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○商工委員会

[1] 産業技術力強化法案(内閣提出第24号)

成立(平成12年法律第44号)

本案は、産業技術力の強化が産業構造の変化、技術の進歩等の内外の経済的環境の変化に適確に対応して我が国産業の持続的な発展を図るための基盤であることにかんがみ、産業技術力の強化に関し、国、地方公共団体、大学及び事業者の責務、施策の基本となる事項を定める等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 産業技術力が我が国産業の持続的な発展を図るための基盤であり、産学官が一致して産業技術力の強化に取り組むことを基本理念として定めるとともに、産業技術力の強化に関し、国、地方公共団体、大学及び事業者がそれぞれ果たすべき責務を明示する。

2 産業技術力の強化に関する施策の基本となる事項を定め、研究者及び技術者の確保や養成及び資質の向上、研究開発施設や設備の整備等、研究開発に係る資金の重点化と効率化、産学官の連携の強化及び研究成果の移転の促進等について、国が必要な施策を講ずることとする。

3 民間からの国公立学校に対し委託研究、共同研究等のために提供される資金について、国及び地方公共団体がその受入れ及び使用を円滑にするための措置を講ずるとともに、国公立大学や国及び地方公共団体の試験研究機関の研究者について、その研究成果を活用する事業を実施する営利企業の役員等を兼ねることが研究成果の事業者への移転促進にとって重要な意義を有することに配慮しつつ、当該事業者に対する支援に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

4 特定大学技術移転事業を実施する者等が産業技術力の強化に資する事業のために国立大学等の施設を使用するときは、無償で使用させることができることとし、加えて、大学や大学の研究者、研究開発に積極的に取り組んでいる中小規模の事業者等一定の要件を満たす者に対して特許料の減免等の措置を講ずる。

5 新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務として、産業技術に関する研究開発の助成、技術者の養成及び資質の向上のための研修業務を追加する。

6 この法律の施行期日を公布の日から起算して1月を超えない範囲内において政令で定める日とするとともに、所要の経過措置に関する規定等を設ける。

[2] 中小企業指導法の一部を改正する法律案(内閣提出第25号)

成立(平成12年法律第43号)

本案は、近年の中小企業をめぐる経済環境の変化及び先般の中小企業基本法の抜本改正等を踏まえ、中小企業者の依頼に応じて経営の診断その他の方法により中小企業者が経営資源を確保することを支援するため、国、都道府県等及び中小企業総合事業団が行う中小企業者に対する支援の事業等を強化するとともに、中小企業の経営の診断等の業務に従事する者の登録の制度を設けること等を行おうとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 改正中小企業基本法の基本理念を踏まえ、従来の、国、都道府県等が中小企業を上から「指導」するという考え方を、中小企業が経営資源を確保することを行政が「支援」するという考え方に改めることとし、法律の題名を「中小企業指導法」から「中小企業支援法」に改正する等所要の規定の整備を行う。

2 都道府県等が行う中小企業支援事業においては、民間事業者の能力の活用の観点から、指定法人の積極的な活用を図ることとし、このため、専門的な知識及び経験を必要とする分野について指定法人の業務を拡大する措置を講ずる。

また、都道府県等が行う中小企業支援事業の一層の効率化を図るため、指定法人が都道府県等の総合的な支援機関として活動できるよう、都道府県等が設立した中小企業の支援に係る諸機関の統合を進めるための制度整備として、小規模企業者等設備導入資金助成法の貸与機関に対する地方公共団体の出資比率の特例措置を講ずる。

3 都道府県等が中小企業支援事業に係る計画を策定するに当たっては、地域における中小企業の身近な支援拠点として整備される相談窓口をはじめ、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会等の地域における中小企業に関する団体及び中小企業の経営の診断等の業務に従事する者等の民間事業者と協力しつつ、事業が行われるように配慮しなければならないこととする。

4 従来、国、都道府県等及び中小企業総合事業団が行う中小企業指導事業において経営の診断を担当する者の資格であった資格制度を、民間事業者の能力の活用の観点から、中小企業の経営の診断等の業務に従事する者一般への資格制度へと再構築を図り、それに伴い、登録制度、試験制度その他制度の透明化を図るための必要な規定の整備を行う。

