委員長 | 大島 理森君 | 自民 | |||
理事 | 金子 一義君 | 自民 | 理事 | 田中 和徳君 | 自民 |
理事 | 玉沢徳一郎君 | 自民 | 理事 | 松岡 利勝君 | 自民 |
理事 | 茂木 敏充君 | 自民 | 理事 | 森 英介君 | 自民 |
理事 | 細川 律夫君 | 民主 | 理事 | 松野 頼久君 | 民主 |
理事 | 上田 勇君 | 公明 | 井上 喜一君 | 自民 | |
伊吹 文明君 | 自民 | 臼井日出男君 | 自民 | ||
遠藤 武彦君 | 自民 | 尾身 幸次君 | 自民 | ||
大野 功統君 | 自民 | 奥野 信亮君 | 自民 | ||
河井 克行君 | 自民 | 河村 建夫君 | 自民 | ||
斉藤斗志二君 | 自民 | 笹川 堯君 | 自民 | ||
実川 幸夫君 | 自民 | 園田 博之君 | 自民 | ||
高市 早苗君 | 自民 | 渡海紀三朗君 | 自民 | ||
中山 成彬君 | 自民 | 根本 匠君 | 自民 | ||
野田 毅君 | 自民 | 二田 孝治君 | 自民 | ||
町村 信孝君 | 自民 | 三原 朝彦君 | 自民 | ||
山本 公一君 | 自民 | 山本 幸三君 | 自民 | ||
山本 有二君 | 自民 | 内山 晃君 | 民主 | ||
小川 淳也君 | 民主 | 大串 博志君 | 民主 | ||
岡田 克也君 | 民主 | 加藤 公一君 | 民主 | ||
北神 圭朗君 | 民主 | 笹木 竜三君 | 民主 | ||
原口 一博君 | 民主 | 伴野 豊君 | 民主 | ||
馬淵 澄夫君 | 民主 | 坂口 力君 | 公明 | ||
桝屋 敬悟君 | 公明 | 佐々木憲昭君 | 共産 | ||
阿部 知子君 | 社民 | 糸川 正晃君 | 国民 | ||
徳田 毅君 | 無 |
本補正予算は、歳出面において、やむを得ざる追加財政需要への対応として、災害対策費、義務的経費の追加及びその他の経費としてアスベスト対策関連経費等を計上するとともに、国債整理基金特別会計への繰入れ及び地方交付税交付金等を計上する一方、既定経費の節減等の修正減額措置を講じ、他方、歳入面において、租税等の収入及びその他収入の増加を見込むとともに、前年度の決算上の剰余金を計上することとし、これと合わせて、国債の発行予定額を減額することとして編成されたものである。本補正予算は、平成18年1月20日、国会に提出され、同日、予算委員会に付託された。
本補正後の平成17年度一般会計予算の総額は、当初予算に対し、歳入歳出とも、4兆5,219億円増加して、86兆7,048億円となっている。
特別会計予算においては、国債整理基金特別会計、道路整備特別会計など20特別会計について、所要の補正を行っている。
政府関係機関予算においては、中小企業金融公庫について、所要の補正を行っている。
衆議院予算委員会においては、1月25日、谷垣財務大臣から提案理由の説明を聴取した。
同月26日には基本的質疑が行われ、豪雪・雪害対策、耐震強度偽装問題、在日米軍再編問題、アスベスト対策、米国産牛肉の輸入再開問題、ライブドア問題等について、質疑が行われた。
同月27日及び30日の午前には一般的質疑が行われ、ライブドア問題、皇室典範改正問題、耐震強度偽装問題、防衛庁関連情報漏えい問題、米国産牛肉の輸入再開問題、格差問題、アスベスト対策、年金一元化問題等について、質疑が行われた。
同月30日の午後には締めくくり質疑が行われ、米国産牛肉輸入再開に至る政府の対応と閣議決定された質問主意書に対する答弁書との齟齬、豪雪・雪害対策、在日米軍再編問題等について質疑を行い、質疑は終局した。
質疑終局後、討論、採決を行い、本補正予算は賛成多数で可決すべきものと議決された。
翌31日に開かれた本会議においても、討論、採決の結果、賛成多数で可決、参議院に送付された。
参議院予算委員会においては、1月25日、谷垣財務大臣から趣旨説明を聴取し、2月1日及び2日の2日間質疑を行い、質疑を終局し、翌3日、採決の結果、賛成多数で可決すべきものと議決された。同日に開かれた本会議においても、採決の結果、賛成多数で可決され、本補正予算は成立した。
我が国経済は、民間需要中心の回復軌道をたどっている。しかし、デフレからの脱却に向けた進展が見られるものの、デフレは依然継続しており、その脱却を確実なものとすることが望まれる。一方、我が国財政は、平成18年度末の普通国債残高が542兆円程度に達する見込みであり、非常に厳しい状況にある。
このような状況下、平成18年度予算は、小さくて効率的な政府の実現に向け従来の歳出改革路線を堅持・強化するとの基本的考え方に立って編成され、平成18年1月20日、国会に提出され、同日、予算委員会に付託された。
