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令和七年衆議院議長年頭の辞


迎春

令和七年の新春を迎えるに当たり、国民の皆様の御健勝と御多幸を心からお祈りいたします。また、皇室の弥栄と我が国のますますの発展を衷心より祈念申し上げます。

昨年十月の総選挙の結果、衆議院で過半数を有しない少数与党が政権を担う形となり、これまで以上に、与野党間の真摯な協議と、合意点を見いだす努力が重要となりました。こうした状況の中、私は、党派を超えた同僚議員の推挙により、十一月に衆議院議長に再任いたしました。国民の政治不信を払拭し、信頼を取り戻すためには、国会が国権の最高機関として相応しい議論と活動を行うことが肝要であります。各党が党派間対立に終始するのではなく、緊張感のある建設的な議論を行い、国を前に進めていく努力をそれぞれの立場で行われるよう、議長として、環境づくりに最善を尽くしてまいります。

国民の皆様の安全・安心は国会における最重要課題の一つであります。一年前の能登半島では、元日に発生した大地震により、多くの方が被災されました。私も昨年五月に現地を視察し、その被災状況を目の当たりにしました。我が国は地震大国であり、こうした深刻な被害をもたらす大震災が、いつどこで発生してもおかしくはありません。本年は、近畿圏に甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災から三十年となります。過去の教訓をしっかりと生かし、一日も早い能登半島の復旧・復興をやり遂げ、その上で防災体制の構築に私としても力を尽くしてまいりたいと思います。国民の皆様におかれましても、日頃から災害にしっかりと備えていただくようお願い申し上げます。

国際情勢も依然深刻です。本年は戦後八十年の節目の年であります。戦争の惨禍を決して繰り返してはなりません。特に、世界各地で悲惨な紛争が続いている中、各国の指導者から核使用を示唆するような発言がなされていることは、看過できないことであります。核兵器の使用は絶対にあってはならないことであります。昨年のノーベル平和賞には、核兵器廃絶に向けて長年活動を続けてこられた日本原水爆被害者団体協議会が選ばれました。こうした平和への活動が結実し、本年が世界平和に向かう年となることを心から期待いたします。私も、国際協調に基づく世界恒久平和の実現に向け、尽力してまいる所存です。

国際社会の日本の地位向上の観点からは、昨年、「佐渡島の金山」が世界文化遺産に、日本酒や焼酎などの日本の「伝統的酒造り」が無形文化遺産に登録されました。我が国には、この他にも世界に誇るべき歴史や文化遺産が数多くあります。本年、世界の注目が集まる大阪・関西万博において、科学技術や産業のみならず、我が国の文化や伝統にも多くの方に触れていただき、日本の魅力が世界中により一層浸透していくよう、努めていくことが重要と考えます。

スポーツの分野においても、昨年のパリ五輪では、海外大会史上最多となる四十五のメダルを獲得しました。特に、スケートボードやブレイキン、スポーツクライミングなどの比較的新しい競技における若い世代の躍動には感銘を受けました。こうしたアスリートたちの果敢な挑戦は、いつの時代でも国民に未来への勇気を与えてくれています。

本年の干支は乙巳(きのとみ)であります。「乙」は草木が屈曲しながら伸びゆく様子を表し、「巳」は脱皮を繰り返し、再生のシンボルとされます。前回の乙巳である一九六五年も、年の前半は証券不況に悩まされましたが、後半には回復し、記録的な経済成長をもたらした好景気、いざなぎ景気を迎えました。このときも、我々は、前年開催の東京オリンピックから勇気をもらい、不況に立ち向かいました。本年も、スポーツ界から受け取った勇気を胸に、我々は、三十年間の停滞を打ち破り、いざなぎ景気を超える大きな躍進ができるよう努力していきたいと思います。

結びに、本年が国民の皆様にとり明るく、実り多き一年となることをお祈りし、新年の御挨拶といたします。



令和七年  元旦



      衆議院議長

額賀福志郎衆議院議長のサイン



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