衆議院

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第2 本会議の概況

【第166回国会】

1 国務大臣の演説及び質疑

平成19年1月26日に安倍内閣総理大臣の施政方針演説、麻生外務大臣の外交演説、尾身財務大臣の財政演説及び大田経済財政政策担当大臣の経済演説が衆議院本会議において行われ、これに対して、同月29日及び30日に各党の代表質問が行われた。

(1) 安倍内閣総理大臣の施政方針演説

(はじめに)

昨年9月、私は、総理に就任した際、安倍内閣の目指す日本の姿は、世界の人々が憧れと尊敬を抱き、子どもたちの世代が自信と誇りを持つことができるように、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた「美しい国、日本」であることを国民の皆様にお示ししました。この新しい日本の姿の実現に向け、国民の皆様とともに、一つ一つスピード感を持って結果を出していくことが重要だと考えております。引き続き、日本の明るい未来に向け、全力投球することをお約束いたします。

私は、日本を、21世紀の国際社会において新たな模範となる国にしたいと考えます。

そのためには、終戦後の焼け跡から出発して、先輩方が築き上げてきた、輝かしい戦後の日本の成功モデルに安住してはなりません。憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組みの多くが、21世紀の時代の大きな変化についていけなくなっていることは、もはや明らかです。我々が直面している様々な変化は、私が生まれ育った時代、すなわち、テレビ、冷蔵庫、洗濯機が三種の神器ともてはやされていた時代にはおよそ想像もつかなかったものばかりです。

今こそ、これらの戦後レジームを、原点にさかのぼって大胆に見直し、新たな船出をすべきときが来ています。「美しい国、日本」の実現に向けて、次の50年、100年の時代の荒波に耐えうる新たな国家像を描いていくことこそが私の使命であります。

自由民主党及び公明党による連立政権の安定した基盤に立って、「美しい国創り」に向けたあらゆる政策を断固として実行してまいります。今後、具体的にどのように取り組んでいくのか、安倍内閣として国政に当たる基本方針を申し上げます。

(成長力強化)

「美しい国」を実現するには、その基盤として、活力に満ちた経済が不可欠です。日本が人口減少社会を迎える中で、国民が未来に夢や希望を持ち、より安心して生活できる基盤となる社会保障制度を維持するためにも、生産性を向上させ、成長力を強化することが必要です。今こそ、日本経済を中長期的に新たな成長の舞台に引き上げていくことが重要であり、今後5年間に取り組むべき改革の方向性を示した「日本経済の進路と戦略」を策定しました。これに基づき、私のリーダーシップの下、革新的な技術、製品、サービスなどを生み出すイノベーションと、アジアなど世界の活力を我が国に取り入れるオープンな姿勢により、成長の実感を国民が肌で感じることができるよう、新成長戦略を力強く推し進めます。

約100年前、権威ある物理学者が「空気より重い空飛ぶ機械は不可能である」と断言したわずか8年後、ライト兄弟が初の有人飛行に成功しました。絶え間のないイノベーションが人類の将来の可能性を切り拓き、成長の大きな原動力になります。2025年までを視野に入れた、長期の戦略指針「イノベーション25」を5月までに策定し、がんや認知症に劇的な効果を持つ医薬品の開発などの実現に向けた戦略的な支援や、各国の特許制度の共通化への取組など、具体的な政策を実行します。

イノベーションにあわせ、ICT産業の国際競争力を強化するとともに、医療、農業など将来有望な分野で残る規制の改革やITの本格的活用により事業の効率性を高めるため、4月を目途に生産性加速プログラムを取りまとめます。減価償却に関する税制度を約40年ぶりに抜本的に見直し、投資の促進を図ります。

アジアなど、海外の成長や活力を日本に取り入れることは、21世紀における持続的な成長に不可欠です。2010年に外国人の訪問を1,000万人とする目標の達成に向け、今年は、日中間の交流人口を500万人以上にすることを目指します。大都市圏における国際空港の24時間供用化や、外国から我が国への投資を倍増する計画を早期に実現します。アニメ、音楽、日本食など、日本の良さ、日本らしさにあふれる分野の競争力を強化し、世界に向けて発信する、「日本文化産業戦略」の策定も含め、ヒト、モノ、カネ、文化、情報の流れにおいて、日本がアジアと世界の架け橋となってともに成長していく、「アジア・ゲートウェイ構想」を、5月までに取りまとめます。

