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3 雇用対策関係法案の審議

(1)  背景と経緯

バブル経済が崩壊し、長期低迷を続ける我が国経済を抜本的に立て直すため、政府は、4月「緊急経済対策」を策定し、我が国にとって喫緊の課題である経済構造改革を本格的に推進するため、今後2、3年以内に不良債権問題を抜本的に解決することを目指した。しかし、その過程においては、雇用情勢が更に悪化することが予想された。このため、産業の構造改革と新規雇用の創出、能力開発支援等による雇用対策を一体的に進めるため、5月、産業構造改革・雇用対策本部が内閣に設置され、6月には「中間とりまとめ」が決定された。

しかし、構造改革が推進される中、米国経済を始め世界経済全体としての減速傾向が明確となり、我が国経済は、いわゆる産業の空洞化の進行とも相俟って、停滞色を更に濃くした。また、雇用情勢もかつてない厳しい状況が続き、完全失業率は、9月には5.3%と過去最高を記録し、有効求人倍率は0.57倍と、過去最低の水準で推移した。

このように厳しさを増す雇用情勢に対応して、9月、産業構造改革・雇用対策本部において、緊急かつ重点的に取り組むべき施策をとりまとめた「総合雇用対策」が決定され、このうち、実施の緊急性が特に高い施策は、10月に策定された「改革先行プログラム」に盛り込まれ、先行して実施されることとされた。「経済社会の急速な変化に対応して行う中高年齢者の円滑な再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時の特例措置に関する法律案(内閣提出第25号)」は、これに必要な法的措置として、中高年齢者の再就職の促進、雇用機会の創出等を図るための雇用保険法等の臨時特例措置を講ずるもので、11月9日、国会に提出された。

(2)  法律案の概要

本案は、現下の厳しい雇用失業情勢の下で、経済構造改革の進展等に伴い、多数の中高年齢者が離職を余儀なくされ、かつ、再就職が困難な状況となることが見込まれること等の事情にかんがみ、中高年齢者の再就職の促進、雇用の機会の創出等を図るため、 [1]雇用保険の受給資格者である中高年齢者について、公共職業訓練等の受給後、基本手当を支給することにより、再度、公共職業訓練等を受けることができるようにすること、 [2]中小企業者が、経営革新計画に基づき中高年齢者を雇い入れた場合には必要な助成を行うこと、 [3]専門的な知識を必要とする業務等以外の業務に従事する中高年齢者である派遣労働者の派遣期間の上限を3年間とすること等を平成16年度末までの臨時特例の措置として講じようとするものである。

(3)  審議経過

本案は、11月9日国会に提出され、16日には「雇用保険の財政の安定化及び求職者等に対する能力開発支援のための緊急措置に関する法律案(城島正光君外4名提出、衆法第10号)」とともに、本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日、両法律案は厚生労働委員会に付託され、坂口厚生労働大臣及び提出者加藤公一君よりそれぞれ提案理由説明を聴取した。

質疑は、20日、21日及び27日の3日間行われ、その主な質疑内容は、 [1]雇用保険法の特例措置を講ずるに当たり、職業訓練の在り方を見直す必要性、 [2]労働者派遣法の特例措置による雇用創出効果及び常用雇用代替防止措置の在り方、 [3]労働者保護の観点から労働者派遣制度全体を見直す必要性、 [4]雇用保険料率の弾力条項の発動基準を明確にする必要性、 [5]ワークシェアリング導入の必要性及びその問題点等であった。

27日の質疑終局後、本案に対し、日本共産党より中高年齢者の派遣期間延長に係る規定を削除する旨の修正案が提出され、討論、採決の結果、城島正光君外4名提出の法律案は賛成少数で否決された。次いで、本案に対する日本共産党提出の修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決された。なお、本案に対し附帯決議が付された。

引き続き開かれた本会議において、城島正光君外4名提出の法律案は賛成少数で否決され、本案は賛成多数をもって可決され、参議院に送付された。


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