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厚生委員会

[1] 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案(内閣提出、第142回国会閣法第84号)(参議院送付)

成立(平成10年法律第114号)

本案は、最近における感染症の発生の状況、保健医療を取り巻く環境の変化、国際交流の進展等を踏まえ、総合的な感染症予防対策の推進を図るために、措置の対象となる感染症について類型を設けて見直し、感染症予防のための基本指針等の策定、感染症に関する情報の収集及び公表、患者等の人権に配慮した健康診断、就業制限及び入院、感染症のまん延を防止するための消毒その他の措置、感染症の入院患者への医療の提供等に関する事項を定めるとともに、感染症の病原体を媒介するおそれのある動物について輸入検疫に関する制度を創設しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 感染症の予防等のための施策は、感染症の患者等の人権に配慮しつつ、総合的かつ計画的に推進されることを基本理念とするとともに、感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるよう必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと等を国及び地方公共団体の責務とし、また、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならないこと等を国民の責務とすること。

二 厚生大臣は感染症の予防の総合的な推進を図るための基本指針及び特に施策を推進する必要がある感染症についての特定感染症予防指針を定め、都道府県は感染症の予防のための施策の実施に関する予防計画を定めることとするとともに、所要の感染症に関する情報の収集及び公表に関する規定を整備すること。

三 感染症について、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、指定感染症及び新感染症に類型化すること。

四 感染症の類型に応じて、健康診断、就業制限及び入院の制度を設け、患者の人権の保護を図るための手続規定を整備するとともに、本法律案に基づく入院医療の提供体制を整備し、その入院費用について、医療保険各法による医療給付と公費の組み合わせにより負担するための規定を定めること。

五 感染症の類型に応じて、その発生及びまん延の防止のために感染症の病原体に汚染された場所や物件の消毒、サルその他の動物に係る輸入検疫等の必要な措置について定めること。

六 未知の感染症であって、その感染力、感染した場合の重篤性等に基づき危険性が極めて高いと判断されるものを新感染症と位置付け、国と都道府県の密接な連携の下に、まん延の防止のための入院等の措置を定めること。

七 この法律は、一部の事項を除き、平成11年4月1日から施行すること。

八 この法律の規定については、施行後5年を目途に、また、感染症の範囲及びその類型については、少なくとも5年ごとに検討するものとすること。

九 伝染病予防法、性病予防法及び後天性免疫不全症候群の予防に関する法律は廃止すること。

(修正要旨)

一 制定の理念を宣明するため、前文として次のように加えること。

人類は、これまで、疾病、とりわけ感染症により、多大の苦難を経験してきた。ペスト、痘そう、コレラ等の感染症の流行は、時には文明を存亡の危機に追いやり、感染症を根絶することは、正に人類の悲願と言えるものである。

医学医療の進歩や衛生水準の著しい向上により、多くの感染症が克服されてきたが、新たな感染症の出現や既知の感染症の再興により、また、国際交流の進展等に伴い、感染症は、新たな形で、今なお人類に脅威を与えている。

一方、我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。

このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。

ここに、このような視点に立って、これまでの感染症の予防に関する施策を抜本的に見直し、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する総合的な施策の推進を図るため、この法律を制定する。

二 基本理念のうち感染症の患者等の人権の配慮に係る部分について、「感染症の患者等の人権に配慮しつつ」を「感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権に配慮しつつ」に改めること。

三 医師その他の医療関係者の責務として、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならないことを加えること。

四 国の責務として、感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進を図るための体制を整備することを加えること。

五 基本指針に定める事項として、感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進に関する事項を位置付けること。

六 基本指針に定める事項のうち感染症の病原体等の検査に関する事項を、感染症の病原体等の検査の実施体制及び検査能力の向上に関する事項とすること。

七 その他所要の規定の整理を行うこと。

附帯決議(10.9.16)

本法の施行に当たり政府は、我が国の感染症政策の基本思想において、本法律をもって過去における社会防衛中心の政策から感染症予防と患者等の人権尊重との両立を基盤とする新しい感染症政策へと転換しようとするものであることを深く認識して、次の施策を実施すべきである。

一 ハンセン病患者やHIV感染症患者を始めとする感染症患者等に対する差別や偏見が行われた事実等を重く受け止め、また、個別の感染症に対する特別な立法や社会防衛を重点とした立法が患者等に対する差別や偏見につながったとの意見を真摯に受け止め、さらに、感染症を理由とする差別を実効的に排除するため、基本指針等において具体的施策を策定するとともに、国民に対する教育・啓発に最大限の努力をすること。

二 本法が目的とする感染症政策を実現するため、今後具体的な政策形成を行うに当たっては、感染症の患者等の意見を十分に徴すること。特に、法の定める「基本指針」、「特定感染症予防指針」等の策定に当たっては、患者の意見の十分な反映を図ること。

三 感染症の患者及び感染者に対し、その人権に配慮した良質かつ適切な医療が提供されるよう、医師、看護婦等の医療従事者の教育・研修、感染症専門医の育成等に努めるとともに、感染症指定医療機関について、国立国際医療センターや大学病院の充実・活用を含め、人材・設備の両面から計画的な整備を進めること。

