第20号 令和7年5月9日(金曜日)
令和七年五月九日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井林 辰憲君
理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君
理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 村上 智信君 理事 田中 健君
東 国幹君 石田 真敏君
井出 庸生君 伊藤 達也君
上田 英俊君 田中 和徳君
土田 慎君 長島 昭久君
中西 健治君 根本 幸典君
福原 淳嗣君 古川 禎久君
牧島かれん君 松本 剛明君
岡田 悟君 川内 博史君
川原田英世君 佐藤 公治君
階 猛君 末松 義規君
長谷川嘉一君 原口 一博君
水沼 秀幸君 三角 創太君
矢崎堅太郎君 斎藤アレックス君
萩原 佳君 岸田 光広君
角田 秀穂君 中川 宏昌君
山口 良治君 高井 崇志君
田村 智子君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
内閣府副大臣 瀬戸 隆一君
財務副大臣 斎藤 洋明君
農林水産副大臣 笹川 博義君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
財務大臣政務官 東 国幹君
財務大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 吉村 直泰君
政府参考人
(内閣官房米国の関税措置に関する総合対策本部事務局次長) 桐山 伸夫君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 松家 新治君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房デジタル・国際総括審議官) 佐久間正哉君
政府参考人
(金融庁監督局長) 伊藤 豊君
政府参考人
(財務省大臣官房長) 坂本 基君
政府参考人
(財務省大臣官房総括審議官) 寺岡 光博君
政府参考人
(財務省主計局次長) 前田 努君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
政府参考人
(財務省理財局長) 窪田 修君
政府参考人
(財務省国際局長) 土谷 晃浩君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 奥野 真君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 奥家 敏和君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 高橋 正史君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 横山 征成君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
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委員の異動
五月九日
辞任 補欠選任
牧島かれん君 井出 庸生君
江田 憲司君 川原田英世君
海江田万里君 佐藤 公治君
中川 宏昌君 角田 秀穂君
同日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 牧島かれん君
川原田英世君 江田 憲司君
佐藤 公治君 海江田万里君
角田 秀穂君 中川 宏昌君
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五月八日
保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
同月七日
消費税率五%以下への引下げとインボイス制度の廃止に関する請願(新垣邦男君紹介)(第一〇二一号)
同(上村英明君紹介)(第一一〇六号)
同(長友慎治君紹介)(第一二一〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
財政及び金融に関する件
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○井林委員長 これより会議を開きます。
財政及び金融に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣参事官吉村直泰君外十四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井でございます。
今日はちょっと、厚生労働委員会でも質疑に立つものですから、あと、途中、政治改革特委もあって三つかけ持ちで、少数政党なので、済みません、順番を変えていただきまして、誠にありがとうございます。
消費税についてお聞きしたいと思いますが、れいわ新選組は、結党以来、消費税廃止を一貫して訴えてまいりました。六年前に山本太郎代表が訴えたときは本当にたった一人で、ほかの党に見向きもされなかったわけですけれども、今や消費税減税が大勢を占めるに至っている。
野党各党も、さきの衆議院選挙では、立憲民主党を除いて全党が公約に掲げた。そして、立憲民主党もようやく減税というのを打ち出していただいた。そして、与党も、公明党は、はっきり言っていませんけれども、消費税減税の方向。そして自民党も、参議院の八割が、アンケートに、減税が必要だと。そして先日は、六十九名の議連のメンバーが、首相にもこれを主張しているということで、国会議員の大勢が消費税減税となる中で、そして国民の皆さんも、先日の産経新聞、FNNの調査によれば、賛成が六八%ということで、本当に国民それから国会議員のほとんどが求めているのに、自民党のごく一部の執行部の皆さんだけが反対をしていて。
先ほどの報道によれば、昨日、総理と森山幹事長が会談をして、消費税減税は見送ると政府高官が明らかにしたということですから、当然、加藤大臣も御承知かと思いますけれども、本当に消費税減税は検討すらしないんですか。こんなことで本当に自民党は大丈夫ですか。政府は大丈夫ですか。大臣、消費税減税、やらないんですか。
○加藤国務大臣 政府におけるということで答弁をさせていただきますと、消費税については、急速な高齢化などに伴い、社会保障給付費が大きく増加する中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられていることから、政府としてはその引下げを行うことは適当でないと考えておりますし、従来からもそう答弁させていただいているところでございます。
○高井委員 報道では、政府高官も明らかにしたということですから、政府も含めて、与党としてそういう決断をしたというふうに報道では読めますよね。
本当に今の国民の皆さんの暮らし、元々、三十年デフレ不況が続いて、そこにコロナが来て、そして物価高ですよ。今の物価高は、じゃ、経済成長にデフレ不況が克服されたといえば、そうではない。コストプッシュインフレですよ。米の値上がりを始め、あるいはエネルギー価格の値上がりなどで本当に悪性のインフレがある中で、やはり今一番必要なのは、消費税廃止、それから現金給付、それから社会保険料の減免、これを我々は国債を財源でやるべきだと。これについては来週の予算委員会で私、また取り上げますので、今日は少し各論というかですね。
我々野党は、消費税減税で、我々は廃止ですけれども、そこは百歩譲って、まず第一歩ということで減税でもまとまればと思っているんですけれども、なかなか野党がこれまたばらばらで、現在まとまっていません。是非ここは野党第一党の皆さんに懐深く。野党がまとまれば、今、少数与党ですから法案は通るんですよ、衆議院で。消費税減税法案を衆議院で通して、そして、参議院では否決されたって、そうしたら、いよいよそれはもう内閣不信任案ですよ。内閣不信任案を出して、そしてそれを可決して、解散・総選挙はまさに消費税解散、そうすれば政権交代間違いなしだ、こういうシナリオが明確に浮かぶわけで、ここは是非、それをやるためには野党がまとまる必要があって、野党第一党に私は懐深く対応していただきたいと思います。
今、野党第一党の立憲民主党の案というのは、食料品ゼロ、あと、一年だけというのも、これも大いに不満ですが、ここは協議の余地がある、延長の可能性もあるということですが、食料品ゼロが、やはり問題点が幾つかあると思いますので、ここは政府にも聞いておきたいと思います。
大臣にお聞きしますが、確かに、食料品ゼロにすべきというのが世論調査でも一番多いですね、三五%。国民の支持も得ている。ただ、なかなか、国民の皆さんは、食料品ゼロになったときにどういう問題点があるかということはほとんどの方が知らないと思うので。単に、食料品、今八%の軽減税率がゼロになれば、それは八%値下げになればいいなと思っているとは思うんですけれども。
しかし、残念ながら、食料品というのは、結構、スーパーなんかに行けば分かるとおり、特に生鮮食料品なんかは日々刻々値段が変わって、それはやはり、市場や競りで決まったり、天候の影響で収穫量が変わったり、あるいは、生鮮食料品じゃなくても、例えば輸入品であれば為替の影響も受けるし、それから、エネルギー価格の影響によって値段も変わっていく。こういったものが、消費者の皆さんは、消費税というのは、何か事業者が原価を決めていて、価格を決めて、そこにプラスで八%明確に乗っていると勘違い。これは勘違いなんですよ。
消費税というのは、法律上、明確に、事業者が決めると。事業者に課される税ですから、事業者が消費税分も込みで値段を決めていて、そのことは財務省も、消費者が支払うことを予定しているとしか、何度聞いても答えないわけですよ。予定ですから、別にそれを必ず乗せなきゃいけないという義務は事業者にないわけですから、その消費税分の予定している、消費者が払う分も予定している分も含めて事業者が決めているだけですから、私は、これは、消費税八%をゼロにしても八%そのまま下がるということはないと思いますけれども、大臣はどうお考えですか。
○加藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、政府としては食料品を含めて消費税率の引下げをすることは適当でないと考えているところでございますので、その上に立って、今の御質問ですから、あえてお答えさせていただきますけれども、食料品に係る消費税率を変更した場合の販売価格については、基本的には消費税率の変更分が価格転嫁されると認識をしておりますが、他方で、今委員からお話がありましたように、特に、日々、価格が、仕入れ値ですかね、が動くようなもの等、あるいは需要が変化といった様々な要素を踏まえて、最終的には事業者自身の経営判断に基づいて価格が決定されるという一面があることはそのとおりでございますので、実際どうなるかについて確たることを申し上げることはできないということでございます。
○高井委員 今はっきり認めていただきました。事業者の判断で決めていいんですよ、法律上そうなっていますからね。なので、消費税分を消費者が払うことを予定しながら、事業者が最後は、やはり、買ってくれないと売ってもしようがないわけですから、あと、競争相手もいるわけですから、そういう意味では、事業者が、まあ今も本当にぎりぎりの中で消費税を転嫁できずに苦しんでいる事業者はいっぱいいると思うんですね。そうなると、食料品の値段が、もしゼロにしても下がらないとなった場合、一番打撃を受けるのは飲食店なんですね。飲食店は食料品を仕入れていますから、仕入れているときに、今は仕入れ値の八%を控除できるんですね、仕入れ税額控除といって。控除できる分、楽なんですけれども、今度、ゼロになったら控除できなくなりますから。
ただ、立憲民主党さんとか維新の方は、いや、その分値段が下がるだろう、下がるんだから仕入れ税額控除ができなくたって同じじゃないかと言うんですけれども、今申し上げたとおり、下がらなかったとしたら、これは食料品店にとっては間違いなく増税になると思いますけれども、大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 食料品店。飲食店だというふうに思います、今のお話は。
まず、先ほどから申し上げておりますように、引下げは適当でないということを前提にお話をさせていただきますが、食料品の税率をゼロとした場合の飲食店が受ける具体的な影響、これは、委員からも今お話があった、様々な要素が関係するため確たることは申し上げられませんが、ただ、食料品だけの税率を下げるとすれば、外食は課税されているわけですから、基本的に、外食と食料品との税率の差、これは大きくなるということは言えると思います。
○高井委員 おっしゃるとおり。私は今言わなかったんですけれども、大臣からあえて言ってもらいました、外食の場合を。だから外食するのを控えるという方も当然増えるだろうということで、飲食店にとっては非常に打撃が大きい。もう既に飲食店の方からかなりの悲鳴の声が上がっていますので。
私は、立憲民主党さんには敬意を表します。あれだけ頑固だった野田代表を説得していただいて消費税減税にかじを切ったことはありがたいんですけれども、ここはもう一歩、野党がみんなでまとまるために。既に三年前に末松さんが御努力いただいて、消費税五%一律減税法案、そしてそうすればインボイスも廃止につながるということで、そういう法案を三年前に出しているんですよ。今の立憲民主党の小川幹事長が筆頭提出者ですからね。この法律を是非皆さんで、野党が一致結束してこれを出して、そしてさっき言ったように衆議院で通せばこれは実現するわけですから、是非野党第一党の皆さんには懐の深い判断をお願いしたいと思います。
ちょっともう時間がなくなってきたので、ちょっと飛ばしまして、社会保障の財源かどうかということ、最後に通告、質問しようと思っていたことなんですけれども。
これは、実は、神野先生、加藤大臣もよく御存じだと思いますが、私も大学で、教え子の一人なんですが、神野先生がこう言っています。政府の税制調査会の委員もした後、地方財政審議会の会長もされたまさに政府の重鎮ですけれども、社会保障負担を付加価値税、日本でいえば消費税ですね、と結びつけようという考え方は日本以外ないと。これは江田憲司さんもよく言っていますけれども、世界中で社会保障の財源にしている国はないんですね。
私は、かつて、今の社会保障の財源にしたのは、二〇一一年、一二年、税と社会保障の一体改革のときに無理やりこじつけて社会保障の財源にしましたけれども、それ以前は、財務省のそういう審議会や有識者会議でも、ヨーロッパではそういう考え方はない、やはり消費税というのは社会保障の財源としては不向きなんだ、だからヨーロッパで付加価値税を社会保障の財源にしている国はないというふうにはっきり財務省も言っていたのに、政治に押し切られたのか、無理やり、社会保障の財源だ。その方が国民にとっては聞こえがいいからそういうふうにしていますが、しかし、前も指摘しましたけれども、特定財源じゃないですから、一般財源なんですから、お金に色はありませんから、もういいかげん、社会保障の財源だと言い張る、法律のお題目を唱えるのはいいんですけれども、現実的にはそうではないということを財務大臣にはお認めいただきたいんですけれども、いかがですか。
○加藤国務大臣 済みません、私も神野先生は大変敬愛しているところでございますが、ただ、具体的にどういう発言されているかは承知していないので、それには答弁を控えさせていただきたいと思いますけれども、我が国においては、少子高齢化が急速に進展し、高齢化率が世界で最も高い水準となる中で、国民全てが人生の様々な段階で受益者となり得る社会保障を支える経費は国民全体が皆で分かち合うべきとの理念の下、現役世代だけでなく幅広い世代が負担する消費税を充てるのがふさわしいという考え方に立ち、社会保障・税の一体改革において、消費税を社会保障目的税化したところであります。
また、消費税収については、制度として確立した年金、医療、介護、少子化対策の社会保障四経費に充てること、これは消費税法に規定をされているところでございまして、それにのっとって財政を運営させていただいているところでございます。
○高井委員 それは、社会保障額の方が圧倒的に大きいわけですよ。今、消費税は二十四兆、五兆ですかね。それ以上にはるかに大きい社会保障額があるんだから、それはそういうことにしておけば確かに済むんですけれども、そもそもの税の考え方として、やはり消費税というのは、付加価値税というのは社会保障には不向きでありますし、だったら、例えば消費税を上げ下げしたら社会保障の金額が変わるんですか。変わるわけないですよね。社会保障の額はもう決まっているわけですから、それに消費税をただ充てているだけだということを、是非これは国民の皆さんが広く知っていただきたいと思います。
では、最後にもう一問。
これは局長で結構ですが、ちょっと順番を飛ばしちゃったんですけれども、さっきの食料品ゼロと同じ考え方なんです。実は、輸出還付金、それから、私はこの委員会でも、人件費にも課税をされているんだからそこは。しかし財務省の答えは、輸出還付金も人件費も、事業者が、相手方がその分値段を下げているんだからとんとんでしょうということですけれども、さっきの食料品と一緒で、値段が下げられない、輸出還付金だって、下請事業者が値を下げられないというケースがあるわけです。こういったケースについてはいずれも、これは財務省の答弁は現実を把握してない。要するに、値段が下げられないということを理解していない机上の空論だと考えますが、財務省、いかがですか。
○井林委員長 青木主税局長、手短にお願いします。
○青木政府参考人 まさに消費税の転嫁の問題だと思いますが、令和五年七月に行われました中小企業庁の転嫁状況に関するサンプル調査におきまして、価格に転嫁できたと回答した割合は九二%となっておりますので、基本的に消費税は転嫁できているものというふうに認識をしております。
○高井委員 そんな調査に正直に答えないし、さっきも大臣から答弁いただいたように、消費税を込みで、もうあとは事業者が決めているわけですから、そういうのは全くの机上の空論だということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございます。
○井林委員長 次に、末松義規君。
○末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。
私も消費税について、先ほど高井議員から食料品の消費税をゼロにした場合どういうふうな課題があるのかと、この辺をもっと具体例で詰めていきたいと思っております。
