第2号 令和7年11月21日(金曜日)
令和七年十一月二十一日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 冨樫 博之君
理事 加藤 鮎子君 理事 国定 勇人君
理事 田中 良生君 理事 伊藤 俊輔君
理事 松田 功君 理事 谷田川 元君
理事 井上 英孝君 理事 鳩山紀一郎君
五十嵐 清君 石橋林太郎君
上田 英俊君 大空 幸星君
加藤 竜祥君 草間 剛君
坂本竜太郎君 高木 啓君
谷 公一君 土屋 品子君
中曽根康隆君 西田 昭二君
根本 拓君 野中 厚君
鳩山 二郎君 深澤 陽一君
古川 康君 穂坂 泰君
本田 太郎君 簗 和生君
阿部祐美子君 尾辻かな子君
川原田英世君 神津たけし君
白石 洋一君 鈴木 岳幸君
長友よしひろ君 西川 厚志君
福田 淳太君 馬淵 澄夫君
山田 勝彦君 美延 映夫君
村上 智信君 菊池大二郎君
古川 元久君 赤羽 一嘉君
中川 宏昌君 西園 勝秀君
吉田 宣弘君 たがや 亮君
堀川あきこ君 福島 伸享君
斉木 武志君
…………………………………
国土交通大臣 金子 恭之君
総務副大臣 高橋 克法君
国土交通副大臣 佐々木 紀君
国土交通副大臣 酒井 庸行君
財務大臣政務官 高橋はるみ君
国土交通大臣政務官 加藤 竜祥君
国土交通大臣政務官 永井 学君
国土交通大臣政務官 上田 英俊君
政府参考人
(内閣官房防災庁設置準備室審議官) 河合 宏一君
政府参考人
(内閣官房外国人との秩序ある共生社会推進室次長) 岸川 仁和君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 小山 和久君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 福田 毅君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 渡邊 滋君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 榊原 毅君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 黒田 昌義君
政府参考人
(国土交通省大臣官房総括審議官) 岡野まさ子君
政府参考人
(国土交通省大臣官房政策立案総括審議官) 長井 総和君
政府参考人
(国土交通省大臣官房公共交通政策審議官) 池光 崇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房土地政策審議官) 堤 洋介君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 石井 宏幸君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長) 鶴田 浩久君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 佐々木正士郎君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 楠田 幹人君
政府参考人
(国土交通省都市局長) 中田 裕人君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局長) 林 正道君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 沓掛 敏夫君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 宿本 尚吾君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 五十嵐徹人君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局長) 石原 大君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 新垣 慶太君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 宮澤 康一君
政府参考人
(観光庁次長) 木村 典央君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 西村 治彦君
参考人
(成田国際空港株式会社代表取締役社長) 藤井 直樹君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
―――――――――――――
委員の異動
十一月二十一日
辞任 補欠選任
野中 厚君 穂坂 泰君
深澤 陽一君 本田 太郎君
城井 崇君 山田 勝彦君
赤羽 一嘉君 西園 勝秀君
中川 宏昌君 吉田 宣弘君
同日
辞任 補欠選任
穂坂 泰君 坂本竜太郎君
本田 太郎君 中曽根康隆君
山田 勝彦君 城井 崇君
西園 勝秀君 赤羽 一嘉君
吉田 宣弘君 中川 宏昌君
同日
辞任 補欠選任
坂本竜太郎君 野中 厚君
中曽根康隆君 西田 昭二君
同日
辞任 補欠選任
西田 昭二君 深澤 陽一君
―――――――――――――
十一月二十日
気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○冨樫委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として成田国際空港株式会社代表取締役社長藤井直樹君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省大臣官房長黒田昌義君外二十四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○冨樫委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○冨樫委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。草間剛君。
○草間委員 自由民主党の、神奈川十九区、草間剛でございます。この度、国土交通委員会で初めての質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
新たに御就任をされました金子国土交通大臣所信に関する質問ということで、私からは、まず、高市総理からの大臣指示並びに金子大臣の先日の所信でも言及がございました、二〇二七国際園芸博覧会についてお聞きをしたいと思います。
開催まで残り四百八十三日となったこの花博、グリーンエキスポでございますけれども、私自身、三期十二年、横浜市会議員を務める中で、過去の二〇一六年トルコ・アンタルヤ花博、それから二〇一九年北京で行われた花博などを視察させていただきながら、オランダに本部がある国際園芸家協会にも出向きまして、誘致活動の時代から市議として関わらせていただいておりまして、この度、自民党の推進特命委員会の事務局長として、先生方や省庁の皆さん、協会の皆さんと一緒になって、成功に向けて尽力をさせていただいております。
皆様におかれましては、花博について余り御存じない方もいらっしゃると思いますので、今日は資料を皆様に配付をさせていただきました。
大阪・関西万博は総来場者数二千八百万人という大成功に終わりましたけれども、今回の花博も大阪と同じ国際博覧会事務局認定の万博という扱いでございまして、日本では一九九〇年の大阪花の万博以来三十七年ぶりとなるA1クラスとして、二〇二七年三月から九月まで、横浜市の瀬谷区で開催をされます。万博同様、秋篠宮皇嗣殿下が名誉総裁に先日就任をされました。
皆様の配付資料にもあります会場位置図なんですけれども、会場は、米軍から返還された横浜市瀬谷区の旧上瀬谷通信施設跡、二百四十八ヘクタールございますけれども、この中の百ヘクタール、これはディズニーランドとディズニーシーを合わせた面積ということになるんですけれども、これを使いまして、先日、高市総理や金子大臣も御参列をいただきましたけれども、政府出展起工式も行われました。
政府目標、七十か国の海外出展を目標としている。そして、各自治体、都道府県も、ほとんどの都道府県が出展をいただきます。企業などの出展など、半年で一千万株の花々が咲き誇る予定でございまして、マスコットキャラクターは、ミャクミャクからトゥンクトゥンクということになってまいります。
皆様の配付資料には、開催の地図でありますとか、今の主要施設でありますとか、会場イメージでありますとか、また、会場の中で、テーマ館で出展をされる予定の陸前高田の奇跡の一本松などの、これは根っこの実物でございますけれども、こういった資料も配付をさせていただいておりまして、最後の政府出展イメージというのが、先日大臣がお越しをいただいた起工式で、これから成ります政府出展館でございます。
そこで、まず、国際園芸博覧会担当大臣でもあります金子大臣から、この花博に対する期待をよろしくお願いいたします。
○金子国務大臣 おはようございます。
国土交通大臣就任後、初めての所信質疑となりました。誠心誠意務めますので、よろしくお願い申し上げます。
草間委員には、日頃から、御地元の国会議員として、また、自民党国際園芸博覧会推進特命委員会事務局長として、横浜グリーンエクスポの準備や機運醸成等に大変な御尽力をいただきまして、誠にありがとうございます。
横浜グリーンエクスポは、博覧会国際事務局や国際園芸家協会に認められた国際的にも最上位の国際園芸博覧会でありまして、同規模の博覧会は、我が国では、一九九〇年の大阪花の万博以来となります。
今回の博覧会は、花や緑を始め、日本の食や農の魅力、地球環境の問題に対する国内の優れた最新技術など、持続可能な社会の実現に向けた取組を横浜の地から世界へ発信する絶好の機会であります。
一千万株の花と緑に包まれる横浜グリーンエクスポでこそ出会える貴重な体験を国内外の多くの皆様方に楽しんでいただけたらと期待をしております。
○草間委員 大臣、ありがとうございます。
実は、私の選挙区は神奈川十九区、横浜市都筑区と川崎市宮前区という、この会場からはちょっと一時間ぐらい離れている場所になるんですけれども、今日は様々な諸課題について議論をさせていただこうと思っております。この場ででも、初めてこのグリーンエキスポの資料を見たという先生方も多くいらっしゃると思いますし、どうせこれは横浜の事業なんだろうみたいにイメージ的に全国で広がってしまっているし、そもそも全国に広がっていないということが大きな課題だと思っておりまして、特命委員会でも、全国的な知名度とそれから世界への発信、これが万博と比較すると桁違いに違うんじゃないかというのが課題として指摘をされております。
そこで、今後、横浜、神奈川以外の広報、特に全国の地方都市の皆さんに対する広報にどのように取り組んでいくのか、これは都市局長に伺います。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
横浜グリーンエクスポの広報は、これまでは、ラッピングバスの運行など、主に地元の横浜市や神奈川県内におきまして取組を行ってきました。
十一月四日の開催五百日前を契機としまして、現在、首都圏や全国へと広報の拡大を図りつつあるところでございます。例えば、首都圏では、人の集まる原宿駅や渋谷駅周辺での広告、動画の放映などに取り組みますとともに、十一月二日の政府出展の起工式など、テレビや新聞等のメディアで取り上げられる機会を増やしているところでございます。
また、地方都市での取組についてですが、今月から、全国の主要な鉄道駅、道の駅、空港など、各地域の交通関連施設で、順次ポスターの掲示を進めているところでございます。
加えまして、横浜グリーンエクスポに出展予定の自治体や企業等、計三百七十六、今ありますけれども、これらを始めとしまして、花卉の生産、流通、小売の団体、生け花、盆栽の団体などにも御協力をいただきまして、それぞれのイベントなどにおいてPRを行っていただくこととしてございます。
引き続き、グリーンエクスポ協会や自治体、経済界等と連携しながら、全国的な知名度の向上に向けた広報に力を入れてまいります。
○草間委員 ありがとうございます。
万博のときは、万博国際交流という内閣官房の事業があったり、全国で機運醸成が行われました。今回はそれもなくて、また、観光庁さんについては、万博の前は、万博を契機とした全国的な観光の推進、万博プラス観光ポータルサイトや、万博を契機とした観光推進ネットワーク会議なども開催され、積極的に取り組まれていたと思うんですけれども、今回まだそれも確認できておりません。
観光庁さんは国内外の対外発信をどのように進めていくのか、強力に進めていくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
観光庁といたしましても、横浜グリーンエクスポについての認知度向上のための取組を進めているところでございます。
具体的に申し上げますと、まず、旅行業界における機運醸成に向けまして、先般、観光庁長官から業界団体に対しまして、旅行商品造成に向けた協力を依頼したところでございます。今後、入場価格やアクセス方法など必要な情報がまとまり次第、更に具体的な働きかけを行う予定でございます。
また、十月一日より、日本政府観光局のホームページにおきまして特設ウェブページを開設したところでございます。ここで、開催情報や、園芸や自然をテーマにした国内観光のモデルコースなどを多言語で発信しているところでございます。加えまして、日本政府観光局の海外事務所を通じ、海外市場に対する情報発信も行っているところでございます。
さらに、各種国際会議それからバイ会談などの機会を捉えまして、各国に対する出展依頼等の働きかけを行っているところでございまして、引き続き、情報発信、知名度向上に努めてまいりたいと考えております。
○草間委員 まさにこの知名度向上というのが大変大きな課題となっておりまして、恐らく、大臣の御地元の熊本でも、都市緑化フェアが開催されてから毎年のようにくまもと花博というのをやられていると思うんですけれども、あれと今回の花博はどう違うんだとか、皆さん多く思われていると思いますので、是非、国を挙げた国家プロジェクトでございますので、国を挙げた広報をよろしくお願いしたいと思いますし、国土交通省所管のプロジェクトでございますので、観光庁さんも是非よろしくお願いしたいと思います。
もう一つの大きな課題が、会場へのアクセス、それから交通対策でございます。
皆様の資料の二ページに、会場区域というのと、その付近の駅からの地図がございます。この瀬谷は、米軍基地がございましたので、交通網はほとんど今、横浜市が今整備をしておりますけれども、かなり進んでいないのが実情でございまして、最寄りが相鉄の瀬谷駅というところになるんですけれども、ここから二キロございます。歩くと大体三十分ぐらいかかるということで、万博との大きな違いは最寄り駅からのアクセスというところでございまして、皆さん大変御尽力をいただいております。
今回、しかも、自家用車も認めていくというところでございまして、交通マネジメント、これは保土ケ谷バイパスも近くにあったりしますので、大変難しいところだと思います。
これは、一義的には開催地である横浜市がしっかり頑張らなければいけないということだと思うんですけれども、開催地である横浜市と連携して、国としても体制を強化しながら対策をしていくべきと考えますが、いかがでございましょうか。
○中田政府参考人 お答え申し上げます。
先生から御指摘ございましたとおり、安全、円滑に会場まで来場できるようなアクセス手段の確保や道路改良などの対策は、横浜グリーンエクスポの成功に不可欠だと認識してございます。
国土交通省では、昨年十一月、省内関係部局から成ります輸送対策支援チームを設置し、グリーンエクスポ協会へ技術的助言や課題解決に向けた支援等を行っているところでございます。
また、本年十月には、事務次官をトップとする全省的な組織を立ち上げまして、交通対策を含む体制の強化を図ったところでございます。
また、加えまして、協会におきましても、本年十一月、新たに設置した輸送対策を統括する専門ポストに大阪・関西万博の経験者を登用するなど、体制の強化を図ってございます。
こうした体制強化を踏まえまして、国土交通省としましては、開催地である横浜市と連携を密にしながら、周辺道路におけるアクセス交通に起因する交通混雑の抑制、そして円滑な輸送の確保などに向け、全力で取り組んでまいりたいと思います。
○草間委員 ありがとうございます。
恐らく、人を動かす主力は、田園都市線の南町田グランベリーパーク駅から一分ごとにシャトルバスを出すということでございますけれども、これも大変なマネジメントだと思いますので、国を挙げてしっかりとよろしくお願いしたいと思います。
また、今回の花博は横浜市の事業ではなく国家事業でございますので、国においては、今年、福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた復興再生利用等の推進に関するロードマップが策定をされました。総理大臣官邸、また霞が関の中央官庁の花壇等へのこの復興再生土の利用を既に実施をされております。原発事故で深刻な被害を受けた福島のふるさとを取り戻し、福島の復興を進めるため、復興再生土の利活用は全国で考えなければならない課題です。国家事業である二〇二七国際園芸博覧会での復興再生土の活用は大きな意義があると考えます。
そこで、二〇二七国際園芸博覧会での復興再生土の利活用を検討すべきと考えますけれども、参考人に伺います。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
福島県内の除染で生じた除去土壌等につきましては、現在、中間貯蔵施設に保管されております。これらの除去土壌等を中間貯蔵開始後三十年以内に県外最終処分をするという方針は、国としての約束でございまして、法律にも規定されている国の責務でございます。
これらの除去土壌のうち、約四分の三は、基準に従って資材として安全に活用できる放射能濃度の低い土壌でございまして、復興再生土というふうに呼ばせていただいております。県外最終処分を実現していくためには、復興再生土の利用を進めることで最終処分の量を減らしていくことが鍵というふうに考えております。
復興再生利用を実施する上では、国民の皆様への理解の醸成が最も重要というふうに考えておりまして、大阪・関西万博におきましても除去土壌を用いた鉢植えの展示を行うなどの取組を実施しまして、多くの方に必要性ですとか安全性について御理解いただく機会となったというふうに考えております。
こうした実績も踏まえながら、今回の件につきましても、引き続き、関係省庁ともよく相談しながら、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○草間委員 今日は地元の根本拓議員もいらっしゃいますけれども、まさに特命委員会の中でも、この復興再生土の利用というのは国家プロジェクトとして大変重要だという考えでございます。
大阪・関西万博においても展示をされたということですから、二〇二七年はそのとき以上に安全性なども確認できていると思いますので、是非活用に向けて、地元理解も含めて、御検討をというか活用をお願いしたいと思いますので、ここでお伝えをさせていただきます。
大阪万博におきましても、様々な課題をオール・ジャパンで解決して、成功に導くことができました。今回の花博も、課題は大小山積しておりますけれども、日本の花卉園芸文化の将来を懸けて、これを成功に導かなければなりません。
そこで、最後に、開催に向けた大臣の決意をお聞かせください。
○金子国務大臣 委員には重要な御指摘をいただきました。
開催に向けては、首都圏を始め全国での認知度の向上や来場者の輸送対策など、多くの課題を解決していく必要があることを改めて強く感じたところでございます。
また、最上位の国際園芸博覧会として、海外から多くの国や機関に参加いただくことも重要であります。
海外からの参加者の招請を含め、諸課題を解決して成功に導くべく、担当大臣である私自身が先頭に立って、関係府省庁、グリーンエクスポ協会、地元自治体、経済界等のオール・ジャパンの体制で、草間委員を始め先生方の御協力をいただきながら、準備を着実に進めてまいります。
○草間委員 この一年間が本当に重要な一年間になると思いますので、是非、大臣のリーダーシップで成功に導いていただきますように、よろしくお願いいたします。
続きまして、大臣所信にもありました、国土交通行政の重点的な三本の柱の一つ、国民の安全、安心の確保という観点から、全国的な課題でもあります自動車整備士不足についてお聞きします。
自動車の整備士資格取得の試験申請者数が、二〇二四年度三万五千五百四人と過去最低だったことが報道をされました。ピークだった二〇〇四年度の七万二千六百二十三人から五一・一%減と、二十年間で半分以下になりました。
日本自動車整備振興会連合会の二四年度の調査では、整備要員が不足していると回答した事業者は約半数の四七・二%に達し、人手不足のために、例えば横浜市交通局では、運転手さんも不足をしているんですけれども、整備士さんも不足をしているとの理由でバス路線も大きく減っておりまして、これは横浜市だけではなくて、川崎市もそうですし、全国の都市バスでも大きな問題となっております。国家的な課題だと認識しております。
そこで、整備士不足に対する大臣の認識をまずお聞かせいただくのとともに、この整備士不足に対する国の政策を更に加速化していくべきだと考えますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
○金子国務大臣 自動車整備士は、自動車の安全確保を担う、国家資格に基づく職業であり、車社会の維持のために必要不可欠な存在であります。
しかしながら、委員御指摘のとおり、自動車整備士の不足は大変深刻な状況となっており、一例を申し上げれば、自動車整備学校の入学者数は過去二十年で半減し、また、自動車整備業の令和六年度の有効求人倍率は、全業種平均が一・二五倍であるのに対し、五・〇九倍と極めて高い状況となっております。
このため、国土交通省においては、若い方々に自動車整備士を職業として選択してもらうため、全国の地方運輸支局長等が高等学校の校長等を訪問し、自動車整備の魅力を紹介する高校訪問を実施しており、昨年度の実績は六百十五件となっております。また、自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドラインを策定し、経営者へ周知するなどの取組を進めているところでございます。
さらに、本年七月には、自動車整備業界の要望を踏まえ、車検において保安基準適合性を最終的に判断できる二級自動車整備士に必要な実務経験年数について、高校卒業から四年を要していたものを二年六か月に短縮するなど、制度面での改善措置を実施しました。
このほか、外国人材の受入れを促進するため、平成二十八年には自動車整備業を外国人技能実習制度の対象にするとともに、令和元年には特定技能制度の対象にも加え、昨年末で合計約九千人の外国人材が自動車整備業界において活躍をしております。
国土交通省としましては、引き続き、自動車整備業界の声をしっかりと聞きながら、人材確保対策に取り組んでまいります。
○草間委員 しっかり対策をお願いいたします。
時間ですので、終わります。ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、白石洋一君。
○白石委員 立憲民主党の白石洋一です。
金子大臣、よろしくお願いします。
まず、造船業についてお伺いします。
新政権になって、造船業は危機管理投資の十七分野の一つとして挙げられて、巷間、国としても資金を出すということが伝えられています。私はそれを肯定的に見ておりますが、やはり効果的に公的資金を使っていただきたいという観点からの質問です。
まず、いろいろな産業が日本にありますけれども、その中で十七、さらに造船業、これから大規模に資金を出す。なぜ造船業は大事なんでしょうか。お願いします。
○金子国務大臣 白石委員にお答えいたします。
四面を海に囲まれた我が国においては、貿易量の約九九%以上を担う海上輸送は、国民生活や経済活動を支える重要な役割を担っております。
我が国の造船業は、このような海上輸送に不可欠である船舶を安定的に供給することにより、その土台を支えております。
近年、我が国造船業の建造量は、二〇一九年から二〇二四年にかけて千六百万総トンから九百万総トンに落ち込むなど減少傾向にあり、国内の建造需要を十分に受け止めることができず、船舶の建造を海外の造船業に頼らざるを得ない状況となっております。
こうした状況が続いた場合、近い将来、国内のサプライチェーンを維持することができず、造船業の存続が困難になり、エネルギーや食料等の物資を海外に頼る日本にとって、その輸送に欠かすことができないタンカーやばら積み船などの船舶の建造を外国へ依存せざるを得なくなるおそれがございます。
このような事態は、国民生活や経済活動に甚大な影響を及ぼすおそれがあることから、海上輸送を担う船舶を供給する造船業は、経済安全保障を確保、強化する観点から重要な産業でございます。
また、我が国造船業は、我が国の海上警備や防衛を担う船舶を建造していることから、安全保障の観点からも必要な産業でございます。
○白石委員 ありがとうございます。
ロジカルに一つ一つ確認したいんですけれども、日本は外国から、九九%、物資を輸入するということで、それは船舶によって輸入されている、それは日本の商船隊で担うべきであるということがまず一つですよね。外国の商船隊ではなくて日本の商船隊、日本の船主であったりあるいは実質支配が日本の船主であるところで運航を担ってほしいということが一つ。
それらが使う船が外国に依存していたら、もし万が一のことがあったら、船が日本商船隊に供給されなくなる、そういうおそれがあるから、一定程度は、日本の造船会社によって供給された船で、日本商船隊はその船を使う、外航で、そして商船、貨物について、それらが押さえられていなければならない、こういう理解でよろしいでしょうか。
○金子国務大臣 白石委員のおっしゃるとおりでございます。
○白石委員 それで、どの程度、日本の造船業はシェアがないといけないのか。
今一三%ということなんですけれども、三位ではあるんですけれども、一三%。国は百七十か国・地域がある中で、上位であることは間違いない。どの程度のシェアがなければ、日本の商船隊というのは、造船業について、経済安全保障上、危機ラインというふうに見ていらっしゃるんでしょうか。
