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1 テロ対策特別措置法等関係法案等の審議

(1) 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会設置の背景

(2) 審議経過の概要

ア テロ対策特別措置法等関係法案

イ 爆弾テロ防止条約及び関係整備法案

ウ テロ対策特別措置法に基づき自衛隊の部隊等による各活動の実施に関し国会承認を求めるの件

(3) 参考資料

ア 総理大臣声明(平成13年9月12日/内閣総理大臣)

イ 政府対処方針(平成13年9月12日/安全保障会議)

ウ 米国における同時多発テロへの対応に関する我が国の措置について(平成13年9月19日/テロ対策関係閣僚会議)

エ 米国における同時多発テロ事件に関する決議(平成13年9月27日/衆議院)

オ テロ対策特別措置法案に対する附帯決議(平成13年10月16日/衆議院国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会)

(1)  国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会設置の背景

平成13年9月11日、米国ニューヨークにおいて、世界貿易センターのツイン・タワーにハイジャックされた旅客機2機が激突し、また、ワシントン近郊の米国防総省にもハイジャックされた旅客機1機が激突、さらに、ピッツバーグ近郊でハイジャックされた旅客機1機が墜落するという衝撃的な同時多発テロ事件が発生した。テロによる死者・行方不明者は5千人以上、日本人も24名が犠牲となった。このテロは、米国によるその後の捜査によりサウジアラビア出身のイスラム原理主義者、オサマ・ビンラーディンが率いるテロ組織アル・カーイダにより引き起こされたものと断定された。ビンラーディンは平成10年8月のケニア及びタンザニアでの米国大使館に対する爆弾テロ、平成12年10月のイエメンでの米国駆逐艦に対する小型ボートによる自爆テロなどの首謀者とされ、現在アフガニスタンに滞在している。

アフガニスタンは、昭和54年のソ連軍侵攻以来混乱状態が続いており、現在も内戦状態が続き多数の難民が発生している。テロ発生時点において国土の90%を実行支配しているのはイスラムに基づく統治を目指すタリバーンであり、ビンラーディンはタリバーンの庇護下にあるとともに、タリバーンに対する資金協力を行っているとされている。

ブッシュ米大統領は9月12日、今回のテロは戦争行為であるとする声明を発表し、北大西洋条約機構(NATO)は大使級理事会でNATO条約第5条による集団的自衛権の適用対象とみなすことについて合意した。国連は、9月12日、米国での同時多発テロを非難する安保理決議第1368号を採択し、9月28日には対テロ資金供与防止・資産凍結等に関する安保理決議第1373号を採択した。

我が国は、11日のテロ事件発生を受け、翌12日、総理大臣声明を発するとともに安全保障会議を開催し、国際テロに対しては、米国をはじめとする関係国と力を合わせて対応すること等6項目からなる「政府対処方針」を決定し、さらに、9月19日、テロ対策関係閣僚会議を招集し、米国における同時多発テロへの対応に関する我が国の措置について、同盟国である米国を強く支持し、米国をはじめとする世界の国々と一致結束して対応する等の基本方針を決定した。この基本方針と併せ、当面の措置として、国連安保理決議において「国際の平和及び安全に対する脅威」と認められた本件テロに関連して措置を取る米軍等に対して、医療、輸送・補給等の支援活動を実施する目的で、自衛隊を派遣するため所要の措置を早急に講ずる等7つの項目からなる措置を決定した。引き続く記者会見において小泉内閣総理大臣は、「テロ根絶に向け、日本としても米国をはじめ関係諸国と協力しながら、主体的な取組みをしたい。武力行使と一体とならない支援は何かということを考え、出来る限りの支援協力体制を米国はじめ関係諸国と協力しながら考えていきたい。」旨を述べた。

9月25日には、ワシントンのホワイトハウスにおいて日米首脳会談が行われ、米国同時多発テロ事件への対応を中心に協議された。両首脳は、米国同時多発テロ事件に対して、外交、軍事、経済など様々な分野で共同で対処していくことを確認した。小泉内閣総理大臣は、「米国の報復行動に同盟国の一員として、最大級の支援と協力を惜しまない。武力行使にならない範囲で可能な限り支援したい。」と述べ、さらに、「日本も国際社会の一員として責任を果たしたい。」と国内の法整備などに積極的に取り組む姿勢を示した。

