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第154回国会

[1] 自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案(内閣提出 第28号)

成立(平成14年法律第9号)

本案は、近年の競輪及びオートレースをめぐる環境の変化に対応した構造改革を進めるため、各施行者の事業収支改善に向けた取組に資する所要の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 自転車競技法の一部改正

1 施行者から日本自転車振興会へ交付すべき交付金の交付率を定めた別表第一及び別表第二の売上区分について、各別表制定当時からの消費者物価上昇を基本として見直し、施行者の負担軽減を図る。

2 事業の再建に取り組む赤字施行者に対し、「事業収支改善計画」の作成等を条件として、交付金の支払いを最長3年分猶予する。

3 交付金支払いの猶予を受けた施行者の収支の改善が達成されず、場外車券売場への転換又は競輪事業からの撤退を決断した場合、それらに必要となる費用に充てるため、猶予された交付金の交付義務の全部又は一部を免除する。

4 現行法上、自転車競技会にのみ委託できることとなっている競輪関係事務のうち、車券販売事務その他の競輪の実施に関する事務を他の地方公共団体又は私人に対して委託することができることとする。

5 日本自転車振興会の貸付業務の対象を自転車に関する業務に限定する。

6 ノミ行為等の違法行為に対する罰則を強化する。

二 小型自動車競走法の一部改正

1 一に掲げた自転車競技法の改正と同趣旨の改正を行う。

2 場外車券売場の設置等に関する規定を自転車競技法並みに明確化する。

三 施行期日等

1 日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会へ交付すべき交付金の交付率を定めた別表第一及び別表第二の売上区分の改定については、平成14年4月1日又は本法公布日のいずれか遅い日とする。

2 競輪及びオートレースの実施に関する事務の委託に関する規制を緩和する規定は、公布日から1年6箇月以内で政令の定める日とする。

3 1、2以外については、公布から1年以内で政令の定める日とする。

4 所要の経過措置等を定める。

(修正要旨)

政府は、平成18年3月31日までの間に、この法律による改正後の自転車競技法及び小型自動車競走法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。

[2] 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第30号)(参議院送付)

成立(平成14年法律第24号)

本案は、近年の技術革新の著しい進展、経済社会の情報化等にかんがみ、特許法、商標法その他の工業所有権関係法律について、権利保護の強化、出願人の負担軽減、審査の効率化及び我が国工業所有権制度の国際的調和を図るため、所要の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 発明についての実施の定義の見直し

特許法上の「物」にプログラム等が含まれることを明確にするとともに、プログラム等の発明の実施に電気通信回線を通じた提供が含まれることを明確にする。

二 特許権等の侵害とみなす行為の見直し

侵害とみなす行為として、特許が物の発明についてされている場合等において、その物の生産等に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であってその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為を加える。

三 明細書からの請求の範囲の分離

特許出願の願書に添付する明細書から特許請求の範囲を分離し、別の書面とする。

四 文献公知発明に係る情報の開示に関する制度の導入

特許を受けようとする者は、その発明に関連する文献公知発明(特許出願前に刊行物等に記載された発明をいう。)のうち、特許出願の時に知っているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を発明の詳細な説明に記載することとする。

五 国際特許出願に係る手続の整備

1 国内書面提出期間を一律に2年6月とするとともに、外国語特許出願について国内書面とともに提出しなければならない日本語による翻訳文について、国内書面の提出の日から2月以内に翻訳文を提出できることとする。

2 世界貿易機関の加盟国における出願に基づく国際特許出願について、パリ条約の例による優先権の主張手続に関する規定を適用しないこととする。

六 標章についての使用の定義の見直し

標章の使用に、商品に標章を付したものを電気通信回線を通じて提供する行為、電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為及び広告、価格表又は取引書類を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為が含まれることを明確にする。

七 マドリッド協定の議定書に規定する国際登録に係る手続の整備

1 国際登録に基づく商標権の個別手数料を国際登録前と国際商標登録出願について商標登録をすべき旨の査定又は審決があったときとに分けて納付しなければならないこととする。

2 国際商標登録出願については、商標登録を受けようとする商標の補正をすることができないことを明確にする。

八 その他

実用新案法及び意匠法について、特許法の改正に準ずる所要の改正を行う 他、関係規定の整備を行う。

九 施行期日

この法律は、一部の規定を除き公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附帯決議(14.4.10)

政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一 近年の特許等出願件数の急増及び国際出願の増加にかんがみ、先端技術分野における審査能力の一層の向上や先行技術調査に係る民間活力の積極的援用を含め、審査期間の更なる短縮を図り、特許権等の迅速かつ的確な権利付与に努めること。

二 人材の流動化と能力主義の導入が進むなかで、職務発明に係る知的財産の適正な取扱いや、成果に見合った研究者の適正な処遇による我が国への「知恵」の集積の促進等について、所要の検討を行うこと。

三 近年の営業秘密の漏えいや不正使用、アジア地域における模倣品被害の拡大等にかんがみ、我が国における研究開発や知的創造活動の成果について、その適切かつ実効性のある保護のあり方、我が国産業の国際競争力強化に資する戦略的な活用のあり方等に係る必要な施策の検討に早急に取り組むこと。

[3] 弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第31号)(参議院送付)

成立(平成14年法律第25号)

本案は、近年の技術革新の進展及び経済社会の情報化等に伴い、知的財産関連の侵害訴訟の件数が急増している情勢にかんがみ、裁判所における訴訟処理の迅速化を図るため、一定の要件を満たす弁理士に訴訟代理権を認めるための所要の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 特定侵害訴訟代理業務

1 弁理士は、特定侵害訴訟代理業務試験に合格し、かつその旨の付記を受けたときは、特定侵害訴訟(特許、実用新案、意匠、商標若しくは回路配置に関する権利の侵害又は特定不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟)に関して、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、その訴訟代理人となることができる。