5 この法律の施行期日を公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日とするとともに、所要の経過措置に関する規定等を設ける。

なお、4の資格制度に関する規定については、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとともに、施行後5年を目途として、必要に応じ検討を加える等の規定を設ける。

附帯決議(12.3.21)

政府は、中小企業の多様で活力ある成長発展を目指した新しい中小企業基本法の基本理念を踏まえ、民間能力の活用を図りつつ、中小企業者の経営資源の確保を支援することの重要性を十分認識するとともに、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

1 新たな中小企業支援事業の実施に当たり、都道府県等による地域の特性に応じた柔軟かつ主体的な支援施策の実施が可能となるよう、支援計画及び基準の策定に格段の工夫を図ること。

また、都道府県等及び各支援機関に対し、本改正及び本附帯決議の趣旨を周知徹底し、多様化する中小企業者の経営課題に対し迅速・適確に対応できるよう、能力の向上に努めるよう促すこと。

2 都道府県等中小企業支援センターの整備に当たっては、ワンストップ・サービス化を貫徹するとの観点から、都道府県等における既存の中小企業支援組織の見直し・統合化及び協力・連携の強化を図るとともに、都道府県の退職公務員の受け皿となることのないよう、公募により広く人材を求める等、真に求められる人材の配置やその活用を図ること。

また、全国300ヵ所程度に設けられる地域中小企業支援センターの整備に当たっては、地域における中小企業者の身近な支援窓口を確保する見地から、偏在のないようその設置場所の選定に留意すること。

3 中小企業診断士の役割が、本改正により国、都道府県等が行う指導事業において経営診断を担当する者という位置付けから、広く中小企業の経営の診断・助言を行う者へと転換することにかんがみ、同診断士の資格要件を定める省令については、広く民間に人材を求めるとの観点に配慮しつつ、中小企業者のニーズを適切に反映したものとするとともに、試験・実習の内容等について間断なくその見直しを行っていくこと。

[3] アルコール事業法案(内閣提出第41号)(参議院送付)

成立(平成12年法律第36号)

本案は、アルコール専売制度を廃止するとともに、アルコールが広く工業用に使用され、国民生活や産業活動に不可欠であり、かつ酒類と同一の特性を有していることにかんがみ、我が国のアルコール事業の健全な発展及びアルコールの安定的かつ円滑な供給の確保を図るため、アルコールの製造、輸入及び販売の事業の運営等を適正なものとするための所要の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 アルコールの製造、輸入若しくは販売の業又は使用を行おうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならないこととするなどの必要な規定を設ける。

2 新エネルギー・産業技術総合開発機構は、酒類の原料に不正に使用されることを防止するために必要な額を付加したアルコールを特定アルコールとして販売することとし、これを扱う者には許可を受ける義務を課さない。

3 許可者以外の者へのアルコールの譲渡などの違反行為を行った許可者に対し、納付金を国庫に納付することを命じる。

4 緊急時においては、アルコール製造事業者等に対し、アルコールの製造予定数量の増加など必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

5 アルコール専売制度の廃止後5年間を目途に、暫定措置として、新エネルギー・産業技術総合開発機構がアルコールの製造及び一手購入を行えることとし、その後については、同機構の行うアルコール製造業務の全部を引き継ぐ株式会社として政府がその資本の全額を出資するものを設立するとともに、その会社をできる限り早期に民営化するため、必要な措置を講ずる。

6 この法律の施行期日を一部を除いて平成13年4月1日とするとともに、所要の経過措置に関する規定等を設ける。

附帯決議(12.3.29)

政府は、本法施行に当たり、アルコールの円滑かつ安定的な供給に一層努めつつ、新エネルギー・産業技術総合開発機構のアルコール製造事業を株式会社への移行に向けて積極的かつ効率的に展開するよう督励し、その株式会社化に当たっては、中長期的視点から経営の見通しを十分確認した上で実施するとともに、職員の雇用と待遇について、当該職員が不当に不利益を被ることがないよう十分配慮する等、適切な措置を講ずべきである。

