第20号 令和7年5月23日(金曜日)
令和七年五月二十三日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 藤丸 敏君
理事 上野賢一郎君 理事 古賀 篤君
理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君
理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君
理事 梅村 聡君 理事 浅野 哲君
井出 庸生君 井野 俊郎君
上田 英俊君 勝目 康君
草間 剛君 国光あやの君
小寺 裕雄君 後藤 茂之君
塩崎 彰久君 鈴木 貴子君
鈴木 隼人君 田畑 裕明君
田村 憲久君 根本 拓君
長谷川淳二君 平口 洋君
深澤 陽一君 福田かおる君
三谷 英弘君 森下 千里君
吉田 真次君 若山 慎司君
池田 真紀君 大塚小百合君
大西 健介君 酒井なつみ君
宗野 創君 堤 かなめ君
中島 克仁君 長妻 昭君
長谷川嘉一君 宮川 伸君
山井 和則君 柚木 道義君
阿部 圭史君 池下 卓君
猪口 幸子君 福田 徹君
森ようすけ君 沼崎 満子君
浜地 雅一君 八幡 愛君
田村 貴昭君
…………………………………
厚生労働大臣 福岡 資麿君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房年金管理審議官) 巽 慎一君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 森光 敬子君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局長) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 間 隆一郎君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
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委員の異動
五月二十三日
辞任 補欠選任
安藤たかお君 鈴木 貴子君
佐々木 紀君 三谷 英弘君
長谷川淳二君 若山 慎司君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 貴子君 井出 庸生君
三谷 英弘君 井野 俊郎君
若山 慎司君 勝目 康君
同日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 国光あやの君
井野 俊郎君 小寺 裕雄君
勝目 康君 長谷川淳二君
同日
辞任 補欠選任
国光あやの君 安藤たかお君
小寺 裕雄君 上田 英俊君
同日
辞任 補欠選任
上田 英俊君 佐々木 紀君
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五月二十二日
国民を腎疾患から守る総合対策の早期確立に関する請願(上野賢一郎君紹介)(第一二三一号)
同(眞野哲君紹介)(第一二四九号)
同(村岡敏英君紹介)(第一三一四号)
同(関芳弘君紹介)(第一三七四号)
国立病院の機能強化に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第一二三二号)
同(佐藤公治君紹介)(第一二三三号)
同(高橋永君紹介)(第一二三四号)
同(松木けんこう君紹介)(第一二三五号)
同(志位和夫君紹介)(第一二五〇号)
同(浅野哲君紹介)(第一二五三号)
同(田村貴昭君紹介)(第一二五四号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一二五八号)
同(白石洋一君紹介)(第一二五九号)
同(斎藤アレックス君紹介)(第一二七四号)
同(田中健君紹介)(第一二七五号)
同(西川将人君紹介)(第一二七六号)
同(渡辺創君紹介)(第一二八一号)
同(大河原まさこ君紹介)(第一二九一号)
同(篠原豪君紹介)(第一二九二号)
同(村岡敏英君紹介)(第一三一五号)
同(篠原孝君紹介)(第一三七九号)
従来の健康保険証を残すことに関する請願(眞野哲君紹介)(第一二四八号)
同(石川香織君紹介)(第一三七三号)
パーキンソン病治療研究支援及び医療費助成制度の改善に関する請願(棚橋泰文君紹介)(第一二六二号)
障害福祉についての法制度拡充に関する請願(西川厚志君紹介)(第一二六三号)
人権を保障する福祉職員の賃金と職員配置基準を引き上げることに関する請願(斎藤アレックス君紹介)(第一二七三号)
同(村岡敏英君紹介)(第一三一三号)
難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(階猛君紹介)(第一二八〇号)
同(井野俊郎君紹介)(第一二九三号)
同(小熊慎司君紹介)(第一二九四号)
同(吉良州司君紹介)(第一二九五号)
同(鈴木英敬君紹介)(第一二九六号)
同(鈴木貴子君紹介)(第一二九七号)
同(武村展英君紹介)(第一二九八号)
同(田中健君紹介)(第一二九九号)
同(角田秀穂君紹介)(第一三〇〇号)
同(根本拓君紹介)(第一三〇一号)
同(長谷川嘉一君紹介)(第一三〇二号)
同(馬場雄基君紹介)(第一三〇三号)
同(林佑美君紹介)(第一三〇四号)
同(福森和歌子君紹介)(第一三〇五号)
同(船田元君紹介)(第一三〇六号)
同(升田世喜男君紹介)(第一三〇七号)
同(森山浩行君紹介)(第一三〇八号)
同(吉田宣弘君紹介)(第一三〇九号)
同(渡辺周君紹介)(第一三一〇号)
同(東徹君紹介)(第一三一六号)
同(池下卓君紹介)(第一三一七号)
同(池田真紀君紹介)(第一三一八号)
同(石川香織君紹介)(第一三一九号)
同(岡田克也君紹介)(第一三二〇号)
同(小渕優子君紹介)(第一三二一号)
同(金子恵美君紹介)(第一三二二号)
同(源馬謙太郎君紹介)(第一三二三号)
同(酒井なつみ君紹介)(第一三二四号)
同(佐原若子君紹介)(第一三二五号)
同(世耕弘成君紹介)(第一三二六号)
同(長友慎治君紹介)(第一三二七号)
同(長谷川淳二君紹介)(第一三二八号)
同(福田昭夫君紹介)(第一三二九号)
同(藤岡たかお君紹介)(第一三三〇号)
同(山本大地君紹介)(第一三三一号)
同(石井智恵君紹介)(第一三三五号)
同(佐藤英道君紹介)(第一三三六号)
同(田所嘉徳君紹介)(第一三三七号)
同(玉木雄一郎君紹介)(第一三三八号)
同(津島淳君紹介)(第一三三九号)
同(中曽根康隆君紹介)(第一三四〇号)
同(福重隆浩君紹介)(第一三四一号)
同(山井和則君紹介)(第一三四二号)
同(高橋永君紹介)(第一四〇〇号)
同(平林晃君紹介)(第一四〇一号)
保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(小山千帆君紹介)(第一三七五号)
同(西川厚志君紹介)(第一三七六号)
同(藤原規眞君紹介)(第一三七七号)
同(牧義夫君紹介)(第一三七八号)
従来の健康保険証を使い続けられるよう求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三八〇号)
同(石川香織君紹介)(第一三八一号)
同(市來伴子君紹介)(第一三八二号)
同(大河原まさこ君紹介)(第一三八三号)
同(大島敦君紹介)(第一三八四号)
同(岡田華子君紹介)(第一三八五号)
同(小熊慎司君紹介)(第一三八六号)
同(志位和夫君紹介)(第一三八七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一三八八号)
同(仙田晃宏君紹介)(第一三八九号)
同(竹内千春君紹介)(第一三九〇号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一三九一号)
同(田村貴昭君紹介)(第一三九二号)
同(田村智子君紹介)(第一三九三号)
同(長谷川嘉一君紹介)(第一三九四号)
同(福田昭夫君紹介)(第一三九五号)
同(堀川あきこ君紹介)(第一三九六号)
同(緑川貴士君紹介)(第一三九七号)
同(本村伸子君紹介)(第一三九八号)
同(柚木道義君紹介)(第一三九九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五九号)
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○藤丸委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房年金管理審議官巽慎一君、医政局長森光敬子君、社会・援護局長日原知己君、年金局長間隆一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○藤丸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。森下千里君。
○森下委員 おはようございます。自由民主党、森下千里です。
今日は年金に関する質問ということで、三十分時間を頂戴しております。精いっぱい質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、今回、五年に一度の年金制度の改正を検討しておりますが、まずは公的年金制度の意義についてお伺いしたいと思います。
少子高齢化が進んでいく中で、現役世代を中心に、将来、自分は年金がもらえるのだろうかという漠然とした不安があるのは事実だと思います。公的年金制度は、例えば老齢年金では、終身で所定の額を給付する公的な仕組みであり、民間の金融商品では代替できない大切な仕組みであると考えますが、改めて、保険料を支払う側である現役世代の方々が公的年金制度に加入する意義をお伺いしたいと思います。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
公的年金制度は、老齢や障害、死亡によって生活の安定が損なわれることを防ぐため、世代間扶養の仕組みによりまして、賃金や物価の動向に応じた給付を一生涯支給するものでございます。国民生活を支える重要な柱となっております。
このような役割、機能は、国が運営に責任を持つ公的年金だからこそ果たすことができるものでございまして、将来にわたり現行の社会保険方式による国民皆年金を堅持し、少子高齢化が進む中にあっても、持続可能なものとして国民の皆様の信頼に応えていくことが重要であると考えております。
今回の法案でも、こうした考え方の下、必要な改正事項を盛り込んでおります。
○森下委員 おっしゃるとおりでございまして、まさに一生涯いただける、こんな金融商品は他にはあり得ないというふうに考えております。
公的年金を始めとする社会保険制度の根幹は、支え合いだと私は思っています。しかし、年金制度がつくられた昭和の時代とこれだけ時代が変わっていく中で、どこまで支え合えるんだろうか、そんなふうにも思っていたりします。
年金制度は制度として長い歴史を持ちますが、制度開設から、人々の働き方、これもかなり様変わりし、多様化してまいりました。また、ライフスタイルも変わり、考え方も変わってきている。何より、人口増の社会から人口減社会へと変わってまいりました。
このような社会の中で、年金制度も時代の変化に対応していく必要があると考えます。先ほどおっしゃられたとおりでございますが、持続可能性、これが本当に何より大切だと思いますが、今回の年金制度改正の趣旨をお伺いしたいと思います。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
今回の改正の趣旨でございますが、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化を図る観点から、働き方に中立的で、ライフスタイルの多様化等を踏まえた制度の構築や、高齢期における生活の安定、所得再分配機能の強化といったことなどを目的としておりまして、様々な改正項目を盛り込む重要な法案となっております。
具体的な改正項目といたしましては、いわゆる百六万円の壁を撤廃し、より手厚い年金を受けられるようにする被用者保険の適用拡大のほか、就労収入を得ながら年金をより多く受け取れるようにする在職老齢年金制度の見直し、また、iDeCoの加入可能年齢の上限を七十歳未満に引き上げる措置などを盛り込んでおります。
○森下委員 ありがとうございます。
現状の社会保険料の労使折半、これを私は大変に重く感じています。労使折半によって、社会保険の対象者の人件費は、額面金額よりも実質約一五%から二〇%、これが企業負担増となっているわけなんですが、皆さんよく手取りとおっしゃいますが、実際には見えない報酬がついていると私は理解すべきだと思います。また、ちゃんと労使折半が、企業がやってくださっていることで自分を守ってくれている、そう理解するということも必要なのではないかなと思います。
私は、社会に出てから芸能の仕事をしておりました。芸能というのは、基本はマネジメント契約というふうになり、いわゆる業務委託のような形になります。というわけで、厚生年金に一度も加入したことがなく、私から見ると、誰かがこの厚生年金を払ってくれるなんて、まるで夢のようだなというふうに強く憧れがありました。よくある一階、二階、三階の図解をした部分ですけれども、私は一生二階に上がれないんじゃないかなと思って、残念な思いでした。国民基金に入って二階に上がれるんですよ。けれども、厚生年金というのは自分一人の力で上がることができません。
このような状況の中で、やはり、今既に厚生年金に入っていただいている方に関しましては、企業の労使折半についても理解をしていただきたいなというふうに思っております。また、厚生年金の仕組みと企業負担についての理解、これができていなければ、労働者側もメリットを感じられないと思います。反対に、感じておられる方、最近は、芸能界の中でも、こうした社会保険に対する考え方は随分変わってきていると思っております。例えば労災に入りたいとか、そういったお声も聞こえてきているところでございます。
けれども、一方で、やはり理解していなければ、なかなかこれは、企業と労働者側の相思相愛にならないのではないかというふうに考えております。企業として、これはまた正しく評価をしてもらえなければ、非正規雇用や業務委託の選択に目が向いてしまうのではないかなというふうにも思います。また、消費税負担から見ても、給与は非課税のため、業務委託と比較して実質約一〇%の企業負担増となります。やはり、正規雇用を敬遠しがちになってしまうのではないか、そんな思いもあります。
その状況の中で、まずは、今回の適用拡大について質問をさせていただきたいと思います。今回の年金制度改正では、大きな改正事項が幾つもあると思いますが、被用者保険の重要な取組の一つである適用拡大について考えています。
今回の改正で、五十人以下の企業で働くパート、アルバイトの方についても、週に二十時間以上働けば被用者保険に加入することとなり、年金の増額などのメリットがあります。一方で、中小企業からは、経営が厳しい中で保険料負担が急激に増加するということに対しての懸念が多い、これも私、地元ではよく聞く声であります。
適用拡大の意義、これは強く理解するところでありますが、こうした適用を拡大していくに当たって、中小企業の皆さんへの配慮、これをどうされるのか、御説明いただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、今回の見直しでは、今まで以上に小規模な企業を対象といたしますので、企業経営に与える影響や事務負担の増加等も踏まえて、施行までの十分な準備期間の確保や段階的な施行により、必要な配慮を行うこととしております。
加えて、様々な助成措置等を活用できるよう、関係省庁とも連携して支援体制を整備することなどにより、円滑な施行ができる環境も整備したいと思っております。
さらに、企業経営に与える影響や事務負担の増加等も踏まえて、事業主の方の事務負担軽減を図る観点から、年金事務所への来所が不要になる電子申請の推進、情報が記載された届け書などを事業所へ送付して、それを確認してお返しいただくというようなターンアラウンド方式、社会保険労務士等の専門家の事業所等への無料派遣などにより、事務負担の軽減にも更に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○森下委員 雇用側である企業を守らなければ、働く場所はなくなります。結果、労働者を守ることはできません。しかも、地方は、中小企業、小規模事業者、そして会社経営の事業者さんも大変に多いというところが事実です。今回の適用拡大で、作業が煩雑になり、また金額、事務負担、これも増えてしまうということは大変に懸念しております。今おっしゃったとおりで、事務負担にもかなり私は配慮が必要なのではないかなというふうに感じております。
また、既に現在、同じ労働、同じ収入であっても、企業の規模や雇用形態によって保障の差が出るということは、これは現行制度の私は課題であると考えております。更に適用拡大が広がれば、実際には、資金力がある大企業が人材を確保するのに優位になっていくのではないかと懸念をしております。
私は、地方での暮らしを守る、そのことが何より大切だと思っております。地方は、やはり中小企業、小規模事業者の方が圧倒的に多いです。こうした年金制度も人材確保につながる大切な大切な問題です。私は、中小企業向けの助成がより必要であると思います。とにかく負担を増やさないでほしい、そう思っております。無料の電子申請ツールや手続代行支援を拡充する、こういったことの事務負担も軽減させていただきたいと思いますし、何より、持続可能性と公平性を確保するには、より制度をシンプルにするとともに、心強い支援が必要であると思っております。
また、被用者保険の適用拡大は、法人だけではなく、個人事業者として事業を営んでいる方にも影響することとなります。具体的には、常時五人以上を使用するとする個人事業者について、これまで業務によっては被用者保険の適用外とする扱いがされておりましたが、今回の改正で非適用業種を解消することとなります。
ただ、こうした個人事業者は、小規模に事業を営んでいることも多く、昨今の賃上げにより経営的に厳しい状況に置かれていることから、非適用業種の解消に際しましては、個人事業者に影響が出ないようにしっかりと配慮をすべきではないでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
今回の法案では、御指摘のように、五人以上の従業員を使用する個人事業所について非適用業種の解消を行うことといたしまして、該当する事業所で働く正社員の方も含め、短時間労働者の方も適用対象とすることとしてございます。
その上で、今回は、施行日以後に新たに開業する事業所については、法律の施行を前提とした対応が可能であると考えられることから、開業後に五人以上の従業員を使用することとなった時点で被用者保険に加入いただくこととしております。
一方で、施行日時点で既に開業されている個人事業所につきましては、新規事業所と比較して、開業時点では予期していなかった適用拡大に伴う事務負担や経営への影響が生じるため、当分の間は適用対象としないこととした上で、人材確保に積極的な個人事業所が任意でやりたい、適用していきたいというふうにお考えになる場合には、保険料調整制度の対象とするなど支援をしたい、このように考えております。
○森下委員 ありがとうございます。
これまでは事業所側のお話を聞かせていただいておりましたが、反対に、今度は被用者の視点での質問にさせていただきたいと思います。
今回、被用者保険の適用拡大が進むことで、これまで被用者保険が適用されてこなかった方々が新たに被用者保険に加入し、保険料を負担することとなります。地元では、やはりパート、アルバイトで働く女性も多いのですが、こうした方々の視点に立って、新たに被用者保険に加入することでどのような影響があるのかを伺いたいと思います。
例えば、夫が自営業等で国民年金の第一号被保険者である場合に、妻がこれまで厚生年金に加入せず短時間で労働していた場合、国民年金保険料を今年度では月に一万七千五百十円負担することになると思いますが、適用拡大によって被用者保険に加入すると、負担はどう変わるんでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
主に、自営業者や従業員五十人以下の事業所で働かれる単身の方などは第一号被保険者となります。今委員御指摘のように、原則として、定額の国民年金の保険料として月額一万七千五百十円を御負担いただき、その期間は基礎年金となって、基礎年金が受給できるということでございます。
第一号被保険者の方が被用者保険の適用拡大により厚生年金に加入した場合には、保険料負担が労使折半となります。事業主の方も半分出してくださる。
具体例で申し上げますと、月額賃金八・八万円で働く方の場合には、本人の御負担は月額約八千百円と半分以下になります。その上で、将来受け取れる年金が、基礎年金に加えて、厚生年金も終身で支給されることになるため、給付と負担、両面でのメリットがある、このように考えております。
○森下委員 ありがとうございます。
では、反対に、夫がサラリーマン等で厚生年金の被保険者であって、その妻が夫の被扶養の範囲内で働いていた場合には、第三号被保険者としてこれまで保険料が生じていなかったところ、被用者保険加入により新たに保険料負担が生じることとなります。こうした方々にはどのような影響があるのか、伺いたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
今御指摘の、第三号被保険者が被用者保険の適用拡大により被用者保険に加入した場合には、御本人への影響という意味では、将来受け取れる年金が、基礎年金に加えて、厚生年金も終身で支給されるというメリットに加えて、健康保険においても、傷病手当金や出産手当金が受け取れるというメリットもございます。
その上で、保険料負担につきましては、三号被保険者のときには、配偶者の方が厚生年金の中で概念的にはまとめて御負担いただいているということで、御本人の負担はないわけでございますが、被用者保険に加入いたしますと、月額賃金で八・八万円で厚生年金に加入した場合には、御本人の保険料負担は月額約八千百円となるところでございます。これが新たな御負担となる。
これに対して、今回の仕組みでは、こういう方も含めて、保険料負担を軽減するような保険料調整制度というのも今回導入させていただきたい、このように考えております。
○森下委員 ありがとうございます。
このように、人によってどういった形になるのかというのは、本当に千差万別というか、ある程度あると思うんですけれども、差が出るなというふうに思います。
今回の中で、補助金について、これは私、自民党の部会の中でもさんざん申し上げてきたんですが、キャリアアップ助成金について伺いたいと思います。
キャリアアップ助成金で支援をすると私もこれまで説明を受けてまいりましたが、正直、やや不安が残っています。そもそも、キャリアアップ助成金というのは、働き控えを解消するものが狙いであるというふうに伺っておりまして、今回の年金の適用拡大とは根っこが違うのではないかなと思っており、どこまで対応できるかが正直分からないというところがあります。
また、これも計画書を提出しなければならないといった煩雑さがあり、事務負担も増えます。また、社会保険適用時処遇改善コースを使うことになるのかなと私もプランを見ながら思っておったんですが、これもワンショットでありますし、労働時間延長プラン、これを組み合わせる等、こういったものがやはり複雑で分かりにくいというところがありまして、こういったキャリアアップ助成金を使用する場合であっても、何を使っていいのかというのをしっかり御指導していただかなければいけませんし、それだけではなくて、本当に大丈夫だということを周知していただきながら、厚労省としてどういったサポートをされていくのか、お伺いしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
適用拡大を進めていく上で、ただいま御指摘のキャリアアップ助成金につきましても、使い勝手等を改善しながらしっかり取り組んでまいりたいと思います。
その上で、やはり企業の方への御支援というのは、本質的には稼ぐ力を高めていくということなんだろうというふうに思います。そういう意味では、生産性の向上等に資する支援を活用いただけるよう関係省庁と連携して取り組んでいきたいですし、それらも、余りにもいろいろなメニューがあって使いづらいというお話もございます。その意味では、経営等相談窓口でよろず支援拠点事業といったようなものもあるというふうに承知しておりますので、関係省庁と連携した取組をしっかりやっていくことが必要だ、このように認識しております。
それに加えて、先ほど御紹介したような事務的な負担軽減も含めて応援をさせていただきたいと思っております。
○森下委員 ありがとうございます。
まさに、メニューが多過ぎると選べないのはレストランも同じでありまして、できれば簡素化していただきたいというのが正直なところであります。
また、そもそも、こういったお金に関する制度自体を我々国民がきちんと理解をしていない、又は、きちんと理解をする場が余りなかったというのが正直なところだと思います。
私は、二十代後半になりますが、ファイナンシャルプランナーの資格を取りました。将来生きていくに当たってお金の勉強はすべきだなというふうに思ったから資格を取得したんですけれども、その当時、共に、もう既に資格を持っていた友人、友達からは、制度を通じて国を知ることができるというふうに言っていただいたのを大変覚えておりまして、制度を知っていれば困ったときにどうにか助けてくれるというふうに、私は、そのときに言っていたことを信じております。国がどんな状況であって、どんな未来を目指しているのか、これはやはり制度を通じても感じることができるというふうに、私も国会に上がらせていただきまして、この七か月間ですが、感じてまいりました。
しかし、そういった中で、やはり考えるのは、お金について勉強する場が余りにもないということであります。また、別の友人でありますが、こうしたお金の勉強をもっとするべきだろうといって、お金の教養を学べる学校をつくったという方がおられます。私もちなみに通いました。こうした大人になってから本当に必要な税や又は社会保険などの仕組み、これを義務教育の中で学べてもいいのではないかなと私は常に思っておりまして、全体的にもっと我々の、国民の金融リテラシー自身を上げていく必要があるというふうに考えております。でなければ、先ほどから申し上げておりますとおりで、今回のように適用拡大しても、自分がどう変わるのかが分からない、又は、得するのか損するのか、困ったときにどう助かるんだろうか、そういった道を探していくのも難しいのではないかなというふうに感じております。
また、繰り返しになりますが、反対に、こうした制度が分かれば、労使折半のことが分かれば、社会保険に入るメリットを感じる、働く会社を選ぶ選択肢も変わっていく、そんなことも考えられます。
そういった中で、少し余談というか回り道になりますが、例えばですが、私は、企業負担分を含めた見える化の給料明細、こういったものを義務化する、導入する。具体的に言うと、労使折半の内容を明示した形式などを制度化するということによって、従業員の方が企業負担の実態を可視化できるようにしていく。こういったことを通じて、保険料についても知る機会を増やすことができるのではないかというふうに思っております。
再度再度で大変恐縮なんですが、そもそも制度が複雑過ぎるというのは問題であると思いますが、とはいえ、現在の年金制度を周知させることの努力がまず必要だと私は考えています。年金の教養、お金の教養を学べるような機会をつくるということ、学校や大学、企業になってからでもこういったことは可能ではないのでしょうか。
保険料の仕組みを学ぶプログラムを制度化する、そうしたことや、より周知をしていくことなどを通じて、年金制度に関しましても、金融リテラシーを向上する、保険料への理解を高める、こういったことが必要だと思いますが、厚労省としてできること、また既に取り組んでおられることがございましたら、教えていただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
公的年金は、長生きや障害、死亡という予測することができない将来のリスクに対して社会全体で支える社会保険でございます。積立貯蓄との違いや保険料を納付する意義につきましても、丁寧に説明していくことが重要と考えています。
こうした観点から、厚生労働省におきましては、若い世代向けの参加型広報としての学生との年金対話集会や、年金制度の意義等を解説する若者向けユーチューブ動画や、これを活用した中高生向け年金教育教材、こういうのを作っておりますし、将来受給可能な年金額を簡単に試算できる公的年金シミュレーター、これもかなりアクセスがございますが、こういったものの取組を進めております。
さらに、公的、私的年金や資産形成に関する知識を一体的に学べるよう、金融経済教育推進機構等と連携して、年金に関するセミナーなどを実施しております。
さらには、今開いております年金広報検討会におきましては、学校教育の話がございました、全国家庭科教育協会の先生方にもオブザーバーとして参加していただいて、一緒に考えていきたいと。
引き続き、分かりやすく正確な年金教育広報に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○森下委員 ありがとうございます。
私も、このシミュレーターは何度も何度も使っております。ありがとうございます。
このようにして、知っていると本当に救われることがあると思いますし、安心することができると思います。ですので、今おっしゃっていた対話集会やユーチューブ、こういったことの周知もしっかりと励んでいきたいですし、私も広報に力を注いでまいりたいというふうに思っております。
また、このように多くの方が制度をより理解してくださることができれば、私たちの本日のこういった審議も、多くの方からの共感だったり理解が生まれる、そしてすばらしい審議がもっと行われていくのではないかなというふうにも期待をしておるところでございます。
さて、今回の改正では、遺族厚生年金についても見直しの対象となりますが、制度の見直し内容が受給時点の年齢で異なるので、どういう方に影響が生じるのか、分かりにくいという声も聞きます。
遺族厚生年金は、夫や妻に先立たれた御高齢の方が生活していく上で重要な収入の柱であり、とても関心が高い事項です。特に、女性は男性よりも長生きするというデータが出ております。地元でも、旦那さんが先に亡くなった方から、私は将来大丈夫なんですかなんという不安の声も聞きます。
このような中で、遺族厚生年金の支給期間を有期化するという見直し事項がありますが、六十歳以上の高齢になってから配偶者に先立たれた方が遺族厚生年金を受給することになった場合は、今回の見直しの影響を受けるのか、伺いたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
端的に申し上げれば、今委員御指摘の方については影響はないということでございますが、今回の法案、男女差を解消する観点から、遺族年金の見直しの対象になるのは、二十代から五十代の十八歳未満のお子さんのいらっしゃらない方が対象でございます。制度上の男女差のない六十歳以降の方、それから既に受給権を有している方、二十代から五十代の十八歳未満のお子さんのいらっしゃる方については給付内容が維持される、こうしたことをしっかり広報してまいりたいと思います。
○森下委員 ありがとうございます。
男女差をなくすのは大切なことだなと私も思いますので、よろしくお願いいたします。
また、年金制度で、賦課方式による世代間の支え合いということで、次世代を担う子供の育成を支援していくこと、これも大変に重要なことだと考えています。
晩婚化が進む中で、比較的高齢になってから子を持たれる親、親と言うのもあれですけれども、親御さんもおられたり、また、事情があり、お孫さんを養子縁組にされた方も地元でおられました。こうした御家庭の中で、これから先に、子が成人する前に親が退職等により年金生活に入るケースも想定されます。こうした方々は年金を受給しながら自分の生活と子育ての双方を維持していく必要が生じますが、年金制度として、年金を受給しながら子育てを行う方々への支援を拡充していくこと、これについてお伺いしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、子供、子育て支援に関する施策を充実することは重要でございまして、今回の法案は、児童扶養手当や民間企業の扶養手当についての支援などを踏まえまして、年金制度におきましても、子を持つ年金受給者の保障を強化する観点から改善を、制度拡充をしたいと考えております。