2 訴訟代理人となった弁理士が期日に出頭するときは、弁護士とともに出頭しなければならないものとし、また、訴訟代理人となった弁理士は、裁判所が相当と認めるときは、単独で出頭することができる。

二 特定侵害訴訟代理業務試験

特定侵害訴訟代理業務試験は、特定侵害訴訟に関する訴訟代理人となるのに必要な学識及び実務能力に関する研修であって経済産業省令で定めるものを修了した弁理士に対し、当該学識及び実務能力を有するかどうかを判定するため、論文式による筆記の方法により行う。

三 特定侵害訴訟代理業務の付記

1 弁理士は、その登録に特定侵害訴訟代理業務試験に合格した旨の付記(以下「特定侵害訴訟代理業務の付記」という。)を受けようとするときは、日本弁理士会に付記申請書を提出しなければならない。

2 日本弁理士会は、特定侵害訴訟代理業務の付記の申請を受けたときは、速やかに、当該弁理士の登録に特定侵害訴訟代理業務の付記をしなければならない。

3 日本弁理士会は、特定侵害訴訟代理業務の付記をしたとき、及びその付記の抹消をしたときは、遅滞なく、その旨を官報をもって公告しなければならない。

四 特許業務法人

特許業務法人は、特定侵害訴訟代理業務に関する規定により弁理士が処理することができる事務を、当該特許業務法人の社員又は使用人であって特定侵害訴訟代理業務の付記を受けた弁理士に行わせる事務の委託を受けることができる。

五 施行期日

この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附帯決議(14.4.10)

政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一 弁理士に対する訴訟代理権付与に伴う研修及び試験のあり方については、研修の修了基準や試験の細目等について、その実施状況にかんがみ不断に見直しを行うとともに、その実施について、弁理士の更なる地域偏在を助長することのないよう配慮すること。

二 弁理士の先端技術分野に係るバックグラウンドを充実し、国際的な業務展開能力を涵養するため、弁理士の業務研修のあり方等、弁理士の専門性向上に係る必要な施策について検討を進め、弁理士の資質の向上を図ること。

三 弁理士の知的財産関連訴訟への関与のあり方については、特定侵害訴訟における弁理士の単独出廷について、弁護士との共同出廷の原則を踏まえつつ、その柔軟な運用に配意がなされることを期待するとともに、利用者のニーズを十分に踏まえ、将来的に弁理士の専門的知見の訴訟審理へのより的確な反映がなされるよう、弁理士の単独受任と弁護士法との関係等を含めて、広範な論議を進めること。

四 近年、知的財産権紛争が急速に国際化している状況にかんがみ、弁理士の訴訟代理権が国際的な整合性を確保できるよう更に検討を進めるとともに、国際的に通用する知的財産専門の人材の育成に努めること。

[4] 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第32号)

成立(平成14年法律第31号)

本案は、新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定の適確な実施を確保するため、通信端末機器、無線機器及び電気製品に係る国外適合性評価事業に関する認定等に必要な事項を定めるほか、電気通信事業法、電波法及び電気用品安全法の特例を定める等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 題名

題名を「特定機器に係る適合性評価の欧州共同体及びシンガポール共和国との相互承認の実施に関する法律」に改める。

二 目的

新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定(以下「協定」という。)の適確な実施を確保するため、国外適合性評価事業の実施に必要な事項を定めるほか、電気通信事業法、電波法及び電気用品安全法の特例を定める等の措置を講じ、もって我が国とシンガポール共和国との間の特定機器の輸出入の円滑化に資することを目的に追加する。

三 定義

特定輸出機器として、協定の分野別附属書に掲げるシンガポール共和国の関係法令等に定める通信端末機器及び無線機器並びに電気製品を追加する等、規定の整備をする。

四 国外適合性評価事業の認定関係

特定輸出機器に関しシンガポール共和国の関係法令等に定める技術上の要件について適合性評価の事業を行おうとする者は主務大臣の認定を受けることができることとする、主務大臣が所要の監督を行うことができることとする等、規定の整備をする。

五 電気通信事業法等の特例関係

協定に基づき登録を受けたシンガポール共和国の適合性評価機関が実施した特定輸入機器に係る適合性評価の結果を、電気通信事業法、電波法及び電気用品安全法における適合性評価の結果とみなす等、電気通信事業法等の特例に係る規定の整備をする。

六 施行期日

この法律は、一部を除き、協定の効力発生の日から施行する。

附帯決議(14.4.3)

政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。

一 本法の施行により我が国とシンガポール間の貿易の促進が期待されるが、同時に輸入の増大による国内産業への影響を緩和するため、政府は構造改革を進めながら、新規産業・市場の創出、人材の育成等適切な施策を講ずること。

二 近年の二国間あるいは地域間における自由貿易協定の締結に向けた国際的動向にかんがみ、政府は、経済連携協定が今後ともWTOの多国間主義と整合的でありこれを補完するものとなるよう努めながら、その締結の拡大に向けての取組みを進めること。

三 適正な競争原理の下で、認証に係るコストの低減、認証サービスの質的充実等利用者の利便性の向上を図るため、認証業務への一層の民間参入を促進するとともに、国際的にも信頼される認証機関の育成に努めること。

[5] 特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第39号)

成立(平成14年法律第28号)

本案は、通信販売等の特定商取引において電磁的方法による広告の提供が増加している現状にかんがみ、これらの特定商取引における取引の公正及び購入者等の利益の保護を更に図るため、その提供を受けることを希望しない旨の意思を表示した者に対する電磁的方法による広告の提供の禁止等の措置を講ずるものであり、その主な内容は以下のとおりである。

一 通信販売等についての広告表示事項の追加

通信販売、連鎖販売取引及び業務提供誘引販売取引についての広告を電子メールにより提供するとき(その相手方の求めに応じて広告をするとき、その他の経済産業省令で定めるときを除く。)は、当該広告に、その相手方が当該広告に係る販売業者等から電子メールによる広告の提供を受けることを希望しない旨の意思を表示するための方法を表示しなければならないものとする。