なお、新エネルギー・産業技術総合開発機構の組織・業務が今後いたずらに肥大化することとならないよう、同機構の業務等を不断に見直し、その合理化・効率化に努めるべきである。

[4] 消費者契約法案(内閣提出第56号)

成立(平成12年法律第61号)

本案は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、消費者と事業者との間で締結される契約に係る紛争を公正かつ円滑に解決することにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与するため、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることを定めるもので、その主な内容は次のとおりである。

1 定義

「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいい、「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。また、「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。

2 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し

消費者契約の締結について勧誘をするに際し、重要事項について事実と異なることを告げる、又は消費者が事業者に対し、当該消費者の住居等から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず退去しないなど、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合には、契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる。

3 消費者契約の条項の無効

事業者の損害賠償の責任を免除する条項、消費者が支払う損害賠償の額の予定又は違約金が一定の限度を超えることとなる条項のほか、消費者の利益を一方的に害する条項について、その全部又は一部を無効とする。

4 その他

事業者及び消費者の努力規定、取消権の行使期間、民法及び商法等他の法律の適用等に関する規定を置く。

5 附則

この法律は、平成13年4月1日から施行し、この法律の施行後に締結された消費者契約について適用する。

附帯決議(12.4.14)

政府は、本法が、消費者と事業者との間に情報の質・量及び交渉力の格差が存在することにかんがみ、消費者利益の擁護のための新たな民事ルールを定めようとするものであることの意義を十分に認識し、本法施行に当たり、消費者契約に係る紛争の防止とその公正かつ円滑な解決を図るため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

1 立法趣旨や各条項の解釈等、当委員会の審議を通じて明らかにされた本法の内容について、消費者、事業者、各種の裁判外紛争処理機関、都道府県及び市町村自治体における消費者行政担当者等に十分周知徹底すること。

2 消費者契約に係る紛争の簡易、迅速な解決を図るため、裁判外の紛争処理機関の強化を図ること。

特に、

(1) 国民生活センター、都道府県及び市町村自治体に設置された消費生活センターが、消費者契約に係る紛争の解決について果たすべき役割の重要性にかんがみ、その充実・強化を図ること。都道府県及び市町村自治体に対しても、その住民が身近な消費生活センターで消費者契約に係る適切な情報提供、苦情相談、苦情処理が受けられる体制を確保されるよう要請すること。

(2) 消費生活センターにおいて、消費者契約に係る紛争(トラブル)について相談、あっせんを行っている消費生活相談員は、その専門的な知識を基に本法を活用した消費者利益の擁護のために重要な役割を果たすことが期待されることにかんがみ、その育成・人材の確保及び本法のみならず民法や各般の個別法を総合的に活用できる専門性の向上のため、適切な施策の実施を行うこと。

(3) 都道府県等において条例で設置されている苦情処理委員会が、消費生活センターと手続的連続性を有しながら、消費者契約に係る紛争を解決するための公正かつ中立的機関として活用できることにかんがみ、高度に専門的な紛争の処理能力を向上させるため、苦情処理機関の要請に応じて専門家を地方に派遣するなど、その活性化のための支援策を講ずること。

(4) 消費者契約に係る紛争が裁判外で適切に解決されるための手段を十分確保するため、各地の弁護士会が設置する弁護士仲裁センターが消費者契約に係る紛争解決に当たり、利用しやすいものとなるよう、日本弁護士連合会に協力を要請すること。

3 紛争の究極的な解決手段である裁判制度を消費者としての国民に利用しやすいものとするという観点から、司法制度改革に係る検討に積極的に参画するとともに、その検討を踏まえ、本法の施行状況もみながら差し止め請求、団体訴権の検討を行うこと。

4 本法の施行状況について十分に把握し、消費者契約に係る紛争防止のための是正策に資するため、国民生活センターと全国の消費生活センターを結ぶオンライン・ネットワーク・システムである全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO―NET)により消費者契約に係る紛争及びその解決の実態についての情報を正確に収集、整理し、その情報を可能な限り国会等に公表するとともに、PIO―NETの拡充を図ること。

