第18号 令和7年6月4日(水曜日)
令和七年六月四日(水曜日)午前九時四分開議
出席委員
委員長 宮崎 政久君
理事 鬼木 誠君 理事 新谷 正義君
理事 山下 貴司君 理事 荒井 優君
理事 山岡 達丸君 理事 山崎 誠君
理事 斉木 武志君 理事 岡野 純子君
岩田 和親君 江藤 拓君
小池 正昭君 坂本竜太郎君
佐々木 紀君 島田 智明君
鈴木 英敬君 関 芳弘君
世耕 弘成君 西村 康稔君
長谷川淳二君 平沼正二郎君
細野 豪志君 松本 洋平君
宮内 秀樹君 向山 淳君
東 克哉君 大島 敦君
岡田 克也君 落合 貴之君
小山 展弘君 鈴木 岳幸君
田嶋 要君 福森和歌子君
吉田はるみ君 東 徹君
村上 智信君 丹野みどり君
福重 隆浩君 山口 良治君
大石あきこ君 佐原 若子君
辰巳孝太郎君 吉良 州司君
平岩 征樹君
…………………………………
経済産業大臣 武藤 容治君
農林水産副大臣 笹川 博義君
防衛副大臣 本田 太郎君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
国土交通大臣政務官 国定 勇人君
政府特別補佐人
(公正取引委員会委員長) 茶谷 栄治君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 江浪 武志君
政府参考人
(内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長) 坂本 里和君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) 川上 大輔君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局次長) 藤田 昌邦君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 岡田 大君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 北間 俊秀君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 蓮井 智哉君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 今西 靖治君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官) 先崎 卓歩君
政府参考人
(文化庁審議官) 小林万里子君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 西 経子君
政府参考人
(林野庁林政部長) 清水浩太郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官) 湯本 啓市君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 南 亮君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 小見山康二君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 辻阪 高子君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田尻 貴裕君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(経済産業省貿易経済安全保障局長) 福永 哲郎君
政府参考人
(経済産業省イノベーション・環境局長) 菊川 人吾君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 野原 諭君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局首席国際博覧会統括調整官) 茂木 正君
政府参考人
(経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 山田 仁君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 岡田 智裕君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 堤 洋介君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 堀上 勝君
経済産業委員会専門員 花島 克臣君
―――――――――――――
委員の異動
六月四日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 佐々木 紀君
鈴木 英敬君 長谷川淳二君
佐原 若子君 大石あきこ君
同日
辞任 補欠選任
佐々木 紀君 岩田 和親君
長谷川淳二君 平沼正二郎君
大石あきこ君 佐原 若子君
同日
辞任 補欠選任
平沼正二郎君 鈴木 英敬君
―――――――――――――
六月三日
外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)
経済産業の基本施策に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
――――◇―――――
○宮崎委員長 これより会議を開きます。
この際、新たに就任されました茶谷公正取引委員会委員長から発言を求められておりますので、これを許します。茶谷公正取引委員会委員長。
○茶谷政府特別補佐人 五月二十一日付で公正取引委員会委員長を拝命いたしました茶谷栄治でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
デジタル化の進展など、我が国を取り巻く経済社会環境が急速に変化をしております。こうした中で、公正かつ自由な競争を確保する公正取引委員会の役割は、我が国経済の成長発展と社会の活力を維持する上で極めて重要なものであると認識しており、競争政策の適正な運営を図る責任の重大さを痛感しております。
宮崎委員長、各理事、各委員の御指導、御鞭撻を賜りながら、この職責を果たしてまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○宮崎委員長 茶谷委員長の御活躍を祈念しております。
御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
――――◇―――――
○宮崎委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官湯本啓市君外三十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○宮崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮内秀樹君。
○宮内委員 皆さん、おはようございます。
今日は何か、円卓でございまして、ちょっと雰囲気が違うんですけれども、一般質疑、今日も約五時間ということで、気合を入れて、皆さん、今日も議論いたしましょう。
ということで、トップバッターを務めさせていただきたいと思います。
日本の経済は少しずつ上向いているという実感もあると思いますし、税収が上がっているということは何よりだというふうに思います。また、賃金、これも少しずつ上がってきているという状況の中で、もちろん物価高ということもありますけれども、経済が元気になること、日本の経済が新たに新しいステージをつくっていけるかどうかというところが最も鍵になるわけでありまして、それがなければ賃金も上昇しないということでありますから、具体的な政策をどうやってつくっていくかということでありますから、経済産業省の役割大というふうな認識を持っております。
その中で、世界と特徴の違う日本が新たな戦略的特徴をどのようにしてつけていくのかという観点から、今日は御質問をさせていただきたいというふうに思います。
その意味では、大企業の投資、あるいは中堅企業に対しても投資支援をやったりしておりますけれども、やはり、スタートアップ、新しい存在であるスタートアップが日本の中で新たな展開をつくっている、新たなチャレンジの成功例が少しずつ出ている、こういう認識をしております。その上で、スタートアップの関係者と様々なやり取り、議論をさせていただいておりますので、そういうところから含めて今日は質問させていただきたいというふうに思います。
まずは、現在の日本のスタートアップの現状、どのぐらいのスタートアップが誕生し、どういう傾向にあるのかとか、日本の特徴があると思うんですね。アメリカのスタートアップとはちょっと違う性質を持っているのが日本のスタートアップじゃないかなという認識をしておりますが、そういうスタートアップの現状と特徴について国際比較とともに示していただきたいと思いますし、また、二〇二二年に策定いたしましたスタートアップ五か年計画、これの成果のほどはどうかという点につきましても御答弁をいただけたらありがたいと思います。
○坂本政府参考人 お答えいたします。
日本のスタートアップの現状といたしましては、ユニコーンと呼ばれる時価総額十億ドル超の未公開企業の数が、例えば米国七百社に対して日本では八社ということで、諸外国と比べて少なく、起業後に大きく育つ企業の数が少ないことが特に課題であるというふうに認識をしております。
御指摘ございましたスタートアップ育成五か年計画におきましては、計画策定時に八千億円規模であったスタートアップへの投資額を、五年後、二〇二七年度に十倍を超える十兆円規模とすることなどを目標に掲げまして、人材、ネットワークの構築、資金供給の強化、オープンイノベーションの推進など、三本柱を中心にして、官民一体で取組を進めているところでございます。
スタートアップ投資額につきましては、二〇二二年以降、ウクライナ侵略による地政学リスクの高まり等により、ベンチャーキャピタル資金調達額が減少いたしまして、市況が低迷する中で、世界的に落ち込んでおります。
民間の調査結果では、海外主要国における二〇二四年の投資額につきまして、二〇二一年比で、米国が約四七%、中国約五六%、英国約六一%減と大きく減少している中で、我が国におきましては、二〇二四年の投資額の速報値でございますが、七千七百九十三億ということで、二一年比で一二%減と、他国に比べて減少幅が小さくなっておりまして、厳しい環境の中でも持ちこたえているというふうに言えるかと思っております。
また、我が国のスタートアップ数につきましては、二〇二一年一万六千百社から現在二万五千社へと約一・五倍に増加するなど、裾野は着実に広がってきているという状況でございます。
これらの背景には、五か年計画の実行を進めたことで、起業家、事業会社、国内外のベンチャーキャピタル等関係者におきましてスタートアップの起業や投資への機運が高まったことがあるものと考えております。
政府といたしましては、五か年計画の目標達成に向けまして、今月改定を予定しております新しい資本主義実行計画においても五か年計画を強化いたしまして、関係省庁と連携をしつつ、取組を着実に実行してまいりたいと思っております。
○宮内委員 ありがとうございました。
アメリカ、欧州等と比べてやはりまだまだ規模は小さいということでありますけれども、確実に数も増えておるし、意欲を持つ人も増えてきて、チャレンジしていこう、そういうような息吹を感じるというところは事実じゃないかなというふうに思いますので、この日本型の、アメリカや欧州とは違って、日本型のスタートアップ支援というのは何なのかという観点の政策を少し色濃く考えて実行してはどうかというのが私の問題意識であります。
その上で、スタートアップ関係者と様々話をしますと、当然、現場の声は、資金調達、これはやはり苦しいという悩みがあるのはもちろんですけれども、もう一つよく言われるのが、大企業との連携とか協業がしたいという声がかなり多いんですね。新しい商品開発を一緒にしたいとか、大企業とのコラボレーションによる新しい戦略を実はつくりたいと思っているけれども、大企業となかなかコミュニケーションが取れない、まさに、接点を強く求めているけれども、なかなかそれがうまくできていないんですよという話があります。大企業は現実にはなかなかスタートアップを相手にしてくれないというのが実情であると思います。
一方で、日本の経済というのは、各業界においてやはり従来の大企業、老舗企業が強いという状況がありますので、この大企業とスタートアップ企業がうまく連携をできるような、直接対話できるような、そういう機会をつくっていくことが私は大切なんじゃないかなというふうに思っています。
日本型の、日本の経済社会に合う形のスタートアップ、この成長モデルをつくるというのが必要なんじゃないかというふうに思っていまして、それに対して積極的な連携をつくり出す政策が必要であるんじゃないかと思いますが、その点について、大臣、どう思われるか、お話しいただけたらと思います。
○武藤国務大臣 おはようございます。
いつも元気に、特にスタートアップを中心に盛り上げていただいている宮内委員に敬意を表したいと思います。
スタートアップの成長に向けて、今委員から御指摘いただきました。まさに、大企業や地域の中堅・中小企業との連携というものは、技術の社会実装ですとか市場、需要の創出にとって大変重要なことかと思います。大企業にとっても、スタートアップは、経営課題を解決し、イノベーションを生み出す担い手となる存在だと確信をしているところです。
今現在、実際に、自動車関係のメーカーさん、これは自動運転のスタートアップなどと共同開発を行いながらシステムを調達するといった動きが出てきているところです。
経済産業省としては、税制等を通じて、スタートアップと大企業などの間での共同研究ですとか、出資やMアンドAを促進するとともに、令和六年度補正予算の事業などを通じて、大企業等がスタートアップの製品、サービスを調達する動きを後押ししているところです。
加えて、例えば今の自動車産業においては、スタートアップ等の新たなプレーヤーを巻き込む場としてモビリティDXプラットフォームを立ち上げまして、スタートアップとの連携について一層の後押しを進めようとしております。
まさに時代の変化によって、個社だけじゃなくて、こういういろいろなマッチング、そして、特にスタートアップと大企業、また中堅企業、それぞれが連携をしながら新しい時代をつくっていくという世の中を迎えているんだと思います。
我が国の多様で層の厚い産業基盤を最大限に生かしながら、大企業等との共創によって、日本ならではのスタートアップの成長を実現してまいりたいと思っております。
○宮内委員 問題意識は共有させていただいたんだと思うんですけれども、特に、大企業の経営陣の方々の意識を変えていかないと、面白いことが起こってこないんだと思うんですね。それはいろいろなところに通じる話だと思うんですけれども、やはり大企業の皆さん方のマインドを変えるということを、施策と同時に、様々なところでそういうリーダーシップを大臣には発揮していただきたいというふうに思います。
また、スタートアップが企業として成長していく過程においては、だんだん、専門性のある人材とか経験豊富な人材が実は欲しいんですというのをスタートアップの企業の経営者がおっしゃいます。大企業でビジネスの経験がある人材が、例えばスタートアップに転職をして、そこでどんどん活躍をして、スタートアップ企業も大きくなるというような、人の流れ、人材の流動化が新しいシナジーを生み出すのではないかというふうに私は考えておりまして、人材のそういった流動化の実情とか、まさに人的資本の活用、これについて政府はどうお考えになるか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○菊川政府参考人 委員御指摘のとおり、そういった優れた人材の確保は非常に重要になってきております、スタートアップにとって。そして、昨今、御指摘がありましたとおり、大企業から多様な専門性、実務経験を有する人材がスタートアップに転職する流れが出てきているという民間調査もございます。例えば、全体転職者のうち、大企業からスタートアップに行った方の割合というのは年々上がっておりまして、二三年であれば二五%を超えているというような民間調査の結果もございます。そうした流れを確実にしていくことが大事ではないかと思っております。
そのために、政府では、手元資金がどうしてもスタートアップは乏しいわけでございますので、人材を確保するためのお金がないというときにストックオプションというようなもので対応するということ、そういった環境整備なども政府で進めてございます。
また、先ほど大臣からも御答弁ございましたとおり、大企業とスタートアップの協業を促すことを通じまして、人材面でも大企業とのマッチングが増えていくということでございますので、そうした新たなシナジーを生み出す契機となり得ることを人材面でも期待をしていきたいと思っております。
更に取組を進めてまいりたいと思います。
○宮内委員 ありがとうございます。
まさに、スタートアップ側に立った政策ということを観点に置いてやっていただければありがたいと思います。
そこで、先ほど私申し上げましたように、大企業との交流や連携や、人的交流の必要性を申し上げましたけれども、それらを促進するために、政府が例えばネット上でコンソーシアムをつくって、業界ごとでもいいですし、もっと大きなレベルでもいいんですけれども、そのコンソーシアムの中で、それぞれの企業や人材の方々が相互にやり取りができる、その上で、じゃ会ってみようかというようなことで新しいものが生み出せるような、企業間の自由なコミュニケーション、交流ができる環境を政府がつくったらどうかなというふうに思っています。
農水省でも、輸出の促進のためにGFPというコンソーシアムの組織がありまして、この中で、新しい、まさにスタートアップの人たちがどんどん入ってきて、輸出についての協力、協業というのがどんどん進んでいるという成功実例があったりしますので、そういう観点での、コンソーシアムみたいなものをつくるというようなことを少し検討してはどうかということをちょっと提案をしたいと思うんですが、その点についてどう思いますか。
○菊川政府参考人 まさに、委員御指摘のとおり、双方のコミュニケーション、こういったプラットフォーム、こういったことをつくっていくコンソーシアムは大事だと思います。
今委員御指摘があったGFP、これに関しましては、委員が農水省の副大臣だったときに進められた取組だというふうに承知をしております。農林水産省において、輸出に取り組む農林漁業者、そして食品メーカー、輸出商社、流通業者、まさに業種を超えた関係者が一体となってコンソーシアムとして取り組まれているという成功事例ということで認識をしてございます。
経済産業省におきましても、大企業、中堅・中小企業、スタートアップの連携を促すためのいろいろな機会を、例えばNEDOが事務局になってそういった機会をつくっております。二〇一七年からやっておるんですが、ただ、GFPのような取組、いろいろな関係者をもう少し巻き込んでいく、そういったことを更に充実させていくことを、GFPの取組にちょっと勉強させていただきまして、また大臣とも御相談をして、GFPの取組を参考にして、我々の取組も拡大していけないか検討してまいりたいと思います。
○宮内委員 ありがとうございます。前向きな御答弁をいただいたので、大変ありがたく思います。
是非いい形のものを進めていただければと思いますし、新しいものをつくるということでありますから、失敗するか成功するかは分かりませんけれども、とにかく発想したものをやってみるということの、その発想が私は大事だというふうに思いますので、是非具体的に取り組んでいただきたいと思います。
それでは、もう一つスタートアップ関連なんですけれども、スタートアップの中には、グローバルサウスなどの、少し開発途上の国々が抱える社会問題の解決のために、新しい技術や日本の経験に基づくアイデアをスタートアップ企業が考え提供し、まさに新しいインフラ輸出を行っているという企業は結構あります。
例えば、アフリカで、マラリアなんかの感染症対策として、ドローンや人工知能を活用したボウフラ除去、これを可能とするような仕組みを考えて、それを売り込んだりしている企業もありますし、レーダーを搭載した小型の人工衛星を開発して、地表面の状況をミリ単位で計測して、その得られたデータの解析をして鉱山の災害の前兆を検知する、そんなことをソリューションとして実証実験をやっている、こんな企業も実はありまして、スタートアップ企業が実は海外インフラをチャレンジングにやっているという事例があるんですね。
彼らに話を聞くと、やはり、スタートアップ企業というのは知名度がなくて、現地の行政機能とか法律とかがなかなか分かりにくいということで、相手国政府とのやり取りをするのがなかなか難しいというようなお話を聞きます。
現地の日本の在外公館とか本国の政府などでしっかりサポートをしていって、スタートアップ企業のインフラ輸出という一つの観点を、旗を立てていただいて、面白いぞということでこれを支援していくというのは、一つの日本型の取組として大変に面白いんじゃないかなというふうに思いまして、自民党においてはインフラ輸出の特別委員会でまさにこういう議論を頻繁にやっています。
ウクライナ支援の日本のメニューの中で、実は日本のスタートアップ企業が幾つもウクライナ支援ということで進出して喜ばれているという実例も聞いたりしておりますので、これは、非常に新しいスタートアップの支援、あるいは日本型の経済政策として非常に面白いというふうに思うんですけれども、これが結局スタートアップを育てるということにつながるんじゃないかなと思いますが、こういう観点につきまして政府の御見解をお願いをしたいと思います。
○小林(出)政府参考人 お答え申し上げます。
日本経済の成長及び国際社会の問題解決への貢献という観点から、政府による日本企業の海外展開支援は極めて重要と認識してございます。
特に、委員御指摘のとおり、一般的に事業リスクが高いと思われます途上国に進出する日本企業、特にスタートアップでございますが、こうした企業に対しては、政府によるサポートの重要性は論をまたないというふうに考えてございます。
外務省は、関係省庁そして関係機関の御協力も仰ぎながら、ほぼ全ての在外公館に日本企業支援窓口を設置して、現地事情に関する最新情報の収集、そしてスタートアップを含む海外に展開する日本企業からの相談、支援依頼などに積極的に対応させていただいているところでございます。
引き続き、関係省庁そして相手国政府ともしっかり連携しながら、民間企業等とも意思疎通をしっかりして、スタートアップを含む日本企業の海外展開を支援してまいりたいというふうに考えてございます。
○宮内委員 しっかり対応していただきたいというふうに思います。
それでは、最後の質問なんですけれども、これはスタートアップとはちょっと別の観点なんですけれども、グローバルな研究競争に勝ち抜いて国際競争力をしっかりつけていくためには、やはり日本の企業と大学双方の連携強化が必要だというふうに思います。大学と企業が連携して人材をつくるとか技術開発をするとかということが非常に求められているんじゃないかなというふうに思います。
例えば、熊本のTSMCにおいても、熊本大学や九州大学と企業がかなり連携を取って、新しい人材もつくろうということで、新しいシナジーがまさに生まれているというふうに思いますけれども、まさに、文科省だけじゃなくて、経産省や総務省の力を合わせるということが必要だと思いますが、経産省としてはどのように対応していこうというような方針を持っているか、最後に経産大臣からお聞かせいただけたらありがたいと思います。
○宮崎委員長 武藤経済産業大臣、簡潔に御答弁をお願いいたします。時間が経過しております。
○武藤国務大臣 はい。
時代はまさに科学とビジネスが近接化している、この中で日本が世界トップレベルの研究大学を育てることは、産業力、競争力強化の観点からも大変極めて重要だと思います。
経済産業省では、グローバルな競争にチャレンジをしながら成長を目指す大学への集中支援の方針を打ち出し、大学の高度な研究、教育と、産業界の大学への戦略的投資の好循環の実現に向けた政策の検討を始めたところであります。
いろいろ、様々課題はありますけれども、まさに、文科省などと、関係省庁の連携を強化しながら、世界トップレベルの研究大学を育成しながら、その研究成果というものが産業力、競争力強化につながるように、経産省としてもしっかり頑張っていきたいというふうに思います。
○宮内委員 どうもありがとうございました。
引き続き、元気の出る質問を、皆さん、よろしくお願いをいたしまして、以上とさせていただきます。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、大島敦君。
○大島委員 よろしくお願いします。
情報は、資本、労働に並ぶ第三の生産要素と考えています。全要素生産性、TFPを計算するときに、情報も一つの要素として入っていると思います。
これまでの情報の蓄積こそが日本の力になると考えています。
中国共産党は、二〇一九年十月三十一日に、中央委員会第十九期第四回全体会議、第十九期四中全会の決定文で、データ、情報を、既存の労働、資本、土地、知識、技術、管理に加えて、七番目の生産要素として明記をいたしました。
我が国には、戦前からのものも含めて、様々なデータが大量にあります。そのデータの蓄積は我が国の優位性であると考えます。しかも、それらは日本語で保管されております。外国に対しては、当然、日本語ということ自体が有利に働くと考えております。
日本企業や研究機関などが保有する知的財産は、法律で保護されている特許や商標などの形式知だけではなく、企業内に蓄積されたノウハウ、製造技術、すり合わせ技術、熟練した現場技術者の経験や勘といった暗黙知など、多岐にわたっております。こうした情報は唯一残された我が国の優位性とも考えられます。もちろん、国民皆保険で蓄積された医療データも含まれます。
今私たちが使っているAIは公開情報に基づいておりまして、公開情報でもここまで私たちの思考を助けていただいています。一九九五年に出た、ハワード・ラインゴールドの「思考のための道具」という名著がありまして、ようやく思考のための道具になったと実感をしております。
AIを活用し、これらの情報を全て連関させて、現在の技術レベルでは、次のような言い方になりますけれども、大規模言語モデルを深層強化学習で最適化できれば、二〇一六年三月、アルファ碁が世界チャンピオン、イ・セドル氏、九段を破ったのと同じことが我が国の産業界で起きると考えております。
そのために、AIに投入するデータを標準化する必要があります。AIに学習させるためには、データの形式、画像、テキスト、センサーデータなどを整理し、標準的なフォーマットで蓄積しなければなりません。企業ごとにばらばらだった生産管理システムや研究データベースを整理統合するプロジェクトが不可欠だと考えております。
熟練した現場技術者が長年の経験で身につけた感覚や勘は数値や文字に落とし込みにくい。しかし、AR、拡張現実、あるいはVR、仮想現実技術で作業を再現し、IoTセンサーで動作や環境を計測し、自然言語処理で口頭の指示や独り言を解析することによって、こうした暗黙知を少しずつ見える化し、体系的に可視化、記録していくことが必要だと考えております。そのことで、造船業の特殊溶接など、あらゆる非定型的な作業も標準化できると考えます。
一つ、私は日本語にこだわりたくて、昨年の選挙の前に、チャットGPT、当時は二十ドルのサブスク、当時、大島のホームページをよく読んで準天頂衛星に対する大島の貢献を述べよとリクエストをすると、二十五年間分の大島の毎月のマンスリーレポートを読み始めまして、十秒ぐらいでレポートを打ってくるんですけれども、失礼なことに英語で打ってくるので、何だと言うと、すぐに日本語でレポートします。ですから、日本語にこだわりたいんです。
日本語ベースの先ほど言ったデータベースを作ることも我が国の優位性を更に高めると思っておりまして、こういうデータの標準化についてまず伺いたいと思います。
○野原政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘のように、製造現場における装置の稼働データ、それから熟練技術者のノウハウ等に関するデータは日本に多く蓄積をされております。こうしたデータをAIで利活用することは、人手不足の解消や生産性向上だけでなく、製造業の国際競争力の強化にもつながる重要な取組でございます。
こうした認識の下、例えば、化学メーカーとAI企業の間で開発したAIサービスが材料特性の現象解明や新材料の開発に活用されるなど、具体的な好事例は出ております。プリファードネットワークスとENEOSが共同開発して三菱商事がグローバル展開に参画している、マトランティスというグローバル展開をしているサービスがありますけれども、こういうような具体的な好事例、一例でございまして、こういった取組を、経済産業省としても必要な取組を強化してまいりたいというふうに考えております。
○大島委員 私も産業界にいたので。産業界が持っているこれまでの蓄積は膨大です。社内の中にも、それぞれの会社の規格があって、研究の成果もありますし、失敗したことの蓄積もあります。製造現場は様々なノウハウの塊です。私、今後の日本の製造業あるいは発展を考えると、これを一回全部覚え込ませることが必要だと思っています。今は個社ごとにやろうとしている。だけれども、セキュアな日本の環境をつくることによって産業界全体の知のネットワークをつくることが次のイノベーションを起こすと大島は考えています。
そこで必要なのが、まずは先ほどの標準化の問題。これは、今のところ大企業は個社ごとにはやろうとしています。個社ごとにやると、特許の申請とかは物すごく楽になったりもする。これを全産業で、医療データも含めて政治がやるということが、まず、日本の二〇三〇年以降を考えると唯一の財産だと思っています。米国にはなくなってしまいました。中国は蓄積がない。日本だけが日本語という特殊な言語の中でこのデータを持っているので、ここを開放することなく、日本の中でとどめ置きながら、先ほど言ったAIを使ってイノベーションを起こしていく。
そこで必要なのが、大臣、私が前回も質問した百万量子ビット。二〇三〇年までに百万量子ビット級という野心的目標の量子コンピューターを実現し、AIを活用して産業界、医療機関、国立研究所などが保有する情報を連携させることを目指すのが必要だと。量子コンピューターの速度については、皆さん御承知のとおり、スーパーコンピューターの何万倍か何億倍と言われています。
そこで伺いたいのは、これまで議論してきた、日本のデータ活用やAIの取組を進める上で私が最も重要だと考えている、次世代の計算基盤である量子コンピューターの取組について伺いたいと思います。
先日の経済産業委員会でも、大臣とは量子コンピューターの重要性について議論させていただきました。大臣からは、昨年の経済政策での三年間で一千億円規模の予算措置について説明をいただきました。量子コンピューターの産業化を本格的に進めるためには、この予算規模では十分ではないと考えております。私は、百万量子ビット級の量子コンピューターを二〇三〇年までに実用化するという野心的な目標にチャレンジすべきと述べさせていただきましたが、予算規模としても兆円オーダーでの野心的な規模が必要だと考えています。
日本をリードする日本企業への研究開発支援、産総研G―QuATの更なる拡充はもちろんですが、例えば、ASEANを含めて世界の量子関係者を日本政府の支援で年に二回ぐらいG―QuATに招いてシンポジウムや学会を開催するといった、ソフト面での交流も拡大することがイノベーションのきっかけになると思います。
まず、一つは先ほどの予算ですね。
一つ言い忘れたのは、民間企業だけではなく、国立の研究所、産総研もそうですし、物質・材料研究所も物すごくいいデータを持っています。理化学研究所は御承知のとおりです。この知のネットワークなんですよ。この蓄積しか、我が国のイノベーションあるいは我が国発の産業革命を起こすのはここしかないと思っている。そのために必要なエンジンが量子コンピューターなの。AIのエンジンについては我が国は難しいかもしれない。だけれども、この計算資源があればゲームチェンジできる。
