第10号 令和7年6月10日(火曜日)
令和七年六月十日(火曜日)午後一時二十五分開議
出席委員
委員長 谷 公一君
理事 上田 英俊君 理事 上川 陽子君
理事 牧島かれん君 理事 神津たけし君
理事 坂本祐之輔君 理事 森田 俊和君
理事 東 徹君 理事 日野紗里亜君
大空 幸星君 大西 洋平君
加藤 竜祥君 岸 信千世君
草間 剛君 小池 正昭君
田野瀬太道君 萩生田光一君
福原 淳嗣君 三反園 訓君
宮内 秀樹君 宮下 一郎君
向山 淳君 東 克哉君
阿部 知子君 安藤じゅん子君
市來 伴子君 中谷 一馬君
橋本 慧悟君 福田 淳太君
福森和歌子君 奥下 剛光君
黒田 征樹君 仙田 晃宏君
浮島 智子君 大森江里子君
阪口 直人君 本村 伸子君
吉良 州司君
…………………………………
国務大臣
(デジタル大臣)
(デジタル行財政改革担当) 平 将明君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 三原じゅん子君
国務大臣
(新しい地方経済・生活環境創生担当) 伊東 良孝君
厚生労働副大臣 仁木 博文君
農林水産副大臣 笹川 博義君
防衛副大臣 本田 太郎君
デジタル大臣政務官
兼内閣府大臣政務官 岸 信千世君
文部科学大臣政務官 金城 泰邦君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
政府参考人
(内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官) 吉田 宏平君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) 徳増 伸二君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房長) 中村 英正君
政府参考人
(こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君
政府参考人
(こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 冨安泰一郎君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 村上 敬亮君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 日向 信和君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森友 浩史君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官) 堀野 晶三君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 榊原 毅君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 神ノ田昌博君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 勝野 美江君
政府参考人
(農林水産省農産局農産政策部長) 山口潤一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 西村 秀隆君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君
―――――――――――――
委員の異動
六月十日
辞任 補欠選任
草間 剛君 福原 淳嗣君
市來 伴子君 阿部 知子君
同日
辞任 補欠選任
福原 淳嗣君 大空 幸星君
阿部 知子君 市來 伴子君
同日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 向山 淳君
同日
辞任 補欠選任
向山 淳君 草間 剛君
―――――――――――――
五月七日
幼稚園教諭、保育士、保育教諭資格の一元化等に関する請願(長谷川嘉一君紹介)(第一二二二号)
同月二十二日
国・自治体の責任を堅持・拡充し、保育・学童保育の基準・施策の抜本的改善と予算増額を求めることに関する請願(浅野哲君紹介)(第一二五五号)
同(斎藤アレックス君紹介)(第一二七八号)
同(青柳陽一郎君紹介)(第一四〇三号)
同月二十八日
国・自治体の責任を堅持・拡充し、保育・学童保育の基準・施策の抜本的改善と予算増額を求めることに関する請願(佐々木ナオミ君紹介)(第一五〇四号)
六月十日
国・自治体の責任を堅持・拡充し、保育・学童保育の基準・施策の抜本的改善と予算増額を求めることに関する請願(辰巳孝太郎君紹介)(第二〇六六号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第二二五七号)
同(志位和夫君紹介)(第二二五八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二二五九号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第二二六〇号)
同(田村貴昭君紹介)(第二二六一号)
同(田村智子君紹介)(第二二六二号)
同(堀川あきこ君紹介)(第二二六三号)
同(本村伸子君紹介)(第二二六四号)
国の制度として、十八歳までの医療費窓口負担を無料にすることに関する請願(青山大人君紹介)(第二二四三号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第二二四四号)
同(櫻井周君紹介)(第二二四五号)
同(志位和夫君紹介)(第二二四六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二二四七号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第二二四八号)
同(田村貴昭君紹介)(第二二四九号)
同(田村智子君紹介)(第二二五〇号)
同(野間健君紹介)(第二二五一号)
同(藤原規眞君紹介)(第二二五二号)
同(堀川あきこ君紹介)(第二二五三号)
同(松下玲子君紹介)(第二二五四号)
同(本村伸子君紹介)(第二二五五号)
同(柳沢剛君紹介)(第二二五六号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件
――――◇―――――
○谷委員長 これより会議を開きます。
地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件について調査を進めます。
この際、去る五月二十六日、地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する実情調査のため、委員十五名が参加し、長野県伊那市において、産学官連携拠点施設inadani sees及び児童発達支援センター小鳩園の視察を行いましたので、参加委員を代表して、その概要を御報告申し上げます。
まず、inadani seesでは、車内でオンライン診療を受診できる車両などを視察した後、伊那市におけるドローン配送などのデジタル技術を活用した買物・移動・医療困難者支援の先進的な取組について、白鳥市長から説明を聴取しました。
次に、児童発達支援センター小鳩園では、伊那市の子供政策及び同園の取組等について説明を聴取しました。
その後、民間児童発達支援事業所との違い、国による財政支援の必要性、発達に特性のある子供の保護者に対するケア、豊かな自然環境を生かした屋外活動を中心とする保育がもたらす効果などについて意見交換を行いました。
以上が視察の概要であります。
最後に、今回の視察に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。
―――――――――――――
○谷委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官吉田宏平君外十八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西洋平君。
○大西(洋)委員 自民党、東京十六区の大西洋平でございます。
本日は、このような質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
一般質疑ということでございまして、デジタル庁、そしてこども家庭庁に所管につきまして御質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
まず初めに、マイナ保険証を活用している医療機関などに対する、インターネット環境の故障時などの公的な修理機関や修理制度の必要性についてお伺いをいたします。
昨年十二月から紙の健康保険証の新規発行が停止され、マイナンバーカードの健康保険証利用、いわゆるマイナ保険証の利用率が今年四月現在で二八・六五%に至っています。更に普及を促進していくことが重要ですが、ここまで普及したのは、病院、診療所、歯科医院、薬局などの医療機関の皆様が協力してくださったことも大きかったと存じます。
そこで、病院、診療所、歯科医院、薬局などの医療機関におけるマイナ保険証システムの導入率について、まずお伺いをさせていただきたいと思います。
○榊原政府参考人 お答え申し上げます。
令和七年二月末時点で、紙レセプト請求施設を除きましてレセプト請求があった施設のうち、オンライン資格確認の運用を開始している各施設の割合を申し上げますと、病院は九九・三%、医科診療所は九八・〇%、歯科診療所は九八・五%、薬局は九八・九%となっているところでございます。
○大西(洋)委員 答弁をいただきました。
医療機関におきましては、お伝えいただいたとおり、九九%がマイナ保険証システムを導入しているということを改めて確認をさせていただきました。診療機関において今やその中心に据えられているシステムでございます。マイナ保険証システムは、当然ですが、インターネット環境が整っていなければ活用できません。
ある歯科医院での個別の事例を紹介させていただきますが、ゴールデンウィークの谷間に歯科医院のインターネットが故障してしまい、マイナ保険証システムが活用できなくなったそうでございます。もちろん、資格情報のお知らせ、資格情報通知書を窓口に提示すれば受診はできますが、多くの患者の方々にとってマイナ保険証が自然な形となる中で、資格情報通知書を持参している方はほとんどいないと存じます。
この歯科医院の先生は、インターネットサービスを提供している事業者、この方の場合はNTTでしたが、事業者に修理の相談をしたところ、修理対応には数日を要し、ゴールデンウィーク前の診療希望者であふれる歯科医院は診療に著しい不便をもたらす状況となりました。
マイナ保険証の活用により、診療情報の一元化や医療費控除などの手続の簡素化などの大きな効用があることは理解をしております。また、インターネットサービスにおいて、特別な契約、追加料金を支払えば故障時に迅速な修理対応が行われることも理解をしておりますが、その負担を医療機関の方々に負わせるのは制度変更をお願いする中でいかがなものかと感じる部分もございます。
マイナ保険証システムが重要な社会インフラであることを踏まえ、マイナ保険証を活用している医療機関などに対する、インターネット環境の故障時などの公的な修理機関や修理制度が必要と考えますが、政府のお考えをお伺いさせていただきます。
○榊原政府参考人 お答え申し上げます。
マイナ保険証は、本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に寄与するものであり、その利用促進を図ることは重要でございます。同時に、トラブルがあった場合でもマイナ保険証で安心して受診できるよう、丁寧に対応する必要がございます。
医療機関で機器やネットワークの不具合等でマイナ保険証の読み取りができない場合でも、マイナンバーカードとマイナポータルの資格情報画面を提示することのほか、再診の方は過去の資格情報の口頭確認や、初診の方も医療機関にある資格申立て書への記入により、十割負担をすることなく円滑に保険診療を受けられることとしており、その旨を示したリーフレットも作成し、医療機関、国民に周知しているところでございます。
加えまして、オンライン資格確認等システムを運営する社会保険診療支払基金と国民健康保険中央会において、医療機関向けのコールセンターを設けており、機器トラブルを含めた様々な事例の問合せに対応して、きめ細かい対応をしているところでございます。
一方で、御指摘のように、約二十二万の医療機関等の施設に導入されている院内のシステムを一元的に把握した上で、トラブル発生時に対応できる人材を育成、確保することや、全国にそのような人材を配置して医療機関に派遣できるようにすることなどについては、院内のシステムの仕組みが多岐にわたる中で一定の課題が存在すると考えておりますが、マイナ保険証のメリットが更に発揮されるようにすべきとの問題認識は共有してございまして、利便性の向上に向けて取組を今後とも進めてまいりたいと考えております。
○大西(洋)委員 御答弁をいただきました。
コールセンターの取組などはもちろん留意している中ではございましたが、利便性の向上ということでお答えはいただきましたが、質問させていただいた部分というのはなかなか難しいのか、そういうことだと理解をします。修理機関の創設というか支援が難しいのであれば、せめてマイナ保険証システムを円滑に活用できるように、加えて、例えば診療報酬の加算などを含め何らかの援助措置など、今後様々な課題がまた出てくると思っておりますので、柔軟に是非御検討いただけたらありがたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
次に、インターネットにおける誹謗中傷対策として重要となるプラットフォーム事業者へのデジタル庁の権限と、他省庁との役割分担、連携についてお伺いをいたします。
インターネットが社会的インフラと言えるほどに重要な存在となる中で、インターネット上での誹謗中傷により、時には人の命が失われるような痛ましい事件も発生しております。
今日の午前中も総務委員会で議論させていただいたところでございますが、インターネット空間が誰にとっても安心で安全なものとなるようにあらゆる取組が必要となりますが、インターネットにおける誹謗中傷対策として、人権侵害や、暴力的、性的な表現などのおそれのある投稿を、AIによる判別をし、プラットフォーム側から警告が出る機能があると承知をしております。主なプラットフォームでは、ヤフーやティックトックなどが導入していると伺っております。
こうした投稿時の警告機能は、多くのプラットフォーム事業者で導入されているファクトチェック機能とともに、デマや誹謗中傷投稿の抑止につながっているとの有識者の声がございます。
現在、政府では、令和七年度デジタル社会の実現に向けた重点計画を策定中であると認識をしております。AIの徹底活用や、防災、医療、子供、教育などのあらゆる場面でのデータ活用など、多角的な計画が議論、検討されていると承知もしております。この令和七年度デジタル社会の実現に向けた重点計画の策定、実施においては、デジタル庁が中心的役割を担っていると認識もしております。
こうした状況を踏まえた上で、プラットフォーム事業者の所管官庁は、その事業内容や規模、規制の対象によって異なります。大きく分けて、経済産業省、総務省、消費者庁、デジタル庁、公正取引委員会など多岐にわたります。
このうち、インターネット上の違法、有害情報の排除、誹謗中傷や権利侵害に対する対応は総務省の所管事項でございますが、デジタル庁としてアプローチできること、また、デジタル庁が対応した方が多角的なアプローチになる部分も大きいのではないかと考えております。
先ほど触れたAIを活用しての問題投稿時の警告機能の研究などはデジタル庁の分野かと思っております。インターネット上の違法、有害情報の排除、誹謗中傷や権利侵害に対する対応には大きな力となるはずです。多角的な観点から、インターネットにおける誹謗中傷対策を含め、社会インフラであるインターネット環境を整える絶対的な司令塔としてデジタル庁に中心的役割を担っていただきたく、意義について大臣にお伺いさせていただきます。
○平国務大臣 インターネットにおける偽・誤情報や誹謗中傷等の権利侵害情報の対策については、今、大西先生御指摘のとおり、総務省において情報流通プラットフォーム対処法等を踏まえて対応されているものと承知をしております。
その上で、AIとかインターネット環境を整えるという御指摘がありました。
デジタル庁としては、各省の政策、デジタルが関わらないものはほとんどないので、それを全部デジタル庁がやるとデジタル庁も回らなくなるので、一定の役割分担は必要だと思いますが、このような各省の取組、各施策について、必要に応じてデジタル庁としてAIなどのデジタル技術に関する助言をするなど支援に取り組んでいます。
具体的には、例えば、匿名・流動型犯罪のときに、警察庁とデジ庁が組んで、デジ庁が抱えているAIエンジニアが怪しいツイートを抽出をして、それに警察庁のアカウントがウォーニングをリプライするという仕組みをつくりました。結果として警察庁の業務を八割削減をすることができました。
なので、助言、支援にとどまらず、必要なときはデジ庁が出張っていって解決に取り組みたいと思います。
○大西(洋)委員 大臣から御答弁をいただきました。多岐にわたり、ありがとうございます。
実際に成果があった先駆的な取組などを交えてお伝えをいただいたわけでございますが、先ほどお伝えしました、例えば、AIによる、人権侵害や暴力的、性的な表現などを事前に判別して警告が出る機能など、こういった技術的な部分はやはりデジタル庁がしっかりと引っ張っていただきたい、そういった情報があるということをしっかり知らしめていただきたいと思っておりますので、絶対的な司令塔という言葉をさせていただきましたけれども、平大臣の強烈なリーダーシップの下、しっかりと引き続きお取組をしていっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
続きまして、所管が変わりまして、卵子凍結について国の補助の必要性についてお伺いをしたいと思います。
先日発表された二〇二四年の我が国の出生数は六十八万六千六十一人となり、前年より約四万人減少し、一八九九年に統計を取り始めてから初めて七十万人を下回りました。合計特殊出生率についても、前年より〇・〇五ポイント下がり、一・一五となりました。この数字は、一昨年、国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来予測においては、十五年先の二〇三九年での数字です。国立社会保障・人口問題研究所における予測よりも加速度的に少子化が進んでいるとも言えます。
こうした中で、子育て世帯に対し政府はあらゆる取組を実施していることは承知をしておりますが、今日は、これから出産を考えている方々への施策についてお訴えをしたいと思っております。
少子化の一因として晩婚化や未婚化が理由として挙げられますが、こういった状況の中で、出産したいタイミングと出産する環境が整うタイミングがずれてしまうことで、結果として子供を持たないことになるケースもあると伺っております。
様々な方々とのヒアリングの中で、仕事が忙しいタイミングと医学的な出産適齢期が重なる中で、卵子凍結により妊娠、出産のタイミングの選択肢を増やし、出産に至り、自分の描くライフプランの実現に近づくことができた、そういった喜びの声を伺いました。
出産環境が早期に整うように若い世代の方々の所得を増やしていくなどの社会的アプローチを行うとともに、科学的アプローチとして、出産する環境が整ったタイミングでの妊娠の確率を高める取組として、卵子の凍結という手段も選択肢の一つとなるのではないかと考えております。