今、立憲民主党の方で、私の方は一律五%を、消費税減税するということを叫んできたんですが、この前、野田代表の方で整理をして、食料品の消費税率をゼロ%にする、これを一、二年やる、その後で給付つき税額控除にしていくということが示されたわけでございます。
まず、食料品の消費税率をゼロ%にする場合。例えば千円の原価の野菜を今買えば千八十円になるわけです、八%で。これを、食料品の消費税率をゼロ%とした場合、食品、野菜が千八十円のところ千円になって買えて消費者としては非常に喜ぶ、同時に、農家等の生産者は生産にかかったコストを消費税分の全額が還付されると考えていますけれども、これはそれでよろしいですか。
○青木政府参考人 お答えします。
仮定の計算の話でございますので、あえて御答弁させていただきます。
千円の本体価格のもの、食料品、千八十円で、現在は八%でございますので販売価格になっております。委員御指摘のとおり、これが、仮に食料品の税率がゼロ%になった場合は、消費税がなくなりますので、ゼロ%になりますので、千円になるということでございます。
○末松委員 生産者の方はどうですか。
○青木政府参考人 失礼しました。
その千円の食料品を生産するに当たりまして様々仕入れをされておる。仕入れに当たって、それが、標準税率、例えば一〇%の仕入れの場合は、その一〇%、仕入れ税額を支払っておりますが、その仕入れ税額につきましては仕入れ税額控除という形で控除を受け、控除し切れない部分については還付を受けるということになろうかと思います。
○末松委員 こういう一次産品を扱う場合は、消費者にとっても、食料品の消費税率がゼロ%になったら恩恵を受ける、ハッピーだ。生産者の方も、これは今の仕組みで当然のことながら全額還付を受けるということで、これもハッピー。両者ハッピーになるわけですね。ただ、飲食店において消費税率ゼロ%がどういうふうに働くかということを具体例でお示しをしたいと思います。
資料一を御覧いただきたいと思います。
Aというラーメン店が、ラーメンの本体価格が千円であって、消費税が百円、そうすると、ラーメンの税込み価格は千百円になる。そこで、ラーメン店Aは、精肉店Bから、仕入価格四百円、その消費税は八%で三十二円。つまり、仕入れ税込み価格が四百三十二円になる。そうすると、ラーメン店Aの納税額は、百円から三十二円を引いて六十八円、これが仕入れ税額控除になる額でございます。六十八円ですね。覚えておいてください。
ここで、例えば、消費者の方で、食料品の消費税がゼロ%になるんだよな、ということであれば、仕入れ税額控除、消費者が知ったと仮定して、三十二円の消費税をラーメン価格から引くべきじゃないか、もっと安くなるんじゃないかということを主張したとします。それをラーメン店が受け入れて三十二円引けば千六十八円、つまり千百円から三十二円を引いて千六十八円となります。そうすると、消費者の負担は三十二円減少してハッピーになるということなんですね。
そのときのラーメンの本体価格というのは、千六十八円が定価で売ったとしたら、消費税九十七円引いて、ラーメンの本体価格は九百七十一円になるということですが、その場合、ラーメン店Aの消費税額、つまり消費税を支払う納税額の増分は、九十七円消費税額がかかって、前はまさしく六十八円がラーメン店Aの納税額だったんですが、二十九円納税額が上がったように見えるんですけれども、この言い方で相違ないですか。
○青木政府参考人 本日の配付資料のことについてでございます。
まず、繰り返しになりますけれども、政府として食料品に対する税率を含めて税率を引き下げることは適当でないと考えておりますが、その前提で、御質問でございますので、いただいている資料についてお話をさせていただきたいと思いますが、まず、飲食店が税込み価格を一千百円から一千六十八円に値下げするという前提になっておりますので、この前提の下に機械的に計算いたしますれば、委員が御指摘されているとおり、消費者の負担は値下げ分三十二円が減少し、値下げ後の本体価格それから消費税額は、ここに記載されておりますとおり、九百七十一円、九十七円になります。
また、飲食店による消費税の納税額につきましても、この記載のとおり、六十八円から九十七円に変わりますが、税率の変更前につきましても、飲食店は、自らが納付されていた六十八円のほかに、食材の仕入れ先に対しまして消費税相当分として三十二円を支払っておりまして、これも併せて考えますと、消費税として元々百円を支払っていたことにも留意していただく必要があろうかと思います。
○末松委員 なかなかこの議論は分かりにくいんですよね。私自身も、これを納得するのにかなり時間がかかったわけなんです。食料品の消費税率をゼロ%にしたときに、税理士会とかあるいはいろいろな飲食店の方の方から、そんなことをやったって値段は下がらない、結局自分たちが負担して困るんだというような御意見も聞いていました。これも私もぴんとこなかったので、いろいろと調べてみると、こういう数式が明らかになったんですけれども。
七ポツを御覧ください。ラーメン店Aのもうけということを書いていますけれども。
普通、今までのやつは、食料品ゼロの導入前は、税込み価格で千百円が、仕入れ税込み価格が四百三十二円、消費税が六十八円で、もうけは六百円だったんですね。
これが、食料品の税率ゼロの導入後には、これは私が言ったように、消費者から見たら、食料品の消費税率がゼロになったんだからもっと安くなってもしかるべきじゃないか、こういう議論の前提に基づいているんですけれども、そこを、ラーメン店Aが千六十八円というのを受け入れた、そうすると、仕入れ税込み価格は四百三十二円でなくて四百円引いて、更に消費税が九十七円ということで、結局、もうけが五百七十一円。つまり、六百円じゃなくて、二十九円低くなった。これは負担がラーメン店Aの方に行ったわけです。
ラーメン店Aが負担をしないようにするためには、価格を千百円に戻す。千百円に戻せば、3に書いてあるように、千百円から仕入れ税込み価格は四百円引くんですけれども、消費税が百円となって、結局、もうけが六百円で、もうけがそのまま維持されるということになる。
何が言いたいかというと、この紙を見ないとなかなか分かりにくいんですけれども、五百七十一円という減ったもうけ、これを回復させるために、六百円にするために、結局、定価を千百円にしておかないとラーメン店Aは損をするということ、これが問題なんですね。幾ら食料品の消費税率をゼロ%にしても、結局、レストラン等あるいは飲食店等で食べるためには消費税率を一〇%払わなきゃいけないので、その矛盾がここに表れているわけです。
じゃ、この矛盾を解決するにはどうするか、すっきりした形でどうするかというと、ここの八ポツに書いているように、消費税率を一律五%に減税した場合はこれが逃れられるんです。
例えば千円のやつを、五%、一律にしたとしましょう。千五十円、税込み価格になって、仕入れ税込み価格は四百二十円で、消費税が三十円になりますから、結局、もうけは六百円となって、この飲食店、ラーメン店Aはこれは中立的で損をしないという形。
つまり、一律何%という形にしないと、こういった一部だけ消費税率をゼロ%にしても、そういった様々な業界の損が生じるということなんですね。
一律五%消費税という話になったら、消費者の方は負担が、このラーメンでいけば五十円低くなるし、政府の方は五十円やはり低くなるけれども、業界、ラーメン店Aの方は、中立的でもうけは変わらないという話。
だから、今、食料品の話をしていますけれども、結局、どの分野において、それだけ、そういった税率をどの分野は何%あるいはゼロ%にしたとしても、結局一緒ですね、こういった問題が必ず起こるということですけれども、それは、主税局長、いかがですか。
○青木政府参考人 お答えします。
まず、繰り返しで恐縮ですが、政府としては食料品も含めて税率の引下げは、その前提で御説明をさせていただきます。
いただいた資料の計算自体は、前提の下で機械的な試算として、これはこのとおりだとは思います。
ただ、一点、留意点を申し上げさせていただきますと、飲食店による食材の仕入れ時に適用される食料品の税率が仮に下がったといたしましても、消費税は最終消費の消費者が負担することが予定されている税でございまして、外食ということに関しますれば、前提として、標準税率、現在も標準税率ですので、税率一〇%という前提でございますので、本体価格が千円で適用税率が一〇%であるということ自体は、外食という面でいえば税率の引下げ前後で変わらないということでございますので、消費者が負担する消費税の相当額は百のままであるということが想定されております。
仮に、委員がここで御指摘されているように、飲食店が販売価格を値下げするという経営判断だとすれば、それは、税制によるものではなくて、まさに経営の判断としてそういった御判断をされたという前提でございますので、そういったところは留意が必要なのかなというふうに思います。
○末松委員 さっき言ったように、六十八円から九十七円まで消費税を納税するということが起こるわけですから、結局、飲食店については、自分たちがこの負担を抱え込むということにならざるを得ないと考える方が非常にいるわけですよ。そうすると、今言ったような、幾ら食料品の消費税率をゼロにしても、結局は、最後、一〇%という形の消費税になれば、どこか、つまり、消費者が負担するか、あるいはそこの業界が負担するかということになって、こういう問題が必ず起こるということを私は指摘しておきたいと思います。
ちょっと話題を変えまして、今、消費税の方で、仕入れ税額控除ということで、給料やボーナスは非課税となっておりますので、仕入れ税額控除の対象とはなっていません。だから、今どういうことが起こっているかというと、企業が自分の従業員を雇っていくと給料とかあるいはボーナスが非課税になるものだから、これは、今あるように、仕入れ税額控除が使えるようにこれを外注していくというのが今大きな主流になってきているんですね。
そうなると、例えば、一人一千万円の給料を払うとして企業がやったとしても、それが人材派遣業者に外注をさせる。そうすると、例えば、三人ぐらい雇って、外注の人材派遣業者が三百万円、あるいは三百万円、四百万円、三人ぐらい雇ってやっちゃうと、これは、仕入れ税額控除というものが利いていって、しかも、その業者が中間マージンを取って、保険料を払わずにやっていくと、どんどんそういった給料が下がっていって、これが非正規という、今四割に達している、そういった給料の低い方々が、同一労働同一賃金でない方々がどんどん増えていって、困っているんだということなんですね。
そこを、我々としてもっと注目をしていかないと駄目だと思うんですね。だから、仕入れ税額控除ができるんだよ、こういう中で、どんどんどんどん更に消費税の構造がそういう形を生んでいるとしたら、これは、それを改めるか、あるいは、今、EUとか、ある国なんかは、給料とかあるいはボーナスのうちの例えば一割とか二割含めて仕入れ税額控除を導入していく、こういうことにすれば、給料を上げていくというインセンティブが生まれるわけですよ。そこをこちらとしてもやっていかなきゃいけない。
私は、立憲民主党の方で最低賃金を千五百円にしていくとずっと四、五年前から言ってまいりまして、立憲民主党の公約にはなったんですね。さらに、石破総理が、千五百円ということを政府として言い始めたので、私なんかは、EUの状況を見ると、もう彼らは最低賃金二千円ですから、日本みたいに千円ちょっとじゃないので、これを考えると、そういった今、石破総理の方も言っている、もっと賃上げをしなきゃいけない。
私は、消費税のこの構造を、例えば仕入れ税額控除を適用できるようにすれば、今、財務省がずっとやってきた所得拡大税制というほとんど役に立たないような、あれに金を使うよりは、むしろこっちの、消費税の中の、給料に対してあるいはボーナスに対して仕入れ税額控除をやった方が、どんどん給料が上がっていくインセンティブになると思うんですけれども、これは、質問は特に政府参考人の方に言っていなかったので、突然で申し訳ないですけれども、大臣の方、こういうふうな考え方について感想をいただければと思います。
○加藤国務大臣 まず、消費税の仕組みにおいて、結果的に、直接雇用であろうと、派遣であろうと、それが同じ価値、同じコストとして見ていけば一緒だという説明は従前からさせていただきました。
そして、今おっしゃるような傾向が今表れているのかな、今、各社、人手不足の中で、正規雇用に基軸を移しているんじゃなかったのかなという印象を持ちながら、今のお話は聞かせていただいたところでございます。
私も厚労大臣をやらせていただきましたので、同一労働同一賃金、これは派遣においてもしっかり実態をしていかなきゃいけないし、そういった枠組みにもさせていただいて、ただ、それが今、実態がそれに伴っているかどうかということはしっかりチェックしていかなきゃいけないと思いますけれども。そういった意味においては、委員がおっしゃるように、最低賃金を上げていかなきゃいけない、あるいは同一労働同一賃金、それを目指していく、そして、正社員化されたい方は正社員化する道をつくっていく、それに対しては私自身全く同等な思いでありますが、ただ、それが、消費税がそうしたものを拒んでいるという認識は持っていないところでございます。
それから、もう一つ、各国、ヨーロッパ等において、報酬の税額控除ですか、こういった仕組みがあるというお話でありましたが、ちょっとそこは私も承知していないので、ちょっとそれに対してはコメントを控えさせてください。
○末松委員 そこは是非研究をしてください。
じゃ、ちょっと時間がないので、次にまた話題を移しますけれども、今、米が高い。政府備蓄米というのを放出したんですね。大体三十万トン近く放出したんだけれども、米の価格が下がらない。
この資料、二ページを見てください。米、十七週連続値上がり、こういうことが書いてある。備蓄米の効果表れずと。ちょっと不思議なのは、私が線を下の方に引っ張っていますけれども、三月の入札で放出した備蓄米のうち、四月十三日までにスーパーなどの小売店に届いたのは、一・四%。たった一・四%です。三千十八トンにとどまっている。
結局、全く、値段を見るとずっと上がっていますから、この新聞記事を見ても。なぜ下げられないのか、あるいは下げる気がないのか、どっちなんだというのを農水省の方に聞いてみたいと思います。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございます。
米の価格が下げられないのか、下げる気がないのかということでございますが、我々は、今の米価の高騰について国民の皆さん方から様々なお声を聞いておりますので、その声を踏まえた上で、今回、今までにやったことのない備蓄米の放出という決断をさせていただきました。
先ほど委員が御指摘をいただきました米の価格について、いわゆるその上がり方については、非常に抑制的な線にはなりつつあるなというふうに見れないことはございませんが、しかし、委員が言ったように、入札後、いわゆる卸の方に備蓄米供給が五月の一日時点で約五万七千トンということでございますので、やはり、厳しい指摘の声の中に、スピード感がないということについては、我々はその声に応えなきゃいけない、改善策は取っていかなきゃならないというふうに思います。
五月二日の時点で、全農に対しまして、速やかに前倒しで供給の拡大を行うことということで要請をさせていただきました。そういうことの一つ一つ、厳しい声に対して改善策を積み重ねてまいりたいというふうに思っております。
○末松委員 昨日、江藤大臣も、なぜ備蓄米が回らないのかと不満を言われていましたよね。でも、もうちょっと前から、昨年の七月ぐらいから、ずっと、急に上がり始めたんですよ。多分、宮崎の地震からだという話もありますけれども。このときに備蓄米を出していればこれはかなり収まったんじゃないかとも言われているわけですよ。そのときは、流通量はほとんど関係ない、変わっていないから、そんなの、備蓄米を出す必要はないと農水省が見えを切っていた。それから、新米が来れば米の値段は下がっていくという話をしていた。結局、ずっと上がってきている。
今、副大臣の方で、何か上がり方が意外と緩やかになってきているみたいな言い方をしていましたけれども、あなた、元が五キロ二千五百円ですよ。それが四千数百円になっているんですよ。これ自体、一年間見ても大変なことじゃないですか。特に所得の不十分な方というのは、米がないと生きられないという話になるわけでしょう。それは農水省がまず最初に解決していかなきゃいけないわけじゃないですか。はっきりそこを、ばんばん対策を打ってくださいよ。遅いんですよ。
こう言っている間に、資料二をちょっともう一度見てもらいたいんですけれども、ニューズウィークの記事で、香港では、北海道産のななつぼし五キロが百六十九香港ドル、日本円に換算して三千九十二円で売られていると。日本よりも安いんですよね。こういうことは、四千数百円払っている国民から見たら、何で日本米が香港で三千円程度で買えるんだと違和感が当然起きますよね。その点についてはいかがですか。
○笹川副大臣 委員からの厳しい御指摘はしかと受け止めて、大臣にもお伝えさせていただきたいと思います。
ただ、今、ニューズウィークのこの報道につきまして、これは香港ですよね。一般的に言えば、やはり契約の時期、いわゆる仕入れの時期があると思いますので、昨年の四月の時点での契約ということになれば、想定は、考えられるのではないのかなというふうに思います。
ただ、あくまでもこれは民民の、民の話でもありますので、いずれにいたしましても、契約の時期ということを考えるならば、昨年の四月ということになるならば、米価が高騰する前の契約ということになりますので、そういった意味では、この価格というのはある程度説明はつくのかなというふうに思います。
○末松委員 私もいろいろと海外の輸出の仕組みは聞いて分かっていますよ。そういった意味では、あなたが言った、今、契約の時期というのは、先物の契約でやる、それは分かるけれども、それは国民には分からないんだ、なかなか。こういうのを見て国民は怒るわけですよ。農水省に対する反発が更に増えるんですよ。その辺を考えながらあなたは言わないと、妙な誤解を生んじゃいますよ。
私は、それと、政治の時期というのがちょっと災いしたのかと思っているんですよ。昨年の秋、衆議院選挙がありましたよね。ここで、農家にしてみれば、上がっていることはありがたいことなんですよね、当然。消費者にとっては不幸ですよ。でも、自民党の政治にとっても、農家を喜ばせて選挙に投入させるようなことをもし考えておられるのであれば、米価は上がっていた方がいいよねと思う。さらに、これがずっと通じて、今度は参議院選挙、今年になってありますよね。そのためにも、米作農家を喜ばすためにも、これまた上がっていた方がいいよね、しばらく上がらせた方がいいんじゃないか、こういうことが自民党政権の中であるんじゃないですか。