○金子国務大臣 具体的な目標値につきましては、今後、関係省庁等とともに検討を進めてまいりたいと思っております。
○白石委員 やはり、目標がないと、それもいつまでにということがないと、物事というのはプロジェクトとしてぐちゃぐちゃになるということはあるので、まず目標がないといけない。その目標というのは、先ほどおっしゃった経済安全保障上どれぐらい必要なのかというところから導き出されるはずと思いますので、お願いします。そして、今の一三%を二割に戻すなり、あったとしましょう、それをいつまでに。
それで、なぜ日本は戦後からずっとシェアを落としてきたのか。特に、九〇年代そして二〇〇〇年代初めのときに韓国、中国にシェアを譲らざるを得なかったのか、ここに鍵があると思うんですね。そこの分析はどう見ていらっしゃいますでしょうか。
○金子国務大臣 私が小学校とか中学校の頃は、圧倒的に日本が造船業は世界を圧倒していたというふうに記憶をしております。その後、やはり、中国、韓国という両国が、国策として、中国については様々な支援をしてきている、韓国においてもそうだったと思います。
日本においても支援はしてきているわけでございますが、それと、圧倒的な、技術的には今でも世界の最先端の一つであるというふうには認識しているわけでございますが、その技術的なものも含めて総合的に戦略的に、この造船業を国が今の経済安全保障という観点からもしっかり後支えをしていかなければいけないということで、これからしっかりと、高市内閣においても、重点項目の中で取り組んでまいりたいと思っております。
○白石委員 国が支援している、そして日本はそうではなかった、その表、裏ですね、ということで、ではどんな支援が利いてそこまで韓国、中国が伸びてきたのか、そういったところを是非研究、分析していただきたい。
中国は国営企業だからと。でも、たくさん産業がある中で造船業が伸びているわけですよね。そこに何かあるはずなので、国営なのでとか、韓国は破綻してもそこにお金を出した、それだけじゃないと思うんですね。もっと分析して、何が足らなかったから、そして彼らには何があったからこういう状況になっていて、今、目標を達成するためには何が必要で、それは必ずしも国がやる必要がないのかもしれない、国がやらないといけないかもしれない。その役割分担から、国の役割と、そして必要な資金量というのが導き出されてくるんだと思います。ここを是非しっかりしていただきたいなと思います。大臣、それではお願いします。
○金子国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。
現状をしっかりと検証した上で、何をすべきかということをまず導き出して、先ほどお話がありました目標値等々も含めて、真剣に努力をしていきたいと思います。
私自身も、今週末には御地元の今治造船にお邪魔いたしまして、しっかりと現場を見て、また、今治造船所の皆さん方から、どうすれば中国や韓国に対抗して造船業が伸びていくのか、そういったものをしっかり聞き取っていきたいと思っています。
○白石委員 お願いします。
そして、次の質問は、日米造船協力覚書なんですけれども、大臣、先月二十八日にラトニック商務長官とこの覚書に調印されました。
この覚書の内容は非常に抽象的な文言が並んでいるんですけれども、でも、アメリカが造船業に着目し、危機感を感じ、そして、日本から支援、サポートが必要だ、こういうふうに見ていることは分かります。
確認ですけれども、今のアメリカの造船業の世界シェア、日本は一三%ということでした、アメリカはどれぐらいなんでしょうか。
○金子国務大臣 現在、アメリカにおいては造船はほとんど行われておらず、世界での建造シェアはおおむね一%未満と限定的であると承知をしております。
○白石委員 世界の超大国が一%未満の造船シェアということは驚くべきことであります。でも、アメリカでも造船業をいわば規制で保護していて、ジョーンズ・アクトということで、これは、内航船は全てアメリカ製でなければならないということで、日本にもない更に踏み込んだ規制なんですけれども、それでもそこまでになっているということですね。
では、非常に日本と比べても競争力はシェアから見ると劣っている、そういったところにこれから具体的にどういうことをしようとしているのか、今の取組の状況を教えてください。
○金子国務大臣 御案内のとおり、ラトニック商務長官がお見えになって、覚書に署名をさせていただきました。
造船というのは、戦略的投資に関する日米間の覚書において、経済・国家安全保障上の利益を促進する分野の一つとして取り上げられるなど、日米両国の関心の高い分野であると思います。
先月のトランプ大統領来日時に、日米の両首脳間において、造船については、今後取組を一層強化していく経済安全保障の分野の一つとして取り上げられ、その一環として、先ほど申し上げましたように、新たな日米の協力分野をつくり出すべく、日米造船協力覚書に署名いたしておるところでございます。
本覚書は、日米両国の造船業が十分な船舶建造能力を確保し発展することが重要であるとの共通認識に基づく、極めて意義深いものと考えております。
具体的な協力内容につきましては、今後、その作業部会を通じまして米国との議論を深めてまいりますが、米国側のニーズを踏まえ、国内の造船事業者や関係省庁と連携をしつつ、日米両国の造船業の発展に資するよう、適切に対応してまいりたいと思っております。
○白石委員 アメリカのニーズから来ているわけですから、ニーズに資するようにということで、これは、でも、トランプ関税の赤澤大臣がやっていた引下げの交渉の中から出てきた、そして、中でも、日本はアメリカに対して八十兆円の投資をするんだ、こういう文脈の中から出てきたものと理解しております。そう見えております。
しかし、先ほど前段のところで言った、日本でやることがたくさんある中で、アメリカの造船業のサポートをする、そこまでの投資をするということが本当に日本の造船業にとってプラスなのかどうなのかというところはちゃんと見ておかないといけないと思うんですけれども、その点について、大臣、どう考えていますか。
○金子国務大臣 先ほどおっしゃったことについて、まず、関税交渉との関係につきましては、本覚書は関税に関する日米間の合意には含まれておりませんが、いずれにせよ、日米双方にとりまして極めて意義深いものであるとの認識の下で作成したものでございます。
また、日本と、やはりアメリカも今非常に造船業においてはどんどん縮小しているところでございますが、やはり、アメリカにおいては、安全保障の関係もあって、造船業においてもしっかりとした知識、知見はあられると思います。そういう意味では、日本の知見とアメリカが協力することによって、アメリカにとっても、そのときお話をしたんですが、日米の船は日米で造るというようなお話までさせていただいたところでございますので、それぞれの持っているよさを一緒に協力しながらいいものを造っていきたいというふうに思います。
○白石委員 是非、それが日本の造船業者にとって負担になるというようなことではなくて、本当にウィン・ウィンでいくということでお願いしたいと思います。
一方、伝えられているところによると、韓国はアメリカの造船業への投資に積極的だということもあります。その理由もちゃんと分析して、なぜそういうふうになっているのかというところも改めて確認していただきたいと思います。
次の質問に移ります。
平日朝夕割引の見直しというのがされていると思います。
これは、私も何度もここで質問してきて、背景を簡単に申し上げますと、しまなみ海道で、陸地部の旧今治市と合併した島の町村がありまして、同じ市なんだけれども、市役所に行くためには通行料を払わないといけない。そして、一つ一つの島が五千人程度。ですから、買物もしかり、病院もしかり、そして学校もだんだん統合されてきている。だから、陸地部に依存せざるを得ない。例えばその中で一番遠い大三島、片道千五百円強、これが重荷になっています。
それで、何とか島民割引的な制度がないものかということで着目しているのが、この平日朝夕割引を見直して、そしてこれを通勤パスというものにしていく、これは、私、特筆すべき改正だと思っています。
と申しますのは、今までの割引制度というのは、インターチェンジのところ、料金所のところで仕組まれていたんですけれども、この通勤割引というのは、ETCカードのところに区間を登録して、そのことによって割引がなされるというもので、非常に広がりがある制度だと思うんです。
今社会実験をやっているということで、それを来年度に本格導入するということが伝えられているんですけれども、今の状況はいかがでしょうか。
○金子国務大臣 私も国土交通委員会が長かったので、委員から度々このようなお話があったということは承知をしております。
NEXCOが管理する地方部の高速道路では、並行する一般道の混雑緩和を目的に、お話のございました平日の朝六時から九時及び夕方十七時から二十時に高速道路を繰り返し利用する車両を対象に、料金を割引する平日朝夕割引を実施しております。
この割引では、多様な働き方に対応できないことや朝夕時間帯に高速道路の混雑を悪化させるといった課題があったことから、有識者の意見も踏まえ、NEXCOにおいて、利用者が事前登録した区間において、利用する時間帯や曜日を限定せず通行料金を最大五割引きとする通勤パスを全国六か所で試行しているところでございます。
国土交通省としては、NEXCOと連携をしまして、今後、平日朝夕割引に代えて、通勤パスを二〇二六年度中に本格展開することを目指しておりますが、現在、有識者の意見も伺いながら効果分析を行っているところであり、その結果を踏まえながら、丁寧に検討していく必要があると考えております。
○白石委員 丁寧に議論をする中で、ちょっとこれは言いっ放しのお願いになるんですけれども、大三島、伯方島、大島の住民がETCをその居住地のインターチェンジから陸地部最短のインターチェンジ、これは今治北インターチェンジになるんですけれども、区間登録をして、そして割引するということを想定したら、割引一割当たり幾ら必要なのか。これが、負担の金額がないと、本四さんも、あるいは求められた地元についても判断できないと思いますので、是非、これを計算して、公表するなり、次の質問までに計算していただきたいと思います。今、もう計算されたものがありますか。
○金子国務大臣 委員御指摘の試算につきましては、現時点では試算していないためお示しすることができませんが、まずは、どのような試算が可能であるかも含め、本四高速に相談しつつ、検討したいと考えております。
○白石委員 次は、四国新幹線です。
今工事をやっている三ルートについてもそれぞれ課題がありますよね。完成するとなると、もうかなり先ということで。それで、基本計画路線でまだ整備計画に載っていない、整備路線になっていないところというのは、大臣、もう待っていられないという気持ちなんです。
ついては、法定調査をやる、これはその着工が前提になるということになると、じゃ、どこをやるという、非常に微妙な、機微に触れるところになるんですけれども、法定調査と言わないにしても、今のネットワーク調査でいいので、それで、四国新幹線、もうそれだけ言うとまたハレーションが起きます、ですから、東九州とか山陰とか、あるいは東北の日本海側、残っている基本計画で整備新幹線になっていないものについて、ルートとかあるいは費用とか、そのメリット、デメリットを詳細に調査していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○金子国務大臣 これまで、それぞれの地域の皆さん方の御要望もあるわけでありますが、新幹線ネットワークの整備を進めてきましたが、今後の新幹線整備につきましては、まずは、北海道、北陸、西九州の各整備計画路線の確実な整備にめどを立てることが最優先の課題となっております。
他方、基本計画路線については、全国から御要望いただいているほか、各地域において様々な検討が行われており、委員御地元の四国における新幹線に関しても、熱心な議論が行われていると承知をしております。
国土交通省としては、こうした基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワークについて様々な調査を行っているところですが、地域の実情を踏まえ、高機能化に関する調査や方向性も含めた検討など、更なる取組を進めてまいります。
○冨樫委員長 白石洋一君、約束の時間が来ていますので、まとめてください。
○白石委員 終わっていますか。分かりました。
では、それを具体的なルートと、そして……(発言する者あり)
○冨樫委員長 まとめてくださいと言ったんです。
○白石委員 分かりました。
具体的なルートを想定したネットワーク調査、そして、これを実行するためには今の年間八百億の予算では到底足りませんので、その増額をお願いして、私の質問を終えます。
ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、尾辻かな子君。
○尾辻委員 おはようございます。立憲民主党の尾辻かな子です。
今回、国土交通委員会、質問の機会をいただいてありがとうございます。時間、二十三分ということでありますので、簡潔な御答弁をお願いして、質問に入っていきたいというふうに思います。
まずは、ガソリンと軽油の暫定税率廃止の影響についてお伺いをしていきたいと思います。
本日の財務金融委員会の方で、ガソリン、軽油の暫定税率廃止法案が議論されているところでありますけれども、これについてまず総務省の方にお聞きをしていきたいと思います。
軽油引取税の旧暫定税率廃止というのは、これは地方税になります。これが廃止された場合に、地方自治体の財政への影響は出ないようにしなければいけないと思いますけれども、総務省としてどのように考えておられるのか、お聞かせください。
○高橋副大臣 尾辻委員にお答え申し上げます。
令和七年度の影響額ですが、軽油引取税の暫定税率は維持をされますので減収は生じないこと、地方揮発油譲与税につきましては、十二月三十一日に暫定税率が廃止されますが、今年度の影響額について、影響はほぼないことを承知しています。
問題は令和八年度以降についてですが、これについては今後更なる精査をしなければなりませんけれども、軽油引取税について約四千八百億円の減収、地方揮発油譲与税については約三百億円の減収を見込んでおり、約五千億円、正確に言うと五千百億円ほどの減収に対する安定財源の確保が非常に重要な課題となってきております。
今般の与野党六党間の合意におきましては、地方の安定財源については、税制措置による地方増収分の活用をするほかに、具体的な方策を引き続き検討をし、速やかに結論を得る、安定財源の確保が完成するまでの間、地方の財政運営に支障が生じないように、地方財政措置において適切に対応することとされております。
また、地方からは、地方の恒久的な減収に対する代替となる恒久財源の確保について検討をしてほしいと強い要請を伺っております。
総務省としては、与野党六党間の合意を踏まえつつ、今後の税制改正及び地方財政対策において、地方の安定財源の確保に向けて努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○尾辻委員 ありがとうございます。
これは、国がやって地方が影響が出るということのないようにしっかりと総務省としても取り組んでいただきたいと思います。
そして、では、これの影響なんですけれども、運輸事業振興助成交付金、これは公共交通、運輸産業の維持発展に非常に重要な役割を果たしています。これら暫定税率廃止によって、来年度の運輸事業振興助成交付金、この影響がどのようになるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○石原政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員の方からお話がございましたとおり、運輸事業振興助成交付金制度は、例えばバス業界におきましては、乗務前後の点呼で使用するアルコール検知器への助成ですとかバス停留所の整備に活用するなど、輸送の安全確保やサービスの改善に欠かせない制度となっております。
本制度につきましては、先日の暫定税率廃止に関する与野党六党の合意におきまして、運輸事業振興助成交付金の取扱い等の軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応する、このようになったというふうに承知しております。
今後の本制度の在り方ということでございますけれども、こちらは、これまで長年にわたってバス業界などが本制度を活用して自ら安全対策、法令遵守、こうしたことに取り組んできた経緯、持続可能な公共交通、物流を将来にわたって維持していく観点も踏まえた議論が必要と考えております。
国土交通省としては、この政党間合意を踏まえまして、総務省など関係省庁とも連携しながら、適切に対応してまいります。
○尾辻委員 あわせて、社会資本整備総合交付金についても、関係者からはこの暫定税率廃止によって影響を受けるのではないかという心配の声が届いています。この辺りはどうなりますでしょうか。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
社会資本整備総合交付金は、地方公共団体の創意工夫による様々なハード中心のまちづくり事業に対しまして、国費により支援する制度でございます。地域の実情に合わせたきめ細やかな支援を行っているところでございます。
支援内容も、道路、港湾、まちづくり、地域公共交通再構築など、幅広く対象としておりまして、例えば委員御地元の大阪府高槻市や島本町におきましても、公営住宅や下水道の整備などに活用されており、安定的、持続的な予算の確保は極めて重要であると認識をしております。
御質問の暫定税率分を含めました軽油引取税につきましては、地方の一般財源でございますので、私ども所管の交付金制度であるこの社会資本整備交付金の予算とは直接的な関係はございませんが、社会資本整備交付金につきましては、地方にとって活用しやすいというお声をいただいており、近年、地方公共団体から要望額が増加傾向にございます。地方からは安定的に必要な財源確保を求める声も上がっているところでございます。
こうした地方の声を踏まえつつ、地域の実情に応じた様々なニーズにより的確に対応できるよう、補正予算も含めまして予算の確保に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○尾辻委員 ありがとうございます。
この暫定税率廃止の影響がこういった交付金に出るのではないか、今も心配されている関係者の方はたくさんいらっしゃると思います。
そこで大臣に、一言で結構でございますので、公共交通そして物流の維持発展、やはり今インフレですし人手不足です。そんな中で、やはりしっかり、これは大事なんだということで、支援していく、その大臣の一言をいただければと思います。
○金子国務大臣 尾辻委員にお答えします。
安全、安心な公共交通や物流サービスを将来にわたって持続可能なものとするためには、バス、トラック業界が自ら輸送の安全確保やサービスの向上を図ることが重要であり、そのためにも運輸事業振興助成交付金の果たす役割は今後も大きなものと考えております。
このため、先日の暫定税率廃止に関する与野党六党の合意を踏まえ、適切に対応してまいります。
国土交通省においては、今般の軽油引取税の暫定税率廃止が公共交通の維持発展に逆行することがないよう、引き続き、制度、予算等あらゆる政策ツールを総動員して対応してまいります。
○尾辻委員 逆行することのないという力強い言葉をいただきました。しっかりとよろしくお願いしたいと思います。
次なんですけれども、先にちょっと不動産特定共同事業の方でお聞きをしてまいりたいと思います。配付資料をお配りをさせていただきました。
私は、実はこの不動産特定共同事業については通常国会で四度質問をさせていただいております。そして、今日もお聞きしたいのは、成田国際空港株式会社が土地を貸している成田市小菅地区の開発のことであります。
ここで、不動産特定共同事業のみんなで大家さん成田シリーズの分配金の未払いが、今、四か月連続で発生をしております。今月には千百九十一人の方が百十四億円の出資金の返還を求めて集団訴訟が起きております。
私どもも、党の部会で弁護団から話を聞きました。老後資金を全てここに投資をしてしまって、もう今どうしたらいいか分からないというような非常に不安の声が聞こえておりますし、第二次訴訟も準備されていて、今、弁護団への相談は三千人規模であります。このみんなで大家さんの、全体でいうと、三・八万人の方が二千億円の規模で投資をしているというようなところであります。
私は、この事業の影響の大きさを鑑みて、通常国会より質疑をしてまいりました。そこに座っていらっしゃる緒方林太郎衆議院議員も昨年からずっと警鐘を鳴らしてきたわけでありまして、こういった不払いの事態になったことを非常に残念に思っております。
そこで、成田国際空港株式会社の代表取締役社長、元国交次官でありますけれども、貸し手としてこの事態をどのように認識しているのか、まずお聞きをしたいと思います。
○藤井参考人 お答え申し上げます。
当社は、共生バンク株式会社との間で、令和二年九月七日に土地の賃貸借契約を締結をし、同月十日に賃貸を開始をしております。
今委員御指摘のみんなで大家さん成田シリーズという商品でございますけれども、この契約が、先ほど申し上げました賃貸借契約が締結された後、令和二年の十一月十二日に募集が開始をされております。なお、その対象は、共生バンクのグループ会社が所有する土地に限定されていると承知をしております。当社の貸し付けた土地は含まれておりません。
以上申し上げた経緯のとおり、委員御指摘の未払いの問題につきまして、当社は関係をしていないということでございます。
○尾辻委員 それは、社長、責任逃れだと思いますよ。私は、この前の通常国会の中でも、森林法の許可のとき、農地の許可のとき、開発の許可のときに、成田国際空港株式会社が判こを押して申請書に同意をしているということがありますから、いや、私たち、土地は貸していますけれども、生成した商品のところは違いますから私たちに関係ありません、そんな理屈が成り立つというふうに本当にお考えなんでしょうか。
○藤井参考人 当社は、先ほど委員が御指摘の土地に関しまして、農地法に基づく転用許可、これについては、手続上、共生バンクと共同で許可の申請を行っているところでございます。その際には、不動産特定共同事業法のスキーム等についての資料が添付をされていると承知をしております。
その際でございますけれども、同法に基づく仕組みの具体的な活用方法等について、私どもは共生バンクから一切説明を受けておりません。また、みんなで大家さん成田シリーズの募集開始につきましても、具体的な相談は一切ございません。
なお、みんなで大家さん成田シリーズの商品は、当社が貸し付けた土地の造成工事に充てられるものではないと承知をしているところでございます。
○尾辻委員 それは責任逃れですよ。だって、土地を貸さなければこの成田ゲートウェイという開発はできないわけですから、一体化しているんです。それを、本当に今の責任逃れは私は非常に問題だと思います。
次に聞いてまいりますけれども、今、二回土地の賃貸借契約の延長をされています。造成工事の賃貸借契約だと思いますけれども、では、造成工事の賃貸借契約は今何%でしょうか。もう数字だけで結構です、すぐお答えください。
○藤井参考人 共生バンクに確認をいたしましたところ、造成工事の進捗率については、令和七年一月時点で七八%、令和七年十月時点では八四%と聞いているところでございます。
○尾辻委員 それでは、それは全体の工事の中での進捗は何%に、引き直すと、なりますか。
○藤井参考人 まず、前提として申し上げますと、私どもの賃貸借というのは土地の造成工事に関する賃貸借でございます。その後の建築物の建設ということについては、私どもの賃貸借契約には含まれていないということはまず申し上げておきたいと思います。
その上で、共生バンクからは、彼らが考えている建築物の建設を含めた進捗率というのは二・三八%だということを聞いているところでございます。
○尾辻委員 二度延長して、全体で見ると二・三八%というような状況であると。これは、本当に事業が完成するのか。そして、先ほどから、いや、自分たちは建築の方の工事の許可はまだだ、造成工事だけだというお話があります。
それではお聞きしていきたいと思いますけれども、造成工事が完成するためには、建築工事から出た残土で造成工事をする、これはそういうスキームになっている、よろしいでしょうか。
○藤井参考人 共生バンクからは、同社に貸し付けている土地の造成工事に必要となる土砂については、その用地の中での調達、さらには外部から調達する、そういった手段を並行して考えているというふうに承知をしております。
○尾辻委員 ちょっと曖昧な答え方をされましたけれども、千葉県などに出している、もちろん御社も御承知だと思いますが、建築工事の残土で造成工事をするという造成工事の仕組み、そういった書類はそちらにもしっかりありますよね。もう一度確認いたします。
○藤井参考人 共生バンクとの間でどのような書類のやり取りがあるかについてはお答えを控えたいと思いますけれども、私どもが共生バンクからお聞きしておりますのは、先ほど申し上げましたとおり、土砂の調達につきましては、その土地内からの調達、さらには外部からの調達、両方考えていると聞いているところでございます。
○尾辻委員 ちょっと曖昧に答えておられますけれども、私の方でも入手したこれによると、この造成工事というのは、建築構造物の残土で十万立方メートルをやる、十万立方メートルの土地を敷地内に盛土することで造成工事が完成すると言っているわけです。
つまり、今造成工事が何%ですという話を聞きましたけれども、この事業は建築工事が始まらない限り造成工事が終わらない、そういう理解で合っていますか。イエスかノーだけで結構です。
○藤井参考人 先ほど申し上げましたとおり、私どもの賃貸借契約は、土地の造成工事に関するものでございます。それの土地の造成に必要な土砂についてどのような調達をするかということについては、先ほど私が申し上げたとおりでございます。