卵子の妊娠率は体外受精においても三十歳代半ばから下がる傾向とも言われている中で、凍結卵子の活用により、妊娠の確率は四十歳代となっても四〇%以上の確率を維持できるとの研究結果もございます。東京都では、不妊治療の一環としてではなく少子化対策として、卵子の凍結に二十万円の補助金を支給しています。
卵子凍結をしたものの実際には約七〇%以上の方が凍結卵子を使用しないというデータがあることも承知はしているところでございますが、少子化がここまで進んでいる状況の中で、あらゆる取組を行うべきと考えております。
妊娠、出産のタイミングの選択肢を増やす卵子凍結は、それぞれに財政力の違いのある自治体任せにせず、国としてもしっかりと支援をしていくべきではないかと考えております。卵子凍結への国としての補助金支給の必要性と検討につきまして、三原大臣のお考えをお伺いさせていただきます。
○三原国務大臣 健康な女性を対象とする、いわゆるノンメディカルの卵子凍結につきましては、関係学会において、加齢に伴う妊娠率の低下や不妊の原因となる病気にかかるリスクに対応して、妊娠の可能性を将来に残せるメリットがある旨が示されていると承知をしております。
他方で、凍結卵子が妊娠成立までたどり着く可能性が不確実で、将来の妊娠を保証するものではないことや、排卵誘発、採卵を行うことに伴い社会生活への影響や身体的負担が想定されることなど、個人が卵子凍結について正しい知識を持った上で判断できる環境整備が重要と考えております。
このため、こども家庭庁といたしましては、若者向けのポータルサイト、スマート保健相談室におきまして、卵子凍結に関する正しい情報の掲載をし、周知啓発に取り組んでいます。
その上で、一部の自治体ではノンメディカルの卵子凍結に公費による助成が実施されており、ノンメディカルな卵子凍結を検討される方々も増えている、また、望まれる方の選択肢ともなっているということも承知をしております。
こうした中で、これも踏まえまして、先週金曜日に決定いたしましたこどもまんなか実行計画二〇二五において、卵子凍結に関して、知見の収集や正しい知識の普及に係る環境整備を行うと新たに明記をしたところであり、自治体での取組も把握しながら、具体的な進め方を検討してまいりたいと考えております。
○大西(洋)委員 大臣から御答弁をいただきました。もしかしたら難しい御答弁だったかもしれませんけれども、真摯にお答えをいただいたと思っております。ありがとうございます。
まんなか実行計画にしっかり記載をしていただいてということで、本当に大変心強く思っております。確かに、二十年前とかでしたら、保証するものではないですとか、もちろん身体的な影響というのは重々承知で、それはもちろん配慮があってしかるべきでございますが、一方で、それを望むか望まないかは御本人が選択をするわけでございますので、ですから、わらをもつかむ思いで選択する際に、それに対して国がしっかりと選択肢を設けているということは非常に重要だと思っておりますので、今、三原大臣から真摯に御答弁をいただきました、是非引き続きのお取組をよろしくお願いをしたいと思います。
続いて、多胎児支援についてお伺いをしたいと思っております。
少子化が加速度的に進み、あらゆることを取り組むべきときに来ているということは重々お伝えをさせていただいておりますが、多胎児支援も国の取組と当事者の方々のニーズにギャップがあった分野と考えています。
多胎児は、この三十年間、全体の約一%で推移しているとのことですが、その支援は、妊娠、出産、産後の段階では様々な取組が行われていると承知をしております。
一方で、多胎児の保護者の方々からは、例えば子供が病気になったときなど、その苦労は、多胎児であるがゆえに移動などの困難性が増すという声もお伺いしているところでございます。多胎児の子育てが大変で、その次の子供を産み、育むことをためらってしまう保護者も多いようでございます。
その苦労は年子でも変わらないという意見ももちろんあろうかと思いますが、まずは、多胎児についても多胎児特有の課題への支援が必要であると考えております。現在の多胎児支援の取組についてまずお伺いをさせていただきます。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
多胎児の御家庭にあっては、同時に二人以上の妊娠、出産、育児をすることに伴いまして、身体的、精神的な負担など、多胎児ならではの困難さに直面することがあり、それぞれのニーズに応じた支援が重要と考えております。
このため、多胎家庭への産前産後の支援としましては、多胎妊婦の方が追加で必要となる妊婦健診の費用の上乗せの補助ですとか、多胎児の育児を経験した家族との交流会を通じた相談支援、多胎児を養育する家庭向けに外出の補助や日常の育児に関する介助等の支援などに取り組んでいるところでございます。また、昨年の十一月からは、双子、三つ子のマタニティーマークを新たに作成をいたしまして、多胎妊婦にも優しい社会環境づくりを推進しているところでございます。
さらに、本年四月から、妊婦のための支援給付、法律に基づき支給を開始しております。この給付は、妊娠時に五万円、妊娠後期以降は胎児の数に五万円を乗じた額ということを支給するものでございまして、例えば、双子の場合には合計十五万円、三つ子の場合には二十万円の支給というふうになります。
こういった支援をしているところでございますし、また、多胎児に限定したものではありませんけれども、妊産婦やその家族の負担軽減に資する取組としての産前・産後サポート事業ですとか産後ケア事業、こういったものにも取り組んでいるところでございます。
こうした取組を通じまして、引き続き、多胎児のいる御家庭への支援をしっかり推進してまいります。
○大西(洋)委員 御答弁をいただきました。ありがとうございます。
考え方によっては年子との違いという部分もあるかと思いますけれども、多胎児から三子目、あるいは一子、二子、年子でいって三子目というと、数値でいきますと、多胎児からのもう一歩というのもやはり課題があるということで伺っておりますので、いろいろ課題があるかと思いますが、引き続き問題意識を持って取り組んでいただきたいと思います。
済みません、時間が来てしまいましたのでこちらで終わらせていただくんですが、CSR活動、出会いの場の創設については、婚活支援等々につきましては、大変恐縮でございますが、また次回質問をさせていただきたいと思います。
いずれにいたしましても、視点を変えて今日は質問をさせていただきましたが、あらゆる手段で、子育て支援ということで、しっかりとやっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
質問を終わります。
○谷委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。
本日は、皆様の大切な当委員会にお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。
私は、今日は主に三原担当大臣に、いわゆる旧優生保護法に基づく補償金の支援、給付についてお尋ねをいたします。
三原大臣も御存じかもしれませんが、本日、ニューヨークで第十八回の障害者の権利条約締結国会議が行われておりまして、北さんという優生保護法にのっとって不妊手術を受けられた男性がそこで御発言をなさいます。もう終わったことかと思います。
冒頭、これは通告してございませんが、大臣にちょっとお伺いしたいのですが、三原大臣は、昨年の十月の十一日の記者会見だったと思いますが、G7包摂と障害という国際会議、イタリアで行われるところに、内閣府の特命担当大臣、この場合は共生とかいうことかと思います、大臣として御出席されて、そこでソルファニャーノ憲章というものができたと聞いております。
果たして、G7のこの会合で、三原大臣は、我が国のこの優生保護法とそれに基づく国の対応については何か御発言をされましたでしょうか。
○三原国務大臣 昨年十月、イタリアで行われましたG7において、私どもの旧優生保護法の話もさせていただきました。
そしてまた、いろいろな話合いの中で、私どもがこうした大変おつらい思いをさせてしまった経緯とか、そうしたことについても触れて、皆さんにお話をさせていただいたところでございます。
○阿部(知)委員 障害のある方の断種あるいは子供を持てなくするようなことは大きく人権に反しますし、日本の負の経験をきっちりと世界にもお伝えした上で、また、日本は日本でその方たちにあたうる限りの救済を行っていくということで、三原大臣にはよろしくお取組をお願いしたいと思います。
さて、大臣はこの問題、会見の都度、いろいろなところでかなり御発言と思いますので認識も高いと思っておりますが、旧優生保護法の被害者に対する補償金支援の現状を見ますと、五か月を過ぎたところなのですが、実際に補償金を受けられた方がまだ三百三人とかでございまして、非常に遅々たるものだと思います。
大臣のお手元の資料一枚目、これは優生保護法全体について説明をしてございますが、旧優生保護法について、いろいろな優生手術を施された方の総数は二万五千、これは政府の出したものでございまして、現在の補償法より以前は一時金の支給という形で、その方に対してのある意味のおわびというか、そういうことも国としてはしてきたと思うんです。
これは担当部局でお答えいただきたいんですが、一時金、これは補償金ではありません、申し訳ないお気持ちを伝えるということで今まで一時金を手渡ししておりますが、この数、果たして二万五千のうち幾つになったか、お答えできるかな。お願いします。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
今回の補償金の前にできている一時金の方の支給でございますけれども、まず、令和七年四月末現在で千百九十三件でございます。これは一時金支給法ができてから六年目というふうになりますけれども、その時点で、直近で千百九十三件、累計でございます。
○阿部(知)委員 今お尋ねしましたのは、トータル母数が二万五千件で、六年、七年たってそのうち千百九十三というのは余りにも私は少ないと思うんです。ここの、なぜというところを解明しないと、今のような補償金についても、現実にはそれが手渡されるはずの人に行かないのではないかと懸念いたします。
実は、三原大臣が昨年の十月の十一日の記者会見のときに、それは今の賠償法ができ上がる前の段階で、最高裁判決が出て取りあえず謝罪ということと、それから賠償の話が出てまいった頃でありますが、一体この対象者はどのくらいになるでしょうということで、大臣の御発言がございました。御紹介したいと思います。
本人が二万五千人、配偶者が七千六百人。今回の場合、一時金ではないので、賠償とかになりますと、その配偶者、お子さん等々にも権利が発生いたします。また、今般の賠償金は、一時金という別の形ですが、中絶に対しても一万五千人が対象となります。すなわち、合わせれば四万人余り。前は二万五千人でしたけれども、今度は更に母数が増えて、果たしてそれをどんなスピードで、スピードというか確実性を持ってやっていかねばならないかということであります。
大臣もお手元の資料を開いていただくと、二枚目に、今御答弁のあった一時金が千百九十三件ということ、これは二〇一九年から。そして、下段には、今、旧優生保護法の補償金等で何件が認定されたか。現在の補償金のお話、並びに、中絶等々を含めて、先ほど、母数にすれば四万余りのうちのいかほどがたどり着いたか。まだ五か月とはいうものの、大変少ないと思います。下段の、三百三件と認定件数が赤線で引いてございますが、すなわち、今現在この数しか賠償、補償にたどり着いていないということであります。
大臣としては、これをどう御覧になって、今後どのような形でよりこれを早められるか、確実にできるかなどで御答弁をいただけたらと思います。
○三原国務大臣 こども家庭庁では、補償金等支給法の制定経緯や趣旨を十分に踏まえて、着実な施行に向けて準備を重ね、一月十七日に施行をされました。
この施行に当たっては、原告団、弁護団等の皆様の御協力をいただくとともに、周知、広報や都道府県の請求窓口の体制強化、そしてまた弁護士による請求サポートの体制整備等の取組を精力的に進めてまいりました。四月末までに、全国で相談件数三千七百七十七件、請求が千三百二十五件、補償金等の認定件数は三百三件と、都道府県の協力の下、まずは大きな混乱なく施行を開始できたものと受け止めております。
その後、被害者の方々にできるだけ早く補償金等をお届けできるよう、認定業務の体制強化や審査事務手続の効率化を図りまして、四月末時点で累計三百三件であった認定件数は五月末時点で五百八十二件と、プラス二百七十九件と認定のペースを今上げているところでございます。
加えて、都道府県等がサポート弁護士を選定した案件の数は五月末時点では五百六十五件となりまして、サポート弁護士の活用を含め、引き続き迅速な支給に向けて対応してまいりたいと考えております。
また、さらに、請求件数を増加させるために、広報、周知の徹底、あとは相談体制の整備、こうしたものを図っていく必要があって、本年三月の旧優生保護法問題の全面解決に向けた協議において、私も自ら原告団そしてまた弁護団の皆様と協議をさせていただきまして、補償金等を着実にお届けするべく、原告団、弁護団等の皆様と作業部会を設置いたしまして、各施策の具体化等の議論を継続的に行っていくこと、これもお約束をさせていただいたところでございます。
引き続き、原告団、弁護団等の関係者の御意見を伺いながら、政府一丸となって被害者の皆様への補償金等の着実な支給に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○阿部(知)委員 ここのところ加速をしていただいているということ、大変うれしく伺いました。
大臣が、一月十七日の謝罪を含めた会見の後の御発言で、今おっしゃったように、各県に弁護士さんによる請求サポートの体制整備や、あるいは、個別通知と申しまして、県にはどなたがこの手術を受けたかのリストがございますので、もちろん個人情報保護を踏まえて、それを個別に通知していく等々のお取組を、令和六年度の補正予算に必要経費を計上したというふうに承っております。
これ以前から実は地方自治体によって温度差がありまして、大分県などは、この名簿に基づいて、弁護士さんをお願いして戸籍も調べて、確実に通知をなさるということをやっております。また、兵庫県などは、優生手術が行われた施設に連絡をして、いろいろな情報交換をして、御存命であればそこにお訪ねするなどもやってございます。
ただしかし、すごく自治体間格差が生まれているのも事実であると思います。大臣のお手元の資料三ページを御覧いただきたいんですが、これはそもそも、優生保護法の、政府が発表された数でございますが、このうちの特に一位、二位を占めます北海道と宮城県、北海道は一番多く三千二百二十四件、宮城県が次いで千七百四十四件、これは大変多い県でございます。ちなみに先ほどの大分は六番目の県です。
多い県でどうであるかというところも、いろいろな自治体に取組を働きかけていただくことの中で、実は大変重要なのが、この北海道や宮城に対してのこども家庭庁からの働きかけ、あるいは、どんな困難を抱えておられるかのヒアリングなども併せてやっていただけるといいなと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○三原国務大臣 補償金等の支給対象になり得る旨を個別に通知する個別通知におきましては、国会での法律の検討過程におきまして法律上義務づけることとはされませんでしたが、国が各都道府県の取組を後押しすることとされたと承知をしております。
超党派の議連におきましても、家族に一切伝えていない場合ですとか、当時のことを思い出したくないなど、いろいろな場合が想定されるということで、丁寧に個別通知ということを考えるということだというふうに伺っております。
こうした経緯も踏まえまして、各都道府県に対して、個別通知の実施を検討する際の留意点ですとか、一時金支給法の先行事例の周知、また、個別通知のために要した費用の財政支援を行い、都道府県の取組を後押しをしているというところ。そして、このほか、一時金の受給者について、その配偶者も支給対象となる旨も含めた個別通知の実施を各都道府県に依頼をしてございます。
先生御指摘のとおり、法律の施行後に新たに個別通知の取組を進めている事例、今御案内ございました大分県ですとか兵庫県、そちらにつきましては、今後、取組状況の詳細を伺った上、先行事例として周知するなど横展開を図ってまいりたいと考えております。
また、手術の件数に比べて請求件数が少ない都道府県等につきましても、個別に意見交換をしながら取組を後押ししていきたいというふうに考えてございます。
○阿部(知)委員 是非よろしくお願いしたいと思います。
大臣には引き続いて四ページ目、五ページ目、参考資料にお目通しいただきたいのですが、実はこれは、六花出版、優生保護法関連の資料集成という本の中から取りましたが、ここでは、北海道では、「優生手術(強制)千件突破を顧りみて」ということで、わざわざ北海道の衛生部が文書を出しておりまして、その文章を読むと、いわゆる精神障害や精神遅滞等々が子供を持つということは誤ったヒューマニズムであり、生まれた子供もまたそのような障害を持って困難を抱える、そうしたことについて各医師や関係者が取り組んでこの優生手術を進めることを、そして千件を突破したということを誇りに書いておる文章で、今読めば私どもから見てもとんでもないと思いますけれども、こういう経緯でやられてきた。
同じように、宮城県の文章もその次にありますが、遺伝性の精神薄弱児を増やさないという優生手術の徹底だ、もう徹底せよと書いてございます、そうでないと宮城県民の質はだんだん低下していくでしょうと。こういう書類が公文書で残っているわけで、私は、こういうことからも、本当に日本の中に優生思想を根絶していくための取組を今回の補償給付を通じて深めていただきたいと思うんです。
そんな中で、私が今取り上げたいのはいわゆるハンセン病療養所であります。
ハンセン病療養所は元々厚生労働省の管轄で、他の手術件数とかは県から上がってまいりますが、ハンセン病療養所については、特殊性を踏まえて、今こども家庭庁が直にここに働きかけてやっていただいておるところであります、もちろん県も御存じないわけではありませんが。
ところが、このハンセン病施設でこの間明らかになったことは、これは岡山の長島愛生園というところの新聞記事でございますが、結婚の承諾というか、婚姻届と併せて優生手術に同意をつけるというような書面が要求をされております。それが一点と、それから、岡山県に届け出られた優生の手術の総数が三十三件なのに、この長島愛生園で、昭和二十三年以降、記録をたどっただけでも百二十六件あるということであります。大きな乖離、すなわち、県が把握している数と施設が実際に、今残された資料等々から見てどれくらいの差があるかということを示したものでございます。
こういうふうに、結婚の届出とそれに伴って優生手術の同意書を一緒に取っているということは既に二〇〇五年の検証報告でも挙げられておりましたが、今また、この愛生園でカルテを繰り、婚姻届を捜し、そうしましたところ今申し上げたような事実が出てきている。
そして、次のページには、その年々で要請されている様式が少し違って、婚姻届とそのときの優生手術、例えば、「私は療養の身である結婚生活の将来を考へ優生手術を行つて頂きたく」と書式五に書かれているんですけれども、その前段は婚姻の届出になっています。そして、婚姻してから二週間くらいの間でみんな優生手術が行われているという記録でございます。