経済連携の強化は、お互いの国に市場の拡大という大きな恩恵をもたらし、国内の改革にも資するものであります。ASEANなどとの経済連携協定や日中韓の投資協定の早期締結と、WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結に取り組みます。

(「チャンスにあふれ、何度でもチャレンジが可能な社会」の構築)

一人一人が、日々の生活に対して、誇り、生きがいや、充実感、明日への希望を感じられることが大切であり、そのための経済成長でなければなりません。国民それぞれの個性や価値観にも着目し、「働き方」と「暮らし」を良くしていくことにこそ力を注ぎたいと思います。

特に、私は、勝ち組と負け組が固定化せず、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化している社会、すなわち、チャンスにあふれ、誰でも何度でもチャレンジが可能な社会を創り上げることの重要性を訴えてまいりました。様々な事情や困難を抱える人たちも含め、挑戦する意欲を持つ人が、就職や学習に積極的にチャレンジできるよう、今般取りまとめた「再チャレンジ支援総合プラン」に基づき、全力を挙げて取り組みます。

具体的には、就職氷河期に正社員になれなかった年長フリーターなどに対し、新たな就職・能力開発支援を行うとともに、新卒一括採用システムの見直しなど、若者の雇用機会の確保に取り組みます。パートタイム労働法の改正により、仕事に応じて正社員と均衡のとれた待遇が得られるようにするとともに、正規雇用への転換も促進します。パートタイム労働者も将来厚生年金を受けられるよう、社会保険の適用を拡大します。経済的に困難な状況にある勤労者の方々の底上げを図るべく、最低賃金制度がセーフティネットとして十分に機能するよう、必要な見直しを行うとともに、自立の精神を大切にするとの考え方の下、働く意欲を引き出すような就労支援を図ります。

社会の第一線をリタイアされた方が、誇りを持って第二の人生に取り組む場を提供することも大切なことです。熟練の腕を活かした再就職や、農林漁業への就業の支援、開発途上国に対する技術協力への機会の提供など、高齢者や団塊の世代の活躍の場を拡大します。

女性の活躍は国の新たな活力の源です。意欲と能力のある女性が、あらゆる分野でチャレンジし、希望に満ちて活躍できるよう、働き方の見直しやテレワーク人口の倍増などを通じて、仕事と家庭生活の調和を積極的に推進します。子育てしながら早期の再就職を希望する方に対し、マザーズハローワークでの就職支援を充実します。配偶者からの暴力や母子家庭など、困難な状況に置かれている女性に対し、行き届いたケアや自立支援を進めます。

障害者自立支援法の運用に当たり、きめ細かな負担の軽減など、必要な措置を講ずるとともに、障害者、高齢者、女性などの再チャレンジを支援する民間企業等への寄附金について、税制上の優遇措置を講じます。

(魅力ある地方の創出)

地方の活力なくして国の活力はありません。私は、国が地方のやることを考え、押し付けるという、戦後続いてきたやり方は、もはや捨て去るべきだと考えます。

地方のやる気、知恵と工夫を引き出すには、地域に住む方のニーズを一番よく分かっている地方が自ら考え、実行することのできる体制づくりが必要です。地方分権を徹底して進めます。「新分権一括法案」の3年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担や国の関与の在り方の見直しを行います。その上で、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めるとともに、地方公共団体間の財政力の格差の縮小を目指します。道州制については、更に議論を深め、検討してまいります。

地方が独自の取組を推進し、「魅力ある地方」に生まれ変われるよう、「頑張る地方応援プログラム」を4月からスタートします。地場産品のブランド化、企業立地の促進、子育て支援など独自のプロジェクトを考え、具体的な成果指標を明らかにして取り組む地方自治体を地方交付税で支援します。

雇用情勢が特に厳しい地域に重点を置いて、雇用に前向きに取り組む企業を支援します。

地方都市の商店街の活性化を図り、住みやすく、コンパクトで賑わいあふれる、お年寄りや障害者にも優しいまちづくりを地域ぐるみで進めます。

地域の主要な産業である農業は、新世紀の戦略産業として、大きな可能性を秘めています。意欲と能力のある担い手への施策の集中化、重点化を図ります。「おいしく、安全な日本産品」の輸出を2013年までに1兆円規模とすることを目指すとともに、都市と農山漁村との交流の推進など、農山漁村の活性化に取り組みます。

