衆議院

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第3号 令和7年5月15日(木曜日)

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令和七年五月十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江渡 聡徳君

   理事 岩田 和親君 理事 津島  淳君

   理事 細野 豪志君 理事 田嶋  要君

   理事 野間  健君 理事 宮川  伸君

   理事 阿部 弘樹君 理事 岡野 純子君

      石原 宏高君    大空 幸星君

      大西 洋平君    栗原  渉君

      坂本竜太郎君    佐々木 紀君

      鈴木 英敬君    関  芳弘君

      根本  拓君    長谷川淳二君

      宮内 秀樹君    森下 千里君

      阿部 知子君    岡田 華子君

      小熊 慎司君    齋藤 裕喜君

      下野 幸助君    高松 智之君

      波多野 翼君    伴野  豊君

      斉木 武志君    村上 智信君

      小竹  凱君    平林  晃君

      福重 隆浩君    佐原 若子君

      辰巳孝太郎君

    …………………………………

   参考人

   (アドバイザリー・ボード会員)

   (東海大学国際原子力研究所所長)         近藤 駿介君

   参考人

   (アドバイザリー・ボード会員)

   (長崎大学客員教授)

   (NPO法人ピースデポ代表)           鈴木達治郎君

   参考人

   (アドバイザリー・ボード会員)

   (わかりやすいプロジェクト(国会事故調編)代表)

   (株式会社クロト・パートナーズ代表取締役)    石橋  哲君

   参考人

   (アドバイザリー・ボード会員)

   (龍谷大学政策学部教授) 大島 堅一君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      野崎 政栄君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  栗原  渉君     大空 幸星君

  鈴木 英敬君     大西 洋平君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     栗原  渉君

  大西 洋平君     鈴木 英敬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 原子力問題に関する件(原子力のいわゆるバックエンドに係る諸課題)


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     ――――◇―――――

江渡委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件、特に原子力のいわゆるバックエンドに係る諸課題について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として、アドバイザリー・ボード会員の、東海大学国際原子力研究所所長近藤駿介君、長崎大学客員教授、NPO法人ピースデポ代表鈴木達治郎君、わかりやすいプロジェクト(国会事故調編)代表、株式会社クロト・パートナーズ代表取締役石橋哲君及び龍谷大学政策学部教授大島堅一君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 なお、本日出席を予定しておりました国際大学学長橘川武郎君から、体調不良のため出席できないとの申出がありましたので、御了承願います。

 また、本日御欠席のアドバイザリー・ボード会員の橘川武郎君及び佐藤暁君から資料が提出されておりますので、委員各位の参考に供するため、お手元に配付いたしております。

 この際、参考人各位に委員会を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からそれぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ていただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承を願いたいと思います。

 それでは、まず近藤参考人にお願いいたします。

近藤参考人 おはようございます。本委員会のアドバイザリー・ボード会員に新たに任命されました近藤でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私は、この委員会の使命は、国会事故調が、我が国原子力界は透明性、公開性、そして世界に学び自らを省みる姿勢に欠けていた、そのことがいわゆる自律性を失った規制組織を生み、それが大事故を招いたと厳しく指摘した上で行った七つの提言のうち、今取組中である被災住民への対応と事故炉の廃炉に向けた取組を確実に完了させていくこと、そして、提言に基づき生まれた原子力規制委員会や反省を迫られた原子力関係組織が、この指摘を踏まえつつ、使命の達成に取り組んでいるさまを点検する、監視する、そういうことだと考えております。

 本日は、原子力発電のバックエンドに係る諸問題について見解を述べよとのことでございましたが、現在福島で行われているこの二つの取組の課題は原子力発電のバックエンドの取組のそれと重なるところが多いので、以下では、この二つの取組について中心に意見を申し上げます。

 さて、最初ですが、被災住民への対応でございますが、これは復興庁が関係機関の協力を得て推進中であると理解します。

 なお、まだ二万人を超える方が住み慣れた場所を離れておられることに思いを致しまして、除染が済んだ地域で新しい地域づくりに励んでおられる被災地域の皆様に対して、我が国官民が、きずな、すなわち連帯を大切に、その復旧復興の取組を支援していくことが大切と考えております。

 地域の除染の取組は、環境省やJAEAの技術提案に基づきまして、これまで多くの地域で実施され、帰還困難区域は減少し、その技術や経験について情報共有も進んでいると評価しております。

 しかし、費用対効果の観点から、なお除染に手がついていない地域は残っています。私としては、この地の除染の進め方について、更に創意工夫を重ねるとともに、この間にこの土地の所有者等の方が見捨てられたとの思いを持たれることのないように、連帯感に基づく対話を絶やさないことを大切にしていくべきと考えております。

 そうした困難なふるさと、なりわいの再生を進める上で大切なことは、地域の将来を担う人材の育成です。

 双葉郡の皆様の双葉の教育の灯を絶やすなという強い願いと、復興を実現し、先進的な新しい教育をこの地において創造しようとする関係機関の熱い思い、そして何より、震災後、子供たちの心に芽生えた復興を成し遂げようとする強い意志と意欲に応えて誕生した、ふたば未来学園中学校・高等学校は、原子力災害と原発事故で顕在化した福島の課題についての探求型学習活動を展開してきております。これには県内外の教育研究機関も積極的に関与し、いわゆる文理融合の学習活動が進められております。

 また、福島復興再生特別措置法に基づいて令和五年四月に設立されました福島国際研究教育機構、略称F―REIでございますが、これは、人材育成と研究開発に尽力することによって、福島を始め東北の復興を実現するとともに、我が国の科学技術力、産業競争力の強化を牽引して、この地にベンチャー企業、資金を呼び込み、地域の経済成長や人々の生活向上に貢献する、いわゆる創造的復興の中核拠点となることを目指して活動を開始しています。

 両組織ともこの取組を広く社会に発信しておられ、これに応えて多くの関係組織が共同の取組をつくり出してきている現状を、私としては高く評価する次第でございます。

 一方、今申し上げた福島県各地の除染活動で発生した大量の土壌等は、当時、居住が困難なサイト周辺の土地を借用して集中的に中間貯蔵してきておりますが、この土地の借用期限が二〇四五年頃に到来するということで、ただいまは集積した除染土壌を処理して、放射性廃棄物とすべきものを区分し、減容し、いわゆる県外処分の約束をしておられますので、この県外処分に備える一方、放射能レベルが八千ベクレル・パー・キログラム以下のものは再生土壌として、省令や技術基準に定められた適切な管理の下で、将来において回収する意図のない土木構造物の材料として全国各地で利用していただくべく、その取組の妥当性の実証活動が行われております。

 この取組を全国各地で実現するには、原子力発電所の廃炉の取組で発生するクリアランス廃棄物の資源としての再利用の推進とか、それから、今申し上げた、放射性廃棄物に区分された除染土壌の県外処分場の立地点の決定とか、さらには、原子力活動に係る様々な放射性廃棄物の最終処分場の立地点の決定の問題と同様、まずは、これを受け入れていただく可能性のある地域の皆様と対話をして、自らの生活環境で放射性物質に係る取組が安全を確保しつつ行われる状況を受け入れることに同意をしていただくこと、つまり、そうした取組の、ちょっと英語で申し訳ないですけれども、ソーシャル・ライセンス・トゥー・オペレート、SLOを得ることが必要でございます。

 このSLOを得るには、取組の安全性の科学的説明だけではなくて、当該事業に関わる者が地域社会との誠実な対話を通じて、それぞれが大事にすることについての理解を深め、信頼関係を構築し、その費用と利益が社会的に見て公平に共有される、そういう一種の、いわゆる分配の正義が実現される、そしてまた、さらに、そうしたものが存在する未来を創造的に決定していく、こういう手続の正当性が確保されるように取り組むことが必要であります。

 このことを目指す事業者と地域の対話の取組は、既に一部の廃棄物については着手されているわけでございますが、成果を得るに至っている例はいまだ少なく、関係者にはこうした要件の大切さに思いを致して、日々の対話の取組の結果を反省しつつ、更に対話を工夫し、前進することに力を尽くしていただきたいと思っている次第でございます。

 次に、福島の廃炉の取組です。

 私は、昨年八月まで、NDFの技術委員会で、デブリ取り出し着手までの活動を見守ってきました。現計画は、事故後間もなくの二〇一一年の十二月に取りまとめたものでして、この取組は今後二十年間で終えて、その後、廃棄物処理に十年をかけて、トータルで四十年ぐらいで全てを完了するという大変粗っぽいものでございましたが、いまだこれを維持しているところでございますが、しかし、事故炉の状況認識の精度の向上を踏まえまして、これを見直す時期に来ているとも考えております。

 そのためにどうしたらいいかですが、ようやく緒についたALPS処理水の海への放出を着実に進めつつ、敷地を整備し、そこにある放射性廃棄物を適正に集約し、安定管理を実現する。そしてまた、デブリのサンプル採取とその分析や、原子炉容器内部調査を進展させて、それらを踏まえてデブリの大規模取り出し方法を検討し、これを実装するべく、一連の作業を、今の技術である、最新の技術であるデジタルツイン技術等を活用して計画をする。そして、そういう作業を五年ぐらいのうちにできるのかなと思いますが、これがいわば計画見直しの中核的仕事というふうに思っております。これによりまして、今後のデブリ取り出し工程の設計が可能になり、その完了までの時間と費用の推算が可能になると考えるからでございます。

 なお、この取り出したデブリの最終処分をどのように行うべきかは関心の高い問題ではありますが、このことは、こうして明らかにされたその性状を踏まえて検討するのが適切と考えております。

 当然のことながら、この間、東京電力は、これらの取組を安全最優先で取り組むとともに、透明性、公開性の確保の観点から、そのプロセスと結果、さらに、地場産業に参入していただけるような参入機会について、地域社会にタイムリーに情報を発信していくべきと考えます。

 私の意見は以上でございます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

江渡委員長 ありがとうございました。

 次に、鈴木参考人にお願いいたします。

鈴木参考人 よろしくお願いします。

 引き続き、前回もお話しさせていただいたんですが、今日もまた、「論点」をお願いいたします、第一に、国会の役割、ここから始めたいと思います。それから、今日は十分ということで、バックエンドの問題、いろいろあるんですが、先ほどもお話ありましたけれども、高レベル放射性廃棄物と福島第一原発の廃炉についてお話ししたいと思います。

 次のスライドをお願いいたします。

 国会の役割なんですが、行政府の監視と立法という二つのポイントに絞ってお話ししたいと思うんですが、このアドバイザリー・ボードの役割と当委員会の役割なんですね、これは国会事故調の提言の一と七に関係していると思います。

 一は、規制当局の監視ということで、これがメインの役割になっていると思うんですが、提言七には、もう一つ、独立調査委員会というのを設置するべきだという提言が入っています。これがひょっとしたら我々アドバイザリー・ボードのことなのかなと思うんですが、独立調査委員会は、更に我々よりももっと強力な、行政機関や原子力事業者から独立した、民間中心の専門家から第三者機関を設置すると書いてありまして、ちょっとアドバイザリー・ボードの機関としては、アドバイザリー・ボードでは弱いのではないかと私は思いまして、これを是非つくっていただきたいと思います。

 私は、前から申し上げておりますが、この委員会としては、是非、原子力の推進、反対にかかわらず、解決が必要な課題に超党派で取り組んでいただきたいということで、その論点をずっと今までもお話ししてまいりましたので、今日もその視点からお話ししたいと思います。

 では、次をお願いいたします。

 私としては、今日も、これまでもお話ししてきましたが、二つ、超党派で取り組むべき課題として、高レベル廃棄物の処分の問題と福島第一原発措置の問題で、両方とも法律の改正及び立法についての必要性をお話ししたいと思います。

 次をお願いいたします。

 現在の高レベル廃棄物の最終処分に関する法律は二〇〇〇年にできた法律なんですが、第一条、目的のところに、発電に関する原子力の適正な利用に資するためとなっています。この文章を読むと、原子力の利用を推進するための法律かのように読めます。その次にも発電に関する原子力に係る環境の整備と書いてありますので、これも何か、原子力利用のための法律かのように読めます。

 第二条には、特定放射性廃棄物の定義として、再処理後に発生する第一種、これはガラス固化体のことですが、第二種、それ以外の廃棄物、アルファ廃棄物ですよね、長半減期のものがあるんですけれども、これを含めているんですが、これだけで本当にいいんだろうかということが第二条の問題です。

 第三条は、経産大臣が基本方針を定める。経産大臣は、エネルギー政策の責任官庁でありまして、高レベル廃棄物だけではなくて、原子力の推進の責任大臣でありますので、ここも、これだけ、第一、第二、第三条ですと、原子力の推進及び再処理後に発生するものしか含まれていないので、核燃料サイクルを前提とした法律になっています。

 次をちょっと見ていただきたいんですが、これに基づいて基本方針が作られるとなっているんですが、現在の基本方針を見ますと、最初に、国のエネルギー政策を推進していく上で必要だというふうに書かれています。それから、大事なことは、もう一つ、ここは、国が前面に立って取り組むとなっているんですが、現状はそうなっているかどうか、ちょっと怪しいと思います。

 今日はお話ししませんが、せっかく科学的適性マップを作ってはいるんですけれども、特性マップと呼ばれていますが、絞り込むプロセスでやらなきゃいけないのが、そうなっていないというふうに私は思います。これは前回の委員会のときにお話しさせていただきました。

 それから、直接処分の研究開発が記されていますが、直接処分の研究開発をした後、それをどうするかということは現在決まっておらず、先ほど申しましたように、法律では直接処分は認められていないので、この研究開発の結果どうするかについては何も決まっていないということであります。

 次をお願いいたします。

 私の提案は、実は、この法律を作る基になっているのが、一九九八年に発表された、原子力委員会の高レベル廃棄物の処分懇談会の最終報告書というのがあります。これをもう一度読んでいただきますと重要な視点がいっぱい書かれておりまして、まず、基本的考え方のところに、今後の原子力政策がどのような方向に進められるにせよ、必要である、これが第一点ですね。それから、透明性確保と情報公開のところで、公正な第三者がチェックを行うことが大事である。それから、処分の技術と制度については、社会に受け入れられるようなシステムや、リスクマネジメントの観点から整備することが大事、要するに、柔軟性が必要であるということですね。それから、選定プロセスのところでも、公正な第三者によるレビューの仕組みが必要である。

 この辺が現在の法律には組み込まれていないということで、私からは、今日は、具体的な法改正案を作ってまいりましたので、ちょっと見ていただきたいと思うんですが、次のスライドをお願いします。

 まず、第一条、最初のところ、発電に関する原子力の適正な利用に資するではなくて、原子力発電を利用した現世代の責任として、次世代への負担を最小にするため、原子力発電後に生ずる特定放射性廃棄物最終処分を確実、柔軟に実施させる。この柔軟にというのが大事だと思います。

 それから、最後に、第一条には国民経済の発展と国民生活の安定と書いてありますけれども、大事なことは国民の安全と環境保全でありますので、そちらをまず優先していただきたいということを明記したいと思います。

 この最初のところは、原子力政策の推進、反対にかかわらないということを精神として組み込んでいただきたいと思います。

 次をお願いします。

 次は、廃棄物の定義の拡大ですね。先ほど申しましたように、現在の法律は、核燃サイクルを前提としていますので、使用済燃料の直接処分は認められていません。したがって、改正案には、特定放射性廃棄物の中に使用済核燃料を入れていただく。ここにはプルトニウムも含まれていますので、これでプルトニウムも、今、在庫でたまっているプルトニウムの直接処分もできるようになるのではないかと思います。それから、後でお話しします福島第一原発事故から出てくる廃棄物も今対象になっていないので、これも是非入れていただきたいと思います。