○尾辻委員 成田国際空港株式会社は、九九%国交省が株を持っていて、残り一%が財務省ということで、完全に国が持っている会社なんです。そこが、何か自分たちの土地のことだけ言って、全体の、成田ゲートウェイがどうなっても分からないとか、造成工事のことだけでとか、言い訳ばかりに終始していて、本当に今責任を感じているのかということすらもう何も分からない答弁で、私はこの余りの責任逃れに驚きましたけれども。
そうしたら、十一月末で延長期限を迎えるわけですが、この状況で成田国際空港株式会社は更なる延長を認めるおつもりなんでしょうか。
○藤井参考人 共生バンクとの本件土地の賃貸借契約は、今月十一月三十日が期限となっております。
現在、当社におきましては、必要な法令許可が引き続きなされているか、さらに、造成工事の残工事の遂行能力があるかなどを確認しているところでございます。その内容を踏まえまして、本件契約の扱いについて適切に判断をしてまいります。
○尾辻委員 私が申し上げたとおり、造成工事は終わらないんです。建築工事が始まらない限りその土が来ませんから、幾ら半年延長しても、三回目の延長をしても、造成工事は終わりません。そして、その間にもどんどんと未払いが膨らんでいく、被害者が増えていく、被害額が増えていく。こういう状況を、本当にそれでいいんですか。経営会議は一体何を見てここの土地を貸したんですか。この経営の責任は非常に重い、善管注意義務違反と言ってもいいと思います。
そこで大臣にお聞きしたいと思いますけれども、私が今るる申し上げたとおり、今これは大規模な被害が出つつあるんです。そして、その被害になっているところは、成田国際空港株式会社が土地を貸したことで成り立っているんです。これを更に今延長するかどうかというところで曖昧な答弁をされておりますけれども、まず、ここの監督というのは、やはり国交大臣が最終的に監督として持っていらっしゃいますし、もう一つ、不動産特定共同事業も国交省が不動産局でやっているんです。これは国交省でこういった大きな被害を出すことを生んでしまっているんです。それなのに、更にここからまた延長する。大臣、本当にそれで容認されるんですか。
○金子国務大臣 この案件については、この前、予算委員会でも質疑をさせていただきました。中身もある程度認識をしております。
御指摘の成田空港株式会社が締結をしております土地の賃貸借契約につきましては、今いろいろな条件を述べたと思っておりますが、それを確認した上で適切に判断がなされるものと考えております。そのような答弁でございますが、適切に多分判断していただけると思います。(発言する者あり)それはもう、成田空港株式会社がその締結をした御本人、要するに当事者でございますので、そこについてはしっかり見守っていきたいというふうに思います。
また、不動産特定共同事業法につきましては、金融商品取引法などと同様に、商品に関する投資家への情報提供などにより投資家保護を図っているところでございますが、国土交通省では、国民の皆様の不安の声なども受け止めながら、本年三月に設置をいたしました有識者検討会において、一般投資家の参加の拡大など不動産特定共同事業を取り巻く様々な市場の変化について、個別の事業者や商品の状況も踏まえて調査分析を行ってきました。
その結果も踏まえまして、有識者検討会において議論が重ねられ、本年八月に、一般投資家向けの情報開示の充実や、都道府県が行う事業者の監督に対する国の積極的な関与など、制度の充実に関する中間整理が取りまとめられました。また、金融庁とともに、この中間整理の早期具体化に向けた検討を進めてまいりたいと思います。
今後も、その結果を踏まえ、有識者の御意見もいただきながら、投資家保護の充実や市場の健全な発展に向け、更なる制度の充実強化にしっかり取り組んでまいります。
○冨樫委員長 尾辻かな子さんに申し上げますが、約束の時間も来ております、取りまとめてください。
○尾辻委員 はい、党の中でやっておりますので。
国交省の責任は重大だということです。これ以上延長したら、もう国交省の不作為です。このことをしっかりと申し上げて、適切にとおっしゃっていただきましたので、その適切にというのがこの今被害を受けていらっしゃる方々にとって適切であることを強く申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、川原田英世君。
○川原田委員 立憲民主党の川原田英世です。
国土交通委員会では初めての質問をさせていただきたいと思います。
私の地元は日本の一番北、てっぺんという呼び方をしていますが、そこからずっとオホーツク海をたどって知床半島の先端まで、日本で一番広いところを地元としています。地元では日本の隅っこという呼び方もして、すみっコぐらしというキャラクターがあるんですが、それとコラボしてまちづくりなんかをしていたりします。そういった環境なので、まさに国土交通省には本当に頑張ってもらいたいと思っている地域であります。大臣の御地元も、隅っことは呼ばないにしても、いろいろな条件が、同じような課題がある地域だというふうに思っています。
そういった中で、大臣の政治信条として、御挨拶の中でも触れられておりました、地域の繁栄なくして国の繁栄なしという言葉であります。非常に共感をするところであります。
そこで、まずお伺いしたいんですが、地域の繁栄ということを考えたときには、やはり、物を運ぶ物流、これが基本的になくてはならない、そして、人が行き来をする交通、これが何よりも重要であります。この維持というのがまず地域の繁栄には大前提だ、基本中の基本だというふうに僕は思うんですけれども、大臣の所見をまずお伺いしたいと思います。
○金子国務大臣 御質問ありがとうございます。
私は、九州山地のど真ん中の盆地にあります、当時は人口二千人の深田村というところで生まれ育ちました。ですから、本当に、川原田委員と一緒に、同じような条件不利地域の中で生まれ育ったわけであります。それも政治家になる一つのきっかけにはなったわけでございますが。
委員が触れていただきました私の政治家としての信条、地域の繁栄なくして国の繁栄なし、これをモットーにこれまで活動してきておりましたし、まさに地域の公共交通や物流は地域の繁栄の礎だと考えております。
地域公共交通においては、高齢化による免許の返納、あるいは学校や病院の統廃合等の進展に伴い、通学や通院、買物などの日常生活等の移動手段の必要性が高まる一方、人口減少や担い手不足を背景とする鉄道やバス等の減便、廃止等により、日常生活等の移動にお困り事を抱える交通空白が全国で生じております。
このため、国土交通省においては、本年五月に「交通空白」解消に向けた取組方針二〇二五を策定いたしまして、全国約二千五百の交通空白について、令和九年度までの集中対策期間で解消にめどをつけることとしており、解消のための取組を強力に推進しているところでございます。
例えば、委員御地元の北海道網走市においては、需要に応じて郊外エリアと中心市街地を結ぶ、AIを活用したオンデマンド乗り合いタクシーの導入等を支援しております。
また、物流についても、国民生活や経済活動、地域活性化などを支える重要な社会インフラであり、担い手不足が深刻化する中においても必要な物流の機能が維持されるよう、次期総合物流施策大綱の策定に向けた有識者検討会での議論等も踏まえ、取組を強化してまいります。
引き続き、地域の繁栄なくして国の繁栄なしとの決意の下、あらゆる政策ツールを総動員して、地域の公共交通や物流の維持、確保にしっかり取り組んでまいります。
○川原田委員 大臣の、今、聞かせていただきましたけれども、非常に共感するところが多くあります。是非進めていただきたいんですが、やはり、空白地帯をなくすということとともに、新たな空白地帯を生まない努力ということが非常に大事だというふうに思っています。
ですので、まず、今日は物流について伺っていきたいと思うんですが、令和五年十月六日に物流革新緊急パッケージというのが示されまして、もう二年たつわけであります。モーダルシフトの推進として、二〇二四年問題もありましたので、トラックの長距離輸送から鉄道や船舶へと転換を図っていこうということで、この輸送量と負担率を十年程度で倍増していこうということで、かなり野心的な目標を示されたというふうに思っています。今現在、まさにそれに向けて、二年たつわけですが、取り組んでいる真っ最中ということで、各物流ターミナルの整備であるとか取組が行われているというふうに思っています。
そこで、JR貨物が取り組んでいる今のこのパッケージについて伺っていきますが、この今の現状での取組、二年たちましたけれども、モーダルシフトの推進ということはどのような成果が生まれているのか、確認したいと思います。
○五十嵐政府参考人 お答えいたします。
貨物鉄道は、全国ネットワークを活用した大量輸送機関であり、また、優れた環境性能を有することから、トラックドライバー不足への対応やカーボンニュートラル実現に貢献することが期待されておりまして、貨物鉄道の輸送力を増強し、モーダルシフトを進めていくのが重要であるというふうに考えてございます。
他方、貨物鉄道のサービス面での課題といたしまして、安定的な輸送を確保する上で、激甚化、頻発化する自然災害への対応能力の強化、これが必要であるというふうに認識をしているところでございます。
このため、国といたしましては、輸送力増強に加えまして、災害対応の機能強化などに向けて、トラックからの積替えが容易な大型コンテナの導入やそれに対応したコンテナホームの拡幅のほか、代行輸送の拠点となる貨物駅の施設整備などについて支援を行っているところでございます。
また、JR貨物の経営自立に向けました経営基盤強化のために、機関車などの設備投資に対する支援も行ってきているところでございます。
今後とも、こうした支援を通じまして、貨物鉄道が期待される役割を存分に発揮できるよう、国としてもしっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
○川原田委員 分かりました。課題もあるということで、克服に向けて取り組まれているまさに真っ最中だということで確認をさせていただきました。
倍増というのはかなりハードルの高い目標だというふうに思っていますので、これは相当力を入れなくちゃいけないと思って今見ているところですので、これは着実に向かって、進んでいただきたいんですが、そこで、気になる点があります。なので、今日は、高橋はるみ財務大臣政務官にお越しをいただきましたが、財務省に伺いたいと思います。
こういった取組が行われている中で、財務省にある財政制度等審議会の社会資本整備という分野において、JR貨物に対して抜本的な改革を検討すべきと提言が出されました。十一月七日ということです。抜本的な改革を検討すべきということについてなんですが、今まさに取り組んでいる最中の真っただ中にあって、いきなり十一月七日にこういった言葉が出てきたということです。この言葉に非常に多くの方が困惑をしたと思います。実際に、この報道が出されまして、これを御覧になったJR貨物を利用中の農業関係者の方からは非常に不安になるという声が上がりました。
私の地元、タマネギ列車だとか、ジャガイモだとか、農産物を運ぶ、そういったJR貨物が走っていますけれども、安定的に将来もちゃんと運行できるんだろうか、地域の一次産業全体にも大きな影響を与えてしまうんじゃないか、こういった不安の声です。これから利用したいという声もたくさんあって、やはりトラックの確保は困難になってきていますので、水産業でも冷凍貨物などを使っていきたいという検討の声も上がっていましたけれども、やはり報道を見ると、こんな状況だったらちょっと前向きになれないよねというような声も上がっていて、まさに不信感が広がっているということです。
こういった提言、私はすごく不適切だったと思うんですけれども、このことを財務省はどう考えているのか、お伺いします。
○高橋大臣政務官 財政審に関連しての御質問にお答えをいたします。
財政審におきまして、モーダルシフトが重要となる中で、JR貨物のシェアが増えていないことに関連し、抜本的な改革が必要ではないかといった議論があったものと承知をいたします。
この意味するところでございますが、委員御指摘のとおり、まさに新たな需要の掘り起こしなどを通じて、JR貨物の利用が更に進み、モーダルシフトが進んでいくことは社会的にも意義があることと認識をするところでございまして、そうした面も含め、抜本的な改革の内容について、まずは主務官庁である国土交通省で検討していただくことになると思うわけでありますが、私自身も、JR貨物の利用拡大や経営安定化は重要なテーマと考えており、国土交通省としっかり前向きな議論をしていきたい、このように考えております。
以上でございます。
○川原田委員 ありがとうございます。前向きな答弁をいただいたと思っています。しかし、やはり出された提言が現場ではすごく後ろ向きに取られてしまったということは事実だというふうに思います。
現に、財務省の資料にもあるとおりなんですが、令和五年から六年とJR貨物の鉄道ロジスティックの事業については、赤字ではあるものの、五〇%近く損失は改善されています。ですので、これからやはり二倍に増やしていこう、倍増させていこうという中で、着実に進んでいってる中だと思うんですよね。そういった中で、やはり水を差すような提言というのは本当に控えていただきたいと私は思っています。
財政審の中の提言には、国土交通省だけじゃなくて、農業分野でも、結構提言が、かなりきつい言葉があって、やはり財務省から出てくる文書というのは皆さん過敏に反応するんですよね。そこで、いろいろな現場で臆測を生んでしまうということがあるんです。
ですので、是非とも、こういった提言については、十分に今後注意をされて発信をしていただきたいというふうにお願いをしたいと思うんですが、高橋政務官の方から発言があればお願いします。
○高橋大臣政務官 財政審についての重ねての御質問でございます。
財政審におきましては、様々な分野について議論を進めているところでございますが、ただいまの議員からの御指摘も踏まえて、しっかりとした議論を更に進めてまいりたいと考えます。
ありがとうございます。
○川原田委員 是非、後ろ向きに捉えられないように、御注意をいただきたいというふうに思います。
高橋政務官については、どうもお時間ありがとうございます。これで政務官に対する質問は以上となります。
次に、鉄路の維持についてお伺いをしていきたいというふうに思います。
私の地元北海道でも、黄色線区ということで示されていまして、なかなかやはり人口減少もあって経営が厳しいというところがあります。
こういった中で、国は、二〇二六年度末、もうすぐですよね、これを期限として各線区ごとに事業の抜本的な改善方策を確実に取りまとめるということをJR北海道に求めています。二〇一六年十一月に、JRとして単独では維持困難な路線として黄色線区が出てきて、間もなく十年となる中で、十年を期限として取りまとめていくんだということだというふうに思っています。
この間、約十年、JR北海道も、沿線自治体も、近隣の自治体も含めて、様々な取組もしてきましたが、やはり人口減少、そしてコロナもありました。そして、JR自体もダイヤの変更や減便によって不便になってきた。そして、随分と、ここ数年、異常気象もあって運休が増えています。このことによって、やはり地域の利用者からは鉄路への信頼が大分損なわれてきているのではないかなというふうに思っています。
地域の方からこんな声が聞かれました。随分運休が増えて、減便もあり、利用もしにくくなった、これは何か利用者を意図的に減らして廃線を迫っているんじゃないか、計画的な廃線なんじゃないか、そんな厳しい声まで今出ています。
そこで、ちょっと確認したいんですね。そもそも、地域の各路線に求めている抜本的な改善方策とは、何を指標として測っていくものなのでしょうか。赤字の改善なのか、利用率なのか。何で測り、何の改善を求めていっているものなのか。確実に取りまとめると述べているわけですから、何かしらの指標があるということなんでしょうけれども、これがないと地域も取り組みようがなかなかないんですよ。そのことについて伺いたいと思います。
○五十嵐政府参考人 お答えいたします。
JR北海道の路線のうち、輸送密度が二百人以上二千人未満と利用が少なく、鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要となっているいわゆる黄線区につきましては、令和六年三月に国土交通省がJR会社法に基づきJR北海道に対して発出いたしました監督命令において、委員からも御指摘がありましたように、JR北海道と地域の関係者が一体となって、令和八年度末までに線区ごとに抜本的な改善方策を確実に取りまとめるよう求めているところでございます。
この監督命令に基づきまして、現在、JR北海道と地域の関係者から成る各線区の実行委員会におきまして、収支改善と輸送密度の基本指標、これを設定をいたしまして、利用促進やコスト削減の取組を進めているところでございます。
命令で求めておりました抜本的な改善方策の取りまとめに向けましては、まずはこの基本指標の達成を目指すとともに、その達成状況を踏まえつつ、将来にわたり持続可能な交通体系を実現するための諸方策を検討されるものというふうに考えております。
国土交通省といたしましても、議論の場に参画しつつ、他地域の事例や活用できる支援策の紹介、助言などを行ってまいります。
以上でございます。
○川原田委員 これまでも同様の答弁を何度か耳にしていますけれども、どうしても国の主体が見えないわけです。地域に投げられているような感覚がある。ただ、地方も非常に厳しい財政状況です。こういった中で、だんだんだんだんと苦しい状況が続いていっている。そういった状況であるということをまず認識をいただきたいというふうに思っています。
各線区ごとに抜本的な方策を求めているんですよね。そして、今、それぞれに、地域地域ごとでJR北海道と相談をしながら計画を作っているわけですけれども、なぜそれぞれの線区で行っていくのかということも私はちょっと疑問になるんですよね。これはJR北海道だけじゃなく、全ての鉄路に関係することだと思いますが。
そもそも、黒字の線区もありますよね。赤字の線区も当然あるわけです。不動産部門での利益も鉄道会社はあるわけですよね。これら全体を見て、地域の鉄道を守っていくという議論をしなくちゃいけないんじゃないかというふうに思うわけです。そうしないと、抜本的な改善方策を進めるということにはなかなか現実的にはならないというふうに思うんですよね。ですので、結局、こういった線区ごとでやっていくと、結果としては、地域の厳しい状況から、赤字の線区は切り捨てますということになりかねないわけですよね。
ですので、やはり国がしっかりと示して、全体で考えていく、国土全体をデザインしていく、そういった過程がなくては、地域に頑張ってくださいみたいなことではどうにもならないと思うんですね。沿線自治体からこんな言葉が出ています。おまえら頑張れとこの十年間むちを打たれ続けているようだということです。そういう受け止めなんですよね。
そのように、各線区線区で頑張りなさいじゃなくて、全体として考えていく、このことについてどう考えていますか。
○五十嵐政府参考人 お答えいたします。
JR北海道は北海道において基幹的な公共交通サービスを提供しており、その持続的な経営の自立は地域の経済や生活の維持発展のために必要不可欠である一方、人口減少や他の交通手段の発達に伴う輸送人員の減少などにより、長らく厳しい経営環境に置かれております。
こうした中で、JR北海道は、国からの監督命令を受け、令和八年度末までを期間とする現行の中期経営計画に基づいて、鉄道事業の収益増加やホテル、不動産等の非鉄事業の強化等の経営改善の取組を進めているところでございます。
具体的には、鉄道事業におきましては、観光列車の集客促進やインバウンド需要の取組、イールドマネジメントシステムによる収益力向上の施策などに取り組んでおるところでございます。
また、鉄道以外の分野、非鉄道事業につきましては、沿線地域での分譲、賃貸マンションの開発、駅の高架下における商業事業の拡充、インバウンド客向けホテル事業展開なども進めているところでございます。
委員から御指摘がございましたいわゆる黄線区の事業の抜本的改善方策につきましては、先ほども答弁申し上げたことも含めて、線区ごとの利用特性や各地域の実情に応じて検討していくものと考えているところでございますが、この線区ごとの取組は、今ほど答弁した鉄道事業全体の収支を改善する話と、鉄道事業以外でも収支を改善する事柄の一つのアイテムとして、JR北海道の鉄道事業全体の収支改善にとっても重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、同社の持続可能な経営の観点からも議論を深めていくことも必要ではないかというふうに考えているところでございます。
国土交通省といたしましても、JR北海道に対しまして、経営自立に向けて引き続き支援を行うとともに、適切に指導監督をしてまいる所存でございます。
以上でございます。
○川原田委員 時間もだんだん押してきましたので、最後の質問にしたいと思いますが。
大臣、今答弁ありましたけれども、やはり国の主体性が全然見えてこないんですよね。今の答弁だと、やはり地域の繁栄ということにはほど遠いと思っています。結局地域にお任せしますというふうに投げられる。企業の中でも、一応見はしますよ、監督はしますよといっても、国の主体性が見えない。やはり、地域の、国全体としても、毛細血管のように隅々まで物流を行き届かせる、それがなくしては、地域の繁栄なくして国の繁栄なしという言葉にはつながってきません。
ですので、大臣に伺いたいんです。
赤字だから、地域の状況が大変だからといって、鉄路廃線はやむを得ないですねということではなくて、しっかりとした、地域の鉄路を守るということ、このことを行っていく、赤字であっても守っていくんだということを考えていただきたい。例えば都市部の鉄路の利益を地方に回すというようなことを基本的に考えて、ちゃんと地域の鉄路を守るんだということを進めていただきたいと思いますが、大臣のお考えを伺います。
○金子国務大臣 鉄路の都市部での利益を地方の鉄路維持に使うべきじゃないかという御提言をいただきました。
残念ながら、JR北海道の鉄道事業は、都市部と地方部の全路線において赤字の状況が継続をして、非常に厳しい経営環境に置かれていると思います。
こうした中で、今鉄道局長からも答弁しましたが、JR北海道は、経営改善のための鉄道事業の収益改善、ホテル、不動産等の非鉄道事業の強化等の取組を進めているところでございます。また、国におきましても、実は、国鉄債務等処理法に基づき、省力化、省人化のための設備投資に必要な資金の出資等の支援を行っております。
引き続き、JR北海道も地域の関係者と一体となって、持続可能な交通体系が構築できるように、国といたしましても、引き続きできるだけの支援ができるように指導監督をしてまいりたいと思います。
○川原田委員 まもなく時間が来るんだと思いますが。
今私が言ったのは、JR北海道だとかJR九州だとか、そういうことではなくて、全国でしっかり考えるべきじゃないかと。民営化されてそれぞれの地域に分かれましたけれども、これはもう最初から赤字なると分かっていたわけですから、しっかりそういったことを考えて全体を、国全体を俯瞰して見て取り組んでいただきたい、このことをお願いして質問を終わります。
ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、鈴木岳幸君。
○鈴木(岳)委員 立憲民主党の鈴木岳幸でございます。
私も国土交通委員会の質問は初めてですので、どうぞよろしくお願いいたします。
大臣の先日の所信に対しての質問ということで、今回は、主に地方における鉄道とか道路とか、地域交通に関する件について取り上げさせていただきます。
地方では、都会に比べると交通に関しては非常に脆弱でありまして、様々な問題があるということを感じております。
私の地元は静岡県の藤枝、焼津、島田、牧之原、吉田、川根というところでして、静岡の片田舎というところでございますけれども、大臣の御地元も熊本の球磨川流域で、こういう言い方はあれかもしれませんが、私と同じ片田舎の方かと思っております。片田舎においては様々な問題が共通認識としてあるかと思いますので、前向きな答弁を期待しております。
まず、交通空白、交通弱者の問題について取り上げさせていただきます。
東京のような大都市と違いまして、地方都市は本当に交通手段が限られて、少なくなってきてしまっております。私の地元でもバス路線がどんどん縮小されていって、昔バスで通ったところが今はバスがない、鉄道もローカル線はどんどん本数が減ってしまう、タクシーは台数がどんどん減ってしまう、駅前に飲みに行きたいんですけれども帰りの足がない、バスもないしタクシーもない、そうすると家族に迎えに来てもらうしかないから、早く切り上げなきゃいけないから、そうすると飲食店の売上げにも影響が及んでしまいます。
こういう状況をやはり変えていくためには、政治が力を発揮していただきたい、国の関与を強めていただきたいと感じております。
まず、大臣が所信の中で、交通空白解消と担い手確保のための支援を行うということを言明されておられました。これは非常に重要なことでありまして、まず、やはり担い手がいないとバスもタクシーも運行できないということになります。けれども、今これだけ人手不足になってしまっていて、私の地元のバス会社さんも、ちょっとお話を聞くと、毎年若い人を雇っていくんですけれども、やはりドライバーさんは長時間労働ですし重労働で、雇った人も、新しく雇っても大体すぐ、半分ぐらいは辞めてしまうんだそうです。結果的に残るのが高齢のドライバーさんばかり、平均年齢が物すごく高くなっている。そうすると、やはり減便せざるを得ない、路線も縮小せざるを得ないという状況になってしまいます。
大臣が所信の中でおっしゃっておられました地方交通の課題である交通空白の解消と担い手不足対策というのは具体的にどのように取り組むのかという点について、まずお尋ねをさせていただきます。
○金子国務大臣 鈴木委員の地元に比べれば、うちの方がもっともっと田舎だ、ほぼ選挙区内が過疎地域に指定をされているような状況でございます。
今お話を聞いていて、ほぼうちもそうだなという共感、こういうのを共感していいのかどうかあれですけれども、それぞれが胸にしみているというような状況であります。