具体的には、現行では第一子、第二子に比べて低額としております第三子以降の加算する額を、第一子、第二子の同額とした上で、加算する額を現行の金額から約二割程度増額をするということを考えております。これは、老齢、障害、遺族、同じでございます。
また、老齢基礎年金におきましても、一定の納付実績に応じた子の加算を創設するほか、老齢厚生年金において、現行では加算を受けるために必要な厚生年金の被保険者期間が二百四十月、二十年であるところを、百二十月、十年へ短縮する、こういうことを考えているところでございます。
○森下委員 ありがとうございます。
今回の改正でかなり拡充範囲を広げてくださっていてありがたいなと思うのですが、ちょっと欲張ったことを申し上げますと、年金受給開始の年齢が六十五歳、子供が十八歳以下というふうになりますと、四十七歳で子供を授かっていないといけない状況になりますよね。これは男性であれば可能なんですが、実は女性だとなかなか厳しいなというハードルがあるなというふうに感じております。先ほど申し上げたように、男女差をなくすという意味でも、また少し何か違う支援があったらいいななんというふうにちょっと独り言を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
最後の質問になるかなと思うんですけれども、今、外国人の方が増えてまいりました。国籍要件がないため、外国人でも、住民票があり、条件に該当すれば、年金に加入することとなります。しかし、年金受給資格というのは十年でありますので、十年に満たない場合に帰国されますと、現在は、脱退一時金制度ということで、出国一時金として、支払った分の金額が戻ってくるというふうに伺っております。
ただ、本当に最近、外国の方は増えておりまして、五年から十年滞在した外国人の割合は、二〇二〇年で約六%でしたが、二〇二三年になりますと約一八%、急激に増えています。また、技能実習制度に代わり、育成就労制度が創設される予定となりましたので、これは三年、五年で計八年と長い時間、外国人の方が滞在するというのが増えるのではないかというふうに考えておりますので、外国人に対する年金について、今回の変更点をまず説明していただきたい。
もう一つ、これはお互いさまになるんですが、元々、年金制度に似た制度がある国に、例えば一時的な派遣等であって、外国と、年金制度に二重に加入することとなってしまった場合、二重負担になってしまうことがあり得ます。これについてどう対処されるのか、お伺いしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
脱退一時金につきまして、改正内容を御説明申し上げます。
現行制度では、外国人が再入国許可を受けて出国した場合でも脱退一時金の受給が可能でございますが、一時的な帰国の際に受給すると、それまでの年金加入期間がなくなったことになってしまいます。
このため、今回の法案では、将来の年金受給に結びつけやすくする観点から、再入国許可つきで出国した方には、当該許可の有効期間内は脱退一時金を支給しないこととしております。
あわせて、今委員御紹介がありました育成就労制度が創設されたことなどを背景として、特定技能と合わせれば八年程度我が国に滞在する方が増加すると考えられますことから、政令での対応でございますが、脱退一時金の支給上限を現行の五年から八年、御本人の保険料八年分を一時金としてお支払いするという形にしたいというふうに考えております。
また、今、お互いさまの話でございますけれども、保険料の二重負担の解消を図るために、社会保障協定を各国と締結してございます。これについて順次進めているところでございまして、我が国はこれまでに二十三か国と社会保障協定を締結しているほか、一か国と署名済み、五か国と交渉を行っているところでございまして、今後とも、外務省とともに、社会保障協定の締結に向けた取組を一層進めてまいりたい、このように思っております。
○森下委員 このように、年金は幅広く保障がされるというふうに承知をしております。けれども、実際には、町というか地元を歩いておりますと、高齢の方からは、こんな金額じゃ暮らせないという厳しいお声も聞きます。そういう声を聞きますと、正直、私たちの世代は本当に大丈夫なんだろうかというふうに思うところもありますので、是非とも、年金に対してやはりもっと皆さんが期待をしていただけるように、分かりやすく周知をしていただくということが大変に重要かと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、長谷川淳二君。
○長谷川(淳)委員 自由民主党の長谷川淳二でございます。
年金制度改革関連法案に関する質問の機会をいただき、ありがとうございます。
早速始めさせていただきます。
日本の人口一億二千七百万人のうち、令和四年度末現在で約六千七百四十四万人が公的年金制度に加入されています。それに対して、約三千九百七十五万人の年金受給者がおられます。日本の人口の半分が年金加入者、四分の一が年金受給者ということでございます。
被保険者が、年金加入者が年間約四十一兆円の保険料を納付し、国庫負担の約十三兆円と合わせて、年金受給者に対して年間約五十三兆円の給付が行われています。高齢者世帯の約五割が年金収入だけで生活をされており、高齢者世帯の収入の約六割が年金所得からとなっています。まさに公的年金は老後の所得保障の柱として重要な役割を担っています。
一方で、年金加入者である現役世代には、先ほど森下委員から話がありましたが、やはり少子高齢化の影響などによって、将来不安とともに、年金制度への不安や不信が根強くあるのも事実でございます。世界有数の長寿国である我が国において高齢期の生活の基本を支えている公的年金制度を、まずは一つは、社会経済の変化に対応した、時代に合った制度にしていくこと、そしてもう一つは、長期的に安定してその役割を果たし続けられるようにすることが最重要課題だと思います。
その上で、年金加入者、年金受給者の双方の理解をいただくことと同時に、厚生年金保険料は労使折半でございます、事業主に対する配慮も必要でございます。そうした観点から質問させていただきたいと思います。
まず、本法案の前提となった令和六年財政検証についてお伺いをいたします。
財政検証の諸前提については、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースでも実質賃金上昇率の設定が実際より高くなっているんじゃないか、あるいは合計特殊出生率が直近で更に低下しているのではないかということで、楽観的であるのではないかという指摘がございます。しかし一方で、年金財政に影響を与える要素は、実質賃金上昇率や合計特殊出生率だけでなく、GPIFの実質運用利回りや労働参加率などの要素も重要であると思います。
令和六年の財政検証の経済前提について、様々な要素を総合的に勘案し、専門家による検討を経たものであり、過去三十年の実績と比べて決して楽観的な前提になっているとは言えないというのが厚労省の説明であると理解していますが、具体的に、GPIFの実質運用利回り、そしてもう一つは労働参加率、三つ目は外国人の入国超過数、それぞれの要素をどのように反映させて全体として妥当な前提となっていると言えるのか、厚労省の見解をお伺いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘のありました財政検証の経済前提のうち、GPIFのまず実質運用利回りでございますけれども、GPIFの運用実績を基礎に保守的に設定する観点から、成長型経済移行・継続ケースは、十年移動平均の上位七〇%をカバーする値にしております。過去三十年投影ケースは、同上位八〇%をカバーする値を基礎に設定しております。かなり幅広く設定しております。
また、就業率につきましては、独立行政法人労働政策研究・研修機構の労働力需給の推計を基に、成長型経済移行・継続ケースは、女性及び高齢者等の労働市場への参加が進展するシナリオで、過去三十年投影ケースは、女性及び高齢者等の労働参加が一定程度進むシナリオを用いて設定をしてございます。
さらに、外国人の入国超過数につきましては、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口において設定されている二〇一六年から二〇一九年の平均値を用いているところでございます。
その上で、特に人口の前提につきましては、国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口を用いつつ、これについては、出生や死亡、外国人の入国超過の状況などについて幅を持って推計をしている、決め打ちではなくて幅を持って推計している、こういうことでございます。
○長谷川(淳)委員 まず、前提として、今ほど御説明があった様々な要素の見通しとともに、令和六年財政検証は前回検証よりも、先ほど来申し上げている、労働参加が進展した、あるいは積立金の運用が上振れしたということで、前回よりは改善している、さらには、賃上げと投資の好循環に向けた政策努力がなされている、その上に、今ほど御説明された様々な要素を踏まえて、一定の妥当性のある試算として今回の過去三十年投影ケースが示されたというふうに理解をさせていただきます。
その上で、令和六年財政検証では、各世代の六十五歳時点における老齢年金の平均額や分布の見通し、年金額の分布推計が初めて策定をされたところでございます。法律上規定されているのはモデル年金なんですね。夫が四十年働いて妻は専業主婦、いわゆる男性のみが働くことを前提としたモデル年金ですけれども、やはり、これまで労働参加が進んで家族形態やライフスタイルが大きく変化する中で、若い世代から見ると、モデル年金は実像からのずれが大きくて将来の年金額をイメージしづらい、そういった声があったところでございます。
そこで、今回、年金部会における意見なども踏まえて、モデル年金に加えて、男女別、世代別の年金額の分布推計を作成されたと承知しています。当委員会でもこれを用いていろいろな議論が行われていますが、私は、この分布推計を見て感じることは、端的に、若者世代ほど、労働参加の進展によって厚生年金の被保険者期間が延びて、将来的な年金額の増加に寄与する。要は、シンプルに、希望に応じて働けば、そして長く厚生年金保険に加入すれば、報酬比例の年金をより多く受給できる、いわばシンプルな年金が増える仕組みが明らかになったのではないか、すなわち、被用者保険の適用拡大の有効性が示されたのではないかというふうに受け止めていますけれども、厚労省の見解をお伺いします。
○間政府参考人 御指摘のとおり、この分布推計で、共働き世帯の増加や、女性や高齢者の労働参加の進展によりまして、若い世代ほど、厚生年金の被保険者期間が延び、年金が充実する傾向にあることが確認されております。あわせて、特に女性の改善が見込まれるということが示されております。
御指摘のように、さらに、今回の法案に盛り込んでおります被用者保険の適用拡大も、厚生年金の被保険者期間が延びる、延ばす効果がございますので、将来の年金額の増加にも寄与する、このように期待しているところでございます。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
そのとおり、女性ほど労働参加によって年金受給が上がるということで、私は、いわゆる働き損、払い損とか、あるいは、専業主婦は年金で得をするという誤ったイメージの払拭にもこの試算は寄与するんじゃないかと思います。
次に、被用者保険の適用拡大についてお伺いさせていただきます。
これも森下委員と重なる部分がございますけれども、適用拡大を進める場合、やはり対象となる小規模事業所においては、適用手続や日々の労務管理など事務負担が増加をいたします。そして、新たな保険料発生に伴って、経営への影響があるということが懸念をされます。
厚労省は、労使折半を超えて負担した事業主の保険料を還付によって全額支援する仕組みをつくるとされています。ただ、これも、資金繰りが厳しい企業にとっては、保険料負担額の迅速な還付、こうしたものを始め、事務負担の軽減、これは不可欠だと思います。また、これまで以上に小規模な企業を適用拡大の対象とするわけでございますので、小規模事業者の厳しい経営状況も踏まえ、事業主の保険料負担を軽減することも大変重要であると思います。
そこで、労使折半を超えて事業主が負担した保険料の迅速な還付を含めた事業主の事務負担の軽減、そして小規模事業者の保険料負担の軽減については、やはり既存の、既に政府として取り組んでいる様々な助成金、キャリアアップ助成金を始めとする様々な助成金を最大限活用できるように、他省庁とも連携して、個々の小規模事業者の実情に応じたきめ細やかな支援を行うべきと考えますが、厚労省の方針をお伺いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
まず、御指摘の保険料調整制度でございますけれども、事業所の事務負担をできるだけ軽くするということは大変重要だと思っておりまして、これを御利用いただくときには、利用開始時の届出のみで、あとは自動的に、保険料を納めていただくと還付が速やかになされるという仕組みにしたいというふうに考えております。
詳細につきましては検討を進めているところでございますが、今委員御指摘の迅速な還付も含めて、事業主の負担に寄り添った制度とする必要があると考えておりますので、どういう形にすれば更により負担が軽減できるのかということにつきましては、事業主の視点に立って、関係団体とも調整しながら、万全を期してまいりたいというふうに思います。
そして、適用拡大に伴う事業主の負担軽減につきましては、キャリアアップ助成金もそうですけれども、生産性の向上等に資する助成金等の支援につきましても含めまして、あるいは相談体制も含めまして、関係省庁と協力してしっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。
○長谷川(淳)委員 保険料負担の迅速な還付、是非ともお願いをしたいと思いますし、キャリアアップ助成金を始め、生産性向上支援など、やはり既存のあらゆる支援策を活用して事業主の保険料負担の軽減に取り組んでいただきますよう、これは強くお願いをさせていただきます。
次に、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了措置についてお伺いします。
マクロ経済スライドの仕組みが創設された二〇〇四年の財政再計算の前提となる基準ケースでは、スライド調整は国民年金財政、厚生年金財政共に二〇二三年で終了すると見通されてきました。
しかし、令和六年財政検証で、過去三十年投影ケースの場合、スライド調整の終了時期については、報酬比例部分は二〇二六年度、基礎年金は二〇五七年度とされました。両者で調整期間が大きくずれるとともに、基礎年金の調整期間が長期化をする、すなわち基礎年金の給付水準が長期にわたって低下をする、これによって、二〇五七年度における基礎年金の所得代替率が現在より約三割低下をするというふうに試算されているというのは御案内のとおりでございます。
そもそも、基礎年金の給付水準の低下を招く原因となっている、この基礎年金の調整期間が報酬比例部分よりも大幅に長期化したのは何が原因だったのかをお伺いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
平成十六年の財政再計算、当時は財政再計算と呼んでおりました、及び法改正時以降、デフレが続く中で、当時想定していた社会経済と実際の状況に乖離が生じてきた結果、このような差が生じました。
具体的に申し上げますと、基礎年金については、デフレ下でマクロ経済スライドが発動しなかったなどの影響によりまして、定額である基礎年金の給付調整が進まないことで、基礎年金のマクロ経済スライド調整期間が延びました。
一方で、報酬比例部分につきましては、デフレ下でも女性や高齢者の労働参加の進展により想定よりも厚生年金被保険者の増加や第三号被保険者の減少が進んだことなどにより、報酬比例部分のマクロ経済スライドの調整期間が短縮されたということでございます。
その結果として、基礎年金と報酬比例部分の調整終了時期に差異が生じた、このように考えております。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
その上で、マクロ経済スライドの早期終了措置に対して、年金部会においてどのような議論がなされたかをお伺いをいたします。
現行の仕組みを前提とすると、過去三十年投影ケースでは、基礎年金だけの調整が続くことになります。基礎年金の給付水準が長期にわたって低下することが避けられない見通しである、そして公的年金に占める基礎年金部分の比率の低下は所得再分配機能を弱めることになる、したがって、基礎年金の給付水準の低下を防ぐ必要があるということでございます。
ただ一方で、社会保障審議会の年金部会においては、マクロ経済スライドの早期終了措置を講じる場合に、将来的には九九・九%の方の給付水準が上昇するという試算が既に年金部会において示されていたにもかかわらず、慎重な意見もかなりありと報告書に記載をされています。
そこで、年金部会における議論において、マクロ経済スライドの早期終了措置に対して具体的にどのような慎重意見があったのかをお伺いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
社会保障審議会年金部会の議論におきましては、基礎年金の水準確保は重要だという点は一致しておりました。そこは一致しておりました。
その上で、具体的な手法としてのマクロ経済スライドの早期終了措置につきましては、賛成意見がある一方で、保険料や拠出金、積立金の関係が分かりづらいとか、報酬比例部分の調整期間の延長により足下の年金の給付水準が下がる場合があることでありますとか、基礎年金水準上昇に伴う国庫負担増加に対応した財源確保の見通しが曖昧であることなどから国民の理解が得られるのかという御意見や、厚生年金積立金を基礎年金の給付水準の向上に活用することは、実際に厚生年金保険料を負担している被保険者や事業主の理解が得られるのかといった慎重な御意見があって、年金部会としては意見がまとまらなかったということでございます。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
いわゆるSNS上で言われている厚生年金の流用というような話ではなく、今ほど申し上げた制度の複雑さですとか、今いただいている厚生年金の方の支給水準が一時的に下がるとか、あるいは国庫負担が伴うことに対する国民負担への懸念、そして、厚生年金の積立金を基礎年金により多く活用することについての理解が十分に得られなかった、こういう複合的な理由であったというふうに思います。
その上で、本法案でマクロ経済スライドの早期終了措置を規定しなかったことについて確認をさせていただきたいと思います。
まず、将来の年金水準は、今後の経済状況によって変動するものでございます。そのために、やはり経済状況をよく見極めながら判断していくことが何より重要でございます。財政、経済状況が好転すれば基礎年金の水準は確保される、ただ、思うように経済状況がうまく好転しなければ、次の展開を考えなきゃいけないということだと思います。
その観点から本法案を見ますと、マクロ経済スライドの早期終了に関する具体的な措置を規定してはいませんが、一方で、報酬比例部分におけるマクロ経済スライドによる給付調整を、二〇二九年の次期財政検証の翌年度、二〇三〇年度まで延長しつつ、当該期間の調整率を三分の一に緩和することとしております。
したがって、本法案は、将来の基礎年金の給付水準の確保の在り方について様々な意見がある中で、厚生年金の受給者に配慮しつつ、経済状況も見極めた上で、二〇二九年の次期財政検証の結果も踏まえて、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了措置について改めて検討するものと理解していますが、大臣の見解をお伺いいたします。
○福岡国務大臣 まず、基礎年金の給付水準の確保、これは極めて重要だというふうに考えております。
そして、御指摘がありましたように、給付水準は今後の経済状況によって変わり得ることから、政府としては、成長型の経済を目指していくということです。
その上で、これも御指摘がありましたように、次の財政検証の結果を踏まえて、そこで適切に検討し、必要な措置を講じることとしているところでございます。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
マクロ経済スライドの早期終了措置は、将来の水準確保に向け、年金部会がまとめているとおり、経済が好調に推移しない場合に発動される備えとしての位置づけの下に、関係者の理解に努めながら検討されるべき事項であると私も考えております。
そこで、基礎年金の水準確保についてお伺いをいたします。
今回、規定をされてはいないわけでございますが、マクロ経済スライドの早期終了措置を講じることとなった場合には、先ほど、年金部会でも指摘があったように、厚生年金の積立金を基礎年金により多く活用することと同時に、基礎年金への拠出の半分は国庫負担でありますので、基礎年金水準が上昇する結果、現行の仕組みと比べて国庫負担が増加することになる。
したがいまして、この国庫負担の増加については、安定財源を確保することが年金制度の持続可能性を確保する上では不可欠になってまいります。安定財源というのは、やはり、その時々の経済状況から実質的に必要な財源が安定的に確保できることが重要であると思います。
また、基礎年金の給付水準の向上を図る観点からは、令和二年の、前回の年金改正法の審議における附帯決議で求められており、本法案の附則でも検討事項として規定されている基礎年金加入期間の四十五年への延長、これも選択肢として引き続き検討を続けるという位置づけであろうかと思います。
そこで、基礎年金の給付水準を確保するため、検討事項となっている、あるいは検討が想定されているマクロ経済スライドの早期終了措置と基礎年金加入期間の延長について、それぞれどういう課題があって、今後どのように検討を進められるのか、厚労省の方針をお伺いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げたとおりなんですけれども、今委員が御指摘になりましたように、やはり国民の皆様の御理解を進めていくということが非常に重要だと思っています。制度設計に当たりまして、各般の課題につきまして丁寧に検討していくことが大変重要だというふうに思っております。
また、基礎年金の拠出期間の延長につきましては、今後も高齢者の就労の進展や健康寿命の延伸といった社会状況の変化が見込まれる中で、基礎年金の給付水準を確保する有効な手段の一つと考えております。
その一方で、一部の被保険者の方に追加的な保険料負担を求めることについてどう考えるかという点などについて、これについても国民の皆様の御理解を得る必要があると考えておりまして、ここは今回の法案に盛り込んだ検討規定に基づきまして丁寧に検討してまいりたい、このように思います。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
マクロ経済スライド措置の早期終了措置についても、基礎年金の納付期間の延長にしても、やはり、納付される方、加入者への理解、そうしたもの、あるいは現に受給されている方への影響、こういったものを十分に勘案し、理解をする努力が必要であると思います。
次に、在職老齢年金制度の見直しについてお伺いをいたします。
社会保険制度は、そもそも、負担に見合う給付があることが大原則でございます。そういう観点からは、在職老齢年金制度は例外的な位置づけであると思います。また、今、特に人手不足の中で、やはり、働きたい、働く場合に年金が減ってしまうということになると、年金に対する払い損だというふうに、年金制度の信頼にも関わってくるのではないかと思います。
本法案において、基準額の引上げを行う見直しになっておりますけれども、基準額の引上げに至った考え方についてお伺いをいたします。
あわせて、この基準額の引上げによる給付の増加は、一方で将来世代の給付水準の低下にもつながるわけでございます。報酬比例部分の所得代替率にマイナスの影響を及ぼすものでありますけれども、厚労省は今回の制度改正全体で見れば給付水準は向上するというふうに説明をされていますが、具体的にどのように給付水準が向上するのかをお伺いいたします。
○間政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、在職老齢年金は社会保険の仕組みの中では例外的な仕組みだというふうに考えております。一定以上の賃金を得ている方に、例外的に、保険料納付に応じた本来の給付を受け取れない状態をお願いして、年金制度の支え手に回っていただく、こういう仕組みでございます。
この制度につきましては、高齢者の就労を促進する観点から見直す必要があるとの御意見がある一方で、その単純な廃止は将来世代の給付水準を低下させることへの懸念の御意見もございますので、今回の法案は、支給停止の基準額の引上げを行うこととしました。その基準額につきましては、五十歳代の方が平均的な賃金をその後六十歳代後半でももらい続けたとしても年金が支給停止にならないような水準、そういうものとして、今回は六十二万円というものについて御提案を申し上げているわけでございます。
そして、その財政影響でございますけれども、今回の制度改正による所得代替率への影響は、在職老齢年金制度単体で申し上げますとマイナス〇・二%となっておりますけれども、適用拡大や標準報酬月額の上限の段階的引上げも含めまして、制度改正全体では一・四%上昇する、そういう見通しでございます。
○長谷川(淳)委員 ありがとうございます。
次に、個人拠出型年金、iDeCoの加入可能年齢の拡大を始めとする私的年金の充実措置についてお伺いいたします。
私的年金は、公的年金と相まって、老後の所得保障の充実に資するものでございます。多様な働き方やライフコースに応じて制度設計を行いながら、より多くの方に、特に中小企業、小規模事業者に活用していただく環境を整備することが重要であると思います。
このために、本法案に盛り込まれているiDeCoの加入可能年齢の上限の引上げや、企業年金の運用の見える化とともに、やはり中小企業において私的年金を活用するための環境整備、これが重要であると考えますが、見解をお伺いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
企業年金を実施していない中小企業についてまず申し上げれば、iDeCoに加入する従業員の掛金に事業主が追加的に拠出できるiDeCoプラスという制度が有用と考えてございます。企業年金がない方のiDeCoの拠出限度額につきましては、令和七年度の税制改正におきまして、現行の月額二・三万円から限度額が六・二万円へ大きく引き上げられてございます。こういう方針が決定されたところでございまして、この限度額はiDeCoプラスにおいても同様に活用できるものと考えております。
さらに、今回の年金改革法案には、iDeCoプラスや企業型DC、確定拠出年金を実施する際の手続の簡素化について盛り込んでいるところでございます。
引き続き、中小企業における私的年金の活用に向けた環境整備に取り組んでまいりたい、このように思います。
○長谷川(淳)委員 私的年金の充実は、やはり今、資産運用立国の取組を進めていく中で、成長と分配の好循環を実現する上でも大変重要だと思います。そうした観点からも、是非、中小企業における私的年金活用のための環境整備を進めていただきたいと思います。
それでは最後に、これまで、加入者、受給者、事業主、様々な立場に立った質問をさせていただいたことを踏まえて、この年金制度改革関連法案のメリット、必要性について確認をさせていただきたいと思います。
今回の法案によって国民が得られるメリットとして、まず一つは、厚生年金に加入して、将来年金の増加が得られる被用者保険の適用拡大、もう一つは、年金を受給しながら働く高齢の方が保険料負担に応じた本来の年金を受給しやすくなる、また就労促進にもつながる在職老齢年金制度の見直し、さらには、働き方に関係なく、誰もが長期的に老後の資産形成を継続できるようにするiDeCoの加入可能期間の年齢の上限の引上げなどが含まれております。特に、在職老齢年金制度の見直しは、今、労働力不足が深刻でございます。その解消の観点からも、予定どおり令和八年四月に施行されることが必要と考えます。
そこで、最後に、今回の年金制度改革関連法案に盛り込まれた制度改正によるメリットと、今国会で法案を成立させる必要性について、大臣の御認識をお伺いします。
○福岡国務大臣 今回の法案には、将来の受給者の給付も充実させながら、現在の受給者の年金を増額させる大変重要な改正事項を盛り込んでございます。被用者保険の適用拡大、そして在職老齢年金、iDeCo、それぞれについて、今日、議論の中でも委員がつまびらかにしていただいたところでございます。
特に、令和八年度施行予定の在職老齢年金制度の見直しや被用者保険の適用拡大に係る保険料調整制度は、人手不足という喫緊の課題に対応するためのものでございまして、こうした事項を始め、重要な見直し内容を迅速かつ着実に施行するため、法案の早期の成立をお願いしたいと考えておりまして、引き続き、法案の意義や内容の丁寧な説明に尽くしてまいりたいと思います。
○長谷川(淳)委員 大臣、ありがとうございます。
冒頭申し上げたとおり、年金制度は、受給者である高齢世代と加入者である現役世代、双方の理解を得ることが必要でございます。年金制度が広く国民に理解されるように、私も努力してまいりたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、柚木道義君。
○柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。
質問機会をいただき、ありがとうございます。
今日は、このボード、年金底上げあんパンという、これは元々、製造元は田村元厚労大臣なんですけれども、今いらっしゃらない、後ほど、これを使って分かりやすく説明したいと思います。
それで、実は、九年前になるんですけれども、当時厚労委員だった先生方は御存じだと思いますが、当時の安倍総理大臣に、将来年金三割カット法案ということで、この委員会室で、残念ながら強行採決ということになりました。当時、私は野党筆頭を務めておりまして、その当時の与党筆頭が田村先生でありました。当時、山井国対委員長でしたね、ちなみに。
今まさに、私は田村先生を大変尊敬申し上げるのは、実は安倍総理は将来年金確保法案という言い方をしていたんですね、でも、それが本当に確保できるかどうかが問われているのがまさにこの委員会なんですね。あのとき言っていたことが、そのまま三割カットになってしまうじゃないかじゃなくて、そこに、その後、厚労大臣になられた田村先生はちゃんと弾込めをして、まさにあんこを入れると。今回、あんこ抜きになってしまっているけれども、あんこを入れるスペースはちゃんと作りましたよとおっしゃっておられるわけです。
私も、大いなる反省、後悔に基づきながら、是非、この委員会で、今日、福岡厚労大臣におかれましては、一昨日の委員会と今日の委員会で大きく異なる点がございます。それは、まさに一昨日の党首討論で野田代表から石破総理に対して、この年金底上げ法案、国民もあんこのないあんパンは食べたくない、しかし、それもまだ十分な理解が得られているとは言い難い中で、しかし、いろいろな流用とかの誤解も解いて、本当にやはりあんこを入れるべきだ、そういう真剣な年金底上げの協議をしましょうと求めて、そして石破総理も、それに対して誠実に、本当に真剣に、老後の不安を解消できる年金の修正協議の結論を得るために努力すると明言をされたわけです。その点が大きく前回の委員会とこの委員会で違うわけですね。
そして、まさに、我が党の修正案、今日、四ページ目にもつけておりますが、つまり年金の底上げ、あんこを入れる内容と、それから、後ほど少し説明しますが、多少、製造元の田村先生のときよりも工夫、加工して、もう少し、仮に僅かでも減ってしまう人がいたら、それに対しても手当てする。
今日は、税あんことか積立金あんこ、こしあんとか粒あんとか言うかもしれませんけれども、桜あんも混ぜますよとか、そういう工夫を講じたものを実は私たちは提案させていただき、昨日、まさに、田村先生始め自民党の長坂厚労部会長、上野筆頭理事さん始め、公明党の浜地先生も含めて、本当に今真摯な協議が始まったという状況です。
そこで、是非、ちょっとおさらいなんですけれども、私は今回、年金底上げに特化して今日は質問させていただきますが、その他にも重要な論点はあります。ほかの先生方が真摯に議論していただいています。しかし、私は、この一番の肝である年金の底上げ、基礎年金の底上げ。この基礎年金の内訳は、厚生年金加入者が九割、国民年金加入者が一割のこの基礎年金の底上げについて、石破総理は、五月二十日の衆議院本会議答弁で、九九%を超えるほぼ全ての厚生年金受給者の方の給付水準が上昇すると明確に答弁されました。
