額賀衆議院議長(国土緑化推進機構会長)は、令和7年5月25日に埼玉県秩父市及び秩父郡小鹿野町で行われた第75回全国植樹祭において、大会会長として次のとおり挨拶を述べ、記念植樹等を行いました。
天皇陛下の御臨席を仰ぎ、第七十五回全国植樹祭を開催するに当たり、主催者として御挨拶を申し上げます。
まず、本年、岩手県大船渡市をはじめ、全国各地で発生した林野火災により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。また、再びこうした大規模な林野火災が起こることのないように、原因を究明し、対策を講じてほしいと願っています。
本大会は、多彩な自然と都市が共存する埼玉県で、六十六年ぶりに開催されます。今回の開催地である秩父地域は、約八割を森林が占める、古くから林業が盛んな地域です。同地域を重要な水源地としている荒川は、流域の人々に豊かな恵みと潤いをもたらしています。山村と都市が豊かな川で繋がるこの地で、「人・森・川 つなげ未来へ 彩の国」を大会テーマに、全国植樹祭が開催できますことは、まことに意義深いことであると思います。本大会を契機に、国民一人ひとりが自然との共生や森林の循環利用の重要性への理解を深めていくことを強く願っています。
埼玉県西部に位置する三富地域では、江戸時代から約三百六十年の歴史を誇る「武蔵野の落ち葉堆肥農法」が今も受け継がれていると聞いています。木を植えて平地林を育て、その落ち葉を堆肥にして土壌改良を行うことにより、安定した農業生産が可能となっています。こうして管理された平地林は、生物多様性の維持にも繋がっており、令和五年には世界農業遺産に認定されています。まさに、森林との共生を体現する優れた伝統であります。
このような伝統に基づいて豊かな自然を未来へと引き継いでいくため、日々努力を続けておられる全ての皆様に感謝を申し上げますとともに、本日、栄えある表彰をお受けになる方々に対し、心から敬意を表します。また、御参集の皆様におかれましては、今後とも緑化の推進や木材の利用拡大に一層のお力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。
結びに、本大会開催のためにご協力いただいた埼玉県の皆様をはじめ関係者の方々に厚く御礼を申し上げ、御挨拶といたします。
令和七年五月二十五日