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第2 本会議の概況

【第164回国会】

1 国務大臣の演説及び質疑

平成18年1月20日に小泉内閣総理大臣の施政方針演説、麻生外務大臣の外交演説、谷垣財務大臣の財政演説、与謝野経済財政政策担当大臣の経済演説が衆議院本会議において行われ、これに対して、同月23日及び24日に各党の代表質問が行われた。

(1) 小泉内閣総理大臣の施政方針演説

(はじめに)

内閣総理大臣に就任して4年9か月、私は、日本を再生し、自信と誇りに満ちた社会を築くため、「改革なくして成長なし」、この一貫した方針の下、構造改革に全力で取り組んでまいりました。

この間、改革を具体化しようとすると、逆に「成長なくして改革はできない」、「不良債権処理を進めれば経済が悪化する」、「財政出動なくして景気は回復しない」という批判が噴出しました。道路公団民営化の考えを明らかにした時は「そんなことはできるはずがない」、郵政民営化に至っては「暴論」とまで言われました。

このような批判が相次ぐ中、揺らぐことなく改革の方針を貫いてきた結果、日本経済は、不良債権の処理目標を達成し、政府の財政出動に頼ることなく、民間主導の景気回復の道を歩んでいます。道路公団の民営化の際には、初めて高速道路料金の値下げを実施しました。一度国会で否決された郵政民営化法案は、「正論」であるとの国民の審判により成立を見ることになりました。

改革を進める際には、総論賛成・各論反対に直面し、現状を維持したい勢力との摩擦・対立が起こります。政治は、一部の利益を優先するものであってはならず、国民全体の利益を目指すものでなければなりません。郵政民営化の是非を問うた先の総選挙における国民の審判は、これを明確に示しました。これまで着実に改革を進めることができたのは、多くの国民の理解と支持があったからこそであります。

今日、日本社会には、新しい時代に挑戦する意欲と「やればできる」という自信が芽生え、改革の芽が大きな木に育ちつつあります。ここで改革の手を緩めてはなりません。私は、自由民主党及び公明党による連立政権の安定した基盤に立って、郵政民営化の実現を弾みに改革を続行し、簡素で効率的な政府を実現します。

(簡素で効率的な政府の実現)

政府の規模を大胆に縮減するには、国・地方を通じた公務員の総人件費削減、政府系金融機関や独立行政法人などの改革、政府の資産・債務管理の見直し、特別会計の整理合理化は避けて通れません。これらの改革の基本方針を定めた行政改革推進法案を今国会に提出し、成立を期します。

公務員の総人件費を削減いたします。現在69万人の国家公務員について、今後5年間で5%以上減らします。横並び・年功序列の給与体系を抜本的に改めるとともに、給与水準も民間の給与実態に合わせたものとなるよう見直します。

政府系金融機関の改革については、民業補完の原則を徹底します。残すべき機能は、中小零細企業や個人の資金調達支援、重要な海外資源の獲得や国際競争力の確保に不可欠な金融、円借款の3分野に限定し、8つの機関の統廃合や完全民営化を実現いたします。

庁舎・宿舎などの国有財産を有効に活用するため、民間への売却や貸付けを進めてまいります。

道路特定財源については、現行の税率を維持しつつ、一般財源化を前提に、見直しを行います。

公共的な仕事や公益の追求は、国だからできて民間では難しいという、これまでの考え方から脱却し、役所より民間に任せた方が効果的な分野については、「官から民へ」の流れを加速します。

官民の競争を通じて優れたサービスを提供する「市場化テスト」を実施したところ、ハローワークの就職支援、社会保険庁の国民年金保険料の収納事業、刑務所の周辺警備の3分野で、120社を超える入札がありました。本格的導入を内容とする法案を提出し、住民票の写しや戸籍謄本の窓口業務、統計調査の業務など対象の拡大を図ります。

公益法人制度については、明治以来100年ぶりに抜本的な見直しを行い、役所の許可を廃止し登記による設立に改めることなどを内容とする法案を国会に提出します。

「国から地方へ」、この方針の下、地方の意見を真摯に受け止め、3兆円の税源移譲、地方交付税の見直し、4兆7,000億円の補助金改革を実施いたします。

3,200あった市町村が、今年度末には1,800になります。これに伴い、市町村の議員数は1万8,000人減ります。引き続き市町村合併を推進するとともに、北海道が道州制に向けた先行的取組となるよう支援いたします。

来年度予算においては、一般歳出の水準を今年度以下にするとともに、新規国債発行額を削減し30兆円以下に抑えました。景気対策の一環として導入した定率減税は、経済情勢を踏まえ廃止します。本年6月を目途に、歳出・歳入を一体とした財政構造改革の方向についての選択肢及び工程を明らかにし、改革路線を揺るぎないものといたします。公正で活力ある社会にふさわしい税制の実現に向け、国民的な議論を深めながら、消費税、所得税、法人税、資産税など税体系全体にわたって、あらゆる角度から見直しを行ってまいります。

(経済の活性化)

主要銀行の不良債権残高はこの3年半で20兆円減少し、金融システムの安定化が実現した今日、「貯蓄から投資へ」の流れを進め、国民が多様な金融商品やサービスを安心して利用できるよう、法制度を整備します。

どの町も村も、独自の魅力を持っているはずです。地域や街の潜在力を引き出し、日本あるいは世界の中で一流の田舎や都市になろうとする意欲を支援してまいります。

既に700件を超える構造改革特区が誕生しました。特区第1号に認定された姫路市では、廃棄されたタイヤを再資源化する事業に対し役所の許可を不要としました。今や姫路市は、環境・リサイクル産業の集積地に変貌しつつあります。このほか幼稚園と保育所の一体的運用など、53の規制緩和の特例を全国に拡大しました。

3年前には500万人だった外国人旅行者は、昨年、「愛・地球博」の開催や韓国・台湾に対する査証免除措置などにより、700万人に迫る勢いです。ビジット・ジャパン・キャンペーンなどにより、2010年までに外国人旅行者を1,000万人にする目標の達成を目指します。

外国からの日本への投資を5年間で倍増させる計画は、着実に進展しています。北海道でスキー観光客向けのリゾート事業を始めたオーストラリアの企業、デジタル家電の研究開発拠点を設けたアメリカ企業など、外国からの投資は、地域の活性化や雇用の拡大につながるとともに技術に新たな刺激を与え、我が国にとって歓迎すべきものであります。更に大きな目標を掲げて、一層の投資促進を図ってまいります。

中心市街地の空洞化に歯止めをかけ、高齢者でも暮らしやすい、にぎわいのある街を再構築してまいります。

新産業の創造には、高い技術力によりモノづくり基盤を支えている中小企業の存在が欠かせません。東京墨田区にある従業員6名の町工場は、針先をミクロン単位まで細くすることで痛くない注射針を開発するなど、「不可能を可能にするモノづくりの駆け込み寺」と呼ばれています。独創的な技術を持っている人材の確保・育成、新事業への挑戦支援など、やる気のある中小企業を応援してまいります。また、国際競争力の強化、生産性の向上、地域経済の活性化などを目指した新たな成長戦略の在り方を夏までに示します。

世界的な日本食ブームやアジア諸国の生活水準の向上を背景に、リンゴやイチゴ、長芋、コシヒカリ、アワビなど日本の農水産物が海外で高級品として売れています。北海道と青森県のホタテ加工業者は、5年以上かけEUの厳しい衛生管理審査に合格して輸出をはじめ、昨今はアメリカ、韓国へ販路を拡大しています。意欲と能力のある経営に支援を重点化し、「攻めの農政」を進めます。

市場における公正な競争を確保するため、改正された独占禁止法に基づき、違反行為には厳正に対処します。

(暮らしの安心の確保)

社会保障制度を将来にわたり揺るぎないものとしていくため、給付と負担の在り方などを含め制度全般を見直し、年金、介護に続き、本年は医療制度の改革を進めます。

国民皆保険を堅持しつつ、患者本位で持続可能な医療制度となるよう、予防を重視し、医療費の適正化に取り組むとともに、高齢者の患者負担の見直しや診療報酬の引下げを行います。75歳以上の高齢者の医療費を世代間で公平に負担する新たな制度の創設、都道府県単位を軸とした保険者の再編・統合を目指します。

年金制度に対する国民の信頼を確保するため、国民年金の未納・未加入対策を強力に推進するとともに、社会保険庁については、年金と医療保険の運営を分離し、それぞれ新たな組織を設置するなど解体的出直しを行います。また、厚生年金と共済年金の一元化に取り組みます。

昨年は、出生数が110万人を下回り、戦後初めて人口が減少すると見込まれています。少子化の流れを変えなくてはなりません。就任時に表明したとおり、昨年度末までに保育所の受入児童を15万人増やしました。それでもまだ足りない現状を踏まえ、引き続き「待機児童ゼロ作戦」を推進いたします。昨年度末には、小学生が親の帰宅までの間、安心して過ごせる場としての放課後児童クラブを、目標どおり1万5,000か所整備しました。さらに、経験豊かな退職者や地域の力を借りて、多様な放課後児童対策を展開いたします。子育て期の経済的負担の軽減を図るために児童手当を拡充するとともに、育児休業制度の普及など企業や地域のきめ細かな子育て支援を進め、子育ての喜びを感じながら働き続けることができる環境を整備してまいります。

本年度、審議会等における女性委員の割合を3割にするという目標を達成しました。2020年までに社会のあらゆる分野において、指導的立場に女性が占める割合が3割となることを目指し、いったん家庭に入った女性の再就職を支援するなど、昨年末に改めて策定した男女共同参画基本計画を推進します。

多くの健康被害が発生しているアスベスト問題に迅速に対処するため、既存の制度では補償を受けられない被害者を救済するための法案を提出するとともに、アスベストの早期かつ安全な除去など被害の拡大防止に取り組みます。

鳥インフルエンザの脅威に対しては、資金協力や専門家派遣などの国際支援を行うとともに、治療薬の備蓄、ワクチンの開発と供給を進めてまいります。

昨年12月、科学的知見を踏まえ、アメリカ産牛肉の輸入を再開しました。消費者の視点に立って、食の安全と安心を確保してまいります。

今年の春に日本司法支援センターを設立し、秋には全国で業務を開始します。どこでも気軽に法律相談をできるよう、国民に身近で頼りがいのある司法を実現いたします。

(国民の安全の確保)

「世界一安全な国、日本」の復活は、今後も内閣の最重要課題であります。

一昨年4月に2,000か所あった空き交番は、1年間で700か所解消しました。平成19年春までの3年間に「空き交番」をゼロにします。犯罪を起こした者が再び罪を犯す例が後を絶ちません。再犯防止に向け、情報の共有化など関係機関のより緊密な協力体制を構築してまいります。

増加している外国人犯罪に対処するため入国時に指紋による審査を導入するとともに、警察と入国管理当局の連携を強化して、25万人と推定される不法滞在者を平成20年までに半減することを目指します。