二 電子メールによる広告の提供を受けることを希望しない旨の意思の表示を受けている者に対する提供の禁止

通信販売、連鎖販売取引及び業務提供誘引販売取引について販売業者等が電子メールにより広告の提供をする場合において、その相手方から電子メールによる広告の提供を受けることを希望しない旨の意思の表示を受けているときは、その者に対し、電子メールによる広告の提供を行ってはならないものとする。

三 施行期日等

この法律は公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとするほか、所要の措置について定める。

附帯決議(14.3.29)

政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一 本法による規制の運用がITの進展に伴う新業態の創出や新規創業等の健全な事業の発展及びインターネットを利用した広告手法に係る技術革新を阻害することのないよう十分に配意すること。

二 電子メールにより提供される広告の対象が、今後多様な商品、サービス等に拡大していく可能性にかんがみ、指定商品及び役務等の指定追加については、引き続きその実態把握に努め、機動的な対応を行うこと。

三 本法の実効性を確保する観点から、違法行為の取締りにあたっては、関係省庁、地方自治体等との連携の緊密化により、機動的かつ厳正な行政措置を発動するとともに、そのための取締体制を整備すること。

四 今改正の内容について、消費者に十分な周知徹底を図るとともに、インターネット上での電子メールアドレス等の個人情報の取り扱いについての啓発を進めること。

また、携帯電話等の情報端末機器が若年層にも普及している状況にかんがみ、学校教育及び社会教育における消費者教育の一層の充実を図ることにより被害の未然防止に努めること。

五 迅速な苦情相談処理を図る観点から、いわゆる迷惑メールに係る消費者からの苦情相談等の窓口となる指定法人、全国の消費生活センター、電気通信事業者、業界団体等に対して本法の趣旨を徹底し、相談窓口間の十分な連携を図り、消費者への対応に遺漏なきを期すこと。

六 今改正により事業者に義務づけられる措置の内容については、事業者の負担軽減の観点から、早期に具体的かつ明確に提示し、その周知徹底を図り、混乱が生じることのないよう努めること。

七 情報通信技術の進歩に伴い生じる電子商取引に係る新たな課題に対しては、実態に即した対応を引き続き検討するとともに、電気通信事業者において講じられる技術的措置について、一層の向上及び普及が図られるよう官民連携しての対策推進に努めること。

八 本法をもって規制できないタイプの迷惑メールが今後生じた場合には、その状況を踏まえ、速やかに検討を加えること。

[6] 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第48号)

成立(平成14年法律第47号)

本案は、最近における経済情勢等にかんがみ、公正かつ自由な競争の促進による国民経済の一層の発展に資するため、大規模会社の株式保有総額の制限の廃止等を行うとともに、書類の送達規定等についての規定の整備を図り、併せて法人等に対する罰金の額を引き上げようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 会社による株式保有の制限に関する改正

1 大規模会社の株式保有総額の制限に係る規定を廃止する。

2 現行の持株会社規制を、事業支配力が過度に集中することとなる会社の設立等を禁止する規制に改める。

3 金融会社(銀行、保険会社、証券会社等)による他の国内の会社の議決権保有制限を、銀行又は保険会社による非金融会社の議決権保有制限に縮減する。

二 書類の送達について、外国における送達規定である民事訴訟法第108条の規定を新たに準用する等、書類の送達規定等についての規定の整備を行う。

三 私的独占、不当な取引制限等の違反について、法人等に対する罰金の上限額を1億円から5億円に引き上げる。

四 施行期日等

1 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、二、三については公布の日から起算して1月を経過した日から施行する。

2 所要の経過措置について定めるとともに、関係法律について所要の改正を行う。

附帯決議(14.4.17)

政府は、新法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである

一 事業支配力の過度集中に関して、公正取引委員会の考え方を明らかにするガイドラインの作成にあたっては、事業者の不必要な負担を軽減し円滑な事業遂行に資する観点から、判断基準を事業者が予測可能なものにするとともに、過度な規制とならないよう十分配慮すること。

二 経済社会構造を改革し、公正かつ自由な競争を通じて我が国経済を活性化させるため、規制緩和とともに競争政策の積極的な展開が求められている状況にかんがみ、公正取引委員会の体制等の一層の整備、強化を図るとともに、同委員会の政府部内における位置付けについては、厳格な独立性、中立性を確保する観点からよりふさわしい体制への移行を検討すること。

三 経済の国際化に伴い、我が国の市場に影響を及ぼす国際カルテルや反競争的な企業結合等に対応するため、競争分野における二国間協力協定の締結を進めるとともに、多国間での協定締結に向けて我が国が主導的な役割を果たすこと。

四 世界的な大競争時代における産業再編を通じて、企業間の規模の較差がさらに拡大することにより、不公正な取引の強要など中小企業、信用金庫等が不利益を被ることがないよう、下請取引の適正化、独占禁止法の厳正な執行に万全を期すること。

五 独占禁止法違反行為に対する抑止力の強化の観点から、課徴金、刑事罰や公正取引委員会の調査権限の在り方を含めた違反行為に対する措置体系全体について早急に見直すこと。

六 この法律の施行後、経済的・社会的環境の変化を見究めるとともに、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、速やかに新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

[7] エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第75号)

成立(平成14年法律第59号)

本案は、我が国におけるエネルギー消費の構造的な変化、大量のエネルギー消費が環境に及ぼす影響に対する懸念の高まり等のエネルギーをめぐる経済的社会的環境の変化に応じた燃料資源の有効な利用の確保を図るため、第一種エネルギー管理指定工場の対象を拡大するとともに、特定の建築物の建築をしようとする者にその建築物の設計及び施工に係る一定の事項の届出を義務づける等の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 第一種エネルギー管理指定工場の対象業種限定要件を撤廃する。

