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6 予算審議の概況

平成13年度総予算

1 予算の概要

近年の我が国は、バブル経済の崩壊及びその後の景気の長期的低迷により、それまでの右肩上がりの経済は変容を余儀なくされ、また、少子高齢化の進展、経済のグローバル化、ソフト化、情報化といった構造変化も急速に進んでいる。

このような状況の下、平成13年度予算は、新たな発展基盤の構築に資する施策に一層の重点化を図りつつ、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、我が国経済を自律的回復軌道に乗せるとの観点に立ち編成され、平成13年1月31日、国会に提出、同日、衆議院予算委員会に付託された。

一般会計予算の規模は、82兆6,524億円で、前年度当初予算に対し、2.7%の減少となっている。

歳出については、国債費及び地方交付税交付金の経費を除いた、いわゆる一般歳出の規模は48兆6,589億円であり、前年度当初予算に対して1.2%の増加となっている。

歳出の主な内容は、次のとおりである。

[1] 公共事業関係費については、本格的な高齢社会の到来を目前に控え、社会資本整備を効率的かつ着実に推進するとの基本的考え方を踏まえた上で、景気を確実な自律的回復軌道に乗せるため、前年度当初予算と同程度の9兆4,352億円を計上している。このほか、産業投資特別会計社会資本整備勘定において「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として932億円を計上している。これらの配分に当たっては、情報通信技術革命の推進、環境問題への対応、高齢化対策、都市基盤整備をはじめとする我が国経済社会の新生に資する分野に対し重点化を図っている。

なお、公共事業等の経費に係る予見し難い予算の不足に充てるため、別途、公共事業等予備費3,000億円を計上している。

[2] 社会保障関係費については、今後の急速な少子・高齢化の進展に伴い、社会保障に要する費用が急速に増加していくことが見込まれる中、必要な給付を確保しつつ、制度の効率化・合理化を進め、将来にわたり持続可能で安定的・効率的な社会保障制度を構築していくことが必要である。このような観点から、メディカル・フロンティア戦略の推進、ゴールドプラン21の推進等による介護保険制度の着実な実施等、活力ある高齢社会の実現に向けた総合的な取組みの推進を図ることとし、前年度当初比4.7%増の17兆5,552億円を計上している。

なお、消費税について、地方交付税交付金を除いた消費税収の使途を基礎年金、老人医療及び介護に限定する旨を予算総則に明記している。

[3] 文教及び科学振興費については、国と地方の機能分担及び費用負担の在り方、受益者負担の適正化等の観点から、各種経費の見直しを行うとともに、高等教育、学術研究、科学技術、文化等の各分野に対し、資金の重点的配分を図ることとし、前年度当初比1.8%増の6兆6,472億円を計上している。

[4] 経済協力費については、効率化、重点化を促進しつつ、国際社会の安定と発展に貢献するための諸施策を推進することとし、前年度当初比2.8%減の9,562億円を計上している。

なお、政府開発援助予算は前年度当初比3.0%減の1兆152億円となっている。

[5] 防衛関係費については、平成12年12月15日に決定した「中期防衛力整備計画(平成13年度〜平成17年度)」等の下、効率的で節度ある防衛力の整備を図ることとし、前年度当初比0.4%増の4兆9,553億円を計上している。

なお、この経費の中に、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費として165億円が計上されている。

[6] 中小企業対策費については、情報通信技術(IT)への円滑な対応をはじめ、中小企業が人材、技術等の経営資源を円滑に確保できる経営支援体制の充実や創業・経営革新等の促進に重点を置くこととし、前年度当初比0.2%増の1,948億円を計上している。

[7] 国債費については、一般会計の負担に属する国債及び借入金の償還、国債及び借入金の利子等の支払に必要な経費と、これらの事務取扱いに必要な経費であって、国債整理基金特別会計へ繰り入れるものとして、前年度当初比21.8%減の17兆1,705億円を計上している。