テロの未然防止を図るため、情報の収集・分析、重要施設や公共交通機関の警戒警備等の対策を徹底いたします。

新宿歌舞伎町をはじめとする繁華街や一般の住宅地においては、地域住民による防犯活動が活発化しており、2年前には3,000だった防犯ボランティア団体が1万4,000に増え、80万人が自主的にパトロールを行っています。小さな子供たちを犯罪から守るため、警察や学校だけでなく、PTAや地域住民とも連携して、登下校時の警戒強化、不審者情報の共有などを進めます。

昨年末に決定された基本計画により、犯罪被害者や遺族が一日も早く立ち直り安心して生活できるよう支援いたします。

一時期1万7,000人に及んだ交通事故死者数は、昨年、半世紀ぶりに6,000人台に下がりました。5,000人以下にすることを目指して交通安全対策を進めるとともに、公共輸送についても、安全管理体制の構築を推進します。

先月に入ってから、寒波や大雪により、各地で被害が発生しています。民家の雪下ろしや雪崩の警戒強化、交通や電力の確保、食料品や石油製品の安定供給などの生活支援に万全を期してまいります。

耐震強度の偽装事件は、住まいという生活の基盤への信頼を土台から崩すものであります。マンションの居住者及び周辺住民の安全を最優先に、居住の安定確保に努めるとともに、国民の不安を解消するため、実態を把握し、書類の偽造を見抜けなかった検査制度を点検し、再発防止と耐震化の促進に全力を挙げます。

(「人間力」の向上と発揮)

今後の日本を支えていくのは「人」であります。「物で栄えて心で滅ぶ」ことのないよう、新しい時代を切り拓く心豊かでたくましい人材を育てていかなければなりません。

教育基本法については、国民的な議論を踏まえ、速やかな改正を目指し、精力的に取り組んでまいります。

「社会の中で子供を健やかに育てる」との認識に立ち、学校だけでなく、家庭や地域と連携しながら、体験活動や触れ合い交流を通じて命の尊さ、社会貢献の大切さを教え、道徳や規範意識を身に付けることを促します。

豊かな心と健やかな体の育成に、健全な食生活は欠かせません。食育推進基本計画を策定し、食生活の改善に加え、我が国の食文化の普及、地元の食材を使った給食の推進など、食育を国民運動として展開してまいります。

教育現場の創意工夫を促すとともに、習熟度別の指導、学校の外部評価、保護者や地域住民の学校運営への参画、学校選択制の普及を通じて、教育の質の向上を図ります。

国民に夢と感動を与えるトップレベルのスポーツ選手を育成するとともに、国民が生涯を通じてスポーツに親しめる環境を整備いたします。

定職に就かず臨時的に仕事に従事しているフリーターや、学業・仕事・職業訓練いずれにも就かないニートと呼ばれる人が増加しています。民間の力を活用して研修を全国で実施するなど、若者の就業を支援します。

文化・芸術は、国の魅力を世界に伝えるだけでなく、多様な価値観を有する世界各国の間をつなぐ架け橋になると信じます。伝統文化ばかりでなく、映画やアニメ、ファッションなど我が国の文化・芸術は世界で高く評価され、多くの人々を魅了しています。新進気鋭の人たちによる創作活動を支援したり、子供たちに我が国の文化・芸術を体験させる活動を充実するとともに、「日本ブランド」を育成し国内外に広く発信してまいります。模倣品・海賊版の取締強化や特許審査の迅速化など、知的財産を創造し、保護・活用するための基盤を整備します。

(将来の発展基盤の整備)

科学技術の振興なくして我が国の発展はありません。「科学技術創造立国」の実現に向け、国全体の予算を減らす中、科学技術の分野は増額し、第三期基本計画を策定して研究開発を戦略的に実施してまいります。

大学発ベンチャー企業は1,100社を超え、地域と協力しながら、まちづくりや地域再生の核となっている大学も現れています。沖縄に科学技術大学院大学を設立するため、法人を立ち上げました。世界最高水準を目指し、教員・学生の半分以上を外国から迎えるとともに、アジアなど海外の大学との連携を図ってまいります。

就任時に約束したとおり、政府の公用車をすべて低公害車に切り替えました。今やペットボトルの6割以上が回収され、その大半がシャツや風呂敷、卵パックなどに生まれ変わっています。物を大切にする「もったいない」という心と科学技術の力を結び付け、「ゴミを減らし、使える物は繰り返し使い、ゴミになったら資源として再利用する社会」を実現し、環境保護と経済発展の両立を図ります。

原油価格の高騰が続いていますが、今日の世界情勢を踏まえ安全保障の観点から、石油や天然ガスの安定供給の確保、省エネルギーの一層の促進、新エネルギーの開発、安全を大前提とした原子力発電の推進に取り組んでまいります。

我が国にとって、京都議定書で約束した目標を達成することは容易ではありません。人類を脅かす気候変動問題の解決に向け、昨年策定した計画を官民挙げて着実に進めます。すべての国が行動を起こし、世界が一つになって温暖化対策を進めていくことができるよう、アメリカ、中国、インド等も参加する共通ルールの構築に向け、主導的な役割を果たしてまいります。

我が国は、この4年半で、高速インターネットの加入者数が85万から2,200万人へ、インターネットを使った株式取引の割合が6%から29%へ、それぞれ急成長し、世界で最も低い料金で素早く多くの情報に接することができる「世界最先端のIT国家」となりました。「IT新改革戦略」に基づき、診療報酬明細書の完全オンライン化や役所に対する電子申請の利用拡大などを進め、高い信頼性と安全性が確保され、国民一人ひとりがITの恩恵を実感できる社会をつくってまいります。

(外交・安全保障)

「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」、この憲法前文の精神を体して、戦後、我が国は自由と民主主義を守り、平和のうちに豊かな社会を築いてまいりました。今後も、日米同盟と国際協調を外交の基本方針として、いかなる問題も武力によらずに解決するとの立場を貫き、世界の平和と安定に貢献してまいります。

在日米軍の兵力の構成見直しに当たっては、抑止力の維持と沖縄をはじめとする地元の負担軽減の観点から、関係自治体や住民の理解と協力が得られるよう、全力を傾注いたします。

テロとの闘い、貧困の克服、感染症対策など国際社会が抱える問題に対して、ODAの戦略的活用や人的貢献により、日本も積極的に協力してまいります。国連が効果的に機能するよう、安全保障理事会を含めた国連の改革に取り組みます。

イラク国民は、自らの手で平和な民主国家をつくり上げようと、テロに屈せず懸命に努力しています。2年にわたるサマーワでの自衛隊員の献身的な活動は、医療指導や住民への給水に加え、多くの学校や道路の改修など多岐にわたっており、我が国自衛隊は、日本国民の善意を実行する部隊として、現地から高い評価と信頼を得ております。現地情勢と国際社会の動向を注視しつつ、自衛隊員の安全確保に万全を期しながら、日本は国際社会の責任ある一員として、イラクの国づくりを支援してまいります。

先月、国連総会で、北朝鮮の人権状況を非難する決議が初めて採択され、拉致問題の解決の必要性が国際社会において広く認識されました。北朝鮮との間では、平壌宣言を踏まえ、拉致、核、ミサイルの問題を包括的に解決するため、関係国と連携しながら粘り強く交渉してまいります。

ロシアとの間では、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を早期に締結するとの基本方針の下、様々な分野における協力を拡大いたします。

中国、韓国とは、経済、文化、芸術・スポーツなど幅広い分野において、いまだかつてないほど交流が盛んになっています。中国はアメリカを抜いて我が国最大の貿易相手国となり、40年前の国交正常化当時は年間1万人だった日韓の人の交流は今や1日1万人を超えています。一部の問題で意見の相違や対立があっても、中国、韓国は我が国にとって大事な隣国であり、大局的な視点から協力を強化し、相互理解と信頼に基づいた未来志向の関係を築いてまいります。

先月、開催された東アジア首脳会議では、多様性を認め合いながら、自由と民主主義を尊重し、貿易の拡大、テロの根絶、鳥インフルエンザ対策などに協力して取り組み、開かれた「東アジア共同体」を目指すことで一致しました。ASEAN諸国の地域統合を支援するとともに、アジア・太平洋諸国との友好関係を増進してまいります。

WTO新ラウンド交渉は成功させなければなりません。日本は、後発の開発途上国から輸入する産品の関税を原則撤廃するとともに、途上国が新たな市場を開拓できるよう支援いたします。

昨年12月、マレーシアと経済連携協定に署名しました。さらにアジアをはじめ各国との協定締結に向け、精力的に取り組みます。

我が国周辺の大陸棚及び海底資源の調査を進め、海洋権益の確保に万全を期してまいります。

テロや弾道ミサイル等の新たな脅威や緊急事態に対して、国や地方、国民が迅速かつ的確に行動できるよう、国民保護法に基づき、有事における態勢を整備します。

(むすび)

象徴天皇制度は、国民の間に定着しており、皇位が将来にわたり安定的に継承されるよう、有識者会議の報告に沿って、皇室典範の改正案を提出いたします。

戦後60年を経て、憲法の見直しに関する議論が各党で進んでいます。新しい時代の憲法の在り方について、国民とともに大いに議論を深める時期であります。憲法改正のための国民投票の手続を定める法案については、憲法の定めに沿って整備されるべきものと考えます。

我が国は、明治維新以降、幾たびか国家存亡の危機に立たされました。戦後の平和な時期においても、二度の石油危機、円高ショック、あるいは阪神・淡路大震災をはじめとする大災害など、経済と国民生活の根幹を揺るがす危機に見舞われました。しかしながら、先人たちはいずれの難局をも克服し、日本は今日まで発展を遂げてまいりました。

いつの時代においても、高い志を抱いて行動する人々が大きな役割を果たしています。先の総選挙では、経歴や学歴にかかわらず、政治を変えたいという志ある人が何人も国会議員に当選しました。欧米諸国で日本食を広めている料理人、フランスでワイン醸造を始めた女性など、海外の様々な分野で日本人が活躍しています。また、外国人が日本に来て、廃業寸前の造り酒屋を再建し町おこしに貢献したり、老舗旅館の女将となり地域の温泉地を国内外に広めるなど、生き生きと活動している例も多く見られます。国技である相撲では、朝青龍や琴欧州の外国人力士が活躍する一方、野球の本場アメリカでは、野茂、イチロー、松井、井口選手など大リーガーとして立派な成績を上げています。皆、志を持って挑戦し、懸命に努力し、様々な試練を克服して、夢と希望を実現しています。

我々には、難局に敢然と立ち向かい困難を乗り越える勇気と、危機を飛躍につなげる力があります。先人たちの築き上げた繁栄の基盤を更に強固にし、新しい時代、激動する内外の環境変化に対応できる体制を構築しなければなりません。