一般会計予算の規模は、79兆6,860億円で、17年度当初予算額に対して、2兆4,969億円(▲3.0%)の減少となっている。
歳出については、国債費及び地方交付税交付金等の経費を除いた、いわゆる一般歳出の規模は46兆3,660億円であり、17年度当初予算額に対して、9,169億円(▲1.9%)の減少となっている。
歳出の主な内容は、次のとおりである。
ア 社会保障関係費については、少子化対策等の推進を図る一方、社会保障制度を将来にわたり持続可能で安定的・効率的なものとしていく観点から、医療保険につき、高齢者の自己負担の見直し等の制度改革を行うとともに、診療報酬を全体で3.16%引き下げるなどの取組を行う等とし、17年度当初予算額に対して、0.9%増の20兆5,739億円を計上している。
イ 文教及び科学振興費については、義務教育における質の向上に向けた構造改革、子どもの安全・安心の確保、科学技術分野における選択と集中の一層の推進を図る等とし、17年度当初予算額に対して、8.0%減の5兆2,671億円を計上している。
ウ 防衛関係費については、抑制を図る中で、弾道ミサイル等の新たな脅威への対応等に重点化を図りつつ、効率的で節度ある防衛力整備を図る等とし、17年度当初予算額に対して、0.9%減の4兆8,139億円を計上している。
エ 公共事業関係費については、全体として抑制しつつ、防災・減災による安全の確保や我が国の競争力の向上に直結する投資等への重点化を図る等とし、17年度当初予算額に対して、4.4%減の7兆2,015億円を計上している。このほか、産業投資特別会計社会資本整備勘定において、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」(昭和62年法律第86号)に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として362億円を計上しており、これを加えた公共事業関係費は7兆2,376億円となっている。その他施設費については、17年度当初予算額に対して8.6%減の6,770億円を計上しており、公共事業関係費と合わせた公共投資関係費は7兆8,785億円となっている。
オ 経済協力費については、国際的なテロ対策支援や「人間の安全保障」の推進等へ重点化を図るとともに、より効率的な執行を図る等とし、17年度当初予算額に対して、2.5%減の7,218億円を計上している。
カ 中小企業対策費については、国の産業競争力に資する基盤技術開発等への重点化を行う等とし、17年度当初予算額に対して、6.6%減の1,616億円を計上している。
キ エネルギー対策費については、事務事業の見直しを行いつつ、安定供給確保のための施策や地球温暖化問題への対応等を着実に進める等とし、17年度当初予算額に対して、4.9%減の4,709億円を計上している。
ク 国債費については、一般会計の負担に属する国債及び借入金の償還、国債及び借入金の利子等の支払いに必要な経費と、これらの事務取扱いに必要な経費を国債整理基金特別会計へ繰り入れるものとして、17年度当初予算額に対して、1.7%増の18兆7,616億円を計上している。
ケ 地方財政については、地方交付税について、地方歳出の徹底した見直しを通じ一般会計における総額を抑制しつつ、地方税も含む地方一般財源総額については、地方団体が安定的な財政運営を行えるよう、前年度を上回る額を確保することとしており、一般会計の地方交付税交付金等として、17年度当初予算額に対して、9.5%減の14兆5,584億円を計上している。
なお、交付税及び譲与税配付金特別会計から平成18年度に地方団体に交付する地方交付税交付金及び地方特例交付金の総額は、17年度当初予算額に対して、9.2%減の16兆7,232億円となっている。
歳入については、租税及印紙収入は、税源移譲に伴う所得税減税、定率減税の廃止等を織り込み、17年度当初予算額に対して、4.3%増の45兆8,780億円となっている。その他収入については、17年度当初予算額に対して、1.3%増の3兆8,350億円が見込まれている。
公債発行額については、17年度当初予算額に対して、12.8%減の29兆9,730億円を予定しており、公債依存度は37.6%となっている。
特別会計及び政府関係機関予算についても、事務事業の見直し等による事業の重点化等の視点からの改革を図ることとしている。特別会計の歳出総額は460兆3,857億円であり、このうち、会計間取引額などの重複額等を控除した歳出純計額は225兆3,123億円となっている。特別会計の数は、31であり、政府関係機関の数は8である。