二 第一種エネルギー管理指定工場ごとに、エネルギー管理士免状の交付を受けている者のうちから、エネルギー管理者を選任する義務が課されている第一種特定事業者のうち次に掲げる者(以下「第一種指定事業者」という。)については当該義務を課さない。

1 第一種エネルギー管理指定工場のうち製造業その他の政令で定める業種の事業の用に供する工場であって、専ら事務所その他これに類する用途に供するもののうち政令で定めるものを設置している者

2 第一種エネルギー管理指定工場のうち二の1に規定する業種以外の業種の事業の用に供する工場を設置している者

三 第一種指定事業者は、次に掲げる者のうちから、エネルギー管理員を選任しなければならない。

1 経済産業大臣又はその指定する者が行うエネルギーの使用の合理化に関し必要な知識及び技能に関する講習の課程を修了した者

2 エネルギー管理士免状の交付を受けている者

四 三の1に掲げる者のうちからエネルギー管理員を選任した第一種指定事業者は、中長期的な計画を作成するときは、エネルギー管理士免状の交付を受けている者を参画させなければならない。

五 第二種特定事業者は、毎年、第二種エネルギー管理指定工場に係る燃料等又は電気の使用の状況等を主務大臣に報告しなければならない。

六 建築主に対して、住宅を除く建築物の設計及び施工に係る事項について必要な指導及び助言をすることができる権限等を国土交通大臣から所管行政庁に委譲する。

七 特定建築物の建築主は、当該特定建築物の設計及び施工に係る事項のうち当該特定建築物の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止及び当該特定建築物に設ける空気調和設備等に係るエネルギーの効率的利用のための措置に関するものを所管行政庁に届け出なければならない。

八 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとするほか、所要の規定の整備を行う。

[8] 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案(内閣提出 第76号)

成立(平成14年法律第62号)

本案は、内外の経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な供給を確保し、及び環境の保全に資するため、電気事業者の供給する電気の量のうち一定量以上の量の電気を風力を変換して得られる電気その他の新エネルギー等電気とする等の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 この法律において、「電気事業者」とは、電気事業法に規定する一般電気事業者、特定電気事業者及び特定規模電気事業者をいう。

二 この法律において「新エネルギー等」とは、風力、太陽光、地熱、水力(政令で定めるものに限る。)、バイオマスを熱源とする熱及び石油を熱源とする熱以外のエネルギーであって政令で定めるものをいう。

三 経済産業大臣は、4年ごとに、総合資源エネルギー調査会の意見を聴いて、当該年度以降の8年間についての電気事業者による新エネルギー等電気の利用の目標を定めなければならない。

四 電気事業者は、毎年度、新エネルギー等電気の基準利用量(その電気事業者が当該年度において利用すべきものとして、前年度における電気の供給量を基礎として算定される新エネルギー等電気の量をいう。)等の事項を経済産業大臣に届け出るとともに、基準利用量以上の量の新エネルギー等電気を利用しなければならない。

五 電気事業者は、他の電気事業者がその基準利用量を超える量の新エネルギー等電気を利用する場合において、当該他の電気事業者の同意を得たときは、経済産業大臣の承認を受けて、その超える分に相当する新エネルギー等電気の量を自らの基準利用量から減少することができる。

六 経済産業大臣は、電気事業者の新エネルギー等電気を利用する量が基準利用量に達していない場合において、正当な理由がないと認めるときは、新エネルギー等電気を利用すべきことを勧告することができるとともに、新エネルギー等電気を利用する量が基準利用量に達していない程度が経済産業省令で定める基準に該当すると認めるときは、新エネルギー等電気を利用すべきことを命ずることができる。

七 新エネルギー等を電気に変換する設備を用いて発電し、又は発電しようとする者は、設備又は発電の方法が経済産業大臣が定める基準に適合していることにつき、経済産業大臣の認定を受けることができる。

八 六による命令に違反した者は100万円以下の罰金に処することその他所要の罰則を定める。

九 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。但し、三から六まで及び八に係る部分については、平成15年4月1日から施行する。

十 所要の経過措置その他所要の規定について定める。

十一 政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、検討を加え、必要な措置を講ずる。

附帯決議(14.4.26)

政府は、本法の施行に当たり、エネルギー源の多様化及び地球温暖化対策の一層の推進を図るため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一 新エネルギー等の範囲を政令で定めるに当たっては、廃棄物発電なかんづく廃プラスチック等の石油起源廃棄物を燃料とする産業廃棄物発電の取扱いについて、抑制的観点に立ち、関係大臣と十分協議の上、循環型社会形成の基本的原則にのっとり、マテリアルリサイクルの推進を阻害することのないよう、かつ、地球温暖化の防止に資するよう二酸化炭素排出量の削減に十分配慮すること。本制度の下、廃棄物発電の導入への傾斜により他の新エネルギー等の導入が停滞しないよう努めること。

二 新エネルギー等電気の利用目標については、新エネルギー等の普及の現状及びエネルギーの需給状況等を勘案し、真に新エネルギー等の市場拡大に資するよう、審議会の場において十分討議し、適切な水準となるよう定めること。また、基準利用量等に関する具体的運用方法等について、新エネルギー等発電事業者その他の関係者の意見を十分聴取するとともに、電気事業者について利用義務の達成に支障が生じることのないよう、新エネルギー等の取引環境の整備に努めること。

三 新エネルギー等の普及を一層促進するため、関係税制等の整備に努めること。また、事業者等への助成策の充実強化を図るとともに、電力系統連系対策等に関する財政的支援等についても今後検討を進めること。政府においても、関係各省間の十分な連携を図りつつ、率先して新エネルギー等の導入に努めること。