5 消費者が本法を活用しつつ、自己責任に基づいて主体的・合理的に行動できる能力を培うため、消費者が、本法をはじめとする民事ルールの意義・役割、契約に関する的確な知識や契約に当たっての消費者の役割について理解を深め、判断能力を向上させることができるよう、学校教育などにおける消費者契約に関する消費者教育の支援に積極的に取り組むこと。

6 電子商取引の進展など消費者契約の内容や形態が急速に多様化・複雑化してくることを踏まえ、また本法が主として裁判等の規範としての性格を有することにかんがみ、消費者契約に係る判例に関する情報及び消費生活センター等の裁判外紛争処理機関における処理例の情報の蓄積に努め、本法施行後の状況につき分析、検討を行い、必要があれば5年を目途に本法の見直しを含め所要の措置を講ずること。

[5] 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案(内閣提出第66号)

成立(平成12年法律第117号)

本案は、発電に関する原子力の適正な利用に資するため、発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理後に生ずる特定放射性廃棄物の最終処分について、計画的かつ確実に実施させるために必要な措置等を講ずることにより、発電に関する原子力に係る環境の整備を図ろうとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 基本方針等

(1) 通商産業大臣は、特定放射性廃棄物の最終処分を計画的かつ確実に実施させるため、最終処分に関する基本方針及び5年ごとに10年を一期とする最終処分計画を、あらかじめ原子力委員会、原子力安全委員会の意見を聴いた上で、閣議の決定等を経て定め、これを公表しなければならない。

(2) 通商産業大臣は、最終処分計画における概要調査地区等の所在地を定めようとするときは、あらかじめ、当該概要調査地区等の所在地を管轄する都道府県知事及び市町村長の意見を聴かなければならない。

2 原子力発電環境整備機構

(1) 原子力発電環境整備機構(以下「機構」という。)は、通商産業大臣の認可を受けて設立され、特定放射性廃棄物の最終処分の実施等の業務を行う。

(2) 機構は、概要調査地区等を選定しようとするときは、所要の調査を行い、その結果に基づいて選定するとともに、通商産業大臣の承認を受けなければならない。

(3) 発電用原子炉設置者は、特定放射性廃棄物の最終処分に必要な費用に充てるため、毎年、機構に拠出金を納付し、機構は、この拠出金を通商産業大臣が指定する法人に積み立てなければならない。

3 最終処分の実施

(1) 機構は、最終処分計画に従い、拠出金に見合う特定放射性廃棄物の最終処分を行わなければならない。

(2) 機構が特定放射性廃棄物の最終処分を行う場合についての安全の確保のための規制については、別に法律で定めるところによる。

4 その他

機構の業務が困難となった場合の措置、指定法人に関する事項、罰則その他所要の措置について定める。

5 施行期日等

(1) この法律は、一部を除いて、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(2) その他必要な経過措置等について定める。

(修正要旨)

1の(2)の場合において、通商産業大臣は、当該概要調査地区等の所在地を管轄する都道府県知事及び市町村長から聴取した意見を十分に尊重してしなければならないものとすること。

附帯決議(12.5.12)

政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

1 最終処分事業の円滑な遂行を図るためには、概要調査地区等の関係地方公共団体の理解と協力が必要不可欠となることにかんがみ、関係地方公共団体が適切な判断を行うために必要な事前の情報提供等が的確に実施されるよう万全を期すること。

また、国及び関係する地方公共団体は、原子力発電環境整備機構による概要調査地区等の選定に当たり、十分な情報交換を行うとともに円滑な意思疎通を行うよう努めること。

2 最終処分の円滑な実施を図るためには、広範な国民からの同事業に対する十分な理解と支持を得ることが必要不可欠であることにかんがみ、必要かつ十分な情報公開に努めるとともに、その趣旨に沿って、原子力広報を抜本的に強化すること。

3 最終処分に関する安全規制については、原子力安全委員会における検討を十分に踏まえつつ、その基本的な考え方を早急に提示するよう努めるとともに、具体的な規制内容等については今後の技術開発の動向等に応じ、慎重に検討を進めること。

4 原子力安全委員会の関与を十分なものとし、安全の確保に万全を期すること。

5 概要調査地区等の選定に当たっては、例えば、人口密度等の社会的条件についても十分配慮するとともに、その選定規準が明解でかつ国民の十分な理解を得られるものとなるよう関係省令を早期に策定し公表すること。