そして、自民党さんの中で厚生年金の積立金を使うことに流用との意見があるというその本会議での総理の言及に対して、まさに一昨日、この厚労委員会で福岡大臣から、そういうのは流用ということではないという明確な見解も示されました。
そして、我が党の大西委員も指摘をしましたが、まさに流用という部分については、そうでなくて、元々、厚生年金の積立金を基礎年金の積立金で、元々そういうスキームでやってきた中で、例えば、医療保険においても、高齢者医療保険でも、被用者保険と国民健康保険との間の調整が行われているという意味では、別に今回、特別に、何か新たにそういうことをやり始めたわけではない。元々やっていたことを今、更に工夫をしてやろうとしている、そういうことも確認をされました。
それから、財源、国庫負担についても、今日も少し触れますが、これは現在でも十三・四兆円の国庫負担を既にやっているものが、二十五年後の二〇五〇年でも十三・六兆円。今日の資料にもつけております、十ページ目ですね。後ほど、ほかの先生がされると思うので、私は触れるだけにとどめますが、まあまあ、一千億、二千億のオーダーであれば、毎年の医療費の自然増が五千億ぐらいのことを考えれば、十分のみ込める数字。もうほぼ、新規財源二兆円というようなこととは違うという議論も大分もうここで共通認識がなされている。
そして、新たに、もう一度確認しますが、僅かではありますが一時的に厚生年金の給付水準が下がる方には、我々の提案、必要な法制上の措置などを講ずるということで今協議がされている。こういうことでありますので、この衆議院厚労委員会の先生方の中には、本当に未来への責任を果たそうと、与野党を問わず、本会議でも、皆さん、すばらしい質問もされました。そういう中で、恐らく、この衆議院厚労委員会の皆さんは、みんな年金の底上げを、もちろんいろいろな条件を整えてということであっても、必要だという認識はあると思うんですね。
是非、私、福岡大臣に伺いたいのは、実は、年金の底上げはもちろん重要ですけれども、今、ちょっと農水大臣の交代があって、小泉新農水大臣が、米担当大臣だ、とにかく米の値下げなんだ、スピード感を持って実行するとおっしゃっている。米の値下げは必要、でも、年金の底上げも重要じゃないですか。
私は、今日以降が本当に最重要だと思うんです。今日も、小泉大臣はテレビにばんばん出て発信されるわけですよ、米の値下げを頑張ると。それはやってほしいですよ。でも、将来、その米が食べられないような年金水準になるような方々が出てくる。それを福岡大臣が、ある意味では小泉農水大臣以上の熱量を持って、私は、年金底上げ特命担当大臣のつもりで、スピード感を持って、与野党の修正協議を踏まえて、まさに真剣に協議をして、結論を得るために努力する、そのことを、是非ここで決意をお示しいただけませんか。
○福岡国務大臣 今御紹介いただきましたように、御党と与党の間で協議が行われるということは承知をしています。法案の修正については、そこの中の協議を経て国会においてお決めいただくものだと思います。
御指摘いただきましたように、この年金法案の担当大臣といたしまして、引き続き、この法案の意義や内容について丁寧に説明を尽くすとともに、国会のお求めに対して、誠実にその責任を果たしてまいりたいと思います。
○柚木委員 福岡大臣は温厚なお人柄で、本当に私は誠実な方だと思っているんですね。だから、今、いつもよりもちょっと熱量を感じました、正直。
小泉農水大臣が、何か、米担当大臣でやりますみたいな、ああいうトーンでいらっしゃいますからどうしても、昨日は羽鳥モーニングショーで、実は、年金改革の誤解、潜む誤解というので、この委員会でやっている話をまさにやってくださったんですが、その前段は延々と米問題で、小泉農水大臣が要は独壇場だったわけですよ。負けずに頑張っていただきたいんですよ。どっちも大事ですよ、米の値下げはするけれども、年金の底上げも大事。米を食べられなくなる高齢者がどんどん出てくるわけですからね。
ですから、そういう意味では、今日のこの質疑の後が大事で、しかも、この厚労委員会の先生方はみんな、年金底上げを何とかやらなきゃいけないと思ってくださっていると思うんですが、みんな、やはり、私たちもきれいごとじゃなくて、選挙があれば、それはきれいごとじゃない。正直、選挙に受からないと仕事はできないわけですから。でも、それが、間違ったことをやって選挙で厳しい結果を受けるのは分かるけれども、正しいことをやろうとしているのに、厳しい批判を受けて選挙に不利だから、それは、あんこを抜きます、やりませんというのは、未来への責任を果たしたことにはならない。
是非、参議院の改選の先生方にも御理解をいただくためには、今日の質疑を経て、週末、恐らく世論調査がかかると思うんですね、年金の底上げは重要か、米の値下げはできるかとか。これは是非、今、年金にあんこを入れてほしいという人が共同通信の調査で四一パー、でも、あんこを入れるのはどうなのという方が四六パー、これを逆転して、せめて過半数が、やはりあんこを入れるべきだ、年金底上げは重要だ、流用じゃないんだからとなっていただくための、今日、この後の御答弁をお願いいたします。
この間、我々、井坂委員の質問の中で、立憲の修正案、四ページ目、が実現をして厚生年金の底上げが実現すれば、これは本会議での答弁で、現在二十歳の方が五百四十六万、三十歳でも五百四十六万増える、四十歳で五百四十一万、五十歳で三百八十九万増える、六十歳でも九十九万と、それぞれ年代別の夫婦の生涯年金が増えるということを明確に御答弁いただけました。
じゃ、男性の方、女性の方、それぞれ年代別に、生涯年金がどれだけ、二十、三十、四十、五十、六十と増えるのか、各々、端的に結論だけ御答弁をお願いします。
○福岡国務大臣 御指摘の年代別の夫婦の年金受給総額は、夫婦世帯の年金受給総額を、同年齢の男女が共にモデル年金の半額を平均余命まで受給するものと仮定し、令和六年財政検証結果に基づき、機械的に試算したものとなっています。
この試算の基となります性、年代別の受給総額については、実質ゼロ成長を見込みました過去三十年投影ケースにおきまして、現在六十歳の方の場合、男性二十六万円、女性七十三万円、五十歳の場合は、男性百七十万円、女性二百十九万円、四十歳の方の場合は、男性二百四十六万円、女性二百九十五万円、三十歳の場合は、男性二百四十八万円、女性二百九十八万円、二十歳の場合は、男性二百四十八万円、女性二百九十八万円増加する見込みとなってございまして、男性も増加いたしますが、女性は更に増加する見込みとなっております。
○柚木委員 これは本当に重要な答弁ですよ。
一ページ目の、これは後ほどまた使うんですが、これは長妻委員が示された、まさに厚生年金の方々が全員入っている基礎年金、しかも九割、これが、年金の底上げで要はみんな増えるという今の説明に加えて、後ほど、このあんパンの図でやりますが、ちょっと資料二ページ目の方の、あんパンが大きい方で使います。
今説明いただいたのは、ここの、要は、年金底上げあんパンにあんこが入ったときの二十歳から六十歳まで、それぞれ、五百四十六万、五百四十六万、五百四十一万、三百八十九万、九十九万円、夫婦、生涯年金が増えますよという中で、男女別にすると、二十歳が、男性二百四十八万、女性は二百九十八万、三十歳は、同じく男性二百四十八万増える、女性はもっと増える、二百九十八万増える、四十歳は、男性二百四十六万増える、女性二百九十五万増える、五十歳は、男性百七十万増える、女性はもっと増える、二百十九万増える、六十歳は、男性二十六万円増える、女性は七十三万円、もっと増えるということで、これは、大臣、男性の方が増える以上に女性の方が増えるんです。
これはもちろん、足し算、引き算すれば分かることですが、一応確認すると、二十歳と三十歳は男性よりも女性の方が五十万円プラスになる、そして、四十歳、五十歳の方々は男性より女性の方が四十九万円プラスになる、六十歳でも男性より女性の方が四十七万円プラスになる。
これは公式に国会で初めて御答弁でお述べいただいたわけですが、つまり、我々、この年金底上げ法案、今修正協議をさせていただいている、このあんこ入りあんパンのあんこが入れば、男性の方以上に女性の方が、そして、より若い方が、あんこが増える、年金が底上げされる、ここを明確にもう一度御答弁をお願いいたします。
○福岡国務大臣 今おっしゃいましたように、女性の方が男性よりも平均余命が長く、受給期間が長くなりますため、年金受給総額の増加も女性の方が大きくなるということでございます。
○柚木委員 というわけで、これは本当に、ほぼ九九・九%と石破総理もおっしゃっていて、全ての二十代、三十代、四十歳、五十歳、六十歳、年金が底上げされると同時に、女性の方が更に増える。場合によっては倍以上増える年代もありますね。ですから、そういう老後の貧困リスクは、残念ながら女性の方の方があるわけですから、それに対する手当てにもなるという今回の案。
そして、三番目に行きますけれども、それにもかかわらず、基礎年金底上げに対する厚生年金積立金の流用の誤解があって、なかなか理解が進んでいないという現状があると思うんですね。
羽鳥のモーニングショーでも、昨日、実はそのことをされて、資料をつけていますけれども、羽鳥さん、三ページ目ですけれども、まさに日本の朝の情報番組、テレビ番組を代表する司会の方が、やはり、みんな、そういう意見の中で、ああ、そうなのかなと思っていたけれども、よくよく聞くと、昨日、慶応大学の駒村先生も出演されて、いやいや、流用じゃなくて、厚生年金の積立金は、全員、厚生年金加入者が入っている基礎年金の底上げに使われるから、要は、あんこでいうと、自分のあんこが他人のあんこに使われるんじゃなくて、自分のあんこは自分のあんこに使われて、しかも、税あんこと積立金あんことあって、まあ、こしあんと粒あんとしましょう、税あんこの方の比率がほぼ二対一ですね、そして、それが自分たちの年金の底上げに使われる、ちょっとだけ割当てが減る人がいる中には桜あんか何か入れますよという案になっているわけですね。
ですから、この年金の流用の誤解について、私、まとめて二つ、明確に否定をお願いします。
つまり、基礎年金というのは、全員、厚生年金加入者も入って、九割が厚生年金の加入者で占められているので、つまり、この年金底上げ法案というのは、厚生年金の人の積立金が国民年金の自営業の方とかに何か流用されるということでは全くなくて、九割の厚生年金の基礎年金加入者と国民年金の一割の基礎年金加入者全員の底上げのために使われるのであって、そして、会社員の方の積立金が自営業の方とかに流用されるというものでは全くないということを、明確かつ熱量を持って御答弁をお願いいたします。
○福岡国務大臣 まず、御党提出の内容については、まさに今協議が行われているところでございます。その上で、前回申し上げさせていただきましたとおり、厚生年金の保険料には基礎年金部分も含まれていることから、従来から厚生年金の保険料や積立金は、報酬比例部分、つまり二階建てだけではなく、基礎年金、一階の給付にも充てられているものでございます。
元々、当方としても御提案しておりました基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了については、配分の割合を変えるものであったというふうに認識しておりまして、この配分割合の変更が厚生年金の積立金の流用に当たるものとは考えておりません。
○柚木委員 明確に熱量を持って御答弁いただきました。
これは是非、本当に皆さんも、私たちみんなで理解を求めていきたいと思いますが、もう一つ、四ページ目の、我々の、まさに今与野党協議を行っていただいている修正案ですが、要は、我々は必要な法制上の措置などを講ずると明記している部分で、石破総理が二十日の本会議で、対応が必要な場合に、適切に検討し、必要な措置を講じますと言われました。
その内容については、つまりは、石破総理が言われた必要な措置を講じますの必要な措置というのは、我々立憲修正案で言う、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとするという、必要な法制上の措置と同様の意味と理解してよろしいでしょうか。手当てをするということですね、年金が減る人の。
○福岡国務大臣 御指摘がありました総理の答弁は、基礎年金の給付水準の確保は重要な課題であり、次の財政検証の結果を踏まえ、対応が必要な場合には必要な措置を講ずるとの全体的な取組の方向性について述べたものでございまして、具体的な何かの措置の内容を念頭に置いているものではないと承知をしております。
なお、御提案の修正協議案は、基礎年金の給付水準をめぐり、今まさに公党間で協議されているところでありまして、現段階でコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
○柚木委員 これは、おとといの井坂答弁からちょっと後退しているので、井坂さんが後でもう一遍ちゃんと詰めますが、何らかの手当てはやるということを明言されたわけですからね、この委員会で。
最後に聞きますけれども、六月に向けて、就職氷河期対策、もちろん、我々のあんこ入り年金修正案は、就職氷河期の方はもとより、全て、あらゆる世代の年金底上げ修正案です。
しかし、十一ページ目にもつけておりますように、高齢期を見据えた支援の中に就業機会の確保とか家計支援とか書いていますけれども、一番、あんこの中の肝、あんこ中のあんこ、骨太の骨である年金の底上げというのは入っていないんですよ。
厚生労働大臣、政府が検討を進めている六月の骨太の方針に入れる氷河期世代支援の中に、年金の底上げは入るのか。もし入らないのなら、骨太の方針ではなくて、骨抜きの方針になりかねません。是非、年金の底上げということも、この高齢期を見据えた支援の中の一番上のところに来るべき、このところに年金の底上げと入れていただくべく、全力を尽くしていただくということを御答弁をお願いいたします。
○福岡国務大臣 骨太の方針にどのように位置づけるかを含めまして、現時点で具体的な内容については予断を持ってお答えをすることは困難であるということは、是非御理解をいただきたいと思います。
その上で、年金を含む高齢期の方々の所得保障、これは、就職氷河期世代の方々を含め、全ての世代にとって大変重要な課題だというふうに認識をしております。
○柚木委員 これは本当に、年金の底上げを入れていただかないと骨太方針とは呼べませんので、骨抜き方針ということで我々は参議院でも選挙があった場合に言わざるを得なくなるので、是非よろしくお願いします。
残りの時間、さっきのをやはりちょっと更問いさせてください。手当てのところですよ。
やはり、九九・九%は増えるとせっかく石破総理も本会議で明言をいただいて、そして、我々は修正案に、まさに元々、製造元は田村大臣、開発責任者は田村大臣ですよ、我々はその中に、ちょっとでも減る人がいるんだったら、やはりそこに対する手当てを、こしあん、粒あんに加えて桜あんかなんか混ぜて、本当にみんなが安心してあんパンを食べていただけるようにしましょうと提案しているんです。
一昨日、井坂委員への答弁では、我々が何らかの手当て、つまり、九九・九%以外の人も年金が減らないようにといった中で、その何らかの対応をすべきということの中に、井坂さんが御指摘いただいたそういったことの観点も含めて検討したいと。そういったことの観点も含めて検討したいというのは、少しであっても年金が減る方々への減らないための手当てという理解でいいですよね。お願いします。
○福岡国務大臣 重ねてで恐縮ですが、次の財政検証の結果を踏まえまして、対応が必要な場合に必要な措置を講じるという全体的な取組の方向性について述べたものでございます。今の時点で、こういったことを行うということをあらかじめ想定をしているわけではございません。
○柚木委員 想定はしていないけれども、今の答弁だと、まさに今後の経済情勢等も含めて、必要な対応が、つまりは、年金の底上げは実現したけれども、ちょっとでも下がってしまう人が出てきたときには何らかの対応を検討するという理解は正しいですね。
○福岡国務大臣 ちょっと、仮定のお話になりますが、私たちとしては、取組の方向性について述べたものでありまして、具体的な内容を念頭に置いているものではございませんが、次の財政検証の結果、その結果を踏まえて必要な対策を講じる、そういった中に様々な検討の要素があるということでございます。
○柚木委員 是非、これは本当に、この点についても明確に、やはり国民の皆様に、もっと言うと国会の皆様にも発信いただくことが重要だと思うんです。
ちなみに、石破総理は、党首討論のときに、米の値段が三千円でしょうと、二千円だと僕は思いますけれども、とにかく値下げがなかったら責任を取るとまで覚悟を述べられて、もちろん、その責任の内容も説明されましたけれども。そして、小泉大臣は、まさに米大臣だと言って、スピード感を持ってやるとおっしゃっていますよ。
福岡厚生労働大臣、年金底上げ特命大臣の決意で頑張ると最初におっしゃってくださったわけですから、是非、これは本当に、田村元大臣は今日、今いらっしゃいませんけれども、まさに、ここで九年前に強行採決があったときに、我々は将来年金三割カット法案だと言わざるを得なかった。でも、安倍総理は将来年金確保法案だと釈明された。でも、それが本当に確保法案になるかどうかは、この国会が問われているんですよ、底上げできるかどうかが。
年金底上げが実現できない場合は本当に責任を取るぐらいの覚悟でこの国会に臨んでいただく、その覚悟を最後に是非、明確に熱量を持って御答弁をお願いします。
○福岡国務大臣 まず、委員が今御指摘いただきました内容は、公党間で今まさに協議がなされているところでございます。
重ねてでございますが、年金水準の、給付水準の維持ということについては大変重要な観点だというふうに思っておりまして、今回の法案には、今御指摘いただいたほかにも様々な要素が入っております。しっかりと御理解をいただけるように説明に尽くしてまいりたいと思います。
○柚木委員 是非。終わりますが、今日、NHKの朝ドラ「あんぱん」の次回のテーマは、絶望の隣は希望です。我々、絶望ではなくて、国民の皆さんに希望を持っていただけるようにお願いをして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、長妻昭君。
○長妻委員 立憲民主党、長妻昭でございます。よろしくお願いします。
まず、我々、これまでも年金の信頼回復のためにいろいろな取組をしてまいりました。少しだけ振り返っていきたいというふうに思います。
年金について、当初、グリーンピアを始め、もうめちゃくちゃなリゾート施設とか、積立金から使い放題、勝手放題、職員の皆さんのゴルフボールとかマッサージチェアを保険料の中から買いまくっちゃっている、こういうことがあって、これを全部やめさせました。そして、グリーンピア等は売却をさせるということをいたしました。
そして、次に起こったのが消えた年金問題で、これも私どもは徹底追及して、自民党は、消えていない、消えていないのオンパレード、ほっかむりして逃げ回って。でも、追い詰めて認めさせて、今や一千六百万人の方の年金記録をお戻ししました。一人二記録以上戻った方も多数おられます。一生涯の年金を計算しますと、戻った年金額が二・九兆円、お戻ししました。我々が大騒ぎしなかったら、これも闇に葬られた問題でございます。
その過程で、年金の信頼を回復するということで、スウェーデンにオレンジレターというのがあったんですね。我々もそれを勉強しまして、それをまねて日本でもやろうということで、今はねんきん定期便ということで、全ての被保険者の方皆さんに、ここにおられる方全員にも行っていると思いますが、自分の誕生日の月に必ず郵便が来て、毎月幾ら国民年金か厚生年金か保険料を払っているという表がきちっと届く、毎年毎年。
そして、一定の年齢になると、将来もらえる年金額も皆さんに目安をお届けする、こういうことも今実施をしているところでありますが、これは改めて周知するために、何歳のときに年金額が通知されますか。
○藤丸委員長 止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 速記を起こしてください。
福岡大臣。
○福岡国務大臣 お待たせして恐縮です。
三十五歳、四十五歳、五十九歳、この時点で封書によるかなり細かい御案内をさせていただき、それ以外の年については簡易な御案内をさせていただいているところでございます。
○長妻委員 おっしゃるとおりなんですね。毎年毎年、全国民の皆さんに送られますが、特に三十五歳、四十五歳、五十九歳の誕生月には、将来もらえるだろう年金額の概算金額をお知らせしますので、老後の設計も一定程度できるようになるという措置を今取っております。これは自民党政権でも続けていただいています、ねんきん定期便。
そしてもう一つは、民主党政権で決めましたのが、これまで年金の保険料は、延べ二十五年払っていないと年金額は受給額ゼロ、年金は保険料没収ということになっていたんですが、これは先進国で一番厳しい制度だったんです。これを十年、少なくとも十年払っておられれば、その分、年金額は少なくなりますけれども受給できる、資格ができるということにいたしました。
そして、いろいろ特権というふうに言われていた公務員の年金と厚生年金を合体しました。これも実現をいたしました。
そしてもう一つは、最低保障機能ということで、これを強化しようということで、民主党政権で、年金生活者支援給付金という制度を始めまして、一年間で年金額が少ない方に最大六万円、税金で上乗せをするという制度をいたしました。自民党政権でも今続いておりまして、今、七百八十万人の人がこれを利用されておられます。こういうような下支え機能も一定程度整備をしているところであります。
そしてもう一つ、これは余りPRを厚生労働省はしていただいていないんですけれども、持ち主不明年金記録検索、これについてちょっと説明いただければ。
○藤丸委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 速記を起こしてください。
福岡大臣。
○福岡国務大臣 今御指摘いただいた制度につきましては、個人の方が自分の経歴等をネット上へ入れまして、それで、持ち主不明の記録、そういったものと照合できる、そのようなシステムだということでございます。
○長妻委員 大臣、これを御存じでしたか。
○福岡国務大臣 済みません。恐縮ですが、恥ずかしながら、知りませんでした。
○長妻委員 これはちょっと驚きなんですね。鳴り物入りで始めて、PRしていただきたいということを言っているんですが、全然大臣すら知らないというのは、これは怠慢だと思うんですね。
これは、ねんきんネットという、日本年金機構のホームページの中に持ち主不明年金記録検索というコーナーを作ってもらって、今もちゃんと動いているんですよ。何で大臣すら知らないということで、消えた年金問題はまだ、全面的に、最後の一件までは解決していません。難易度が非常に高いものについては検索機能を入れて皆さんにちょっと見ていただくということで、これはかなり前からやっているんですね。大臣すら知らないというのは、私は問題だと思います。
持ち主不明年金記録検索というのは、名前と生年月日だけでいいんです。年金の番号は要りません。名前と生年月日だけをそこに入れると、その人の可能性がある記録、消えた年金記録があるとすれば、ぱっと出てくるんですね。
この前、大阪の男性が、これは亡くなった方でもいいんです、亡くなったお母様の名前と生年月日を試しにそこに入れて検索したらば出てきたので、年金事務所に相談してくださいというので、それを持っていって、プリントアウトして行ったらば、七百万円以上が戻ってきたんですね。亡くなったお母様でも、相続できますので。
ですから、これをもっと広めていただければ。大臣すら知らないというのは大問題で、全然、自民党というのは、年金記録、消えた年金記録問題……(発言する者あり)いや、自民党、関心ないじゃないですか。与党でしょう。消えた年金記録問題、誰か真面目にやっているんですか。まだ難易度の高いものは残っているんですよ。さっき、ばかにしたような発言がありましたけれども、ちょっと、ちゃんと年金の信頼性を確立するためにやってほしいんですね。
これについて、今回の法案というのは、まさにその延長線上にある、年金の信頼を回復する一つの大きな一里塚になる。相当な懸案、宿題が中に結構詰まっていますが、さっきからの発言どおり、肝腎なあんパンのあんが抜けているということで、六ページ目に表を出しましたが、こういうようなネーミングもあるのではないのか。年金三割カット防止法案。年金三割カット防止法案、法案のアンはあんこのあんでもいいんですけれども、あんパンのあんを入れれば、基礎年金の三割カットが防止できるんですね。あんパンのあんを入れた今回の法案に加えて、適用拡大で五%目減りが改善されるので、それでほぼ三割カットが収まるという計算になりますので、そういうような意味で、是非、この基礎年金三割カット防止法というような位置づけで、我々としては、与党、野党ありませんので、いい形で着地したいというふうに思います。
ここで、余り触れられていなかった問題として、適用拡大について一点お伺いします。
二百万人の方が適用拡大されるということでございますが、その中で、三号から二号になる方は、これはやはり御負担が増えるわけですね。今まで保険料を払っていないという方が払うということにもなりますので。もちろん、二階建て部分がつくというメリットはありますが。三号から二号になる方は、先日も階代議士が、我が党が質問いたしましたけれども、我々は法案を出しています。目減りしないようにうまくスライドして、そこに税で一定の補填を乗せるという法案を出していますので、これで解決ができると思います。
もう一つは、一号から二号になる方、つまり、国民年金に入っておられて、パートで例えば働いておられて、そういう方々が、今度、適用拡大で厚生年金に入るという方、何かみんなが損する、負担が増えるというふうに、これもメディアなどでも流布、一部されているんですが、これはちょっと違うと思うんですね。国民年金の方が厚生年金に入れるようになるということは、相当なメリットがあるのではないかということで、それについて一点お尋ねをいたします。
例えば、月給が一か月九万三千円以下の方、それで、これまでは厚生年金に入れなかった方が国民年金から厚生年金に入ると、それぞれの保険料と受給額、その差異を教えていただければ。
○福岡国務大臣 済みません、若干今お求めいただいた数字と違うかもしれませんが、第二号被保険者が標準報酬月額八・八万円で四十年間厚生年金に加入した場合、令和七年度価格の老齢厚生年金は、月額一万七千八百円、年額で約二十一万円となりまして、この額が、老齢基礎年金、月額六万九千三百円、年額約八十三万円に上乗せをされるということになります。
○長妻委員 保険料の差異は。
○福岡国務大臣 恐縮です。
国民年金保険料月額一万七千五百十円だった方が、厚生年金保険料として月額八千五十二円を納めていただくということになります。
○長妻委員 今のお話のとおりでありますが、今の数字を解説いたしますと、国民年金は一か月の保険料が一万七千五百円で、仮にその方が月給が九万三千円以下で働いているパートの方であったとして、厚生年金に入れるようになると、自己負担の保険料が八千五十円。つまり、一万七千五百円から八千五十円、一万円ぐらい一か月の保険料が安くなる。
しかも、基礎年金は、ずっと払っていれば、それぞれ満額つくわけです、受給額が。一万円保険料が少ないのに、もちろん半額は事業主負担ですから会社の負担ですけれども、一万円も一か月の保険料の自己負担が低いにもかかわらず、同じように、満額、基礎年金がつく。基礎年金は、一か月、受給額というのが六万九千円なんですね、満額で一か月、それがつく。かつ、一万円も毎月の保険料が安いにもかかわらず、満額の国民年金六万九千円に加えて、二階建て部分も更におまけでつく、一万七千円、今おっしゃったとおりです、一か月。
ということで、一か月八万六千円ぐらいになるということで、一万円も毎月の保険料が安いにもかかわらず、年金は増えるわということで、非常にメリットしかないと思うんですが、一号から二号に移行する適用拡大の方はメリットしかないというふうな位置づけでもよろしいのでございましょうか。
○福岡国務大臣 国民年金第一号被保険者の方については、定額の保険料を納めていただくことにより、納付期間に応じた定額の基礎年金が支給されます。一方で、第二号被保険者となることで、保険料負担が労使折半となる上、基礎年金に加えて、厚生年金による報酬比例部分も上乗せして支給をされます。また、厚生年金に加入いたしますと同時に健康保険に加入することになりますが、傷病手当金や出産手当金など、医療の給付が充実するといった側面もございます。
このように、一号被保険者の方が被用者保険に加入することで、年金であったり医療の給付が充実する、そういったメリットがあると考えています。
○長妻委員 是非こういうことについてもアピールしていただきたいと思うんですが、国民年金から厚生年金に入りますと、おっしゃったように、医療も変わるんですね。国保から社保、健保に変わるということで、国保にはないサービスが健保、社保にはある。今おっしゃったように、傷病手当ということで、けがや病気でいろいろ仕事を休んだときにお給料の三分の二が保障される、非常に手厚い制度。そして、出産手当ということで、これも産前産後、会社を休んでも給与の三分の二が保障される。ですから、こういうようなことがあるということもアピールをしていただきたいというふうに思います。
そしてもう一つは、先ほど柚木議員からも質問がございましたが、配付資料の五ページ目、これもちょっと首をかしげるんですが、先月、四月の末に石破首相が首相官邸で、就職氷河期世代等の支援についてということで支援パッケージ、これを発表しました。三本柱ということで、三番目が、高齢期を見据えた支援。突然、新規と入っているので、私はてっきり年金というのが中心に来ると思いきや、年金のネの字も入っていないですね、これ。氷河期世代の高齢期を見据えた支援に、年金が全く入っていない。これは、年金は必ず入れますか。
○福岡国務大臣 先月開催されました就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議では、総理から、図でお示しいただいていますように、就労、処遇改善に向けた支援、社会参加に向けた段階的支援、高齢期を見据えた支援という三本柱に沿って、関連施策の充実強化に向けた検討を行うように指示がございまして、本年六月を目途に支援策の方向性を取りまとめる方針が示されたところです。
年金制度につきましては、就職氷河期世代を含む、将来の年金給付水準の充実につながる被用者保険の適用拡大などを盛り込んだ法案を今まさに御審議いただいているところでございまして、その状況を踏まえて対応していきたいと考えています。
○長妻委員 そうすると、この法案次第ということなんですかね。これは、法案がまだ分からないから入っていないという位置づけですか。
○福岡国務大臣 先ほども申しましたように、今まさに御審議いただいているこの法案、その状況を踏まえて対応を行っていきたいということでございます。
○長妻委員 これはやはり、いわゆるあんパンのあんが入っていなければ年金と書けないわけですので、一番大きな高齢期を見据えた支援の目玉は年金だと思いますので、ここに書き込めるように、我々も努力をしてまいりますけれども、いい形で着地できるようにということで、大臣からも後押しをしていただければというふうに思います。
そしてもう一つ、石破首相も我が党の野田代表との党首討論で先日おっしゃっておられましたけれども、成長型ケースに移行すれば年金はもう下がらないから大丈夫なんだということをすごく強調されておられます。
成長型ケースというのは、百年間、毎年毎年一・五%ずつ、実質賃金が毎年一・五%ずつ上がるというものでございますが、先日、政府の発表を見て少し驚いたんです。二ページ目を見ていただきますと、これは先日発表されたもので、政府の方針としては、この五年間で実質賃金を一%程度上昇すると。だから、五年以内、最後の五年目でもいいんだけれども、一%程度上昇させるというような目標を立てておられるということで、百年間、一・五%というのとも全く整合性が取れませんし、これは、どうしてこんな、総理の答弁と整合が取れないような話になっているんでしょうか。
○福岡国務大臣 今御指摘いただいたところにつきましては、長期的には一・五%というところは変わりはございません。成長型経済移行ケースにおいて長期の実質賃金上昇率は一・五%でございますが、足下十年間については内閣府の中長期的な試算を用いておりまして、足下の実質賃金上昇率は一・〇%でございまして、これは政府の目標と一致するものでございます。