開けて一枚、資料八が、先ほど申し上げました、愛生園で二十三年以降をたどっても百二十六件があった。岡山県には三十三件しかない。
ここで大臣にお願いがございますが、全国のハンセン病療養所、十三か所ございます。そこで、それぞれにこういう類似のこと、実は私もいろいろお訪ねして、園ごとに特色はあるんですけれども、この長島愛生園でやられたように、残された記録から、果たして全貌はどうであったのか、こういうことを厚生労働省と連携してお調べをいただきたいんです。
なぜならば、賠償金の法律ができましたときに、国による調査、検証というのが最後についてございます。調査、検証をするのに、逆に言えば、閉じ込められて、一番分かりやすく記録が残されているのがハンセン病療養所であります。ここで、実際には賠償金を受け取る権利のある方、それはあたうる限りの救済をしなければならない。
私の質問は、厚生労働省と連携しながら、いま一度ハンセン病療養所における優生手術の実態を調査、検証していただけないでしょうか。お願いします。
○三原国務大臣 補償金等支給法に基づき、旧優生保護法下で国立ハンセン病療養所で優生手術を受けられた方に着実に補償を届けていくということは重要だと認識をしております。
このため、厚生労働省と連携して、療養所の職員を通じた入所者の方への周知、広報、療養所を退所された方を想定し、ハンセン病療養所退所者給与金を受給された方へのリーフレットの送付、ハンセン弁護団と連携したサポート弁護士制度による相談受付等の様々な周知、広報等を進めてまいりました。
委員御指摘の、各療養所に残るカルテ等の記録調査につきましては、旧優生保護法下で各療養所で優生手術を受けられた方に着実に補償を届けるために、療養所を所管する厚生労働省とも相談しながら、療養所への協力依頼の具体的な方法等について検討してまいりたいと考えております。
○阿部(知)委員 この長島愛生園の調査をされた山本先生によれば、カルテに記載されなかったものとか、さっき、婚姻届と合わさってあるものとか、いろいろな形式で残されておりますので、今大臣がおっしゃったように、どんな調査方法がいいか、是非御検討をいただきたいと思います。
最後に一問、これ以外の、子供の権利、特に出自を知る権利について、大臣の御認識を伺いたいと思います。
先ほどの卵子の凍結のお話もそうですが、例えば、第三者の体外受精などを用いれば、その子供さんは、自分のルーツ、出自がどこにあるのか、あるいは内密出産の場合もそうですし、養子縁組の場合もそうでしょう。また、赤ちゃんの取り違え、東京都で裁判になりましたが、この場合も、御自分の出自を知りたいという原告の方が訴えられて、当然ながら勝訴をされています。
こども家庭庁で、現段階で、子供の出自を知る権利、このような立法等々についてはどのようにお考え、どのように御検討でしょうか。最後の一問、お願いします。
○三原国務大臣 子供の出自を知る権利というのは、児童の権利に関する条約において、できる限りその父母を知る権利を有すると規定されており、重要な権利であるということ、認識をしております。このため、現在も各種法令等の規定によってその保障を図ってきているところでございます。
更なる法制度の整備の必要性につきましては、出自を知る権利の保障が問題となる、委員御指摘の内密出産ですとか生殖補助医療等、具体的なケースにおける、その論点ごとに積み重ねられてきた御議論を踏まえて、それぞれ個別に検討していくべき課題であるというふうに考えてございます。
○阿部(知)委員 済みません、これを立法化した国もございますので、是非広く御検討ください。
終わらせていただきます。
○谷委員長 次に、神津たけし君。
○神津委員 立憲民主党の神津たけしです。
本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
まず最初、一問目なんですが、伊東大臣も質問六で質問通告している部分があるんですが、そこについて併せてお伺いしますので、御準備お願いします。
厚生労働省が六月四日に発表した人口動態統計で、二〇二四年の出生数が過去最少の六十八万六千六十一人となりました。合計特殊出生率も、九年連続で低下し、一・一五で過去最低となりました。一九四九年のベビーブームのときに二百六十九万人の子供が生まれていたときと比べると二百一万人も減ってしまっているというような今の現状でもございます。
人口の低下というものは、将来の日本の経済力、地域社会や社会保障を維持していく力、それから伝統文化を承継していくにも大きな影響を与えるというところでもございます。これまでの出生数を止める取組というのは、残念ながらうまくいっていなかったのではないかというふうに私は思うところです。新しい取組を始める必要があると思いますが、出生数減少を止める具体的な対策として、こども家庭庁ではどのような施策を考えているのでしょうか。
それから、あわせて、二〇一四年の国の骨太方針では一億人の人口を目標としておりましたが、その文言が消えてしまいました。国民に広く危機意識を持っていただくためにも、二〇一四年の骨太の方針で設定されていた目標人口を復活させるべきではないかと思いますが、いかがでしょうかということで、まず、三原大臣。
それから、あわせて、伊東大臣に今お伺いしますが、二〇二四年、出生数六十八万人ということで、二〇一四年の骨太の方針を基に定められたまち・ひと・しごと戦略では、二〇六〇年には人口一億人として目標が立てられておりました。今回の地方創生二・〇での目標人口を定めるのか、教えてください。最近の文章では目標人口一億人というふうに記載されていないので、それについてもまた理由を教えていただければと思います。
以上です。
○三原国務大臣 二つ御質問がございました。
先日公表されました厚生労働省の人口動態統計において、昨年の出生数と合計特殊出生率は過去最低となり、この結果を深刻に受け止めています。他方、婚姻件数は前年比で微増となっており、こうした動きを一過性に終わらせないようにしなければなりません。
少子化の要因には、大きく、夫婦の子供数の減少、そして婚姻数の減少が挙げられます。夫婦の子供数の減少の背景にある子育ての経済的、身体的、精神的負担や、仕事と子育ての両立の難しさなどの課題には、今年度から本格実施に入りました加速化プラン、これを着実に実行して、子育て世帯に強力に支援をしてまいりたいと思います。
あわせて、婚姻数の減少には、政府として、所得向上や雇用の安定、働き方改革の取組を進めるほか、大幅に要件緩和を行いました地域少子化対策重点推進交付金による地域の結婚支援等の着実な実施とともに、性や健康に関する正しい知識の普及や相談支援の充実等によるプレコンセプションケアの推進を含め、将来設計支援を更に進めてまいりたいと考えております。
これらの取組に当たり、こども家庭庁では、結婚や子供を持つことが当たり前のことではないといった若い世代の価値観の多様化や人生設計の変化等も踏まえながら、若い世代の声をしっかりと施策に反映してまいります。
こうした対策により出生率の低下に歯止めをかけるとともに、また、今を生きる子供たちが健やかに成長できるような環境整備も大変また重要であるというふうに考えてございます。あわせて、子供、子育て政策もしっかり進めてまいりたいと考えています。
その上で、出生に関する動向と子供のウェルビーイングに関する視点の両面から施策のPDCAを進めつつ、常に子供や若者、子育て当事者の視点に立って粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。
そして、人口の目標を設定すべきとの御質問でありますけれども、少子化対策を実施していくに当たっては、何らかの形で、出生率や出生数、これを通じた検証というものは必要であると考えております。
ただし、少子化対策の目標として人口や出生率等そのものを数値目標とすることは適切ではないと考えております。結婚、妊娠、出産、子育て、こうしたことは個人の自由な意思決定に基づく行為であることから、特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることは決してあってはならず、国が出生率等の具体的な数値を目標として掲げるということは適切ではないというふうに考えてございます。
自由な意思決定に基づく行為であることに加え、特に妊娠、出産は身体的な状況など様々な困難を抱える方々がいることを踏まえると、そうした方々の自己肯定感や自己存在感にも大変な影響を与える可能性があることに十分留意すべきと考えてございます。
そのため、出生率等の出生の動向に関する指標を参考指標として設定し、施策の効果について定期的な点検を行ってまいりたいと考えております。
加えて、少子化対策につきましては、子供、若者に対する施策や子育て当事者の方々への各種施策、支援策も含むものであります。出生率等出生の動向に関する指標だけで各施策の効果を判断するということはまた適切ではなく、子供、若者のウェルビーイングという視点も重要だというふうに考えております。
例えば、先日公表されましたユニセフの調査でも、我が国の子供の身体的健康、これも四十一か国中一位であること、しかしながら精神的幸福度は道半ばということも考え、多面的に施策を評価し、PDCAを進めてまいります。
○伊東国務大臣 三原大臣からかなり事細かく御答弁があったところであります。
人口一億人の目標についてのお尋ねでありましたが、政府といたしましては、ただいまお話にもありましたように、結婚、妊娠、出産、子育て等は個人の自由な意思決定に基づくものであり、人口数の国家目標は定めていない、このように承知をいたしております。
今から十一年前でありますけれども、二〇一四年にまち・ひと・しごと創生総合戦略がスタートした際に、合計特殊出生率が、二〇三〇年に希望出生率とされる一・八程度になり、その後、二〇四〇年に人口が長期的に維持される水準とされる二・〇七程度になった場合について推計を行うと、二〇六〇年に一億人程度の人口になるとの長期的な見通しを示したものであります。あくまでも一定の前提を置いた上での推計であり、一億人という人口水準そのものを国家目標として定めたものではありません。
地方創生二・〇基本構想におきましても同様の考え方であり、人口目標を定めることは考えておりません。
○神津委員 御丁寧な答弁、ありがとうございます。
個人の自由な意思決定を尊重していく、それはもちろん当たり前のことであるというふうに私も思うところです。ただ、出生数六十八万人、人生平均九十年ぐらいだとして掛け算していただいても、将来的に六千百万人ということで、日本の人口が半分になっていく。じゃ、日本の人口六千百万人で地方も維持をしていけるのかというところが大きな課題であるというふうに私も思うところなんですね。というところでは、個人の自由な意思決定を尊重する中においても、国家として最低限これだけの人口というのはやはり維持していかなくちゃいけないんだというような目標というのは、私は、ちゃんと定めておくことによって国が維持していけるのではないかというふうに思うところです。
これからまだいろいろな議論はあると思います。この委員会でも目標人口の設定について定められてきた方がいらっしゃると思いますので、是非御検討いただければと思います。
三原大臣、この質問までなので、御退席いただいて構わないです。
五月二十六日に伊那市を視察させていただきました。白鳥市長を始めとして準備していただいた市役所や関係者の皆様、視察先のinadani sees、児童発達支援センター小鳩園、昼食をいただいた信州伊那そば処名人亭、伊那市民の皆様に心より感謝を申し上げます。
伊那市は、南アルプスと中央アルプス、天竜川と三峰川と、山や川に囲まれたすばらしい自然環境を持ち、四季折々の雄大な自然環境によって自然を満喫できる場所が豊富にございます。また、新鮮な野菜や果物が手に入りやすく、食の豊かさも実感できる地域でもあります。そして、子供の主体性を尊重するような教育ですとか、それから、障害の子供に寄り添う教育というのも伊那市の特徴であるというふうに思っています。
ここは実は視察の中で余り説明がなかったところなんです。私は長野県なので、やはりよくお話を聞いているところなので少し話をさせていただきますと、伊那市の移住支援の促進の取組というのは長年にわたって幅広い分野で行ってきたというのが特徴だというふうに思っています。体験プログラム、ふるさとワーキングホリデー、地域おこし協力隊、農林業体験イベント、古民家改修支援等の移住促進の施策というものが非常に充実しております。ふるさとワーキングホリデーでは、二週間から四週間の無料宿泊とレンタカーつきで、農作業や森林整備、松葉茶作りなどの伊那市ならではの仕事や暮らしを体験できることで、高い人気を誇っているところでもあります。
伊那市の移住促進の成功要因というのは、自然が豊かなだけではなくて、移住希望者との多岐にわたる接点を創出して、移住後の生活を想像しやすい様々な体験プログラムを準備している点にあると思います。また、先ほど紹介したふるさとワーキングホリデーのように、実際に住んでみる、働いてみるという機会を設けることで、移住への心理的ハードルを下げて、興味を具体的な行動へと転換させることに成功しております。移住を体験の延長線上に置くことで移住のハードルを下げていくという方法は、私はすばらしい方法であると率直に思うところです。
伊東大臣も石破総理とともに現地を訪問されたというふうに伺っています。伊那市の取組は今後の地方創生で参考になる部分が多かったかと思っております。伊那市の移住促進の取組から得た教訓は何であったか、それから、他市町村への横展開をどのように考えているのか、教えてください。
○伊東国務大臣 私も伊那市に視察をさせていただきました。石破総理と一緒でありましたので、かなり細かく、懇切丁寧に御説明をいただき、御紹介をいただいたところであります。
特に、地域おこし協力隊が一生懸命活躍しておりまして、県内で二番目となる二十二名の地域おこし協力隊の若者が任命されているところでございました。移住支援も含めた幅広い取組が行われているもの、このように聞いているところでもございます。この結果、民間の移住サイトでも伊那市が紹介されるなど、一定の評価がされていると考えております。
これまでの十年間でも、全国各地で地方創生に向けた取組が行われ、様々な好事例が生まれたことは大きな成果であると認識をいたしているところであります。
私も、視察させていただいたとき、地域で、出かけていって、ドクターカーというか幸せの青い車、それから、まだ完全な実用化というところには至っておりませんでしたけれども、無人ヘリコプターで山岳地帯の物資輸送その他をする、その許認可について何とか力添えいただけないかという、そんな御依頼も受けてきたところでもありました。リーダーがしっかりして取り組んでいるところはやはり違うなという思いをいたしました。
ですから、それこそ金太郎あめではないですけれども、隣近所を見渡しても同じような企画ばかりのものではなくて、やはり、好事例に学んで、それを自分の町に展開していくということが必要ではないのかな、つくづくそんな思いをしてきたところでもあります。
○神津委員 伊那市のやり方というのは本当にすばらしいやり方であると私も思うところです。
だから、次に、じゃ、伊那市が更に発展していくためのことを考えると、今、地域から国への提案制度というのを行って補助金を獲得していくようなやり方で地域を発展させていくというやり方には、ちょっと限界が来ているのではないかなというふうに私は思うところでございます。伊那市のような地域公共団体が主体的に取り組むことの重要性と、国がそれを支援するという構図については、やはり十年前も今も同じだった。うまくいかなかったのに、結局、今、地方創生二・〇でも変えようとしていないというふうに私は思うんですね。
石破総理においては、地方創生、これまでいろいろ本を書いていらっしゃいますけれども、やはり、権限と財源の移譲というものをこれまでずっと訴えられてきたのが石破総理であると私は思っています。
この伊那市についても、伊那市の教育や農業などの潜在力を考えるとまだまだ進化する余地というのはあるというふうに私も考えているところでもございます。更に発展させていくには、伊那市とか地方自治体の主体性を生かして、権限、財源、人材の移譲、移転というのをセットで行っていく必要があると思いますが、大臣の考え、いかがでしょうか。
○伊東国務大臣 権限、財源、これは非常に大事なことではあります。
しかし、やはり、たくさんの地域を見てきて一番に思うのは、その地域の市町村長あるいは地域のリーダー、こうした方々が真剣に町づくりあるいは活性化に取り組んでいるその姿でありまして、好事例を知り、学ぶことのできる機会というものをまた同時に我々も提供していかなければならない、こう思っているところであります。
これまで各地域で生まれました優良な事例、新たに創出される好事例を、その点で終わらせるのではなく面へと広げる普遍化を進めていくことが重要である、このように考えているところであります。効果的な情報発信などにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○神津委員 点から面へ、普遍化を図っていくというところなんです。やはり、各地域、特色はあると思うので、全て同じというのは、先ほど金太郎あめみたいというようなお話がありましたけれども、そこの普遍化の部分については、少しずつ違うものを導入していかなければならないのではないかというふうに思うところです。
ちょっと次の質問に移らせていただきます。
昨年、食料・農業・農村基本法が成立いたしました。政府の農業に対する方針も少しずつ変わりつつあるのではないかというふうに私は思いますが、農家のなり手というものは増えていないところでございます。
農家のなり手は、今も昔も農家の子供が多いというのが農業の特徴でもあります。ただ、やはり、親の苦労を見ている農家の子供たちは農家を引き継いでこなかったということもございます。今でも私、地元で一軒一軒回って農家の皆さんから話を伺っていると、十軒に一軒くらいしか農業を引き継ぐ跡取りがいないというようなことを現状に感じるところでもございます。
これまで、食料の安全保障を経済の犠牲にして、輸入を拡大して食料自給率を減らしてきた。やはり、私は、人間は食べなければ生きていけないという当たり前のことを日本はないがしろにし過ぎているのではないかというふうに思うところです。これまでの政府の農業に対する方針に対してかじを切るときが来ているというふうに思っております。
地方創生二・〇で都会と地方が支え合うという構造をつくるのであれば、地方創生二・〇では地方に比較優位がある農業を重視すべきだと思いますが、いかがでしょうか。今、地方創生二・〇の骨子案というのが出ていますけれども、そこについては余り農業について記載されていないんですね。だから、もう少しちゃんと農業を中心に据えていくということをやっていくべきだと思うので、伺わせてください。
○伊東国務大臣 都市と地方の関係につきまして私の考え方を申し上げますと、都市は、食料、水、エネルギー等の供給の多くを地方に依存しているわけでありますし、一方、地方は、そこで生産される農産物あるいは水産物、工業製品を大消費地である都市に出荷することで利益を得ております。都市と地方は互いに支え合う関係であるというふうに思うところでもあります。
ちなみに、こんな例、あれですけれども、私の地元は牛乳生産が日本で一番の地域であります。また、私の住んでいる釧路、根室地方は、全国でもトップクラス、一位の水揚げを誇る水産都市でもあります。ですから、牛乳あるいは水産物を始めとして、それらの加工食品を都会に供給することで都市住民の食生活を支える。農林水産業は地域の重要な基幹産業と認識しているところであります。