 それから、第三条の責任官庁ですね。これも、原子力推進、反対にかかわらず、必要だということであれば、現在、福島事故から起因する廃棄物の方は環境大臣が担当されているということでありますので、廃棄物については、是非環境大臣が基本方針を定めて、更に重要な点は、国会の承認、行政府が淡々と進めるだけではなくて、国会の承認を得るようにしていただきたいと思います。

 次をお願いいたします。

 次に、第三者のレビューのところなんですけれども、今、第三条は、原子力委員会の意見を聞くということになっていますが、これではやはり弱いと思います。したがって、私の提案は、明確に、あらかじめ国会が設置した第三者機関の意見を聞かなければならないと。国会に高レベル廃棄物の処分を監視、評価する機関をつくっていただきたい。これが私の希望であります。

 次をお願いいたします。

 次は、福島第一原発ですけれども、こちらは、現在、通常の原子炉の廃止措置については法律がきっちりあるんですけれども、福島第一原発については、先ほどの近藤委員長からもありましたけれども、廃止措置の完了とか、デブリ、廃棄物処分などについて法的な定義がない。デブリとは何だという定義もないわけですね。何がどう廃棄物なのかも、定義がはっきりしていません。それから、ロードマップも今作られていますが、これも法的根拠がありません。

 四十年で廃炉を完了させるというふうになっていますが、これも別に法的に決まっているわけでも何でもなくて、単なるガイドラインでありますね。科学的根拠も、今のところはっきりしていなくて、信頼性も最近疑われている。そもそも、完了するという、完了の定義もはっきりしていない。

 事故後十年以上たって、福島原発廃止措置についても、今ようやく大体全景が分かってきましたので、先ほどの近藤先生からの話もありましたけれども、もう一度、ここで、国会で改めて問題点を議論して、廃止措置に関する法律を定める時期ではないか。

 復興についても、実は、先ほど近藤先生からお話がありましたけれども、これも含めて、福島の廃炉と復興は密接に関係していますので、復興についても含めていただいて、整備していただきたい。実は、子ども・被災者支援法という立派な被災者のための法律があるんですけれども、これのフォローアップとして、住民の支援と環境保全を重視した法律整備をしていただきたいというのが、この法律の趣旨であります。

 次のスライドをお願いしたいんですが、これは、近藤先生が委員長のとき、私が委員長代理のときに原子力委員会が出した見解文なんですけれども、中長期措置に対する政府の責務というところだけちょっと引用させていただきたいんですが、やはり責任ですね、福島第一の廃炉については長い長い期間が必要なので、政府が最終的に責任を有するということは大事だと思います。これも、法律的に今はっきり整備されていません。

 それから、透明性の確保のことも書いてありますが、その次のところに、適宜に改善すべき点などを政府に対して勧告する、海外の専門家を含む第三者機関の設置ということは原子力委員会から提言させていただいているんですが、これがまだできていません。

 したがって、ここでも、やはり国会において第三者機関を設置していただいて、福島第一原子力発電所の廃止措置についての適切な運営を図るべく、適宜監視、提言をしていただくような機関をつくっていただきたいと思います。

 参考として、次の二つのウクライナのチェルノブイリ原発の法律をちょっと見ていただきたいんです。

 ウクライナではチェルノブイリ廃炉法というのがありまして、これはシェルターを造るための定義なんですけれども、ここで定義していることは、大事なことは、労働者保護に対する国の責任と財政確保などの基本的原則を規定しています。

 シェルターも定義しているんですが、よく、チェルノブイリでは石棺にしているので、それでおしまいだと思われていると思うんですが、実は、シェルターの定義というのは、デブリを取り出すためのシェルターでありまして、それを完了させるための防護施設であるという定義がされています。これを是非、ちょっと勘違いしていただけで、チェルノブイリは、何も石棺を造ったら終わりではなくて、その後のこともちゃんと規定しているというのは、次の法律に。

 次をお願いします。

 二〇〇九年の法律なんですが、チェルノブイリの原子力発電所の廃炉については、石棺後のデブリの取り出しとその後の最終的な完了までに約百年かかるというふうに書いています。実際には百年でどれぐらい進むかよく分かりませんが、取りあえず、最終処分までを政府がちゃんと予算措置を責任を取って行うということが明記されておりまして、ここでも高レベル廃棄物の定義が、デブリをちゃんと定義しておりまして、デブリの取り出しから貯蔵、それから処分の三段階について行うということがしっかり法律で書かれています。

 スリーマイル島の方は、スリーマイル島自体に特別な法律があるわけではないんですが、許認可を受け持つ規制委員会の方で、デブリとは何ぞやとか、取り出した燃料をどれぐらい貯蔵するのかとか、それから最終処分をどうするのかということが許認可ではっきり決められておりますので、ここもちゃんと法律的なバックアップがある。

 残念ながら、今、日本の福島第一原発廃炉については、そういう法律的な定義も、明確な目標も、財政責任についても明確な定義がないということで、是非、現時点で国会の方でこの議論をしていただいて、福島第一原発廃炉法というのを作っていただきたいと思います。

 私の方は以上です。ありがとうございました。(拍手)

江渡委員長 ありがとうございました。

 次に、石橋参考人にお願いいたします。

石橋参考人 おはようございます。石橋哲です。

 二〇一一年、衆参全会一致で成立した国会事故調、その国会事故調に全体工程のプロジェクトマネジメント機能として参画をいたしました。二〇一二年から、国会事故調報告を出発点として、世代を超えて社会のシステムを考え合う場をつくるというテーマを掲げて、わかりやすいプロジェクト(国会事故調編)というサークル活動を継続しておりまして、高校、大学、日赤、NPOさんなどとコラボを継続しております。

 今日は発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 次のページ、お願いします。

 今回、本委員会理事懇談会において、アドバイザリー・ボードの設置に関して、会長規定の削除、三年の任期の設定という大きな変更があったと承りました。この変更の意図がいかなるものか、定かではありませんが、本委員会の存在意義である規制のとりこの再発防止に資するものであることを切に祈ります。

 次、お願いします。

 今回のテーマは、原子力のいわゆるバックエンドに係る諸問題とお聞きしております。私は議論の進め方についてお話ししたいと思います。

 今年二月、経済産業省とNUMOが主催する「あなたと一緒に地層処分を考えるシンポジウム二〇二五」に参加して、拝聴をしてまいりました。

 次、お願いします。

 そこで、登壇者の方がこれまでを振り返る中でお使いになった言葉が極めて強く印象に残りました。無意識の暴力という言葉でございます。

 次のページ、お願いします。

 同時にお配りいただいています国会事故調のダイジェスト版、この冊子ですね、こちらの八ページ目を御覧ください。

 国会事故調報告は、結論と提言の中で、「問題解決に向けて」としまして、多くの犠牲を帰結した人災である福島原発事故を起こした真因の組織的、制度的問題を指摘して、次のように述べております。

 事故の根源的原因は人災です、これらの背後にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先に記録を残さない不透明な組織、制度、さらにはそれを許容する法的枠組みであった、それを支える無知と慢心、組織依存のマインドセットであった、当委員会は、この真因である組織的、制度的問題を根本原因として、その根本原因の解決なくして、単に人を入れ替え、あるいは組織の名称を変えるだけでは、再発防止は不可能であると述べております。

 次、お願いします。

 これまで何度も申し上げておりますので、先生方は耳たこだと思いますけれども、人災の根源的原因であった制度的問題の解決のためには、透明性の確保と公開性の担保の確立が必要であると国会事故調は先生方に提言をいたしました。

 次、お願いします。

 お配りしているダイジェスト版の最後のページ、十ページ目に整理してありますが、国会事故調が取り扱わなかった事項として整理した事項が十項目あります。その二として挙げているのは、使用済核燃料の処理、処分、いわゆるバックエンドに関する事項の調査、検証、検討においても、透明性の確保、公開性の担保が重要であることは言うまでもありません。

 次のページ、お願いします。

 国会事故調は、事故の真因である組織的、制度的問題を解決し、再び規制する側がされる側の規制のとりこに陥らないように、国家に対する国民の信頼を再建することを目指して、様々な意思決定プロセスの透明性、公開性の担保、確保をすることを目的として、七つの提言を行いました。

 廃炉の筋道やバックエンドに係る諸問題の調査審議については、提言七において独立調査委員会の活用を提言しております。

 なお、提言一は、原子力安全規制当局に対して、様々な規制のとりこの力を及ぼし事故を帰結した行政府、電気事業者の動き全体を立法府が監視すべきと提言しています。監視対象は行政府、電気事業者の動き全体です。

 当委員会の設置当初の与野党申合せでは、当委員会の監視対象は原子力規制委員会とするとされていますが、前々回、二〇二二年五月十日、前回は二〇二四年の五月三十一日の意見陳述の際にも申し上げましたとおり、事故調の提言の趣旨とずれた申合せがなぜ今も維持されたままなのかは、私は理解に苦しみます。

 次のページ、お願いします。

 国会事故調は、国会に対して提言の実施計画の速やかな策定をお願いし、その進捗状況の国民への公表をお願いしました。私が当委員会で発言の機会をいただくたびに申し上げておりますので、先生方は既に十二分に御承知のとおりだと思います。

 次のページ、お願いします。

 国会事故調は、事故後九か月目にしてようやく設立され、約半年で報告書の提出を法定されました。結果として、七か月ちょっと手前、六か月以内に報告書を提出したという形になっております。七月の五日に報告書を提出し、翌日に委員は全員解任され、委員会は解散となりました。

 衆議院、参議院に委員会が、この原子力問題調査特別委員会が設置されたのは二〇一三年だったと思います。当委員会でのアドバイザリー・ボードの設置は二〇一七年でございます。

 報告書提出から百五十四か月経過しました。提言実施の計画についての御議論は実質的に皆無でございます。このことについて生成AIにコメントを求めたところ、かなりの時間が経過しています、時の流れは速いものですという屈辱的なコメントを頂戴しました。

 次、お願いします。

 この経過を見て湧き上がるのは、単に無意識の暴力ではなく、実は立法府による意図的な無意識のふりをする暴力ではないかという疑いです。国民の国家に対する信頼を再建するには、この疑いが起こらないように、国民の代表であり国権の最高機関である立法府が行動をもって真摯な姿勢を示すことが不可欠であると確信します。

 次、お願いします。

 国会事故調が求める行動は最初に提言実施の計画の策定ですが、報告後、百五十四か月の間、議論が皆無というのは先ほど申し上げたとおりでございます。想定される原因は二つ。一つは委員会の目的の喪失、もう一つは議論の在り方ではないかと考えます。

 次、お願いします。

 まず、委員会の目的をいま一度再確認します。

 本委員会は、法案審議はしないということですので、目的は二つ。第一、国会事故調が憲政史上初めて行った立法府による行政の監視の継続とその活性化です。目的は、規制のとりこの再現を阻止すること、監視対象は当然行政全般であります。原子力規制委員会を監視すれば足りるものではありません。第二に、もっと大きな役割というのがあると思います。原子力政策に関する社会的合意形成を国会が主導することです。国家の信頼を再建するに当たって、この委員会が果たすべき役割は、本来とても大きなものがあると考えます。

 二つ目の原因は、議論の在り方です。国会の中にはいろいろな委員会がありまして、委員会若しくは調査会、審査会がありまして、立法の勧告権を有するもの、工程表を策定する機能を持つものなどがあります。これらを参考に、議論の在り方を見直すことも重要だと思います。

 次、お願いします。

 国会事故調の提言の実施やバックエンドに関する諸問題に取り組む計画の策定に当たっては、現在、政府が行政の無謬性からの脱却を目指して取り組んでいるエビデンス・バックト・ポリシー・メーキング、EBPMが参考になると思います。事故調の提言が実施されている状態、あるいはバックエンドの諸課題について国民的合意形成がなされている状態を、ありたい姿、インパクトと位置づけて、EBPMガイドブックに示すロジックモデルを作成し、工程全体の像と議論の位置づけを常に確認できる体制をつくることが第一歩だと考えます。

 次、お願いします。

 また、それぞれの工程を進めるに当たっては、ガントチャート化などによるモニタリングの可能性を当委員会若しくは国会として確保することが不可欠であると考えます。

 次、お願いします。

 先日、歌舞伎座で忠臣蔵を見てきました。忠臣蔵が描く赤穂事件は、意図的な無意識のふりをする暴力が帰結する破局を描いていると見ました。

 私は、この国が、国民から信頼され、外国から敬意を払われ、国内的に安定した国であってほしいと強く望みます。国民の国家に対する信頼を、国民の信託を受けているはずの立法府が、自ら根底から破壊し続けている破局的な光景が長く続かないことを切に祈ります。国民の一人として、その使命に参加したいと考えております。

 次、お願いいたします。

 前回も御覧いただきましたけれども、二千四百年前、意図的な無意識のふりをする暴力を前に、ソクラテスは、君は恥辱と思わないのかと述べました。賢人の言葉を念頭に、今日どのような御議論が展開されるのか、お聞きしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

江渡委員長 ありがとうございました。

 次に、大島参考人にお願いいたします。

大島参考人 おはようございます。この度は、発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私からは、大きく二点述べたいと思います。二ページ目にお願いします。

 まず、大きな一点目は、バックエンドに関わる諸課題に関する概況と提言です。また、第二点目は、高レベル廃棄物処分プロセスにおいて規制と事業が分離していない、これが放置されているという点についてです。

 大きな一点目の、概況と提言についてまずは述べたいと思います。

 五ページ目までちょっと飛んでいただいて、お時間もないので。

 まず、高レベル廃棄物処分の対象についてです。現行の最終処分法では、処分の対象となるものは、使用済核燃料を再処理した後に生じる廃棄物になっています。具体的には、ガラス固化体とTRU廃棄物です。

 次、四ページに戻っていただいて。

 しかし、一方で、ガラス固化体とTRU廃棄物の発生元である再処理の現実性が不確実になっています。再処理が不確実になっている以上、最終処分は再処理の将来とは切り離したものにする必要があるというふうに思います。

 また五ページ目に戻っていただいて。

 そして、ガラス固化体やTRU廃棄物に限定せず、使用済核燃料や福島第一原子力発電所で生じた溶融デブリ、これは再処理できませんので、これも最終処分法の対象というふうにすべきだと考えます。

 六ページ目に行っていただいて。

 次に、高レベル放射性廃棄物処分が政治的に約束されたスケジュールに縛られてはならないという点です。

 具体的には、行政面で、青森県と六ケ所村との間で、海外委託で発生した高レベル廃棄物を三十年から五十年で搬出するという約束があります。一九九五年に持込みが開始されましたので、今年二〇二五年には既に三十年が経過するということになります。残り二十年で高レベル放射性廃棄物処分場が完成することは、現実的に不可能だというふうに考えます。その意味では、搬出するという約束を政治的に維持するとしても、これが高レベル廃棄物処分に、あるいはそのプロセスに影響を及ぼすものであってはならないというふうに考えます。