幕末の時代、吉田松陰は、「志士は溝壑(こうがく)に在るを忘れず」、すなわち、志ある人は、その実現のためには、溝や谷に落ちて屍をさらしても構わないと常に覚悟している、という孔子の言葉で、志を遂げるためにはいかなる困難をもいとわない心構えを説きました。

私は、「改革を止(と)めるな」との国民の声を真摯に受け止め、明日の発展のため、残された任期、一身を投げ出し、内閣総理大臣の職責を果たすべく全力を尽くす決意であります。

国民並びに議員各位の御協力を心からお願い申し上げます。

(2) 麻生外務大臣の外交演説

(序)

第164回国会の開会に際し、外交方針について所信を申し述べます。

我が国外交を支える理念とは、戦後日本の歩みを貫いてきた考え方に同じであります。自由と民主主義、基本的人権と市場経済を重んじる思想でありまして、我が国は今後とも、人類が歴史の中で勝ち取ってきたこれらの普遍的価値にのっとる外交を進めます。

外交とは、我が国及び国民の平和と安全を確保し、幸せを目指すため行うものであります。現在国際社会が直面する課題は山積していますが、我が国はその責任ある一員として、日米同盟と国際協調を基本とし、近隣諸国や国連等の国際機関とも緊密に協力しつつ、平和と幸福の世界を目指します。

(日米関係)

価値観と利益を共にする同盟国・米国との関係は、我が国外交にとっての要です。

国際テロや大量破壊兵器の拡散、感染症や環境破壊のような人間の安全保障にかかわる新たな課題と取り組む上でも、日米同盟は今日その重要性を増しています。

日米両国は、世界の諸問題を解決するため多くの国と協調しつつ、協力し合っています。今後ともこのような「世界の中の日米同盟」を強化していきます。

同様に、日米安保体制の信頼性を高める努力を続けます。いわゆる兵力態勢の再編は、そのための重要な取組です。昨年10月の「2+2」で日米が発表した共同文書を踏まえ、実施日程を含む具体的計画について米側と協議していきます。その際沖縄県をはじめ、米軍施設・区域を抱える地元の負担軽減に最大限努めねばならないことは、申すまでもありません。

(近隣諸国等との関係)

我が国として、中国は古今の歴史を通じ最も大切にしてきた国の一つであり、近年、両国間では経済関係や人的交流が飛躍的に拡大しています。日中関係の発展は、我が国外交の基本方針の一つであります。

我が国は、中国が平和的発展の努力を通じて、近隣諸国とともに経済発展の果実を分かち合い、アジア・国際社会における主要なパートナーとして、民主主義や人権といった人類共通の普遍的価値を信奉し、政治経済面でより一層責任ある役割を果たしていくことを歓迎します。

我々日本人は、中国の人々の過去をめぐる心情を重く受け止めるとともに、中国の人々に対しては、過去の問題にこだわり過ぎることなく、冷静に大局を見すえ、共に成熟した友人として切磋琢磨する関係、広範な世界的、地域的課題のため、ともに汗を流すという姿こそ基本的潮流とする関係を築くことを呼びかけたいと思います。

韓国と我が国は昨年、国交正常化40周年を共にことほぎました。両国関係の今日は、各々の先達が抱いた志と、払った努力に多くを負っています。未来を目指し両国が手を携え進む際、立ち返る原点がそこにあります。

それゆえ日韓両国は昨年を友情年と定め、「進もう未来へ、一緒に世界へ」という標語を掲げました。友情年は昨年末終わりましたが、精神は今後に生き続けるでしょう。今日両国は相互依存を深め、ますます多くの共通課題に取り組む間柄となったからです。同時に、我々は、韓国の人々の過去をめぐる心情を重く受け止め、人道的観点から、過去に起因する諸問題に真摯に対応していきたいと思います。

我が国は、韓国及び中国との未来へ向けた友好協力関係を一層強化していきます。これは我が国の揺るぎない基本方針であります。和解と協調を導きの精神とし、対話を深める中から、両国民との間に明るい未来図が描かれなくてはなりません。まさにその目的のため、我が国は、両国と協力して、未来を担う青少年世代をはじめ様々なレベルでの交流を大いに進めていきたいと思います。

さて昨年12月に初会合を持った東アジア首脳会議は、将来の東アジア共同体形成を視野に入れ、経済的繁栄と民主主義を通じ平和と幸福を目指す共通の意思を確かめる場となりました。

我が国はこの先、東アジア共同体を、自由や民主主義という普遍的価値、そしてグローバルな規範にのっとった、開かれたものとして築いてまいります。そのためASEAN諸国、さらにはインドや豪州、ニュージーランドといった民主主義国との戦略的関係も強めていかねばなりません。

東アジア首脳会議参加国の間で、貿易・投資、エネルギーからテロ、感染症にわたる共通課題に関し、具体的協力を進めます。新型インフルエンザと闘うため、今月我が国はその早期封じ込めに関する国際会議を、WHOと共催しました。また我が国は本年度中に、アジア諸国へ向け1億3,500万ドルの支援を行います。

北朝鮮をめぐっては、その諸問題の解決が地域の平和、安定を作るため、また国際的な不拡散体制維持のため不可欠であることを、まず強調しておきます。

日朝ピョンヤン宣言に従い、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を解決し、過去を清算することにより、国交正常化を目指すのが我が国の方針です。同時に、拉致問題を含む諸懸案の包括的解決なくして国交正常化はありません。先の日朝政府間協議で一致を見たとおり、拉致問題等の懸案事項と、安全保障、そして国交正常化の各々に関する包括並行協議を早期に始めます。この中で、拉致をはじめとする諸懸案解決に向け、対話と圧力の考えの下、誠意ある対応を北朝鮮から引き出す所存です。同時に六者会合を通じ、核問題の平和的解決を目指します。

次にロシアとの関係については、最大の懸案である北方領土問題をめぐって、日露間になお見解の相違があります。我が国は、昨年11月プーチン大統領の訪日の際開いた首脳会談の結果をも踏まえ、これまで両国が交わした合意と文書を基礎として、国民の広範な支持を得ながらロシアと粘り強い交渉を続けます。我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を早期に締結しなくてはなりません。

本年ロシアは、G8サミットを初めて自国で開きます。この機をとらえ、ロシアと更に活発な対話を続けます。「日露行動計画」に従って協力を深め、未来を志向する関係作りに努めていく所存です。

さて本年は「日豪友好協力基本条約」の署名30周年に当たります。「日豪交流年」とされ、記念事業が両国で実施されます。さらに我が国が沖縄を舞台に第4回「太平洋・島サミット」を開きます。あたかも「太平洋の年」となる本年、これらを機に関係諸国と理解を深め、交流と協力を図っていかなくてはなりません。

また、我が国の安全と繁栄のため、欧州や中南米等との関係も強化してまいります。

(国連の機能強化のための改革推進)

我が国は昨年、国連の改革、特に安保理の改革を目指して働きました。国際社会が直面する課題によく対応できる組織にしなければと考えたからであります。

常任理事国となる道は険しいものの、我々の運動は国連全加盟国を巻き込む具体的な安保理改革の論議を呼び起こしました。結果として昨年9月、国連首脳会合の採択した「成果文書」は、安保理の早期改革を国連改革全体にとって不可欠と認めております。

安保理改革が第二段階へ入った今年は、我が国国連加盟50周年に当たります。改革へ向けこれまでの成果と課題を踏まえ、G4の間での信頼関係を維持しつつ、米国と協議を進めてまいります。併せて中国、韓国など、近隣諸国との対話に注力する所存です。

 我が国は国連改革を包括的に捉え、開発、人権、平和構築などの課題に対し国連の力を強めねばならないと考えています。そのため、今までと同様積極的に役割を果たします。国連分担率を地位と責任に応じたものとし、国連の運営全体が透明で納得のいくものとなるよう、業務の見直しを含む国連行財政改革にも取り組まねばなりません。

(国際社会の平和と繁栄のための貢献)

我が国は本年、安保理の非常任理事国として任期の2年目を迎えます。この1年、我が国は安保理PKO作業部会の議長として、部会活性化に多大の貢献をなしました。また、平和を築き安定をもたらさねばならない諸地域で、安保理が主導的役割を果たせるよう、加盟国間の合意作りに建設的な役割を果たしました。我が国は本年も、安保理理事国にふさわしいこれら活動に邁進します。

具体的には、PKO、国際的選挙監視活動、また中東、アフリカなどで平和を定着させる活動に取り組みます。国連では、我が国も支持してきた平和構築委員会がじき発足します。この機に、国際社会と協力し、平和の維持・構築、紛争の再発防止といった活動を担う専門的人材をアジアにおいて育成する取組を検討したく思います。

我が国は国連総会に対して1994年以来、毎年核軍縮決議案を提出してきました。昨年は同案に過去最多の支持を得て、軍縮・不拡散分野における我が国の果たす役割に、改めて思いを致したところです。イランの核問題も、平和的解決へ向け努めなくてはなりません。

国際的なテロとの闘いは、我が国が主体的に担うものでもありました。アフガニスタンでは、国際社会の支援の下、重要な統治機構整備の段階が終わりました。喜ぶべきですが、アフガニスタンとその周辺で、テロの脅威を除去、抑止する国際的な取組は続いています。我が国は、前回の特別国会でテロ対策特別措置法の期限を延ばしました。引き続き、アフガニスタンの国造りへ向け、支援を続ける考えです。

イラクの復興も、いまだ道半ばにあります。昨年末我が国は、自衛隊をイラクへ送る基本計画を1年延長しました。イラクの政治プロセスは、今胸突き八丁に差し掛かっています。昨年12月に国民議会選挙が大きな混乱なく実施されたことは、政治プロセスの極めて大きな進展でした。イラク人自身の建国努力に、我が国は今後とも支援を惜しみません。

中東和平問題の解決は、我が国が石油資源の8割以上を輸入する中東地域の平和と安定を目指す上で不可欠です。我が国としては、イスラエルとアラブ双方から信頼される日本の立場を生かし、イスラエルとパレスチナの共存共栄の実現と域内協力を通じた信頼醸成に向け、取り組んでいくつもりです。

(我が国・国民の安全と繁栄の増進)

次に経済外交に関しては、何よりグローバル・ルールの構築が重要です。昨年12月の香港閣僚会議の成果に基づき、本年中にWTOドーハ・ラウンド交渉を合意に持ち込めるよう、積極的に取り組む所存です。

WTOの下、多角的な貿易体制の信頼性を維持し、高めていくことは、我が国にとって引き続き重要な課題です。他方途上国にとって、生産、流通・販売、購入それぞれの活性化なくしては、世界貿易に入っていくことができないという現実があります。この問題を解く一助にと、我が国は香港閣僚会議を前に、「開発イニシアティブ」を打ち出しました。今後その着実な実施に努めます。また、日本企業の活動を世界で支えていくことは、我が国外交が最も重んじる仕事の一つであることは言うまでもありません。

我が国は昨年末、マレーシアとの間で経済連携協定(EPA)に署名しました。これを弾みとし、東アジアを中心としつつも今後世界を広く視野に入れ、経済連携強化へ向け取組を進めていくつもりです。