また、関係地域住民等との信頼関係の醸成と不安の払拭を図るため、原子力事業における情報公開原則の重要性を認識しつつ、その選定プロセスの透明性・公正性が確保されるよう十全の努力を払うとともに、その見地から原子力発電環境整備機構に対し十分な指導監督を行うこと。

6 原子力発電環境整備機構による最終処分事業については、同事業が高い公益性を有しかつ超長期的に実施されるものであること等にかんがみ、同事業が将来にわたり安全かつ確実に実施されるよう、体制整備を行うとともに、今後の事業の進捗状況に見合った組織づくりとその効率的運営に配意すること。

7 電力自由化に伴い、大口電力ユーザーが既存の原子力発電事業者から原子力発電設備を有しない独立系電気事業者に電気の供給源を切替えた場合の過去の原子力利用見合い分の拠出金について、不当に業務用・家庭用の小口ユーザーに転嫁されることのないよう、公平の確保を図ること。

8 最終処分積立金の超長期的管理業務を実施することとなる指定法人の指定に当たっては、適格な経理的・組織的能力を有する法人とするとともに、いやしくも天下り機関等との指摘を受けることがないよう厳正に取り組むこと。

また、資金管理業務の実態等を積極的に明らかにするとともに、外部監査制度を導入するなど透明性を確保すること。

なお、巨額の積立金は最終処分の実施に充てられるものであり、安全かつ確実に運用されるべきであり、いやしくも、安易に国債等の消化手段などに利用されることのないよう十分に配慮すること。

9 最終処分事業の安全性の向上や処分費用の低減等に資するため、今後とも最終処分事業に関する技術開発に積極的に取り組むこと。

また、核種分離・消滅処理などの特定放射性廃棄物の低減に資する研究開発については、国際協力・国際貢献の視点等も加味しつつ、引き続き着実に推進すること。

[6] 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第81号)

成立(平成12年法律第76号)

本案は、我が国経済社会をより開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ自由で公正なものとしていくため、規制緩和の推進とともに競争政策の積極的展開を図ることが不可欠であることにかんがみ、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外規定の廃止、不公正な取引方法を用いた事業者等に対する差止請求制度の導入等を行おうとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 自然独占事業に固有な行為に対する適用除外規定の廃止

鉄道事業、電気事業、ガス事業その他その性質上当然に独占となる事業に固有の行為に対する適用除外規定を廃止する。

2 差止請求制度の導入

(1) 不公正な取引方法により、その利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある消費者、事業者等は、これにより著しい損害を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、自ら裁判所に差止請求訴訟を提起して、侵害の停止又は予防を請求することができる。

(2) 差止請求の訴えの提起が不正の目的によるものであることを被告が疎明して申し立てたときは、裁判所は、相当の担保を立てるべきことを原告に命ずることができる。

(3) 差止請求の訴えが提起されたときは、裁判所はその旨を公正取引委員会に通知するとともに、公正取引委員会に対し必要な事項について意見を求めることができることとし、公正取引委員会は裁判所の許可を得て必要な事項について意見を述べることができる。

(4) 差止請求の訴えは、民事訴訟法の規定により管轄権を有する裁判所のほか、当該裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所及び東京地方裁判所にも提起することができる。

3 損害賠償制度の整備

公正取引委員会の審決の確定後に無過失損害賠償責任を負うものとして、禁止規定に違反する行為を行った事業者団体及び国際的協定等により不当な取引制限又は不公正な取引方法を行った事業者を追加する。

4 その他

(1) この法律は、平成13年1月6日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、1については、公布の日から起算して1月を経過した日から施行する。

(2) 所要の経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の改正を行う。

附帯決議(12.4.19)

政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

1 自然独占事業に対する独占禁止法の適用に当たっては、関係事業者及び事業者団体等に対し、独占禁止法遵守への取組みを促すため、適正な取引に関する指針の周知徹底等、積極的な情報提供に努めること。