 次、大きな一つ目の三つ目ですけれども、七ページに行っていただいて。

 高レベル廃棄物処分プロセスに国民参加、市民参加のプロセスが全くないという問題について御指摘したいと思います。国民参加、市民参加がないままでは、よりよい政策の形成が不可能です。現在、高レベル廃棄物処分事業に関連して行政面で行っているのは、国民の理解醸成活動や対話の場にすぎません。これを幾ら重ねても、本当の意味で国民参加、市民参加を実現したことにはなりません。

 実は、国民参加、市民参加については、日本の法制度上、極めて未成熟だというふうに考えます。この点、高レベル廃棄物処分事業を開始したフィンランドや、選定作業を進めているドイツなど各国では、国民参加制度が十分に、もちろん問題はありますけれども、日本から比べれば非常に十分に整備されているというふうに考えます。日本においても、実効性を持った国民参加制度を確立するための抜本的な法改正が必要だというふうに考えます。

 残念ながら、例えば、八ページに行っていただきまして、北海道の寿都町では、国民参加、市民参加がないために、町民の間で深刻な分断というのが生まれています。これは、推進するに賛成、反対にかかわらず、分断があるということは認識しながら日々暮らされています。また、交付金制度があったために、かえって問題を複雑化させました。私は、寿都町、神恵内村、対馬市、玄海町を何度も何度も訪れてきました。国民参加、市民参加の枠組みなしに、高レベル廃棄物処分プロセスが進展することは困難だというふうに考えます。

 次に、大きな二点目に参ります。九ページ目でお願いします。規制と事業の分離について述べます。

 これは、早稲田大学の下山憲治教授が「環境と公害」という専門雑誌に「高レベル放射性廃棄物処分をめぐる法的課題」という論文を二〇二三年に公表されています。

 この論文に基づいて、結論から申し上げますと、現行の高レベル放射性廃棄物処分プロセスにおいては、規制と事業が未分離なままになっています。福島原発事故後、安全を確保するためには、規制と事業が分離していることが必要だということが明らかになりました。ところが、実態としては、事業が規制の一部を担うような事態が起きています。私は大変これを憂慮しております。

 このことを論理的に説明する前に、現行の法制度の前提事項について確認したいと思います。十ページ目にお願いします。

 まず、一点目ですけれども、先ほど申しましたように、規制と事業が分離していること、これが原子力の安全の要であるという共通認識が持たれるようになりました。また、そのことが原子力利用にも貫かれており、高レベル放射性廃棄物処分においてもそうだという点です。

 次に、第二点目ですけれども、原子炉等規制法において、処分場の位置、構造及び設備が原子力規制委員会規則で定められる規制を満たす必要があるという点です。位置ですね。構造及び設備です。一方で、最終処分法では、NUMOが処分場の選定と処分施設の設置を行うことになっています。これが第二点目です。

 第三点目の前提事項は、廃棄の事業についても、原子力規制委員会が規制に関して一元的に独立して職権を行使するとされている点です。

 以上が、法制度に関する三つの前提事項です。

 では、これに照らして、高レベル放射性廃棄物選定プロセスがどのように現段階で評価し得るかということが課題になります。

 十二ページに行っていただいて。

 規制と事業という観点からすると、まず、NUMOは事業実施者です。また、資源エネルギー庁は事業の監督者、つまり安全規制を担わない事業サイドの監督者であって、事業を担当しています。一方、原子力規制委員会は、規制や審査をつかさどり、許認可権限があります。つまり、形式的、表面的には、規制と事業は分離しているように見えます。

 ところが、この間の実態を見てみると、規制と事業の分離は不明瞭、不明確です。高レベル廃棄物処分は、文献調査、概要調査、精密調査と三段階で進んでいきます。概要調査地区の選定条件というのは、位置を定めるための条件です。位置です。これは、先ほど述べた前提の二つ目にあるように、原子力規制委員会に関わる位置に関する事項です。ところが、この選定条件案を起案したのはNUMOです。事業者であるNUMOが策定しました。さらに、それ以降のプロセスにおいても、推進機関である資源エネルギー庁が実質的には安全審査とも言えるような審査を行いました。

 現行の制度においては、先ほど述べた前提事項の二つ目の選定と認可の関係が、事業と規制の分離の趣旨にそぐわなくなっているということです。更に言えば、一元的に規制を担うとされている原子力規制委員会の趣旨にもそぐいません。

 十一ページにちょっと戻っていただいて。

 このようなことがなぜ起こっているかといいますと、それは、原子力規制委員会を設置するに当たって、最終処分法が一部改正されました。ですが、その改正が言葉の置き換えをしたにすぎなかったのです。例えば、原子力安全委員会を原子力規制委員会にするなどです。

 現行の最終処分は、原子力規制委員会設置以前のままとなっています。つまり、経済産業大臣が規制権限を持っていたときの仕組みのままなのです。一方、原子力規制委員会の位置づけは、独立して許認可権限を持っていない原子力安全委員会の位置づけそのままになっているわけです。これでは事業と規制が未分離のままになってしまいます。

 十三ページに行っていただいて。

 規制と事業がはっきりと分離していなければ適切な安全規制が行えません。これが福島原発事故の教訓です。しかも、これを明らかにしたのは国会が設置した国会事故調査委員会でした。

 原子力規制委員会が独立して客観的に安全審査を行えるように、安全規制に関わる部分は原子力規制委員会に実質的に一元化すべきです。今は非常に不明瞭です。また、そういった趣旨の最終処分法の改正、加えて原子炉等規制法の改正が必要です。一刻も早くする必要があると私は考えています。現行の文献調査や概要調査の在り方も、原子力規制委員会が各段階で審査して認可するような仕組みにするべきです。なぜなら、位置が原子力規制委員会の決める、定める安全規制に関わるからです。

 以上、大きく二点申し上げました。

 十四ページに行っていただきまして。

 二点申し上げましたけれども、この度は、このような機会を賜りまして、誠にありがとうございました。

 ありがとうございます。(拍手)

江渡委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。津島淳君。

津島委員 おはようございます。

 参考人の皆様には、大変、非常に実践的といいますか、この委員会の目的にかなう御意見を開陳いただきまして、本当にありがとうございます。

 そして、今日、質疑の時間をいただいたことを皆様に感謝を申し上げ、質疑を進めてまいりたいと思います。

 私の地元というのは、青森一区、すなわち六ケ所村、あるいは東通、大間という原子力関連施設が立地している地域であり、今日のメインテーマであるバックエンドに深く関わる地域であります。バックエンドに関して言えば、六ケ所村、非常に長い歴史の中で、様々住民も議論をしながら今に至っているというのが現状であります。そのことは、アドバイザリー・ボードの先生方もよく御承知のことと思います。そういった状況があって、今日、そういう地元事情ということもあって、質問の機会をいただいたというふうに理解しております。

 そして、今日は、近藤先生が最初におっしゃられた、国会事故調が指摘をしている、透明性、公開性、そして世界に学び自らを省みる姿勢、こういう姿勢でもって私も質疑をしてまいりたいと思いますし、私自身、原子力というものは利用を進めるべき、いわば推進派という自認はありますけれども、そのことはひとまず置いておいて、だけれども、地元の事情ということは、地元を代表している立場であるということは、あえてここは明確にさせていただいて質疑を進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、各先生方から、透明性、公開性確保の観点が非常に重要であるという御指摘をいただいたと思っております。そのために、市民参加がされた上での第三者機関の必要性ということを言われました。この第三者機関というものを、この国会に置くということもある、もう一つは、それぞれの立地地域でそのような機関を置いていくということもあろうかと思います。

 そこで、私もこの原子力の問題に関わっている中で、そして、再処理といえば、フランスのラ・アーグなどの施設がある、では、例えば、外国に学ぶとして、フランスはいかなる仕組みがつくられているか、私なりに調べてみますと、フランスには、地域情報委員会、CLIという組織があるわけですね。

 これは、いわば市民参加ということで、私の知る限りにおいて、地方議員が半分以上とか、環境保護団体の方が入る、それから労働組合の方が入る、あるいは専門家、有識者が入る、そういう構成で、そこに対して事業者は情報提供を速やかに行う、そういう仕組みになっております。では、そこのCLIという組織が何がしか措置を要求することはできるかというと、質問という形で行われているというふうに理解しておりますし、事業者はその意見を尊重するという、ちょっと権限という部分では少し弱い。

 一方で、では日本はどうかと比較してみた場合には、様々な協定が結ばれているわけですね、自治体と事業者。協定上に停止要求を含むという協定も存在していたりするし、それから、協定に基づかない形で、自治体から事業者に対して実質的に要請が行われる場合もある。そして、事業者は自治体からの要請を重視する、そういう仕組みになっている。

 地方自治の仕組みというのは国によって様々異なる部分がありますし、日本においては、少なくとも地方自治、二元代表制という下で、事業者さんと、まず首長さん、そして議会と相対する。それぞれが直接選挙で選ばれた代表である、首長と議会は。つまりは、間接的にそういった地域住民と対話を行い得るということで、日本の場合はそういう住民対話の形が一応できている。これが理屈の上での話であって、でも、現実になかなかそうはなっていないんじゃないかという御指摘もあろうかと思うんですね。

 各先生方に、フランスのCLIについてどういう評価をされているか、日本が学ぶべき点があるとすれば、どのような点があるのか、そして、日本が逆にここは生かした方がいいという点があれば、それぞれ教えていただきたいと思います。

近藤参考人 CLIの評価でございますが、私、原子力委員会委員長をしていた頃、たしかCLIの方に来ていただいて、実態についてヒアリングした記憶もございますので、それなりに理解しているつもりです。

 おっしゃられることは、日本は、地方自治体が様々な意味で事業者との関係においてコミュニケーションする場ができているということと、フランスの場合は、そういう場がないかどうかは定かではないですけれども、ただ、明らかに、しかし、CLIは、そういう意味で、いろいろな方が事業者に説明責任を負わせている場であることは確かなわけです。

 そういう意味で、急いで評価を申し上げれば、フランスの場合は制度として事業者に対して説明責任を果たす場をつくっているということは、それは、日本の自治体の皆様の多様な取組の中で、そういうものができている場合もあります。

 私も各県の、幾つかの県のアドバイザリーコミッティーに参加しておりますので、そういうところでは、特別のテーマについては、そういうことで、自治体のつくった委員会、原子力特別委員会とか称する委員会で、事業者を呼んでヒアリングしているということはあるんですね。

 ただ、日本とフランスの違いで、恐らく、透明性、公開性という言葉を使わせていただければ、一番大きな違いは、やはりそういうきちんとした枠組みがあって、透明性、公開性という意味では、日本の自治体の委員会がどこまで公開する、あれも公開されているものがほとんどだと思いますけれども、しかし、その公開のレベルが、誰でも来て、見て、発言できるという意味でのCLIの仕組みは、一歩、公開性の観点ではレベルが高いのかなという感想は持っております。

 以上でございます。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 私も、近藤委員長のときに委員長代理でCLIのお話を伺ったんですが、一つは、第三者機関のお話をされましたが、第三者機関とCLIとはちょっと違っていて、CLIは、あくまでも住民の方々とのコミュニケーションや情報公開を促進するための機関であるということですね。

 今、近藤先生からもお話がありましたが、法律できちっと義務づけられている点がやはり違うかなと。日本では、安全協定、おっしゃったような安全協定とかはあくまでも自治体との紳士協定でありまして、行政上の手続としては別に位置づけられてはいません。

 したがって、実は、原子力規制委員会ができるときに、参議院の原子力規制委員会の設置の附帯決議の中にそのような趣旨が含まれておりまして、地元との協議を促進するだったかな、ちょっと正式な言葉は忘れましたが、CLIを参考にしたような附帯決議がなされておりまして、やはり法制度としてきちんとそういう、行政府、事業者と、住民との意見交換、コミュニケーションを促進して信頼醸成を図るべきだということが当時言われておりました。

 したがって、私としては、今おっしゃったように、CLIに代わるような、日本での、日本に合ったような制度をちゃんとつくって信頼醸成を図っていく。これは、CLIは実はバックエンドの問題というよりは原子力発電所の立地の地域の問題なんですけれども、先ほど大島委員からもありましたように、多分、恐らく、間違いなくバックエンドの問題でも住民との信頼醸成が大事なので、そういう市民参加の制度をきちっと法制度でつくっていくということが大事じゃないかと思っています。

 以上です。

石橋参考人 ありがとうございます。

 先ほど申しましたとおり、国内における社会的な合意形成を図るというのは、国会、ひいてはこの委員会の大きな役割であるというふうに考えております。

 御質問の御趣旨とずれるかもしれないんですけれども、恐らく、社会的合意形成を図っていくというところでは、科学技術社会論的な議論というのが非常に大事であるというふうに想定をしておりまして、だからこそ、アドバイザリー・ボードのメンバーの中に藤垣裕子先生がおられるというふうに思います。是非、先生のお話もお聞かせしたいと思います。

 CLIというものも、フランスの国情に合った制度というのが設定されているんだろうというふうに思いますし、日本においても同じように、国情に合った制度設計というのがされるべきだというふうに思うんですけれども、同時に、世の中に流布している丁寧な説明という言葉で言われている一方的な情報の垂れ流しは、合意形成を図る段階では無意味であるというふうに思います。

 お互いの意見の交換によって、お互いが変わり得る。いかに自分を変えるのかというヒントを相手の発言、言葉からどのように得ていくのかという姿勢で意見交換に臨むという姿勢が大変大事であるというふうに思っておりまして、それこそが社会的合意形成を図るためには不可欠であるというふうに思っております。

 以上です。ありがとうございます。

大島参考人 私なりの考え方をお話ししたいと思います。

 フランスのCLIについては、私、名前と概要については存じ上げておりますけれども、詳しくは存じ上げていないので、恐らくそうなっているであろうということをお話ししますと、高レベル廃棄物処分等々のバックエンドについては、欧州でも、あるいはアメリカでも、市民参加の点をどうするかということが問題になっていて、いかに国民や市民との間の対話を、対話というか、参加できるような仕組みをどのように構築するかというのが課題になっているということを、二〇一七年ぐらいだったか、国際的なプロジェクトがアメリカと欧州の間でありまして、ENTRIAという国際会議のまとめの会議に参加したことがありますけれども、そういう認識が持たれていました。

 恐らく、第三者的な、科学的な問題を国民に伝えたり、あるいは国民がそれに参加できるようにするために、透明性を確保することを非常に重要視したような仕組みになっているのではないかというふうに想像します。

 例えば、これはお隣のドイツになりますけれども、高レベル廃棄物処分に関して、一度大きな失敗をしました。それで、国民監視委員会というのを法律で決めて、法律の中に市民参加ということを明記しています。国民監視委員会というのは独立した委員会で、その委員の構成も電話帳方式で一部選ぶなど、あるいは若い人も参加できるようにするなどして、そのような方々が情報公開という点で強く関与するという点です。

 例えば、事業者であったり規制官庁であったりするところの情報を直接、独立して調査する権限を持っています。その際に、例えば、今、データなどで残っていますので、データの分析に関する専門家を雇用して、そういった国民監視委員会の方々が理解できるまで、分かりやすく、独立して説明する。しかも、その調査も、ありとあらゆる文書ないしメール、電子メールなどもアクセスできるというような状況になっていて、そういう意味では透明性が非常に確保されている。

 それは、欧州では恐らく、私が考える限り、ほとんどの国でそのようになっていて、一方的な情報を提供するという問題ではないということが大きな特徴です。そうでなければ国民が関心を持つこともできませんし、今、国民の参加が低調だというふうによく言われます、バックエンド問題では。それは、国民性に原因があるのではありません。それは国民のせいにしてはいけなくて、そのような法制度がないから、制度がないからだと私は本当に思います。