四 地方衛生研究所については、地域における感染症対策の中核機関である保健所及び国の試験研究機関と密接な連携を図るとともに、都道府県における感染症対策の技術的、専門的機関としての位置づけを明確にし、感染症対策に係る試験検査、調査研究、研修指導及び情報関連の機能強化を図るために必要な方策を講ずるよう努めること。

五 HIV感染者等に対する医療・施策が更に充実するよう努めること。特に、現在、HIV感染症治療において先駆的役割を果たしているエイズ治療研究開発センターを今後とも中核的医療機関として整備すること。

六 感染力の強さを含めた、新感染症及び指定感染症の要件をより明確にし、地方公共団体や医療機関など、関係者に周知徹底を図ること。また、新感染症についての取扱いが、迅速、かつ公正・的確に行われるよう、国が積極的な施策を講じるとともに地方公共団体と密接な連携をとること。

七 患者に対する説明と理解を尊重した医療を実現するよう、趣旨の徹底に努めること。その際、患者等のプライバシーを確保するため、医師が都道府県知事への届出を行った場合には、当該患者等または保護者へ当該届出の事実等を通知するように徹底を図ること。

八 健康診断、入院、移送等の措置がなされる場合において、患者等の人権を尊重し、厳格かつ客観的に運用されるよう手続きの明確化を図ること。また、これらの措置に係る手続きや退院請求、審査請求などの不服申立手続きについて、患者等に十分に趣旨が理解できるような説明が行われるよう徹底させること。実際に、入院患者が退院請求を行った場合には、その判断は速やかに行われるようにすること。

九 感染症の診査に関する協議会は、患者の入院の必要性等を診査する機関であるとの趣旨をかんがみ、その構成員である「医療以外の学識経験を有する者」としては、患者・感染者等の人権尊重の観点からふさわしい人材が選ばれるよう、都道府県等に対し、趣旨の徹底を図ること。

十 入院時の通信・面会の自由が保障されるよう必要な措置を講じる等、入院患者の処遇について明確化すること。

十一 感染症情報の収集・公表に当たっては、個人情報の保護に万全を期し、無用な不安や不当な差別・偏見を引き起こすことがないように努めること。

特にマスコミの影響が大きいことから、常時、的確な情報を提供するとともに、誤った情報や不適当な報道がなされたときには、速やかにこれを訂正する報道がなされるようにしておくなど、マスコミその他関係諸機関との連携を図ること。

十二 地球規模化する感染症問題に対応し、日本における感染症対策の水準の向上を図るため、海外の感染症研究機関との知見の交換や海外研修の充実を含め、感染症に関する国際協力を一層推進すること。

十三 検疫については、国内の感染症予防対策と連携のとれた一元的な運用に努めるとともに、感染症発生の状況・段階に応じて的確に対応できるよう、検疫所の機能強化を図ること。

十四 世界保健機関その他国際機関等により新たな基準等が定められた場合は、必要に応じ、それとの整合を図るため速やかに適切な対応を行うこと。

 

[2] 検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案(内閣提出、第142回国会閣法第85号)(参議院送付)

成立(平成10年法律第115号)

本案は、最近の海外における感染症の発生の状況、国際交流の進展、保健医療を取り巻く環境の変化等を踏まえ、総合的な感染症予防対策を推進する一環として、国民の健康に重大な影響を及ぼす感染症の国内への侵入及びまん延を防止するため、検疫の対象となる疾病を見直し、隔離及び停留の方法及び手続を見直すとともに、検疫所において感染症に関する情報提供等を行うこととするほか、狂犬病の国内への侵入を防止するための検疫の対象に猫その他の動物を追加する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 検疫法の一部改正関係

1 検疫感染症を、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する一類感染症(以下「一類感染症」という。)、コレラ及び黄熱とすること。

2 隔離及び停留の対象、方法、場所、解除要件等についての規定を整備すること。

3 検疫所長は、出入国しようとする者の求めに応じ、診察等を行うことができるものとするとともに、一定の感染症の病原体を保有している者の居住地等の都道府県知事に厚生省令で定める事項を通知するものとすること。また、出入国しようとする者に対し、検疫感染症の外国における発生の状況等について情報の提供を行うこととすること。

4 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する新感染症のうち、同法第53条の政令で定められたもの以外のものについて、検疫所長が厚生大臣の指示に従い、当該感染症を一類感染症とみなして検疫を行うことができるようにすること。

二 狂犬病予防法の一部改正関係

1 輸出入検疫の対象に猫その他の政令で定める動物を追加するものとすること。

2 狂犬病発生時の措置のうち届出義務、隔離義務、殺害禁止、死体の引渡し及び病性鑑定のための措置に関する規定を猫その他の政令で定める動物に適用するものとすること。

3 この法律は、一部の事項を除き、平成11年4月1日から施行するものとすること。

附帯決議(10.9.16)

(注)前記[1]附帯決議と同文。

 

[3] 精神薄弱の用語の整理のための関係法律の一部を改正する法律案(参議院提出、第142回国会参法第5号)

成立(平成10年法律第110号)

本案は、障害者に対する国民の理解を深め、もって障害者の福祉の向上に資するため、精神薄弱者福祉法等における「精神薄弱」という用語を改めようとするもので、その主な内容は次のとおりである。

一 精神薄弱者福祉法、障害者基本法等において用いられている「精神薄弱」という用語を「知的障害」という用語に改めること。

二 この法律は、平成11年4月1日から施行すること。


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