や司法書士会、土地家屋調査士会など士業団体や企業など、多様な主体が連携することが不可欠ですよね。これは本当に反省していただきたい。
そして、次の質問として、今度の補正予算、ここに、官民連携による被災者支援のネットワーク構築に四億四千万円計上されています。ここに、JVOADや中間支援組織の事務局経費、人件費は含まれていますか。含まれていないとすれば、その経費はどこから持ってくるのが適当なのか、お考えをお聞かせください。
○横山政府参考人 お答えいたします。
被災者援護協力団体を含めて、ボランティア団体等に対して直接的に財政支援をすることに関しては、先生も御案内かと思いますけれども、我々、いろいろな論点があるということで、そういうふうな予算計上はしてございません。
一方で、ボランティア団体に関しては、いろいろなボランティア団体ともいろいろお話をさせていただいて調整した結果として、本年の一月から交通費補助事業を始めてございます。ボランティア団体に対する支援はまずこういうところから始めて、自主性と我々の支援とのバランスを取っているところでございます。
○櫛渕委員 この日本では、災害が激甚化して頻発化しているんですよね。もうそんな悠長なことを言っている場合じゃないんじゃないですか。こうしたネットワークとか現場の連携を無償のボランティアに頼るのはやめた方がいいです。行政はノウハウがないんですよ。先ほどもほかの委員からもありましたけれども、避難所の運営とか技術系の支援の在り方とか、例えば、ブルーシートの張り方、あるいは土砂撤去のやり方、こうしたところを職員は分からないんですよ。それをずっと、阪神・淡路大震災以降、災害NPOが蓄積と知見、技術を積み上げてきているんですね。ここを、防災庁設置の中でも、先ほど大臣言われていましたが、蓄積、しっかり政府の中にためて、それを活用していくということがこれからの方向性なんじゃないですか。
本当にやるべきは、公助を支えるための共助にもしっかり予算をつけなければ被災者支援につなげることはできない、ここなんです。このことが教訓だということを、是非、大臣、しっかり認識をしていただきたい。
そして、牧野大臣にも、最後、一問お伺いします。
防災庁の骨格について、先日報道が出ておりましたが、ほぼ閣法の案はでき上がっている、こうお聞きしています。
今日お伺いした中間支援組織の位置づけ、そして専門性ある災害NPOや民間団体との連携というのはどのように位置づけられているのか。これは日本の防災力にとって必要不可欠かつ重要な柱であると思いますので、お答えください。また、それは、NPOや民間と連携重視と言っているわけですから、事前に防災庁設置準備アドバイザー会議に入っている構成員にも当然知らされていますよね。お答えください。
○牧野国務大臣 お答えします。
まず、予算の骨格、組織の骨格は、まだそこまで至っておりません。
そしてまた、ボランティア団体との連携、そうしたものは、もちろん、これからの防災庁をつくる上で重要な要素だと思っておりますので、これからどういう形で連携をしていくかということをしっかり検討をしていきたいと思っています。
○櫛渕委員 通常国会に出される閣法はほぼでき上がっているとお聞きしています。違うんですか。もう十二月です。
○牧野国務大臣 私のところにもまだ、その骨格というか、法案の中身についてはまだ示されておりません。
○櫛渕委員 内閣府防災で今進めている登録団体制度や中間支援組織、そこは中心に置かれますか。大臣のお考えをどうぞ。
○牧野国務大臣 防災庁は、当然のことながら、現在あかま大臣の下でやっております内閣府防災を発展そして拡充する組織であります。当然、行政の組織ですので、行政の中でそうしたボランティア団体との連携等をしっかり検討した上で、それを実行に移していくということになるかと思います。
○櫛渕委員 大臣、お約束していただきたいんですが、八回にわたって防災庁設置準備アドバイザー会議を開いてきているわけですね。議事録も非公開なんですよ。全然状況は分からない中ですが、少なくともこのメンバーには閣法を提出される前に御相談いただきたいんです。お答えください。
○牧野国務大臣 それについてもこれから検討をさせていただきたいと思います。