 住民の皆さん、寿都町の皆さん等々は関心を持っていますけれども、そういった制度がないため、あるいは、排除されていくわけですね、疑問に思っている方々が。欧州の場合は、環境NGOや任意団体も含めて、広く、ある問題を束ねた特別な存在として環境NGOを重視しているので、賛成、反対にかかわらず、必ずコンサルテーションの場に事業者や政府の方が情報を送って、意見を下さいと。何回も何回も協議するという場があるわけです。

 そういう意味では、日本で言う国民参加の在り方は、欧州とか、これは世界的にも本当に普通のことでやっていますので、大きく乖離しているというふうに思っているわけです。

 そういう意味では、私、今のお話を聞いて、青森県の方々が、あるいは六ケ所の方々が、日本国民の意識から孤立といいますか、そういうことにならないよう、そういう新たな国民参加の仕組みというのを構築していただきたいなというふうに思っている次第です。

 ありがとうございました。

津島委員 ありがとうございます。

 非常に、知的好奇心がますますくすぐられる、また使命を果たさなきゃいけないという思いを強くしましたし、まず、第三者委員会と異なるというCLI、あるいは日本版CLIというものを考えたときに、それは違うのだということ。それから、やはり、誰でも何でも言えるという空気は大事だけれども、建設的な議論に導いていくということは、本場のCLIでも苦労されているようであります。どう組織の議論の運びをするのかというのが鍵であろうと思います。

 大島先生がおっしゃっていただいた、青森県とすれば、例えば高レベルの搬出期限というのは守ってほしい、これは国との約束だというのが青森県民の偽らざる気持ちです。それは、周りの人から言えば、地域エゴだ、そういうふうに言われるかもしれないけれども、そういうふうに言われるような空気、そういうのをつくっちゃいけないと思うんですね。だからこそ国は約束を守ってほしい、そういう思いがしております。

 そして、大島先生に感謝したいのは、私は、まさにドイツのこと、先生の資料の文章編の方にありましたので、お聞きしたいと思っていたら、お話しいただいてありがとうございます。

 残り時間は僅かなんですが、その僅かな時間で大島先生に、フィンランドについても言及がありますので、短い時間ですけれども、ちょっとお話しいただけると、フィンランドにおける今のフランスのCLIだとか、ドイツのそういうことについて、お話をいただきたいと思います。

江渡委員長 申合せの時間がもう過ぎておりますので、簡単にお願いできますか。

大島参考人 ごくごく簡単に申し上げます。

 スライドの方の七ページ目にございますが、政府提案が出た後に、市民意見や自治体が承認するというプロセスがございます。

 あと、決定的に違うのは、最終的に処分場をどこにするか、どのようなものにするかを国会が決めるということです。国会が承認するということです。そうでなければ、やはり国民的な意思というのは反映されない。国会がやはり国権の最高機関ですので、そういったプロセスが大事だというふうに思っております。それがフィンランドほかの、そのほかの国との大きな違いかというふうに思います。

 ありがとうございます。

津島委員 ありがとうございます。終わります。

江渡委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、四名のアドバイザリー・ボードの皆様と、また、ペーパーで佐藤先生並びに橘川先生からもいろいろな御提案をいただきまして、いずれも貴重な御提案と思いますので、なるべくそれにのっとる形での質疑をさせていただこうと思います。

 まず冒頭、近藤先生とそれから鈴木先生に特にお伺いしたいんですけれども、今日の皆様のいろいろなお話を聞いていても、国会、立法府の不作為というか、足らざるところというところを、特に鈴木先生の場合は明確に御指摘されていると思うんです。

 いわゆる最終処分をめぐる法律、これをいつも鈴木先生はおっしゃっていますが、再処理を前提とした法体系を取っていて、現状、再処理の工程も遅れておりますし、果たしてそこから出てくるプルトニウムの管理をどうするかなど、問題が非常に大きいのが一点。

 もう一つは、福島原発事故の後は、いわゆる最終処分のイメージしていた以外のたくさんの高レベル廃棄物が現存して、私は、実は月曜日も第一原発に行ってきましたけれども、到底今の法体系ではこれは処理できないだろうなと思ったわけです。

 そこで、鈴木先生がアドバイザリー・ボードとして提言されるこの最終処分の法体系の肝は何でしょうか、お願いします。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 高レベル廃棄物処分法の改正について、私は二つ大きなポイントがあって、一つは、原子力推進、反対にかかわらず、最終処分は必要であるという趣旨にのっとった法律にしていただきたいのが一点。二点目が、先ほどおっしゃっていただいた対象ですね、廃棄物処分の対象として、現在は再処理を前提にしたものとなっていますが、そうでない廃棄物が既に存在していることはもう事実ですので、再処理後以外の高レベル廃棄物の処分も規定していただきたい。この二点。

 あえて言えば、第三者機関の設置とか、大島先生が指摘された市民参加、この辺もまだ十分ではないので、是非加えていただきたいと思います。

近藤参考人 私は、今の法律を作るときに、ここの国会の参考人で説明させられた記憶があります。ですから、私は、ある種、かわいい子なんですけれども、あの法律は。

 あの法律は、先ほど鈴木さんがおっしゃったように、その前の原子力委員会で、近藤次郎先生、私の大先輩ですが、会長になって、処分懇というものをつくって、これが日本全国、あの当時としては極めてまれだと思うんですけれども、二十か所以上で国民の声を聞く会というのをやりまして、皆さんの関心はどこにあるかということを詰めて、最終的な報告書の提言を作ったわけですね。

 そのときの印象というか、何がポイントかと思ったのは、多分、法律を作るときもそうだったと思うんですけれども、どうやって処分場を決めるか。鈴木さんがおっしゃるように規制の話もあるんだけれども、とにかく、処分場を決めていくプロセスをどうするかというのが一番の関心事だったわけですね。

 そこで、今、いわば、まさに自治体の皆さんから手が挙がって初めて調査をする、文献調査から。文献を調べるのに、その土地の自治体の方にオーケーをもらうというのは余り世界的に例がないんですけれども、とにかく、そういうところから極めて慎重に手続を積み上げていって処分場の場所を決めるということに、法律を作り上げるときには随分と議論をして、そこにほとんどの関心が集中して、一回調査が終わるごとに自治体の首長さんの同意を得て次へ進む、そういうプロセスを設計したんです。

 国際社会で説明すると、おまえ、こんなのでは全然物が決まらないよとよくからかわれたんですけれども、しかし、私どもは皆さんの議論の結果としてこういう法律を作ったというところで現在あるということで、私としては、現在の法律については、そこのところについては、本当にここまで段階を追って自治体の皆さんの同意を得なきゃならないものかと、もっとちゃんと、最終的にここでやれそうになってから、本当にやっていいのということについてだけオーケーをもらえばいい。

 これはイギリスもそうしたんですけれども、イギリスもいろいろあって、最終的には、途中は手を挙げた自治体はいつでも撤退できるけれども、最後の瞬間には自治体の皆さんで住民投票等でもって決める、そういう手続にしているんです。その間は、一生懸命、NUMOに相当する組織が調査をするということになっているんです。

 そういう意味で、歴史があるから軽々には申し上げませんが、私は、そういうところがちょっとヘビーな仕組みになっているという感想を持っていますけれども、私はNUMOの理事長もやっていましたので、苦労して、もうこれ以上口を挟まないという宣言をしたんですけれども、そういう意味で、まだちょっと法律に愛着を持っているということは正直に申し上げます。

阿部(知)委員 愛着がおありなのは承知の上でお尋ねをしているんですけれども、それでも、さっき申しました、いわゆる直接処分にも道を開かなければいけない、再処理だけでは、ガラス固化体というルートだけではないと思いますので、ここは是非、アドバイザリー・ボードの皆さんの知恵で、私が思うには、当委員会はそういうことを皆さんにお尋ねをして提言していただいて、また国会で立法していく。もちろん、原子力特別委員会は法律を扱うものではないということでもありますけれども、しかしこれは……(発言する者あり)そうです、委員長提出にしていただければいいわけで、非常に実は重要なことが、法が追いついていないと思います。

 そして、今、近藤先生がるるおっしゃった部分で、今度は大島先生にお尋ねがありますが、私はやはり、どの段階で市民参加できるかというのが非常に重要になって、先生にいただいた資料の中でもオーフス条約のことがフィンランド等々とも関係して出ておりますけれども、先生のペーパーを見ると、まず、自治体の長とかに聞く前に、市民というところに十分な説明をせよと、簡略に言うとそういうまとめになっていると思うんです。

 そういうものを担保する法的な枠組みが世界的にはオーフス条約だと思っておりますし、最近、実は山口県で、中間貯蔵施設を造るに際して、市民サイドが環境影響評価を求められた。すなわち、環境に与える影響は自分たちに与える影響ということで、まず自分たちが知りたい、どうなっているのかというところがすごく日本は抜けていると私は思います。

 近藤先生が自治体と努力してくださったことは事実だと思いますが、その前提にやはり環境権を持つ市民というのがあって、住民があってのことで、オーフス条約の問題、ここを日本がどう積み上げていくかについてお尋ねをいたします。

大島参考人 御質問をいただきまして、ありがとうございます。

 お手元に文書にしたものもございますが、これは、オーフス条約に欧州諸国は全部加盟しているのと、多くの国々で、別に欧州だけではない条約ですので、日本も加盟できるものだというふうにまずは申し上げた上で、欧州で当たり前の制度として参加できているのはどういうものかというと、資料でいいますと三ページなんですけれども、まずは、参加の合理的な時間を、参加可能な時間を与えるということです。

 例えば、日本でほぼ唯一、市民参加が行政手続法等によって認められているのはパブリックコメントですが、多くは三十日、以上となっているんですが、大体三十日になっているんですね。あと、情報も、あれ、こんなパブリックコメントは出ていなかった、初めて聞いたと思って、二、三日前にアクセスするとかいうのはあるんですけれども。

 こういったことが、市民がそしゃくできるような情報をきちんと提供すること。あと、検討する時間を十分に確保するということがまずは大事で、それは、欧州の場合だと六か月以上ある。そうでなければ、当然ながら無理なわけです。今は専門的な情報にどんどんなってきていますので、当然それぐらいないといけない。日本の場合は、大事なものであればあるほど、年末年始のお休みのときとか、ゴールデンウィークを挟んでとか、そういうことになってしまいます。

 あと、パブリックコメントの数、最近問題になっておりますけれども、欧州の場合はそういうふうになりません。なぜなら、早期から市民が参加しているからです。何度も何度もコンサルテーションをします。

 例えば、環境NGOも、もちろん反対しているNGOもあるわけですけれども、環境NGOというのは国民の意見を束ねる特別な存在として位置づけられていて、支援もする。ですので、独立して、例えば、政府の方から資料を送って、どう考えますかというコンサルテーションをする。

 あと、専門家も、高レベル廃棄物に即して言いますと、こういうことが可能かと思うんですけれども、例えば、高レベル廃棄物処分は大体位置に関するところがすごく大事ですけれども、しかも、地質学とか地理学というのは、もう本当にこの地域だけをよく知っているという状態になります。そういう先生がもちろんどの地域でもいらっしゃるわけですけれども、当然、その先生にこういう情報を送って、どう考えますかというのを繰り返し繰り返しアプローチするような方法もあり得ます。それは、国民参加、市民参加の大きな要ということになるわけです。それを踏まえてコンサルテーションをしているので、最終的なパブリックコメントというのは、取り残した、こぼれてくるものを拾うというものになっているわけです。

 日本は、なぜか唯一それだけになっているので、当然大変たくさんの意見が、もちろん、AIとかああいうもので何万件も出るのは問題です。それは当然、先生方も御理解いただいているように、例えば、あなたは人間ですか、クリックしてくださいみたいなことで、ほとんどのAIのやつは全部それで排除できる。簡単に排除できるようなもの、それはやればいいと思うんですけれども、当然ながら。そういうことはやってはいけないと思いますので、AIで。

 ただ、繰り返し繰り返しコンサルテーションをしているので、出てくる意見、パブリックコメントがゼロの場合もあるぐらいなんです。

 あと、出てきた場合、どういうふうにそれを反映、行政の方も、よりよい政策にすることが目的なので、是非出してくださいと。あと、選択肢をきちんとはっきりさせて、ここについてはどう思いますかというふうにしていくわけです。それは、国民参加、もちろん問題意識を持つわけで、そういった制度がやはり大事ではないかというふうに思うわけです。

 とりわけバックエンドについては、国民がなかなか遠いということもあって、そういう制度ができることが今本当に求められているというふうに思っております。

 以上となります。

阿部(知)委員 今に関連することですが、実は、石橋先生がずっと取り組んでくださった分かりやすい国会事故調、非常に、若い人も含めて、画像で、そもそもあの事故は何だったか、国会事故調がどうしてきたかと、私は、あれはとてもいい取組だったと、今もそうですけれども、思っております。

 先生がアドバイザリー・ボードとしてずっと一貫して見てこられて、そうした試みは果たしてどの程度本当に定着、やはり、ますますこれから高レベル廃棄物、バックエンド、とにかく国民、市民参加じゃないと物が進まないというところにあると思うんです。

 先生の長い御経験から、今何が必要なのか。もちろん、今日、いろいろ本当にいい御指摘でした、国会が何をすべきかということで。あと、アドバイザリー・ボードを第三者機関のようにして、もっとポジティブにということもおっしゃっていましたが、加えて、国民参加に更にするためには何が必要か、お気づきであればお願いいたします。

石橋参考人 ありがとうございます。

 問題は巨大な山でございまして、一言で何か言えるわけではないんですけれども、社会的合意形成をするためには、国民一人一人が自分の問題として考えて、自分の意見を素直に言えて、ほかの人から出てくる意見を取り入れて自分を変えるヒントを見つけるという姿勢を堅持し続ける、そういう環境というのがすごく大事だと思います。

 それをするための練習としては、国会事故調を出発点として、世代を超えた対話を続ける、社会の仕組みについて考えるという日々の練習は大変有意義だというふうに私は感じておりまして、私は、高校生、大学生から、私にとっての彼らは師匠でございますので、いろいろな気づきを頂戴します。

 それが国民的動きになるためには、国会においてそのような議論が行われているということがテレビを見たら分かるという状態になることが物すごく大事だというふうに思っておりまして、同じような木で鼻をつまんだような回答が返ってきて、同じような質問が、いつ見ても同じシーンが繰り返されて見る気もなくなるというのだと、皆さん、先生方は国民の代表者ですので、従う側は代表者を見ているので、同じような現象が蔓延するということなんじゃないかというふうに思います。

 ありがとうございます。

阿部(知)委員 高校生にも笑われないように、頑張って国会質疑をしていきたいと思います。

 最後に、お時間の関係で御質問にはできないのですが、今日、私が非常にまた国会の役割と思ったことは、いわゆる福島第一原発事故の廃炉法、やはり法を定めないと、例えば、中間貯蔵施設も二〇四五年までにとか、廃炉も二〇五一年までにとアバウトに言っているんですけれども、はっきり言って、どれもそのようにはならないだろうと、ある意味思っていると思うんです。

 今日御参加じゃないですが、佐藤さんにいただきましたペーパーでも、いろいろ課題、困難を指摘されていて、これもやはり特化した法律が必要であるということを改めて今日鈴木先生から御指摘いただきましたので、国会の役割としてやっていきたいと思います。

