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6 予算審議の概況

平成13年度補正予算(第2号、特第2号)

1 補正予算の概要

本補正予算は、構造改革を加速しつつデフレスパイラルに陥ることを回避し、平成13年12月14日に決定された緊急対応プログラムを実施するため、一般会計において国債整理基金特別会計から日本電信電話株式会社の株式売払収入による国債整理基金の資金の一部を受け入れ、これを産業投資特別会計に繰り入れるとともに、同特別会計において必要な経費の追加等を行うこととして編成されたものであり、平成14年1月21日、国会に提出され、同日、衆議院予算委員会に付託された。

一般会計の補正は、歳入歳出とも、成立予算(第1次補正後予算)に対し、2兆6,392億円を追加するものである。

歳出については、産業投資特別会計へ繰入2兆5,000億円及び「改革推進公共投資」特別措置(一般会計施行分)1,392億円を追加計上している。

歳入については、日本電信電話株式会社の株式売払収入による国債整理基金の資金の一部に相当する国債整理基金特別会計受入金2兆5,000億円を含む雑収入2兆6,392億円の増収を見込んでいる。

特別会計については、産業投資特別会計に関し、社会資本整備勘定において一般会計からの受入2兆5,000億円を見込み、また、同勘定の歳出において、都市機能高度化等対策費、環境配慮型地域社会実現対策費、科学技術等対策費、少子高齢化対策費を内訳とする「改革推進公共投資」特別措置として、2兆5,000億円を計上している。

以上の一般会計及び産業投資特別会計の予算補正に関連して、国立学校特別会計、道路整備特別会計など10特別会計について、所要の補正を行っている。

2 審議経過

平成14年1月21日、塩川財務大臣の財政演説が、衆・参本会議で行われた。

衆議院予算委員会においては、同月23日、塩川財務大臣から提案理由の説明を聴取した後、24日(基本的質疑)、25日及び28日の3日間質疑を行った。

主な質疑事項は、緊急対応プログラムに対する評価、構造改革と景気回復との関係、牛海綿状脳症(BSE問題に関する農林水産省の責任、アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO出席問題等であった。

アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO出席問題では、鈴木宗男議員の関与を巡って審議がたびたび中断した。同月28日、同問題について、野上外務事務次官を参考人として招致し、質疑を行ったが、同次官は、鈴木議員の関与を否定する旨の答弁に終始し、同議員の関与があったとする田中外務大臣との発言の食違いの溝は埋まらなかった。同日夜の理事会において、NGO参加決定に当たり、特定の議員の主張に従ったことはないとする政府見解が示されたが、野党側はこの内容に納得しなかった。そのため、与党側は、同日深夜に野党側欠席のまま委員会を再開し、平成13年度第2次補正予算を可決した。

翌29日、野党側は本会議にも出席せず、平成13年度第2次補正予算は、与党側のみで可決され、参議院に送付された。

こうした事態を受け、小泉内閣総理大臣は同日深夜、国会正常化のために田中外務大臣及び野上外務事務次官を更迭する意向を固め、翌30日付で、田中外務大臣は辞任した(2月1日、川口環境大臣を起用)。また、鈴木議員も議院運営委員長の辞任を表明することとなった。

参議院予算委員会においては、1月23日、塩川財務大臣から提案理由の説明を聴取し、30日、31日及び2月1日に質疑を行い、質疑終局後、討論、採決の結果、賛成多数で可決された。同日に開かれた本会議においても、討論、採決の結果、賛成多数で可決された。

平成14年度総予算

1 予算の概要

我が国経済は、不良債権問題のほか、内外の構造変化が急速に進む中で、経済社会のさまざまなシステムがうまく機能せず、長期にわたる低迷を続けている。

このような状況下、平成14年度予算は、「国債発行額30兆円以下」との目標の下、歳出の一層の効率化を進め、予算配分を少子・高齢化への対応、科学技術、教育及びITの推進等重点分野にシフトするとの観点に立って編成され、平成14年1月25日、国会に提出、同日、衆議院予算委員会に付託された。