広島県の熊野町には、毛筆の伝統技法を化粧筆に応用し、内外の市場で高い評価を得ている中小企業があります。その地域にある技術、農林水産品や観光資源などを有効活用し、新たな商品やサービスを生み出す中小企業の頑張りを応援します。

(国と地方の行財政改革の推進)

我が国財政は引き続き極めて厳しい状況です。歳出削減を一段と進め、財政の無駄を無くすとの基本方針は、安倍内閣において、いささかも揺らぐことはありません。今後とも、経済成長を維持しながら、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出・歳入一体改革に正面から取り組みます。

将来世代に責任を持った財政運営を行うため、2010年代半ばに向け、債務残高の対GDP比率を安定的に引き下げることを目指し、まずは2011年度には、国と地方を合わせた基礎的財政収支を確実に黒字化します。そのため、今後の予算編成に当たっては、税の自然増収は安易な歳出等に振り向けず、将来の国民負担の軽減に向けるなどの原則を設け、歳出削減を計画的に実施します。その第一歩である平成19年度予算編成においては、新規国債発行額を過去最大の4兆5,000億円減額することなどにより、合わせて6兆3,000億円の財政健全化を実現しました。

道路特定財源については、揮発油税を含め、税収全額を道路整備に充てることを義務付けているこれまでの仕組みを50年ぶりに改めることとし、来年の通常国会に所要の法案を提出します。

国や地方の無駄や非効率を放置したまま、国民に負担増を求めることはできません。徹底してぜい肉をそぎ落とし、「無駄ゼロ」を目指す行政改革を進め、「筋肉質の政府」の実現を目指します。

国の行政機関の定員について、5年間で約1万9,000人以上の純減を確実に実施するなど、公務員の総人件費を徹底して削減します。公務員制度改革については、新たな人事評価を導入して、能力本位の任用を行うとともに、官と民が互いの知識、経験を活かせるよう、官民の人事交流を更に推し進めます。予算や権限を背景とした押し付け的なあっせんによる再就職を根絶するため、厳格な行為規制を導入します。

国や地方における官製談合問題の頻発は極めて遺憾であります。改正された官製談合防止法を厳正に執行するとともに、一般競争入札の実施を確実に進めます。さらに、地方自治体に対し、新たな再生法制を整備するとともに、地域における官民格差が指摘されている地方公務員の給与の引下げなど、行財政改革の推進と規律の強化を強く求めます。

政策金融改革の関連法案を今国会に提出し、特別会計について、その数を半分近くにまで大胆に減らすとともに、郵政民営化については、本年10月から確実に実施します。

このように改革を徹底して実施した上で、それでも対応しきれない負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにしなければなりません。本年秋以降、本格的な議論を行い、19年度を目途に、社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しなどを踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく、取り組んでまいります。

(教育再生)

教育再生は内閣の最重要課題です。現在、いじめや子どもの自殺を始めとして、子どもたちのモラルや学ぶ意欲の低下、家庭や地域の教育力の低下といった問題が指摘されています。公共の精神や自律の精神、自分たちが生まれ育った地域や国に対する愛着愛情、道徳心、そういった価値観を今までおろそかにしてきたのではないでしょうか。こうした価値観を、しっかりと子どもたちに教えていくことこそ、日本の将来にとって極めて重要であると考えます。

教育再生会議における議論を深め、社会総がかりで、教育の基本にさかのぼった改革を推進し、「教育新時代」を開いてまいります。

教育改革を実効あるものとするため、60年ぶりに改正された教育基本法を踏まえ、関係法律の改正案を今国会に提出するとともに、新たに教育振興基本計画を早期に策定します。すべての子どもに必要な学力を身につける機会を保証するため、ゆとり教育を見直し、必要な授業時間を確保するとともに、学習指導要領を改訂し、国語力の育成、理数教育、道徳教育の充実など、公教育の再生に取り組みます。

いじめについては「どの学校でも、どの子にも起こりうる」という認識を持ち、教育現場においていじめ問題に正面から立ち向かうことを徹底します。いじめの早期発見、早期対応に努めるとともに、夜間、休日でも子どもの悩みや不安を受け止めることのできる電話相談を全国で実施します。放課後に子どもたちが自由に学び、遊んだり、地域の人たちとも触れ合うことができるよう「放課後子どもプラン」を全国で展開します。