 ありがとうございます。

江渡委員長 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。

 私は、原子力の専門家でも何でもなくて、教育は医学の教育を受けてきましたので、余り詳しくありません。ただ、私は、この委員会に所属して、非常に参考になるなということがあります。

 例えば、ヨーロッパ諸国、ドイツのメルケル政権は、緑の党との連立を組んで、そして、エネルギー政策を脱原発で進めてきた。そして、その頼りとするところは、ロシアの天然ガスなどのエネルギー源でございます。

 しかし、今般、ウクライナ紛争が起きて、天然ガスが入ってこられなくなる。そうすると、たちまちエネルギーが不足する事態になり、そのエネルギーを、原子力発電を行うフランスであったり北欧であったり、あるいはイギリスであったり、他国にエネルギーを頼ることになる。

 そうしますと、エネルギーを調達するコストというのが非常に高くなってくるわけでございます。本来は、緑の党との連立ですから、脱炭素の、化石燃料に頼らない政策を進めるべきところだったのが、やはり火力発電に頼るようなことになってくる。

 そういうのを見てきますと、今般のエネルギー基本計画、国が作りましたが、次回のこの委員会での議論になるところでありますが、やはり日本も、しっかりと経済を維持していくためには、エネルギー政策というのは大切なところであるというふうに考えるわけでございます。

 そこで、バックエンドについて大きく私なりに理解したところでは、廃炉の作業や、あるいは使用済核燃料、高レベルの廃棄物の処理というのが、私なりの、まだまだ解決していない課題かなというふうに考えるわけでございます。

 鈴木先生の新聞記事をちょっと斜め読みしまして、青森県の核燃料の再処理工場、直接処理よりもはるかにコストがかかりますよ、政府は延期を繰り返す、経済合理性の観点から再考すべきではないかというふうな御発言の趣旨だったと思います。しかし、今日のアドバイザリー・ボードの皆さんの話を聞いたり、あるいは質問者の話を聞くと、再処理というのはやはり必要な科学技術だと私は考えます。それは、フランスのように実現しなくても、日本は、ナトリウム漏れなどでまだまだ科学技術がそれに追いついていないかもしれませんが、ここで再処理を青森県にお願いするのをやめてしまうと、お願いするところがなくなってしまう。

 一方、近藤先生のNUMOでの発言も見ておりますよ。やはり、寿都町、神恵内村の今後の状況について非常に関心を持つ、まず、いろいろなところを、自治体が引き受けてくださることが大切なんだという御発言。私も三十代の頃、町長をしていたんですよ、小さな町でしたけれども。いろいろなことがあると、町が沸き立つんですよ。だから、静かに町を、町政を運営していくことというのが非常に大きな課題なわけでございます。

 質問の本題に移りますが、今後、廃炉問題はまた別に置いておいて、高レベルの放射性廃棄物の処理について、私は、核燃料の再処理工場は、今後とも、技術を進めていくためにも続けていくべきだと。青森県。

 そして、一方で、文献調査などの直接処理。これもまた、ヨーロッパなどを現実的に見てみますと、これの方がはるかに現実味があって、そして、日本もそれで放射性廃棄物の処理ができていくのではないか。十年、二十年じゃないかもしれませんが、できるのではないかというふうに信じておるわけですが、その点について、まず鈴木先生からちょっとお伺いしたいと思います。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 再処理についてはまた具体的にいろいろ議論させていただきたいと思うんですが、今日の私の趣旨は、既に再処理ができない廃棄物というのもあるという前提ですね。

 一番特に重要なのは、福島の第一原発事故から出てくる廃棄物だと思うんですけれども。それから、実際に、使用済燃料の中にも再処理が適切でないものも、例えば破損燃料とか、それから研究炉の燃料とか、実際に、既にもう、再処理を前提としている政策の中でも、再処理ができない廃棄物というのも現存しているわけですから。そういう意味では、核燃サイクルのいかんにかかわらず、高レベル廃棄物処分法の中に、現在でも処分の対象になっていないものが、含まれていないというのが問題だというのが今日の問題提起でありまして、再処理そのものについての議論はまた別途させていただきたいと思うんですけれども、高レベル廃棄物処分の中に既に今処分できないものがあるということを今日強調させていただいたところであります。

 以上です。

近藤参考人 お答えいたします。

 私は技術的な議論をずっとやってきていましたので、地層処分という技術体系の中で、ガラス固化体になったものの地層処分と使用済燃料の地層処分とはほとんど、何も違わないんです。入れ物が違うだけなんです。ですから、法律でできないと書いてあるかどうか、私はちょっと、そう読めばそうかもしれないけれども、今この使用済燃料を処分したいという者がいないから多分そうなっているだけであって、そういう者が、例えば、こういうことで、これを再処理しないで処分したいという者が出てきたときには、それに合わせて修正するのは余り問題はないことだと思っています。

 鈴木先生がおっしゃるように、確かに、日本の場合、研究用の原子炉の使用済燃料は、契約の問題もあるんですけれども、ほとんどの場合はアメリカで処分してもらっているんですね。研究炉の燃料は一般的に濃縮度が高いものですから、核セキュリティー上、アメリカが全部持ち帰るというルールになっていますので、アメリカで処分している。

 それにある意味では甘んじてきて、その問題について余り深刻に考えないで今日に来ちゃっているところがあるんですけれども、これからいろいろな仕事、研究していく場合に、そういうものが必要になる場合もあるとすれば、それはきちんとやったらいいと思いますけれども、大枠としては、技術的困難ではなくて、制度的に法律がそうなっていると考えるか考えないかは別にして、私としては、余り制約要件はないというふうに思っています。

阿部(弘)委員 科学をベースに私は質問していますけれども、石橋先生、大島先生にもちょっとお伺いしたいと思っています。よろしいでしょうか、順次。

石橋参考人 済みません、全然関係ない話をしてしまうかもしれないんですが。

 今お話を聞きながら頭の中に浮かんできたことを申し上げますと、私たち、人と原子力、核エネルギーと向き合ったときに、相手は物すごい力、エネルギーが、事故が起こると急速進展する、考えている暇がない、神のような力に近いというふうに思います。

 それと対峙するときというのは、私たちは核についていろいろな議論をして核をどうのこうのすると言っているんですけれども、問われているのは実は私たち自身ではないかというふうに考えておりまして、どのように向き合うのかということがすごく大事なんだろうなというふうに思っています。

 などということを先ほど思い描いておりまして、ちゃんとお答えができていないんですけれども、一旦ここで御容赦いただけると大変ありがたいなと思います。

大島参考人 私なりの考え方を申し上げますが、やはり、今の最終処分法は再処理を前提としたものになっておりまして、高レベル廃棄物とTRU廃棄物だけが処分の対象になっている。それは、近藤先生もおっしゃいましたとおり、別に使用済核燃料がとりわけ難しいとかそういうことではないわけで、同じだけの技術でできるということなんです。

 なので、本来は、それを再処理と切り離して、そうではない、使用済核燃料であるとか溶融デブリとか、そういうものも処分できるようにしないと、いつまでも、技術的にはそうであっても、処分できるものが再処理から出てくるものに限るというふうにするものですから、いろいろな問題が逆に法制度から生じて、使用済燃料は必ず再処理しなければならないというふうにどんどんなっていくわけですね。これは社会的な現象としてそうなってしまう。

 そうではない部分もいいんだよというふうに言えば、近藤先生おっしゃるように、じゃ、私は、この部分は使用済核燃料で直接処分でいいだろうとか、あと、今、溶融デブリの処分の在り方も全然検討されませんけれども、それは法律上何も規定がないからでありますので、そこの縛りを取ることが今は必要だよというふうに思っております。

 以上です。

阿部(弘)委員 ありがとうございます。

 私は、若い頃、ウィーンに、ウィーン大学に、研究で生活を送っておりました。学生ではなくて研究生活ですね。

 御承知のとおり、ウィーンにはIAEAの本部が置いてありまして、だから、先進国の皆さん方とだけ接しているわけでもなくて、南米の方々とも接することがあります。ラテン語で、ハポーネギャランティーノ、日本人の信頼は最高だ、信用できる日本人だと。だから、それほど日本の科学技術というものを非常に信頼して、いろいろな会話をしてくれます。

 その一方で、ブラジルなどでは、弁護士さんや、あるいは社会の骨格を成す役職に様々就いている日本人に対する、尊敬にも似たお言葉をいただくわけでございます。

 ですから、私は、原子力の科学技術の世界においても世界に引けを取らない政策ができるものというふうに、誇りに思っていろいろな会話をしておったわけでございます。

 ですから、それぞれ、ドイツはドイツのエネルギー政策、フランスはフランスのエネルギー政策、また、日本も、福島の原発事故が起きた後も原子力政策を続けるという選択をしたわけでございますから、是非とも、再処理あるいは直接処理についても、しっかり、まだ緒についたばかりですが、実行してほしいと思います。

 実験炉については、プルトニウムですから、核爆弾に使用できるからアメリカが持っていくのかなというふうにも思っておりますが、それはそれとして、日本も、エネルギー政策を進める上で、またこういうものも避けて通れないものでございます。

 特に、NUMOの理事長をしていた近藤先生、今の状況をどう見ておられますか。寿都町、神恵内村、こういう文献調査に協力していただいた小さな自治体でございますが、私も大いに期待したいところでございますが、その点について意見をお願いします。

近藤参考人 お答えいたします。

 私ども、私は二〇一四年に理事長を拝命したわけですが、それ以来、全国各地で対話型説明会といって、十人から二十人ぐらいの市民の方に参加していただいて、我々と対話でこのことについて話す取組をずっとやってきまして、皆さんからは大変効率が悪いとお叱りを受けたこともあるんですけれども、しかし私は、やはり対話が極めて重要というふうに申し上げて、しつこくこれを続けてきて、多分、百五十回か二百回になっていると思いますが。

 その中で、北海道の寿都町、神恵内村の村長さん、町長さんから御提案をいただいたという経緯がございまして、私どもとしましては本当に、しかも、日本の国のために何か一肌脱ぎたいとおっしゃったことが、それがまたマスコミで変に取り上げられて彼らは苦労していましたけれども、そういう志に対して、私どもは心からの敬意を表しているところでございます。

 引き続き、文献調査の報告書をまとめまして、先年から報告、説明書の説明会をずっとやってきているわけですけれども、これも北海道知事から十四市町でやってくれということでそれをやる、さらに、手を挙げて来てほしいというところについてはもっとやるということで、二十五、六やったと思いますけれども、その結果として、二千を超える御意見も頂戴した、そういう状況でございまして、引き続き、北海道の皆様には御尽力を賜っていることを心から感謝し、敬意を表しているという状況でございます。

阿部(弘)委員 ありがとうございました。

 これで終わります。

江渡委員長 次に、小竹凱君。

小竹委員 国民民主党の小竹凱です。

 本日も、質疑の時間をいただき、ありがとうございます。

 まず、四人の参考人の皆様の御意見を聞かせていただいて、国会でこういった議論をしていくこと、推進、反対、様々意見はあると思いますが、こういったことを国民の自分事にしていく、こういった意見の醸成をしていくことが国会の責務の一つであるというようなことを改めて感じさせていただきました。

 それでは、質問に入らせていただきますが、まず、大島参考人に伺いたいと思っています。

 先ほど、事業と規制を切り分ける、こういったところについての必要性を言われておりましたけれども、NUMOの、在り方といいますか、ことについて伺いたいと思います。

 本日はちょっと欠席になられてしまいました橘川参考人のペーパーの中にも、地層処分が唯一の解決策であるというようなことも書かれておりました。

 その中でも、いまだに国内には最終処分場というのがなかなか決まっていないような状況もありまして、こういったことも踏まえて、事業側であるNUMOの現在の取組であったり在り方であったり、どういったことを今後期待しているのかというのを、ちょっと御意見いただきたいなというふうに思います。

大島参考人 私なりの考え方をお話しいたします。御質問いただきまして、ありがとうございます。

 NUMOは、御承知のように、事業を実施する主体です。私、そういう意味では、技術的な観点から事業という面でいろいろ検討し、文献調査なども進めていたというふうに考えております。

 それはそれとしていいんですけれども、先ほど申しましたように、今の仕組みの中では、一部、位置に関して、自らが次に進む概要調査の条件などの起案をする、それが経産省で議論されていきますと。そこのところで一つ問題になったのは、グレーのゾーンがあるときに、いや、分からないんだから、外すのではなくて、むしろ緩める方向で、次の概要調査に進んでもよいという方向、分からなければ進んでよいというふうになってしまっているわけですね。そういうような基準をつくってしまいました。

 それは専門家からすると、例えば、北海道教育大学の名誉教授である岡村先生という方がいらっしゃいますけれども、寿都、神恵内のまさにそこの地域の専門家なんです。そこからすると、水冷破砕岩があるところがあるので相当これは難しいとか、あと、第四紀火山があるのでこれはほとんど不可能だという見解を出しているんですけれども、いや、グレーだから進んでいいんだということになると、全てグレーになれば、どんどんどんどん進んで、最終的に詳細調査まで行ってしまうのではないかというふうに私は思うわけです。

 そのフィルタリングが本当に、もし仮にグレーであっても、どの程度グレーだったらはじくのかということまでしないと、もうほとんど真っ黒なグレーの場合も通してもいいというようなものになってしまえば、文献調査なり概要調査なり詳細調査が意味のないものになってしまうわけです。少なくとも、そういう条件に関しては原子力規制委員会がその段階段階で条件を提示し、その段階段階で審査、認可するというものにしていかなければ、原子炉等規制法に基づく原子力規制委員会の役割が果たせないということになってしまいます。

 あと、鈴木先生もおっしゃっていましたけれども、事業を決めるに当たって原子力委員会に聞くということになっているんですけれども、原子力規制委員会じゃないんですね。というように、元々の法律を改正する際に、単に、原子力規制委員会ができるときに原子力安全委員会の文言を原子力規制委員会としただけなので、古い枠組みのままやっているわけです。これはNUMOが意図的にやっていることではなくて、制度がそうなっているからどんどんそうなってしまう。結果的に規制のとりこみたいなことになってしまいかねないかということで、これは、賛成、反対ではなくて、そうしなければならないというふうに思います。

 あと、NUMOの在り方としては、例えば、意思決定の在り方に関しての議事録や、提出されたそこの議事録、理事会だったか運営委員会だったか、それは近藤先生に聞かないと分からないですけれども、そこの議事録やそこで検討された資料などは全く非公開です。それは、どうせやるなら参加できる、ほかの国であれば、そういう事業体がどのような意思決定でこういうことになっていたのかということも含めて、やはり情報を知りたいと思うわけですね。そこはすごく問題だし。

 あと、先ほど、対話の場というのがあるというふうに少し議論になりましたけれども、あれも自治体によって違うんです。一般市民が参加していないところもあるんです。寿都町の場合は違うんです。町長が指名した議員とかだけに限られているんです。神恵内の方は、ファシリテーターがよかったので、議題設定から市民がしているわけです。だから、参加がよかったんです。誰でも参加できた。だけれども、寿都町は違うんです。町長が指名した議会議員しか駄目なんです。というわけで、全く機能していなかった。町民は、初めは参加したけれども、これはもう全然駄目だということで、全然参加しなくなっちゃったんです。そうなんです。