財政投融資計画については、財投改革の総点検のフォローアップを行い、各事業の財務の健全性を確認した上で、対象事業の重点化、効率化を図ることとしている。その規模は、17年度計画に対して、12.5%減の15兆46億円となっている。
平成18年1月20日、衆・参両院の本会議において小泉内閣総理大臣の施政方針演説、谷垣財務大臣の財政演説等政府4演説が行われ、これに対する各党の代表質問は、同月23日から3日間、衆・参両院の本会議で行われた。
衆議院予算委員会においては、同月25日、谷垣財務大臣から提案理由の説明を聴取した。
2月6日から8日までの3日間、基本的質疑を行った。
同月6日には、小泉内閣のこれまでの改革の総括、構造改革の光と影の考え方、雇用に関する地域間格差、アジア外交、平成18年度予算の編成方針と今後の財政運営、WTO交渉、耐震強度偽装問題、豪雪・雪害対策、少子化対策問題、防衛施設庁談合問題、各省庁の事業発注状況と天下り実態等について、質疑が行われた。
同月7日には、格差社会、米国産牛肉の輸入再開問題、質問主意書に対する答弁書の法的拘束力、耐震強度偽装問題、皇室典範改正問題、ライブドア問題、アジア外交、東横インの不正改造問題、今後の消費税率変更の見通し等について、質疑が行われた。
同月8日には、山梨県教職員組合による政治活動問題、耐震強度偽装問題、人口減少問題、国有財産の有効活用、天下り規制と政治資金の透明性の必要性、在上海総領事館員自殺問題、米国における肉骨粉の飼料化の現状等、がん対策への取組、在日米軍再編における普天間飛行場移設の在り方、小泉内閣総理大臣の靖国神社参拝問題、教育改革への取組等について、質疑が行われた。
2月9日から14日までは、一般的質疑が行われた。
同月9日には、与那国島に係る防空識別圏についての政府の認識、普天間飛行場移設問題、教育に果たす国の役割、自然体験教育への予算措置の必要性、国民の政治への信頼確保に向けた取組の必要性、投資事業組合のディスクロージャーの在り方、米国産牛肉の輸入再開問題、公立学校の耐震化の見通し等について、質疑が行われた。
同日の与党の質疑において、政治家のコンプライアンス問題に関して、民主党議員の不祥事例が列挙されたことに民主党が反発し、午後の委員会は休憩のまま開かれないこととなった。同日の理事会の協議の結果、委員長の注意発言を行うことで合意し、翌10日から質疑が再開された。
同月10日には、冒頭、大島委員長から「委員会の審議に当たっては、国会の品位を重んじ、充実したものとなるよう願う」との発言があった後、新型インフルエンザ対策、病原体研究の強化の必要性、障害者の雇用促進の必要性、政党本部の国有地賃貸契約の妥当性、太平洋戦争における我が国の戦争責任、米国産牛肉の輸入再開問題、非正規雇用の拡大の実態、米原子力空母の横須賀基地母港化の可能性、横須賀基地関連工事の落札率及び談合の再発防止への取組等について、質疑が行われた。
同月13日には、デフレ脱却の定義、消費者物価上昇率の上方バイアスの程度、東横インの不正改造問題、耐震強度偽装問題、公共施設のバリアフリーの必要性、障害福祉問題、米国産牛肉の輸入再開問題、官製談合の発生原因及び天下りとの関係、少子化対策等について、質疑が行われた。
同月14日には、政治資金規正法の問題点、イラン核開発問題における我が国の対応、自然再生推進法による支援の在り方、アスベスト対策、東京裁判の結果に対する政府の見解、金融庁顧問の銀行新設コンサルタント兼務の是非、在上海総領事館員自殺問題、米海兵隊のグアム移転問題、官製談合の再発防止の必要性、自衛隊の防衛医官の充足状況等について、質疑が行われた。
同月15日には、米国産輸入牛肉について集中審議が行われ、午後には、小泉内閣総理大臣も出席して特定危険部位が混入した原因及び責任の所在、輸入再開前に査察を実施しなかった理由、我が国への輸出プログラムを米国の検査官に周知徹底させる必要性、米国食肉加工工場査察時の問題点、学校給食における米国産牛肉の使用状況、食品安全行政の一元化の必要性、食の安全及び安心の確保の必要性等について、質疑が行われた。
同月16日には、一般的質疑が行われ、普天間飛行場移設及び在日米軍再編問題、我が国の科学技術水準及び宇宙開発事業の在り方、都市農業振興の必要性、在上海総領事館員自殺問題、堀江被告が与党幹部の親族へメールで送金を指示したとされる問題、公的年金一元化問題、戦争責任についての政府の認識、郵便集配業務統廃合による地方への影響、骨髄移植推進財団における人事及びセクハラ問題への対応、水道施設の耐震化及び老朽化した水道施設の更新の取組等について、質疑が行われた。