○櫛渕委員 検討だけではなくて、官民連携がこれからの日本の防災力の肝だということをずっと議論されてきています。これは三十年言っているんです。阪神・淡路大震災から、避難所の在り方一つ取っても変わっていないんですよ。現実を直視して、是非、この閣法を提出する前に、民間そして災害ボランティアの声をしっかり取り入れた形で、防災庁の設置に向けて準備していただくことを最後に重ねて申し上げます。
終わります。
○宮下委員長 次に、堀川あきこ君。
○堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。
今日は、能登半島地震及び豪雨災害による被災者の生活再建の在り方について、大臣の基本的なお考えをお聞きをしていきたいと思います。
大臣は、就任直後に能登に行かれたとおっしゃっていました。能登に行かれて、今、被災者の生活再建にとって必要なことは何か、大臣が現地で感じられたこと、考えをお聞かせください。
○あかま国務大臣 能登における被災者、その生活再建に向けて必要なこと、私の考えということで。
先ほど来様々な議論のある中で、それぞれに、お一人お一人に寄り添う、このことが大事なんだろうというふうに思うんです。もちろん、なりわいという部分、その地域にあって、新たなるまちづくりはこのようにしたいのだという地域の合意形成があれば、それに向かっていかなる支援ができるのだということもあるでしょう。又は、それぞれの地域を回りながらも、やはり、ある地域にあっては、元のいわゆる道路、海岸線にあっては我々の観光資源なんだという意味でいえば、速やかにまずはこの国道を通してくれという話もあるでしょう。
いずれも、その地域地域、一人一人、またエリアにあって、この先、先ほどの議論にあった希望だとかいわゆる創造的復興、そんな視点を持った復興が速やかに進む、フェーズ、フェーズに合わせて、手を携えながら、市、県、国、連携しながら対策に当たるということ、これが大事だというふうに思っています。
○堀川委員 今、被災者の生活再建の大きな足かせとなっています医療費、介護利用料の問題について、私はお聞きをしていきたいと思います。
まず、事実関係なんですけれども、国民健康保険と後期高齢者医療の対象となる能登半島地震の被災者の一部、住宅半壊以上の方ですね、地震発生の一月から窓口負担が全額免除をされていました。この措置には国の財政支援がありまして、昨年十二月までの一年間は特例措置として免除総額の全額が支援をされ、それ以降、今年の九月末までは通常ルールを拡充する形で財政支援が延長されていました。
しかし、最も被災者の多い石川では、六月末でこの減免措置が打切りとなっています。この判断は、あくまで、制度の運営主体である市町、後期高齢は県の広域連合というふうになるわけですが、国の財政支援の判断は、その災害の人的被害や住宅の被害規模などを鑑みて、そして過去の例にも照らして判断をしている、こういう認識でよろしいでしょうか。
○熊木政府参考人 お答えいたします。
医療保険におきましては、国民健康保険制度そして後期高齢者医療制度がございます。介護保険制度も同様でございますが、災害が生じた場合には、市町村等の保険者の判断で、被災者の方々の医療機関の窓口での一部負担金の支払い、これを減免することができることとされてございます。
その上で、令和六年の能登半島地震による被災者の方々につきましては、御指摘のとおり、令和六年一月の発災から本年九月までの免除分について、国による特別な財政支援を行ってきたところでございます。
これは九月末をもって終了させていただきましたが、その判断に当たりましては、過去の災害における支援状況、それから、富山県、福井県の一部の市町村等に限られていたといったような実態、こうしたこと等を勘案して終了するとしたことでございます。
○堀川委員 この減免措置が終了して以降、被災者の生活への影響が深刻になっています。
石川県の保険医協会が、県内の国保、後期高齢者医療保険への加入者を対象に、能登半島地震、医療の窓口負担免除に関する患者アンケートを実施されました。二千件を超えた時点での中間報告を皆さんに資料でお配りをしています。最終報告では五千件を超える回答があったということです。
