森衆議院議長は、令和8年4月29日に日本武道館で行われた昭和100年記念式典で、次のとおり挨拶を述べました。
本日、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、昭和百年記念式典が挙行されるに当たり、一言御挨拶を申し上げます。
昭和という元号は、我が国の元号として最も長く使用され、外国の元号を含めても最長のものとなっております。その間の歴史は、近現代史における多種多様な体験が刻まれており、まさに未曽有の激動の時代でした。
我が国は、明治以降、各般の分野で近代化への取組を行い、国際連盟の常任理事国となるなど、国際的地位も向上しました。また、昭和初期には、満二十五歳以上の男子による普通選挙が初めて実施され、二大政党が交互に政権を担当する「憲政の常道」と呼ばれる慣例が成立するなど、デモクラシーの意識が高揚しました。しかし、先の大戦により甚大な犠牲を払うこととなります。
戦後、自由、民主主義、基本的人権の尊重といった普遍的価値を国の基本に据えた我が国は、一貫して平和国家として歩んでまいりました。また、女性参政権の実現により、帝国議会最後の総選挙以降、女性議員が選出されるようになり、日本国憲法の下、国会は、国権の最高機関として、また唯一の立法機関として、国運の進展のため尽力してまいりました。そして、国民のたゆみない努力と国際社会からの寛大な支援により、焼け野原から立ち上がり、「東洋の奇跡」と称されるほどの驚異的な復興、再生、高度成長を成し遂げたのであります。
この百年を顧みるとき、私は、幾多の困難を乗り越えて、今日の平和と繁栄を築いてきた先人たちに、畏敬の念を禁じ得ません。また、戦争によって尊い命を落とされた多くの方々への哀悼の念に堪えません。同時に、この間世界各国から寄せられた温かい御協力に対しましても、感謝の念を新たにいたします。
現在、我が国は解決が困難な幾多の社会課題に直面し、国際情勢は急速に厳しさと複雑さを増しておりますが、このような時だからこそ、昭和の歴史から様々な教訓を得て、真摯に考え、新しい時代を切り拓いていかなければなりません。我々国会議員も、波瀾と起伏に満ちた時代から大いに学び、国民生活の安定と向上、世界の平和と繁栄のために、これからも全力を尽くして、国民の信託に応えてまいる所存です。
本日の式典が、昭和の軌跡を振り返り、変転著しい時代に確かな歩みを進めていく縁となりますことを切望いたしまして、御挨拶といたします。
令和八年四月二十九日