同月17日には、金融ライブドア等諸問題について集中審議が行われ、午後には、小泉内閣総理大臣も出席して、規制緩和とライブドア問題との関係、ディスクロージャーの充実の必要性、投資事業組合及び株式分割の規制等関係法律の整備の必要性、証券取引等監視委員会の体制強化の必要性、堀江被告の選挙活動を自民党が応援した理由、与党幹部の親族とライブドア問題についての関係等について、質疑が行われた。
同月20日には、一般的質疑が行われ、社会保障水準を引き下げる必要性及び地方交付税交付金削減の見通し、日中関係に閣僚レベルの交流が果たす役割、ニートの職業的自立支援への取組、豪雪・雪害対策、中小企業対策の重要性、学校及び病院の耐震化、義務教育課程におけるマネー教育の在り方、在沖縄海兵隊のグアム移転問題、三位一体改革が地域間格差を助長する懸念等について、質疑が行われた。
同月21日の午前には、一般的質疑が行われ、少子化対策、プライマリーバランス改善のための施策の必要性、歳出歳入一体改革の必要性、特殊支配同族会社の税負担が急増することの影響、地籍調査の進捗状況と登記簿との乖離問題等について、質疑が行われた。
同日の午後には、耐震強度偽装問題等について集中審議が行われ、建築確認の規制緩和と耐震強度偽装問題との関係、被害者支援としての公的資金投入決定の経緯、ヒューザーが瑕疵担保責任を果たせないと政府が判断した理由、住宅性能保証制度の拡充の必要性、非姉歯物件における耐震偽装の現状等について、質疑が行われた。
同月22日には、官製談合問題等について集中審議が行われ、防衛庁の談合事件の経緯及び発生原因、官製談合防止法の罰則を強化する必要性、国土交通省の入札契約制度の抜本的改革の必要性、官製談合が防衛庁の省昇格の検討に与えた影響、他省庁との人事交流の必要性、公益法人への天下りと迂回天下りの実態、公益法人等に対する補助金の実態、防衛庁の天下りの状況等について、質疑が行われた。
同月23日には、一般的質疑が行われ、公務員の定員削減、異常気象及び地球温暖化が与える影響、国債の発行計画、粉飾決算に対する規制強化の必要性、公務員を雇用対策法の適用対象とする必要性、大学入試センター試験の英語ヒアリング試験実施における不具合、若者の正規雇用を促進する必要性、出産・育児のため退職した女性の再就職支援の必要性等について、質疑が行われた。
同月24日及び27日には、公聴会が開会された。
同月28日の午前には、小泉内閣総理大臣も出席して構造改革と地方経済等について集中審議が行われ、歳出減・歳入増を図る必要性、基礎年金の給付水準を踏まえた適正な生活保護の給付水準の在り方、景気動向に配慮した社会資本整備の地方配分の必要性、タクシー業界の実態と安全確保、土地価格の下落と固定資産税の関係、経済力のない地方自治体に交付税を重点配分する必要性等について、質疑が行われた。
同月28日午後及び3月1日には、分科会が開会された。
3月2日には、冒頭、一般的質疑が行われた後、締めくくり質疑が行われ、国の基礎的財政収支の黒字化達成の必要性、特例公債依存からの脱却の必要性、長期金利と名目成長率の関係、我が国の人口問題、ライブドア問題、高速道路建設計画の見直しの必要性、三位一体改革が地方に与えた影響、防衛施設庁談合問題、格差社会問題、米国産牛肉の輸入再開問題等について、質疑があり、平成18年度予算3案の質疑は終局した。
平成18年度予算審査における質疑・答弁の主なものは次のとおりである。
第1に、財政経済政策について、小泉内閣がこれまで行ってきた構造改革の成果についての認識についての質疑に対し、小泉内閣総理大臣から「私が内閣総理大臣に就任して5年近くで、ようやく日本も改革が必要だという認識に大方変わってきたと思う。不良債権処理目標も達成し、失業率も減ってきている。企業の倒産件数も減ってきており、有効求人倍率も全体としては多くなりつつある。そういう中で、やはり地域的にあるいは企業別に、若干、いいところと悪いところが出てきているのも事実である。これからは、より気配り、目配り、対策が必要ではないかというのはもっともな意見だと思う。伸びていたところはどんどん伸ばしていく。同時に、その中で、なかなかついていけない、あるいは不安のあるところに対しては対策が必要だという指摘も踏まえて、改革の成果をさらに伸ばしながら、この改革路線を定着するようにしていかなければならないと思っている」旨の答弁があった。