[8] 地方財政については、国と地方という公経済の車の両輪がバランスのとれた財政運営を行う必要があるという基本的考え方及び国と地方を通ずる財政の透明化を図るとの観点を踏まえ、平成13年度から15年度までの3年間の制度改正として、国負担分については一般会計からの特例加算、地方負担分については特例地方債を発行することとしている。また、当該特例加算や法定加算、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金等により、所要の地方交付税総額を確保することとしており、一般会計の地方交付税交付金等は、前年度当初比12.7%増の16兆8,230億円を計上している。

なお、交付税及び譲与税配付金特別会計から地方団体に交付する地方交付税及び地方特例交付金の総額は、前年度当初比4.8%減の21兆2,516億円となっている。

歳入については、租税及印紙収入について、現行法による収入見込額は50兆9,030億円である。この金額から平成13年度に予定されている住宅税制、中小企業投資促進税制等、社会経済情勢の変化への対応、その他の租税特別措置等の内国税関係の改正及び関税率の改定等による減収を差し引くと、前年度当初比4.2%増の50兆7,270億円の収入見込額となる。税外収入については、前年度当初比3.0%減の3兆6,074億円が見込まれており、その主なものは、外国為替資金特別会計受入金、日本銀行納付金、日本中央競馬会納付金、国有財産売払収入等である。

公債発行額については、前年度当初比13.2%減の28兆3,180億円を予定しており、公債依存度は34.3%(平成12年度当初予算38.4%、同補正後38.5%)となった。

特別会計及び政府関係機関の予算についても、資金の重点的、効率的な配分に努め、事業の適切な運営を図ることとしている。特別会計は、アルコール専売事業特別会計が廃止されるなど、その数は37となった。また、政府関係機関の数は9で前年度と同様である。

財政投融資計画については、財政投融資改革の趣旨にのっとり、資金の重点的、効率的な配分を図ることとしている。その規模は、前年度当初計画に対して15.0%減の32兆5,472億円となっている。

2 審議経過

第151回国会は、平成13年1月31日に召集され、同日、森内閣総理大臣の施政方針演説、宮澤財務大臣の財政演説等政府4演説が行われた。また、これに対する各党の代表質問は、同年2月5日から3日間、衆参本会議で行われた。

国会召集に先立つ平成13年1月16日、小山孝雄参議院議員が、「財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団」(以下「KSD」という。)の古関忠男前理事長の依頼を受け、平成7年から数回にわたり参議院労働委員会等においてKSD関連団体の事業を推進するよう求める質問を行い、その見返りとして金銭を受け取ったとされる受託収賄容疑で逮捕された。同議員は、同年1月29日、井上参議院議長に議員辞職願を提出し、受理された。

また、額賀経済財政政策担当大臣もKSD側から資金提供を受けていたなどの疑惑にからみ、同年1月23日経済財政政策担当大臣を辞任した。

さらに、村上正邦参議院議員もKSD関連団体の推進する事業を後押しする国会質問を行っていたことが報道された。

このほか、松尾克俊外務省要人外国訪問支援室長が内閣官房報償費や外務省報償費を横領していた疑惑が発覚した。外務省は、1月25日、同室長を懲戒免職処分にするとともに、業務上横領の嫌疑で警視庁に告発した。これにより報償費の在り方が問題視されることとなった。

このような状況の中、野党側は、代表質問においてKSD疑惑や報償費問題に関して政府を追及した。また、2月5日に開かれた予算委員会理事候補者懇談会では、真相究明のため、村上正邦参議院議員、額賀前経済財政政策担当大臣、松尾克俊前外務省要人外国訪問支援室長等5人の証人喚問を要求するとともに、KSD疑惑、報償費問題に関する集中審議を行うよう求めた。これらの要求に対して、与党側が難色を示したため、改めて協議することとなったが、同日、村上参議院議員から証人喚問を受諾する意向が表明されたことから、翌6日の理事候補者懇談会においては、証人喚問の時期等を含めた予算の審議日程について協議した。この中で与党側は、証人喚問について、予算審議の中で検討することを提案したが、野党側は、要求している証人喚問の実現が予算審議に応じる前提であると主張したことから協議は物別れに終わった。このため野呂田予算委員長は、職権で同月7日に平成13年度予算3案の提案理由の説明を聴取し、同月8日及び9日に基本的質疑を行うことを決定した。この決定に対して野党側は反発し同月7日の予算委員会を欠席したため、与党側のみで宮澤財務大臣から平成13年度予算3案の提案理由の説明を聴取した。