○長妻委員 昨日、過去三年間というか、実質賃金、発表されたと思いますが、それを紹介していただければ。
○福岡国務大臣 昨年度においてはマイナス〇・五ということでございます。
○長妻委員 過去三年はどうですか。
○藤丸委員長 止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 速記を起こしてください。
福岡大臣。
○福岡国務大臣 済みません。お待たせいたしました。
先ほど、令和六年についてはマイナス〇・五と申し上げましたが、令和五年がマイナス二・二、令和四年がマイナスの一・八ということでございまして、この三年間を平均でならしますとマイナスの一・五ということになります。
○長妻委員 直近も下がっているわけでありまして。成長型ケース、一・五%、実質賃金が百年間上がるというのを、これは、こんな大きなことを余り流布すると、年金というのはもう何にも改革しないでいいわけですから、こんなバラ色は。今の前提は、過去三十年投影ケースですら、プラス〇・五%、実質賃金が毎年、百年間上がるというようなことでございます。
これは福岡大臣の見識をお伺いしたいんですが、成長型ケースで議論すべきなのか、過去三十年投影ケースで議論すべきなのか、どちらだと思われるか。
○福岡国務大臣 まず、経済前提につきましては、これまでの実績を踏まえながら、専門家による検討を経た上で決められているものでありますが、その上で、幅の広いケースを想定しておりまして、その幅の中で考えを進めていくべきだと考えております。
○長妻委員 幅というのは、では、どちらですか。成長型ケースと過去三十年投影ケース、どちらを重視してやるか。
○福岡国務大臣 申し上げたかったのは、成長型、そして過去三十年投影ケース、そういったことの、その幅の中で考えていくべきだというふうに思っているところです。
○長妻委員 これは、ここにおられる与党の議員の中からも、本会議場での発言で、過去三十年投影ケースでも大き過ぎるんじゃないのという発言が出ているわけですね。プラス〇・五、実質賃金が百年間ずっとプラス〇・五になる、全然堅い試算じゃないけれども、私はぎりぎりこれでもいいとは思いますが、ここと成長型ケースの間で考えるというのは、見識ないですよ。そうしたら、年金やらないでいいですよ、これ。数理課長とか要らないんじゃないですか。せっかく佐藤課長が一生懸命、一生懸命頑張っていろいろな計算されておられるのも、バラ色の経済前提だったらもう何にもやらないでいいですよ。
大臣、過去三十年投影ケースを基本とする、こういうことをちょっと明言していただけますか。
○福岡国務大臣 あくまでも、政府としましては成長型経済を目指しているということです。
その一方で、今委員おっしゃったように、過去三十年の投影ケースで考える、その必要性もある、その幅の中で当然検討を進めていくということでございます。
○長妻委員 これはちょっと間違いだと思うんですね。政府が目指しているのは、百年間のこの年金の前提における成長型ケースは目指していないと思いますよ。
そうじゃなくて、この一%という目標、二ページ目にあるように、実質賃金を五年以内に一%にする、こういう目標が明記されているじゃないですか。政府が、百年間、プラス一・五というのを本当に目指しているんですか。どこかに文書はあるんですか。
○福岡国務大臣 百年間の成長型というのを見通しているわけでございませんで、そういうことも含めて、成長型の経済と過去三十年投影ケース、その両方をしっかり見極めながらやっていくということでございます。
○長妻委員 これはちょっと、そういうことだと年金の議論がちゃんとできないんですよね。
今回、委員の皆さんにも申し上げたいのは、過去三十年投影ケースというネーミングは財政検証史上初めてなんですよ。これまでは、低位、中位、高位とか、そういう機械的な名前だったのが、これはある方の思惑で、役所の中の思惑で、過去三十年投影ケースとつければ過去三十年と同じだ、そんなひどい経済はないねと最悪のケースのイメージがつくのでつけたんですが、過去三十年の実績は実質賃金はプラス〇・〇ですよ。
何で、過去三十年の投影ケース、実質賃金はプラス〇・〇にもかかわらず、インチキじゃないですか。プラス〇・五が百年続くというのが過去三十年投影ケース、なぜプラス〇・五なんですか、実績が〇・〇なのに。
○福岡国務大臣 今御指摘いただきましたように、公的年金の財政状況を評価するに当たりましては、賃金上昇率などのように実績が前提を下回る要素がある一方で、年金積立金の運用利回りのように実績が前提を上回る要素もありますことから、これらの要素を総合的に見る必要がございまして、全体を総合的に評価すると、この過去三十年の実績ということになるということです。
○長妻委員 これは、皆さん、ミスリーディングだと思いませんかね。過去三十年の同じケースですよと言ったときに、実質賃金は同じだと思うじゃないですか。まあちょっと、ある操作があるんですけれども。
是非、ここの議論となると相当重要なんですね。世間にも成長型ケースを目指してできるんじゃないかみたいになると、やらないでいいんですよ、今回何にもやらないでいいんですよ。それは全くの間違いで、これまで政府は、予算の算定のときにも、将来の成長率を考えていろいろ発表して予算組みしていますが、ほとんど間違っていますよ。過大というか、大き過ぎるわけですね。
是非、年金はそういう冒険はしないで、厚労大臣であれば、三十年投影ケースでも大きいわけですから、もうこれ以下できちっと考えるというふうに締めてもらわないと、どんどんどんどん緩んで年金の精緻な議論が遠のいていくということを申し上げて、私の質問といたします。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、早稲田ゆき君。
○早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。
それでは質問を、この年金法案について、そして、今まさに、自民党の皆様と立憲の理事の皆さんと、それからまた様々な観点から修正協議をしていただいておりますので、こうした元の政府案に似た形での修正案について、私も順次伺ってまいりたいと思います。
柚木委員の質問とも大分重なる部分がございますけれども、福岡大臣におかれましては、今のこの委員会、そして今のこの国会が、まさに、三割カット年金法案にするのか、年金底上げ法案にするのか、これの分水嶺であります。それで、今までの議論も踏まえてですけれども、福岡大臣におかれては、絶対に年金を三割カット法案にしたくないともう心の底では思われていると思いますから、その御決意をお聞かせいただきたいのがまず第一点でございます。
ここのところの修正協議、昨日から始まったわけですけれども、新聞報道も大分評価をしていただいているようでありますし、読売、朝日、日経共に、年金底上げ策、明記へというような表題も出ております。底上げ復活で夏の争点回避というようなこともありますし、神奈川新聞においては、年金法案、合意へ調整と一面に出ておりますので、大臣もきっとそういうおつもりで今この委員会に臨んでいらっしゃるのではないかと思われますので、年金を三割カット法案にしないというようなことの、その御決意をまず聞かせてください。
〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕
○福岡国務大臣 先ほども申し上げましたが、法案の修正については今まさに与野党間で御協議をいただいているところでありますが、私といたしましても、全国民共通の基礎年金の給付水準の確保というのは大変重要な論点だというふうに思っております。
また、今回のこの法案にはそれ以外にも様々な重要な項目が入っておりますので、しっかり説明を尽くしながら法案の成立を目指してまいりたいと思います。
○早稲田委員 今おっしゃったように、年金のきちんとした給付ということが重要だということでございますので、それを、言葉を返せば三割カットしてはならないわけですから、是非そこのところを、この修正が調うように、また皆さんとも力を私も合わせていきたいと思います。
その中で、九九%、厚生年金加入者ほぼ全ての方の底上げになる、修正が元の政府案のようであれば、修正がなされればということで、総理も御答弁をされました。
さらに、資料の方も御覧いただきたいと思います。先ほど来も使われております。その前からも山井委員、長妻委員も使われておりますけれども、五ページの方を見ていただきますと、相当、全て厚生労働省に出していただいた、厚生労働省の資料でありますけれども、これによれば、修正をした場合、モデル年金でいえば大変給付水準が上がるというふうにこれを見れば分かるわけなんですけれども、こうした修正で、どの年代の方から、そしてまた、その方たちのどのくらいの割合の方たちの給付水準が上がるというふうに考えてよろしいのか、伺います。
○間政府参考人 お答えいたします。
ただいま委員御指摘になられました資料に基づいて申し上げますと、過去三十年投影ケースで申し上げれば、男性でいけば六十二歳以下、女性は六十六歳以下の方で年金受給総額が増加するというような結果になってございます。
今、割合というお話もございました。割合で申し上げれば、プラスの効果が最大となる三十八歳以下の方では、四十年間の平均年収が千八十万円以下の方が年金額が上昇するという見通しでございまして、その割合で申し上げますと、九九・九%以上というふうに推定しているところでございます。
○早稲田委員 九九・九%ということでおっしゃっています。
あくまでも、モデル年金で、サラリーマンの夫、そして専業主婦の方ということにはなりますが、私は、このモデル年金のやり方も、少しこれは時代に合っていないと思っています。こうしたこともきちんと考えていただかないと、どんどんシングルの世帯が増えておりますので、もう少し実態に合ったことを年金の改革では考えていくべきではないかということは申し上げておきたいと思います。
その上で、今、女性の方が大変増える、額も、それから率も高いということでありますけれども、なぜ女性の方の年金の給付水準が上がるんでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
一つには、厚生年金における所得再分配機能が高まるということと、それから、マクロ経済スライドによる給付調整を終了した以降に受給する期間が長い方の方が改善効果が高くなるということでございまして、その結果として、同じ世代で見れば年金額が低い方ほど年金受給総額の増加が大きくなりますし、加えて、女性よりも男性の方が、一般に申し上げれば長命でいらっしゃいますので、受給期間が長いために、年金受給総額の増加も大きくなりやすいということだと考えております。
○早稲田委員 これは大変重要だと思います。
女性が、今シングルで長生きをされて、御主人が亡くなられて、その後の生活が大変厳しい、苦しいということがあります。その中で、生活保護、過半が六十五歳以上、低年金の独居の方が増えるという報道も大きくされておる中でございますから、女性の方を支えていくということは、大変、年金問題、独り暮らしの女性の貧困問題にも直結する問題だと思いますし、私は、そこのためにも、非常にこの年金の底上げの修正をすべきだということを強く思っております。
そこで、大臣に伺いますが、この七ページ、それからその前の六ページも見ていただきますと分かりますとおり、五十歳の方でいえば、基礎年金のみの方、先ほども大臣が答弁されていらっしゃいましたけれども、男性では二百五十三万、でも女性では三百二十万になる。そして、四十歳でいえば、基礎年金のみの方でも、男性三百三十一万円に対して、女性が三百九十八万円。そして、三十歳の場合は、女性の方で四百一万円。二十歳の方でもそういうふうになります。
ということは、若い方、世代が若くなれば若いほど、そして所得の低い方、そうした方に、また女性の方に、より恩恵が大きくなる。そして、受給ができる、受取ができる年金額が増えるこの三つの条件というものが、大変、老後の生活を改善をさせるということではないかと私は思いますが、大臣におかれましては、この三つの視点、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 令和六年財政検証に基づきまして、平均余命まで受給するとして機械的に試算をいたしますと、実質一%成長を見込んだ成長型経済移行・継続ケースでは、年金受給総額がマイナスとなられる方はおられず、また、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースでは、若い世代ほど年金受給総額の増加が大きく、また、同じ世代で見れば、年金額が低い方ほど年金受給総額の増加が大きく、また、女性の方の方が男性よりも受給期間が長いため、年金受給総額の増加も大きくなる、そういう結果となってございます。
○早稲田委員 非常に大事な視点だと思います。全体が増えるんですけれども、特に若い世代、そして女性、そして所得の低い方ということが、基礎年金の底上げをすることの重要性の三つのポイントだと思うんですね。
それでいいますと、資料八ページ、九ページを御覧ください。
八ページは、慶応大学教授の駒村先生が書いていらっしゃいますように、これは就職氷河期世代の方たちのお話ですけれども、世代ガチャということになってはならない、格差を縮めていかなければならないという御主張であります。当然だと思います。二〇四〇年前後から年金受給者に氷河期世代の方がなって、そのときに年金制度が現状のままであれば、本当に彼らは低年金に陥るということです。それを何とか防がなければならないということが今回の修正の大きな目的の一つでもあります。
そして、次のページの九ページを御覧ください。これは報道でありますけれども、その中にあります、これは令和二年度、ちょっと古いですけれども、横浜市、就職氷河期世代非正規シングル女性の就労支援に向けた調査報告書、アンケートが出ておりまして、その中身を見ますと、本当に、三十四歳から四十九歳で働くシングルの女性、氷河期の世代の方ですね、非正規雇用の方は四人に三人が年収が三百万円未満、七七%であります。そしてまた四四%の方が二百万円未満。特にパート、アルバイトでは二百万円未満の収入の方は七二%。そして、貯蓄が非正規では十万円未満の方が三〇%以上と最多になっております。そして、こうした方たちが生活保護というようなことにならないようにするということが本当に求められているのではないでしょうか。
先ほどの日経の、これは資料につけておりませんけれども、報道によりますと、二〇〇〇年度、生活保護の受給者は百三万人であったのが、二三年度には速報値で百九十九万人、二百万人に膨らんでおります。その中で、特に生活保護の過半数の方が六十五歳以上ということで、独居の低年金の方が増えている。
このままの低年金では、本当にこうした方がもっと増えていくというものでありますから、何とかそれを、貧困を防止をするという観点から、貧困の救済は生活保護でありますけれども、その防止をするという、未然に防ぐという観点からこれが大変重要で、特に女性のシングルの方でこうしたことが多いということになると思います。
それで、私は局長に伺いたいわけですけれども、氷河期世代、三十代、四十代で、修正案でこうしたことの底上げができれば、どのくらい女性で増えるのか、教えていただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
再び令和六年財政検証に基づいてお答えいたしますと、平均余命まで受給するとして機械的に試算しますと、実質一%成長を見込んだケースでは、年金受給総額がマイナスとなる方はおらず、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースで申し上げますと、お尋ねの女性の場合では、基礎年金のみを受給するケースで申し上げれば、現在三十歳の方は平均余命までの生涯で四百一万円の増加、現在四十歳の方は生涯で三百九十八万円の増加になるというふうに見込まれます。
○早稲田委員 今、三十歳の方で四百一万円、四十歳の方では三百九十八万円ということであります。これは本当に、将来の計画を立てるためにも、大変、こうしたことが本当にならなければ、逆に、これがないわけですから、厳しい生活を余儀なくされてしまうということになりかねません。
今おっしゃったところでいえば、基礎年金のみの、六・八万円の方ですけれども、中には、氷河期世代の方でこの基礎年金も受けられない方もいらっしゃいます。そうした場合に、例えば半分、半額の三・四万円とか、そうした場合には、この表を見ると、三百九十八万円の四十歳の方においては、この半分、三百九十八万円の半分の底上げになるというふうに考えてよろしいんでしょうか。
○間政府参考人 今、詳細に試算しているわけではありませんが、一般論で申し上げれば、委員御指摘のとおりだと思います。
○早稲田委員 様々な事情で年金保険料をお支払いになれない方、それからまた、免除されている方もいらっしゃいます。そうした方々の生活を支えるためにも大変重要であると私はこの修正について思っておりますので、是非、皆様とともにこれを前に進めてまいりたいと思います。
それから、今までは、若い世代、そして女性の方、所得の低い方、こうした方々が、大変、三百万円とか四百万円とか上がっていくということを局長の方から御答弁いただき、大臣からもそのとおりだということでございますが、それでは、高齢者の方がどうなるのかという問題であります。
これは、少しマイナスになる方もいらっしゃるということでありまして、六ページの方を御覧いただきますと、六十五歳で男性で見ますと、プラスになる方が上の低所得。いわゆる半分よりも下の低所得の方ですね。そしてまた、下はマイナスになる。高所得になればなるほどマイナスになるわけですけれども、こうした方々、高齢者の方におかれましても、これはあくまでも平均余命で生きられた場合の話ですから、今、人生百歳時代という中で、もっと長くお元気でいられて、存命であられた場合には、このマイナスもプラスに転じるのではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕
○福岡国務大臣 令和六年財政検証に基づきまして、二〇二四年度に六十五歳のモデル年金の年金受給総額について機械的に試算した結果によりますと、まず、実質一%成長を見込んだ成長型経済移行・継続ケースでは、平均余命まで受給する場合には二百三十四万円のプラス、百歳まで受給すれば四百五十六万円のプラスと、いずれもプラスとなっています。一方で、実質ゼロ成長を見込みました過去三十年投影ケースにおいては、平均余命まで受給される場合には三十一万円のマイナスとなる一方、百歳まで受給をされれば二百八十九万円のプラスとなる結果となってございます。
一般論でございますが、マクロ経済スライドによる給付調整が終了した以降に受給する期間が長い方が改善効果は高くなりますことから、平均余命を超えて長生きされて年金を受給される場合には、仮にマクロ経済スライドの早期終了を実施した場合の生涯年金受給総額がプラスに転じることがあり得るというふうに思っております。
○早稲田委員 三十万マイナスであられる方も、お元気の時期が長くて、余命が長ければ、二百万円以上のプラスになるということもいただきました。
しかし、これはもちろん望ましいことでありますけれども、やはりマイナスになる方が、高齢者の方がいらっしゃいますので、是非、先ほども御質問がありましたけれども、私たちは修正の方で必要な措置を、そうしたマイナスの方には法制上の措置を取るというふうにも入っておりますが、その検討ですね、必要な対策を講じていただけるかということをきちんとお答えいただけませんでしたけれども、対策の検討ぐらいはしていきたいというふうに御答弁いただきたいのですが、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 まず、今、修正案の内容を与野党で御協議いただいているわけでございますから、修正が仮になされたとすれば、その内容をしっかり見極めさせていただきたいと思います。
○早稲田委員 なかなかそこはお答えいただけないけれども、是非検討していただきまして、やはり支援をしていただけるように私の方からもお願いをしたいと思います。
それでは、財源についてですけれども、現行の今の国庫負担はどのくらいで、そして、私たちが出している、マクロ経済スライドを終了させた場合の国庫の負担について、現在とそのときの状況とを教えてください。
○間政府参考人 お答えいたします。
過去三十年投影ケースでお答えすれば、足下の基礎年金に対する国庫負担が十三・四兆円でございます。そして、今回の適用拡大の効果を織り込んだ、かつ、基礎年金の給付調整の早期終了を行った場合の二〇五二年の所要額が十三・四兆円というふうに見込んでいるところでございます。
○早稲田委員 もちろんいろいろな条件がありますから、ここはあれですけれども、やはりその意味でいえば、現在と比べた場合は十三・四兆円で変わらないということであろうかと思います。
ただし、やらない場合と比べた場合、この修正を、基礎年金の底上げをやらないところで見たら、やはりそこは一・九兆円のプラスになるということで、そこの財源については、もちろん二十五年後、先ではありますけれども、しっかり考えてはいかなければいけませんが、ただし、今と比べた場合は変わっていないわけですから、比べる年度にもよりますけれども、そこのところはしっかりと、現在と比べて国庫負担が増ではないということは大臣にもお認めいただきたいのですが、お願いいたします。
○福岡国務大臣 先ほど局長が申し上げましたとおり、数字の額だけを比較すれば同じ額だということでございます。
高齢化が進む中で、仮に基礎年金の給付調整の早期終了を発動した場合には、経済規模に占める基礎年金の給付が増加し、これに伴って国庫負担の対GDP比は現在よりも上昇すると見込まれるものですから、それを踏まえれば、制度改正に対応した安定財源の確保というのは必要だと考えております。
○早稲田委員 御答弁いただきましたが、やはり財源を伴ったとしても生活保護の方が増える、そして困窮をする世帯の方が増えるということがあれば、当然ながら、これは社会全体で面倒を見るということになりますから、そこのところ、しっかりと生計を維持できるということが高齢者になっても必要でありまして、特に氷河期世代の方々は、自分が望むと望まざるとにかかわらず、若いときにそうした、余り正規職員になれなかった実情もありますので、そのことを踏まえて、この修正を是非成立をさせていただきたいと思います。
それでは次に、障害年金のお話をさせていただきます。障害年金不支給判定の急増問題についてであります。少し問題を飛ばしますけれども、障害年金の方です。
私のところに、内部障害の当事者で実際に二級に該当せず不支給とされた方から御意見が届きました。年金局で事前にその不支給決定通知書を見ていただきました。
不支給という判断の根拠となった事実関係の欄に、一般状態区分表でエ、身の回りのある程度のことはできるけれども、しばしば介助が必要である、そして、日中の五〇%以上は就床、寝ていらっしゃる、自力では屋外への外出等がほぼ不可能になったものとの記載があります。そして、他方で、障害認定基準の百六ページには、このエに該当するものは二級におおむね相当すると明記をされていることを鑑みれば、明らかに矛盾しているのではないでしょうか。
この方は、診断書上の日常的な生活と労働能力などが判断の根拠とされていないことについて不服審査を行っているので、これにつきましては、もちろん個別のケースでありますけれども、厳正で、かつ迅速に審査をしていただきたいと思います。
その上で、一般論として、このような判断根拠に基づく判断は合理性がなく、かつ説明責任も全く果たされていないものです。今後、このようなことがないように判断根拠をより正確に記載をし、そして適切な判断を行うよう、かつ審査の見直しを行うべきではないかと考えますが、局長に伺います。
○巽政府参考人 お答えいたします。
個別の事例につきましてはお答えを差し控えさせていただきますが、一般論としましては、障害年金の不支給決定通知書における理由の記載につきましては、日本年金機構におきまして行政手続法にのっとり対応しているものと承知しております。
いずれにいたしましても、請求者にとって、より理解できる理由を記載することは重要と考えております。引き続き、日本年金機構とも連携しながら努力してまいりたいと思っております。
○早稲田委員 是非、審査の見直しも含めて、それから適正な根拠の在り方、こうしたことをやっていただくように強く要望をさせていただきます。
そして、このことについて大臣にも伺いたいと思います。
今回、障害年金の不支給が急増している問題について、大臣は日本年金機構にサンプル調査を指示を出して、そして大体一か月ぐらいで出るということでございますけれども、その結果、日本年金機構からの介入を受けた医師による診断書により不支給判定を受けた人がいることが明らかになった場合、本来支給されるべき方に対して何らかの救済策を検討すべきではないかと考えますが、大臣の御見解を伺います。
○福岡国務大臣 障害年金につきましては、一連の報道も踏まえ、令和六年度における認定状況の実態把握のための調査を行うように指示をしたところです。この調査は、六月中旬を目途にその結果を公表できるよう、日本年金機構とともに作業を進めさせていただいているところです。
御指摘がありました問題が確認をされた場合には、必要な対応を取りたいというふうに思います。
○早稲田委員 救済策もということですよね、検討していただくのは。もう一度。
○福岡国務大臣 その問題に応じて必要な対応を取るということでございます。
○早稲田委員 問題をきちんと解決できるようにということでございますから、当然救済策も含まれると理解をいたしました。
それでは、遺族年金について質問いたします。
今回、国民年金法の第四十一条の改正によりまして、子に対する遺族基礎年金について、生計を同じくする子の父又は母があるときにその支給を停止する規定を削除することとなりました。遺族基礎年金を子供自らの選択によらない事情にかかわらず受給しやすくなるという点で、私も大変評価をしております。賛成をいたします。
この改正により、新たに遺族年金が支給されることになった具体的な事例として、配偶者が子の生計を維持し、死別後に再婚、それから直系血族又は直系姻族の養子となるなどなど、先日の委員会で沼崎委員に対して答弁がされました。
そして、私はかねてより遺族年金の子供の支給拡充を訴えてきたところでありますけれども、二年前の質問主意書で、先妻の子は遺族年金の受給権があるにもかかわらず、先妻に扶養されている限り支給停止というのは大変おかしいということを問いました。そうしまして、今回の四十一条の改正でこのようなケースも救済をされ、新たに支給になるということでよろしいでしょうか。
○福岡国務大臣 今回の法案では、離婚の増加等の子を取り巻く環境の変化を踏まえまして、子自らの選択によらない事情により遺族基礎年金が支給停止されることがないようにする観点から、お尋ねがあったケースにつきましても遺族基礎年金を支給する見直し内容を盛り込んでおります。
○早稲田委員 盛り込んでいただくということでございますので、大変これで救済をされる方たちが評価をされると思います。
それにつきまして、厚労省の改正案の説明ペーパーにあります例示というのは、あくまでも例示でありまして、全てを列挙しているものではないということを周知徹底していただきたいと思うんですね。
それで、私が訴えたケースの新たな支給がきちんと行われて、実務でも運用でも漏れがないように、実務用の解説書等におきましては、こうしたことも例示として書いていただきますよう要望をしておきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○福岡国務大臣 御指摘の点も含めまして、周知に努めてまいりたいと思います。
○早稲田委員 ありがとうございます。
一つ、時間がないと思って飛ばしましたマイナ保険証のことでございます。
これにつきましては、十二月、新規保険証の発行停止となりまして以降のマイナ保険証のトラブル、これもずっと続いております。
五月、全国保団連の調査結果によりますと、九割の医療機関で何らかのトラブル、そしてまた八割が従来の保険証で資格を確認しています。マイナンバーカードの有効期限切れというのが三千二十三件、三一%に及んでいます。それからまた、私も前から指摘をしておりましたが、資格確認書とそれから資格情報のお知らせ、これを混乱していらっしゃる方がいて、資格情報だけをお持ちになったり、そういうことも起こっています。
そうした中で、世田谷区、それから渋谷区、こちらが全員に独自の判断で、マイナ保険証を持っている人にも資格確認書を一斉に送付するという報道がございます。これは、ここの報道によれば、厚生労働省の保険課は国の方針と異なるとしていますけれども、厚生労働省の見解はどうなのか。
それからまた、二問続けますけれども、国としてせめて高齢者の六十五歳以上の方に資格確認書を送付する必要があるのではないか、これは混乱を防ぐためということで非常に重要なのではないかと思いますが、伺います。
○福岡国務大臣 資格確認書は、制度上、被保険者が電子資格確認を受けることができない状況にあるときに交付することとしております。
その上で、特に七十五歳以上の後期高齢者の方々については、新たな機器の取扱いに不慣れである等の理由で、マイナ保険証への移行に一定の時間を要する蓋然性が一般的に高いと考えられることから、マイナ保険証の保有状況にかかわらず、資格確認書を職権交付するという暫定運用を行うこととしたものでございます。
国民健康保険の被保険者には様々な年代、属性の方が含まれておりまして、そうした状況にはないというふうに考えておりますが、先ほど、渋谷、世田谷の例をお示しいただきました。個別の自治体の状況を把握しながら、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
なお、御提案がありました六十五歳から七十四歳までの方についてでございますが、この世代の方々は、マイナ保険証の利用率が他の年代と比較し相対的に高水準にあり、マイナ保険証への移行に一定の期間を要する蓋然性が一般に高いとは言えず、より多様な属性の方が含まれていることから、必ずしも後期高齢者の方々と同様に捉えることはできないというふうに考えています。
いずれにしましても、発行済みの健康保険証の有効期限切れに伴いまして、マイナ保険証が使えないことで、患者さんの不利益であったり、自治体や医療機関窓口での混乱が生じないように、引き続き、国民の皆様であったり医療機関に対しまして丁寧に周知を行ってまいりたいと思います。
○早稲田委員 終わりますが、これに追随をする市区町村も出てくると思います。それだけトラブルは減っておりません。そのことを是非しっかり頭に入れていただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 二十五分間、質問をさせていただきます。福岡大臣そして間局長、よろしくお願いをいたします。
最初に申し上げますけれども、他党の方々には大変申し訳ないんですけれども、昨日から、自民党、公明党、立憲民主党で修正協議をさせていただいております。本当でしたら、当然、全ての政党で、与野党で時間をかけて協議するのが、これほど重要な重要広範議案ですから当たり前なんですね。
ただ、言い訳をするわけではありませんけれども、これは、諸般の事情で五月三十日にこの厚労委員会で採決されないともう今国会では成立は無理だという中で、そうなると、五月二十八日、来週水曜日の夕方の理事会の時点では修正案というものが出てこないともう無理だという本当にタイトなスケジュールの中で、自民党さんと公明党さんと我が党が議論をしているということに関しては、本当にこれはおわびしかないんですけれども、そこで一緒に議論できない党の皆さんには、冒頭、まず心よりおわびをしたいと思っております。
そして、今日、山井事務所でちょっと計算をしましたけれども、今日の配付資料を見ていただきたいんですけれども、例えば、前回の配付資料を夫婦でちょっと合算してみたんですね。
どういうことかといいますと、今日の配付資料を見ていただきますと、今日の配付資料の三ページにありますように、例えば、単身であると、四十歳の男性の場合、基礎年金のみの六・八万円の方は、三百三十一万円、この修正案が実現すると生涯で増える。そして、女性の場合は三百九十八万円増えるということです。
仮に、先日も福岡大臣が機械的に夫婦で合算した数字を井坂議員に答弁してくださいましたので、ちょっと山井事務所で合算を機械的に改めてさせていただきましたら、この低年金の御夫妻でしたら、合計七百二十九万円も生涯で増えるんですよね。先ほど早稲田議員の質問がありましたけれども、低年金の人たちほど増え幅が多いということで、繰り返し言いますけれども、特に低年金の方々にとって、生涯七百二十九万円増えるかどうかというと、人生が大きく変わると思うんですね。さらに、例えば、四十歳でもうちょっと年金が高い、基礎年金六・七万円、比例九・二万円という、どっちかというと年金が多い方の方でも、男性が百六十八万円、女性が二百二万円で、合わせると三百七十万円。