また、「2010年代初頭の基礎的財政収支の黒字化の目標をどのように実現していくか」との趣旨の質疑に対し、谷垣財務大臣から「我が国の財政状況は、国、地方合わせて長期国債の残高がGDP比で150%に及ぶという、依然として極めて厳しい状況にある。そのため、2010年代初頭に基礎的財政収支を回復していく、つまり、その年にいただいた税金でその年の政策を賄っていき、孫や子供たちの世代にツケを先送りにしないように持っていくということを目標にしている。そのためには、考えていかなければならないことがたくさんある。歳出を徹底的に削減していくということがまず第一であるということは言うまでもない。それから、成長率を高めてそして税収を上げていくということもその一つであるが、その反面、やはり、成長を通じて物価等が上がっていくと、社会保障等の経費もかさんでくる、あるいは国債費の金利払いというのもかさんでくるということをどう考えていくかということもある。それから、税の方になると、いろいろな議論があるが、やはり税についてもある程度の考え方をきちんと整理して、財政再建の道筋を示していかなければならないのではないかと考えている」旨の答弁があった。
また、中央と地方及び地域間の格差についての質疑に対し、小泉内閣総理大臣から「物価においても地価においても、東京の値段と地方の値段は違う。地域において違いがある、これを格差という言葉で今言われているが、格差があるからといって必ずしも悪いことではないと思っている。地方も、それぞれの地域の特殊性があるから、その特殊性をいかに発揮していくかということは、一律に考えるのではなくて、地域地域によって考えるべきことではないかと思っている。これはやはりその地域の努力、企業家の努力、個人の努力があるわけであるから、今後、地域によって格差が出てくる。あの地域の方がサービスがいい、そうすると別の地域では、こちらの方のサービスをよくするためにはどうしたらいいんだという工夫が重ねられる。そうやって競争しながらサービス水準を上げていくということは、どの業界においても必要な時代になってきたのではないかなと思っているので、格差ととらえるのではなくて、お互いの違いが、どういういい点があるか、悪い点があるか、それを学び合っていく、競争し合って、悪い点をなくして、いい点を伸ばしていくというような競争が必要ではないかと思っている。もとより、社会保障制度として最低賃金制度とか、一定の基準に対して国民のある程度の生活を保障するという、それは制度としては大事であるが、一概に地域間の格差がいけないということにはならないのではないかと思っている」旨の答弁があった。
第2に、米国産輸入牛肉問題について、食の安全・安心の観点からこの問題の対応について小泉内閣総理大臣の考え方を問われたのに対し、「アメリカ側にしても、今回の安全基準を守ることができなかったということに対して大変反省していると思っている。また、アメリカ側の業者が日本に対して輸出したいという気持ちは分かるが、安全基準がしっかり守られているという認識なしに幾らアメリカが日本に輸出しても、日本国民はそういう安全に不安があるものに対しては拒否反応を示すと思う。であるから、日本側、アメリカ側という双方の利益のためにも、安全に対してはお互いがしっかり自主的に問題なしという環境を整えていくこと、同時に、相手側が求めるような安全基準に対しては、両方とも開放的に、どのような検査をしているのか。日本も日本の牛肉をアメリカに輸出しているのであるから、アメリカ側の不安に対しては、心配ないという、懸念があったならばきちんと開示する。アメリカ側に対しても日本はそれを今求めているわけであるので、今後、この真相をしっかりと踏まえて、いかに安全な牛肉を日本国民も安心して食べられるような体制をつくっていくか。今後、関係省庁とよく連携して対応をしていきたいと思っている」旨の答弁があった。
第3に、金融ライブドア問題について、小泉内閣総理大臣の考え方を問われたのに対し、「証券取引の在り方については、堀江被告独自の考えがあったのだろう。しかし、それについて、法律を守るということが誰であっても大前提であるから、現在の法律では、投資しにくいとか仕事がしにくいというのであるならば、法改正して、どうあるべきだということを、国民の理解を得ながらやっていくのが筋であると思っている」旨の答弁があった。