教員の質が教育再生の鍵を握っています。教員免許の更新制を導入し、適正な評価を行います。豊かな経験を持つ社会人の採用を増やすとともに、頑張っている教員には報いるよう支援します。

教育委員会については、期待されている機能を十分に果たしているとはいえません。教育に対する責任の所在を明確にし、子どもたちの未来のために、国民の皆様から信頼される教育行政の体制を構築すべく、断固として取り組んでまいります。

(「健全で安心できる社会」の実現)

戦後の日本の繁栄を支え、頑張ってこられた方々の老後に不安が生じないようにすることが、私の大きな責務であります。自立の精神を大切にした、分かりやすく、親切で信頼できる「日本型の社会保障制度」の構築に向け、制度の一体的な改革を進めます。

国が責任を持つ公的年金制度は、破綻したり、「払い損」になったりすることはありません。官民の間で公平な年金制度とするため、厚生年金と共済年金の一元化を実現します。55歳以上の方に、保険料の納付実績や年金の見込み額をお知らせする「ねんきん定期便」を年内に開始します。社会保険庁については、規律の回復と事業の効率化を図るため、非公務員型の新法人の設置など、「廃止・解体6分割」を断行します。

医療や介護については、政策の重点を予防に移し、より長く、元気に生活を楽しめるよう、「新健康フロンティア戦略」を年度内を目途に策定します。レセプトの電子化などにより、医療費の適正化に努めるとともに、地域における小児科や産科の医師の確保、救急医療体制の整備など、安心な地域医療を確立します。

子どもは国の宝です。安心して結婚し、子どもを産み育てることができる日本にしていかなければなりません。同時に、家族の素晴らしさや価値を再認識することも必要です。次のような政策を実行に移すとともに、少子化に対し、更に本格的な戦略を打ち立てます。

児童手当の乳幼児加算を創設し、3歳未満の第1子、第2子に対する手当を倍増し、一律1万円とします。育児休業給付を、休業前の賃金の4割から5割に引き上げるとともに、延長保育など多様なニーズへの対応を進め、仕事と子育ての両立支援に全力を尽くします。働く人が家族と触れ合う時間を増やすため、長時間の時間外労働を抑制するための取組を強化するなど、仕事と生活のバランスがとれた、働く人に優しい社会の実現を目指します。

児童相談所、警察、学校、NPOなどが連携して、子どもを虐待から守る地域ネットワークの市町村への設置を進めます。

国民生活の基盤となる安心・安全の確保と、美しい環境を守ることは、政府の大きな責務であります。

大規模地震対策や土砂災害対策など、防災対策を戦略的、重点的に進めます。迅速かつ正確に防災情報を提供し、お年寄りや障害者などの被害を最小限にするように努めます。

全国各地域の防犯ボランティアのパトロールなどの活動を支援するとともに、本年春までに「空き交番ゼロ」を実現するなど「世界一安全な国、日本」の復活を目指します。飲酒運転に対する罰則を強化し、地域社会と一体となって、撲滅に取り組みます。

「京都議定書目標達成計画」に基づき、地球温暖化対策を加速します。乗用車の燃費基準を2015年までに2割以上改善し、世界で最も厳しい水準とするとともに、バイオ燃料の利用率を高めるための工程表を策定します。世界最高水準にある我が国のエネルギー、環境技術を活用し、中国を始めとするアジアに対し、省エネ・環境面での協力を進めます。さらに、国内外挙げて取り組むべき環境政策の方向を明示し、今後の世界の枠組み作りへ我が国として貢献する上での指針として、「21世紀環境立国戦略」を6月までに策定します。

(主張する外交)

自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々との連携の強化、オープンでイノベーションに富むアジアの構築、世界の平和と安定への貢献を3本の柱とし、真にアジアと世界の平和に貢献する「主張する外交」を更に推し進めてまいります。

「世界とアジアのための日米同盟」は、我が国外交の要であります。日本を巡る安全保障の環境は、大量破壊兵器やミサイルの拡散、テロとの闘い、地域紛争の多発など、大きく変化しています。こうした中で、日本の平和と独立、自由と民主主義を守り、そして日本人の命を守るために、日米同盟を一層強化していく必要があります。米国と連携して、弾道ミサイルから我が国を防衛するシステムの早急な整備に努めます。