地方創生二・〇へ余り書いていないんじゃないかというお話でありましたけれども、二・〇では、このような農林水産業を更に発展させるため、観光などと連携し、輸出やインバウンドの消費を増やす新結合による高付加価値化、農林水産業の担い手の確保、またスマート農林水産業の普及啓発などを進めてまいりたいと考えております。
引き続き、農林水産省が地方創生二・〇の実現に向かって策定した地方みらい共創戦略とともに連携し、関係省庁が一体となって活性化を推進してまいりたいと思う次第であります。
○神津委員 やはり、私はこの地方創生二・〇の骨子案の文書の中では本当に少ないと思っていて、特に強調されている部分というのが、高付加価値化とかもそうなんですが、ドローンとかAIを使っていくような部分が想定されているんですね。
私、ちょっとお伺いしたいんですけれども、伊東大臣も友人で農業をやっていらっしゃる同年代の方が恐らくいらっしゃると思うんですけれども、その友人の方がAIとかドローンを使って農業をやっている姿というのを想像できますか。
○伊東国務大臣 ええ。僕のところは酪農地帯ですから、牧草を刈って飼料にして、餌にしている。だから、これを最近は全部衛星からの電波で、無人トラクターで走り回って刈っているということでありますから、もちろん、はい。
○神津委員 中山間地の農業、私は中山間地の地域なんですけれども、見ていると、どうしても私は、AIとかドローンをではすぐに導入していくというのは難しいんじゃないかと。何かボタンを一つ押しただけでもう全てできるというぐらいになるんだったらそれはいいと思うんですが、やはり、AIを使うにしてもドローンを使うにしても、いろいろセッティングしないといけないというところはちょっと難しいのではないかというふうに思うところです。
やはり、農業というのは国の礎であるというふうに私は思うところでもございます。日本というのは、古来から農業民族であって、農業を大切にしてきたというところもございます。いろいろなお祭りとかを見ていても、農業の五穀豊穣を願ってやっているお祭りというのも非常に多いというところです。
今、お米の問題もございますけれども、世界を見るとこれから食料生産が厳しくなってくる。例えば、インドとか中国とかアメリカについては地下水を使って農業をやっているんですよね。その地下水が今枯渇してきてしまっているというところで、例えば、アメリカの一部地域ではもう二十五年後には農業ができなくなるんじゃないかというところで、穀倉地帯でも大きな影響があるというところで、私たちが輸入したくても輸入できないというときがあることを踏まえると、日本も、しっかりとやはりこの農業というのを大切にして、自分たちで自給できるという環境をつくっていかなければならないというふうに思っております。
済みません、ちょっと時間が来てしまったので、大分ちょっと質問を残してしまいましたが、また次回伺わせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、中谷一馬君。
○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
私自身は、立憲民主党、次の内閣、ネクストデジタル担当大臣として、政権交代を実現をして、誰一人取り残されないデジタル社会を目指すという立場であります。一方で、デジタル分野に造詣が深い平大臣がデジタル大臣に着任をされたことに期待を持ち、また、その統括をされる環境下の中でデジタル政策が推進されることも願っております。
その中でお伺いをさせていただきたいと思いますが、現状、技術革新が速いスピード感で進展をしておりまして、例えば、みずほ銀行の調査、これは今パネルを示させていただいておりますが、二〇五〇年代には、パソコンを使っている人、スマホを使っている人はゼロ%になるということが予測をされていまして、その時代には、スマートグラス、スマート眼鏡でもなくて、もうスマートコンタクトレンズが主流になっている時代だろうということが言われております。
このように、コペルニクスが天動説が主流の時期に地動説を唱えたときのように、エポックメイキングというのはいつの時代にも起こってくるものだと思っています。その中で、やはり、私たち新しい時代をつくる政治家に求められているものといたしましては、無知の知、知らないことに向き合い続けて、未来から逆算をして今の政策をどうつくっていくのか、こういう構想を求められているというふうに思っているんです。
その中で、平大臣にまず是非お伺いをさせていただきたいのが、二〇二五年の今の政策を実行するに当たって、大臣は、二〇四〇年、二〇五〇年、これがどういう時代になっているということを予測をしながらこのデジタル社会を構想しようとしているのか、デジタル政策を進めようとしているのか、大臣の描いているビジョン、構想についてまずお聞かせください。
○平国務大臣 まず、二〇五〇年にどうなっているかというのは、正直分かりません。生成AIも三年前にチャットGPTが出てきて、シンギュラリティーがいつ起きるかというので、早い人だと三年後にはシンギュラリティーが起きるというふうに言っています。シンギュラリティーが起きた世界というのは余り想像できないですね、我々も。さらに、量子コンピューターが実現すると、五分に一回の割合でノーベル賞級の発明が生まれる世界観になるというふうに言われています。
なので、我々が大事なのは、どっちに転ぶかというのは経産省もみずほも我々も予測できないというのが正しい認識だと思うので、そういった新たなテクノロジーが出てきたときにアジャイルに対応できる体制をつくっていくということが重要だろうと思っています。
○中谷(一)委員 さすが大臣、原稿を読まずに自分の言葉で御答弁をいただいたことにまず感謝を申し上げたいなというふうに思いました。
私もそのように考えておりまして、ただ、それでもやはり、五年後、十年後、中長期的にどういう時代になっていくのかということを見ながらデジタル政策を進めていくということが非常に重要だなというふうに思っているわけでありますが、その中で、今現在でいえば、デジタル赤字が非常に続いている現状がございます。こちらも資料を配付をさせていただいております。
こちら、経産省の若手の皆さんが、PIVOTというチームをつくって、デジタル赤字の経済レポートというものを作られています。その中で、二〇三五年のこのベースシナリオでいえば、約十八兆円のデジタル赤字があるということが予測をされていまして、悲観的なシナリオでいうと、何と二十八兆円のデジタル赤字が二〇三五年で発生をしてしまうんじゃないかという結果が示されております。
その中で、デジ庁のデジタル社会の実現に向けた重点計画、閣議決定をされておりますけれども、デジタル赤字に対してこんな記載がございます。クラウドサービスを含めて、生成AIなどの破壊的イノベーションを生み出すソリューションについても、海外からの供給への依存度が高く、国内のDXが進むほどデジタル収支が悪化し、いわゆるデジタル赤字は依然として拡大傾向にある。供給側であるデジタル産業、需要側である各産業共に最適なデジタル化を進め、生産性の向上や新たなビジネスの創出において成果を出すことが求められる。もう一点、デジタル赤字も考えると、我が国のデジタル産業が、自らモダンなシステムやサービスを供給できるようになるとともに、海外市場を獲得していく必要があるといったものです。
この記述に関連して、まず大臣に伺わせていただきますけれども、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進し、我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現に寄与する立場を担う平大臣は、デジタル赤字に対してどのように向き合っていて、改善することを考えられているのか、具体策を交えながら大臣の見解をお示しください。
○平国務大臣 デジタル赤字解消についての具体策の産業政策のところは、経済産業省が所管をしているというふうに思います。
その上で、私の問題意識は、委員お示しのこの資料でいくと、意外と経営コンサルが多いんですね、外資系の。ここは例えば霞が関においても外資系コンサルを使っていることが多いので、やはり調査研究、政策立案化は内製化をしていきたいと思います。
クラウドにおいては、余り外資は使いたくないんですが、ISMAPなどのセキュリティーなどを考えると、なかなか国内事業者がそれをクリアできない。セキュリティーのレベルを落としてまで国内事業者というわけにはいきませんので、今さくらインターネットなどが頑張っていますので、そういったところを産業政策の側面からも支援をしていきたい、そのように思っています。
更に言えば、デジタル赤字の、いわゆるプラットフォーマーとかクラウドのレイヤーで見るんじゃなくて、そのレイヤーに地代を払っても、その上の、日本の得意なコンテンツとかアプリケーションのところで、縦で見てネットで利益が出ればそれはそれで一つの成長戦略なので、このレイヤーでの赤字をどうするかということと、この縦の、縦割りで、ネットでどう稼いでいくかという二つの戦略が必要だろうというふうに思っています。
なので、今、経産省は、半導体、データセンター、ラージランゲージモデル、アプリケーションと、縦のところの政策を打っていると思いますので、詳しくは経産省に聞いていただければと思います。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。御自身のお言葉で様々答えていただき、感謝を申し上げます。
じゃ、参考人の方にも来ていただいていますのでちょっと確認を含めて伺っていきたいというふうに思いますが、このシナリオ、若手の皆さんが頑張って作ってくださったシナリオだと思いますけれども、まず、日本政府としてもこれは同様の認識でよいのかということの確認と、私、ほかにも資料を探したんですけれども、ベースシナリオと赤字のシナリオ以外のシナリオが見つけられなかったんですね。これは、ポジティブシナリオや楽観シナリオは、現状、政府としては御準備されていないという認識でいいか、教えてください。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、デジタル赤字は、デジタル分野の競争力が十分でないことの裏返しであり、クラウド、AIなどのデジタルサービスが社会活動の基盤としての役割を増し、経済活動の生産性や国民生活の利便性が向上していく一方で、それを享受すればするほど国富が海外に流出していくようなことは、政府全体として危機意識を持って対処すべき課題と認識をしてございます。
御指摘のデジタル経済レポートは、こうした課題認識の下で、いわゆるデジタル赤字の背景にある我が国産業と市場の構造問題に着目した報告書となってございます。
将来予測の数値につきましては、シナリオの設定の仕方次第ということもございますので、いろいろなシナリオがあるとは思っておりますが、現状のままではデジタル赤字が増加していく傾向にあるということについては、同様の認識をいたしております。
今回のレポートも踏まえつつ、日本のデジタル産業の競争力強化に向けて、AIであったり量子であったり、またそれらを支えるクラウドサービスといった革新的な技術の開発、利活用の促進などに取り組んでまいりたいと考えてございます。(中谷(一)委員「答弁が漏れています。ポジティブシナリオはありますか、ないですか」と呼ぶ)
基本的には、公式的なものとしては出していないという認識をしております。
○中谷(一)委員 大臣、今答弁を聞いていただいたとおりなんです。ベースシナリオとネガティブなシナリオが出てきた、これはやはり警鐘を鳴らしていただくに当たっては非常に有効なレポートだと思うんですけれども、今、平大臣が、まさに語っていただいたような、ポジティブで楽観的な、要するに夢のあるシナリオみたいなものが今政府としては示せていない状態があるんですね。
これを、やはり、平大臣なのか経産大臣なのか、横の連携をしていただきながらだと思うんですけれども、こういうシナリオも示していただきながら、その具体策を詰めていただく必要もあるんじゃないかなと思ったんですが、いかがでしょうか。
○平国務大臣 今の産業構造のままでいくとそうなるだろうということだと思います。
ただ、例えば、半導体にしても、AIだとエヌビディアの独り勝ちですが、いろいろ日本の企業もチャレンジをしています。そして、AIの方も、国内のいろいろな事業者がラージランゲージモデルに取り組んでいるということがあります。さらに、そういったものを活用してコンテンツの価値を爆発させるというやり方もありますし、いわゆるウェブ2・0だともう勝てないけれども、ウェブ3に転換をすれば、またこれはコンテンツレイヤーの強い日本にチャンスがある。あとは、日本のアナログの、地方の観光体験なども、NFTとかブロックチェーンを使うとグローバル価格に引き直せる。
いろいろあると思いますので、まだ政府のコンセンサスになっていませんが、地方創生二・〇の文脈も踏まえて、そういった未来像をお示しできるように政府で議論を進めていきたいと思います。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
その議論を是非進めていただきたいと思っていますけれども、シンプルに、デジタル赤字を解消してデジタル黒字を目指していくということになってくると思います。
その中で、やはり、海外からの輸入に極力頼らず、国内で国内製品が使われ、また日本製品が海外でも利用される環境をつくる、このことが重要になってくるわけなんですけれども、国内市場の規模を見ていると、日本は、米中ほどは大きくない現状がある中で、アプリケーションのサービスであったりとかソフトウェアチョーキング戦略であったりとかサービスショッピング戦略、これで受取の超過を目指していくためには、イギリスであったり韓国であったりイスラエルであったりとかフィンランドのような、国際市場型のモデルに移行せざるを得ないんだろうなということを思っております。
その中で、日本企業のグローバル市場を前提としたソフトウェア・データ戦略が重要であり、先端的な研究開発への投資と先端技術のビジネス化に向けたエコシステムの形成についても、早急に手当てをしていく必要があると思っています。
その中で、デジタル赤字を解消し、デジタル黒字を目指すとすれば、短期的、中期的、長期的に具体策を講じていく必要があると思います。大臣からも今、そういったことを議論をしていただけるという話がありましたが、大臣御自身が今考えられている構想や具体策がもしあれば、もう少し詳細を教えていただけませんでしょうか。
○平国務大臣 産業政策は経済産業省だというふうに思いますが、今日本の置かれている立場は、例えば、AIでいえば、レギュレーションはEUよりも緩い、AIが学習しやすくて実装しやすい、人手不足なのでAIをフル実装するといってもストライキが起きないG7の国にあります。
さらには、地政学的にも、アジアで、じゃどこに拠点を置くんだといったときには日本は選ばれやすい環境にありますので、今、アジアのAIの拠点は、中国は除いてですけれども、日本になりつつあるんだろうと思います。
そういった際に我々が考えなければいけないのは、やはり経済安全保障の文脈もしっかり考えなければいけなくて、その際は、同盟国、同志国、信頼できる国々とテクノロジー、技術の役割分担をしっかりしなければいけないと思っていて、ちょっともう勝てそうもないスーパーAIみたいな、スーパーラージランゲージモデルのところに戦いを挑んだり、いわゆるクラウドに戦いを挑むよりも、そこはそこで信頼できる同盟国の技術を使いながら、例えばAIでいえば、AI掛けるロボティクスだとか、いわゆる少子高齢化掛けるAIへの対応であるとか、あとは、クラウドを使うにしても、クラウドの上で動かすところで付加価値を生み出していくとか、そういう役割分担が必要なんだろうと思います。
産業政策としては、経産省にお尋ねいただければと思います。
○中谷(一)委員 お答えいただきまして、ありがとうございます。
じゃ、せっかくなので経産省にも聞きたいなと思うんです。
デジタル広告事業、これはまさにレポートの中にも示されていたんですけれども、デジタル取引事業の黒字化のためには、やはり、この既存プラットフォーム事業者の密度が低い、勝機のある分野を見通して、戦略的な投資を選択と集中で行っていく必要があるんじゃないかなということを思うわけなんですけれども、後発的にプラットフォーム事業者を目指すことが行えるような、そのために必要な施策というものをどのように考えているのか。
また、今、ビッグテック五社の研究開発投資額が約二十兆円。これは、要するに日経二二五の構成銘柄の全企業の研究開発投資額約十五兆円を上回る数字なんですけれども、これらの状況を見たときに、国内のICT産業がグローバルなデジタル市場で逆転する打開策、これをどのように考えられているのか、お示しいただけますでしょうか。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
まず、短期的には、クラウドサービスなどの利用が進むデジタル基盤を提供できる国内事業者を確保していくということが重要だと考えておりまして、経済安全保障推進法に基づいて技術開発支援等を行ってきているところでございます。
また、委員からも御指摘がありましたが、海外をにらんで展開していくことも重要だろうと考えてございます。生成AIなどのデジタル技術が進展する中、平大臣からもありましたけれども、日本の強みである製造業等の分野において、デジタル技術を組み合わせたサービスを海外展開も見据えて速やかに創出して、中期的にこれを拡大していくということも取り組んでいきたいと考えてございます。
さらに、将来を見据えては、量子コンピューターなどの新たなデジタル技術の研究開発、また、あらゆる分野にデジタル技術が浸透していく中で人材育成等も進めたいと考えております。また、スタートアップ、成長志向型の中堅企業の支援なども積極的に取り組んで、高付加価値型の産業構造へ転換していくということが重要だと思っております。
また、二点目として、ビッグテックの話もございました。
ビッグテック五社、いわゆるGAFAMは、事業で稼いだ巨額の収益をAI等の研究開発に積極的に投資し、デジタル分野において高い競争力を維持しているということを我々も認識をしてございます。
こうした中、日本の強みである製造業等の分野において、デジタル技術を組み合わせたサービスを展開するということが一つの打開策になってくるだろうと思っております。
このため、例えば汎用的なロボットのAI開発と社会実装に向けて、令和六年度補正予算で必要な予算を確保してございます。具体的には、ロボットが高度な判断、動作をできるよう、幅広い事業者の参画を得て関連データを収集、集積し、AIの開発を促進すること、また、AIを含む最先端のソフトウェアをロボットに組むことができるオープンな開発環境、こういったことを進めているところでございます。
引き続き、AI・半導体産業基盤強化フレームも活用しながら、必要な措置を講じてまいりたいと考えてございます。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
ちょうど時間も大分なくなってきたので、AI政策の方に入らせていただきたいなと思うんです。
今、経産省の方からもAIの話についてるる御説明をいただいたんですが、二年前、私、チャットGPTを使って初めて国会で質問をさせていただいたことがありまして、そのとき平大臣にも様々な御配慮をいただいたということを伺っております。
当時、よく覚えているのが、平大臣の隣の選挙区の自民党議員の方でしたけれども、私、おまえの質問はチャットGPTレベルだなというやじを飛ばされまして、そのときに私が返答したのは、いや、私はチャットGPTほど知能指数は高くないですよと返答をしたんですが、やはりそれぐらい認識に乖離があったんだと思うんですよね、当時のことでいうと。ただ、その中でも平大臣のように分かっている方がいらっしゃったので、ある種、その質問が成立したというところがあったんですけれども。