四 本制度の実施が円滑に行われるよう、法施行までの間において、関係事業者に対し、本制度について十分な周知を図るとともに、必要な指導、助言を行うよう努めること。

五 政省令の検討及び今後の本制度の見直しを行うに当たっては、当委員会の審議経過及び自然エネルギー推進の諸提言等を踏まえ、適切に取り組むこと。

[9] 使用済自動車の再資源化等に関する法律案(内閣提出第86号)

成立(平成14年法律第87号)

本案は、廃棄物の最終処分場のひっ迫など廃棄物処理をめぐる問題が深刻化している中で、循環型社会の実現に向けて、有用部品や金属を多く含み、再資源化による廃棄物の減量に大きな効果がある使用済自動車について、自動車製造業者等をはじめとする民間事業者の活力を最大限活かしつつ、使用済自動車に係る廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保等を図るため、自動車製造業者等及び関連事業者による使用済自動車の引取り及び引渡し並びにその再資源化等を適正かつ円滑に実施するための措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 自動車製造業者及び輸入業者(以下「自動車製造業者等」という。)は、自ら製造又は輸入した自動車が使用済となった場合に生ずる自動車破砕残さ、指定回収物品及びカーエアコン用フロン類を引き取り、自動車破砕残さ及び指定回収物品の再資源化を行うとともに、フロン類の破壊を行うことについて義務を負うこととする。なお、義務履行が困難な小規模事業者の委託を受けた場合や自動車製造業者等が存在しない場合等においては、指定再資源化機関が再資源化等に必要な行為等を実施することとする。

二 引取業者及びフロン類回収業者の登録制度、解体業者及び破砕業者の許可制度を創設するとともに、これらの者の使用済自動車等の引取り及び引渡し義務並びに再資源化実施義務等について定める。

三 再資源化等に係る料金について、自動車製造業者等が自ら設定、公表することとし、必要な場合には主務大臣が勧告及び命令を行うこととする。また、当該再資源化等料金は、自動車の所有者があらかじめこれを負担し、当該自動車が使用済となって再資源化等が実施されるまで資金管理法人が管理を行うこととする。

四 関連事業者等は、使用済自動車等の引取り及び引渡しに際しては、情報管理センターに対し、当該使用済自動車等の車台番号その他の事項の報告義務を負うこととする。

五 その他、指定法人に関する事項、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の特例等の所要の規定の整備を行う。

六 この法律は、別段の定めのあるものを除き、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。なお、一及び四については、公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

七 自動車重量税の還付制度を創設する租税特別措置法の一部改正その他関係法律の整備を行うとともに、所要の経過措置等について定める。

附帯決議(14.6.7)

政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一 近年における廃棄物の発生量の増大、不法投棄が国民経済及び生活環境等に与える影響の重大性等にかんがみ、廃棄物及びリサイクル行政を一体的に進める見地から関係省庁間の緊密な連携を図り、不法投棄の防止等に資する十分な措置を講ずること。

二 使用済自動車の再資源化等に要する費用に関し、自動車の所有者に新たに再資源化等預託金の負担を求めることとなることにかんがみ、複雑かつ国際的にも高い負担水準となっている自動車関係諸税については、その簡素化、軽減に向けて早急に取り組むこと。

三 中古車輸出の際の再資源化預託金等の取戻し制度については、不適切な返還がなされないよう運用に努めるとともに、その施行状況を注視しつつ、将来的には必要に応じて当該費用を自動車の所有者に返還しない制度とすることも含め、そのあり方について適宜検討を行うこと。

四 指定回収物品の指定に当たっては、自動車の所有者の負担増加や事業者間の競争促進に十分に配慮しつつ、使用済自動車がリサイクルシステムにおいて概ね有価で流通する状況の創出、環境負荷の発生の防止等の観点から実態の把握に努め、指定の追加及び削除について機動的な対応を行うこと。

また、タイヤ、バッテリー等の個別部品のリサイクル対策についても適切に取り組むとともに、必要が生じた場合には法律上の対応を含め、速やかに対応すること。

五 使用済自動車のリサイクル率向上に向けて自動車破砕残さの減量化が喫緊の課題となっていることにかんがみ、自動車製造業者等において自動車の設計、原材料等についての最大限の工夫がなされることを促すとともに、解体業・破砕業における再資源化基準の設定に当たっては、経済性、効率性の観点から処理の実態を踏まえ、柔軟な対応を図ること。

六 資金管理法人、情報管理センター及び指定再資源化機関の指定に当たっては、法人運営の透明性・公開性の確保に努めるとともに、いやしくも天下り機関等との指摘を受けることがないよう、民間事業者の自主性の尊重及び組織の肥大化の防止に十分に配慮すること。

七 自動車が国際的に流通する製品であることにかんがみ、今後とも諸外国の動向も踏まえつつ、望ましい法制度のあり方につき検討すること。

また、技術開発の進展等により実際に要する使用済自動車の処理費用が再資源化等預託金を下回った場合の差額の扱いについては、全体として自動車の所有者の負担の軽減に資するよう、リサイクルに要した資金の状況が自動車の所有者に開示されるべく本法に基づき措置すること。

[10] 石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律案(内閣提出第99号)

成立(平成14年法律第93号)

本案は、特殊法人等改革基本法に基づいて平成13年12月に閣議決定された「特殊法人等整理合理化計画」を円滑に実施するため、石油公団及び金属鉱業事業団を廃止する等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 石油公団法及び金属鉱業事業団法を廃止する。

二 石油公団業務を整理して融資業務等を廃止するとともに資産処分業務を追加する。

三 現在石油公団が行っている国家石油備蓄を国の直轄事業とする。

1 国家備蓄石油及び国家備蓄施設を国に移管する。

2 石油の備蓄の確保等に関する法律を改正して国家備蓄石油の管理等に関する規定を設ける。

3 石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法を改正して国家備蓄石油等を同特別会計が所有するための規定を設ける。