地域公共交通は、地方の暮らし、そして安全を守るための基盤としてなくてはならないものであります。先ほどの川原田委員の質問でも申し上げましたが、私は、政治家として、これまでも、地域の繁栄なくして国の繁栄なしとのモットーで活動しており、まさに地域公共交通は地域の繁栄の礎だと考えております。
しかしながら、人口減少や担い手不足を背景とする路線の減便、廃止等によりまして、委員の御地元の静岡も含め、日常生活等の移動にお困り事を抱える交通空白が全国で生じております。
こうした状況を打開すべく、本年五月に「交通空白」解消に向けた取組方針二〇二五を策定いたしまして、令和九年度までを集中対策期間と定めまして、私が本部長を務める国土交通省「交通空白」解消本部の下、取組を強力に推進しているところでございます。
具体的には、お困り事を抱える自治体への地方運輸局等による伴走支援や、必要な情報、知見の提供、「交通空白」解消・官民連携プラットフォームを通じた民間企業の技術やノウハウを生かした連携の促進、自治体や事業者等が行う地域の移動手段の確保、維持の取組等に対する財政支援、例えば藤枝市における路線バス葉梨線に代わる乗り合いタクシーの運行を支援しております、といった総合的な支援を実施しております。
さらに、公共交通分野における担い手不足への対応として、バスやタクシー等の分野における、賃上げの促進に資する運賃算定方式の見直しや二種免許取得に係る費用に対する支援、自動車運送事業者の働きやすい職場認証制度の取得促進を通じた職場環境の改善などの取組によりまして、運転手を始めとした人材確保の支援を推進しております。
今後とも、制度、予算等のあらゆる政策ツールを総動員して、持続可能な地域公共交通を実現してまいります。
○鈴木(岳)委員 詳しく私の地元の藤枝の件まで取り上げていただきまして、ありがとうございます。
確かにその取組は非常にありがたいものでありまして、その取組が地元に生かされている地区は非常にありがたいと感じております。ただ、私の地元も大臣の地元に負けず劣らずの中山間地でありまして、地域の七割近くが山でありますので、山間地に住む人は本当に苦労しているというところがあります。
今、大臣がおっしゃっていただいたような取組、これからもどんどん進めていただきたいんですが、もっと具体的に、例えば事業者さんにとりましては、ドライバーさんの長時間労働是正のためにはどうしたらいいか、もちろん人を増やすというのが手っ取り早いんですけれども、人を増やしたくてもなかなか応募してくれる方がいないということでありますので、まず給料を上げなきゃいけない、けれども、今、全業種の給料が徐々に上がっている状態であります。
鉄道事業者とかバス事業者、ドライバーさんの、運転手さんの給料というのが全業種に比べると大体二割低いというお話も聞いております。その給料を上げようとしても、同じようにほかの業種も上がってしまうので、やはりまだ低いままで維持されてしまうということがありますので、もし可能であれば、例えば看護師さんとか介護士さんに直接払うような、給料を上げるような取組というのもなされたことがあると思いますので、今後、例えば運転手確保のための給料への直接支払いだとか、そんなことも御検討いただければ非常にありがたいと思います。
そして、給料が上がらない仕組み、上がらない要因というのは、やはり営業利益が上がっていないからということがありますので、料金、運賃を自由に、自由にというのは言い過ぎかもしれませんが、簡素に上げられる仕組みをなるべく導入していただきたいということ、あるいは車両購入の補助を導入するとか、そういったことによって営業の利益が上がれば給料も上げやすくなると思いますので、今後の様々な取組に期待をいたしておりますので、是非お願いをいたします。
あと、やはり売上げを上げていくということと同時に地域の皆さんの利用率を上げるということを考えると、地域の自治体単位ではやっているところはあるんですけれども、例えば通学定期の補助を増やすとか、高齢者に定期を出してあげるとか、そういうことをすれば利用者数の増加にも寄与することかと思います。こういった事例を既にやっているところがありますので、国の制度としても検討いただければ非常にありがたいなと感じておりますので、よろしくお願いいたします。
そして、地域の交通ということに関して、私、一番大事なのは鉄道だと思っております。鉄道があれば、その近隣にできるタクシー会社とかバス会社さんもそれに準じた営業を行っていくわけであります。いろいろな場所のアクセスを言うときにも大体駅から何分という言葉が使われますから、まず鉄道が発展していけば周りの交通状況もよくなってくるんじゃないかということを考えております。
そこで、ローカル鉄道のこれからの経営ということについてお尋ねをさせていただきますが、今、日本全国、ローカル鉄道の経営というのは非常に厳しいですよね。先ほど川原田議員の質問にもありましたけれども、JRも含め私鉄も含め、ローカル鉄道の経営というのが非常に厳しい。
でも、地域のローカル鉄道の皆さんは本当に頑張っています。大臣の地元のくま川鉄道さんもそうですけれども、地域のために頑張って経営されていると思います。私の地元にも大井川鉄道というところがあります。SLが走っていて有名なところなので、石破前総理なんかは非常に詳しいことかと思いますけれども、大井川鉄道では世界で唯一トーマスのSLというのが走っていまして、世界中からファンが押し寄せております。
ほかにも、静岡県内には静岡鉄道というローカル線があって、ここはちびまる子ちゃん電車なんという取組をして、これも、ちびまる子ちゃんファンが全国にいるので、やっているときは結構ファンが来たりしまして。あと、赤電という遠州鉄道というところなんかはエヴァンゲリオン電車なんというのをやって、これもマニアが集まって写真を撮ったりして。あと、県内には岳南鉄道という富士山のそばを走る電車は、工場夜景が有名なところなので、夜景列車といってわざと電車の電気を夜に消して走ったりとか、こういう取組をやって多くのファンの方に乗車していただくという取組を行っています。
それでも、ローカル線の経営というのは厳しいものがあります。私の地元の大井川鉄道の例でいけば、私が若い頃には大体一時間に一本は走っていまして、その大井川鉄道を使って私の高校の同級生なんかは通ってきていましたけれども、今ではもう二時間に一本、おまけに今は土砂崩れで断線してしまって一部しか運行していない。大臣の地元のくま川鉄道も同じかと思いますけれども。
こういう状況になればますます営業利益が減ってしまいますので、大臣が所信の中でもおっしゃっておられましたけれども、ローカル鉄道の再構築というのに取り組むということでございましたけれども、この地域住民の重要なインフラであるローカル鉄道の再構築というのはどのように取り組んでいくおつもりなのかという点について、お聞かせいただきたいと思います。
○五十嵐政府参考人 お答えいたします。
沿線地域の人口減少などによる長期的な需要減に直面しておりますローカル鉄道の維持に当たりましては、鉄道事業者のみならず、沿線自治体などの多様な関係者が路線や地域の実情に応じた適切な役割分担の下で連携して対応することも必要であると考えてございます。まさに委員が御指摘いただいた様々な取組、観光客も含めた増収、増客の取組などもこういうことに当たると思っております。
ローカル鉄道の在り方は、委員が御指摘されたとおり、地域における移動手段の確保のみならず、地域振興や観光振興とも密接に関わるものであることから、まずは地域にとって最適な地域公共交通体系の在り方について主体的に検討していただくことも肝要ではないかというふうに考えております。
そこで、国土交通省といたしましては、令和五年に地域交通法を改正するなど、地域一体となったローカル鉄道の再構築、これを促進するために、鉄道の再構築に向けた制度面、予算面の仕組みを整えているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、こうした支援を通じまして、地域が主体となったローカル鉄道の再構築を促進し、利用者の利便性を高めるとともに、持続可能性の高い地域公共交通が実現するよう取り組んでまいる覚悟でございます。
以上でございます。
○鈴木(岳)委員 ローカル鉄道の持続性を高めるという取組、是非とも強めて推進していただきたいということで、お願いを申し上げたいと思います。
ただ、このローカル鉄道というのは経営母体が非常に脆弱であることが往々にしてございます。ほとんどのローカル線は赤字だと思いますし、ほとんどのローカル線はもう中小企業というぐらいの規模ではないかと感じております。
そのような状況の中で、今、災害が頻発しておりまして、地球温暖化によりまして豪雨災害も頻発しておりますし、先ほど申し上げましたが、私の地元の大井川鉄道も崖崩れで今止まっている、大臣の御地元のくま川鉄道も大雨によって被害を受けて断線してしまっている。このように、ローカル鉄道が非常に重要なことは分かるんですが、災害によるリスクというのは非常に多くあります。
そこで、災害を受けた鉄道を国として早期復旧支援という、復旧支援というのは今までも行われていますけれども、地域住民にとっては一日も早く復旧してほしいというのが総意でございますので、早期に復旧させる支援というのをどのように行っていくかという点についてお尋ねをさせていただきます。
○五十嵐政府参考人 お答えいたします。
鉄道事業者が行います災害復旧事業に対しましては、その資力のみでは復旧するのが著しく困難である場合、国土交通省では鉄道事業者の経営体力も考慮しつつ支援を行っているところでございます。
具体的には、鉄道軌道整備法に基づく支援制度といたしまして、国と地方自治体が復旧費用のそれぞれ四分の一を支援することが可能となっておりまして、また、上下分離方式を導入するというふうに事業構造を変えることと同時に行われる場合につきましては、この補助率を三分の一にかさ上げるということが可能となっていることでございます。
また、早期にということで事業着手以後の取組だと思いますが、まず発災後、それから災害復旧でどういう工事が必要かということについての技術的な支援を早期にお届けするという観点から、鉄道・運輸機構によります鉄道災害調査隊、我々はRAIL―FORCEと呼んでおりますけれども、この派遣などを通じました技術的な支援を行うとともに、被災した箇所が鉄道だけでなくて、河川や道路などと一体的に事業を進めたり、調整をして事業を進める必要があるようなことも多うございますので、河川や道路の災害復旧事業との事業間連携による早期復旧支援ということができるような体制を整えているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、こうした支援制度、あるいは支援の仕組みを活用いただくことによりまして、被災した鉄道の早期復旧がかないますように努力してまいります。
以上でございます。
○鈴木(岳)委員 今後の取組に期待を申し上げます。
一事業者ではなかなか復旧が難しい、まあ、四分の一と四分の一を支援していただければ、事業者は二分の一で復旧できるということのようですけれども、中小企業である地方のローカル鉄道にとっては、何十億もかかる復旧費用の二分の一というのはなかなか捻出できる額ではありません。
大井川鉄道の例ばかり挙げて恐縮ですが、ようやく、今後、事業に着手する、工事を開始するというのが決まりました。実は三年以上、復旧工事に着手するまでかかっています。なぜ工事にすら着手できないかといえば、まず被害状況の把握が、全貌がつかめていなかったというのがあります。その点では、今、申していただいたように、被害状況の確認に力をかしていただけるということであれば、それだけ次の工事への着手というものは早まるかと思いますので、その点は今後大いに御期待を申し上げるところでございます。
地域の鉄道の方々に、万が一のことがあっても次への希望が持てるような取組ということで、今後も更に御尽力をお願いしたいと思います。
続きまして、鉄道以外にも交通はたくさんありますが、そういった中で、鉄道以外にも、道路とか橋とか河川とかといった災害が今頻発しておりますので、大きな被害を受けることがあります。
そんな中で、大臣が所信の中で、自治体が管理する道路や河川の災害について国が直接支援を行うというような言葉がありました。直接的に支援をしていただけるということであれば、地方にとっては大変ありがたいことかと感じております。
実は、私の地元でも、焼津市の大崩海岸という、もう名前からして崩れそうな海岸がありまして、そこが大雨で本当に崩れてしまったんですね。もう名前のとおり、大崩海岸というくらいですから、しょっちゅう崩れるからしょっちゅう道の架け替えとかも行って、トンネルを掘って行きやすくしたんですが、今度はそのトンネルが崩れちゃったんですね。そうすると、その先に住んでいる集落の方々、焼津市の中心部に通っている方もいるんですけれども、車で五分、十分で通っていた方が大回りして行くようになるものですから、一時間ぐらいかかっちゃうんですね。
そういう状況は何とかして改善していかなきゃいけないと思いまして、県の方、県道なものですから県知事にも聞いたら、直すことは直すんだ、ただし時間がかかる、お金がかかるというふうに言われていまして、まだ工事にすら着手できていません。
こういう状況、恐らく全国にたくさんあると思うんですけれども、このように、今、国が直接支援を災害の際には行うと言ってくださいましたので、今後、その直接支援というのをどうやって強化していくのかという点についてお聞かせいただければと思います。お願いします。
○林政府参考人 お答えいたします。
激甚化、頻発化する自然災害に対して、地方自治体が行う災害対応への支援を強化し、早期に復旧していくことは非常に重要であると考えてございます。
そのため、国土交通省では、災害初動期にTEC―FORCEを派遣し、地方自治体が管理する道路や河川の被害状況の調査を行うとともに、道路の啓開や河川から氾濫した水の排水を実施することにより、地方自治体が行う災害対応への直接的な支援を実施しているところでございます。
本年改正された災害対策基本法では国による地方自治体への支援の強化に関する規定が設けられたところであり、国土交通省としてTEC―FORCEによる地方自治体への支援を更に強化することとしてございます。
具体的には、TEC―FORCEの予備隊員制度の創設による人員体制の強化を進めるとともに、衛星インターネット装置など、資機材の充実強化を進めているところでございます。
引き続き、早期の災害復旧に向けて、TEC―FORCEの体制強化などを進め、現場力、総合力を最大限発揮し、災害対応を行ってまいります。
以上です。
○冨樫委員長 鈴木君に申し上げますが、約束の時間が来ておりますので、取りまとめて質問をしてください。
○鈴木(岳)委員 今お話しいただいたとおり、地域だけでできない災害復旧と地域交通の課題に対して、今後も国交省の皆様の御尽力に大いに期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○冨樫委員長 次に、美延映夫君。
○美延委員 日本維新の会の美延映夫と申します。
この委員会では初の質疑、与党としても初の質疑となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、過日の当委員会で、今日もいらっしゃる井上議員の方から、特区民泊制度上の課題についての質疑がございました。質疑の内容としては、新法民泊では管理業者への委託が義務づけられているが、特区民泊にはその義務がないこと、及び、代行業者に関する届出義務や行政の指導権がなく、指導が難しいというものでありました。この質問に対して、内閣府の答弁では、宿泊管理を行う代行業者に関する届出制度あるいは監督権限というものは現時点では法令上の措置はされていない、今後、特区民泊を運用している自治体ともよく相談しながら、望ましい制度運用に向けて検討していくという答弁でした。
そこでお伺いしたいんですけれども、その後の特区民泊制度の運用の検討状況、これは前に進んでいるのかどうか、教えていただけますか。
○小山政府参考人 お答え申し上げます。
特区民泊につきましては、令和七年九月末時点で約二万居室を認定していますが、うち九割強が大阪府大阪市に集中している状況です。
大阪市においては、民泊施設の増加に伴い、周辺住民から苦情件数も多くなっており、様々な課題が生じていることから、今年七月に民泊をはじめとする宿泊対策プロジェクトチーム会議を立ち上げ、九月末、特区民泊の新規受付停止、迷惑民泊根絶チームの創設などの方針を取りまとめたところです。
これを受けまして、今月十七日、国家戦略特別区域会議で、大阪市、大阪府下の一部自治体から、特区民泊事業を来年五月二十九日で終了する旨、提案があり、合意をしたところです。同会議では、大阪市から、迷惑民泊根絶チームを創設するとともに、不利益処分を行う際の手順を定め、悪質な事業者に対して処分を行うための処分要領を策定予定であることなど、認定施設への監視指導を強化する方針について表明があったところです。
内閣府としては、大阪市、大阪府の判断や、今後の方針をしっかりと受け止めた上で、まずは、合意が得られた区域計画の変更認定に向けて迅速に対応してまいります。
また、今月四日、外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議で、国土交通省、厚生労働省とともに、内閣府においても、各種民泊の適切な運営確保に向けた具体的な対応策の検討を進めるよう総理指示があったところであり、適切な運営の確保に向けて、関係省庁や実施自治体と連携して取り組んでまいります。
なお、実施自治体からの要望を踏まえ、都道府県等に立入検査や業務改善命令等の権限を追加するなどの制度改正を行い、これまでも指導監督の強化を図ってきているところでありますが、今回の特区民泊事業終了に当たっても、大阪府、大阪市からの相談に丁寧に対応し、様々な選択肢について議論を重ねてきており、今後も議論を継続してまいりたいと考えております。
○美延委員 今日はこれ以上聞きませんけれども、今言われたように、大阪が九割ということですから、しっかり大阪とも話し合っていただいて、これは前に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、オーバーツーリズムについて大臣に伺いたいと思います。
我が国の観光産業は、令和二年からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大により深刻な影響を受けましたが、その後、順調に回復が進み、訪日外国人旅行者も大幅に増加をしてきております。
私の地元、大阪でも、多くの外国人旅行者が来て、観光地は大きなにぎわいを見せております。それはいいことなんですけれども、一方で、観光客の急増に伴い、一部の地域において、ごみのポイ捨てや、公共交通の混雑、それから交通渋滞などが発生して、地域住民や地域社会に悪影響を与えるオーバーツーリズムが深刻化しており、これは大きな社会問題になっております。
これまで政府は様々な取組をしてきたことは承知しておりますが、大幅に改善したとは思えず、むしろ悪化したとさえ感じられる状況ではないでしょうか。
そこで、大臣に質問をさせていただきたいんですが、政府がこれまで行ってきたオーバーツーリズム対策の取組に対して、大臣はどのように評価されているのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、大臣の御所見を伺います。
○金子国務大臣 美延委員御指摘のとおり、都市部を中心とした地域への観光客の偏在傾向が見られ、また、一部の場所、時間帯によっては、過度の混雑やマナー違反によりまして、地域住民生活に支障が及んでいるものと承知をしており、その対応が大変重要なものであると認識をしております。
国土交通省では、これまで、一昨年に取りまとめられた対策パッケージに基づきまして、補正予算等を活用しながら、観光客向けの移動手段などの受入れ環境整備、混雑状況の見える化による混雑回避の誘発や、地域の実情を踏まえた多言語でのマナー啓発など、地域と連携をしまして、その実情に応じた取組を講じてきたところでございます。
これまでの二年間で、六十以上の地域の取組を支援してきたところでございます。
また、十一月四日には、外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議が開催されまして、高市総理から、国際観光旅客税の拡充と、更なるオーバーツーリズム対策の強化の御指示をいただいたところでございます。国際観光旅客税も活用し、地域住民の不安を取り除くための更なる対策について、検討を進めているところでございます。
国土交通省としては、こうした対応によりまして、観光客の受入れと住民生活の質の確保の両立を図ってまいりたいと考えております。
○美延委員 大臣、是非よろしくお願いいたします。
これは、各地域、地区によって課題も本当に、今言われたように千差万別でしょうし、そこはしっかり、各地域地域で観光客の多いところのケアをしていただきたいと思います。
次に、外国人による不動産取得についてお伺いをいたします。
近年、大都市圏のマンション価格が高騰しており、大阪府でも、新築マンション価格が十年で約一・六倍になりました。その背景は、建設コストや、それから低金利、都心、駅近に実用が集中していることなど、様々な要因があると思われますが、外国人投資家の増加もその一因ではないかと言われております。
しかし、実際のところ、外国人投資家がどれくらい取得しているのか実態が分からず、因果関係も全く分かっていません。また、安全保障上の懸念から、令和四年に重要土地等調査法が施行され、法律に基づき、指定された区域では、不動産所有者の調査ができるようになりました。しかし、区域が限定的であり、外国人の不動産取得に対して様々な弊害が生じているのではないかという不安が言われている中で、現状は、実態把握の手段に乏しいと言わざるを得ません。
先日、我が党と自民党さんの連立合意においては、来年の通常国会で、外国人及び外国資本による土地取得規制を強化する法案を策定することが明記され、翌十一月に開かれた関係閣僚会議では、土地取得等のルール、在り方を検討するため、実態把握に向けた取組と、国際約束との関係の具体的な精査などが総理から指示があったと承知しております。
それはしっかり前に進めて、進展していただきたいと思う立場から質問させていただきたいんですが、国籍把握の方法としては、総理指示では、移転登記時の把握の仕組みの検討を行うこととされています。最も一般的な情報源である不動産登記での把握が有効な手段であり、私も、不動産登記に国籍を追加するなどの見直しを行うべきであると思っております。
一方で、登記以外にも、例えば、本年七月に国籍の記載が追加された国土利用計画法の届出について、対象を広げることなども考えられるところですが、大臣、これに対してはどうお考えでしょうか、御所見を伺います。
○金子国務大臣 国土利用計画法の届出制度におきましては、例えば大型商業施設の立地が周辺の交通量や人流に影響を及ぼすように、大規模な土地の取引が将来的に周辺の土地利用や環境に大きな影響を与え得ることから、市街化区域であれば二千平米以上など、一定規模以上の土地の取引に限って届出の対象としているところでございます。
このため、より規模の小さい土地を対象とすることについては、届出者の負担とのバランスなどを考慮する必要があると考えております。
外国人による土地取得については、まずは実態把握を進めるとともに、土地取得等のルールの在り方も含めて、関係行政機関の緊密な連携の下で、政府一体となって総合的な検討を進めることとされております。
国土交通省としても、政府の一員として、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
○美延委員 これは、やはり私が一番問題だなと思うのは、例えば、大阪とか東京とか都心の部分で、せっかく、結婚とかしてマンションを買おうとかいうことになっても、結局、マンションの価格が高い、それはいろいろな、先ほども言いましたように原因はあります。ただ、本当に住みたい方に住んでいただかなければならないのに、いわゆる投機目的でもって、はっきり言って投機目的で上がったところで売買する、これではやはり、せっかく住みたいと思われている方が値段が高過ぎて手を出せないという問題になってきますので、そこをしっかり、大臣、本当に、この質問に関しては、これからも何回もこの委員会でさせていただきたいと思います。
具体的な話を伺っていきたいんですけれども、諸外国を見ていると、韓国では、不動産登記に国籍の記載はないものの個人を識別する番号が記載され、これにより行政内部で照合できる仕組みを取っているようです。
マイナンバーを持たない外国人が不動産を取得する場合には、国籍などを含む登録制度を設けて個人を識別する番号を付与するなど、登記に行政内部で照合可能な個人識別番号を設けることも一つの方法だと思いますが、政府の御所見を伺います。
○岸川政府参考人 お答えいたします。
外国人による我が国の土地取得に対しまして、国民の皆様が安全保障や不動産価格高騰など様々な観点から不安を抱いておられることは承知しておりまして、こうした不安は、委員からも御指摘ありましたように、我が国の土地所有等の実態が分からないといったことにも起因していると考えております。
また、このため、実態把握を進めるべく、先ほど国土利用計画法による対応の御提案もございましたけれども、不動産登記を始め土地に関連する各制度を通じて、国外居住者を含めた土地所有者等の国籍を把握するための検討を進めていきたいと思っております。
委員の方から、韓国の制度について御指摘ございました。
他国の土地に関する制度について詳細にお答えすることは難しいのですけれども、韓国におきましては、住民登録をしていない外国人が不動産登記を行う際に、不動産登記用の登録番号の発行が必要になるといったことは承知をしております。
いずれにいたしましても、内外の諸情勢や海外事例を更に精査するということは重要でございますので、そういったことを踏まえ、総合的な検討を進めてまいりたいと考えております。
○美延委員 本当に、いろいろな国のそういう制度をしっかり見比べてもらって、よいものは是非日本でも取り入れていただきたいと思います。
次に、日本は、GATSにおいて、不動産取得について内国民待遇を留保しないため、外国人、外国資本のみを対象とした規制措置を取る場合には、GATSとの関係で問題が生じるおそれがあるとされています。また、この内国民待遇に係る約束を改めようとする場合には、影響を受け得る加盟国の要望に応じてそれぞれ補償的な交渉が必要となり、百六十を超える様々な加盟国がある中で、実質的にはこれは非常に難しいと私も承知をしております。このような中で、各国の対応についても研究する必要があると思います。