今本当に、AIが当時よりもますます人類にとって必要不可欠になっているという現状がある中で、生成AIが世界に与えるインパクトが、配付資料ですけれども、マッキンゼーのこのレポートによると、大体四・四兆ドル、米ドルですね、日本円で六百四十兆円ぐらい。それで、潜在的経済効果、AI全体の価値でいうと最大で二十五・六兆ドル、約三千七百兆円のインパクトをもたらすということで、これは桁違いのインパクトであるということはもう周知の事実だと思います。
その中で、日本においても、産業競争力の強化の観点で見たときには、小規模基盤モデルを活用して分野特定用途向けのBトゥーBを育てることが戦略上重要になりますし、経済安全保障の観点でいえば、特定の国家や組織がAIの開発、学習及び実行に必要なデータ、基盤となる計算インフラといったAI技術全体を国や組織の管理下に置いて利活用するソブリンAI、注目が集まっているわけなんですけれども、平大臣はこのソブリンAIの必要性や重要性をどのように捉えているか、まず教えていただけますか。
○平国務大臣 まずBトゥーBの小規模基盤モデルもあるんですが、一方で、ビッグテックのラージランゲージモデルとスモールランゲージモデルを掛け合わせてアウトカムを出すというのが一つの勝ち筋かなと私は思います。
あと、ソブリンAIですが、これはちょっと定義がよく分からないところがあって。結局、AIのモデルはこの国です、でも、いわゆるデータセンターはどこなんだ、更に言えば半導体はどこなんだというのがあるので、全部自国でやるというのはちょっと無理があるなと思っています。
半導体なりデータセンターなりラージランゲージモデルなり、やはり信頼できる同盟国と連携を取りながら、そこにしっかりと、キーになるところ、コアになるところは日本が押さえていくとか、あと、データの秘匿性、いわゆる暗号鍵を相手に渡さない、必ずこっちが持っているとか、そういったテクノロジーと運用で国家主権を維持するような形で是非、今、政府AIとかに取り組んでいますけれども、政府AIとか安全保障に関わるところはそういったAIを用いたいとは思っています。
○中谷(一)委員 私、平大臣のファンなものですからたまにユーチューブを拝見させていただくんですけれども、そのときに大臣は、エヴァンゲリオンのマギシステムのような合議制のAIがいいんじゃないかと。オードリー・タンの言っているプルラリティーに近いような発想なのかなと思って、多元性的な発想なのかなと思って見ておりまして。
おっしゃったとおり、GPUだったりとかそういったものも私たちは輸入しやすい、アメリカと非常に近い関係がありますから。そういう関係もありますし、メタの出しているようなモデルを活用させていただく等様々なやり方があることは認識をしながらも、今ちょうど、NIIの黒橋所長という方がいらっしゃいまして、その方は国産AIのAIモデルの質を高めるためにはデータが足りないという問題に直面をしているそうでありまして、ソブリンAIの開発に貢献するために、我が国の学術論文等、国立国会図書館に納本された電子化された書籍であったり、NHKニュース、ドキュメンタリー番組等のデータの活用実現を目指すことを提言をされているんですけれども、データ活用の戦略担当大臣でもあられますから、こういった提言については、大臣、どのように捉えられていますか。
○平国務大臣 まず、一神教的な国から出てくるAIは、一つのスーパーAIを作りがちなんですね。なので、私、マギシステムみたいなのは理想の形だと思います。生まれも育ちも違うAIが合議で決めるというのは合理的で、こういうアイデアは日本からしか出てこないと思います。
その上で、今のデータのところでありますが、私も同じ問題意識を持っています。自民党が三年前に作ったホワイトペーパー、私、座長でしたけれども、データセットを整備をする、その際に国会図書館とかNHKの動画というのは言いましたが、まだ知財のところが整理がついていないということなんだろうと思います。
総務省と国会の所管でありますので、どうやったらそういったデータが活用できるのかちょっと調べてみたいと思います。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
まだまだ議論したいところなんですが、時間が来てまいりましたので、私から最後に、このデータ活用を進めていただく連携、今調べてみますと言っていただいたんですが、各議員、所管や担当はあられると思うんですけれども、是非政府の中で御検討いただいて、よりよいAIの発展に寄与するような答えを導き出していただければと思いますので、何とぞよろしくお願いします。
それでは、質問を終わります。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、黒田征樹君。
○黒田委員 日本維新の会、黒田征樹でございます。
今日は、こども家庭庁、そして三原大臣に対して御質問をさせていただきたいというふうに思います。
政府が少子化のトレンドを反転させると宣言してから一年が経過をしまして、しかし、先ほどからお話がありますように、この一年、現実は政府の想定とは逆の方向に進んでおります。
これも先ほどありましたけれども、出生数は二〇二四年六十八万人台ということで、前年よりも四万人減少をしているというような状況で、過去最低を更新する水準であります。この水準が十五年も早く到達をしてしまったということで、要するに想定をしていた未来が今目の前で現実になってきてしまっている、それだけ事態は深刻だというふうに考えております。
ただ、この件について何か批判的なことだけで物事が進むとは思っておりませんので、皆様の努力をしっかりとリスペクトした上で建設的に議論をしていきたいというふうに考えております。
加速する少子化の要因というのは、単なる一過性の現象ではありません。物価高、賃金の伸び悩み、住宅費の高騰、保育、教育の不安、キャリアとの両立の困難、家庭の形の多様化、育児の偏り、これら複数の要因が複雑に絡み合って、若い世代にとって子供を持つという選択が年々現実味を失ってきております。更に言えば、この国の制度設計や政治の在り方そのものが少子化の構造的な土壌になっていると言っても過言じゃないというふうに私は考えております。
例えば、希望出生率一・八という言葉があります。これは、二〇一五年に政府が公式に掲げた出生率の目標で、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望がかなうとした場合に想定される出生率ということですが、肝腎なのは、そこから逆算した政策の中身と到達に向けたスケジュール。つまり、いつまでにどうするかという具体的な道筋というものが明確に示されておりません。
その一方で、政府はトレンドの反転を目指すと繰り返し述べておられますが、その期限、何人を目標にどのような水準を指していくのか、それが曖昧なままであれば、反転というのは願望にしかすぎず、目標ではなくなってしまいます。
この点は、日本社会全体に漂う空気にもつながっている問題だというふうに捉えております。つまり、子供を持つことは自己責任、支援を受けるのは恥ずかしい、失敗してはいけない、そういう無言の圧力のようなものが制度や予算以前に出生意欲そのものをそいでいるのではないかというふうに考えておりまして、現代の若者たちはかつてないほど慎重で、将来に対してリアルに考えております。彼らが生まないのではなくて生めない理由が社会の構造にあるならば、政治の役割というのは自己責任論ではなく社会責任の再構築にあるというふうに考えております。
この問題の本質は、制度があるかということではなくて、その制度が届いているかというところがまずあると思っておりまして、したがって、政治の側が、行政の側がこの問題に対してもっと覚悟を持って向き合っていくべきだというふうに感じています。つまり、単にスローガンを掲げることだけじゃなくて、目標と期限を明示して、政府自身がどこまでを国の責任として引き受けるのか、国民に約束をすべきじゃないかというふうに考えております。
これも先ほど来お話がありましたけれども、誰かにプレッシャーをかけるというような話ではなくて、国が本気で未来を守るという覚悟を示すためでありまして、そのような立場でお尋ねをしたいと思いますけれども、三原大臣、就任してから、トレンドを反転させるとおっしゃいましたけれども、それはいつまでにどのような状態を指すのでしょうか。
そして、希望出生率一・八という数字というか目標が出てきておりますけれども、目指すべき水準を数値で示さずに反転と言っても国民にはその意味が伝わらないというふうに思いますので、目標数値、これは何度もほかの委員さんも先ほども聞いていましたけれども、明確に示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○三原国務大臣 少子化対策を実施していくに当たりましては、委員おっしゃるように出生率とか出生数を通じた検証は必要であるというふうには考えてございます。ただし、出生率そのものを数値目標とすることが適切でないのではないかということであります。
参考指標、合計特殊出生率ですとか希望出生率、出生数あるいは夫婦の平均予定子供数、夫婦の平均理想の子供数、こうした指標の例としてはございますけれども、こうした指標を設定し、政策の効果について定期的に点検をしていくということだと思います。
先ほど申し上げました結婚、妊娠、出産、子育て、これは個人の自由な意思決定に基づく行為であるということ、そして特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることは決してあってはならないということ、そしてまた自由な意思決定に基づく行為であることに加えて、特に妊娠、出産に関しては身体的な状況など様々な困難を抱える方々がいるということも踏まえると、そうした方々の自己肯定感や自己存在感に影響を与える可能性があるから十分留意すべきだというふうに考えているということを先ほども御説明させていただきました。
少子化対策、そうした指標という形で定期的な点検を行っていく、検証を行っていくということは必要であると考えております。
○黒田委員 先ほども聞いていて、この質問を入れていたので、どうしようかなと思ったんですけれども。
大臣がおっしゃる、数値の目標は圧力になるというか、押しつけというのは違うんじゃないかというような話ですけれども、僕自身は、目標というのは個人に決して押しつけるというような意味合いで言っているんじゃなくて、政府としてどこまで責任を引き受けるのか明確にする指標だというふうに考えておりまして、例えば希望出生率一・八を実現できる政策整備を何年までに行うとか、あと、妊娠、出産を望む全ての人が経済的、心理的に安心できる基盤を何年までに整えるとか、政府の責任を可視化する中間目標であるなら個人の選択とは切り離して設定できるはずじゃないかなというふうに考えております。
誰にも圧力をかけないというのは大前提としながら、政府が確実に責任を持つという目標と期限をしっかりと示していただくというところ、これはどこまでいっても見解が違うのかもしれませんけれども、そこは私の意見として聞いていただきたいというふうに思います。
次の質問に入ります。
今、様々な支援制度というものを行っていただいております。これは国レベルでもそうですし、都道府県、市町村でもされておりますけれども、中には、制度の存在を知らないとか説明が難しくて理解できない、あとは、手続が面倒だから諦めた、そういう声がありますけれども、必要な人に届かない現状というところが一つ問題じゃないかなということを考えておりまして、その点、二つの視点で少し提案をしたいと思います。
一つ目は、言うまでもなく役所側の構造的な改善です。
支援制度が縦割りで分断されて窓口がばらばらなままでは、特に子育て世帯、そしてまた生活に困っている方ほど複数の制度にアクセスをする必要が出てきます。そんな中で、最適な支援の制度にたどり着きにくく、また手続も煩雑になっているという状態があります。
ですから、支援の中身だけでなくて、支援の届け方を政策の対象として、まずは制度の名前の分かりやすさ、何かすごく行政用語で支援制度が並んでいると思うんですけれども、そういったものをしっかりと分かりやすい届け方をしていただきたいなというふうに思いますし、あとは、手続の簡素化、ワンストップ窓口の設置、これはどこもやっているところはありますけれども、そういったところを更に進化させていくというところと、今の行政がもっと工夫する余地があるし、そこについてどのような認識を大臣は持っておられるのかというところを伺いたいのが一点。
もう一つは、先ほども少しお話がありましたけれども、AIの活用です。
スマホで相談できるチャットAIというものを導入すれば、制度に自分からたどり着けない人も、制度の方からいわゆる相談者の方に寄り添ってくれる。例えば、LINEや市のウェブサイトで、AIに相談者の状況を入力するだけで自分に合った支援が自動で提案され、そのまま申請画面に移れるような、そういう仕組みができたら情報の格差というのは大きく縮まります。一部LINEのチャットボットとかそういったところはありますけれども、それをもっと進化した形と捉えていただいたらええかなというふうに思います。
また、一部の自治体では、高齢者向けに職員さんとAIがハイブリッドで電話対応をする、そういった取組もあるそうですけれども、これはこれで相談者と窓口双方の負担軽減につながるよい取組だなというふうに思いますが、若年層というのは、やはり電話より文字というのもあります。制度を調べる手段に困っていることを考えると、二十四時間何度でも気兼ねなくチャット形式で相談をして、簡易に求める情報にアクセスできる行政版のAIのような仕組みを試行的に導入していく、若しくは既存の、先ほども話に出ていましたチャットGPTのような生成AIの活用策も模索するべきだと考えますけれども、それについての見解と、一点目の今の行政がもっと工夫する余地について、併せて伺いたいと思います。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
委員が今御指摘になられました、制度の中身だけでなくて届け方、非常に大事な指摘だというふうに思います。我々、どうしても施策の中身について、詰めたものをつくるということに注視して、なかなか、名称であるとか、具体的にそれを求めている方にどう届けるかというところ、どうしても足らないところがあろうかというふうに思っております。
この点につきまして、我々はどうしても、施策を一覧表にして効率よくお渡しすることのほかに、個別にプッシュ型で、どのようにしたら望む方に施策が届くかどうか、これは是非検討していきたいと思っていますし、名称につきましても、正確性を重んずる余り長い名前にするとかえって分かりにくくなりますので、コンパクトで分かりやすい通称のようなもの、これも是非考えていきたいと思っております。
また、どうしても縦割りになってしまって、手続に時間がかかってしまう。これは、まさに一番大事な子供に向き合う時間が少なくなってしまう点で、直していかなきゃいけない。この委員会でも議論になっておりますけれども、デジタル化について、こども家庭庁としても是非積極的に進めたいというふうに考えております。
具体的には、先生がおっしゃったワンストップにつきましても、保育の分野におきまして、保活情報連携基盤を構築しようという取組を進めております。これが可能になれば、情報収集や施設見学予約など一連の保活をワンストップでできるようになるということを考えておりますので、これも是非進めていきたいと思っております。
また、最後、お尋ねのAIについてでございます。
これも、子育て分野において、生成AIの活用につきましては、今、地方自治体でいろいろ実証事例がありますので、そういった課題を収集、整理をしております。近々、それをまとめまして、全国の自治体に向けてお知らせしたいと思っていますし、公表もしたいというふうに考えております。
その上ででございますけれども、AIの利活用につきましては、委員御案内のとおり、実施に当たり幾つか課題等もあるのも事実でございますけれども、こども家庭庁としても、そういったいいところと、あるいは問題となる事例をきちんと自治体や実際行っているところから収集いたしまして、自治体や事業者とも連携しながら、生成AIなどの最新技術も活用しながら、子育て当事者や自治体職員の負担軽減になるように積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
○黒田委員 ありがとうございます。
まず一点目の、今できる行政の分かりやすさというところはしっかりと進めていただきたい、届け方、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
また、生成AIについても、現時点では、僕自身もやってみたんですね、例えば、堺市在住、何十何歳、子供三人、何歳、何歳、何歳、仕事がない、お金がない、どこに相談したらいいというような形でやって、そのときは割と正確に情報は出てきましたけれども、不確かな情報がまだ飛んでくる場合もあります。その辺はまだまだ研究も必要なのかなというふうには思いますけれども、ここがしっかりと精度が上がってくれば、まさに実証から実装というところで、制度の方から寄り添えるような、そういう環境を整えていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次は、心理的、文化的要因を背景としたところにどうアプローチしていくかというところを議論したいと思いますけれども、少子化対策の鍵というのは、単なる制度の整備だけじゃなくて、そういった心理的、文化的な背景ということを政策の内側に組み込んでいく必要があるというふうに考えております。
かつての日本は、今みたいな手厚い支援はないものの、先ほど二百何十万人と言っていましたよね、というような子供が生まれるという状況で、今と比べると、行政の支援というものは今の方が充実をしている、でも今は産めない、それはなぜかというようなところだと思うんですけれども、今の日本は、経済的な要因に加えて、情報の過多、比較文化、将来の不安という心理的な壁がかつてないほど高くなっているというふうに考えております。
前回の委員会でも少しお話ししましたけれども、特にSNSの普及によって若者が理想的な家庭像や育児スタイルを目にする機会が増えて、自分には難しいんじゃないかなとか、こんなふうになれないんじゃないかなというようなことで、子育てへの一歩を踏み出せない、そういう心理的障壁が強まっているということを述べさせていただきましたし、実際、そういう研究のデータもあります。
要は、SNSで誰かのきらきらした普通を目の当たりにしていくというところで、これを理想に見立ててしまって、自分はそれに届かないんじゃないかというようなことでありますので、そういう心理的な背景というのが深刻な状況になっているというふうに考えられます。
また、様々な子育てのプレッシャーがSNSによって助長されている。それでまた不安や負担感が増大していくというような、SNSの悪い面だけを取ればそういうところもあるというふうに考えております。ですから、今後は、そういう政策の設計に当たって、現時点でもワーキンググループというのをつくっているということは存じ上げております、今座長を務めていただいております現代社会学の専門家の方に加えて、僕はもっと幅広く、例えば社会心理学、行動経済学、文化人類学、家族社会学、そういったもっと幅広い分野での専門家も必要じゃないかなというふうに思いますし、例えば、既存のメディアの関係者というのをチームに入れるだけじゃなくて、もっとSNS関連の関係者なども入れて、深く広く心理的、文化的な要因を分析、反映できる、そういう専門チームを構築するべきではないかなというふうに考えております。