やはり、早稲田議員の答弁で福岡大臣がしてくださったように、男性より女性、高齢者よりも現役、現役の中でも、四、五十代より二、三十代の方がより年金が底上げになるということになるのがマクロ経済スライドの調整期間の一致の特徴であって、私たちのこの修正案、前も言いましたように、元々これは田村法案と言われておりまして、田村さんがずっと、厚生労働大臣あるいはその前から言っておられたものであります。
それで、この表を見ると、繰り返し言いますけれども、将来的ですから、二〇五〇年、今から二十五年後には一・七兆円ぐらいの予算が必要になるという説もあれば、先ほど議論があったように、二〇五二年に十三・四兆円、二〇二五年、今年が十三・四兆円だから、そもそも基礎年金の国庫負担に使う額は今と変わらないやん、そういう意見もあるわけです。
そういう中で、はっきり言いまして、党派を超えて、この厚労委員会におられる方々は割と、将来の財源のことはあるとはいえ、とにかく低年金の方や若い方や女性にとっては、これは本当に人生が変わる重要な底上げだなということは理解されていると思うんです。
ところが、厚生年金流用論というのが根深くて、残念ながら、インターネットとかを見ると反対論ばっかりで、九九%ぐらい反対論で、私のところも苦情ばっかり来るんです。頑張ってくださいというのはほとんどありませんよ。何あほなことやっているんやという苦情が多いんですね。
それで、今日は、テーマは、つまり、厚生年金の基金を使って基礎年金(国民年金)の底上げをしますと報道されたら、普通の方は、厚生年金を削って低年金の国民年金の人を救うんだなと、誤解というか、そう受け止めてしまうんですよね。そうすると、当たり前の話、厚生年金の人というのは今九割ぐらいですかね、国民年金だけの人は少ないから、だから、九割ぐらいの人は、困っている人を救うために自分の年金を減らす改革、それはちょっと困りますと。
反対論が多いというのは分かるんだけれども、ちょっと余り長話しても申し訳ないんですけれども、これは非常に根深いんですよね。
それで、質問通告もしておりますが、今回、厚労省が、間違ってはいないけれども、分かりにくい、今言ったように誤解を招くので、ホームページを変えられたと聞きました。そのホームページというのは、今日の配付資料にも十六ページにあるんですけれども、つまり、今まで基礎年金(国民年金)としていたのを、基礎年金の下に国民年金と厚生年金も書いて、基礎年金イコール国民年金じゃなくて、基礎年金の中に厚生年金もあるんですよということを明確化していただいたんだと思うんですけれども、この趣旨についてお答えください。
○福岡国務大臣 公的年金制度は、被保険者の働き方に応じて、加入をする際の制度の名称として、国民年金、厚生年金保険という用語を使っている一方で、受け取る際の年金の名称としては、基礎年金という用語を使い分けているところでございます。
御指摘の厚生労働省のホームページに掲載している年金制度の基本的な資料につきましては、これまで、加入する制度と受け取る年金の名称を区別せずに、国民年金(基礎年金)と記載しておりましたため、受け取る年金については、国民年金という用語を使わず基礎年金に統一する、こういう見直しを行わせていただいたところでございます。
今後も、基礎年金の周知広報に当たりましては、基礎年金、国民年金という表現を適切に使い分けながら、幅広い機会を捉え、分かりやすく、そして正確な広報に取り組んでまいりたいと思います。
○山井委員 つまり、これは誰が悪いわけでもないんですよ。あるときは基礎年金は国民年金とイコールという意味に使われるし、あるときは基礎年金は厚生年金も含まれているんだけれども、専門家でも分かりにくいぐらいだから、国民からすると、厚生年金と違う、基礎年金というのは国民年金のことかなと。おまけに、その前に厚生年金の積立金を使ってと書いてあるから、減るのは厚生年金だと誤解しちゃうんですよね。
それで、私も、これを議事録に残すのはつらいんですけれども、私たちに来ている苦情の、Xというかメールを読み上げさせていただきます。
厚生年金を払ってきた皆さん、黙っていていいの、皆さんが必死に払ってきた厚生年金から大金が国民年金に流用される案を立民は押している、これは詐欺。
次の方。厚生年金から基礎年金に流用、頭おかしいんか、立憲民主はやっぱりくそだな。
三番目。厚生年金基金から国民年金に充当しても厚生年金受給者も基礎年金が増えるから損するわけではない、基礎年金保険料を払っていない自営業者や主婦に充当する時点で損だろうが、あほか。
基礎年金の底上げ、恩恵を受けるのは誰、厚生年金の猫ばばにしか見えない。
五番目。立憲民主は相変わらずくそ、基礎年金引上げで何で厚生年金使うんだよ、国会議員の国民への裏切り行為にへどが出る、立憲民主、何もするな。
六番目。基礎年金の底上げ、誤解されている、いや、明らかに詐欺でしょう。
七番目。基礎年金の底上げ、今の立憲民主の案では駄目、厚生年金の資金の流用ではない案を考えましょう。
八番目。立憲だけは投票しない、わしが払った厚生年金を、なぜ知らぬじじ、ばばの年金に流用されないといかぬのだ、立憲民主は泥棒なので解体してほしい。
九番目。サラリーマンの年金積立金を奪って、自営と無職にばらまく立憲は労働者の敵。
最後、十番目。立憲民主が就職氷河期世代の年金対策が削除されたと問題にしているけれども、厚生年金を基礎年金に組み込んで底上げするのは対策ではなく詐欺ですよ、会社員の払った厚生年金を勝手に払っていない人に分配するとか、あり得ない。
これは山ほど来ているんですよ、私たちのところに。でも、これは責められないのは、基礎年金(国民年金)と書いてあるから、こういう誤解をするのもやむを得ないかもしれないんですよ、一概に。
ということは、今日、福岡大臣にお聞きしたいのは、やはり、厚生年金の積立金を使って基礎年金(国民年金)を底上げするという表現では、これが仮に実現、成立したとしても、永遠に、厚生労働省や国会議員は何詐欺をやっているんだということで、今もインターネットはこの世界で山盛りですからね。
ついては、質問通告もしているんですけれども、福岡大臣あるいは間局長、繰り返し言います。厚生年金の積立金を使って基礎年金(国民年金)の底上げをするというのは何も間違っていないんだけれども、明らかに誤解されているわけです。この表現はこの表現で仕方ないとしても、もうちょっとほかの表現、説明ぶりというのはできませんでしょうか。いかがですか。
○間政府参考人 お答えいたします。
基礎年金は、御案内のように、全国民の共通の給付でございますので、そして、どの制度にどれだけ加入したかにかかわらず、保険料納付期間に応じて定額の給付が行われます。その意味では、委員から先ほどからもおっしゃっていただいていますけれども、厚生年金と国民年金、加入制度の話と給付の話は、ごちゃごちゃにならないようにする必要があると思っています。
仮に基礎年金の給付水準が上昇した場合には、どの制度に加入していたかにかかわらず、全ての加入期間について、ひとしくその水準が上昇しますので、厚生年金受給者の基礎年金も上昇する、厚生年金受給者にとっていいのだという点は、これはしっかり押さえておく必要があるというふうに思っています。
これまで、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、基礎年金、国民年金、報酬比例、厚生年金といった用語の関係性が分かりづらく、この点については私も反省してございます。そのために、今回、ホームページに掲載している資料の一部を見直させていただきました。
今後も、用語の適切な使い分けと分かりやすい説明に努めてまいりたい、このように考えております。
○山井委員 今、分かりやすく、要は、基礎年金が上がったら、厚生年金の一階が基礎年金だから、厚生年金の人の年金も増えるんですということなんだけれども、これを、例えば、来週金曜日、採決なのか分からないけれども、本当に、あしたぐらいからでも、今日からでも説明ぶりをちょっと変えないと、繰り返し言いますよ、仮に通過したとしても、これは大変なことになるんですよ、こういう誤解が残っていると。
改めて確認しますけれども、ということは、マクロ経済スライド、厚生年金と基礎年金の調整期間の一致という今回の基礎年金底上げ案というのは、お伺いしますが、多くの厚生年金加入者等の年金底上げというふうに表現してもよろしいんでしょうか。
○間政府参考人 今御検討されているか公党間で協議されているものをどういうふうにアピールされるのかというのは、またその議論も踏まえてと思いますけれども、実際に、加入者の多くが厚生年金、あと、三号被保険者の方も含めて、厚生年金の世界でカバーされている方が相当数いらっしゃる、こういう意味では、大宗は厚生年金である。
ただ、国民年金に現に加入されている方々の将来が忘れ去られているということではないということはしっかりお伝えしていかなきゃいけない、このように考えているところでございます。
○山井委員 ここは重要なので。ちょっと表現は悪いですけれども、だから、ちょっと失礼ながら、国民年金が上がるというのはもうみんな御存じなのでね。私が今言ったのは、福岡大臣にもお伺いしたいんですけれども、これは重要なことなんですよ。つまり、厚生年金加入者の年金が上がるということをワンフレーズで伝えない限り、国会で幾らこの法律が万が一通過しても、永遠に国民の理解は得られないんですよ、これははっきり言いまして。
だから、福岡大臣、確認したいんですけれども、ですから、今、間局長も答弁してくださったように、この底上げ案というのは、別に立憲案じゃないですよ、繰り返し言いますけれども、田村元厚労大臣が元々発案された田村法案なわけですから、そして、かつ、これは年金審議会で議論されていた調整期間の一致ですから、別に立憲の案では全くないんですけれども、この基礎年金底上げ案というのは、今、間局長がおっしゃったように、多くの厚生年金加入者等、この等のところに国民年金も入れているわけですけれども、厚生年金加入者等の年金底上げというふうに表現しても大丈夫なんでしょうか。
○福岡国務大臣 今お話ありました基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了は、基礎年金の給付水準が上昇することで、多くの厚生年金受給者の受給額の上昇にもつながるということでございます。
○山井委員 そうなんですよ。
結論は、この修正案は、多くの厚生年金受給者の年金受給額が上昇する、ここは重要なんですよ。これは簡単な話で、今回の調整期間の一致、修正案というのは、多くの厚生年金受給者の受給額が増える修正、増える制度なんですよ。
ところが、さっきも言ったように、別に新聞、テレビが悪いんじゃないけれども、今の説明の、厚生年金基金を使って基礎年金(国民年金)を底上げするといったら、福岡大臣、改めて答弁していただきたいんですけれども、ちょっと違うぐらいの誤解はいいんですよ、私は。真逆なんですよ。多くの厚生年金受給者の年金額が増えるのに、逆に、厚生年金の積立金を使って厚生年金受給者の受給額を減らす改革というふうに理解されたら、これはもう大変なことなんですよ。
ついては、改めて、今までの表現が間違っていたとは言いませんが、やはり誤解を招く可能性があって、実際誤解されて、私もぼろかすに今たたかれていますので、福岡大臣から、調整期間の一致という制度改正は、厚生年金受給者の、受給者等ですね、国民年金の人もいますからね、厚生年金受給者等の受給額の上昇になるという説明を、私がやっても、もうたたかれていますからね、私、説得力がないので、何よりもニュートラルな厚労大臣から、立憲案じゃないですよ、これは元々年金審議会で議論した調整期間の一致で、発案は田村元厚労大臣なわけですから、そういう説明を今後していただきたいと思いますが、いかがですか。
○福岡国務大臣 まず、さっき、厚生年金受給者の受給額の上昇、この受給者というのは、今の受給者もそうですが、将来の受給者も含めてというような意味合いだということは、まず前提として申し上げさせていただきたいと思います。
その上で、今御指摘いただいた内容については、まさに今、修正協議で公党間でお話をされている話ですから、その内容について私が積極的に申し上げるというのもおかしな話でありますから、先ほども申し上げましたように、基礎年金のマクロ経済スライドを早期終了する、そういうことは何を意味するかというと、基礎年金の給付水準が上昇することで多くの厚生年金受給者の受給額の上昇にもつながる、こういったことはしっかり申し上げていきたいと思います。
○山井委員 ありがとうございます。
これは、私たちがそうですよねといって納得しても全く始まらなくて、言いづらいけれども、今日以降のテレビや新聞も、厚生年金の積立金を使って基礎年金(国民年金)の底上げと表現するのは間違いだとは言いませんけれども、それに加えて一言、今、福岡大臣がおっしゃってくださったような、マクロ経済スライドの早期終了というのは多くの厚生年金受給者の厚生年金受給額の上昇につながるということを、私がこんな場で言うのもなんなんですけれども、本当に世の中の人に知っていただきたいと思いますし、私が皆さんにお願いするのも甚だ失礼ですけれども、やはりこれは、誤解されたら本当にみんなが不幸になると思うんですね。そういうふうな表現を、非常に僭越ながら、この厚生労働委員会にいる人間は心がけていけたらいいなというふうに思っております。
それと、福岡大臣あるいは間局長にお伺いしたいんですけれども、これはもっともな質問なんですけれども、私のところに殺到しているのは、厚生年金の積立金を使って基礎年金を底上げしているんだから、厚生年金、減るに決まってるやろ、おまえ、あほかというのがたくさん来ているんですよ。
だから、そこを分かりやすくね。確かにそれはそうですよね、厚生年金の積立金を使って基礎年金を上げるといったら、厚生年金は減ると普通の人は思う。これをちょっと分かりやすく、間局長か福岡大臣、なぜなのかというのを簡単に御説明いただけませんか。
○間政府参考人 お答えいたします。
私どもが元々検討しておりました基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了は、今委員お話ありましたように、厚生年金の積立金の報酬比例部分と基礎年金の給付への配分割合を変えて、基礎年金により多くの積立金を充当するものでございます。
そうしますと、同じ厚生年金受給者の中でも、報酬比例部分の所得代替率は低下しますが、基礎年金の所得代替率は上昇して、トータルとして改善を図るということでございます。加えて、国庫負担を追加的に投入もすることから、多くの厚生年金加入者、マクロスライド調整期間終了後は九九・九%の方が年金給付水準が増加するということでございます。給付全体で見れば多くの方が改善する、こういうことだと考えております。
○山井委員 私が解説するのも僭越ですけれども、確かに厚生年金の基金から基礎年金に行くけれども、そのほとんどは、そもそも厚生年金の一階にしか行かないわけなんですよね。国民年金に純粋に行っちゃうのはごく一部の上に、更にそれよりもはるかに多い国庫負担がついてくるから、多くの厚生年金受給者の受給額も上がるということなんですけれども、これを分かりやすく、福岡大臣からも一言ちょっと説明していただけませんか。
○福岡国務大臣 先ほど局長が申し上げたのを更に分かりやすくと言われても、なかなか難しいんですが、元々御提案をしておりました基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了は、厚生年金の積立金の報酬比例部分、つまり二階と基礎年金、一階部分の給付への配分割合を変えて、基礎年金により多くの積立金を充当するものです。
その上で、厚生年金受給者の報酬比例部分、つまり二階の所得代替率は低下しますが、その代わりに、基礎年金、一階部分の所得代替率は上昇する形となります。加えて、国庫負担も追加的に投入することになりますから、多くの厚生年金加入者の年金給付水準が増加する見込みということでございます。
○山井委員 是非、これは私、今の答弁を拡散したいと思うんですけれども、これも言いづらいんですけれども、例えば、今日の朝刊を持ってきました。別に、どこの新聞がどうというのじゃないですよ。ちょっと読み上げますよ。
基礎年金を底上げする対策案を示したが、実施すると厚生年金の給付水準が当面下がる。間違っていないんですよ。基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げ、厚生年金加入者の一部の人の受給額が減る。厚生年金の積立金を活用して基礎年金を減らす。底上げ策を実施すると、一時的に厚生年金の受給額が減る。基礎年金(国民年金)の底上げ策、厚生年金の受給額が一時的に目減りする。
これは、一般の国民がこれを読んだら、言っちゃ悪いけれども、どの新聞がじゃない、ほとんどの新聞が、厚生年金の積立金を使って国民年金を引上げして、一時的に厚生年金が減ると書いてあるんですよ。今おっしゃったように、多くの厚生年金受給者の受給額は増えるわけですよね。ところが、どこの社が悪いんじゃない、減るとしか報道されていないわけですよ、厚生年金は。
だから、そういう意味については、もう質問時間が終わりましたら終わりますけれども、やはりこれは私は深刻な問題だと思うんです。最初言ったように、国民の、特に若者の人生に関わっている問題なので、こういうことを、変な話、私たちも国民に説明しながら、よりよい制度に変えていけるように超党派で頑張っていきたいと思います。
今日はどうもありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、井坂信彦君。
○井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。
今回の年金改革法案で最大の争点となっている年金底上げ、就職氷河期や低年金の方だけでなく、平均的なモデル世帯の厚生年金の男性六十二歳以下、そして厚生年金の女性六十六歳以下の、思った以上に幅広い、本当に幅広い世代の年金がこの底上げによって増えるということ、そして、この増える額も、本会議で答弁をいただきましたが、六十歳は九十九万円、五十歳は三百八十九万円、四十歳は五百四十一万円、三十歳は五百四十六万円、そして二十歳も五百四十六万円と、現役世代と若者の厚生年金が数百万円で増えるということ、また一方で、底上げによって減ってしまう方も確かにいらっしゃるんですが、七十代の高所得の方々が中心で、しかも、この年金が減る幅も僅かであるということ等々の事実が本会議とこれまでの委員会の質疑、また厚生労働省から提出されたデータや資料で明らかになってまいりました。
しかし、先ほど山井委員が議論をさせていただいたように、いまだに報道やネットでは誤解としか思えないようなことが言われ続けています。厚生年金を使って国民年金を増やす案なんじゃないか、もっと言えば、結局、厚生年金の人は減るんじゃないか、損するんじゃないか、そういうふうに言われてしまっているわけであります。
その結果、さっき申し上げたように、もう明らかに、しかも数百万単位で増えるはずの方々が、自分たちが今大変な中で働いて、物すごい年金保険料をたくさん抜かれている、手取りが減っている、そのお金を、自分たちの年金を減らして、自分たちと関係ない人の底上げに使うのなんか絶対反対だと。増えるはずの現役の会社員の人たちが、今もまだ半分ぐらいの方が、私は誤解と申し上げます、その方々が悪いんじゃないですよ、要は我々の伝え方がまだ足りないんだと思いますが、増えるはずの現役会社員の方が、いまだに半分ぐらい、この底上げ案に反対をしておられる。やはりここは、何とかこの委員会の質疑を通じて解消していきたいというふうに思っています。
我々、別に、何か批判が来るのは全然いいんです。これはもうやる前から本当に分かっていました。ネットでは元から、流用だ、詐欺だ、猫ばばだ、反対一色なのは分かっていましたし、やれば当然批判されるのも分かっていました。我々、批判されるのは全然構わないです。私は信念を持ってやっておりますから、幾ら批判されても、それでも皆さんの年金は増えると、ガリレオじゃないですけれども、それでも年金は増えると、もう信念を持って、これは最後まで頑張りたいと思っているんです。
ただ、問題は、これだけ世論がまだまだ誤解をして反対をされていると、最後、国会全体で通そうというときに、やはり賛成するのが怖いという方が出てくるのも、これは議員心理としては分かる部分があるんです。だから、覆したい。自分への批判がどうこうじゃなくて、やはり、皆さん、ちゃんと増えるんですよ、そのためにやりましょうよということを何とかこの委員会で訴えていきたいというふうに思います。
参考人に伺いますが、そもそも、厚生年金の人の年金を国民年金の人に使うというこの発想自体が、かなり、何というか、現実的ではなくて、厚生年金の人と国民年金の人って分けて考えるのが実はおかしなことなんです。一人の人の人生で、国民年金保険料、基礎年金部分しか払っていない時期もあるし、会社に勤めて、二階部分、厚生年金の報酬比例部分も払っている、保険料を納めている時期もあるし、一人の人生でいろいろなときがあるんですね。一生、報酬比例部分は払っていませんというような人は、もうごくごくレアケース、全体の三%しかいないということも分かっております。
参考人に伺いますが、要は、今回、我々が底上げをしようと言っている底上げの対象は、国民年金の人とか厚生年金の人とか、そういうことではなくて、年金底上げを行えば、一人の人生の国民年金加入期間の基礎年金であろうと、厚生年金加入期間の基礎年金であろうと、ひとしくそれを全部底上げをしようということでよいのか、お答えをいただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
結論から申し上げれば、委員御指摘のとおりだと思います。
基礎年金は全国民共通の給付でございまして、どの制度にどれだけ加入したかによらず、保険料の納付期間に応じて定額の給付が行われる仕組みでございます。
このために、仮に御指摘の厚生年金の積立金の配分の見直しと国庫負担追加投入を行うことで、基礎年金のマクロ経済スライドによる調整期間が短縮した場合には、現役時代にどの制度にどれだけ加入していたかということにかかわらず、全ての加入期間についてひとしく水準が上昇する、このように考えております。
○井坂委員 ありがとうございます。
要は、今会社に勤めている方であっても、やはり人生のどこかでは会社に勤めていない、要は、報酬比例部分、厚生年金の二階部分を保険料を納めていない時期も、多くの方がそういう時期もあるんですよ。そういう方々が厚生年金の二階部分を払っていない間も、ほかの方が誰か二階部分を払ってくださっていて、それが全部合わさったのが今の厚生年金の積立金だということで、何か別に、今会社員の人だけが納めたのが厚生年金積立金というわけですらないということであります。
これは参考人にちょっと重ねて伺いますが、要は、今ネットとかで言われている、会社員の人の年金を削って自営業の人の年金、基礎年金を増やす、国民年金、自営業の人だけの基礎年金を増やすなんということは、そもそもそんなことができるんでしょうか、制度上。
○間政府参考人 お答えいたします。
先ほども実はお答えした部分でもあるんですが、基礎年金は全国民共通の給付でございますので、特定の、現役時代にどこに、どういうような職業に就いておられたかということにかかわらず、六十五歳以降、年金を受給開始した以降もらえる基礎年金というのは、共通の給付、どこだけが厚くするとか、どこだけが少なくするとか、そういうことのできない仕組みであるというふうに考えています。
○井坂委員 そうなんです。要は、会社員の年金を削って自営業の人の基礎年金を増やすなんということは、そもそもできない。全部が同時に上がるということで、誤解というよりも、そもそもそんなことは不可能だということであります。
次に、これは大臣に伺うんですけれども、二問目ですが、前回の委員会で大臣からは、厚生年金の流用ではありませんということを明確に答弁をいただきました。
今日配付している資料の二ページ目の右側を御覧いただきたいんですが、これは厚生労働省の資料で、厚生年金積立ての配分ということについて図が書いてあります。
ここに書いてあるように、そもそも厚生年金加入者の年金保険料というのは、何か今から急に基礎年金部分にお金を入れましょうとか言っているんじゃなくて、もう最初から、厚生年金の保険料が厚生年金の人の二階部分、報酬比例部分にも昔から投入されているし、厚生年金の人の一階部分、基礎年金部分にも昔から投入をされているということであります。
今回、我々が修正案を出したいと思っているマクロ経済スライドの早期終了、要は、さっき長妻さんがおっしゃった年金三割カット、このまま放っておくと年金三割カットになるのを止めましょう、年金三割カットを早く止める今回の修正をもしやれば、結果として、二階部分と一階部分に分配されるお金の割合が少し変わりますよということだと思います。
これは大臣に伺いたいんですけれども、二階部分に今多めにお金が行っています。それをちょっと一階部分にもちゃんと入れましょうということに、もし修正ができればなるんだと思うんですが、逆に、今、何か二階部分に物すごいお金が行っているんですよ。これは最初からそうだったのかなと。マクロ経済スライドが決められた二〇〇四年の当時から、もう最初から厚生年金のお金は報酬比例部分にばかりどんどんどんどん投入することになっていたのか、投入されていたのかというようなこと、二〇〇四年当時の一階と二階の配分割合の見通し、どうだったのかということについてお伺いしたいと思います。
○福岡国務大臣 平成十六年にマクロ経済スライドを導入した際の厚生年金積立金の、基礎年金、一階部分と報酬比例部分、二階部分への配合割合については試算を行っておらず、作業に一定の時間を要しますため、今のこのタイミングでお答えは難しいことは、恐縮ですが、御理解をいただきたいと思います。
配分割合につきましては、将来の基礎年金、一階部分と報酬比例部分、二階の給付水準の見通しなどを基に決まるものでございます。一般論として申し上げれば、他の前提が同じである場合には、基礎年金、一階部分の給付水準が高ければ、基礎年金に充てるべき積立金の割合も相対的に高くなるというふうに考えられます。
○井坂委員 要は、我々がやはりやらなきゃと、これは多分、今、全党同じ考えだと思いますけれども、厚生年金の加入者も、それから国民年金の加入者も、両者共通の基礎年金の水準がもうどんどんどんどん下がってきて、今後も更に、放っておくと二〇五七年まで、今からまた三割それが下がってしまう、これはやはり大変問題ですよねということで、そこを下げ止まりをさせましょうと。
当然、そこが、何というか、増やすというよりも減りを止めるだけの話なんですが、減りを止めると、今後、やはり基礎年金部分にも今よりはお金が必要になるので、分配割合も、その分自動的に増える。我々が意図的に増やすとかいうんじゃなくて、減りを止めれば分配割合も自動的に増えるということだと思います。
これは参考人に伺いますが、現在、何で、基礎年金部分、一階部分への分配割合がこんなに少なくなってしまったのかということを教えていただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
端的に申し上げれば、基礎年金の給付水準が低下してきたからということなんですが、その背景は、デフレ下でマクロ経済スライドが発動しなかったなどの影響により、定額である基礎年金の給付調整が進まないことでマクロ経済スライド調整期間が延びた。その一方で、報酬比例部分につきましては、デフレ下でも、女性や高齢者の労働参加の進展により、想定より厚生年金被保険者の増加や第三号被保険者の減少が進んだことなどにより、報酬比例部分のマクロ経済スライド調整期間が短縮をされたということでございます。
その上で、委員は御存じでいらっしゃいますけれども、この配分割合については、将来の基礎年金と報酬比例部分の給付水準の見通しなどで決まってまいります。決め方は、まずは、国民年金の一号被保険者に係る国民年金財政の状況を基に、将来の基礎年金の給付水準をまず決めます。その基礎年金の給付水準から、人数割りで厚生年金の積立金から出すものを決めます。そこの残りを報酬比例部分に、二階に充てる。
こういう構図でございますので、こういうような財政構造の下では、基礎年金のマクロ経済スライド調整期間が長期化した結果、報酬比例部分に比べて基礎年金の配分割合が小さくなっている、こういうことだと考えております。
○井坂委員 つまりは、最近、時々ネットで見かける御意見のような、国民年金の、基礎年金の人、報酬比例部分がない人の年金が少ないのは自業自得だろう、自分たちが保険料を払っているのが少ないから、もらえるのは少なくて当然なんだみたいな御意見もあるんですけれども、ここまで、今後更に三割減ってしまうような状況を招いたのは、別に、国民年金加入者が何かサボったとか、何か責任があるわけでは全くなくて。
デフレが続いて、これはちょっと申し訳ないけれども言わせていただくと、当初の制度設計が甘くて、デフレのときは切下げができないというような制度にしてしまったために、もっと言えば、デフレなんかないんだという、いつものような甘い見通しだったために、想定外の、マクロ経済スライドができない年ばかりが続いた結果、最初の国民年金をもっと早く減らして、もっと早く下げ止まりをして、後はもうずっと同じ額がもらえる予定だったのに、下げるのが遅れて遅れて、二〇五〇年まで結局ずるずるいくと。
先に、国民年金、いわゆる基礎年金部分だけを百年もつようにするから、じゃ、ここまで減るんだったら、そんなにお金は要りませんよねということになってしまって、配分割合が少なくていいですねということになって、その分、余った分、何か今、二階部分に物すごいたくさんお金が行くようになって、結局、二階部分の、報酬比例部分のお金ばかりが今潤沢にあって、二階部分のお金が潤沢にあるから、二階部分はさっさと減りを止めることができてしまっている、こういう構造だと思います。
繰り返して言うと、だから、国民年金の人は、何か悪い、責任があるという要素は全くなくて、制度設計上のちょっとしたミスでこういうおかしなことになってしまった。一階部分に配分するお金が異様に減ってしまった。二階部分に配分するお金が異様に増えてしまった。これを、また配分を元のバランスに戻しましょうということでもあるというふうに私は考えております。
ちょっと時間がないので、三番、四番、五番を飛ばして、最後、六番。経済前提とか年金制度の見通しのことについて、やはりちょっと議論したいんですね。さっき長妻議員がおっしゃった、過去三十年投影ケースと言うけれども、実質賃金がずっと〇・五%増え続けるのは、これは、過去三十年、そうじゃないでしょうということなんです。
参考人に伺いますが、何で、過去三十年の平均は実質賃金〇・〇%なのに、過去三十年を投影しましたと言いながら、プラス〇・五%で今後百年いきますという設定にしたのか、お答えいただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
財政検証における経済の前提については、金融、経済の専門家で構成される専門委員会の議論を経た上で、幅広い複数のケースの設定がされております。
このうち、今御指摘のありました過去三十年投影ケースにおける実質賃金上昇率の前提につきましては、まず、ケース設定の基軸となる全要素生産性、TFPの上昇率を過去三十年の実績分布の上位八〇%をカバーする値と設定をしました。その上で労働生産性上昇率を推計しております。長期的には労働生産性の上昇が実質賃金の上昇に結びつくという考え方の下、一定内経済モデルに基づいて計算をいたしますと、これがプラス〇・五%というふうに出てきたものと承知しております。
○井坂委員 そうなんです。要は、経済理論でいくと、労働生産性が上がったら実質賃金もそれだけ上がるはずなんだ、これは本当に教科書どおり、そうなんです。日本は、労働生産性は欧米並みに上がっているんですよ、過去三十年も。なのに、賃金がなぜか上がっていない。
私、財務委員会でも議論しましたけれども、だから、それは、配当し過ぎなんじゃないかとか、経営陣が取り過ぎなんじゃないかとか、内部留保をため過ぎなんじゃないか、いろいろあるんですけれども、普通は、労働者が頑張って生産性を上げてたくさん稼げば、賃金も上がるはずなんです。日本はそれがなかった。これが現実です、過去三十年の。
だから、やはり過去三十年の実績から見れば〇・〇なんです。ただ、経済理論からいえば〇・五増えるはずなのに、増えなかった。これは、私は、過去三十年投影ケースではなくて、やはり過去三十年願望ケース、過去三十年本当はそうなるはずだったのにケースぐらいのことじゃないかなというふうに思います。