諸外国では、GATSで留保していない国でも外国人等の不動産取得を規制している国があると言われていますが、政府が把握しているそのような国及びその国で講じられる措置について、教えていただけますでしょうか。
○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。
他国の不動産取得等に関する制度につきまして、我が国として網羅的にお答えすることは困難でございますが、委員御指摘のGATS、サービスの貿易に関する一般協定の約束表におきまして、不動産取得規制の留保が明記されていないものの、何らかの形で不動産取得、利用規制を行っている例としましては、英国の国家安全保障投資法やフランスの個別法に基づく規制が挙げられます。
英国の国家安全保障投資法では、投資取引に関連して国家安全保障上の脅威となるおそれがあると合理的に判断される不動産の取引について禁止等を命ずることができ、フランスの個別法に基づく規制では、国防や公共の安全等に関連する不動産につきまして、公共目的のために利用の制限ができると承知してございます。
なお、これらの規制はいずれも自国民、外国人の双方を対象とした規制でございます。
○美延委員 そこもしっかり検討していただきたいと思います。
続いて、国交省さんに実態把握についてお伺いをいたします。
国交省さんは法務省さんから移転登記等の情報を得て、海外移住者による不動産取引の実態把握を進めていると承知しておりますが、仮に、実態把握の結果、海外移住者による取引が大都市の住宅価格高騰につながっているような事実があった場合、これから政府としてはどのような措置を講じることを想定しているのか、また、そういう調査を行っているのか、教えていただけますか。
○楠田政府参考人 お答えいたします。
近年の住宅価格上昇の背景には、需要と供給の両面での様々な要因があるものと認識をしております。また、このような要因の一つとして、国外からの投機目的のマンション取引の可能性を指摘する声もあると承知をしております。
まずは取引の実態を把握することが重要というふうに考えておりまして、現在、法務省が保有をしております不動産登記情報を活用し、国外からの取得を含めたマンションの取引実態の調査を進めているところでございます。
国土交通省としては、国外からの取得か国内からの取得かを問わず、実需に基づかない投機的な取引は望ましくないというふうに考えておりまして、調査の結果を踏まえて適切に対応してまいります。
○美延委員 今まさしく言われたように、実需に関わらぬということは、もうこれは大切なことやと思いますので、そこをしっかり、大臣、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、鳩山紀一郎君。
○鳩山(紀)委員 国民民主党・無所属クラブの鳩山紀一郎でございます。おはようございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。金子恭之大臣には、震災復興・防災の特別委員会の方で大変お世話になりまして、国土交通委員会でもどうぞよろしくお願いを申し上げます。
それでは、先日の大臣所信に対する質疑に入らせていただきたいと思います。
まず、これは美延先生からもございましたけれども、私からもオーバーツーリズムの問題についてお伺いをしたいと思っております。
先日の大臣所信におきまして、個性を生かした地域づくりと持続可能で活力ある国づくりという柱の中で、観光客の受入れと住民生活の質の確保を両立するためのオーバーツーリズム対策強化など、観光の持続可能性向上の取組について御発言がございました。
まず、現状把握として、今年のこれまでの訪日外国人旅行客数と、それからこのまま推移をした場合の年間の見込み、この二点についてまず教えていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
本年一月から十月までの訪日外国人旅行者数は、対前年同期比約一八%増の約三千五百六十万人となってございます。
また、今後の見込みにつきましては、インバウンド市場は様々な要素の影響を受けることから、現段階でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
四千万人に達するかもしれないというような話も聞いたことはございますけれども、そのような数字だということで理解をいたしました。ありがとうございます。
私の地元浅草では、去年だけで約六百万人の外国人旅行客が訪れたというふうに台東区長からも伺っております。また、もう一つの地元であります中央区においても、多くの観光バスや外国人旅行客を見かけるわけでありまして、インバウンドについては、順調に回復し、増加もしているというふうに感じているところでございます。
そこでお伺いしますけれども、二〇三〇年までに訪日外国人旅行客数六千万人を目標とする方針というのは維持されているのか、これは大臣に確認をさせていただきたいと思います。
中野前大臣の所信では数字が明確に述べられていたんですが、今回の所信では言及されていなかったため、お伺いするものでございます。
○金子国務大臣 鳩山委員には、これまで同様、よろしくお願い申し上げます。
私の地元熊本にも、阿蘇や天草や人吉や、多くの観光地があるわけでありますが、観光につきましては、国内外からの観光客が全国各地の観光地を訪れ、地域の魅力に触れていただくとともに、地域の旅館、ホテル、あるいはバスやタクシー、交通網を利用する、あるいは地域の特産品を購入していただくなど、裾野の広い地域の活性化、日本経済の発展にとって非常に重要だと認識しております。
国土交通省としましては、地域住民の方々が観光客の皆様を安心して迎えられるよう、今後とも、オーバーツーリズム対策にしっかりと取り組みながら、二〇三〇年の政府目標の達成に向けて努めてまいります。
○鳩山(紀)委員 ということは、引き続き六千万人というのを目標として維持されるということかと存じますが、コロナ禍で一時落ち込みました外国人の観光需要が回復して、ここから更に約一・五倍に伸ばしていくという目標でございますので、そのこと自体は観光立国を進める上で意義があるものだというふうに私も思います。しかし、受入れ環境の整備は主に自治体が担っているところがございまして、この国の目標実現には国土交通省としての支援が不可欠なのではないかというふうに考えておるところでございます。
そこでお伺いしたいんですけれども、現在、国土交通省として取り組んでおられる施策、六千万人、目標に向けて今後必要となる施策について、概略で結構ですので教えていただきたいと思います。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
各地域におけるインバウンドを含めた観光客の受入れ体制の確保に当たりましては、それぞれの地域の状況を踏まえながら必要な対策を講じることが重要であると考えているところでございます。
国土交通省では、これまで、各地域における受入れ体制確保のため、各地域と連携をしながら、観光地、公共交通機関などの多言語化、キャッシュレス化、それからトイレの洋式化などの基礎的なインバウンドの対応、加えまして、地方への誘客に向けました、地方の自然、歴史、文化、食、伝統産業などの観光資源を活用した体験コンテンツの造成などの取組を支援してきたところでございます。
ただいま大臣からも御答弁がございましたように、こうした中で、一部の場所、時間帯によっては、過度の混雑やマナー違反によりまして住民生活に支障が及んでおり、こうした対策につきましても今後一層強化する必要があるというふうに考えております。
現在、観光庁では、二〇三〇年までを計画期間とする観光立国推進基本計画の改定につきまして、交通政策審議会観光分科会で御議論をいただいているところでございまして、オーバーツーリズム対策も含め、今後、六千万人達成に向けまして、各地域の受入れ体制確保に向けた施策についてもしっかりと議論してまいりたいと考えております。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
既に多言語化ですとかキャッシュレス化など、施策はなさってきた、また、これからも必要なものは行っていくということだと思いますけれども、特に、私の地元を見る限りは、観光需要に起因する交通渋滞ですとか駐車場不足といったものへの対応というのは現状では十分とは言い難いようなふうに感じておりまして、もし政府として交通渋滞対策ですとか駐車場不足への対策というのを既に講じているというようなことがあれば教えていただきたい、その効果についても教えていただきたいと思います。
○金子国務大臣 今御指摘のとおり、各地域における交通渋滞や駐車場不足といった課題については、地理的な特性とか交通事情などにより千差万別であり、その対応については、各地域の状況を十分に踏まえた上で対策が行われる必要があると考えております。
しかしながら、国土交通省では、必要な対策を全て地域任せにするのではなく、システムの開発導入や地域が行う取組に対する支援制度の構築などを積極的に行っているところでございます。
例えば、各地域の駐車場予約システムの導入や、観光スポットや周辺エリアの道路混雑状況の可視化に取り組んでいるほか、各地域における渋滞対策が促進されるよう、ガイドラインや事例集を通じた他地域での取組事例の横展開、具体的な整備に係る財政支援、オーバーツーリズム対策として、地域が実施するパーク・アンド・ライドシステムの導入支援なども講じているところでございます。
国土交通省としては、引き続き、各地域における実情に応じた取組を総合的に支援し、観光地における交通渋滞の解消に取り組んでまいります。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
交通渋滞ですとか駐車場不足というのは、個別自治体ごとの特性に基づく部分もありますが、そういった部分にとどまらず、需要が供給を上回る、要するに需要過多による広域的な交通現象でございますので、それに対しては国が積極的に関与をして対策を打っていただきたい、そのように思うところでございます。是非、自治体任せにするということではなくて、今御発言もありましたが、積極的に支援をしていっていただきたいというふうに思うところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今後インバウンドが更に増えていくという中で、既に飽和状態とも言えるような主要な観光地からいかに地方へ観光客を誘導するか、地方誘客というものが重要であるということは言うまでもないと思っております。そのためには、地方部へのスムーズな移動を可能にするために、モビリティー全体の改善をするということが不可欠だと思っております。
この地方への誘客を支えるモビリティー全体に対する政策というのは検討されているか、政府としてこの点について何らか具体的検討があれば、教えていただければと思います。
○木村政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、力強い観光需要を背景に、都市部を中心とした地域への偏在傾向、これが見られる状況でございまして、地方への分散が喫緊の課題であると認識しているところでございます。
こうした中、観光客の方々が日本各地の魅力ある観光地を訪れることができますよう、観光コンテンツの開発や情報発信といった取組と併せまして、交通ネットワークの機能強化が大変重要であると考えているところでございます。
現在、国土交通大臣が本部長を務めます国土交通省「交通空白」解消本部におきまして、新幹線、特急停車駅や空港など主要交通結節点から観光スポットや宿泊施設への二次交通手段の確保、充実、様々な交通モードを円滑に利用できる環境の整備を図るため、今年度から三年間を集中対策期間として、各地域のニーズに応じた課題解決を力強く後押ししているところでございます。
地域誘客の前提となる交通の整備につきまして、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
様々な取組は考えておられるということでございますが、例えば、マルチモーダルな経路検索の充実ですとか、その前提となるデータ標準化の推進、これは大分進んできているというふうには認識をしていますが、それを更に充実をさせていくこと、旅行客の方たちは皆まず検索をして目的地まで行かれるということが多いわけですので、そこを充実していくということは重要かなと思っております。
また、ターミナル駅から、今も御発言がありましたが、二次交通の強化ということで、これは集中対策期間を設けられるということではございますが、例えば外国人にも使いやすいシェアサイクルですとかカーシェアなどの活用というのも今後ますます重要になるのではないかというふうに考えるところでございますので、是非御検討いただければと思うところでございます。
次のテーマに移らせていただきたいと思います。
こちらも美延先生と少しかぶるところがあるんですが、オーバーツーリズム問題とも関連をいたします違法民泊の問題についてでございます。
民泊には、旅館業法に基づく許可型のものと、あとは住宅宿泊事業法に基づく届出型、この二つの種類があるというふうに認識をしておりまして、この後者の住宅宿泊事業法では、周辺地域の住民への説明ですとか苦情の対応などの義務が規定をされているということになっております。
その上で、違法民泊と申しますと、一つには無届け、つまり、旅館業法の許可も住宅宿泊事業法の届出もない、そういうケース、それから二つ目としては、届出はあるんですけれども必要な措置を履行しない、いわゆる迷惑民泊と呼ばれるものですが、こういったケース、この二つが類型としてあり得るというふうに認識をしております。
訪日客の増加に伴って、違法民泊の発生も一定程度想定されますので、地域住民生活の質や治安を守るためには対策が不可欠であると思います。
そこでお伺いをしたいんですけれども、旅館業法上の違法民泊と住宅宿泊事業法上の違法民泊について、政府はどの程度事案を把握されているのでしょうか。
また、違法運営を捕捉するための取組ですとか取締りの事例などがあれば、それぞれ、厚労省と、あと観光庁から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○榊原政府参考人 お答え申し上げます。
旅館業法において、旅館業を営もうとする者は都道府県知事の許可を取得しなければならず、法の適正な運営を確保するため、無許可営業による違法民泊を始め、旅館業法違反について適切に取締り等を行うことは重要でございます。
厚生労働省では、旅館業の許可を受けていない無許可営業が疑われる事案について調査を行い、令和五年度に都道府県等において把握したのは四百五十件でございます。
今後も定期的に現状の把握を行うとともに、各自治体において無許可営業に対する適切な指導等が行われるように取り組んでまいります。
また、違法民泊を把握する端緒としましては、住民からの通報等が多く、また、違法を把握した自治体においては、例えば届出等を行うよう指導し、違法状態が解消されるなどの事例があるものと承知しております。
これまでも、平成二十九年に無許可営業者への取締りを強化する旅館業法の改正を行い、地方自治体においてこれらに基づく指導監督が行われているほか、厚生労働省においても、違法民泊取締りに当たって、自治体から多く寄せられた疑義照会への回答を取りまとめ、自治体へ発出するなど、旅館業法違反に対する取締りが適切に実施されるよう対応してきてございます。
今後とも、地方自治体における指導等が適切になされるよう、関係省庁とも連携し、違法民泊取締りの実効性の確保に努めてまいりたいと考えております。
○木村政府参考人 いわゆる迷惑民泊の把握についてお答え申し上げます。
観光庁では、日頃から自治体との連絡を行いまして、どのような事例があるか、常に把握を行っているところでございます。また、苦情を受け付ける民泊制度コールセンター、こういったものを設けておりまして、ここでも苦情を受け付けているところでございます。具体的には、不適切なごみ出し、滞在中の騒音、事業者との連絡不通など、こういった事案が多いというふうに承知しております。
一例を申し上げますと、住宅宿泊事業の施設数が全国で最も多い新宿区の事例でございますが、令和六年度において、ごみ、騒音などで全体で五百六十一件の苦情が寄せられていると承知しているところでございます。
こうした管理が適切に行われていない住宅宿泊事業者に対しましては、法令に基づき、自治体による指導や監督処分などが行われることになります。観光庁におきましても、先ほど申し上げましたコールセンターを通じて住民から得られた苦情等の情報を自治体に対して提供しているほか、法令制定時のガイドラインにおきまして苦情対応に対する事業者の行為規範を定めまして、自治体が指導や監督を行うための環境整備を行っているところでございます。
引き続き、関係省庁とも連携しながら、自治体が民泊の運営に関し適正な監督を行えるよう、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。実際に把握には努められているということで、了解をいたしました。
実際に、一時期報道でもあったので御承知の方も多いかもしれないんですけれども、私の選挙区であります東京都中央区にあります晴海フラッグというマンション群におきましても、管理規約では民泊が禁じられているにもかかわらず、無届けで営業が行われているようだと指摘されております。その上、中央区では禁止されている路上喫煙ですとか、それを注意した住民への威嚇や加害行為とか、あるいはごみ出しのマナーの問題なども、実害も生じているところではありまして、既に区議や都議、そういった方たちの視察や、国会議員を交えた意見交換も実施されているそうですけれども、引き続きしっかり御対応いただきたいと思うところでございます。
視点を変えますと、現行制度ですと、年間百八十日を超えて宿泊客を受け入れる民泊は旅館業法で厚労省、百八十日以下のものは住宅宿泊事業法で国交省ということで、省庁が分かれておるわけです。こういった条件によって所管が分かれるというような制度は、構造を複雑化させまして、管理の不備を招きやすいのではないかとも考えるところでございます。
道路空間の例で申し上げますと、歩道橋は国交省、道路管理者、横断歩道は警察庁、交通管理者というような、そういう構図もありますが、それと似ているところがありまして、互いに相手が管理しているだろうというふうに空白が生じてしまう、そういう可能性があるわけでございます。
そこでお伺いしたいんですが、例えば、営業日数にかかわらず民泊は国交省で管理するか、旅館業法も国交省所管とするか、そんなことを言ったら怒られるかもしれませんが、管理とするか、もちろん厚労省でもいいわけですけれども、民泊に関する規制というものを一本化して、どちらかの省庁が一元的に所管するということを検討するべきではないかと思いますが、大臣、御見解をいただければと思います。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
住宅宿泊事業につきましては、旅館業法の対象となる旅館や簡易宿所とは異なりまして、あくまで住宅、これは法律の定義にもございますが、住宅を用いまして一時的に宿泊サービスを提供するものでございます。こうした状況に鑑みまして、一年の過半を宿泊事業として使用する場合には、法律で定める、もはや住宅を用いた宿泊サービスの提供とは言えないということから、制度的に年間百八十日の提供日数の上限を設けているところでございます。
こうした背景の違いから、規制につきましても、あくまで住宅を用いた一時的な宿泊事業でございますので、旅館業法ほど厳しい衛生基準が不要である点や、住宅地、これは第一種、第二種住専でございますが、ここにおいても実施できる点など、事業に対する必要な規制が異なっているところでございまして、これを直ちに一本化するのは現段階では難しいのではないかと考えております。
○鳩山(紀)委員 それは分かっておりまして、必要性に応じて規制の程度を緩めたりあるいは厳しくしたりということが必要なのは分かっておりますが、そうではなくて、監督官庁を統一化するべきではないかというのが私の申し上げた趣旨でございます。
大臣にというふうに申し上げましたが、御回答はいただけなかったので、その点については是非とも前向きに御検討いただきたい。(発言する者あり)もっと言った方がいいですか。前向きに御検討いただきたい。
では、ではとか言うのも変ですけれども、もし可能でしたら、大臣、よろしくお願いします。
○金子国務大臣 今、観光庁の次長からお話ししましたけれども、いろいろな課題があると認識しております。鳩山委員の御指摘もございます。しっかりと検証して、改善の余地があるところはしっかりと改善をしていきたいと思います。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。そういうお言葉をいただけて光栄でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
次に交通空白地域の問題を取り上げる予定でございましたが、先ほども御質問なさった先生がいらっしゃいますし、こちらは飛ばさせていただきまして、最後に空室税のことについてお話をさせていただきたいと思うんですが。
近年、都市部では外国人の富裕層による投機目的の不動産取得というものが進みまして、利用されないまま転売されるといったケースが増えているという指摘がございます。その一因を把握するために、国交省では外国人の不動産取得に関する調査を進めて、秋頃公表と伺っていました。昨日の報道に一部数字が出されていましたけれども、まだ正式な公表というのはされていないと認識しておりますが、これはいつ公表される御予定でしょうか。
○楠田政府参考人 お答えをいたします。
近年の住宅価格上昇の背景として、投機目的でのマンション取引の可能性を指摘する声もあるというふうに承知をしております。
まずは取引の実態を把握することが重要と考えておりまして、現在、不動産登記情報を活用いたしまして、短期売買や国外からの取得などのマンションの取得実態調査をしているところでございます。
公表時期についてでございますが、御指摘のような報道があることも承知をいたしておりますけれども、現在調査の取りまとめに向けた最終調整をしているところでございます。できるだけ早期に取りまとめて結果を公表できるよう努めてまいりたいと思います。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。できるだけ早期にということですし、既に報道でも数字が一部出ておるということでございますから、これはもうすぐ出るということなのかなというふうに理解をいたしました。
この不動産登記情報から外国人取得のものかどうかを確認するという、かなり膨大な書類から、機械化もされたんだとは思いますが、作業をされたのではないかと思いますので、是非その早期の公表を待ちたいと思います。どうもありがとうございます。
正式にはその調査結果が出ないと何とも言えないというところかもしれないんですけれども、不動産が投機目的で眠ってしまって、住居としては利用されない、価格高騰で住居が必要な人が、欲しい人が買えない、購入できないというような状態はやはり避けるべきだと考えておりまして、海外では実際に空室税の導入事例などもあるわけなんですけれども。
そこで、最後に大臣にお伺いしたいと思うんですが、空室税のようなルールの整備について国土交通省としてはどのようにお考えになっているのかということについて、御見解をいただきたいと思います。
○金子国務大臣 御指摘のいわゆる空室税につきましては、居住の用に供されていない住宅に対して一定の課税をすることで、投機的取引を抑制し、住宅価格の上昇を抑制する観点と、空き家、空き室の利活用を促進する観点の二つの目的に大別されると考えております。
このうち、前者の投機的取引の抑制については、実需に基づかない投機的な取引は好ましくないものと考えており、まずは取引の実態を把握することが重要と考えております。総理指示も踏まえ、国外からの取得も含めたマンションの取引実態を早急に把握し、結果を公表するとともに、その結果を踏まえて適切に対応してまいります。
一方、後者の空き家、空き室の利活用の促進につきましては、住宅価格が高騰する中で、比較的手頃な価格の既存住宅の流通を促進することが重要と考えます。特に需給が逼迫するような都市部の既存住宅地において、今後相続等により大量に生じると見込まれる空き家等の流通、利活用を促す施策について、現在幅広く検討を進めているところでございます。
なお、空き家、空き室に対して課税する仕組みの一例として、京都市において、住宅供給と財源確保を目的として、非居住住宅利活用促進税の導入が予定されていると承知しております。こうした地域独自の取組等の効果も注視しながら、どのような施策、制度が必要なのか、引き続き幅広く検討してまいります。
○鳩山(紀)委員 是非、合理的な制度設計に向けて議論を進めさせていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、中川宏昌君。
○中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いを申し上げます。
今日は大臣所信に対する質疑ということで、私の方からは、国民の命を守る防災・減災対策、とりわけ、これから新たに創設される防災庁と現場を支える国土交通省との役割分担と連携の在り方、加えまして、能登半島地震の教訓を制度、体制、予算、訓練にどう落とし込んでいくか、こういったことを中心に質疑をさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。
まず冒頭ですが、防災庁と国土交通省の役割、連携について、基本認識をお伺いさせていただきたいと思います。
先ほど申し上げましたが、現在、政府は、令和八年度中の防災庁設置に向けまして様々な検討を進められていると思っております。今後の大規模災害の発生が危惧される中でありますけれども、防災庁は、平時から復旧復興までの一貫した司令塔となるとされております。