一般会計予算の規模は、81兆2,300億円で、前年度当初予算に対し、1.7%の減少となっている。

歳出については、国債費及び地方交付税交付金の経費を除いた、いわゆる一般歳出の規模は47兆5,472億円であり、前年度当初予算に対し、2.3%の減少となっている。

歳出の主な内容は、次のとおりである。

[1]  公共事業関係費にその他施設費を加えた公共投資関係費については、「平成14年度予算編成の基本方針」(以下「基本方針」という。)に従い、前年度当初予算に比して10.7%減の9兆2,525億円を計上している。このほか、産業投資特別会計社会資本整備勘定においては、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として938億円を計上しており、これを加えた公共投資関係費は9兆3,464億円となっている。

これらの配分に当たっては、公共投資全体を「基本方針」で示されている7分野(循環型経済社会の構築など環境問題への対応、少子・高齢化への対応、地方の個性ある活性化・まちづくり、都市の再生、科学技術の振興、人材育成・教育・文化及び世界最先端のIT国家の実現)に重点化することとしている。

[2]  社会保障関係費については、将来にわたり持続可能で安定的、効率的な社会保障制度を構築する観点から、医療制度改革を行うとともに、少子・高齢化や厳しい雇用情勢等に対応するための施策を推進することとし、前年度当初比3.8%増の18兆2,795億円を計上している。

なお、消費税について、地方交付税交付金を除いた消費税収の使途を基礎年金、老人医療及び介護に限る旨を予算総則に明記している。

[3]  文教及び科学振興費については、受益者負担の適正化、執行状況等を踏まえた事業の見直し、特殊法人等向け財政支出の節減等の観点から、各種経費の見直しを行い、高等教育、学術研究、科学技術及び文化等の各分野に対し、資金の重点的配分を図ることとし、前年度当初比0.8%増の6兆6,998億円を計上している。

[4]  経済協力費については、量的規模を縮減しつつ、援助対象分野等の重点化・効率化を図り、前年度当初比10.4%減の8,566億円を計上している。

なお、政府開発援助予算は、前年度当初比10.3%減の9,106億円となっている。

[5] 防衛関係費については、「中期防衛力整備計画(平成13年度〜平成17年度)」等の下、効率的で節度ある防衛力の整備を図ることとし、4兆9,560億円(前年度当初比0.0%増)を計上している。

なお、この経費の中に、SACO(沖縄に関する特別委員会)関係経費としては、165億円を計上している。

[6]  中小企業対策費については、既存事業の執行状況等を踏まえた事業の発展的整理・統合や財投改革の成果を活用した特殊法人向け支出の節減等を通じた支出の抑制を図り、前年度当初比5%減の1,861億円を計上している。

[7]  国債費については、16兆6,712億円を計上している。

[8]  地方財政については、国の歳出の見直しと歩調を合わせつつ、地方の歳出の見直しを行った上で、通常収支の財源不足については、国と地方を通ずる財政の透明化を推進する観点から、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を縮減し、一般会計からの特例加算、特例地方債(臨時財政対策債)により補てんする割合を高め、所要の地方交付税総額を確保することとし、一般会計の地方交付税交付金等としては、前年度当初比1.1%増の17兆116億円を計上している。

なお、交付税及び譲与税配付金特別会計から平成14年度に地方団体に交付する地方交付税交付金及び地方特例交付金の総額は、前年度当初比1.3%減の20兆4,485億円となっている。

歳入については、現行法による租税及印紙収入の収入見込額は、46兆8,360億円である。この金額から平成14年度に予定されている連結納税制度、中小企業関係税制等及び関税率の改定等による減収を差し引くと、前年度当初比7.7%減の46兆8,160億円の収入見込み額となる。税外収入については、前年度当初比22.4%増の4兆4,140億円が見込まれており、その主なものは、外国為替資金特別会計受入金、日本銀行納付金、日本中央競馬会納付金及び国有財産売払収入等である。