そしてアジアの諸国を襲った津波の記憶が去らない今、我が国国民の海外での活動に安心をもたらす施策を進めます。大規模緊急事態に対し迅速・的確に対応できる体制を作っていかねばなりません。

(ODAの戦略的・総合的・機動的な活用)

ODAは、戦略的な外交を行う上での重要な手段です。外交政策に基づき、ODAを戦略的・総合的・機動的に活用し、二国間関係や国際環境を改善していく必要があります。総理の指導の下、外務大臣が中心となって援助を実施する今の態勢を更に工夫し、強化していきます。

我が国は今後ともODAの力を大切にし、貧困に苦しむ人々を助け、自助自立を促し、貧困からも生み出される途上国のテロとの闘いを支えることによって、世界に安寧を広める努力を続けます。また、地震の惨害を経たパキスタンに対して行ってきたように、ODAは災害復旧を助けるためにも活用します。

今後3年、アフリカ向けODAを倍増し、今後5年にODA事業量を100億ドル積み増すことは、昨年我が国が誓った国際公約であり、着実に実施してまいります。

(対外情報機能と情報発信能力の強化)

最後に、外交における言葉の重みに触れさせていただきます。

今我々は、情報の収集・分析能力の抜本的向上に努めています。情報とは主に言葉によって表されるものであるからには、我々は正しい情報を聞き取る鋭い耳と、言葉の本質を洞察する頭脳を持たねばなりません。

他方、我が国の発言はますます重みを持ってきています。我が国には、伝えるべき信条がありますが、それは言葉となって初めて信条とみなされるものです。

今後はこれまでにも増して、我が国外交の目指すところを論じ、国内外に伝えていくことに私自身努力することをお約束し、演説を終えさせていただきます。皆様の御支援を願ってやみません。

(3) 谷垣財務大臣の財政演説

平成18年度予算及び平成17年度補正予算の御審議に当たり、今後の財政政策等の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明いたします。

(財政構造改革の基本的考え方)

我が国経済は、これまで成長の制約となっていた3つの過剰、すなわち「過剰雇用」、「過剰設備」、「過剰債務」が解消し、企業部門の好調さが家計部門に波及する中、民間需要中心の回復軌道をたどっております。

こうした回復の動きを地域や中小企業にも広く浸透させ、持続可能なものとするため、構造改革を更に一層推進してまいります。また、デフレは脱却に向けた進展が見られるものの依然継続しており、その脱却を確実なものとするため、日本銀行と一体となって政策努力の更なる強化・拡充を図ってまいります。

一方、4つ目の過剰ともいえる政府の債務については、国・地方合わせた長期債務残高が平成18年度末でGDP比150%を超える見込みであるなど、極めて厳しい状況にあります。市場が財政の持続可能性に懸念を感じ始めた場合、その懸念がリスクプレミアムとなって金利上昇につながるおそれがあり、経済全体に悪影響を与えかねません。こうした懸念を生じさせないためにも、財政構造改革に対する政府の断固たる取組姿勢を示す必要があります。

そのため、政府としては、まずは、2010年代初頭における国・地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指しております。

さらに、歳出及び歳入の在り方等を一体的に検討することとしており、本年の年央を目途に、この「歳出・歳入一体改革」について、「選択肢」及び「改革工程」を明らかにし、平成18年度内に結論を得ることとしております。税制の抜本的改革についても、こうした「歳出・歳入一体改革」の一環として、国民的な議論を深めてまいりたいと考えております。

「歳出・歳入一体改革」においては、債務残高対GDP比の引下げ等、様々な論点について議論を行う必要があると考えております。また、「歳出・歳入一体改革」は、単なる財政の収支合わせにとどまるものではありません。我が国の将来の国の在り方につながる課題であると考えております。「高福祉・高負担」の国もありますし、「低福祉・低負担」の国もあります。現在の日本は、現世代が負担に比べて大きな便益を受け、その差を、日々刻々、将来世代に先送りしているという意味において、「中福祉・低負担」ともいうべき状態にあるのではないでしょうか。今後少子高齢化が進む中、現世代の責務として、将来に向けてどのように持続可能な制度を確立するかを考えていかなければなりません。国民にできるだけ具体的な選択肢を示した上で、国民的な議論を積み重ねることが不可欠であると考えております。

(平成18年度予算及び税制改正の大要)

平成18年度予算編成及び税制改正に当たっては、以上の認識を踏まえ、新規国債発行額について30兆円にできるだけ近づけるとともに、一般歳出の水準について前年度よりも減額するとの方針の下、取り組んでまいりました。

歳出面については、医療制度改革、国と地方の「三位一体の改革」、公務員総人件費改革など、内閣として取り組んできた様々な改革の成果を反映いたしました。また、歳出全般を厳しく見直し、一般歳出について社会保障と科学技術振興の分野を除き前年度より減額するなど、予算配分の重点化を図りました。

これにより、一般歳出の規模は前年度を下回り、46兆3,660億円となりました。また、一般会計全体の予算規模は79兆6,860億円となりました。

次に主要な経費について申し述べます。

社会保障関係費については、少子化対策等の推進を図る一方、社会保障制度を将来にわたり持続可能で安定的・効率的なものとしていく観点から、医療保険につき、高齢者の自己負担の見直し等の制度改革を行うとともに、診療報酬を全体で3.16%引き下げる等の取組を行っております。

文教及び科学振興費については、義務教育における質の向上に向けた構造改革、子どもの安全・安心の確保、科学技術分野における選択と集中の一層の推進を図っております。

防衛関係費については、抑制を図る中で、弾道ミサイル等の新たな脅威への対応等に重点化を図りつつ、効率的で節度ある防衛力整備を行っております。

公共事業関係費については、全体として抑制しつつ、防災・減災による安全の確保や我が国の競争力の向上に直結する投資等への重点化を行っております。

経済協力費については、国際的なテロ対策支援や「人間の安全保障」の推進等へ重点化を図るとともに、より効率的な執行に努めることとしております。

中小企業対策費については、地方にできることは地方に委譲しつつ、国の産業競争力強化に資する基盤技術開発等への重点化を行っております。

エネルギー対策費については、事務事業の見直しを行いつつ、安定供給確保のための施策や地球温暖化問題への対応等を着実に進めております。

農林水産関係予算については、農業構造改革の加速化や食の安全・安心の確保等に向けた重点化を行っております。

治安関係予算については、治安関連職員の増員をはじめ、安全で安心して暮らせる社会の実現に向けた重点化を行っております。

「三位一体の改革」については、昨年11月に「政府・与党合意」が取りまとめられ、4兆円を上回る補助金改革を達成し、3兆円規模の税源移譲を行うこととしております。さらに、地方交付税については、地方歳出の徹底した見直しを通じ地方に配分される総額を約1兆円抑制しつつ、地方税も含む地方一般財源総額については、地方団体が安定的な財政運営を行えるよう、前年度を上回る額を確保しております。

また、予算執行実績や決算検査報告等の反映など予算の質の向上、効率化を図っております。

さらに、昨年12月の「行政改革の重要方針」に盛り込まれた改革についても、着実に反映しております。

公務員の人件費については、同重要方針における「総人件費改革の実行計画」を踏まえ、行政機関について1,455人の純減を図るなど定員の大幅な純減と給与構造改革の実施等を通じ、改革の着実な実行を図っております。

政府資産・債務改革については、財政融資資金貸付金残高の縮減、国有財産の売却促進等により資産規模のスリム化等に最大限努力するとともに、資産・債務両面における管理の強化に積極的に取り組んでまいります。このような観点から、民間利用の促進等による国有財産の有効活用、未利用国有地等の一層の売却促進等を図るなど、効率性重視に向けた国有財産行政の改革を強力に推進してまいります。このために必要な国有財産法等の改正案を今国会に提出することとしております。また、国家公務員宿舎については、民間の視点を十分に活用しつつ、都心からの移転・再配置に関する具体的な計画案を策定してまいります。

特別会計については、今後5年を目途に、特別会計自体の統廃合も含め踏み込んだ改革を進めてまいります。平成18年度予算においても、徹底した歳出の見直しを行うとともに、合計約13兆8,000億円の積立金・剰余金を財政健全化のため活用しております。このうち、財政融資資金特別会計の積立金については、政府資産・債務改革の観点も踏まえ、12兆円を国債整理基金特別会計に繰り入れ、国債残高の圧縮に充てることといたしました。この措置は、将来の国債費の負担を軽減するとともに、いわゆる国債の「平成20年度問題」の解決にも寄与するものと考えております。

歳入面については、「三位一体の改革」の一環として所得税から個人住民税への3兆円規模の税源移譲を実現するとともに、経済状況の改善を踏まえ定率減税を廃止することとしております。あわせて、法人関連税制、土地・住宅税制、国際課税、酒税・たばこ税等について所要の措置を講じることとしております。

これにより、租税等の収入は45兆8,780億円を見込んでおります。また、その他収入は3兆8,350億円を見込んでおります。

以上、歳出・歳入両面における取組の結果、新規国債の発行予定額は29兆9,730億円となり、一般会計の基礎的財政収支も3年連続で改善いたしました。このように、平成18年度予算は、歳出改革路線を堅持・強化した姿となっており、財政健全化に向けた歩みを更に進め、「歳出・歳入一体改革」の議論の土台固めを行うことができたものと考えております。

また、国債残高が多額に上り、今後も借換債を含む国債の大量発行が見込まれる中、国債管理政策を財政運営と一体として適切に運営していく重要性がますます高まってきております。このような観点から、国債発行に当たっては、安定消化を図るとともに、中長期的な調達コストの抑制に努めることを基本とし、市場のニーズ・動向等を踏まえた発行等に取り組んでまいります。

さらに、平成18年度財政投融資計画については、財投改革の総点検のフォローアップを行い、各事業の財務の健全性を確認した上で、対象事業の重点化・効率化を進めた結果、その規模は15兆46億円となっております。これは、ピーク時である平成8年度の4割を切る水準であります。

(平成17年度補正予算(第1号、特第1号及び機第1号)の大要)

次に、平成17年度補正予算について申し述べます。

歳出面においては、やむを得ざる追加財政需要への対応として、災害対策費、義務的経費の追加及びアスベスト対策関連経費等を計上するとともに、国債整理基金特別会計への繰入及び地方交付税交付金等を計上する一方、既定経費の節減等を行っております。

歳入面においては、租税等の収入及びその他収入の増加を見込むとともに、前年度の決算上の剰余金を計上しており、また、国債の発行予定額を減額しております。

以上の結果、平成17年度補正後予算の総額は、当初予算に対し歳出・歳入とも4兆5,219億円増加し、86兆7,048億円となっております。

また、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行っております。

(世界経済の安定と発展への貢献)

国際社会における責任を果たし、我が国経済の将来にわたる発展に資する観点から、国際機関やG7、アジア諸国等と協力し、世界経済の安定と発展に貢献していくことは重要な課題であります。