さらに、世界の平和と安定に一層貢献するため、時代に合った安全保障のための法的基盤を再構築する必要があると考えます。いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な類型に即し、研究を進めてまいります。在日米軍の再編については、抑止力を維持しつつ、負担を軽減するものであり、沖縄など地元の切実な声によく耳を傾け、地域の振興に全力を挙げて取り組むことにより、着実に進めてまいります。

北朝鮮の核開発は、我が国として断じて認めることはできません。六者会合において解決を図るべく、「対話と圧力」という一貫した考え方の下、関係各国と連携を強化し、北朝鮮の具体的な対応を求めます。拉致問題の解決なくして、日朝国交正常化はありえません。拉致問題に対する国際社会の理解は進み、国際的な圧力が高まっています。北朝鮮に対し、すべての拉致被害者の安全確保と速やかな帰国を強く求めていきます。新たに拉致被害者に向け、政府のメッセージを放送するなど、引き続き、政府一体となって総合的な対策に取り組みます。

私は、総理就任直後、中国及び韓国を訪問して、首脳レベルで胸襟を開いて話し合いを行い、両国との関係を改善しました。中国とは、両国国民にとってお互いに利益となるよう、戦略的互恵関係を築いてまいります。韓国との間でも、未来志向の緊密な関係を築いてまいります。ロシアとは、北方四島の帰属の問題を解決して、平和条約を締結するとの基本方針にのっとり、領土問題の解決に粘り強く取り組むとともに、幅広い分野での関係の発展に努めます。

ASEAN諸国や、基本的価値観を共有するインド、オーストラリアなどとも、経済連携の強化に加え、首脳同士の交流を拡大します。東アジア・サミット参加国を中心に、今後5年間、毎年6,000名の青少年を日本に招く交流計画を実施してまいります。先日訪問した英国、フランス、ドイツなど欧州諸国とは、平和への貢献など人類共通の課題についての連携を更に深めていきます。

世界全体の平和のためには、中東地域の平和と安定は不可欠であり、我が国の国益にも直結します。依然厳しい状況が続くイラクについては、航空自衛隊の支援活動やNGOとも連携したODAの活用により、我が国としてふさわしい支援を行ってまいります。アフガニスタンとその周辺での国際的なテロの脅威を除去、抑止する国際的な取組に対し、引き続き協力してまいります。

ますます複雑化する外交や安全保障に関する問題に、政治の強力なリーダーシップにより即座に対応できるよう、官邸の司令塔機能の強化に向けた体制の整備に取り組みます。併せて、内閣の情報機能の強化を図ります。

我が国は、国際社会における地位に見合った貢献を行うべきと私は考えます。包括的な国連改革に粘り強く取り組み、安全保障理事会の常任理事国入りを目指します。

海洋及び宇宙に関する分野は、21世紀の日本の発展にとって極めて大きな可能性を秘めており、政府としても、一体となって戦略的に取り組んでまいります。

今後、以上のような政策を行っていくためにも、政治への信頼が必要です。政治家は、「李下に冠を正さず」との姿勢の下、常に襟を正していかなければなりません。政治資金制度の在り方について、各党・各会派において十分議論されることを期待します。

(むすび)

「美しい国、日本」を創っていくためには、我が国の「良さ、素晴らしさ」を再認識することが必要です。未来に向けた新しい日本の「カントリー・アイデンティティ」、即ち、我が国の理念、目指すべき方向、日本らしさについて、我が国の叡智を集め、日本のみでなく世界中に分かりやすく理解されるよう、戦略的に内外に発信する新たなプロジェクトを立ち上げます。

新しい国創りに向け、国の姿、かたちを語る憲法の改正についての議論を深めるべきです。「日本国憲法の改正手続に関する法律案」の今国会での成立を強く期待します。

お年寄りの世話をしている方や中小企業で働く方、看護師、消防士、主婦や、様々な職場、そして各地域で努力しておられる、数えきれない多くの方々が、毎日寡黙にそれぞれの役割を果たすため頑張っています。本来、私たち日本人には限りない可能性、活力があります。それを引き出すことこそ、私の美しい国創りの核心であります。今このときそれぞれの現場で頑張っておられる人々の声に真摯に耳を傾け、その期待に応える政治を行ってまいります。