中間報告では、打切りによる影響があったとの回答が六九・三%にも及んでおり、影響の内容は、受診回数を減らす、通院をやめたという回答も少なくなく、受診抑制が現実のものとなっていたというふうに報告をされています。最終報告では、通院に影響があったという回答が八五・四%になっておりまして、生活費を切り詰めて医療費に回すとか、受診せずに我慢するという声も多く寄せられているというふうなことです。
具体の声を幾つか紹介をしたいと思います。資料の一番最後に、自由意見欄ということで、少しちょっと見にくいと思うんですけれども、掲載をされています。
医療費免除が終了をし、受診の回数を減らしたら体調が悪化し入院することとなりました、経済的負担を減らしたい一心で受診控えをしたことが余計負担になってしまいました。別の方、生活費も切り詰めていますが、住宅再建でお金が足りずに困っています、そのため皮膚科や眼科の通院をやめました、歯科医院も痛くても我慢して通っていません。物価高で生活費が増え、年金だけの暮らしは大変です、出費を抑えるために七月から通院をやめました、体調が悪くなっていくのを感じますが、仕方ありません。医療費の一部負担は、被災から立ち直ろうとしている生活をより苦しくしています。こうした声がたくさん寄せられているということなんです。
この減免措置の打切りによる被災者の体調、生活への影響は深刻だというふうに思います。このような声を大臣は能登でお聞きになったでしょうか。大臣の受け止めをお願いします。
○あかま国務大臣 被災地に赴いた際に知事にお会いをし、また、珠洲、輪島、七尾、内灘町長にお会いをいたしました。その中で、復旧また復興の状況であるとか、様々なことについて意見交換をさせていただきましたが、残念ながら、委員御指摘のこの減免措置の打切り、またこれに起因する被災者の体調、またお困り事、そういったものは私の耳には届きませんでした。
同じように、減免措置、これは、所管する厚生労働省からも、また地元自治体からお話も伺った上で、財政支援を終了する判断を行ったというふうに伺っております。
○堀川委員 被災者の実態、これは、今日資料でお配りをしておりますので、是非受け止めていただきたいと思います。
なぜ、最も被害を受けている石川で、この減免措置が、国は九月末まで延長していたのに、六月末に石川では打ち切られてしまったのか。運営主体である市町あるいは後期高齢広域連合ですが、窓口負担の免除によって医療にかかる方が増え、医療費がかさみ、将来の保険料上昇の懸念がある、このことを挙げています。実際、我が党の佐藤正幸石川県議は、県から、被災自治体では被災前と比べると医療費給付が一割から四割増、介護給付も一割から二割増えているというふうな説明を受けています。
国が九月末までの支援を決定しているにもかかわらず六月末に打ち切ったのは、そうせざるを得ない財政事情があったということです。国からの支援さえあれば継続したいという自治体も現にあります。内灘町では、町議会でこの継続を求める意見書が採択をされています。
市町や広域連合の財政事情がやはり厳しいという声、あるいは国からの支援さえあれば継続したいという声、大臣、認識されていますか。
○あかま国務大臣 この減免措置を所管する厚生労働省からは、九月時点で減免を継続していたのは富山県、福井県の一部の市町村等に限られていたことや、過去の災害における支援状況などを勘案し、財政支援については九月末で終了することとなったというふうに伺っております。
先ほど申し上げたとおり、私は内灘の町長さんにもお会いしましたけれども、その際にこれについては伺っておりませんが、また、意見書が上がっているということに関して、それらもまた拝読させていただければというふうに思います。
○堀川委員 過去の震災の例などをおっしゃっていますけれども、今の能登の被災者の実態に即した支援をお願いをしたいと思うんです。
東日本大震災のときは、減免措置への財政支援というのは一旦終了をしているんですけれども、医療費が増大した被災地からの要望を受けて、その増大分について国からの財政支援がなされました。国が支援の拡充を示したことで、医療費の免除措置を復活させたという自治体もあったんです。