公債発行額については、年度当初比5.9%増の30兆円を予定しており、公債依存度は36.9%(平成13年度当初予算34.3%、同補正後34.7%)となった。

特別会計及び政府関係機関の予算についても、資金の重点的、効率的な配分に努め、事業の適切な運営を図ることとしている。特別会計の数は37、政府関係機関の数は9で、いずれも前年度と同様である。

財政投融資計画については、財政投融資改革、行財政改革の趣旨にのっとり、全体規模を縮減しつつ、対象事業の重点化を図ることとしている。その規模は、前年度当初計画に対して17.7%減の26兆7,920億円となっている。

2 審議経過

平成13年度補正予算成立後の平成14年2月4日、衆議院予算委員会では、予算の実施状況に関する件について、アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO出席問題、BSE問題等に関する質疑が行われた。

また、同日の本会議では、小泉内閣総理大臣、川口外務大臣、塩川財務大臣及び竹中経済財政政策担当大臣から、それぞれ施政方針、外交、財政及び経済に関する演説が行われた。

本会議終了後、野党側は、BSE問題が国内に与えた甚大な影響について、政府及び農林水産省の重大な失態によりもたらされたものであるなどとして、農林水産大臣不信任決議案を提出したが、同決議案は、翌5日の本会議において、与党側の反対多数により否決された。

施政方針演説等政府4演説に対する各党の代表質問は、同月6日から8日までの3日間衆・参本会議で行われた。この中では、景気回復への取組姿勢、田中前外務大臣の更迭問題、BSE問題、医療制度改革及び有事法制問題等に関する質疑が行われた。

同月6日、公共工事を巡る口利き事件で摘発された経営コンサルタント会社「業際都市開発研究所」が、鹿野道彦議員の秘書給与を負担していた問題で、同議員は、事実関係を認めた上で民主党を離党することを表明した。

同月8日、委員会において塩川財務大臣から平成14年度予算3案の提案理由の説明を聴取した。同日の理事会では、政府から、アフガニスタン復興支援国際会議に係るNGOを巡る外務省の対応に関する調査結果が提出された。しかし、この内容は、田中前外務大臣、鈴木議員及びNGO関係者との一連のやりとりを時系列的に記述したものであり、鈴木議員が直接関与したかどうかについて言及しておらず、野党側は、同問題に関し、引き続き政府側を追及する姿勢を示すこととなった。

基本的質疑は、同月12日及び13日に開かれた。

12日の質疑では、野党側は、同調査結果について、これまでの小泉内閣総理大臣の答弁との矛盾を指摘するとともに、田中前外務大臣の了承を得たものであるか等の質疑が、翌13日の質疑では、国後島友好の家(緊急避難所兼宿泊施設)建設及びケニア共和国のソンドゥ・ミリウ水力発電事業への鈴木宗男議員の関与について質疑がそれぞれ行われた。この他、鈴木議員を巡っては、同議員の外遊に特定の外務省職員(国際情報局主任分析官)が頻繁に同行しているとの指摘があり、これについての質疑が行われた。

同月14日、15日、20日及び21日に質疑が行われた。

14日の質疑で、川口外務大臣は、鈴木議員の外遊に特定の外務省職員が頻繁に同行していた問題で、外務省側が国会答弁作成のため、事前に鈴木議員に対し、確認を求めていたことを明らかにしたが、答弁内容のすり合わせについては否定した。

15日の質疑では、アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO出席問題で予算委員会が紛糾した1月24日の夜、当事者である鈴木議員と外務省幹部が会合していたことが取り上げられた。野党側は、NGO出席問題に関して外務省と鈴木議員が答弁のすり合わせを行ったのではないかなどと追及し、審議はたびたび中断した。また、同日の理事会では、同月20日に田中前外務大臣及び鈴木宗男議員に対する参考人質疑を行うことを決定した。