2 電気事業及びガス事業において、不当な対価による取引等公正な競争を阻害する行為に対する厳正な法運用を期するとともに、当該事業の自由化については、新規事業者の参入状況、エネルギー政策との整合性、供給安定性及び環境政策との整合性等に十分配慮しつつ、対応すること。

3 差止請求訴訟及び損害賠償請求訴訟において、公正取引委員会は、被害者の立証責任の軽減を図る観点から、裁判所から意見を求められたときは、事業者の秘密保持の問題等に配慮しつつ、可能な限りその有する資料等の提供に努めること。

4 差止請求制度及び損害賠償請求制度については、救済を必要とする被害者が迅速かつ適切な救済を得られるよう、また、違反行為に対する抑止力としての機能にも着目しつつ、団体訴権等につき、司法制度改革に係る検討状況等を踏まえつつ、引き続き検討を行うこと。

また、差止請求制度の創設及び損害賠償請求制度の改正内容等について、制度の有効かつ適切な活用に資するよう、各般の方法による広報に努め、その周知徹底を図ること。

5 本法により裁判所に提起される差止請求訴訟に適確かつ迅速に対応し得るよう、裁判所の体制を整備するよう努めること。

6 規制緩和等の進展に伴い、自由かつ公正な競争秩序の維持が一層重要性を増大している状況にかんがみ、公正取引委員会は独占禁止法違反事件に迅速かつ適確に対応する等その執行に万全を期すること。そのため、同委員会の審査体制等の一層の充実・強化を図ること。

[7] 再生資源の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第84号)

成立(平成12年法律第113号)

本案は、我が国において、資源が大量に使用されていることにより、使用済物品等及び副産物が大量に発生し、その相当部分が廃棄されており、かつ、再生資源及び再生部品の相当部分が利用されずに廃棄されている状況にかんがみ、使用済物品等及び副産物の発生の抑制並びに再生部品の利用の促進に関する措置を講ずるとともに、再生資源の利用の促進に関する措置を拡充することにより、環境と経済の統合された循環型経済社会の構築を目指すものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 法律の名称を「資源の有効な利用の促進に関する法律」に改める。

2 使用済物品等の発生の抑制のため、一定の要件を満たす製品について、原材料等の省資源化や耐久性の向上等による長期間使用を図るための取組みを事業者に義務付けるための措置を講ずる。

3 使用済の製品から取り出した部品等の再利用を促進するため、一定の要件を満たす業種や製品について、部品等を再利用できるように配慮した製品の設計・製造を行うことを事業者に義務付けるための措置や、使用済の製品から取り出した部品等を新たな製品の部品として利用することを事業者に義務付けるための措置を講ずる。

4 事業者によって自主回収や再資源化を行うことが効率的な製品については、事業者自らがその使用済の製品を自主回収し、再資源化することを義務付けるための措置を講ずる。

5 産業廃棄物の最終処分量の削減に資し、資源としての再利用を図るため、一定の要件を満たす業種について、事業者が計画的に生産工程の合理化等を行うことにより、工場等で製品の製造又は加工に伴って発生する副産物の発生抑制対策と発生した副産物を再生資源として利用を促進するための対策を義務付けるための措置を講ずる。

6 法律の施行期日を平成13年4月1日とする。

7 所要の経過措置等について規定するほか、関係法律について所要の改正を行う。

附帯決議(12.4.28)

政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。

1 政府一丸となって循環型社会の実現を期すため、環境省等関係省庁間の十分な連携を図り、廃棄物・リサイクル関係法案との有機的かつ整合的な運用を行うとともに、今後とも諸外国の例も踏まえつつ、望ましい法体系のあり方につき検討すること。

2 循環型社会の実現のためには、事業者、消費者、地方公共団体の積極的な協力を得ることが不可欠であることにかんがみ、これらの関係者に対し本法の内容等について周知徹底を図るとともに、必要な情報提供を積極的に行うこと。また、環境負荷の少ない持続可能な社会を構築するためには意識の変革が不可欠であることから、環境教育を総合的・体系的に推進すること。