我々はそういうふうに勘ぐるんですけれども、その辺は全くないのか、ちょっと答えてください。
○笹川副大臣 残念ながら、私の立場で党のことについて申し上げることは差し控えをさせていただきたいというふうに思います。
我々が今与えられた使命は、委員からの厳しい御指摘もございましたが、米価を安定的にするということと、それからやはり供給を安定していくということだというふうに思いますので、そのことに専念させていただきたいと思います。
○末松委員 言っているのは、安定という意味なんですけれども、今だったら米価を下げてほしいんですよ。安定というのは、今の値段が五キログラム四千数百円、これが安定と言っているんですか。違いますよね。もっと下げると。
いろいろなインフレで材料も上がってきているから、今までの二千五百円とかそういうレベルよりも上がるかもしれない。でも、もっと下げてしかるべきじゃないですかと言っているんですよ。言い直してください。
○笹川副大臣 安定というのは、今委員が御指摘したとおり、決して高値で安定をさせるという意味で私は申し上げたつもりはございません。
安定というのはやはり、いわゆる、安心して皆さん方がいつも買えることができる、そういったところに落ち着かせなきゃいけない、こういうことだというふうに思いますので、今委員が私の答弁に対してそういうふうに受け止めたということになるならば、それは訂正をさせていただきたいと思います。
○末松委員 もう一つ勘ぐらせてもらいたいんですけれども、この前、報道で、JAの関連団体が自民党の主要な農水族の数名に対して政治献金とかパーティー券をやって一・四億円提供したとかいう話もあるんですよ。こういうのがまた出てくると政治的な関連を疑っちゃうんですね。それと、ある筋から指摘されたんですけれども、農林中金の投資が大損失で、一・五兆円ぐらい損失をして、それをカバーするためにこういった米価を上げていくのが有効と考えているんじゃないか、こういう、私はこれが正しいかどうか知りませんよ、でもそういうふうな見解もあるんですけれども、そういうことはないですよね。
○笹川副大臣 今の委員の御指摘になりました、うわさなのか報道なのか分かりませんが、私自身はそのようなことは承知していませんし、また、そのような御指摘の事実は一切ないというふうに思っております。
いずれにしましても、実際に入札に参加した人は、引取り期限や買戻し要件など、今回、入札の要件を踏まえた上で各者が判断して応募したということだというふうに思います。
○末松委員 時間が来たので終わりますけれども、とにかく言葉よりも結果を出してください。米価をもっと下げてください。お願いして終わります。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、萩原佳君。
○萩原委員 日本維新の会、萩原佳でございます。
早速ですけれども、質問をさせていただきます。
例年四月と十月に、財務省さんの方で、日本の財政関係資料と表して、我が国の財政状態の資料を説明する冊子、これが発行されております。
まず、ここでお伺いいたしますけれども、なぜこの冊子を作っているのか、どのような意図、趣旨に基づいてこれを発行しているのか、御説明ください。
○斎藤副大臣 お答えいたします。
日本の財政関係資料を作成して公表する意図でございますが、財政は、国民生活や経済活動にとって不可欠な社会保障給付や教育、防衛等の公的サービスを提供するために、国民の皆様から税金などの財源を集めて管理し、必要な資金を配分していく活動でありまして、国民一人一人の現在及び将来に関係する重要なものでありますことから、その現状や課題について、国民の皆様に広く関心を持っていただき、御理解いただくことが重要であると考えております。このような観点から、我が国財政の現状や財政健全化の必要性と取組、各予算分野の課題等を盛り込んだ日本の財政関係資料を年二回公表しているところです。
政府としては、引き続き、我が国の財政について国民の皆様に御理解いただくため、分かりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。
○萩原委員 ありがとうございます。
国民の皆さんに、日本の財政状況、この現状を示すという意図ですということでしたが、そのためには適切な開示というのが必要かなと思っております。
この点、今年バージョンでいうと五十三ページ、令和七年度四月版の五十三ページには、国の財務諸表、これを載せておりますが、この国の財務諸表というのは国の単体の財務諸表なのか、それとも、特別会計や、国が五〇%以上議決権を有する支配力基準による連結財務諸表によるものなのか、どちらに当たるものなのか御説明ください。
○斎藤副大臣 財務諸表、国の貸借対照表の掲載についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、日本の財政関係資料は国民の皆様に広く関心を持っていただくために公表しているものでございまして、このような資料の特性からいたしまして、相対的にシンプルであり、かつ、資産と負債の関係も理解しやすいと考えられます国の一般会計と特別会計を合算いたしました国の貸借対照表に基づいて、国の資産と負債の対応関係をお示しをしています。
国と、国の業務と関連する事務事業を行っております独立行政法人等を連結した資産、負債のストックの状況についてでございますが、例年三月頃に国の連結財務書類を作成し、別途その内容を公表しているところです。
その上で、日本の財政関係資料の内容につきましては、委員の問題意識も踏まえながら、国全体の資産や負債などのストックの状況を国民の皆様に御理解いただくためにはどのような形でお示しするのがよいか、今後も検討し、必要な対応を取ってまいりたいと考えております。
○萩原委員 御説明ありがとうございます。
ただ、別途、連結財務諸表バージョンは作っているということですけれども、上場会社の場合、皆さんも有価証券報告書を見られたことがあると思うんですけれども、連結財務諸表、これを作成するのが原則となっています。当たり前ですよね。親会社の単体の財務諸表だけ見ても、当該企業の財政状態、損益状況など分かるわけがないからです。そして、有価証券報告書では、まず連結の開示、これを行った上で、提出会社単体の開示を行っています。
分かりやすい資料で説明する、財政の現状を示すというところは、今、これから検討するという話はしておられましたけれども、やはり、この国の財政関係資料、この中で、まずは連結全体の開示をした上で単体開示をしないと意味がないんじゃないのかなと感じております。
この点、御回答の中で今後検討していくという話はされていたので質疑はしませんが、一点、追加というか、連結バージョンのやつを見ると、令和五年度末の連結BS、これは資産が千四十八兆円、負債が千五百七十六兆円。単体のBSに関しては資産七百七十八兆円、負債千四百七十四兆円と、大幅に財政状態は改善しているように見えます。ただ、今、日本の財政関係資料だけ見ると、非常に財政状態が悪いように見えてしまいます。これは何で、逆に、適切な財政状態を示すという意図からするとずれているんじゃないのかなという点、この点についてどう考えられているのか。
もう一点、連結財務諸表の関係書類というところでは、どういう会社が入っているかというリストは先ほどお示しいただいた連結財務書類の中に書いてあるんですけれども、この中で日銀は入っていない。日銀への出資割合、五五%というところを考えて、しかも、総裁、副総裁、審議委員とか、両議院の同意を得て内閣が指名するという意味では、普通、支配力基準でいっても入れるべきだと考えています。それを入れずに作るこの連結財務諸表にどれだけの意味があるのかなというふうに考えておるんですけれども、二点、そもそも、連結財務諸表、単体を、入れずに、日本の財政状態を必要以上に悪く見せているようにも感じられますが、その理由と、あと、日銀、これについてなぜ連結にそもそも入れていないのかというところ、御説明いただければと思います。お願いします。
○前田政府参考人 お答え申し上げます。
まず一点目の、国と、特別会計の資産、負債、財務書類と、連結にした場合のその改善の理由でございますけれども、一番大きな要素は、GPIF、これは年金を運用している独立行政法人になりますけれども、このGPIFを連結することによって、GPIF、これは有価証券で基本的に運用しているものですので、最近有価証券の評価益というのが上がっているということで、このGPIFの純資産、約百三十兆円ございますけれども、これが加算されることによって、連結の財務書類の方が財政状況は確かに改善して見えているというのは事実でございます。
それからもう一点、日銀でございますけれども、日銀につきましては連結をしてございません。これにつきまして、そもそも何を連結するかということにつきましては、民間の企業会計の考え方及び手法に準拠をしながら、国の特殊性も勘案いたしまして、会計学の専門家の先生方を中心に取りまとめられた作成基準というものがございます。この作成基準に照らしますと、日本銀行につきましては、中央銀行の独立性の観点から省庁の監督権限が相当程度限定をされているということ、それから、出資、確かに五〇%を超える出資はしているわけでございますが、出資者である政府に議決権の行使、これは認められていないということ、それから出資額そのものも日本銀行の総資産に比べれば極めて僅少であり、また補助金なども一切支出されていないということから、これも会計学の有識者の先生方にお諮りをした上で、連結対象法人には該当しないというふうに整理をされておるところでございます。
○萩原委員 ありがとうございます。
私が聞いたのは改善の理由ではなくて、あえて財政状態が悪いように示しているように感じている、それがなぜかということをお聞きしましたが、それは後で結構です。
あと、作成基準に関しては、ちょっと、済みません、いつその作成基準を有識者の方々が考えられたのかは勉強不足で確認はしていませんが、国債をこれだけ発行するようになってから、影響額というのは大きいと思っていますし、あと、役員人事を結局国がやっているわけですから、それで入れないということは、その基準も不断の見直しが必要じゃないのかなと。先ほど私は支配力基準という話をしましたけれども、あれもいろいろな過程があって支配力基準だと言っているわけですから、その支配力の範囲、連結の範囲というのは不断の見直しが必要じゃないのかなということはお伝えさせていただきます。
最初のところだけお願いします。
○前田政府参考人 お答え申し上げます。
先生、一番最初に御指摘のございました日本の財政関係資料において、国の一般会計と特別会計を合算した国の貸借対照表をお示ししている、これはある意味で悪く見せているのではないかという御指摘だろうと思います。
連結の財務書類と、一般会計と特別会計だけのものの差額については、先ほど御説明申し上げたとおりですけれども、なぜそれを、あえて一般会計と特別会計を合算したものを国の財政関係資料においてお示ししているかということにつきましては、これは先ほど副大臣からも御答弁申し上げましたが、連結財務書類では、国と連結対象法人の、当たり前ながら、相互間の債権債務が相殺消去をされるということになってございます。そうなりますと、あの財政関係資料で一番説明をしたいと思ったものは、その資産、国の資産と負債の対応関係というところでございまして、連結財務書類でお示しすると、この資産と負債の対応関係が把握しづらくなるという点を勘案をしたというところでございます。
例えば、国の貸借対照表、すなわち連結でないものにつきましては、国が将来の年金給付の財源に充てるために保有している運用寄託金、これが資産に計上されて、そしてこれに見合う負債として公的年金預り金というものが計上されておりまして、見たところすぐその対応関係が分かるわけでございますが、これが連結財務書類になりますと、この運用寄託金の寄託先でございます、先ほど申し上げたGPIF、独立行政法人の年金積立金管理運用独立行政法人、これと国との間で相殺消去が行われてしまいますので、資産の部で運用寄託金という計上がなくなりまして、有価証券という全体の中にそれが溶け込んでしまいますものですから、対応関係が少し把握しづらくなるのかなということで、国の貸借対照表、連結でないもので対応関係をお示ししているところでございます。
ただ、これも副大臣から御答弁申し上げましたとおり、先生の御指摘を踏まえまして、今後検討した上でまた必要な対応を取ってまいりたいというふうに考えてございます。
○萩原委員 ありがとうございます。
対応関係、公官庁とか公会計分野では対応関係を示すためにこのような開示の仕方をする場合が多いというのはもちろん存じ上げてはいるんですけれども、でも、財政状態を示すという目的を考えると、その対応関係というのは単体のベースのところでするというのと、その前に連結の全体の話をするというのは、全然違う話、違う話というか、まずは全体を、どれだけ資産、負債、差額があるのかという点からはやはり入れるべきかなと思いますので、是非前向きに御検討いただければと考えております。
じゃ、ちょっと次、二点目の質問に行かせていただきます。
二点目は、減価償却資産の償却期間についてお伺いします。
減価償却資産に関しては、法定耐用年数、これを何年にするのかというのは非常に大事な話で、時代に合わせた改正が必要であると考えています。また、各分野において技術革新、これは目覚ましい状況にあって、総体的に製品のライフサイクル、これが縮小する傾向にあるものと考えています。
これはちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、今、大臣、スマホを使われていると思うんですけれども、前に買い換えたのは何年前ですか。
○加藤国務大臣 ガラもスマホもiPadもいろいろ持っているので、ちょっと一個一個何年前か分かりませんが、でも、平均するとやはり四年から五年ぐらいは使っているんじゃないかなというふうには思います。
○萩原委員 四、五年使われているということです、いろいろあるという中で。実際、消費者庁の調査、それによると、PCとかスマホで大体四・何年というところで、通常の買換えパターンのあれなのかなと思いますが、減価償却資産の耐用年数で、スマートフォンとか携帯電話、特にスマートフォン、これになると大体何年が想定されているかというと、スマホは十年なんですね。普通のPCが四年ということになっています。現状、減価償却資産の耐用年数、消去法でスマホが十年になるしかない形にはなっていますけれども、その法定耐用年数は実態に合っているのかなというのは非常に疑問に思っております。
減価償却の耐用年数に関する省令、これに関しては割と小まめに改定されているようには思えるんですけれども、最近は特に。ただ、このように、現実に即さないような耐用年数が残っている、改正漏れがあるように見えるんですけれども、これの原因はどういうことにあるのかと考えられているのか、大臣でもほかの方でも結構ですけれども、お答えいただければと思います。
○青木政府参考人 お答えします。
耐用年数でございますが、まず、使用実態を踏まえているのか、それから費用配分の期間として適切かなどの観点から定められてございます。
これまでも、必要に応じまして耐用年数の短縮化を行ってきているところでございます。
○萩原委員 必要な見直しを行っているとはいえ、基本、業界団体等のリクエストに基づいてやっていると思いますので、今のスマホのような、明らかに、iPhoneでいうと、十年前のiPhoneはiPhone6ですので、誰も使っていないと思いますので、そういう漏れがあるというところも是非考慮に入れて変更をお願いしたいと思います。
というので、また違う質疑をさせていただきます。租税特別措置法に係る当初申告要件、これについてお伺いいたします。
ちょっとここで説明するのもなんなんですけれども、当初申告要件とは、納税者にとって有利になる制度の適用、これを受けるために、当初の確定申告において制度の適用を受けることの意思表示、これを要求しているものをいい、具体的には、当初の確定申告書に一定事項の記載や一定書類の添付をすることをいいます。そして、当初の確定申告において、控除を受ける金額やその金額の計算に関する明細の記載、これをした場合にのみ税額控除等の適用を受けることができ、また、税額控除額も当初申告額が上限となります。その際、調査や申告漏れ等の事実があって、修正申告や更正の請求、これを行った際には、新たに制度の適用や、所得をベースに税額控除等を受けることが過去はできませんでした。
かかる当初申告要件については、平成二十三年十二月以降は、所得税、法人税、そして相続税、贈与税に関しては、原則、当初申告要件、これが廃止された状況にあります。
まずは、議論の前提として、平成二十三年十二月に各税法の当初申告要件を廃止した趣旨、これを端的に御説明お願いします。
○青木政府参考人 お答えします。
平成二十三年十二月の税制改正におきまして、法人税の申告における所得税額控除制度の適用をめぐります平成二十一年七月十日の最高裁の判決なども踏まえまして、事後的な適用を認めても課税上の問題がないものに限りまして廃止を行ったものと承知しております。
○萩原委員 ありがとうございます。
最高裁判決を受けて、当初申告要件、これを廃止したと。
私、このとき税理士法人におりまして、これはなくなってよかったなという話をしておったんですけれども、ただ、租税特別措置法、これにおいては当初申告要件というのは基本的に今残ってしまっているというところが残念だなという話をしておりましたが、租税特別措置法において、当初申告要件、これをほかの税法とは違って残した理由、これを御説明ください。
○青木政府参考人 お答えします。
平成二十三年十二月の税制改正におきまして当初申告要件が見直されました際には、設備投資に係る減税の措置など特定の政策効果の実現に向けたインセンティブ措置については、事後的な適用が制度の趣旨を没却することになるため、また、各種の引当金などにつきましては、利用するかしないかによりまして納税者にとって有利にも不利にも操作が可能となるため、それぞれ引き続き当初申告要件を存置することとされたと承知しております。
○萩原委員 そうですね、今おっしゃった、インセンティブ措置と、あと、利用するかしないかで有利にも不利にもなる操作可能な措置については残した。ある意味、その操作可能な措置のいずれにも該当しない措置については当初申告要件を廃止したことだという御説明だったと思います。
