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○ 農林水産委員会

[1] 農林漁業金融公庫法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第32号)

成立(平成13年法律第28号)

本案は、意欲ある担い手に対して経営の実情に応じた資金の融通を行うため、農林漁業金融公庫資金制度の見直しを行うとともに、財投改革を踏まえ、農林漁業金融公庫の資金調達手段の多様化、自律性の向上を図るための措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 農林漁業金融公庫資金制度の見直し

(1) 農業経営の規模拡大に際して、土地改良、農地取得などの前向き投資に加え、既往負債の償還負担の軽減を図ることのできる資金を創設すること。

(2) 自作農だけではなく、借地型経営や施設型経営を含めて、既往負債の償還負担の軽減を含めて農業経営の維持安定のための資金を融通することのできる資金を創設すること。

2 農林漁業金融公庫の資金調達手段の多様化

農林漁業金融公庫が市場から資金を自己調達することを可能とするため、農林漁業金融公庫債券を発行することができることとするとともに、政府がこの債券に係る債務を保証することができることとすること。

3 農林漁業金融公庫の自律性の向上を図るための措置

農林漁業金融公庫が経済環境の変化に主体的かつ機動的に対応することにより市場の信認を得ていくことが可能となるよう、従たる事務所の設置に係る主務大臣認可の廃止など、農林漁業金融公庫に係る諸規制の見直しを行うこと。

4 自作農維持資金融通法の廃止

自作農維持資金融通法を廃止すること。

5 施行期日

この法律は、公布の日から起算して2月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。

附帯決議(13.3.15)

政府は、本法の施行に当たり、意欲ある担い手を確保することにより、「食料・農業・農村基本法」の目指す効率的かつ安定的な農業経営体を広範に育成し、地域の特性に応じた望ましい農業構造が確立されるよう、左記事項の実現に努め、もって我が国農業の持続的発展に万全を期すべきである。

1 農業経営資源活用総合支援対策において、農家負債の負担軽減等が円滑になされるよう、農家の立場に立った経営診断・相談の的確な実施など、経営体育成強化資金、農業経営維持安定資金等の農業経営資源活用総合融資の資金を適切に融通するための万全の体制を整えること。

また、これら資金の貸付けに当たっては、個々の農業経営の実情に応じ、迅速かつきめ細かな融資がなされるよう、融資手続きの簡素化・合理化を図るとともに、物的担保や保証人の徴求について弾力的な運用に努めること。

2 農業経営資源活用総合融資の資金の融通を受けた者等に対し、実情に応じた着実な経営改善が図られるよう、農業改良普及センター等の指導に万全を期すること。

3 農業経営資源活用総合融資の資金の融資枠については、今後の資金需要を踏まえつつ、適切に確保すること。

4 意欲ある担い手を育成・確保するため、農地保有合理化事業を一層推進するとともに、経営を単位とした農業経営所得安定対策の確立に向けての検討を促進すること。

5 農家負債の現状にかんがみ、農家に対して民事再生法の適用がある場合には、農林漁業金融公庫も農家の実情に応じて適切な対応をとること。

6 財投機関債の公募発行による資金の自己調達を行うに当たっては、農林漁業金融公庫の業務運営の一層の効率化を期するとともに、農林漁業者に対して一般の金融機関が融通することを困難とする長期かつ低利の資金を融通する同公庫の使命が損なわれることのないよう、十分に留意すること。

右決議する。

[2]農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内閣提出第33号)

成立(平成13年法律第39号)

本案は、最近の農業を取り巻く情勢の変化、年金財政の現状に対応して、農業者年金制度を農業者の確保に資するものに改めるとともに、現行制度の受給者等に係る年金給付について適正化措置を講じた上で、その費用を国庫で負担する等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 目的規定の改正

農業者年金基金の目的を、農業者の老齢について必要な年金等の給付の事業を行うことにより、その老後の生活の安定及び福祉の向上を図るとともに、農業者の確保に資することに改めること。