特に、環境負荷の少ない製品の製造及び提供並びに使用後の製品等の引き取り及び再利用等に事業者が積極的な役割を果すこと、消費者が環境負荷の少ない消費行動を行うことが重要であり、その支援を行う観点から本法及びリサイクル関係諸法・廃棄物処理法等を運用するとともに、事業者、消費者及び地方公共団体に対してもその旨の徹底を図ること。

3 本法に規定する各種製品及び業種の指定に当たっては、「技術的・経済的に可能」との要件を弾力的に運用し、可能な限り広範に行うとともに、判断基準の策定に当たっても、事業者に対して最大限の取組みを促すものとすること。

4 民間能力を最大限に活用しつつ事業者の廃棄物・リサイクル対策への一層の取組みを促す観点から、資源の有効利用に関連する技術開発、施設整備等に対する支援等に努めること。

5 リサイクル製品の新規用途の開発、国・地方公共団体における調達等により、リサイクル製品の市場拡大を支援するよう努めること。特に、公共事業におけるリサイクル製品の調達の拡大に努めること。

6 廃棄物の発生抑制やリサイクルを推進する観点から、デポジット制度等の経済的手法について製品毎の特性や実態を踏まえながら検討すること。

7 廃棄物の不適切な処理が行われる事例が発生していることから、環境面での現行の規制を徹底するとともに、さらに規制のあり方につき検討すること。

8 指定再利用促進製品及び指定副産物の判断基準の策定に当たっては、都道府県等が行っている産業廃棄物処理施策との整合性の観点から都道府県等と緊密な連携を図ること。

9 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)については、当初施行から未だ5年を経過しない今日においても既に、消費者努力により収集された容器が、必ずしも再商品化の成果に結びつかない等の実例も出てきている現状にかんがみ、同法附則に定める「施行10年後検討」条項を踏まえつつも、その施行状況につき不断の検討を行い、同期限以前であってもその運用については適時・適切な見直しに努めるべきである。

10 循環型社会の形成に向けて重要な意義を有する各種商品の本法及び関連諸法等における取り扱いについては、早急に具体化を図るべきであり、特に次の点の努力をすべきである。

(1) 使用済み自動車のリサイクル措置についての事業者への義務づけを含む措置の検討

(2) パソコン等排出量が増大している電気・電子機器の本法の指定再資源化製品制度への指定や特定家庭用機器再商品化法の対象品目への追加

(3) 二次電池及びそれらを使用する製品について指定再資源化製品制度への指定

[8] 弁理士法案(内閣提出第87号)(参議院送付)

成立(平成12年法律第49号)

本案は、近年の知的財産を巡る諸情勢にかんがみ、工業所有権の適正な保護及び利用の促進等の要請に対応し、知的財産専門サービスの重要な担い手である弁理士について、規制改革による競争促進、国民への利便性向上の観点から、その業務を規制する弁理士法の全面的な見直しを行うものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 弁理士の業務の見直し

弁理士の業務に、工業所有権等に関する仲裁事件の手続の代理、権利侵害貨物の輸入差止の税関への申立ての代理及び契約締結等の代理等の業務を追加するとともに、弁理士の独占業務の一部を縮減し、権利が確定した後の特許料の納付手続等の業務を開放する。

2 弁理士試験制度の見直し

弁理士の業務拡大に対応し、弁理士の量的拡大を図るため、試験科目の充実や選択科目の見直し等試験内容の簡素・合理化を図り、さらに、一定の資格を有する者に対する試験の一部免除を行う。

3 特許業務法人制度の創設

総合的かつ継続的な専門的サービスの提供を図るため、弁理士の事務所の法人化を解禁し、特許業務法人制度を創設する。

4 その他

弁理士の職責の明確化、懲戒制度の整備、日本弁理士会に係る規定の整備、罰則規定の整備等を行う。

5 施行期日等

(1) 施行期日

この法律は、平成13年1月6日から施行する。ただし、弁理士試験制度の見直しに係る規定については平成14年1月1日から、弁理士業務の見直しのうち工業所有権等の取引に係る契約の締結等の代理等に係る規定については、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(2) 経過措置等

必要な経過措置等について定める。

附帯決議(12.4.18)

政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

1 近年の急速な技術革新の進展及び知的財産権に関する制度整備の動向等にかんがみ、日本弁理士会が行う研修事業が実務に即したより効果的なものとなるよう、研修内容等の策定に当たっては十分配慮すること。