私ども公明党ですけれども、命と暮らしを守り抜く防災立国、このように掲げさせていただきまして、防災庁の設置につきましては一貫して強く推進をさせていただいたところであります。
私は、日常の管理なくして危機管理なしだ、このように思っております。各地域のインフラの状況、また災害リスク、地方自治体や地方の建設業界との連携状況を見るという点で見ますと、国土交通省は、最も知見があって最も手足があって、そして最も知恵がある、こういう省庁だと思っております。
そこで、防災庁設置に当たりましては、国土交通省はまさに各地域のインフラを熟知しておりますし、地方整備局、地方自治体、地域の建設業界とのネットワークを持つ現場の中枢であると思っております。
そうしたことから、防災庁設置に向けて、国交省の知見、手足、知恵、これをどう発揮していくのかという点。また、国交省として、防災庁との連携で重視しているところはどういうところかという点。そして、先ほども申し上げましたけれども、私ども公明党としては防災立国、これを目指しておりますけれども、その実現に向けての大臣の決意。以上につきまして金子大臣にお伺いをさせていただきます。
○金子国務大臣 私の地元は、九年前の熊本地震、五年前の令和二年豪雨災害、そして今年の八月の豪雨災害ということで、災害が頻発している被災地を抱えております。その都度、熊本地震においては石井大臣が、令和二年豪雨災害には赤羽大臣が人吉、八代を回っていただきました。また、直近の八月には中野大臣に地元に来ていただいて、復興に力をいただきました。心より感謝を申し上げたいと思います。
国土交通省におきましては、これまで、インフラの整備、管理や、災害対応によって培った知見や知恵、現場経験や専門性を持つ職員を全国に抱えている強みを災害対応に活用してきたところでございます。
先ほど申し上げましたように、令和二年七月豪雨におきましては、私の地元熊本を中心として、死者八十六名、行方不明者二名が発生する大きな被害が生じました。発災直後より延べ一万人を超える地方整備局、北海道開発局、気象庁の職員が、TEC―FORCEやリエゾン、いち早く被災現場に駆けつけ、専門的、技術的知識に基づいて災害対応に当たりました。
海上保安庁においても、発災直後から救助活動に全力を尽くし、ヘリコプターによる被災者二十二名を救助していただきました。
また、本年八月の豪雨災害時にも、TEC―FORCEが被災状況調査、技術指導等を実施するとともに、上天草市役所に衛星インターネット装置の貸与といったきめ細やかな支援も行ったところでございます。
このような姿を目の当たりにして、被災地にとって非常に心強く、頼もしい存在であると実感いたしました。
防災庁設置後も、司令塔である防災庁の下、関係機関との連携を更に強化し、国土交通省の強みである知見や知恵、組織、人員を最大限発揮していきたいと考えております。
特に、災害対応を迅速かつ的確に実施することが重要であると考えており、災害初動体制の構築、被災自治体への迅速な対応体制の構築、被災者のニーズの俯瞰的な把握などに取り組むこととされている防災庁との緊密な連携体制を構築していきたいと考えております。
国民の安全、安心を確保するために、国土交通省の現場力、総合力を生かし、災害対応に万全を期してまいります。
○中川(宏)委員 大臣、ありがとうございました。
私は、国交省の現場力、これが発揮されてこそ防災庁の司令塔機能が生きるというふうに思っております。ですので、大臣に重ねてお願いを申し上げたいことは、これから大規模災害が想定されている中で、私は更に、制度設計であるとか、予算措置、また人員の配置、これを具体化していくこと、これが極めて大事だと思っておりますので、防災庁が設置される令和八年度に向けて、実行計画として是非示していただきたいと強く要望させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
道路や河川、港湾、空港、下水道など、これらの平時の維持管理を担っているのは、地方整備局、また国道事務所、河川事務所の現場の皆さんでありまして、能登半島地震を始め、これまでの災害対応を見ても、初動の要、これはまさに現場の皆様でありました。
現場には、空気があって、においがあって、優先順位の感覚があります。出先機関を持たない中央の司令塔が幾ら机上で指示を出しても現実には動かないわけで、だからこそ、司令塔である防災庁、現場である国交省出先機関、この二層の即応体制、これを制度と訓練でしっかりかみ合わせていく、これが非常に重要であると私は捉えております。
そうした視点におきまして、ここから、防災庁準備室と国交省、双方にお伺いをさせていただきたいと思います。
まず、防災庁準備室には、防災庁設置後に、平時からの災害への備え、また発災後の対応、各省や各自治体とどのように、一番大事なのは顔の見える関係だと思いますけれども、この顔の見える関係、これをどう構築していくのか、また、どのように緊密に連携していくのか、この点について伺いたいと思います。
また、国交省におきましては、防災庁設置後も、地方整備局ですとか、道路、河川事務所、港湾、航空関係、TEC―FORCE、これらは初動の状況把握、また、道路啓開、応急復興、物資の輸送路の確保といった実動の中核であることは私は変わりないというふうに思っております。
そうした中で、国交省として、防災庁の設置に向けて、省内規程、また、防災庁との連絡について見直すことがあるのか、この点につきましてお伺いをさせていただきます。
○河合政府参考人 お答えいたします。
令和八年度中の設置を目指している防災庁は、徹底した事前防災や、平時から発災時、復旧復興までの一貫した災害対応の司令塔機能を担うこととしております。
平時から、関係省庁や自治体等との顔の見える関係を構築することは重要だと考えておりまして、防災庁の設置を見据え、今年度から、内閣府に都道府県ごとのカウンターパートとなるふるさと防災職員を置き、自治体の災害対応を支援する体制の強化に努めております。
防災庁においても、こうした取組を更に発展させ、関係省庁や自治体等と連携した訓練や、被災自治体のワンストップ窓口として伴走型の被災地支援を行うなど、防災庁が中核となって、国土交通省を始めとする関係省庁や自治体等と緊密に連携し、効果的、効率的に災害対応に臨む体制を構築してまいります。
○林政府参考人 お答えいたします。
国土交通省の防災対応については、省内規程である国土交通省防災業務計画に定めてございます。この中で、発災後の情報収集や道路啓開を含め、応急対策などの具体的な内容を記載しております。
今後、防災庁設置準備室において、防災庁と関係機関との連絡体制構築に向けた検討が進められるものと承知しておりますが、災害現場の最前線で活動する国土交通省としては、効果的、効率的に災害対応を行えるよう、災害対応の司令塔機能を担う防災庁との円滑な連携体制を確保することは非常に重要と考えております。
そのため、国土交通省としては、今後、防災庁設置に向けた検討状況を踏まえ、国土交通省が把握した被害情報などの速やかな共有方法や連絡体制について、防災業務計画などを見直し、迅速かつ的確な連携体制を構築してまいります。
○中川(宏)委員 まさに、司令塔と現場、この二層構造がかみ合うためには、私は、平時からの訓練、連携、情報共有、この制度化が不可欠だと思っております。
例えば、防災庁、国交省、また自治体の三層訓練、これを定例化したり、制度化していく、こういったことも非常に大事なことだというふうに思っております。
実効性ある体制は、私は、訓練を重ねていくしか生まれてこないというふうに思っておりますので、防災庁の司令塔機能を発揮するためにも、ここは曖昧にしないで、是非とも重層化した訓練体制を大きく望むものであります。よろしくお願いいたします。
続きまして、近年の災害で非常に大事な防災拠点ともなっている防災道の駅の強化、また拡充、あと、これに加えて、迷惑行為への対応についてお伺いをしたいと思います。
能登半島地震では、防災道の駅、のと里山空港、これが大きな役割を果たしてまいりました。発災直後には、自家発電とトイレ機能により、一時避難所として機能いたしまして、五百人以上の被災者、避難者を受け入れました。その後、敷地内に道路啓開支援センターが設置をされて、全国からの災害対策車両の受入れ基地になったり、TEC―FORCEの活動拠点になったり、また、道路復旧に必要な資材の置場、インフラ復旧事業者の支援拠点など、多様な用途を担う広域防災拠点、こうしたことで重要な役割を果たしました。
これには、隣接する日本航空学園もありましたが、日本航空学園にも多大な御協力をいただきました。
一方で、石川県を中心に甚大な被害を受けた道の駅もたくさんございました。建物、また道路の崩壊、液状化による駐車場の段差ですとか亀裂、断水、トイレが使用できないなど、道の駅自体は被災していなくても、その周辺、周りの道路ですとか、また、土砂崩落によりたどり着けない道の駅となったケースも報告されておりまして、佐々木副大臣は御地元でありますので、よく御認識していただいているというふうに思っております。
現在、道の駅は全国で約千二百三十ぐらいありますけれども、そのうち、防災道の駅は七十九駅であります。私は、道の駅の広域での災害拠点化、これを拡充すべきだと繰り返し国会で訴えてきまして、二〇二三年には三十九駅でありましたけれども、現在は七十九駅と、ほぼ倍増ができております。この点につきましては更に拡充を図っていただきたい、このように要望させていただきたいと思います。
防災道の駅は、従来の休憩、情報発信ですとか、また、地域連携に加えまして、災害時の広域防災拠点、強化した施設として、救護活動、救援物資、物資の供給、避難、復旧支援を総合的に担う、地域の安心拠点となっております。
そこで、お伺いをさせていただきたいと思いますが、防災道の駅の拠点機能、これを更に高めていくために、建物や道路、駐車場、上下水道、周辺道路の被災を想定して、事前対策、また、耐震ですとか液状化対策、代替ルートの確保、国としてこういったことをどのように支援していくのか、能登半島地震の教訓を踏まえた今後の対応についてお伺いをさせていただきたいと思います。
○沓掛政府参考人 お答えいたします。
防災道の駅は、都道府県の地域防災計画等で広域的な防災拠点に位置づけられていることに加え、建物の耐震化あるいは無停電化であったり、通信あるいは水の確保などの防災機能を有すること、又は今後三年程度で実現する計画がある道の駅でございます。
委員から先ほど御説明がありましたとおり、昨年の能登半島地震の際には、能登半島北部の多くの道の駅が機能停止する中、当時、石川県内で唯一指定されていた防災道の駅、のと里山空港が大変大きな役割を果たしたということで、防災機能を強化していくことが重要だというふうに認識しております。
また、委員からも御指摘がありましたが、防災道の駅が災害時に広域防災拠点として機能するためには、防災道の駅へのアクセス、これも非常に重要だというふうに認識しております。
国土交通省としましては、引き続き、各省庁とも連携し、交付金などによる財政等の支援を通じて、防災道の駅の機能強化及びアクセス強化を進めてまいります。
○中川(宏)委員 ありがとうございました。
機能だけ強化しても、その周辺の部分もしっかりと対策していかなければ、これは非常に、防災拠点であるという観点から見れば、更にその周りをしっかりとやっていく必要があるというふうに思っておりますので、道の駅の推進に加えて、しっかりアクセス道路とかを一体的に支援していく、そういったパッケージが必要だと思いますので、この点につきましては更に深掘りをしていただいて、お願いをしたいというふうに思っております。
次に、道の駅に関連をしまして、最近、夜間に若者が道の駅に集まって爆音や大騒ぎをして周辺住民から大変大きな苦情をいただいている、こういった報道もありました。
道の駅は、観光、にぎわい、コミュニケーションの場であるとともに、先ほども言いましたが、防災対応の拠点でありまして、何よりも道路利用者の安らぎの場であるということは間違いないというふうに思っております。
こうした迷惑行為をどうしていくかということが非常に大事でありますけれども、国として、道の駅を管理する自治体、また運営者をどのように後押しして、こういった迷惑行為を抑止して、利用者にとって安心できる空間を守っていくのか、こういった知恵につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
○沓掛政府参考人 お答え申し上げます。
道の駅は、道路利用者が安心して自由に立ち寄り、快適に休憩できることが重要であると考えております。
一方、道の駅によっては、今御指摘のような迷惑行為も見られ、各道の駅の管理者などにおいて、看板、チラシなどによる注意喚起、夜間の照明の減灯、あるいは警察と連携した取締りなど、各道の駅の実情に応じた対策を講じているところでございます。
国土交通省としましては、全国の対策事例を収集し、ノウハウを広く共有するなどの後押しを行うとともに、関係機関とも連携しながら、より快適な利用環境の実現に向けて取り組んでまいります。
○中川(宏)委員 次に、能登半島地震では、地方整備局や国道事務所が地域の建設企業と密接に連携をしまして、道路啓開を進めてくださいました。そして、緊急輸送路をいち早く確保していただきました。まさに感謝を申し上げたいというふうに思っております。国交省が、発災直後から道路啓開の進捗状況、これを公開して、どのルートが通れるかということを示したことも、現場力が発揮された好事例であるというふうに思っております。
一方で、私は現地にこれまで五十数回行かせていただいておりますけれども、アスファルト合材の供給が遅れまして、道路の応急復旧、また本格復旧が思うように進まなかった、こういった声も伺ってきたところであります。
理由といたしましては、アスファルト合材工場自体が被災をしてしまったということ、また輸送ルートが制限されていたということ、また急増した需要に対しまして急激な資材不足となったこと、こういったことが挙げられているところでありますけれども、アスファルト合材は約百六十度に熱した状態で運ばれますので、復旧現場と合材工場の距離、ルートが復旧のスピードの鍵を握っているというふうに思っております。
道路啓開につきましては、本年の道路法改正によりまして道路啓開計画が法定化をされまして、令和八年度内に都道府県単位で道路啓開計画の策定、公表を目指すという大変重要な取組が進んでおります。しかし、私は、現場で歩いて強く感じたことは、啓開にとどまらず、応急復旧、本格復旧まで見据えた広域的な体制づくり、これが大変重要だというふうに思っております。
そこで、お伺いをさせていただきたいと思いますが、道路啓開や応急復旧におきましては、合材などの資材の調達がまず最初に必要であります。
その上で、現在、北陸圏から始まった広域的な道路啓開計画策定協議会の取組がスタートしているわけでありますけれども、現在の取組状況についてお伺いをさせていただきます。
○沓掛政府参考人 お答え申し上げます。
能登半島地震においては、主要なアスファルトプラントが被災し、アスファルト合材の生産が困難となりました。こうした経験を踏まえまして、議員御指摘のとおり、道路の啓開や復旧を迅速に行うためには、平時から広域的な視点で資機材を確保する体制を整備しておくことが重要であると認識しております。
このため、今年四月に改正していただきました道路法に基づき、現在、道路啓開計画協議会を全国各ブロックで設置し、舗装業界を始めとする関係事業者にも参加していただきながら、災害時のアスファルト合材を含めた資機材の確保について検討を進めているところでございます。
また、あわせて、アスファルト合材の広域運搬が可能となる中温化アスファルトの普及促進や、そのほか、運搬時の保温などに関する新技術の開発にも取り組んでいるところでございます。
国土交通省としましては、引き続き、災害時に迅速かつ円滑な道路の啓開、復旧が行えるよう、関係者の意見を伺いながら、体制の充実にしっかりと検討を進めてまいります。
○中川(宏)委員 体制の充実を是非全国に広げていただきたいというふうに思っております。
時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
○冨樫委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時八分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○冨樫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。たがや亮君。
○たがや委員 れいわ新選組の中で比較的波穏やかなたがやですので、よろしくお願いをいたします。
大臣とは会館が同じフロアですので、よくトイレでお会いする、そういう臭い仲ですので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
それから、大臣のそのピンクのネクタイ、似合っています。れいわカラーです。
さて、質問に入らせていただきます。
高市内閣は責任ある積極財政をうたい、総理の所信表明演説では、日本列島を強く豊かにしていく、防災インフラ、老朽化したインフラの整備、保全を始め、ハード、ソフトの両面で、事前防災、予防保全を徹底すると述べられました。
そして、この度、金子大臣は、二〇〇九年以来十六年ぶりに自民党所属の国交大臣に任命されました。その二〇〇九年当時、金子大臣は国交副大臣だったと伺っております。当時の大臣も金子さんということで、最強の金子コンビと言われたみたいですので、経験を生かした行政運営に御期待を申し上げます。
さて、公明党所属の大臣の時代との政策の大きな違いは何であるのか、これまでの路線を踏襲するのか、あるいは優先順位や柱を変えるのか。また、金子大臣にとっての最大の関心事、主要な政策は何かについてお伺いをします。また、石破前総理が設置をうたった防災庁が設置された際に、国交省はどのように関わるのか。以上三点、金子大臣にお伺いします。
○金子国務大臣 同じフロアで親しくしていただいておりまして、ありがとうございます。引き続きよろしくお願い申し上げます。
今委員からお話がありましたように、二〇〇九年以降、民主党、公明党からの大臣が就任されておりましたので、自民党からの就任は十六年ぶりとなります。
歴代の国土交通大臣におかれましては、その時々の政策課題に対応すべく、全力で取り組まれてきたものと考えております。
私自身も、与党の一員として、国土交通委員会の与党筆頭理事を六回やっておりまして、私の二十五年の政治生活の中では国土交通委員会が一番長く所属をしている委員会でございます。また、その立場から歴代の公明党の大臣をしっかりお支えをしながら、政策の遂行に向けて、国土交通分野の課題について議論し取り組んでまいったところでございます。
これまで、私自身、地域の繁栄なくして国の繁栄なしという考えの下、徹底した現場主義で地域の生の声と本音の声を聞いてまいりました。こうした経験も最大限生かして、国土交通行政の積み重ねも踏まえながら、所信で申し上げた国民の安全、安心の確保、力強い経済成長の実現、個性を生かした地域づくりと持続可能で活力ある国づくりの三つを柱に取り組んでまいりたいと思います。
その上で、私が国土交通大臣として、これまでの経験を生かして推進したいと思っている政策についてですが、再三この委員会でもお話をしていますとおり、私の地元熊本県では、平成二十八年熊本地震や令和二年七月豪雨など、多くの人命が失われるなど甚大な被害が発生をいたしました。二度とあのような災害が起きないように、我々は、災害の多い我が国においてこのような被害を未然に防ぐためには、災害に強い地域づくり、インフラ老朽化対策の加速化を始めとした防災・減災、国土強靱化のための取組の推進が重要であるというふうに思っております。
また、このほか、まさに中央と地方の格差というのを私自身も認識をしておりますので、地方を含めた交通網、物流インフラ整備、観光振興を通じた地域の活性化やオーバーツーリズム対策の推進、インフラシステムの海外展開、我が国の領土、領海警戒監視の適切な実施、二〇二七年国際園芸博覧会に向けた円滑な準備と運営については、特に国土交通大臣の就任に当たって総理から御指示のあったところであり、こうした事項を中心に、しっかり職責を全うし、高市内閣の重要課題に取り組んでまいりたいと考えております。
また、発災後から復旧復興までの災害対応の司令塔としての役割を担う防災庁と、災害対応が迅速かつ的確に実施できるよう緊密に連携をし、国民の安全、安心の確保に向け、災害対応に万全を期してまいります。
○たがや委員 大臣、ありがとうございます。
大臣が十六年ぶりに公明党から自民党に替わったということで国民の関心も高いということで、基本姿勢を伺いました。
また、令和八年度に設置される防災庁に関して、国民の生命と財産を守る大事な組織となるため、予算措置、人材の確保、自治体、民間との連携強化が十分な形となるように強く要望をさせていただきたいと思います。
次の質問に参ります。
金子大臣は、所信で現場主義を訴えられておられました。これまでの政治経験の中で、国土交通行政に関して現場主義にまつわる具体的なエピソードがあれば是非御披露いただきたいのですが、金子大臣、時間を気にしないでがっつり御披露ください。
○金子国務大臣 御配慮ありがとうございます。
私はこれまで、国民の命と暮らしを守ることに直結している国土交通行政に長く携わってまいりましたので、社会資本整備や交通政策、観光政策、海上保安など、幅広い分野の様々な現場を訪れ、生の声と本音の声を聞き、行政府、立法府、党での活動を通じて政策に反映させてまいりました。
重複するんですが、具体的なエピソードを申し上げれば、私の地元である熊本県は、平成二十八年の熊本地震、令和二年七月豪雨、令和七年八月豪雨と度重なる災害に見舞われておりましたが、私は、被災現場に繰り返し伺いまして、被災された住民の方々や自治体の声を直接聞いてまいりました。
特に、令和二年七月豪雨の際には、球磨川をどうにか渡らなきゃいけないんですが、まだ交通止めされていませんでしたので、もうここを渡るしかないということで秘書と一緒に車で渡ったんです。その渡った先ですね、その後、仮設であった人吉市役所に、災害対策本部が設置された人吉市役所に向かったんですが、私がその橋を渡って多分二十分後ぐらいに、そこは二メーター、三メーターの洪水に遭ったということで、一つ間違えれば私も犠牲になりかねなかったなということを思うと、やはりしっかりと、事前防災ということで、そういう対策をしていかなければいけないということを感じたところでございます。
そのことも踏まえて、衆議院国土交通委員会の筆頭理事をしておりましたが、川辺川の流水型ダムを含む球磨川水系流域治水プロジェクトの旗振り役として、国、県、市町村と連携し、ハード、ソフト一体となった抜本的な治水対策を推進してまいりました。
また、今年、埼玉県の八潮市で下水道の管路が破裂をして道路陥没事故が起きたんですが、私も、下水道のことについても、多分十年ぐらい前に、大きな管路、また小さな管路、そこに入って、そして、あるいは、そこを、人力では難しいので、最新鋭の機械を使って点検をやる方法とか、汚泥がたまるとなかなか人間も入っていけないような状況でありますので、ドローンを使った調査とか、そういったものも、身をもって、マンホールの中にも入りましたし、そのこともやりました。
また、海上保安議員連盟の会長をやっているんですが、海上保安大学校、海上保安学校を始めとした数多くの現場を視察し、海上保安庁を取り巻く様々な課題について把握してまいりました。いかにして養成機関の学生たちに充実した授業を受けていただけるかどうかということ、あるいは、住宅の環境も悪いということで、そういうことも改善しなきゃいけないということでありました。
国土交通大臣就任後も、直ちに現場を視察し、巡視船に乗りまして、あえて若手海上保安官と率直な意見交換を行いまして、船内の設備や宿舎、また女性海上保安官の働きやすい環境等について、現場の声を聞いてきたところでございます。
国土交通大臣として、これからも、しっかりとした、徹底した現場主義で地域の生の声と本音の声を聞き、しっかりと応えてまいりたいと思います。
済みません、遠慮なく、たっぷりしゃべらせていただきました。ありがとうございました。
○たがや委員 大臣、がっつり御披露いただきまして、ありがとうございます。
今大臣も水害の話をされていたと思うんですけれども、私の地元の千葉県茂原市も、本当に、オリンピックぐらいの割合で、四年に一回ぐらい水害が来まして、やはり深いところは二メートルぐらい、私の事務所も一メートル三十ぐらい、もう二回ぐらい被災しています。
やはり、今後とも目配り、気配り、心配りをしっかりと現場主義で貫いていただきたいな、そのように思います。
次の質問に参ります。
昨今、北日本を中心に、熊による被害が深刻化しております。私の地元の千葉県は、本州で唯一、野生の熊が生息していない地域です。
余談ですが、熊がいない千葉県の知事は熊谷知事です。これも余談ですけれども、金子大臣の地元の熊本県は、キャラクターのくまモンで大変有名ですが、九州には野生の熊がいないと知って驚きました。
話を戻します。
野生動物と人間の生活圏の境目、境界が曖昧になっているのが昨今の熊問題の一因ともされておりますが、特に国や地方自治体が管理する河川敷に草木が生い茂っており、野生動物の格好の通り道になっているとの専門家からの指摘があります。河川敷の草木は河川の増水時に流下能力を低下させ、水害防止の観点からも問題があるとも言われています。とはいえ、短絡的にコンクリート護岸に置き換えるというのも違うと思いますので、今後の河川管理のあるべき姿について、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
○金子国務大臣 私の実家には九十歳の母が一人でいるんですが、庭にイノシシ、猿、鹿が出てくるような自然豊かなところにあるんですが、それはおいておいて。
河川管理に当たっては、良好な河川環境を保全しつつ、着実に治水対策を行う必要があります。このため、川本来が有する良好な環境を保全、創出する多自然川づくりにより治水と環境保全との両立を図りながら実施しているところでございます。
特に熊対策に関してですが、今月十四日には、全国で熊による人身被害が相次いでいる中、国民の命と暮らしを守り、安全、安心を取り戻すため、関係閣僚会議においてクマ被害対策パッケージが決定されたところでございます。
