令和四年衆議院議長年頭の辞

令和四年の新春を迎えるに当たり、国民の皆様の御健勝と御多幸を心からお祈りいたします。また、皇室の弥栄と我が国のますますの発展を衷心より祈念申し上げます。

私は、昨年十一月に同僚議員の推挙により、議長に選任されました。就任後初めての新年を迎えることとなりましたが、日本国憲法の理念の下、国会が国民の期待と信頼に応え、国権の最高機関としての役割を果たすべく、議長として力を尽くしてまいります。

昨年は前年に引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、数多くの命が失われ、経済社会にも大きな影響を与えました。亡くなられた方々とそのご家族に哀悼の意を表するとともに、罹患された方々にお見舞い申し上げます。衆議院としても、与野党の協力の下、法案審議や国政調査を通じこの困難な状況に対処してまいります。

世界各国では、新型コロナウイルス感染症の猛威が続いているほか、昨年も多くの地震や豪雨等の自然災害が発生しました。これらの危機は危機管理の脆弱性や対立を表面化させた面もありますが、国際的な協調や各国における行動制限への人びとの理解と協力により、多くの命が救われた面もありました。このような時代だからこそ、真摯な議論を経て決定を行っていくという議会の役割の重要性は増しており、衆議院といたしましても、議会間交流により諸外国との相互理解と協力を深めるため努力してまいる所存です。

我が国は、この一年、新型コロナウイルス感染症に対応した社会経済の在り方を模索してまいりました。そのような中、東京オリンピック・パラリンピックが原則無観客という制限はありつつも開催されましたことは、我が国として誇れることであります。また、我が国の選手団はオリンピックでは史上最多、パラリンピックでは史上二番目の数のメダルを獲得するなど好成績を上げられました。このような選手の活躍はコロナ禍で意気消沈する私たちに大きな感動と勇気を与えてくれました。さらに眞鍋淑郎博士のノーベル物理学賞の受賞も日本人として誠に誇らしく、嬉しい出来事でありました。本年も様々な分野で多くの日本人が力を発揮されることを期待したいと思います。

結びに、改めてコロナ禍の終息を願い、本年が国民の皆様一人一人にとって実り豊かで明るい一年となることをお祈りし、新年の挨拶といたします。

令和四年  元旦

　　　　　　衆議院議長