2 加入要件の変更

農業者を幅広く確保する観点から、農業経営者のみならず、農業に従事する者にも加入資格を認めることとするとともに、農業者の申出に基づく任意加入制とすること。

3 財政方式の変更

加入者数等に左右されにくい安定した年金とするため、賦課方式から積立方式に改めること。

4 農業者老齢年金の支給要件の変更

農業者老齢年金については、保険料納付済期間を有する者が、原則として65歳に達したときに支給すること。

5 特例付加年金の創設

効率的かつ安定的な農業経営を担うべき者として、長期間農業に従事する加入者について、通常の保険料の下限額を下回る額の特例保険料の納付を認めること。一方、国庫は、毎年度、農業者年金基金に対し、通常の保険料の下限額と特例保険料の差額を補助し、農業者年金基金は、この国庫から補助された額を積み立て、特例保険料を納付した者に特例付加年金として支給すること。

6 制度の変更に伴う経過措置

受給者について平均9.8%の年金額の引下げを行うとともに、加入者について掛け損防止が図られるよう措置すること。その上で、現行制度に関する給付の財源を国庫で負担すること。

また、現行制度が継続したとすれば年金の受給資格を得たであろう現行制度の加入者に対し、その者の選択により、年金給付に代えて、納付済保険料総額の8割に相当する額を特例脱退一時金として支給すること。

7 施行期日

この法律は、平成14年1月1日から施行すること。ただし、平成13年度における追加国庫補助等に関する規定については、公布の日から施行すること。

[3] 土地改良法の一部を改正する法律案(内閣提出第45号)(参議院送付)

成立(平成13年法律第82号)

本案は、最近における農業をめぐる社会経済情勢の推移にかんがみ、土地改良事業の円滑かつ効果的な推進を図るため、環境との調和に配慮しつつその事業を施行することとする等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 環境との調和への配慮

土地改良事業の施行に当たっての原則に「環境との調和への配慮」を位置付けること。

2 地域の意向を踏まえた土地改良事業の実施のための手続の整備

土地改良事業計画の概要を策定する段階における市町村の位置付けを高めるとともに、国営又は都道府県営の土地改良事業について、あらかじめ計画の概要を公告・縦覧し、これに意見がある者は意見書を提出できる仕組みを設けること。

3 土地改良施設の適切な維持保全のための手続の整備

土地改良区が国又は都道府県に対して更新の事業を行うべきことを申請できる土地改良施設に、市町村が管理するものを追加するとともに、土地改良区の特別議決により行うことができる土地改良施設の更新の事業の範囲を拡充し、土地改良施設の適時・適切な更新を容易にすること。

4 国営又は都道府県営の土地改良事業の廃止のための手続の整備

国営又は都道府県営の土地改良事業について、廃止に係る手続を規定すること。

5 土地改良区の組合員以外の受益者からの経費の徴収に関する手続の整備

土地改良区は、組合員以外の受益者からの経費の徴収の認可を申請しようとするときは、あらかじめ、その徴収の方法について、当該受益者等の意見を聴かなければならないものとすること。

6 施行期日

この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。

[4] 水産基本法案(内閣提出第75号)

成立(平成13年法律第89号)

本案は、近年の我が国における水産資源の適切な保存及び管理の必要性の増大、漁業生産の減少その他の水産をめぐる諸情勢の現況にかんがみ、水産に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、沿岸漁業等振興法に代わる新たな基本法を制定しようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 目的

この法律は、水産に関する施策について、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、水産に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とすること。

2 基本理念

水産に関する施策についての基本理念として、水産物の安定供給の確保と水産業の健全な発展を定めるものとすること。

3 責務等

国及び地方公共団体の責務等を定めるものとすること。

4 基本計画

政府は、水産に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、施策についての基本的方針、水産物の自給率の目標等の事項を内容とする水産基本計画を定め、これを公表しなければならないものとすること。

5 水産物の安定供給の確保に関する施策

国は、水産物の安定供給の確保に関し、水産資源の適切な保存及び管理、水産動植物の増殖及び養殖の推進、水産動植物の生育環境の保全及び改善等の施策を講ずるものとすること。