四 金属鉱業事業団業務及び石油公団業務の一部を承継する新たな独立行政法 人の設立に伴い、廃止までの間の石油公団業務を公団保有資産の管理及び処分に限定する。

五 施行期日等

1 石油公団の融資業務等を廃止し資産処分業務を追加する規定はこの法律の公布の日から施行する。

2 国家石油備蓄の国の直轄事業化に関する規定は、この法律の公布の日から1年8ヵ月以内に施行する。

3 この法律の公布の日から1年9ヵ月以内に、金属鉱業事業団を廃止し、同事業団の業務及び石油公団業務のうちの石油開発指導、国家備蓄管理等の業務を新たに設立される独立行政法人に移管するとともに、石油公団の業務を公団保有資産の管理及び処分に限定する。

4 石油公団は、この法律の公布の日から3年以内に廃止する。

[11] 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法案(内閣提出第100号)

成立(平成14年法律第94号)

本案は、石油公団法及び金属鉱業事業団法の廃止等に関する法律に基づき金属鉱業事業団が解散し、石油公団が業務の一部を廃止することに伴い、それらの業務等を承継する独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構を設立するための措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、石油天然ガスの探鉱等及び金属鉱物の探鉱に必要な資金の出資と債務の保証、国家備蓄石油及びその施設の管理の受託、金属鉱業の鉱害防止等の業務を行う。

二 本機構はこの法律の公布から1年9ヵ月以内に設立する。

三 本機構設立後、石油公団が廃止されるまでの間は、同公団の既存契約に係る出資・債務保証については、同公団の臨時業務として行われるため、業務の対象とはしない。

[12] エネルギー政策基本法案(亀井善之君外6名提出、第153回国会衆法第6号)《自民、公明、保守》

成立(平成14年法律第71号)

本案は、エネルギーが国民生活の安定向上並びに国民経済の維持及び発展に欠くことのできないものであるとともに、その利用が地域及び地球の環境に大きな影響を及ぼすことにかんがみ、エネルギーの需給に関する施策に関し、基本方針を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、エネルギーの需給に関する施策の基本となる事項を定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 エネルギーの需給に関する施策についての基本方針

1 安定供給の確保

エネルギーの安定的な供給については、エネルギーの供給源の多様化、エネルギー自給率の向上及びエネルギーの分野における安全保障を図ることを基本として施策が講じられなければならない。また、他のエネルギーによる代替又は貯蔵が著しく困難であるエネルギーの供給については、特にその信頼性及び安定性が確保されるよう施策が講じられなければならない。

2 環境への適合

エネルギーの需給については、地球温暖化の防止及び地域環境の保全が図られたエネルギーの需給を実現し、併せて循環型社会の形成に資するための施策が推進されなければならない。

3 市場原理の活用

エネルギー市場の自由化等のエネルギーの需給に関する経済構造改革については、事業者の自主性及び創造性が十分に発揮され、エネルギー需要者の利益が十分に確保されることを旨として、規制緩和等の施策が推進されなければならない。また、この施策の推進に当たっては、国民生活の安定向上並びに国民経済の維持及び発展並びに地域及び地球の環境の保全のため、1及び2の政策目的が損なわれないよう十分配慮されなければならない。

二 国、地方公共団体及び事業者の責務並びに国民の努力について定める。

三 政府は、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るため、エネルギーの需給に関する基本的な計画(以下「エネルギー基本計画」という。)を定めるとともに、毎年、国会に、エネルギーの需給に関して講じた施策の概況に関する報告を提出しなければならない。

四 国は、国際的なエネルギー機関及び環境保全機関への協力等の国際協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めるとともに、エネルギーに関する知識の普及等に必要な措置を講ずるように努めるものとする。

五 この法律は、公布の日から施行することとするとともに、関係法律について所要の規定の整備を行う。

(修正要旨)

一 環境への適合に関する修正

「化石燃料以外のエネルギーの利用への転換」を、「太陽光、風力等の化石燃料以外のエネルギーの利用への転換」とするものとすること。

二 市場原理の活用に関する修正

安定供給の確保及び環境への適合を十分考慮しつつ、規制緩和等の施策が推進されなければならないものと条文を整理すること。

三 エネルギー基本計画に関する修正

1 経済産業大臣は、エネルギー基本計画について閣議の決定があったときは、エネルギー基本計画を、速やかに、国会に報告しなければならないものとすること。

2 政府は、少なくとも3年ごとに、エネルギー基本計画に検討を加えなければならないものとすること。

四 エネルギーに関する知識の普及等に関する修正

国は、エネルギーに関する情報の積極的な公開に努めるものとすること。

[13] 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案(田中慶秋君外5名提出、第153回国会衆法第15号)《民主》

否決

本案は、いわゆる官製談合を防止するため、公正取引委員会が各省各庁の長等に対して入札談合等関与行為を排除するための改善措置を要求することができるとともに、各省各庁の長等に対して入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償の請求及び当該職員に係る懲戒事由の調査を義務づけ、更に公正取引委員会と会計検査院との連携を強化する等の措置を定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 「入札談合等関与行為」の定義

この法律において「入札談合等関与行為」とは、国等の職員が入札談合等を行わせ、助長し、又は容易にすること及び職員が入札談合等が行われるおそれがあることを知りながら入札談合等を防止するための措置を講じないことをいう。

二 各省各庁の長等に対する改善措置の要求等

1 公正取引委員会は、入札談合等関与行為がある等と認めるときは、各省各庁の長等に対し、当該入札談合等関与行為を排除等するための改善措置を講ずべきことを求めることができる。

2 各省各庁の長等は、1による求めを受けたときは、必要な調査を行い、その結果に基づいて、当該入札談合等関与行為を排除等するために必要と認める改善措置を講ずるとともに、当該調査の結果及び講じた改善措置の内容を公表し、公正取引委員会に通知しなければならない。

3 公正取引委員会は、2の通知を受けた場合において、必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、意見を述べることができる。