要は、政府内に、今の制度の中じゃなくて外側にどういうものが足りていないのか、若しくは今見えていない社会的背景を継続的にしっかりと分析して政策にフィードバックする横断的なチームを設けるか、若しくは今の組織をより一層充実させていくべきじゃないですかという御提案なんですけれども、大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。
○三原国務大臣 委員おっしゃるとおり、少子化の進行の背景には、子育て世代の経済的、身体的、精神的負担に加えて、結婚や子育てをめぐる若い世代の意識の多様化ですとか、仕事と子育ての両立を望む人の増加とその難しさなどが挙げられるんだと思います。
このため、政府としては、若い世代の所得向上や雇用の安定、加速化プランによる子育て当事者への支援にもしっかりと取り組むとともに、結婚や子育ての将来展望を描けるよう、プレコンセプションケアの推進を含め、将来設計の支援等も重要と考えております。
こども家庭審議会では、各分野の専門家の下、各施策のPDCAを進めておりますが、子供や若者の意見を聞くということ、委員もおっしゃっておられるようにそれも大変重要で、例えば、若い世代のライフデザイン支援の在り方を考えるワーキンググループというのがあります。そのワーキンググループでは、過半数を二十代の若者によって構成いたしました。私も参加をしましたけれども、委員御指摘のようなインターネット上での結婚や子育てに大変ネガティブな情報に接することなども含めて、若い世代の方は、自分なりに納得の得られる選択をしていくためにはどうしたらいいのかというようなことなどについても御議論をいただいたところであります。
人生の選択について、社会的な正解というよりも自分たちが納得する納得解、そういうものを、しっかりと将来の解像度を高めたいというようなこと、そして、知っていて選ばないのと知らずに選べないことは違うということなど、そういう若者の御意見というものもいろいろとお聞きをしたところであります。
今後とも、専門家の知見をおかりしつつ、若者の委員の登用ですとか、そしてまた若い世代の結婚や子育ての喜びも感じていただくような体験機会の創出、そうしたことも通じて、今このワーキンググループの中でいろいろなアンケートを取らせていただきましたけれども、非常に、人と関わりたくないというような意見ですとか、結婚はしたくないけれども子供は欲しいと思っているとか、本当に様々な御意見があります。
また改めてお伝えしたいと思いますけれども、そうした様々な意見というものをしっかりと、若い世代の方々の変化を捉えながら、こうした社会づくりというもの、それらを実現できるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○黒田委員 決して若者の方々にワーキンググループに入っていただかなくていいというふうなことじゃなくて、僕は、もっと充実させるべきではないですかという御提案だったんですけれども、そこは引き続き検討していただきたいというふうに思います。
これは、先進国、どこも少子化という長い厳しい課題に向き合っているという中で、簡単にいかないということは承知をしております。ですから、ただ単に批判をするということだけじゃなくて、少しでも、焼け石に水であっても何か提案ができることがあれば御提案をして、しっかりと一丸となって少子化に立ち向かっていくというところ、僕自身も力を尽くしていきたいというふうに考えておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、日野紗里亜さん。
○日野委員 国民民主党の日野紗里亜です。
質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速ではございますが、前回の質疑で、特別児童扶養手当や障害児福祉手当における所得制限につきまして、公平性や障害年金との均衡、そして制度の持続可能性といった観点から、慎重な検討が必要であるとの御答弁をいただきました。まず、この公平性というところについて御質問させてください。
一体何を基準として公平とされているのか。現行の制度は、そもそも公平という観点では、現時点で欠いています。というのも、現行制度では、所得制限の判定は、世帯合算ではなく、世帯のうち最も所得の高い一人を基準に行われています。そのため、例えば、親のどちらか一方の所得が五百五十万だと所得制限にかかり手当は受給できない一方で、父母共に五百万ずつの共働き家庭では世帯所得が一千万円であっても手当の受給が可能になるという、何とも不公平な現象が発生します。
これを公平という合理的な説明をお願いします。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の所得制限における公平性でございますけれども、例えば、国民年金の被保険者となる前の二十歳の前に傷病を負った方に支給される障害基礎年金につきましては、これは所得制限というものが設けられておるところでございます。特別児童扶養手当についても、こうした他制度との均衡などを踏まえて所得制限を設けているところでございまして、こういったことを指して公平性ということを、先般四月の際にお答えの中で言及させていただいたところでございます。
また、今御指摘のございました扶養義務者が複数いる場合の所得制限でございますけれども、確かに、御指摘のとおり、所得が最も高い方の所得額でもって所得制限するかどうかというのを判断させていただいております。
これを改めて、所得の世帯合算の方式に改めることにつきましては、こういった合算を行うことによりまして、これまで手当を受けていた方が受けられなくなるようなケースがあることをどう考えるのかでございますとか、あるいは、そういった世帯合算の際の所得の捕捉といったものをどのように行っていくのかといった点なども踏まえた慎重な議論が必要ではないのかなというふうに考えているところでございます。
○日野委員 前回、障害年金との均衡ということを言及されていたんですけれども、そもそも障害年金というのは二十歳以上を対象とする制度であって、未成年を対象とするこの手当となぜ均衡が求められるのかといった疑問が残るわけでありますが、まず、そもそも今の日本の子育て支援全体におきまして、子育て支援自体が自治体間の競争材料となっているわけでございます。制度の中にも、地域間格差も組み込まれているわけなんですね。とりわけ、障害児の中には日常的に医療行為を必要とする医療的ケア児がおりますが、子供医療費助成制度につきましても、自治体によって年齢や所得制限が異なりまして、三割の自己負担が生じているというケースもございます。
そのような中、前回、大臣から、障害児の生活の安定に寄与するよう必要な範囲で支給するという御答弁がありました。この必要な範囲というのは何なんだろうと私の中で疑問が残ったんです。前回の質疑後、本当に多くの方から反響をいただきまして、私は当事者ミーティングを行いました。予想をはるかに上回る多くの方から全国でオンラインで御参加いただきまして、本手当を所得制限により受給できない御家庭の悲痛な胸のうちが次々と語られました。
例えば、先ほどの医療費助成の対象からこぼれ落ちているケースのほかにも、障害児対応のベビーシッターの利用料、補装具だけでは対応できない特殊な備品の購入、バリアフリー対応のための住宅改修、障害児のケアに追われながら、手が足りないためにきょうだい児の育児に別途かかる費用など、健常児の育児では想定されない何でも割増しと言える現実が障害児家庭の日常を圧迫する中で、精神的にも肉体的にもぎりぎり限界の中に、そこに更に経済的負担がのしかかってくる現実を、皆さん、涙ながらに語られていました。
さらに、これは以前も伝えたんですけれども、決して富裕層に係る所得制限じゃないですから、所得制限ぎりぎりのラインで、パパが一生懸命働いているのに、あともうちょっと収入が上がっちゃったら手当はゼロになるということで、出世や昇給のチャンスを諦める、そんな声もありました。
まず、大臣、この現実を御存じでしょうか、お答えください。
○三原国務大臣 大変お困りの方々が多くいらっしゃって、委員の会議の中でそうした御発言があったということであります。御通告がなかったのでこのことについての答弁は差し控えますが、そういう方々の思いというものは承知をしているということでございます。
○日野委員 知っているか知っていないかということで、御存じだということで今御答弁いただきました。
それでは、制度の持続可能性ということも以前の答弁の中でありましたが、制度の持続可能性、これは要するに財源の問題だと思います。
令和七年度の予算では、特別児童扶養手当が約一千六百三十億円、そして障害児福祉手当が約九十二億円。先ほどありました障害基礎年金、これは二兆二千八百億円以上が投じられていて、まず桁が違うんですね。
均衡と言うのであれば、子供に係る予算の方が圧倒的に少ないと思うのですが、まず、この中で障害児手当の所得制限を撤廃した場合、どの程度プラスの財政支出があるのか政府として試算を行っているのか、行っていないのであれば、なぜ行っていないのか、簡潔かつ明確にお答えください。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の財政影響に関する試算でございますけれども、政府としては試算を行っておりません。
その背景でございますけれども、特別児童扶養手当というのは、障害のあるお子さんの中でも一定程度以上の障害のあるお子さんを扶養している保護者の方に対して支給されるものでございます。もう一つの障害児福祉手当、こちらの方は更に重度の障害のあるお子さんに対して支給するものでありまして、このいずれも御指摘のような主たる生計維持者の所得であるとか扶養親族の方の人数などに応じた所得制限を設けられているところでございます。
そのため、所得制限を撤廃した際に必要となる費用の算出に際しましては、こうした障害のあるお子さんのいらっしゃる世帯について、所得制限の撤廃をすることによって新たに支給対象となる障害のあるお子さんの障害の種別や程度がどうなっているのか、主たる生計維持者の方の所得の状況はどうなっているのか、さらにその扶養親族の方々の人数や状況はどうなっているのかなどなどを把握することが必要となってまいりますが、こうしたデータを網羅的に入手することが困難であるということも背景にございまして、試算を行うのはなかなか容易ではないということで、御容赦をいただければと考えております。
○日野委員 私は、所得制限撤廃によって新たに対象となる子供の障害の程度、それから生計維持者の所得、扶養人数等の統計上の割合からAIを用いてざっくりと試算しましたところ、プラスで必要な予算は年間およそ三百億円前後でした。この規模であれば既存制度を精査することで十分捻出できる、そういった可能性があるかと思います。
例えば、これはこども家庭庁ではないと思いますが、重点支援地方交付金の中にある非課税世帯等価格高騰重点支援給付金、この運用をめぐっても、制度の趣旨から逸脱したという事例をお聞きしております。
本来、この制度は、電気やガス、食料品など生活必需品の物価高騰により特に影響を受けやすい低所得者世帯、ここを直接支援するためのものです。
ところが、実際には、児童養護施設などに入所されている子供たちにもこの給付金が支給されています。これは、施設入所時に親子が世帯分離されて子供が一つの独立した世帯とみなされるためですが、問題はその後です。施設を退所すると同時に、年々その子供の通帳にたまったそうした給付金が親の手元にまるっと渡っているという実態です。
この件について、ある養護施設の方からこう伺いました。施設には別途、価格高騰対策としての助成金が措置されている、だから施設に回せということではない、大切な税金なのだから本当に必要としている家庭にこそ届けるべきだ。私はまさにそのとおりだと思います。
制度の趣旨から逸脱した支給が見過ごされている一方で、本当に出費と戦って、ぎりぎりのところで戦っている、そんな子育て家庭が取り残されています。こうした見直しを進めることで、限られた財源を適切に分配することは可能なのではないでしょうか。
こども家庭庁は、省庁の縦割りを打破して、子供に関する施策を横断的に整理、推進するということを掲げているかと思います。まさにこうした制度趣旨と実態とのずれ、それこそ公平性を欠いた給付の在り方や制度運用上のゆがみを、こども家庭庁がしっかりと把握して、関係省庁と連携して是正していくことこそが求められる本来の役割ではないかと思いますが、大臣、本当に困っている家庭を助けるために是正していってくださいますでしょうか、そして特別児童扶養手当、障害児福祉手当の所得制限の撤廃に向けて取り組んでくださいますでしょうか、お答えください。
○三原国務大臣 お尋ねの給付金につきましては、いわゆる子供政策ではなく、昨年十一月の経済対策に基づき住民税非課税世帯を対象に給付が行われているものと承知をしております。
また、特別児童扶養手当等については、厚労省から答弁があったとおりだと思いますが、支援を必要とする方々に向けた様々な支援策につきましては、各制度の趣旨や目的や他の同様の制度との公平性、限られた財源の適切な配分等、様々な観点に立ち、制度を所管する各省庁において制度の在り方が検討され、適切な運用が確保されているものと考えております。
こども家庭庁におきましても、虐待や貧困、障害、医療的ケアなど多様な支援ニーズや様々な困難に直面する子供への支援に向けた施策について、必要な方に必要な支援が行き届くよう、常に子供や若者、子育て当事者の視点に立つとともに、引き続き、継続的な施策の進捗の把握や検証を含めてEBPMの取組を強化して、着実に施策を推進してまいります。
○日野委員 今、大臣、こどもまんなかというピンバッジをつけていらっしゃると思います。そのためにも、省庁の縦割り打破、是非ともここを是正していただきたい。
一つのケースなんですけれども、ちょっとだけ御紹介させてください。
障害の種別とか、あとは障害の程度、障害特性にもよるんですけれども、障害児は、食のこだわり、偏食だったりとか、あと情緒のコントロールがすごく難しい、そういった子供たちが多いです。御飯は一日朝昼晩と三度あることですから、今、物価高騰でお米とかも高い中で、お母さんは一生懸命家計をやりくりしながら我が子のために御飯を作るんですね。でも、そういった子供の心のタイミングとうまく合わなくて、一生懸命作った御飯を、食べてねと出した瞬間にぱあんとはたき落とされちゃって、作った御飯がそのまま床に散らかってしまう、そんな現実があるんです。
赤ちゃんだったらそういうことがあるかもしれないんですけれども、体が大きくなって、ぱっと横を見ると健常児のお子さんが、ママが作ってくれた御飯、とってもおいしいと言って、ありがとうと言ってぱくぱく食べている横で、我が子のかんしゃくをなだめながら、お母さんは一生懸命自分が今作ったばかりの床に散らばった御飯を片づけるなんて、そんなケースがたくさん日常的にあるんです。もちろんこれは一例で、もっと医療依存度が高くて、二十四時間、一分一秒たりとも我が子から目が離せない、そういった御家庭があります。
是非そういうところに思いを寄せて、是非想像してみて、先ほども申し上げましたが身体的にも精神的にもぎりぎりのところで頑張っている、そういった親の気持ち、一生懸命我が子を育てる親の気持ち、そこに報いる制度であってほしいと思っています。
続きまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。
放課後児童クラブ支援事業における移転関連費用補助についてお伺いします。
本事業の実施要件の一つとして、「待機児童が既に存在している、又は当該放課後児童健全育成事業を実施しなければ、待機児童が発生する可能性がある状況にあること」とされていますが、この待機児童が発生する可能性がある状況とは具体的にどのようなケースが想定されるのでしょうか。政府がこの可能性があるという状況をどのように把握、判断し、補助対象の可否を検討しているのか、今までにどんな事例を補助対象としてきたのか、お伺いいたします。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の事業ですけれども、放課後児童クラブの待機児童解消を主な目的といたしまして、現在、民家等を活用して実施をしておられる放課後児童クラブが児童数の増加に伴い新たな建物に移転する場合に、移転に係る経費や移転前の実施場所の原状回復に要する費用の補助を実施するものであります。この補助は、実施要綱におきまして「当該市町村において待機児童が既に存在している、又は当該放課後児童健全育成事業を実施しなければ、待機児童が発生する可能性がある状況にあること」を要件として記載をしてございます。委員が御紹介いただいたとおりです。この可能性がある状況について、これは一義的には個別ケースごとに様々な地域の状況がございますので各市町村で御判断いただくべきものと考えております。
その上で、一般論で御説明申し上げますと、その時点においては待機児童はいないんだけれども、児童数の増加が見込まれることにより一人当たりの面積基準を満たせなくなるおそれがある等の場合であって、当該事業所が移転できなければ待機児童が発生することが想定をされる、こういった状況が想定されると考えております。このような状況で、移転することが必要であると市町村が客観的かつ総合的に判断をした際には、本事業を活用いただきたいというふうに考えております。
具体的な事例について、どのようなものがあるかというお尋ねもございました。実は、令和六年度、現在申請をいただいているものを全て数えますと、十自治体三十二支援単位で申請が来ております。
全部を御紹介するわけにはいきませんけれども、例えば山形の鶴岡市では、今まで民間物件を使用していた複数のクラブで、利用人数がどんどん増加している中で面積基準を満たせなくなる可能性が出てきたことから、ちょうど学校建設に合わせて新設された事業所に移転をして、それでこの補助金を活用した事例とか、あるいは、近隣に大規模なマンションが建設をされて、まさに子供の人口が増えて待機発生の可能性が具体的に出てきている、こういった事例を承知しているところでございます。
自治体から御相談や照会があった場合には、具体的なケースについての御相談に応じまして、適切に助言をしたり、今申し上げましたような過去の事例なんかも紹介したりしながら、適切に対応していきたいというふうに考えております。
○日野委員 御丁寧な答弁、本当にありがとうございます。
学童保育は、地域の子育てを支える大切な基盤でありながら、収支構造というのは常に綱渡りであって、補助金とそして使命感、これによって何とか支えられている、赤字だったりとんとんだったりというところがほとんどだと思います。
今の御答弁によりまして、自治体による待機児童報告がゼロであったとしても、自動的に補助対象外とするのではなく、実態ベースの切迫状況についても個別具体的に御勘案いただけるという御答弁をいただきました。本当にありがとうございます。
以上で質疑を終わりにさせていただきたいと思います。
○谷委員長 次に、浮島智子さん。
○浮島委員 公明党の浮島智子です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
私は、昨年の三月二十六日に、本委員会において、日本版DBS法案の審議に先立って質問をさせていただくということで、子供たちを性暴力から守り抜く大人の責任について当時の加藤大臣に質問をさせていただきました。また、日本版DBS法案の審議についても質疑に立つとともに、本年の四月八日には、本委員会において三原大臣にも同様の観点から質問をさせていただいたところでございます。