大臣に最後、伺いたいんですが、やはり毎回この経済前提は議論になりますよね、甘過ぎるんじゃないかと。これは水かけ論になるんですが、少なくとも、過去三十年投影ケースは過去三十年願望ケースですよね。最悪のケースではなくて、これでもげたを履かせて、過去三十年できなかったことは今後は理論上はなるはずだといって、げたを履かせているわけですよ。だから、これが過大だとは言わないけれども、これが最低ラインだとは絶対言えない。過去三十年投影ケースよりよくなる可能性も私はあると思いますよ。でも、同じぐらい悪くなる可能性もあると思うんですよ。
さっき大臣が答弁されたように、過去三十年投影ケースと成長型ケース、この範囲内のどこかに現実は収まりますなんて甘い話じゃなくて、ここの上と下が半々あるんじゃないですか。ここの過去三十年投影ケースよりも現実が悪くなる可能性も相当にあるという実態、これはお答えをいただきたいと思います。
○藤丸委員長 止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 起こして。
大臣。
○福岡国務大臣 御承知のとおり、財政検証、四ケースでやっています。そういう意味でいうと、委員が御指摘いただいたようなケースというのも、当然、可能性としてはあるわけでありますが、政府としては、成長経済型のモデルのケース、そして過去三十年型投影ケース、そういったことを前提に様々な施策を講じているということでございます。
○井坂委員 やはり、今回、いろいろな現役世代の方から批判を受ける中で、数字をお伝えすれば、増えるんですよとお伝えすれば、半分の方は、ああ、そうなんですねと納得してくださいます。でも、増えると言っても、厚労省がこんな試算を出したんですよと言っても、半分の方は、そもそもその前提と試算が全く信用できません、どうせまた、適当な数字で大丈夫ですよと言いながら、百年安心ですよとか言いながら、何年かしたら、やはり足りなくなりました、増税です、保険料アップです、年金切下げですとなるんじゃないかと。もう信用されていないんですよ。
やはり経済前提とか将来見通しは、げたを履かせたりではなくて、バラ色ケースがあっていいですよ、でも、同時に暗黒ケースもちゃんと出して、中間ケース、真ん中はここだ、ここが真ん中でということを、やはり政府としてリアルな前提を出して、幅はあっていいけれども、リアルな前提に基づいて議論をするということがこの二十年大分ないがしろにされてきたから、もう今何を言っても、幾ら数字を出しても信用すらしてもらえない。ここは、我々、私も含めてですけれども、本当に国会として、政府として反省をしなきゃいけないというふうに思います。
また引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。
○藤丸委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十八分休憩
――――◇―――――
午後一時十分開議
○藤丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。梅村聡君。
○梅村委員 日本維新の会の梅村聡です。
今日はまず最初に、五月の二十日に衆議院の本会議で石破総理に質問をさせていただきました、ちょっとその内容の復習から一問させていただきたいと思います。
実は、この衆議院本会議で、私は、そもそも年金の支給開始年齢の引上げの是非の議論、これも必要じゃないか、そういう質問をしたら、石破総理の答弁は、今回の年金制度改正でも、年金の支給開始年齢の引上げを行うべきという議論にはなっていない、こういう答弁だったんです。
実は、それは私も分かっていまして、そういうことを聞いたのではなくて。今回、基礎年金の底上げについて、午前中もたくさん質問がありましたけれども、これに対しては、マクロ経済スライドの調整期間を基礎年金とそして厚生年金を一致させることで、基礎年金の底上げをやろうじゃないか、こういう議論になっています。この議論の前に、選択肢として、例えば保険料の納付期間を四十年から四十五年に延長するとか、あるいは年金の支給開始年齢を引上げにするとか、様々な選択肢がある中で、今回は今の方法が選択をされてきているということだと思いますので、それ以外の選択肢も今後検討する、そういうおつもりはないのですか、どうですか、こういう趣旨のことで聞いたつもりなので、改めて厚労大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○福岡国務大臣 平成十六年の年金制度改正によりまして、現在の公的年金制度は、保険料の上限を固定しつつ、その範囲内で給付水準を調整しますマクロ経済スライドを導入した結果、仮に六十五歳の支給開始年齢を維持した場合であっても、年金財政の長期的なバランスが取れる仕組みとなっております。
また、高齢者の方が、自らが六十五歳から七十五歳の間で受給を開始する時期を自由に選べる仕組みになっておりまして、健康状態等も含め、高齢期の状況は個人差がある中で、そうした選択肢があるということは重要と考えております。
ですから、今後の仮定の話にお答えすることについては差し控えさせていただきますが、先ほどおっしゃった納付期間の延長等については、今回、検討規定とかには入っているところでありますが、支給開始年齢の引上げということについては考えておりませんで、現行制度の仕組みの下で着実に年金を支給してまいりたいと考えています。
○梅村委員 現時点ではそのお答えだと思いますけれども、先ほどから議論がありますように、これは最悪なパターンですよね。経済成長あるいは賃上げ、これが最悪のパターンのときにどうするかということの中に選択肢がいろいろあって、今回はあんパンを選んだかもしれませんが、それはカレーパンやメロンパンも用意しておかないと、最悪の状況に対応できないんじゃないかという問題意識を持っておりますので、そのことは是非御理解をいただければなというふうに思います。
我々維新の会としては、抜本改革の中に、やはり支給開始年齢というものも論点に入るのではないかということを今我々としては考えておるところでございます。
それでは、ちょっと今日はテクニカルな質問をさせていただきたいと思いますが、今回、厚生年金の適用拡大が本法案では予定をされております。具体的には、企業要件、人数規模の要件が今回は撤廃される、それから月給要件、これに関しても撤廃をされるということになっておりますが、そうしますと、適用事業所、この数は圧倒的にこれから増えてくるということが想定されると思います。
当然、今まで払っていなかったところの事業所も入ってくるわけですから、経営も非常に厳しくなるんじゃないか。それに対するサポートもあるということなんですが、帝国データバンクによりますと、二〇二四年度の公租公課滞納倒産、ですから、税金や社会保険料が納められずに倒産をする企業の数が、二〇二五年二月までのデータで百四十件。これは負債一千万円以上ということを限定はしておりますけれども、百四十件となりまして、過去最高を更新しているという状況であります。
要するに、社会保険料や税が払えないということが原因で倒産している、こうなってきている現状を把握されておられるのか。そしてまた、これに対してどのような対応を考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。
○福岡国務大臣 まず、ごめんなさい、先ほど、年金の支給開始を選べる選択肢で六十五歳から七十五歳と言いましたが、六十歳から七十五歳の間ということで訂正をさせていただきます。済みません。
その上で、今御指摘いただきました倒産件数、これは民間企業が公表したものでございまして、この調査に対しますコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
滞納事業所への対応につきましては、事業所の経営状況であったり将来の見通しなどを丁寧に伺いながら、猶予であったり分割納付の相談に応じること、また、納付計画どおりに納付がされない場合であっても、直ちに猶予を取り消し、財産を差し押さえるのではなく、やむを得ない理由があると認められる場合には猶予を取り消さないことができることなど、公正かつ適正な運用が行われるよう、今、年金機構に対して対応を求めているところでございます。
年金事務所において、国税関係法令等に基づき、事業所の状況に応じた対応が行われるよう、引き続き日本年金機構に対して指導を行ってまいりたいと思います。
○梅村委員 民間のデータなのでお答えは差し控えるということでありますけれども、いずれにしても、これはいろいろな理由があると思います。例えば、コロナの間は三年間保険料が猶予されていましたから、そういうものの反動が出てきたという考え方もありますし。でも、確実に言えることは、恐らく、中小零細企業の中で社会保険料が払えないということで経営が行き詰まるケースが、私は、今回の適用拡大で、ある程度やはり出てくる可能性があるんじゃないか、そういう問題意識を持っております。
現時点でもどれぐらいの滞納事業所があるかといいますと、令和五年で十四万二千百十九事業所、社会保険料の滞納がこれぐらいの事業所である。適用事業所に占める滞納事業所の割合は五・一%、二十件に一件の事業所は滞納が実際にあるんだということです。
実際、滞納が行われたら、例えばコールセンターであるとか、そこから、払ってください、あるいは督促状が届いたりとか、それで払っていただいたらそれはもちろんいいんでしょうけれども、中には、納付督励等を行って、それでも完納されない場合には、今度は納付指導。納付計画を一緒に作って、分割でこうやって払ってもらえませんかとか、そういうことを日本年金機構は現場ではされているんだと思いますけれども、実際に適用拡大になりますと、こういった案件、非常に増えてくると思います。
そうなってきますと、今の年金機構の事務所体制、これで本当にそれが対応できるのかどうか、人員強化の必要性はないのか、これについてお伺いをしたいと思います。
○巽政府参考人 お答えいたします。
今回の法改正によりまして、被用者保険の適用拡大によりまして被保険者数の増加が見込まれることから、年金事務所の事務の増加が見込まれるところでございます。
日本年金機構におきましては、平成二十年の七月に閣議決定されました、日本年金機構の当面の運営に関する基本計画におきまして定められた職員数の範囲で定員管理を行うということがございます。こうした中で、効率的、効果的な業務運営を実現することが重要でございます。
その効率化を行うために、手続の電子化への取組が考えられますが、具体的には、今後、適用拡大の対象としまして、小規模な事業所が多くなることが予想されます。こうしたことから、例えばスマホでの届出も可能にするような仕組みとか、あるいは日本年金機構が提供する電子申請の無料ソフトウェアの利便性の向上とか、こういうオンラインサービスの拡充などに取り組むことによりまして事業所の事務手続を電子化して、このことによって、それらの受付、審査がそのまま電子で来ますので、その処理を行う日本年金機構においても事務の処理の効率化が図られるというようなことでございます。
こうしたやはり電子化を進めていくということが大事だと思っております。
○梅村委員 届出の電子化は、それは一定あると思いますけれども、やはり実際にそこの会社の方と膝を突き合わせて、じゃ、どうやって保険料を払ってもらいますかと、こういう作業には一定人も要るかと思いますので、この辺は配慮をいただきたいと思います。
それでは、ちょっとまとめて参考人の方にお聞きしますけれども、じゃ、今度、保険料が納められなければ、今は延滞金、これを納めてもらうことになるかと思います。納期限の翌日から三月を経過する日の翌日以降の期間では八・七%、それから、納期限の翌日から三月を経過するまでの期間は二・四%、これは延滞金が課せられることになっています。
三つまとめて参考人にお聞きしますけれども、まず、毎年どのくらいの延滞金徴収が行われているのか。それから二番目は、延滞金を徴収した後のこのお金は実際の保険の給付に使われているのか、それとも別会計で管理されているのか。また三つ目は、そもそも、延滞金を毎年どれぐらい集めるべきという目標額はあるのか。この三つ、教えていただきたいと思います。
○巽政府参考人 お答えいたします。
まず一つ目の、直近三年の日本年金機構の延滞金収入実績につきましては、厚生年金保険料、健康保険料、子ども・子育て拠出金及び国民年金保険料に係る延滞金を合わせまして、令和五年度で約百四十八億円、令和四年度で約百二億円、令和三年度で八十一億円となっております。
また二つ目の、徴収された延滞金につきましては、従来から、保険料徴収の事務を経理している年金特別会計業務勘定の収入としておりまして、事務費の一部に充てられております。
三つ目の、延滞金の目標の件でございますけれども、厚生年金保険料を納期限までに納付できない場合につきましては、納期限の翌日から保険料完納あるいは財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じた割合を乗じて計算する額でございますので、こうしたことから、延滞金徴収に関する目標額はございません。
以上です。
○梅村委員 それは延滞金の目標額があったら逆に怖いと思うので、目標はなくていいと思うんですけれども、そうしますと、延滞金というのは、本来納めていただく方が納めてもらえない、それだったら公平性を考えて延滞金を払っていただきましょう、こういうモラルハザードを防ぐという面がやはりあると思います。
ただ、それ自体は給付に使われるのではなくて、事務費等に充てられているということでありますから、そうしますと、大臣、ちょっとこれは提案なんですけれども、今、八・七%掛かっているわけなんですね。恐らく、滞納した方は、日本年金機構の職員の方と、それだったらこうやって分割して、まず返していきましょうということを頑張る方もたくさんおられると思います。私、提案は、しっかり元本を返し終えたら、八・七%というのは相当な率ですよ、これはきちんと元本を返せば八・七%をまけますよと。そうすると、多くの事業所も、利率が八・七のままだったら大変な金額だけれども、元本を返せばまた経営改善もできるなというインセンティブに私はなるんじゃないかなと思うんです。
こういう考え方について、大臣、どういう御所見を持たれるのか、教えていただきたいと思います。
○福岡国務大臣 なるべく早く保険料を納めようというインセンティブを設ける、そういうお考えについては理解をした上で申し上げますと、社会保険料は、事業主から被保険者分も含めて保険料全体を納付いただいておりまして、年金給付等の保険給付を行うためにも、その保険料を確実に納付いただくことが重要だと考えています。
その上で、社会保険料に係る延滞金は、納付期限内の保険料納付を促すとともに、期限内に保険料を納付した事業主等との公平を図る機能を持っておりまして、その割合は国税の延滞金を参考に設定をしております。
御提案がありました完納後の延滞金の軽減につきましては、実質的には延滞金そのものの軽減と同義でありますことから、延滞金が目的としている納付期限内の保険料納付に与える影響であったり、期限内に納付した事業主との公平性の観点から、慎重な検討が必要だと考えております。
○梅村委員 これで終わりますけれども、私は、こういうインセンティブの制度はあってもいいんじゃないかなと思います。というのは、これは時効がありますから、ドロンされる場合もあるわけですよ。会社がドロンされて誰もいなくなったら、保険料はゼロ円なわけですね。ですから、こういう制度というのは大事だと思いますし、それから、国税との見合いもありましたけれども、私はやはり、社会保険料というものの徴収が、国税と何もかもルールが一緒でなければならないということではないと思いますので、こういったことを是非検討していただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、阿部圭史君。
○阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史でございます。
本日は、年金法の改正についてお伺いいたします。
まず、年金改革の肝となるはずだった国民年金の底上げを外したということで、ちまたでよく、あんこのないあんパンというふうに言われております。就職氷河期世代を見捨てたようなものだというふうな言説が飛び交っておりますけれども、では、あんこが戻ればあんパンとして食べられるのかといった場合には、実際は、あんこを除いて残された皮の分まで含めて難しいんじゃないか、駄目なんじゃないかというふうに思っておりまして、そもそも、あんパン、あんこがないという前に、パンとしての体を成していないんじゃないかというふうに思っております。
何かといいますと、昨年の財政検証、これは現実から乖離した予測を前提にしているということで、それを材料にしているわけですから、パンとして成り立っていないんじゃないのということでございまして、適切ではないというふうに思っております。その点で、そもそもの原材料からしてあんパンの体を成していないということでございますが、財政検証はあくまで一定の仮説を置いた上でのプロジェクションということとは分かりつつも、かなり数字がずれてしまっているのではないかというふうに思います。
例えば、資料一を御覧ください。外国人の入国超過数について厚労省から出していただいた資料ですけれども、例えば、右側のところ、高位推計で二十五万人、中位推計で十六・四万人、低位推計で六・九万人となっておりますけれども、聞いてみると、実際の二〇二四年の数字では三十四万人となっておりまして、高位推計からも約四割近くずれています。
また、例えば、政府は外国人の増加が年金財政に一定程度寄与するというふうに言っておりますけれども、外国人労働者の年金加入率で特に国保は低く、年金水準も日本人より低い傾向があるために、年金財政への貢献を日本人と同等に見積もるというのはそもそも誤りではないかというふうに思っております。
そういった観点で、今回は、外国人と年金の関係についてお伺いしたいと思います。
まず、参考人にお伺いいたしますけれども、現在、日本の国内にいる在留外国人のうち、四つ教えていただけますでしょうか。年金被保険者数、年金被保険者の率、外国人のうち、受給者数と受給率、それぞれ教えていただけますでしょうか。
○巽政府参考人 お答えいたします。
令和六年十一月一日時点では、外国人人口につきましては、総務省の人口推計によると約三百五十六万人となっております。外国人の公的年金被保険者数につきましては、厚生労働省において集計した結果によれば二百六十八万人でございまして、外国人人口に対する比率では約七五%となっております。
なお、年金制度は国籍を問わず対象となるものでございますので、日本年金機構において年金受給者を日本人、外国人別に分けて管理していないことから、外国人の年金受給者の数及び割合については把握しておりません。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
外国人の受給者、受給率は把握していないということですけれども、基本的に年金協定を結んでいるような国はいいとは思いますが、そうじゃない国もたくさんありますので、それはちょっとおかしいんじゃないのというふうに思います。
次に、令和六年の年金財政検証において、先ほど申し上げたように、外国人の入国超過数、前提を置かれておりますけれども、やはりここは、政府は年金財政に対してインパクトがあるというふうにおっしゃっておりますが、具体的にどのようなインパクトがあるというふうにお考えでしょうか。改めて大臣から見解を伺えれば幸いでございます。
○福岡国務大臣 我が国の公的年金制度におきましては、国籍にかかわらず、外国人も日本人と同様に年金制度に加入をしていただくことが原則となっております。このため、具体的にというふうにおっしゃいましたが、一般論として申し上げれば、我が国に居住する外国人が増加すれば、年金制度の支え手の増加につながりまして、年金財政や将来の給付水準にプラスの影響があると考えています。
○阿部(圭)委員 プラスの影響というふうに政府はお考えということでございます。
ここで、年金といっても国民年金について限定して考えてみますと、国民年金保険料の納付率について、日本人と外国人の違いについて、参考人から教えていただけますでしょうか。
○巽政府参考人 お答えいたします。
外国人の国民年金保険料の納付率につきましては、令和五年度の最終納付率は四三・四%となっております。
また、日本人のみの最終納付率は集計しておりませんが、日本人、外国人を含めた全体の最終納付率は八三・一%となっております。
○阿部(圭)委員 外国人だけで四三%、外国人を含む日本国全体で八三%ということで、かなりの乖離があることが分かると思います。外国人が非常に低いということなので、日本人だけということで考えると、恐らく納付率はこの八三%より相当程度高いものだというふうに推測することが可能だと思います。
このデータからも、外国人が、来ている方を考えますと、国民年金保険料を外国人が納付していないということが如実に分かるわけでございます。日本人、外国人を問わず、年金を払っていない方、未払いの方に対してはきちんと徴収をして、払っていただかなきゃいけないというふうに思っております。
大臣にお伺いしますが、日本人と外国人とを問わず、年金保険料未払い者に対しては具体的にどのような処置を行っているんでしょうか。
○福岡国務大臣 日本人であるか外国人であるかを問わず、国民年金保険料を納めていただくことは、年金の信頼性確保はもちろん、御本人の生活保障の観点からも重要だと考えております。
国民年金に加入される際には、納付の義務であったり年金制度の周知を行っておりまして、その上で、保険料が未納の場合には、早期に未納を解消していただくよう、文書や電話による納付の勧奨、また、それにもかかわらず、なお納付されない場合には、一定の所得のある方に対し、差押え等の滞納処分を実施しております。
引き続き、日本年金機構と連携し、外国人を含めた収納対策をしっかり進めてまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 それをしっかりやっていただいて、泣き寝入りしないようにというふうに思っておりますが、これは、最終的に実施される、先ほど大臣から差押えとありましたけれども、最終的な差押え等の強制徴収措置に関しては、この実績、日本人と外国人、どのような違いがありますでしょうか。政府参考人で結構でございますが、いかがでしょうか。
○巽政府参考人 お答えいたします。
国民年金保険料を滞納した者に対する令和五年度の差押件数は三万七百八十九件でございます。なお、国民年金制度におきまして、滞納者の国籍によって強制徴収の取扱いが変わるものではございませんで、日本人と外国人を区別した集計はございません。
○阿部(圭)委員 実際、徴収できているかどうかというのは、日本人、外国人、違いがよく分からないということですけれども、明らかに外国人の方が低い中で、日本人、外国人、区分けして集計していませんというのは、明らかに行政としてはやっていることが足りないんじゃないのというふうに思いますので、そこはしっかりやっていただきたいなと思います。
先ほどから述べているとおり、外国人の年金の納付率は低いわけですが、冒頭の議論の中で、外国人の入国超過数が増えれば年金財政にいい影響がある、ポジティブインパクトがあるという話がございました。しかし、国民年金に限った話でいえば、外国人の入国超過数が増えても、そもそも国民年金の保険料を払っておりませんので、保険財政上いいとも悪いとも言えないというふうに言えるのではないかと思います。要するに、払っていなければ給付もないということですので、財政上どうなんだ、いいとも悪いとも言えないんじゃないのというふうに思っておりますけれども、大臣、お考えはいかがでしょうか。
○福岡国務大臣 我が国の公的年制度においては、国籍にかかわらず、外国人も日本人と同様に年金制度に加入することが原則となっておりまして、就業状況等に応じて、厚生年金被保険者や第一号被保険者として加入をいただいております。
このため、第一号被保険者だけではなく、一定の数の方は厚生年金にも加入されると見込まれますため、保険料の増加を通じて年金財政にプラスの影響はあると考えています。
その上で、日本人であるか外国人であるかにかかわらず、国民年金保険料の納付率の低下は将来の低年金につながるおそれもありますことから、納付率の向上に向けた取組を進めていくことは重要だと考えております。
○阿部(圭)委員 今、厚生年金と国民年金を区分けしてお話をいただきまして、厚生年金だけ考えればプラスということですけれども、やはり国民年金については非常に低いということですので、将来の状況が危ぶまれるということで、お話しいただいたとおりだと思います。
そういったことを考えると、年金を超えて公的扶助までスコープに入れたときには、やはり、国民年金だけの話でいえば、納めていなければ給付がないだけで、それで問題ないと思いますけれども、公的扶助、生活保護まで考えた場合には話が異なるというふうに思っております。
ここでまた大臣にお伺いしますけれども、国民年金保険料を支払っていない在留外国人が結果的に最後、貧困に陥って生活保護になる場合には、生活保護を受給する外国人が増えるというふうなサイクルになってしまいます。生活保護費は日本人の税金から出ておりますので、外国人が生活保護をこういった形で受給するということはしっかりと防止せねばならないと私は思っております。
国民年金保険料の強制徴収を含め、それ以外も考えて、外国人の生活保護受給を防止するための厚労省の施策、しっかりやっていただいているとは思いますが、どのようなものがございますでしょうか。
○福岡国務大臣 外国人の収納対策としては、まず、年金制度を理解してもらうための取組として、令和六年三月から、従前から活用している十五か国語の多言語パンフレットに加えまして、分かりやすい日本語を用いた年金制度のQアンドAを日本年金機構のホームページの外国人向け特設ページに掲載を行ったり、また令和六年十一月からは、主要な空港であったり地方入管局、市区町村のそれぞれの手続窓口に十五か国語の多言語パンフレットの設置などを行っております。また、令和六年五月からは、外国人の未納者に対しては、英語の封筒、催告文書を送付し、納付勧奨を行っております。
こうした国民年金における対策のほかにも、生活が困窮するリスクを減らすことが重要だと考えておりまして、被用者保険の適用拡大のほか、生活困窮者自立支援制度など、社会保障全体での総合的な対応に取り組んでまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 十五か国語の多言語パンフレット、QアンドAを作りました、入管などで周知していますという、パンフレットとかポスターとか、厚労省がよくやる手ということでして、それ以外に政策ツールを持っていないのかと私も思いますけれども、要するに、それをいろいろやっていても納付率は低いわけですので、はっきり言ってワークしていないということなんだと思います。なので、伝統的なそういう手法に限らず、より新しい手法をきちんと考えて徴収していただきたいと思います。
生活保護になってもらったら困るということでございますけれども、政府参考人にお伺いしますが、在留外国人のうち、外国人の生活保護の受給者数そして受給率、教えていただけますでしょうか。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
生活保護の決定、実施は世帯単位で行ってございまして、生活保護受給世帯の中には日本人と外国人で構成される世帯もございます。こうした中で、外国人のみを区分した受給者数は把握をしておりませんが、世帯主が日本国籍を有しない生活保護受給世帯に属する被保護人員数は、令和五年度におきまして六万五千六百八十三人となっております。したがいまして、この人数には外国人の世帯主の配偶者や子としての日本人も含まれるものでございます。
お尋ねの受給率につきましても、先ほどお答え申し上げましたように、外国人のみを区分した受給者数を把握しておりませんので、算出することは難しゅうございますけれども、その上で、先ほどの、令和五年度におけます世帯主が日本国籍を有しない生活保護受給世帯に属する被保護人員数六万五千六百八十三人を分子といたしまして、出入国在留管理庁の在留外国人統計による、令和五年十二月末において日本国内に在留している全ての外国人の方、三百四十一万九百九十二人ということでございまして、これを分母として機械的に計算をいたしますと、約一・九%となるものでございます。
○阿部(圭)委員 生活保護という制度自体は生活保護法に基づいておりますけれども、全て国民に対してというような制度になっております。日本国民に対してということなので、そもそも日本国民でない方々に対して生活保護を受給させているということについて、法の一番コアなところに関わる以外のところに対して提供しているにもかかわらず、受給者数、受給率をそもそも政府として把握していないというのは非常におかしな話なのではないかというふうに思います。これは国民が納得できる話ではないですよね。ですので、ここをしっかり一回調べていただきたいと思います。
るる数字を言っていただきましたけれども、基本的には世帯ですので、日本人を含んでいる場合もあったりですとか、そういったことですので、今きちんとした数字は出ていないということだと思います。
生活保護については、基本的には日本国民が対象になっているものですけれども、にもかかわらず、なぜそもそも外国人が生活保護を受給できているんでしょうか。
○福岡国務大臣 御承知のとおり、生活保護法は、憲法二十五条の理念に基づいて、日本国民を対象と定めておりますが、生活に困窮する外国人については、人道上の観点から、日本人と同様に国内で制限なく活動できる永住者、定住者等の一定の在留資格を有する場合について、行政措置として、生活保護の取扱いに準じた保護を行うこととしているものでございます。
○阿部(圭)委員 これは行政措置というお話がございましたが、昭和二十九年の厚生省社会局長通知に基づいているということだと思います。日本国民に対してという制度の根幹を、通知一本で、何年も、昭和二十九年からずっとやっているというのは非常におかしな話だろうと私は思っております。
国民に限定しているということですが、例えば、歴史的な経緯がある特別永住者とか、そういった方々は一定理解はもちろんできるわけですけれども、それ以外の方々に対しては、はっきり言って緩過ぎるということではないかと思います。
国民に限定された施策にもかかわらず、それを逸脱して国民でない者に出しているということを、そもそもその数字を把握していないこと自体がおかしいということだと思いますので、是非とも、国民の理解を得るべく、そういった数字、しっかり把握していただきたいと思います。
そこで、お伺いしますけれども、日本国がこういった緩い制度になっているということですが、G7諸国においては、外国人に対する生活保護支給の在り方はどのようになっているんでしょうか。参考人にお伺いします。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
諸外国の状況につきましては、公的扶助そのものの仕組みが国によって異なっておりますほか、ほかの関連する制度がどのように整備されているかということにも関係をいたしますために、単純化して申し上げることが難しい点、御理解いただきたいと思います。
その上で、各国の公的扶助制度におきまして、外国人への給付が行われる主な場合、要件につきまして、これは令和五年度に実施しました諸外国の低所得者施策に関する委託研究、こちらにより把握しているところで申し上げますと、フランスでは、一定の条件の下、欧州経済領域加盟国国民や就労可能なビザを五年以上所持している者が対象。ドイツにおきましては、永住する見込みとしての滞在許可証又は仮滞在許可証を有する者や移動の自由を有するEU加盟国の国民が対象。また、イギリスにおきましては、イギリスに永住する許可を得ている者や難民等、一定の条件を満たしている者が対象ということで、それぞれの国における全国的な公的扶助制度から給付を受けることができるものというふうに承知してございます。
○阿部(圭)委員 ありがとうございます。
G7のうち三か国について、英仏独について言っていただきましたけれども、役所は調査訓令などしっかりできると思いますから、きちんとこういったことを改善していただくためにも、各国の事例を調べていただきたいと思います。
生活保護について、外国人も今は受給をしているということですけれども、日本人と外国人の受給開始年齢というのは違いがあるんでしょうか。参考人にお伺いします。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
生活保護の決定や実施は世帯単位で行っておりますことから、個々の被保護者につきまして、受給を開始した年齢については把握をしてございません。