ですから、この予算規模について、これは国の意思として、経産大臣、武藤大臣が旗を振っていただいて、兆円オーダーで是非予算獲得をしてほしいというのが一点。
もう一点が、やはり情報を考えると、中国が十四億人、ヨーロッパが四・五億人、アメリカが三・五億人、日本が二〇五〇年には一億人、ASEANが六億六千万人なので、ここの六億六千万人はこちら側の陣営につけたい。ASEANから一番信頼されているのは日本ですから、彼らの感性とか人口規模を私たちの陣営につけることが我が国の国益になると考えていて。
一つは予算規模、もう一つはASEANとのAIとか量子の分野での人事交流とか育成とかについて、まずは質問をさせてください。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。委員から大変激励をいただきました。
今まとめて答えてもよろしいですか。(大島委員「どうぞ」と呼ぶ)はい。
量子コンピューターの案件につきましては、委員おっしゃられるように、世界各国で激烈な政策競争が激化をしているところであります。
この前お話をさせていただきました、今の予算規模の、三年一千億円規模の予算措置も現在取り組んできているところであります。これを一兆円以上にしろという。気持ち的にはごもっともだというふうに思います。
そして、今のG―QuAT、この前、石破総理とも行ってまいりましたけれども、車座をしながらも、まさに量子の将来というものについての必要性というものも共有してきたところであります。
また、ASEANにつきましても、ASEANは、私もAZECも行きましたし、ASEANのオンライン会議でもこの前お話をさせていただきましたけれども、まさにこの新しい世の中で生まれてきているAIというものに対する在り方も、ASEANからも、これは、アメリカもあるけれども、また中国もやっているけれども、やはり日本というものに期待をしたいというところを、正直、私も御指摘を受けたところであります。
まさに、先生御指摘のような、そういう日本としてのAIの在り方というものも、これも正直、我々も正面から捉えていかなきゃいけませんし、まさに現場にAIのもの、素材があるということも今承知させていただいたところです。
ここは、私ども経済産業省が確かに旗を振って、そして、文科省やらいろいろな、様々な省庁と連携をしながら、いずれにしても、政府として、AI、生成AIを含めた、量子もバックボーンにしながら、新しい世界に向けてのバックボーンをつくっていかなきゃいけない。これがまさに世界に、これから我々日本というものが、世界から見て、ああ、やはり日本は捨てておけないというふうになっていかなきゃいけない、今、世の中だろうというふうに思っております。
今後とも、また御指導いただきながら、御支援いただきながら、しっかり予算獲得、そして、人材というものが多分必要になってきますので、そこの問題につきましても御支援をいただければというふうに思います。
○大島委員 今、日本ですと、工業高校ですか、なかなか進学される方が少なくなっている。
私の地元の企業、四十人ぐらいの会社を訪問したときに、インドネシアの大学を出た方を採用していて、戦力化して生産管理の現場に入れております。
ですから、人材も、東南アジアの工学部系の人材をしっかりとAI、量子について育成することによって、日本で足りない、高専の皆さん、学生の足りないところとか様々な分野に。彼らは、一生日本にいるつもりはなくて、ある程度蓄財すると母国に帰られる、自分でビジネスを行うことを志しているので、そういうネットワークのためにも、是非経産省が音頭を取っていただけるとありがたいと考えております。
もう一点がNTTの光電融合でして、この技術は、四年ぐらい前にプレゼンをNTTから受けたときに、いけると思ったのが直感でした。
サーバー回りの光電融合で電力消費量を百分の一にするというのとともに、通信ネットワークとして、情報を圧縮することなく光の速度で送れるという、そういう技術が光電融合でして、光電融合を用いた通信ネットワークは従来のインターネットに比べて遅延がほとんど発生しません。情報を圧縮せずに送信できるため、見えない波長の光や聞こえない周波数の音まで伝送でき、遠隔診療、遠隔手術を医師と患者が同じ空間にいるような臨場感で行えます。オフィスでの仕事も同じ。オーケストラの各奏者が自宅にいながら、指揮者がカメラ越しにタクトを振る演奏会まで可能になります。
インターネットが新たなビジネスを生み出したように、光電融合によって日本で知のネットワークを構築できれば、私はかつてないイノベーションが起きると思っている。光電融合で日本を実装し、そこに量子コンピューターを載せ、セキュアな環境で日本の全てのデータをAIに全部学習させることということが私は必要だと思っています。
更にその先にあるのが、前回もお話しした核融合発電の実用化に向けた技術課題の克服。より大規模な飛躍も期待できますし、AI、量子コンピューター、光電融合、通信インフラが密接に連携する時代が到達すれば、国民、企業、政府の全てがこの基盤を活用し、日本は飛躍的な発展を遂げると思っていまして。
これから二〇三〇年代以降、今でもそうですけれども、南海トラフあるいは首都直下もある。二〇五〇は人口が一億人です。ただ、一億人の環境下で、所定労働時間が今一千八百五十を一千六百ぐらいまで減らせるのではないかということを考えているわけ。二〇五〇年、人口一億人、所定労働時間一千六百時間、こういう目標を立てて、通勤時間が、二つの震災を挟むので、二時間以内と決める国家像です。ここで必要なのが今言っていた技術なの。ここはふんだんに投資してもいいと思っています。そのことによって我が国の様々な問題を解決することにつながると思っています。
あと、最後に一問だけ、IAPについて。
既にOECDにIAPという事務局が設けられ、DFFTの具体化に向けて取組が始まっています。五月には日本の女性官僚がIAPの事務局長に就任をいたしました。ここで、IAPの中で様々なルールが決まっているんですけれども、これから我が国も日本企業が有利になるようにDFFTの具体化を目指さなければならない。そのためには、日本企業に対しても、どのような具体化ならイノベーションを起こすことにつながるかなど、積極的に発言してもらうように強く求める必要があると思っていまして。
仕組みはつくったんだけれども、しっかりそこに日本の意思を入れていかないと他国の意思で動くようになるので、その点について最後に質問をさせてください。
○蓮井政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、日本主導で国際機関であるOECDにIAPという仕組みを構築したことを踏まえますと、日本企業にとって有益なDFFTの取組を進めることが重要と認識してございます。
このため、デジタル庁といたしましては、IAPで具体化をするDFFTに関するプロジェクトが日本企業の要望を踏まえたものとなるように、データの利活用に関心の高い大手企業の経営層と大臣との意見交換の場を設けることなどを通じまして、企業の理解を醸成していただくとともに、企業からの御意見を頂戴しているところでございます。例えば、ASEANなどを含めてデータに関する規制が各国で様々でございまして、その調査に大変なコストがかかるといった御指摘もいただいているところでございます。
こうした御指摘を踏まえまして、OECDのIAPにおけるプロジェクトにつきましては、各国のデータに関する規制の態様についてのデータベースを構築し、企業の調査コストを大幅に低減するための規制の透明性向上プロジェクトを日本からも提案をし、実施されているところでございます。
加えまして、日本企業の主要市場であるASEANにおきましても、同様の規制の透明性向上に資するデータベース構築を、東アジア・アセアン経済研究センター、ERIA、それの協力を得て実施をし、それをOECDのプロジェクトと連携することを目指すなどの取組を行っているところでございます。
今後とも、ASEANを始め海外でビジネス展開する日本企業からのデータ利活用に関する要望に丁寧に耳を傾けて、DFFTの具体化の取組に適切に反映してまいりたいと考えてございます。
○大島委員 ありがとうございました。
二点、価格転嫁の問題と地熱発電について、しっかりと基金をつくった方がいいのではないかという提案は、大臣は分かっていると思いますので、これ以上は述べません。
終わります。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、岡田克也君。
○岡田(克)委員 岡田克也です。
今日は、主として大川原化工機の問題について質疑をしたいと思います。
まず、既に高裁の判決は出ました。二週間以内に上告するかどうかを決めなければなりませんので、政府の中でいろいろ検討されていると思います。中心になっているのは法務省かなというふうに思いますが、経産省も私は当事者だと思うんですね。当事者という意味は二つあって、一つは、大川原化工機の所管大臣、中小企業であり機械産業ですね、所管大臣としての関わり、もう一つは、外国為替及び外国貿易法の所管大臣としての関わり。この間、公安とのいろいろなやり取りがありました。したがって、非常にこの事件について責任ある立場だと思うんです。
上告するかどうするかということは私は聞きませんけれども、その議論に当たって大臣としても政治家としてしっかり関与していただいていると思いますし、その決意を聞きたいと思います。
○武藤国務大臣 大川原化工機さんのお話、私もこの裁判の結果が出る前に情報として教えていただきました。
本件に関しては、外為法違反の容疑ということで拘束をされる間に亡くなられた方がいらっしゃるということで、このことについては、まずもってお悔やみを申し上げなきゃいけないと思います。
私も中小企業をやっておりましたので、こういう形で、外為法の関係でこういう事件が起きたということについては、大変、私も正直申し上げて心にすっと落ちないものがあります。したがって、外為法を所管する立場としては、まずは、この判決内容を精査した上で、しかるべく今後の対応を検討したいと考えております。
また、安全保障貿易管理においては、外為法の法令解釈を事業者にとって分かりやすく、ここはちゃんと分かりやすい内容として、また、運用の際には事業者に対して丁寧な説明を行っていくことが大変大切なことだと考えているところであります。
責任を持ってこういう対応を、もう二度と起きないように、できるだけのことを善処していきたいというふうに思っているところです。
○岡田(克)委員 そこで問題になるのは省令の解釈の問題です。
省令に言う殺菌、そこに、化学物質を利用して機械の中の微生物を殺菌することのみならず、機械を空だきして高温で微生物を殺滅することも含まれるというのが公安の解釈で、経済産業省としてこれをどう考えてきたのか。基本的には同じ解釈、最初から同じ解釈だったのか、あるいは途中で変えたのか、もっと狭く考えていたけれども途中で公安の解釈に寄り添ったのか、どちらなんですか。
○武藤国務大臣 私の答弁で不足なところがあれば、また事務方の方から追って説明をさせていただきます。
当初、警視庁から担当者レベルで相談を受けておりまして、その際の議論では省内でも様々な意見があったと聞いております。
しかし、省令に関する経産省としての公的な解釈でありますけれども、警視庁から文書により照会を受けた際に、警視庁から提出された実験結果を前提とすれば該当すると思われると文書で回答した解釈が全てでありまして、解釈を変更したとかあるいは捜査機関に歩み寄ったとの御指摘には当たらないというふうに認識をしているところであります。
○岡田(克)委員 今の答弁を踏まえると、機械を空だきして高温で微生物を殺滅することも含まれる、殺菌の定義として、そういうふうに最初から経済産業省は考えていた、こういうことでよろしいですね。
○福永政府参考人 いただきました解釈に至る経緯なのでございますが、経産省として当該商品が該当と判断すると解釈に至った経緯については、少し丁寧に御説明させていただきますと、貿易管理部、こういう担当部局がございます。こちらでは、案件の審査に当たりまして、物事の難しさ、難易度に応じて合議制をしいております。その合議制をしいている中で、省内でもいろいろな検討プロセスがあったというところでございます。
その中で、今回の案件において、警視庁から捜査関係事項照会書の連絡があり、これを踏まえて部内でもしっかり会議を行いました。その際の判断は、大川原化工機の噴霧乾燥機の二機種についての判断を行っていまして、一件目は、平成三十年八月三日に照会があり、同月八月十日に経産省から回答を申し上げた、さらに、もう一機種、令和元年七月二十六日に警視庁から照会があり、同年八月九日に経産省から回答を申し上げた。
その際に、警察からいただいた様々なデータを検証して、経産省の外為法所管の立場から、殺菌の法令解釈、大川原の装置が該当するか否かが論点となりまして、関係者で議論して、合議の結果、二つの機種いずれについても、省令及び解釈定義に厳格に適用することとした場合においては、特に警視庁から提出された実験データを前提とすれば該当すると思われるという形で文書で回答するという結論に至ったところでございます。
○岡田(克)委員 ですから、具体的事例が出てくる前に、これは根幹の部分ですから、殺菌の定義、それについて、省令を制定する際に、当然、官房の審査も受けているはずですし、あるいは原課との協議もしているはずですから、最初から殺菌に、機械を空だきして高温で微生物を殺滅することも含まれるかどうかということは決まっていたはずですよ。もちろん、この会社が、大川原化工機がどうかということは、公安に聞かれて解釈したかもしれません。考え方としては最初から決まっていなきゃおかしいですよね。
○福永政府参考人 御質問の省令の制定の経緯についてでございます。
この点、オーストラリア・グループという国際的な輸出管理の会議体がございまして、そこの会議体での議論において、平成十二年六月に噴霧乾燥機が追加された際に、殺菌及び滅菌の定義は規定されておりませんでした。
したがいまして、我々、今回、二十三年二月に、オーストラリア・グループで追加されたクロスフローろ過装置の殺菌の定義を参考としながら、ここが大事なんですが、産業界の方々とも意見交換をしっかり重ねまして、その上で定義をしたという経緯がございます。
定義の内容は、御指摘のとおり、殺菌については、物理的手法、例えば、蒸気の使用、あるいは化学物質の使用により当該装置の潜在的な微生物の伝染能力を破壊することができるものとしたわけでございますが、これは産業界との議論も相当重ねて定義させていただきました。
ちなみに、この点、オーストラリア・グループのガイドラインにおいて各国における規制品目の拡大や審査方針について各国の裁量が認められているため、このような判断と至ったというところもございます。この点、実はほかの国でもこういう定義を利用しているところもあります。
○岡田(克)委員 端的に答えてもらいたいんです。機械を空だきして高温で微生物を殺滅することは、当初から殺菌の範囲に含まれるというふうに経済産業省として考えていたということですか。
○福永政府参考人 協議を重ねましてそこに至ったという意味で、入るということでございます。
○岡田(克)委員 協議を重ねてって、省令を作るときには答えがなければおかしいでしょう、根幹の部分なんだから。どうなんですか、そこは。
○福永政府参考人 ありがとうございます。
産業界とか有識者の専門家の方々に、今回のまさに噴霧乾燥機というものの定義を規定するに当たって、クロスフローろ過装置というのはすごい小さい装置なんですね、今回の噴霧乾燥機というのは非常に大きい装置で、この中で、一〇〇%菌をなくすためにどういう形の定義がいいかという、専門家の意見を聞きながら議論をしているプロセスで、殺菌については物理的手法というのも入れた形がよいだろうという認識に至り、定義をしたということです。
いろいろな専門家の意見を聞いて省として政令を定めたという意味では、おっしゃるとおりです。
○岡田(克)委員 もし最初からそう決まっていたとすれば、どうして担当者が、二〇一七年十月から二〇一八年三月までの十三回の公安との協議の中で、当初、否定的な見解を述べたんですか。ちゃんとそうやって議論して決まっていたなら、否定的見解が出てくるはずがないじゃないですか。
○福永政府参考人 ありがとうございます。
我々、当時の担当者とかからも話を聞きましたが、彼らとしても、今回の法令の適用というケースがそんなにたくさん事例があるわけではなかったので、当該事例が本当に該当するかどうかというものは、いろいろな、まさに機械の装置一つ一つの性能とかにも鑑みながら判断しないと分からないという意味で、丁寧な、問合せをいろいろ受けるたびにしていたというふうに報告を受けております。
○岡田(克)委員 非常に理解に苦しむところですが。
先ほど局長おっしゃったように、最初からそういうふうに、空だきも読み得るような省令だったというふうにしましょう。そうすると、今回の判決は、罪刑法定主義の基本的考え方からいっても、省令の解釈を拡大することは許されないという趣旨のことを述べていると思うんですね。私もその意見に同意をするわけですが。
しかも、AG参加国の中で裁量の余地が認められていると今おっしゃったかもしれませんが、基本的に、合意に基づいて法律があり、政令があり、省令があるわけですから、それを勝手に経産省が拡大して幅広く読めるようにしていたとすると、そのこと自身が極めて大きな問題だし、東京高裁の判決から見ても全く真逆のことを当初からやっていた、そういう理解でいいですか。
○福永政府参考人 ありがとうございます。
オーストラリア・グループ内でもいろいろな議論が行われたということを、いろいろ報告を受けています。こちらはほかの国との関係で委細、詳細は御報告できないんですが、そういった議論の経緯も踏まえながら、かつ、こういった政令、省令の持つインパクトについて、丁寧に産業界との議論を重ねながら今回制度を定めてきたわけでございますが、今でも既にオーストラリア・グループの議論などもしっかり行っていますし、今後とも、産業界の意見もしっかり聞いて議論をしていきたいと思っておりますが、規制の明確化に引き続き取り組むとともに、事業者に対しても丁寧に説明して理解いただけるように、より一層取り組んでいくということが我々の基本方針でございます。
○岡田(克)委員 ですから、今回のこの省令の解釈で食い違いがこれだけ生じているわけですから、やはり省令そのものをきちんと定義し直すということは、私は最低限必要だと思うんですね。
それから、こういうふうに国際的に合意されたことを拡張して、それを省令で読み込んでいるということになりますと、やはり経済安全保障に関わる類似の事例でも同じようなことがあるかもしれませんから、これは政府として全面的に見直して、そういう拡大解釈の余地がないように省令の定義をきちんと見直すべきだというふうに考えますが、大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 今し方、背景を局長から御説明いただきました。
私ども、委員の御指摘のとおりのところもあると思います。今後も、局長からお話し申し上げたように、産業界ですとか有識者との意見交換などを通じながら、輸出者による法令解釈等に関する問合せあるいはまた相談に丁寧に応じていくのはもちろんであると思いますし、こうした取組を行いながら、省令の改正も含めて、規制内容の明確化に向けた検討を行ってまいりたいというふうに思っております。
○岡田(克)委員 これは省内で第三者の検証委員会を立ち上げてもらいたいんです。これは政府全体にも必要なことだと思いますが。経産省の中でいろいろなやり取りをしているはずですよ、この省令の解釈について。担当の部局と公安とのやり取りもありますし、担当部局が例えば官房と省令の解釈をめぐって意見交換している、あるいは原課としている。そういうものが、どういう議論がなされて、そして今回のことに立ち至ったのかということをきちんと検証しないと、同じことが私は繰り返されるというふうに思うんです。反省していますで済む話ではないというふうに思うんですが、いかがですか。
○武藤国務大臣 本件のような事案というものが再度起こることがないように、今後どのような対応が必要であるかを関係省庁で連携して検討していかなくてはいけない、これはまさに重要なことと考えています。
委員おっしゃられたように、第三者委員会というものは、外為法の解釈の提示について、第三者委員会で検証すべき性質の事柄とはちょっと違うんじゃないかと思っています。
いずれにしましても、経済産業省としても、今回の事案を踏まえた上で、企業に対する法令解釈の丁寧な説明、これを一層心がけ、適切な安全保障貿易管理を行っていきたいというふうに考えております。
○岡田(克)委員 非常に疑問が残るわけですね。さっきも言いましたように、担当者は一貫して否定的なことを言っていた。もし最初から決まっていたのならそんなことになるはずがない。だから、先ほどの局長の説明は、私はどこかで違うんだというふうに思わざるを得ないんですね。
それから、もう一つ申し上げると、空だきが含まれるという解釈に立ったとしても、その空だきの結果として全てのポイントで高温が実現できたかというと、そうではないということも分かっていたのに、それも放置して、どんどんどんどん勾留期間が延びたり、裁判に行く直前まで、経産省として、業所管省でもありますから、放置していたというのは、そこも私は非常に問題があったと思うんですが、いかがですか。
○福永政府参考人 ありがとうございます。
委員御指摘のとおり、省内でいろいろな議論があったことは事実でございますが、繰り返しになりますが、省全体として意見を決定するに当たっては、貿易管理部で、部内で一堂に会して、関係者が一堂に会して丁寧な議論を行って省としての方針を決めたというところで今回の決定には至っております。
繰り返しになりますが、省令の解釈等、非常に重要な部分があり、更に言えばそれに伴う該非判定というところに対しても重要な解釈があり、相当部内でも丁寧な議論を行って判断をしたというふうに過去の関係者からの意見聴取を行っております。
○岡田(克)委員 もう終わりますけれども、経産省は省令の解釈というのを担当部局だけで決めるんですか。当然、官房の審査もあるでしょう。そこで何か意見が出なかったとしたら、相当問題がありますよね、それはそれで。そういうことのやり取りも含めてきちんと第三者に検証させるべきだということをもう一度申し上げておきたいと思います。
終わります。
○宮崎委員長 次に、山岡達丸君。
○山岡委員 山岡達丸です。
質疑の機会をいただきました。
本日は、世界的なデータセンターへの投資の動きと日本の対応について質疑をさせていただきたいと思います。
報道で様々躍っていますけれども、例えば、UAEが大規模データセンターの建設計画がある、第一弾として、来年稼働で、五千メガワットの、相当な規模ですけれども、そうした動きがあるんだとか、パキスタンで大規模データセンターへの割当てのために二千メガワット級の電力配分の用意をするという決定をしているという報道もあります。
政府の分析資料によれば、アジアでは中国が先行しているわけでありますけれども、しかし、オーストラリア、シンガポール、日本がその中でしのぎを削る、韓国が巻き返しを図ろうとしている、そうした動きであるということであります。
国内でいえば、政府の政策として、首都圏みたいな大人口地帯のみにデータセンターが集中するというのは様々リスクもあるということで、リスクを分散するという意味で、北海道とか九州とか、そうしたところにデータセンターの設置の推進を図ろうという方針を立てて、補助金も創設したりしています。
私は活動エリアが北海道ですけれども、やはり北海道への投資の話というのはすごく熱量を持って聞くわけであります。特にこの一、二年、世界的に大規模な投資案件が動いている中で、国内、私は北海道で聞くわけでありますけれども、そうした案件が聞こえますし、件数は様々ありますけれども、大きいものでいえば数兆円単位の投資になるという中身であります。国内投資がきちんと取り込めるかどうか、これはこの一、二年の動きが極めて重要な局面だということを感じるわけであります。
これは経産省商務情報局に、野原さん、いらっしゃっていただいていますけれども、伺いますけれども、この世界的なデータセンターへの投資の動きをどう見ておられるのかということ、そして、この一、二年の需要が相当見込まれるだろうという中で、今回の質問の本質になってきますが、国内のインフラや制度を含めて、事業者のスピード感に十分に応えられる状況になっていないんじゃないかという問題意識を持っておりますが、局長の御見解をいただきたいと思います。
○野原政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘、御紹介がありましたように、世界各国でデータセンターについて多額の投資が計画をされておりますし、我が国においても、地方へのデータセンターの分散整備でありますとかAI開発に不可欠な計算資源の整備に対する支援を通じまして、これまでもデータセンター投資を後押ししてきたところでございます。
データセンターの立地には、委員からも御指摘ございましたけれども、電力の確保が必要不可欠でございます。大規模なデータセンターの需要に応えるための電力系統整備にかかる時間、それから脱炭素電源の確保にも課題がある、このように認識をしております。
このため、通信、電力、データセンターに関する産業界と政府の関係者が一堂に参加する官民懇談会を今年の三月に立ち上げまして、データセンターの立地促進に向けた具体的な方策の検討を進めているところでございます。
足下への需要の対応でございますが、既存の電力、通信インフラの活用を前提として、早期に系統接続が可能なエリアを示すウェルカムゾーンマップを通じてデータセンターの立地を促していくところでございます。
その上で、中期的には、特に大規模なデータセンターの集積地を選定し、その地域に対して、ワット、ビットの効果的な連携により効率的に電力、通信インフラ整備を進めて、データセンターの立地を後押ししていく具体的な方策を検討しているところでございます。
○山岡委員 商務情報局として大きな方針を立てておられる、そして世界的な動きもあるというお話をいただきましたが、今触れていただきましたけれども、データセンターというのは大量の電力が必要だということはこれまでも議論があって、エネルギー基本計画がこの間まとまったわけでありますが、エネ基も、将来的にデジタル需要で電源が増えるということで、そうした議論があるわけであります。これはあくまでも日本国内の総電力量の問題であります。
今回テーマにしたいのは、局地的な電力供給量。総電力量よりも、一個一個のデータセンターに対してきちんと必要な特別高圧による電力が提供できる体制がどの程度整っているかという点であります。
この局所的な電力は、具体的に言えば変電所の能力ですね、系統整備、変電所の能力が脆弱であると私は北海道で聞きますけれども、特に北海道はそうだとも聞きますが、恐らく全国的にも同様の課題があると思います。
今お話にもありましたけれども、ウェルカムゾーンというのを設けて、ここに投資してくださったらいいですよという場所を指定しているにもかかわらず、そこの電力の供給力が、今の、少なくとも、国際的な投資をしたいという、データセンターの規模の人たちの電力の提供要望に追いついていない。
これは数兆円の投資もあるということを申し上げましたけれども、ここのタイミングで日本への投資じゃなくてほかの国々への投資に移れば、当然その場所がこれから拠点になっていくわけでありまして、一回データセンターの箱ができれば、中のチップの入替えとかが、更新で時期を迎えれば出てくるわけでありますけれども、当然投資した場所でチップの入替えが行われますし、拡張が行われるとしたらその場所を拠点にして広げていく。
最初の場所をこの日本に選定してもらうというのが極めて重要なことでありますし、数兆円規模の投資に収まらない。今後も見通したときに、この状況をみすみす逃すというのは、これは重大な国益の損失につながるものだという問題意識を持っております。
日本政府は、国内におけるデータセンターは、先ほどお話ありましたけれども、経済安全保障だ、AIに必要だ、自動走行運転には欠かせない、成長戦略の要だ、そうした話もされているわけでありますし、あるいは、先ほどウェルカムゾーンのお話がありましたけれども、今日来ていただいていますけれども、資源エネルギー庁の皆様の指導で、各電力会社のネットワーク、系統を持っている会社もウェルカムゾーンというのを提示している、そういう状況でありますが、供給力が追いついていない。
電力のネットワーク会社というのは、また別の理屈で動いている側面もあるわけであります。過去の電力自由化の流れで、今極めて公共性の高い会社となっている。昔は電源と一緒でしたから、電源の投資と一緒に系統の設備も投資していたわけでありますけれども、そこが基本的に分離されているということになりますと、既存の電力の需要量に対して託送料金で皆さんに公平に負担していただいているわけでありますから、積極的な設備投資というのができないわけですね。
どこの地域も人口は増えるという見込みは余りないわけでありますから、過剰な投資をすれば過剰な負担になる、だから、積極的な投資ができないし、長期的な計画で動いているというのが、この電力自由化の流れの中のエネ庁さんの流れであるこの系統の状況であります。
しかし、この流れは、短期的に多量の電力が必要になる、そしてその投資先を今ここに決めてもらうかどうかで将来のデータセンターの拠点になるかどうかが決まるという別の動きが今あるということであります。
この一、二年で莫大な電力供給を求めてくるというデータセンターのスピードに対応するためには、もちろん、あらかじめ余力の電力供給体制、総電力じゃないですよ、局所的な電力体制、変電所の整備とかが必要なわけでありますけれども、この制度を何とか整理しないと、電力のネットワーク会社はあらかじめ供給力を持つような投資ができません。
リスクを低減する、地域住民の負担が設備投資しても減る、そうした制度の見直しが必要なんじゃないですか。答弁いただきたいと思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
データセンターを始めといたします新たな大規模需要に対する電力供給を迅速かつ着実に行うことが重要なのは、御指摘のとおりというふうに認識しております。
このうち、ただいま御指摘いただきましたネットワークの整備に関しましては、一般送配電事業者は系統増強費用の一部を託送料金で回収することになります。このため、エリア内の負担増加や費用回収までの期間の資金調達が課題となり、先行的な送配電設備の投資がためらわれるということも考えられるかと思います。
こうした課題への対応といたしまして、託送料金回収となっている系統整備費用の一部を特定負担とする方向性について、国の審議会において議論を開始したところであります。また、現状、整備が完了しなければ回収が認められない整備費用について、大規模な整備計画の場合は工事着工時点から一部回収を認める仕組みなどの議論も進めております。さらに、公的な信用補完の活用や政府の信用力を活用した電力会社等への融資についても議論を深めていくこととしております。
こうした措置を通じまして、データセンター等の大規模需要への対応を進めてまいります。
○山岡委員 議論を始めているというのは心強く思いますが、繰り返し言いますが、この一、二年の動きなんです。事業者のお話をいろいろ聞いても、三年、五年とかかかっているようだったら当然投資元の判断がほかの国に移ってしまうという中で、超短期の対応をしていただきたいんですよ。
令和六年十一月に、これは北海道からです、全国でもあるかもしれませんが、ウェルカムゾーンの整備推進に係る要望を出しているんですね。前例のない大規模な整備となるから確実な整備の実施をしたい、必要となる用地取得や工事要員、資機材の確保に対しても支援を行っていただきたい、この需要を感じている地域は、とにかくこれを逃したくないとなっているわけであります。