テロ根絶に向けた具体的な措置が検討される中、9月27日、衆議院本会議において、「本院は、断固とした決意で国際テロと闘わんとしている米国政府及び米国民を支持し、テロ行為を地球上から追放することが国際社会の一員である我が国の重大な責務であることを宣言する。政府は、我が国及び国民の危機に際しての安全確保のため全力を傾注するとともに、米国をはじめ関係諸国と力を合せつつ我が国として可能な限りの協力を行い、国際連合を中心とする国際機関の活動に積極的に参加することをもって、民主主義社会の安全と発展のために主体的な役割を果たすべきである。」旨を内容とする「米国における同時多発テロ事件に関する決議案」が可決された。この決議を受け、小泉内閣総理大臣は、「ただいま採択された御決議の趣旨を体し、テロリズムとの闘いに我が国自身の問題として主体的に取り組むこととし、引き続き国内における対策を強化するとともに、さきに発表した7項目の措置を講ずる等、世界の国々と一致結束してテロリズム根絶のための努力を行っていく」旨の所信を述べた。

政府は、その後具体的な実施措置につき鋭意検討を進め、10月5日、アフガニスタン難民に対する国際平和協力業務及び物資協力の実施を決定するとともに、テロ対策特別措置関係3法案を閣議決定し、国会に提出した。

10月8日未明、米軍は英国軍と共にタリバーンの軍事訓練施設等に対する爆撃を開始した。政府は、直ちに安全保障会議を開催し、引き続き、臨時閣議において、緊急テロ対策を強力に推進するため、内閣に、緊急テロ対策本部を設置することを決定した。同日中に同本部が開催され、国内における警戒体制の強化、在留邦人の安全確保、テロ対策特別措置法等の早期成立等をはじめとする一連の「緊急対応措置」が決定された。

10月9日、衆議院本会議が開会され、国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関連する諸議案を審査するため委員45人よりなる国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会を設置するの件が議長より発議され、全会一致をもって、特別委員会を設置することとされた。

(2) 審議経過の概要

ア テロ対策特別措置法等関係法案

平成13年10月5日、「平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法案(内閣提出第3号)」(以下「テロ対策特別措置法案」という。)、「自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第4号)」及び「海上保安庁法の一部を改正する法律案(内閣提出第5号)」の3法律案が国会に提出され、10月10日、衆議院本会議においてそれぞれ趣旨の説明及び質疑が行われ、同日、国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会に付託された。

特別委員会においては、同日、3法律案を一括して議題とし、福田内閣官房長官、中谷防衛庁長官及び扇国土交通大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、翌11日より質疑に入り、小泉内閣総理大臣に対する質疑、参考人からの意見聴取を行うなど、慎重な審査が行われた。

10月15日には、3法律案及び自由党より提出された「国の防衛及び自衛隊による国際協力に関する基本法案(東祥三君外1名提出、衆法第1号)」を一括して議題とし、提出者東祥三君から提案理由の説明を聴取し、質疑が行われた。

また、10月16日には、テロ対策特別措置法案に対し、自由民主党、公明党並びに保守党の3会派共同により、基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する協力支援活動等に関しての国会の事後承認制を設けるとともに、外国の領域における武器弾薬の陸上輸送を含まない旨の修正案が、また、民主党・無所属クラブより、自衛隊の部隊等が実施する協力支援活動等に関しての国会の事前承認制を設ける等の修正案がそれぞれ提出され、趣旨の説明を聴取し、質疑が行われた。

かくして同日、内閣提出3法律案及び両修正案に対する質疑を終局し、討論を行い、順次採決が行われた結果、テロ対策特別措置法案は、民主党・無所属クラブ提出の修正案を否決した後、賛成多数をもって3会派共同提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決され、自衛隊法の一部を改正する法律案及び海上保安庁法の一部を改正する法律案は、賛成多数をもってそれぞれ原案のとおり可決すべきものと決された。

