本案は、技術、人材その他の我が国に蓄積された産業資源を活用しつつ、創業等、新商品の生産若しくは新役務の提供、事業の方式の改善その他の新たな事業の創出を促進するため、個人による創業及び新たに企業を設立して行う事業を直接支援するとともに、中小企業者の新技術を利用した事業活動を促進するための措置を講じ、併せて地域の産業資源を有効に活用して地域産業の自律的発展を促す事業環境を整備する措置を講ずることにより、活力ある経済社会を構築していくことを目的とするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 本案の対象となる「創業者」、「特定中小企業者」、「新事業支援機関」等の定義及び基本方針について定める。
二 創業等の促進を図る観点から、創業時における資金の確保等に資するため、中小企業信用保険制度の無担保保険における特別枠の創設、新株引受権の付与の特例、中小企業事業団が行う創業促進業務及び産業基盤整備基金による債務保証業務の追加等について定める。
三 中小企業者等の研究開発及び新技術を利用した事業活動を支援するため、特定補助金等の中小企業者等に対する支出機会の増大及び中小企業投資育成株式会社が行う株式の引受の特例の措置等について定める。
四 地域産業資源を有効に活用した新事業創出等の促進を図るため、都道府県等による基本構想の策定について定めるとともに、新事業創出支援体制の整備、高度技術産業集積地域の活用、情報処理振興事業協会及び地域振興整備公団の業務の特例等について定める。
五 国等の行う新事業創出の促進に必要な資金の確保等について定める。
六 附則
1 この法律は、公布の日から起算して、2月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、目的、定義、基本方針については、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日、また、新株引受権の付与の特例については平成11年4月1日から施行する。
2 この法律の施行後10年以内に実施状況についての検討を行い、必要な措置を講じる。
3 高度技術工業集積地域開発促進法、地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律及び地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法を廃止するとともに、所要の経過措置等について定める。
4 関係法律について所要の改正を行う。
政府は、本法施行にあたり、我が国経済の再活性化に向けて技術、人材等の産業資源を活用しつつ新たな事業の創出を広く促進することの必要性にかんがみ、税制上の措置及び所要資金の確保を含めた総合的な支援策を講じるほか、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 創業者等の事業の開始に対する支援の実施に当たっては、SOHOや地域の市民活動を含め開業資金の支援を求める幅広い創業者等の起業意欲を極力尊重するよう配慮すること。
特に、創業者等が行う新たなアイデアの事業化等に対する助成については、専門的な指導及び助言等を適確に実施するとともに、その拡充に努めること。
また、起業に関する相談等の充実を図りつつ、十分な情報の提供に努めること。
二 各省庁が所管する研究開発予算における特定補助金等の指定拡大及び支出目標額の増加に向けて、各省庁連携して積極的に取り組むこと。また、交付者の選定においては、中小企業者への支出の機会の増大が確実に達成されるよう配慮すること。
なお、中小企業者の積極的な参加を促すため、申請手続き等の統一や簡素化等に努めるとともに、施策の周知徹底を図ること。
三 都道府県等が行う地域産業資源の集積を有効に活用した事業環境の整備については、テクノポリス法や頭脳立地法の運用の経験を踏まえ、新たな事業の創出に効果的に寄与することとなるよう、地域の実情や産業ニーズ等に応じた適確かつ機動的な支援を行うこと。
また、地方分権の趣旨を参酌し、都道府県等による高度技術産業集積活性化計画に係る手続きの簡素化等に努めること。
本案は、最近における社会経済事情の変化に対応し、小規模企業共済制度の安定的運営の確保と充実を図るため、共済金の額を改定するとともに、共済契約者に対する貸付制度を拡充する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 小規模企業共済法の一部改正
1 共済金の受給方法について、一時金払と分割払を併用して、共済金の一部を分割払により、残金を一時金により支給を受けることができるものとする。
2 掛金月額及び掛金納付月数に応じて定まる基本共済金の額を改定する。
二 中小企業事業団法の一部改正
事業団の業務として、共済契約者等の福祉の増進に必要な資金の貸付けを行うことを追加する。
三 施行期日等
1 この法律は、平成12年4月1日から施行する。ただし、二の中小企業事業団法の一部改正については、公布の日から施行する。
2 この法律の施行前に共済契約者となった者に対する共済金の算定等に関する経過措置を定める。
3 その他所要の規定の整備等を行うほか、所要の経過措置を講ずる。
本案は、金融機関の相次ぐ破に伴う我が国金融機能の低下等の状況にかんがみ、破綻金融機関等の融資先である中堅事業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、当分の間、中堅事業者の債務の保証につき公的な信用保険を行う特例措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 定義
1 この法律において「破綻金融機関等」とは、預金保険法第2条第4項に規定する破綻金融機関及び金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第2条第8項に規定する特別公的管理銀行等をいう。
2 この法律において「特定会社」とは、資本の額又は出資の総額が5億円未満の会社(中小企業信用保険法第2条第1項に掲げる中小企業者を除く。)のうち、破綻金融機関等と金融取引を行っていたことにより銀行その他の金融機関との金融取引に支障が生じていることについて、その住所地を管轄する都道府県知事の認定を受けたものをいう。
二 破綻金融機関等関連特別保険等
当分の間、中小企業信用保険公庫(以下「公庫」という。)は、特定会社の金融機関からの借入れによる債務について、信用保証協会が行う保証に関する保険(以下「破綻金融機関等関連特別保険」という。)及び信用保証協会が行う保証であってその保証について担保(保証人の保証を除く。)を提供させないものに関する保険(以下「破綻金融機関等関連特別無担保保険」という。)を行うことができるものとし、その付保限度額は、破綻金融機関等関連特別保険については5億円、破綻金融機関等関連特別無担保保険については1億円とする。また、これらの保険のてん補率は100分の90とする。
三 保険料
保険料の額は、保険金額に年100分の3以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。
四 公庫の業務の特例
公庫は、中小企業信用保険公庫法に規定する業務のほか、この法律の目的を達成するため、その業務として破綻金融機関等関連特別保険等を行うものとする。
五 施行期日等
1 この法律は、公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 政府は、この法律の施行後平成13年3月31日までの間に、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。