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4 本会議の概況

(1) 内閣総理大臣の指名

第151回国会(常会)は平成13年1月31日に召集された。当初森内閣のもとで始まった今国会であったが、4月26日森内閣が総辞職し、同日の衆参本会議において小泉純一郎君が内閣総理大臣に指名された。

(2) 国務大臣の演説及び質疑

1月31日に森内閣総理大臣の施政方針演説、河野外務大臣の外交演説、宮澤財務大臣の財政演説、麻生経済財政政策担当大臣の経済演説が衆議院本会議において行われ、これに対して、2月5日及び6日に各党の代表質問が行われた。

また、森内閣退陣後の5月7日、小泉内閣総理大臣の所信表明演説が行われ、これに対して、9、10日の両日、各党の代表質問が行われた。

ア 森内閣総理大臣の施政方針演説(1月31日)

(はじめに)

第151回国会の開会に当たり、世紀の変わり目に国政を預かる内閣総理大臣として、歴史のめぐり合わせに改めてその重責をかみしめつつ、所信を申し述べたいと思います。

このような重要な国会の冒頭に、財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団をめぐり、受託収賄容疑により議員が逮捕されたことから申し上げなければならないのは、まことに残念のきわみであります。また、本件に関連して閣僚が辞任いたしました。政治倫理の確立については、政治家一人一人が厳しく身を律していくことが何より重要です。こうしたことが再び起きないように、改めて気を引き締め、信頼回復に全力を尽くしてまいります。

また、歴代内閣総理大臣の外国出張経費に関して、外務省職員による業務上横領容疑により告発がなされたことは、極めて遺憾であります。この事態を厳粛に受けとめ、国民の皆様に深くおわびを申し上げますとともに、今後、捜査当局による真相解明の進展を見ながら、政府として原因の解明と再発防止に万全を期してまいります。

昨年は大規模な災害が相次ぎましたが、それらの災害により、新しい年を迎えてもなお不安を抱え、不自由な生活を余儀なくされている方々に、心からお見舞いを申し上げます。被災者の方々の生活支援に万全を期するとともに、中央防災会議を活用し、政府一体となって災害に強い国づくりを目指してまいります。

21世紀の幕あけの新年、国民の皆様への年頭のごあいさつの中で、20世紀は世界にとって栄光と悔恨の100年であったと申し上げました。科学技術の発達によって得られた繁栄の陰で、二度の世界大戦やさまざまな紛争によって払われた大きな犠牲を決して忘れてはならないと考えたからであります。美しい自然や環境の破壊という高い代償も忘れてはなりません。

我が国は、こうした20世紀の経験の中から自由と民主主義のとうとさを学び、平和を手に入れました。これらの国民的な合意は、国づくりを進める上での基本であります。私たちは、日本固有の伝統や文化、美しい自然を我が国の子や孫たちにしっかりと引き継ぐとともに、この合意を一層確かなものとして、21世紀こそ豊かな環境に恵まれた平和な日本、そして世界を築いていかなければなりません。

(21世紀の展望)

私は、我が国の総理大臣として初めてサハラ以南のアフリカ諸国を訪問いたしました。アフリカは、自然の豊かさ、活力のある人々に恵まれた大陸である一方、今もなお、貧困、紛争、感染症といった課題に直面しております。5人に1人が紛争の被害を受け、難民、避難民は625万人に達するとの報告もあります。しかし、そこで出会った難民の子供たちは、自分たちの未来に大きな希望を持ち、その目は屈託なく生き生きと輝いており、私は強く胸を打たれました。

アフリカが直面する課題は、いずれも人間の存在それ自体に対する脅威であります。こうした脅威からすべての人々を解放する人間の安全保障を確立し、21世紀を世界じゅうの人々にとって輝かしい時代にしなければならないとの思いを強くいたしました。そして、そのために日本が責任とリーダーシップを果たしていくとの決意を新たにしたのであります。

私は、日本の活力を創出していく原動力は人であると考えております。先般、ギリシャを訪れましたが、ギリシャ文明の根幹にあるものは、人間の尊重であり、人間の躍動であります。イタリアのルネサンスがギリシャに戻れと訴えたように、21世紀の今日もまた人間のルネサンスが重要であると私は考えております。

これからの社会では、個人の嗜好や価値観の多様化が進み、さまざまな生き方が認知され、無数の可能性が生まれる一方で、自分の生き方に対する責任が従来以上に求められることが予想されます。そこでは、豊かな個性と創造性を持ち、さまざまな可能性に果敢に挑戦していく人を育てていくことが極めて重要となります。そして、こうした人が存分にその力を発揮し、自己実現を図ることができる環境を整備することによって、日本の新生に向けた歩みを大きく進めていきたいと考えております。

人を育てるに当たっては、心の面を忘れてはなりません。私たちは、物質的な豊かさを享受できるようになった一方で、心の豊かさを失いがちであると感じています。今、改めて心の問題について真剣に考え、豊かな心を見失わない人を育てていかなければなりません。学校や家庭のみならず、社会全体でこの問題に取り組んでいかなければならないと考えております。

我が国の発展を支えてきた経済社会システムは、経済のグローバル化、世界規模で生じているIT革命、少子高齢化など、内外の厳しい情勢変化により、従来のような役割を果たせなくなってきております。時代の新たな変化を、日本の発展システムに対する危機としてではなく、新たなチャンスととらえ、改革によって日本らしさを生かした新たな発展の道筋をつくり、世界じゅうの人々が日本で夢を実現したいと思える国家をつくっていきたいと考えております。

21世紀をこのような時代にしていくためには、既存の施策の発想を超えて、過去との訣別による改革を避けて通ることはできません。今こそ、新たな国づくりに向け、この国に何が必要なのかという原点に立ち返って、明治維新、戦後改革に次ぐ第3の抜本的改革を実行し、日本の新生を図っていくことが必要であります。私は、この国会を日本新生のための改革国会と位置づけ、先人たちが国づくりにかけた情熱を受け継ぎ、新たな時代の知恵を生かしつつ、改革の実行に向けて全力を尽くしてまいる決意であります。

こうした改革を断行することによって、私は、21世紀を、「希望の世紀」、「人間の世紀」、「信頼の世紀」、「地球の世紀」とするべく、第一歩を踏み出してまいります。

(希望の世紀)

20世紀の終わりにかけて、我が国は、経済活動が停滞し、社会全体が将来に対する不安の中で自信を喪失し、国民の間には閉塞感が充満しておりました。しかし、21世紀は、こうした状況からいち早く脱却し、国民一人一人が夢と希望を持って生きられる「希望の世紀」にしなければなりません。そのためには、個人も企業も多様な選択肢のもとで、自由濶達に活動できる社会を実現するとともに、先導的、創造的な研究開発を推進することによって、輝かしい未来を切り開かなければなりません。

健全で活気にあふれた経済は、「希望の世紀」実現のためには不可欠であります。このため、経済の新生に向けて全力を注いでまいります。

我が国の経済は、緩やかな改善を続けておりますが、依然として厳しい状況にあり、また、米国経済の減速など、懸念すべき点も見られます。こうした中で、引き続き、景気に軸足を置いて、経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることが最重要課題であると考えており、まずは、昨年10月に決定した日本新生のための新発展政策を着実に実行に移し、今年度の補正予算の迅速的確な執行に努めてまいります。

さらに、平成13年度予算編成に当たっては、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行うとの観点から、公共事業等に十分な対応を行うとともに、総額7,000億円の日本新生特別枠を初め、IT革命の推進など21世紀の新たな発展基盤の構築に必要とされる分野に重点的、効率的に資金を配分することとし、新世紀のスタートにふさわしい予算といたしました。税制面では、企業組織再編成に係る税制を整備するほか、住宅投資及び中小企業の設備投資の促進などを図ることにいたしております。

こうした我が国経済を新たなる発展へと飛躍させる取り組みとともに、主要先進国の中でとりわけ厳しい状況にある我が国の財政について、将来にわたって持続可能な仕組みをつくり上げる準備として、平成13年度予算においては、公共事業の抜本的見直しや中央省庁再編による施策の融合化と効率化を図る等、財政の効率化と質的改善を図りつつ、国債の新規発行額を減少させたところであります。

さらに、我が国経済を自律的回復軌道に乗せつつ、財政構造改革について、その実現に向けて議論を進めてまいります。その際には、新世紀における我が国の経済、社会のあり方を展望し、望ましい税制の構築や社会保障制度改革、中央と地方との関係まで幅広く視野に入れる必要があると考えております。

今般の中央省庁再編において、有識者の参加を得て、内閣府に経済財政諮問会議を設置しました。景気を着実な自律的回復軌道に乗せるための経済財政運営とともに、財政を含む我が国の経済社会全体の構造改革に向けた諸課題について、具体的な政策を主導するとの決意を持って、実質的かつ包括的な検討を行うことといたしております。会議では、マクロ経済モデル等も活用し、中長期的な経済社会全体の姿を展望しつつ議論を行い、国民が安心と希望を持てる処方せんを示してまいります。

私は、我が国には大きな潜在力があると考えております。企業の創造的な経済活動を促進し、新規産業を創出することなどにより、停滞と閉塞を打破し、日本経済の新たな成長と発展を実現するため、経済構造改革に果敢に取り組んでまいります。産業新生会議での議論を通じて策定した行動計画にのっとり、株主総会のIT化などに向けた会社法制の抜本的な見直し、雇用システム改革など、我が国の産業競争力を向上させるために不可欠な措置について強力に推進し、力強い成長と活力にあふれた経済社会を現実のものとしていく考えであります。

雇用システム改革については、円滑な労働移動を実現し、個人の主体的な能力開発を促進する観点から、現行の雇用対策の総合的な見直しを行い、今国会に、離職を余儀なくされる労働者に対する在職中からの計画的な再就職支援の促進、職業能力評価制度の整備等を図るための法案を提出いたします。

日本経済がその潜在力を発揮するためには、金融システムの一層の安定化と金融仲介機能の強化を図り、我が国金融システムに対する内外の信頼をより強固なものとすることが不可欠であります。各金融機関においては、不良債権に対する適切な手当てを行っており、金融機関の健全性について、かつてのような問題があるわけではありません。政府としては、平成14年4月のペイオフ解禁を控え、引き続き、金融機関に対する検査、監督等金融システムの安定化に万全を期するとともに、借り手である産業の構造改革等を同時に進めるための環境整備を図ることにより、不良債権問題を抜本的に解決し、健全な中小企業や次代を担う新規産業等に対する円滑な資金供与を可能とする金融の再構築を図るなど、一層の努力をしてまいります。

IT革命の推進は、21世紀における我が国の発展、そして「希望の世紀」の実現のかぎとなるものであります。先般、IT基本法に基づいて設置されました高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部において、我が国の官民が総力を挙げて取り組むべき国家戦略であるe―Japan戦略を決定したところであります。今後は、具体的なアクションプランである重点計画を3月末をめどに策定し、5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指し、全力で取り組んでまいります。

