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7 憲法調査会

1 委員名簿(50)

会長中山 太郎君自民
幹事石川 要三君自民幹事高市 早苗君自民
幹事中川 昭一君自民幹事葉梨 信行君自民
幹事鹿野 道彦君民主幹事島   聡君民主
幹事仙谷 由人君民主幹事赤松 正雄君公明
幹事塩田  晋君自由  太田 誠一君自民
奥野 誠亮君自民久間 章生君自民
新藤 義孝君自民杉浦 正健君自民
田中眞紀子君自民中曽根康弘君自民
中山 正暉君自民額賀福志郎君自民
根本  匠君自民鳩山 邦夫君自民
平沢 勝栄君自民保利 耕輔君自民
三塚  博君自民水野 賢一君自民
宮下 創平君自民村井  仁君自民
森山 眞弓君自民柳澤 伯夫君自民
山崎  拓君自民五十嵐文彦君民主
石毛えい子君民主枝野 幸男君民主
大出  彰君民主中野 寛成君民主
藤村  修君民主細野 豪志君民主
前原 誠司君民主牧野 聖修君民主
山花 郁夫君民主横路 孝弘君民主
太田 昭宏君公明斉藤 鉄夫君公明
武山百合子君自由春名 直章君共産
山口 富男君共産辻元 清美君社民
土井たか子君社民近藤 基彦君21クラブ
野田  毅君保守

2 調査の経過

第150回国会の調査は、21世紀の日本のあるべき姿についての参考人意見聴取及び質疑を行った。

3  調査会の議論の概要

以下では、第150回国会において招致された参考人12名の意見及びこれらに対する委員の質疑の概要を、テーマごとに分類して紹介する。なお、この分類は、説明の便宜を図るためのものであって、調査会が参考人の選定に当たって意図的にこれらのテーマを設けたものではないことを、お断りさせていただく。

(1) 21世紀の世界と国家の役割

参考人からは、21世紀の世界は、[1]冷戦の終結により解決すべき世界的課題の優先順位が曖昧になり、[2]グローバリゼーションの進展により世界的影響の伝播が加速し、[3]自由主義的民主主義が普及し、[4]世界をリードする主体が多様化する中で、平和な圏域・近代化途上の圏域・内戦や飢餓に苦しむ圏域が出現するとの指摘がなされた。

そして、国家の役割とは、国民の安全と利益を確保・維持し続けることであり、また、大規模国家である我が国が現在の繁栄を維持するためには、[1]外国の有能な人材を迎え入れて新たなネーションステート(一体感を有する国民の国家)を構築すること、[2]様々な分野で世界に貢献することが重要であるとの意見が述べられた。

これに対して、現行憲法下での人的な国際貢献は可能か、憲法に国家目標を明記するべきか、日本が世界に果たすべき役割は何か等について質疑がなされた。

(2) 世界の中の日本

ある参考人からは、これからの日本は「良心的軍事拒否国家」として生きるべきであり、日本国憲法の平和主義を実践して戦争と軍備を否定し、問題や紛争の解決を非暴力の手段、方法によって行うべきであるとの意見が述べられた。

また、ドイツにおける良心的兵役拒否制度が、兵役拒否者が福祉等の市民的奉仕活動をすることによって社会に受け入れられたように、日本も単に非武装中立を訴えるだけではなく、難民救済、途上国の債務軽減、核廃絶の実現、紛争の仲介など、国家としての「市民的奉仕活動」を積極的に実践していくことによって世界に貢献すべきであるとの意見が述べられた。

これに対して、在日米軍の位置付け、自衛隊の役割、平和主義の実現の方法等について質疑がなされた。

別の参考人からは、21世紀には、以下の政策がとられるべきであるという意見が述べられた。

[1]世界は、北米、西欧、東アジアの三極構造の形成に向け動いていくので、我が国は、地政学的な選択として、米国とは同盟を保ち、中国、ロシアとは友好的に対峙しながら、東アジアをまとめ、東アジア経済圏を作り上げるべきである、[2]少子高齢化と同時に進行している国民の道徳力の衰えに対し、少子化対策として、「家族」及び「コミュニティ(地域社会)」の復権を図り、国民の道徳力の向上を図る教育改革を行うべきである、[3]紛争の発生等の不測の事態にも対処できるように、我が国の政治・経済・社会体制を整備すべきあり、そのためにも、日本の歴史と伝統にふさわしい国家基本構造を明示するような憲法改正を行うべきである。