また、行き過ぎた規制緩和がこの問題の原因となったのではないかとの指摘について、与謝野金融担当大臣から「金融市場、証券取引所、証券取引を通じて経済にとって資金の最適配分がなされるという機能を市場は担っていると思っている。そういう中で、今回の事件をどうとらえるかということであるが、私は、個別の企業の法律違反、そのようにとらえることが正しいのではないかと思っている。もちろん、今回の事件を通じて一般抽象化できるものは規則や法律にしていかなければならないと思っているが、今回は明白な証券取引法の違反事件であるし、それはそれ自体として冷静に処理をしていくということが必要であると思っている。やはり、いろいろな取引形態があるときにどこまで網をかぶせることができるかという問題もあるし、また、あまり網をかぶせ過ぎると、自由なる取引、経済活力という面からも、規制のし過ぎだという批判も出てくるだろうし、その辺のバランスは極めて難しいものであるが、一定のルールを決めて、そのルールを市場参加者に守ってもらう。国や政府というものは事後的なチェックをやっていく。この流れは、世界の市場ルールに照らして適切な歩みであろう、そのように思っている」旨の答弁があった。
第4に、耐震強度偽装問題について、この問題の対応に関する政府の基本的考え方を問われたのに対し、北側国土交通大臣から「政府が発表した支援策は、法律上、民事上の責任に基づくものというものでない。あくまで、極めて必要性が高いというふうに行政が判断して、このような支援策を作ったわけである。念頭にあるのは、分譲マンションの中の特に危険な分譲マンションについては耐震度が0.5を切っており、震度5強の地震があると倒壊のおそれもある、そのような非常に危険なマンションの居住者の居住の安全を確保していくことが最優先であると判断した。ほかにホテルだとか賃貸マンションの問題もあるが、それとの一番大きな違いは、分譲マンションの居住者には、このような危険な建物ができたことについては何らの責任がない。そこに大きな違いがあると考えているし、住居という生活の本拠であるかどうかということも大きな違いだと考えている。それと、今回の問題に関しては、建築確認の時点で、それが指定検査機関であれ、これは特定行政庁の事務として公の事務であり、そこにはやはり、責任があると言っているわけではないが、公の事務の関与があるわけである。そういうことを考えたときに、本来は建築主である売主が売主責任として瑕疵担保責任をしっかり果たしてもらうことが当然であるし、それが第一義的な責任を果たしてもらわなければいけないわけであるが、それが果たせるような状況になっていないということも勘案して、そうした要素をさまざま総合的に判断して、行政としては緊急性、公益性の点等々を考えて、これはやはり行政が支援対策、それも総合的な支援対策をつくる必要があると考えて、支援策をつくった」旨の答弁があった。
第5に、官製談合問題について、天下りの問題が官製談合の原因であるとの指摘について、小泉内閣総理大臣から「天下りに対して、一定の制約を設けている。しかし、直接民間企業に行くのではなく、2年間は公益法人に流れているということであるので、これはやはり退職するのが早過ぎるから、退職年齢をもっと引き上げようという運用面の改善もしてきたところである。60歳が定年なのに40代で肩たたきというのであれば、これはもう天下りを考えるのは当然だろうという声もあるから、40や50そこそこで退職せざるを得ないというような状況じゃなくて、できるだけ退職年齢を引き上げるということで、3年延長しようということにしている。しかし、公務員の職業、身分の保障とか、そういうことを考えるとこれでも5年かかるということである。であるから、現在の天下り規制でいいのかどうか。それから、憲法上に認められた職業選択の自由という点もある。しかしながら、こういう談合事件を考えると、天下りと談合事件というのが全く無関係とは言えない。こういう点について、やはり改善策を講じていかなければならないと思っている」旨の答弁があった。
第6に、外交安保問題について、我が国のアジア外交が危機的状況ではないか、との趣旨の質疑に対し、小泉内閣総理大臣から「中国と韓国との相互依存関係はますます強まっている。私は、条件をつけないで中国の首脳とも韓国の首脳とも話し合おうとしている。交流も今までになく進んでいる。ある時期、日本の首相としてはっきり言うべきことは言うという時期が、中国との間においても韓国の間にあってもいいと思う」旨の答弁があった。また、在日米軍再編に向けた最終報告についての質疑に対し、額賀防衛庁長官から「沖縄県民の負担をできるだけ少なくしていくために、一方で、日本全体の安全保障が維持されていくように、そのバランスを考えて、最終報告に向けて最大限の努力をしたい、沖縄県民とよく対話をして、納得してもらえるように努力しながら結論を得たいと思っている」旨の答弁があった。