ITの利便性を向上させるため、世界最高水準のインターネット網をだれもが必要なときに低廉な料金で利用できるよう、光ファイバー網を初めとする超高速ネットワークインフラの整備を推進するとともに、競争による通信料金の一層の低廉化等のため、支配的事業者制度の導入を初めとする電気通信分野の新たな政策を樹立してまいります。あわせて、放送のデジタル化を推進するとともに、通信・放送融合サービスの健全な発展を促す政策を展開してまいります。

だれもが安心して参加できる制度基盤と市場ルールを整備するため、電子商取引の特質に応じた新たなルールを定めるとともに、個人情報の取り扱いに関する基本原則、取扱事業者の義務等を定める個人情報の保護のための法律案を提出いたします。さらに、セキュリティー確保のための技術開発や安全性、信頼性確保策を推進し、ハイテク犯罪への対応を含め、情報セキュリティー対策を強力に推進してまいります。

電子政府については、国民との間の約1万件の行政手続を原則として平成15年度までのできるだけ早期にインターネットで行えるようにするなど、積極的に取り組んでまいります。

科学技術は尽きることのない知的資源であり、その振興は、「希望の世紀」実現に向けた未来への先行投資と言えるものであります。このため、内閣府に総合科学技術会議を設置したところであり、有識者の意見を伺いつつ、21世紀における我が国の科学技術振興の基本となる総合戦略を策定してまいります。3月までに科学技術基本計画を策定し、科学技術創造立国の実現に向け、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料等、我が国の新生に貢献する研究開発を重点的に推進いたします。同時に、研究開発システムの改革や科学技術振興のための基盤の整備も進めてまいります。

(人間の世紀)

21世紀の我が国の力強い発展は、豊かな個性と創造性を持ち、さまざまな可能性に果敢に挑戦していく人が存分にその力を発揮できるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。21世紀は、まさに「人間の世紀」と言えます。

「人間の世紀」実現のためには、教育の新生を推進し、人間性、創造性に富んだ人づくりに取り組むとともに、社会保障の新生を着実に進め、だれもが生活に対する不安を持つことなく、さまざまな活動に取り組むことができる社会を実現していかなければなりません。

教育にとっても、20世紀は2つの側面を持っておりました。成績を重視した教育制度は、国全体の平均レベルを向上させ、経済の発展、物質的豊かさの実現に大きく貢献しました。他方、最近、青少年による不幸な事件が相次いでおりますが、自分で考える力を身につけ、善悪をわきまえる心や命の大切さなどを学ぶという点では、教育は、必ずしも十分な役割を果たすことができませんでした。私は、心の豊かな美しい国家を築くため、その礎となる教育の新生に全力で取り組んでまいります。

教育改革国民会議の最終報告では、人間性豊かな日本人の育成、一人一人の才能を伸ばし、創造性に富む人間の育成、新しい学校づくり、教育施策の総合的推進のための教育振興基本計画の策定、新しい時代にふさわしい教育基本法の見直しなど、教育各般にわたる御提言をいただきました。

私は、この国会において、まず、子供一人一人、国民一人一人が、学校がよくなる、教育が変わるという実感が持てるような本格的な教育改革に取り組んでまいります。

具体的には、基礎学力の向上ときめ細かな指導のための少人数指導等の実施、教員として十分な適格性を有しない者の教員以外の職への円滑な異動、授業妨害やいじめへのきちんとした対応、家庭教育の充実、奉仕活動や体験活動の促進、教育委員会の活性化、子供たちの体験活動や読書などを振興する子どもゆめ基金の創設、大学改革の推進など、直ちに取り組むべき改革を実行するため、学校教育法や公立学校の学級編制、教職員定数の標準などに関する法律の改正など、一連の教育改革関連法案を提出してまいります。

教育基本法の見直しについては、教育改革国民会議の最終報告において、新しい時代の教育基本法を考える際の観点として、新しい時代を生きる日本人の育成、伝統、文化など次代に継承すべきものの尊重、教育振興基本計画の策定等を規定することの3点が示されたところであります。これを踏まえ、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかりと取り組んで成果を得てまいります。

社会保障制度は、老齢期を迎え、また、疾病、失業などの人生の困難に直面したときに社会全体で支え合う仕組みとして、国民の安心や社会経済の安定に欠かせないものとなっております。今世紀、我が国は世界でも類を見ない急速な少子高齢化に直面し、経済の伸びを大きく上回って社会保障の給付と負担が増大することが見込まれておりますが、このような中にあって、持続可能な社会保障制度を再構築し、後代に継承していくことは、我々に課された重要な務めであると考えます。

昨年10月には、社会保障構造の在り方について考える有識者会議から、21世紀の持続可能な社会保障を形づくるための貴重な御提言をいただきました。これを受けて、今般、政府・与党社会保障改革協議会を発足させたところであり、政府・与党連携のもとで、関連する諸制度の検討を含め、総合的、包括的な改革に取り組むことといたしました。今後、本協議会において、改革の理念や基本的な考え方を明らかにする大綱を3月末をめどに取りまとめるとともに、これに基づく具体的推進方策を協議してまいります。そして、国民的な議論のもとで着実に改革を推し進め、自己責任の原則に立った社会保険方式を基本に、将来にわたり持続可能で安定的、効率的な社会保障制度を構築してまいります。

年金制度については、少子高齢化の進展、高齢期の生活需要の多様化、労働移動の増加など社会経済情勢が大きく変化をいたしており、公的年金を土台としつつ、国民の自助努力を支援する仕組みを整備することが必要であります。このため、国会で継続審査中の確定拠出年金法案の一日も早い成立をお願いするとともに、企業年金において受給権保護を図るための統一的制度を創設する法案を今国会に提出してまいります。

近年の急速な少子化の進行は、我が国の経済社会に広く影響を与えることが懸念されており、21世紀の我が国が家庭や子育てに夢や希望を持つことができる社会となるよう、政府が一体となって総合的な取り組みを行うことが重要であります。このため、少子化対策推進基本方針等に基づき、育児・介護休業法の改正法案を今国会に提出し、働きながら子供を産み育てやすい雇用環境の整備を進めるとともに、保育所における低年齢児の受け入れ枠の拡大等により保育サービスの充実を図るなど、福祉、雇用、教育、住宅などの幅広い分野にわたる総合的な少子化対策を推進してまいります。

男女共同参画社会の実現は、我が国社会のあり方を決定する重要課題の一つであり、昨年12月に決定された男女共同参画基本計画を着実に推進し、一層の努力を継続してまいります。また、新たに設置された男女共同参画会議において、仕事と子育ての両立支援策について早急に取りまとめ、子供を産むというとうとい役割を果たす女性が社会で活躍できる可能性を広げ、女性にとっても男性にとっても、家庭と仕事が両立し、安心して子育てができる社会を築いてまいります。

「人間の世紀」を支えるためには、便利で暮らしに楽しさがある都市づくりを目指すことは極めて重要であります。国境を越えた都市間競争の時代を迎えた今、世界に誇れる都市づくりを国家的課題として明確に位置づけ、官民の力を結集して、生き生きとした都市生活や経済活動を支える都市基盤を整備してまいります。特に、大規模な工場跡地を活用した拠点づくりや、町の中心となるターミナル駅などの交通結節点の総合的整備など、魅力的な都市拠点の創造に努めてまいります。また、高齢者が安心して生活できる居住環境を実現するため、高齢者の居住安定確保に関する法律案を提出するとともに、生活空間、公共交通機関のバリアフリー化を推進してまいります。

食料の安定供給の機能や国土、自然環境の保全等の多面的な機能を有している我が国農林水産業と農山漁村について、食料自給率の向上等を目指し、その健全な発展に取り組んでまいります。また、今国会に、森林の多様な機能の持続的な発揮を図ることを基本理念とする林業基本法改正案と、水産資源の適切な保存管理と持続的利用を基本とした新たな水産政策を構築していくための水産基本法を提出することといたしております。

(信頼の世紀)

21世紀の幕あけに当たり、我が国経済社会の展望を開き、国民本位の行政を確立していく上で、政府の新生を初めとする行政改革は何としても果たさなければならない重要課題であります。国民から信頼される行政を実現し、「信頼の世紀」とできるよう最大限の努力をしてまいります。

中央省庁改革については、橋本内閣以来、内閣の最重要課題の一つと位置づけ、精力的に取り組んでまいりましたが、1月6日、いよいよ新たな府省体制が発足いたしました。この改革は、国民の立場に立った総合的、機動的かつ透明な行政を目指し、21世紀の我が国にふさわしい行政を構築する歴史的な改革であり、改革のメリットを国民にとって確かなものとするように、全力を挙げて新たな体制に魂を吹き込んでまいります。

昨年12月に決定いたしました行政改革大綱は、まさに21世紀の行政のあり方を示す指針であり、平成17年までを集中改革期間として、特殊法人、公務員を初めとする行政制度や組織の改革のみならず、規制改革や地方分権の推進など、我が国の行政の構造に踏み込んだ本格的な改革を進めてまいります。このため、先般、新たな行政改革推進本部を設置するとともに、行政改革担当大臣のもと、内閣官房に事務局を発足させたところであります。

公務員制度改革につきましては、3月までに大枠を示し、6月中には基本設計について成案を得て、秋以降、法制化を含む具体的な作業に入るというスケジュールで進めてまいります。特殊法人等改革及び公益法人改革については、平成13年度中に整理合理化計画を策定することを目指して、できるだけ見直しのスピードを速め、早期に改革の方向性を明らかにしてまいります。

規制改革につきましては、IT、医療・福祉、雇用・労働、教育、環境などの各分野に積極的に取り組むとともに、競争政策の積極的展開を図るため、平成13年度を初年度とする新たな規制改革推進3カ年計画を3月までに策定いたします。

また、この計画の実施状況を監視するとともに、経済社会の構造改革の視点も含めて幅広く規制改革を推進していくため、民間人を主体とする新たな審議機関を内閣府に設置することについて検討し、3月末までに具体的成案を得てまいります。

国民本位の効率的で質の高い行政の実現のために、全府省において政策評価制度を着実に実施するとともに、その実効性を高め、これに対する国民の信頼を一層向上させるため、所要の法律案を今国会に提出いたします。

地方分権の推進につきましては、今後とも、国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実確保や国庫補助負担金の整理合理化等、さらなる推進に強い決意で取り組むとともに、市町村合併の推進など、新たな役割を担うにふさわしい行政体制のあり方の問題についても真正面から取り組んでまいります。