6 水産業の健全な発展に関する施策

国は、水産業の健全な発展に関し、効率的かつ安定的な漁業経営の育成、水産加工業及び水産流通業の健全な発展、漁村の総合的な振興、多面的機能に関する施策の充実等の施策を講ずるものとすること。

7 年次報告

政府は、毎年、水産に関する年次報告を国会に提出しなければならないものとすること。

8 水産政策審議会

農林水産省に、水産政策審議会を置くこととすること。

9 施行期日等

この法律は、公布の日から施行するものとすること。また、沿岸漁業等振興法は、廃止すること。

(修正要旨)

1 水産動植物の生育環境の保全及び改善を図るための措置として、「森林の保全及び整備」を明示するものとすること。

2 多面的機能に関する施策の充実に関する規定を、「国は、水産業及び漁村が国民生活及び国民経済の安定に果たす役割に関する国民の理解と関心を深めるとともに、水産業及び漁村の有する水産物の供給の機能以外の多面にわたる機能が将来にわたって適切かつ十分に発揮されるようにするため、必要な施策を講ずるものとする」に改めるものとすること。

[5] 漁業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第76号)

成立(平成13年法律第90号)

本案は、最近における漁業を取り巻く情勢の変化に対応して漁場利用の合理化を図り、漁業生産力の向上に資するため、所要の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 特定区画漁業権の内容たる区画漁業の見直し

特定区画漁業権の内容たる区画漁業として、新たに垂下式養殖業を規定することとすること。

2 定置漁業等の免許の優先順位における法人形態の追加

定置漁業の免許について、優先順位が第1順位又は第2順位とされる法人として、定款に株式の譲渡につき取締役会の承認を要する旨の定めがある株式会社を追加すること。

3 漁業権の分割等における組合員の同意

漁業協同組合等は、特定区画漁業権又は第一種共同漁業権について分割等をしようとするときは、総会の議決前に、その組合員のうち、当該漁業権の内容たる漁業を営む者であって、当該漁業権に係る地元地区又は関係地区の区域内に住所を有するものの3分の2以上の同意を得なければならないものとすること。

4 指定漁業の許可等の特例の見直し

指定漁業の許可を受けた者から、その許可の有効期間中に許可を受けた船舶を使用する権利を取得して当該指定漁業を営もうとする者が、当該船舶について指定漁業の許可等を申請した場合は、当該申請の内容が従前の許可等と同一であるときは、指定漁業の許可等をしなければならないこととすること。

5 広域漁業調整委員会の設置

瀬戸内海、玄海及び有明海の各連合海区漁業調整委員会を廃止し、新たに、太平洋広域漁業調整委員会、日本海・九州西広域漁業調整委員会及び瀬戸内海広域漁業調整委員会を置くものとすること。

6 漁業協同組合の総会の部会制度

漁業協同組合は、組合管理漁業権である特定区画漁業権又は共同漁業権を有しているときは、総会の議決を経て、その地元地区又は関係地区ごとに総会の部会を設け、当該漁業権に関し、漁業権行使規則の制定、変更及び廃止等についての総会の権限をその部会に行わせることができるものとすること。

7 経過規定の廃止

定置漁業の免許の優先順位に関する規定の適用について、法人以外の社団を法人とみなす規定を削除すること。

8 施行期日

この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、広域漁業調整委員会の設置等に関する改正規定は、平成13年10月1日から施行すること。

[6] 海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第77号)

成立(平成13年法律第91号)

本案は、排他的経済水域等における海洋生物資源の適切な保存及び管理を図るため、新たに漁獲努力量の総量管理制度を創設する等の所要の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 漁獲努力量管理制度の創設

(1) 基本計画

農林水産大臣が定める基本計画において、新たに、漁獲努力量(海洋生物資源を採捕するために行われる漁ろう作業の量)管理の対象となる海洋生物資源ごとに、その動向、対象となる採捕の種類、海域及び期間、漁獲努力可能量、実施すべき施策等を定めることとすること。