同日の理事懇談会において、与党側は、内閣総理大臣の委員会への出席について、基本的質疑以外に2日間増やすことなどを提案し、野党側もこれを了承したことから、委員会は正常化することとなった。

基本的質疑は2月8日及び9日に開かれた。

2月13日及び15日には、「ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団・報償費問題等」について集中審議を行った。この審議の中で野党側は、KSD疑惑や報償費問題とともに、同月10日(日本時間)にハワイ・オアフ島沖で発生した愛媛県立宇和島水産高校実習船と米海軍原子力潜水艦「グリーンビル」との衝突事故に関し、森内閣総理大臣が事故報告を受けた後もゴルフを継続していたことなどについて、危機管理に重大な問題があるなどとして追及した。

2月16日の理事会において、与党側は、公聴会を同月27日及び28日に行うことを提案し同月19日の委員会で議決したいとの考えを示したが、野党側はこれを拒否した。同月19日の理事会においても野党側は、KSD疑惑等の真相究明のための証人喚問が必要であると反発したが、野呂田予算委員長は、職権で同月27日及び28日に公聴会を行うことを決定し、同日の委員会において議決された。

同日、KSD疑惑に関連して野党側から証人喚問の要求が出されていた額賀前経済財政政策担当大臣は、政治倫理審査会に審査を申し出、2月26日に審査が行われることとなった。

この前日の2月18日、野呂田予算委員長が、秋田県内の講演会において、太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼んだうえで、戦争を正当化したとも受け取れる発言を行ったと報道された。これに反発した野党側は、同月20日の理事会において、野呂田予算委員長解任決議案を提出する方針を示すとともに、同決議案が本会議で採決されるまで委員会への出席には応じられないとして、同月20日及び21日の委員会を欠席した。

2月21日、野党側は、 [1]KSD問題で野党側が要求した証人喚問を放置した、 [2]先の講演で日本の戦争行為を正当化するかのような発言を行った、 [3]公聴会の日程を強行採決したなどを理由として、野呂田予算委員長解任決議案を提出した。同日の本会議において、これが否決されたため、野党側は翌日の22日から委員会に出席し、審議は正常化することとなった。

一方、KSD疑惑で野党側が要求している村上正邦参議院議員の証人喚問については、2月22日の参議院予算委員会理事会において、同月28日に行うことを決定したが、同日、同議員から議員辞職願が提出され、同月26日の参議院本会議において許可され、参議院議員を辞職した。この後、証人喚問は予定どおり同月28日に行われ、3月1日、村上正邦前参議院議員は、受託収賄罪で東京地検に逮捕された。

公聴会は、2月27日及び28日に開かれ、分科会は、3月1日及び2日に開かれた。

3月2日、分科会の主査報告を聴取した後、締めくくり質疑を行い、平成13年度予算の質疑は終局した。

質疑の主なものは次のとおりである。

第一に、景気の現状と今後の経済見通しについて、「国及び地方の長期債務残高は、666兆円となり、対GDP比でも128.5%となっており、財政は末期的状況にある。これまでの我が国の経済政策は失敗ではなかったのか。国民は、所得不安、雇用不安、将来不安を抱えており、財政出動だけでは個人消費は回復しない。米国の景気後退、日本の景気不安に対し、平成13年度予算に消費回復の効果はあるのか」との趣旨の質疑があった。これに対して、森内閣総理大臣及び宮澤財務大臣から、「経済を再生し、民需の回復軌道に乗せていくためには、即効性のある財政出動が必要である。同時に、IT、環境、高齢化対応等の新産業分野にシフトしていくための政策を進めている」、「小渕内閣発足以来、政府による公共事業、減税、金融対策、雇用対策等を行ってきた。その結果、日本経済が比類のない大不況から浮き上がろうとしている。平成13年度予算においても、消費を刺激するために、公共事業等予備費3,000億円を計上している。設備投資も昨年中からかなり回復してきており、多少の落ち込みはあるが、依然として頼みになる。消費が戻れば2ないし3%の成長も可能である」旨の答弁があった。