司法制度改革については、我が国が透明なルールと自己責任の原則に貫かれた事後監視・救済型社会への転換を図り、大いなる発展を遂げていくために不可欠であり、国民的議論の動向や司法制度改革審議会における調査審議の状況を踏まえつつ推進してまいります。また、民事、刑事の基本法制の集中的整備についても、直ちに所要の体制を整えるなどして、断固たる決意で取り組んでまいります。

(地球の世紀)

21世紀は、あらゆる活動のボーダーレス化が進展し、ますますグローバルな視点が要求される「地球の世紀」になると予想されます。「地球の世紀」を迎え、外交の新生を図り、我が国の主体性を発揮し、国際的に貢献していかなければなりません。

21世紀を迎えた今、日本外交に求められているものは、日本が平和と繁栄という恩恵を最大限に享受してきた国際的なシステムをみずから支えていこうとする責任感とリーダーシップであります。

20世紀後半、我が国は、先進民主主義国家として、また、世界第2位の経済大国として生まれ変わりました。軍事大国たることを放棄し、資源に恵まれない我が国が21世紀にさらなる発展を実現するためには、国連憲章や多角的自由貿易体制を基礎とする国際的なシステムが効果的に機能することが必要であります。我が国は、新世紀の国際協調の波頭に立って、安保理改革を初めとする国連システムの強化や、WTO新ラウンドの本年中の立ち上げに全力を尽くし、普遍的な価値観やルールの創設、強化に努めなければなりません。

私は、国際的な協調行動を導く日本外交の理念として、人間の安全保障を掲げました。人間の安全保障は、この地球にともに住む人間一人一人の生存、安寧、尊厳の確保を目的とするものであります。貿易、開発、環境など、さまざまな分野で地球的規模の取り組みが必要であります。

私は、また、九州・沖縄サミットの議長として、他の首脳とともに英知を絞った具体的諸施策を着実に実施してまいります。

ITが人類を繁栄と貧困の間で分断してしまわないように、ITに関する包括的協力策を着実に実施するとともに、人間の安全保障に対する直接の脅威となっている感染症問題に対し、国際的な取り組みの一層の強化に努めてまいります。さらに、グローバリゼーションによる繁栄の果実をより多くの人々とともに分かち合い、市場経済や多角的自由貿易体制に対する信頼を堅持するため、我が国の重要な外交手段である政府開発援助をさらに効果的、効率的に活用してまいります。

我が国の外交は、自由、民主主義、人権、市場経済という普遍的な価値観のもとで、アジア太平洋地域の平和と繁栄を確保することを引き続き優先課題としなければなりません。

21世紀前半のアジア太平洋地域における日本外交の基本戦略は、日米同盟関係を基軸として、隣国韓国と堅固な友好のきずなを強化し、中国及びロシアとの間に信頼に基づく協調関係を構築することによって、アジア太平洋地域における安定の枠組みを堅持することにあります。

その中で、北東アジア地域の平和と安定に資するよう、韓米両国と密接に協調して、対北朝鮮政策に取り組んでいかなければなりません。また、APEC、ARF、ASEANプラス3などの重層的な地域の対話と協力を推進し、自由で民主的で安定し繁栄する強靱なアジア太平洋圏の創出を目指さなければなりません。

同盟国たる米国との関係については、ブッシュ新政権との間に早期に確固たる信頼関係を構築してまいります。そのためにも、日米間の戦略対話を強化し、日米安保体制の信頼性を向上させていくとともに、日米両国がともに繁栄を享受し得るような新しい経済関係の枠組みを探求していきたいと考えます。

また、今後とも、沖縄の特性を生かした振興開発の推進に努めていくとともに、沖縄県民の負担を軽減すべく、引き続き、SACO最終報告の着実な実施に全力で取り組みます。特に、普天間飛行場の移設、返還については、沖縄県及び地元地方公共団体との代替施設協議会等において、できるだけ早く成案を得るべく努力してまいります。

21世紀のアジア太平洋地域の平和と繁栄のため、中国との間で相互に協力し合う安定的な協調関係を構築していかなければなりません。このため、私は、平和と発展のための友好協力パートナーシップを基礎に、新しい世代のために、地域及び世界における日中両国の協力関係の深化と拡大に邁進してまいります。

朝鮮半島では、昨年、金大中大統領の英断のもとで、緊張緩和に向けて一連の動きがありました。

私は、我が国にとって最も近く、かつ重要な地域である朝鮮半島に真の平和と和解がもたらされるように積極的に努力してまいります。そのため、まず、韓国との緊密で強力な関係を堅持し、韓米両国と密接に連携して、日朝国交正常化交渉の新たなページをめくりたいと考えておるのであります。

北朝鮮との人道的問題及び安全保障上の問題については、対話を進める中で、解決に向けて全力を傾けてまいります。

最後に、ロシアとの間では、戦略的、地政学的提携、幅広い経済的協力、平和条約の締結という3つの課題を同時に前進させることが重要であります。

平和条約交渉については、プーチン大統領との信頼関係に立ちつつ、北方四島の帰属の問題を解決する平和条約の締結に向け、日ロ双方が全力を尽くして努力することが必要と考えております。

国民の生命財産を守るのは、政治の崇高な使命であります。我が国の防衛については、防衛計画の大綱のもと、昨年末に策定された新中期防衛力整備計画に従い、節度ある防衛力の整備に努めます。特に、IT革命への対応、災害派遣能力の充実強化等に留意してまいります。有事法制は、自衛隊が文民統制のもとで、国家、国民の安全を確保するために必要であります。昨年の与党の考え方を十分に受けとめて、検討を開始してまいります。

「地球の世紀」たる21世紀において、国民が真に豊かで安心できる暮らしを実現していく上で、その基盤となる恵み豊かな環境を守り、我々の子孫に引き継いでいくことは、我が国のみならず世界においても最も重要な課題の一つであります。地球温暖化問題については、2002年までの京都議定書発効を目指し、本年開催が予定されておりますCOP6再会合に向け、最大限努力するとともに、国際交渉の進捗状況も踏まえつつ、国民の理解と協力を得て、温室効果ガスの6%削減目標を達成するための国内制度に総力で取り組んでまいります。さらに、大量生産、大量消費、大量廃棄という経済社会のあり方から脱却するため、循環型社会の構築に向け、関連する法律の施行を通じ、具体的な取り組みを進めてまいります。これらの課題を着実に解決し、21世紀において地球との共生を実現してまいります。

(むすび)

新世紀を迎えた今、国政のかじ取りを担う責任の重さを痛切に感じております。

新しい世紀を希望に満ちあふれたものにするためには、最初の10年が極めて重要であると考えます。古い殻を破り、大きく羽ばたくためには、乗り越えなければならない痛みや苦しみがあります。安住してきた古い慣習を断ち切り、未知なる未来へと飛び出すには、強い勇気が必要であります。

しかし、もうちゅうちょしたり、先送りすることは許されません。

私は、自由民主党、公明党、保守党三党の結束のもとで、協力して政治の安定を図り、確固たる意志と強い情熱を持って、21世紀最初の10年を、今後100年の大計を律する10年と位置づけ、その最初の年となる本年、より一層気を引き締めて、この国の改革に臨んでいく決意であります。

私たちは ひとつの海の いくつかのしずく

私たちは ひとつの大洋の いくつかの波

ともに探そう 協調への道

それが あなたと私の生きる道

厳しく悲惨な生活を強いられているケニアの難民キャンプに住む子供たちが私のために歌ってくれた歌であります。笑って済ませる歌ではありません。

この平和への願いと、子供たちの希望に輝いた目は、世界のどの国でも同じです。厳しい改革の先にある、豊かな環境に恵まれた平和な日本、そして世界をしっかりと見据え、国民の皆様の声に耳を傾け、国民の皆様とともにこの国をつくっていきたいと考えております。

国民の皆様並びに議員各位の御理解と御協力を心からお願いを申し上げて、私の施政に関する演説を終わります。

イ 国務大臣の演説に対する質疑要旨(2月5日、6日)

1月31日の国務大臣の演説に対する質疑は、2月5日に鳩山由紀夫君(民主)、古賀誠君(自民)、上田清司君(民主)及び神崎武法君(公明)が行い、6日には山岡賢次君(自由)、石井郁子君(共産)、土井たか子君(社民)及び野田毅君(保守)が行った。

質疑の主なものは、次のとおりである。

第1に、森内閣の政治姿勢及び連立政権運営について、 「[1]21世紀の日本の国家像と今後の政治のあり方、 [2]現在の与党3党の連立政権の評価と今後の運営について」等の質疑に対して、 「[1]21世紀を「希望の世紀」、「人間の世紀」、「信頼の世紀」、「地球の世紀」とし、また、日本の文化や伝統を大切にし、創造性と人間性にあふれた人々が互いに協力し合う社会や国家を目指す。また、強力なリーダーシップのもと、日本経済社会システム全体の抜本的な構造改革及びIT革命の推進、教育改革、社会保障改革等の国民が必要な政策を円滑かつ迅速に実行することによって政治の安定を図る、 [2]それぞれの独自性を尊重しつつ、お互い切磋琢磨することで、よりよい政策を実施してきた。今後とも、3党で一致協力して政権を担い、景気回復、経済構造改革、IT革命の推進、教育改革、社会保障改革などについて、緊密な連携のもとに全力で取り組んでいく」旨の答弁があった。

第2に、政治改革、政治倫理及び選挙制度について、「衆議院選挙制度改革」の質疑に対して、「現行制度を頑迷に守り続けなくてはならない理由はなく、見直すべき点は見直す必要がある。各党、各会派が真剣に議論していく問題である」旨の答弁があった。

第3に、経済運営、金融システム改革について、 「[1]金融システムの現状認識と健全化への道筋、 [2]金庫株を含む証券市場の活性化対策についての見解」等の質疑に対して、 「[1]金融機関が不良債権への手当てを行っており、健全性について問題があるわけではない。2002年4月以降のペイオフ解禁に向け、金融機関の検査・監督を引き続き実施し、産業の構造改革を進める環境整備を図る。企業財務の改善の促進を通じ、金融システムの安定化、金融の円滑化に万全を期す、 [2]与党において、証券市場等の活性化のための検討が行われており、これらを踏まえて市場インフラの整備等に対応したい」旨の答弁があった。

第4に、財政構造改革、行政改革について、 [1]公益法人全廃や公務員制度改革に取り組む必要性、 [2]財政構造改革に向けた具体的な構想、 [3]公共事業等予備費の削除など2001年度予算案を組み替える考えの有無」等の質疑に対して、 「[1]昨年12月に閣議決定した行政改革大綱は2005年度までを集中改革期間としている。規制改革、公益法人改革、公務員制度の改革に全力で取り組み、新たな中央省庁体制に魂を吹き込む、 [2]我が国の財政状況は主要先進国の中でとりわけ厳しい状況にある。中央省庁再編で内閣府に経済財政諮問会議を設置し、景気を着実な自立的回復軌道に乗せるためには経済財政運営とともに、経済社会全体の構造改革に向け、具体的な政策を主導する決意を持って包括的な検討を行い、処方箋を示していく、 [3]我が国の経済は緩やかな回復を続けているが、依然として厳しい状況にあり、米国経済の減速など懸念すべき点も見られる。2001年度予算案における公共事業等予備費は公需から民需への円滑なバトンタッチに万全を期す観点から必要な措置である」旨の答弁があった。