「未来は開かれている」との信念の下、今年を「美しい国創り元年」と位置付け、私は自ら先頭に立って、明日に向かってチャレンジする勇気ある人々とともに、様々な改革の実現に向け、全身全霊を傾けて、たじろぐことなく、進んでいく覚悟であります。

福沢諭吉は、士の気風とは、「出来難き事を好んで之を勤るの心」と述べています。困難なことをひるまずに、前向きに取り組む心、この心こそ、明治維新から近代日本をつくっていったのではないでしょうか。

日本と自らの可能性を信じ、ともに未来を切り拓いていこうではありませんか。

国民の皆様並びに議員各位の御協力を、心からお願い申し上げます。

(2) 麻生外務大臣の外交演説

(基本方針)

第166回国会開会に際し、所信を述べます。

日本外交は今や、新しい柱を立てつつあります。戦後我が国は、外交の基礎を3本の柱で支えてきました。

日米同盟、国際協調、近隣アジア諸国の重視という3本柱であります。

今これに4本目を加え、我が国の進路は一層明確となります。

外交とは、はるか未来を望み、国益と国民の福利を伸ばす営みです。そのためふさわしい環境を世界に作ろうとする、営々たる努力の別名です。外交はまた、あり得べき危機を極小化しなくてはなりません。

これら外交本来の務めを果たすため、第4の柱、すなわち「自由と繁栄の弧」を作ろうとする方針は、我が国にとって必須のものと言えます。

冷戦終結以来10有余年。今ユーラシア大陸の外周で弧をなす一帯に、自由と民主主義に基づく道を歩むか、今しも歩みだそうとする諸国が点在しています。ここにおいて我が国は、自由の輪を拡げたい。民主主義、基本的人権、市場経済、法の支配といった普遍的価値を基礎とする、豊かで安定した地域を作っていきたいと思います。

今重んじようとする価値とは、どこか異国の産物ではありません。我が国は、浮き沈みがあったとは申せ、近現代史を通じ、これらの価値を自分の物にしてまいりました。人類社会に普遍の価値は、我が国自身の価値でもあります。

今や価値の外交の実践は、先進民主主義国として、我が国の責務であると考えます。我が国が主張してきた「人間の安全保障」実現にも資するものです。

「自由と繁栄の弧」の上で、民主化への長い道のりを走り出したか、走り出そうとしている諸国と我が国は相並び、共に駆けるランナーになりたいものです。しかもその営みを、価値観と志を共にする、米国、豪州、インド、英仏独など欧州各国、国連や国際諸機関と、手を携えて進めてまいります。先般、私が、中・東欧諸国を訪問したのも、まさにそうした考えに基づくものであります。

(世界とアジアのための日米同盟)

さて普遍的価値と戦略的利益を共有する米国との関係は、日本外交の要です。

我が国は、米国と緊密な連携の下、北朝鮮やイランの核問題、イラク、アフガニスタンの復興、テロとの闘いといった、国際社会共通の課題に対処しています。

経済的繁栄と民主主義を通じ、もって平和と幸福を求める普遍の営みにおいて、安全保障上、礎の一つを成すのが日米同盟です。今や我々は、日米同盟に、「世界とアジアのための」と呼ぶにふさわしい内実を持たせなければなりません。

昨年北朝鮮は、弾道ミサイルを射ちました。次いで、核実験を行ったと発表しました。昨年は、我が国周辺の安全保障環境が、依然極めて不安定である事実を、改めて浮き彫りにした1年でありました。

今こそ我々は、日米安保体制の信頼性を更に高めなくてはなりません。弾道ミサイル防衛を始めとする日米安保・防衛協力を、一層強め、加速します。また、在日米軍の兵力態勢の再編を引き続き進めます。これは、抑止力の維持と、沖縄を始め地元の負担軽減という、難しい連立方程式を解く方途であります。その着実な実施に、今年も取り組んでまいります。

日米経済関係においては、両国経済のもつ重みにふさわしい互恵関係を更に発展させてまいります。

(近隣諸国との関係強化)

近隣諸国に目を転じますと、まず中国との間には、1日1万人以上、年間400万人を超す相互の往来があり、経済関係がとみに緊密な現状を物語っています。本年も政治と経済の両輪を力強く回します。共通の戦略的利益に立脚した、互恵関係を築いてまいります。