おっしゃるとおり、当初申告要件を廃して、更正の請求、これを実質的に認めるということは、事後的な選択、税負担の軽減を通じて政策目的の達成を図るという趣旨そのものを没却するおそれがある、これはどこかの資料に書いてありましたけれども、ことであるとか、有利にも不利にもなることを認めることは、実質的に、事後的な状況を踏まえても、最も納税者に有利とすることができる選択権、これを納税者に与えるので、課税の公平、これが確保できなくなるという書籍もありました。今説明いただいたことと同旨だと思っております。
ただ、私個人の考えとしては、納税者の判断や変更、誤謬などがあれば当然に生じるものだと思っておりますので、例えば、RアンドD額の変更があった場合とか、今は、RアンドD額の変更がある場合は、当初のRアンドD額を上限として、所得額が変わるとそれに関しては連動的に増える部分というのは認められるようになったのは承知しておるんですけれども、RアンドD額の変更があった場合は、それは認めればいいと思っておりますし、当初申告要件については、租税特別措置法においても基本的には廃止してもそれは問題ないんじゃないのかなと考えております。
ただ、今局長がおっしゃったことを前提にしても、それでも、例えばですけれども、例えばというか、タックスヘイブン課税、これの配当控除については、当初申告要件、これはやはり、今の御説明を受けても、廃止すべきじゃないかと考えております。
実務において、タックスヘイブン課税の配当控除、これが問題になるのは、そもそも確定申告時にタックスヘイブン課税の適用対象としていなかった海外子会社について、税務調査等で同税制の適用があると指摘を受けた場合だと承知しております。
税負担の算定では、申告時は、トリガー税制、これを上回っているとの判断で、CFCの別表である別表十七の三の二自体をつけていなかったけれども、調査等で、トリガー税制、これを下回っているとの指摘を受けた場合に、確定申告において、その子会社についてはタックスヘイブン課税の適用を受けないと判断しているわけですから、当然に、確定申告に必要な別表十七の三の二、これをつけていません。当たり前ですよね、関係ないとしているので。ただ、事後的に、調査などを受けてタックスヘイブン課税の適用を受けるとなった場合、この当初の確定申告に、別表十七の三の二、これを添付していないわけですから、配当控除を行うことができない。海外の持ち株会社で子会社の配当しかないところだと、配当控除の適用を受ければ課税されないところ、結果的に全部合算とされて多大な納税が必要になる。
これを考えると、配当控除の規定は部分合算課税と比べても要件が加重されておりますし、外国子会社益金不算入制度とのバランスを考えても、少なくとも、このタックスヘイブン課税における配当控除については、当初申告要件、これを外すべきだと考えておりますが、御見解をお示しください。
○青木政府参考人 今委員から御説明のございました件で、まず、外国子会社合算税制でございますが、事後的な事情を踏まえて納税者有利とすることができる選択権を納税者自身に付与することになるものとして、課税の公平が確保できなくなることなどから、当初申告要件を存置することとされたものでございます。
具体例、例えば確定申告時点で合算対象となる外国子会社の存在を意図的に申告しなかった納税者につきまして、これを税務調査等で指摘されるに至ってから事後的に当該外国子会社が受ける配当の額を合算金額から除外することを認めることは、当初から適正に申告を行った納税者と比べまして課税上の公平の観点から問題が生ずるものと考えられます。また、個別のケース、いろいろな御事情があるにいたしましても、税務調査などにおきまして、遡ってこれが意図的に申告したものか否かを判定することはなかなか難しいということも想定されます。
こうした観点や、外国子会社合算税制が外国子会社を利用した租税回避を抑制するための仕組みであることも踏まえまして、当初申告要件の見直しには慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
また、御指摘のありました外国子会社の配当の益金不算入制度でございますが、こちらの方は、インセンティブ措置又は操作可能な措置のいずれにも該当しないものでございますので、当初申告要件から廃止されたということで承知をしております。
○萩原委員 意図的に隠したというか、意図的に判断、タックスヘイブンの適用を受けないとしたかどうかがよく分からないからこれをつけていますよというような御回答だったと思いますが、そうなんですかね。
非常にこの税負担の割合の計算というのは複雑なところもあります。それについて意見が分かれるような所得もあると存じております。それを一緒くたにして、意図的かどうか分からないから排除しますよとしてその配当控除をそもそも外していく姿勢というのは、明らかに間違っていると思います。もしそういう意図があるのであれば、重加算税を課すとかすればいいだけであって、そうじゃないケースというのを考慮せずにここに関して当初申告要件を課し続けるというのは、正直意味が分からないというか、なぜそういう結論になるのか分からないかなと考えております。
この点について、もう一つのところから質疑させていただきますが、配付資料を御覧ください。配付資料、租税特別措置法の第六十六条の六第二項、そして租税特別措置法施行令の方、これを示しております。
当初申告要件、見ていただければ分かるんですけれども、これをかけているのは施行令の三十九条の十五の第九項ですね。この条文は、租税特別措置法六十六条の六第二項の四号の委任を受けて、法は、特定外国子会社又は対象外国関係会社の各事業年度の決算に基づく所得の金額につき法人税法及びこの法律による各事業年度の所得の金額に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額と書いていて、同条は、所得計算の基準を規定せよと言っているだけで課税要件まで委任していないのではないかと考えておりますが、御見解をお聞かせください。
分かりやすく言うと、計算は政令に委託しているけれども、計算の要素に課税要件を入れているのはそもそもおかしいですし、配当控除の当初申告要件を定める特別措置法三十九条の十五の九項ですが、これは法の委任の範囲を超えており、そもそも無効じゃないのかという見方もできると考えておりますが、御見解をよろしくお願いいたします。
○青木政府参考人 お答えいたします。
この点につきましては、私どもといたしましては、ここに書かれている、政令で定めておるというのは、法制局の審査なども踏まえまして適切に対応しているものだというふうに考えております。
○萩原委員 適切に対応しているかどうかというところについては怪しいですし、ある意味、ここの、もしここにあるのであれば、これは確定申告書等とすればいいだけだと思っておりますけれども。
今、合法だという見解だと思いますけれども、先ほどお示しした内国法人の配当控除、また外国子会社の益金不算入制度に関しては法人税法二十三条の二ですね、そこはあくまで当初申告要件はないのにこちらは要求するというのはバランスが悪いと言えますし、部分合算課税の場合と比較しても非常にアンバランスな規定となっていると考えております。
意図的かどうかがよく分からない、分からないから当初申告要件を残し続けましたよという理屈、これはなかなか成り立たないんじゃないのかなと考えておりますので、是非、令和八年度、今年度末の税制改正において改正すべき項目であると考えておりますし、調査の現場では、ある意味外している、外しているというか、合算課税の対象としていないところに対してどんどん税負担の割合を下げていくことによって、しかも、当初申告要件、これがないので丸々税額が取れるというところで、そこに狙い撃ちをしたような調査が行われているという声も聞くこともありますので、そういうチェリーピッキングみたいな規定はなくして、適宜、意図的かどうかというのはその後の調査のときの加算税で対応していただくような形にしていただければと思っておりますので、是非、時間も来ておりますのであれですけれども、この改正、よろしくお願いして、私からの質疑とさせていただきます。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。
早速ですが、証券口座乗っ取りについて伺いたいと思います。
これについて、これまでも委員会で取り上げられてまいりましたけれども、口座の不正乗っ取りがされてきたということで、二月から四月十六日までの不正アクセスの合計は三千三百十二件、不正取引件数は千四百五十四件、また不正売買は約九百五十四億円にも及ぶということでありました。
そして、これについて、昨日まで金融庁の方と、更に増えているんじゃないか、四月十六日の聞き取りですから約一か月弱この間あったわけですけれども、それについて、大変、分からない、数は各会社から来ていますがその精査ができない、まだまだ時間がかかると言っていたんですけれども、昨日の午後です、しかし夕方には正式な発表があったということなんですが、その数時間で確認ができたということでよろしいでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
先生の質問レクのときに、まだ計数が取りまとまっておりませんで、数字を申し上げられなかったことについてはおわびを申し上げたいと思いますけれども、夜に発表をしておりまして、数字を申し上げたいと思います。(田中(健)委員「それはもう分かっていますので」と呼ぶ)はい。
以上です。
○田中(健)委員 大変残念です。私は、別に何か責め立てるようなわけじゃなくて、やはりしっかりとした数字の下にこの議論をしたいということで、何度もその質問をしてきて、できない、できないと言ってきたのに、夜には発表していたということでありますので、もう信頼関係がありませんので、金融庁には質問は結構でございます。
大臣にお聞きをしたいと思います。
今回の発表では、不正の件数は、まず、三千三百十二件から六千三百八十件と、僅か半月で倍です。さらに、取引件数も千四百五十四件から三千五百五件と、これも倍以上です。僅か半月でです。さらに、不正売買は九百五十四億円から三千四十九億円と、これは三倍近くに及んでいます。大変重大な事案だと私は思っています。
これに対しては、証券業界は顧客向けの注意喚起などを行ってきたが、被害者からの損害補償については対応を拒否してきましたけれども、これだけの大きな被害となりまして、今回、これについては被害補償をするという方針も発表したところであります。
この方針についてはどのようにまず大臣として評価しているのか、お聞きをしたいと思います。
○加藤国務大臣 済みません、委員に対するレクにおいて少し行き違いがあれば、それはおわびを申し上げさせていただきたいというふうに思います。
その上で、証券口座の不正アクセス、不正取引事案における顧客への補償の在り方については、金融庁としては、顧客の立場に立った丁寧な対応を行うよう日本証券業協会及び各証券会社に求めてきたところであり、今般、証券会社が一定の被害補償をする方針を公表したことは、今般の事案に対する顧客の立場に沿った丁寧な対応の一環として、一定の評価はできるものと考えております。
今後、当該方針に基づき、各証券会社において被害額や補償内容について具体的に検討を進めていくこととなります。これらの検討に関しては一定の時間がかかるのではないかと考えておりますが、金融庁としては、引き続き、顧客の立場に立った丁寧な対応が行われるよう各証券会社に対応を求めていくとともに、その状況をフォローアップするとともに、こうした事案が今増えてきているというところでございますから、それぞれにおいて、それを防ぐための対応を、既に周知もさせていただいておりますが、それを徹底すべく進めていきたいというふうに考えております。
○田中(健)委員 確かに、金融庁は早くから、四月三日に不正取引が増えていると注意喚起の第一報も発していただいておりますし、それに対する対策も出してはいるんですけれども、結果、しかしこのような大きな被害に及んでいるというのは、やはり認識を改めていただきたいと思っています。
この中で、ある証券会社においては、多要素認証を義務化するということも発表しましたけれども、しかし、やはり百近い、取引をしている証券会社がありまして、小さい証券会社によってはその対応が後手後手に回ってしまうというようなことも指摘をされています。
今回、金融庁としても、大臣としても、この各社の対策状況を厳しく監視をして、より包括的な対策というのも併せて私は提示すべきじゃないかと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 前回の注意喚起以降も、引き続き、証券口座における不正アクセス、不正取引の被害が拡大しており、これを受け、昨日、金融庁ウェブサイトを更新して、改めて注意喚起を行いました。
また、先日、日本証券業協会においても、多要素認証の必須化を設定した証券会社を公表するなど、セキュリティー対策の強化を促しているところでございますが、引き続き、各証券会社に対して、顧客に対するセキュリティー対策の要請や丁寧な顧客対応を行うように求めるとともに、業界団体と緊密に連携し、不正アクセス防止対策を始めとするインターネット取引におけるセキュリティー水準の向上、これに努めていきたいと考えております。
○田中(健)委員 是非力強く金融庁も後押しをしてほしいと思います。証券会社にとっては三千億もの被害でありますから、これを補償するとなると経営的にも大きな打撃となり、中には行き詰まってしまうというような会社もあるんじゃないかと指摘をされておりますので、しっかりウォッチをしていただきたいと思っています。
引き続きまして、米国債について伺いたいと思います。
加藤大臣から、米国債売却はカード発言というのが一部報道されました。この詳細を見ますと、交渉の武器として米国債を安易に売らないとあえてコメントする手段はどうかとの質問に答える形で、交渉のカードになるものは全て机上に置きながら議論していくのは当然だとの発言を受けてのことだとは思いますけれども、その発言は修正されたとの報道であります。
改めてというか、しっかりと委員会の場で、対米交渉における米国債の位置づけというものを加藤大臣はどのように考えていらっしゃるか、お聞きをします。
○加藤国務大臣 五月二日のテレビ番組での発言は、今委員御指摘のように、米国債を安易に売らないことをあえてコメントすることが日米協議の一つの手段になり得るのかという御質問があって、それに対してお答えをしたもので、保有する米国債を売却することに言及したものでは全くないわけでございまして、そこを明らかにしたのであって、別に発言を撤回したわけでは全くございません。
なお、その際にも、日米協議を予断するものではなく、五月二日の番組の中でも、実際に協議に当たって米国債を安易に売らないことのコミットというカードを切るか切らないか、これは別の判断と申し上げたところであります。
また、五月四日の記者会見では、こうした点を改めて申し上げた上で、外為特会が保有する外貨資産については、我が国通貨の安定を実現するために必要な外国為替等の売買などに備え、十分な流動性を確保するという目的に基づいて保有、運用しているものであり、今後ともその方針にのっとって適切に対応していくことから、米国債の売却を日米交渉の手段とすることは全く考えていない旨を申し上げたところでございます。
引き続き、こうした姿勢で臨んでいきたいと考えております。
○田中(健)委員 日本政府が米国債の売却というのをカードとして使えないということは、これはマーケットを考えれば分かり切っていることではありますけれども、しかしながら、やはり、切り札になるということをあえて言ったり言わなかったりすることで交渉のポジションを悪くしてしまっているんじゃないかという危惧もありますので、ちょっとお聞かせをさせていただきました。
その中で、今、日米交渉の手段としては使わないということは発言がありましたけれども、三月末時点での外貨準備高は一兆二千七百二十五億、およそ百八十五兆ありまして、日本は米国債の最大の保有国であります。
我が国民民主党は、この外貨準備高の在り方について、世界の各国を見れば突出をした額であり、その額の妥当性を検討すべきであるというような議員立法も提出をしていますが、これだけの金額を維持する理由と、また、今の準備高の額が適切なのかと考えているのか、大臣の見解を伺います。
○加藤国務大臣 G7でも合意をされているとおり、あるいは先般ベッセント長官との間でも確認をしたところでありますが、為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えるものであるということであります。その上で、市場に急激かつ過度な変動を生じた場合に備えて十分な額の外貨準備を保有しておくことは重要と考えております。
日本の外貨準備が、過去の円売り・ドル買い介入の結果、今の水準になってきたということは事実でありますが、この間、円の取引高で捉えた為替市場の規模が拡大していることも留意する必要があると思います。
他国において、過去の事例を見ても、為替介入が一たび必要となれば外貨準備が大きく減少することもあり、必ずしも現在の日本の外貨準備の額が過大であるとは考えておりません。
○田中(健)委員 一方、この米国債は日本にとっては資産ということになります。一方、国内の議論になりますと、どうしても、唯一、国債の負債の部分だけが持ち出されている感が否めません。
国債残高を減らすためには、税収を増やそうだとか新規の国債発行を減らそうだとか、そういったことが言われますけれども、資産を売却することで返済をすることもできると考えますし、また、経済対策や減税をする際にも、赤字国債の発行ということも言われますけれども、一方、資産を処分することでその財源を確保するという考えもあるかと思いますが、この米国債を資産として捉え、それを有効に活用するということについて大臣はどのようにお考えになるか、伺います。
○加藤国務大臣 これまでも、国の有する資産を売却して、それをもって様々な政策に対応してきたということは確かにございます。他方で、また、外為特会の保有する米国債等の外貨資産が国の資産であるということも、そのとおりであります。ただ、先ほど申し上げましたように、我が国通貨の安定を実現するために必要な外国為替等の売買等に備えて、十分な流動性を確保するという運用目的に基づいて保有、運用しているものであります。
また、外為特会は、外貨資産の見合いとして、過去の円売り・ドル買い介入時に円貨を調達するために発行した政府短期証券を負債として抱えていることも留意する必要があります。実際、市場の過度な変動や無秩序な動きに対応するために、円買い・ドル売りの為替介入を行った際に取得した円貨は、政府短期証券の償還に充てているところでもあります。