もちろん、データセンターは事業者ですから、投資判断はいきなり変わる話、リスクはあるわけですよ。でも、今お話がありましたけれども、個社のネットワーク会社でそのリスクを負うのは大変なんですけれども、これは世界的な動きとマクロの視点で見れば、経済産業省の立場でいえば、仮に一社が投資するといって離脱しても、その代替となるような事業者はどんどん出てくるだろうという動き。一つが空振りになっても、やはり官がリスクをきちんと半分以上取れば、この国内環境整備というのは進められる、構えができると思うんですね。
政府はこの六月に、今月ですけれども、さっきお話がありましたワット・ビット連携官民懇談会で取りまとめを行っていくところですが、仄聞するところですけれども、短中期の体制では既存の電力インフラを念頭に置くような取りまとめになるんじゃないかということを聞きますけれども、短中期で既存のインフラだけを当てにしているような取りまとめは遅過ぎるんだということを申し上げたいと思います。
先行的な整備ということをいいながら中長期の対策だみたいな、この位置づけにした取りまとめは、これは今の動きについていけないと思いますし、ここ一、二年の世界的な投資需要を国内に確実に確保して国益を損なわないというために、私はあえて申し上げますけれども、超短期的な政策として、この変電所の整備等に関して国として予算をつけて、何なら概算要求に入れていただきたい。その中で、この超短期の状況だけはまず措置をしていただきたい。その上で、今お話がありました、ネットワーク会社がきちんとそういう対応をできるような制度設計も進めていただく。そうじゃないと、私は本当にここの局面を逃すとデータセンターの国内投資を逃すと思いますが、答弁いただきたいと思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の経済成長や産業競争力強化の観点から、データセンターといった将来の成長産業に対して国内投資を促していくことの重要性については、御指摘のとおりだというふうに考えてございます。
そのためにも、こうした新たな大規模需要に対して迅速かつ確実に電力供給が行われるようにするため、必要な設備投資が行われるということの重要性につきましては第七次エネルギー基本計画においてもしっかりと記述しております。具体的には、御紹介いただきましたようなウェルカムゾーンマップによる適地への立地誘導に加えまして、各一般送配電事業者のエリア内の送配電網を計画的に整備する方針というのもお示ししてございます。
これを踏まえて、一般送配電事業者等が、データセンター等の具体的な立地も見据えて、エリア内の送配電網の整備に関する計画等を策定し、これに基づいて整備を進める枠組みの検討を進めております。
繰り返しとなりますけれども、託送料金負担となっております現状の整備費用の一部を特定負担とする方向性、あるいは、大規模な整備計画の場合には着工時点から一部回収を認める仕組み等の議論も進めておりまして、こうした取組を通じて、データセンターを始めとした新たな大規模需要への電力供給にも必要な設備投資がなされるよう、経済産業省としてもしっかり対応してまいりたいと考えてございます。
○山岡委員 しっかり対応していただくのであれば、スピード感を持って対応していただきたいというのが目下の流れだと思っております。データセンターの事業も、政府として打ち出している国内投資の促進の動きでありますから、これは是非進めていただきたい、スピード感を持ってやっていただきたいと重ねて申し上げます。
最後に、皆様に資料を配りました、ポケモンGOの、皆に有名なゲームですね、この事業者がゲーム事業を売却したという話を少しだけ紹介して、その見解を伺いたいと思います。
これも構想力の差を感じる話であります。このポケモンGO、すごい有名ですけれども、ゲーム事業を突然手放したわけですけれども、そのポケモンGOで、この記事の二枚目によれば、累計四百八十億キロメートルの位置データを収集している、この位置データをビッグデータとして、今度は、こういうポケモンGOのようなことじゃなくて、現実世界の3Dを再現する事業に行くんだ、ゲーム部門は切り離すんだという話になっています。
日本はコンテンツ産業を、五兆円だ、半導体にも匹敵する、鉄鋼にも匹敵する、すごい、伸ばさなきゃ、売らなきゃ、海外にもとか言っているんですけれども、基本、やはり海外の事業者は、こういうものを活用して、それよりも大きいものを十分に得ているような、こういうことが報道されているわけであって、この構想力、発想力の差を見せつけられますと、私たちの国のコンテンツ産業はどういうことを目指すんだということを強く心配するわけであります。
これは是非御答弁いただければと思いますが、どのように考えておられるか。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
コンテンツ産業の振興によりまして、生み出されたコンテンツやIPがほかの産業ですとか又は地域と結びつくことで、大きな相乗効果を生み出すことはあると思っております。
先生の御指摘の例もそうですが、まさにコンテンツ産業のライセンスを活用したマーチャンダイジングによる玩具や文房具、アパレル、生活雑貨、そういった様々な関連商品は、そうしたものの市場において新たな消費を生み出す非常に大きな原動力になると思っております。
また、他方、アニメの題材となった地域の実在の土地が聖地化しまして、インバウンドという形でコンテンツが生かされていくことも私たちは注目しておりまして、まさに先生の御地元の北海道苫小牧市においても、漫画から生まれた、アニメ、ドラマ化されて「僕だけがいない街」の舞台になったというところで、相当多くのインバウンドの方がお越しになっている、そのようにも理解をしております。
また、グローバルなデジタルプラットフォームの台頭によりまして、国内外のファンに直接的にリーチするということで、ますます観光といった分野でもコンテンツは大きな地位を占めてまいると思っております。
私たちは、そうしたことで、様々な観点からコンテンツ、エンターテインメントは大きな産業になると思っておりまして、そういった点を私たちもエンタメ・クリエイティブ産業戦略ということで中間取りまとめを行いまして、その中でも、他産業とのコラボレーション、地域との連携、そういった点も考えながら、このコンテンツ産業の育成、基幹産業化を進めてまいりたいと思っております。
○山岡委員 気を遣っていただいて、私の地元のことを入れていただいて、ありがとうございました。
ただ、申し上げたいのは、先ほどのデータセンターでいえばスピード感ですし、このコンテンツ産業も、今言われていた話というのはよく言われている話ですが、本当に、構想力がもっともっと大きな世界観で動いている中で、経済産業省にはその前線に立ってまたいろいろな施策も組んでいただきたい、その思いであります。
今日、製品安全法のベッドガードの問題も取り上げようと思って、答弁を用意していただいて、済みません、時間がなくなったのでここまでとしますけれども、多角的にまた是非いろいろ質疑をさせていただきたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございます。
○宮崎委員長 次に、荒井優君。
○荒井委員 おはようございます。立憲民主党の荒井優でございます。
半年間、この経済産業委員会でも様々な法案の審議、質疑をさせていただきました。大変重要な法案やいろいろな議論があったことを改めて思い出しております。その中でも、自分自身の保守性やそして革新性、いろいろと気づくところもありましたが、今日はイノベーティブなことを少し議論をしたいというふうに思って立たせていただいております。
今日のテーマは、人はコストなのか資本なのか、そこについて伺っていきたいというふうに思います。
僕自身、今でも幾つかの学校法人の理事や評議員という形で経営に携わっているんですが、この数年間、できるだけお給料を上げようということで、人件費をできるだけ上げていきたいと、賃上げを学校の経営者の皆さんもやられるわけですが、やはり、一年目、二年目はできてきても、じゃ、来年、再来年というふうにし続けられるのかというと、これは大変厳しいということ。まあ、どの経営者も、皆さん悩まれているわけですね。もちろん、学校だけではなく、様々な業界もそうだというふうに思っております。
その中で、特に学校とかの場合には、売上げがある程度決まっていますから、学費とかもそんなに簡単に上げられませんので、そういう意味では人件費を毎年どんどん伸ばしていくというのは非常に難しいという見方をどうしてもしていってしまうわけですが、やはり、イノベーティブに考えていくと、本当に人件費というものはコストであるべきなのかどうかというところに少し立ち止まって考えてもいいんじゃないかというふうに思った次第です。
今、政府、特に経済産業省では、人的資本経営、そういったものも掲げているわけで、まさに人材は資本である、人は資本なんだということも提唱しているかと思うんですが、今経産省としては、人の扱い、これを資本としてどういうふうに経営にうまく接続していくのかというのを考えられていると思うんですが、大臣として、今この人的資本経営の現状をどのようにお考えか、教えてください。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
人材というものは価値創造の源泉である、そして、企業が持続的に成長していくためには人材に対する投資を促進していく必要があると考えております。企業が人材を資本として捉える、その価値を最大限に引き出すための経営改革を行っていただくことが重要かと承知をしているところです。
経済産業省は、今、六百三十社を超える日本企業が加入する、いわゆる人的資本経営コンソーシアムというものを運営しております。人材育成などに関する先進事例を共有するなどして、企業の実践と開示の後押しを行ってきたところです。
また、上場企業等の情報開示につきましては、二〇二三年になりますけれども、有価証券報告書において人的資本に関する情報を記載することが義務づけられました。
さらに、企業が開示事項を検討する際に参照できるガイドラインとして、経済産業省も参画した内閣官房の検討会が、いわゆる人的資本可視化指針というものを策定しているところであります。
こうした施策に今後とも取り組みながら、企業における情報開示を含めた人的資本経営の取組を後押ししていきたいと考えております。
○荒井委員 ありがとうございます。
人への投資というのはまさに成長戦略だということで、政府全体で掲げていると思うんですが、現行の制度では、採用費や研修費、リスキリング等の費用に関しても、これは支出した年度に全額損金として即時費用計上されているわけですね。まさに費用になっているわけです。BS、貸借対照表上にも何ら資産として残ってはいないんです。例えば、研究開発費やMアンドA、開業費などは、こういったものは無形資産として、繰延資産として計上される取扱いになっているわけですね。
これは、人のことに関しては費用だけれども研究開発やMアンドAは資産としてみなしているという、まさに大臣が今おっしゃっていただいたような、人は資本であり、まさに富の源泉なんだというものと、やはり現状の会計制度にギャップがあるんじゃないかというふうに思っているんですね。
この辺のことについて金融庁にお伺いしたいんですが、こういったことに関しては、国際会計基準としてIFRS財団とかこういったところが取りまとめているルールなんだというふうに聞いているわけです。また、海外の、SECなどでもこういった開示を、可視化を求める方向にはあるというふうに聞いていますが、海外ではこのような人的資本の可視化というものが今どんなふうに進んでいるのか、教えていただけますでしょうか。
○西野大臣政務官 委員御指摘のIFRS、国際会計基準におきましては、委員御指摘のとおり、一定の要件を満たした場合には、研究開発費は支出時の費用ではなくて資産に計上するということになっています。一方で、採用費、研修費、リスキリング費用、こうした人件費に関しては費用として処理するということになっています。
そして、今委員から御指摘のあったSEC、アメリカの証券取引委員会ですけれども、上場企業に対して、人的資本の開示、これは非財務情報、サステーナビリティー情報として開示するように義務づけております。
そして、IFRSの傘下にありますISSB、国際サステーナビリティー基準審査会というところがありますけれども、そこでは人的資本の開示に対する投資家のニーズについて今調査しておりまして、一定程度の結果が出ておりますけれども、その結果を踏まえて、開示基準の開発を行うかどうか、この決定が行われる予定でございます。
いずれにしても、資本に上げるということではなくて、非財務情報として開示するかどうか、その検討が行われている段階だと承知しています。
○荒井委員 ありがとうございます。
まさに、会計ではなくて、情報開示、サステーナビリティーの情報として人的資本に関しては開示するというのが今世界の潮流なんだ、グローバルスタンダードなんだというふうに思います。
ただ、これは経営者の方からよく言われるわけですが、日本の場合には、まさに労働法上、従業員の解雇というのはほぼほぼできないようになっているわけですね。特に、金銭解雇などはできないわけですから、会社の経営が厳しいから首を切るなどということは、日本の場合には容易にできない。一方では、アメリカやヨーロッパではそういったことが日常に行われているというふうに感じています。
まさに労働法上の思想の違いがこういう会計制度にも表れてきているんじゃないかというふうに思いますし、一方、労働法若しくは社会の在り方も違う中で、グローバルスタンダードの会計基準にのっとって人をコストとしてみなしていくと、かえって日本の企業の成長性というものを阻害することになっていくんじゃないかということを感じています。
今日、朝、冒頭に宮内委員からもお話のあったスタートアップや中小企業も、この人的投資を、キャッシュフロー及び当期損益に大きな負担を与えるため、やはりそこから、VCや様々な金融機関から投資をする判断に、どうしても抑制されがちなところが、特に、中小企業、小さなスタートアップに非常に起きがちだというふうに感じているところです。
例えば、知り合いの税理士に相談したところ、人的投資の支出を繰延資産としてもしも資産計上できるとしたらどう思いますかというふうに聞くと、やはり、税理士や会計士の判断からすると、もしもそれが可能であれば、成長に向けた戦略的人材投資の余地が広がるし、貸借対照表の毀損を避けつつ財務の健全性を維持できる、また、金融機関からの信用評価や格付の悪影響を回避できるので、新たな成長戦略を提案することができるというふうに言われているわけです。実務面で担われている方々も、現実的かつ実務的なメリットが非常にあるというふうにお答えもいただいているわけです。
そういった意味でも、金融庁がこういったルールを、必ずしも、特に上場していない会社に関しては作っているわけではないとは思うんですが、日本が先駆的に人的資本経営に向き合う会計基準や先行モデルみたいなことを提案することがあってもいいんじゃないかというふうに思うんですが、西野政務官、いかがお考えでしょうか。
○西野大臣政務官 委員御指摘の、資産に計上するということについてですけれども、委員もよくよく御存じだと思いますけれども、やはり人にしっかり投資するということが近年見直されてきていますし、評価されているところだと思います。
一方で、こういったリスキリング費用、人に投資するということについて資産計上するということについては、国際基準上も、そして国内基準上もそうはなっていないということでございます。もし仮に資産計上しようとする場合には、会計基準に、経済的な便益を生み出す潜在的能力を有する権利かどうか、これが定義でございますので、それに当たるかどうかをしっかり検討しなくちゃいけないということだと思います。
いずれにしても、先ほども申し上げましたように、ISSBの方で、非財務情報、サステーナビリティー情報として開示する基準について今検討が始まっておりますので、その動向をまずは注視したいというふうに思います。
○荒井委員 ありがとうございます。
先ほど山岡委員からのお話にありました、データセンター、AI、こういったものがどんどん進化していくと、では逆に、人とは何なのか、人は特に会社とかでどういう存在になっていくのかということがより根本的に問われていくんじゃないかというふうに思います。
一方では、教育機関、学校とかもそうですが、人を育てるという役割を担っていくところからしても、やはり、人をコストとしてみなしていくという在り方、そういう資本主義みたいなものが一つ大きな曲がり角にも来ているんじゃないか、それこそ、今、日本が目指すべき新しい資本主義というのは、人をコストから資本にしっかりと見ていくという、そういう資本主義をリードしていくことにあるんじゃないかというふうに考えていますが。
最後に大臣に伺いたいんですが、こういった中小企業やスタートアップの支援からも、また、世界に日本のこういう新しい資本主義というものを提起していく意味でも、人的投資を例えば繰延べ処理するような新しい会計制度みたいなものは実効的な支援策になり得るというふうに僕は思うんですが、大臣としていかがお考えでしょうか。
○武藤国務大臣 まさに荒井委員は、そういう意味で、学校の経営ということで、人というものに対しての思いというのは大変大きいものだというふうに認識をしているところです。我々としても、人材不足というのは、皆さん、先生方のところでもみんな、いろいろな業界でそれぞれ起きている今の日本の中で、まさに委員の御指摘の点は面白い観点かなというふうに思います。
ただ、今、西野政務官からもお話ありましたけれども、世界的な潮流の中で、しっかり日本が、人をどうやって大切にしながら、そして、日本の文化というのはそもそも人を大事にする文化で来ているところだと思いますので、いろいろな制約がありますけれども、我々としては、中堅・中小企業、スタートアップ企業、これはさっき山岡先生からもありましたけれども、適切な人事戦略というものに基づく人的資本投資の拡大、ここがまさに重要だというふうに思っております。
中小企業向けには人材活用ガイドライン等々をやって取組をしておりますし、私からすると、やはり、地方の金融機関、ここが最も大事かなという、正直なそういう思いもあります。
我々からしても、広範な中小企業に浸透させるべく、金融機関さんにもこれからも広くPR、周知をしていきたいと思っておりますし、また、先ほどの人的資本経営コンソーシアムでありますけれども、ここも、中堅・中小企業への優良事例の展開を目的とした地域版人的資本経営コンソーシアムの取組に着手をしているところであります。先月には広島で第一回目の開催をいたしまして、約百二十の企業、団体に御参加をいただきました。
今後とも、これらの施策を推進しながら、人的資本経営を更に促進していきたいというふうに考えております。
○荒井委員 ありがとうございます。
大臣のまさに前向きな御答弁に大変意を強くいたしましたし、もう少し僕自身も、イノベーティブな発想ではあると思いますけれども、しっかり研究していきたいというふうに思います。
最近、いろいろな経営者に会っていても、特に、人を大切にする、従業員もそうですし、お客さんやステークホルダーを大事にしている会社こそ伸びていますし、やはり、そういうところでみんなが働きたいというふうな形に当然なってきているわけですね。ですから、まさに人的資本経営がうまくいっているところというのをしっかり可視化する。僕は、サステーナビリティーではなく、会計上しっかりとこれが見えるようになると、本当に世の中の資本主義の在り方も大きく変わっていくんじゃないかと思いますので、是非、経産省、金融庁、日本政府がリードしてこういった仕組みを築いていっていただけるといいなというふうに思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、田嶋要君。
○田嶋委員 立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。今日もどうぞよろしくお願いします。
今日は、恐らくというか、ひょっとしたら、今回の国会最終の質問機会かなと思いまして、それも含めて、過去の議事録を振り返りながら、確認をする質問をさせていただきたいと思います。国会のこの場所が、質問のしっ放し、答弁のしっ放しということであってはならないと考えておりますので、笹川副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
ということで、まず今日は関西万博から。今日は、私、立憲なんですけれども、関西万博の質問もたまにはしたいと思っておるわけでございます。
大臣、関西万博に何度も行かれていると聞いていますけれども、そうですよね。(武藤国務大臣「三回行きました」と呼ぶ)あっ、三回。じゃ、私と同じですね。私も三回行ってまいりました。自分で予約されていますか。
○武藤国務大臣 済みません、三回なんですけれども、パビリオンに行ったのはヘルスパビリオンだけで、公務で、要するに開会式ですとかそういうものに行っただけですので、ほとんどパビリオンは見ておらないのが現状です。(田嶋委員「質問に答えてください」と呼ぶ)ですから、自分で予約はしていません、持っていますけれども。
○田嶋委員 これは経済産業省が一番力を入れている役所ですよね。大臣、そうですよね。(武藤国務大臣「協会が」と呼ぶ)ですよね。何か経済産業省の組織の下にぶら下がっているんでしょう、万博のあれが。(武藤国務大臣「協会が」と呼ぶ)ですよね。そうしたら、私は思うんですけれども、やはり御自分で予約して、普通の一般国民と同じような苦労を経験しないと分からないですよ、これ。どうですか。
○武藤国務大臣 すぐ予約は、二回しているんですけれども、まだ機会が訪れていないということです。
○田嶋委員 傍聴の方も大勢いらっしゃっていますけれども。私は、三回のうち二回は自分で苦労してやりました。なかなか最後までたどり着けないんですよ、これ、本当に。一度はちょっと役所に頼んで日本館を見ることができたんですけれども。
まあ、しかし、これはやってみないと分からないですよ。私も三回も行かせていただいたのは、やはり、せっかく経産省も力が入っているし、いろいろな国の、何をアピールしたがっているか、いろいろな産業界、そういうこともあるので、勉強ということで行かせていただいておるので、今度もまた、四回目、行こうと思っておりますけれども。
しかし、やはりこれは、国を挙げた大きなイベントの割にはいろいろ問題も多いなということを私も感じています。幾つ予約しなきゃいけないか知っていますか。何を予約しなきゃいけないか分かっていますか。
○武藤国務大臣 まず、入場券を確保する予約システムで、一回はスマホでやり、もう一回はコンビニへ行き、それを予約しているだけの段階で、私の家族の中でもやっていただいたんですけれども、相当大変だということを聞いているところです。
○田嶋委員 日本のデジタルトランスフォーメーションの現在地がよく分かりましたよ、嫌みじゃなく。それから、GXの現在地もよく分かった。と同時に、私はデジタルに向いていないなということで、非常に劣等感を感じさせていただきましたよ、あのシステムを触っているうちに。二時間かかっても予約できないんだから。
そういうことでございまして、これは、チケットの予約もあるけれども、パビリオンの予約もあるんですよ。しかも、西口から入ろうとすると、シャトルに乗るのにも予約が要るんですよ。一番予約なしでスムーズに入れたのはスシローだけでした、はっきり言って。これじゃ、諦めちゃう人がたくさんいる。だから、一日に十五万人を超えましたとか言っているけれども、その見えないところには、ほとんど最初からがっかりしてやめちゃう人がたくさんいるんじゃないかなという、そんな感じ。
だから、国を挙げてやっている割には、関西、名古屋あたりぐらいしか人が来ていないということですよね。お金もかかるし。これは今後のことをいろいろ考えた方がいいなというのが、私の利用させていただいた感じでございます。
そこでお尋ねしますけれども、予約システムとかでシステム改善もいろいろなされてきたと思うんですが、今日はデジタル庁もお越しですが、デジタル庁は今回のシステム設計と一切関わっていないと聞いておるんですね。そこで、私は、一つ飛ばしますけれども、今回の唯一無二の生きた教材として、ここからいろいろ学ぶものがあるのではないかなというふうに思うのでありますが、デジタル庁、いかがですか。
今回のこの万博という国を挙げたビッグイベントで、相当全国から、このデジタル予約システム、ブーイングもあるかと思うんですが、これをしっかりとシステム等の検証をしていく、活用していくということもレガシーとして大事かなと思うんですが、いかがですか。
○北間政府参考人 それでは、御答弁させていただきます。
デジタル庁は、デジタル庁設置法におきまして、国の情報システムに関する事業を統括、監理する、そういったものとされております。
今回御指摘いただいている予約システム等につきましては、公益社団法人である博覧会協会が調達し運用しているものと承知しており……(田嶋委員「質問に答えてください」と呼ぶ)はい。当該システム等が統括、監理の対象とならない点は、まずは御理解いただきたいと思います。
その上で、委員御指摘のとおり、プロジェクト終結後の振り返りや活動の評価を行っていくということについては、新たなプロジェクトの糧となっていくという重要なプロセスであるというふうに認識しております。
プロジェクトの終結後の振り返りや活動評価については、まずは実施主体が自ら行っていただきたい、そういうものの、実施主体や担当省庁の御意向も踏まえまして、我々デジタル庁においても、可能な範囲で適切な協力を行ってまいりたいというふうに思います。
以上です。
○田嶋委員 実施主体ということで、大臣、これは終わった後が大事だと思うんですよ。これはよくも悪くも国を挙げてやっているわけでありますので、相当いい部分もあり、そして相当ひどい部分もあったと思うので、これはしっかり予算をつけていただいて、デジタル庁に検証させて、何がここから学べるか、日本のDXの現在地ですから、よくも悪くも。それをやっていただくことをお願いできませんか。
○武藤国務大臣 今回の大阪・関西万博で得た教訓というものを次の大会に生かさなきゃいけないということは、委員御指摘のとおりだというふうに思います。運用面も含めた事後的な検証を実施することは大変重要かと思います。
今、現在会期中でありますけれども、博覧会協会において、予約システム、またその運用について改善を重ねている過程にあると承知しています。委員御指摘のとおり、大変な作業になるので、これじゃあかんでしょうということはいろいろな形で協会の方も考えているようですから、経産省としても協力しながら、この円滑な運営に向けて、日々改善するところを努めているところであります。
また、閉幕後の事後検証に当たりましては、デジタル庁の今御説明がありましたけれども、設置法も含めて、これから知見があればおかりしたいというふうに考えているところです。
○田嶋委員 現場の利用者や消費者の声をダイレクトに受けて、いろいろな課題を改善していくという営みとしては、私は、ふだんの国の仕事と同じだと思っているんですね。ただ、違いは、万博はお尻が切れているということなんですよ。だから、お尻が切れてからシステム改修したって全然意味がないですよね。だから、何とかこの期限にと思って、スピードアップして頑張ってくれていると思うんですよ、これは。だから、そういう姿勢でふだんの仕事も取り組んでいただきたい。
例えば、前回質問させていただいたサーキュラーエコノミーも、私は申し上げましたよ、まだ日本は町じゅうにプラスチックの使い捨てのものがおびただしい数使われていると。これは実は万博でも使われていたんですよね。私はがっかりしましたよ。これを世界中に見せちゃっているわけですから。こういう有権者、消費者の声を聞いたら、そういう声を受けて迅速にいろいろ直していくという、そういう取組としては、この万博のように、お尻が切れているプロジェクトというのは効果的だと思うんですね。
是非、大臣、予算をしっかりつけていただいて、デジタル庁と一緒に、この万博のシステムの一体どういうところに無理があったのか、待たせずに入れるというのが何か売り文句だったようでございますが、その代わり、全然予約できない人がたくさんいて、私はいまだにフランス館もアメリカ館も予約が取れないんですよ。一度も行けない、本当に。そういう意味で、少し予算をつけて検証していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
それでは、配付資料を御覧いただきたいと思うんですが、一枚目に、ソーラーシェアリングの営農型発電、クボタさんという大手が参入を始めている記事ですね。そして、次の二ページ目に、大学発のスタートアップ、かなり右肩上がりになってきているということの話ですね。そして、それの関係の文科省の資料と、三つつけさせていただきました。
二つ目のカテゴリーの質問として、ソーラーシェアリング、営農型発電ということでありますが、今日は、笹川農水大臣、ようこそまたお越しいただきまして、ありがとうございます。
これは、かつて質問させていただいたのが今年の三月二十六日でございますけれども、そのときの議事録で、どちらからも、つまり経産省からも農水からも前向きな御答弁をいただきました。
笹川副大臣、しっかりと受け止めさせていただいて、持ち帰らせていただきますという答弁をいただいておるんですが、その後、どんな検討をなされたかということの御報告をいただきたいと思います。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございました。
四月に省として食料・農業・農村基本計画を閣議決定をさせていただきまして、営農型太陽光発電について、「望ましい取組を整理するとともに、適切な営農の確保を前提に市町村等の関与の下、地域活性化に資する形で推進する。」というふうな位置づけをさせていただきました。その後、五月二十九日になりますが、望ましい営農太陽光発電に関する検討会と呼ばれるものを立ち上げました。
この営農型につきましては、一部報道では、やはり資するものではないという指摘もございます。我々とすると、今の現状の営農型の状況というものをもう少し詳細に分析をしなきゃならないというふうに思っています。
同時にまた、申請した書類等を、上がって、許可して終わりじゃなくて、その後どうなっているかということもやはりきちっと見ていく必要があろうかというふうに思っておりますので、そういう意味では、先生からの先ほどの御指摘もございましたので、DXも含めて、しっかりとそういった形で、今の現状を把握した上で、その上でやはり、どうあるべきか、どういうふうに進展させていくか。
特に、三月の御質問のときに、荒廃農地についてどれだけ把握しているのかということの宿題もいただいておりますので、その中で、営農型で適地と呼ばれるもの、また、地域計画も策定しておりますので、そういったものとも連動をしていかなきゃなりません。
あと、最後にもう一つだけ。
営農型は二階建てになっておりますので、要するに、農家の方からすると、賃料だけなのかと。上は事業所がやっていますよね。この電力のいわゆる収益、このものが農業の振興に資するものになっているのかどうか、このことも大切なことだというふうに思っています。
○田嶋委員 最後におっしゃった、上と下が違う主体だと悩ましい問題があるとか、いろいろな御指摘もあるわけでございますが、前回三月、かなり私は詳しくやらせていただいて、ビニールハウスの屋根を全部ソーラーパネルにすると日本の必要な発電量の三・七%が作れるという、それだけでもかなりな規模感だということを分かっていただけるので、是非これは、いいソーラーパネルとして、とんでもないメガソーラーじゃなくて、良質のソーラー事業として広めていただきたいと思います。
そして、あのときに言ってはいなかったんですが、昨今のお米の問題が出ておりますけれども、やはり、自然と向き合う御商売、農業ということで、農業の本当に御苦労を想像するに、ソーラーシェアということで、キャッシュフローをベースラインとして安定させるというメリットは私は大変大きいと思うんですよ。だから、先入観なく、やはり、エネルギー兼業農家という言葉もございますので、是非ともそれは、農家を応援するためのソーラーシェアリング、営農型発電というスタンスで応援していただきたいというふうに思っております。
