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環境委員会

地球温暖化対策の推進に関する法律案(内閣提出、第142回国会閣法第111号)

成立(平成10年法律第117号)

本案は、地球温暖化防止が人類共通の課題となっていることにかんがみ、地球温暖化対策に関し、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、地球温暖化対策に関する基本方針を定めること等により、地球温暖化対策の推進を図り、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とするものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 「温室効果ガス」とは、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン及びパーフルオロカーボンのうち政令で定めるもの並びに六ふっ化硫黄をいうものとする。

二 国、地方公共団体、事業者及び国民それぞれの責務について定めるものとする。

三 政府は、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球温暖化対策に関する基本方針並びにその事務及び事業に関する温室効果ガスの排出の抑制等のための実行計画を策定、公表するとともに、その実施状況を公表しなければならないものとする。

四 地方公共団体のうち、都道府県は、基本方針に即して、温室効果ガスの排出の抑制等のための実行計画を策定、公表するとともに、その実施状況を公表しなければならないものとする。また、市町村は、基本方針に即して、温室効果ガスの排出の抑制等のための実行計画を策定するように努めるとともに、計画を策定した場合には、その計画及び実施状況を公表しなければならないものとする。

五 事業者は、基本方針の定めるところに留意しつつ、単独に又は共同して、温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する計画を作成、公表するように努めるとともに、その実施状況を公表するように努めなければならないものとする。

六 地球温暖化対策に関する普及啓発等を図るため、地球温暖化防止活動推進員の委嘱や活動内容、都道府県地球温暖化防止活動推進センター及び全国地球温暖化防止活動推進センターの指定や事業内容等について定めるものとする。

七 その他、温室効果ガスの総排出量の公表、関係行政機関の協力、経過措置及び罰則等について定めるものとする。

八 施行期日等

1 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとする。ただし、目的等の規定は、公布の日から施行するものとする。

2 政府は、この法律の施行後5年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(修正要旨)

一 目的の修正

目的規定に「気候変動に関する国際連合枠組条約及び気候変動に関する国際連合枠組条約第3回締約国会議の経過を踏まえ、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止すること」及び「すべての者が自主的かつ積極的にこの課題に取り組むことが重要であること」を追加するものとする。

二 市町村の事務及び事業に関する実行計画等の修正

市町村も、都道府県と同じく、その事務及び事業に関し、実行計画を策定するものとする。

附帯決議(10.9.4)

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

一 京都議定書で定められた我が国の温室効果ガスの削減目標については、排出量取引や共同実施等は目標達成に当たって補完的なものであるとされていることに留意し、本法の適切な実施、省エネ法等関係諸法律との連携強化、その他の地球温暖化防止対策の一層の充実等により、目標の達成に向け国内対策の強力な推進を図ること。

二 地球温暖化対策に関する基本方針については、これが本法の目的達成のための最も重要な役割を果たすものであることにかんがみ、地球温暖化防止行動計画が策定された後も、1990年以降二酸化炭素の排出量が増加し続けている現状を謙虚に反省し、各主体が真に削減効果の上がる対策を講ずることとなるように、その内容を厳密に定めること。

三 政府自らが定める温室効果ガスの排出抑制等のための実行計画については、率先実行の姿勢を国民に示すため、具体的かつ明確にその内容を定め、これを確実に実行するとともに、計画の実施状況等についての分析、評価等を行い、さらにこれらの情報を国民へ提供していくとともに、できるだけ国民の声を反映させていくこと。

四 事業者が、温室効果ガスの削減に向けて自主的に法律に基づく計画等を策定、公表するよう促していくため、技術的情報、他の事業者による先駆的な取組等についての情報の提供など、積極的な支援を行うこと。

五 国民が温室効果ガスの排出削減を行うに当たっては、国民1人1人のライフスタイルを見直すことが肝要であることにかんがみ、国民各層に対し、本法及び京都議定書の趣旨の周知を図るとともに、特に、国民の担う役割に関して普及・啓発、教育・学習等を通じてなお一層の理解を得るよう努めること。

六 政府、地方公共団体及び事業者の策定する実行計画等の内容やその実施状況を公表し、社会的評価を受けることによって、地球温暖化対策の推進を図ることが本法において重視されていることから、これを促進するため、策定された実行計画等及びその根拠となる情報を収集し、これらの情報に基づいて分析、評価を行うとともに、その結果を広く国民に提供するよう、必要な措置を講じること。

七 地球温暖化対策の推進に当たっては、国民の賛同と参加を得ることが重要であることにかんがみ、基本方針の策定、実行計画の実施状況の評価等に当たり広く国民の意見を聞くとともに、全国及び都道府県地球温暖化防止活動推進センターの活動に国民、住民の意見が十分反映されるよう必要な措置を講じること。

八 京都議定書の早期発効に向けて積極的なイニシアティブを発揮するとともに、排出量取引等の国際的仕組みの構築に当たっては、これらの仕組みが各国の温室効果ガスの排出削減措置の抜け道とならないよう、その国際的な交渉に指導力を発揮すること。

九 2010年には途上国の温室効果ガスの総排出量は先進国のそれを上回ると推定されていることから、途上国における取組が強化されるよう、我が国がCOP3で発表した「京都イニシアティブ」を着実に実施し、途上国への技術移転、資金供与、途上国での人材育成等を積極的に進めること。

十 大気中の温室効果ガスの濃度、気象や生態系の変化の状況を適確に把握するための観測・監視及び地球温暖化による地球環境への諸影響の予測に関する調査・研究を充実するとともに、その成果を広く各主体に積極的に提供すること。

十一 環境委員会においても今後の地球温暖化防止対策の推進に寄与するための必要性から、各主体における温室効果ガスの排出抑制等の実施状況等を初めとする本法の運用状況及び本附帯決議の実施状況を本委員会に対し適時適切に報告すること。


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