(2) 都道府県計画

都道府県知事が定める都道府県計画において、新たに、都道府県別の漁獲努力可能量、実施すべき施策等を定めることとすること。また、都道府県知事は、独自に条例で定められた海洋生物資源について、都道府県計画において都道府県漁獲努力限度量等を定めることにより、その保存及び管理を行うことができることとすること。

(3) 漁獲努力可能量等を管理するための措置

農林水産大臣又は都道府県知事は、漁獲努力量を漁獲努力可能量等の範囲内に管理するため、漁獲可能量等の管理と同様に、漁獲努力量等の公表、助言、指導若しくは勧告、採捕の停止等又は停泊命令の措置を講ずることとすること。

(4) 協定

漁獲努力可能量等の対象となっている海洋生物資源について、漁獲可能量等の対象となっている海洋生物資源と同様の協定制度を設けるものとすること。

(5) 漁獲努力量等の報告

漁獲努力量管理の対象となっている海洋生物資源の採捕を行う者は、対象となる漁獲努力量に係る漁ろう作業を行ったときは、漁獲努力量等を農林水産大臣又は都道府県知事に報告しなければならないこととすること。

2 暦年による漁獲量の管理の見直し

現在、一律に暦年方式となっている漁獲可能量について、海洋生物資源の種類ごとにその漁業時期を考慮した方式に改めることとすること。

3 施行期日

この法律は、公布の日から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。

[7] 林業基本法の一部を改正する法律案(内閣提出第78号)

成立(平成13年法律第107号)

本案は、近年の我が国における森林の有する多面的機能への国民の要請、林業活動の停滞その他の森林及び林業をめぐる諸情勢の現況にかんがみ、森林及び林業に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、林業基本法を改正しようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 題名の改正

法律の題名を「森林・林業基本法」に改めること。

2 目的の改正

この法律は、森林及び林業に関する施策について、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、森林及び林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とすること。

3 基本理念

森林及び林業に関する施策についての基本理念として、森林の有する多面的機能の発揮と林業の健全な発展について定めること。

4 責務等

国、地方公共団体及び森林所有者等の責務等を定めること。

5 年次報告の内容の拡充

年次報告の内容に、森林の動向並びに政府が森林に関して講じた施策及び森林の動向を考慮して講じようとする施策を追加すること。

6 森林・林業基本計画

政府は、森林及び林業に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、施策についての基本的な方針、森林の有する多面的機能の発揮並びに林産物の供給及び利用に関する目標等の事項を内容とする森林・林業基本計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならないこととすること。

7 森林及び林業に関する施策の基本方向

国は、森林の有する多面的機能の発揮、林業の健全な発展、林産物の供給及び利用の確保に関する施策として基本的なものを定めること。

8 施行期日

この法律は、公布の日から施行すること。

(修正要旨)

1 「森林の適正な整備及び保全を図るに当たっては、山村において林業生産活動が継続的に行われることが重要であることにかんがみ、定住の促進等による山村の振興が図られるよう配慮されなければならない」ものとすること。

2 林業については、林業の「持続的かつ」健全な発展が図られなければならないものとすること。

3 国及び地方公共団体は、林業従事者等の自主的な努力を「支援」することを旨とするものとすること。

4 国は、森林の現況の調査その他の「地域における活動」を確保するための支援を行うものとすること。

[8] 林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第79号)

成立(平成13年法律第108号)

本案は、最近における林業をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、林業経営基盤の強化を促進するため、所要の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 題名の改正

法律の題名を「林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法」に改めること。

2 目的の改正

この法律は、林業をめぐる諸情勢の著しい変化に対処して、当分の間、育成すべき林業経営の経営基盤の強化並びに木材の生産及び流通の合理化を図るために必要な資金の融通等に関する措置を講ずることにより、林業並びに木材の製造業及び卸売業の健全な発展に資することを目的とすること。