経産大臣、同じように、御答弁、一言でも結構ですが、一緒に頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○武藤国務大臣 今笹川副大臣からお話がありましたように、共有をしながら、しっかり頑張っていきたいというふうに思います。
今のペロブスカイトの方はうちの方もあるので、民間事業者が、ペロブスカイト太陽電池、新しいやつですけれども、この活用をした営農型太陽光発電の実証に取り組む例もあると承知しています。今年度から新たに、環境省とも連携をしながら、営農型を含めて、需要家向けのペロブスカイト太陽電池の導入支援策も講じてきているところです。
○田嶋委員 ありがとうございます。
ペロブスカイト、私は発言していませんけれども、言っていただいてありがとうございます。
それでは、次の確認項目で、スタートアップの支援ということをさせていただきたいと思います。
実は私、平成二十七年、今からちょうど十年前に、宮沢大臣のときに質問させていただきました。それから、二回目の質問が、世耕大臣、いらっしゃいますけれども、平成三十年に二度目。そして、三度目は、平成三十一年、翌年にもう一度世耕大臣。そして最後は、令和三年に、梶山大臣のときにスタートアップの質問をさせていただいて、今日が実は丸々十年目なんですね。だから、十年前からずっとこのお願いをさせていただいて、状況はどうなっているかということを確認させていただきたい。
ポイントは、日本はユニコーンが僅か八社ですね。先進国でも相当数が少ないわけですが、先ほどのグラフ、資料の二枚目を見ると、そうはいっても結構伸びているじゃんという感じがするわけでありまして、最近の若い人たちは創業に相当ハードルが低くなっているという、いい感触を私も持っているわけであります。
しかし一方で、ユニコーンは少ないし、そして、二〇二七年までに十兆円投資するというふうに五か年計画で書いていますが、私が申し上げている提案は十年前から同じです。小学校、中学校、高校に起業家の皆さんを、出前授業をしてくれということを十年前に提案しました。
これは私、なぜよく覚えているかというと、そのときの委員会の場、与党席からたくさん拍手をもらったんですよ。後にも先にもそのときだけです。与党席から大拍手をいただきました。そして、意を強くして、これはみんなでやれるプロジェクトだということで経産省にお願いをしたわけでございますが、爾来十年がたちました。
文科省、経産省、今どんな状況でございますか。
○岡田(智)政府参考人 まずは、中小企業庁の取組についてお話しさせていただければと思います。
起業家教育に向けた取組につきましては、現在、中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数といたしまして実施しておりまして、令和二年度より全国の高等学校等に起業家を派遣する出前授業等に取り組んでおりまして、これまでに二百七十三校に起業家を派遣いたしまして、一万四千八百三名の学生に対して講演等を実施してきております。令和七年度におきましても、五十校に対しまして起業家を派遣する予定でございます。
また、同じく中小機構におきまして、高校等における起業家教育の導入を支援する「標準的カリキュラム実践のための手引き」を作成しておりまして、本年三月に改定したところでございます。この手引を基に、中長期的なカリキュラムを策定した上で実施する授業に対する支援も行っておりまして、これまでに、七十六校、三千二百八十四名の高校生に対して授業を行っているところでございます。
○先崎政府参考人 お答え申し上げます。
起業家の皆様の自らの体験、既存の枠組みにとらわれず社会や産業の諸課題にチャレンジし続ける姿勢を児童生徒に伝えることは、アントレプレナーシップ教育として非常に重要だと考えております。
文科省では、起業家の皆様をアントレプレナーシップ推進大使として任命をいたしまして、学校現場などに派遣をする取組を実施しております。昨年度は百六十四件、一万五千人の児童生徒が受講していただきましたが、本年度は約五百件規模で授業を実施したいと考えております。予算は約一億円を計上しております。
また、本年三月、文科省と経産省と共同で、アントレプレナーシップの醸成に関するジャパン・アントレプレナーシップ・アライアンスを発足いたしまして、民間企業、自治体の方々と一緒になって、オール・ジャパンでの普及、定着を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
引き続き、質、量の充実に努めてまいります。
○田嶋委員 私が質問をやめたらプロジェクトも終わっちゃったかなと思って心配していたので、そういう意味では、続いていて非常によかったと僕は思っておるんです。
こうやって少しずつ創業の数も上がってきておりますが、ただ、残念ながら、予算規模が小さ過ぎると思うんですよ。これはほかのいろいろなハードを投資する話と全然桁が違う。数千万円とか一億とか、そういう水準ですから。
私は、これは子供がどこに暮らしているかで、起業家の生の声を聞くチャンスがあった子供と違う子供、そういう差がないように、全国、例えば中学校だったら五千校ですよね、五千校の中学校、あっ、高校。だから、数は知れているんですよ。もうちょっと起業家の協力を取り付けるということは絶対簡単にできると思う。そうですよね、世耕さん。できますよね。
そういうことで、是非大臣、これはできますから、私は十年言っていて、ここまで来れたことは多としますけれども、しかし、全国の子供が一度は小中高の間に、起業家の生の声、わくわくする生き方の道を教えてもらえるような、そんな機会を。
私は、高校生のときにソニーの創業者の盛田さんのお話を聞きました。わくわくしました。感動しました、高校のときに。そういうことが必要なんです。だから大学生のスタートアップが増えてきている、私はそう信じていますので、是非頑張っていただきたいとお願い申し上げて、大臣、最後に答弁いただいていいですか。予算を増やしてください。一桁増やしてください。
○武藤国務大臣 世耕元大臣もうなずいていらっしゃったので、応援していただけるものと思っております。
参考人の答弁にありましたとおり、今、出前で五十校なんですね。先生がおっしゃるとおりだと思います。私も教育が根幹だと思っていますので、質の高い起業家教育、これが一層広く実施されるためには、これは行政の取組だけではなくて、学校ですとか自治体ですとか、それから産業界の連携、これを強化することが重要だと思います。
今年三月に、文科省とジャパン・アントレプレナーシップ・アライアンスを立ち上げました。起業家教育の関係者の参画を促し、この取組を活用しながらまた広く起業家教育が実施されるように、引き続き頑張ります。
○田嶋委員 定性的には同じことを言っているんですけれども、私は地元で中学校と小学校へ一校ずつ送り込んでいるんですよ、スタートアップの起業家を。
今のペースだと百年かかりますから。一年に五十校、百年かかりますよ。是非それをスピードを上げて、全ての子供たちにそういうチャンスが一度はあると。明らかにその差が出ているんですよ、各国と日本で。日本だけなんですよ、起業家に接する機会がないままに大人になっている国は。だから、そこを是非変えていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、吉田はるみ君。
○吉田(は)委員 立憲民主党の吉田はるみです。
今、田嶋委員からもありました大学発のベンチャー、アントレプレナーシップ、起業家精神、まさに応援したいところでございますけれども、一つ、やはりこれを実現する上で、実は今日私が取り上げるのは学生の就職活動、就活に関してです。イノベーションはどこから生まれるか。それは、管理された中からではない自由な時間、そして、失敗や挑戦、これを応援する私は風土だと思っています。今、それがこの就職活動においてかなり厳しい状況が学生にあるという点を中心に指摘をさせていただきたいというふうに思います。
まず、就職協定、皆さん、私の世代なんかは就職協定のことが非常に色濃く残っている。私は就職氷河期世代なんですけれども、でも、実際、今はこれはありません。理論上は就職協定に縛られない外資系企業やその参入によって形骸化しまして、一九九六年に就職協定は廃止されました。
代わりに、就職活動の大きな混乱を避ける目的で、九七年に企業の採用選考に関する緩やかなガイドラインとして倫理憲章が設けられ、さらに二〇一三年には倫理憲章が採用選考指針に改められました。それで、毎年、これは内閣官房、文科、厚労省、そして経産省の連名で就職、採用活動に関する要請事項が発出されているわけです。直近では、今年三月二十一日付で経団連始め経済団体などに要請が出されています。
まず、ここでちょっと一つお伺いしたいんですが、ということで、通年採用が行われていると私は理解しているんですが、通年採用、経産大臣としては、いいねと思いますか、それとも何か問題があるとお感じでしょうか。
○武藤国務大臣 大学等の就職、採用活動につきましては、学生が学修時間等を確保しながら安心して就職活動に取り組めることが重要かというふうに認識をしています。このため、毎年度、内閣官房が就職、採用活動日程に関する考え方を取りまとめて、それを遵守するように関係省庁で連携して経済団体へ要請してきていると承知をしているところです。
また、定められた採用日程を守った上で、既卒者、留学生などの多様な人材の活用を促進する観点から、委員おっしゃられる通年採用を含めて採用方法の多様化の検討も要請しているところであります。
経済産業省として、定められた採用日程を守った上で、通年採用が広がっていくということについては望ましいことと考えているところであります。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
大臣、今日は、答弁書もいいんですけれども、全国の学生が注目してくれていると私は思いますので、是非大臣のお考えとお言葉を私は伺いたいなと思います。
ちなみに、この通年採用、海外では一般的に行われているような感じなんですが、ただ、違いは、日本の場合はやはり新卒神話があるじゃないですか。やはり、二十二歳、三歳ぐらいで新卒で出て、そこで採用されなかったらという焦りが学生の中にはあるわけですよ。でも、海外で通年採用をしているところというのは、大学を卒業してからも一般の企業がどんどん採用してくれる。全然ベースが実は違うというところは御理解いただきたいなというふうに思います。
そこで、一つ、次に、皆様のお手元にお配りしている資料の一枚目を御覧ください。マークしたところ、これは全部外資系のコンサルティング会社です。東京大学の二〇二三年度の卒業生、これは学部になりますが、トップはEYストラテジー・アンド・コンサルティング、アーンスト・ヤングですね、これは二十名。次はアクセンチュア、三番目がアビームさん、アビームコンサルティングさんは日本発と言われています。その後に続くゴールドマン・サックス証券やデロイトトーマツ、マッキンゼー・アンド・カンパニー、PwC、それからボスコンという、まさに外資系のコンサルティング会社がずらっと並んでくるわけです。大臣、トップはほぼほぼ外資系の企業ですよ。
かつては、東大の法学部を出て、やはり財務省、官僚さんになるというのが人気だったと思うんですが、様変わりしています。この点、大臣は御存じだったでしょうか。そして、日本企業への希望が減少していること、また、官公庁で官僚を目指すんだという学生が私は増えてほしいなと思うんですけれども、この現状を率直に大臣はどうお感じになられますか。
○武藤国務大臣 吉田委員から事前通告もいただいて、ちゃんと役所の中でも議論をしながら答弁書を作っていますので、私も相当これについては参加していますから、大丈夫ですから、お気遣いなくお願いいたします。
そもそも、私が卒業したのは昭和五十三年ですから、相当前の世代であります。ただ、今の兆候というんですかね、世の中の流れ、相当変わってきているというところが正直あるところだと思います。いわゆる人の多様性といいますか、さっきの、今日の御質問でもありましたスタートアップも大学発から随分増えてきておりますし、ここ数年でもまた更に拍車がかかって多様性が増えてきているんだと思います。
今、現実、今委員から御指摘があった外資系のコンサルティング会社が多数存在していることも、これは承知しているところです。
そこのいわゆる報酬もいいんだろうというふうに私も想像するだけですけれども、そういう中で、学生の就職先の選定については、これは一般論ですけれども、賃金ですとか働き方含めた処遇、それから業務内容、企業業績、また、そこの会社に対する夢ですよね、ある意味、学生さんにしてみると。そういう多様な観点から総合的に決定されるものだと思っているところです。
日本企業の希望者が減少している、また役所に入る人が少なくなっているというのも、これも現実ですので、日本企業が学生から選ばれる魅力的な企業となることが重要だろうというふうに思っているところです。人的資本経営の推進、賃金や働き方含めた処遇改善、これを我々としても後押しをしていかなきゃいけないところだと考えているところです。
○吉田(は)委員 ありがとうございます。
私自身、外資系のコンサルティング会社にいました。ただ、社会人経験を経て入っていって、それは大変多くの学びをいただいた経験になったんですけれども、学部の卒業時点でこのように多くの方がコンサルティングファームを目指すというのは、もちろん、やりがいもあると思いますし、賃金というのは大きいと思うんですね。ただ、やはり魅力ある日本企業はたくさんあります。官公庁も、本当に皆さんすばらしい、日本のトップブレーンが集まっていると思いますので、やはりそこの魅力も発信していくというのは私はとても大事だなというふうに感じています。
次なんですが、今度は、昔は内定、内々定、内々々定みたいなのがありました。でも、今は、内定をもらっても、幾つかかけ持ちしている場合もあります。これはいいですよね。幾つか内定を持っていること、これは大臣、問題ないですよね、うなずいていただいていますけれども。
ここで今問題になっているのがオワハラ。大臣、この言葉を聞いたことはあるでしょうか、オワハラ。いろいろハラスメントはあるんですが、これは、大学生が内定をもらった後に、うちに決めろとか次の就職活動をもうしないでくれとか、確実にうちに入ってほしいということで受けるハラスメントのことをオワハラといいます。
オワハラから進んで、学生だけじゃなくて、今度はオヤカクというのがあるんですね。オヤカクって、大臣、聞いたことはありましたか。初めて聞く。(武藤国務大臣「昨日聞きました」と呼ぶ)昨日聞いた。ありがとうございます。聞いていただいて結構なんですけれども、親に確認する、保護者の方に、おたくの御子息またお嬢さん、こういうことでよろしいですか的な、オヤカクというのがあります。
すごいですね、次々と。これは囲い込みですよ。うちの会社に入ってほしい、人手不足であるから優秀な人材を青田買いしていくという、やはり企業としては人が重要なわけなので、そうなるのも分からないでもないような気はしますけれども、大変私は問題だと思っています。
ちなみに、資料二に、オワハラに何が当たるかというのをそこに書いています。皆さんも、ああ、オワハラってこういうのが当てはまるのねというふうに、ちょっと御確認いただければと思うんですが。
ここで大臣に、ごめんなさい、通告では見解というふうに書いていたんですけれども、一つちょっと具体例を挙げさせていただきたいと思います。
私は大学で学生のゼミの指導なんかもしていまして、そのゼミ生が就活に行きます。四年生になって、毎週ゼミで顔を合わせるんですけれども、いや、ちょっと先生、今週はもううちは発表は難しいですと。何でと言ったら、今日、ちょっと内定をいただいている企業からプレゼンをやらなきゃいけないと。えっ、何で、うちのゼミよりも企業のプレゼンテーションの準備を優先するのと、ちょっと私、ええっと思ったんですよ。
四年生でも、内定をもらって、企業からそういう形で課題をもらって、二か月に一遍、あるいは企業によっては三か月に一遍、同期、内定を出している人たちが顔を合わせて、何か課題に対してプレゼンテーションしたり懇親会をしたりしているんですね。これは私は一種の囲い込みだと思っています。これはオワハラに当たりますか。
○江浪政府参考人 お答え申し上げます。
オワハラに関しましては、就職、採用活動の、就職活動の自由の制限という観点で問題があるということでございます。
今御指摘の同期で集まるような取組がどのようなタイミングで行われて、また、その結果として一体就職、採用活動に影響があるのかという観点で内容を確認する必要がありまして、今ちょっといただいた情報だけではなかなかお答えすることが難しいところでございます。
○吉田(は)委員 そうですよね。今初めて聞いたということもあると思います。
ですから、ちょっと質疑時間があと五分になってしまったので、最後に、済みません、飛びます。
だからこそ、大学の担当者、現場の声と、そして経済界の採用する側、ここの話をちょっとつなげていただきたいんですよ。実際、やはり大学が就職予備校化してはいけないと私は思いますし、資料三を見てください、大学生はもう二年の終わりからインターンに応募するために就活を始めているんですよ。四年の中で二年半は就職活動。
こんな状況で、イノベーション、新しいそれこそベンチャーに挑戦しようとか、起業家精神、これは私は生まれてこないと思うんです。もっと学生を自由にしてほしい、もっと大学生に挑戦する機会を与えてほしいと思うんですね。大学に入ってずっと就職活動のことばかり考えていなきゃいけない、これでは私はいけないと思うんですが、ちょっと大臣に伺いたいと思います。
もう一つだけ、ごめんなさい、例を挙げさせていただきたいんですが、さっきプレゼンテーションの話がありました。即戦力を今企業は求めます。でも、昔はどうだったでしょうか。会社に入ってから人を育てました。ちゃんと一年ぐらいかけて育てていました。でも、今は違うんですよ。
これも私の経験で恐縮なんですけれども、学生は、大学四年の間に内定をもらったら、宅建を取りなさいとか、証券アナリストの資格を取りなさいとか、TOEIC、ちょっとあなたは足りなかったけれども、何点までやったら正式にちゃんと内定を出すよとか、簿記を取ってきなさいとか、こういう資格に対する要求もされるんです。これは、即戦力というのは、私はちょっと学生に求めるのは違うと思いますけれども、大臣、どうでしょうか、この点。
○武藤国務大臣 先ほど私の昭和五十三年代の、昭和の話をしちゃいましたけれども、娘の話なんかを聞いていると、まさに委員が御指摘のとおりのところもありました。
それぞれ様々かもしれません。世の中の多様性があります。ただ、先生おっしゃられるように、学生さんが、四年間しっかりと勉強してこい、これは社会経験も含めて多様性の中でやるべきものだというふうに思っております。一方で、今先生がおっしゃられたように、やれTOEFLの試験は何点以上取ってこいとか、そういうことを締めつけるのもいかがなものかと。
そして、我々経済産業省としては、これは産業振興の立場からでありますけれども、経済団体へ要請という形で、学生が学修時間等を確保しながら安心して就職活動に取り組むことができるよう、定められた採用日程の遵守、今先生おっしゃられるオワハラとか、そういうものを行わないように求めているところであります。また、内定を承諾するよう保護者に同意を要請する、強要する、いわゆるオヤカクというものを行わないように、ここも今年三月から明確に求めているところであります。
○吉田(は)委員 これにはたくさんの課題が私は山積していると思うんですが、もう一つ、大臣、ガクチカって聞いたことはありますか、ガクチカ。聞いたことはない。じゃ、これも是非今日確認していただければと思うんですが、今、ESとかガクチカとか、ESも、大臣、ちょっと御確認ください。エントリーシートです。インターンに応募するときにESを書く。その中で、じゃ、自分のガクチカは何にする、こういう話を学生はするわけです。
学生時代に最も力を入れたこと、それをガクチカというんですけれども、これを今学生は見つけるために必死なんですよ。仲介業者さんにお金を払って海外にインターンに行ったり、社会的活動をしてガクチカを挙げるとか、こういう経済活動も実は始まっているんですね。
だから、これが結局、お金をかけてこういうことができる人と、かけられない、一生懸命アルバイトをしながら学費を何とか捻出しながら頑張っている学生と、ちょっとそういう社会経験のところでも差が生じてくるというのは、これはあってはならない。
結局、変えられるのは企業なんですよ、採用する側なんですよ。ちゃんと人を見極める、ある意味、ちゃんと頑張っている人を見る目を持ってほしいということなんですが、今こうして経産委員会でもこういった課題が浮き彫りになったと思います。
つきましては、大臣、是非、経産省、そして文科省、企業の採用担当者、また大学のキャリアセンターの方、まさに現場の方の連絡会議、これをつくっていただいて、現状をヒアリングしていただけないでしょうか。きっとたくさん現場からは声が上がると思います。いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 いろいろいつも新しい言葉を教えていただいて、ありがとうございます。
世の中の趨勢の略語というのは、正直言って、余りに略語ばかり増えるとまた日本は混乱するのかなという気がしておりますけれども、いずれにしても、関係省庁とよく連携しながら、事務方にも指示して、よく現場を掌握していきたいというふうに思います。
○吉田(は)委員 人こそ経済の力、是非、連携会議、期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。終了します。
○宮崎委員長 次に、山崎誠君。
○山崎(誠)委員 立憲民主党、山崎誠でございます。
貴重な質問の機会をありがとうございます。
今日も再生可能エネルギーをテーマにしたいと思います。
洋上風力発電。週末、五島列島に行ってまいりまして、浮体式の洋上風力発電所を視察をしてきました。戸田建設さんが代表企業を務める事業で、二〇一〇年に始まった環境省による実証事業の一期からスタートして、現在は、再エネ海域利用法に基づく促進区域として指定された海域で八基の風車が建設をされています。
この八基は来年の一月に運転開始を予定しているということでございまして、一基二メガワット、大体中型だと思います。トータル九基ありますので、全体で十八メガワットぐらいの発電の容量を持って、将来的には島の電力の一〇〇%を賄えるぐらいの発電が可能だということであります。技術的にも、世界初のハイブリッドスパー型というタイプの浮体式の洋上風力発電設備。簡単にイメージを持っていただけるとすれば、釣りの浮きですね、筒状の細長い浮きのような形でバランスを取って浮かんでいる。ただ、近くに行って見ますと、全く揺れもしない、本当に着床式と変わらないぐらい安定した、しっかりとした設備でございました。
この洋上風力というのは、地域との合意、特に漁業関係者との合意なども非常に手間がかかるということで、漁協の皆さんのお話もお聞きをしました。それで、事前に考えていたのと事後でどういう変化が、影響があったか、例えば事前に抱いていた懸念は実際に建ててみてどうだったのかお話を聞きましたけれども、全く漁業に影響はない、全く問題ないということでお話をはっきりとお聞きしました。何度も確認しましたけれども、ほとんど問題ないと。まあ、はえ縄漁業とか、一部はある、でも、それはちゃんとその領域が限られて分かっているから、そうした漁業にも影響ないんだよということで、私は非常に力強いお言葉をいただきました。逆に、様々、その協力に対する対価として、漁船の保険料とか、あるいはメンテナンスの費用とかを支援をしていただいているので大変助かっているということでありました。
こういうお話を是非全国の漁業関係者にも聞いていただいて、この浮体式洋上風力との共生、こういったものを進められたらなと思いました。五島市の行政の担当も極めて前向きに取り組まれていて、地域を支える産業としても極めて有望だということで、前向きなお話をいただいたところでございます。
私は、是非これを伸ばしていくにはどうしたらいいのかということでこの後御質問したいのでありますけれども、その前段で、再エネ海域利用法によって、洋上風力事業、現状、第一ラウンド、第二ラウンド、第三ラウンドということで公募が成立をして事業がスタートしている。ただ、これはコストがアップをして採算が取れないということで大変な事態になっているということであります。
時間もないので私から御説明して、第一ラウンド、これはFITで事業を開始したんだけれども、うまくいかないのでどうしようといったときに、FIPに転換をする、いわゆるFIP転ということが認められて、これで第一ラウンド、一段落とはなかなか言い難いと思いますけれども、前に進めることができるということであります。
このFIP転ということについても、公募に応募した他の企業から、そんな話は聞いていなかったぞというようなことで、いろいろな声が上がっているのは聞いております。それはちょっと質問を飛ばしますけれども。
第一ラウンドも成功させなければいけないんですけれども、当然でありますけれども、第二ラウンド、第三ラウンド、今動いているプロジェクトも同じように厳しい状況の中で事業を遂行していっていただかなきゃいけない。
ここで一つどうしてもお聞きをしなきゃいけないのは、FIPで市場に売る、いわゆるPPAの市場に電気を売るということで第二ラウンド、第三ラウンドの皆さんは動いていました。その中に、第一ラウンドのプロジェクトもFIPになって、一・五ギガワットという大きな電源がこのFIPの市場、PPAの市場に参入をしてくるということで、非常に第二ラウンド、第三ラウンドの事業者にも影響が出るということでございます。
この辺り、何らかやはり支援をしていかないと、第一ラウンド、第二ラウンド、第三ラウンド、全てが苦しい状況になってしまうというふうにも思うのでありますけれども、この辺りの影響をどういうふうに読んでいるのか、その影響に対して、第二ラウンド、第三ラウンドの事業者に対してどういう支援というんでしょうか、サポートをするのか、お聞きをしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず、冒頭御紹介いただきました長崎県五島の浮体式につきましては、昨日、洋上風力発電の海域を領海からEEZに拡大する法律も成立をいただきまして、ありがとうございます。これを踏まえまして、政府としましても、浮体式の洋上風力についてしっかりと支援をしてまいりたいと存じます。
また、今お尋ねございましたFIT制度からFIP制度への転換でございますけれども、二〇一二年より開始したFIT制度について、課題、問題点を踏まえて制度改善を図る観点から、二〇二二年四月にFIP制度を新たに導入したところでございまして、これは、国民負担を一円も増やすことなく再エネの電力市場への統合を促すとの趣旨によるものでございます。
また、このため、FIT認定を取得済みの電源についても、この二〇二二年四月のFIP制度の開始以降は、電源種を問わずFIP移行を可能とした上で、FIP移行を推進してございます。
今御指摘いただきましたように、洋上風力発電についてはインフレ等の影響がございますので、様々な形で投資の事業環境整備が重要と認識してございます。
このため、昨日、六月三日から関係審議会において議論を行うとしたところでございまして、公募の公平性を損なわないことを前提としまして、占用期間の在り方を含め、更なる制度の在り方等を検討してまいりたいと存じます。
○山崎(誠)委員 質問に答えてくれないと。
PPAに与える影響、第一ラウンドからどういう影響が第二ラウンド、第三ラウンドにあるのか、第二ラウンド、第三ラウンドの事業者にどういう支援をするのかを聞いています。質問に答えてください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず、先ほど申し上げましたとおり、FIT制度からFIP制度への移行につきましては、関係審議会で、結論ありきではない形で、丁寧に議論してまいりたいと存じます。(山崎(誠)委員「質問に答えてよ」と呼ぶ)はい。
その上で、第二ラウンド、第三ラウンドの事業者の事業環境整備につきましては、先ほどの占用期間の在り方を含め、様々な形で投資事業環境整備をしっかり図ってまいりたいと存じます。
○山崎(誠)委員 PPAの市場に与える影響をどういうふうに分析をしているのかを聞いています。
○宮崎委員長 資源エネルギー庁伊藤省エネルギー・新エネルギー部長、端的に質問に答えてください。
○伊藤政府参考人 仮にFITからFIP制度への転換ということになりました場合には、当然のことながら、第一ラウンドの参加事業者がPPAの形で相対で電気をお売りすることになりますので、そういう意味では、第二ラウンド、第三ラウンドの事業者への一定の影響があるということは当然だと思っております。
その上で、第二ラウンド、第三ラウンドの事業者の投資環境の整備については、先ほど申し上げたとおり、関係審議会において事業環境整備の在り方について検討してまいりたいと存じます。
○山崎(誠)委員 影響あるんですよ。だから、これは早急に、審議会で議論していただくのもいいでしょう、公平公正、そして透明なプロセスで、第一ラウンド、第二ラウンド、第三ラウンド、それぞれの事業者が事業をきちっと遂行できるように、経産省、最大の努力をしてください。
今お話がありましたとおり、洋上風力の発電の事業採算性の向上、これは急務だと思います。そのためには、様々なコストダウン対策、技術開発支援、サプライチェーンの支援、あるいは運転期間の延長等の、そういう運用の支援も必要だと思います。
現場から三つ聞いてきたものをお伝えをして、御回答いただきたいと思います。
一つは、部分的な運転開始を認めてもらいたいということなんですね。例えば、三十本あるいは百本と、これから大規模な風力発電所ができていくんですけれども、全体が完成するためには、やはり一年とか、もっとかかるかもしれない。でも、前半で例えば十基、五基完成をしている、これはもう発電開始ができるんだけれども、でも、最後の一基まで完成するまで発電開始ができない。だから、これを部分開始をすれば、その間にも売電収入が入ります。事業採算にはプラスになる。
二つ目は、今お話ありましたけれども、海洋利用法において許される運転期間三十年、前後に建設と撤去が入っている、そうすると二十数年ということで、これで採算を考えなきゃいけないというのが今です。例外的に延長ができるんだけれども、その延長が決定できるのが三十年後になってしまう。これでは、事業採算を事前に検討する際には、やはりその二十年、制約にどうしても遭うわけですね。これを何とか長くしてもらいたい。だから、三十年後に延長が決まるのではなくて、原則、こういう条件をちゃんと満たせば、三十年あるいは四十年、どういう延長になるか分かりませんけれども、それが可能なんだということを制度的に担保していただく、それだけでも全然融資の条件とかが変わります。これが二つ目。
それから三つ目は、公募時に風車の仕様の決定が非常に厳格に今求められていて、もちろん変更がこれから利くんだという話でありますけれども、いろいろな、価格交渉だとか、いろいろな新しい技術の開発だとか、そういった技術的な進歩、風車を買うための工夫が事前の公募時の仕様の決定の厳格化によって非常に阻害されている。
この三つ、これは現場からの声です、お答えいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
昨日からスタートいたしました審議会におきまして、今委員から御指摘いただきましたような論点についても検討してまいりたいと思います。
その上で、三点、具体的に御指摘いただきました。
まず、洋上風力発電の部分的な運転開始につきましては、実はこれは、FIT、FIP制度におきまして、電源の共通ルールとして、再エネ発電設備の一部が認定後、長期にわたって運転を開始しない未稼働案件となることを防ぐため、設備の全部が完成した後に売電開始を行うということを求めてございます。