なぜ私が何度もこの問題を取り上げるのか。また、子供たちの未来にとって本当に大事な課題であるということは言うまでもないとともに、令和三年五月二十八日の参議院の本会議で全会一致において成立いたしました教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案、私がその取りまとめ役をさせていただきました。
この問題に取り組むようになったきっかけは、ある祖父母の方、そしてお母様が私のところに来られ、号泣されながら、小学四年生の女の子が、知的障害をお持ちのお子さんでありますけれども、学校に行って毎日教師の方から性暴力を受けていた、その少女は自分の身に何が起こっているか分からないからといって、ずっと分からないままになっていたということで、祖父母の方、お母様から涙ながらにそのお話を聞かせていただきました。
そのときに、絶対にこんな教師は二度と教壇に立たせてはいけない、そんな思いで与党のワーキングチームを立ち上げさせていただき、僅か八十九日というスピード感を持って全会一致でこの法律を議員立法で成立させることができました。
この法律の附則第七条第二項に、「政府は、この法律の施行後速やかに、児童生徒等の性的な被害を防止する観点から、児童生徒等と接する業務に従事する者の資格及び児童生徒等に性的な被害を与えた者に係る照会制度の在り方等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」と規定されております。
この日本版DBS法は、大きな流れの中での子供たちの尊厳を守り抜くために、大人として責任を果たす取組にほかなりません。このように、児童生徒性暴力防止法と日本版DBS法、これは一体として子供を守り抜く仕組みだと私は思っております。
そして、こども家庭庁設置法第三条一項には、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を最優先して考慮することを基本とし、子供の権利利益の擁護に関する事務を行うことを任務とすると規定されておるところであります。子供の権利利益の擁護を図る、いわば守護神である三原大臣には、今日最も積極的な御答弁をいただきたいと思っております。
この日本版DBS法は、昨年の六月十九日に成立いたしました。そして、この施行は、公布日である令和六年六月二十六日から二年六か月を超えない範囲内で政令で定める日と規定がなされております。こども家庭庁は、こども性暴力防止法施行準備検討会というのを設けていただき、四月の二十一日、五月の二十六日、そして六月の五日と開催、議論を進めているということを承知いたしております。
そこで、三原大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、日本版DBS制度の施行、そして稼働に向けて今後どのようなスケジュールを考えていらっしゃるのか、また、準備検討会は、子供たちの尊厳を守り抜くため、強い意思と専門性を持ったどのような方がメンバーになっておられるのか、また、具体的な検討課題としてどのようなテーマを設け、現在どこまで議論が進んでいるのか、準備検討会の現在の状況について教えてください。
○三原国務大臣 子供性暴力防止法の施行につきましては、先週五日に有識者によるこども性暴力防止法施行準備検討会を開催いたしまして、法の施行期限であります令和八年十二月二十五日を施行期日とする方針をお示ししたところでございます。
十分な準備、周知期間を踏まえると、本年秋頃には制度の骨格を固め、年内を目途にガイドライン等を定めていく必要があると考えてございます。このため、この検討会において、制度対象となる事業者、従事者の範囲、事業者における子供に対する性暴力等の未然防止、早期発見等の在り方、犯罪事実確認の仕組みや犯歴ありの方に対する雇用管理上の措置の在り方、事業者における情報管理の在り方等について検討を深めており、先週五日の検討会で議論が一巡したところでございます。
先ほど委員から第一回、第二回、第三回の検討会の日程も御案内をいただきました。また、この検討会には、民法、労働法、情報法、児童心理等の学識経験者、性暴力等の被害者、事業者支援を行っている法律家、教育保育事業者、労働者の代表、当事者として若者や保護者の代表など各界を代表する有識者の方に参画いただいておりまして、子供に接する現場での性暴力等をどのように防止していくのかという観点で熱心に御議論をいただいているところでございます。
引き続き、検討会の有識者等の御意見を伺いつつ、関係省庁とも連携しながら、円滑かつ確実な施行に向けてしっかりと準備を進めてまいります。
〔委員長退席、牧島委員長代理着席〕
○浮島委員 是非よろしくお願いいたします。
子供たちを守り抜く上での一つの大きな壁というのは、やはり省庁の縦割りであると私は思っております。
例えば、児童生徒性暴力防止法による、文部科学省には、過去も含めて少なくとも四十年にわたる、児童生徒性暴力を行ったことにより懲戒免職になって教員免許が失効した方々のデータベースというのがあります。これまでも、児童生徒性暴力で、刑事事件にはならなかったものの、懲戒免職となって教員免許が失効した小学校の教師が学習塾でまた子供相手の仕事をするという事態が発生していました。依存的に子供たちに性暴力を繰り返す者が、教員免許が失効して教壇に立たなくなったら、学習塾やスイミングスクールなどで再び子供たちに関わろうとする可能性が非常に高いということは言うまでもありません。
今回の日本版DBSをより実効性あるものにするためには、省庁の壁を越えて、この免許失効データベースの活用が欠かせないと私はいつも訴えてまいりました。学校や保育所で、子供たちに対する性暴力で刑事事件とはならなかったものの、懲戒免職となり教員免許や保育士資格が失効した者が、素知らぬ顔で学習塾やスポーツクラブで再び子供たちの前に現れるのを防ぐためには、日本版DBSと教員免許失効者データベース、保育士資格失効者データベースとの連携、そして連結が絶対に不可欠であります。
様々な制度的な課題を三原大臣の強いリーダーシップで乗り越えて、子供たちを性暴力から確実に守り抜いていただきたいと思いますが、大臣の御決意をお聞かせください。
○三原国務大臣 委員御指摘のデータベースと子供性暴力防止法の犯罪事実確認との補完、連携の在り方については、法の成立時の附帯決議や、そしてまた委員から先日の御質問での御提案も踏まえまして、本年五月にこども家庭庁、文部科学省との間で審議官級の検討チームを立ち上げて、どのような対応が可能であるかについて検討を進めています。
委員御指摘の学習塾も含めた子供性暴力防止法の対象事業者の全てにおきまして、これらのデータベースの情報を活用できるようにすることは、性暴力を防止する観点から重要な視点であると考えておりますが、その実現のためには、例えば、一、法律上、両データベースの目的外利用となること、二、特定性犯罪事実と免許等失効情報とで事実確認のタイミング、事実確認の方法、事実確認までの期間、犯歴、処分歴があった者に対して、法律上、事業者に求められる対応などが異なることなど、様々な課題を解決する必要がございます。
委員からの御指摘も十分踏まえつつ、引き続き、検討チームにおきましてまずは課題の精査をしっかり進めるとともに、具体的な連携策も検討してまいりたいと考えております。
〔牧島委員長代理退席、委員長着席〕
○浮島委員 是非大臣の強いリーダーシップで、しっかりと文科省とも連携をしながら、他省庁とも連携をしながら進めていただきたいと思いますので、お願い申し上げます。
次に、本日は金城文部科学大臣政務官にもお越しいただいておりますので、お伺いをさせていただきたいと思います。
児童生徒性暴力防止法は、令和四年の四月一日に施行されました。同法の附則第七条三項には、政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすると規定がなされております。既に私のところにも、各地で性暴力に取り組んでいる皆様から、この見直しに対する期待や要望がたくさん寄せられているところでもございます。
児童生徒性暴力防止法の附則第七条第三項に定める検討と必要な措置を行う時期となりましたけれども、現在、文部科学省において、この検討をどのような専門家に御協力いただき、どのようなテーマに基づきどのような検討を行うこととしているのでしょうか。また、先ほどの日本版DBSの教員免許失効者データベースとの連携を含めて制度の見直しが必要とあるとすれば、どのような点を見直す必要があると考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○金城大臣政務官 お答えをいたします。
子供を守り育てる立場にある教員が、児童生徒性暴力を行うなどということは断じてあってはならないと考えております。浮島委員が現場の声を聞いて議員立法としてまとめていただいた教員性暴力等防止法の内容を徹底するために、文部科学省としましては、御指摘の見直しの検討もしっかり行ってまいります。
なお、見直しに当たっては、これまで寄せられた問合せや相談などに加え、教育委員会等の学校関係者や本法について詳しい知見を持つ有権者に対して、法の運用に当たって課題となっている点や解決すべき点、例えば、より効果的な児童生徒への啓発や、データベースが適切に活用されていない事例への対応などについてヒアリング等を行う予定でございます。
また、御指摘のデータベースと子供性暴力防止法の犯罪事実確認の仕組みとの補完、連携につきましても、双方の活用により、より効果的に子供に対する性暴力等の防止に資するものと考えており、先ほど三原大臣から御答弁があったとおり、こども家庭庁としっかりと連携をし、必要な検討を進めてまいります。
引き続き、子供たちへの性暴力の根絶に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
○浮島委員 この法律を作ったときに、初めは、見直し、検討は五年後と言われておりました。でも、私たちからの強い要望で三年にしていただいたところでもございますので、しっかりと現場のお声を聞きながら、そしてしっかりと連携をしながら検討していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
また、児童生徒性暴力防止法ですけれども、様々な声をいただいている中で、同意の有無にかかわらず、児童生徒と性交等をするなど全て同法により禁止されて懲戒免職の対象となる、児童生徒性暴力等に該当するということが規定がなされております。でも、いまだに児童生徒性暴力防止法で懲戒免職になった教員の方からは、自分はその子から好かれていた、あるいは、あれは恋愛だったので決して性暴力ではないという言い訳をする声があります。私は本当に信じられません。
そこで、政務官にもう一回お伺いさせていただきますけれども、学校現場や関係者の間に児童生徒性暴力防止法が、同意の有無にかかわらず児童生徒等に性交等をすることなどは全て同法により禁止され、懲戒免職の対象となる児童生徒性暴力等に該当すると規定することが周知徹底されていません。なので、この児童生徒性暴力防止法の根拠の理念を一人一人の教育関係者に徹底させる必要があると思いますけれども、措置をどう講じていただけるでしょうか。
○金城大臣政務官 答弁の前に、済みません、先ほどの答弁で、見直しの件で、教育委員会等の学校関係者や本法について詳しい知見を持つ有識者に対してということで、答弁を直したいと思います。よろしくお願いします。
今先生ありましたように、教員の性暴力等防止法に基づき文部科学大臣が定める指針におきましては、児童生徒性暴力等は児童生徒等の同意の有無を問わないこと、教師による児童生徒性暴力等があった場合には原則として懲戒免職とすることなどについて規定しており、この点、これまでも様々な機会を捉えて各教育委員会等に対して徹底を求めるとともに、教職員向けの研修用動画を作成、公表することなどにより周知徹底を図っているところでございます。
文部科学省といたしましては、こうした内容を今後も引き続き教育委員会の担当者が集まる会議等で繰り返し周知していくなどを通して、児童生徒性暴力等を行った教師に対して厳正な懲戒処分が行われるよう、各教育委員会の取組を徹底してまいります。
○浮島委員 まだまだ周知が行き届いていないので、どうか周知できるように、繰り返し繰り返しよろしくお願い申し上げます。
また、医師や公認心理師、精神保健福祉士などの、困難さに向き合っている方々をケアし、支援する専門職におきましては、被援助者を私的に利用することや多重関係者の禁止がこれらの専門職の養成課程での授業や実習において厳しく指導されています。
教員養成課程や教職課程においても、まずイの一番に、児童生徒やその保護者などの自分がケアし支援する方との対応について、性暴力は当たり前のこと、自分の利益や欲望のために利用してはならないことなど、授業や教職の実習などにおいて繰り返し繰り返し厳しく指導し徹底する必要があると私は思います。そのことが教職の専門性に対する社会の信頼を更に高めるものであると思いますけれども、御見解をお伺いさせてください。
○金城大臣政務官 教員性暴力等防止法においては、教職課程を置く大学は、学生が児童生徒性暴力等の防止等に関する理解を深めるための措置を講ずることとされております。多くの大学は教職課程における教員の服務上、身分上の義務に関する授業や教育実習の事前指導に関する授業項目の中で、児童生徒に対する性暴力の防止等について取り扱っております。
また、文部科学省では、教職課程で学ぶ学生の児童生徒性暴力等の防止等に関する理解を深めるため、児童生徒性暴力等の定義や教育実習等での留意点に関する動画を作成したほか、各大学の教職課程で活用可能なICT教材を開発し、大学等に活用を促しているところでございます。
文部科学省としましては、各大学において教員を目指す学生に対して児童生徒性暴力等の防止に関する教育が徹底されるよう、今後ともしっかり取り組んでまいります。
○浮島委員 最後に、高等専門学校や大学といった高等教育機関において学生に対する性暴力があってはならないということは言うまでもありません。そこで、日本版DBSが施行されることも踏まえまして、文部科学省として、高校段階の子供たちも学ぶ高等専門学校や、大学、専門学校などの高等教育機関において学生が性暴力の被害に遭うことが絶対にないように本腰を入れて取り組むべきと思いますが、お答えください。
○金城大臣政務官 大学等におきまして教職員から学生に対する性暴力等が生じることはあってはならず、各大学等に対し、セクハラ、性暴力等の行為者への厳正な対処に関する学内規則の整備、そして、教員採用段階における学生に対するセクハラ、性暴力等を原因とする懲戒処分歴等の確認、学外の関係機関との連携など、セクハラ、性暴力等の防止の徹底を求めているところでございます。
さらに、いわゆる日本版DBSが施行されることも踏まえ、新たに教職員や学生向けに各大学の研修等で活用できる教材を作成し、先月、文部科学省ホームページに掲載して周知したところでございます。
文部科学省といたしましては、学生が安心して修学できる環境を確保できるよう、こうした研修教材等も活用しながら、セクハラ、性暴力等の防止の徹底に向けて、各大学等における取組を促してまいります。
○浮島委員 私も、この法律を作るときに様々な方々からヒアリングをさせていただきました。その中でちょっとショックを受けたのは、ドクターからもヒアリングをさせていただきました、そのドクターというのは加害者を診ているドクターなんですけれども、日本ではまだまだ保険適用等々になっておりません。海外では保険適用になっていて、皆、薬を飲んで抑えることもあるということがありますけれども、これはまた厚労省ともしっかり連携を取りながら、この加害者の対策、ここもしっかりとしていかなければならないと思いますので、どうか、各関係省庁としっかり連携を取って、三原大臣先頭の下、子供たちを断固守っていただきたいということをお願いし、質問を終わります。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、阪口直人君。
○阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。
四月十五日の当委員会におきまして、国内の木材を活用することをテーマに質疑を行いました。この中で、報道によると大阪・関西万博の巨大木造リングをミサワホームが受注して建設したとのことなんですが、このシンボリックな建物さえも国内の木材で賄えないこと、大変残念に思っていますと発言した件について、受注、建設したのはミサワホームというのは事実誤認でした。御迷惑をおかけしたことを謝罪し、訂正いたします。議事録は既に訂正させていただきました。
今日は、紙の保険証を存続してほしいという個人や医療機関の声に基づいて質問をさせていただきます。
昨年の十二月二日に健康保険証の新規発行が停止されました。全国保険医団体連合会によると、マイナ保険証について、特にトラブルはないという医療機関は、二〇二四年の五月以降のマイナ保険証実態調査では二四・六%。ところが、十二月以降の調査では一〇・六%に大きく減っています。つまり、トラブルが増え続けているということなんですね。
医療機関に話を聞いても、通信障害があるとこのマイナ保険証は使えないし、なくしてしまったときの再発行も本当に大変であるという声を聞きます。また、暗証番号を忘れてしまう方も非常に多いとのことです。私自身も、以前、国民健康保険に切り替わったときに、前の保険証は失効し、資格確認書は届いておらず、マイナ保険証も申請前で、歯の詰め物が取れて歯医者に行ったけれども治療してもらえなかったということがありました。
二〇二五年度には、有効期限切れのマイナ保険証、つまり電子証明書の更新が必要なマイナンバーカードが二千七百六十八万件、国保加入者の多くは九月以降従来の保険証の有効期限を迎えるので、特にこの九月以降は無保険扱いの人が激増してトラブルが更に増えることが予測されています。
質問です。
トラブル時の対応で最も多かったのが、従来の健康保険証による資格確認で、七九・八%と圧倒的に多い割合でした。つまり、今の紙の保険証というのは、トラブルがあったときの最後のよりどころということなんですね。改めて伺いたいと思います。なぜ廃止するのか、廃止しなければいけない意味というのはどこにあるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○吉田大臣政務官 お答え申し上げます。
マイナ保険証は、従来の保険証にはないメリットとして、本人の健康医療情報を活用した適切な医療を受けられるメリットがありまして、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行したところでございます。
その上で、保険証からの切替えに伴いまして、国民の方々の不安の声に丁寧に対応するために、トラブルへの対応、これはもちろんでございますけれども、最大一年間、発行済みの保険証というものも使用ができ、そしてマイナ保険証をお持ちでない方には申請によらず資格確認書を交付する、それとともに、マイナ保険証をお持ちの方におきましても要配慮者には申請に基づいて資格確認書を交付するといった措置を講じているところでございます。
従来の保険証とマイナ保険証を発行し続けるということにつきましては、その発行事務コストの観点からも望ましくないというふうに考えているところでございますので、マイナ保険証を基本とする仕組みへと移行する中でも、資格確認書の活用も含めて従来どおり保険診療が混乱なく受けられることができるように、引き続き国民の皆様や医療機関に対して丁寧に周知をしていきたいと考えております。