3 農林漁業金融公庫からの資金の貸付けの特例

農林漁業金融公庫は、農林漁業金融公庫法に規定する業務のほか、林業経営改善計画の認定を受けた者に対し、高性能林業機械の借入れ、作業員の研修等生産方式の合理化に必要な資金を新たに貸し付けることができることとすること。

4 農林漁業信用基金の業務の追加

農林漁業信用基金の無利子資金の融通の対象を拡大し、伐期の長期化などを行うために必要な資金の融通ができることとすること。

5 森林所有権の移転等のあっせん

林業経営改善計画の認定を受けた者の林業経営の規模の拡大を図るため、都道府県知事が森林の権利の取得又は森林施業の受託のあっせんを行うこととすること。また、あっせんにより森林施業を受託する認定者が森林組合である場合には、森林組合法に基づく組合員以外の者の組合事業の利用制限を受けずに受託できることとすること。

6 施行期日

この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。

[9] 森林法の一部を改正する法律案(内閣提出第80号)

成立(平成13年法律第109号)

本案は、最近における森林及び林業をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、森林の有する公益的機能を重視し、かつ、地域の実情に即したきめ細かな森林整備を推進するため、所要の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 全国森林計画等の計画事項の見直し

発揮すべき森林の公益的機能に応じたきめ細かな施業を推進するため、森林の有する公益的機能の別に応じて当該公益的機能の維持増進を特に図るための森林施業を推進すべき森林の整備に関する事項を全国森林計画等の計画事項とするとともに、当該森林の区域において求められる公益的機能の維持増進を特に図る施業を行う場合に森林施業計画の認定を受けられることとすること。

2 伐採の届出制度の見直し

伐採後の造林を確保し、森林の保全を図るため、伐採時の届出事項として、伐採後の造林に関する事項を追加すること。

3 森林施業計画制度の見直し

計画的かつ効率的な森林施業を推進するため、森林施業計画の作成主体として、受託等により森林所有者に代わって森林の経営を行う者を追加するとともに、森林施業計画の作成単位を一定のまとまりのある森林とすること。

4 施行期日

この法律は、平成14年4月1日から施行すること。ただし、全国森林計画、地域森林計画、国有林の地域別の森林計画及び市町村森林整備計画に係る経過措置並びに伐採及び伐採後の造林の届出書に関する経過措置の規定は、公布の日から施行すること。

[10] 農業協同組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出第84号)(参議院送付)

成立(平成13年法律第94号)

本案は、最近における我が国の農業及び金融をめぐる情勢の変化に対応して、農業協同組合等の健全な発展を図るため、所要の措置等を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 農業協同組合法の改正

(1) 地域農業の振興に重点を置いた事業展開を図るため、農業を営むすべての法人に正組合員資格を付与するほか、営農指導を農業協同組合が行う事業の第1番目に位置付けること。

(2) 農業協同組合の業務執行体制の強化を図るため、信用事業を行う農業協同組合における複数常勤理事の設置、常勤理事等の兼職・兼業規制の強化、信用農業協同組合連合会等に対する経営管理委員設置の義務付け等の措置を講じること。

(3) 農協系統の自己責任体制の確立を図るため、農業協同組合の模範定款例を農業協同組合中央会が定めることができることとするとともに、同中央会の監査対象の拡大等を行うこと。

2 農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の改正

(1) 法律の題名を「農林中央金庫及び特定農業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律」に改めること。

(2) 農林中央金庫は、農協系統信用事業の再編及び強化に関する自主ルールである基本方針を定め、これに即して、信用事業を行う農業協同組合等に対し、経営改善や組織統合の指導を行うことができることとすること。

(3) 経営改善や組織統合を農協系統の自主的な積立財源により支援するため、指定支援法人制度を設けること。

3 農水産業協同組合貯金保険法の改正

農水産業協同組合貯金保険機構から指定支援法人に対して資金援助を行うことができることとすること。

4 施行期日

この法律は、平成14年1月1日から施行するものとすること。ただし、信用事業を行う農業協同組合における複数常勤理事の設置、常勤理事等の兼職・兼業規制の強化、信用農業協同組合連合会等に対する経営管理委員設置の義務付け等に関する改正規定は、平成15年4月1日から施行するものとすること。