 そういう意味では、対話の場といっても、事業者がやるだけでは駄目で、やはり、どういう国民参加にしなきゃいけないのかというのをあらかじめ決めておかなければ、その都度その都度違うやり方でやってしまうわけですね。今回最初のケースでやられたことなので、その教訓を踏まえて検討して、法改正なりなんなりをする必要があるというふうに思っております。

小竹委員 ありがとうございます。非常に解像度高く、よく分かりました。ありがとうございます。

 続きまして、福島原子力の廃炉法のことにさっき触れられていましたので。

 私も、元々物づくりの現場にいましたので、電気は同時同量、本当にあればあるほどいいというふうな考えだったんですが、元々、エネルギーを安定供給していくという部分において原子力の必要性、それから、必要性、推進を訴えるからこそ、バックエンドのところまでしっかり責任を持っていかないといけないという認識でいるのですが。

 チェルノブイリの廃炉法であったり廃炉プログラム法、海外の事例に学んで日本でも進めていくべきということだったと思いますが、現行制の弱点であったり改善点、また、五十年、百年というふうに見ていくことになりますと、財政面のことであったり、こういうことは世代をまたぐ財政的な費用にもなってきますので、こういったところでの公平性であったり世代間での費用の負担の在り方、こういったところにもどういった論点整理が必要とお考えか、お聞かせください。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 最大の問題点は、今、福島原発廃炉については法的なバックアップ、根拠が全くないということなんですね。既存の法律ではカバーできないことが起きているわけですから、それについての議論が進んでいない。

 現実にはもちろん廃炉作業は進んでいますし、懸命に現場でやっていらっしゃる方々の努力には私は敬意を表しているんですけれども、国会の役割としては、きちんと、今言った、作業員の保護の問題、安全確保とか、それから環境保全の問題とか、それから長期的なスケジュールの問題、今おっしゃった費用の負担の問題とか、何にも法律的には決まっていない。もちろん、東京電力と経産省の方で議論は進められていますが、大きな問題でいえば国会による関与がほとんどないというのが現状だと思います。

 したがって、私のポイントは、国会がこの大きな問題についてどのように関与していくかということを考えれば、やはり、チェルノブイリの例を参考にして、法律をきちっと整備し、透明性を確保していく、これが大事ではないか。第一に、国の責任として、この廃炉については最終的には国が責任を負うということをまず明記した上で、ちゃんと監視していくということが大事ではないかなと思っていまして、先ほど申しましたように、最終的には国会の承認を得るような計画にしていただきたい。第三者機関を設置して、プロセスの内容についても監視していくということが必要ではないか。

 何よりも、やはり、最終的な完了の、何が最終的な姿かもはっきりしていないわけですから、これについてもしっかり議論をしていくことが必要ではないか。それをちゃんと規定していただきたいというのが私の願いであります。

 以上です。

小竹委員 ありがとうございます。

 まず、その法整備であったり、そもそも何が完了なのかということであったり、こういったところを国の責任として進めていくべきだと、私もそういうふうに理解しております。

 それから、最後に、どうしても、人材育成、人づくりの部分についてもちょっと皆さんに御意見をいただきたいと思いまして、このバックエンドの部分に関しても、とにかく人が最終的にはやらなければいけない廃炉作業であったりデブリの回収、こういったところでも本当に高度な実務能力が求められますし、座学では限界があって、OJTだったり長期的な実地が不可欠だと思います。

 私は二十六歳でして、東日本の大震災が起きたときは、小学六年生の、卒業式の練習をしていたときだったんですね、はっきり覚えているんですけれども。それ以降、何を言いたいかといいますと、私の同世代だったり、それの世代の方というのは、石川県の志賀原子力であったり、志賀原子力が動いたところを見たことがないと言うんですね。なので、県外に出向をして、動いているところである一定期間勉強して戻ってくるというようなことで、やはり、動かしたことがない、そして関わった実務がないというところが一番の安全面でのリスクでもあるというようなことをおっしゃられて、私もそのとおりだと思いまして、長期にわたる人材の確保、育成が極めて重要だと思います。

 日本では、原子力工学科の大学も縮小、また希望者も減少している。世代交代もなかなかこうなると進んでこず、人材の空白期間が長期化するおそれがあるというようなことは皆さんおっしゃられています。

 海外、特にフランスとかの例を見ますと、原子力を利用しておられまして、プラントの計画であったり、教育から雇用から、部材供給のサプライチェーンから、更にバックエンドの部分まで、こういったところが一貫して総合的な政策を取られているというのは認識していますが、この部分に関して、是非皆さんに、原子力の人材育成の部分での課題と、また、海外の事例を踏まえた、こういった政策であったり制度的な対応を進めるべきというような御提言がありましたら、是非お聞かせいただきたいというふうに思います。

江渡委員長 それでは、時間も迫っておりますので、簡潔にお願いしたいと思います。

近藤参考人 御指摘のように、人材育成、極めて重要と思っております。

 それで、特に今お話しのところは、スタートは廃炉の問題でしたが、原子力一般の人材ということまでございましたが、福島の廃炉につきましては本当に重要なテーマということで、今、JAEAを中心にしてプロジェクトをやっており、また福島高専とか、あの辺の近在の、先ほど申し上げたような人材育成の仕組みはできていますので、そこでこのテーマを取り上げていろいろと活動している。ですから、これは私は応援していくというスタンスでよろしいのかと思います。

 長くなりますので、取りあえずのお答えはそこまでにします。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 近藤先生が委員長のときの原子力委員会でこの議論を盛んにやらせていただいて、提言を出しておりますので、そこに詳しく書いてありますので、人材育成、一回読んでいただきたいと思うんですが。

 一点は、どういうニーズがあるか、人材の中で、それを明確にして、その必要な人材に応じて人材確保のロードマップを描くということが一番大きなポイントでありまして、福島の廃炉の必要な人材と原発運転の人材確保とはまた別でありますから、それを一緒にしないで議論していただきたいというのが私のポイントであります。

 ありがとうございます。

石橋参考人 ありがとうございます。

 このダイジェスト版の三ページ目、これは提言五で新しい規制組織の要件ということで、規制機関に対する要件として提言しているんですけれども、書いてあるのは、グローバルな人材交流をしてくださいと。

 ただ、これは単に留学するとかいうだけではなくて、日本の場合は何ができるかというと、原子力緊急事態宣言がまだ収束していない、リアルで動いている現場が世界にここだけですので、海外の原子力のオペレーターが実際にそこで運転をする、代わりに日本の動いているところを知りたい人は海外の炉の動いているところに行く、そういう人材交流が極めてリアルだと思います。

 以上です。

大島参考人 ごく簡単に申し上げますが、原子力の発電所の運転に関わるニーズ、人材と、バックエンドといいますか、解体、廃炉ないし放射性廃棄物処分に関する人材は全然違っていて、例えば廃炉に関して言うと、解体技術は幾らでもあるわけです、今はどんなビルでも解体しますので。ですので、放射線防護しながら解体するという作業をしているということになる、そういった人材としてやるべきであって、何か運転とまた違うということを認識していただければと思います。

 以上です。

小竹委員 私の時計ではあと二分ほどあるので、もう一問だけよろしいですか。済みません。

 まさに人材の交流であったり、運転の部分と廃炉という部分では、また分けて議論をさせていただきたいというふうに思います。

 最後にちょっと一問だけ、近藤参考人だったかですかね、先ほどSLOの部分についておっしゃられておりました。もちろん議論が、合意形成も必要だということなんですが、よく使われる地元合意形成という言葉とSLOというのはどういうふうに区別できるのかというのは、ちょっと教えていただきたいというふうに思います。

近藤参考人 急いで言えば同じです。つまり、地域社会、当該利害関係のある社会との間で合意が成立しなきゃならないということを言っているわけです。それを地元の合意形成という呼び方をしても、もちろん差し支えないと思います。それは社会的契約という観点で、社会的な合意という意味でそういう言葉を使っているというだけでございます。

小竹委員 ありがとうございました。

 これからもしっかり議論をして、こういったことを広く広報して、国民的議論にできるように頑張っていきたいと思いますので。

 本日はありがとうございました。

江渡委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 本日は、四人の先生方に貴重な御意見を賜りまして、大変にありがとうございます。

 バックエンドの質問に入る前に、ちょっと四人の先生にお聞きしたいんですけれども、私、政治の仕事というのは、やはり判断をしたりだとか決めたりするということが大事なことだというふうに思っております。その基準というのは、やはり国民の皆様の様々な声をお聞きして、そして、その国民の皆様の思いを代弁してやはり国会の中で発言をし、そして国の方向を定めていくということが私は大事だなというふうに思っております。

 そういった中で、この石橋先生の、立法府主導による原子力政策に関する社会的合意形成というようなことが書かれているわけでございますけれども、現場を歩くと、原子力の利用というのは本当に進めてもらいたいという方と、いや、もう怖いから止めてほしいという方との両論がございます。

 ただ、この問題というのは、今を生きる我々だけのことではなくて、やはり、未来にこの地球を継承していく、そういう未来に対しての責任も負いながら判断をしていかなければならないというふうに思っております。

 そういった中にあって、反対の人、賛成の人、それぞれいろいろなところから情報を取られると思うんですけれども、ある意味で、今のこのネット社会は、反対の人は、反対の意見をネットから読んだりしていると、その反対に近い意見ばっかり入ってくるようになって、それでどんどんどんどんその方に固定化していく。賛成の方も同じだと思うんですね。

 だから、そういった意味では、本当に国民の皆様に、先生が言われた事業と規制の未分離、こういった部分で混在しているような情報、こういったものを、正しいニュートラルな情報を国民の皆様にお伝えする方法としてどういうことが考えられるかということを、ちょっと御知見がありましたら教えていただければと思います。

近藤参考人 毎日そのことについては悩んでいまして、答えはないんですが、アテンションエコノミーと言われているこの社会をどう生き延びていくかというのは大変難しいと思っています。

 しかし、何より、聞いてもらって初めて意味があるわけで、情報を発信する側も、まあ、大脳生理学に基づく工夫をするのがいいかどうかは別にしまして、やはり正しい情報を簡潔で分かりやすく伝えるという努力は引き続き進めていってみようというふうに思っております。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 私の意見としては、何回もここで言わせていただいているんですけれども、産業界や政府やあるいは反対派の意見からも独立した第三者機関というのが日本にはない、これをやはり国会として是非取り組んでいただきたい。この委員会も今おっしゃったように意見が分かれてしまっていると国民の方々も不安に思われると思いますので、この委員会自身も、そういう意見を超えて超党派で取り組んでいただきたいというのが私の意見です。

 ありがとうございます。

石橋参考人 ありがとうございます。

 賛否が非常に分断している問題についてどうやって議論するかということについては、先生方が行われた前例がございます。国会事故調です。

 以上です。

大島参考人 原子力は多岐にわたる技術的な問題が多いと思います。それは技術的な、何といいますか、自然科学的な、あるいは工学的な知見とともに、人文社会学的な、社会科学的な知見も必要です。その観点からいうと、そういった、単に技術者だけではなくて人文社会科学的な専門家も当然、政策ですから、入れた第三者機関なり、専門家の機関が必要かというふうに思います。

 また、国民の意思をどんなふうに見るかということですけれども、二〇一二年でしたか、国民的議論というのが行われました。その際に、そのときの大臣の目の前でお話ししているので緊張しますけれども、その当時、討論型世論調査も実施され、また、ずっと公聴会に御参加されていて、いろいろな意見を受け止めていらっしゃった細野先生は、本当に私見ておりましたので、ネットでも中継されていて、いろいろやじも、歩く中でやられていた。そういった努力があって初めて、やはりいろいろな意見が集約されるんだというふうに思います。

 また、あの当時は、そういった三つの、パブリックコメント、討論型世論調査、公聴会をやった後で、そこで出てきた意見が、どうやって国民が考えているのかというのを、政府の委員会とは独立した形で委員会を立ち上げて評価した。そのときに、こういうふうに考えているからということで政策をつくっていったという。その政策の内容はともかくとして、そういう仕組みが日本はあったわけです。

 今もその仕組みは専門家からも引用されて、研究対象になっているわけです。それが一回しかなかったというのは大変残念なことで、福島原発事故も踏まえて、今の問題が継続している以上、そういった取組をより発展させていくということがやはり必要なのではないかというふうに思っているわけです。

 以上でございます。

福重委員 示唆に富んだ御意見、ありがとうございました。

 先ほど石橋先生の資料の中に、使用済核燃料処理、処分等に関する事項が対象外になっているというような御説明がございました。こういった中で、ちょっとバックエンドの問題を質問させていただくんですけれども。

 経済産業省は、高レベルの放射性廃棄物の最終処分について、二〇二〇年の十一月に北海道の寿都町、それから神恵内村、そしてまた、二〇二四年には佐賀県の玄海町とか、そういったところが今候補に挙がっているわけでございます。

 この寿都町と神恵内村に関しましては、文献調査、それから地元の意見調整が進んでいるのではないかというふうに思っておりますけれども、こうした中、北海道では四月の十七日に、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定をめぐり、寿都町それから神恵内村で文献調査を行った原子力発電環境整備機構のパブリックコメントに、最適な処分地選定に向けたプロセスの見直しを行うべきだと指摘し、処分場の受入れに改めて反対する姿勢を示しました。四月二十五日に開かれた経済産業省の審議会でも、委員から制度の見直しを検討するべきという意見が相次いだと聞いております。

 このような最終処分地のプロセスの見直しに、具体的にどのようなプロセスの見直しが必要なのか、四人の先生の御知見を伺えればというふうに思います。

近藤参考人 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、北海道からそういう提案が出たことはそのとおりでございますが、何をどう変えたいかということが余りよく分からないんですね。手を挙げていただくことには負担が多過ぎるので国がというのも、それもよく分からないんですが、五十なり十なりの候補地を指名してくれれば事が進みやすくなる、そういう御提案の内容と理解するんですが、じゃ、その十か所はどうやって決めるんだというところが一番の肝でして、ほとんど、私どもは今の科学的特性マップで二百ぐらい決めているような位置づけになるわけですけれども、これを絞っていくと様々な利害関係が生じてまいりますから、このプロセスは、やはり国際社会の常識として、廃棄物の処分場は、コンセント・ベースド・アプローチといって、同意した方、調査してくれてもいいよと言ってくれた方の場所を調べるのが最も合理的で民主的な手続だということが、二〇〇〇年初めから大体世界常識になってきているんですね。

 それにのっとって現在の法律もできているわけですが、そこを変えてトップダウンでやるとなると、これも、ドイツはそれをやろうとしているんですけれども、今、二百から五十まで絞って、これは最後はどうやって決めるんだと、なかなか答えを持っていないんですね。様々な民主的手続を使って決めるとおっしゃっていますけれども、私にはとても先が見えない。

 そういうこともあって、このプロセスは、御提案はいただいて検討するのは大事だけれども、なかなかすぐに答えが出てくるものではないと私は思っております。済みません。

 以上です。

鈴木参考人 実は二〇一五年のときの基本方針の見直しのときに、今の手挙げ方式に加えて、今、近藤先生からもありましたけれども、国から申し入れることもできるようにしようというふうになったんですけれども、おっしゃるとおり、それはどうやってやるのか、難しいとおっしゃっているわけですが、でも、待っているだけではなかなか前へ進まない。