洋上風力の発電につきましても同様の取扱いとしておりまして、この点については、洋上風力発電の公募ルールを定める際に実施したパブリックコメントの回答の中でも、運転開始をした一部分だけでの売電は認めない旨の取扱いを示してきており、そういう意味では慎重な検討が必要な論点と認識してございます。
二点目としまして、占用期間の在り方について御指摘を賜りました。
再エネ海域利用法に基づく選定事業者は、公募占用計画の認定の有効期間の三十年を超えない範囲で占用許可を受けることが可能と現在されておりますが、認定の有効期間が終了した後の取扱いについては、促進区域ごとの公募占用指針において占用許可の更新が認められる要件を示しているところでございます。その意味で、今御指摘いただきましたとおり、今後、海域の占用期間に係る更なる予見性の確保につきまして、今御指摘いただいたことを踏まえて、関係審議会においてしっかりと議論してまいりたいと存じます。
また、三点目、風車の仕様変更につきましては、これは実は、昨年、関係審議会において既に計画変更の要件を明確化したところでございまして、そういう意味では基本的には認められるということで、これに基づき、事業者から計画変更の申請があった場合には、必要に応じて有識者の意見も聴取しつつ、適切に対応してまいりたいと存じます。
○山崎(誠)委員 経産省、是非これは姿勢として、事業採算が悪くて大変苦しんでいる、少しでも事業の有利になる条件、これを入れてくださいよ。部分運開なんというのは、これは絶対やったら事業者は喜びますよ。それだけでもかなりの収益増にもなるんだから、こういったことは前向きに、しゃくし定規に考えないで対応いただきたいと思います。よろしくお願いします。
浮体式の洋上風力は、私は非常にメリットは大きいと思うんです。一つは、健康影響とか環境影響、これが離岸距離の小さな発電というのは非常に問題になっている。景観の問題などもあります。沖合に出て設置ができる浮体式の洋上風力というのは、そうした影響を小さくして、非常にメリットがあります。
それから、浮体式は、装置を汎用化して、一つの仕様でたくさん造って、それを浮かべるということになりますので、非常に量産効果だとかもあるし、製造、建設、メンテナンス、一貫した産業を海域ごとにつくっていくこともできる。経済効果も大きいと思います。
そしてまた、風車は十万点と言われる部品の集合体で、自動車産業の技術などとも親和性があると聞きました。今後、自動車産業がEV化だとか再編だとかそういうことになっていったときに、技術者の受皿というんですか、そういう意味でも有望な産業になります。
私は、日本全体の産業を考える上で浮体式の洋上風力というのは極めて重要で、見てきた戸田建設さんのプロジェクトみたいに、日本の技術もすばらしいものがあるんだ、これを是非大きく育てていただきたいと。これは、経産大臣、決意をお聞きをしたいと思います。
○武藤国務大臣 いろいろな今課題を持っているということは承知をしているところです。
先ほど参考人からもありました、三日から、ちょうど昨日からですけれども、関係審議会がスタートしました。しっかり議論しながら、委員は浮体式の方を御覧になっていると思いますけれども、是非、またこういう意味で、日本の強靱力にもつながるところだと思いますので、検討してまいりたいというふうに思っています。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
検討するというのはちょっと弱いですよね。是非これをやると決意をお聞かせください。
○武藤国務大臣 できれば五島列島に行って見てから、それで、やりますといって言いたいところです。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。是非見に行ってください。
ちょっとバイオマスの質問をしたかったんですが、時間がなくなりましたので、申し訳ございません、今日はこれで終わります。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、東徹君。
○東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。
今日は、経済成長に資する質問をさせていただきたいというふうに思います。
武藤大臣は、経営者もやられているというふうなことで、中小企業とかにも非常に関心がおありだというふうに思います。
今、なかなか経済が成長していかない。その中で、賃金を上げていく必要がある、賃金を上げていくためにはやはり生産性を向上させていく、こういったことがよく言われております。
その中で、中小企業の数というのは、もう大臣もよく御存じのとおり、三百三十六万社あるというふうなことで、約九九%。中堅企業、これが九千社。経済産業省としても、中堅企業はやはり増やしていかないといけないというふうなことで、施策をやっていっているということも皆さんよく御存じだと思います。大企業は一千三百社ということですけれども。
そういう状況の中で、これは東京商工リサーチの数字ですけれども、二〇二四年の倒産件数、これが一万六件あるということなんですね。十一年ぶりに一万件を超えましたというふうなことです。もちろん、人手不足だとか代表者が高齢者によってとか、そういったこともあるんだろうと思いますけれども。また一方で、休廃業とか解散の件数、これが非常に多くて、六万二千六百九十五件というふうに、過去最多を更新しているということでございます。
これを合わせると年間七万件を超える企業の倒産とか休廃業があるわけでありますが、MアンドAの件数を見ますと、事業承継・引継ぎ支援センターの成約件数でいくと年間二千件程度にとどまっているということで、非常に少ない状況です。日刊工業新聞の記事に中小企業庁の人の発言が載っておりましたけれども、数万件のMアンドAが成約してもおかしくないというふうなコメントを出されておられました。現状のMアンドAの件数は、やはり本当に少ないというふうに思うわけであります。
特に、中小企業のMアンドAの件数がもっと増えていけば、倒産だとか休廃業の件数を減らしていくことができるのはもちろんのこと、企業の生産性向上によって雇用を守ることもできるし、賃金をアップすることもできるし、そしてまた、取引先に迷惑をかけないで済むし、さらには、大切な技術というものを継承していくことができるというふうに思うわけです。
そんな状況の中で、特に、中小企業のMアンドAのことなんですけれども、MアンドAのコンサルタント会社がありますよね。十分な調査能力もなくて成功報酬目当てで悪質な仲介業者というのが後を絶たないというのは、もうこれは御存じのとおりだというふうに思うわけです。
やはり、そういった悪質な仲介業者から中小企業を守っていくということも大事な観点で、もちろん、登録を打ち消していったりとか、そういったことを経済産業省もやっているのは存じておりますが、一番大事なことは、地銀を始めとする金融機関がMアンドAの支援にもっと積極的に乗り出していくということが大変重要だというふうに思うわけです。
金融庁も監督指針を改正したということなんですけれども、それだけでは金融機関の背中を押すということにはなかなかなっていないのではないのかなというふうに思うわけです。
やはり金融機関というのはすごいなと思いますよ、調査能力が。もちろん、会社の経営状況であるとか取引先であるとか、そしてまた経営者の家族構成から何からみんな調べてお金を貸しているわけですから、非常に、やはり金融機関には相当な情報があるわけですね。ですから、中小企業のMアンドAの支援を金融機関の本来業務に位置づけていくべきだというふうに思いますが、まずは、ここは金融庁にお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、新谷委員長代理着席〕
○岡田(大)政府参考人 お答え申し上げます。
銀行の本業でございます銀行業は、預金の受入れと資金の貸付けを併せて行うこと、それから為替取引を行うことと法律上なってございまして、こうした銀行業の業務は、銀行免許が必要かどうかというのを判断する業務として法律上規定されているものでございます。
MアンドA支援をそこに位置づけることは、業務の性格、リスク等の観点から適当でないと考えておりますが、いずれにいたしましても、御指摘のとおり、地域金融機関がMアンドA支援に取り組むことは極めて重要と考えておりますので、金融庁としても、引き続き、地域金融機関における取組を後押ししてまいりたいと思います。
○東(徹)委員 やはり非常に弱いですね。銀行業務、今言われましたけれども、確かに銀行業務というのは、預金又は定期預金等の受入れ、資金の貸付け又は手形の割引、為替取引というこの三つしか書いていないわけですね。でも、それ以外に、付随する業務ということで、いろいろ書かれておりますけれども、非常にやはり大事だというふうに思っていまして、これは、一万件倒産している、そしてまた約六万二千件が休廃業に追い込まれていっているという状況であるからこそ、お金を借りているところは、経営状況とかは、やはり金融機関が一番これを把握しているわけですよ。
だから、やはりこれは、本来、金融庁がもっとMアンドAに力を入れて、銀行の業務として位置づけるぐらいやっていかないと、日本の経済というのは成長していかないのではないのかなというふうに思うわけです。
一方、今ある経済産業省のMアンドAの補助金もありますけれども、これも間接的に金融機関が入ってくることになりますけれども、もっと直接的なインセンティブの機会を、やはり、姿勢を変えていくということができれば、情報も人脈も持っている金融機関によって、相性のいい、良質なMアンドAの件数を増やしていくことができるというふうに思うわけです。是非これは、金融機関へのインセンティブ、手数料であったりとかそういったものを考えていくべきというふうに思いますが、武藤大臣と金融庁、それぞれのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 私も、そういう関係でいいますと、取引先銀行、メインバンクとよく言いますけれども、中小企業にとってみると、まずはそこなんだろうなという正直な気持ちはしているところです。
MアンドAをするというのは、顧客先からの御紹介だったり、いろいろなのがあります。昨今、そういう意味で、ちょっと悪質なところも非常に増えているというのも承知しているところです。これを何とか救わなきゃいけないというのが、経済産業省からいうと、産業振興の立場でいうと、そういうことになります。ですから、そういう意味で、率先して、金融機関の方にもそういう形で、金融庁さんにも協力を得ながら今後やっていかなきゃいけないと思います。
地域金融機関も、これもいろいろありまして、正直申し上げて、積極的なところもあれば、また、質の高い支援に取り組んでくる、銀行それぞれのサービス業という形での対応があるんだと思いますけれども、我々としては、中小企業が選択をしながら、利用しやすいような仕組みづくりというものが、経産省としては検討していけるところだというふうに思っていますし、今これをやり始めたところであります。
今後とも、中小企業がMアンドAに安心して取り組むことができる環境整備を進めてまいりたいというふうに思っております。
○岡田(大)政府参考人 お答え申し上げます。
金融庁といたしましても、金融機関に対しまして、MアンドA支援についてアンケート調査やヒアリングを実施し取組状況などを確認する、その他のことを進めると同時に、よい取組事例などを横展開していくとか、そういったことを通じて、引き続き、地域金融機関に対してMアンドA支援の取組を後押ししてまいりたいと思います。
他方で、金融機関は企業の資金需要に対して融資を行うという立場でございまして、取引に際しては優越的地位の濫用に当たらないよう留意が必要でございます。金融機関に補助金によってインセンティブを与えることにつきましては、顧客の実際の需要に基づかないMアンドAの仲介とか、そうした取引を誘発するリスクも鑑みながら、慎重に検討する必要があると考えております。
○東(徹)委員 僕は、武藤大臣に、やはり、先ほど答弁されましたけれども、これは最初に言っていますように、倒産件数が一万件を超えている、休廃業が六万二千六百九十五件、年間約七万件を超える企業の倒産とか休廃業があるわけです。それに対して、MアンドAの件数というのは二千件しかないわけですよ。
先ほども言いましたように、雇用を守るだとか、技術力をちゃんと継承していくとか、そしてまた、給料が上がっていくような日本の経済に変えていく、そのためにも、私はやはり、経済産業大臣として、金融庁とももっとしっかりここは連携というか話をして、もっと金融機関にそういったMアンドAに協力してもらえるような形を是非つくっていくべきだというふうに思いますので、もう一度御答弁いただければありがたいなと思います。
〔新谷委員長代理退席、委員長着席〕
○武藤国務大臣 しっかりまた、委員の御指摘も踏まえて、対応させていただければと思います。
○東(徹)委員 是非お願いいたします。
続いて、核融合発電についてお聞きしたいと思います。
核融合発電、もうもちろん皆さんも御存じのとおり、CO2を排出しない、そして、一グラムの燃料から石油八トン分のエネルギーが出る、これは理論上ですけれども、そして、高レベル放射能廃棄物が出ない、非常に安全性が高いということで、非常にメリットが大きいわけでありますが、この分野では、日本も参画するITER、国際熱核融合実験炉計画だけでなくて、民間企業による早期の発電実証、これも計画されておって、競争が激しくなっていっております。
日本はこれまで、技術で世界に先行しながら、事業で後れを取り、競争力を失ってきたという苦い苦い経験があるわけですよ。新たなエネルギーとして期待される核融合も同じことが起こらないようにしていかなければならないというふうに思うわけです。
国もようやく、二〇三〇年代の実証というように、実証の時期を明示する方針のようでありますが、技術開発だけじゃなくて、早期の事業化に向けて、どのように政府として支援していくのか、その中で、経済産業省はどのようなことを取り組んでいくのか、お聞きしたいと思います。
○川上政府参考人 お答えいたします。
フュージョンエネルギーの早期実現に向けまして、政府としては、昨年の六月に閣議決定をいたしました統合イノベーション戦略二〇二四等を踏まえまして、二〇三〇年代の発電実証を目指すということにしております。昨年八月より、核融合戦略有識者会議におきまして議論を重ねてまいりました。
この結果を踏まえまして、本日、統合イノベーション戦略推進会議におきまして、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略の改定を決定をしたところでございます。
この改定戦略におきましては、重要事項といたしまして、一つ目、社会実装に向けました課題を検討する内閣府タスクフォースを設置すること、原型炉開発を見据えた研究開発を加速すること、スタートアップを含めた官民の研究開発力を強化すること、ITER機構の日本人職員数の増加や調達への日本企業の参画を促進すること、それから、QSTなどのイノベーション拠点の推進を行うこと、これらを位置づけておりまして、技術開発だけではなくて、早期の事業化を見据えた取組を盛り込んでいるというところでございます。
フュージョンエネルギーの早期実現と産業化に向けまして、内閣府が政府の司令塔となり、関係省庁とともにしっかりと取り組んでまいります。
○東(徹)委員 時間が来ましたので、これで終わりたいと思いますけれども、経済産業省としてもやはりしっかりと取り組んでいっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上で終わります。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、斉木武志君。
○斉木委員 斉木武志でございます。
本日も、武藤大臣、よろしくお願いいたします。
まずは、今日は参考人の方にも来ていただいているので、文化庁さんと経済産業省さんにお聞きをしたいと思います。
瓦産業の話題をちょっと取り上げてみたいと思います。
実は、この瓦、御当地瓦というのが日本全国で今どんどん消えていっております。
委員長のお地元は沖縄ですので、琉球瓦、赤い瓦がありますね。私の地元は、銀ネズ色、グレーにちょっと渋く光っているような越前瓦というのがあります。それから、島根県、石州瓦であるとか、能登瓦とか、様々なものが日本にはあったんですけれども、実は能登瓦も消えてしまいました。ですので、今能登半島地震の復旧が行われているところですが、黒く着色をした大きめの瓦なんですね、でも能登瓦はもう既に廃業されてしまったので、家屋を再建するにしても、倒壊家屋から瓦だけ集めて再利用せざるを得ないような状況なんです。
要するに、今、建築様式が多様化しました。新建材等が様々な屋根材に使われておりますので、なかなか日本の伝統産業である瓦の需要というのが伸び悩んでいる。むしろ減っている。なので、企業規模が維持できないというのが実は日本の瓦産業に起きている実態でございます。
今日、文化庁に来ていただいたのは、やはり景観。観光庁にもちょっとレクをお願いしたんですけれども、インバウンドを今、我が国の五兆円、六兆円産業にしようと政府も力を入れていらっしゃいますけれども、観光客は何を楽しむかというと、まずは景色ですね。日本の農村の風景であるとか、若しくは富士山であるとか。日本の風景というと、田園風景であるとか里山の風景であるとか、そこには瓦屋根がやはり欠かせない一つで、京都の町家風景であるとか。
それぞれの土地にはそれぞれの瓦があったんですが、実は消えていってしまった。私、越前瓦のことを申し上げましたが、福井県の南部地域というのは若狭地域でして、若狭瓦というのがございました。その若狭瓦も実は廃業してしまいまして、国が指定をしている例えば小浜西組であるとか熊川宿とか、昔の街道沿いの町家の景色、ここを改修しようと思っても、ここは、重要伝統的建造物群保存地区というのを文化庁さんが指定されて、たしか八割補助を、伝統的建造物に対しては高率の補助をしているんですが、それは本当にごく一部しかないので、若狭瓦さんのマスの商売は成り立たない。だから消えてしまう。
なので、今、実態としては、重要伝統的建造物群保存地区であっても、例えば、同じように廃屋のものを再利用したり、ストックを引っ張り出してきたり、若しくは、愛知県、違う県の瓦業者、三河瓦とかありますので、そういったところに発注をして同じようなものを作ってもらうというような工夫でしのいでいる。だから、本当の意味での御当地瓦というのは消えてしまっている。能登からも消え、若狭からも消えというのが日本の今の実態です。ですので、やはりここは、実はエアポケットになっているんですね。
我々、経済産業委員会ですので、経済産業省は伝産品指定をして予算をつけております。例えば、私の地元でいうと、越前和紙、越前焼、そして越前打ち刃物、こういった伝統産業、製品に関しては予算を専門につけて、伝産品に認定されたものに関しては、展示会の設営費用であるとか旅費であるとか販路拡大とか、ある意味、潤沢な予算が確保されている。
でも、伝統産業である瓦だけれども、これは日用品、コモディティーでもあるので、同じように補助金といっても、もの補助だったり持続化補助だったりIT導入補助だったり、中小企業との並びしかないんですね。なので、どんどんどんどん衰退していっているというのが、私は、日本の景色が維持できなくなるのではないかなという非常に危機感を持っております。
是非ここは省庁横断で、文化庁、観光庁、また建造物ですので国交省、そして経産省の製造局、こういったところで、やはり省庁横断で考えていただく局面に来ているなと思うんですが、今日、文化庁と経産省の担当に来ていただいているので、課題の認識と、どのようにしたら瓦産業というのを、各地の御当地瓦を維持できるとお考えか、まずお聞かせいただけますか。
○小林(万)政府参考人 お答え申し上げます。
今既にいろいろ御紹介いただいたお話と重なってしまいますけれども、文化庁におきましては、伝統的建造物群保存地区制度を設けており、その地域が主体的に歴史的な町並みを保存、活用する取組を支援しております。
歴史的な町並みでは、今まさに御指摘ございましたように、例えば瓦屋根や外壁といった伝統的建造物の構成要素が、その町並みの保存を図る上で大変重要な要素となると考えております。
そのため、その地区における文化財建造物の修理におきましても、歴史的な町並みの保存を図るため、用いる資材につきましては、元来使用されてきた資材と同様のものを使用することを原則としております。したがって、地元の資材が使用されていた場合は、可能な限り、同じく地元の資材を使用することが望ましいと考えております。
また、文化庁では、重要伝統的建造物群保存地区内の瓦を使用した建造物の修理や修景につきまして補助事業を実施しておりまして、例えば、今お話ございました福井県の南越前町今庄宿でも、伝統的な越前瓦を使用した修理に対して補助を行っているところでございます。
文化庁としましては、引き続き、こうした伝統的な瓦が使用されて町並みをしっかり維持していく自治体の取組に対して支援を行ってまいりたいと考えております。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
経済産業省におきましては、地場の瓦産業の事業者も含めまして、中小の事業者が活用可能な支援策を様々措置させていただいているところでございます。これらにつきましては、例えば、委員からも一部御指摘ございましたが、生産性向上や販路開拓に向けた補助金、資金需要を支える資金繰り支援、あるいは経営全般や事業承継などの相談を行うための窓口設置などでございますけれども、これらを通じて事業者の課題解決に向けた支援を行っているところでございます。
こうした課題解決に向けまして、こうした施策を瓦産業の事業者にも実際に活用いただくことが重要だというふうに考えてございまして、業界団体に対しまして、各事業者が集まる会合などの場を活用いたしまして定期的に支援策の説明を行うなど、周知、広報も行っているところでございます。
また、他省庁においても、景観保護などの観点で屋根瓦の改修等の支援を行っているというふうに承知をしておりまして、引き続き、経済産業省といたしましても、瓦産業の振興のため、各種施策の活用などを促してまいりたいと考えてございます。
○斉木委員 審議官、でも、今のは、まさに私が申し上げた中小企業のデフォルトのほかのものと同じ支援ですよね。なので、申し上げたのは、まさに伝統産業だけれども日用品なので伝産品支援の対象外にされている、それで、どんどん消えていっている伝統産業、なので、そこに何かプッシュ型支援のメニューをつくらなきゃ、いけないんですかと申し上げているんですよ。
例えば、では、アイデアを差し上げますけれども、瓦産業さんも、実は、お皿とか壁面装飾とか、違うものを今作って、そのお皿なんかも、中川政七商店さんってありますね、日本中の様々な和モダンなものを集めて東京ミッドタウンとかで非常に高価格帯で売っているところ。実は、越前瓦さんなんかもお皿に展開されて、政七商店さんで今ミッドタウンなんかで売っています。
実は、瓦と陶器というのは同じというか、使っている土はほぼ一緒なんですよ。それをより粒子を細かくしていって粘土状にしたものを焼いたのが越前焼であり、その一歩手前の荒々しいものが越前瓦なんですよ。だから、そういった形で、ちょっと荒々しい趣向の刺身皿が欲しいなんといったら瓦皿を選んだりとか。こういった新しい販路の展開、こういったものを、伝産品は支援しているわけじゃないですか。だから、こういった瓦産業が、より売上げが保てればいいわけです。消えないわけです、産業は。売上げが保てるようなものを何かつくる必要があるんじゃないですかと申し上げたんですが、いかがですか。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
瓦産業の振興におきましては、今委員から御指摘ございましたように、様々な意欲的な取組を引き出していくということが大事だというふうに考えてございます。先ほど御紹介いたしました様々な中小企業関係の施策の中には、そうした意欲的な取組を支援していくような仕組みもございます。こうした仕組みをしっかり事業者の方にも周知をいたしまして、あるいは、先進的な取組があればそれを横展開するなどして、しっかり瓦産業の振興を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○斉木委員 大臣からも。
ちょっと念押しで質問したいんですけれども、やはり日本の景観を保つというのは、インバウンドを日本の主力産業にしようとする上でも重要なピースとして欠かせないと思います。
ですので、今どんどんどんどん能登瓦であるとか若狭瓦とかが消えていって、まさに文化庁がおっしゃったような、もう地場の素材じゃなくなってきているわけですよ。倒壊家屋から集めざるを得ないような、もう再生産ができないような状況になってきているので、これはやはりてこ入れをしていく必要があるという趣旨で申し上げているんですが、大臣としての御所感はいかがですか。
○武藤国務大臣 瓦もそうですけれども、さっき委員がおっしゃられた越前和紙とか、いわゆる文化庁も認定をしたものがあるわけですね。ですから、それは産業として継続させるという趣旨の中で、日本の伝統文化として残させていただいていると思います。うちも本美濃紙がありますし、紙という意味では今いろいろなところで動き出しています。
今の瓦の話も、私の友人も瓦を昔作っていましたけれども、もうやめられちゃいました。だんだん減ってくるんだと思います。今おっしゃったような、建材がそれぞれ多様化していますし、お造りになられる方の趣味の多様化もしているところだと思います。
文化庁が指定しているということは、これはやはり伝統文化という意味の歴史的なもの、そして、インバウンドは最近の傾向としてまた受ける話でもあると思いますので、経産省も私の方でちょっとプッシュをしていきます。
ただ、これは正直申し上げて、瓦議員連盟もたしかあったと思いますけれども、紙も和紙議連がありますし、やはり先生方のお力が多分相当必要になるのかなという気がしていますので、委員も大変御関心が高いようですから、御地元の話もありますし、是非またそういう意味での応援をお願い申し上げたいというふうに思います。
○斉木委員 本当に、御友人に瓦業者の方もいらっしゃったという、非常に知見もおありのようですので、これは大臣の立場で、省庁をまたいで、他省庁とも連携しながら、どうやってこの支援策、そして予算を確保するのか、ここに是非お知恵を使っていただきたいなとお願いを申し上げます。
では、次の議題に行きたいと思います。
実は、瓦業者の方からもエネルギー価格が高いということを言われました。越前瓦は千二百度ぐらいで焼成する、焼きを入れて、ちょっと煙をまぶして銀ネズ色を出すんですけれども、なのでA重油を使っているんですね。A重油にしてもガソリンにしても、電力窯を使うところもありますので電力にしても、やはり高い。コストの大体三、四割を占めている、燃油代が。ですので、この燃油価格の高騰というのは非常に頭が痛い課題だというふうにおっしゃっておりました。これは全ての企業がやはりそういう状態だと思います。
前回の本委員会でも、ガソリン補助金、そして電力補助金の支給と課題についてやり取りをさせていただきましたけれども、この補助金、ガソリンが五月二十二日から十円ターゲットという新しい新装開店、そして七月には電力補助金が再開という今タイミングになってきました。
やはり、補助金を支給開始した直後から、ENEOSさん、出光さん、そしてコスモさん、この元売三社が過去最高益を上げている。対前年比で八倍になっているというような企業もございます。
そんな中で、ガソリン元売に補助金を更に注入するのかというような御批判も出てきているところです。月曜日の日本経済新聞の朝刊でも、かなりの分量を割いて、価格形成をゆがめているんじゃないのか、高止まりさせているんじゃないのかということが特集をされておりました。
過去最高益の中で、しかも三社がサウジアラビアやUAEやカタールから幾らで買っているかというのを一切調査せずに、幾らでも利益を乗っけられる卸売価格しか調べないで、また補助金をお渡ししている。ここの部分が各社の最高益に消えているんじゃないのか、やはり透明性に欠けるんじゃないのか、なぜ暫定税率の、十円分削減でやらないのか、こういった疑念の声が今出ているところでございます。
実は、先ほど言及した日本経済新聞の記事、大臣、御覧になったかどうか分かりませんけれども、イギリスの例が紹介されております。イギリスも、日本がガソリン補助金を始めたのは二二年の一月、二二年の二月にロシアがウクライナに侵攻しましたので、戦争の兆候が出て国際原油価格が上がったタイミングで緊急対策事業として始めました。そのときイギリスが何をしたかというと、日本と同じように、ガソリンにも石石税であるとか揮発油税であるとか様々な税金を賦課していますので、イギリスは減税をしたんです、三月から。やはり、こうした減税政策の方がより透明性が高いんじゃないかというふうに思うんですね。
実際に、さっき申し上げたように、一月から始めて三月には過去最高益の、出光さんであれば三百四十九億円の利益が二千七百九十四億円まで八倍にジャンプアップをしている。もちろん、在庫の評価益という部分は大きいですけれども、その後も、二〇二三年の三月は二千五百三十六億、二〇二四年三月には二千二百八十五億と、過去最高益同レベルの高利益をたたき出している。この間ずっとガソリン補助金は支給されています。
これはちょっとおかしいんじゃないのか。イギリスみたいに減税でやった方が、減税は庫出税ですので、日本の暫定税率にしても、揮発油税にしても。これは庫出税ですから当然抜くことはできません。やはりこういった明示的な、イギリスのように減税でやった方がはるかに国民の納得感は得られるし、財務省や会計検査院からも補助金が店頭価格の値下げに使われずに消えているじゃないかという指摘もされないと思うんですが、いかがですか。
○武藤国務大臣 暫定税率を廃止すればいいんじゃないかというこの議論は、この国会中でも随分いろいろな議論がされました。安定的な財源確保などの諸課題の解決策であるとか具体的な実施方法等について、これは政党間で真摯に協議がされているものと承知をしています。
その上でですけれども、暫定税率を廃止したとしても、元売が卸価格を自由に決定できることに変わりはありません。こういう意味の中で、この暫定税率廃止というのは、今ここの時点でというよりは、我々としては定額的な補助という形で今回もさせていただいたところです。
○斉木委員 大臣、補助を与えることが実はガソリン価格の高止まりを招いているという指摘も同様に出てきているんですよ。
これも同じ日本経済新聞の記事の中ですけれども、補助金の支給が元売会社三社の間の価格競争を阻害しないということが前提なんですが、実態としては、この三社の間の卸売価格というのが全く同じ変動幅となってしまった、価格競争が消えてしまったということなんですね。
これはどういうことかというと、百八十五円でこれまで設定していましたね、ターゲット価格。百八十五円よりも上に行ったら、その差額分をガソリン元売に支給をして、それを値下げに使ってねというスキームでした。ということは、お上がこれだけ、八兆円もプレゼントしてくれるんだから、補助金をヒットするような、補助金で値下げが行われるような価格水準を目指して、三社とも卸売価格を調整しちゃうんですよ。
これまでENEOSと出光とコスモの間には競争があった。だから、卸売価格が各社、各週によって変動幅がばらばらだったんです。要するに、ENEOSさんに出光さんが勝とうとすれば、出光さんはそこよりもリッター一円安い卸売価格を提示して、系列以外の、業転玉というやつですよね、業転玉であるとか、様々なフリーのところを、自分の出光の商品を使ってもらうように、少しでもENEOSよりも安い値つけをしようとした。それがこれまでだったんです。