他方、世帯主の年齢についてということで申し上げますと、令和五年度に保護を開始した世帯で見ますと、七十歳以上の年齢になってから受給を開始される世帯が最も多くなってございますが、外国籍の世帯主のみに関する状況については把握をしていないところでございます。
○阿部(圭)委員 これもデータはございませんということで、はっきり言って、外国人に関しては何も把握していないんじゃないのというふうなことを言われてもしようがないと思います。きちんと、日本人に対する制度だということが原則なわけですから、そこは明らかに今までの行政施策として甘かったと言わざるを得ないと思いますので、しっかりそういったところもまた調査をしていただきたいというふうに思っております。
生活保護を受給されている日本人、外国人はいらっしゃいますけれども、やはりこれは最低限度の生活を保つということで、きちんと、憲法上も勤労の義務などございますので、働ける方にはしっかり働いていただいて、税金を納めていただくというのは非常に重要なことだと思います。
もちろん、病気等で大変な方にはそういったセーフティーネットがあるわけですけれども、やはり、生活保護に一定程度依拠しながらも、そこから脱出、離脱していただくということは大事なことだと思っておりまして、生活保護を受給された後に、働きによる収入の増加、取得があって、外国人が生活保護を離脱した割合というのはどのぐらいあるんでしょうか。若しくは、日本人についてはいかがでしょうか、参考人。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
ただいま御指摘ございました、働きによる収入の増加、取得による保護脱却率でございますけれども、こちらにつきましても、日本人、外国人ということで区別をして把握していないところでございます。
○阿部(圭)委員 基本的には、昨日厚労省から聞いたときも非常に低い数字が述べられておりました、数%ということをおっしゃっておりましたし、今具体的な数字をおっしゃっていただけませんでしたけれども、基本的に、一回生活保護になってしまうとなかなか抜け出しにくいというような、負のスパイラルはあると思います。ですので、しっかりとそういった施策はやっていかなきゃいけないというふうに思っております。
年金と生活保護という関係で更にお伺いしますけれども、地元の声を聞いていると、国民年金受給額が生活保護受給額より低い、理不尽だというお声をかなりいただきます。
資料二を御覧ください。公的年金、特に基礎年金と生活保護の考え方の違いや、最低生活水準と比較した場合の支給額の状況について表したものでございます。左側が年金、右側が生活保護ということで、基本的な思想が書いてあります。
次をおめくりいただいて、資料三を御覧いただきますと、基礎年金が大体六万八千円、生活保護の生活扶助基準額は六万八千四百五十円以上ということで、やはり逆転しているね、この金額、違いますよねというのが分かると思います。
そこで、お伺いいたします、大臣。
国民年金受給額が生活保護受給額より低い場合があると思いますけれども、なぜこれが発生しているんでしょうか。
○福岡国務大臣 生活保護と年金の関係につきましては、生活保護は、年金を含めた収入や資産、働く能力など、あらゆるものを活用してもなお生活に困窮する方を対象に、全額公費で最低限の生活を保障する最後のセーフティーであります一方、老齢基礎年金は、現役時代に構築した生活基盤や貯蓄等と合わせ、老後に一定水準の生活を可能にするという考え方で設計をされているものでございます。また、収入や資産にかかわらず、保険料の納付実績に応じた給付が権利として保障されています。
それぞれ役割や仕組みが全く異なっておりまして、給付水準の単純な比較は適切でないということは是非御理解を賜りたいと思います。
○阿部(圭)委員 制度の趣旨がそもそも違いますということですけれども、これは非常に役人的な答弁だと思っておりまして、生活者の目線からすると全く異なると思います。
特に生活保護は、医療扶助という名前で医療費が無料になります。生活保護費のうち、その金額の半分が医療扶助となっておりますので、かなりの金額です。要するに、国民年金受給者の場合は自身で医療費を払わねばならないという状況ですけれども、生活保護になってしまえば医療扶助というプレミアムがついてくるということなので、このように考える方々が結構いらっしゃいます。
ということで、資料四を御覧いただきますと、これは厚労省に出していただいたデータですが、生活扶助の月平均額は約七万円、医療扶助の月平均額は約七万二千円ということで、合わせて十四万円です。先ほど申し上げた基礎年金が六万八千円ということを考えると、大体倍以上、生活保護であればもらえるというようなことになっております。なので、実際の生活者の視点からすれば、このように感じるわけですね。
私、かつて役人だったときに、自民党の先生にレクに行ったときがございまして、その際に、慢性疾患の話をされたときに、これとこれは制度が違うんです、なので受給額が違うんです、助成金が違うんですと言ったときに、いや、違うだろう、生活者の視点から見たときには同じ、原因が違うけれども、障害の程度、日常生活に困っている程度は一緒じゃないかということを言われたことがございました。これはまさに政治家の視点、国民の目線だと思っておりまして、制度設計するときに是非そういった視点でやっていただきたいと思います。
最後、大臣にお伺いしますけれども、生活保護受給額が国民年金受給額より高く、かつ生活保護受給額は、医療扶助も受けられるということで、これは外国人も同様です。大きな制度矛盾を抱えていると思いますが、国民はそのように考えておりますけれども、政府は何か対策を考えていらっしゃるんでしょうか。
○福岡国務大臣 委員が御指摘になった生活者の視点であったり、また、ほかの方々から見た納得感、こういったことというのは大変重要なことだと思います。
その上で、大変恐縮ですが、この生活保護制度は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力等を、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件とし、また、他方、他施策の活用は生活保護法による保護に優先するものでございまして、いわゆる最後のセーフティーネットとしての役割を担っているものでございます。
したがって、外国人も同様でありますが、決して安易に保護が行われるものではなく、保護申請時に資産や収入の状況について申告を求め、また、必要な際には資産調査等を行うほか、例えば年金を受給できる場合では、年金の支給を受けていただき、その分、保護費が減額される仕組みとなっております。
生活が困窮するリスクを減らす取組は重要であると考えておりまして、将来の年金の充実につながります被用者保険の適用拡大のほか、低所得の年金受給者に対する年金生活者支援給付金の支給、生活困窮者の就労支援や家計改善などきめ細かい相談支援を行う生活困窮者自立支援制度など、社会保障全体での総合的な対応に取り組んでまいりたいと思います。
○阿部(圭)委員 しっかり生活者目線でも取り組んでいただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、年金法改正案ということで、大きく三つの柱で質問をさせていただきます。一つ目は基礎年金の給付水準の引上げの大枠の考え方について、そして被用者保険の適用拡大について、そして最後、三つ目が第三号被保険者制度について伺っていきます。
通告した質問数が多少多めになっておりますので、是非簡潔な御答弁への御協力をよろしくお願いしたいと思います。
この委員会は、年金法改正案の審議に入ってからは、いわゆるあんパンのあんこの部分の議論というのが大変多く行われておりますけれども、今日、私はその中身については余り深くは触れませんが、最初、一問だけ。
現行の年金制度は、マクロ経済スライドによる給付調整によって、賃金や物価の伸びに基礎年金支給額の伸びが追いついていないという状況が現状ございます。
年金制度の持続可能性を確保することはもちろん重要なんですが、受給者が生活に困る水準では本末転倒だということで、今回、年金法改正案の当初案には、当初案というか政府の提案した内容には、マクロ経済スライドの早期終了によってその後の給付額を底上げしよう、そういうような中身も含まれておりました。
ただ、これが今回の提出法案の中には含まれていないということで、では、制度の持続可能性の確保と同時に、基礎年金の給付水準の改善を図るための、現状どのような考え方を持ってこの法案審議を進めているのか、その大まかな考え方をいま一度整理させてください。
○福岡国務大臣 年金の給付水準の確保は大変重要な課題だと考えております。今日の質疑でもいろいろ御批判をいただいていますが、まずは、成長型経済を目指して、給付水準が将来も維持できるように努めていくということが前提でございます。
その上で、今回の法案につきましても、被用者保険の適用拡大のほか、在職老齢年金制度の見直し、iDeCoの加入可能年齢の上限を七十歳未満に引き上げる措置などを盛り込むこととしておりますほか、低所得の年金受給者に対しましては、年金生活者支援給付金など、社会保障全体での支援も行っているところでございます。
○浅野委員 いろいろ対策も検討されているということなんですが、肝腎の基礎年金部分をどうやって持続可能かつ給付水準を改善させていくかという部分については、やはり多くの国民が期待しているところだと思うんですね。
そこで、二問目なんですけれども、給付水準の底上げに向けては、まず、いろいろな数理的なものをいじって水準を上げるということも大事だと思うんですが、もう一つ、やはり国民年金の拠出期間を延ばして、できるだけ被保険者の方々に、年金保険料を広く負担をし合いながら必要な人たちに給付するという、期間の延長という方策もこれまで議論されてきました。
確かに、年金部会でも効果的な方策としてその実施を求める意見がこれまで複数出されてきたというふうに承知をしておりますが、今回の法改正内容には盛り込まれておりません。その理由について伺います。
○間政府参考人 お答えいたします。
基礎年金の拠出期間を延長することにつきましては、令和六年財政検証及びオプション試算の結果を受けまして、昨年七月三日の社会保障審議会年金部会におきまして、このような発言を当時の年金局長がいたしております。被用者保険の更なる適用拡大等を通じた給付水準の改善が可能であることを踏まえると、今回の制度改正で国民に年金保険料の追加的な負担を求めてまで基礎年金の給付水準を改善する必要性が乏しいと考え、今回の年金制度改正における対応を見送ることを判断したことを当時の年金局長が申し上げたと承知しております。
その上で、御指摘の基礎年金の拠出期間を延長することにつきましては、今後も高齢者の就労の進展や健康寿命の延伸といった社会状況の変化が見込まれる中で、基礎年金の給付水準を確保する有効な手段の一つというふうに思います。前回改正の附帯決議におきましても、今後検討することが求められており、また、昨年末に取りまとめられた年金部会の議論の整理におきましても、引き続き議論を行うべきとされたところでございます。
こうしたことを踏まえて、今回の法案には拠出期間の延長に関する検討規定を設けさせていただいている、そういう御提案をさせていただいているということでございます。
○浅野委員 ありがとうございます。経過は分かりました。
では、ちょっと更問いで恐縮ですが、確認をしたいのは、前回の法改正でも検討するように盛り込まれていた、そして昨年の取りまとめ内容でも有効な手段であるということが整理をされている、そして今回の法改正の内容には検討規定が新たに追記をされたということであります。そうなれば、やはり次の改正のタイミング、あるいは近しい年金部会の審議の中では、拠出期間の延長について何らかの結論を得るという方針でよかったでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げたように、今回の法案に検討規定として自ら宿題を課すという形にしてございます。
その上で、今国会、この法案における御審議の経過なども踏まえまして、しっかりと今後検討していきたいというふうに思っています。
○浅野委員 余りはっきりと答弁がされていなかったんですけれども、そこは期待を持って我々は見ておりますので、是非、引き続き、当委員会でも確認をさせていただきたいと思います。
続いて、大きな二つ目、被用者保険の適用拡大について質問をさせていただきます。
社会保障審議会年金部会がまとめた議論の整理、先ほども答弁で触れられておりましたけれども、この議論の整理では、企業規模要件については、そもそも当分の間の経過措置として二〇一二年改正時に設けられた要件でありました、さらには、労働者の勤め先や働き方、企業の雇い方に中立的な制度を構築する観点から、撤廃の方向で一致していたというふうに我々は承知をしております。
しかし、本法案では、企業規模に応じて四段階で要件撤廃を順次進めていく内容となっています。しかも、十年後の施行も規定されるなど、年金部会が被用者保険の適用拡大を推し進めようとしてきた温度感とはかなり離れている内容ではないかなというふうに感じております。どのような理由から、この施行時期を四段階、そして最長十年後としたのか、その理由について確認をしたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、被用者保険の適用拡大に当たっては、対象となる企業に新たな社会保険料を御負担いただくことになるため、従来から段階的に拡大を進めてまいりました。
今回の改正におきましては、企業規模要件の撤廃という目標を目指して議論してきたわけですが、これまで以上に小規模の企業や個人事業所を対象とすることから、企業経営に与える影響や事務負担の増加等も踏まえつつ、年金部会の議論におきましても、また関係団体からも、段階的な適用拡大などについての配慮を行うことが求められておりました。
このため、企業規模要件の撤廃という大きな目標に向けて現実的に進められるよう、企業規模に応じてきめ細かに適用を進めることとし、最長十年の準備期間を設けることとしたものでございます。
○浅野委員 これまでも、本当に十年もかかるのかという指摘はほかの委員の皆様からもありました。
さらに、もう一つ聞きたいのは、二〇二三年十二月に閣議決定された、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋、改革工程の中では、勤労者皆保険という言葉まで使って、政府は勤め先や働き方などに中立的な社会保障制度を目指していた、そういうふうに思うんですね。
被用者保険への加入時期が企業規模によって変わってしまうという今回の法案の考え方、これは、政府が元々進めようとしていた全世代型社会保障の早期構築や勤労者皆保険という考え方からすると一見矛盾するのではないかとも思うんですが、その辺りとの整合性について答弁を求めたいと思います。
○福岡国務大臣 先ほど局長からも説明しましたとおり、これまでも段階的にずっと進めてまいりました。今回の適用拡大に当たりましても、対象となる企業には新たに社会保険料を御負担いただくことになりますが、今まで以上に小規模の企業を対象といたしますことから、企業経営に与える影響であったり事務負担の増加なども踏まえながら段階的に施行することとし、十人以下の小規模な企業につきましては令和十七年に適用することとしたものでございます。
被用者保険の適用拡大を着実に進めることで、希望に応じた働き方を選択できる制度の実現に努めてまいりたいと思います。
○浅野委員 勤労者皆保険を目指している中でも、小さな事業所、特に社長自らがそういった事務作業をやっているようなところにも配慮をして段階的にということはよく分かります。
ただ、やはり考え方として、段階的に進めるということは、経営者目線で考えたらいいのかもしれませんが、保険に入る従業員の立場から考えたときに、隣のちょっと大きな工場では従業員が年金保険に入れるようになったのに、うちの会社はまだなんだ、俺の将来は大丈夫か、そんな不安を持つ従業員の皆さんもおのずと出てくると思います。
その辺りは、ちょっとどういうふうに検討していくのか、参考人から。じゃ、局長から。
○間政府参考人 お答えいたします。
委員から勤労者皆保険という話もありましたけれども、この大きな道筋、ベクトルの方向は変わらないんだろうというふうに思っています。
その中で、昨今、やはり人材を集めようと思うと、むしろ社会保険適用であるということが売りになるような形になっておりまして、ここ十年で随分大きく様相は変わったと思います。その意味で、施行スケジュールはこういうふうにしておりますけれども、事業所単位で任意で適用していくという道も、経営者の御判断もあり得る。そういった場合に、後ほど御質疑があるかもしれませんけれども、今回の新しい保険料調整制度、保険料負担を軽減するような制度も含めて、任意の適用というものを後押しするような形で、多くの方ができるだけ早く社会保険に加入できるような仕組みというのは、体制というのは整えていきたい、このように考えております。
○浅野委員 ありがとうございます。ちょっと二つ次の質問にもつながる質問なので、また後ほど触れたいと思います。
少し戻ると、国民皆保険を目指しましょう、そして、段階的に進めていきましょう、現場に過度の負担をかけないように進めていきましょう、その考え方は分かりました。さらには、経営者の意思次第では先に適用することも阻まないということで、ある種の救済措置といいますか、意思がある企業はちゃんと早期に導入できる道筋も残してあるということなんです。
ちょっとそのためにも一つだけ確認したいのは、通告、括弧三番、二の三問目になりますけれども、今回、常時五人以上を使用する個人事業所については、既存事業所の企業規模要件の撤廃時期は実質的に無期限、指定されていない状況になっていますが、一方で、新規の、新設の事業所については被用者保険の対象となるということであります。これまでもこの委員会で指摘されてきましたが、やはり、同じ企業規模でも被用者保険の適用に相違が生じる可能性がここでも生まれてき得ると思うんですね。
そもそも、既存事業所について、経過措置として一定期間猶予するのは理解できるとしても、期限を設けない、ここまでサービスする必要があるのかというところについては、やはり多くの指摘があります。
新設か既存かという点をもって被用者保険に加入する機会が得られない国民が出てくることは問題ではないかと思うんですが、その辺りの見解を伺います。
○福岡国務大臣 御指摘は受け止めさせていただいた上で、今回の法案では、五人以上の従業員を使用する個人事業所については、非適用業種の解消に伴い、短時間労働者のみならず、いわゆる正社員も被用者保険の適用対象となります。
こうした事業所のうち、施行日以降に開業する新規事業所につきましては、法律の施行を前提とした対応が可能であると考えられますことから、開業後に五人以上の従業員を使用することとなった時点で被用者保険に加入していただくこととしております。
一方、施行日時点で既に開業している個人事業所につきましては、新規事業所と比較して、開業時点では予期していなかった適用拡大に伴う事務負担であったり経営への影響が生じますため、当分の間適用対象とはせず、まずは、新規事業所における施行状況、これも踏まえまして、今後の対応を検討することといたしたものです。
被用者保険の適用対象となる企業を段階的に拡大しながら、被用者保険のメリットを活用したい企業については、先ほども申しましたように、任意で加入できる制度の利用を後押ししていきたいと考えています。
○浅野委員 いろいろこれまでの議論を、全体を聞いておりますと、施行日時点で既に既設の事業所については、いきなりは難しいだろうというその御配慮は、やはり経営者からするとありがたいのかもしれませんが、そうはいっても、これは施行予定が二〇二九年の十月で、今から丸々四年後なわけですね。だから、その準備期間というのが果たして不足しているのかというところについては、我々は指摘せざるを得ないと思います。
その上でなんですが、先ほど局長もお触れになられていた、保険料調整という手段を別のメニューとして準備をしているということも、ある種インセンティブのような形で受け止められるのかなとは思っているんですが、次に、この質問をしたいと思います。
就業調整などを減らすための保険料調整として、事業主が労使折半を超えて一旦負担した保険料相当額を制度的に支援するよという制度を今準備をしているということなんですが、まず、どのような仕組みでこれをやろうとしているのかについて、できるだけ分かりやすく御説明をいただきたいと思います。
○間政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘のありました保険料調整制度は、適用拡大の対象となる比較的小規模な企業で働く短時間労働者を対象に、社会保険料による手取りの収入の減少を緩和し、就業調整を減らす観点から、特例的、時限的に実施するものであります。これが同時に、社会保険、厚生年金全体の持続可能性に貢献するというふうに考えています。
仕組みでございますけれども、これは、中小企業の団体などからも、とにかく簡単にしてくれというふうに、余り事業主が決め事をしないようにしてくれ、こういう御要請もございまして、国が設定した一定の負担割合軽減の、これを国の方で決めさせていただいて、そして、事業主が労使折半よりもその割合に従って多く一旦保険料を負担した場合に、その労使折半を超えて負担した保険料相当額を最速翌月に還付をするといった形で、制度的に支援する仕組みでございます。
これは、結果的に労働者の保険料負担の軽減につながりますとともに、既存の、保険料の還付という仕組みは今でも実はございまして、これを利用することによって、事業主にとって、制度利用開始時に届出を一度出すだけでこれが利用可能な、簡便な制度としたところでございます。
その上で、対象期間を三年と限定した上で、その期間で最終的に労使折半に戻るように負担割合を国でセットするとともに、短時間労働者を対象とし、標準報酬月額が、就業調整を行う可能性のある範囲として、十二・六万円以下、いわゆる百六万円から年額換算百五十一万円の範囲で軽減させていただこう、このように考えているところでございます。(発言する者あり)
○浅野委員 今、財源はという指摘もありましたけれども、これは、還付だと、保険料を受け取ったものを、保険料をそのままお返しするということになるんでしょうか。そこを確認させてください。
○間政府参考人 これは、初月だけフルで本来額を一度お払いいただくと、翌月からは、そこの、軽減分について翌月の分から相殺する形になるので、その意味では、二か月目以降は、企業の分は五〇%分だけ、労働者の分は軽減した分だけお支払いをいただく、こういう仕組みでございます。
今、財源という話もありましたけれども、これについては、厚生年金あるいは健康保険の保険料の財源の範囲内で行うということを考えております。
○浅野委員 保険料を財源とするということなんですが、そうなると、この支援を受ける被保険者と支援を受けない企業に勤めている被保険者で保険料の、一方は還付を受ける、片方は満額払うということで、やはり公平性に課題が出てくるのではないかというふうに思います。これはちょっと指摘の一つ目です。
元々通告していた質問はそれとはちょっと別な観点で質問をしようとしていたので、そこをもう一回整理をさせていただくと、ちょっと更問いで恐縮なんですが、これは三年間の時限措置ですよね。三年間ということは、令和八年の十月から令和十一年の九月までの時限措置ということになるんでしょうか。そこを、正確な期間を教えてください。
○間政府参考人 お答え申し上げます。
この制度自体は、委員御指摘になられたように、企業規模要件の撤廃に向けたスケジュールが始まる令和九年十月よりも早い、令和八年十月からでございます。それが、任意で適用したいところに、向けた企業にも使えるようにとしたものでございますが、これは、個々の事業所ごとに、その事業所が適用になって、任意であれ制度的なものであれなって、そこから三年間ということですので、どの事業所も共通で三年間は御利用いただける、こういうことでございます。
○浅野委員 ありがとうございます。
そこの部分、やはりなかなか、つまりは、使い始めたところから三年間ということですね。確認をさせていただきました。
あとは、先ほどの、保険料を財源にするというところ、ここはちょっと時間の関係で今日はこれ以上深掘りはしないんですけれども、やはり公平性の観点、次週も委員会審議がありますので、そこで少し掘り下げさせていただきたいと思います。
続いての質問ですけれども、被用者保険の適用拡大は、現役世代の生涯所得を引き上げる最も合理的で有効かつ持続可能な政策であり、我が国経済の成長戦略にも貢献するというふうに思います。これまでも、困窮者救済や格差是正のために存在するはずの社会保険制度そのものが、適用除外規定があったために、非正規雇用の拡大や働き控えの原因になってまいりました。
そういった課題があることを考えれば、今回の適用拡大はやはりのんびりし過ぎだという指摘もあるんです。先ほどの十年後という話に戻ってしまうんですけれども、これは是非、二〇三〇年、次期改正までの間で全体を拡大する、拡大を完了する、そういったことをこちらとしては望みたいわけですが、そこについては、政府の今の見解としてはいかがでしょうか。
○福岡国務大臣 適用拡大を進めていくという方向性については共有をさせていただいております。
先ほどの答弁と重なって恐縮ですが、対象となる企業には新たに社会保険料を御負担いただくことになります。今後、拡大していくに当たってどんどん小規模の企業を対象としていくということになっていきますから、企業経営に与える影響であったり事務負担の増加等も踏まえながら、段階的に施行することが望ましいのではないかというふうに考えているところでございます。
○浅野委員 それでは、大きな三つ目の柱、第三号被保険者制度について質問のテーマを移していきたいと思います。
ここからは大臣を中心に伺わせていただきます。
第三号被保険者制度が導入された一九八六年当時は、専業主婦世帯が五六・九%と過半数を占めておりましたが、二〇二三年時点での専業主婦世帯は二八・八%、これに対して同時期の共働き世帯は七一・二%を占め、専業主婦世帯の二・五倍となっているそうであります。
よく言われることですが、女性の就労が進んだり、様々な社会環境、国民意識の変化によって働き方やライフスタイルが多様化する中で、配偶者の働き方によって第三号被保険者に該当するかどうかが決まる今の制度は、中立的な社会保険制度と言えないのではないかという指摘が増えてきております。また、この第三号被保険者制度は、制度上の男女差はないものの、現状は第三号被保険者の大半を女性が占めていることから、女性のキャリア形成を阻害し、男女間賃金格差を生む原因の一つとも指摘されています。
年金部会においても、第三号被保険者制度の将来的な見直しに言及する委員が多かったと承知をしておりますけれども、このような中で、この第三号被保険者制度を、今回、この年金法改正案の中で触っていないわけです。維持するという選択をしましたけれども、維持することの意義はどこにあるんでしょうか。
○福岡国務大臣 三号につきましての御指摘がありましたが、昭和六十年当時と大分時代背景とかライフスタイルが変わっているというのは、御指摘のとおりでございます。
その上で、現状においても、この三号の中には、病気であったり育児、介護などの理由で働けない方など、様々な方がこの中に含まれているというふうに承知をしております。共働き世帯の増加や家族形態の多様化もありまして、社会保障審議会年金部会においては、第三号被保険者制度の将来的な見直しに言及する意見は多かったというのは事実でございますが、様々な属性の方が混在する中で、将来的な見直しの方向性については意見がまとまらなかったことから、引き続き丁寧な検討が必要と考えておりまして、今回のこの年金制度改正に関する国会での御議論なども踏まえながら、必要な検討を行ってまいりたいと思います。
○浅野委員 ちょっと通告を一つ飛ばさせていただきます。括弧三になります。
今大臣から、方向性がまとまらなかったという答弁がありましたけれども、第三号被保険者の中には、確かに、本人の御病気であったり育児、介護などで働きづらい環境、働きたくても働けない環境にいらっしゃる方が一定数いるのは事実だと思います。仕事と治療の両立支援や子供、子育て支援の充実、在宅介護サービスの充実といった社会保障による支援策の充実を通じて、働きたいという希望を妨げる要因を取り除いていくことは必要だと思います。
第三号被保険者制度についても、働き方や男女の差などに中立的で、ライフスタイルや家族構成などの多様化を踏まえた持続可能な年金制度にするという目的を踏まえて、第三号被保険者制度の適用要件の見直し、これは是非進めていただきたいと思うんですが、まとまらなかったとおっしゃいましたけれども、私が認識している中では、例えば、今申し上げたような、御自身の御病気であったり御自身の家庭内の事情であったり、何らかの、働く意思はあっても働けない、そういう境遇に置かれている方については、やはりこの第三号被保険者制度の必要性というのを肯定する方もいらっしゃるんです。
例えば、この第三号被保険者制度の要件を見直していく、対象範囲を見直していく、そういった議論もこれまであったと思うんですが、どのような方向性で今検討を進めていこうとしているのか、また、その議論の進め方、今後の進め方についてどのように考えているのか、大臣のお考えを改めて伺いたいと思います。
○福岡国務大臣 昨年末の年金部会の議論の整理では、まず、引き続き被用者保険の適用拡大を図っていく、進めていくことで、三号そのもののところをなるべく数を少なくしていこうというようなことでございます。
その上で、将来的な見直しの方向性については、先ほどもいろいろなケースがあるとおっしゃいました、その三号被保険者の実態も精緻に分析しながら検討することが求められたところでございます。
このため、まず、三号被保険者の置かれた実態を把握する必要があると考えておりまして、制度に関する様々な論点や、今回の年金制度改正に関する国会の御議論も踏まえながら、必要な検討を進めてまいりたいと思います。
○浅野委員 ちょっと更問いをさせていただきたいと思いますが、今言った調査、しっかり早期に実施していただきたいと思います。
それは、検討していきたいというお話ですけれども、やはりこれはスピード感が大事だと思っておりまして、いつ設置しようとお考えなのか、その時期について大臣のお考えがあればちょっと確認をさせていただきたいのと、やはり当事者の参画というのが大変重要だと思うんですね。高額療養費制度のときもそうでしたけれども、当事者の声をしっかりと制度の検討段階から入れていくこと、これは大事だと思いますので、そこも含めて、最後、大臣のお考えを確認させてください。
○福岡国務大臣 第三号被保険者には様々な状況に置かれた方が存在をしておりまして、既存の統計であったり調査から把握できるデータがある一方で、第三号被保険者の就業状況や健康状態、また配偶者の所得状況、また第三号被保険者制度と育児、介護といった家庭事情との関係など、詳細を直ちに把握することが難しい課題もあるというふうに考えています。
さっきも申し上げました、実態を明らかにする必要があるというふうに思いますが、どういった形で調査をするかも含めて、今念頭にスケジュールがあるというわけではございません。ただ、おっしゃったように、そういった当事者の方々の御意見も聞きながら進めていくということは大切だと思います。
○浅野委員 終わります。
○藤丸委員長 次に、八幡愛君。
○八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。
五年に一度の年金法改正という重要広範議案に取り組むということで、日々私も年金について考えているんですが、本日は、国民目線で、真正面から年金法に向き合っていきたいと思います。
前回の委員会でも再三訴えさせていただきましたが、基礎年金の底上げ、これは絶対必要だと考えます。
その底上げをどうやって行っていくのかというのも今日はたくさん議論がされたと思うんですけれども、もちろんそれも必要なんですが、年金制度、特に基礎年金の最大の課題、これはやはり満額でも六万九千三百八円であるということです。これはやはり少な過ぎます。生活保護の扶助費の水準を下回ってしまっている。
私たちれいわ新選組は、生活保護の扶助水準も近年の物価高には見合っていないと訴えており、底上げすべきだと言っているので、当然、年金も引き上げるべきだと考えております。
今回の年金法なんですけれども、当然、政府そして厚労省から出てきたものですから、それを我々が審議をしているわけなんですけれども、マクロ経済スライドで今後の基礎年金が減るとか増えるとか、もちろんこれもちゃんと考えていかないといけないんですが、この基礎水準そのものの改革が重要だと思っております。