その上で、御指摘のように、財源確保や国の債務圧縮を目的として外貨資産を取り崩して円貨に替えることは、円買い・ドル売りの為替介入と実質的に変わらないということから慎重に考える必要があるというのは、これまでも申し上げてきたところでございます。
なお、外貨資産の運用収入等の歳入と政府短期証券の利払い等の歳出との差額に当たる決算剰余金については、外為特会の健全な運営に必要な額を留保した上で、毎年度の予算において、一般会計の財源として貢献も図っておるところでもございます。
○田中(健)委員 今、日米交渉の中ですから、大変微妙な時期ですから、余りこれを、議論をこれ以上深めませんが、しかし、資産であるということと、またこれからの活用については、また議論をさせていただければと思っています。
引き続きまして、アジア開発銀行について伺います。
加藤財務大臣としましては、イタリア・ミラノで四日から七日まで、アジア開発銀行の年次総会に出席をされたということであります。お疲れさまでございます。
アジア各国の経済がトランプ大統領による高関税政策で大きく揺れる中、どのような議論がなされたのか、また、日本としては、そういう中でどのような提案をし、役割を果たすという決意をされたのか、大臣に伺います。
○加藤国務大臣 今お話がありました、私が出席したADB総会、ASEANプラス3財務大臣・中央銀行総裁会議において、他国の具体的な発言については控えさせていただきますが、会議全体を通じて、多くの国が米国の関税措置については言及がされたところでございます。
私からは、ASEANプラス3財務大臣・中央銀行総裁会議の場で、米国の関税措置に関して、自由で開かれた多国間貿易体制を推進することの重要性、日本として米国に対し一連の措置の見直しを強く求めつつ協議を進めていることなどを申し上げました。
また、ASEANプラス3においては共同声明が出されました。そこにおいては、貿易保護主義の高まりは世界貿易の重荷となり、経済の分断を招き、地域の貿易、投資及び資本フローに影響を及ぼすとの記述が盛り込まれ、この点において参加国の認識が一致したところでございます。
○田中(健)委員 その中で、アメリカから、中国向け融資の終了の主張があったということが伝えられています。ADBの支援は開発途上国に重点を置くべきだ、また、所得水準が高い国は支援を卒業する必要があると。その中で、特に中国への具体的な措置が必要だと強調されたということであります。
この主張は、私としては、一般論としては正しいと思っておりますが、日本の考えはいかがでしょうか。大臣の見解を伺います。
○加藤国務大臣 各国の代表からの発言に対してのコメントは差し控えたいと思いますが、ADBによる資金支援は、低所得国を始め、自らの資金調達に限界がある国に優先的に配分されるべきと私どもも考えております。
ADBでは、その支援からの卒業の要件として、所得水準、市場からの資金調達能力、環境保全や保健制度を含む社会、経済的制度の成熟度の三点を定めており、中国については、所得水準と市場からの資金調達能力の二要件が既に達成されていることも踏まえ、現行の中国国別支援戦略においては同国への融資量を段階的に減らしていくこととされております。
なお、今後、二〇二六年から二〇三〇年を対象とする次期中国国別支援戦略の策定に向けた議論が行われ、その中で、中国のADBからの支援からの卒業についても議論が行われるものと承知しております。
米国を含む加盟国・地域の意見も踏まえながら、融資量を更に減らす方向で臨みたいと考えております。
○田中(健)委員 まさに、所得水準が低いどころか、中国は自らアジア向けの融資をして、そして一路一帯の政策を進めていますから、このADBで、約一割近く、大分減ってきたとはいえ、まだまだ大きな融資がされていますから、私は一日も早くこの中国向け融資を卒業すべきであろうと思っています。
既に、二〇二二年、当時の浅川前総裁は、中国への新規融資を終える検討を二〇二三年に始めるということを明らかにしておりまして、二五年を最後に融資をやめるかどうか、これを諮ろうということを言ってきましたが、この間、この議論というのはどのように進んできたのか。これは財務省に伺います。
○土谷政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の浅川前ADB総裁の説明のとおりでございますが、ADBでは、二〇二三年九月に、二〇二一年から二〇二五年を対象とする現行の中国国別支援戦略の中間評価について議論が行われました。
その中で、中国のADBによる支援からの卒業についても議論が行われまして、中国は、所得水準、市場からの資金調達についての二要件、これについては引き続き基準を満たすものの、三つ目の社会、経済的制度の成熟度については基準を満たすに至らなかったため、引き続き、現行の国別支援戦略に沿って、残りの期間中の融資量を削減させることとされました。実際、中国政府向け貸付けでございますが、二〇二三年の十四・七億ドルが二〇二四年には八・九億ドルに減少しているところでございます。
今後、今大臣が申し上げたとおりでございますけれども、二〇二六年から二〇三〇年を対象とする次期戦略の策定に向けた議論が行われ、その中で、改めて中国のADBからの支援卒業について議論が行われることになるというところでございます。
○田中(健)委員 浅川前総裁も今の総裁も、日本が選出をしておりますので、是非、この議論もリードしていっていただきたいと思っています。
最後、デジタル産業について伺いたいと思います。
何度か取り上げてきましたデジタル赤字でありますけれども、先日、経産省の若手プロジェクトで、デジタル経済レポート、データにのみ込まれる世界、聖域なきデジタル市場の生存戦略ということがリリースされたばかりであります。百ページに及ぶレポートでありまして、大変よくできていたとありますが、経産省としては、これは単に若手の意見というだけでなく、省内全体の認識として、また危機感としてこのレポートを利用し、また活用してもらい、取りまとめてほしいと思っていますが、見解を伺います。
○奥家政府参考人 お答え申し上げます。
デジタル赤字はデジタル分野の競争力が十分でないことの裏返しということであります。
クラウド、AIなどのデジタルサービスが社会活動の基盤としての役割を増しております。その利用を拡大していくことで、経済活動の生産性や国民生活の利便性が向上していく。その一方で、それを享受すればするほど国富が海外に流出していくことは政府全体として危機意識を持って対処すべき課題と認識しています。
委員からお褒めをいただきましたデジタル経済レポートは、こうした課題認識の下で、いわゆるデジタル赤字の背景にある我が国産業と市場の構造問題に着目した報告書であります。今回のレポートも踏まえつつ、日本のデジタル産業の競争力強化に向けて、AI、量子、それを支えるクラウドサービスといった革新的な技術の開発、利活用の促進、こういったことの取組を充実させてまいりたいと考えています。
○田中(健)委員 是非、省内全体で危機感を持っていただきたいと思います。
このデジタル赤字とまたエネルギー赤字、今二つの大きな赤字ですけれども、これが、エネルギーはエネルギー庁もつくり省内全体で取り組んでいますが、デジタルはあくまで商務情報政策局でやっていまして、さらに、それが十八兆にもなるという指摘をされていて、大変すばらしいレポートでありますので、しっかり省内全体での課題として捉えてください。
時間となりましたので、済みません、終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、田村智子君。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
都市再生促進税制について質問いたします。
二〇〇二年、小泉内閣の構造改革の一環で、都市再生を緊急に行う必要があるとして、都市再生整備法が作られました。これは資料一に概要が書かれています。緊急に強力に促進するため民間都市再生事業に認定して、容積率などの規制緩和とともに、思い切った税制上の特例措置が取られることとなりました。当時、緊急性があるのだといってつくった特例措置が、今日も、つまりは四半世紀近く延々と続いています。
過去十年間、この都市再生促進税制による減税額は総額で幾らになるのか、国交省、お願いします。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
二〇一四年度から二〇二三年度までの十年間における都市再生特別措置法に基づく民間都市再生事業計画の認定に伴う税制特例措置を受けた実績について、国土交通省で調査、把握している限りでございますけれども、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税、以上の四つの税目について、総額で約七百七十一億円であると承知しております。
○田村(智)委員 これは資料二にその詳細がありますので見ていただきたいんですけれども、このほかに所得税、法人税の割増し償却という税優遇もあります。
再開発で移転を求められた住民などに対して税制上の措置を取るということもあり得ると思いますが、減税措置、優遇措置の多くは再開発を行う事業者に対するものでしょう。民間都市再生事業は毎年新たに認定されています。二〇二四年度、認定件数九件、一件当たりの平均事業費は一千百六十三億円。これはどう考えても大手ディベロッパーの都市再開発に対する優遇税制だと考えられます。
十分な財政力があり、しかも再開発によって利益も得られる、こういう大手ディベロッパーに特例措置で減税する目的、理由はあるのかどうか、これも国交省にお聞きします。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
我が国の活力の源泉であります都市の魅力や国際競争力を高めることを目的とした都市の再生は重要であると考えております。このため、都市計画の特例、金融支援のほか、税制特例の措置を講じて、民間の資金、ノウハウを活用した公共施設の整備を伴う民間の優良な都市開発プロジェクトを促進しておるところでございます。
この特例措置を活用した優良な民間都市開発プロジェクトにおきましては、例えば、人々が憩い、集う広場、緑地の創出、災害時に帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の整備、それから都市の魅力向上に資する文化施設の整備などが図られております。それによりまして、都市部における都市環境の向上、それから防災機能の強化など、国の政策上、緊急かつ重要な課題に貢献しているというところでございます。こうしたことから、こうした税制特例措置を講じているというところでございます。
○田村(智)委員 資料三も見ていただきたいんですけれども、国家戦略特区の民間都市再生事業に指定されれば、自動的に都市再生促進税制の対象になります。東京では八つの事業が指定されましたが、三井不動産、森ビル、住友不動産、三菱地所、鹿島建設など、大手ディベロッパーがずらりと並んでいます。しかも、どういうところでの都市再生かといえば、日比谷公園、虎ノ門、港区愛宕地区、大手町など、都心の一等地に大手ディベロッパーが主たる地権者となるビルを整備し、自らの会社の名前をつけたビルですよね、これを整備し、そして周辺の開発を行って、いわばその資産価値を高める、そういう事業がほとんどです。造られた大きなビル、巨大ビルは、外国人向けのホテル、医療施設、オフィス、大規模な商業施設、タワーマンションなど、資産を活用したビジネスでも大手ディベロッパーが大きな利益を得られるというものばかりなんですね。
もう一度お聞きしますが、一体、こうした大手ディベロッパーが自らの名前を冠するような巨大ビルを建てる、そしてその周辺の整備、確かに、広場ということで緑地の整備などやっているんですけれども、それはそのビルの資産価値を高めていますよね。駅との、歩いて、直結した通路を造るとか、これもそのビルの資産価値を高めるようなものばかりと言えるものなんですけれども、果たしてこれで税制優遇をする必要性というのがあるのかどうか、もう一度お答えいただけませんか。
○高橋政府参考人 お答えをいたします。
若干繰り返しにはなってしまうところではあるんですけれども、この特例措置を活用して民間のプロジェクトが進められます。そういったことにより造られます緑や広場、それから帰宅困難者を受け入れるような一時滞在施設、文化施設の整備、こうしたものが見られるわけですけれども、こうしたものは、そのビルの利用者、あるいは入居しているオフィス、そうしたものだけではなく、周辺の方あるいは来訪者、そうした方々の便益にも供される、そういったものであるというふうに思っております。
その上で、広く都市の魅力、それから国際競争力の強化、そういったものに資するというふうに考えております。
以上でございます。
○田村(智)委員 これは、私はやはり検証が必要だと思うんですよ。
そこで、どういう事業者にどれだけ減税されたかというのは、事業者ごとでは出していただけないようなんですね。東京の国家戦略民間都市再生事業の八事業に限定してでいいので、それぞれ、都市再生促進税制による減税額について、資料の提供を求めたいと思います。
是非、理事会での協議をお願いしたいと思います。
○井林委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○田村(智)委員 大手ディベロッパーに巨額の利益をもたらす都市再生事業が今、東京都心など都市部に何をもたらしているか、これも重大だと思うんです。
この都市再生事業は、容積率の大幅な緩和と一体で行われています。今、緑地を造るということも都市再開発でよく見かけられるんですけれども、緑地を造れば更なる容積率の緩和という規制緩和も新たに加わりました。これで超高層巨大ビル、タワーマンションが毎年増え続けていて、この下で東京二十三区のマンション価格、家賃共に急騰しています。
規制緩和を繰り返し、税制優遇までして巨大開発を推進してきたことがその大きな要因の一つではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○横山政府参考人 お答えいたします。
民間調査によれば、ここ最近特に、東京都あるいは都区部における募集家賃、平均データが上昇していることは承知してございます。その背景とか原因、要因についてのお尋ねかと承りましたけれども、様々な要因があろうかなと考えてございます。資材価格や労務費の上昇等に伴う建築費や修繕費の上昇、共用部分の光熱費、管理に係る人件費の上昇のほか、都心に進学、通勤等に来られる方の継続的な人口流入など、様々な要素が絡んで家賃やマンションの価格の上昇ということが生じているというふうに認識しているところでございます。
○田村(智)委員 株式会社ライフルホームズの調査では、中古マンションでシングル向きが初の五千万円台となる五千二百六十万円で、前年同月比二〇・一%アップ、ファミリー向きも初の八千万円台となる八千二百七十万円台で、前年同月比三四・八%、二千百三十三万円アップと大きく上昇しているとあるんですよ。中古マンションでこれだけの高騰。これは、人件費や資材の高騰では説明がつかないわけですね。
そして、マンション価格の高騰は賃貸物件の家賃の上昇にも影響を与えています。読売新聞、四月二十二日付、家賃、三十年ぶり上昇率、分譲マンションの価格高騰を受けて購入を見送って賃貸を選ぶ人が増えており、需要の高まりから家賃も上昇しているとしているんですね。
先ほどのライフルホームズの調査では、二五年三月の東京都の賃貸物件の掲載賃料、シングル向きで初の十万円台、特に東京二十三区では、シングル向きが十一万六千五百五十七円で、前年同月比一五・一%アップ、ファミリー向きが二十三万五百十円で、前年同月比八・九%アップ。
驚くのは、若者の家賃負担です。東京二十三区のワンルーム、一Kの家賃は、二十歳から二十四歳で給与の三三・六〇%にもなると指摘をしています。月給の三割以上が家賃。これは、生活が破綻しかねないですね。
都市再生事業による巨大開発が都市に何をもたらしているのか、これは検証が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
都市再生の事業によって、マンション価格の高騰を招き、また、ひいては家賃の高騰を招いているのではないかという御指摘であったかと思います。
繰り返しになりますが、我が国の活力の源泉であります都市の魅力、国際競争力を高めることなどを目的として民間事業者による都市整備を進めていくことは重要だと考えております。
例えばでございますけれども、都市再生特別措置法により大臣認定された優良な民間都市開発プロジェクト、これにより供給された分譲住宅について、東京都内において発売されたマンションの戸数に占める割合ですけれども、令和元年から令和五年までの五年間で見まして二・五%ということで、低い割合となっております。マンションの建設戸数に与える影響は限定的というふうに考えております。
先ほど住宅局からもお答え申し上げましたけれども、住宅価格の上昇につきましては、ある特定の事情というよりは、需要と供給、その両面における様々な要因によるものと認識しております。先ほどのデータから見ましたところ、都市再生制度が、タワーマンションの建設の促進あるいは住宅価格の高騰、そういったものに与えているということは、一概には言えないかというふうには考えております。
○田村(智)委員 二十三区は全体が国家戦略特区にもなって、どんどん、巨大開発なんですよ。それが影響を与えていないというのは、じゃ、二十三区のこの急騰は何なんだという話になるんですよね。
加藤大臣にもお聞きしたいんです。都市再生促進税制は、主に地方税ではありますが、所得税、法人税の税優遇もあります。果たして、大手ディベロッパーの巨大開発に税優遇が必要なのか。稼ぐ東京をつくるために、普通に働く人が東京に住めなくなる、それを税制上も促進し続ける必要があるのか。これは財務省としても検証が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 先ほど国土交通省からも説明がありましたように、こうした税制措置は、都市の再生の拠点となる地域へ民間の力を戦略的、集中的に振り向けるため、都市再生事業により整備される一定の建物の取得に対し税制上の優遇を行っているものでありまして、その中には、法人税、所得税における割増し償却も含まれております。