第5に、ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)事件について、 「[1]全容解明を行うための関係者の証人喚問の必要性、 [2]閣僚辞任についての任命権者としての責任、 [3]自民党としての調査及び結果の公表、 [4]旧労働省の管理監督責任と公益法人のあり方の見直し、 [5]「ものつくり大学」の開設資金を国が支出した事情、 [6]政党に対する企業・団体献金の禁止についての総理の認識」等の質疑に対して、 「[1]証人喚問については、国会で議論いただくべきことである、[2]閣僚の辞任については大変遺憾であり、国民の皆様に対して申しわけなく思っている、 [3]自民党としても、調査すべき点は調査し、真相究明に全面的に協力していく所存である、 [4]公益法人に対する指導監督体制を強化し、公益法人改革を連立与党で進めつつ、一段と厳正な指導監督に努めていきたい、 [5]「ものつくり大学」には、物づくりを担う人材確保、育成のため、補助金を支出した、 [6]最高裁判例でも、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つことは認められており、これをおよそ悪と決めつける論拠は乏しいと考えている。政治資金のあり方については、透明性を高めつつ、民主主義のコストをどのように国民に負担していただくかという観点から、各党各会派において議論をいただくべきものと考える」旨の答弁があった。

第6に、内閣官房及び外務省における報償費(機密費)流用問題について、 「[1]報償費(機密費)の必要性、 [2]外務省の発表した調査報告についての見解、 [3]外務大臣の責任、 [4]再発防止策の検討、 [5]着服した公金の性格(外交機密費なのか官房機密費なのか)、[6]来年度予算からの減額の必要性、 [7]情報公開などを検討し、厳正な措置を講じる必要性、 [8]外務省報償費の内閣官房報償費への流用の有無」等の質疑に対して、 「[1]報償費は、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するため、その都度の判断で機動的に使用する経費であり、国政の遂行上不可欠なものである、 [2]強制的な捜査権を持たない調査には限界があり、これまでの外務省の調査をもってすべてが明らかになったとは考えていない。今後は、外務省としては、全容解明のために捜査当局に全面的に協力していくとともに、みずからも必要な内部調査を継続する、 [3]今回の事件に対する厳しい反省に立ち、襟を正して真相究明と抜本的な再発防止に取り組む。これにより、外交に対する国民の信頼を回復するよう全力を尽くす所存である、 [4]2人の副大臣の参加を得るとともに外部の有識者の参加も得た委員会を立ち上げ、外務省の経理処理体制、人事運営、組織体制、監査体制などについての検討を行い、抜本的な改善策を講じていきたいと考えている、 [5]横領された明白な疑いがあるのは、内閣官房の報償費である、[6]予算額の範囲内で優先度を勘案して使用しており、減額は考えていない、 [7]使途等の公開は機動的運用や内政、外交の円滑化、効果的遂行に支障をきたすので困難である、 [8]そのようなことはない」旨の答弁があった。

第7に外交、安全保障について、 「[1]日米関係のあり方、 [2]日米首脳会談の見通し、 [3]日ロ関係のあり方、 [4]日ロ首脳会談の見通し、 [5]有事法制の必要性と政府の基本姿勢、 [6]沖縄米軍基地の縮小問題、 [7]歴史教科書問題における近隣諸国の懸念」等の質疑に対して、「[1]日米同盟関係の重要性を再確認し同盟関係の強化に向けて協力していくとともに、国際社会が直面する問題への共同の取り組みを強化していく、 [2]ブッシュ大統領との首脳会談は、なるべく早い機会に行うことで意見が一致しており、日程調整中である、 [3]日ロ関係については、戦略的、地政学的提携、幅広い経済的協力、平和条約の締結という3つの課題を同時に前進させることが重要である、 [4]日ロ首脳会談の日程は調整中であるが、できるだけ早期に北方四島の帰属の問題を解決し平和条約を締結する、 [5]有事法制は、自衛隊が文民統制のもとで国家国民の安全を確保するために必要であり、昨年の与党の考え方を十分に受けとめ検討を開始していくが、もとより、本検討は憲法の範囲内で行うものである、 [6]沖縄米軍基地については、SACO最終報告を踏まえ、日米間で緊密に協議しながら着実な実施に最大限努力する、 [7]歴史教科書の検定については文部科学省において学習指導要領や検定基準等に基づき適切に実施されている」旨の答弁があった。

第8に社会保障制度等について、 「[1]財政方式のあり方、 [2]基礎年金の国庫負担割合引き上げの見通し、 [3]医療保険制度改革に取り組む基本姿勢」等の質疑に対して、「[1]財政方式は、自己責任の原則に立って社会保険方式を基本としつつ、保険料と公費を組み合わせることにより給付に要する費用を賄っていく、 [2]国庫負担割合は、安定した財源確保のための具体的方策と一体として検討する、 [3]医療保険財政は極めて厳しい状況となっており、平成14年度には高齢者医療制度を初めとする医療制度の改革を実現しなければならない」旨の答弁があった。

第9に教育問題について、 「[1]教育改革に向けての決意、 [2]教育基本法見直しの必要性、 [3]奉仕活動の義務化」等の質疑に対して、 「[1]教育は心の豊かな美しい国家を築くための礎となるもので、知識に偏重した教育でなく、体育、徳育、知育のバランスのとれた全人教育を推進する、 [2]教育基本法見直しは、教育改革国民会議の最終報告を踏まえ、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかり取り組んでいく、 [3]奉仕活動体験等を法律上義務づけることは考えていない」旨の答弁があった。

第10に憲法問題について、 「[1]憲法問題に取り組む基本姿勢、[2]憲法改正の必要性」等の質疑に対して、 「[1]憲法の基本理念である民主主義、平和主義及び基本的人権の尊重は、国民から広く支持されてきたものであり、将来においても堅持すべきである、 [2]憲法改正は、世論の成熟を見定めるなど慎重な配慮を要するものであり、憲法調査会の議論を見守る」旨の答弁があった。

第11に農業問題について、 「[1]食料自給率低下の原因と食料自給率向上に取り組む基本姿勢、 [2]農政の抜本的転換の必要性、 [3]米の減反政策見直しの必要性、 [4]有明海のノリ被害について (ア)調査の時期及び方法、 (イ)水門開放の必要性、 (ウ)被害者に対する支援策、 (エ)有明海再生プロジェクトについて」等の質疑に対して、 「[1]食料自給率低下は、食生活の変化が続いていることと国内の農業生産が変化に十分に対応できていないことが主な原因であり、今後食料自給率の向上に向け生産から消費にわたる各般の施策を推進する、 [2]食料・農業・農村基本法の制定を契機に従来の農政の転換を図る、 [3]米の生産調整は米の需給と価格の安定を図る上で不可欠である、 [4](ア)原因究明のため早急に緊急調査をし暫定的にとりまとめ速やかに公表したい。総合的な調査を関係各省庁、各県が連携して行い中間とりまとめを可能な限り早く公表する、 (イ)調査において設置する第三者委員会の中で水門を開けて調査をすることが必要となれば開けることもありうる、 (ウ)ノリ養殖業者に対して、ノリ養殖共済金の早期支払い、被害状況に応じた貸付金の償還猶予等を関係機関に指導している、 (エ)総合的な有明海の水産再生対策については、原因究明調査や経営対策と並行して、水産生物にとって良好な漁場環境づくりを進めることとしている」旨の答弁があった。

第12に雇用問題について、 「[1]雇用問題についての政府の認識、[2]新卒者の就職支援の必要性」等の質疑に対して、 「[1]過剰雇用感はまだ97年初めの水準までは戻っていないものの解消の方向に向かいつつある、 [2]主要経済団体の首脳に対し求人枠拡大の要請を行っており、ハローワークにおいても就職促進のための対策を講じている。特に、女子学生については均等法の内容に沿った取り扱いが行われるよう各企業への指導を徹底している」旨の答弁があった。

その他、永住外国人に対する地方参政権の付与、選択的夫婦別姓制度の創設、改正住民基本台帳法、障害者権利法の制定、刑罰・治安維持、日航機ニアミス事故等について質疑が行われた。

ウ 小泉内閣総理大臣の所信表明演説(5月7日)

(新世紀維新を目指して)

このたび、私は、皆様方の御支持を得、内閣総理大臣に就任いたしました。想像を超える重圧と緊張の中にありますが、大任を与えてくださった国民並びに議員各位の御支持と御期待にこたえるべく、国政の遂行に全力を傾ける決意であります。

戦後、日本は、目覚ましい経済発展を遂げ、生活の水準も飛躍的に上昇しました。資源に恵まれないこの狭い国土で、1億2,700万人もの国民が、これほど短期間に、ここまで高い生活水準を実現したことは我々の誇りです。

しかし、90年代以降、日本経済は長期にわたって低迷し、政治に対する信頼は失われ、社会には閉塞感が充満しています。これまでうまく機能してきた仕組みが、21世紀の社会に必ずしもふさわしくないことが明らかになっています。

このような状況において、私に課せられた最重要課題は、経済を立て直し、自信と誇りに満ちた日本社会を築くことです。同時に、地球社会の一員として、日本が建設的な責任を果たしていくことであります。私は、「構造改革なくして日本の再生と発展はない」という信念のもとで、経済、財政、行政、社会、政治の分野における構造改革を進めることにより、「新世紀維新」ともいうべき改革を断行したいと思います。痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず、恐れず、ひるまず、とらわれずの姿勢を貫き、21世紀にふさわしい経済社会システムを確立していきたいと考えております。

「新世紀維新」実現のため、私は、自由民主党、公明党、保守党の確固たる信頼関係を大切にし、協力して「聖域なき構造改革」に取り組む改革断行内閣を組織しました。抜本的な改革を進めるに当たっては、さまざまな形で国民との対話を強化することを約束します。対話を通じて、政策検討の過程そのものを国民に明らかにし、広く理解と問題意識の共有を求めていく信頼の政治を実現してまいります。

相次ぐ不祥事は、国民の信頼を大きく損ねてしまいました。政治や行政に携わる一人一人が国民の批判を厳粛に受けとめ、職責を真摯に果たす中で、信頼関係の再構築を図っていかなければなりません。

さらに、国民の政治参加の道を広げることが極めて重要であります。首相公選制について、早急に懇談会を立ち上げ、国民に具体案を提示します。

(日本経済の再生を目指して)