でも、ガソリン補助金が始まっちゃって、百七十円とか、岸田さんはたしか首相のとき百七十五円とか言いましたけれども、ああいうふうにターゲット価格を設定しちゃうと、当然、そこをヒットするように、補助金が使えるように卸売価格というのは値つけしちゃうじゃないですか。
だから、実態としては、この三年半、変動幅がそこに収れんしていって、百八十五円というのは高いじゃないですか、そこにどんどんどんどん吸い寄せられていっているという指摘がなされているんですよ。このデメリット、どうお考えになりますか。
○武藤国務大臣 これは先週も委員から御指摘をいただいて、法案の審議でありましたけれども、この案件をずっと御議論させていただきました。また今週改めてお話をしますけれども、燃料油の価格の激変緩和事業でありますけれども、小売価格を一定水準に抑えていることで補助の事業開始前に比べて卸価格の変動幅は小さくなる、今委員御指摘の幅というところでいうと、影響が出た可能性は考えられると思います。
他方、補助事業開始後も、元売企業間での競争に加え、商社等による輸入製品も一定のシェアを有しているという競争環境は変わっていないということだろうと思います。
卸価格を引き上げれば、他社や輸入製品との間での優位性が失われて、自社のシェア縮小や利益減少につながりかねないということもあり得ると思います。また、独禁法もありますので、規制が存在する中で、元売各社が卸価格を不当に引き上げるようなことが生じるとは考えにくいところです。
また、これは先週お話ししませんでしたけれども、貿易統計のデータというものを見ますと、日本全体での原油の仕入価格と全国の卸価格の差分というものですが、補助事業の実施の前後で大きな違いが生じているというふうには見えません。そして、補助事業の実施の前後で元売が不当にマージンの引上げを行っているわけではないということが推測できるというのは、ここのデータからです。
補助事業の結果として、競争をゆがめた、また元売が卸価格を引き上げたという前回から御指摘いろいろありますけれども、これには当たらないというふうに思っているところです。
○斉木委員 でも、大臣、だったら伝票を取るべきですよ。サウジアラビアやUAEから輸入しているわけじゃないですか、およそ八割の原油は。でしたら、対サウジアラビアでENEOSさんや出光さんが買い付けをしてきているものは、さすがに鉛筆をなめて数字を変えるなんということはできませんよ、国際商取引ですから。まさにそこをこそ徴収すべきであって。
じゃ、そこの原油価格がこれだけ上がったから、例えば二五%上がったから、その二五%分をENEOSさん、出光さんに渡しましょうだったら分かりますよ。素材価格の上昇分だけ八・二兆円の分は按分して渡します、これだったら分かる。でも、この生の領収書を集めずして、彼らが、利益もまさにマージンも、オペレーションコスト、経常経費も乗っけた卸売価格を幾ら調べたって、それは調整済みの、利益計算した後のお上に申告する値。これは公表する前提ですからね、補助金の環境下では。だから、鉛筆をなめてしまう余地が生まれるわけですよ。この危うさというのはお感じになりませんか。
○武藤国務大臣 これも前回もちょっと御指摘させていただいたところですけれども、元売による原油の仕入価格というのを確認するために、仕入れに関する契約書類、この前も御指摘いただきました、根拠書類を確認する必要があるということであります。これは、各社のコストの競争力の源となるので、基本的には営業秘密になります。また、契約の相手方との取引関係に与える影響というものを鑑みると、個別の取引に係る契約書類を確認することは極めて困難なことだろうと思います。
一方で、先ほどの繰り返しになりますけれども、貿易統計の関係でも、原油の仕入価格を調べることは可能であります。日本全体での原油の仕入価格と全国平均の卸価格は、値動きを比較してみると、双方の値動きはほとんど同じであるということが分かります。このことから、元売が不当にマージンを操作しているという懸念は我々は当たらないというふうに考えているところであります。
○斉木委員 その一つ前の答弁で、実際に卸売価格の変動幅が縮小したこともあり得るというふうにお認めになりましたので、これは結構大きなことだと思いますよ。
卸売価格が、それまで、フリーの、補助金がない状態では、各社がアニマルスピリットを発揮して、ENEOSよりもうちは一円でも安くいこうという営業努力をしていたわけですよ。でも、八兆円もお上がくれるから、じゃ、百八十五円や岸田さんが言う百七十五円にさや寄せしてやれと。少しぐらいの利益を鉛筆をなめて乗っけたって、それは補助金がそれだけ出るんだったら分からなくなるから。やはり、そういった価格操作というもの、卸売価格、だから、変動幅が縮小したこともあるというふうにお認めになっているのは、そこに余計なコストがかかっているということなんですよ。だから、これは非常に重要な答弁だと私は拝聴いたしました。
それでもやはり出さないという姿勢、また調べないという姿勢は、電力料金に関しても一緒ですね。
電力料金も、補助金が二〇二三年一月から始まりましたけれども、二〇二四年三月に、その直後の決算で、電力大手十社が、過去最高益若しくは過去最高益レベルの、関西電力さんであれば二十五倍増であるとか、純利益が飛躍的に、桁が一桁上がって二十五倍に増えるという、信じられないような好決算を北海道から沖縄までの電力会社がたたき出した。いまだに三月の決算では北陸電力さんは更に積み増している、過去最高益を更新している。
こういった補助金支給開始後の過去の決算を見ていて、一番利いているのは、二〇二三年六月に行われた規制料金の値上げだと私は思うんですね。
大手電力に配っている、これは電力小売に渡している補助金ですので、元売に渡すガソリン補助金と違って、抜くということは、これは私もできないだろうと思います。ただし、規制料金の値上げを行って我々の地域は四〇%上がりました、でも、根拠を非開示じゃないですか、経産省は。
全国から報告徴収をしているけれども、さっき申し上げたような、サウジアラビアから、UAEから、そしてマレーシアの液化天然ガスをトン単価、リッター単価幾らで買っていますよという生の根拠書類が一切非開示になっている。これだと、四・三兆円、電気、ガス合わせてお渡ししているわけですから、そして何よりも、規制料金を四割値上げをした根拠としては、北陸の住民の方が納得をする根拠としては弱いと思うんです。
これは今からでもいいから、電取が集めているわけですよね、これを、やはりトン単価を公表するおつもりはありませんか、補助金をまた七月から開始するのであれば。やはりそういった、値上げの根拠はこれだった、でも、それでも足りないから補助金でという、まだ納得ができると思うんですけれども、御所見いかがですか。
○武藤国務大臣 電取は後でちょっと御答弁いただきますけれども、今の契約の話ですけれども、普通、通常、守秘義務というものが、これは契約上交わされる話であります。調達元、今、サウジとかUAEとか、ドバイ、いろいろ言っていただきましたけれども、調達元の了解を得ずに公表すると、守秘義務違反として燃料調達に大きな支障を招くおそれがあります。
また、燃料調達で競合する海外の電力会社またガス会社がこの公開された情報を交渉材料として利用することで、いわゆる公開した日本の電力会社が買い負ける可能性も出てくる、こういう競争上の影響もあるんだというふうに承知をしているところです。
そして、今規制料金の話をされましたけれども、これも先週ちょっと私としては誠意を持ってお答えしたつもりなんですけれども、二〇二三年度の決算で大手電力会社が大幅黒字になった、これは、燃料費調整制度、この仕組みを先週もお話しさせていただきました、今週は割愛しますけれども、燃料価格の下落の局面において事業者に黒字が生じる傾向があるのは事実です。二三年度、これは燃料費が大きく低下する局面でありまして、この制度の下で事業者に利益が生じやすい状況でもありました。
また、規制料金の値上げの認可に際しましては、電力・ガス取引監視委員会において極めて厳格な審査が行われているところでもあります。その上で、具体的には直近の燃料価格に基づいて七社合計で約九千億円の削減が行われ、電力会社によっては申請時の値上げ幅の半分まで圧縮されるなど、必要最小限の改定であったと考えております。
また、規制料金を値上げしていない関西電力ですとか九州電力も、二〇二三年度には過去最高の黒字を計上されました。規制料金の値上げが黒字の主たる要因でないことは明らかであると考えているところであります。
○斉木委員 もう時間が来ましたので。
やはり燃料費調整制度にしても、大臣、三か月遅れて反映するわけですよ、料金には。でも、申し上げたじゃないですか。二〇二四年三月に北陸電力さんであれば規制料金の値上げを反映したものが五百六十八億、二〇二五年三月には六百五十一億ですから、三か月どころじゃないんですよ。もう二年にわたって過去最高益を更新していっているんです。だから、期ずれだからという理屈は、それはちょっと苦しい言い訳だと思います。
正直、電力料金の値下げ命令はやはりすべき局面であろうと私は思います、この過去最高益という状態を見れば。やはりこれは与野党を超えて、確かにこれまで国会では、これはタブーの話題です、規制料金値下げなんというのは。自民党さんは献金とかパーティー券とかをもらっていらっしゃるし、国民民主党さんであれば、それは電力の社員の方が議員をやっている。立憲民主党さんであれば、規制料金値下げなんて言ったら、連合の推薦を取り消せと電力総連さんが連合にけしかけて推薦を取り消される、選挙では対抗馬が立つ。こんなことでは、やはり日本の血液の値段であるこの電力料金、ガソリン料金というのは永遠に下がりませんので、こういったタブーを恐れず、是非倒産件数一万件をまた数千件台に押し下げるためにも、こういったエネルギー価格というのは日本の経済の足かせですから、これは是非虚心坦懐に議論していただくことをお願い申し上げまして、今日は終わります。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二十四分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。丹野みどり君。
○丹野委員 国民民主党、丹野みどりです。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
そして、このような形での質問をお許しいただきまして、重ねて御礼申し上げます。ありがとうございます。
今日は水素を取り上げます。
まず、日本における水素を振り返ってみますと、二〇一七年に世界で初めて水素基本戦略というのができました。これに続いて、EU、ドイツ、オランダが続いています。その後、昨年、二〇二四年に水素社会推進法というのが成立しました。
現在、発電と産業と運輸といった分野で二百万トン導入をしています。今後はその導入量を増やしていってコストを下げる計画だということなんですね。
こういった話を聞きますと、日本は水素を進めていくんだなというイメージを感じるわけですけれども、その一方で、こういった水素プロジェクトから撤退しているところもあるわけですね。
御紹介しますと、例えば、石油、ガス大手のBPなんですけれども、十八のプロジェクトから撤退しています。当初は石油や天然ガスといった化石燃料の生産量を削減していくんだと言っていたんですけれども、その目標を撤回して、逆に増産に転じるという発表までしています。年間最大五十億ドル投じると言っていたんですけれども、再生可能エネルギー、これも、その投資を八億ドルにまで縮小する、こういう発表をしているわけですね。石油メジャーの中でグリーン投資にもこれまですごく積極的だったBPがこういう方針転換をするというのは、エネルギー産業の行方にもかなり影響を与えるかなと思うわけですけれども、その最大の理由がやはりコストということで、コストが余りにもかかるので見切りをつけたということのようです。
ほかにもちょっと報道が幾つかありまして、例えばオーストラリア電力大手のオリジン・エナジーがニューサウスウェールズ州で撤退、二〇二三年、三菱重工業、ドイツのハンブルク州から撤退、二〇二四年、関西電力、オーストラリアのクイーンズランド州から撤退、こういった報道もありました。いずれも、同じように、コストが合わない、事業者の採算の見通しが立たないということで撤退だそうです。
この一方で、やはり、水素をやっていこうというところもあるわけですね。例えば、EUは水素銀行をつくっています。アメリカは、水素を作ったりとか、CCSという、皆さん御案内のとおり、二酸化炭素をつかまえて埋めるという、ああいった事業に対して何兆円規模の税額控除をしているということもありまして、このように、もろもろ、判断が本当に分かれてきているなというのを感じます。
この中で、じゃ、日本はどうしていくんだろうと思うわけですね。第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年の電源構成のうち一%程度を水素やアンモニアに替えるということを目指すと書いてあったんですけれども、第七次エネルギー基本計画には水素に関する具体的な数字がなくなっているんですね。
そこで、一つ目の質問です。
日本の水素戦略の見通しが変わったとも言える理由と、水素への対応が世界的にこうして分かれている中で日本はどうしていくのか、これを大臣、まずはお願いします。
○武藤国務大臣 丹野先生、お大事にしてください。(丹野委員「ありがとうございます」と呼ぶ)
今、日本の水素戦略についてのお尋ねをいただきました。
今般、七次のエネルギー基本計画ですけれども、二〇四〇年度に向けた取組として、水素導入量一千二百万トンという目標を記載しているところであります。また、二〇三〇年度の電源構成の方では、水素、アンモニアで一%を賄うとした想定について、今回明記はしておりませんけれども、変更は全くございません。政府としては、引き続き、この想定を踏まえながら、水素等の供給と利用の拡大に向けて着実に取組を進めてまいります。
その上で、世界的に、やはり、インフレに伴う開発費の増大ですとか政策の不透明感等によりまして投資が停滞するなど、かつて急激に盛り上がった投機的な動きというものは一服しつつあると認識をしているところです。
他方で、欧州を中心に、長期の政府支援は改善を重ねながら着々と継続しておりまして、投機的な動きでない水素関連プロジェクトは着実に進展していると承知をしているところです。
現在、欧州では数千億規模の支援により案件組成が進められているところで、我が国においては十五年間で三兆円規模の支援を実施していく予定であります。いち早く大規模サプライチェーンのユースケースをつくり、世界で着実に市場開拓を狙ってまいりたいと考えております。
○丹野委員 ありがとうございます。
何でもかんでも水素というところは一段落して、着実に水素をやっていこうというところだけが残っている状況ということで、その中でも日本は、そういう力強いお言葉をいただきまして、この後るる御説明する水素の取組もいろいろありますので、やはり水素に向けてかじを切っていくんだなというのを感じるわけです。
水素の世界的需要量なんですけれども、二〇五〇年頃には五倍という試算があります。これは水素そのものとかアンモニア、合成メタンといった形でということなんですけれども、例えば、石炭を使う火力発電所では、その石炭の代わりにアンモニアで発電するというものがあります。まさに私はこれを、骨折する前なんですけれども、視察をしてまいりました。見てきたのは、愛知県碧南市にある碧南火力発電所というところにあります。ここは、そもそも石炭火力としては国内最大で、世界的にも最大級の巨大な火力発電所です。ここで、二〇二一年度から、世界に先駆けて、燃料を石炭からアンモニアに転換するという、そういった技術の確立に向けた実証実験に取り組んでいるわけですね。
次の質問に行く前に、この水素の火力発電のお話をちょっといたしたいと思います。
まず、そもそも石炭火力は、石炭を燃やすときにCO2が出ますよね。脱炭素のトレンドに行くと悪者に捉えられがちなんですけれども、でも、曇ったりとか風が吹かない、そういう再生可能エネルギーがなかなかできないというときに、その分、火力発電所がわあっと頑張って発電をして安定的な供給に努めているということで、本当に縁の下の力持ちという存在なわけですね。でも、二酸化炭素を出してしまう。
そこで、二酸化炭素をそもそも出さない火力発電所にすればいいじゃないかというのが今回の取組なわけです。石炭の代わりに水素とアンモニアを使うということなんですね。
このアンモニアというのは、水素エネルギーの一つの形になります。水素と窒素でできているので、当然、燃やしてもCO2は出ません。アンモニアといいますと、子供のときの理科の実験で、何かつうんとくるような、そういうイメージは、思い出はあるんですけれども、これは、我々の洋服とか化粧品とか肥料とか、そういった日常生活にもう既に幅広く使われているものであります。
加えて、このアンモニア、それだけじゃなくて、既に火力発電所でも使われているんですね。どういう場面かというと、石炭を燃やす際に当然排ガスが出るわけです。その排ガスをきれいにしてから煙突に出すんですけれども、その排ガス処理の際にアンモニアを使っているということで、なので、劇物として指定されているアンモニアですけれども、火力発電所で使ってきたという蓄積がありますので、今回、アンモニアを発電に使うということにおいても、安全性もかなり万全にできるという背景があります。
済みません、説明が長くなりましたけれども、現状に戻りますと、石炭をアンモニアに二〇%置き換えて発電するという実証実験が昨年行われました。これは大変結果がよかったと。これを受けて、二〇二〇年代後半には商用運転を開始する計画だというんです。私は、この現場を実際見てきて、いろいろお話を伺って、本当にその技術と熱意に感服をいたしまして、ただ、課題も感じたんですね。
どんな課題かというと、まず、火力発電に使うアンモニアの量というのが、物すごい量が必要、これまでにないぐらい大量に要ると。これまでは排ガス処理に使う程度でよかったんですけれども、やはり発電となるとすごい量が要るんですね。現在、アメリカのCFという会社と契約して、そこからアンモニアを大量に輸入するという話になっているんですけれども、ここも、原料を海外に頼っているという、エネルギー安全保障上、今と問題点が余り変わらないなという課題感がまずあるわけですね。
そこで、次の質問です。
そもそも、この原料を、上流のところなんですけれども、この燃料アンモニアの開発、生産をどのように考えているのか、いつまでも海外輸入に頼っているのか、こういった辺りを是非お聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘いただきましたとおり、アンモニアを含む低炭素水素等のサプライチェーンの構築に当たりまして、エネルギー安全保障の観点からは、まずは国内における低炭素水素等の製造、供給体制の構築に取り組むことが大変重要と認識してございます。このため、価格差に着目した支援におきましても、エネルギー安全保障の観点から、まずは十分な価格低減が見込まれ、将来的に競争力を有する国内事業を最大限支援する方針としているところでございます。
一方で、国内での低炭素水素等の製造規模は小規模かつ高コストである場合も多く、国内製造のみでは低炭素水素等の需要量を賄えないおそれもございます。そのため、国産技術等を活用して製造された低炭素水素等であり、相対的に安価かつ大量供給が可能な輸入事業につきましても、低炭素水素等のサプライチェーンの構築に向けては重要と認識しておりまして、今後も適切に対応してまいりたいと存じます。
○丹野委員 ありがとうございます。
今度は、燃料アンモニアの輸送とか貯蔵とか発電とか販売、いわゆるサプライチェーンですね。このサプライチェーンも本当に強靱にするということも重要、今の開発、生産も大事だし、それをずっと流していくサプライチェーンも重要と思うんですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
これも今御指摘いただきましたとおりでございまして、エネルギー安全保障の観点と併せ、日本の優れた技術を活用した強靱なサプライチェーンの構築は極めて重要な課題と認識してございます。
大規模サプライチェーンの構築を目的とした水素社会推進法に基づく支援制度におきまして、国内外の製造設備から貯蔵、輸送といった一連の事業について広く審査対象としておりまして、需給一体で事業計画を評価することとなってございます。これらの計画の認定に当たりまして、供給側、利用側双方における産業競争力強化に資する強靱なサプライチェーンの形成促進につながる点を評価項目の一つとしているところでございます。
また、グリーンイノベーション基金等を通じまして、発電などの利用側につきましても、アンモニアの高混焼、専焼を実現する技術の確立に向けた開発と迅速な社会実装に取り組んでいるところでございます。
これらの取組を通じまして、引き続き、世界に先行した技術開発により産業競争力を磨くとともに、社会実装に向けた強力な支援も講じながら、強靱なサプライチェーンの構築を図ってまいりたいと存じます。
○丹野委員 ありがとうございます。
日本の未来のエネルギーに関しては、上流から下流まで全部国産でというのを本当にお願いしたいなと思っております。
碧南火力発電所に話を戻しますけれども、この実証実験が終わりまして、商用運転を目指して動いているんですけれども、実際、いろいろ見てきて、お話を伺っていると、やはりこのプロジェクトというのは一民間企業のレベルを超えているなと思うんですね。例えば、大量に使うというアンモニアの貯蔵タンク一つ取っても、何個も、何基も造らなきゃいけないし、実証設備をするための補助であったり、あと、アンモニアと石炭の価格差があります。この価格差を支援するような制度を始め、事業者がはいと手を挙げやすいような、そういった支援が必要と思うんですけれども、この辺りはどのようにお考えでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
これも、御指摘いただきましたとおり、アンモニア、水素等の市場はいまだ黎明期にございまして、この段階では、そのユースケースづくりを進めていくに当たって、政府による支援が非常に重要であると認識してございます。
実証設備に対する補助につきまして、御指摘の碧南火力発電所におけるアンモニアの二〇%混焼の実証において、国の機関であるNEDOによる支援の下で成功し、NOxなどの環境汚染物質も抑制可能であることが確認されたところでございます。
今後は、五〇%以上の高混焼に向けた燃焼器の開発や専焼に向けた技術開発につきましても、企業の取組も引き出すべく、グリーンイノベーション基金を通じて、政府がしっかりと支援してまいりたいと存じます。
また、アンモニアと石炭の価格差につきまして、水素社会推進法に基づく三兆円規模の価格差に着目した支援の対象としておりまして、企業の投資回収を可能にしている。その結果、現在、事業者から多くの申請が出てきているところでございまして、まずは将来の産業競争力につながる黎明期のユースケースづくりを今後しっかりと進めてまいりたいと存じます。
加えまして、長期脱炭素電源オークションなど、更なる制度改善の必要性についても継続的に検討し、着実な社会実装を進めていくこととしております。
政府としまして、技術開発から社会実装まで、水素等の更なる大規模な供給と利用の拡大に向けて、引き続き、規制、支援一体型の措置を講じていくことで、コストの低減と利用の拡大を両輪で進めてまいりたいと存じます。
○丹野委員 ありがとうございます。
企業の力を引き出すというお言葉がありましたので、是非お願いしたいなと思っております。
次に、同じく水素にちなんだ技術なんですけれども、次に取り上げるのはe―フュエルです。このe―フュエルというのは水素と二酸化炭素を合成して作る燃料なんですけれども、このe―フュエル、どんな点を評価しているか、その優位性をお聞かせください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
e―フュエル、これは合成燃料とも呼ばれますけれども、水素と、それから発電所や工場等から回収した二酸化炭素を活用して製造される、カーボンニュートラル社会の実現への貢献が期待できる燃料でございます。
e―フュエルは、まず、既存の内燃機関や、タンクローリー、ガソリンスタンドなど既存の燃料インフラが活用できます。それから、化石燃料と同等の高いエネルギー密度を有する。そうした点にメリットがあると考えてございます。政府といたしましては、二〇三〇年代前半までの商用化を目標に掲げて推進しているところでございます。
○丹野委員 ありがとうございます。
本当に既存の燃料インフラを何一つ変えることなくそのまま使えますので、すなわち、雇用も守ることができると思っておりますので、この技術も是非進めてほしいと思っています。
このe―フュエルに対しての国としての支援体制を引き続き教えてほしいんですけれども、商用化に向けたロードマップ、それから、当然、研究開発だけじゃなくて、商用化する際も伴走型支援をお願いしたいんですけれども、この点についてどういったふうにお考えで、コストをどう下げていくのか、その取組も教えてください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
合成燃料、e―フュエルの商用化に向けましては、特に、委員御指摘のとおり、製造コストが課題であるということから、国といたしましては、製造技術の開発、それからノウハウ獲得のための支援を実施しているところでございます。
具体的に申し上げますと、まず、二〇三〇年代前半までにe―フュエルを商用化するということを目標としておりますので、グリーンイノベーション基金によりまして大規模かつ高効率な製造プロセスの開発を進めてございます。それから、更なるコスト低減を目指しまして、NEDOを通じまして次世代型のe―フュエル製造技術の開発も行っているところでございます。
また、海外プロジェクトへの参画によりまして早期のノウハウの獲得や燃料供給元の確保を図ることも重要でございます。そうした日本企業を支援するために、JOGMECが日本企業と共同で合成燃料の海外プロジェクトに出資を行っているところでございます。例えば、昨年でございますけれども、米国に本社を置く合成燃料の開発、製造企業であるHIFグローバルに対して出資を行ったところでございます。
こうした取組を通じまして、合成燃料の早期の商用化に向けて政府として取り組んでまいりたいと考えてございます。
○丹野委員 ありがとうございます。
今の御答弁の中にもありましたけれども、やはり製造コストをどう下げるかというところもありますし、先ほどの火力発電でもそうだったんですけれども、結局、課題が、水素をどう安く手に入れるかということなんですね。そもそも、水素を何から作るか。コストを下げるために、脱炭素で安く作って、安く運んで大量に使う、そういう一連のことが必要と思います。
これは本当に難しいんですけれども、大臣に伺いたいのは、魅力的な、本当にこの水素を現実的なエネルギーにするために、どういった見通しがあるのか、お聞かせください。
○武藤国務大臣 碧南火力、私も過去に行った覚えがありますけれども、本当に、水素、あるいは日本のエネルギーをどうするかというところでは、これからも大きな貢献をしていただけるものと思っているところです。
水素も、今は、委員今御指摘いただいたように、本当にトランジションの時間で、コストというものがありますけれども、技術開発とのいろいろな形のバランスというものが、非常に今トランジションの時代の中で、我々としては多様的な選択をしているところです。
水の電気分解ですとか化石燃料の改質、複数の製造方法があります。アンモニアですとか液化水素、またMCHといった複数の運搬方法もあり、いずれの製造方法また運搬方法が最もコストが下げられるのか、ここがまさに、世界的にも、技術開発を含め試行錯誤が続いているところだと思います。
また、利用の方においても、発電分野を含めて、製鉄のプロセスの利用など、水素を大量に利用する技術についてはまだ技術開発を進めているさなかというのが今の認識であります。
政府は、二〇三〇年に一ノルマル立米三十円を目標に掲げながら、GI基金、いわゆるグリーンイノベーション基金などを通じて、サプライチェーンを構築する一連の技術開発に取り組んできています。目標の実現に向けては、引き続き技術開発によるコスト低減を図っていくということが必要になってまいります。
大規模商用サプライチェーンの先例をつくることで水素価格を下げられる、こういうことも社会実装を図りながら、コスト低減と供給、利用の拡大を両輪で進めてまいりたいというふうに考えております。
○丹野委員 ありがとうございます。
そして、どんな水素をどう手に入れるかにちなんで、もう一つ質問があります。
現在、各国で、例えばイギリス、EU、アメリカ、オーストラリア、韓国などにおいて、水素の認定基準というのを作っているんですね。いかに低炭素で水素を作るか、生まれた水素かという基準で、各国、策定をしております。
この段階においては、各国、その基準はまちまちなんですけれども、いずれグローバルな標準化された基準作りも必要になってくると思います。そういうときに、やはり日本もそのルール作りに関わっていくことが重要と思っておりまして、この辺りの御見識もお聞かせください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
現在、イギリスやドイツ、米国などで検討が進められております水素等の導入に向けた制度におきまして、委員から御指摘ありましたとおり、各国が独自の低炭素水素等の算定、評価方式を採用しており、今後は共通の認識をそろえていく必要があると認識してございます。
こうした問題意識から、日本が議長国となりました二〇二三年のG7広島サミットにおきまして、炭素集約度に基づく国際標準の開発が重要という、製造方法によらない日本の考え方がG7各国の共通認識として合意されたところでございます。
その観点から、水素のCO2算定方法に関する国際標準につきまして、二〇二三年十一月に、ISO、国際標準化機構において技術仕様書が既に発行済みであり、現在、国際標準化に向けた検討が進められておりまして、炭素集約度に基づき水素を評価する検討の中で、日本企業、そして日本政府も積極的に国際的な議論に参加をしているという状況でございます。
今後とも、二国間での議論に加えまして、IPHE等の多国間の枠組みも活用し、国際ルール作りに向けた協力にしっかり取り組んでまいりたいと存じます。
○丹野委員 ありがとうございます。
本当に、経済でもスポーツでも、ルール作りになかなかはばにされることが多い日本ですので、是非水素に関してはリードしてほしいなと思っております。
今、将来の見通しについてちょっと伺ってきたんですけれども、現状においてなかなか進んでいないという状況を、話を進めたいと思います。
例えば運輸部門なんですけれども、現在、それぞれのステークホルダーがお見合いをしちゃっていて、事態が硬直して動かない状況なんですね。例えば、車両メーカーは、売れないと造れない、運送、荷主企業は、車と水素スタンドがないと無理だと言っている。水素ステーションの事業者は、いや、車が売れていないとスタンドは造れませんよと。こういう感じで、三者がお見合いしちゃっている感じになっている。
三すくみの状態と言われておりますけれども、こういう状況をモビリティ水素官民協議会というところではどういった話合いがなされたのか、教えてください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
燃料電池自動車の普及に当たりまして、今後、商用車、特にトラック、バスに焦点を当てて集中的に導入を促進する議論をしてございますけれども、現時点におきまして、車両メーカー、運送、荷主企業、そして水素ステーション事業者の間で、まさに御指摘のとおり、いわゆる三すくみの状態があるという問題意識が共有されてございます。
その観点から、こうした三すくみの状態を打破すべく、御指摘いただきました官民協議会の場で、今年度から新たに、燃料電池商用車の需要が相当程度見込まれ、自治体としての導入目標を掲げ、独自の支援も積極的に措置している自治体を中核とした重点地域を選定をいたしまして、めり張りの利いた集中的な支援を講じていくことにより、先行する需要の塊の創出を図っていくこととしたところでございます。