一般論ということになりますが、租税特別措置については、特定の政策目的を実現するために有効な政策手段となり得る一方で、税負担のゆがみを生じさせる面などもあることから、必要性や政策効果を見極めて、真に必要なものに限定していくことが必要であるというのは、そのとおりでございます。
お尋ねの本税制措置の政策効果の検証については、EBPMの観点に立って、例えば、先ほど申し上げた政策目標との関係でどのような効果があるのかなど、要望省庁においてしっかりと検証していただくことが重要と考えており、財務省としては、それも踏まえ、税制改正の過程において議論、検討していきたいと考えております。
○田村(智)委員 大手ディベロッパー五社、三井不動産、住友不動産、三菱地所、東急不動産、野村不動産、これは、二〇二四年三月期決算で過去最高益更新です。一方で、大手ディベロッパーやハウスメーカーなどが加盟する不動産協会は自民党へ毎年四千万円、三井不動産は一社で毎年二千万円の献金を行っています。稼ぐ東京づくり、これは大手ディベロッパーなど大企業と自民党が稼ぐ政策ですよ。このことで普通に働く人が住めない東京になっている。政策転換を求める。今後も追及していきます。
質問を終わります。
○井林委員長 加藤大臣は御退席ください。
次に、牧島かれん君。
○牧島委員 自民党の牧島かれんです。
本日は、トランプ関税に関連して何問か質問させていただきたいと思います。
まず、四月二十四日、加藤財務大臣とそして米国ベッセント財務長官の会談がありました。ここで加藤大臣は、一連の関税措置について極めて遺憾であるというふうにおっしゃったと報道されています。
日本の経済も、そして米国の経済も影響を受けるだろう、そのように見込まれているこのトランプ関税についてどのような議論が行われたのか、御報告をお願いしたいと思います。
○斎藤副大臣 お答えいたします。
ベッセント財務長官との会談では、加藤大臣から、米国による一連の関税措置は極めて遺憾であると述べ、また、日米貿易協定との整合性に懸念のあるこうした措置の見直しを強く申し入れたところです。
会談における先方の発言は、委員御案内のとおり言及しないこととなっておりますけれども、加藤大臣から、賃上げや物価の動向を始めとした我が国の経済動向について説明し、また、二国間の諸問題について生産的な議論を行ったと承知をしております。
○牧島委員 生産的な議論を行ったという御報告を受けました。
そこで、もう一つ質問は、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議でございます。
この会議は、アメリカが関税措置を発表し、そして発動して初めて行われた大きな国際会議でありました。当然、トランプ関税についても議論が行われたというふうに考えています。一方で、このG20は共同声明がまとめられていないので、その中身を財務省から御報告をいただければというふうに思っているのですが、私は、日本はしっかり自由貿易の体制を維持する、そのリーダーとしての役割を果たしていくべきだというふうに考えています。
このG20の会議において、多国間貿易システム、この評価についてはどのような議論が行われたのか、御報告をお願いします。
○斎藤副大臣 先般のG20会合におきましては、多くの国が米国の関税措置について言及したと承知をしております。他国の具体的な発言について言及しないことは先ほどと同じでございますが、加藤大臣から、全ての国々の利益となる世界経済の成長の達成に向けて、自由で開かれた多国間貿易体制の推進の重要性を強調しつつ、同時に、国内外の格差や不均衡を是正するための建設的な政策対話が必要である旨、述べました。
世界経済の不確実性が高まっている状況にあるからこそ、各国が一堂に会する多国間会合の場で率直な意見交換ができたことは非常に有意義であったと考えております。
委員御指摘のとおり、引き続き、我が国としてもこうした議論をリードしてまいりたいと考えております。
○牧島委員 自由で開かれた体制、こうした議論を引っ張っていくという財務省側の力強い意気込みをお伺いすることができました。
G20だけではなく、G7の会合も開かれております。私自身の限られた経験の中でも、G7とG20というのは性質を大分異にするものだと思っています。つまり、G7では中国についての議論、話題になったのではないかというふうに予測をしているのですが、今、この国々の中では、不透明な補助金による中国の過剰生産ということもトピックとして上がってきています。
G7の中でどのようにこの中国の体制についても議論されたのか、これからの方向性も含めてお話をいただきたいというふうに思います。
○斎藤副大臣 他国の具体的な発言について言及しないことは同じでございますが、その上で、このG7財務大臣会合におきまして、G7が解決すべき国際的な不均衡として、御指摘の中国の過剰生産能力の問題についても取り上げられたと承知をしております。
加藤大臣からは、G7が結束して中国に対し、過剰生産の背景にある国内の不均衡解消を働きかけるとともに、国際経済システムがより均衡の取れたものとなるよう協働していくべき旨を主張いたしました。
今後とも、関連の動向を注視しつつ、G7を含む関係国との緊密な意思疎通を通じて対応していくことが重要と考えております。
○牧島委員 G7の中でしっかりと意見を出し合っていく、そして、それをメッセージとしてほかの国々にも伝えていくということが重要であろうかと思います。
市場心理への影響ということも出てきているだろうと思いますし、国内の産業、そしてそれぞれの企業の業績の見込みというところにも影響が出てきております。企業業績で見ますと、日本国内で、増益になるだろうと思っていた企業が、もしかしたら減益になってしまうかもしれないというふうに見込みを修正してきているところも出てきています。そうしますと、法人税の税収が下がってしまう可能性がある、又は、税収下振れという可能性についても私たちは念頭に置かなければならない。そういう体制も併せて財務省の中で御準備をしていただく必要があるというふうに思います。
一方で、経済産業省を始め、既に一千か所の相談窓口や、物づくり、サプライチェーンを意識した体制、政策が進んでいるところでございます。これは一つの省庁だけではなく、政府全体で、そして与党議員としてもその責任を果たしながら、日本の物づくりを守っていかなければならないというふうに思います。
そこで、財務省の考え方をお聞きしたいのですが、このようなトランプ関税のような対応をしなければならない、つまり、財政出動が求められるような局面、また、物価高対策をしなければならないというような経済動向、こういったところでの財政出動の局面、これらについて財務省としてはどのような考え方に立っておられるのでしょうか。
○斎藤副大臣 物価高、またトランプ関税の財政出動についてのお尋ねでございます。
まず、物価高対策を盛り込んだ令和六年度補正予算及び令和七年度予算を着実に執行してまいるということが重要だと思っております。
さらに、今後、リッター当たり十円引下げなどのガソリン価格の定額引下げ、それから、暑い夏の七月から九月の電気・ガス料金支援を実施することとしており、こうしたあらゆる政策を総動員し、物価動向やその上昇が家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いつつ、物価高対策に取り組んでまいります。
米国の関税措置につきましては、委員御指摘のとおり、我が国の産業、経済、そして、ひいては世界経済に大きな影響を及ぼしかねない中、事業者や国民の皆様から不安の声をいただいておりますことから、与党の提言も踏まえ、先月二十五日に、相談体制の整備、影響を受ける企業への資金繰りを始めとした支援の強化、雇用維持と人材育成、国内消費喚起策の強化と国民の暮らしの下支え、産業構造の転換と競争力強化という五本の柱から成る、米国関税措置を受けた緊急対応パッケージを取りまとめたところであり、パッケージの施策を着実に執行し、的確に届けていくことで、必要な支援に万全を期してまいりたいと考えております。
○牧島委員 まず、物価高対策については、総動員でやっていく、ガソリンの価格、高騰しているものに対しての対応、電気、ガスの対応についても御報告がありました。そして、トランプ関税への対応については、事業者も、そして国民も不安の声を持っている、それに対して財務省は対応していく、緊急パッケージを取りまとめていただいているということも御紹介がありました。
つまり、機動的に、必要なところにはしっかりと政策を届けていくという意思が財務省によっても示されており、そして財政出動を必要な部分には行っていくということが示されました。
一方で、こうした政策をやらなければならないということと、そして、財政、PB黒字化の目標という、健全化を、旗を降ろさずにいるということは相矛盾するものではないというのが私の立場でございます。機動的に政策を進める、財政出動する、対応するということと同時に、PB黒字化、財政健全化ということも考えていくというものの必要性については、既に金利のある社会になっているからこそ、深く議論しなければならないことだと思っています。
これから利払い費も大きくなってまいります。さらに、国債のグローバルな評価というのも決して高いものではないということも受け止めなければならない局面にあります。日銀の国債の買入れがだんだんと減っていくという中で、どこが増えていくのかといえば、海外による保有率というのが上がってきています。実際に、二〇一〇年は五・七%だった海外の保有率が、現時点では一三・五%、二〇二三年年末。これが今私たちが目の前で見ている数字でございます。だからこそ、財政健全化についての議論もしっかりと財務省の中で受け止めていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
〔委員長退席、国光委員長代理着席〕
○斎藤副大臣 御指摘のとおりと考えております。
政府としては、骨太の方針二〇二四におきまして、財政健全化の旗を降ろさず、これまでの目標に取り組むことや、財政健全化の取組を後戻りさせないこと、他方で、現行の目標年度を含めた財政健全化目標により、状況に応じたマクロ経済政策の選択肢がゆがめられてはならないことが明記されておりまして、こうした考え方の下で、経済、物価動向等に配慮しながら、これまでの歳出改革努力を継続するとともに、必要な経済対策や税制改正を実施をしてまいりました。
我が国の財政は、債務残高対GDP比が世界最悪の水準になるなど厳しい状況にある中で、有事にあって万全の対応を期するためにも、平時において債務残高対GDP比の安定的な引下げの実現など、常に長期を見据えた、一貫性のある経済財政政策の方向性を明確に示し、我が国の経済、財政に対する市場の信認を確実なものとしていく、委員おっしゃるとおりでございます、このことが重要であると考えております。
今後の財政健全化に向けた取組につきましては、先般の経済財政諮問会議において、総理から、経済あっての財政との考え方の下、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを前進させていくとの発言があり、また、骨太方針二〇二四で示された経済・財政新生計画の枠組みの下、今年の骨太方針において、早期のPB黒字化実現を含め、今後の財政健全化に向けた取組を示すべく、更に検討を進める旨の指示があったところであり、今後、この指示を踏まえて、具体的な検討を進めてまいります。
以上でございます。
○牧島委員 財政健全化、黒字化に向けての旗を降ろさずに進めていく必要があるという御見解だったかと受け止めております。長期的なビジョンというものも必要になってくるでしょうし、市場の信認というものも重要になると思います。
ここで、二〇二二年秋のトラス・ショックについても触れておきたいと思います。
なぜ、トラス・ショックというのが起きたのか。エネルギー価格の高騰に向けた対策を取ろうとした、そのときに、しっかりと補助金を出さなければならないんだろう、所得税を下げなければならないんだろうというメッセージが首相から出たんだけれども、財源はどこにあるのかということが明確にならなかった、また、予算責任庁がその後の見通しというものを示さなかった、幾つかの要因があると思いますけれども、市場が激しく反応したことによって、僅か四十九日間でトラス首相は退任に追い込まれたというのがこのショックの教訓であろうと思います。
しっかりと財源を示した上で、そして見通しを示した上で、政策を出動していかなければならないということを私としては受け止めております。
そしてもう一つ、東京財団政策研究所が二〇二二年、二〇二三年に出しているアンケート調査でございますが、財政赤字というものが大変問題である、又は、ある程度問題であるというふうに考えている経済学者というのは八〇%に及んでいます。そして、国民の間でも、六〇%が財政赤字は問題だというふうに考えています。
ただ、その後のアンケートで、では、なぜ財政赤字が起きているのかということを聞くと、経済学者は社会保障がその要因だと答えるのに対して、国民の皆さんは、無駄なお金が使われているのではないかとか、公務員の給与が高いからなのではないかというような反応がある。この傾向が、経済学者と国民の間の乖離として存在しています。さらには、社会保障の受益を感じていないという方が過半数に上っているというのも、このアンケートから見えてきています。
確かに、公共サービスというのは、国だけではなく都道府県や市区町村を通じて届けられているものがあるので、分かりづらいものもあるのだと思いますけれども、こうした、無駄のないように、説明責任を果たしていくということは当然のこととして、のみならず、政策のコミュニケーションということも重要になってきていると思いますが、財務省としての考え方をお示しいただけますでしょうか。
○斎藤副大臣 御指摘のとおり、国民の皆様に御負担いただいた国税などの税、保険料は、国が直接行う公共サービスのみならず、地方自治体が行うインフラ整備や、社会保障、教育、警察などの公共サービスを通じて国民の皆様の生活の安定につながっているものでございます。
国民の皆様一人一人に御負担いただく際の納得感を持っていただくことは大変重要でございますので、委員御指摘のような視点も含め、社会全体での公共サービスと、それを支える税、保険料などの意義について、国民の皆様の理解や納得感を得られるよう、分かりやすい説明に努めていくことが重要であると考えています。
御指摘のアンケート、私も目を通しまして、今後とも努力してまいりたいと思っております。
○牧島委員 ありがとうございました。
それぞれの政策を遂行するためには財源が必要である、そして財政というものも併せて考えなければならないということが本日の斎藤副大臣との議論の中で深まったように思います。
これで終わります。ありがとうございました。
○国光委員長代理 次に、山口良治君。
○山口(良)委員 公明党の山口良治です。
私からは、今、若い世代を中心に負担感が高いと言われております奨学金返済の支援について質問させていただきます。
昨年、労働者福祉中央協議会が行いましたアンケート調査によりますと、奨学金制度の大学卒の利用率は四五・二%、約二人に一人に上り、奨学金利用者のうち、日本学生支援機構、JASSOの貸与型奨学金利用者の借入総額は平均して三百四十四万九千円ということで、過去の調査と比べても、平均値、中央値共に高くなりました。この調査では、今後の奨学金の返済に七割が不安を覚え、返済の負担感に四割台半ばが苦しさを実感しているという結果になっております。さらに、この奨学金返済は生活設計にも大きな影響を与えております。二十代、三十代というライフイベントが多いこの時期、出産、子育てなどは、四割前後が返済による影響を感じているという結果が出ております。
こうした声を私も地元で若い世代からたくさんいただいてまいりました。手取りが少ない中で、返済は毎月一万円から二万円、多い方は三万円と、本当に、負担額が、結婚に対する一歩を踏み出せない、そういう声もいただいてまいりました。
公明党としても、企業の奨学金返還支援制度拡大を進めてまいりました。令和三年四月からは、各企業等からJASSOへの代理返還分を直接送金できるようにし、企業の税制面でのメリットとしての送金額の損金算入、また返還者にとっても非課税となり、さらに賃上げ促進税制。また、導入企業も年々増え、約三千社と、四年前から五十倍へと増えておりますが、全体の企業数からするとまだ千社に一社という程度にとどまっております。
そこで、文科省にお伺いいたします。
改めて、この奨学金の返還支援制度の趣旨、また効果、そして今後の実施目標数など、お聞かせをいただければと思います。
〔国光委員長代理退席、委員長着席〕
○奥野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、企業等における奨学金の代理返還制度につきましては、返還を行っている方にとってはその返還の負担の軽減、そして、利用いただいております企業にとりましては人材確保の、それぞれ重要な方策の一つとなっているものだと承知してございます。
また、本制度を利用して企業等が代理返還制度を御活用いただきました場合には、先ほど御指摘いただきましたとおり、奨学金返還を支援した企業の側におきましては、法人税につきまして、返還支援に充てた経費につきましては給与として損金算入が可能になってございます。また、御指摘のとおり、一定の要件を満たした場合には賃上げ促進税制の対象とすることが可能です。また、奨学金を返還している社員にとりましては、この代理返還を使うことで企業の支援額等が給与等から明確に区分される、そういった結果として当該部分の所得税が非課税となり得る、こういったような形の税制上のメリット等がございます。
本制度の登録企業数につきましては、令和五年度末の時点で千七百九十八社御登録いただいておりましたところ、令和六年度末時点におきましては三千二百六十六社から御登録をいただいており、その数は着実に増加しておるところです。
お尋ねの本制度の一つの目標についてでございますが、文部科学省が、JASSO、日本学生支援機構に示しております中期目標におきましては、令和十年度末までに登録企業数を四千六百社以上とする旨の目標値を示しております。ただ、より多くの企業に御賛同いただきたいと私ども考えてございまして、その目標値にとどまることなく、一層の利用拡大を期待しておるところです。
したがいまして、文部科学省といたしましては、引き続き、経済産業省等と連携いたしまして、一層の周知に取り組み、利用拡大に努めてまいる所存です。
○山口(良)委員 現場に行きますと、なかなかこの制度、税制優遇を受けられるという認識がない企業さんもたくさんあったり、事務負担が多いといったイメージ、こういったこともあります。