○阪口委員 マイナ保険証を活用することによって生じるメリット、これは理解をしておりますし、多くの方々も、これを問題なく使えるのであれば、これは望ましい方向だと考えているんだと思います。
ただ、実際になかなかこれを、変化についていけない人というのが多くて、結局七十五歳以上の後期高齢者の方々に資格証明書を発行するということになったわけで、であれば今の保険証を存続させればいいんじゃないかという声が起こるのも、これは当然だと思うんですね。つまり、廃止するという方向性は破綻しているんじゃないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
○吉田大臣政務官 マイナ保険証を医療機関で利用するためには、マイナンバーカードの電子証明書を有効期限前に更新する必要があるということでありますけれども、更新の件数、これは委員が先ほどお示しをしたように増加することが見込まれているところでありますので、マイナ保険証をしっかり使ってもらうために、有効期限が切れる前には、有効期限前からの更新の御案内をしたり、あるいは医療機関等を受診した際にカードリーダーで更新アラートを表示するといった対応を行って、更新を促しているところでございます。
そして、必要に応じて重層的な対応をすることで、マイナ保険証を利用する患者が十割負担をまずすることなく円滑に保険医療が受けられるということが一番大事でありますので、こうした運用の周知や電子証明書の早期の更新の呼びかけ、これに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○阪口委員 実際にマイナ保険証がうまく使えない方々からすれば、マイナ保険証を使わないことによる様々な弊害、言ってみれば何か意地悪されているような、そんな思いを持つ方も実際は多いんですね。ですから、そんなに難しいことではないと思うんです。これまでの紙の保険証と併用し、そして、マイナ保険証のメリットはメリットでしっかり患者さんの方々の健康状態を把握することに生かしていけばいいと思うので、これは本当に、六八・六%、六千六百八十二の医療機関が併用できるようにしてほしいということでございますので、是非検討をしていただきたいと思います。
この点についてもう少し質問をしますと、東京の世田谷区、渋谷区では資格証明書は全ての人に配付することになったんですね。世田谷区においては七十五歳以上は二六%、渋谷区は一五・八%。ということは、若者人口、ふだんから仕事でデジタルを使っている人も多いんですね。でも、やはりそういう人たちもマイナ保険証だけでは不安と感じている。だからこそ渋谷区、世田谷区はこのような対応をしているんだと思います。
裕福な自治体はサービスを拡大できるけれども、そうではない自治体は更に置き去りにされる、これは問題だと思うんですね。そういう意味でも、繰り返しになりますが、紙の保険証との併用ということについて是非検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○吉田大臣政務官 お答え申し上げます。
資格確認書、これにつきましては、法律上は、被保険者が電子資格確認を受けることができない状況にあるときに交付をすることとしているところであります。
その上で、特に七十五歳以上の後期高齢者につきましては、新たな機器の取扱いに不慣れであるとか、そうした理由でマイナ保険証の移行に一定の期間を要する蓋然性が一般的に高いというふうに考えられることから、マイナ保険証の保有状況にかかわらず資格確認書を職権交付する暫定運用を行うこととしたところでありますが、ただ、後期高齢者以外の方々には様々な年代、属性の方が含まれておりまして、そうした状況にはないというふうに考えておりますので、制度の趣旨にのっとって適切に運用がなされるように努めてまいりたいと思っております。
○阪口委員 私の父親も今八十八歳でして、ホームページを自分で立ち上げてNPOを主宰するというような、割と年齢にしてはデジタルに果敢に挑戦する人だったんですが、しかし、マイナンバーカードにはついていけない。
結局、いろいろなことを何度も何度もやり直しさせられて、根負けしてしまうんですよね。私も今パスポートの申請をしているんですが、何度もやり直しをさせられて、完了になったと思ってもまた通知が来て繰り返し。例えば今のパスポートの情報を読み取るとか。写真を撮ったら背景が暗いとか顔が大きいとか小さいとか何度も言われて、結局まだ申請は完了していません。このような、何度もやり直しをさせられて、だったら従来のやり方でいいんじゃないかというのがデジタル全般に言えることだと思うんですね。
ですから、なかなかついていけない、ついていけるはずの人でも不便を感じている、この人たちに対する措置をしっかりとお願いしたいと思います。
次に、PFASについて質問いたします。
米軍横田基地で二〇二三年の一月に発がん性が指摘される有機フッ素化合物PFASで汚染された水の漏出事故が発生したこと、そして、米軍はその後、廃棄物になった汚染水を適切に保管していなかったことが明らかになりました。アメリカの国防総省がこの四月に報告書を公表して、職員や市民が健康被害にさらされるリスクを指摘したことで判明したわけです。
まず質問です。何で報告されるまで二年半近くもかかったんでしょうか。また、防衛省にはいつ連絡があったんでしょうか。
○本田副大臣 お答えいたします。
お尋ねの事案につきましては、米側に事実関係の確認を行っていましたところ、昨日、六月九日、情報提供がございました。具体的には、二〇二三年一月、横田飛行場内の売店の搬入口の消火システムにおいて、寒冷な天候状況により凍結し破裂した配管からPFOS及びPFOAを含む水約二百五十ガロンが漏出した。漏出した水はすぐ近くで封じ込められ、横田飛行場の外には流出しなかった。漏出した水は全て回収され、認可された施設において焼却処分をしたといった内容について説明があり、本日十日、関係自治体に情報提供をしたところであります。
その上で、米側への確認に時間を要した理由としては、米側とのやり取りに関わることでございますのでお答えを差し控えざるを得ないということを御理解いただければと存じます。
PFOS及びPFOAをめぐる問題につきましては、地域の皆様が不安を抱えていることを真摯に受け止めまして、米側に対し、PFOS及びPFOAの適切な管理及び漏出防止の徹底を求めるとともに、関係省庁や関係自治体と連携し、必要な対応を取ってまいります。
○阪口委員 二年半近くというのは幾ら何でも時間がかかり過ぎなんですね。この間に、例えば都合の悪いことが隠されているんじゃないかとか、そういった疑念を持たざるを得ない、そういう状況も生まれかねません。
私は、こういった事案が起こったときに、日米地位協定の環境補足協定に基づく調査ができるように米軍としっかり話し合って、地位協定においては基地内への立入りはできないということではあるけれども、命と健康を守るためにはしっかり交渉して、ここを突破していくというようなことをやはりやるべきだと思うんですね。全て米軍に任せて二年半も放置というのは、これは本当に日本人の健康を軽視していると受け止められかねないことだと思います。この点についてはいかがでしょうか。
○森田政府参考人 お答えを申し上げます。
環境補足協定につきましては、立入り等について定めておりますけれども、これは環境に影響を及ぼす事故、すなわち基地の外への漏出が現に発生した事案を対象としているところでございます。
今回の事案に関しましては、米側からは、漏出した水はすぐ近くで封じ込められ、横田飛行場の外には流出しなかったという説明を受けているところでございます。いずれにしましても、関係省庁や関係自治体と連携して、必要な対応を今後とも取ってまいりたいと考えております。
○阪口委員 地下水脈にどういう影響があるかとか、もしかして後になって何らかの健康被害に表れてくるかもしれません。因果関係が分からないから調査しないのではなくて、あくまでも住民の側に立って不安の解消に努める、そのような対応を強く求めたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、本村伸子さん。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
農家の皆さんを本気で応援するべきだという観点から、質問をさせていただきたいと思います。
まず、伊東大臣にお伺いをいたします。農林水産業の振興は地域活性化にとって不可欠だというふうに考えますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○伊東国務大臣 本村先生の御質問にお答えいたします。
まさに今おっしゃられたとおりでありまして、農林水産業の振興、まさに我が国の基幹産業であります。大事にしなければならないと考えております。
○本村委員 ちょうど私、大臣のお地元の牛乳も飲ませていただいておりますけれども、本当に農家の皆さんを応援していくということがこの国にとって最重要のことだというふうに痛感をしております。
お米の農家は、二〇〇〇年以降、百七十五万戸から五十三万戸へ激減をしております。お米を作っても時給百円未満、二年連続時給十円という年もあったわけですけれども、これでは続けていくことができません。そして、子供さんに継いでいただくということもできません。お米の値段が今上がっておりますけれども、その根本的な原因は需要よりも生産量が下回っている現実がありまして、生産量を増やしていくためにも、お米作りに希望が持てるようにすることが必要であり、農家の皆さんへの価格保障、所得補償が必要だというふうに思っております。
そして、潜在的な需要というのはたくさんあるというふうに思うんです。昨日も私は愛知県内のお母さんから、食べ盛りの中学生がいて毎月十キロのお米を四人家族で買っていたけれども物価の高騰で七キロしか買えなくなってしまった、家計が大変で子供のための教材も先月切った、お米の代わりに百三十五円の五枚の食パンを朝食にして、でも一人一枚では足りない、塩むすびが食べたいと子供さんが言うのでお母さんが我慢をして子供さんに食べさせている、でも家計は三万円から四万円ぐらい毎月赤字だというお話をお伺いいたしました。
このように、潜在的な需要というのは、しんぐるまざあず・ふぉーらむの皆さんの調査でも、お米が買えなかった、よくあったというのが四五%、時々あった四三%、八八%のシングルマザーの御家庭がお米を買えないという現実があります。
主食であるお米をおなかいっぱい食べてもらうことを保障すること、そしてお手頃な値段で購入することができること、そして農家の皆さんも安心というためには所得補償、価格保障を実現することが必要だ、このことを同時にすることが必要だというふうに考えますけれども、笹川農水副大臣、是非お答えをいただきたいと思います。
伊東大臣、御退席いただいても構いませんので、ありがとうございます。御用事があるということで、大丈夫でございます。
副大臣、お願いしたいと思います。
○笹川副大臣 御質問ありがとうございました。基本的な考え方は、私も本村さんと一にしているというふうに思っております。
今回、米価の高騰に対して、遅々としてその効果が出なかったということについては、改めておわびを申し上げたいと思っております。また、今御党からも御提案がありますし、他の各党各会派からもいろいろな御提案がございます。
今年度、水田政策についてはしっかりと議論を深めていき、そしてまた、いわゆる九年度の予算編成に向けて要求をしていくということでありますので、御党からの御指摘についても真摯に受け止めたいというふうに思っております。
○本村委員 ありがとうございます。
同時に、価格保障、所得補償、これもしっかりとやっていただかなければなりません。
それと同時に、新規就農者についても増やさなければなりません。四十九歳以下の新規就農者は、二〇一五年、約二万三千人だったものが、二〇二三年には約一万五千九百人というふうに激減をしております。これでは食料自給率を上げることが、本当に二十年、三十年先できるのかということになります。安全な食料をこの日本の大地で生産していくということは、安全保障上も非常に重要だというふうに思っております。
愛知県内のJAの方から、食料、胃袋を握られてしまって、不利な外交交渉をされた場合にのまなければならなくなるようなことでは駄目なんだと。国の主権を守っていくためにも、食料の自給率を上げなければならないというふうに思っております。
新規就農者が使える経営開始資金についてなんですけれども、経営開始五年後までに農業で生計が成り立つ計画を求めているのに、その資金は最長で三年しかない、厳し過ぎるということで、これは三重県の新規就農者の方からお話をいただきました。三年というのを、改悪してしまったのは二〇二二年のことだったというふうにお聞きをしております、最長五年に戻すべきだというふうに思います。
また、物価高騰の下で、資金というのは月々十二万五千円なんですね、二〇一二年から変わっていない。年間百五十万円ですけれども、これでは余りにも低過ぎるというふうに思います。二倍化を含めて増額をやるべきだというふうに思いますけれども、これも笹川副大臣にお願いしたいと思います。
○笹川副大臣 今委員が御指摘をいただきました見直しは、令和四年度に見直しを行いました。そのときに五年から三年と。ただ、併せて経営発展のための機械と施設等の導入というものを、都道府県と連携した支援を創設させていただきました。
あと、六年の補正予算においては、経営を継承する際に必要となる機械、施設の修繕や老朽設備の撤去などを支援対象に追加し、国の補助上限を引き上げた、五百万から六百万。これは、親元就農についても同様ということでさせていただきましたので、令和四年の見直しということで、また、令和六年度の補正予算ということでありますので、その執行状況を見ながらというふうに、確認はしなければいけないというふうに思います。
○本村委員 設備投資しないともらえない、しかも借金が残るリスクがあるわけで、機械とか施設とかに投資する、そのことに支援を充実させていただくというのは非常に重要だというふうに思いますけれども、同時に、所得を補償するような資金を、三年から五年にまた元に戻していただくということと、月々十二万五千円ということも余りにも低過ぎるので増額を強く求めたいというふうに思います。
続きまして、国立病院の院内保育所の役割をどのように考えているかという点もお伺いをしたいというふうに思います。
また、院内保育所で働く保育士の皆様の処遇が著しく低いわけです。全医労の皆様のアンケート結果では、院内保育所で働く正社員、契約社員の保育士の基本給の平均は約十九万円です。月々二十万円もないんです。一般の保育士さんと比べても八万一千円低く、全産業と比べても十二万八千円低い。
このような状況をどのようにつかみ、改善していく計画なのか。今度は厚生労働副大臣にお伺いをしたいと思います。
○仁木副大臣 本村委員の御質問にお答えします。
まず、国立病院機構の各病院におきます医療従事者の適切な勤務環境の確保を図る上で、院内保育所の果たす役割は大きいというふうに考えております。
国立病院機構内での院内保育につきましては、各病院が外部業者への運営委託契約により運営しているところでありまして、委託業者の保育士の処遇を含め、入札参加業者の業務内容等を適切に評価するとともに、委託業者やその雇用職員、保護者等と年に数回開催される会議等において話合いを行う等といった取組を行っていると聞いております。
厚生労働省といたしましては、国立病院機構が引き続きその責務を果たせるよう、今後の対応状況を注視してまいりたいと考えております。
○本村委員 今のお話ですと、余りよく見えてこないわけです。
昨年の六月五日、衆議院の厚生労働委員会で宮本徹議員が、地域医療介護総合確保基金による補助の基準額、保育士一人当たり月補助単価が十八万八百円、これを引き上げるように求める質問をいたしました。
これに対して厚生労働大臣は、実態をちゃんと把握しようということは、きちんと私から指示を出しております、その結果として、もし極めて低い実態が確認されたということになれば、それを是正するための対応策は当然、その結果として検討していくことになるだろうと思いますというふうに答弁をいただきました。答弁の実態把握の結果をお示しいただきたいと思います。
また、一般の保育士の皆さんでいいますと、処遇改善は、二〇二四年度―二〇二五年度は一〇・七%となっております。物価高騰は一層深刻になっておりまして、院内保育所の社会的な重要性からしても、院内保育所の保育士の皆さんに早急に大幅な賃上げができるようにするべきだというふうに考えますけれども、副大臣の御見解を伺いたいと思います。
○仁木副大臣 まず、本村委員の御質問の趣旨はよく把握しておりますし、重要なことだと思っております。その上で、先ほど質問の中で述べられました宮本委員の質問の方も認識しております。
看護職員を始めとする医療従事者の離職防止や再就職を促進するために、子育てをしながら働けるような取組としまして院内保育所の設置は重要であると認識しておりまして、具体的には地域医療介護総合確保基金により支援を行っているところでございます。
御指摘のその院内保育所運営事業の補助基準額については、各都道府県が地域の実情に応じて設定することが可能となっており、国が一律の基準を定めているものではないわけでございますが、先ほどの御質問を受けて各都道府県の交付要綱等を確認しました。当該補助基準額については、多くの都道府県が平成二十八年度に示した補助事業例に記載の金額を参考としておりまして、一部の都道府県においては、その中でも、県の判断で標準事業例に記載の金額よりも高い金額を設定するといった対応を行っている状況であることが分かりました。
繰り返しになりますが、補助基準額については各都道府県が地域の実情に応じて設定することが可能となっておりますので、現下のこのインフレの中での状況での本村委員の指摘を踏まえまして、引き続き、各都道府県において実情に応じた適切な基準額の設定がなされるよう、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
○本村委員 答弁の実態把握の結果の部分なんですけれども、もう少し細かくお示しをいただけないでしょうか、厚生労働省。都道府県のうち、幾つがとか。
○谷委員長 厚生労働省は、参考人は来ていないですね。
○本村委員 来ていないということですので、後でお示しをいただきたいというふうに思います。
必要な対応をしていくんだ、それは賃上げをしていくためにということでよろしいですね。
○仁木副大臣 現在の財政当局との調整はどうかということもありますけれども、鋭意今協議中です。具体的な見通しは、今、幾ら、どうこうという、詳細に関しましては申し上げられませんが、改善を目指しての協議であるというふうに認識しております。
○本村委員 国立病院の医師や看護師の皆さんからもお話をお伺いする機会があるんですけれども、本当に人がいなくて現場は泣いているような状況です。そして、家族を犠牲にして、本当に一生懸命頑張ってくださっております。
人を確保するためにも、院内保育所、保育士さんの存在というのは本当になくてはならない状況です。看護職員の方々、夜勤なんかもしていただいて、なかなか子供さんとも十分会えない現実もあるわけで、せめて身近なところで保育をしていただいて少しでも子供と触れ合える時間を確保していただくということも含めて、是非応援をするためにも充実して保育士さんの処遇改善をしていただきたいということを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十一分散会