なお、テロ対策特別措置法案に対し附帯決議が付された。

10月18日、衆議院本会議において、テロ対策特別措置法案に対し、玄葉光一郎君外1名から修正案が提出され、趣旨弁明の後、討論を行い、順次採決が行われた結果、玄葉光一郎君外1名提出の修正案は否決され、テロ対策特別措置法案は賛成多数をもって修正議決され、また、自衛隊法の一部を改正する法律案及び海上保安庁法の一部を改正する法律案は賛成多数をもってそれぞれ原案のとおり可決され、参議院に送付された。

参議院においては、テロ対策特別措置法案及び自衛隊法の一部を改正する法律案は外交防衛委員会に、海上保安庁法の一部を改正する法律案は国土交通委員会に、それぞれ付託され、連合審査、公聴会を行うなど、慎重な審査を経て、10月29日、本会議において、3法律案は、賛成多数をもって、それぞれ可決された。

イ 爆弾テロ防止条約及び関係整備法案

平成13年10月30日、「テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第1号)」(以下「爆弾テロ防止条約」という。)及び「テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第20号)」(以下「関係整備法案」という。)が国会に提出され、同日、国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会に付託された。

特別委員会においては、10月31日、両件を一括して議題とし、田中外務大臣及び森山法務大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、翌11月1日に質疑を行い、引き続き採決が行われた結果、爆弾テロ防止条約は全会一致をもって承認すべきものと議決され、また、関係整備法案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決された。

11月2日、衆議院本会議において、爆弾テロ防止条約は全会一致をもって承認され、また、関係整備法案は全会一致をもって可決された。

参議院においては、爆弾テロ防止条約及び関係整備法案は外交防衛委員会に付託され、慎重な審査を経て、11月9日、本会議において、爆弾テロ防止条約は全会一致をもって承認され、また、関係整備法案は全会一致をもって可決された。

ウ テロ対策特別措置法に基づき自衛隊の部隊等による各活動の実施に関し国会承認を求めるの件

平成13年11月16日、政府は、テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画を閣議決定し、国会に報告するとともに、11月20日に実施要項を定め、中谷防衛庁長官が対応措置の実施を自衛隊に命じた。本件は、これを受けて、同法第5条第1項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動の各活動の実施について、国会の承認を求めるものである。

11月22日、「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、自衛隊の部隊等による協力支援活動、捜索救助活動及び被災民救援活動の各活動の実施に関し承認を求めるの件」が国会に提出され、同日、国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会に付託された。

特別委員会においては、11月26日、中谷防衛庁長官から提案理由の説明を聴取し、質疑を行い、質疑終了後、討論を行い、採決が行われた結果、本件は賛成多数をもって承認すべきものと議決された。

11月27日、衆議院本会議において、本件は、多数をもって承認された。

参議院においては、本件は、外交防衛委員会に付託され、慎重な審査を経て、11月30日、本会議において、多数をもって承認された。

(3) 参考資料

ア 総理大臣声明(平成13年9月12日/内閣総理大臣)

総理大臣声明

このたびの米国における事件は、極めて卑劣かつ言語道断の暴挙であり、このようなテロリズムは決して許されるものではなく、強い憤りを覚える。

米国大統領ならびに米国民に対し、日本国民を代表して心よりお見舞い申し上げます。

平成13年9月12日

内閣総理大臣 小泉純一郎

イ 政府対処方針(平成13年9月12日/安全保障会議)

政府対処方針

平成13年9月12日

安全保障会議

一、関係省庁が一体となり、政府全体として邦人の安否確認を含めて情勢の的確な把握と対応に万全を期する。

二、邦人関係者に対して、できる限りの対策を講じるとともに、国際緊急援助隊の米国への派遣等を検討し、要請があれば速やかに対応できる体制を整える。

三、国内の米国関連施設等の警戒警備を強化するとともに、情勢に応じ随時必要な措置を採る。

四、国民に対する適切な情報提供及び注意喚起に努める。

五、国際テロに対しては、米国をはじめとする関係国と力を合わせて対応する。

六、世界及び日本の経済システムに混乱が生じないよう適切な措置を講ずる。

ウ 米国における同時多発テロへの対応に関する我が国の措置について(平成13年9月19日/テロ対策関係閣僚会議)