また、弁理士の自己研鑽努力等を支援しつつ、弁理士試験における受験者負担の軽減が弁理士の資質の低下を招くことがないよう努めるとともに、法務サービス分野における弁理士業務の拡大を踏まえた研修のあり方等について検討を進めること。

2 弁理士試験制度の改革に当たっては、試験制度の簡素化・合理化や透明性の確保等を図り、受験者の負担を極力軽減するよう努めるとともに、受験者の便益に資するよう配慮すること。

3 弁理士に期待される社会的役割と活動範囲の増大化が進む下で、弁理士における倫理の確立と品位の保持及び資質の維持・向上を図るための弁理士会の自治規律を極力尊重し、国の関与は最小限にとどめること。

4 ユーザーニーズに応じて専門的で多様なサービスの提供を可能とする、弁護士、公認会計士等の参加による総合事務所の実現に向けて関係省庁において検討を進めること。

5 地域における中小企業やベンチャー企業の技術開発、知的財産権の取得、活用等への一層の支援を図るため弁理士の協力を積極的に求めること。

6 司法制度改革審議会の動向等を参酌しつつ、引き続き弁理士への知的財産権侵害訴訟代理権の付与を含む知的財産権訴訟のあり方等について広範な論議を進めること。

7 知的財産施策の企画立案に当たっては、より適切な法務サービスを提供するため、関係省庁間で十分な連携と意思の疎通を図ること。

8 WTO次期サービス交渉や司法制度改革等の内外における知的財産権を巡る動向に合わせ、本法について適時適切に見直しを行うこと。

9 裁判外紛争処理制度(ADR)の有効活用が図られるよう情報提供に努めつつ、工業所有権仲裁センターの活動の充実強化等に資する支援策について検討すること。

[9] 消費者契約法案(菅直人君外3名提出、第146回国会衆法第18号)《民主》

撤回許可

本案は、消費者が事業者と対等な立場で契約を締結することができるよう、消費者契約の効力等に関し必要な事項を定め、消費者契約の締結過程及び内容の適正化を図るとともに、その実効性を確保するための措置を講ずるもので、その主な内容は次のとおりである。

1 定義

「消費者契約」とは、個人が主として事業に関連しない目的で事業者と締結する契約(労働契約を除く。)をいい、「消費者」とは、この場合における個人をいう。また、「事業者」とは、主として事業に関連する目的で契約を締結する個人又は法人(法人でない社団又は財団を含む。)をいうものとする。

2 消費者契約の適正化

(1) 事業者が消費者契約の締結に際し、消費者に対して重要事項について消費者が理解することができる程度に情報を提供しない、又は威迫する若しくは消費者の私生活又は業務の平穏を害し困惑させるその他消費者が合理的に判断することを妨げるなどの行為を行った場合においては、消費者契約に係る申込み又はその承諾の意思表示を取消すことができる。

(2) (1)の取消権は、当該消費者契約の締結を追認することができる時から3年間行使しないとき又は当該消費者契約の締結をした時から10年を経過したときは、時効によって消滅するものとする。

(3) 消費者契約の契約条項のうち、当該消費者契約の類型及び交渉の経緯等に照らしその存在を一般的な消費者が予測できないと認められる条項は、無効とする。

(4) 消費者契約の契約条項のうち、信義誠実の要請に反して事業者が一方的に法律関係の設定又は変更することを可能とするなど消費者に不当に不利益な条項は、無効とする。

3 民法の適用

消費者契約の適正化については、2によるほか、民法の規定によるものとする。

4 消費者契約の適正化の実効性の確保

内閣総理大臣は、不当条項の使用により消費者の利益が著しく害され、又は害されるおそれがあると認めるときは、事業者に対し当該不当条項の削除等必要な措置を講ずべきことを勧告するその旨を公表することができるものとする。また、何人も、内閣総理大臣に対し、必要な措置を講ずべきことを求めることができるものとする。

5 附則

この法律は、公布の日から起算して1年を経過した日から施行し、施行日以後に締結される消費者契約について適用するものとする。


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