三 職員に対する損害賠償の請求等及び職員に係る懲戒事由の調査

1 各省各庁の長等は、二の1による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為による国等の損害の有無及び当該入札談合等関与行為を行った職員に対して懲戒処分をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならない。

2 各省各庁の長等は、1の調査の結果、国等に損害が生じたと認めるときは、当該入札談合等関与行為を行った職員の賠償責任の有無及び国等に対する賠償額についても必要な調査を行わなければならない。

3 各省各庁の長等は、2の調査の結果、当該入札談合等関与行為を行った職員が故意又は過失により国等に損害を与えたと認めるときは、当該職員に対し、速やかにその賠償を求めなければならない。

四 損害額についての公正取引委員会の意見

入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、遅滞なく、公正取引委員会に対し、当該職員の入札談合等関与行為によって生じた損害の額について、意見を求めなければならない。

五 公正取引委員会による会計検査院への通知

公正取引委員会は、入札談合等関与行為がある等と認めるときは、その旨 を会計検査院に通知しなければならない。

六 施行期日

この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

[14] 入札談合等関与行為の防止その他の入札及び契約の適正化等に資するための予算執行職員等の責任に関する法律等の一部を改正する法律案(田中慶秋君外5名提出、第153回国会衆法第16号)《民主》

審査未了

本案は、入札談合等関与行為の防止その他の入札及び契約の適正化等に資するため、予算執行職員の弁償責任等の厳格化及び対象の拡大並びに会計検査院の権限の強化及び地方公共団体の監査機能の拡充を図るとともに、公共工事の入札及び契約に係る適正化指針に定める事項を整備する等の措置を講じるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 予算執行職員等の責任に関する法律の一部改正

1 予算執行職員は、故意又は過失により第3条第1項の規定に違反して支出等の行為をしたことにより国に損害を与えたときは、弁償責任を負わなければならない。

2 公団等(国が資本金の2分の1以上を出資している法人であって公庫等以外のものをいう。)の予算執行職員についても、会計検査院による弁償責任の検定、懲戒処分の要求等の規定を準用する。

二 会計検査院法の一部改正

1 検査官の数を3人から5人に増員し、検査官の定年を満65歳から満70歳に引き上げる。

2 会計検査院は、検査上の必要により、その職員に、必要な場所に立ち入らせ、帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

3 何人も、会計に関係のある犯罪、現金、有価証券その他の財産の亡失その他会計経理に関し法令に違反し又は不当であると認める事実があるときは、会計検査院に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

4 会計検査院は、検査の結果国の契約に関し、独占禁止法第3条又は第8条第1項第1号に違反する行為があると疑うに足りる事実があるときは、その事実を公正取引委員会に通知しなければならない。

三 地方自治法の一部改正

1 包括外部監査対象団体の範囲を都道府県、市及び契約に基づく監査を受けることを条例により定めた町村とする。

2 包括外部監査人は、住民監査請求に係る外部監査の請求に係る事項について監査する。

3 包括外部監査対象団体の住民は、住民監査請求をする場合において、特に必要があると認めるときは、その理由を付して、監査委員の監査に代えて包括外部監査契約に基づく監査を求めることができるものとする等住民監査請求に係る外部監査を拡充する。

4 都道府県、市又は事務監査請求に係る監査について監査委員の監査に代えて契約に基づく監査を求めることができることを条例により定める町村の選挙権を有する者は、事務監査請求をする場合において、監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査を求めることができるものとする等住民監査請求以外の場合に係る個別外部監査の対象団体の範囲を拡大する。

5 予算執行職員が故意又は過失により地方公共団体に損害を与えたときは、当該損害の賠償責任を負う。

6 予算執行職員は、その上司から5の賠償責任の原因となる行為をすることの要求を受けたときは、当該上司を経て普通地方公共団体の長に当該行為をすることができない旨の意見を表示する。

7 職員の財務会計行為に係る職務執行について苦情がある者は、監査委員に対し、文書により苦情の申出をすることができる。

四 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部改正

適正化指針に定める事項として、一般競争入札を原則とすることの徹底を明示するとともに、公共工事を共同連帯して請け負おうとする者に係る入札の適正化に関することを規定する。

五 施行期日

この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

[15] 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等の一部を改正する法律案(田中慶秋君外5名提出、第153回国会衆法第17号)《民主》

審査未了

本案は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適正な執行を確保することの重要性にかんがみ、現在総務省の外局として総務大臣の所轄に属するものとされている公正取引委員会を、内閣府の外局として内閣総理大臣の所轄に属するものとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 公正取引委員会の内閣府への移管

現在総務省の外局として総務大臣の所轄に属するものとされている公正取引委員会を、内閣府の外局として内閣総理大臣の所轄に属するものとする。

二 施行期日等

1 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令 で定める日から施行する。

2 その他、所要の規定を整備する。

[16] 自然エネルギー発電促進法案(田中慶秋君外5名提出、衆法第15号)《民主、自由、共産、社民》

審査未了

本案は、エネルギーの安定的かつ適切な供給の確保及び環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会の構築に資するため、自然エネルギー発電を促進するための措置を講ずることにより、枯渇しないエネルギー資源の有効な利用及び温室効果ガスの排出の抑制による地球温暖化の防止を図ろうとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 この法律において、「自然エネルギー発電」とは、太陽光発電、風力発電、水力発電(政令で定める出力以上のものを除く)、地熱発電、バイオマスを燃料として利用して行う発電のほか、自然現象又は生物体に由来する枯渇しないエネルギー資源による発電であって政令で定めるものをいう。

二 政府は、自然エネルギー発電による電気の供給の目標(以下「供給目標」という。)を定め、これを公表する。供給目標は、自然エネルギー発電の種類ごとの電気の供給量の目標等を定めることとし、経済産業大臣は、供給目標の案を作成する場合には、あらかじめ、関係行政機関の長に協議し、経済財政諮問会議の意見を聴くとともに、自然エネルギー発電を行う者及び電気事業者の意見を代表すると認められる者並びに学識経験のある者の意見を聴かなければならない。