日本と韓国は、互いにとって最も近く、基本的価値を共にする大切な民主主義国同士であります。そのような間柄にふさわしい、未来志向の関係を打ち立てます。

豪州と我が国は、戦略的利益を共有するパートナーとして、政治・安全保障、経済など多様な分野で広範な協力を進めてきました。本年から始まる経済連携協定交渉については、国内の農業関係者等の懸念(センシティビティ)に十分注意を払いつつ、進めてまいります。また、安全保障面での関係を強め、日米豪の戦略対話を充実していきます。

将来を大いに期待できるのが、インドとの関係であります。本年は経済連携協定交渉を含め、日印協力関係を拡充していきます。同時に、他の南アジア諸国の民主化・平和構築を支援してまいります。

アジアの安定というものは、ASEAN諸国が民主的に落ち着いて、栄えていない限りありません。ASEAN諸国のうち、我が国の伴走をまさに必要とする国々に対し、民主化と、平和構築を助けてまいります。経済面での連携を進めつつ、ASEANの安定・強化を図っていく所存です。

1月15日、セブ島で開かれた第2回東アジア・サミットでは、エネルギーの安全保障と、若者達が交わる大切さを、共通の課題として確認しました。

重要な隣国であるロシアとは、「日露行動計画」に沿って関係の更なる発展に努めます。同時に、懸案の北方領土問題については、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針に従い、これまでの諸合意、諸文書に基づき、双方が受け入れられる解決策を見出すべく、粘り強く取り組んでまいります。

北朝鮮に対しては、「対話と圧力」という不動の方針の下、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向け、粘り強く立ち向かいます。

拉致問題の解決なくして、日朝国交正常化はなく、北朝鮮の核開発は、断じて容認できないものです。これらにつき北朝鮮から誠意ある対応を得るため重要なのは、国際社会と結束し、圧力をかけ続けていくことです。そのためにも、安保理決議第1718号の着実な履行が必要です。ただし、対話の窓口を閉ざすものでないことは言うまでもありません。

(その他の地域との関係強化)

その他の地域、国々との関係に触れます。日本が原油の約9割を輸入する中東地域の平和と安定は、世界全体の安定と、我が国のエネルギー安全保障にとって不可欠の条件です。

航空自衛隊の活動が続くイラクでは、治安の改善が最優先課題です。ODAを始め、イラクに対する支援は決して惜しみません。国際社会が実施するイラク支援にも、積極的に関与していくことは当然の責務です。

アフガニスタンでは、治安改善の取組に併せ、経済社会の復興と、開発支援を進めなくてはなりません。この際不可欠なものは、非合法武装集団の解体です。アフガニスタンに平和を築くため、日本に何ができるか。NATOの友人たちも、真剣な視線を寄せています。我が国は、アフガニスタンに平和をもたらす努力をいささかも緩めようとは思いません。

また、同国とその周辺地域では、国際テロの脅威を除去、抑止する取組が続いています。テロ対策特別措置法に基づく海上自衛隊の支援活動を含め、協力を続けてまいります。

イランの核問題は、国際的な核不拡散体制を揺るがせ、中東全体の安定を損ないかねないものです。北朝鮮の核問題と並び、その深刻さは否定すべくもありません。安保理決議第1737号は、イランの核問題に対し、国際社会が一致して懸念を示したものです。

一方、我が国は、イスラエル、アラブの双方から信頼を集める数少ない国の一つです。その立場を活かし、イスラエルとパレスチナの共存共栄、和平実現のため、献身しなくてはなりません。わけても我が国が提案した「平和と繁栄の回廊」構想とは、域内の協力を通じ、ヨルダン渓谷の開発を図るアイデアです。本年は一歩でも、その実現に近づけていきます。この際、対話による和平を求めるアッバース・パレスチナ暫定自治政府大統領を、支援してまいることを申し添えます。

日本が必要とする原油のうち、7割以上は湾岸諸国に負っています。湾岸諸国の重要性は明らかで、本年は同諸国との関係を一層強め、FTAを早く結べるよう努力します。相互の投資が、とりわけエネルギー分野で伸びるよう、意を用いてもまいります。