第二に、財政再建について、「どのような財政改革のフレームをつくろうとしているのか」との趣旨の質疑に対して、宮澤財務大臣及び麻生経済財政政策担当大臣から、「経済財政諮問会議において、中長期展望に関してマクロ経済モデルを新たにつくり上げ、今後どのような状況になるかシミュレーションを行った後で、国民各位に選択してもらう形で答えを出すべきだと思っている」旨の答弁があった。

第三に、報償費問題について、「外務省としては、業務上横領容疑で刑事告発している。内閣官房は被害届を出しており、司法手続に入っているところから、詳細な答弁は差し控えたい」、「報償費は、内政、外交を円滑かつ効果的に遂行するために、その都度判断し、適切かつ機動的に使用する経費である。このため、これを削減することはできない」との発言があった。これに対し、「内閣官房報償費、外務省報償費がこれだけ問題になっているにもかかわらず、使途等に関する説明が全くなされていない。管理体制や使途公開の範囲など、報償費の在り方について、見直しを検討すべきである」等の指摘が繰り返し行われた。

なお、委員会での意見の多くは、おおむね、報償費の透明性及び厳正な管理への配慮が必要であるということであった。

第四に、KSD問題について、ものつくり大学の設立経緯の問題、KSD関連団体による党員集めと党費肩がわり問題、KSD会員費の政治献金への充当の問題、小渕内閣の施政方針演説にものつくり大学が盛り込まれた経緯等について質疑が行われた。

第五に、宇和島水産高校実習船えひめ丸と米海軍原子力潜水艦グリーンビルの衝突事故について、事故後の対応に関し、森内閣総理大臣から、「第一報のときは、救助、捜索を行っているということで、状況が詳細に入るまでは、連絡をしっかりとることが大事だと判断し、その場を動かなかった。しかし、それは、判断の誤りだったと思い、深く反省している」旨の答弁があった。次に、政府の危機管理体制の在り方について、伊吹防災担当大臣から、「今回の場合、国民の命が危険にさらされており、危機管理か事故かの判断の前に、外務省と防衛庁のルートを通じて、生命救助を最優先に考え対応するよう指示した」旨の答弁があった。

以上のほか、不良債権処理問題、日米地位協定見直し、セーフガードの発動問題、有明海のノリ被害問題、IT革命の推進、公共事業の在り方、森内閣の支持率など、国政の各般にわたって熱心な質疑が行われた。

3月2日、締めくくり質疑終了後、民主党、自由党、共産党及び社民党の野党4党から提出された「平成13年度予算3案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議」について趣旨の説明を聴取し、討論、採決の結果、動議は否決され、平成13年度予算3案はいずれも原案のとおり可決された。

同日の本会議において、民主党、自由党、共産党及び社民党の野党4党から提出された「平成13年度予算3案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議」について、趣旨弁明があり、討論の後、動議は否決され、記名投票による採決の結果、賛成285、反対190で平成13年度予算3案は可決された。

3月5日、予算が衆議院を通過したのを機に、野党側から森内閣不信任決議案が提出され、同日の本会議において、与党などの反対多数で否決された。

参議院の予算委員会は、2月23日に宮澤財務大臣から趣旨説明を聴取した後、同月28日には村上正邦前参議院議員に対する証人喚問を行った。その後、3月6日及び7日に基本的質疑、同月8日から質疑を行い、同月15日に公聴会、同月16日には、財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団及び報償費問題等に関する集中審議、同月22日及び23日午前に委嘱審査を行った。また、同月23日午後の締めくくり質疑において、民主党、社民党及び自由党から、平成13年度一般会計予算及び平成13年度特別会計予算に対する修正案(以下「修正案」という。)が提出され、趣旨説明を聴取した。

3月26日の締めくくり質疑において、討論、採決の結果、修正案は否決され、平成13年度予算3案は、賛成多数で可決された。同日の本会議において、討論の後、記名投票による採決の結果、修正案は、賛成104、反対135で否決され、平成13年度予算3案は、賛成135、反対106で可決された。


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