日本にとって、今、最も重要な課題は、経済を再生させることです。小泉内閣の第1の仕事として、森内閣のもとで取りまとめられた緊急経済対策を速やかに実行に移します。この経済対策は、従来の需要追加型の政策から、不良債権処理や資本市場の構造改革を重視する政策へとかじ取りを行うものであります。

日本経済再生の処方せんに関しては、これまでさまざまな議論、提言が行われてきました。これらの提言は、地球的規模での競争時代にふさわしい、自立型の経済をつくることで幅広い意見の一致を見ており、私がかねてから主張してきた、構造改革なくして景気回復はないという考えと軌を一にするものであります。

処方せんは既に示されています。日本経済の再生を真に実現するために、今、私がなすべきことは、決断と実行であります。

(経済・財政の構造改革―構造改革なくして景気回復なし―)

90年代以降の日本経済は、さまざまな要因が重なり合って生じる複合型病理に悩まされてきました。これを解決するための構造改革も、包括的なものでなければなりません。小泉内閣は、以下の3つの経済、財政の構造改革を断行します。

第1に、2年から3年以内に不良債権の最終処理を目指します。

このため、政府の働きかけのもとに、銀行を初めとする関係者が企業の再建について話し合うためのガイドラインを取りまとめるなど、不良債権の最終処理を促進するための枠組みを整えます。

銀行の株式保有制限と株式取得機構については、金融システムの安定化と市場メカニズムとの調和を念頭に、具体策を講じてまいります。

第2は、21世紀の環境にふさわしい競争的な経済システムをつくることです。これは、日本経済本来の発展力を高めるための構造改革です。

競争力ある産業社会を実現するために、新規産業や雇用の創出を促進するとともに、総合規制改革会議を有効に機能させ、経済、社会の全般にわたる徹底的な規制改革を推進します。さらに、市場の番人たる公正取引委員会の体制を強化し、21世紀にふさわしい競争政策を確立します。

証券市場の活性化のために、個人投資家の積極的な市場参加を促進するための税制措置を含む幅広い制度改革を短期間に行います。

IT革命の推進に関しては、周知のように、5年以内に世界最先端のIT国家を実現するという野心的目標を設定しています。その実現を確かなものとするため、e―Japan重点計画を着実に実行するとともに、中間目標を設定するIT2002プログラムを作成したいと考えます。

さらに、私が主宰する総合科学技術会議を中心に、科学技術創造立国を目指し、産業競争力と質の高い国民生活の基盤となる科学技術分野への戦略的な研究開発投資を促進するとともに、研究開発システムを改革します。

都市の再生と土地の流動化を通じて都市の魅力と国際競争力を高めていきます。このため、私自身を本部長とする都市再生本部を速やかに設置します。

第3は、財政構造の改革です。

近年、経済が停滞する中で、政府は、公共投資や減税などの需要追加策を講じてまいりました。しかし、長期にわたりこの政策の繰り返しを余儀なくされ、我が国は巨額の財政赤字を抱えています。この状況を改善し、21世紀にふさわしい、簡素で効率的な政府をつくることが財政構造改革の目的です。

私は、この構造改革を2段階で実施します。まず、平成14年度予算では、財政健全化の第一歩として、国債発行を30兆円以下に抑えることを目標とします。また、歳出の徹底した見直しに努めてまいります。その後、持続可能な財政バランスを実現するため、例えば、過去の借金の元利払い以外の歳出は新たな借金に頼らないことを次の目標とするなど、本格的財政再建に取り組んでまいります。

こうした構造改革を実施する過程で、非効率な部門の淘汰が生じ、社会の中に痛みを伴う事態が生じることもあります。私は、離職者の再就職を支援するなど、雇用面での不安を解消する施策を拡充するとともに、中小企業に対する金融面での対応や経営革新への支援に万全を期してまいります。

我々が目指す経済社会は、国民一人一人や企業、地域が持っている大きな潜在力を自由に発揮し、潜在力そのものをさらに高めていける社会です。そこには、真に豊かで誇りに満ちた、自立型の日本経済の姿があります。私が主宰する経済財政諮問会議では、6月を目途に、今後の経済財政運営や経済社会の構造改革に関する基本方針を作成します。

(行政の構造改革―民間にできることは民間に、地方にできることは地方に―)

本年実施された中央省庁再編は、行政改革の始まりにすぎません。行政すべてのあり方について、ゼロから見直し、改革を断行していく必要があります。国の事業について、その合理性、必要性を徹底的に検証し、民間にできることは民間にゆだね、地方にできることは地方にゆだねるとの原則に基づき、行政の構造改革を実現します。

特殊法人等について、ゼロベースから見直し、国からの財政支出の大胆な削減を目指します。また、公益法人の抜本的改革を行います。郵政三事業については、予定どおり平成15年の公社化を実現し、その後のあり方については、早急に懇談会を立ち上げ、民営化問題を含めた検討を進め、国民に具体案を提示します。

そして、財源問題を含めて地方分権を積極的に推進するとともに、公務員制度改革に取り組んでいくほか、行政の透明性を向上させて国民の信頼を高めるため、特別会計などの公会計の見直し、改善、情報公開や政策評価に積極的に取り組んでまいります。

明確なルールと自己責任原則に貫かれた事後チェック・救済型社会への転換に不可欠な司法制度改革についても、重要課題として取り組みます。司法制度改革審議会から提出される最終意見を踏まえ、国民と国際社会から信頼される、新しい時代にふさわしい制度を目指した改革を進めます。

また、不祥事を契機に、報償費の適正な執行に対する国民の信頼が損なわれていることを重く受けとめております。内政、外交の円滑な遂行に役立てるという報償費の原点に立って抜本的に見直し、減額も含め平成13年度予算を厳正に執行いたします。

(社会の構造改革―生きがいを持って、安心して暮らすことができる社会―)

生きがいを持って安心して暮らすことができる社会を実現するためには、教育、社会保障、環境問題等について、制度の改革と意識の転換が必要です。

日本人としての誇りと自覚を持ち、新たなる国づくりを担う人材を育てるための教育改革に取り組んでまいります。教育基本法の見直しについては、幅広く国民的な議論を深めてまいります。

社会保障制度は、国民の安心と生活の安定を支えるものであります。今世紀、我が国は、いまだ経験したことのない少子高齢社会を迎えます。これからは、給付は厚く、負担は軽くというわけにはいきません。社会保障の3本柱である年金、医療、介護については、「自助と自律」の精神を基本とし、世代間の給付と負担の均衡を図り、お互いが支え合う、将来にわたり持続可能な、安心できる制度を再構築する決意です。私は、国民に対して道筋を明快に語りかけ、理解と協力を得ながら改革を進める考えです。また、広く地域住民やNPO等のボランティアの参加を呼びかけ、介護や子育て等を皆で支え合う共助の社会を築いてまいります。

私は、内閣を組織するに当たり、5人の女性閣僚を起用しました。これは、男女共同参画を真に実のあるものにしたいという思いからです。女性と男性がともに社会に貢献し、社会を活性化するために、仕事と子育ての両立は不可欠の条件です。これを積極的に支援するため、明確な目標と実現時期を定め、保育所の待機児童ゼロ作戦を推進し、必要な地域すべてにおける放課後児童の受け入れ体制を整備します。

私は、21世紀に生きる子孫へ恵み豊かな環境を確実に引き継ぎ、自然との共生が可能となる社会を実現したいと思います。

おいしい水、きれいな空気、安全な食べ物、心休まる住居、美しい自然の姿などは、我々が望む生活です。自然と共生するための努力を新たな成長要因に転換し、質の高い経済社会を実現してまいります。このため、環境の制約を克服する科学技術を開発普及したいと思います。

環境問題への取り組みは、まず身近なことから始めるという姿勢が大事です。政府は、原則としてすべての公用車を低公害車に切りかえてまいります。

地球温暖化問題については、2002年までの京都議定書発効を目指して、最大限努力します。また、循環型社会の構築に向け、廃棄物の発生抑制、再生利用の促進、不法投棄の防止等に取り組みます。さらに、廃棄物を大幅に低減するために、私は、ごみゼロ作戦を提唱します。例えば、大量のごみの廃棄で処理の限界に至っている大都市圏を新しいごみゼロ型の都市に再構築する構想について、具体的検討を行います。

循環型社会の実現や食料自給率の向上に向け、農林水産業の構造改革を進め、農山漁村の新たなる可能性を切り開いてまいります。

社会の構造改革を進める上で、安心して暮らせる国家の実現は、その基礎となるものです。だれもが快適に生活できるようにするため、バリアフリーを進めます。多発する凶悪犯罪への対策や入国管理の体制を強化し、世界一安全な国、日本に対する国民の信頼を取り戻します。また、防災対策に取り組むとともに、災害による被災者の方々への支援や復旧復興対策に万全を期してまいります。

(21世紀の外交・安全保障)

日本が平和のうちに繁栄するためには、国際協調を貫くことが重要です。二度と国際社会から孤立し、戦火を交えるようなことがあってはなりません。日本の繁栄は、有効に機能してきた日米関係の上に成り立っております。日米同盟関係を基礎にして、中国、韓国、ロシア等の近隣諸国との友好関係を維持発展させていくことが大切であります。

我が国は、国際社会を担う主要国の一つとして、21世紀にふさわしい国際的システムの構築に主導的役割を果たしてまいります。その一環として、国連改革の実現や、世界貿易機関を中心とする自由貿易体制の強化、さらには地球環境問題などに主体的に取り組みます。

日米関係については、日米安保体制がより有効に機能するよう努めます。さらに、経済・貿易分野での対話を強化するための新たな方策を見出し、政治・安全保障問題等に関する対話や協力も強化してまいります。また、沖縄の振興開発を推進するとともに、普天間飛行場の移設、返還を含め、沖縄に関する特別行動委員会最終報告の着実な実施に全力で取り組み、沖縄県民の負担を軽減する努力をしてまいります。

中国との関係は、我が国にとって最も重要な二国間関係の一つです。我が国としては、今秋に予定されているアジア太平洋経済協力首脳会議の上海開催の機会等を通じて、中国が国際社会の中で一層建設的な役割を果たしていくことを期待し、引き続き協力関係を深めてまいります。

我が国と民主的価値を共有し、最も地理的に近い国である韓国との関係の重要性は言うまでもありません。この関係を維持強化し、いよいよ来年に迫ったワールドカップサッカー大会の共催と日韓国民交流年を成功させるべく、韓国と手を携えて努力してまいります。

朝鮮半島をめぐっては、昨年、南北首脳会談など注目すべき動きが見られました。我が国としては、引き続き、日米韓の緊密な連携を維持しつつ、北東アジアの平和と安定に資する形で、日朝国交正常化交渉に粘り強く取り組んでまいります。また、北朝鮮との人道的問題及び安全保障上の問題については、対話を進める中で解決に向けて全力を傾けてまいります。