20日の午前、NGO問題について田中前外務大臣及び鈴木議員に対する参考人質疑が行われ、午後には外務省問題について、それぞれ質疑が行われた。

田中前外務大臣は、アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO出席問題で、鈴木議員の関与があったとの見方を改めて強調した。また、自らの外務大臣更迭について、総理の判断は間違っていると述べ、小泉内閣総理大臣の対応を厳しく批判した。

一方、鈴木議員に対しては、NGO問題のほか、北方四島支援事業の入札を巡る関与の問題、ケニア共和国のソンドゥ・ミリウ水力発電事業への関与の問題、特定の外務省職員との関係を巡る外務省人事への介入問題、さらには、外国人私設秘書が外交官の身分を有していることの真偽等、さまざま様々な問題が追及された。これに対し、同議員は、外交問題への積極的姿勢を示すとともに、指摘を受けた問題については、関与の否定、事実誤認などの答弁に終始した。

午後の質疑では、小泉内閣総理大臣も出席し、外務省を巡る一連の質疑が行われた。この中で、田中前外務大臣の更迭について、小泉内閣総理大臣は、外交問題や国会の正常化などを踏まえ、総合的に判断した旨の答弁、また、NGO問題については、これまでの政府見解を田中前外務大臣が了承していることもあり、政府側から改めて調査する必要はない旨の見解が示された。

質疑の後、公聴会開会承認要求の件について、協議決定した。

21日の質疑においては、鈴木議員の外国人私設秘書がコンゴ民主共和国大使の交代を巡るトラブルに関与していたのではないかとの疑惑が追及された。

こうした事態を踏まえ、小泉内閣総理大臣は、翌22日川口外務大臣に対して、鈴木議員の関与が指摘されている北方四島支援事業を巡る問題について、10日以内に報告をまとめるよう指示した。

同月25日の理事会では、分科会の日程について与党側から提案されたが、鈴木議員の証人喚問を求める野党側は、環境が整っていないなどとして拒否していた。このため、翌26日の委員会において野党側委員が退席する中、採決を行い、3月1日及び4日に分科会審査を行うことを決定した。

2月27日及び28日に公聴会を開会した。

28日の理事会では、野党側から、鈴木議員の証人喚問が平成14年度総予算の採決の前提であるとして、与党側に同日中の結論を求めるとの要求を行った。これに対し与党側からは、3月4日にも提出が見込まれる外務省の調査結果を踏まえ判断するとの意向が示されたことから、野党側が持ち帰り協議することとなった。同日夕刻に再開された理事会で、野党側から、改めて早期の証人喚問の実施が要求されたため、協議は平行線をたどり、野党側は、翌日からの審査(分科会)を拒否する姿勢を示した。

こうして3月1日及び4日に開会された分科会は、野党側欠席のまま質疑が行われたが、与党側が鈴木議員の証人喚問に応じたことから、4日の分科会散会後、野党側も出席して委員会が開会され、同月11日に証人として鈴木議員の出頭を求めることを決定した。

同月4日、外務省は、鈴木議員による北方四島支援事業の入札関与などの一連の疑惑に関する調査結果報告書を提出した。同報告書は、同事業のうち、国後島の緊急避難所兼宿泊施設及び同島の桟橋改修工事の2件の入札について、鈴木議員が参加決定に深く関与していたと断定し、同議員の意向を推し量り実現する方向に動いた外務省と同議員との関係を異常と総括した。

翌5日には、小泉内閣総理大臣が出席し、デフレ対策及び外務省問題について、質疑を行った後、分科会の主査報告を聴取した。

翌6日、野党側は、これまでの外務省を巡る一連の疑惑への対応や、分科会の開催の議決、予算の採決の日程などについて、津島予算委員長の委員会運営を批判し、同日の本会議に、予算委員長解任決議案を提出したが、否決され、本会議は休憩となった。