これに対して、「家族」等の価値観の憲法上の位置付け、戦後復興に平和主義を掲げる現行憲法が果たした役割等について質疑がなされた。

(3) 歴史の転換点に立つ日本

ある参考人からは、我が国は幕末維新の「第一の開国」、第二次世界大戦後の「第二の開国」に続き、冷戦後の「第三の開国」期を迎えており、世界的に、文化の融合が進展する中で、自国の文化的なアイデンティティを再構築し、それを守っていかなければ、我が国は世界史の中に埋没する状況にあるとの認識を前提に、以下の意見が述べられた。

[1]文化的なアイデンティティを再構築し「第三の開国」を成し遂げるためには、国民を守るための「国民憲法」が国民の手により制定されるべきである、[2]「国民憲法」には、「自衛軍」の保持を明記し、国民投票制及び首相公選制を導入すべきである、[3]天皇を元首とする立場から、首相公選制が天皇制に反するとする意見もあるが、歴史的に天皇は無権力の文化の守り手として機能しており、首相公選制の導入は、天皇制と矛盾しない。

これに対して、首相公選制の長所及び短所、首相公選制と天皇制の関係、「自衛軍」の保持を明記した場合のアジア諸国の反発等について質疑がなされた。

別の参考人からは、[1]戦前の日本は民主化が進んでいたが、私有財産制を軽視する国家社会主義的政策が民主主義を停滞させ、戦争を引き起こした、[2]戦後の日本は驚異的な復興を遂げ、経済大国となったが、官僚組織による私有財産制の軽視と社会主義的政策が金融の硬直化を招き、冷戦構造崩壊後の急激な変化の中で日本経済が破綻したとの意見が述べられた。

そして、明るい将来のためには、「マルクス主義」のマインドコントロールから脱却して私有財産制を重視し、税制改革をする必要があり、相続税の全廃と、憲法において所得税の上限を10%に設定することが肝要であるとの意見が述べられた。

これに対して、規制・保護と自由競争とのバランス、軍国主義への傾斜を止めることができなかった明治憲法の欠陥、税制と憲法の関係等について質疑がなされた。

(4) 日本人の意識

ある参考人からは、21世紀の日本を幸福な社会にするためには、世界の「力」関係、貧困問題等の現実を正視した上で国家としての自立を図ることが必要であり、また、日本人が「徳」の力を備えつつ、「愛」(理性の愛)と「勇気」(「愛」を推し進めるもの)という普遍的なものを深く考えていくことが重要であるとの意見が述べられた。

これに対して、国際経済関係における自立の意義、人間教育の在り方、教育改革の方向性等について質疑がなされた。

別の参考人からは、敗戦から、復興期、高度経済成長期、停滞期、バブル経済期、バブル後といった社会の浮沈に応じて、日本人は、肯定的にも否定的にも自身に対する評価を変化させてきたが、それは、日本人による文化とアイデンティティの模索であり、精神的な拠り所の希求でもあったとの意見が述べられた。

また、21世紀の日本に対しては、温故知新を繰り返し行うべきであること、そして、論調や思考にも不易と流行があることを理解し、流行だけでなく不易にも目を向けるべきであることが提言された。さらに、日本の憲法としては、簡潔に国家のシステムを律するものが望ましいとの意見が述べられた。

これに対して、戦後、日本論や日本人論が多く語られてきた理由及びそれらが日本に与えた影響、それらの論調とその時々の日本経済の状況との関係等について質疑がなされた。

(5) 科学技術の進展と21世紀の日本

参考人からは、戦後、研究者の知的好奇心を拠り所とする原型としての「科学」とは別に、国家や社会から与えられた使命を達成する目的でなされる新しいタイプの「科学」が登場したとの意見が述べられた。