特に、我が国と密接な関係を有するアジアにおいて、通貨危機の予防・対処のための域内の枠組みであるチェンマイ・イニシアティブの更なる強化や、アジアの貯蓄を域内の投資に活用するためのアジア債券市場育成イニシアティブの推進等に取り組んでまいります。

また、投資交流の促進については、租税条約ネットワークの強化が重要であり、今後も租税条約の改定に取り組んでまいります。

為替相場については、経済の基礎的条件を反映し安定的に推移することが重要であり、今後とも、その動向を注視し、必要に応じて適切に対処してまいります。

WTO交渉については、我が国は、昨年末の香港閣僚会議において「開発イニシアティブ」の発表などを通じて貢献いたしましたが、今後とも、新ラウンド交渉を本年末までに終結させることを目指して取り組んでまいります。また、経済連携協定交渉については、昨年、マレーシアとの協定署名等の進展がありました。今後とも、各国との交渉の進展に向けて努力してまいります。これらの交渉においては、税関手続の簡素化や国際的調和の確保など、貿易円滑化にも取り組んでまいります。

平成18年度関税改正においては、石油製品関税の引下げや、知的財産侵害物品の水際取締りの充実・強化等を図ることとしております。

以上、平成18年度予算及び平成17年度補正予算の大要等について御説明いたしました。関係法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

(結び)

我が国は現在、人口減少社会の到来と世界的な競争条件の変化という2つの大きな構造変化に直面しており、財政構造改革をはじめとする改革を更に加速していかなくてはなりません。

そのためには、構造改革の先にある社会は、弱肉強食の社会ではなく、個を確立した個々人が、互いに切磋琢磨、競争しつつも、本来日本人が持っている家族や地域社会の「絆(きずな)」の中で支え合っていく、活力と信頼に満ちた社会であることを示していく必要があるのではないでしょうか。

阪神・淡路大震災の際に駆けつけた若者や、児童の安全を守る地域住民の姿に、「絆」に支えられた新しい「公(こう)」の胎動が感じられます。国民一人ひとりが、自ら「公」を担うことによって、家族、地域社会、そして国民と国家の「絆」が再構築されるのではないかと考えております。自らが「公」に参画するという意識の中から、財政の在り方に対するより深い理解が生まれてくるのではないでしょうか。

国民各位の御理解と御協力を切にお願いする次第であります。

(4) 与謝野経済財政政策担当大臣の経済演説

(はじめに)

経済財政政策担当大臣として、その所信を申し述べます。

(長期停滞からの脱却)

我が国経済は、輸出、設備投資の回復に加え、個人消費の増加により持続的な景気拡大へと歩を進めつつあります。こうした持続的な成長軌道への日本経済の復調ぶりは、企業の収益・景況感、雇用・所得状況などにも明確に示されています。「日はまた昇る」という見方が海外で現れるなど海外投資家も積極的

な評価を行い始めました。

日本経済は、総じて言えば、10年余りにわたる長期停滞のトンネルを抜け出したと考えます。

いわゆるバブル経済の崩壊によって我が国は諸外国に類を見ない巨額の資産価値の下落を経験しました。時を同じくして、グローバル経済下での競争環境の激変という事態にも直面しました。いわば「経済非常時」ともいうべき局面に陥ったわけであります。

こうした難局の下で、我が国の国民、個々の企業や事業家は、各々の持ち場でまさに粒々辛苦して克服の努力を進めてきました。

小泉内閣は、過去5年間、経済財政諮問会議を活用した「明確な方針設定」と、郵政民営化や公共事業費削減など批判や反対にも揺るがない「断固たる構造改革実行」という首尾一貫した姿勢を貫いてきました。これにより、国民の変革意識を喚起し、「自立自助」へと方向付けてきました。

こうした国民個々の変革努力の積み重ねと政府による改革断行が相まって、日本経済はその潜在力が素直にマクロの数字に反映される「平時の経済」に復帰しつつあると考えます。ただし、若年層の失業率は高く、また、中小企業を取り巻く環境は大企業に比べて厳しいものがあり、地域経済についても依然としてばらつきが見られることには留意が必要です。

我が国経済の先行きにつきましては、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれ、平成18年度の実質成長率は、1.9%程度になると見込んでいます。

(「新たな挑戦の10年」へ)

過去10年余りにわたる「長期停滞のトンネル」を抜け、我が国はいよいよその持てる力を総動員し、直面する歴史的課題に正面から挑戦していく局面に入ったと考えます。

いわば「新たな挑戦の10年」が始まったとの時代認識に立って経済財政政策を担当してまいる所存です。

具体的には、人口減少・少子高齢化が本格化する前に、経済財政政策の2つの最優先課題として「財政健全化」と「成長力・競争力強化」を同時に実現していく必要があると認識しております。

これら2つの課題に官民それぞれが、「攻め」の姿勢で取り組んでいくための土台作りを早急に行ってまいりたいと考えます。

(デフレ脱却)

現時点でのマクロ経済の最大の懸念材料は、我が国経済が現在もデフレの状況にあることと考えます。

デフレからの脱却は中期的なマクロ経済財政運営の基礎となるものであります。民間需要主導の持続的な成長と両立するような安定的な物価上昇率を定着させるべく、政府・日本銀行が一体となって取り組んでいく必要があります。政府としては、経済活性化に裏打ちされた力強い資金需要を創出する一方で、日本銀行には、引き続き実効性のある金融政策を講ずるとともに、市場の信認を確かなものとするよう期待しております。

(長期的な財政健全化の道筋づくり)

経済財政運営の最優先事項の第1は、民間需要主導の持続的な経済成長との両立を図りつつ、危機的状況にある我が国財政を着実に健全化していくための具体的道筋を明らかにし、それを確実に実行することであります。

これまで政府は、「2010年代初頭に基礎的財政収支を黒字化する」という目標の実現に向け、歳出改革を中心に努力を傾注してまいりました。この目標を達成するためには、更にこれまで以上の歳出削減や税制を含む諸改革を行うことが必要です。

この基礎的財政収支の黒字化は確実に達成する必要がありますが、国民が真に将来を安心できる財政の姿を実現するという観点から見れば、そこに至る一里塚に過ぎません。重要なことは、公債残高の発散的増大が生じたり、公債市場の混乱による金利急騰のリスクが高まったりすることがないように20年程度先まで視野に入れつつ財政健全化の道筋を明らかにしていくことであります。

その際、市場からの信認を得るに足る堅実な前提を基礎として、楽観論にも悲観論にも偏ることのないリアリズムに徹した議論を行っていくべきと考えます。

(歳出・歳入一体改革の進め方)

こうした観点から、歳出・歳入一体改革についての選択肢及び改革工程を本年6月を目途にお示しするべく経済財政諮問会議の場で精力的に議論を行ってまいります。

審議においては、例えば以下のような項目を一体的に検討し、選択肢や工程を明らかにしてまいりたいと考えております。

第1に、長期的な経済シナリオや経済社会環境を反映した政府の支出規模の目安、主な歳出分野についての具体的な目標を盛り込んでいくことが重要と考えます。

第2に、社会保障や地方交付税など大きな義務的歳出項目について、中期的な改革の方向性をお示しいたします。

社会保障制度については人口減少・少子高齢化の下でも持続可能なものとなるように、世代間の公平性や効率化等の観点に立ち、改革を強力に推進していくことが必要と考えます。

また、地方交付税については、補助金の問題とあわせて、政府部門において効率的な予算の利用や節約が自律的に生み出されるようなシステムへの思い切った転換が必要であり、こうした観点からの改革を進めることが肝要であると考えます。

第3に、包括的かつ抜本的な税制改革の在り方について議論いたします。持続的な経済社会の活性化を目指して徹底した議論を行い、必要な負担増を求める際には国民の十分な理解を前提としたものとすることが必要です。

第4に、歳出・歳入一体改革の一環として、引き続き公務員総人件費削減、政策金融改革、政府資産・債務改革、特別会計改革、市場化テストによる官業の民間開放など政府自身の効率化・歳出削減につながる改革には手をゆるめることなく取り組んでまいります。

財政の健全化は、民間需要主導の経済成長の持続なくしては不可能です。2つの目標を両立させていくことが必要不可欠であり、マクロ経済と財政との関係に十分注意を払いながら、財政収支改善の速度等の在り方について検討してまいります。

こうした議論を通じて、日本が将来目指すべき「国のかたち」についての選択肢を国民にわかりやすく示すことが必要です。国民の幅広い議論を喚起した上で、18年度中に歳出・歳入一体改革についての結論を得ます。

(成長力と競争力の強化)

経済財政運営の最優先事項の第2は、中国・インドの台頭など世界の経済地図の劇的な変動の中で、我が国の潜在力を最大限に引き出し、「豊かで美しい日本」を保つだけの国際競争力を維持することです。

悲観論や縮み思考では将来は開けません。70年代の原油価格の高騰は、省資源・省エネルギー型技術を得意とする我が国企業の競争優位を後押しする結果となったことが好例です。労働力人口減少は資本蓄積と生産性向上により克服することができます。急速な高齢化社会は、各国に例を見ない新たな就業構造と市場を作り出す機会ともなります。こうした我が国の強みを戦略的に活かしつつ、成長するアジアのダイナミズムを取り込んだ強靱な経済システムの構築に向けて構造改革を進めることが求められます。

そのためには、第1に、人材、資金、特許などの知的資本、チームワークなどの組織資本などが円滑に生産性の高い部門にシフトし、21世紀にふさわしい新たな産業構造に転換していくための環境を整備することが必要です。

第2に、都市、環境、健康、食、文化、教育などの面で質の高い、新しい需要が更なる技術・サービス革新を生み出すといった好循環をもたらす仕組みの検討が求められます。こうした好循環の創出は国際競争力を強化するために不可欠の要素です。潜在需要を掘り起こすための公共部門の新たな役割についても議論してまいります。また、官製市場の改革・開放を更に進めてまいりたいと考えます。

第3に、豊富なグローバル資本や成長するアジアの活力を取り込みつつ、我が国の強みを戦略的に活用できるような経済連携の枠組み作りが求められます。

経済財政諮問会議では、こうした成長力と競争力の強化に向けた戦略的対応を「グローバル戦略」として議論を深め、本年の「骨太の方針」に盛り込んでいく所存です。

(むすび)

「恒産なくして恒心なし」との言葉があります。将来の世代が夢を持って安心安全を享受しながら活躍できるように、また、豊かで美しい日本を将来世代に引き継いでいけるように私たちの世代が責任を持って改革を続行しなければなりません。

経済財政諮問会議は、これまで構造改革に大きな役割を果たしてきました。本年も小泉総理のリーダーシップの下、歳出・歳入一体改革をはじめとして改革の加速・深化に向けて真摯な審議を行ってまいります。