(参議院修正要旨)

政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律による改正後の規定の実施状況等を勘案し、組合員である農業者の利益の増進を図る観点から、組合の役員に関する制度の在り方、組合の事業運営の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

附帯決議(13.6.21)

農業及び農村をめぐる情勢が大きく変化する中で、農協系統が、農業者の協同組織としての原点に立ち帰って、組合員のニーズに的確に応えながら地域農業の振興等に積極的な役割を果たしていくためには、その事業・組織の見直し等の改革の推進が重要な課題となっている。

よって政府は、両法の施行等に当たっては、農協系統がその使命を達成できるよう、左記事項の実現に向けて、その指導・監督に万全を期すべきである。

1 組合員の営農支援が農業協同組合の本来事業であることを十分認識の上、営農指導事業の充実、生産資材コストの大幅削減、農産物の有利販売などに全力を挙げ、組合員の農業経営基盤が確立されるよう、農協系統の取組みを強化すること。

2 農協系統の事業運営に当たっては、担い手のニーズに対応し、スケールメリットが生かされる生産資材価格の設定など、利用しやすい事業展開に努めること。

3 青年・女性・法人経営者等農業の担い手の意向を組合運営に十分反映できるようにするため、これらの者の経営管理委員や理事への登用を積極的に進めること。

4 農協等において迅速かつ適正な経営判断を行い得る業務執行体制を確立し、農業者の利益の増進に資するため、常勤理事等については、学識経験者等の積極的な起用を図ること。併せて、省令で例外的に認めることとしている兼職・兼業の範囲については極力限定し、職務に支障がなく、かつ、農業振興の上で真に必要なもの以外は認めないこととすること。

5 農協等の経営の健全性を確保するため、監事による監査、中央会監査、行政検査等の体制の一層の充実を図ること。特に、中央会監査については、公認会計士を帯同して行うなどにより監査法人と比し遜色のない監査を行うこと。

6 農協系統金融機関については、組合員等が安心して利用できるよう、問題農協等の早期発見・早期改善を軸とし、破綻することのない農協金融システムを早急に確立すること。また、ペイオフ解禁が差し迫る中で、不良債権の最終処理と経営困難農協の解消に全力を挙げること。

その際、農林中央金庫は、信用事業の効率化及び健全な運営を確保するため、中央会及び関係省庁等と連携しつつ、責任をもって信用事業の再編強化の指導を行うこと。

7 農林中央金庫は、農林水産業者の協同組織を基盤とする中核的な金融機関であることから、会員への資金の円滑な提供や預金の的確な運用等その機能が最大限に発揮されるよう、経営管理委員会の運用及び理事による業務の執行等に最善を尽くすこと。

また、貸出先の拡大に伴う会員以外への資金の貸付け等については、会員への円滑な資金の融通に支障が生じることのないよう適正に行うこと。

右決議する。

[11] 農林中央金庫法案(内閣提出第85号)(参議院送付)

成立(平成13年法律第93号)

本案は、最近における我が国の金融をめぐる情勢の変化に対応して、農林中央金庫の適正かつ効率的な業務運営を確保するための措置を講ずるとともに、現行法の片仮名混じりの文語体の法文を口語化して平易化するため、農林中央金庫法の全部を改正しようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 目的規定の新設

農林中央金庫(以下「金庫」という。)は、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他の農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関であることを明確にすること。

2 経営管理委員会及び理事会の設置

金庫の協同組織性を踏まえて、会員である農業協同組合の代表者等から成る経営管理委員会を設置するとともに、高度な金融業務を的確に行えるよう、金融専門家から成る理事会を設置すること。

3 業務範囲の拡大

金庫の貸出先業種については、農協系統信用事業全体の発展に資するよう、主務大臣の認可の下に、業種限定のない貸出しを認めることとすること。

4 施行期日

この法律は、平成14年1月1日から施行するものとすること。

附帯決議(13.6.21)