国土交通省としては、河川における対策として、率先して都道府県等と調整をいたしまして、熊出没防止に有効な箇所の樹木を優先的に伐採するなどの取組を行っております。
流下能力の向上及び熊出没防止対策として行う樹木伐採においても、環境調査や有識者の助言を活用しながら、貴重種の生息場所の保全などに取り組んでおります。
引き続き、治水と環境保全の両立を図りつつ、熊被害の防止に必要な対策を行い、地域の実情に応じた総合的な河川管理に努めてまいります。
○たがや委員 ありがとうございます。
熊対策、今一番重要なことなんですけれども、熊のいない私の地元では、やはり、イノシシ、キョン、ハクビシンなどの被害が深刻なんです。この前、道路を走っていたら、一車線を塞ぐほどの動物が倒れていたんですね。ああ、千葉にも熊が出たのかというぐらいの大きさだったんですけれども、近くに行ったら、本当に大きなイノシシだったので、こんなものが子供やお年寄りに猪突猛進したら大変なことになると思って、本当に深刻なので、しっかりと取組を強化をしていただきたいな、そのように思います。
次の質問に参ります。
れいわ新選組は、住まいは権利を政策の柱にしています。
現状認識として、公営住宅の全国の戸数は、ピーク時の二〇〇三年の二百十八万二千六百戸から二〇二三年には百七十六万二百戸へ減少、新規の公営住宅の供給戸数は、一九七九年度の六万八千九百五十三戸から二〇二三年度の八千三百十七戸へと大きく減少しています。また、入居時の倍率は、一九九五年二・九倍から二〇二一年三・六倍となっており、これまた厳しい環境になっています。
高市総理は、先日の人口戦略本部での挨拶で、若者や女性を含む誰もが自ら選んだ地域で住み続けられる社会を実現すると、すばらしい所信を述べられておられました。住み慣れた地域から引っ越すことで、特に高齢者や認知症の方々が急激な環境変化に適応できず、リロケーションダメージあるいはリロケーションリスクと言われる状態に陥り、病気にかかりやすくなったり認知症が進んだり、結果、社会保障費の増大にもつながると言われています。
この対策には、公営住宅だけでなく、民間の空き家を活用した住宅セーフティーネット施策が必要だと思いますが、政府の取組方針と目標についてお伺いをいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。
高齢者や認知症の方が住み慣れた地域で住み続けられるようにするためには、自治体が整備をいたします公営住宅に加えて、民間賃貸住宅の空き室を広く活用して、多様なニーズに応えられる重層的な住宅セーフティーネットを構築することが重要と考えております。
このような観点から、平成二十九年に、高齢者を始めとした住宅確保要配慮者が円滑に入居できる賃貸住宅を都道府県や政令市に登録をいたします、セーフティーネット住宅制度を創設をいたしました。
セーフティーネット住宅の登録数は、制度創設時に目標として掲げました、令和二年度末までに十七・五万戸というものを既に達成をしてございます。その後も堅調に登録数は増えておりまして、現在の登録数は約九十七万戸となってございます。
こうした状況を踏まえまして、セーフティーネット住宅制度を更に一歩進めまして、民間賃貸住宅の大家さんの負担がより軽減されるよう、そして要配慮者の方がより円滑に入居できるように、居住支援法人と連携をして見守りなどを行っていく居住サポート住宅制度を先月より開始したところでございます。
セーフティーネット住宅と居住サポート住宅の取組によって、公営住宅などの公的賃貸住宅と民間賃貸住宅の双方を活用しながら、要配慮者の方々の様々な居住ニーズに対応した重層的な住宅セーフティーネットが構築できますよう、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
○たがや委員 ありがとうございます。
民間を活用したセーフティー住宅なんですけれども、これはこれからどのような目標で拡大していくのかというのを具体的にちょっと教えていただければと思います。
○宿本政府参考人 先行して実施をいたしましたセーフティーネット住宅につきましては、先ほど申し上げたとおり、登録数が百万戸近くとなってまいりましたので、市場において一定程度普及したと考えております。また、現在も安定的に増加をしておりますので、今後の目標については、これについては特段定めていないところであります。
他方、更なる住宅セーフティーネットの強化に向けて、先ほど御説明をいたしました居住サポート住宅、これについて今後普及に取り組んでいくことが重要と考えてございます。
この居住サポート住宅制度につきましては、今後十年間で十万戸を目標として供給の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
○たがや委員 ありがとうございます。
いい制度だと思うんですけれども、まだまだ数とか足りない、そういうふうに思いますので、なぜかというと、やはり、中間層が今激減して、二極化が進んで、貧困化が進んでいると言われています。それから、これから人口減少で少子高齢化や超高齢化が始まりますので、そういった住宅の手当ては絶対必要なんだなと思いますので、更なる数の確保と関係団体への周知徹底を図って、制度が十分に広がるようにお願いをいたします。
最後の質問に参ります。持続可能な観光の推進について伺います。
観光名所を自治体単位でつくろうとしても、現在の支援の枠組みでは予算が少なく、なかなか前に進みません。自治体である程度の資金も必要となり、観光開発のプロではないので、ちゅうちょしています。
現状、私の地元においても、予算に関して様々な補助金などがあることは知っているものの、しかしながら、自治体が積極的に手を挙げるまでには至っていないというのが現状で、これまで観光客が少なかった地域、とりわけ広域地域で見たときに、付加価値の高い新たな観光資源の開発を行う地方自治体や民間事業者への国からの更なる支援策を何か考えているか、参考人で結構ですので、お答えください。
○木村政府参考人 お答えいたします。
観光は、地域の活性化や日本経済の発展に不可欠なものでございます。オーバーツーリズム対策の観点からも、様々な地域に観光客の方を行き渡らせることが大変重要であるというふうに考えております。
現状、まず、地域に観光客を呼び込むためにはしっかりとした戦略の策定が必要だと考えておりますが、観光庁では、現在、マーケティング調査や戦略策定に係る経費ですとか外部の専門家人材の登用に係る費用の支援を行っているところでございます。
その上で、実際にコンテンツの造成などをする場合にもしっかりとした支援を行っているところでございますが、冒頭申し上げましたように、地方への誘客というのが観光政策上大変重要な課題だと考えておりますので、その点については、今後ともしっかりと強化すべく検討してまいりたいと考えております。
○たがや委員 また更問いしたいところだったんですけれども、時間が来たので終わります。
ありがとうございます。
○冨樫委員長 次に、堀川あきこ君。
○堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。
大阪・関西万博の工事代金の未払い問題について質問をしたいと思います。
万博の花と言われた海外パビリオンの建設を担った建設業者への工事代金の未払いが大規模に発生をしています。少なくとも十一のパビリオンで未払いが発生しており、その被害額は億単位に上るケースもあります。訴訟にも発展していますが、いまだに解決には至っていません。
この万博未払いの背景には、そもそも、パビリオンの出展決定が遅れ、建設業者の確保も遅れ、開幕に間に合わせるために無理な工期で工事が行われました。そうした中で建設業法を遵守した発注や契約が行われなかったことにあると考えています。
私は、この間、被害業者の方々に直接お話を伺い、未払いの経過や現在の資金繰りの様子などを聞いてきました。
マルタ館に携わった京都の業者の方、一億二千万の未払いです。最上位元請はGL社です。内装、外装を担当されたそうですが、着工したのは昨年の十二月、四月の開幕まで半年もありません。とにかく時間がない中で、追加工事や仕様変更が次々生じて、本当に大変な混乱だったそうです。睡眠時間もまともに取ることができず、夢洲は大阪湾に囲まれていますからとにかく寒くて、暖を取るスペースもない、近くにトイレもない。そうした働き方を続ける中で、一か月で七キロも体重が落ちたそうです。しかも、完成したのが四月十一日、開幕の僅か二日前です。過酷な状況でも、国家プロジェクトに関われる、こういう思いで必死になって作業を続けたとおっしゃっていました。
ところが、待っていたのは工事代金の未払いです。工事が遅れたのはこの業者の方の契約不履行が原因だとして、GL社は一部の工事代金を支払っておりません。その影響で家財道具を売り払ったり従業員の方が半分辞めていったりと、事態は本当に深刻です。
この間、中国館の未払いに関しても相談を受けました。電気関係の工事の二次下請、A社とします、追加工事分の未払いに遭っているという相談でした。A社に追加工事の依頼があり、まず見積りを交わそうとしたんだけれども、それが応じられず、全額入金するからやってくれとゴーサインが出され、契約書も交わされず工事に入ったというのがお聞きをしている経過です。何とか完成にこぎ着けるんですけれども、この追加工事分の契約がなかったことにされたということで、二千万以上の不払いになっています。
このA社の方も、工事の開始は年末です。年明けから一切休みがなくて、とにかく工事を急げという指示が年明けから現場に入るようになったそうです。A社の方は、夜中の三時、四時に家に帰って、朝八時の朝礼に間に合うように工事現場に向かう日々だったそうです。
このA社も本当に資金繰りが厳しくなっていまして、法人市民税や社会保険料などが払えずに差押えに遭っている、しかも、事務所の家賃も払えずに強制的に出ていかざるを得なくなったというふうなことで、御家族も本当に大変な思いをされています。
政府が国家プロジェクトとして位置づけたこの大阪・関西万博で不払いがこんなに多数起きていることは絶対に許されないことだと思います。
大臣は所信表明の中で、徹底した現場主義で地域の生の声、本音の声を聞いてきたとおっしゃっていました。言うまでもなく、建築業者は、地域経済を支え、インフラや、あるいは災害復旧も含めて、本当に大切な役割を担っておられます。その建設業者の方が、万博は悪夢でしかない、こういう声を漏らされるわけなんですよね。
大臣の未払い問題への受け止め、どういった姿勢で臨まれるか、まずそれをお聞かせください。
○金子国務大臣 堀川委員から、今、現場のお声をいただきました。このような問題があることは承知をしております。
その上で、工事代金は契約当事者の合意に基づいて適正に支払われるべきものであり、工事代金の不払いが生じた場合は契約当事者間で速やかに協議を行って解決を図る必要がありますが、大阪・関西万博の海外パビリオンの建設工事に係る下請代金の支払いの問題については、政府としては、民民の問題として関与しないという姿勢ではなく、博覧会協会が中心となって、国土交通省も協力して相談窓口を設置をし、下請事業者の気持ちに寄り添いながら、個別の契約の問題解決に向けた対応を行ってきているものと認識をしております。
国土交通省においても、未払いに関する相談を受け付けた場合には、元請事業者の許可を行った都道府県等に情報を提供し、当該都道府県等から元請事業者に対して解決に向けた協議を促してもらうとともに、事業者の許可を行った都道府県等に対し指導監督について必要な助言を行うなど、個別の契約の問題解決に協力してまいりました。
また、万博終了後に始まる解体工事において工事代金の支払いをめぐる紛争が生じないよう、本年九月に業界団体及び都道府県等に対して通知を発出し、契約の書面化など建設工事の請負契約に関する法令遵守の徹底を改めて周知したところでございます。
今後も、博覧会協会を始め、関係機関と連携をし、建設業法等の関係法令の遵守や取引の適正化等が図られるよう、関係者への周知や働きかけ等を行うとともに、個別の契約の問題解決についても、下請事業者の不安の声などを受け止めながら、必要な協力を行ってまいります。
○堀川委員 この万博の未払いの問題は、建設業法に抵触をするおそれのある問題がたくさん含まれています。国交省として主体的に関わり続けるということを改めてお願いをしたいと思います。
この中国館の未払いですが、元請業者は大臣許可の特定建設業者です。この間、私は八月と九月に、全国商工団体連合会、全商連の方とA社の方とともに、建設業法に基づく元請への指導、これを求めて、許可行政庁である中部地方整備局に要請を行ってきました。その後、どのような進捗にあるのか、話せる範囲で教えていただきたいということと、また、そのとき中部地整から、元請への働きかけを行ったらそのことをA社に伝えると連絡が私の事務所にありました。A社に対して連絡はされたのでしょうか。
○楠田政府参考人 お答えをいたします。
お尋ねのありました中国館建設に係る支払いの問題につきましては、一部の下請業者と再下請業者の契約当事者間で契約内容についての見解に相違があるため、請負代金の支払いに関する問題が発生をしている事案でございまして、その施工体制の最上位の元請業者が大臣許可業者であるというふうに承知をいたしております。
当該最上位の元請業者に対しましては、許可行政庁である地方整備局より、事実関係の確認や下請業者と再下請業者との間で解決に向けた協議が図られますよう、建設業法における請負責任の趣旨を踏まえた対応を取ることを促すなど、継続的に必要な働きかけを行っているところでございます。
また、当該地方整備局では、支払いの問題を訴えている再下請業者から直接事情を伺っておりまして、当該再下請業者には、地方整備局から最上位の元請業者への働きかけを行っていることを説明をいたしております。
国交省としては、支払いの問題ができるだけ早く解決がされますよう、元請への働きかけなども含めまして、引き続き粘り強く対応してまいりたいと考えております。
○堀川委員 A社への連絡があったということで、直前までないというふうに聞いていましたので、少し安心をしました。
加えて、ちょっと関連して大臣にお聞きをしたいんですけれども、被害業者の方々は、本当にわらにもすがる思いで許可行政庁へ要請に行き、取引のやり取りなどが分かる記録や書類を出してくれと言われて、それを準備して提出したものの、その後どういう進捗を見せているのか全く知らされていないというのが現状なんです。こうした対応に対する本当にいら立ちが募る中で、中には、行政は結局動かないんじゃないかとか、あるいは信用できないというふうな声も聞こえてくるんですね。相談してから二か月、三か月経過しても何の音沙汰もないということであれば当然の思いだというふうに思うんですけれども、ただ、こうした事態は行政としても本望ではないと思うんですね。
この進捗状況について、何をどこまで話すのかという判断は難しいところがあるというのは理解をするんですけれども、せめて被害業者の方に何も知らされないというのは改めるべきじゃないかなというふうに思うんです。
都道府県の許可行政庁へ国交省が何か言うのはなかなか難しいというふうに思うんですけれども、せめて国交省は模範となる対応をお願いしたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○楠田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の点ですけれども、請負事業者から聞き取った詳細な内容など、職務上知り得た秘密となるものにつきましては、国家公務員法の規定、守秘義務もございますので、相談者の方であってもその内容を直接お伝えをするということは難しいケースも多いかと思います。
ただ、御指摘のとおり、内容の詳細をお伝えできないとしても、相談者に接触をしたり、あるいは相談者の方からお問合せなどを受けた場合には、地方整備局では元請事業者に対して働きかけを行ったというような事実については御説明をしているようなところでございます。そういったことは、地方自治体に対してもこれからお話をしてまいりたいと思います。
○金子国務大臣 今局長からお話をしましたとおり、しっかりと局長とも相談をしながら、少しでも不安が解消されるように努力をしていきたいと思います。
○堀川委員 是非、対応をお願いしたいと思います。
次の質問を、済みません、飛ばしまして、その次に進みます。
建設業をめぐっては、昨年、担い手三法の改定もあり、標準労務費の確保など前向きな動きもあります。ただ一方で、この万博未払いの問題は、建設業の取引にまだまだ大きな課題があるということを浮き彫りにしていると思うんです。この元請、下請間の未払い問題、かなり昔から存在をして、今日に至ってもなお後を絶たないというのが現状です。
多くの場合、書面による契約が交わされていないというふうなケースが多いんですけれども、なぜ書面で交わされず口頭による契約がこんなに横行するのか。双方の合意の下、契約書を交わすというのは大原則である、それは本当にそのとおりだと思います。多くの業者は、それを理解をして、何とか契約書を交わそうとするわけなんですけれども、しかし、元請がそれに応じないということが下請業者からよく出される声です。
資料の一を見ていただきたいんですけれども、これは先ほどの全商連による万博未払いに関するアンケートです。この中の三段目のところ、少しちょっと文字が小さくて申し訳ないんですけれども、三段目のところで、口頭契約になってトラブルの元になるからと断り続けていたが、一次、二次の両会社からお金の面倒は必ず見るとしつこく言われ、国家プロジェクトということもあり信じてしまったという回答があります。
あるいは、別の一次下請の業者の方のお話なんですけれども、この業者の方は、相手が外資系の会社だったということで、それを考慮して、英語版の契約書まで作成をして、あとは署名をもらうだけというふうなところまで持っていったんだけれども、元請はかたくなに署名に応じてくれなかったというふうなことを話しておられました。
この書面による契約に元請が応じない、こういうケースが万博未払いの被害業者からも次々に告発をされているわけなんですね。そんな工事は突っぱねるべきという意見もあるんですけれども、ただ、ここで存在するのが、元請、下請は建設法上は対等な関係というふうにされています。ただ、実際には、圧倒的に元請の方が優位な立場に立っている、下請はやはり弱い立場に立っているというのが現実だと思うんですよね。
大臣にお聞きしたいんですけれども、万博未払いにおいてだけではなくて、建設業界の中で、下請が求めても元請が応じずに契約書が書面で交わされないという実態があることは認識されていますでしょうか。もし御認識であれば、そこに対するお考えも聞かせていただけたらと思うんですけれども。
○金子国務大臣 お答えいたします。
建設工事の代金支払い問題に関する紛争を未然に防止する上で、契約当事者が対等な立場に立って契約を締結すること、書面による契約を締結することは極めて重要であります。今、対等ではないという御指摘があったわけでありますが。
建設業法では、第十八条におきまして、契約当事者が対等な立場で公正な契約を締結する旨を規定するとともに、第十九条において、書面による契約を締結する旨を規定しています。
また、書面による請負契約の締結を徹底するため、建設業法の遵守に関するガイドラインに適切な書面契約の方法を明示するとともに、建設業者や公共、民間の発注者の各団体に対し、書面契約の締結を含む請負契約の適正化を求める通知を毎年発出しているところでございます。
引き続き、対等な立場での契約、書面での契約の重要性等について、あらゆる機会を捉えて建設業の取引当事者に対し周知徹底してまいります。
また、下請事業者から元請事業者に対して書面による契約締結を求めたにもかかわらず、元請事業者がこれに応じないようなトラブルが発生をし、国土交通省の地方整備局等に設置している駆け込みホットラインに通報があった場合には、都道府県等が必要な調査、指導を行うなど、紛争の防止に努めてまいりたいと思います。
○堀川委員 それでも未払い問題がもう長年の間解決をしていないというのが現状だと思います。国土交通省がそうやって通知を何回も何回も出さないといけないくらい、この書面による契約というのがなかなかやられていないということは、国交省自身も認識はしておられるというふうに思うんですね。
最後の質問になるんですけれども、やはり、基本的に、優位な立場にあるのは元請の方であって、下請は立場が弱い、こうした力関係がある中で、書面による契約が交わされない、それが未払いや不払いにつながっていく、こうした現状をどうしてもやはり打開をしなければならないと思うんです。そして、未払いで苦しむ業者をこれ以上生まないために踏み込んだ対応がやはり求められているというふうに思うんです。
例えば、元請に対して契約書の交わしについてもっと責任を持たせるだったりとか、あるいは、契約書の取り交わしについて実態調査をやるだったりとか、できることはいろいろあると思うんですけれども、もう少し大臣の問題意識やお考えをお聞かせ願えませんか。
○金子国務大臣 先ほど来お話をしているんですが、建設業法に基づいてこの契約は行われているわけであります。しかし、国土交通省としても、先ほども申し上げましたように、地方整備局等に設置をしてある駆け込みホットラインに通報していただいて、それに対応するとかやっているわけでございますが、本質的なことも含めて、この実態がどのくらい広がっているのかも含めて、やはり実態調査はやることは必要なのかなというふうに個人的には思ったところでございます。
○堀川委員 実態調査は是非やっていただきたいと思います。
建設業取引適正化センターに寄せられているいろいろな相談の具体の中身を私もざっと見ましたけれども、口頭契約によるトラブルというのがやはり多いんですよね。是非、なぜ口頭になってしまったのかということを国交省として把握をするということ、踏み込んだ対応をお願いをしたいと思います。
この万博未払いの問題、本当に個別の案件が深刻な実態にあります。年を越せるかも分からない業者の方々がたくさんいらっしゃいます。引き続きこの問題を取り上げ続けるということを宣言をしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享でございます。
まず冒頭、少数会派にもしっかりと配慮いただいた運営をしていただいていること、委員長、与野党理事、各位の皆様方に心から感謝したいと思います。ありがとうございます。
そして、金子大臣におかれましては、まさに現場主義、地方の視点を持った大臣が与党の第一党から誕生したということを心からお喜びを申し上げたいというふうに思います。
その上で、資料一というのをお配りしていて、ちょっと嫌らしい資料で恐縮なんですけれども、国土交通省というのが省庁再編で誕生して二十五年になります。国土庁、建設省、運輸省、そのほかにも幾つかありますけれども、が主に統合して、できて二十五年。その間、ほとんどの期間、十六年九か月が公明党の大臣で、自民党の大臣の期間は僅か二年二か月で、扇千景さんの保守党よりも短いということでありますし、自民党の現職議員に既にもう国土交通大臣経験者はいないという状況になっております。
公明党のこれまでの大臣の皆さんは、非常に真面目で優秀で、利権と無関係のそうした方ばかりだと、皆さん親しくさせていただいておりますけれども、思っておりますが、一方で、私、昨年の中野新大臣、国土交通省一期目に入省の大臣ですけれども、にちょっと厳しいことを言ったのは、厳しいというか、これは公明党さんのせいではないんですけれども、やはり大胆な政治決断が必要な、国土のデザインとか政策を大きく変更する、そうしたことはやはり与党第一党でなければできないんじゃないかというふうなことを申し上げました。
また、ここに、下にちょっと若干、いろいろな不祥事を並べてあります。この間、私も拝見していて、国土交通行政を見ていると、統計不正という問題もありましたし、天下りの問題や、ちょっと見ていて、ほかの役所では考えられないような古典的な官僚組織上の問題というのが続発していて、公明党の大臣の皆さんは優しいんですけれども、こわもての方は赤羽大臣ぐらいしか記憶になくて、しっかりとしたガバナンスができていない、官僚天国になっているんじゃないかなという印象も、これはほかの霞が関の中でも言われているんですね。
私は、国土交通省の実質上の本格大臣というのは、金子先生や石原先生を見ましたけれども、もう一度、今の金子大臣が再スタートなわけでありますから、やはり国土交通省が生まれ変わるんだというぐらいの、自民党の大臣としての実力を是非見せていただきたいなと心から希望するものであります。
そこで、国土交通大臣が久しぶりに自民党の大臣になるというところの意義をどのように考えるか。あえて私は、野党というかユ党の立場からお聞きしたいと思います。
○金子国務大臣 先ほどは身に余るお言葉をいただきまして、ありがとうございます。
もう御案内のとおり、国土交通省は二〇二五年に発足後二十五年を迎えたところですが、二〇〇九年以降、民主党、公明党からの大臣が就任されていましたので、自民党からの就任は十六年ぶりとなります。
また、私自身も自民党最後の大臣だった金子一義大臣の下で二〇〇八年に国土交通副大臣を拝命し、約一年間、副大臣として国土交通行政に携わってまいりました。
そして、この表にもありますように、太田大臣から中野大臣までずっと、実は、政権与党でありますから、公明党だけで国土交通行政をやっているわけではなくて、やはり、与党の中で自民党と公明党が連携をしながら、あるいは政策を立案しながらやってきたということでありまして、私自身も、これまで公明党の大臣がやってこられたことはしっかりと評価をしながら、やはり、前の中野大臣、それから赤羽大臣は大都会の神戸の先生であったということもありまして、私自身も地方の観点から、中央と地方の格差があるということで更に自分なりの工夫をしながら、あるいは、先ほど来申し上げましたように、度々重なる被災地ということであって、やはり安全、安心な基盤をつくることによって、経済あるいは地域創生も成り得るんだろうというふうに思っております。
そういう意味では、私自身もしっかりと現場主義で、官僚の皆さん方に現場の声をしっかり伝達をしながら、現場に即応した国土交通行政をやりたいと思っておりますし、現場力、総合力を最大限生かしまして、これから皆さん方が信頼できるように頑張っていきたいと思います。