本制度によりまして、中核となる自治体の水素ステーション事業に対しては、今まで対象外であった、ディーゼルと水素の燃料費の差額の四分の三程度に相当する一キログラム当たり約七百円を国が支援するほか、残る差額に対しても自治体独自の支援が講じられることとなり、こうした措置を通じて事業者の負担が大幅に軽減されることとなります。
引き続き、こうしたステーション事業者への支援を契機としまして、水素販売価格の更なる低減や、車両メーカー、運送、荷主企業による車両の着実な導入、そして最終消費者も含めた負担の在り方について、官民でしっかりと議論してまいりたいと存じます。
○丹野委員 ありがとうございます。
今お話の中で重点地域という言葉がありましたけれども、最後に、私の地元であります愛知県、実は愛知県は水素の重点地域に選ばれまして、愛知県における水素の取組を取り上げたいと思っております。
物づくり愛知ですけれども、本当に様々な産業が集積をしておりますので、そういったものを一体的につなげて取り組むことができるわけですね。なので、これを水素に置き換えると、水素を作ったり、ためたり、運んだり、発電したり、工場でそれを使ったりということで、一連で一体的に、水素を取り出しても、つくることができる。なので、水素サプライチェーンというのを構築することが実装としてできる環境にあるわけです。
そこで、愛知県が、水素社会を実現しようということで、あいち水素関連プロジェクトというのをずっと推進しております。今お話がありました、今回、その重点地域にも選ばれたわけですね。
その上で、幾つか質問をしてまいります。
この後の質問につきましては、愛知県で水素に積極的に取り組んでいらっしゃいます、愛知県の水素社会実装推進室という方にいろいろと伺っております。
まず、水素ステーションに関してなんですけれども、現在、整備費の補助制度というのが、その供給能力によって補助メニューが変わっているということなんですね。現在は大規模水素ステーションの補助上限額が四億五千万円ということになっています。
ただ、FC大型トラック、これを連続して充填するためには、より一層供給能力を蓄えた、大規模ではなくて大型というんですが、大規模じゃなくて、より大きい、大型な水素ステーションを整備する必要がある。この大型水素ステーションを造るとなると十億から二十億かかると言われておりまして、現在の補助の上限額を増額しないとこれはちょっと無理だよなというイメージがあります。この辺りはいかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
大規模ステーションの整備費に対する支援につきまして、令和六年度において、四億五千万円を補助上限額としつつ、一方で、トラック等の商用車への充填に対応するための能力増強に対しまして、追加で二億円を上限額とした補助メニューを用意しておりまして、総額で六億五千万円の補助を可能としていたところでございます。
その上で、今後導入が見込まれる大型トラックに対応した、まさに今御指摘いただきましたいわゆる大型の水素ステーションの整備につきましては、場合によっては十億円を超える費用がかかると認識してございまして、このため、令和七年度からは、能力増強に対して、追加で三億五千万円を上限額とした補助メニューを追加することとしてございます。したがって、総額八億円の補助を可能とすることとしているところでございます。
こうした措置を通じまして、大型トラック等の燃料電池商用車の導入に対応した大型水素ステーションの整備に向けて、しっかり支援してまいりたいと存じます。
○丹野委員 ありがとうございます。
そういう、大型に向けても補助をつけていくということで、お話をありがとうございました。
次に、副生水素について伺います。
これは製品を作る過程でできる水素なんですね。この副生水素というのは、製鉄所とか化学コンビナートでできまして、その一部は水素ステーションでも活用されておりますけれども、大気放出したりとか、自分の燃料で自社で使っているという場合が多いです。
この副生水素を新たに水素ステーション用の水素として確保するためには、工場に新たな設備を造らないといけないわけですね。ここにもやはり支援が必要かなと思うんですけれども、この辺りはいかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
現状、副生水素は、例えば鉄鋼所では燃料として用いられたり製油所におきまして脱硫プロセスで使われたりと、既存の用途もあるということでございまして、このため、既存設備に追加で必要な設備を含め、各分野のプラントの装置構成や代わりに必要となる燃料も考慮しながら、外販用にどの程度の生産が可能か、その分のプラントのCO2排出量の増加をどう評価するかなど分析した上で判断する必要があると承知をしてございます。
まずは、どういった分野で、どのような条件がそろえばコストが下がるのか、モビリティー用途で利用する場合には、まさに御指摘いただきました水素ステーションとの輸送距離なども考慮して分析していく必要があると考えてございまして、引き続き、業界団体や事業者にも協力を仰ぎながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと存じます。
○丹野委員 ありがとうございます。
お金の話ばっかりして恐縮なんですけれども、ずっとお話しいただいた補助金だけではなくて、例えば、導入、運用することによってメリットがあるような、そういう方策も必要かなと思うんですね。例えば、貨物自動車を取得したときの税額控除を中小企業から大企業に拡充するとか、あと、高速道路の利用料の無償化とか割引とか、そういう促進のためのインセンティブみたいなもの、それを考えてはどうかなと思うんですけれども、この辺りはいかがでしょうか。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
モビリティ水素官民協議会の場におきまして、燃料電池商用車の導入促進には、車両購入や水素調達への支援だけではなく、まさに御指摘いただきました、運送事業者など車両の利用者側への導入メリットやインセンティブを求める声なども上がっていると承知をしてございます。
例えば、高速道路での利用料の無償化や割引について、経産省として直接その是非をお答えできる立場にはございませんが、こうした事業者の御要望の声はしっかりと認識してございます。
利用者側にも実感できるメリットをつくり出す工夫につきまして、関係省庁とも連携をし、議論をしっかりと進めてまいりたいと存じます。
○丹野委員 ありがとうございます。
是非、導入することで何かわくわくするみたいな、そういうインセンティブな発想をお願いしたいなと思います。
では、最後の質問、また大臣、お願いします。
愛知も選ばれました重点地域ですけれども、二〇三〇年までの目標を掲げて、普及を目指すとあるんですね。その後についてはどういった支援策を描いていらっしゃるのか、教えてください。
○武藤国務大臣 先ほどございましたように、燃料電池商用車の導入、また需要と一体となった水素ステーションの整備を二〇三〇年度までの期間において先行的に推進していく地域として、愛知県を始めとした重点地域を選定したところであります。
まず、こうした重点地域において中核となる自治体におけるステーション事業、この事業者に対して既存燃料価格を踏まえた追加的な支援を講ずることで、初期の需要を創出していきたいというふうに考えているところです。
また、中長期的な展望でありますけれども、ここは、支援だけではなく、燃料電池商用車の普及拡大に向けて、ロードマップを検討してまいります。具体的に言いますと、燃料電池商用車のコストの削減ですとか水素ステーションそのもののメンテナンスの在り方の見直しなど、研究開発や規制面での対応も含めて、官民協議会の場を活用しながら検討してまいりたいと思います。
○丹野委員 ありがとうございます。
GX法の際も議論になりましたけれども、やはり最大の課題というのは、脱炭素によって産業競争力を落としてはいけないということだと思っています。大変難しいんですよね。やはり、脱炭素化と産業の成長というのを両立させなきゃいけないので、これはすごく難しい課題だと思っていますけれども、これを成功させることができれば勝機となることができると思います。
現状、やはり日本のエネルギーの現状のままですと、脱炭素という世界的なミッションの達成が、困難が続くなと思うわけですね。なので、やはり、電力の安価で安定的な供給、これは必ず維持しつつ、しかも、未来のエネルギーとして期待される今回の水素やアンモニアといった、こういった事業は、本当に事業者が手を挙げやすいように、企業が本当に手を挙げやすいように国が支援していく、いろいろお話がありました、そういったものを是非これからもお願いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、山口良治君。
○山口(良)委員 公明党の山口良治です。
本日は、私もエネルギー政策について、やや広い視点からになりますけれども、質問をさせていただきたいというふうに思います。
初めに、地熱発電についてお伺いをいたします。
今回の七次エネルギー基本計画では、我が国は、二〇五〇年には供給電源のおよそ半分を再生可能エネルギーで賄うという大変野心的な目標を掲げました。地熱発電については、太陽光や風力と異なり自然条件の影響を受けにくく、安定的な発電が可能であり、第七次のエネ基ではベースロード電源と位置づけられております。
現状で、我が国は国土面積当たりの地熱発電所の数では世界第一位であり、今後、更に活用を図れば、現在の約四倍の発電が見込まれるとの専門家の意見もあります。
今年四月には官民協議会が開催をされ、次世代地熱発電に関する本格的な議論が始まったと承知をしております。具体的には、クローズドループや超臨界地熱発電など、地熱のポテンシャルを最大に生かしていく新技術が活用されることで、地熱発電の普及が加速する可能性が期待をされております。
これら次世代の地熱発電の利活用について、今後、政府として支援も必要とされると考えますが、現在の検討状況等、お伺いしたいと思います。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国が世界有数のポテンシャルを有する地熱資源の活用、その導入の促進は極めて重要だと考えてございます。
御指摘のクローズドループや超臨界地熱などの次世代地熱技術についてでございますけれども、これは、従来型地熱と比較した際には、自然由来の熱水を必要としないため、開発エリアの拡大、大規模な発電が可能となる、そういったメリットが期待されるところでございます。
そのため、政府といたしましては、第七次のエネルギー基本計画におきまして、次世代型地熱技術の二〇三〇年代早期の実用化を目指しまして、研究開発や実証を進め、事業化につなげるということを示しているところでございます。
今、地熱事業者や金融機関などを集めた官民協議会を設置をいたしまして、課題の解決に向けた議論を重ねているところでございます。
今後、協議会で、発電コストでありますとか技術開発項目、そういった項目について議論いたしまして、具体的な方向性をロードマップという形で年内に取りまとめて、国内での実証支援に向けた必要な予算の確保、体制整備を進めてまいりたいと考えてございます。
○山口(良)委員 非常に可能性が大きいこの次世代型の地熱発電、是非とも実用化に向けて進めていただきたいと思います。
昨日の日経新聞一面にも、三菱商事さんの次世代型発電への大きな投資の報道がありました。しっかり、民間投資の予見可能性を高めるためにも、どうか官からの支援もよろしくお願いしたいと思います。
次に、我が国の電源構成についてお伺いをいたします。
二〇二三年度のデータによれば、我が国の電源構成は、火力発電が六八・六%、再生可能エネルギーが二二・九%、この残りの八・五%を原子力が担っております。一方で、本年二月に決定をした第七次エネ基では、二〇四〇年に火力を三割以下に抑える、再エネをおよそ五割へと伸ばす、そして原発を二〇%強にするというふうな電源構成となりました。この大きな方向性としては、審査をクリアできた原発をしっかりと再稼働させ、脱炭素電源を伸ばし、化石燃料による火力発電を低減させていくものと理解をしているところでございます。
ここで、令和三年十月に示された第六次エネ基を振り返りたいのですけれども、二〇三〇年に火力四一%、再エネを三六から三八%、原子力が二〇パーから二二%と定めていたかというふうに思います。これは、申し上げるまでもなく、将来のゼロエミッションを実現するための、その一つのマイルストーンとして示されたものでございますが、第六次計画から第七次計画をフローで見ると、火力については約一割低減、そして再エネはおおむね五%程度伸ばしていく、そして原発の目標はほぼ横ばいから微増という、目指す方向性が示されたわけでございます。
これを見まして、私は、第六次エネ基で示された二〇三〇年目標は、この第七次、今回のエネ基の実現を目指す上での一つの足場であるのではないかというふうに考えます。つまり、第六次計画で既に国際公約化されました再エネ三六%から三八%、原子力が二〇パーから二二パーの達成が、七次計画の、後段工程の前提となると考えているわけでございますが、これに間に合うリードタイムを逆算していきますと、送電網の増強、また原発再稼働の手続を、遅くとも二〇二七年までには一つの峠を越えさせていかなければならないのではないか、その必要があるのではないかという見方も一つあります。
そこで、まず送電網の増強について、現在の状況及び今後の見通しについてお伺いします。
〔委員長退席、鬼木委員長代理着席〕
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
再エネの大量導入や電力の安定供給確保のためには、送電網、すなわち系統の増強が重要でございます。そのうち、地域間連系線につきましては、第七次エネルギー基本計画におきまして、今後十年間程度で、過去十年間の整備量である約百二十万キロワットと比べて八倍以上の一千万キロワット以上の規模を目指すとしておりまして、二〇二三年三月に策定したマスタープランを踏まえた対応を進めているところでございます。
この地域間連系線の増強に関しては、特に、ファイナンスの問題が顕在化しているプロジェクトがございます。このため、第七次エネルギー基本計画において、「制度的な対応を含めた資金調達環境の整備について検討を進める。」としておりまして、大規模な系統整備において、工事着工時点から一部の回収を認める仕組みなどについて、今後、審議会において議論を深めてまいります。
また、エリア内の送電網、すなわち地内系統の整備も重要であります。その計画的な整備のため、一般送配電事業者等が、そのエリア内の系統整備に関する計画等を策定し、これに基づいて整備を進める枠組み等の検討を進めております。
こうした取組を通じて、送電網の整備を着実に進めてまいります。
○山口(良)委員 ありがとうございます。
やはり、送電網の増強を行うことによって、再生可能エネルギーを大きく伸ばしていく系統接続が可能になります。東西周波数の変換は、電力融通の容量が拡大をし、災害時のレジリエンス強化にもつながっていくというふうに思います。また、電力の新幹線というふうにも言われているHVDCとともに、電力の需給バランスが崩れた際に、この発電量を意図的に制限する再エネカーテールの増大にも直結することから、着実に進めていくべきものと考えておりますので、必要に応じまして、技術的な支援も含めて、国からのしっかりとした支援に取り組んでいただきたいというふうに思います。
続きまして、現在、稼働中の原子力発電所十四基、また、設置変更許可が下りているものが三基、七次エネ基で定めた目標値に堪え得る原発の必要稼働数はおおむね三十基程度ではないかというふうに試算が出されております。
現在も原子力規制庁によって審査が進められている発電所が九基ございますが、この必要な基数、発電所の再稼働に向けて、今後の見通しをお伺いできればというふうに思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
原子力発電所の再稼働の時期につきましては、原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査や地元の御理解などによって決まるものでありますので、今後の再稼働の見通しについて、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと考えてございます。
その上で、二〇四〇年度エネルギーミックスにおける原子力の比率であります二割程度の実現に向けては、原子力規制委員会の審査を経て原子力発電所を再稼働し、加えて、安全性の確保を大前提とした定期検査の効率化等による設備利用率の向上や次世代革新炉の開発、設置など、様々な取組を進めていくものというふうに考えております。
御指摘のとおり、現在、原子力規制委員会によって審査が進められている発電所が九基ございますけれども、これらも含めまして、再稼働が円滑に進むよう、産業界に対して、事業者間の連携による安全審査への的確な対応等に取り組むよう働きかけますとともに、国も前面に立ち、立地自治体等、関係者の理解と協力を得られるよう取り組んでまいります。
○山口(良)委員 ありがとうございます。
今、参考人の方から国が前面に立ちというお言葉もいただきましたので、よろしくお願いいたしたいというふうに思いますが、当然、再稼働にやはり一番重要なのは地元の理解でございます。これは大前提であります。
一方で、原子力発電については、今回の第七次エネ基で、位置づけは、二〇%満たさなければならないということで、原子力規制庁の大変厳しい審査、これをしっかりクリアしていくことが大事でありますが、長期にわたっているという現実も一方でございますので、安全対策費も膨らんできている、電力会社の投資額も約六兆円を超えているという報道も目にいたしました。
我が国の電力需要を安定して満たすために選択肢から原子力を外すことができないという現実も踏まえ、審査手続については、厳格化とともに、同時並行で迅速化という観点も踏まえて進めていただければというふうに思いますので、これは意見として申し上げさせていただきたいというふうに思います。
さて、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けて創設されました長期脱炭素電源オークション、この制度によりまして、新たな電源が安定的かつ持続的に造られていくことが今期待をされております。電力供給の長期的な安定化により電力コストの急激な変動が抑制されるなど、大きなメリットが見込まれ、今後、我が国の電力政策にとって重要な施策であると考えております。
政府は、この長期脱炭素電源オークションの制度の見直しについて、六月末頃に結論を得るというふうに、議論を今開始をされたと承知をしておりますが、この見直しについて、その必要性が生じた背景、並びに、具体的に今どのように見直しを視野に議論が進められているのか、お伺いをしたいというふうに思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
脱炭素電源の投資回収の予見性を確保し、新規投資を促すための制度であります長期脱炭素電源オークションは、二〇二三年度から開始し、既に二回の入札を実施しております。
今後、インフレや金利上昇などにより、電力分野の建設コストが上昇していく可能性が高まっているというふうに認識しております。特に大型電源は、投資額も事業期間も長大なため、収入と費用の変動リスクが大きく、現在の自由化等の事業環境の下では、事業の不確実性が大きいということが課題だというふうに認識しております。
こうした課題につきまして、先ほど御指摘いただきましたように、現在、審議会において、第三回入札に向けた制度見直しの議論を行っております。
具体的に申し上げますと、インフレ、金利上昇等への対応として、落札価格を消費者物価指数に連動させ、事後的に補正する仕組みにつきまして、より実態に即したきめ細かい対応を可能とするため、建設工事デフレーターや国内の平均金利などの指標の採用等について御議論いただいているところであります。
こうした見直しを通じまして、脱炭素電源への投資を更に強力に後押しできるよう検討を進めてまいります。
○山口(良)委員 今、電力会社は、非常に投資コストがかかって、その回収、予見可能性がしっかりと確保されることによって、安心して整備や増設を進めていくことができる。それがひいては、利用者の皆様の負担につながらないような、そういうふうなことにもなってまいりますので、このオークションの制度の拡充、しっかり経済状況も踏まえたものにしていっていただければというふうに思います。
この脱炭素電源オークションの対象となっている蓄電池についてお伺いしたいと思います。
再生可能エネルギーの主力は、二〇四〇年においても太陽光発電であることは変わりありません。洋上風力についても、現在は、世界的なインフレなどによりコストが大きく膨らみ、各国とも目標を下方修正をしている状況でありますが、今後、原材料等の価格安定が実現するとともに、太陽光に次ぎ大きく普及していくことが期待をされています。
しかしながら、太陽光にしましても風力にしましても、自然環境の変化によって発電量が大きな影響を受けるため、どうしても系統接続ができず、再エネを主力電源としていくためにはやはり蓄電池が重要であり、大幅なその増強が不可欠であります。
これまで政府は、製造体制の強化や系統用蓄電池の設置、導入促進に取り組んでこられたと承知をしておりますが、今後、この蓄電池の普及に向けて、更に加速をしていかなければならない大きな課題であるというふうに認識をしております。これら系統用蓄電池に係る体制整備について、政府としてどのように取り組んでいかれるか、お伺いいたします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
再生可能エネルギーの主力電源化を進めていく中で、再エネで発電した電気を貯蔵できる蓄電池の導入を進めることは大変重要な課題と認識してございます。
政府といたしまして、蓄電池メーカー等の事業の予見性を高めるために、GX実行会議の下に設置をいたしましたGX実現に向けた専門家ワーキンググループにおきまして系統用蓄電池の導入見通しを示しており、二〇三〇年に最大で約二十四ギガワットアワーと、足下の導入実績から大幅な増加を見込んでいるところでございます。
この導入見通しも踏まえまして、経産省として、系統用蓄電池の導入支援補助金や、脱炭素電源への新規投資を促進するための制度である、先ほども御指摘いただきました長期脱炭素電源オークションの対象電源とするなどの措置を講じることとしてございます。
こうした様々な支援措置などを通じまして、引き続き、系統用蓄電池の導入をしっかりと後押ししてまいりたいと存じます。
〔鬼木委員長代理退席、委員長着席〕
○山口(良)委員 最後に、これは大臣にお聞きしたいんですけれども、電源と情報通信インフラを一体として整備する、いわゆるワット・ビット連携についてお伺いしたいというふうに思います。
午前中も山岡筆頭理事の方からもお話がありましたけれども、足下では、生成AIなど急速な需要に応えるための新たなデータセンターの形成が急がれております。その一方で、中長期的には、脱炭素、また地域社会の維持、活性化、さらには新産業の創出といった社会的な要請に応える、一段高い、高次の連携モデルの確立をしていくことが求められていると私は思っております。
そうした中で、現在、ワット・ビット連携官民懇談会が立ち上がって議論が行われているというふうに承知をしております。私は、この懇談会に提出をされました資料、三月のこの懇談会の事務局説明資料というのを拝見をさせていただきました。その中に「データセンターの集積による電力インフラの整備への影響」という一ページがございまして、国内のデータセンターの九割が大都市圏に集中をしており、今後、地方創生や災害リスクの観点からも地方分散を進める必要性が示されております。
そこで、大規模な発電所が、先ほどは、変電所や発電所、やはり設置をしっかり進めるべきだというお話もございましたが、一方で、電力供給に余力があって、早期に電力供給を開始できる場所を示したウェルカムゾーンマップ、この全国展開を通じて大規模需要の適地への集約的な誘導を促していく、これが今まず目の前の重要な課題だというふうに私は思うんですね。
その中で、このページに供給余力マップというのが載っておりまして、電力供給の、太陽光の電力がどれだけまだ空き容量があるかということが示されたマップなんですけれども、これは東京電力さんが作ったマップなんですが、私の地元栃木県が大きく載っております。これは間違いなく余力があるということの代表例として栃木を載せていただいたんだと私は勝手に思っているんですけれども、栃木のみならず、北関東三県は、非常に太陽光の導入量が多くて、まだまだ余力が残っているということでございます。
そうした意味で、東京圏からも近い、そして涼しい気候、再エネ供給可能性、また地盤の安定性、災害リスクの低さ、こういった面からも、今非常に栃木県も注目されています。栃木市では、産業団地にNTTデータが建設され、二千五百億円の投資が行われます。そして、今後更に八千億円までこの投資が増えるという見通しもあり、ホテルも建設されたり、今、大きなインパクトが、経済的効果が期待をされております。
栃木県、まさにワット・ビット連携の適地として、私は是非とも、国としても民間投資を促しながら、再エネ、AI処理需要の増加を見据えたワット・ビット融合プロジェクト、官民連携の、例えば、GX、デジタル特区のような構想を立てていく、そして、地方創生とエネルギー安定供給のモデル地域として、この北関東、なかんずく栃木県を私はそういう地域にしていきたいというふうに決意をしておりますが、このワット・ビット連携に向けた政府の方針、展望について、武藤大臣の御決意、御見解をいただければと思います。
○武藤国務大臣 栃木県の代表のお一人として、熱さを十分感じるところであります。
日本の産業構造の高度化、これは生成AI等を活用したDXが不可欠であります。それを支えるデータセンターの国内整備は最重要な課題の一つです。現在、ワット・ビット連携官民懇談会、ここにおいて具体的な政策の方向性を議論してまいっております。
足下の需要に対応するため、既存の電力、通信インフラの活用を前提としながらも、早期に系統接続が可能なエリアを示す、今委員おっしゃられたようなウェルカムゾーンマップというものの充実化を図り、データセンターの立地を促していきたいと考えています。
その上で、中長期的ですけれども、特に大規模なデータセンターの集積地を選定する、その地域に対して、ワットとビットの効果的な連携により、効率的に電力や通信インフラ整備、立地を後押しする、こういう具体的な対策を検討しているところであります。
この大規模なデータセンターの集積地の選定に当たりましては、特区制度等を活用した規制・制度改革、そことまたGX経済移行債を活用した支援を一体的に進めることで、より効果的な集積を目指してまいりたいと思っています。
栃木も頑張っていただければと思います。
○山口(良)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
大阪万博のパビリオン工事の未払い問題についてです。
冒頭申し上げないといけないんですが、本日このようなパネルを二枚用意していましたが、一枚はねられました。これは非常に不当なことだと考えています。
このパネル自体は、これは今日のテーマですけれども、「休館続くアンゴラパビリオン」という、大阪万博のアンゴラ館という、アンゴラはアフリカの南西部にある国なんですけれども、そのアンゴラのパビリオンが下請業者に未払いになっていて休館が続いているという問題について伺うんですけれども、これも容疑がかかって、いろいろ説明してオーケーになったもの。
あと一枚の方が、この問題自体が五月半ばぐらいからテレビとか新聞とかで報道されるようになったんですけれども、その前に私が御相談いただいていたんですね。一社じゃなくて数件です。そのうちの一つの、四月にすごく突貫工事、二十四時間体制で、自分たちも、そして自分たちの下請にもすごく作業があったんだということを示す請求書ですね、それを、公益通報ですので、匿名性を保護してマスキングしたものを提示していたんですけれども、それがパネルで出所不明だという訳の分からない事情ではねられたということは、これは絶対に許せない。
公益通報、大事だね、匿名性も守っていかないといけないねみたいな話、国会でもやっていたでしょう。それが守れない形で、このような資料ですよ、これ、はねないといけないんですか。
○宮崎委員長 大石君、許可を受けていないものを委員会で提示することはできません。注意してください。
○大石委員 そうなんですよ。委員長、委員長がこのパネルをはねる決定をしたといいます。まあ、ある会派で反対があったようなんですけれども。そもそも、このルール、おかしいでしょう。
これは委員長に抗議したいんですけれども、これ、結局、出所不明って。出所は相談を受けた私ですよ。この手の、公益性が高いけれども匿名性が保護されないといけないようなものというのは、このような形で出さざるを得ないわけですよね。だったら、これが駄目だ、資料で示すなとなったら、どうやってこのような泣き寝入りしている業者のことを国会で暴いていけるんですか。
委員長がこれを決めたということですから抗議しますし、このようなことがないように、これは理事会の運営の在り方が前からおかしいと思っています。その場で、これを出すなという会派があったらはねられてしまうという仕組み自体がおかしいので、委員長、これ、変えてください。委員長、答えてください。
○宮崎委員長 委員と委員長が質疑をすることは予定されておりませんが、今、委員長の判断についての御発言がありましたので、その限りにおいて委員長として発言をさせていただきます。
私は、公平公正な委員会の運営に努めているものであります。議事の整理のために物品の提示に委員長の許可が必要ですが、その際には理事会で協議をしてもらっています。
今回は理事会でその協議が調わなかったということで、その内実も報告を受けました。それゆえ、私としては、物品の提示については許可をしないという判断をしたものであります。
以上です。
○大石委員 結局、委員長は、形式上、委員長だからはねただけやでという話なんですけれども、そういう仕組みがおかしいですよということを申し上げます。
今日、質問をたくさんしなければいけないので、もうこのようなことがないようにしてくださいと申し上げて、当初の質問をします。(パネルを示す)
これは万博でアンゴラ・パビリオンの未払いが起きているということを示すもので、このモザイク、テレビでもモザイクがかかって出てきているんですけれども、この業者さん、A社としましょう、A社さんが下請で四次、私は四次請と呼んでいるんです、いろいろ複雑なことがあるんですけれども、そういう方が、上の三次請がお金を払わない、数千万払わないということで連鎖的に未払いが起きていて、万博倒産の憂き目に遭っていて、これは、民民とか、個別の、この人の、このA社の上の三次が悪かったとかいう話ではなく、構造問題ですので、万博を所管している責任者である経産大臣にこの問題解決の責任がある、何とかしてもらわなければならないということで御質問をいたします。
まず、質問ですけれども、このような、万博が四月十三日に開幕、これに間に合わせるために、一部パビリオン、このアンゴラもですけれども、二十四時間体制で突貫工事が行われていました。この状況、大臣は把握していましたか。
○武藤国務大臣 関係法令を遵守することを前提に、二十四時間の体制で工事が行われていたということは承知しているところです。
○大石委員 御存じだったということですし、経産省も含めて国ぐるみで工事事業者に、このような、もう間に合わぬから工事をやってくれという要請をやっていたんですよね。だから、すごく関係あるし、道義的責任もありますよということが言いたいんですけれども。