米国における同時多発テロへの対応に関する我が国の措置について

1 基本方針

1.テロリズムとの戦いを我が国自らの安全確保の問題と認識して主体的に取り組む。

2.同盟国である米国を強く支持し、米国をはじめとする世界の国々と一致結束して対応する。

3.我が国の断固たる決意を内外に明示し得る具体的かつ効果的な措置をとり、これを迅速かつ総合的に展開していく。

2 当面の措置

1.安保理決議第1368号において「国際の平和及び安全に対する脅威」と認められた本件テロに関連して措置を取る米軍等に対して、医療、輸送・補給等の支援活動を実施する目的で、自衛隊を派遣するため所要の措置を早急に講ずる。

2.我が国における米軍施設・区域及び我が国重要施設の警備を更に強化するため所要の措置を早急に講ずる。

3.情報収集のための自衛隊艦艇を速やかに派遣する。

4.出入国管理等に関し、情報交換等の国際的な協力を更に強化する。

5.周辺及び関係諸国に対して人道的・経済的その他の必要な支援を行う。その一環として、今回の非常事態に際し、米国に協力するパキスタン及びインドに対して緊急の経済支援を行う。

6.避難民の発生に応じ、自衛隊による人道支援の可能性を含め、避難民支援を行う。

7.世界及び日本の経済システムに混乱が生じないよう、各国と協調し、状況の変化に対応し適切な措置を講ずる。

エ 米国における同時多発テロ事件に関する決議(平成13年9月27日/衆議院)

米国における同時多発テロ事件に関する決議

9月11日に米国を襲った同時多発テロは、命の尊さを全く顧みない残虐非道な行為であり、かかるテロリストの想像を絶する暴挙は、ひとり米国民のみならず、人類すべてに対する共通の許し難い挑戦である。

本院は、不幸にもテロの犠牲となられた多数の方々に対し、心から哀悼の意を表するとともに、ご家族や関係者みなさまの深い悲しみと激しい怒りを分ち合うものである。

本院は、今回のテロ行為に責任を有する者が法と正義の下に裁かれるべきことは当然のことながら、断固とした決意で国際テロと闘わんとしている米国政府及び米国民を支持し、テロ行為を地球上から追放することが国際社会の一員である我が国の重大な責務であることをここに宣言する。

よって政府は、我が国及び国民の危機に際しての安全確保のため全力を傾注するとともに、米国をはじめ関係諸国と力を合せつつ我が国として可能な限りの協力を行い、また、国際連合を中心とする国際機関の活動に積極的に参加することをもって、民主主義社会の安全と発展のために主体的な役割を果たすべきである。

右決議する。

(本決議に対する内閣総理大臣の所信)

9月11日に米国において発生した同時多発テロは、米国のみならず人類全体に対する極めて卑劣かつ許しがたい攻撃であります。

事件発生後、政府は、テロリズムと闘う米国を強く支持し、必要な協力を惜しまない旨を表明するとともに、テロリズムに対しては断固としてこれに立ち向かっていくとの決意をもって、さまざまな措置を講じてきたところであります。

政府といたしましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を体し、テロリズムとの闘いに我が国自身の問題として主体的に取り組むこととし、引き続き国内における対策を強化するとともに、さきに発表した7項目の措置を講ずる等、世界の国々と一致結束してテロリズム根絶のための努力を行っていく所存であります。

オ テロ対策特別措置法案に対する附帯決議(平成13年10月16日/衆議院国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会)

平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法案に対する附帯決議

政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。

一 テロ根絶に対する我が国の主体的な外交努力を一層進めるとともに国際的な枠組みの構築に努めること。

二 国民のテロに対する不安を解消するために、国内外の邦人保護・安全対策及びテロ対策について万全を期すこと。

三 国際テロリズムに対しては、国際社会が一致協力して取り組むことが極めて重要であり、我が国は国連を中心とした国際協調努力に積極的に参画すること。

四 自衛隊の派遣については、派遣先の状況の推移を十分に踏まえ、慎重に実施すること。

五 国会の承認の付議については、対応措置の実施を自衛隊の部隊等に命じた日から20日以内であっても、可能な限り速やかに求めること。


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