(注)前記[10]附帯決議と同文。

[12] 漁船法の一部を改正する法律案(内閣提出第86号)(参議院送付)

成立(平成13年法律第110号)

本案は、漁業者の負担を軽減し、規制緩和に資する等のため、漁船の建造許可制度及び漁船登録制度の見直しを行おうとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 建造、改造及び転用の許可の対象となる動力漁船の区分の見直し

農林水産大臣及び都道府県知事が行う動力漁船の建造等の許可について、長さ15mを基準としていた区分を見直し、漁業許可を要する漁業に従事する漁船については、漁業許可を行う行政庁が建造等の許可を行うこととすること。

2 漁船の登録票の検認期日の延長

登録をした漁船及び登録票について、都道府県知事の検認を受けなければならない期日を、3年から5年に延長すること。

3 指定認定機関

農林水産大臣又は都道府県知事は、指定認定機関に、動力漁船の工事完成後の認定の業務の全部又は一部を行わせることができるものとすること。

4 指定検認機関

都道府県知事は、指定検認機関に、漁船の登録票の検認の業務の全部又は一部を行わせることができるものとすること。

5 施行期日

この法律は、平成14年4月1日から施行するものとすること。ただし、指定認定機関又は指定検認機関の指定を受けようとする者は、この法律の施行前においても、申請を行うことができるものとすること。

[13] 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出、衆法第9号)

成立(平成13年法律第24号)

本案は、酪農の健全な発達に資するため、農林漁業金融公庫が行う乳業者に対する牛乳の処理又は乳製品の製造に必要な施設についての長期低利の資金の融通に関する臨時措置をさらに5年を限り延長するとともに、農林漁業金融公庫が行う乳業者に対する長期低利の資金の融通に関する臨時措置の対象として牛乳又は乳製品の流通に必要な施設を加えようとするものである。

[14] 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(筒井信隆君外2名提出、衆法第11号)《民主》

否決

本案は、農業者年金制度について、最近における農業事情その他農業者年金制度をめぐる厳しい状況を踏まえて検討を加え、その結果に基づいて、農業者年金基金法の改正その他所要の法制の整備を行うため、附則に検討条項を追加するものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 農業者年金制度については、最近における農業事情その他農業者年金制度をめぐる厳しい状況を踏まえ、農業者の年金に対する期待、農業者の老後の生活の安定等の観点から検討が加えられ、その結果に基づいて、平成13年12月31日(以下「基準日」という。)までに、この法律の改正その他所要の法制の整備が行われるものとすること。

2 1の法制の整備においては、少なくとも次の措置が講じられなければならないものとすること。

(1) 基準日において農業者年金の被保険者である者は、基準日の翌日において被保険者でなくなるものとし、基準日後においては、新たに農業者年金の被保険者となる者はないものとすること。

(2) 基準日において農業者年金の被保険者(被保険者でない者で、保険料納付済期間等を有するものを含む。(5)において同じ。)である者は、基準日後において一定の要件を満たしたとき等に経営移譲年金、農業者老齢年金、脱退一時金又は死亡一時金を受給できるものとすること。

(3) 既裁定の年金給付並びに(2)の経営移譲年金、農業者老齢年金及び死亡一時金の給付水準は、現行の給付水準とするものとすること。ただし、農業者年金の被保険者等の配偶者である任意加入被保険者については、年金額の加算を行い、一定の給付水準を確保するものとすること。

(4) (2)の脱退一時金の額は、納付済保険料の総額に相当する額とするものとすること。

(5) 基準日において農業者年金の被保険者である者であって、(2)の給付を受けないものについては、他の年金制度への加入措置その他必要な措置を講ずるものとすること。