こういう支援をしている実施自治体は四七%程度、全市町村における実施割合としましては。自治体のバックアップがある地域とそうでない地域というのが格差が出てきておりますので、国として、文科省、中企庁、また内閣府が連携をして、地方創生の大きな起爆剤となり得る制度でありますので、地域格差が生じないような、しっかり支援をお願いしたいというふうに思います。
また、私たち公明党は、教育は未来への最大の投資であるという立場から、給付型奨学金、また高等教育の無償化を推進してまいりましたが、この企業による奨学金返還支援制度、代理返還制度についても、これからもしっかり拡大をしていくべきだというふうに考えますが、一方、日本では、奨学金は教育への投資であるにもかかわらず、返済はどうしても私的債務という形に処理されてしまい、税制面からは完全に切り離されている現状があります。その結果、教育投資がリスクというふうな捉え方を若者にされ、進学や結婚、出産をためらってしまう、そういう声も強まってきているのではないかというふうに思います。
こうした流れの中で、給付型、今回の国会での修学支援の拡充等、行っていくとともに、奨学金返還支援制度を行っている企業に就職ができた学生とそうでない学生という、公平性という観点から、今必要なのは、返済という努力をしている若者に対して税制面から支援をしていくことであるとも考えます。
例えば、奨学金返済に対する所得控除を制度として明確に位置づけ、日本の税制の中に未来への投資、人的資本への投資という柱を打ち立てていくべきではないかなというふうに考えますけれども、政府の御所見を伺えればと思います。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの貸与型の奨学金につきましては、無利子、有利子の奨学金の制度や減額返還制度、返還期限の猶予や返還の免除など、きめ細かな対応を奨学金制度の中で図られているものと承知しておりまして、また、令和六年度からは減額返還制度の収入要件の緩和など負担軽減を図っているものと承知しておりまして、引き続きこうした対応が図られるものと承知しております。
その上で、貸与型奨学金の返済者に対して所得控除による支援ができないかというお尋ねでございますが、既に奨学金制度の中で今申し上げましたような様々な対応が図られている中で、更に税制優遇措置を設けることについては、制度の複雑化を招くおそれがあるほか、所得控除でございますと、高い所得を得ている方々には大きな恩恵がある一方で、所得が少なくて奨学金の返済余力が小さい方などは、所得税の税額がそもそもなかったり少なかったりするために、所得控除の効果は限定的であるといった課題がございまして、税制上の措置についてそうした対応がなじむのかどうか、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
○山口(良)委員 税制については、もちろん与党税調での議論となってまいります。制度の複雑さ、また公平性の課題、こういったものも今伺ったかと思います。
例えば、新卒五年以内、奨学金返済者、ある一定の年収制限を設けて、そうした世帯を対象にして所得控除を行うなど、制度の効果を試行的に評価していく、そういったアプローチもできないかなというふうに思っておりますが、財政負担を限定的に抑えていきながら検討をしていただければというふうに、御提案にとどめさせていただきます。
続きまして、金融機関による伴走支援ということで、この四月三十日、金融庁は、事業性融資の推進等に関する施行令及び企業価値担保権に関する信託業務に関する内閣府令の案を取りまとめ、発表されました。発表前の四月二十七日の日経新聞では、金融庁は、金融機関が返済可能性に応じて融資先を格付する債務者区分について新たな運用指針を示すとした上で、企業の財務状況や決算情報に加えて、技術力や知的財産、顧客販路などを総合的に判断するよう求めるとのこととなっております。
私は、本年二月十二日の本委員会におきまして企業価値担保権についても質問させていただきましたが、改めて、企業価値担保権、重要な制度でございますので、金融機関による伴走支援、どのように強化、定着をさせていくお考えか、具体的な施策等をお伺いできればというふうに思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、企業価値担保権を活用した融資では金融機関が適切に伴走支援を行うことが重要であると考えております。
金融庁では、地域金融機関の人材育成等を後押しする観点から、例えば、融資先の経営改善を支援する際の着眼点を支援対象となる業種ごとに整理した、業種別支援の着眼点というものを公表いたしまして、研修、勉強会を実施するなどの取組を行ってきているところでございます。
また、企業価値担保権は、金融機関による深度ある事業理解と、これに基づく事業の将来性の評価が重要となる制度であることから、融資の評価、債務者区分ですとか格付等でございますけれども、こうした融資の評価におきまして事業の将来性等を織り込む考え方を整理した検討ペーパーを公表しまして、四月の末にパブリックコメントを開始したところでございます。
金融庁といたしましては、地域金融機関がこうした考え方も参考にしつつ、企業価値担保権を一つの選択肢として活用することを後押しするとともに、事業者の経営状況等の適時的確な把握など、どのように伴走支援を行っているかの対話、こうしたことを対話を通じて確認をしてまいりたいというふうに考えております。
○山口(良)委員 今まさにデフレから脱却に向けて、再成長に向けてまた動き出しているときでありますので、この新たな企業価値担保権のしっかりと浸透また理解が進むように、金融監督庁におかれましては、しっかりと引き続き準備を進めていただければと思います。
最後の質問になります。
他方で、これら企業価値担保権また事業性融資に限ったことではありませんけれども、金融機関からの融資においては、借り手側である特に中小・小規模事業者から幾つか不安の声を耳にすることがあります。貸し手である金融機関と借り手である企業との関係において、どうしても貸し手側が優越的な立場になる、これが一般的でございます。特に、事業性融資を推進するに当たっては、借り手となる企業価値の評価を客観的、安定的に行うために金融機関が借り手企業から適切な情報を取得する必要があります。この情報取得のプロセスについて、一定のルールの整備が必要であると考えます。
そこで、金融庁に改めて伺います。
金融機関は企業から様々な情報を取得するわけでございますが、企業から取得するこの情報の範囲は必要最小限であるべきであり、事業性融資を推進していくに当たり、企業価値を評価するために直接的には関係のない情報取得については慎むべきであるとも考えます。そこで、金融庁として、企業価値担保権の実施に向けて、既存の情報取得、ルールをどのように強化、拡充していくのか、その実効性を高めていくのか、具体的な取組についてお聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
これは必ずしも企業価値担保権に関する融資ということではありませんけれども、金融機関は、融資に当たりましては、顧客の信用力の判断、その後の期中管理等の観点から、必要な範囲で顧客の情報を入手すべきというふうに考えております。
具体的に顧客の情報として何が必要かということにつきましては、金融機関と顧客の関係、顧客企業の業態、時々の状況などによって区々であると考えておりまして、その範囲を一概に示すことはなかなか難しいというふうに考えているところでございます。
他方で、金融取引におきまして、顧客に関する情報はその取引の基礎を成すものでありますので、適切な顧客情報管理が確保されることは極めて重要であるというふうに考えておりまして、金融庁が金融機関を監督する際の着眼点である監督指針におきましては、顧客情報管理体制に関するものを多く掲げているところでありまして、金融機関が顧客等に関する情報へのアクセスを業務遂行上必要性のある役職員に限定しているかですとか、顧客等に関する情報の取扱いについて具体的な取扱基準を定めた上で、研修等によって役職員に周知徹底を図っているかといった点を挙げているところでございます。
金融機関が企業価値担保権を利用する際にも顧客情報を適切に管理する体制は前提となるものであると当然考えておりまして、金融庁としては、引き続き、こうした顧客情報管理体制を含め、適切な業務運営をモニタリングしていきたいというふうに考えております。
○山口(良)委員 いずれにしましても、金融機関に対する利用者、借り手側の信頼、これが最も重要となってまいりますので、金融、経済発展のために、金融監督庁としてしっかりとしたモニタリングに努めていただければというふうに思いますので、その点、お願いを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○井林委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十一時二十四分休憩
――――◇―――――
午後零時二十二分開議
○井林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。川内博史君。
○川内委員 川内でございます。
財務大臣は、参議院本会議の後、食事を取る間もなく本委員会に御対応いただいて、心から感謝を申し上げさせていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。
早速質疑に入らせていただきたいというふうに思いますが、今日は、まず、森友関連文書問題についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
四月四日に二千ページを超える文書が公表されて、しかし、その文書の右上に振られていた文書の番号について、付番に欠番があるということで、どういうことなんでしょうねということが大変大きな話題になっていたわけでございますけれども、その御遺族からの、今日も赤木雅子さんが傍聴にいらしていますけれども、どうして番号が欠落しているのですかという質問に対して、財務大臣は、それに対応すべく確認を行っているところであり、できる限りこの点についても早期に御遺族に回答できるよう真摯に対応していきたいと考えていますというふうに四月二十二日の閣議後会見でお述べになられ、その真摯に対応していきたいという言葉どおりに、本日、赤木雅子さんのところに、六月に開示をされる予定であった、赤木俊夫氏に関わる、赤木俊夫氏が取りまとめていたと思われる文書の一部として、四月四日に公表された文書のリストの、欠番になっている部分まで含めて、タイトルのみリストになっている文書が赤木雅子さんのところに届きました。
テレビなどでも大変話題になりましたけれども、安倍昭恵さんがスリーショットをお撮りになられた、よい土地ですから前に進めてくださいという御発言をされたときの前後の応接録は、四十六番から四十九番まで欠番になっていたわけです。文書が公表されていないわけですけれども、このリストの中には全ての文書のタイトルが、タイトルというか要約が書かれておりまして、例えば、四十七番には、対応方針について本省審理室と打合せを重ねるというタイトルになっており、四十九番は、ちょうど平成二十六年の五月九日、今日も五月九日ですけれども、本省審理室より、近畿案では業務課長の了解が得られないとして再検討の指示、開発申請を進められるように豊中市と協議せよとの指示というような応接録の要約が、全ての、三百八十二番までついているわけでございます。
そもそも、まず理財局長さんに教えていただきたいんですけれども、結局、リストがある、赤木俊夫氏が取りまとめていたと思われるリストがあるということは、付番は検察に提出する前になされたというふうに考えてよろしいかということを教えていただきたいと思います。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
付番につきましては、検察に提出するより前にされたものというふうに考えております。
○川内委員 赤木俊夫氏が取りまとめていたと思われる六千ページに及ぶ文書の中にこのリストが、完璧なリストがあったということは、このリストを作成したのは、赤木俊夫氏を中心として作成されたものであるというふうに私は考えるんですけれども、理財局はどう思われますか。
○窪田政府参考人 森友学園に関する土地取引の事案は、非常に複数年にわたって取扱いがされておりましたので、そういう意味で、関連する資料を随時集めて、例えば人事異動があったときにも引き継げるようにということで取りまとめたものではないかというふうに考えますので、必ずしも、今御指摘されたような、赤木氏によって取りまとめられたというよりは、土地取引に関わっていた職員が節目節目の段階で取りまとめたものではないかと考えております。
○川内委員 そうすると、検察に提出した資料の中には、四月四日に公表されたものの中にはなかった番号が、このリストの中には、その要約あるいは文書のタイトルがきちんと、三百八十二の文書について、文書の番号がついていないものまで含めてリストとしてあるということなわけですけれども、そもそも、検察に提出する書類はこれだよ、これは検察には提出しないようにしようねという意思決定が検察に提出する前に行われていたと考えるのが自然ではないかというふうに思うんですけれども。
リストを作って、そのリストから、いや、これはちょっとまずいから抜いておこうかという意思決定が行われたというふうに思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○窪田政府参考人 これは国が開示に先立つ裁判の中でも主張していたことでありますが、捜査における任意提出は、提出に先立って捜査機関による提出依頼がなされるのが一般的でありまして、また、通常、捜査機関が、捜査に必要のないものについて任意に提出を受け、押収するということはございませんので、提出者が自発的に提出する文書を選択しつつ提出するというようなものではございませんので、この文書の任意提出というのは、検察への、捜査への協力の一環として財務省が行ったものというふうに考えております。
○川内委員 そうすると、このリストにある文書は全て提出をされるはずなわけですけれども、実際には、検察に提出された文書からは、土地取引に関しては七十三の文書が抜かれていたということになるわけで。
よく分からないんですけれども、それじゃ、検察に対する文書提出の責任者は、理財局、あるいは近畿財務局の中ではどなたになられるのでしょうか。
○窪田政府参考人 お答え申し上げます。
これは捜査における任意提出ですので、文書管理者の権限において行ったものではありませんので、検察からの求め等に応じて、各部署の職員等が提出を行ったというふうに考えております。
○川内委員 では、何で抜けている文書があるんですかね。何で抜けている文書があるんですか。
○窪田政府参考人 お答え申し上げます。
森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書においてお示ししておりますが、平成二十九年当時、近畿財務局において、本省理財局からの指示を受けて、政治家関係者との応接録として存在が確認されたものを、紙媒体及び電子ファイル共に廃棄しております。
今回お示しいたしました経緯の記録において、番号の付された部分のうち、本年四月に開示した文書において欠落していると思われるものは、政治家関係者に言及しているものが多くを占めていることが推認されます。
こうしたことを踏まえますと、欠落部分の大宗は、先ほど申し上げた応接録の廃棄の過程において欠落したと考えております。
○川内委員 ここに厳然として赤木俊夫氏が取りまとめていたと思われるリストがあるわけで、私は、提出するに当たって廃棄をしたというのも、そうですかと言うわけにはいかない。何で捨てたのか、誰が捨てたのかということは明らかにされなければならないことではないか、もし廃棄されたとすれば明らかにされなければならないことではないかというふうに思いますし。
そもそも、ちょっと元に戻りますけれども、この文書に付番したのは誰ですか。
○窪田政府参考人 近畿財務局において、この事案に関する土地取引を担当していた職員だというふうに考えております。
○川内委員 官職でいうとどなたになるんですか。
○窪田政府参考人 これは必ずしも管理職以上の職員であったというふうに考えておりませんので、名前を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、担当していた職員ではないかというふうに考えております。
○川内委員 理財局長さん、検察に提出するに当たっては、時の財務大臣は、捜査に全面的に協力するというふうに累次にわたってお述べになられていらっしゃるわけです。捜査に全面的に協力すると。
そうすると、先ほど私が御紹介申し上げた、四十六番から四十九番、抜けている文書の前後に、先ほど御紹介申し上げたとおり、安倍昭恵当時の総理夫人が現地を御視察になられ、写真を撮り、それを籠池さんが近畿財務局の職員にお示しになられた。その前は、この公表された文書を見ると、近畿財務局は、ちょっともう断ろうか、取得要望には応えられないねというふうに記録を残していらっしゃるんですね。それが、四十九番で、本省審理室から、ちょっともう一回ちゃんと案を考え直して豊中市とちゃんと交渉しろよというふうに指示されたと。実は、その後の文書などには、公表されている、今回公表された文書の中には、平成二十六年の五月、本省審理室から指示された後は、近財の方が豊中市に電話して、開発協議、お願いしますよと懇願しているんですよ。もう明確にフェーズが変わるんですね。
だから、安倍昭恵さんとの関係がどういうことであったのかということについては私はここでは断定しませんけれども、非常に重要な文書が抜かれているわけです。本省審理室と打合せを重ねるとか、協議せよと指示されたとか、近畿案を審理室に送付とか、非常に大事なものが抜かれているということなんです。
私は、赤木俊夫氏が自らの命でこの問題の真実を明らかにしようとした、だからリストも取りまとめていたということだろうというふうに思うんですが、財務大臣は、多分真実を明らかにしたいというふうに思っていらっしゃると思うんですね。予算委員会などでも累次にわたってお述べになられていらっしゃいます。総理もそうだし。
理財局長、あるいは財務省の職員としては、真実を明らかにしたいというふうに、真実が明らかになればいいなというふうに思っていらっしゃいますか。