配付資料にもあります、四、五とか、政府から工事事業者への要請をしています。経産省から国交省に要請して、国交省から日本電設工事協会への要請をしたりとか、万博協会も、国に要請したり、あるいは、「建設事業者の皆様へ」といって、資料五の右下、カラー刷りのチラシの右下なんかは重大ですけれども、万博の顔となる海外パビリオン建設プロジェクトにおける皆様の御参画は、皆様というのは建設事業者ですね、建設事業者の御参画は、万博を成功させるために必要不可欠だと考えております、万博協会としても、海外パビリオン等の工事が円滑に進むよう、施工環境の向上策について、可能なものから早急に対応していく所存でございますので、何とぞ御協力のほどお願いしますということで、万博協会が、所管は経産大臣ですけれども、万博協会自らが施工環境の向上策について対応していくと明言する形で工事業者に呼びかけて、工事業者も国策やからということで応じて、落ちた資料ですけれども、四月にいろいろな夜間工事、二十四時間体制で数百万、また、全体でいったら四千万と言われていますけれども、これは四千三百万と報道されていますけれども、そのような未払いが生じているというのが現在であります。
それで、この問題を、業者さんは業者さんで、民民での話だけれどもとおっしゃっているけれども、そうは言えぬやろというお話を今しました。万博協会が、あるいは経産大臣が、頼むから工事に来てくれと言いましたねということを言っているんですけれども。
業者さんは業者さんで、自分でお金を払わせようとか、何とか解決しようとは動いているんですけれども、この工事がそもそもかなり異常で、大きくは二点なんですけれども、元請がいまだはっきりしないという問題と、あと、関連した業者ですね、元請あるいは一次、二次が建設業の許可を取っていたのか、それを確認していたのかという、建設業の許可を取っていないという問題が大きくあるんですよ。
経産大臣にお伺いしますけれども、問い五関連ですけれども、経産大臣としても、公式参加者には請負業者への法令遵守を指導するよう求めていると事前には伺っていますが、そもそも、このアンゴラ館の工事の元請は誰ですか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
アンゴラ政府のパビリオンの出展についての契約先、これはノエジャパン社であるというふうに承知をしております。
同パビリオンの工事に関する支払いの問題については、引き続き、経産省及び博覧会協会として、アンゴラ政府それからノエジャパン社に対して、事実関係を確認しながら、適切な対応を促しているところでございます。
○大石委員 今のお答えでは、公式参加者と呼んでいるものはノエジャパンだよと言っているんだと思うんですよ。でも、アンゴラ政府はノエジャパンに確かにお金を払ったんですけれども、建設工事はできないPM会社なので、建設業の許可も取っていないんですよ。だから、元請は何なのかと聞いていて、万博協会は、元請は大鵬という建設業の許可がある業者やと言っているんですけれども、元請は誰ですか、経産大臣。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘があったとおり、PMはノエジャパン社ということになります。そこから、建設工事については、今委員から御言及があった大鵬だというふうに私どもも伺っております。
○大石委員 ここが、本当なんですかというのがありまして、元請が本当ですかとかいう話って、元々すぐ分かる話ですよね。何で分からないのかは、複数あるんですけれども、私に相談があった社のうちのA社さんが言うには、施工看板も工事現場に提示されていなくて、そのA社さん御本人が元請が分からぬという状態になっていて、だから、どうなっているんですかという。
今ノエジャパンと出てきて、ほかにも、そのノエジャパンにお金を払っているのが、吉拓といって、建設業の許可がない、上海の有限の、日本法人ではあるんですけれども、許可がないんですよ。その下に大鵬があって、そこは建設業の許可があって、その下の一六八建設というのは許可がなくて、報道もされている問題の企業なんですけれども、そこまでは支払ったんだけれども、そこの下である、私は四次請とカウントしているんですけれども、そこの業者さんが複数社未払いになっているという、非常に複雑な問題なんです。
こういったときに、これは、A社さんからしたら、工事現場に毎日入っていて、毎日来ていたのは吉拓やと言うんですよ。おたくたちが元請やないと言っているところね。でも、吉拓が毎日来ていて、現場も指揮していたという証言からすると、実質的には許可を取っていない吉拓が元請の可能性もあるんじゃないんですかということと、あと、そういうことというのは、施工看板という、建設業の許可とか労災関係のものとか、表示があるでしょう、それを見たら一発で分かるのに、業者さんの見える範囲のエリアにはなかったと言うんですよ。
それも示したら分かる話なんですけれども、それは経産大臣は把握されているんですか。把握されていたら見せてほしいんですけれども。
○茂木政府参考人 経産省としては、今のような書類については直接は確認をしておりません。
○大石委員 直接は確認しておらないと。それで正しい指導はできるんですか。
○茂木政府参考人 博覧会協会に確認をしたところ、今委員からもいろいろ御言及ございましたけれども、元請、PMとしてのノエジャパンがいらっしゃって、その下に大鵬という会社がいらっしゃる。そこから、今言及あった個別の会社に発注がなされているであろうことは私どもも確認をしております。
○大石委員 重大なのは、万博倒産といって、この方々は倒産しかかっていて、非常に困っているんですよ。かつ、たまたま運が悪かったねとか、この問題だけではなくて、こういう施工看板がなかったというのはこのパビリオンだけではないと証言されているんですよ。
だから、万博敷地内で、本来、こういった施工看板というのは、住民さんはいないですけれども、現場労働者も確認できるように、施工看板だったり又は施工体系図といって、一次請、二次請、三次請は誰なのというのが分かるように掲示しないといけなくて、一部の、建設の許可の証明書なんかは掲示していないと、刑事罰も、罰則もありますからね。労災関係のやつとかも、そういうものも一切なかったと。だから、このA社さんからしたら、A社さんは労災に入っているけれども、実際どういう労働条件でやらされているか分からないということをおっしゃっていて。
じゃ、もしかしたら、敷地のどこか外側にまとめて貼ってあるかもしれないんですよ。大阪万博の施工業者向けの資料を見ますと、一応、法令関係看板は工区統括施工者に提出しないといけない、丸ってついてあるので、何らか作成されたんでしょう。しかし、それを実際に働いているA社が目にすることがなかった。ほかのパビリオンにおいてもそうだと証言がある。
私たちは、皆さんもそうでしょうけれども、工事中にそれを見に行って確認することはできないでしょうから、だから、どうだったのかという検証が要るし、この検証というのはゆっくりやっていていいわけではなくて、その方々は、倒産する、小さい子供がいるのにお金も払ってもらえなくて、もう本当に死活問題だといって、それで、つくりたくもないのに被害者の会を設定されて、慣れもしない、記者の前で記者会見をやって、何とかしてくれといって寄附とかも呼びかけて、誰かが声を上げなきゃといってやっていらっしゃるんですね。
だから、非常に、この問題はアンゴラ・パビリオンだけの問題でもないかもしれないし、そして急ぎなんです。なのに、施工関係図も確認しておられなくて、どうやって指導監督して解決するんですか。これは経産大臣に答えていただきたいんですけれども、いつやるんですか。
○茂木政府参考人 繰り返しでございますが、経産省としては、まず、建設業法における義務の履行状況を確認する立場にはございませんが、協会が参加国に対しまして、その請負業者に対して法令を遵守するように指導することを約束させているというふうに聞いておりますので、この状況を今後確認をしてまいりたいというふうに存じます。
○大石委員 少なくとも、昨日の午後時点ではなされていないですよ。倒産危機やと。はねられた請求書は五月末の請求で、被害者の、下の下請の方はそういう支払い期限も守れないという状況に陥っていて、これは一刻を争うんですけれども、そのような態度で被害は救済されないですよ。
それで、元請が分からないというのは結構重大な問題で、こういうトラブルがあったときに、元請が代位弁済といって立替えできる法制度のたてつけになっているんですよ。だけれども、この被害者の方すらまだ元請がはっきりしないというのでは、その方々も対応しようがないんですよ。
だから、施工関係図とかをちゃんと明らかにしてやらなきゃいけないし、まずそれが掲示されていたのかとかも含めて検証が要るんですけれども、経産大臣、早くやってください。やりますか。いつやりますか。なぜ経産大臣が答えない。
○武藤国務大臣 茂木さん、局長から先ほど来答弁させていただきましたけれども、委員のいろいろなことで御質問というか依頼、要請を受けられていることは承知をしました。
これは、建設工事については、博覧会協会の所管である経済産業省も一応こういう形で関わっているところでありますが、契約者同士というのが基本的な事項であります。その上で、この関係について当事者間で解決されるのがまず第一義的なところだというのが基本だというふうに思っているところでもあります。ただ、状況的な状況がありますので、一回また調べさせていただきます。
○大石委員 そうなんですよ。そういうことをもう十日以上おっしゃっているんですよ。昨日の時点で何も進んでいないので困るんです。
これはその被害者、当事者の話を聞かぬと分からぬのとちゃいますか。現場で施工看板が出ていたのかとか、そういう話も、ほかにもいろいろあるんです。この場でも言えないこともあるんです。だから、被害者の方にお話を聞かれますか、経産大臣。聞いてください。
○茂木政府参考人 今大臣からも答弁がございましたとおり、これは当事者間で解決されるのが基本だというふうに考えておりますが、既に、直接被害を受けている事業者の方も含めて事実関係を確認しているところでございます。
その上で、関係国、参加国を通じて、請負事業者などが下請事業者との協議をするように促したり、こうした取組を進めているところでございますので、引き続きそうした事実関係の確認を進めてまいりたいというふうに存じます。
○大石委員 そういう、引き続きといって、今やれていないからこういう質疑をしているんですよ。だから、引き続きその態度でやられたら困るんです。被害者の声は聞いてください。もう急ぎなので、だから絶対に聞いていただきたいんです。
時間がないので、これはちゃんと言っておかなければいけません。問い七、聞きますけれども。
アンゴラ館工事において、建設業法での安全書類、グリーンファイルは元請業者が管理しなければなりませんが、管理されているかどうか確認していますか。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
建設業法におきましては、建設工事の適正な施工を確保するため、特定建設業の許可を有する元請業者は、発注者から直接請け負った建設工事につきまして、その下請金額の総額が一定額以上となる下請契約を結ぶ場合には、施工体制台帳等を作成することが義務づけられているところでございまして、今委員御指摘のとおりであります。
この施工体制台帳等につきまして、作成を怠るなどをしたことが確認された場合には、業法上、元請業者の許可行政庁による監督処分の対象となるところでございます。
そこで、委員御指摘のこの工事に関する具体的な事実関係におきましては、現在、業法上の元請業者の許可行政庁であります大阪府の方におきまして調査を進めているものというふうに承知をしているところでございます。
○大石委員 大阪府の知事は万博協会の副会長だし、経済産業大臣が責任者だし、さっさとやってください。被害者の声を聞くべきであるし、これだけ倒産を前にして、万博協会なり行政が立替え払いしてやらなきゃいけないですよ。元請が立替え払いするという制度があるのに、元請が分からぬからそれが進まないんですから、まず、国が立替え払いして、早く、トンズラした会社、一六八建設とか、あと元請というところをしっかり指導して金を回収するという形で倒産しないようにしなきゃ、この日本において建設業が物すごく減っているじゃないですか。
この被害に遭った業者さんというのは、能登の災害復旧にも入られているんですよ、電気設備で。携帯電話の基地局の、ライフライン復旧という形で入られたような業者さんで、こういう形で全国から協会が呼び寄せる形で、電気工事が足らぬからやってくれと業種まで指定してやらせて、それで未払いで倒産というのはあり得ないでしょう。これは国民の損失ですからね。
このような形で、物すごく大事な建設業の中小零細企業を潰すというのは、国策でやって未払いで潰すということは絶対あってはなりませんので、すぐに動いてください。
時間がなくなりましたので、今日はこれで終わりますが、引き続き扱います。
○宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎です。
今日は、イスラエルがガザに対して行っているジェノサイドについて、そして、日本とイスラエルとの経済協力、イスラエル製の武器の購入の是非について聞きたいと思います。
ガザでの死者は五万四千人を超え、そのうち子供は一万五千人を超えたとされています。国連安保理ではパレスチナの国連大使が、今年三月の停戦合意の崩壊以降だけでガザ地区で千三百人以上の子供が殺されたと訴えました。民間人や、病院、学校など民間施設を攻撃の対象にしてはならない、意図的に飢餓に陥れてはならない、戦争においても守らなければならない国際人道法を次々じゅうりんしているのがイスラエルです。
今、極めて深刻な事態となっているのが食料供給の問題であります。
イスラエルは、十一週間にわたって支援物資の封鎖を行いました。ガザで四百か所に設けられていた国連の食料配給拠点、これは封鎖されて、アメリカとイスラエルが支援をして、GHF、ガザ人道財団といいますけれども、ここが設けた配給所はたった四か所で、そのうちの三か所は南部にあります。動いているのは二か所だとされております。イスラエル軍は、ガザ住民を南部に移動させてハマスの戦闘員を掃討する作戦を展開する方針だともされております。国連を含む団体が、支援を武器化しているとして、この団体、財団に協力を拒否をしております。
WFP、世界食糧計画は、七万人以上のガザの子供たちが深刻な栄養失調に直面していると発表をいたしました。
その配給所をイスラエルはこの度攻撃をし、少なくとも三十一人が死亡し、二百人以上が負傷したとも報道されております。UNRWAのラザリーニ事務局長は、死のわなと化している、ガザは国際人道法の墓場となっていると訴えました。まさに、ガザは今、地獄と化しています。
五月十九日、英仏独のガザへの人道支援に関する共同声明、ここに日本も署名をいたしました。
外務省に確認します。
今イスラエルがパレスチナ・ガザでやっていることは、国際法、国際人道法など一切守られていない行為ではありませんか。
○今西政府参考人 お答えいたします。
ガザ情勢に関しまして、今般の軍事作戦の拡大により民間人を含む多くの死傷者が発生していることにつきましては、私どもとして甚だ遺憾に思っているところでございます。
ガザの再占領、それから軍事作戦の拡大によって既に深刻なガザの人道状況を一層悪化させることや、それから二国家解決の実現に逆行する動きには私どもとして反対でございます。イスラエルはこれらの問題について適切に行動することを、これまでも強く求めてきたところです。
具体的には、五月十三日、イスラエルとの外相会談において岩屋外務大臣からサアル外務大臣に対して、また、二十二日に船越外務次官がコーヘン駐日大使を召致した際にも、こうした日本の立場を強く直接申し入れております。とりわけ、民間人保護と人道支援の確保といった、国際人道法を含む国際法の遵守を強く働きかけてきております。
御指摘のあった五月二十日、我が国を含む二十七か国・機関の外相共同声明におきましては、イスラエルに対して、ガザへの人道支援の全面的な再開を直ちに許可すること、そして、国連及び人道支援機関が独立して中立的に活動できるようにすることを強く求めてきているところです。
その上で、御質問でございますけれども、イスラエルによる今般の軍事作戦の拡大に関して、ガザにおける深刻な人道状況にもかかわらず更なる軍事行動が正当化されるという点につきましては、必要性それから均衡性を満たさなければならないわけでございますけれども、国際法の観点から、イスラエル政府により説得的な説明がなされているとは言えないと考えております。
我が国としても、今後とも、関係国、機関と緊密に連携しつつ、イスラエルに対して国際法を遵守するよう一層強く求めてまいります。
○辰巳委員 今あったように、必要性、均衡性、これは事実上満たされていない。国際法の遵守を求める、これは国際法が遵守されていないということですから、本当に重大な事態だと言わなければなりません。
イギリスは、昨年九月に、イスラエルへの武器の輸出を停止いたしました。重大な国際法違反に使われるかもしれない明らかなリスクがあるためだとしています。イスラエル寄りと言われているドイツのメルツ首相も、なぜこのようなやり方で民間人を傷つけるのか分からない、ハマスのテロに対する戦いとして、もはや正当化できないと発言をしています。
今、ヨーロッパでは、余りにも残虐で非道なイスラエルの蛮行に対し、声を上げ始めているようにも見えます。余りにも遅いけれども、当然の流れだと思います。今、日本政府としても、言葉だけではなくて態度で示していかなければならないと私は考えます。
国連総会は、去年の九月に、イスラエルによる長年のパレスチナ占領政策を国際法違反だと断じた国際司法裁判所、ICJの勧告的意見を受け、イスラエルに占領政策の一年以内の終結を求め、加盟国には、イスラエルへの武器輸出、違法入植地からの輸入の禁止など、非軍事的措置、制裁の実施、これを呼びかける決議を採択をいたしました。日本もこの決議に賛成をしたということでよろしいですね。
○今西政府参考人 お答えいたします。
昨年九月十八日、国連総会は、国際司法裁判所、ICJが七月に発出したパレスチナ占領地に関する勧告的意見に関する決議を賛成多数で採択いたしました。
我が国としては、委員御指摘のとおり、この決議に関して賛成票を投じております。国際社会における法の支配に向けたICJの役割を支持する、こうした点も含めました総合的な判断として賛成票を投じました。
○辰巳委員 私は、中でも注目したいのは、イスラエルへの武器輸出、違法入植地からの輸入の禁止などの制裁の実施が呼びかけられたということなんですね。これは、イスラエルの不法なプレゼンスの維持に関与する経済貿易取引を差し控えることを求めたものであります。
イギリスは、この間、この事態を受けて、二十日に、イスラエルとの自由貿易協定、FTAの交渉を中断すると明らかにいたしました。パレスチナ自治区ガザへの攻撃をやめず、十分な支援物資の搬入を拒んでいるためとされております。EUも、イスラエルとの貿易協定の見直しを検討するということで合意されたと報道もされております。
武藤経産大臣に確認をしたいと思います。
今、日本とイスラエルの経済連携協定締結に向けた話合いは、二〇二〇年から始まりましたが、二〇二三年、イスラエルがガザに侵攻するまでに三回の協議、共同研究と言っていますけれども、これを行った後は開かれていないと聞いております。私は、今のような情勢の下で、イスラエルとの経済連携協定、これは結ぶべきではない、この協議もするべきではない、こう思いますけれども、いかがですか。
○武藤国務大臣 イスラエルとのEPAの関係でありますけれども、今議員おっしゃられたように、二〇二三年の九月の三回をもって最後として、それ以降は開催しておりません。
○辰巳委員 大臣、今のような状況で、四回目はないということをはっきり言っていただきたい。
○武藤国務大臣 これは、今、イスラエルの問題、今のガザの問題について、大変私自身も遺憾だと思っております。
この件につきましては、日・イスラエル二国間関係で総合的に勘案をしなきゃいけないところもありますが、適切に対応していきたいと思っています。
○辰巳委員 今、大臣から、今のイスラエルの状況を鑑みれば四回目はないという趣旨の答弁があったと思います。
私は、更に問われるのは防衛省だと思っているんですね。防衛省は、今年度の当初予算において、小型攻撃用ドローン三百十式の取得経費として三十二億円を計上しております。既に実証試験が行われ、その中には、イスラエル製のスカイストライカーなど、イスラエル製の四機のほか、オーストラリア製二機、スペイン製一機の計七機種が実証試験として契約がされております。今後、一般競争入札を経て選定をする方針とされております。
ガザの人たちを殺りくしている兵器を購入することは、私は、そういう会社の武器の再生産を底支えするものであり、当然その是非が問われてくるというふうに思います。
防衛省に確認します。
イスラエルの軍事会社エルビット・システムズが開発したこの小型ドローン、スカイストライカーは、今年の四月にガザの避難民テントへの爆撃に使われたものではないんでしょうか。
○本田副大臣 お答えいたします。
御指摘の報道につきましては承知をしているところでありますが、お尋ねの件につきましては、防衛省として確定的なお答えをすることが困難であるということを御理解いただきたいと思います。
○辰巳委員 日本政府として、そこまで言って、確定的に判断することは困難だけれども、報道されていることは知っている、こういうお話だったと思うんですね。
私は、このエルビット社のホームページの冒頭に出てくるスカイストライカーという攻撃型小型ドローンがいかに優れているかというホームページのPRビデオを確認しました。
まず最初に出てくるのが、バトル・プルーブン・プレシジョン・ストライク・ケーパビリティー、戦闘で実証された精緻な攻撃能力というアピールなんですね。まさにガザで子供たちが苦しみ、焼き殺されていることが実証されたものであるということであり、それを売り文句にしていると言わなければならない。こんな残酷なことは私はないと思います。
また、イスラエル国営のイスラエル・エアロスペース・インダストリーズも実証試験の対象となっております。イスラエル国営企業の兵器を購入して当該製造企業を支援すること自体が、イスラエルを直接支援すること、ひいてはガザで行われている国際法違反のジェノサイドに日本が加担をすることになる、国民の血税で購入する以上、国民にもその片棒を担がせることになると言わなければならないと思います。
防衛副大臣、このようなイスラエル製の武器の購入は私はするべきではないと思いますが、いかがですか。
○本田副大臣 お答えいたします。
防衛力整備計画におきましては、我が国への侵攻を阻止、排除するために、各種機能を効果的に保持したUAVを整備することとしております。
一般的に、防衛装備品の取得に当たっては、我が国の安全保障環境を踏まえつつ、性能、経費、維持整備などの様々な要素を勘案した上で、今後の我が国の防衛に必要な装備品を総合的に検討することとなります。
御指摘のUAVにつきましても、特定の国の装備品の取得を予断をすることはなく、総合的に検討を行った上で、我が国の防衛に必要な装備品を適正に取得できるよう努めていく、このような考えでございます。
○辰巳委員 いや、ひどい答弁だと思いますよ。ひどい答弁だと思いますよ。今イスラエルが犯していること、冒頭外務省からあったように、これは正当化できない行為をイスラエルはやっているわけなんですよ。それは性能を見て選びます、総合的に選びます、こんなことで本当にいいんでしょうか。
ガザで子供たちが殺されている兵器を日本が性能がいいといって購入すること、私はこれは本当に許されるのかというふうに思いますよ。今の答弁は誤ったメッセージを私は世界に発信することになると思いますよ。副大臣、本当にいいんですか。少なくとも、イスラエルの、ガザで使われているこういう兵器を製造している会社は、日本の防衛省は購入しない、様々な方策で入札から排除する、私はそういうことも検討していただきたいと思いますが、いかがですか、もう一度。
○本田副大臣 お答えいたします。
実証実験につきましては、これによって具体的な機種を選定するといった種類のものではありませんで、今後導入する機種に求める具体的な要求性能の検討等を行うために実施するものであり、実証実験で使用した機種が必ずしも取得する機種となるわけではございません。
引き続き、特定の国の装備品の取得を予断をすることなく、実証実験の結果も踏まえ、様々な要素を勘案して総合的に検討を行った上で、我が国の防衛に必要な装備品を適正に取得できるよう努めていく考えでございます。
○辰巳委員 絶対こういう国の企業の、ガザの子供たちを殺りくしているような、そういう企業の兵器は日本は購入するべきではないということも言っておきたいと思います。
私は、加担している日本企業の存在、これも問題だと思っています。
昨年二月に伊藤忠商事は、子会社を通じてエルビット・システムズと結んでいた協力関係の覚書を終了いたしました。国際司法裁判所、ICJがイスラエルに対し、ジェノサイド行為を防ぐ全ての手段を講じるよう命じたことなどを踏まえて決めたとしております。当然の措置だと思います。
しかし、この度の実証試験においては、イスラエルの軍需企業と契約を結んでいる日本の企業はほかにもあると聞いております。防衛省は把握しておられますでしょうか。
○本田副大臣 お答えいたします。
UAVの実証実験につきましては、多用途UAVにつきまして一機種、小型攻撃用UAVにつきまして四機種、攻撃用UAVにつきまして一機種、イスラエル製の機体の試験を行っております。
これらの契約相手方につきましては、多用途UAVが川崎重工業、小型攻撃用UAVが三社ございまして、海外物産、日本エヤークラフトサプライ及び住商エアロシステム、攻撃用UAVが日本エヤークラフトサプライとなっております。
○辰巳委員 私は、プライム市場に上場するような大手商社の子会社も含まれている、本当にゆゆしき問題だと思うんですね。
日本国憲法前文にある、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」としているはずの我々が、恐怖と欠乏を広げることに加担していいはずはないということも申し上げておきたいというふうに思います。
続いて、武器見本市についてお聞きをいたします。
五月二十一日から二十三日にかけて千葉の幕張メッセで開催をされました武器見本市から日本共産党だけを排除するということが起こりました。出展企業は三十か国以上から四百七十社、うちイスラエルからは約二十社参加をしているというふうに聞いております。
私は、ここに行きたいと思いまして、この運営会社に対してメールで、承認してくださいということで、様々な私のプロフィールを含めた資料というのを提出したんですね。五月の十九日に、この武器見本市、DSEI、運営会社ですけれども、ここから参加承認のメールが私に届いたんです。ところが、二日後の二十一日には不承認のメールが届いたんです。これは私だけではないんですね。地元の日本共産党の千葉県議や千葉市議も、あるいは私のスタッフも認められませんでした。ちなみに、他党、自民党さんは認められているんです。この経産委員会の中にも認められて行った人がおられると思うんですけれども。
経産大臣、経済産業省はこの武器見本市を後援していますから、こういう運営の在り方は問題ではありませんか。
○武藤国務大臣 DSEIジャパンの件でお問い合わせをいただきました。
経済産業省は、規程に基づき、当該イベントについて後援名義の使用を承認しているところです。民間イベントにおける入場登録などの個別の運営ですが、ここはイベントの主催者の責任で行われているものと承知をしているところであります。そのため、個々の運営に経済産業省が関与する立場にはありませんので、個別の事案については承知をしていないところです。
一般論において申し上げますと、後援名義を使用するイベントには一定の公益性が求められていることから、例えば特定のグループのみの参加を認めることや排除するといったことが仮にあれば、公益性の観点からはそぐわないと考えているところです。
○辰巳委員 まあ、この見本市はもう終わってしまいましたので、これは経産大臣、引き続き聞いていただきたいと思うんですけれども、この間、万博から我が党の機関紙の赤旗が排除された問題というのがあったじゃないですか。大体、問題があるところで日本共産党は排除されるんですよ。そういう問題を指摘をしていくからなんですよね。首相や防衛大臣がそろって参加をして日本を死の商人国家にしようとしている、だから、それを批判する共産党を排除する。
国際法をじゅうりんするイスラエルを支える、そういう武器の購入もやめるべきだということを申し上げて、私の質問といたします。
以上です。
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○宮崎委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。武藤経済産業大臣。
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外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件
〔本号末尾に掲載〕
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○武藤国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件の提案理由及び要旨につきまして御説明申し上げます。
日本は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を始めとする日本を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日以降、北朝鮮からの輸入の禁止などの措置を厳格に実施してきました。また、平成二十一年五月二十五日の北朝鮮による二度目の核実験を実施した旨の発表を受け、同年六月十八日以降、北朝鮮への輸出の禁止などの措置を厳格に実施してきました。
関連する国際連合安全保障理事会決議は、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄を求めていますが、いまだにその実現には至っておりません。また、拉致問題については、現時点においても、解決に至っておりません。
政府においては、こうした北朝鮮をめぐる諸般の事情を総合的に勘案し、令和七年四月八日の閣議において、引き続き令和九年四月十三日までの間、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止などの措置を実施することを決定いたしました。
これを踏まえ、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。
次に、本件の要旨を御説明申し上げます。
本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による令和七年四月八日の閣議決定に基づき、同年四月十四日から令和九年四月十三日までの間、北朝鮮への全ての貨物の輸出及び北朝鮮からの全ての貨物の輸入について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたこと、並びに北朝鮮と第三国との間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づき国会の承認を求めるものであります。
以上が、本件の提案理由及び要旨であります。
本件につき、御審議の上、速やかに御承認くださいますようよろしくお願い申し上げます。
○宮崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る六日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十四分散会