本会議休憩中、予算委員会の締めくくり質疑が行われ、平成14年度予算の質疑は終局した。

質疑の主なものは次のとおりである。

第1に、財政問題について、「平成14年度予算は改革色の強い予算であると考えるが、この14年度予算をどのように評価するか」との趣旨の質疑があった。これに対して、小泉内閣総理大臣及び塩川財務大臣から「国債発行30兆円枠を維持できたことは、財政の規律を見直す第一歩となる。今までのように一律削減ではなく、むだなところを5兆円削減し、重点分野に2兆円を配分して、財政構造にも手をつけた。景気にも十分配慮しなければならない状況で、新しい改革の第一歩を踏み出した予算である」、「13年度、14年度を通して財政にひとつの節度ができ、また、行政が国家資金の使途に厳しい認識を持てるもてるようになってきた」旨の答弁があった。

また、「政府の『構造改革と経済財政の中期展望』では、2006年度にプライマリーバランスの対GDP比を現状の半分にする、としているが、そのための具体論が書かれていない。中長期的な財政再建を実現するための具体的な方法を示すべきではないか」との趣旨の質疑があり、これに対して、小泉内閣総理大臣から、「今後、構造改革を進めていく上で、どの分野を削減して、どの分野を増やすかという点については、経済全体の情勢を見て考えていくべきものであり、現時点であらかじめ削減方向を決めて継続することには危険な面もある」旨の答弁があった。

第2に、デフレ対策について、「デフレ阻止に向けて、どのような対策を実施すべきと考えているのか」との趣旨の質疑があった。これに対して、竹中経済財政政策担当大臣から、「金融仲介機能の低下によって、総需要が抑制されているので、不良債権の終結に向けて努力しなければならない」、「一層の金融緩和に向けて、日本銀行にできることを柔軟かつ大胆にやっていただく」、「資産デフレに関しては、銀行等保有株式取得機構の活用や空売りに対する合理的な規制による市場活性化策が考えられる」、「中小企業に対する金融面でのセーフティネットを確保する」旨の答弁があった。

第3に、雇用対策について、「雇用情勢の見通しと雇用対策への取組姿勢はどうなっているのか」との趣旨の質疑があった。これに対して、小泉内閣総理大臣及び坂口厚生労働大臣から、「雇用情勢は非常に厳しい状況にある。この状況は、しばらく続く可能性があり、雇用情勢への対応を積極的にやる必要がある」、「構造改革を進める上で、雇用対策は必要な対策であり、これを進めることで構造改革が可能になる。」旨の答弁があった。

第4に、医療制度改革について、「医療制度改革で、平成15年4月より、サラリーマンの患者負担を3割に引き上げる方針であるが、そのことが抜本改革とどう結びつくのか」との趣旨の質疑があった。これに対して、小泉内閣総理大臣及び坂口厚生労働大臣より「国民皆保険制度を将来も維持可能な制度にするためには、給付と負担の見直しの問題は避けられず、負担を後回しにできる状況ではない。抜本改革と3割負担を同時に進め3割負担の時期を示すことで、抜本改革が進むと考えている」旨の答弁があった。

第5に、外務省に関する諸問題について、外務省改革の必要性、アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO出席問題、北方四島支援事業に関する問題及びアフリカ諸国に対する我が国ODAに関する問題等について質疑が行われた。

以上のほか、金融機関に対する公的資金投入の有無、日本銀行の金融政策の在り方、不良債権問題、特殊法人改革、BSE問題に関する行政の責任及び政治倫理確立の必要など、国政の各般にわたって熱心な質疑が行われた。

締めくくり質疑終了後、民主党、自由党、共産党及び社民党の野党4党から提出された「一般会計予算に対する修正案」について趣旨の説明を聴取し、討論、採決の結果、修正案は否決され、平成14年度予算3案はいずれも原案のとおり可決された。

なお、「修正案」は、平成14年度外務省予算の「国際分担金其他諸費」約1,198億円から、支援委員会拠出金相当額約10億5千万円を減額し、同額の予備費増額を行うものとしており、これまでの審査の中で問題視された支援委員会にかかる予算の執行体制について、見直しを求めたものである。

