令和7年6月2日、新たな国立公文書館及び憲政記念館整備工事起工式が、衆議院及び内閣府主催により、国会前庭北地区にて行われました。
額賀衆議院議長は、起工式に参列し挨拶を述べるとともに、関口参議院議長、今崎最高裁判所長官、玄葉衆議院副議長、浜田衆議院議院運営委員長をはじめ参列者代表とともに鍬入れを行いました。
起工式終了後、額賀議長及び玄葉副議長は憲政記念館を訪れ、企画展示等の視察を行いました。
本日、新たな国立公文書館及び衆議院憲政記念館起工式を挙行するに当たり、主催者として一言ご挨拶申し上げます。
この会場の横には、憲政記念館のシンボルである時計塔がそびえております。
時計塔が三角の柱となっているのは、三権分立の象徴であると言われており、実際、この場所は、国会議事堂、霞が関、最高裁判所の間に位置し、3つの時計の文字盤はこれら3方向に向かいそれぞれ時を刻んでいます。
本日この地で、立法、行政、司法の代表が一堂に会して起工式を迎えられることは、誠に意義深く、喜ばしいことと存じます。
戦後、衆議院に移管されたこの地に、憲政功労者として初めて衆議院より名誉議員の称号を贈呈された尾崎行雄の功績を顕彰し、尾崎記念会館が建設されたのは昭和35年のことでした。
これは、天皇陛下の御下賜金に加え、全国の小中学生を始めとする各層からの寄付を得て建てられたもので、講堂と会議室を主な施設としていました。
その後、我が国の議会開設80年を記念し、議会制民主主義についての国民の認識を深めるため、尾崎記念会館に展示施設部分を増築、統合し、昭和47年3月、衆議院憲政記念館が開館いたしました。
以来、憲政記念館は半世紀余にわたり、憲政の歴史及び憲政功労者に関する資料や映像等の展示を行い、多くの参観者から好評を博してきたほか、衆参両院議員の集会や、各種式典の会場としても利用されてまいりました。
また、国会前庭は、尾崎行雄ゆかりのハナミズキや日本さくらの会により植樹された河津桜をはじめ、四季折々に緑豊かな、訪れる方々の憩いの場所となっております。
さて、平成29年4月、衆議院議院運営委員会において、衆議院憲政記念館と国立公文書館とを合築し、新たに建設することが決定されました。
憲政記念館は、「議会へのトビラ」という理念を掲げ、国民の皆様が議会制民主主義についての理解を深めるとともに、主権者としての知見を涵養する場を提供しております。新館の完成に向け、国の唯一の議会博物館として、また、国民と国会をつなぐ結節点として、一層の役割を果たしていくことが期待されます。
今般、その設置主体、成り立ち、目的を異にして発展してきた憲政記念館と国立公文書館の両館は新たに一体として合築されます。
新館の憲政記念館部分は、国立公文書館部分との違いを引き立てつつ、金属、ガラス等を基調とする旧館が採用していたデザインの歴史的価値を尊重し、引き継ぎます。
各館の独自性を踏まえつつ、それぞれの強みを活かすことで、来館者の多様なニーズに応え、魅力ある施設となることが求められているものと存じます。
令和12年春に予定される竣工、開館までの間、建設工事の安全と建物の無事完成を心より祈念し、私の挨拶といたします。
令和七年六月二日