大島衆議院議長は、平成30年10月23日に憲政記念館で行われた明治150年記念式典で、次のとおり、挨拶を述べました。
明治150年記念式典における衆議院議長挨拶
本日、明治百五十年記念式典が挙行されるに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
十八世紀末以降、開国通商を求める外国の動きが相次ぎ、朝野で国の独立への危機感が高まる中、我が国は、黒船の来航を受けて開国を決断いたしました。この出来事は、幕藩体制に動揺を生じさせるとともに、あるべき政体の議論を活発化させました。大政奉還と王政復古を経て、明治天皇が天地神明に誓う形で発せられた五箇条の御誓文の第一条には、「広く会議を興し万機公論に決すべし」と謳われております。これは、そういった議論の結実であったと思います。
その後、多くの方々が犠牲となった戊辰戦争や西南戦争などの内戦を経験しながら、新政府は、版籍奉還・廃藩置県や旧来の身分制度の改革といった国民国家形成につながる諸改革を進めました。そして、産業、技術、教育など各般の分野で近代化への取組がなされました。
議会制度についても、明治十四年には国会開設の勅諭が発せられ、明治二十二年発布の大日本帝国憲法に基づき、翌二十三年に帝国議会が開設されました。再来年には議会開設百三十年を迎えます。国民主権と男女普通選挙の実現は第二次世界大戦後となりますが、我が国は、アジアで初めての本格的な立憲国家として、議会の場で一貫して国政の針路について真剣に議論し、議会制民主主義を定着させてまいりました。
顧みれば、この幕末から明治にかけての時代には、人々が変転する内外の諸情勢に向き合い、多岐にわたる大改革が実現されました。我々は、その時代の意義について、重層的かつ多面的な歴史への理解を深めつつ、考え続けていかなければなりませんが、たゆまぬ努力により多くの困難を乗り越えて目覚ましい発展を成し遂げた先人たちに、畏敬の念と感謝の念を新たにいたします。また、この間、幾多の戦争や災害などにより尊い命を落とされた数多くの方々への哀悼の念に堪えないところであります。
我々国会議員は、明治以来の先達が育んできた我が国の議会政治をより良い形で引き継いでいくという重大な使命を深く自覚するとともに、過去の貴重な経験と教訓を活かしながら、いかに将来の日本を築き、国際社会の平和と発展に貢献していくかを真摯に考え、全力で国民の負託に応えてまいる所存です。
本日の式典が、我が国の歩みを振り返り、将来を考える意義ある機会となることを願い、我が国の益々の発展を祈念いたしまして、私のご挨拶といたします。
平成三十年十月二十三日