国民の皆様、議員各位の御理解と御協力をお願いし、所信の表明といたします。

(5) 国務大臣の演説に対する質疑要旨

1月20日の国務大臣の演説に対する質疑は、23日に前原誠司君(民主)、久間章生君(自民)及び長島昭久君(民主)が行い、24日には神崎武法君(公明)、志位和夫君(共産)及び重野安正君(社民)が行った。

質疑の主なものは、次のとおりである。

(構造改革)

[1]「これまでの構造改革についての総括と今後の決意」に関する質疑に対して、「政界のタブーと言われた郵政民営化をはじめとした改革を進めてきた。政治は一部の利益を優先するものであってはならず、今後も簡素で効率的な政府を実現するために、これまでの方針に基づき行政改革を推進していく。また、小泉内閣が進める構造改革は、決して弱者を切り捨てるものではない。国民一人ひとり、個人、企業、地域が主役となり、努力が報われ安心して再挑戦できる、そうした明るい社会の実現を目指している」旨の答弁があった。

[2]「公務員制度改革への取組」に関する質疑に対して、「国家公務員を今後5年間で5%以上純減し、給与水準の民間準拠を一層徹底する。また、公務員の労働基本権については、国民意識や給与制度改革の進捗状況を踏まえ、公務員制度に関する課題の一つとして検討する」旨の答弁があった。

[3]「地方分権に向けた取組」に関する質疑に対して、「平成14年以来、いわゆる三位一体の改革を進め、3兆円の税源移譲、4兆7,000億円の補助金改革を行ってきた。平成18年度までの改革の成果を踏まえ、市町村合併の推進など、国と地方を通じた行財政改革を進め、道州制の検討など、真に地方の自立と責任を確立するための取組を行っていく」旨の答弁があった。

[4]「構造改革による所得格差の拡大」に関する質疑に対して、「近年、ジニ係数の拡大に見られるように所得の格差が広がっているとの指摘があるが、統計データからは、所得格差の拡大は確認されない、また、資産の格差についても明確な格差の拡大は確認されないという専門家の報告を受けている。しかし、若年者の未就業の増加、都市と地方の格差といった最近の動きには注意が必要であり、現場の意見も踏まえ、引き続き適切に取り組んでいく」旨の答弁があった。

[5]「市場化テスト法案にかかる官民の事業の仕分け」に関する質疑に対して、「昨年末に閣議決定した行政改革の重要方針に、国の行政機関の事業の要否及び主体について仕分けを行うことを盛り込んだところであり、今国会に提出予定の行政改革推進法案にもその趣旨を盛り込みたいと考えている」旨の答弁があった。

(財政、税制改革)

[1]「財政再建への貢献」に関する質疑に対して、「就任以来、財政健全化に向けて徹底した無駄の排除に取り組んできた。今後、引き続き簡素で効率的な政府を目指して徹底した行財政改革を行うとともに、持続的な経済活性化の実現のため、将来に向けた財政健全化の道筋を示していく。本年6月を目途に、歳出歳入を一体とした財政構造改革の方向についての選択肢及び工程を明らかにし、改革路線を揺るぎないものとする」旨の答弁があった。

[2]「特別会計改革についての見解」に関する質疑に対して、「特別会計の歳出の見直しは一般会計に比べ必ずしも十分でなかったとの批判に応え、政府・与党の連携により、今後5年を目途に特別会計の数を大幅に削減し、制度発足以来最小とする等の踏み込んだ改革案を作成した。政府としては、改革案に沿い、18年度予算を第一歩として着実に改革を推進していく」旨の答弁があった。

[3]「税財政改革への取組」に関する質疑に対して、「これまでの税制改正においては、景気状況や経済社会の構造変化に対応して適切な措置を講じてきた。来年度も、個人及び企業に対する減税措置を大幅に整理する一方で、中小企業関係税制を拡充する等、適切な措置を講ずる。また、あらゆる無駄を省き、簡素で効率的な政府を目指して徹底した行財政改革を行っていく。さらに、公正で活力ある社会にふさわしい税制の実現に向け、税体系全体の改革について国民的議論を深めていく」旨の答弁があった。

[4]「所得税の累進性強化」に関する質疑に対して、「平成18年度税制改正において、より累進的な税率構造を構築することとしている。今後、公正で活力ある社会にふさわしい税制の実現に向け、消費課税や所得課税など各税の果たすべき役割や構造についても幅広く議論する必要があると考えている」旨の答弁があった。

[5]「定率減税廃止」に関する質疑に対して、「定率減税廃止は、平成11年に景気対策として導入された、納税者の所得税額の一定割合を一律にカットするという税負担の軽減措置を、経済状況の改善等を踏まえ、もとに戻すものである。これは、所得水準が低く所得税を納めていない非納税者には税負担が生じず、所得水準が一定以上で所得税を納めている納税者には税負担の増が生じるため、定率減税廃止が再配分機能を更に低下させることにはならない」旨の答弁があった。

(経済、金融、雇用政策)

[1]「小泉改革による景気回復の実効性(格差社会の拡大)」に関する質疑に対して、「我が国経済は、失業率の低下、有効求人倍率の上昇、賃金の緩やかな増加、消費者マインドの改善など、着実に景気回復の道を歩んでいる。格差問題については、統計データからは、所得格差や資産格差の明確な拡大は確認されていないとの報告を受けている。しかしながら、若年層の非正規化や未就業の増加、生活保護受給者の増加、都市と地方の格差などの最近の動きには注意が必要であり、政府としては、自立支援対策の充実や地方の再生を進めている」旨の答弁があった。

[2]「政策金融改革」に関する質疑に対して、「貸出残高対GDP比半減、民業補完の原則を徹底した機能の限定、8つの機関の統廃合、完全民営化などを内容とする抜本的改革を実現する。具体的な制度設計に当たっては、借り手側の視点にも立ち、中小零細企業や個人の資金調達支援の機能は残しつつ、改革を進める。これにより、官から民へと資金の流れが変わり、効率的な、簡素な政府への道筋が確かなものとなる」旨の答弁があった。

[3]「証券市場の法整備」に関する質疑に対して、「これまでも、課徴金制度の導入や証券取引等監視委員会の体制強化等の改革を行ってきたが、今国会では、金融サービスに関する包括的、横断的な法規制の枠組みを整備することとしており、この中で不正行為の防止にしっかりと取り組んでいく」旨の答弁があった。

[4]「派遣労働者問題」に関する質疑に対して、「労働者派遣法など労働法制に関する規制改革は、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ、多様な働き方を選択できるようにするとの観点から進めてきたものであり、必要なものであったと考えている。他方、だれもが安心して働くことができるような労働環境の整備を進めていく。なお、同一労働同一賃金を確保するために法規制を強化することについては、労使を含めた国民的合意形成を図りつつ対応していくことが必要と考えている」旨の答弁があった。

[5]「若年層における雇用の二重構造」に関する質疑に対して、「政府としては、フリーターの常用雇用化などを盛り込んだ『若者の自立・挑戦のためのアクションプラン』に基づき諸施策を講じているところであり、今後とも格差の拡大の防止に向け、若年者をはじめとした雇用対策に積極的に取り組んでいく」旨の答弁があった。

(社会保障制度改革)

[1]「年金制度改革」に関する質疑に対して、「国民年金保険料の未納、未加入対策の強化や、社会保険庁の改革などに取り組んでいる。また、国民年金を含めた一元化については、さまざまな課題があり、まずは厚生年金と共済年金の一元化を速やかに実現することが重要であり、被用者年金一元化について、4月末を目途に基本方針を閣議決定することができるよう、早急に検討を進めていく」旨の答弁があった。

[2]「小児医療提供体制」に関する質疑に対して、「今般の医療制度改革において医療計画制度を見直し、地域の医療関係者の協力の下、小児医療対策、救急医療対策などの事業ごとに具体的な医療の連携が確保されるようにするとともに、平成18年度診療報酬改定において、小児医療等の医療の質の確保に配慮し、急性期医療の実態に即した看護配置を適切に評価した改定を行う」旨の答弁があった。

[3]「医療提供体制」に関する質疑に対して、「医療に関する情報提供の充実、レセプトのオンライン化の推進、平成18年度診療報酬改定における後発医薬品の使用促進、公的医療機関の病床の再編等によるサービスの効率化、急性期から在宅における療養に至るまで切れ目のない医療が提供される体制を構築することによる総入院期間の短縮など、総合的な医療提供体制の改革を進める」旨の答弁があった。

[4]「生活習慣病対策」に関する質疑に対して、「運動、食生活、喫煙面での生活習慣の改善に向けた国民運動を展開するとともに、医療保険者の役割を明確化し、効果的、効率的な健診、保健指導を義務付けるなど、本格的な生活習慣病予防の取組を推進する」旨の答弁があった。

[5]「がん対策」に関する質疑に対して、「がんの罹患率と死亡率の激減を目指し、がん予防・早期発見の推進、がん医療水準の地域格差の是正、がんの在宅療養・終末期医療の充実、がん医療技術の開発振興を進めている。また、がん対策法の制定については、国民、患者の声を更に聞きつつ、将来的な検討課題としたい」旨の答弁があった。

(少子化対策)

[1]「幼児教育(幼保一元化)の推進」に関する質疑に対して、「家庭、地域、幼稚園等が連携し、希望するすべての幼児に対して質の高い幼児教育の機会が提供されるよう、今後とも幼児教育の振興に努める。また、就学前の教育、保育を一体としてとらえた一貫した総合施設については、平成18年度からの本格実施に向け、本国会に関連法案を提出する」旨の答弁があった。

[2]「少子化対策・子育て支援」に関する質疑に対して、「待機児童ゼロ作戦、多様な放課後児童対策、若者の就労支援など、子ども・子育て応援プランに基づいて少子化対策を推進するとともに、6月を目途に、昨年設置された少子化社会対策推進会議が今後の少子化対策について議論を取りまとめることとしており、その結論も踏まえ、子ども・子育て応援プランをより充実させる」旨の答弁があった。

(アスベスト問題)

[1]「アスベスト問題に係る安心、安全の確保」に関する質疑に対して、「アスベスト問題に係る総合対策に基づき、すき間のない健康被害者の救済のため、石綿健康被害救済法案を今国会に提出するとともに、今後の被害の未然防止のためのアスベスト除去への支援、国民の不安解消のための情報提供や健康相談等の取組を進めている」旨の答弁があった。

[2]「給付金支給開始までの間の中皮腫患者に対する援助」に関する質疑に対して、「給付金については、認定された後、請求のあった時点にさかのぼって支給することとし、少しでも被害者の負担を軽減できるようにしたいと考えている」旨の答弁があった。

[3]「救済基金の拠出金確保のため企業に理解を求める施策」に関する質疑に対して、「企業からの拠出金については主要な事業者団体に対して説明を行い、おおむね理解を得られたと考えている。救済制度の円滑な運用を図るため、引き続き企業の理解と協力を求めていく」旨の答弁があった。