○福島委員 何で私がこのことを申し上げるかというと、私は何か決定的に欠けているものがあると思うからなんですね。
私自身、橋本内閣のときの省庁再編というのに携わりまして、この国土交通省というのは言うまでもなく橋本内閣の行政改革でできたもので、相当議論があって、余計なことなんですけれども、通産省の中のチームに国交省をつくる担当というか、いろいろそれで根回しとかをする担当を私はやっていて、そのときいろいろな議論があったのを覚えております。
単なる事業官庁ではいけないということで、総合的な政策官庁になろうといって国土交通省という名前を作り、建設省時代は設置法上に任務というのがなかったんです、今回、「任務」というのを新しくつくったんですけれども、大臣、国土交通省設置法上の「任務」について読んだことはありますでしょうか。通告していないので、なければ正直にないで結構なんですけれども。
○金子国務大臣 申し訳ありません、これから読ませていただきたいと思います。
○福島委員 それは、事業をやることじゃなくて、国土の総合的かつ体系的な利用、開発及び保存なんですよ、「任務」が。そのための社会資本の総合的な整備、交通政策の推進、観光立国の実現云々でありまして、目標は、国土の総合的かつ体系的な利用、開発なんですよ。そこが私はあるのかどうかということを、ずっとこの間問うてまいりました。
私は、それが久しぶりに出たのが、今年の、前の内閣の石破政権の一月の施政方針演説の中で、政策の核心は、地方創生二・〇です、これは、令和の日本列島改造として強力に進めますと言っていて、列島改造、まさに田中角栄以来のこの言葉を施政方針演説で出したんですね。そして、都市対地方という二項対立ではなくて、ハードだけではないソフトの魅力が新たな人の流れを出すという、ある意味理念的な国土のデザインに取り組みますと石破さんはおっしゃっていたんです。
そうした精神を大臣は受け継ぐかどうか、その点についてもちょっと簡単にお聞かせいただけないでしょうか。
○金子国務大臣 福島委員が石破前首相が掲げた令和の日本列島改造について評価をされ、そしていろいろなところでお話をされていることは聞いております。
官民が連携をして地域の拠点をつくって、地域の持つ潜在力を最大限引き出して、ハードだけではないソフトの魅力が新たな人の流れを生み出すことで多極分散型の多様な経済社会の構築を目指すものであると認識をしております。
あるいは、田中角栄元首相の日本列島改造論もございました。このような日本列島改造とか令和の日本列島改造への変遷は、時代の変化を踏まえたものと考えております。
現在は、高市首相の下、従来からの地方創生の取組に加え、地方が持つ伸び代を生かして、国民の暮らしと安全を守るためには地域経済の発展が不可欠であるとの考えの下で、地域未来戦略本部が設置されたところでございます。
私自身も、地域の繁栄なくして国の繁栄なしという考えの下、徹底した現場主義で、これからも地域経済の発展に向けて、しっかりとその役割を果たしてまいりたいと思います。
○福島委員 もう少し御自分の言葉で語っていただけたらありがたかったんですけれども。
例えば、もうちょっと具体的な政策に落とすと、石破首相と私は、中速新幹線という議論を行いました。それは、在来線の上を百六十キロから二百キロで走る新幹線で、金子大臣の地元も、恐らく並行在来線の問題が起きていて、在来線が寂れてしまうという問題があると思うんですね。
今、整備新幹線は、これから北陸の最後の部分、北海道、九州とできれば完成して、その後のいわゆる基本計画路線をどうするかというのを考えると、もう何百年もかかってもできるかできないかという状況であって、今の在来線を使ってそのまま高速で走らせれば、かなり中核都市同士の連携を進めることができるという効果があると思っております。
石破総理からも、予算委員会では極めて前向きな、私は首肯する部分がたくさんあると言って、この「中速鉄道のすゝめ」という本があるんです。これは役所の皆さんも読んでいただいているようなんですけれども、是非大臣にも読んでいただいて。
でも、政策転換するには、例えば地元の、基本計画路線を望んでいる地元をどう説得するかとか、あるいは、ほとんど今在来線には国費は投入されておりませんから、それができるような仕組みをどう整えていくかとか、かなりの政策転換というのが必要になります。これは政治家じゃなければできません。そして、それをやるのはやはり与党第一党じゃなきゃできないから私はこの例を挙げています。
もう一つは、高速道路の料金の問題です。これは古川元久先生もずっとおっしゃっておりますけれども、資料二、裏側にありますけれども、日本の高速道路料金というのは法外に高い。フランスは何か最近高いようですが、私が昔行ったときは、フランスは何かでたらめで、ほとんど料金所はあっても徴収していないいいかげんさがフランスらしかったような気がするんですけれども。アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ、主要国は原則無料。韓国や中国は日本の半額以下。
これは恐らく、高速道路料金自体が国の力とか地方の力を決めるのだとすれば、私は、もう早く一回償還しちゃって、無料開放を早くするという派でありますし、古川先生はワンコイン、五百円、どこまで行ってもワンコイン。これは相当従来の償還主義の考えを変える大きな決断をしなければならないんですけれども、それを決断すれば、地方に対する効果は絶大なものがあるんですね。
私自身、水戸市という中核市に住んでおりますけれども、日本のインフラの多くは、東京と都市、地方を結ぶためにつくられていて、中核市同士を結ぶようなインフラがつくられていないわけです。例えば、日本海側に新潟市があって太平洋側にいわき市というのがあって、それぞれ中核市ですけれども、これの間を通っている磐越東線、西線というのはほとんど電車が走っていない状況で、もしこれが中速鉄道になれば、根本的に人の流れが変わって、東京を経由しないで地方同士の交流人口が深まるんですね。
そうしたことをやるための政治的な決断が必要だから、私は国土政策が大事であるということを申し上げ、そこを、ようやく与党第一党から大臣を出すことになったわけですから、期待しているんですね。例えば、この中速鉄道あるいは高速道路料金の抜本改正、こうした問題について大臣はどのようにお考えになるか、御答弁をお願いいたします。
○金子国務大臣 福島委員の持論ということで、もう実は鉄道局も随分意識が変わっていたということはよく理解いただいていると思います。
整備新幹線以外の幹線鉄道ネットワークの整備も重要な課題であり、今年六月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針二〇二五では、幹線鉄道ネットワークの高機能化の方向性と更なる取組を進めることが明記をされているところでございます。
そういう意味では、長期的な視点に立って、新幹線の基本計画路線を含む幹線鉄道のネットワークについて、地域の実情を踏まえ、幹線鉄道の高機能化に関する調査や方向性も含めた検討を進めてまいりたいというふうに思います。
高速道路については、やはり、国土政策上も基幹的なインフラとして重要な役割を果たす高速道路が持続可能に運営し続けられるよう、こうした高速道路の建設等に要した借入金の返済に必要な資金に加えて、更新事業や四車線化などの投資に必要な財源を安定的に確保するということが重要だと思っております。
今回、福島委員からいろいろな御提案をいただきました。しっかりと勉強させていただきまして、本も見せていただきながら頑張っていきたいと思います。
○福島委員 やはり、継続だけだったら政治家は必要ないんだと思いますね。
私は、恐縮ですけれども、公明党の大臣さんのときは、公明党が悪いんじゃないですよ、やはりこれは与党第一党じゃないから、継続じゃない政策をやるのは相当与党第一党にも気を遣わなきゃならないのが、今回はそうじゃないからこそ、これだけ地方が衰退している中で、継続の政策の延長には先はないんですよ。ある意味、それを乗り越える政策をやるための決断をお願いしようと思っているんです。
そして、そのためには、かつて全国総合開発計画、全総というのがありました。これも何度も紹介しているんですけれども、下河辺淳さんというミスター全総と言われる国土事務次官をやった方、私の地元の出身で、学校も私の先輩であります。
この方は、ミスター全総と言われていますけれども、「戦後国土計画への証言」というので、国土計画とは何か。国土を論ずるということは、簡単に言えば、人と自然の関わり方をいろいろな角度から論ずることだと思います、国土政策論を論ずるときにいろいろなアプローチの仕方がありますが、基本的には、歴史的に見るということは大きな見方の一つだと思いますと言っていて、すごい、文化とか歴史とか大きなものから、教養的なものから見なきゃならないんだというふうに言っているんですね。
最後の全総の五全総にも関わっているんですけれども、二十一世紀の国土のデザインとして、二十一世紀の文明の相貌はまだ判然としないものの、人類社会が新世紀にふさわしい新しい文明を生み出し、明るい未来を切り開くことが強く期待されるという文明論から始まっているんですよ。
私は、そうした観点から国のデザインをするというのは、これは学者の審議会だけではできません。学者も経済やインフラの専門家だけではできなくて、哲学や文明論や様々な観点、そして我々、有権者に接して地元に密着している政治家の観点も入らなきゃならないから、国土形成計画を作る審議会には今も私たち国会議員の何人かが入っているわけですね。
私は、すぐに次の国土形成計画、今の国土形成計画、残念ながら今の国土形成計画は、既存の政策をがっちゃんこした、財務省への予算要求の補足資料程度と言ったら怒られますけれども、それに毛が生えたものにすぎないと思っております。
やはり、日本の最高の知性を込めた全総に代わる国土形成計画を今、自民党の大臣になったからこそ、作ったばかりですけれども、作る準備をしなければならないと思うんですけれども、そうした新しい国土のデザインをすることにかける思いというものを、大臣、お聞かせいただけないでしょうか。
○金子国務大臣 御指摘の戦後五回にわたり策定された全総、国土の均衡ある発展や多極分散型国土が打ち出されましたが、今の時代の国土計画に通じるものがあると思いますし、歴史の方向性を見据えた計画であったと感じております。
まずは、一昨年に閣議決定した第三次国土形成計画に位置づけた具体的な施策の推進を関係府省とも緊密に連携しながら着実に進めてまいりますし、今のお話も含めてしっかりと取り組んでいきたいと思います。
○福島委員 大臣、過去の全総と今の国土形成計画を読み比べて見ればそうじゃないということが分かり、それが変わったことが日本の停滞だということを実感されるかと思いますので、お役所の言いなりになるだけではなく、お役所の力もおかりしながら、是非政治家としての判断をすることを期待いたしまして、質問とさせていただきます。
ありがとうございます。
○冨樫委員長 次に、斉木武志君。
○斉木委員 本日のトリを務めさせていただきます改革の会の斉木武志でございます。よろしくお願いいたします。
まず、今日は北陸新幹線の敦賀以西延伸に関して、絞ってお聞きをしたいと思います。
まず、参議院選挙が終わった後、今この小浜・京都ルート以外の米原案であるとか舞鶴案であるとか、百家争鳴といいますか、与党の中からもいろいろなルート案が聞こえてきております。
私、福井県を地元としておりますので、まさに敦賀から新大阪の間、どうやって結んでいくのか、決まったことがいつの間にかまたいろいろな方向にルートは拡散しておりまして、一体終着駅はどこになるのかと。
現状、政府そして国土交通省として、この今決めている小浜・京都ルート、これが既定ルートとしてまず認識されているのかどうか、その認識からお聞きしたいと思います。
○五十嵐政府参考人 お答えいたします。
北陸新幹線敦賀―新大阪間については、平成二十八年度に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、関係自治体、経済界、JRなどの幅広い関係者からのヒアリングを経て、速達性、利便性などを総合的に勘案し、小浜・京都ルートとすることが決定をされました。
その後、小浜・京都ルートを前提に、環境影響評価法に基づく手続を進めるとともに、令和五年度から、北陸新幹線事業推進調査として、従来、工事実施計画の認可後に行っていた調査も含め、施工上の課題を解決するための調査を先行的、集中的に実施しているところです。
さらに、この小浜・京都ルートについて、昨年八月に詳細な駅位置、ルート案をお示ししていますが、地下水への影響などについて京都を含む地元関係者に御懸念があることから、鉄道・運輸機構とともに、京都府下の自治体向けの説明会を開催するとともに、必要に応じて自治体、経済団体、関係組合などへの個別説明を実施しているところです。
国土交通省としては、このように、与党での御議論を踏まえ、小浜・京都ルートによる取組を進めてきたところであり、一日も早い全線開業に向けて、引き続き、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいります。
以上です。
○斉木委員 今、与党に関して御言及もありましたけれども、その与党の枠組みが変わりましたね。自民党、公明党さんから、自民党、維新さんに変わられた。
十一日、今月ですけれども、維新さんから高市総理大臣に対して、この提言書が出されました。新たな総合経済対策の提言ですけれども、その中の十二ページに、北陸新幹線のこの敦賀―新大阪間については、ほかの合理的なルートへの変更を検討することというふうに盛り込まれています。
まさに与党の中から、今のルートではなくて、ほかの合理的なルート変更を検討するべしという提言が出されておるんですけれども、この提言に関しては、どのように受け止め、どのように見解を持っていらっしゃいますか。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
北陸新幹線敦賀―新大阪間につきましては、委員御指摘の提言書を始めとして、整備に向けた議論の進め方などについて様々な御意見があると承知しております。
また、報道ベースではございますが、今後、自由民主党と日本維新の会でプロジェクトチームを構成して議論されるものと承知しており、まずは与党において御議論が進められていくものと考えております。
繰り返しになりますが、国土交通省としては、一日も早い全線開業に向けて、与党での御議論も踏まえつつ、引き続き、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいります。
以上でございます。
○斉木委員 与党でお決めになることというか、与党が主導権を握っているというような御答弁でございますけれども、巨視的に見ると、これは大臣にお聞きしたいんですけれども、国政選挙というのは衆参ございますので、大体二、三年に一回巡ってきます。そのたびごとにルートが元に戻っちゃうんですね、日本の整備新幹線というのは。
先ほど鉄道局長からの御説明もあったように、この小浜・京都ルートが決まったのは、ほぼ十年近く前です。それがいまだに、参議院選挙が終わると、京都府においてはこのルートが選挙の争点にされ、決定したはずのルートが、いや、決定していないかのような形で、国民から見ると、これは国家百年の計でしょう、東京と大阪という日本の二大都市を結ぶ第二国土軸をどのように通していくかという、国家の経済的な合理性であるとか地域の発展であるとか、そういうことを本当に議論を重ねながら、やっとこの小浜・京都ルートというのが十年近く前に決まりました。それが、また国政選挙を七月にやると、いやいや、米原も舞鶴もみたいな形で、また手戻り感が非常にあるんですよ。
専制国、アジアの大陸国家なんかは、ばっとルートを決めたらすぐスタートしますので、十年という時間がまた無駄になるのか、いつ開通するのか、国益という巨視的なものを考えると、選挙のたびにこうやってぐらぐらぐらぐら揺れるということは、私は国益にはそぐわないと思うんですけれども、やはり、国家百年の計、東京―大阪の第二国土軸をどのルートで通していくのか、これは安定的に国民に示すべきだろうと私は思うんです。
ですので、時の国政選挙で毎回ぐらぐら揺れてしまうこの新幹線のルート決定のスキームの在り方、国民への説明責任を果たしていくお立場として、どのようにあるべきだとお考えですか。
○金子国務大臣 お答えいたします。
今、鉄道局長からるるお話をしましたけれども、整備新幹線の整備に当たっては、これまでもそのときの与党の御議論も踏まえつつ、ルートを決定してきております。
委員御指摘の北陸新幹線敦賀―新大阪間についても、平成二十八年に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、関係自治体、経済界、JRなど幅広い関係者からのヒアリングを経て、速達性、利便性等を総合的に勘案し、小浜・京都ルートとすることが決定されたと承知をしております。
このようなプロセスは、様々な関係者の意見等を踏まえ、かつ、そのときの民意を得た与党の御議論の結果が反映されるものになっていると理解しております。
今後とも、こうした与党における議論を踏まえつつ、一日も早い全線開業に向けて、国土交通省が、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいりたいと思います。
○斉木委員 時の与党がやはり主語になっておりますけれども、私は、今回の与党構成は評価しているんですよ。なぜかといいますと、やはり京都と大阪にこれからレールを通していこうという小浜・京都ルート案ですので、鍵になってくるのは京都府議会、大阪府議会でしっかりこれが承認していただけるかどうか。やはり、工事を始めるには、予算を毎年、府の予算を可決していただかなければ工事の代金を払えませんので、そういった意味で、維新さんが与党に入られた、大阪は十九小選挙区全て維新さんが勝っている、府議会でも市議会でも圧倒的な議席を握っている、そこが意思決定に参画されるということは、私は不可欠な要素だろうと思っております。
非常にこれは私はいいと思ってはいるんですけれども、これが京都においてはやはり選挙の争点にされてしまって、なかなか政治家も身動きが取れなくなっているといいますか、そういうことも散見されますので、是非、巨視的な、国家百年の計ですから、これは、そこが十年また空費されるというようなことがないように、一日も早いまさに開通というのを目指していただきたいと思います。
それを進めていく上で、やはりお金、予算の面も、これは切っても切れないところにあると思っております。貸付料に関してお聞きをしたいなというふうに思います。
京都、大阪でなかなか理解が進まないのは、一つ、先ほど鉄道局長からあった地下水の問題であるとか、もう一つは、やはり地方負担分だと思うんですよ。幾らかかるんだ、なかなか、京都、大阪だって潤沢に全てお金があるわけじゃありませんので、できるだけ安いコストで地方負担を減らしてほしい、若しくはゼロにしてほしい、これが本音だと私も思っております。
理解促進というものを図っていくのであれば、彼らの、これから延伸をお願いする京都や大阪の財政負担、出費をいかに抑えるか、こういったことも非常に重要な観点だろうというふうに思っております。そのためにはやはり、貸付料、今三十年というものが徴収期間に設定されておりますけれども、報道等でもこの延長の検討が始まっているというふうに報道されております。現在三十年としている徴収期間、これを仮に例えば五十年とかに延ばしていけば、これは地方が払うお金というものは減っていきますので、これも一つ大きな地方負担の軽減につながる、いい検討ではないかなというふうに私は思っております。
現状、この貸付料を三十年から更に五十年であるとかに延ばして、京都や大阪、福井も含みますけれども、地方負担を軽減をして、それによって京都、大阪の理解を促進していく、そのようなお考えはおありですか。
○五十嵐政府参考人 お答えいたします。
貸付料についてお尋ねがございましたので、まずそれを御説明いたします。
整備新幹線の整備を進める上では、まずは法令で整備財源とされている貸付料をしっかり確保していくことが肝要であると考えております。
貸付料については、鉄道・運輸機構が整備新幹線の施設をJR各社に貸し付ける際、受益の範囲で収受しておりますが、整備新幹線として初めて開業した北陸新幹線高崎―長野間の現行の貸付契約期間は、平成九年十月の開業から令和九年九月末までの三十年間とされております。
そこで、それ以降の取扱いなどを含め、今後の整備新幹線の貸付の在り方について議論するため、交通政策審議会の下に今後の整備新幹線の貸付のあり方に関する小委員会を設け、第一回を十一月六日に開催したところでございます。
この小委員会では、財政制度等審議会における指摘なども踏まえつつ、貸付料の収受期間、算出方法、受益の範囲などについて、来年夏を目途とした取りまとめに向けて議論を進めていくこととしております。
こうした場での議論も通じ、整備新幹線の整備財源となる貸付料について、開業後三十一年目以降も適正に収受できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
それから、北陸新幹線の敦賀―新大阪間についての財源についてお尋ねがございましたが、これもルートについてと同様に与党における御議論を踏まえて適切に対応する必要があるというふうに考えてございます。
以上でございます。
○斉木委員 やはり、与党の御判断もということなんですけれども、その与党であります佐々木さん、ちょっと今下を向きましたけれども、与党の中から佐々木さんに是非このルートのことを聞いてくれと自民党さんからも言われていますので、御質問をしたいなというふうに思います。
佐々木副大臣はたしか米原ルートを熱心に、御地元石川県を中心に声を上げていらっしゃると承知をしております。たしか議連とかをやっていらっしゃるともお聞きしておりますけれども、副大臣になられて、この敦賀以西ルート、米原ルートで行くべきなのか小浜・京都ルートで行くべきなのか、どのようにお考えですか。
○佐々木副大臣 御質問ありがとうございます。
私も斉木委員と同じ北陸でございますから、この北陸新幹線の全線整備、一日も早くやりたい、そういう共通の思いでございます。
しかし、今ほど来御説明いただいたように、これまで整備新幹線というのは与党で議論されて進めてきたという経緯もございます。そして、その中にも様々な御意見があるというのもこれは事実でございます。
したがって、まずは早く与党で議論を始めていただきたいというふうにも思いますし、その議論を踏まえて、私も北陸新幹線整備担当副大臣として一日も早い全線開業に向けて取り組んでいきたいというふうに思っております。
○斉木委員 一日も早いということですと、もう六年間小浜・京都ルートでアセスで時間を使っておりますので、今からルートを曲げてもなかなか、これは逆に遅くなるんじゃないかというような試算もございます。ですので、やはりこういった、一日も早くということであれば、どのルートが妥当なのかということも、副大臣として、いろいろな総合的な判断の材料として是非入れていただくことをお願い申し上げまして、本日は質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
――――◇―――――
○冨樫委員長 次に、内閣提出、気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣金子恭之君。
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気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○金子国務大臣 ただいま議題となりました気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
近年、豪雨等の自然災害が激甚化、頻発化しております。こうした中で、洪水や高潮について、観測や予測等に関する技術の進展を踏まえ、その危険性を住民や水防関係者によりきめ細かく周知を行うことで、水災による被害の軽減を図る必要があります。
また、情報通信技術等の進展によって、外国法人等が、国外から日本国内の利用者に向けて、インターネットやアプリ等を通じ、様々な気象等の情報を提供する例が増加しています。外国法人等により提供されるこうした情報には、気象業務法の予報業務の許可を取得せずに行われている予報があり、また、その内容に不正確なものもあります。このような不適切な予報の流通による国民への被害の防止を図る観点から、外国法人等が行う予報業務の許可に関する規制を強化する必要があります。
このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、洪水による危険を迅速かつ確実に住民に伝えるため、洪水の特別警報を創設することとしています。また、気象庁長官が洪水の特別警報の判断に必要な情報を国土交通大臣又は都道府県知事に求めることができることとするとともに、河川管理者等が氾濫による著しい危険の切迫を認めるときに、都道府県知事等に通報する制度等を創設することとしております。
第二に、高潮の予測技術の進展を踏まえ、国土交通大臣が高潮により国民経済上重大な損害が生じるおそれがあるとして指定した海岸において、国土交通大臣、気象庁長官及び都道府県知事が共同して、波の打ち上げの要素を加味した高潮の予報や警報を新たに実施することとしております。
第三に、外国法人等に対し、必要な指導や処分などの是正措置を円滑かつ確実に行えるよう、許可の申請に当たって、国内代表者等の指定を義務づけることとしております。また、国内代表者等の所在が不明である場合に簡易な手続により許可を取り消す制度や、気象業務法に違反して、無許可で国内向けの予報業務を行う者等の氏名等を公表する制度を創設することとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案を提案する理由です。
この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○冨樫委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時十九分散会