ロシアとの関係では、先般のイルクーツク首脳会談までに得られた成果をしっかりと引き継ぎます。北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した方針のもと、精力的に交渉に取り組み、同時に、経済分野や国際舞台における協力など、幅広い分野における関係の進展に努めてまいります。

「治にいて乱を忘れず」は政治の要諦であります。私は、一たん国家、国民に危機が迫った場合にどういう体制をとるべきか検討を進めることは政治の責任であると考えており、有事法制について、昨年の与党の考え方を十分に受けとめ、検討を進めてまいります。

(むすび)

私は、積極的な国民との対話を通じて、国民の協力と支援のもとに、新しい社会、新しい未来を創造していく作業に着手します。関係閣僚などが出席するタウンミーティングをすべての都道府県において半年以内に実施し、また、「小泉内閣メールマガジン」を発刊します。こうした対話を通じ、国民が政策形成に参加する機運を盛り上げていきたいと思います。

明治初期、厳しい窮乏の中にあった長岡藩に、救援のための米百俵が届けられました。米百俵は、当座をしのぐために使ったのでは数日でなくなってしまいます。しかし、当時の指導者は、百俵を将来の千俵、万俵として生かすため、あすの人づくりのための学校設立資金に使いました。その結果、設立された国漢学校は、後に多くの人材を育て上げることとなったのであります。今の痛みに耐えてあすをよくしようという米百俵の精神こそ、改革を進めようとする今日の我々に必要ではないでしょうか。

新世紀を迎え、日本が希望に満ちあふれた未来を創造できるか否かは、国民一人一人の改革に立ち向かう志と決意にかかっています。私は、この内閣において、「聖域なき構造改革」に取り組みます。私は、みずからを律し、一身を投げ出し、日本国総理大臣の職責を果たすべく全力を尽くす覚悟であります。

議員諸君も、変革の時代の風を真摯に受けとめ、信頼ある政治活動にともに邁進しようではありませんか。

国民並びに議員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

エ 国務大臣の演説に対する質疑要旨(5月9日、10日)

5月7日の国務大臣の演説に対する質疑は、5月9日に鳩山由紀夫君(民主)、山崎拓君(自民)、枝野幸男君(民主)及び神崎武法君(公明)が行い、10日には中井洽君(自由)、志位和夫君(共産)、土井たか子君(社民)及び二階俊博君(保守)が行った。

質疑の主なものは、次のとおりである。

第1に小泉内閣の政治姿勢及び連立政権運営について 「[1]変革への総理の決意、 [2]構造改革により目指す社会像、 [3]高い内閣支持率についての見解、 [4]森内閣で断行できなかった改革の小泉内閣での実現可能性、 [5]連立政権の枠組みの評価、 [6]内閣改造の方針について、 [7]改革に対する抵抗勢力とはだれのことか」等の質疑に対して、 「[1]毎日の行動に対し自らを律し、一身を投げ出して職責を果たす決意で毎日を精進しながら改革断行に向かって進んでいきたい、 [2]国民一人一人や企業、地域が持っている大きな潜在力を自由に発揮し、さらに潜在力そのものを高めていける、生きがいを持って、安心して暮らして行ける社会を目指す、 [3]これから実績を積んで少しでも多くの国民の支持と期待に応えるよう頑張りたい、 [4]人間には個性がある。森総理は、多方面への気配りと党内バランスにかなり配慮した内閣であったが、私はそうではない、 [5]現在の連立の信頼関係を大事にしていくとともに政策に共鳴し賛成してくれる政党があれば喜んで協力していきたい、 [6]私が内閣総理大臣の間は一緒に仕事をしていただきたい、 [7]私の内閣の方針に反対する勢力はすべて抵抗勢力である」旨の答弁があった。

第2に政治倫理、政治改革について 「[1]KSD事件に関し、(ア)党費肩代わりの調査状況、(イ)再発防止策、 [2]企業・団体献金の禁止、 [3]中村喜四郎議員への議員辞職勧告決議案、 [4]3党合意における衆議院選挙制度見直し、 [5]永年勤続表彰の廃止」等の質疑に対して、 「[1](ア)幹事長の指揮のもと調査を行っており、最終的に取りまとめられた後、信頼回復の具体的措置をとる、(イ)事件を教訓とした党内の仕組みの見直しを実施しており今後も党改革に全力を挙げる、 [2]企業・団体献金については、最高裁判例でも憲法上の政治活動の自由の一環として認められており、悪と決めつけることはできないと考える、 [3]国会議員の出処進退というのはみずからが判断すべきものと考える、 [4]現行選挙制度も見直すべきものは見直すという趣旨であり、特定の制度を導入するしないを決めたものではない、 [5]肖像画、特別手当等は廃止しても良いのではないか。各党で協議をしていただきたい」旨の答弁があった。

第3に経済、金融問題について、 「[1]景気回復への取組み、 [2]緊急経済対策、 [3]今年度補正予算編成の有無、 [4]不良債権の抜本処理、 [5]150兆円にも上る金融機関の問題債権についての見解、 [6]不良債権処理のための公的資金投入の有無、 [7]金融機関の経営責任の具体的な追及方法、 [8]中小零細企業における経営者の個人保証問題への対処、 [9]公的資金投入銀行による債権放棄、 [10]株式取得機構、 [11]証券市場活性化対策」等の質疑に対して、 「[1]構造改革なくして景気回復なしと考えている。このため、経済、財政、社会保障、行政等各般にわたり、聖域を設けず構造改革を強力に推進していく、 [2]まず森内閣のもとで定められた緊急経済対策のうちできることは速やかに実行し、さらに小泉内閣としてやるべき改革を早急に具体策をまとめて順次実行に移していきたい、 [3]今年度当初予算が執行の緒についたばかりであり今から補正予算を考えていない、[4]緊急経済対策を踏まえ、新規のものは3年以内に、既存のものは2年以内に最終処理を行うこととしている、 [5]150兆円中、国際的基準においても不良債権に含まれない単に注意が必要な債権が100兆円強含まれている。不良債権は銀行法等に基づき、従来より適正に開示されてきている、 [6]不良債権については担保引き当てにより適切に保全されていること、各金融機関においては自己資本比率の充実が図られていることなどから公的資金を導入しなければ不良債権を処理できないとは考えていない、 [7]民事・刑事の責任追及を含め、現行の破綻処理制度のもとで適切に行われていくこととなっている、 [8]中小零細企業の経営の安定に不測の支障を生じないよう、金融面での適切な対応等に努めていきたい、 [9]政府としては、資本増強行が債権放棄に応じるにあたって合理性、当該企業の社会的影響について考慮するなどの点を考慮した上で適切に対応しているかを、経営健全化計画のフォローアップの中で注視していく、 [10]市場メカニズムとの調和を念頭に具体策を講ずることとし、しっかりとした検討を進めていく、 [11]長期保有株式に係る少額譲渡益非課税制度を創設するための法案を今国会に提出する予定。与党における協議や政府税制調査会における審議状況等を踏まえ適切に対応していく」旨の答弁があった。

第4に財政構造改革、行政改革について、 「[1]財政構造改革の決意、 [2]財政構造改革のため増税実施の有無、 [3]プライマリーバランスの均衡、 [4]国債発行額減額方針、 [5]野党の国債発行額抑制の対案への対応、 [6]財政投融資制度改革、 [7]行政改革への決意、[8]公務員制度改革への総理の基本的姿勢、 [9]天下り禁止法の実現、[10]特殊法人の整理合理化、 [11]郵政三事業の民営化問題、 [12]市町村合併、 [13]自治体への補助金を一括交付金に改める必要性、[14]公共事業の見直し、 [15]諫早湾の干拓事業の中止、 [16]農業土木予算を人への投資に振り向ける必要性、 [17]消費税を減税する必要性」等の質疑に対して、 「[1]社会保障、公共事業、国と地方の関係といった分野を含めて聖域なく見直しを行い、根本的な再構築を図る、 [2]増税のない方向で徹底した歳出の見直しに向かって突き進んでいきたい、 [3]持続可能な財政バランスの実現のため、本格的財政再建に取り組み、その際安易に増税に頼ることなく歳出の徹底的見直しをおこなう、その具体的道筋については経済財政諮問会議等の場で検討して行く、 [4]来年度は30兆円以下に抑えていくよう努力する。また、平成14年度以降も30兆円以下に抑制する方針を堅持していきたい、 [5]内容によってはよく検討し、協力できることがあれば協力していきたい、 [6]郵便貯金、年金積立金の全額を資金運用部へ預託する制度から、特殊法人等の施策に真に必要な資金を市場から調達する仕組みへと抜本的な転換を図った、 [7]痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず民間にできることは民間にゆだね、地方にできることは地方にゆだねるとの原則に基づき、行政の構造改革を実現していく、 [8]国民に信頼される公務員を目指すとともに簡素効率的な業務執行等を実現する必要がある、 [9]公務員の再就職には厳格なルール設定が必要であり、3月に取りまとめた公務員制度改革の大枠に従い、今後、具体的な制度設計を進めていきたい、 [10]昨年12月に閣議決定された行政改革大綱にのっとり、その業務の廃止、整理縮小・合理化、民間、国、その他の運営主体への移管等の改革を進めているところである、 [11]基本法は公社化にするためのものであり、公社化後のあり方を検討すること自体は基本法に反するものではない。民間にできることは民間に任せていくという方針を貫いていきたい。過去の郵政省の事業にはむしろ民間企業の活動を妨害している面があり、小泉内閣では断じて許さない、 [12]市町村合併特例法の期限までに成果が上がるよう、合併後の自治体数を1,000を目標とする与党方針を踏まえ、自主的な市町村の合併をより一層強力に推進して行く、 [13]個別補助金の見直しは、財源問題も含め、地方分権推進の観点から種々の提案にかんがみ一層推進に努める、 [14]根本にさかのぼった見直しを行い、新しい時代の変化に対応し、より効率的で重点的な公共事業の実施に努めていく、 [15]今後とも環境に十分配慮しつつ対応していく、 [16]循環型社会の実現や食料自給率の向上に向け農林水産業の担い手対策を重点的、効率的に推進していきたい、 [17]考えていない」旨の答弁があった。