[4]「アスベスト飛散防止策について法律の運用面で実効性を担保する施策」に関する質疑に対して、「国会に提出した石綿被害防止一括法案では、従来の建築物の解体等に加え、新たに工作物の解体等の際にも徹底したアスベストの飛散防止策を講じなければならない等の措置を定めており、法律の運用に当たっては、関係省庁が密接に連携するとともに、飛散防止策について地方公共団体や国民への周知徹底を図ることにより、その実効性をできるだけ確保したいと考えている」旨の答弁があった。

(アジア外交)

[1]「北朝鮮問題」に関する質疑に対して、「日朝包括並行協議では、拉致、安全保障、国交正常化の各問題を取り上げ、日朝関係の全般的な進展を図る考えであり、その中で、特に最優先課題である拉致問題に関し、生存者の帰国、真相の究明、容疑者の引き渡しを北朝鮮側に強く求め、問題解決に向けた具体的前進を図るべく最大限努力する」旨の答弁があった。

[2]「六者協議への政府の対応」に関する質疑に対して、「議長国の中国や米国、韓国と緊密に連携し、まずは六者会合の早期再開を図り、その上で、北朝鮮の核廃棄の実現のため、昨年9月の共同声明の早期実施に向け最大限努力する」旨の答弁があった。

[3]「アジア外交」に関する質疑に対して、「昨年12月の東アジア首脳会議の成果に立脚し、多様性を認め合いながら、自由と民主主義を尊重し、地域共通の課題に協力して取り組み、開かれたアジアの形成を目指す」旨の答弁があった。

[4]「日中・日韓関係」に関する質疑に対して、「良好な首脳間の信頼関係の構築、対話は重要である。また中国、韓国は我が国にとって大事な隣国であり、大局的な視点から協力を強化し、相互理解と信頼に基づいた未来志向の関係を築いていく必要がある」旨の答弁があった。

[5]「中国脅威論」に関する質疑に対して、「中国の経済発展は脅威ではなく好機であるという認識である。他方、中国の国防費については、その不透明な部分というものがあり、中国側にその透明性の向上を働きかけている」旨の答弁があった。

(安全保障政策)

[1]「緊急事態基本法制定についての考え方」に関する質疑に対して、「一昨年5月の3党合意、昨年8月の3党からの申出に基づき、いわゆる有事をはじめとする国家の緊急事態への対処の在り方等について検討中であり、法案の提出については、適切に判断していく」旨の答弁があった。

[2]「日米同盟に関する近隣諸国等への説明」に関する質疑に対して、「日米両国政府は、世界の中の日米同盟との考えの下に、諸課題に対し、世界の国々や国連等の国際機関と協調しながら協力して取り組んでおり、日米同盟の意義について、随時近隣諸国に説明してきており、理解を得られているものと考えている」旨の答弁があった。

[3]「在日米軍再編の進め方」に関する質疑に対して、「昨年10月の在日米軍の再編についての日米共同文書を踏まえ、抑止力の維持と地元の負担の軽減の観点から、必要な措置を講ずることについて検討する旨、昨年11月11日に閣議決定をしており、関係閣僚などが関係自治体を訪問し、その内容や方向性について誠心誠意説明しているところである。3月末までの日米間の最終まとめについて合意を得るように全力を尽くす」旨の答弁があった。

[4]「米軍海兵隊司令部のグアムへの移転費用」に関する質疑に対して、「現時点では具体的な措置について何ら決定していないが、抑止力の維持と地元の負担軽減の観点から、在沖縄海兵隊司令部の要員等の移駐をなるべく早く実現するため、米国政府と協力して検討していきたいと考えている」旨の答弁があった。

[5]「日米地位協定の改定」に関する質疑に対して、「運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えの下に努力している」旨の答弁があった。

(災害対策・豪雪対策)

[1]「住民の安全確保と被害の拡大防止」に関する質疑に対して、「政府・与党連携して速やかに対応に当たっており、人命の被害防止、国民生活の安全等に遺漏なきよう、各大臣に改めて指示したところである。被害の拡大防止のため、災害救助法による支援、自衛隊の迅速な派遣、補助金の緊急配分など種々の対策を講じていく」旨の答弁があった。

[2]「農産物や灯油の価格の高騰による国民生活への影響」に関する質疑に対して、「農産物に関しては、主要産地に対して出荷量の確保を要請したところであり、引き続き価格動向を注視していく。灯油に関しては、石油元売各社に対して安定供給の確保と便乗値上げの防止を要請したところであり、引き続き価格動向を注視していく」旨の答弁があった。

[3]「豪雪対策の再点検と今後の具体的な取組」に関する質疑に対して、「今後、高齢化、過疎化に対応するため、ハード、ソフト両面にわたる豪雪対策を検討する必要があり、山間の過疎地の高齢者の方々には、冬期の間、町中に移住していただくなどのアイデアも出されている。国土の保全も踏まえて従来の豪雪地帯対策の再点検を行い、特に高齢者の安全、安心対策等について検討していく」旨の答弁があった。

(教育問題)

[1]「公私立学校間の教育費の負担格差是正」に関する質疑に対して、「これまでも私学助成や奨学金事業など各種支援策を実施している」旨の答弁があった。

[2]「私立学校生に対する直接授業料補助制度についての考え方」に関する質疑に対して、「教育費負担の軽減に努めることは必要であり、家庭に直接補助する制度についても、その意義や問題点などについて今後更に研究、検討を行っていきたい」旨の答弁があった。

[3]「国際人権規約の高等教育無償化条項留保の理由」に関する質疑に対して、「我が国の高等教育機関への進学率は、奨学金事業等の支援により、先進国の中でも高い水準である76%にまで達している。無償化のための財源をどのように賄うか等の問題もあることから、留保している」旨の答弁があった。

[4]「教育基本法改正に向けての決意」に関する質疑に対して、「平成15年3月の中央教育審議会答申や与党における御議論を踏まえながら、教育基本法の速やかな改正を目指し、しっかりと取り組んでいきたい」旨の答弁があった。

[5]「教職員の大量退職、採用時代の到来を控えて、次世代の優秀な教員養成の必要性」に関する質疑に対して、「すぐれた教育を次世代に継承するための退職教員の再活用や、教職大学院制度の創設など教員養成課程の充実、教員免許制度改革、教員評価の充実などに努めていく」旨の答弁があった。

[6]「小学校における英語教育の必修化」に関する質疑に対して、「グローバル社会に対応するため、小学校段階における英語教育を充実する必要がある。教育改革のための重点行動計画に基づき学習指導要領の見直しを行う中で、広く御意見を伺いながら検討していきたい」旨の答弁があった。

(農業政策)

[1]「WTO農業交渉への取組方針」に関する質疑に対して、「多様な農業の共存を基本理念とし、柔軟性があり、輸出国と輸入国とのバランスのとれた貿易ルールの確立を目指して交渉に臨んでいる」旨の答弁があった。

[2]「今後の農政の在り方」に関する質疑に対して、「地域の実情も踏まえつつ、やる気と能力のある農業経営へ支援を集中する。攻めの農政を推進する観点から、我が国農産物の海外への輸出など、生産者や地域の創意工夫に基づく意欲的な取組を後押しすることにより、食料自給率の向上と持続可能な農業の構築を推進する」旨の答弁があった。

[3]「総合的な農林業の振興施策」に関する質疑に対して、「意欲と能力のある経営に支援を重点化し、地域における農林業の担い手を育成、確保するとともに、上流域など中山間地域の振興等を強力に進める」旨の答弁があった。

(米国産牛肉輸入問題)

[1]「平成17年12月の輸入再開判断の是非」に関する質疑に対して、「食品安全委員会で科学的な議論を尽くし、国民の意見も聴取した上で取りまとめられた答申を踏まえて決定されたものである」旨の答弁があった。

[2]「危険部位混入確認後の政府の対応」に関する質疑に対して、「輸入された米国産牛肉に危険部位の混入が確認されたため、直ちにすべての米国産牛肉の輸入手続を停止した。輸入手続を再開するためには、日米間で合意したルールの遵守が必要であり、国民の食の安全、安心を大前提に、米国に対し、原因究明と再発防止を求めている」旨の答弁があった。

[3]「輸入牛肉について履歴管理を義務付ける必要性」に関する質疑に対して、「国際協定との関係で問題となることも考えられ、慎重に検討する必要がある」旨の答弁があった。

(耐震強度偽装問題)

[1]「居住者に対する公的支援措置の在り方」に関する質疑に対して、「建築主が契約上の責任を誠実に履行する見通しが立たない現状では、売り主に対する徹底した責任追及を前提に、類似の財政措置との均衡にも配慮した上で、居住者に対する公的な支援を行う必要がある」旨の答弁があった。

[2]「建築確認検査制度を民間開放したことの是非」に関する質疑に対して、「民間開放の進展により、建物完成後の完了検査率が倍増し、違反建築物の件数が大幅減少するなど、実効性が向上している」旨の答弁があった。

[3]「今後の政府の対応・再発防止策」に関する質疑に対して、「居住者及び周辺住民の安全を最優先に、居住の安定確保に努めるとともに、早急な実態の全容把握と同時に、建築確認検査制度を総点検し、早急に見直しが必要なものについては、今国会で制度改正を行う」旨の答弁があった。

2 主な議案等の審議

年月日 議案等
平成18年
1月20日
○国務大臣の演説
  • 小泉内閣総理大臣の施政方針演説
  • 谷垣財務大臣の財政演説
  • 与謝野経済財政政策担当大臣の経済演説
1月23日 ○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

前原誠司君(民主)、久間章生君(自民)、長島昭久君(民主)

答弁

小泉内閣総理大臣、安倍内閣官房長官、小坂文部科学大臣、中川農林水産大臣、額賀防衛庁長官
1月24日 ○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

神崎武法君(公明)、志位和夫君(共産)、重野安正君(社民)

答弁

小泉内閣総理大臣、北側国土交通大臣、小坂文部科学大臣、麻生外務大臣、谷垣財務大臣、与謝野経済財政政策担当大臣
1月27日 ○趣旨説明
  • 石綿による健康被害の救済に関する法律案(内閣提出)
  • 石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

小池環境大臣

質疑

長浜博行君(民主)、高木美智代君(公明)

答弁

安倍内閣官房長官、小池環境大臣、北側国土交通大臣、川崎厚生労働大臣

1月31日 ○平成17年度一般会計補正予算(第1号)〈可決〉

○平成17年度特別会計補正予算(特第1号)〈可決〉

○平成17年度政府関係機関補正予算(機第1号)〈可決〉

討論(以上3件)

笹木竜三君(民主)、松岡利勝君(自民)、吉井英勝君(共産)、阿部知子君(社民)

○国会議員互助年金法を廃止する法律案(河村たかし君外7名提出)〈否決〉

○国会議員互助年金法を廃止する法律案(宮路和明君外6名提出)〈可決〉

討論(以上2件)

鈴木克昌君(民主)、松本純君(自民)