皆さんがおっしゃるように、あんこのないあんパンとか、その皮がとか、そうやって言っている時点で厚労省さんのベルトコンベヤーに乗ってしまっているんじゃないかなと思っていて、そもそも、そのパンを作った人はちゃんと手を洗っていますかという、そこまで立ち返った方がいいんじゃないかなと私は思っております。
この基礎年金の低さというのは私だけが言っているわけではなくて、今月二十日、Xで、自民党の河野太郎議員もおっしゃっているんですよね。年金制度改革は、まず正面から取り組むべきなんだと。投稿の中身の細かいところは私の意見とも違うところもあるんですが、今回は同意する点が多いなと思って見ていたんですけれども、でも、何か、Xの中だけの話なんですけれども、余り広がらないのかどうか分からないんですけれども、河野さん、もう一回、自分でリポストされていましたけれども。
この年金制度、抜本的に改革していかなければいけない、基礎年金においては給付額が低過ぎる。御党の河野太郎議員の発信も含めて、福岡大臣はどのように受け止めておられますか。お願いします。
○福岡国務大臣 年金制度、今回は財政検証の結果等も踏まえて御提案をさせていただいていますが、あるべき姿については不断の見直しを行っていくということは必要だというふうに思います。
そして、基礎年金の水準のお話がありました。
公的年金制度は、国の社会保障制度の一つとして、社会全体で高齢期の生活を支える制度でありますが、それだけで老後の生活の全てを賄うものではないことから、現役世代に構築した生活基盤であったり貯蓄等と組み合わせて老後の生活を送っていただくものと考えております。
その水準は、老後生活における衣食住に関わる基礎的な消費支出を勘案要素の一つとして設定されておりますが、その給付水準は、経済状況であったり長期的な給付と負担のバランスの中で変わり得るものだというふうに考えています。
あわせて、二階建ての年金給付を受けられる環境づくり、これも大切なことから、今回の法案では、被用者年金の保険の適用拡大、こういったこともさせていただいているところでございます。
また、低所得者の高齢者の方々には、社会保障全体で総合的に支援していくことが重要であるというふうに考えておりまして、そういった重層的な取組を進めてまいりたいと思います。
○八幡委員 是非柔軟に、これからも取り組んで受け止めていただきたいなと思うんですけれども、これだけ貧富の差が拡大している中で、今、年金の保険料を支払っている人たちというのも向き合わないといけないと思うんです、もらうとかもらえないとかの話もそうなんですけれども。
やはり、保険料というのは逆進性が私は強過ぎると思っています。手取りが減るので、払いたくても払えないという国民に寄り添うためには、やはり保険料の減免措置も考える必要があると私は考えています。
今日の私の質問、年金制度について立ち返ろうというテーマでお送りしているんですけれども、公的年金制度の意義について、これは前回も申し上げましたが、厚労省のホームページにも、予測できない将来へ備えるためには社会全体で支える仕組みが必要だと書かれていて、要するに老後の生活保障を目的としているんですが、今、支払い能力がない人々が保険料を払えず、結果として将来の受給額が減ってしまうというのは、目指している目的からずれるとやはり私は考えます。
既に、所得に応じた免除、猶予制度、全額免除、半額免除、学生納付特例などがありますけれども、二〇二三年時点で約六百万人、約四割の加入者が何らかの免除を受けているというデータもあります。当然、減免した分、もらえる額は減りますよね。これではやはり意味がない。
それぞれの負担能力に応じて保険料を徴収する仕組みにした方がよいのではないでしょうか。手取り額が少ない中、将来のために国民年金保険料を支払いたくても、一律の保険料が高くて支払えない人がいる。今の経済状況を考えても、年金の満額給付を前提にした年金保険料の減免をするべきだと考えるんですが、大臣はいかがでしょうか。
○福岡国務大臣 国民年金に関しては、労働契約に基づき恒常的に賃金を得られる被用者と所得の状況が様々な自営業者との違いであったり、源泉徴収をされる被用者とそうではない自営業者との間の所得捕捉の課題などから、定額の保険料と定額の給付という仕組みにしております。国庫負担二分の一により、全ての被保険者の保険料の負担を抑制するとともに、今おっしゃいました、所得が低い方の負担能力を勘案した保険料の免除制度、こういったものも導入をしております。
その上で、御提案がありました全国民共通の基礎年金につきましては、免除制度を利用した期間においても、保険料納付済期間を含めて、一律二分の一の国庫負担分として給付を行うこととしておりまして、御提案のあったような、免除制度の利用者のみを対象にして国庫負担割合を引き上げることとした場合に、免除期間の給付を公費によって直接穴埋めすることとなりますが、これは給付と負担の関係が不明確となりまして、相互扶助を原則とする社会保険制度の考え方であったり、ほかの被保険者との公平性の観点から、慎重な検討が必要であると考えています。
○八幡委員 免除を受けている人たちだけを補助する、満額受けられるようにというか、私、れいわ新選組は、とにかく一律で免除していくべきだと思うんですよ。そうなったら稼いでいる人たちに不公平があるじゃないかというんですけれども、よく言われるんですけれども、それはまた別の形で徴収をさせていただく。そうしないと、一律で減免措置をしていく、考えていくということの方がやはり大事なんじゃないかなと思っております。
年金というのは、やはり全国民に関わってくる問題です。特に、若年層の負担、これを軽減することで、結婚や出産など、将来の投資能力を増やして、少子化対策にも間接的に寄与する可能性も考えられますから、やはり保険料の減免というのは政府・与党には考えていただきたいと思っております。
続いて、今回の改正案でも議論となるポイントです。マクロ経済スライドについてです。
政府は、二〇〇四年の年金改正で、厚生年金の保険料率と国民年金保険料額を固定して、マクロ経済スライドを導入して、自動的に給付額を抑制する仕組みを導入しました。
冒頭申し上げましたが、公的年金で最も重大な問題は、生活保護費にも満たない低額の年金受給者が広範囲に及んでいることです。特に、女性の低年金が深刻となっています。それにもかかわらず、いまだにマクロ経済スライドの減額調整を適用する。年金給付額の減額を押しつけていると考えます。
物価上昇で年金受給者の生活が苦しく、各党が消費税の減税の訴えを検討する中、昨日ですか、ガソリンの価格高騰を抑えるためにも、政府が新しい措置をするんだというスタートもありました。それでも、マクロ経済スライドで年金給付額を抑制しているということは、何か政策がちぐはぐしているんじゃないかなと感じます。
社会保障審議会の部会の委員である駒村康平教授も、マクロ経済スライドは基礎年金の給付水準を低下させ、低所得者の年金水準を大きく引き下げる逆進性を持つと、ここでも問題を指摘されております。
マクロ経済スライドは、緊縮財政が第一で、やはり国民の生活は後回しという、何とも冷たい政府を象徴している制度じゃないかなと思うんですけれども、私は即刻廃止すべきだと考えます。いかがでしょうか。
○間政府参考人 お答えいたします。
公的年金制度におきましては、物価等の変動に応じて毎年度年金額を改定することを基本としながら、マクロ経済スライドにより年金の伸びを調整することで、将来世代の給付水準を確保しつつ、長期的な給付と負担のバランスを確保しております。これによって、人口構造も変化する中で、将来にわたって持続可能な仕組みとしております。
現役世代の保険料率がもう上がらないようにしている中で、仮に、御提案のように、マクロ経済スライドを行わないこととした場合には、その分、将来世代の年金の給付水準の低下につながることから、これは将来世代の年金給付水準を確保するために必要な措置として御理解いただければと思います。
○八幡委員 でも、それでも、私は、少なくとも基礎年金、これをマクロ経済スライドの対象からすぐにでも除外すべきだと思っています。やろうと思ったらできます。先ほど、持続可能な制度のためにという言葉も出てきましたけれども、それを目指して、財源とかの話にもなってくるかもしれないんですが、やはり積立金というのも、私は切り崩して、うまく活用すべきだと考えています。
日本の公的年金は、現在、当然ですが、賦課方式ですよね。それにもかかわらず、積立金の積立度合いが、同じ賦課方式を取る諸外国と比べて突出しているんです。日本は、二〇二四年度第三・四半期末の積立金、二百五十八兆六千九百三十六億円ですね。これは、今の給付費の約五年分。五年分を積み立てている。
一方、諸外国を見てみますと、アメリカは、世代間扶養で給付費の約二年分です。これは四百十六兆円です。フランスは、今後、積立度合いはちょっとまだ増すと言っているんですが、今現在は一か月分、二・九兆円。イギリス、これは約二か月分積み立てている。ドイツは約一か月分。日本は、先ほども申し上げましたが、現給付費の約五年分を積み立てているんです。先進国と比べても異常に積み上げているのではないかなと私は思います。
賦課方式を取っているんだから、そんなにプールする必要もないと思うんですよ。先日、鹿児島大学の伊藤周平教授をお招きして我々は勉強会を行ったんですけれども、伊藤教授も積立金を今の年金給付に活用するべきだとおっしゃっておりました。国民の負担を減らすために、年金積立金を切り崩すことを検討すべきではないでしょうか。お願いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
公的年金制度は、今御指摘のように、賦課方式を基本としつつ、我が国の場合には一定の積立金を保有しております。これは、今というよりも、将来の保険料の上昇を抑えたりとか、将来の給付水準のために、将来世代のために使うということで保有しているところでございます。
積立金は、少子高齢化が進んだ将来における年金給付に積立金を充てることにより、現役世代の負担に上限を設けた上でも将来の給付水準の確保を図るということでございまして、積立金を活用した上で、なおマクロ経済スライドの調整が必要となっていることについて、御理解を賜りたいと存じます。
○八幡委員 将来のために、今ではなく将来のために積み立てている、そして、今も切り崩しをされているということは、私もそれも理解をしているんですけれども、やはり将来、大事だから、大事だからと今何度もおっしゃいました。本当にそう思うのであったら、やはりGPIFの運用については考えないといけないと思うんですよ。それだけ、さっき、大切で、ちまちまちまちま、ちょっとずつ切り崩して何とかやっているんだとおっしゃったんだけれども、GPIFの運用についてはばんとベットできてしまうわけなんですよね。
年金積立金運用資産額は、先ほども言いました、二百五十八兆六千九百三十六億円です。この膨大な資金力から、株式市場では鯨と称されております。これは、二〇一三年当時の安倍政権で、成長戦略にGPIFが幅広い資産に分散投資することを織り込んで、今となっては実質日本の株価を下支えしているんですよね。
GPIFは、積立金を増やすために運用しているんだというんですけれども、早い話が、国民がおなかを痛めて、懐を痛めて捻出した年金保険料という、株の投資でばくちをしているということですよ。それこそ、やっていることは積立金の流用だと私は思います。
これは、すぐに運用をやめるべきだと訴えるのは簡単なんです。でも、もうこの国は引くに引けないところまで行ってしまっているんですよ。そんなことは私だって分かっています。だから、アベノミクスのときに手を出すべきではなかった。いやいや、でも、アベノミクスがあって、そこからめっちゃもうけているねん、増えたんやでとおっしゃるかもしれないけれども、増えているからいいやんという安直な考え方をやはり見詰め直すべきだと思うんですよ。
せめて、投資対象は国際金融市場の影響を受けないように国内企業だけにするとか、少しずつでもいいから見直していくべきではないでしょうか。だから、さっきも言いましたけれども、もうけられへんからという考え方がまずずれていると思います。
私、父親がギャンブル依存でして、大変な家庭で育ったんです。お金がないからといって、私たちには食費を削ったりとか、文房具も満足に買えないような状態が続いた。それなのに、給料を全額パチンコ代にベットできるんですよね。少しでも勝って帰ったらええやん、お父さんが勝ったら、あなたたちのおもちゃでも買ってあげるからとか言われるんやけれども、そんな考え方は健全でないことは誰でも分かると思うんです。
同じことを政府はやっていると私は思います。原資はみんなが納めた年金なんですよ。年金改革を考えるならGPIFの運用についても考えていくべきだと思うんですが、大臣はいかが思いますか。
○福岡国務大臣 年金積立金の運用につきましては、法律上、専ら被保険者の利益のために長期的な視点から安全かつ効率的に行うこととされております。これに基づき、GPIFにおきましては、内外の株式を含めて、リスク、リターンの特性が異なる複数の資産に分散投資しておりまして、そういった観点から、リスクを抑えながら安定的な運用成果を目指しています。
余り成果を言うなとおっしゃっていましたが、これまでの運用実績は、二〇〇一年度の自主運用開始から二〇二四年度第三・四半期までの累積収益額は約百六十四・三兆円となっておりまして、年金財政上必要な運用利回りを確保し、年金財政にプラスの影響を与えております。
引き続きまして、GPIFにおいて、資産であったり地域等の分散投資を行いながら、適切にリスクを管理することによりまして、長期的な観点から安全かつ効率的に運用を行うことが重要だと考えております。
○八幡委員 言っていることがうちのお父さんと一緒やなと思いました。リスクを考えて、パチンコは大丈夫なんや、競馬や競輪とかに手は出していないんやみたいな説明を家でしていましたけれども、言っていることが一緒やなと思ったので、ちょっとこれは国民もしっかり考えていただきたいと思うんです。
私が海外の企業の株を買うなと言ったもう一つの理由なんですけれども、二〇二二年に非人道的兵器、クラスター弾の製造企業三社の株式を持っていたということも報道されました。これが明るみになったのは厚生労働委員会だったと思うんですけれども、命と生活を守るためのみんなの年金、これを、誰かを傷つけるものを造る会社を支えるなよと思うんです。
大臣、ちょっとこれは言及いただけないですか。二〇二二年、私は国会にいないし、大臣もそのとき厚労大臣ではなかったと思うんですけれども、海外の株を買うことについてどうですか。お願いします。
○間政府参考人 お答えいたします。
現在のGPIFの株式への投資につきましては、GPIF自らが運用指図をしておりませんで、運用受託機関に対して資金を渡しまして、そして購入しているということですので、個別の株の銘柄選定については関与していないところでございます。
ただ、その上で、例えば中国の債券とか、それからロシアの株式なんかにつきましては、これは国際株式市場で取引ができないということもあって、そういう観点からそれは排除しているということでございまして、その点についても御理解を賜りたいと思います。
○八幡委員 でも、今の世界情勢を見ると、いつ何が起きるか分からない、どっちに加担してしまうかも分からないという、これを、日本は、主導してやっていないから分かりませんとか、結果としてそうなったけれども知りませんでは、私はちょっと通用しないと思います。なので、やはりこれを機にGPIFの運用についてしっかりと御検討いただきたいです。
毎月毎月、年金保険料をみんなが支払っているわけです。大臣にはお願いなんですけれども、やはり数字ばかり追うとかではなく、さっきも成果があってとか増えたとか減ったと言ったけれども、そうやって毎月毎月いろいろな事情で、それは全額払えない、半額で免除している人、いろいろな人がいると思うんですけれども、そこには一人一人の生活とか人生が懸かっているんだということを忘れずに、引き続き年金法案について取り組んでいただく、一緒に考えていきたいと思っております。
これは私自身への自戒を込めて、質問を終わります。ありがとうございます。
○藤丸委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
厚生労働省は、今度の法改正に先立って、厚生年金積立金を活用して基礎年金のマクロ経済スライド調整期間の短縮を図る案を年金部会に示しました。政府も改正に盛り込むことを検討したんですけれども、今回、見送られています。
そこで、次のケースについての試算を伺います。
経済状況が過去三十年投影ケースで、マクロ経済スライドの調整期間を一致させ、そして、改正案にある厚生年金加入二百万人の適用拡大を実施した場合、この場合、マクロ経済スライド調整期間の終了は何年ですか。厚生年金と基礎年金の所得代替率はどのようになりますか。
○藤丸委員長 ちょっと止めてください。
〔速記中止〕
○藤丸委員長 起こしてください。
間年金局長。
○間政府参考人 失礼いたしました。
令和六年財政検証のオプション試算によりますと、今回の改正と同様の適用拡大を行った上でマクロ経済スライドの調整期間の一致を行ったとした試算では、実質一%成長を見込んだ成長型経済移行・継続ケースでは現行の水準が維持される見通しである一方、実質ゼロ成長を見込んだ過去三十年投影ケースでは、二〇三七年度にマクロ経済スライドによる調整が終了する見通しであり、その時点の所得代替率は、報酬比例部分、二階で二三%、基礎年金、一階で三三・三%、全体で五六・二%となってございます。
その上で、田村先生、申し訳ありません、先ほど、お許しをいただきまして、早稲田先生の関係の御質問で私の言い間違いがあったということで……(発言する者あり)
○藤丸委員長 その分、時間を延ばしています。
○間政府参考人 はい、済みません、御了解いただいているということで、申し訳ありません。
早稲田先生の御質問の中で、女性の年金の方が改善されるというときに、男性よりも女性の方が長命でいらっしゃいますと申し上げるべきところ、女性より男性の方がと逆に申し上げてしまいました。その点についておわびし、訂正させていただきます。田村先生にも申し訳ありませんでした。
○田村(貴)委員 もう一回言いますと、所得代替率は五六・三%だということですよね。
過去三十年投影ケースで、調整期間終了二〇五七年の場合は五〇・四%とされているんです。現在の所得代替率は六一・二%ですから、どんどん低くなっていきます。マクロ経済スライド制でどんどん厳しくなっていきます。これは百年安心なんて言えないじゃありませんか。
大臣、そう言うと、政府として百年安心は言っていないとこの間おっしゃったんですけれども、違います。言っています。二〇一九年六月十日、安倍総理は国会答弁で、マクロ経済スライドによって百年安心という、そういう年金制度ができたということですと。これは議事録に残っています。実際は、不安、不満が拡大する一途の年金制度ですよね。
本会議から私は言っています。マクロ経済スライド導入で二十年、公的年金の給付水準は実質八・六%削減、そして、二〇五二年まで、今後二十七年間にわたって年金削減が続き、実質一五%切り下げられていく。百年安心の年金というのは完全に崩壊したのではありませんか。大臣、いかがですか。
○福岡国務大臣 まず、私が前回、正式には使っていないということは、今御指摘ありましたように、議論のやり取りの中では過去に触れられたことはあるかもしれませんが、正式にそうした言葉を用いたわけではないという文脈で前回申し上げさせていただきました。
その上で、公的年金制度につきましては、二〇〇四年の年金制度改正におきまして、将来の現役世代の過重な負担を回避するという観点から、保険料の上限を固定した上で、マクロ経済スライドによりその収入の範囲内で給付し、おおよそ百年間の長期的な給付と負担のバランスを確保することで、将来にわたって持続可能な仕組みとしておるところでございます。この考え方は現在でも変わっていないということを申し上げたいと思います。
○田村(貴)委員 いや、もう言葉として残っているから、事実を伝えているんです。
鰐淵副大臣にもお伺いします。
二〇〇四年、公明党の坂口厚生労働大臣は、百年安心にしたい、百年安心にしていくという案を作ったと明確に国会で述べておられます。また、公明党のホームページでは、現在も出ているんですけれども、二〇〇四年の制度改革では、保険料の上限を定めるとともに、標準的な世帯の給付水準については、現役世代の平均手取り賃金額の五〇%以上を確保すると法律に明記、〇三年に公明党が発表した年金百年安心プランに沿った形になった、こういうふうにPRされています。
先ほど答弁があったように、所得代替率は、もう五割は風前のともしびですよ。今も、これからも減る年金に国民は不安を募らせている一方ですよね。百年安心の年金というのは崩壊したのではありませんか。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
公明党といたしまして、過去にマニフェストで、年金百年安心という言葉を用いており、失礼いたしました、当時、公明党として、そうした文言を用いて政策の実現を求めていたという事実があるといたしましても、今、私も政府の一員としてお答えする立場といたしましては、先ほど大臣が答弁されたとおりだと思っております。
公的年金制度につきましては、将来にわたって持続可能な仕組みということで、そのような考え方でございます。
○田村(貴)委員 何だかよく分かりませんけれども、年金に百年の安心というのはもう言っておられないし、もう瓦解しているんじゃないかということです。
今回の政府案でも、年金部会提案の調整期間を一致させる案でも、年金の減少というのは十年単位で続いていきます。調整期間を一致させる案を政府は底上げといいますけれども、これは今の制度よりも減らないということで、減ることには間違いありません。
大臣、お伺いします。
厚生年金の積立金活用、それから標準報酬月額を医療保険並みに引き上げる、マクロ経済スライド制をやはり停止させていくべきではありませんか。
○福岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、この年金制度を将来にわたって持続可能な制度とするために、このような制度を用いらせていただいております。
その上で、今回、この法案の議論でも、年金の給付水準をいかにして確保していくか、そういったことは大きな論点だというふうに思いますので、そういった観点からも更なる議論を深めていきたいと考えています。
○田村(貴)委員 地域医療機能推進機構、JCHOの運営問題について聞きます。
JCHO病院は、厚生年金保険料を財源として設置されて、公的年金の資産にも影響を与える問題となりますので、この機会に尋ねたいと思います。
船橋中央病院の移転候補だった用地をJCHOの山本理事長があえて買い逃がし、野村不動産が取得しました。その野村不動産の逸失利益三十四億七百万円を上乗せして、百十一億円を超える価格でJCHOがその後取得したんです。九日の質問でも取り上げました。
この問題で、厚労省は、四月十四日、土地取得に関わる調査報告の中間取りまとめを出しています。厚労省は、野村不動産が持っている土地をどのような価格で売るのか、利用するのは野村側の裁量だから、結果的に鑑定評価額より高価になっても仕方がないと言わんばかりの説明をしています。
船橋市の住民や職員の間からは、地域医療の充実に使われるべき資金の用途として看過できない、乱費は許されない、こうした批判や怒りが広がっています。当然のことだと思います。厚労省は、償還可能だと言っています。逸失利益を上乗せした五割増しの高い土地購入決定プロセスに、しかし課題があったとして、独立行政法人通則法上の要請をしている、これも事実であります。
償還可能な新病院の計画、建て替えで購入を決定したといいます。しかし、土地購入後一年以上たつのに、具体的な新病院の建設計画は検討中だということです。土地の用途変更さえ、調整中と言うだけで、明らかになっていません。償還原資を生む新病院の建て替え計画や、そしてその前提となる土地の用途変更、これも見通しが立っていないのに、厚労省は、この高い土地価格には問題ないと言うんですか。監督官庁として、そういうふうに厚労省は判断しているんですか。
○森光政府参考人 お答え申し上げさせていただきます。
御指摘につきましては、田村先生御紹介のように、厚生労働省において、関係法に基づく必要な調査を実施し、本年四月に中間取りまとめを行ったところ、JCHO船橋中央病院の土地取得が不当に高価なものであったとは確認をされておりません。
一方、御紹介にあったとおり、法令違反ではないけれども、手続上の課題が確認されたため、JCHOに対して、契約の透明性を確保するための関係規定の見直し、望ましいガバナンスを実現するための必要な取組などについて検討する要請書を発出したところでございます。
船橋の病院につきましては、JCHOからは、建築費用の高騰などの厳しい情勢や現在の建築単価を踏まえて、以前のグランドデザイン案の償還計画を見直すなどの検討を行っており、速やかにその方向性について結論を得るよう努めているところと聞いておるところでございます。
○田村(貴)委員 もうちょっと厳しく見た方がいいんじゃないですか。
JCHOは、この間の物価高騰による経営悪化や今回の高い土地購入などを受けて、五十七ある病院のうち赤字病院の再編統合を進めようとしているのではないか、私もそういう話を聞きました。経営悪化を理由にして、職員の給料もまともに上げていませんよね。
二〇二四年、これは去年ですね、去年の六月に、JCHOの経営強化本部会議で、経営強化集中期間後の法人運営について議論されたと聞いていますが、これは事実ですか。その会議で、令和七年、三年かけて九年までを、病院の統廃合に向けた調整を推進する病院再編推進期間とする方針が決定されたというふうにも私は聞いていますけれども、このことは事実でしょうか。
○森光政府参考人 お答えをさせていただきます。
委員御指摘のJCHOにおける経営強化本部会議の内容につきましては、JCHOの内部会議であることから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
また、独立行政法人の運営は、法人の自主性を基本として行われるものと承知をしております。その上で、JCHOにおいては、法人の目的である、地域において必要とされる医療及び介護を提供する機能の確保を図るとともに、あわせて、地域における役割分担や連携を通じて、地域の関係者と協議しながら、地域全体で効率的で質の高い医療提供体制の構築を進めていくものと承知をしております。
○田村(貴)委員 何か、関係ないみたいな話をされても困るんですけれども。これはリストラですよ。病院の整理、統廃合ですよ。地域の住民にとってみたら、これは大変なことなんですよ。病院の統廃合、再編推進期間、このことを厚生労働省は掌握はされているんですよね。
まず、JCHOと厚生労働省との関係なんですけれども、JCHOというのは、国が二分の一以上を出資している法人ですよね。国とJCHOとの関係について、ちょっと教えてくれないですか。厚生労働大臣がJCHOの理事長を任命する、そして、JCHOは厚生労働省の指導監督下にある、これは間違いないですね。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
その認識ではございますけれども、独立行政法人の運営というのは、法人の自主性を基本として行われるものというふうに承知をしています。その上で指導監督下にあるというふうに承知しております。
○田村(貴)委員 それはそうでも、今度の土地購入にしては、五割増しですよ。逸失利益まで計上されて、無駄なお金を出して買っているのではないか、船橋の職員の方も、そして地域住民の方も、おかしいじゃないかと言っているんですよ。
だったら、厚労省は、そういう問題意識を持って文書を出したんだったら、徹底的にやはり検証すべきですよ。JCHOを守るために動いてきた住民とかあるいは自治体を裏切るような方針を決定しているかも分からないんですよ。厚労省がこうしたことをちゃんと把握して、国会でも答弁しなかったら、やはりこれは地元の人たちを裏切ることになっちゃいますよ。
ちゃんとこの件について調査をし、検証を深めて、JCHOをただしていかなければならないと思いますが、いかがですか。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
基本的には、JCHOの、独立行政法人の運営というのは、法人の自主的な自主性を基本として行われるというふうに承知をしております。また、地域における効率的で、かつ質の高い医療体制を構築していく中で、JCHOにおいても引き続き必要な医療・介護サービスを提供していく、そういう必要があるというふうに考えておるところでございます。
○田村(貴)委員 もうちょっと深刻な話をしましょうね。
病院再編推進計画について、JCHOの山本理事長が機構の会議でこんなことを言っているんですよ。極力表に出さず水面下で抑えていく。聞き捨てならない話でしょう。そして、これは記録に残っているというふうにも私は伺いました。職員や利用者、行政に伏せたまま、厚労省には言っているか言っていないか分からないけれども、伏せたまま進めていくというのは、これはあってはなりません。
JCHO法第二十条では、利用者、関係者の意見を聞いて参考とし、地域の実情に応じた運営に努めなければならないと規定しているではありませんか。こうした理事長の発言が事実ならば、法律の趣旨にも明確に反するものと言わざるを得ません。
今私の指摘したことについて、いかがお考えですか。監督官庁として調査をして、秘密裏に再編統合を進めるような方針を下してはいけない、それはやめさせるべきではありませんか。
○森光政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、JCHOの内部会議に関する内容についてお答えは差し控えたいというふうに考えておりますけれども、一般論として、再編統合を含めて、地域の医療機関の役割の分担や連携、これに係る協議は、都道府県において設置されております地域医療調整会議で協議をしていくということになっております。
また、JCHOの運営に当たっても、各病院に設置されております地域協議会において地域の関係者とも協議していくもの、これはまさに法律に沿った形で進めていただくものと承知をしておるところでございます。
○田村(貴)委員 今度の五割増しの土地買いのことについてなんですけれども、JCHOの役員会に諮ることもなかった、そして、理事長を始めとする少数で、当該土地の購入の募集が開始する前から野村不動産と購入のために繰り返し相談をしていたということも明らかになっているんです。これはJCHOの関係者は認めていますよ。内覧会に野村と一緒に参加もしているんですよ。
こうした経緯を見たら、やはりおかしいんじゃないですか。鑑定価格の五割増しの百十二億円で購入したんです。購入契約は二〇二四年三月なんですけれども、その半年後に地域住民との懇談でJCHOは、まだ基本構想の検討中で移転か現地建て替えかは決まっていないと答えています。完全にうそですよね。問題なしとする厚生労働省の調査には本当に疑問が残るわけです。JCHOの自律性とか、そういう段階じゃないんですよ。これは大いに問題のある案件なんです。
最近になって、掲載されてきた役員会などの会議録のホームページの掲載を止めるとか、内部の情報をできるだけ隠す、こういう秘密体質が進んでいるのではないでしょうか。年金資産を毀損しかねない強引な運営、住民や自治体に隠して秘密裏の病院の統合再編方針を改めさせる、私は、これをやらないといけないと思います。それができるのは、監督官庁の厚生労働省しかできないんですよ。
福岡大臣、経緯はそういうことなんですよ。しっかりと監視して、そして適切な指導と、それから方針についてJCHOに言っていただきたいと思います。大臣、感想を含めてどうですか。
○福岡国務大臣 まず、報道等を受けまして、厚生労働省においては、必要な調査を実施し、本年四月に中間取りまとめを行いました。そこでは、不当に高額なものであったとは確認をされていません。
ただ、その上で、先ほども申し上げましたように、手続上の課題があるということで、JCHOに対しまして、関係規定の見直しであったり、望ましいガバナンスを実現するための必要な取組について検討するように要請書を出しているところです。しっかり、その要請に応じて取組が進められているか、チェックをしていきたいと思います。
○田村(貴)委員 ほかにもちょっと質問を用意していましたけれども、次回にまたしたいと思います。
今日は終わります。
○藤丸委員長 次回は、来る二十七日火曜日午前九時十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十九分散会