第5に憲法問題について 「[1]憲法問題に関する総理の意見、 [2]憲法尊重擁護義務、 [3]首相公選制の基本的な考え方、 [4]首相公選制の方向性、 [5]靖国神社公式参拝」等の質疑に対して、 「[1]憲法の基本理念は堅持すべき一方、憲法は永久不変のものではなく、憲法議論は何ら制約されるべきでないが、国の基本法たる憲法の改正については世論の成熟を見定めるなど慎重な配慮を要すと考えている、 [2]憲法を遵守、尊重するのは当然だと思う。しかし、タブーを設けず憲法改正議論に耳をかたむけることは、政治家として当然のことと思っている、 [3]国民にも総理大臣を選ぶ権利を開放するという、政治の分野における規制緩和の一つである、 [4]議会と両立し、天皇制とも矛盾しない制度を考える方向で、懇談会を立ち上げ多くの学識者の意見を聞きながら具体案を提示していきたい、 [5]あえて公式参拝として行うかどうかについては諸般の事情を総合的に考慮し、慎重かつ自主的に検討した上で判断したい。今日の日本の平和と繁栄は戦没者の尊い犠牲のもとに成り立っていると思い、戦没者に対し心を込めて敬意と感謝の誠をささげるという思いで個人として靖国神社に参拝するつもりである」旨の答弁があった。

第6に社会保障、雇用対策について 「[1]社会保障制度改革、 [2]年金改革の時期と方向性、 [3]年金の財政方式、 [4]基礎年金の国庫負担の2分の1への引き上げ、 [5]医療保険制度の抜本改革、 [6]カルテ開示の法制化、 [7]介護保険の減免制度、 [8]雇用のセーフティネットの整備、 [9]労働時間短縮による雇用拡大、サービス残業の一掃、 [10]少子化対策」等の質疑に対して、 「[1]社会保障改革大綱にもとづき国民に対して道筋を明快に語りかけ、理解と協力を得ながら改革を進める、 [2]次期財政再計算を平成16年度までに行うことを踏まえ世代間の給付と負担の均衡を図り、お互いが支え合う、持続可能な制度を構築していかなければならないと考えている、 [3]社会保険方式を基本としつつ保険料と公費を適切に組み合わせることにより給付に要する費用を賄っていく、 [4]安定した財源確保の具体的方策と一体として鋭意検討していく、 [5]平成14年度には高齢者医療制度の見直しを初めとする医療制度改革を実現したい、 [6]審議会での議論を踏まえ、患者の側の認識や意向の推移、医療従事者の取り組みの状況などを見た上で判断したい、 [7]既にきめ細かな配慮を行っており現行の制度と別に国による減免制度を設ける考えはない、[8]産業構造転換・雇用対策本部を速やかに改組強化し新規雇用の創出、能力開発支援等により雇用対策に万全を期す、 [9]労働時間の短縮については、政府目標である年間総実労働時間1,800時間の達成、定着にむけて努力したい。サービス残業については、あらゆる機会を通じて周知活動、監督指導等に努める、 [10]少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランに基づいて施策の拡充に努めている。子どもを産み育てやすい環境の整備と生まれた子どもが健やかに育つための環境整備に取り組む」旨の答弁があった。

第7に外交、安全保障問題について 「[1]日米関係に関して、 (ア)ブッシュ政権との関係、 (イ)日米同盟の意義、 (ウ)沖縄の米軍基地問題、 [2]日朝関係、 [3]日ロ関係、 [4]二島先行返還論、 [5]日中関係、 [6]李登輝氏の入国ビザ発給について、(ア)政府の対応、(イ)同様の場合の今後の対応、[7]歴史教科書問題に関し、(ア)総理の歴史認識、(イ)教科書問題への対応、(ウ)検定合格取り消し、 [8]有事法制の検討、 [9]自衛隊を憲法上軍隊と解釈するのか、 [10]集団的自衛権の行使、」等の質疑に対して、 「[1](ア)ブッシュ政権との間で率直かつ忌憚のない対話を行うことにより、日米同盟関係を一層強化していく、またできるだけ早い時機に首脳会談を行うことで意見の一致を見ている、 (イ)日米同盟は両国のみならずアジア太平洋の平和と安定の基盤として重要な役割を果たしてきておりその重要性は今後も変わらない、 (ウ)沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告の着実な実施に全力で取り組み、米側とも密接に協議しながら、沖縄県民の負担軽減に最大限努力する、 [2]米韓両国と緊密に連携しつつ、北東アジアの平和と安定に資する形で、北朝鮮との国交正常化交渉に取り組んでおり、その対話の中で、人道的問題及び安全保障上の問題解決にむけ全力を傾けてきている、 [3]イルクーツク首脳会談までの成果を引き継ぎ北方領土問題解決により平和条約を締結するという政府方針を堅持し、平和条約の締結、経済分野の協力、国際舞台における協力という3つの課題を同時に進行させるという観点から幅広い分野で日ロ関係を進展させる、 [4]二島先行返還という提案は森内閣を含め我が国政府は一度も提示したことはない、 [5]日中関係が我が国にとって最も重要な二国間関係の一つであるとの認識のもと、互いに立場を理解し粘り強い努力を重ねることで両国関係の改善に努めたい、 [6](ア)様々な要因を勘案しながら検討を行い、我が国の国益に立って自主的に判断が行われたものと承知している、 (イ)今後とも、その時々の様々な要因を勘案しつつ、関連情報を収集し適切な判断を行っていきたい、 [7](ア)深い反省とおわびの気持ちを表明した平成7年の総理大臣談話のとおり、 (イ)近隣諸国との友好関係を損なうことなく円満に解決できるように、知恵を絞っていきたい、 (ウ)近隣諸国条項を含む検定基準にもとづき、厳正な審査を経て適切に行われたものであり、検定合格を取り消すことは考えていない、 [8]国家国民に危機が迫った場合に、政府として、どのような対応や法制が必要になるかを総合的観点に立って考えるべきものであるから、準備的な検討を十分に行う必要がある。具体的な法案提出の期限等は、今後の検討の状況を踏まえつつ適切に判断していきたい、 [9]自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は、憲法の認めるものである、 [10]主権国家である以上、国際法上集団的自衛権を有していることは当然だが、憲法第9条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている。ただ、憲法問題は幅広い議論が行われることが重要である」旨の答弁があった。

第8に金正日氏の長男と思われる人物の不法入国について 「[1]政府の対応の妥当性、 [2]退去処分を決定した者、 [3]外務省及び法務省職員が北京まで同行した理由、 [4]偽造パスポートによる3度入国の事実如何等、 [5]出入国管理強化対策」等の質疑に対して、「[1]民主主義国家として法令に基づいた処理を行うことが第1と考えるとともに処理が長引くことで内外に予期せぬ混乱が生ずることを避けるためにも今回の措置は適切な対応であった、 [2]法務大臣の指示のもと、法務省が関係当局との協議の上、関係法令等に従い処理方針を定め、その報告を総理大臣としても総合的判断を加えた上了承した、 [3]移送中の混乱を防止し、当該人物を送還先国である中国に確実に引き渡すとともに、引き渡しに際して、混乱が生じた場合等にも、中国側との調整をスムーズに行い得るようにするために同行させた、 [4]3回本邦に上陸した者が本件男性本人によるものであるか、またその目的等も不明である、 [5]5月6日の閣僚懇談会で、職員の増強や機器の整備など入管体制の強化を検討するように関係大臣に指示し、そのうち一部は既に実行に移っている」旨の答弁があった。

第9に外務省報償費(機密費)について 「[1]外交機密費の幅広い検証、 [2]機密費公表法案への対応、 [3]機密費流用への内閣官房の関与を示す文書の真偽、 [4]機密費の大幅削減、 [5]外相発言におけるどす黒い利権の意味」等の質疑に対して、 「[1]外交の円滑な遂行に役立てるという原則に立って、原点に返り幅広く検討し抜本的な見直しを行う、 [2]仮に国会に提出されるなら国会の審議の場において議論いただくべきものであると考える、 [3]内閣官房の報償費は歴代官房長官が厳正な運営にあたってきたものと考えており、指摘の文書について確認を行うことは考えていない、 [4]平成13年度については、減額も含め、厳正に執行する、 [5]特定の問題を念頭に置いたのではなく、外務省の体質及び外務省が抱える問題を国民の目線に立って真の国益のため外務省の組織を抜本的にわかりやすく改革していくという考えを示したものである」旨の答弁があった。

第10に環境問題について 「[1]京都議定書の早期批准、 [2]京都議定書発効のためのアメリカ政府への働きかけ、 [3]大都市圏におけるエコタウン構想、再生可能エネルギー」等の質疑に対して、 「[1]2002年までの京都議定書発効に向け関係国が議定書を締結することが可能となるよう7月のCOP6再開会合の成功に向け全力を尽くす、 [2]京都議定書の発効に向けた交渉に米国が建設的に参加するよう、引き続きあらゆる機会を活用して働きかけていく、 [3]エコタウン構想については、都市再生本部において、精力的に検討をすすめていく。再生可能エネルギーについては、目標を設定して取り組みの強化を図っていく」旨の答弁があった。

第11に教育改革について 「[1]教育改革に取り組む決意、 [2]教育基本法改正」等の質疑に対して、 「[1]今国会において学校が良くなる、教育が変わることを目指した教育改革関連法案の成立に全力を尽くすなど、教育改革を断行する、 [2]教育基本法の見直しは教育改革国民会議の最終報告を踏まえ、中央教育審議会等で幅広く国民的な議論を深め、しっかり取り組み成果を得ていきたい」旨の答弁があった。

その他、選択的夫婦別姓、永住外国人の地方参政権付与、個人情報保護法、司法制度改革、過疎対策、首都機能移転等の質疑があった。

(3) 主な議案等の審議

年月日 議題等
平成13年
1月31日
○国務大臣の演説
  • 森内閣総理大臣の施政方針演説
  • 河野外務大臣の外交演説
  • 宮澤財務大臣の財政演説
  • 麻生経済財政政策担当大臣の経済演説
2月5日 ○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

鳩山由紀夫君(民主)、古賀誠君(自民)、上田清司君(民主)、神崎武法君(公明)

答弁

森内閣総理大臣、河野外務大臣、坂口厚生労働大臣、宮澤財務大臣、橋本行政改革担当大臣

2月6日 ○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

山岡賢次君(自由)、石井郁子君(共産)、土井たか子君(社民)、野田毅君(保守)

答弁

森内閣総理大臣、河野外務大臣、福田内閣官房長官
2月16日 ○趣旨説明

  • 平成13年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)
  • 法人税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

宮澤財務大臣

質疑

五十嵐文彦君(民主)、中塚一宏君(自由)、吉井英勝君(共産)、日森文尋君(社民)

答弁

福田内閣官房長官、伊吹危機管理担当大臣、河野外務大臣、宮澤財務大臣、柳澤金融担当大臣、片山総務大臣
2月21日 ○予算委員長野呂田芳成君解任決議案(佐藤観樹君外5名提出)〈否決〉

趣旨弁明

佐藤観樹君(民主)

討論

自見庄三郎君(自民)、山田正彦君(自由)、佐々木憲昭君(共産)、大島令子君(社民)
2月22日 ○発言・趣旨説明

  • 平成13年度地方財政計画
  • 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
発言・説明

片山総務大臣

質疑

玄葉光一郎君(民主)、藤島正之君(自由)、矢島恒夫君(共産)、菅野哲雄君(社民)

