中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び新事業創出促進法の一部を改正する法律案は、中小企業を巡る経済情勢には極めて厳しいものがあり、また、構造改革を推進する上でも、やる気と能力のある中小企業に対する金融セーフティネットの充実及び中小企業の意欲的取組みによる新たな市場・産業の創出が不可欠との認識に立ち、その環境整備として、物的担保に制約された金融枠組の改革による資金調達の円滑化、小規模企業における無担保・無保証(本人保証を含む)での一層の資金確保及び創業における一層の資金確保等を図るため、所要の措置を講ずるものである。
両法律案の主な内容は以下のとおりである。
中小企業者が売掛金債権のみを担保として金融機関から借入れを行う場合に信用保証協会が行う保証を対象とした売掛金債権担保保険を創設し、保証限度額は1億円とする。
小規模企業者に対し無担保・無保証(本人保証を含む)で信用保証協会が行う保証を対象とする特別小口保険について、保証限度額を1,000万円から1,250万円に引き上げる。
創業者に対し無担保・無第三者保証で信用保証協会が行う新事業創出関連保証を対象とする無担保保険について、保証限度額を1,000万円から1,500万円に引き上げる。
国は、新たな事業の創出を促進するため、人材の育成、資金の調達の円滑化及び需要の開拓の支援等に必要な施策を、地方公共団体、大学、民間等と連携を図りつつ、総合的に推進するよう努めなければならない旨定める。
なお、両法律案はいわゆる補正予算関連法案と位置付けられており、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案については、売掛金債権担保保険の創設に係る経費として59億円、特別小口保険の付保限度額引上げに係る経費として11億円の合計70億円が、新事業創出促進法の一部を改正する法律案については、新事業創出関連保証に係る無担保保険の付保限度額引上げに係る経費として11億円が、それぞれ平成13年度補正予算に計上されている。
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び新事業創出促進法の一部を改正する法律案は、11月9日国会に提出され、15日に衆議院経済産業委員会に付託された。翌16日、同委員会で平沼経済産業大臣から両法律案の提案理由説明を聴取した。
両法律案に対する質疑は、21日に行われ、質疑内容の主なものは、売掛金債権担保保証制度普及のための政府の取り組み姿勢、個人保証制度の見直し・改善の必要性、企業倒産時における労働債権保全についての早急な検討の必要性、創業・ベンチャー促進支援の在り方等であった。
質疑終局後、それぞれ採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決された。なお、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議が付された。翌22日に開かれた本会議においても、それぞれ採決の結果、全会一致で可決された。
参議院においては、両法律案は経済産業委員会に付託され、同委員会の審査を経て、11月30日の本会議において可決された。