三 自然エネルギー発電を行う者は、経済産業大臣に申請して、その自然エネルギー発電が自然エネルギー発電の種類ごとに政令で定める基準に適合する旨の認定を受けることができる。

四 電気事業者は、二の供給目標を踏まえ、自然エネルギーによる電気の供給の促進についての計画を作成し、これを公表するとともに、毎年度、前年度における計画の実施状況を公表しなければならない。

五 電気事業者は、自然エネルギー発電の種類ごとに電気の買取り条件について約款を定めなければならない。この場合において、買取りに係る料金の額は、自然エネルギー発電の種類ごとに、自然エネルギー発電による電気の買取りに代えて電気事業者が自ら発電を行うこととした場合に追加的に必要とされる発電費用の単位当たりの額として経済産業省令で定めるところにより算定した額に相当する額を下らない額を定める。

六 国は、自然エネルギー発電による電気の売渡しについて、予算の範囲内において、必要な補助を行うことができることとし、補助の基準単価、補助対象量等は、経済産業大臣が実施し、三の認定を受けた者が応札する入札により決定する。

七 国は、自然エネルギー発電のうち、経済性の面における制約から普及が十分でないものであって政令で定めるものについては、自然エネルギー発電の設備を設置する者に対し、予算の範囲内において、費用の一部を補助することができる。

八 この法律は平成15年4月1日から施行することとし、関係法律について所要の改正を行う。

[17] 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律案(山中貞則君外8名提出、衆法第30号)《自民、公明、保守》

成立(平成14年法律第101号)

本案は、入札談合等関与行為を排除し、及び防止するため、公正取引委員会による各省各庁の長等に対する入札談合等関与行為を排除するために必要な改善措置の要求、入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償の請求、当該職員に係る懲戒事由の調査等について定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。

一 「入札談合等関与行為」の定義

この法律において「入札談合等関与行為」とは、国等の職員が入札談合等に関与する行為であって、次のいずれかに該当するものをいう。

1 事業者又は事業者団体に入札談合等を行わせること。

2 契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名することその他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。

3 入札又は契約に関する情報のうち特定の事業者又は事業者団体が知ることによりこれらの者が入札談合等を行うことが容易となる情報であって秘密として管理されているものを、特定の者に対して教示し、又は示唆すること。

二 各省各庁の長等に対する改善措置の要求等

1 公正取引委員会は、入札談合等の事件についての調査の結果、当該入札談合等につき入札談合等関与行為がある等と認めるときは、各省各庁の長等に対し、当該入札談合等関与行為を排除等するために必要な入札及び契約に関する事務に係る改善措置を講ずべきことを求めることができる。

2 各省各庁の長等は、1による求めを受けたときは、必要な調査を行い、当該入札談合等関与行為があること等が明らかとなったときは、当該調査の結果に基づいて、当該入札談合等関与行為を排除等するために必要と認める改善措置を講ずるとともに、当該調査の結果及び講じた改善措置の内容を公表し、公正取引委員会に通知しなければならない。

3 公正取引委員会は、2の通知を受けた場合において、特に必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、意見を述べることができる。

三 職員に対する損害賠償の請求等及び職員に係る懲戒事由の調査

1 各省各庁の長等は、二の1による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為による国等の損害の有無及び当該入札談合等関与行為を行った職員に対して懲戒処分をすることができるか否かについて必要な調査を行わなければならない。

2 各省各庁の長等は、1の調査の結果、国等に損害が生じたと認めるときは、当該入札談合等関与行為を行った職員の賠償責任の有無及び国等に対する賠償額についても必要な調査を行わなければならない。

3 各省各庁の長等は、2の調査の結果、当該入札談合等関与行為を行った職員が故意又は重大な過失により国等に損害を与えたと認めるときは、当該職員に対し、速やかにその賠償を求めなければならない。

四 指定職員による調査

各省各庁の長等は、その指定する職員に、この法律による調査を実施させなければならない。

五 運用上の配慮

この法律の運用に当たっては、入札及び契約に関する事務を適正に実施するための地方公共団体等の自主的な努力に十分配慮しなければならない。

六 施行期日

この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

附帯決議(14.7.17)

近年、国や地方公共団体等が行う公共事業の発注や物品等の調達に際し、いわゆる「官製談合」と称される不適正な事件の摘発が相次いでいる。

このような官製談合は、官公需分野における公正かつ自由な競争を官公庁自らが阻害するのみならず、国や地方公共団体等における予算の適正かつ効率的な執行を歪め、ひいては政治及び行政への国民の信頼をも損ねるものであり、入札談合等関与行為の抜本的な排除及び防止を図ることは喫緊の課題である。

よって政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一 公正取引委員会は、調査の結果、入札談合等関与行為があると認める場合において、必要に応じて会計検査院にこれを通知するなど相互に十分に連携協力をし、もって入札談合等関与行為の抜本的な排除及び防止に十全を期すること。

二 排除及び防止すべき入札談合等関与行為については、本法の運用状況を十 分に注視しつつ、本法第2条第5項に規定される3行為類型以外にも、入札談合等に対する職員の対応について、そのあり方を含め引き続き必要な検討を行うこと。

三 入札及び契約の一層の適正化や外部監査の積極的な活用など、地方公共団体等における入札談合等関与行為の排除及び防止並びに予算の適正かつ効率的な執行に向けた自主的な取組みを促進すること。

四 公共事業等の発注事務等に携わる国及び地方公共団体等の職員に対する損害賠償の請求については、国民の税金を運用・執行するという職責の重大性、談合に伴う職員の利益の有無等を踏まえ、そのあり方について必要な検討を行うこと。


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