第7に、少子化問題について、人口減少社会の到来及び少子化対策についての質疑に対し、小泉内閣総理大臣から「社会全体で子供を育てていこう、支えていこうと。子供を初めて持って、昔だったら、親に相談する、おじいちゃん、おばあちゃんに相談する。それが、親がいない。初めて子を持って若い親御さんが、泣いただけで戸惑っちゃう。これも困るから、そういう家族の少ない親御さんに対してどういう支援の手あるいは相談に乗るかということも考えていかなければならない。各般の対策を講じてこの少子化の流れを変えていこう、そして、子供の健全な教育のために地域がどのような支援ができるか、それを全体で考えていこうということをさらに強化していかなければならないと思っている」旨の答弁があった。
3月2日の締めくくり質疑終局後、日本共産党から提出された「平成18年度一般会計予算、平成18年度特別会計予算及び平成18年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議」について趣旨の説明を聴取し、討論、採決の結果、動議は否決され、平成18年度予算3案はいずれも原案のとおり可決すべきものと議決された。
委員会における採決の後、大島委員長からは、質疑において引用した、堀江被告がライブドアから与党幹部の親族に選挙コンサルタント費を支払うよう指摘したとするメールが偽メールであることが判明したので、「確認、確証を得ないまま、出所の明らかにされないメールをあたかも真実であるとして読み上げ、特定の方が関係しているとの質疑を行い、関係者に多大なる御迷惑をおかけするとともに、予算委員会の権威を失墜させ、国民に対しても政治不信を招いたことは重大な問題であり、まことに遺憾である。予算委員会を初め国会審議に当たっては、発言に十分責任を持ち、議院の品位を汚し権威を失墜させることが二度とないよう、強くお願いをする」旨の発言が行われた。
同日の本会議において、討論の後、記名投票による採決の結果、賛成340、反対134で平成18年度予算3案は可決され、参議院に送付された。
参議院の予算委員会は、1月25日に谷垣財務大臣から平成18年度予算3案の趣旨説明を聴取し、3月6日から質疑に入り、基本的質疑、一般質疑、集中審議、公聴会、委嘱審査、締めくくり質疑を行い、同月27日に質疑を終局した。その後、討論、採決の結果、平成18年度予算3案は賛成多数で可決すべきものと議決された。同日の本会議においても、討論の後、記名投票による採決の結果、賛成134、反対103で平成18年度予算3案は可決、成立した。
件名 | 提出日 | 衆院 趣旨 説明 |
衆院 委員会 付託日 |
衆院 提案 理由 |
衆院 委員会 質疑 |
衆院 委員会 議決日 結果 |
衆院 本会議 議決日 結果 |
参院 委員会名 |
参院 委員会 議決日 結果 |
参院 本会議 議決日 結果 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平成17年度一般会計補正予算(第1号) 平成17年度特別会計補正予算(特第1号) 平成17年度政府関係機関補正予算(機第1号) |
18.1.20 | 1.20 | 1.25 | 1.26 1.27 1.30 |
1.30 可決(多) (賛-自民・公明徳田毅君) (反-民主・共産・社民・国民) |
1.31 可決 |
予算 | 2.3 可決 |
2.3 可決 |
||
平成18年度一般会計予算 平成18年度特別会計予算 平成18年度政府関係機関予算 |
1.20 | 1.20 | 1.25 | 2.6 〜(連日) 2.10 2.13 〜 (連日) 2.17 2.20 〜 (連日) 2.23 2.24(公聴) 2.27(公聴) 2.28 2.28(分科) 3.1(分科) 3.2 |
3.2 可決(多) (賛-自民・公明・徳田毅君) (反-民主・共産・社民・国民) |
3.2 可決 |
予算 | 3.27 可決 |
3.27 可決 |
分科会 | 所管 | 設置日 | 構成 | 開会日 | |
---|---|---|---|---|---|
第1分科会 | 皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府所管並びに他の分科会の所管以外の事項 | 平成18.2.23 | 分科員6人 | 2.28 | 3.1 |
第2分科会 | 総務省所管 | 2.23 | 分科員6人 | 2.28 | 3.1 |
第3分科会 | 法務省、外務省及び財務省所管 | 2.23 | 分科員6人 | 2.28 | 3.1 |
第4分科会 | 文部科学省所管 | 2.23 | 分科員7人 | 2.28 | 3.1 |
第5分科会 | 厚生労働省所管 | 2.23 | 分科員7人 | 2.28 | 3.1 |
第6分科会 | 農林水産省及び環境省所管 | 2.23 | 分科員6人 | 2.28 | 3.1 |
第7分科会 | 経済産業省所管 | 2.23 | 分科員6人 | 2.28 | 3.1 |