能登半島地震の被災者は、そもそも高齢化率が高く、年金収入のみの方がたくさんいらっしゃいます。その上に、近年の物価高騰によって暮らしが追い込まれていく。住宅再建についても、資材高騰などによってその費用が本当に重くのしかかっています。
更に言えば、奥能登地域では、製造や販売の仕事以上に福祉や介護の分野で多くの人が雇われている。医療、介護はこの地域の基幹産業だとも言えるわけです。医療、介護分野への支援は、被災者の生活再建あるいは地域の再建に向けても重要だというふうに私は考えています。
こうした能登特有の事情を鑑みて、補正予算やあるいは来年度の予算で、医療費や介護利用料への支援措置をやるべきではないでしょうか。大臣、お願いします。
○あかま国務大臣 能登特有のということを踏まえながらも、この物価高という話にあっては、全国にあっても同様の様々なそういった事態というものがあります。
医療、介護料の在り方については、全国的な課題として対応を行っていく必要があるんだろうというふうに思っております。その上で、医療、介護行政を所管する厚生労働省において、補正予算であるとか来年度予算への計上を決定するんだというふうに考えております。
○堀川委員 是非、大臣も積極的にこの予算措置というものを提言をされていただきたいというふうに思います。
最後に、被災者見守り・相談支援事業についてお聞きをしたいと思います。
私は、八月に能登へ視察に行った際、珠洲市の取組を聞かせていただきました。珠洲市では、発災直後から、行政や社協、ボランティア団体が連携をし、珠洲ささえ愛センターというセンターを立ち上げて、地域住民の見守りや相談活動などを継続しておられます。被災によってこうした事業を担う人材も施設も減っているという状況なんですけれども、ボランティア団体やケアマネの皆さんが仮設住宅や在宅避難の方を一軒一軒訪問をして様子を聞き取って、支援につなげておられます。しかし、この見守り・相談支援事業の助成金の縮小という報道があり、これまで続けてきた自分たちの支援がどうなるのかと、不安と怒りが出されました。
今回、補正でこの見守り支援について措置をされていますが、補助対象となる事業などを具体的に教えてください。厚労省、お願いします。
○伊澤政府参考人 お答え申し上げます。
能登半島地震、豪雨災害における被災者の方々は、応急仮設住宅への入居など、震災前とは異なる環境の中で生活を余儀なくされており、孤独やストレスなどを抱える被災者の生活環境の変化の対応については継続的な支援が必要と考えております。
このため、厚生労働省では、被災者見守り・相談支援事業におきまして、被災者の孤立防止等のための見守りや相談支援などを行う、御指摘のささえ愛センターなどの運営経費を財政支援しております。
今回の能登半島地震、豪雨災害におきましては、仮設住宅入居者等の生活や住まいの再建の進捗や被災者のニーズなども踏まえまして、緊急的に令和七年度補正予算案において必要な予算を計上してございまして、引き続き、被災者の方々が安心して日常生活を営むことができるよう、被災自治体等と緊密な連携の下、必要な支援を行ってまいります。
○堀川委員 済みません、最後。
今回、補正ということなんですけれども……
○宮下委員長 時間が経過しておりますので、まとめてください。
○堀川委員 熊本では五年間、十分の十で実施されました。これは能登の延長もあり得ますか。最後にお願いします。
○宮下委員長 厚生労働省伊澤大臣官房審議官、簡潔にお願いします。
○伊澤政府参考人 はい。
お答え申し上げます。
御指摘の点につきましては、過去に本事業を活用した特定非常災害の被災自治体との均衡の観点や被災地の復旧復興の実情も考慮した上で検討してまいりたいと考えております。
○堀川委員 ありがとうございます。
現地では、本当に歯を食いしばって、時には涙も流しながら、能登に暮らしたいという声に応えようと踏ん張っている方がたくさんいらっしゃいます。そうした方々や、何より被災者の実態に即して、人権を中心に据えた伴走型での支援、こうした姿勢を求めて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○宮下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十七分散会