○石綿による健康被害の救済に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

○石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上2件)

田島一成君(民主)、加藤勝信君(自民)
2月16日 ○趣旨説明
  • 平成18年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)
  • 所得税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
説明

谷垣財務大臣

質疑

田村謙治君(民主)、三谷光男君(民主)、石井郁子君(共産)

答弁

谷垣財務大臣、与謝野経済財政政策担当大臣、竹中総務大臣
2月17日 ○発言・趣旨説明
  • 平成18年度地方財政計画
  • 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
発言・説明

竹中総務大臣

質疑

やまぎわ大志郎君(自民)、福田昭夫君(民主)

答弁

竹中総務大臣、安倍内閣官房長官、谷垣財務大臣
2月23日 ○趣旨説明
  • 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第24条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件
説明

麻生外務大臣

質疑

小野寺五典君(自民)、山口壯君(民主)

答弁

麻生外務大臣、額賀防衛庁長官
2月28日 ○趣旨説明
  • 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
説明

小坂文部科学大臣

質疑

小島敏男君(自民)、奥村展三君(民主)、池坊保子君(公明)

答弁

小坂文部科学大臣、竹中総務大臣

○趣旨説明
  • 運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

北側国土交通大臣

質疑

森本哲生君(民主)

答弁

北側国土交通大臣
3月2日 ○平成18年度一般会計予算〈可決〉

○平成18年度特別会計予算〈可決〉

○平成18年度政府関係機関予算〈可決〉

討論(以上3件)

伴野豊君(民主)、玉沢徳一郎君(自民)、赤嶺政賢君(共産)、桝屋敬悟君(公明)、日森文尋君(社民)

○地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上2件)

田嶋要君(民主)

○平成18年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

○国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

○所得税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上3件)

古本伸一郎君(民主)
3月14日 ○日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第24条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件〈承認〉

討論

津村啓介君(民主)
3月16日 ○国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)〈可決〉

討論

横山北斗君(民主)

○趣旨説明
  • 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出)
  • 都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

二階経済産業大臣、北側国土交通大臣

質疑

新藤義孝君(自民)、佐々木隆博君(民主)、小宮山泰子君(民主)、高木陽介君(公明)

答弁

二階経済産業大臣、北側国土交通大臣、竹中総務大臣、安倍内閣官房長官、小池環境大臣、中川農林水産大臣
3月17日 ○議員西村眞悟君の議員辞職勧告に関する決議案(村田吉隆君外3名提出)〈可決〉

○趣旨説明
  • 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律案(内閣提出)
  • 食料の国内生産及び安全性の確保等のための農政等の改革に関する基本法案(山田正彦君外4名提出)
説明

中川農林水産大臣、山田正彦君(民主)

質疑

原田令嗣君(自民)、松木謙公君(民主)

答弁

中川農林水産大臣、仲野博子君(民主)、岡本充功君(民主)、篠原孝君(民主)
3月23日 ○趣旨説明
  • 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出)
  • 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出)
  • 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出)
  • 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
説明

中馬国務大臣

質疑

松本剛明君(民主)、渡辺周君(民主)、吉井英勝君(共産)、菅野哲雄君(社民)

答弁

小泉内閣総理大臣、中馬国務大臣、川崎厚生労働大臣、竹中総務大臣
3月24日 ○趣旨説明
  • 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

杉浦法務大臣

質疑

早川忠孝君(自民)、高山智司君(民主)

答弁

杉浦法務大臣、北側国土交通大臣、沓掛国家公安委員会委員長、安倍内閣官房長官、額賀防衛庁長官
4月6日 ○趣旨説明
  • 健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案(小宮山洋子君外4名提出)
  • 医療を受ける者の尊厳の保持及び自己決定に資する医療情報の提供、相談支援及び医療事故等の原因究明の促進等に関する法律案(園田康博君外3名提出)
説明

川崎厚生労働大臣、柚木道義君(民主)、岡本充功君(民主)

質疑

石崎岳君(自民)、仙谷由人君(民主)、園田康博君(民主)、上田勇君(公明)、高橋千鶴子君(共産)、阿部知子君(社民)

答弁

小泉内閣総理大臣、川崎厚生労働大臣、山井和則君(民主)、郡和子君(民主)、谷垣財務大臣、小坂文部科学大臣

○趣旨説明
  • 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案(内閣提出)
説明

小坂文部科学大臣

質疑

松浪健四郎君(自民)、高井美穂君(民主)

答弁

小坂文部科学大臣、川崎厚生労働大臣、猪口少子化・男女共同参画担当大臣、安倍内閣官房長官
4月11日 ○趣旨説明
  • 住生活基本法案(内閣提出)
説明

北側国土交通大臣

質疑

吉田六左エ門君(自民)、長安豊君(民主)、伊藤渉君(公明)

答弁

北側国土交通大臣
4月13日 ○趣旨説明
  • 消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 消費者契約法の一部を改正する法律案(菊田真紀子君外3名提出)
説明

猪口国務大臣、菊田真紀子君(民主)

質疑

林田彪君(自民)、泉健太君(民主)

答弁

猪口国務大臣、小宮山洋子君(民主)、枝野幸男君(民主)
4月14日 ○趣旨説明
  • 証券取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
  • 証券取引委員会設置法案(古本伸一郎君外6名提出)
説明

与謝野金融担当大臣、鈴木克昌君(民主)

質疑

江崎洋一郎君(自民)、小沢鋭仁君(民主)、鷲尾英一郎君(民主)、谷口和史君(公明)

答弁

小泉内閣総理大臣、与謝野金融・経済財政政策担当大臣、吉田泉君(民主)、大串博志君(民主)
4月20日 ○国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(松本剛明君外5名提出)〈否決〉

○簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

○公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

○一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

○競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(内閣提出)〈修正〉

討論(以上6件)

近藤洋介君(民主)、今津寛君(自民)、塩川鉄也君(共産)、桝屋敬悟君(公明)、菅野哲雄君(社民)
4月25日 ○水俣病公式確認50年に当たり、悲惨な公害を繰り返さないことを誓約する決議案(東順治君外21名提出)〈可決〉

趣旨弁明

東順治君(公明)

4月28日 ○趣旨説明
  • 建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(長妻昭君外4名提出)
説明

北側国土交通大臣、長妻昭君(民主)

質疑

望月義夫君(自民)、馬淵澄夫君(民主)、斉藤鉄夫君(公明)、穀田恵二君(共産)

答弁

北側国土交通大臣、下条みつ君(民主)、小宮山泰子君(民主)、森本哲生君(民主)
5月9日 ○趣旨説明
  • 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

小池環境大臣

質疑

岩永峯一君(自民)、村井宗明君(民主)

答弁

小池環境大臣、二階経済産業大臣
5月11日 ○日米安全保障協議委員会出席報告

○在日米軍再編に係る日米協議に関する報告

報告

麻生外務大臣、額賀防衛庁長官

質疑

寺田稔君(自民)、武正公一君(民主)、佐藤茂樹君(公明)、赤嶺政賢君(共産)、辻元清美君(社民) 答弁

小泉内閣総理大臣、麻生外務大臣、額賀防衛庁長官、谷垣財務大臣、安倍内閣官房長官
5月16日 ○証券取引委員会設置法案(古本伸一郎君外6名提出)〈否決〉

○証券取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

○証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上3件)

小川淳也君(民主)

○趣旨説明
  • 教育基本法案(内閣提出)
説明

小坂文部科学大臣

質疑

下村博文君(自民)、鳩山由紀夫君(民主)、太田昭宏君(公明)、石井郁子君(共産)、保坂展人君(社民)

答弁 小泉内閣総理大臣、小坂文部科学大臣、安倍内閣官房長官、猪口少子化・男女共同参画担当大臣
5月18日 ○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

○良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上2件)

郡和子君(民主)、高橋千鶴子君(共産)、日森文尋君(社民)

○食料の国内生産及び安全性の確保等のための農政等の改革に関する基本法案(山田正彦君外4名提出)〈否決〉

○農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

○砂糖の価格調整に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)〈可決〉

○主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上4件)

黄川田徹君(民主)

○趣旨説明
  • ねんきん事業機構法案(内閣提出)
  • 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

川崎厚生労働大臣

質疑

戸井田とおる君(自民)、田名部匡代君(民主)

答弁

川崎厚生労働大臣<
5月25日 ○居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(長妻昭君外4名提出)〈否決〉

○建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上2件)

三日月大造君(民主)、穀田恵二君(共産)
6月1日 ○公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出)〈可決〉

討論

大串博志君(民主)

○趣旨説明
  • 日本国憲法の改正手続に関する法律案(保岡興治君外4名提出)
  • 日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(枝野幸男君外3名提出)
説明

保岡興治君(自民)、枝野幸男君(民主)

質疑

甘利明君(自民)、古川元久君(民主)、石井啓一君(公明)、笠井亮君(共産)、辻元清美君(社民)、滝実君(国民)

答弁

保岡興治君(自民)、葉梨康弘君(自民)、鈴木克昌君(民主)、船田元君(自民)、斉藤鉄夫君(公明)、小川淳也君(民主)、園田康博君(民主)、枝野幸男君(民主)
6月16日 ○請願402件〈採択〉

3 決議

○可決したもの

議員西村眞悟君の議員辞職勧告に関する決議案(村田吉骭N外3名提出、決議第1号)[自民・公明提出](18.3.17)

本院は、議員西村眞悟君の議員辞職を勧告する。

右決議する。

水俣病公式確認50年に当たり、悲惨な公害を繰り返さないことを誓約する決議案(東順治君外21名提出、決議第2号)[自民・民主・公明・共産・社民・国民提出](18.4.25)

行政が公害の原点とされる水俣病を公式に確認してから、50年の節目を迎えた。本院は、水俣病という未曾有の公害の犠牲になり、尊い生命を亡くされた方々に心から追悼の誠を捧げるとともに、残されたご遺族の悲しみ、今なお闘病のなかにある被害者とそのご家族の苦痛と苦難に深く思いを致すものである。

平成16年10月に出された水俣病関西訴訟の最高裁判決は、国及び熊本県に水俣病被害の拡大の不作為の不法行為責任を認め、損害賠償の一部について責任を負うことを認定した。政府はこの判決を厳粛に受け止め、平成7年の政治解決及び水俣病発生から今日に至る50年以上の経緯の中で、長きにわたり心身の苦労を耐え忍んでこられたすべての水俣病被害者の方々が、地域社会の理解の中で健やかで安心な暮らしを送れるよう、関係地方公共団体と協力しながら、水俣病対策を着実、かつ、総合的に実施すべきである。

本院は、水俣病公式確認50年の節目に当たり、水俣病の悲劇を貴重な教訓として謙虚に学び、我が国の環境政策の一層の進展を図るとともに、この水俣病の教訓を世界に発信していくことの重要性をあらためて確認し、このような悲惨な公害を決して再び繰り返さない決意をここに表明する。

右決議する。

衆議院
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