答弁

片山総務大臣、宮澤財務大臣、橋本行政改革担当大臣、坂口厚生労働大臣、福田内閣官房長官
3月2日 ○平成13年度一般会計予算〈可決〉 ○平成13年度特別会計予算〈可決〉 ○平成13年度政府関係機関予算〈可決〉

  • 予算3案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議(赤松広隆君外7名提出)〈否決〉
趣旨弁明(動議)

原口一博君(民主)

討論(以上4件)

井上義久君(公明)、海江田万里君(民主)、一川保夫君(自由)、大幡基夫君(共産)、北川れん子君(社民)

3月5日 ○森内閣不信任決議案(鳩山由紀夫君外10名提出)〈否決〉

趣旨弁明

鳩山由紀夫君(民主)

討論

尾身幸次君(自民)、中野寛成君(民主)、東祥三君(自由)、
穀田恵二君(共産)、東門美津子君(社民)
3月8日 ○趣旨説明

  • 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案(山元勉君外4名提出)
説明

町村文部科学大臣、山元勉君(民主)

質疑

牧義夫君(民主)

答弁

町村文部科学大臣、宮澤財務大臣、山内惠子君(社民)、石井郁子君(共産)
3月9日 ○趣旨説明

  • 高齢者の居住の安定確保に関する法律案(内閣提出)
説明

扇国土交通大臣

質疑

井上和雄君(民主)

答弁

扇国土交通大臣、坂口厚生労働大臣
3月15日 ○趣旨説明

  • 経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
説明

坂口厚生労働大臣

質疑

加藤公一君(民主)、都築譲君(自由)、木島日出夫君(共産)、中川智子君(社民)

答弁

森内閣総理大臣、坂口厚生労働大臣、片山総務大臣
3月16日 ○趣旨説明
  • 環境事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

川口環境大臣

質疑

山田敏雅君(民主)

答弁

坂口厚生労働大臣、平沼経済産業大臣、川口環境大臣

3月22日

○趣旨説明

  • 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(筒井信隆君外2名提出)
説明

谷津農林水産大臣、筒井信隆君(民主)

質疑

古賀一成君(民主)

答弁

谷津農林水産大臣、坂口厚生労働大臣、津川祥吾君(民主)、三村申吾君(民主)
3月27日 ○米国訪問及びロシア訪問に関する報告

報告

森内閣総理大臣

質疑

井上喜一君(保守)、羽田孜君(民主)、西村眞悟君(自由)、山口富男君(共産)、横光克彦君(社民)

答弁

森内閣総理大臣、河野外務大臣
3月30日 ○趣旨説明
  • 石油の安定的な供給の確保のための石油備蓄法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
説明

平沼経済産業大臣

質疑

中山義活君(民主)

答弁

河野外務大臣、平沼経済産業大臣
4月3日 ○趣旨説明

  • 確定給付企業年金法案(内閣提出)
説明

坂口厚生労働大臣

質疑

大島敦君(民主)、佐藤公治君(自由)

答弁

坂口厚生労働大臣
4月5日 ○趣旨説明
  • 水産基本法案(内閣提出)
説明

谷津農林水産大臣

質疑

永田寿康君(民主)、中林よし子君(共産)

答弁

谷津農林水産大臣
4月6日 ○趣旨説明
  • 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 危険な運転により人を死傷させる行為の処罰に関する法律案(細川律夫君外2名提出)
説明

伊吹国家公安委員会委員長、細川律夫君(民主)

質疑

今野東君(民主)

答弁

伊吹国家公安委員会委員長、高村法務大臣、福田内閣官房長官、山花郁夫君(民主)
4月10日 ○趣旨説明
  • 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

扇国土交通大臣

質疑

伴野豊君(民主)、瀬古由起子君(共産)

答弁

扇国土交通大臣、橋本行政改革担当大臣
4月12日 ○趣旨説明
  • 税理士法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
説明

宮澤財務大臣

質疑

中川正春君(民主)

答弁

宮澤財務大臣
4月19日 ○京都議定書発効のための国際合意の実現に関する決議案(藤井孝男君外14名提出)〈可決〉

趣旨弁明

藤井孝男君(自民)
4月26日 ○内閣総理大臣の指名

  • 小泉純一郎君を内閣総理大臣に指名
5月7日 ○国務大臣の演説

  • 小泉内閣総理大臣の所信表明演説
5月9日 ○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

鳩山由紀夫君(民主)、山崎拓君(自民)、枝野幸男君(民主)、神崎武法君(公明)

答弁

小泉内閣総理大臣、田中外務大臣、森山法務大臣、坂口厚生労働大臣
5月10日 ○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

中井洽君(自由)、志位和夫君(共産)、土井たか子君(社民)、二階俊博君(保守)

答弁

小泉内閣総理大臣、田中外務大臣
5月24日 ○趣旨説明
  • 行政機関が行う政策の評価に関する法律案(内閣提出)
説明

片山総務大臣

質疑

今野東君(民主)

答弁

片山総務大臣、杉浦外務副大臣
5月25日 ○趣旨説明

  • 短期社債等の振替に関する法律案(内閣提出)
  • 株券等の保管及び振替に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

柳澤金融担当大臣、片山総務大臣、塩川財務大臣

質疑

麻生太郎君(自民)、原口一博君(民主)、松本剛明君(民主)、中塚一宏君(自由)、塩川鉄也君(共産)、保坂展人君(社民)

答弁

小泉内閣総理大臣、塩川財務大臣、柳澤金融担当大臣、石原行政改革担当大臣、坂口厚生労働大臣
5月29日 ○趣旨説明

  • 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

遠山文部科学大臣

質疑

大石尚子君(民主)、西博義君(公明)、樋高剛君(自由)、児玉健次君(共産)、山内惠子君(社民)

答弁

小泉内閣総理大臣、遠山文部科学大臣
5月31日 ○趣旨説明

  • 林業基本法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

武部農林水産大臣

質疑

後藤茂之君(民主)、原陽子君(社民)

答弁

武部農林水産大臣、田中外務大臣、扇国土交通大臣、塩川財務大臣
6月5日 ○趣旨説明

  • 民事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

森山法務大臣

質疑

平岡秀夫君(民主)

答弁

森山法務大臣
6月7日 ○ハンセン病問題に関する決議案(藤井孝男君外14名提出)〈可決〉

趣旨弁明

藤井孝男君(自民)

○趣旨説明

  • 土地収用法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

扇国土交通大臣

質疑

大谷信盛君(民主)、日森文尋君(社民)

答弁

扇国土交通大臣、森山法務大臣、川口環境大臣

6月8日

○趣旨説明

  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(山花郁夫君外5名提出)
説明

坂口厚生労働大臣、山花郁夫君(民主)

質疑

鎌田さゆり君(民主)

答弁

福田男女共同参画担当大臣、坂口厚生労働大臣、水島広子君(民主)、山井和則君(民主)
6月12日 ○ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律案(厚生労働委員長提出)〈可決〉

趣旨弁明

鈴木俊一君(自民)

○趣旨説明

  • 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

片山総務大臣

質疑

武正公一君(民主)、黄川田徹君(自由)

答弁

竹中経済財政政策担当大臣、塩川財務大臣、片山総務大臣、福田内閣官房長官

6月14日

○地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

○学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)〈修正〉

○社会教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)〈修正〉

討論(以上3件)

都築譲君(自由)、鈴木恒夫君(自民)、石井郁子君(共産)、金子哲夫君(社民)
6月15日 ○趣旨説明

  • 銀行法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

柳澤金融担当大臣

質疑

五十嵐文彦君(民主)、鈴木淑夫君(自由)、佐々木憲昭君(共産)、植田至紀君(社民)

答弁

小泉内閣総理大臣、柳澤金融担当大臣、森山法務大臣
6月29日 ○請願497件〈採択〉

(4) 決議([ ]は提出会派)

○ 可決したもの

京都議定書発効のための国際合意の実現に関する決議案(藤井孝男君外14名提出、決議第3号)[自民・民主・公明・自由・共産・社民・保守・21クラブ](13.4.19)

地球温暖化が21世紀における最も深刻な問題となる中で、国際社会は、これまで10年にわたって、気候変動枠組み条約の発効とそれに続く京都議定書の採択によって、地球温暖化防止のための国際的合意を積み重ねてきた。このたびブッシュ米政権が京都議定書からの離脱を表明したことは大変遺憾であり、地球環境保護についての国際的な取り組みを後退させるものである。京都議定書の交渉に世界最大の温室効果ガス排出国であるアメリカが継続して参加することを強く求めるものである。

日本は地球温暖化防止京都会議(COP3)の議長国として京都議定書を取りまとめた特別の地位にある。政府はもとより、立法府である国会、その他あらゆる各層が一丸となって地球温暖化防止の国内制度を構築するとともに、我が国は早期に批准し、京都議定書の2002年発効をめざして、国際的なリーダーシップを発揮すべきである。

アメリカをはじめ世界各国に対して、京都議定書が発効できるよう、7月のCOP6再開会合において国際合意に到達することを強く訴えるものである。

右決議する。

ハンセン病問題に関する決議案(藤井孝男君外14名提出、決議第5号)[自民・民主・公明・自由・共産・社民・保守・21クラブ](13.6.7)

去る5月11日の熊本地方裁判所におけるハンセン病国家賠償請求訴訟判決について、政府は控訴しないことを決定した。本院は永年にわたり採られてきたハンセン病患者に対する隔離政策により、多くの患者、元患者が人権上の制限、差別等により受けた苦痛と苦難に対し、深く反省し謝罪の意を表明するとともに、多くの苦しみと無念の中で亡くなられた方々に哀悼の誠を捧げるものである。

さらに、立法府の責任については、昭和60年の最高裁判所の判決を理解しつつ、ハンセン病問題の早期かつ全面的な解決を図るため、我々は、今回の判決を厳粛に受け止め、隔離政策の継続を許してきた責任を認め、このような不幸を二度と繰り返さないよう、すみやかに患者、元患者に対する名誉回復と救済等の立法措置を講ずることをここに決意する。

政府においても、患者、元患者の方々の今後の生活の安定、ならびにこれまで被った苦痛と苦難に対し、早期かつ全面的な解決を図るよう万全を期するべきである。

右決議する。

○ 否決したもの

予算委員長野呂田芳成君解任決議案(佐藤観樹君外5名提出、決議第1号)[民主・自由・共産・社民](13.2.21)

本院は、予算委員長野呂田芳成君を解任する。

右決議する。

森内閣不信任決議案(鳩山由紀夫君外10名提出、決議第2号)[民主・自由・共産・社民](13.3.5)

本院は、森内閣を信任せず。

右決議する。


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