委員会終了後、再開された本会議において民主党、自由党、共産党及び社民党の野党4党等から提出された「平成14年度予算3案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議」について、趣旨弁明があり、討論の後、動議は否決され、記名投票による採決の結果、賛成286、反対187で平成14年度予算3案は可決され、参議院に送付された。平成14年度予算の委員会付託から衆議院通過までに要した日数は41日、審査開始から終了までの日数は27日である。

予算の衆議院通過後も鈴木宗男議員を巡る疑惑は、連日のように新聞等で報道され、また、自民党の加藤紘一議員事務所元代表の脱税容疑による逮捕(3月8日)や社民党の辻元清美議員の秘書給与に関する疑惑など、議員及び秘書を巡る問題が次々と生じてきた。

3月11日、衆議院予算委員会で鈴木宗男証人に対する尋問が行われた。この中で同証人は、北方四島支援事業など一連の入札疑惑への一定の関与は認めたものの、具体的な業者選定への関わりは否定するとともに、金銭の授受については政治資金規正法に基づくものであると主張した。また、ケニア共和国のソンドゥ・ミリウ水力発電所建設工事を巡る疑惑に対しては、平成11年のケニア訪問時に同工事を初めて知ったと証言し、これ以前から始まっている同工事への関与を否定した。さらに、外国人私設秘書の身分については、民間人との認識を持っていたなどと証言した。

同月15日、さまざまな疑惑の渦中にあった鈴木議員は、「党に迷惑をかけた」として自民党を離党。一方、既に脱税容疑で事務所元代表が逮捕された加藤議員も、同月18日、自民党を離党した。

このように鈴木議員、加藤議員及び鹿野議員がそれぞれ離党する事態となる中、社民党の辻元清美議員が、政策秘書の名義を別の議員の秘書から借り、給与を詐取したとの疑惑が週刊誌に掲載された。この記事に対し、辻元議員は、3月20日午前、社民党本部で記者会見し、事実関係を全面的に否定した。

同月25日、辻元議員の政策秘書を巡る問題で、社民党は同党調査委員会の中間報告書を公表した。この中では、辻元議員の事務所が、政策秘書の給与を人件費に使用していたことや、政治資金規正法の寄附報告を欠いていたことを認め、同議員の20日の記者会見に重大な誤りがあるとした。しかし、政策秘書の名義借りについては、否定した。

翌26日、辻元議員は秘書給与の不正受給の責任をとって、綿貫衆議院議長に議員辞職願を提出した(同月28日辞職許可)。この後、他の議員秘書の勤務実態を巡る問題がたびたび報道されることとなった。

参議院の予算委員会は、2月28日に塩川財務大臣から趣旨説明を聴取し、3月7日及び8日に基本的質疑を行った。同月11日から質疑を行い、12日に外務省問題に関する集中審議、18日に財政・経済・雇用に関する集中審議、19日公聴会、20日及び22日に委嘱審査、26日食品安全及び医療問題に関する集中審議を行った。同月27日には締めくくり質疑の後、討論、採決を行い、平成14年度予算3案は、賛成多数で可決された。同日の本会議において、討論の後、記名投票による採決の結果、平成14年度予算3案は、賛成140、反対102で可決された。

なお、第154回国会閉会中の9月5日の委員会において、鈴木宗男議員を偽証告発することに決定した。これは、3月11日の委員会(証人喚問)における鈴木議員の[1]島田建設株式会社側からの金銭の供与の有無に関し、政治資金規正法に基づくお世話にはなっている旨、[2]国際協力事業団によるモザンビーク共和国の洪水災害への国際緊急援助隊の派遣に関し、これに反対し、あるいは、異議を述べることはあり得ない旨、[3]島田建設株式会社側による秘書給与の肩代わりに関し、その事実関係を承知していない旨の証言は、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第6条に該当するものと認め、同法第8条により告発したものである。


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