○窪田政府参考人 御質問に対して真摯に答えることは当然でありますが、土地取引に関しましては、会計検査院やあるいは検察の捜査などを受けて、違法であるとかそういう指摘は受けておりませんし、文書の改ざんに関しましても、あらゆる資料を尽くして財務省として調査し、その結果を報告しておりますので、それが事案の全体像であるというふうに考えております。
○川内委員 今の理財局長さんの御答弁はこれまでの答弁を踏襲したものであるというふうに思うんですけれども、違法でなければよいのだというふうには、多分、自民党の先生方も、そして我々も、国民の皆さんも思わないと思うんです。なぜかというと、大変な値下げが行われて土地取引が行われた、そして、その後、それが発覚したら、文書が改ざんされ、その改ざんに抵抗した赤木俊夫氏が自らの命に代えて抗議をしたということ、そういうことを考えると、法に違反していないからいいんだもんということには私はならないというふうに思うんですよね。
平成二十六年の十二月八日の小池当時の近畿財務局管財部長と本省とのやり取りの中では、本省に共感したからやっているんですよと小池管財部長が発言し、当時の本省の課長さんが、この案件は本省が主導した案件であるというふうにも述べていらっしゃいます。
この森友案件というのは、明確に、先ほどから御紹介しているとおり、本省が主導した、本省が折に触れて主導している案件であるということでよろしいですか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
確かに、本件土地取引における貸付契約の場面におきましては、今御指摘をいただいたような記述にもありますように、本省理財局において、近畿財務局に対し、その方向性を示しまして、その意見によりまして審査期間の延長といったことがなされたということはそのとおりかと思います。
一方、土地の売買などその他のものについては、もちろん近畿財務局と本省との間で適宜連絡が行われておりましたが、その関与の在り方はまちまちでありまして、一概に土地取引全体をということであれば、なかなか断定的に申し上げるのは難しいのかなというふうに思います。
○川内委員 本省の理財局長さんとしては、現段階ではそういう答弁をせざるを得ないのかもしれないというふうにも思いながら、じゃ、文書番号百九十九番に、これまた当時の近畿財務局の管財部長さんから本省の審理室長に宛てたメールがございます。
このメールのCCに立川情報室長という方が入っていて、括弧書きで、肩書として、近畿財務局管財部霞ケ関出張所長という肩書がついております、近畿財務局管財部霞ケ関出張所長と書いてございます。この立川さんは、このメールのやり取りをする直前に近畿財務局から本省の国有財産情報室長に異動されて、土地取引が終わった後の二十八年の七月に国有財産情報室長から異動されるということで、近畿財務局管財部霞ケ関出張所長というのは、近畿財務局と本省との間のリエゾンをやりますよ、そういう趣旨であったのではないかというふうに思いますが。
先生方のお手元にもこのメールの文面をお配りしていると思いますが、近畿財務局管財部霞ケ関出張所長と明確に書いてあります。近畿財務局の管財部長から本省の審理室長に宛てた正式な行政文書としてのメールです。これは一体どういう意味ですか。
○窪田政府参考人 お答えします。
率直に申し上げて、御指摘の記載の趣旨については必ずしも明らかではございませんが、近畿財務局から本省に異動したばかりの元同僚に対するメールであったためのものであり、それ以上の意味はないのではないかと考えております。
○川内委員 委員長、驚愕の答弁だと思うんですよ、今の。天下の財務省の公務に携わる人々が、この意味はどういうことですかと聞いたら、よく分からぬけれども、まあ元同僚だから書いたんじゃないのと。そんな説明が通るんですかね。
立川さんというのは近畿財務局の管財部の次長だった人です。重要な役目をこの前後に果たされています。その人に、小池さん、管財部長が、本省に宛てたメールで、近畿財務局管財部霞ケ関出張所長という肩書を付してメールを送っている。これは、いや、別に意味、元同僚だからじゃないですかと。それは、私は、ああそうですかと言うわけにいかない。
しっかりと小池さんに、どういう意味だったんですかということを確認した上で、御答弁をしっかりといただきたいというふうに思いますけれども、理財局長、確認してもらえますか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
本件メールでのやり取りにおける宛名の肩書につきましては、やり取りをする内容には直接関係があるものではございませんので、確認する必要はないと考えております。
○川内委員 肩書はメールの内容には関係ないと。わざわざCCをつけて、これを読んでおいてねということで出しているわけで、内容に関係するめちゃめちゃ重要なことだと思うんですが、確認する必要はないというふうに御答弁になられる。
財務大臣、本件に関しては真摯に誠実に対応するよというのが総理の御方針であり、加藤財務大臣の御方針であるというふうに思うんですよ。私は、これは一体どういう意味なのかということは確認をする必要があるというふうに思いますが、財務大臣、そのぐらいは、ちょっと確認させるからということではないかと思うんですけれども。
○加藤国務大臣 まず、一般論として申し上げますと、多分、いろいろな文書を読んでいて、いろいろな疑問が出てくるんだろうと思います。ただ、それ一つ一つという対応をするというのはなかなか難しいことは御理解いただけるんではないかなと。
その中で、おっしゃるように、これが本件の一連の肝ないしそれに関わるといったものについては我々も真摯に対応させていただきたいというふうに思いますが、少なくとも、今私が見ている限りは、明らかに括弧書きの前の肩書が多分本来の肩書なんだろうと思いますので、その方に、しかもCCで回しているわけでありますから、それはその限りではないのかなというふうに思っておりますので、これを調べろということになると、あと、一個一個の、これはどういう意味だ、これはどういう意味だ、これはどういう意味だということにもつながるので、そこは絞った形で対応させていただければなというふうに思います。
○川内委員 これは肝なんですよ。財務大臣、肝なんです。立川さんはこの前後に非常に重要な役目を果たしているんです。だから、どういうことなんですかということをお聞きするわけで、私、いたずらに財務省さんの、職員の皆さんのお仕事を増やそうなんと思っていません。でも、本件をしっかりと国民の皆さんに説明していく中で、これは重要だね、重要ではないかということをこの場でお尋ねをしているので、重く受け止めていただきたいんですよ。
是非、聞くだけでいいわけですから、どういうことだったのということを聞くだけでいいわけですから、お願いします。もう一度。
○加藤国務大臣 ですから、今委員おっしゃった、どういうことで肝なのかというところを、この場で言うことが正しいかどうか、ちょっとそこは私もよく分かりませんが、また少し教えていただかないと、ちょっとこれだけ見ている限りでは今私が申し上げたような印象でございますので、またもしそこを追加的に御説明いただけるのであれば、それはその段階でまた改めて判断をさせていただきたいと思います。
○川内委員 じゃ、後ほど財務大臣に関連資料をお届けして、これは肩書が非常に重要な意味を持っていますよ、どういう趣旨だったんですかということ、大事ですよということを御説明して、納得していただいたら聞いていただくということにしていただきたいというふうに思います。
財務大臣、今日はちょっとスルガ銀行のこともやらなければならないので、ちょっと総括的に。
結局、財務省が、総理の指示に基づいて、真摯に誠実に対応しますよという指示に基づいて、全部出しますというふうにおっしゃってはいらっしゃるわけですけれども、抜けているものもある、後から出てくるものもあるということで、なかなか赤木雅子さんにとっては歯がゆい思いが連続しているというか、いつになったら本当のことが分かるんだろうという思いをされていらっしゃるというふうに思います。
改めて、川内の疑問なんかは答える必要はないですけれども、赤木雅子さんの疑問とか、今回も誠実にお答えいただいたわけですけれども、御遺族の思いというものについては誠実に対応していくよという御方針に変わりないということを、ちょっと御答弁いただきたいというふうに思います。
○加藤国務大臣 今委員からもお話がありました。今回も、私ども、一連の開示作業を、既に、一定の日程感も申し上げながら、させていただいております。
そして、開示した資料に関して、別途、御遺族から文書の右肩の番号に係る申入れ書を頂戴いたしましたので、それに対して、その作業は作業でしながらも、このタイミングで出させていただきました。
引き続き、またそうしたお問合せ等々があれば、その内容に応じてということになろうかとは思いますけれども、できる限りの対応はさせていただきたいと思っています。
○川内委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
それでは、引き続いてスルガ銀行の問題に行きたいというふうに思います。
スルガ銀行、業務改善命令が出てもう随分時間がたつわけですが、シェアハウスローンについては一定の解決をした。しかし、アパマンローン問題については解決をしないということで、スルガ銀行さんは、個別対応であるということで、被害者の皆さんは被害者団体をおつくりになられて交渉をしたいという御意向を持っていらっしゃるわけですけれども、その被害者の方を一人一人引き剥がして、言うことを聞いたらちょっとまけてやるからみたいなことをしていらっしゃるということで。
あんたが被害者であることを自分で証明しなさいというふうにスルガ銀行に言われて、じゃ、融資審査資料を開示してくださいよと言って開示してもらう。先生方のお手元にも、二枚目ですけれども、資料をお配りしておりますけれども、例えば、左の通帳と右の通帳は同じ方の通帳なんですけれども、融資審査資料として、スルガ銀行の中では、この通帳のコピーの右上に、通帳の残高を確認したよというサインを支店長さんがされるということだったみたいですけれども、実際に融資審査資料を開示請求すると、右側の資料、白塗りにして、銀行員の関与を分からなくして出すというようなことをスルガ銀行さんはしていらっしゃったということで、これは私は、被害者の皆さんに対して極めて不誠実、極めて不適切。
業務改善命令には、当行の役職員が融資業務や法令等遵守に関して銀行員として備えるべき知見を身につけるようにし、その徹底を図りなさいよ、あるいは顧客保護及び顧客本位の業務運営態勢の確立をしっかりとしなさいよということが書いてあるわけですが、自分が被害に遭ったということを証する書類を開示してくださいと言ったら、それを分からなくして開示する、これは極めて不適切だというふうに思うんですけれども、金融庁、いかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
マスキングの処理方法につきましては、委員御指摘のとおり、白塗り、それから附箋を貼る、黒塗りなど、スルガ銀行は当時いろいろなやり方で対応していたというふうに承知をしておりまして、白塗りの方法については適切ではないというふうに私どもも考えて指導をしたところでございます。それ以降は黒塗りになっていると存じますけれども、委員御指摘のとおり、この白塗りの対応というものは適切ではなかったというふうに考えております。
○川内委員 委員長、今の答弁から分かることは、白塗りしていることを最初知らなかったわけですよね、金融庁は。後で知って、それはまずいんじゃないですかという指導をしたと。業務改善命令を出して、適宜適切に命令先からは報告なりというものを受けなければならないわけですけれども、スルガ銀行はきちんと報告していない、報告していないから分からないということで、こういう不適切なことが起きるということで。
被害者の方々というのは、スルガ銀行との情報の圧倒的な非対称の中にいらっしゃるわけで、だから、被害者団体を組織して、弁護団とともにスルガ銀行と対峙をしているわけです。被害者として対峙しているわけです。ところが、被害者に個別に手紙を送って、督促状を送って、個別に協議に応じるならば便宜を図りますよ的な、体育館の裏に連れ込んで、言うことを聞けみたいなことをしているわけですね、スルガ銀行は。これは、被害者の方々から言わせれば、だましの手口、要するに白塗りにするのと同じようなことをやっているんじゃないのということになるわけで。
業務改善命令を解除して早く解決をするためには、シェアハウスと同じように、このスルガ銀行の第三者委員会の報告書には、シェアハウス問題とアパマンローン問題というのが同じだ、組織的な不正が行われていましたとスルガ銀行の第三者委員会が自らおっしゃっていらっしゃるわけですから、そういう意味において、早く解決をしたいのであれば、シェアハウスと同じように、弁護団と銀行が誠実に協議をすべきというふうに私は思います。それが、遠回りのようだけれども実は一番早い解決方法で、一人一人引っこ抜いて個別に協議するからみたいなことをやっていたら、これは絶対解決しないですよ、いつまでたっても。業務改善命令は解除できないです。
だから、スルガ銀行に対して金融庁は、弁護団ときちんと協議をしてねということを私は指導すべきであるというふうに思いますが、金融庁としてのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
○伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、スルガ銀行において組織的に不正な行為が行われ、シェアハウス問題だけではなくて、アパマン向け融資についても、第三者委員会のみならず、私どもも検査に入りまして、不正な行為があったということを認識をしているところでございまして、それを踏まえて、委員御指摘のとおり業務改善命令を出し、その後、六年たった今でもまだ解決に至っていないという現状につきましては、極めて遺憾であるというふうに考えております。
ただし、それぞれの方とスルガ銀行との間の関係につきましては、今民事調停も行われているというようなことでもございます。私どもとしては、引き続き、弁護団も含めて、スルガ銀行は、被害に遭われた方と真摯に対話、真摯に協議を続けて、一刻も早く解決に至るということを指導してまいりたいというふうに考えております。
○川内委員 指導という言葉が出ましたので、しっかりと指導をしていただきたいというふうに思います。
大臣、今度は金融担当大臣として、監督局を指導するといった、監督局をしっかり自分は大臣として指導するからというふうに御答弁いただきたいというふうに思います。
○加藤国務大臣 まず、スルガ銀行については、不正融資事案について、今御指摘ありましたように、業務改善命令から六年以上が経過しているにもかかわらず、いまだ最終的な解決に至っていない債務者の方々がおられることは大変遺憾でございます。
本件については、債務者にとって可能な限り早期に問題解決が図られることが重要であり、私も、金融大臣として、引き続き、スルガ銀行の経営陣に対し、様々な機会を通じて、債務者との協議に真摯に応じるなど適切な対応を求め、その進捗状況を確認していくことも含め、金融庁全体として、この問題の早期解決に向けて必要な対応が取られるよう、事務方をしっかりと指導してまいりたいと考えております。
○川内委員 ちょっと時間が来てしまって、寺岡総括審議官、それから吉村参事官には本当に申し訳ないです。せっかく、情報公開も非常に重要だったんですけれども。
ちょっと最後に、気になる御答弁が大臣の中にあって。債務者とおっしゃったんですよ、債務者と。ところが、アパマンの被害を受けた方たちというのは、結局、通帳を改ざんされているわけですね。レントロールを改ざんされているんですよ。金銭消費貸借契約証書も改ざんされている。全部改ざんされたもので融資を押しつけられているんですよ。そういう意味では、債務者ではなくて被害者なんですよ。だから、債務者という御答弁の中にあった言葉を、被害者とちょっと言い換えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まさに、様々に被害を受けられている、その被害の状況というのは、多分、個々にいろいろあるんだろうと思います。そこは私も全部承知しているわけじゃございません。
ただ、総じて、同時に債務者の立場でもいらっしゃるので、本件に関しては。したがって債務者という言葉を使わせていただきましたけれども、同時に様々な被害を受けられているということは十分認識をしておりますので、その上で、先ほど申し上げた、債務者にとって可能な限り早期に問題解決が図られることが重要だということを申し上げたところでございます。
○川内委員 被害者たる債務者ということですよね。
○加藤国務大臣 非常に厳格に、一対一なのかどうか、要するに狭めていいのかどうかはちょっと私にも分かりませんけれども、債務者の方々に様々な被害が起きている、それを前提として申し上げたところでございます。
○川内委員 ありがとうございました。
終わります。
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○井林委員長 次に、内閣提出、保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣加藤勝信君。
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保険業法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○加藤国務大臣 ただいま議題となりました保険業法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
損害保険業界における保険金不正請求事案と保険料調整行為事案の再発防止を図り、保険業に対する信頼性の確保及びその健全な発展を図ることが、喫緊の課題となっております。このような状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、複数の保険会社等の商品を扱う特に規模が大きい損害保険代理店に対し、その業務運営に関する体制整備義務を創設するとともに、保険会社等に対し、顧客の利益を保護するために必要な体制整備義務を強化することといたします。
第二に、保険会社等から保険契約者等への過度な便宜供与を禁止することといたします。
その他、関連する規定の整備等を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○井林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時三分散会