(6) 国庫は、農業者年金基金に対し、既裁定の年金及び(2)の給付に要する費用につき、必要に応じて補助するものとすること。

(7) (1)から(6)までの措置を講ずることに伴い、農業者年金基金の業務運営体制の見直しを行うものとすること。

3 この法律は、公布の日から施行するものとすること。

[15] 農業経営再建特別措置法案(小平忠正君外2名提出、衆法第20号)《民主》

継続審査

本案は、国の施策に沿って農業経営の規模の拡大、農用地の改良等に取り組んできた専ら農業を営む者が、近年における農産物価格の下落その他農業を取り巻く環境の変化によって、農業経営に係る負債の償還が困難な状況になっており、その農業経営の再建が喫緊の課題であり、かつ、専ら農業を営む者の農業経営基盤の強化が食料自給率の向上のために重要であることにかんがみ、特定農業者の農業経営の再建及び優良農地の保全を図ろうとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 基本指針及び基本方針

(1) 農林水産大臣は、専ら農業を営む者で、国の施策に沿って農業経営の規模の拡大、農用地の改良等に取り組んできた結果として農業経営に係る負債を償還することが困難な状況として政令で定める状況にあるもの(以下「特定農業者」という。)の農業経営の再建に関する基本指針を定めるものとすること。

(2) 都道府県は、基本指針に即して、特定農業者の農業経営の再建に関する基本方針を定めることができるものとすること。

2 農業経営再建計画の認定等

(1) 特定農業者は、農業経営再建計画を作成し、都道府県知事の認定を受けることができるものとすること。

(2) 都道府県知事は、(1)の認定を受けた特定農業者(以下「認定特定農業者」という。)に対し、認定計画の達成につき必要な指導をすることができるものとすること。

3 資金の貸付け

農林漁業金融公庫等は、認定特定農業者に対し、認定計画に従って農業経営の再建を図るのに必要な資金の貸付けを行うものとすること。

4 土地改良事業に係る負担の軽減

国は、認定特定農業者の農業経営の再建のために必要があると認めるときは、その土地改良事業に係る負担金等について、負担軽減措置を講ずるものとすること。

5 農地等の買入れ及び貸付け

(1) 国は、認定特定農業者からその所有する農地等を買い入れるべき旨の申出があったときは、当該農地等を買い入れるものとすること。

(2) 国は、(1)の認定特定農業者から(1)により買い入れた農地等を貸し付けるべき旨の申出があったときは、その者に対し、当該農地等を貸し付けるものとすること。

6 施行期日等

(1) この法律は、公布の日から起算して1月を経過した日から施行すること。

(2) この法律は、平成23年3月31日限り、その効力を失うものとすること。

[16] 漁港法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出、衆法第29号)

成立(平成13年法律第92号)

本案は、最近における水産業をめぐる社会経済情勢の変化にかんがみ、環境との調和に配慮しつつ、漁港及び漁場を総合的かつ計画的に整備するための措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

1 題名及び目的の改正

題名を「漁港漁場整備法」に改めるとともに、「環境との調和に配慮」、「水産物の供給の安定」及び「豊かで住みよい漁村の振興に資すること」を目的に明記すること。

2 定義規定の改正

漁港及び漁場の整備に係る事業を一体として「漁港漁場整備事業」と位置付けること。

3 漁港漁場整備基本方針及び漁港漁場整備長期計画の策定

農林水産大臣は、漁港漁場整備基本方針を定めるとともに、漁港漁場整備長期計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものとすること。

4 審議会の審議の公開等

水産政策審議会の漁港漁場整備基本方針及び漁港漁場整備長期計画に関する審議は公開するものとし、その審議に用いられた資料は公表しなければならないものとすること。

5 特定漁港漁場整備事業の施行

地方公共団体等が、特定漁港漁場整備事業(漁港漁場整備事業のうち重要なものとして一定の要件に該当するもの)を施行しようとする場合には、漁港漁場整備基本方針に基づいて特定漁港漁場整備事業計画を定め、公表しなければならないものとすること。

6 特定漁港漁場整備事業に係る廃止等の手続

特定漁港漁場整備事業に係る廃止及び停止の手続を定めること。

7 施行期日

この法律は、平成14年4月1日から施行すること。ただし、漁港漁場整備基本方針及び漁港漁場整備長期計画については、施行前においてもこれを定めることができるものとすること。


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