また、21世紀の我が国は、[1]教育における文科系と理科系の区別をなくすべきである、[2]真の情報社会を実現するべきである、[3]「人間の尊厳の不可侵」を国家理念として掲げるべきである、[4]知に対する喜びを求める科学研究を尊重すべきであるとの意見が述べられた。

これに対して、科学技術の進歩による負の側面とそれへの対応をいかに考えるか、文科系、理科系の枠を超えた総合的な教育の進め方はどうあるべきか等について質疑がなされた。

(6) 21世紀の日本と日本国憲法

ア 憲法と政治の関係

ある参考人からは、「官主導」体制が我が国の構造的な諸問題の根幹であり、これらの解決を図るため、官僚制の「縦割り化」を排して政治の戦略性を高め、「官主導」を「政治主導」に変革する必要があるという基本認識を基にして、次のような意見が述べられた。

[1]現行憲法の厳格な改正要件の下では、政治的リスクなしに憲法が論じられ、政治による問題解決能力を低下させるので、改正の発議要件を緩和することは一考に値する、[2]政党を憲法上に位置付けるべきである、[3]「会期不継続の原則」の見直し、衆参両院の役割の整理等国会に関する規定を再考する必要がある、[4]中央と地方のもたれ合いの関係を正す必要がある、[5]議会制に見切りをつけて首相公選論、国民投票制を考える前に、まず、議会制の復興を図るべきである。

これに対して、「官主導」から「政治主導」への転換の困難さやその具体的方法、首相公選制の長所及び短所等について質疑がなされた。

別の参考人からは、戦後政治は日本国憲法から「乖離」してきており、その理由としては、戦後の政府及び政権政党が一貫して憲法に好意的でなく、また、最高裁がそのような政治部門への過度の寛容を示してきたことが挙げられるとの意見が述べられた。

そして、21世紀の我が国は、平和憲法の規範を誠実に実践して、核廃絶、軍縮を働きかけるとともに、貧困や構造的暴力の解決に尽力することで、世界平和の建設に日本としての役割を果たすべきであるとの意見が述べられた。

これに対して、武力を伴わない自衛権の行使とはどういうものか、9条が世界的に高く評価されている理由は何か等について質疑がなされた。

イ 憲法論議の在り方

ある参考人からは、憲法について忌憚なく意見を述べ、手直しすることは国家の繁栄のために必要とした上で、[1]現行憲法が「平和憲法」と呼ばれるようになってから、国民の多くは平和という理念を現実と錯覚するようになった、[2]我々は、憲法制定経緯を振り返り、誰が主体となって憲法が作られたのか正確に認識すべきである、[3]国家が自らの個性を踏まえて自己決定する能力を持たなければ、国家の名に値しない、[4]米国は日本の力を抑制するために現行憲法を作ったのであり、そこには日本人の意思や自主性はほとんど反映されていないとの指摘がなされた。

そして、国民の代表機関たる国会は、日本国憲法には歴史的正統性がないとしてこれを「否定」する決議をし、その上で、新たな憲法の制定に着手すべきであるとの意見が述べられた。

これに対して、参考人の憲法観、我が国の安全保障政策の在り方、地方分権の在り方等について質疑がなされた。

また別の参考人からは、情報の不足や歪曲が、満州事変から薬害エイズ問題に至るまで日本に過ちをもたらしたとし、情報公開の徹底を憲法に書き加えるべきであるとの意見が述べられた。そして、現行憲法は厳しい検閲制度により国民に十分な情報が与えられず、国民によって議論されることなく作られたとし、今後はあらゆる情報を国民が共有し、透明、明瞭、公正なプロセスで、憲法に関して、安全保障の問題も含めて議論を進めて欲しいとの意見が述べられた。

また、21世紀の国際社会において、日本は環境問題を率先して解決していくことでリーダーシップを発揮すべきであるとの意見が述べられた。

これに対して、集団的自衛権をめぐる問題、日本の外交姿勢、永住外国人への地方参政権付与の問題等について質疑がなされた。


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