 特性マップを作ったのは、それを絞るための一つの手段として特性マップというのを作られて、それはもちろん、絞るときに科学的根拠を持って、よりリスクの少ない場所へ持っていくというのが本来の立地プロセスの在り方だと思うので。そうでないと、先ほど大島委員からもありましたけれども、結局、グレーのままだと幾つも幾つも、どんどんどんどんこれからも候補地が増えていく可能性があるわけですが、やはり絞るプロセスというのをつくっていかなきゃいけない。これはどこの国も、今、近藤先生からも御指摘ありましたけれども、苦労しているんですね。

 でも、それはやはり両方やっていかなきゃいけないので、せっかく科学的根拠を持って特性マップを作ったんですから、それを用いてまず国の方から絞っていって、有望地にお話をしていく。そうすると、地元の方は国から言われたから議論しましょうとなるんですけれども、今、手挙げ方式ですと、自治体が説明責任を負うわけですね。これが負担が重いというふうに私も聞いています、何回も地元の方にお聞きしたんですけれども。

 したがって、国が責任を持って、おたくが候補地の一つですよと言っていただくと楽になるという、それでもそれがうまくいくかどうか分からないというのもそのとおりでありますが、そのプロセスの見直しを、二〇一五年のときにもその議論をやって、国から申し入れるようになったはずですので、そこはもう一度考えていただきたい。

 もちろん、市民参加のやり方とか、それは大島委員のおっしゃったとおりですので、全部見直ししなきゃいけないかもしれませんが、プロセス自体、どうやって絞っていくかという方向に変えていかないと、なかなか前へ進まないと私は思っています。

石橋参考人 先ほど先生から、地層処分のところについては対象外というお言葉があったんですけれども、まずダイジェスト版の十ページに、当委員会で扱わなかった事項というところで、使用済核燃料の処理、処分に関する事項ということで整理しています。こちらは、事故調は半年と言われて、オフィスに行ったら固定電話が三つしかないというオフィスからスタートして、印刷、納品して半年という極めて限られた時間のリソースの中で行われましたので、できることが限られていたということで、できないところということを明示しています。

 御質問につきましては、もう先生方がおっしゃったとおりだと思います。なぜこんなに困難が生じるのかということですけれども、これは国民的に見て、プロセスが不透明感が極めて濃厚である、文献調査をしたら知らないうちに最後まで行っちゃうんじゃないかということに対する根本的な疑念があるからこそ、このような困難が生じているんだというふうに思います。

 これは、やっていることの鏡の映し姿だというふうに思いますので、まずそれを解消するためには、進める側、御検討をお願いする側の意思決定プロセス、議論プロセスというのが全て公表されて、共有されて、考える側の材料にする、そういう制度をたてつけるということがまず第一歩だと思います。

 以上です。

大島参考人 お答え申し上げます。

 今の手挙げ方式は私も十分ではない、むしろ手挙げ方式だと、一番高レベル放射性廃棄物処分において重要なのは、科学的に最も安全なところを見つけて、そこに処分することだというふうに思います。

 今の手挙げ方式は、手を挙げた人が、手を幾つか上がってきたところから選ぶというものなので、本当に科学的に日本において最も最適なところかというと、そうではない制度になっているわけですね。

 それはとても大事なことで、ドイツの場合は、二〇一七年に最終処分選定法ができましたけれども、これまでのやり方を踏まえて、二つやはり決めたわけですね。もちろん国が選定プロセスを決めるんですけれども、それが国民の信頼性がないと、ただ単に何か原子力発電所の見つけていくプロセスと同じになってしまうことになるので、両面なんですね。一つは、科学的にきちんと選定する。もう一つは、国民的な参加のプロセスを始めから入れ込むということです。科学的なプロセスと国民的な参加が伴走する形でいくというふうにしました。

 その仕組みを取るに当たって、一年から二年かけて非常に長い議論をしているわけです。決め方を決めているわけです、まず。決め方を決めるプロセスで民主的にやるということがまずは大事で、今、走りながら決めているというような感じが私はしています。文献調査の在り方の、対話の在り方はどうあるべきかというのが分からないままやってみたりとか、走りながらではなくて決め方をまずしっかりと議論して決めるということが、むしろ遠回りに見えて実は早いというふうに思っております。

 以上です。

福重委員 申し訳ありません、あと二分になってしまいましたので、ちょっと一点だけ端的に。

 この地層処分なんですけれども、日本は地震大国ということもあって、やはりそういった心配をされている国民の皆さんは多いです。そういった意味で、フィンランド等は地層処分でやっておられますけれども、そういった形の中で、日本におけるこの地層処分、これが可能なのかどうなのか、近藤先生と鈴木先生に端的にお答えいただければというふうに思います。

近藤参考人 お答え申し上げます。

 私どもというか、日本では、一九七〇年ぐらいからこの問題を検討して、地層処分ができるかどうかについて、まさに二十年くらいJAEAを中心に検討した結果として、基本的には可能であるという答えを出したわけです。爾来それに基づいてこの法律を作ってやってきたわけですので、私は、その結論を変えるべき大きな別の新しいエビデンスがあるとは思っておりません。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 私も個人的には可能だと思っているんですが、新しい科学的知見というのはどんどん出てきますので、そのときそのときに応じて議論をしていくべきだと思っています。そのためには、先ほどの市民参加の形とか、第三者機関をちゃんとつくって、そこできっちり議論していく。そういうプロセスが見えないと、やはり国民の信頼が得られないのではないかと思います。

福重委員 ありがとうございました。

 以上、時間になりましたので、また今後とも様々な御知見を教えていただいて、国会でしっかりとした議論をし、そしてそれを国民の皆様に伝えられるように頑張ってまいりたいと思いますので、どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。

 本日は大変にありがとうございました。

江渡委員長 次に、佐原若子君。

佐原委員 座って話をさせていただきます。失礼いたします。れいわ新選組、佐原若子でございます。

 本日は、アドバイザリー・ボードの諸先生方とお話をする機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、青森県出身で、核燃阻止一万人訴訟原告団の原告を四十年ずっと続けております。そして、昨日、おとといでしたかね、経産省の方々ともお話をしたときに、いつもお話は平行線なんですよね。ゴールが違うから当然のことなんですけれども、でも、やはり、共にどこか歩んでいかなければこの問題は絶対に解決しないし、多分日本人の感覚としては、実は、ノット・イン・マイ・バックヤード、自分のところになきゃいいやというふうに思っていることがほとんどだと思うんですね。だけれども、福島原発事故が起きて、それは本当は人ごとではないんだということをお気づきになった方もいらっしゃるかもしれません。

 このことを大事に、再処理に関しても、国民的な議論と、そしてお話をして、相互理解が絶対に必要なことで、今日御提案いただいた国会での働きとかそういったものが重要視されると私も思います。ありがとうございました。

 私はラ・アーグに行ったときに、グリーンピースと一緒に行ったんですけれども、そのときに、怒れる母たちというお母さん方が、ここの子供たちが白血病になったのはあなたたち日本人のせいだからねと言われたんですよ、そのことは私は忘れられません。

 そしてまた、私は歯医者でして、小児歯科をちょっと勉強して、今はインプラントをやっております。そのとき、ガーディアンという雑誌に、セラフィールドの近くの子供たちの、矯正治療のために抜歯した第一小臼歯からプルトニウムが出たという記事がございました。濃度は、そのセラフィールドの再処理工場に向かってだんだん濃くなっていく。濃くなっているといっても、もちろん企業も、科学者たちは分かりませんが、影響はありませんよということでした。

 でも、私はびっくりしたんですね。第一小臼歯というのは、赤ちゃんになる前の、胎生の三週に既に、外胚葉性に乳歯の芽が、歯胚ができています。その下にまた永久歯の歯胚が、ほんのちっちゃな歯胚があるんですね。ということは、小さいときからそれにプルトニウムが入ってきたということですよ。胎盤も通しちゃったということですよね。プルトニウムというのは人類にとって新しい物質です。だけれども、母親は鉄分を取らなきゃいけないから、何か似たものがあったらきっと取り込んでしまうんだと思うんですよね。

 だから、私は、青森県のいろいろ問題があります、鈴木先生にお伺いしようと思ったんですけれども、今度、再処理のことはまたやるよとおっしゃってくださったので。ただ、みんな、その再処理というものが、核反応のない、割と安全なところなんだろうなというふうな認識が青森県民にもあるのかもしれません。余り大きな運動にはならなかったんですね。

 だけれども、私は孫が五人おりまして、青森県に三人住んでおります。なので、いや、これは絶対に再処理だけはしてほしくない、なぜ日本はワンススルーというのを取らなかったのだろうと。廃棄物を本当に考えたら、再処理は核燃組織の中でも一番ダーティーな場所だというふうに言われています。

 そしてまた、二〇〇六年にアクティブ試験もしました。高木仁三郎先生が、大丈夫だよ、日本の官僚は優秀だから、再処理を動かすなんてことはないよと言ってお亡くなりになったんですけれども、あれっと思いまして、動かしたじゃないかというふうに思いました。でも、多分、人間というのは、つくったらやってみたくなるものだと思うんですね。

 鈴木先生にお伺いします。

 イギリスでは、今年二月、保有する民生用のプルトニウムを廃棄物として地中に埋め廃棄する方針を発表したんですけれども、先生は、朝日新聞の取材に対して、イギリスのこの判断を評価されていると認識しています。

 イギリスの状況も踏まえて、青森県六ケ所村で長期保管され続けるプルトニウムをどうすべきか、先生の御見解をお聞かせいただきたいんですが、再処理のときにまたお答えいただいてもいいので、どういたしましょうか。

 それでは、イギリスにある日本のプルトニウムは日本に戻すべきか、イギリスに有償で引き取ってもらうか、どうすべきだとお思いかもお伺いしたいんです。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 今あるプルトニウムを減らしていくということは日本政府も決定していますので、これは大事な政策であって、これは今後の再処理いかんにかかわらず必要なことだと思います。

 イギリスの今回の処分の決定を見ますと、実は長い間議論してきまして、当初はMOX燃料にして処分するということが望ましいという案があったんですけれども、いろいろ更に検討を続けた結果、直接処分の方が望ましいと。これは安全性の面と経済性の面と核セキュリティーの面でいろいろ検討した結果だというふうに報告書には書いてありますので。

 同じことが日本にも言えると思いますが、先ほど申しましたように、日本ではプルトニウムは地層処分できないんですね、法律上。したがって、先ほど申しましたように、高レベル廃棄物処分法を改正してプルトニウムも処分できるようにしないと、選択肢に乗ってこない。したがって、今の経産省や電力会社の選択肢としてはもう利用するしかないんですね、MOX利用に。ただ、MOXで利用しても、使用済MOX燃料がまた残ってしまいます。これをどうするかも決まっていない。

 ということで、私の意見としては、まず、高レベル廃棄物処分法の中にプルトニウムも処分できるようにすれば、今ある既存のプルトニウムの処分についても選択肢が広がる。それで検討すればいい。今イギリスにあるものについては、合理的に考えれば、イギリスに頼んで処分してもらうのが一番合理的だと思いますが、これも、プルトニウムは資源だから利用するという原則に従うとなかなか難しいというのが現状ですので、ずっと全部つながっていますので、選択肢を広げるという意味でも、今の高レベル廃棄物処分法を改正して、プルトニウムも処分できるようにするのがいいのではないかと思います。

佐原委員 ありがとうございます。

 ということは、やはり法律をきちんと整備しなければいけないということになりますよね。私たちも勉強して、ちゃんとやっていきたいと思っております。ありがとうございます。

 では次に、大島先生にお伺いしたいんですけれども、日本原燃の青森の核燃料サイクル施設は、当初の計画からの変更や遅れがございます。建設費について日本原燃さんにお尋ねしたところ、再処理工場の当初予算は七千六百億円、昨年八月二十四日時点での実際の費用は二兆千九百三十億円、MOX燃料工場の当初予算は千二百億円、昨年八月二十四日での実際の費用は六千億円ということでした。

 経済合理性の視点から、青森の核燃料サイクル施設の在り方をどうお考えになりますか。教えていただきたいと思います。

大島参考人 端的に申し上げますと、核燃料サイクルは、経済的には最も不合理というか、高いことになります。核燃料にした場合の単価は十倍とか十五倍とかぐらいになってしまいますので、経済的にはほとんど何の意味もないということになります。

 あと、不測費用といいますか、これから、その試算された費用も、何らかの遅延が起こったりトラブルが起こったりすることは当然あって、今あと物価高もありますので、上がっていくということは十分考えられます。これは、ほかの原子力発電所の新設についても同じことが言えて、不測費用として一〇%から一五%を見ておかなければいけないというようになっているわけですから、今言われている、核燃料サイクルのコストは上がり続ける、下がることはないというふうに言えると思います。

 あと、原子力の発電所自体が少なくなっている、稼働が少なくなっているので、使用済核燃料の量の限界も来ています。というわけなので、六ケ所再処理工場が想定している、稼働期間に想定している核燃料がもう得られないということになるわけですね。そうなると、単価が上がってくるわけです。ですので、ますます総費用の面でも、単価の面でもどんどん経済性がなくなってきていて、経済的な観点からすると、ほぼ無意味、全く無意味だというふうに思います。

 以上です。

佐原委員 ありがとうございました。

 経済的な合理性はないということですね。ありがとうございます。

 近藤先生にお伺いしたいと思います。

 青森県六ケ所村の一時貯蔵施設に高レベル放射性廃棄物が最初に搬入されてから三十年になります。国、県、村、事業者の日本原燃の協定では、貯蔵期間は五十年という約束です。最終処分場は、これから調査や工場建設という工程があります。あと二十年でどうなるか、整合性はあるのか、御見解をお聞かせください。済みません、これを午前中にお伺いしたのでまたダブりますが、簡単にまたお答えいただいてもよろしいでしょうか。

近藤参考人 おっしゃるとおり、あと二十年で処分場ができるか、見つかるかというと、なかなか難しいと思っています。

 ですから、これは、二十年というお約束をしたわけですから、それを守るべく最大限の努力をしているということだけはきちんと青森県の方に御理解いただけるような努力を懸命にやらなきゃならないというふうに理解していますが、いずれ、その議論については、再処理工場が動きますとガラス固化体は新しくどんどん毎年出てくるわけですから、このガラス固化体は持っていってくれという話はなかなか余り合理性がないわけで、そこのところは、実際にこれからの事態の進展に応じて協議、合意していくのが合理的だというふうに私は考えております。

佐原委員 ありがとうございました。

 先生、また、高レベルの廃液もございます。東海村にもありますけれども、その廃液に関してはどのようにお考えでしょうか。済みません、通告になくてごめんなさい。

近藤参考人 済みません。

 廃液をガラス溶融炉で溶かし込んで、ガラスと混ぜてガラス固化体にするわけです。それは、いずれ東海村にあるものについてもそのような処理をすることにして今やっていると思います。ですから、廃液は中間的な存在であって、それを最終的にガラス固化体という姿にして処分をするということでございます。

佐原委員 ありがとうございます。

 ということは、廃液のままでは置いておかないということですね。必ず固化するということ。分かりました。ありがとうございます。

 あと五分あるので、ちょっとだけお話をさせていただきます。

 ラ・アーグに行ったときに、まだそのときはコジェマだったかアレバだったか忘れましたけれども、再処理工場の隣に、ANDRAという、低レベル廃棄物の処分場があるんですよね。そこに入りまして、トリチウムを計測する機械がありまして、常時計測をしているんです、地下水とか雨水のこととかで。そうして、例えばトリチウムの異常値が出ますと、多分これは再処理工場なんだよ、ここにはそんな問題はないんだ、今までと。再処理工場にもしもしと電話をして、すごい数値が出ているぞ、何かあるから気をつけろみたいな。そうしたら、例えばHEPAフィルターが飛んでしまっているとか、様々なことがあるんだそうです。