第8分科会 | 国土交通省所管 | 2.23 | 分科員6人 | 2.28 | 3.1 |
開会承認要求 承認日 |
承認日 | 公聴会を開いた議案 | 意見を聞いた問題 | 開会日 | |
---|---|---|---|---|---|
平成18.2.17 | 2.17 |
平成18年度一般会計予算 平成18年度特別会計予算 平成18年度政府関係機関予算 |
平成18年度総予算について | 2.24 | 2.27 |
出頭日 | 職業 | 氏名 | 意見を聞いた問題 |
---|---|---|---|
平成18.2.24 | 21世紀政策研究所理事長 | 田中 直毅君 | 平成18年度総予算について |
日本労働組合総連合会副事務局長 | 逢見 直人君 | ||
野村證券金融経済研究所経済調査部シニアエコノミスト | 植野 大作君 | ||
昭和女子大学人間社会学部教授 | 木下 武男君 | ||
慶應義塾大学経済学部教授 | 吉野 直行君 | ||
桐蔭横浜大学法科大学院教授 | 郷原 信郎君 | ||
静岡大学教育学部教授 | 馬居 政幸君 | ||
日本大学経済学部教授 | 牧野 富夫君 | ||
2.27 | 岐阜県可児工業団地協同組合理事長 | 加藤 千雄君 | |
鳥取県知事 | 片山 善博君 | ||
北海道大学公共政策大学院教授 | 石井 吉春君 | ||
文京学院大学経営学部教授 | 菊池 英博君 |
出頭日 | 職業 | 氏名 | 審査・調査案件 |
---|---|---|---|
平成18.1.26 | 日本銀行総裁 | 福井 俊彦君 |
平成17年度一般会計補正予算(第1号) 平成17年度特別会計補正予算(特第1号) 平成17年度政府関係機関補正予算(機第1号) |
1.30 | 食品安全委員会委員長 | 寺田 雅昭君 | |
2.6 |
日本銀行総裁 |
福井 俊彦君 |
平成18年度一般会計予算 平成18年度特別会計予算 平成18年度政府関係機関予算 |
2.7 | 食品安全委員会委員長 | 寺田 雅昭君 | |
2.8 | |||
2.10 | |||
平成18.2.13 | 日本銀行総裁 | 福井 俊彦君 |
平成18年度一般会計予算 平成18年度特別会計予算 平成18年度政府関係機関予算 |
独立行政法人都市再生機構理事長 | 小野 邦久君 | ||
食品安全委員会委員長 | 寺田 雅昭君 | ||
2.14 | 独立行政法人都市再生機構理事 | 松野 仁君 | |
2.15 | 食品安全委員会委員長 | 寺田 雅昭君 | |
2.16 | 日本郵政公社執行役員 | 塚田 爲康君 | |
国家公務員共済組合連合会理事長 | 尾原 榮夫君 | ||
2.17 | 企業会計基準委員会委員長 | 斎藤 静樹君 | |
株式会社東京証券取引所代表取締役専務 | 飛山 康雄君 | ||
日本銀行総裁 | 福井 俊彦君 | ||
2.20 | 株式会社東京証券取引所執行役員 | 深山 浩永君 | |
2.21 | 日本銀行総裁 | 福井 俊彦君 | |
独立行政法人都市再生機構理事長 | 小野 邦久君 | ||
2.22 | 東日本高速道路株式会社専務取締役 | 村上 喜堂君 | |
成田国際空港株式会社常務取締役 | 上子 道雄君 | ||
2.23 | 独立行政法人大学入試センター副所長 | 月岡 英人君 | |
3.2 | 日本銀行副総裁 | 岩田 一政君 | |
日本銀行理事 | 白川 方明君 | ||
預金保険機構理事長 | 永田 俊一君 |
平成18.2.28 | 日本放送協会理事 | 小林 良介君 |
平成18年度一般会計予算 平成18年度特別会計予算 平成18年度政府関係機関予算 (総務省所管) |
日本郵政公社理事 | 中川 潤一君 | ||
3.1 | 日本郵政公社理事 | 佐々木英治君 |
平成18.2.28 | 独立行政法人雇用・能力開発機構理事長 | 岡田 明久君 |
平成18年度一般会計予算 平成18年度特別会計予算 平成18年度政府関係機関予算 (厚生労働省所管) |
平成18.3.1 | 独立行政法人都市再生機構理事長 | 小野 邦久君 |
平成18年度一般会計予算 平成18年度特別会計予算 平成18年度政府関係機関予算 (国土交通省所管) |
独立行政法人都市再生機構理事 | 村山 邦彦君 |
派遣議員団 | 派遣期間 | 派遣国名 | 派遣目的 | 派遣議員 |
---|---|---|---|---|
衆議院米国及びブラジル政治経済事情等調査議員団 |
(閉会中) 平成18.7.10 〜 7.19 |
米国、ブラジル | 米国及びブラジルにおける政治経済事情等の調査のため | 9人 |