 日本の場合には、そういった整備というのがないような、ヒューマンファクターというものが物すごくあるような気がするんですね。ジェー・シー・オーにしても、実は法律では形状管理がされていて絶対に起きない事故であったけれども、それを無視してやってしまう。あれは、「常陽」かどこかの核燃料を早く作れという指示があってやったというような、そういうヒューマンファクターとして、彼らを責めることはできないと思いますよね。彼らは犠牲者です。大変な思いをしてやっていらっしゃる方に、六ケ所でもバルブを間違ってやってしまったとかということがあります。

 ですから、ちゃんとした色分けとか配置とか、そういったものが、六ケ所再処理工場は、レッドセルもあって入ることができませんし、いわゆる耐震補強もできませんから、それを位置を変えるとかということも難しいことだと思うんですけれども、先生はどのようにお考えになりますか。どなたでもと言うと失礼な言い方ですが、近藤先生、お願いします。

近藤参考人 御質問の趣旨は、再処理工場が環境に放出する物質、もちろんあれは、トリチウムについては放出することになっているわけですが、ですから、それは規定を超えて放出するとかしないとか、あるいは、おっしゃるように、ほかの様々な廃棄物についても同じようにきちんと管理されているわけですが、そのきちんとした管理が確実になされるかどうかということについて御不安があるということをおっしゃっておられると思うんですけれども、その不安については、当事者が、きちんとした測定システムとそれから管理システムについて、地域社会の皆さんに、このとおりやりますということを説明して御理解をいただくというプロセスが最も重要だというふうに思っておりまして、その努力は確実に進めるようにというふうに、日頃、彼らにも申し上げているところでございます。

佐原委員 ありがとうございました。

 あと二分ほどになりましたので、今日は、諸先生のお話を聞きまして、本当にこれからまだやることはあるぞと。いつも平行線で、私は何か胸が苦しくなるんですね、この核燃の話をすると。だけれども、私、このために、再処理はやらせないぞ、そういうつもりで国会に来たんです。ですから、どうかワンススルーということをもう一度、国民的な議論として盛り上げて、お願いできるように、もし原発を進めるのであればですが。ということで、質問を終わらせていただきます。

 本日は、本当にありがとうございました。

江渡委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 今日は、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました。

 バックエンドの問題ということで、まず、今日、四人の参考人の方にお越しいただいているので、重複する部分もあるかもしれませんけれども、四人全員にまずお聞きしたいと思います。

 核燃料サイクル、イギリス、今ありましたけれども、イギリス政府が核燃サイクルを断念した、事実上断念したということについてどのように受け止められているのかということをまず一言ずつ伺いたいと思います。

 一九五二年にセラフィールドに再処理工場を建設をして、使用済核燃料からプルトニウムをイギリスは分離をしてきたわけでございます。これまで、ウランと混ぜたMOX燃料を作って軽水炉で燃やすプルサーマル、これを選択肢としてきたわけですが、これを断念して、固定化の処理をした後に地中処分する方針だとされております。アメリカも、既にプルサーマル発電の計画を放棄をして、地中深くに処分することが計画をされております。

 一方で、日本では、今年二月ですけれども、石破政権が閣議決定した第七次エネルギー基本計画で、再処理を中心とした核燃料サイクルの継続も決定をされております。つまり、全ての使用済核燃料は、必ず再処理してプルトニウムを取り出して、再び燃料として利用する、いわゆる全量再処理と言われる立場に固執をしているわけであります。

 このイギリスあるいはアメリカ、そして日本の政策というものが、かなり違う方向に、再処理あるいは最終処分という点でも進んでいる状況ではないかと思うんですけれども、このことについて、近藤参考人、鈴木参考人、石橋参考人、大島参考人にそれぞれ聞きたいと思います。

近藤参考人 今おっしゃられたとおり、世界の情勢はそういうことでございまして、世界の国はもっと、中国とかインドとかいろいろありますので、それぞれの国、それぞれの考え方でもって使用済燃料の扱いについては検討し、進めて、取り組んでいるところと理解します。

 私、日本の立場については、御紹介のような、二月のエネルギー基本計画に書いてあるようなポリシー、方針でそういう政策を選択し、これまでの蓄積を踏まえて、そういう選択を引き続き確認したということだと理解していますが、おっしゃられるように、様々な選択肢が世の中にあることは確かなわけでありまして、それをフレキシビリティーを持って使えるようにするのが合理的なのか、国として一つの方針を決めて事を進めていくのが合理的なのかという、それは選択の問題だと私は思っていまして。

 昔話になってしまいますが、私も原子力委員会を引き受けて、原子力政策大綱を作ったときには、表現としてはややフレキシブルな、使用済燃料の取扱いはややフレキシブルな表現にしたつもりなんですけれども、やはり度重なる、政府は別のスタンプを押したということは確かなのでありまして、ですから、そこはそれぞれの時の選択の結果だというふうに理解していまして。

 私は、今でも、やはりそういう意味で、おっしゃるように、選択肢というのはあった方がいいし、身の処し方を考えるためにはあった方がいいことは多分間違っていないと思いますので、それは、今も、例えば直接処分、地層処分にして直接処分についても研究開発は進めているわけです。ですから、また、彼らに言わせれば、いや、可能性はちゃんと追求しているんだと言うかもしれませんけれども、そこはもう少し、鈴木先生がおっしゃるように、明示的に選択肢があるということにする方が合理的かどうかについては十分皆さんで御検討されたらと思います。

鈴木参考人 今、近藤先生が言われましたように、原子力委員会でもう二回議論をしていまして、選択肢の確保というのは重要であるということは明記されています。

 ただ、残念ながら、今の政策は全量再処理がずっと継続されていて、選択肢が排除されているというのが現状ですので、今日のポイントは、まず、高レベル廃棄物処分の中に使用済燃料を入れることで選択肢を広げる、それで、再処理についてどういう合理性があるかについてまた議論をしていただきたいと思います。

石橋参考人 ありがとうございます。

 イギリスの選択は立派だなというふうに思います。

 なぜかといいますと、賛成、反対、どうのこうのにかかわらず、ちゃんと合意形成ができたんだな、そのプロセスをちゃんと踏んだんだなということで立派だなと思います。

大島参考人 イギリスが核燃料サイクルというか再処理を断念したことに関しては高く評価します。

 エネルギー基本計画の中に核燃料サイクルについての記述がありますけれども、ゼロオプションで、議論なんかしていないわけですね、エネルギー基本計画の中で。幾つも選択肢があるのに、ゼロということ、しないとか、途中、両方あるということも考えずに、とにかく今のとおり着実に進めるんだということだけが結論として出されているというか、初めから結論なんですね。

 これはエネルギー基本計画全てに言えることなんですけれども、ちょっと今日の話とはずれてきますけれども、エネルギー基本計画を作るときもいろいろなモデルを提示して検討したかのように見えますが、原子力に関しては初めから決め打ちなんです。検討しないんです。それであると、やはり、いろいろな選択肢を検討した上で最も合理的だということにはならないので、ここはやはり変えていくべきだと思います。

 核燃料サイクルの在り方についても、二〇〇四年ぐらいと、あと二〇一一年、一二年のときに見直しの機会がありました。それ以降、一度もまだそういう見直しというか検討もされない状況ですので、イギリスの状況も踏まえて、日本でも考えるべきだと思います。ただ、これは高レベル廃棄物処分とは独立してやるべきだというふうに思っております。

 以上です。

辰巳委員 ありがとうございました。

 近藤先生から本来はフレキシブルにというお話もありましたし、イギリスで合意がされたのは非常に画期的であり、あるいは評価できるということの一方で、日本のこれに関わる政策が非常に、非常にというか極めて硬直的だというお話がありました。

 イギリスは、分離したプルトニウムを燃焼させる高速増殖炉を開発して利用する計画だったわけですけれども、原型炉が事故を起こして、廃炉になって計画を中止した。さらに、セラフィールドの再処理工場も二〇一八年に操業を停止するなど、核燃サイクルが行き詰まって今回の決定に至った。日本も、プルトニウムを再利用する高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉が二〇一六年に決定をして、六ケ所再処理工場が一九九三年の建設開始以来、三十二年経過しても完成していないわけです。

 核燃サイクルの破綻は明瞭だと我々、我が党は考えておりますので、イギリスも日本もほぼ同じ状況にその点では置かれている、日本の政策の変更というのが今求められている、問われているというふうに思います。

 次なんですけれども、原発立地地域の使用済核燃料をめぐる矛盾について、これは鈴木参考人と大島参考人に見解を伺いたいと思います。

 福井県の杉本達治知事は、三月二十四日、県内の原発から出る使用済核燃料を県外に搬出する関西電力の新たな工程案を容認をいたしました。関電は、二〇二四年度末までに県外搬出について実効性のある計画を提示できなければ、運転開始から四十年を超えた高浜一、二号機と美浜三号機の三基の運転を実施しないと約束をしていましたが、停止は回避された形となりました。

 しかし、関電の新たな工程表は、六ケ所の処理工場が二〇二七年度から再処理を開始することを前提にしております。これまで工場の完成を二十七回延期をしてきたのに、本当にできるのか、実効性のある計画と言えるのかという、福井県民や県議会でも強い懸念の声が上がっております。これは当然のことだと思います。根本的な解決策になっていないと、多くの国民が地域住民を含めて感じていることだと思います。

 この核燃サイクル、我々は破綻していると思っておりますけれども、原発を動かして、使用済核燃料、核のごみを増やすのをまずやめること、これが矛盾を更に大きくしないために今できることだと私たちは考えておりますけれども、鈴木参考人と大島参考人に御見解をお聞きしたいと思います。

鈴木参考人 使用済燃料の取扱いについては、安全面から、まず、プール貯蔵に長く置いておくよりは、なるべく早くキャスクに入れて乾式貯蔵するのが望ましいということは、テロ対策から考えても言われていることなので、私の意見は、原発再稼働にかかわらず、なるべく早く使用済燃料は乾式貯蔵に移す。

 その場合、どこに置くかが問題になるわけで、そこが問題になっているわけですが、これも、技術的観点からいえば、できれば今のサイトに置くのが一番よいと。移動するのが結構大変になるわけですね。それから、立地プロセスを考えても、それも大変なので、できればそれが望ましいと私は考えています。

 ただ、社会的な観点から申しますと、おっしゃるとおり、地元ではなかなか受け入れにくいということもありますので、それで中間貯蔵という概念が出てきて、むつや、今は上関にも何か候補が挙がっていますけれども、ほかへ持っていくとなっていますよね。

 その際、行き先が再処理工場しかない、その後ですね、中間貯蔵の問題は、中間貯蔵した後、どこへ持っていくんですかと聞かれたときに、今は選択肢は再処理しかないわけですから、再処理工場が動いていないとふん詰まりになってしまうというふうに懸念がある。

 一つの選択肢として私が提案しているのは、まず、日本原燃さんは再処理契約をする場合に貯蔵の契約も入っているはずなんですね。したがって、日本原燃さんに将来再処理するという前提で使用済燃料の中間貯蔵を引き受けてもらうという手もあると思います。次に、今日お話ししました、高レベル廃棄物として処分場に持っていけるようになれば、NUMOが引き受けるということも選択肢として出てきます。

 したがって、選択肢を広げることが大事なので、今のままだと、中間貯蔵後にどこへ持っていくんですか、再処理工場しかないと今の御指摘のような不安が出てきますので、選択肢を広げるという意味で、今日提案させていただいた、高レベル廃棄物処分法の改正をして最終処分ができるようにするということが大事ではないかと思います。

大島参考人 私なりの考え方をお話ししたいと思います。

 使用済核燃料の在り方については、再処理にこだわる余り、こだわって、使用済核燃料を再処理工場に送るということが約束事項になってしまっていて、そのことが混乱につながっているというふうに思います。再処理ができると、再処理にこだわる余り、それができるかのような、毎回、おっしゃられるように、二十七回延長して、次はできます、次はできますというふうにおっしゃって、二十七回も三十何年にわたってしていたら、当然、次もできないであろうというふうに、皆さんも多分思って、多くの方が思っているわけです。

 私は、約束させる人も約束する方も、半ばできないんじゃないか、またできないんじゃないかということがほぼ分かりながら、半ば儀式のようにやっているというふうに私は思えて、そういう状況をいつまでもいつまでもほっておくと大変問題だと。

 それは、何が問題かといえば、地元が、地元も含めて大混乱して不幸が起こるわけですね。福井県議会は別に、原発反対の議員がいない議会だというふうに理解していますけれども、そこですら、こんなものにずっとつき合わされているので、非常に怒りも出てくるし、反対という話も出てくるわけです。

 そういう意味では、再処理から出てくる高レベル廃棄物処分だけが処分の道なのだというふうにすることが政治的に決められているがためにこんなことが起こるので、まずは切り離して、使用済核燃料の直接処分もあり得るんだと。これは技術的に可能だということは鈴木先生も近藤先生もおっしゃられているので、あとはもう政治的な判断だけなわけです。

 更に言えば、関西電力も無責任に、またできるかのような話で、スケジュール、紙ぺら一枚と言ったらおかしいんですけれども、データで出してくるわけですね。あれは計画とは思えないです、私は。学生がそんなものを出してきたら、これは本当に論文の計画かというふうに言うようなものであって、あれは単なるエクセルで作った表にすぎないわけですから。

 そういう意味では、ちゃんと、そういった無責任な行動をさせないためにも、国がきちんと切り分けて、使用済核燃料の処分もあり得るんだという選択肢を示すということが求められていると思います。

辰巳委員 ありがとうございます。問題の先送りというお話だったと思います。

 最後一問だけ、ちょっと、時間がもうほとんどありませんので、大島参考人にコストについてお伺いしたいというふうに思います。

 六ケ所工場、これも、再処理工場の運転期間を二〇〇六年から四十年と仮定して、廃止も含めた費用として当初は十八・八兆円と試算していた。それが、二〇二四年の時点では、再処理に関わる費用は十七兆五千三百億円、さらに、放射性廃棄物の処分や中間貯蔵の費用も含めれば二十二兆円を超えるという報道もありました。

 核燃サイクルのコスト増大は電気料金を通じて国民負担とされており、これは看過できない問題だというふうに思います。大島参考人に、このコストのことについてお伺いしたいと思います。

大島参考人 簡潔に申し上げますと、電力会社にとっても、燃料費よりも再処理費用の方が高くなっているので、再処理しないということは、原子力の経済性にとってもよりよいわけですね。

 あと、国民的な負担からいうと、物価高ということがありますので、二十兆円では済まない。私は、見るたびに、毎年のように事業費が上がっているんですけれども、感覚が麻痺してまいります。毎年数千億円ぐらい上がっていくわけです。こんなことが許されるような、民間事業ではあり得ないし、ましてや、国だから許されるということでもないと私は思います、数千億円ずつ上がっていくので。

 そういう意味では、こういった点は、経済的にも、もちろん環境的にもですけれども、再検討して、これは高レベル廃棄物処分とは違いますけれども、再処理の見直しは必須だというふうに思っております。

辰巳委員 ありがとうございました。

 終わります。

江渡委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十三分散会


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