アフリカは、依然、紛争や貧困、感染症など、問題を抱えた地域です。我が国は14年前、東京にアフリカ開発会議を招集し、TICADと呼んで継続的なプロセスとしました。自助自立の精神をいかに育んでいくか。アフリカの課題は、そこに核心があります。来年我が国は、4回目のTICADを催します。アフリカ問題の解決なくして、世界の安定と繁栄なし。TICADの、この基本精神へ立ち返り、成長を通じた貧困削減や平和の定着等に向けたアフリカ諸国自身の努力を、一層強く支えてまいります。

中南米では近年、開発を重視する政権の誕生が相次いでいます。その背景には、貧富の格差が埋まらない状況があります。我が国として重要な施策とは、中南米各国の社会経済が均衡ある発展を遂げるよう、必要な助言・協力を行うとともに、自由と民主主義が維持・強化されるべく、対話と協力を続けていくことです。

(国際社会の直面する挑戦)

ここで、国際社会における「法の支配」の確立に向け期待される役割を果たすため、1つお願いがございます。国際刑事裁判所へ我が国として加盟するため、今国会で、関連条約の締結につき、御承認いただきたいと思います。また、紛争の平和的解決に向けた、各種国際裁判の活用に努めることを申し上げます。

地域紛争、テロや組織犯罪、大量破壊兵器の拡散、地球環境の破壊や感染症の脅威など、人類が直面する挑戦に、放置できる問題はありません。我が国は、これら難題に率先して取り組み、世界に範を垂れる国でありたいものです。

国連改革は、国際社会が挑戦に立ち向かうためにも、喫緊の課題です。安保理を始めとする国連の包括的改革が必要であり、これに取り組むことをお約束します。中でも安保理に関わり続ける重要さは、理事国として我が国が主導し、北朝鮮に関する決議を通した昨年の経験から、国民各位が改めて痛感されたことでしょう。安保理常任理事国入りを目指すため新たな提案を検討し、主要国を始め各国と緊密に協議していく所存です。

平和構築という仕事は、我が国国際協力の柱を成すものです。平和構築の現場で働く人材の育成事業を、対象を広くアジアからも求めつつ、来年度から始めます。

本年4月、核兵器不拡散条約の2010年運用検討会議に向けた第1回準備委員会が、我が国のウィーン代表部大使を議長として開かれます。

重責を担うべく、積極的に参加していくことは申すまでもありません。国際的な軍縮・不拡散体制の維持・強化に取り組むことは、我が国が唯一の被爆国として、長年自らに課した使命の一つです。本年も意欲において、いささかも衰えるところはありません。

それにつけても、今後我が国が担うべき国際平和協力とはいかなるものか、議論を大いに尽くし、必要な制度を持てるよう、検討してまいりたいと考えています。

(自由貿易体制を始めとする国際経済体制の強化)

続いて、経済、開発援助などにつき短く述べます。

貿易自由化を進め、多角的貿易体制を強めることは、我が国と世界経済の発展にとって重要です。WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結へ向け、関係国とともに積極的に取り組みます。農業だけでなく鉱工業品の市場アクセスや、サービス分野も含め、バランスの取れた合意を目指します。

WTOと並び重要なEPA/FTAは、スピード感をもって交渉・締結し、各国との経済関係を更に強化する所存です。

知的財産権の保護・強化に向けた国際的な取組にも、引き続き注力いたします。

中・長期的視野に立った、安定的な資源エネルギー確保に努めるため、ロシア、アジア大洋州諸国、中央アジア・コーカサス諸国、中南米諸国、アフリカ諸国との関係強化を通じ、輸入国とエネルギー源双方の多様化を図ります。地球温暖化対策にも貢献すべく、バイオ燃料などの再生可能エネルギー、省エネ技術活用に向けて、関係国との協力を進めていかなくてはなりません。

(ODAの戦略的実施)

ODAは、我が国外交の重要な手段であります。国際社会の一員としての責務を果たし、かつ、自らの繁栄を確保していくために、ODAを一層戦略的に実施します。「自由と繁栄の弧」形成のためにも、ODAを活用していきます。

「人間の安全保障」の理念に基づき、国際社会が挙げて取り組むミレニアム開発目標の達成、気候変動を含む環境、感染症対策、平和構築など、地球規模の課題を解くため、引き続きリーダーシップを発揮いたします。

また、相手国の貿易・投資環境の整備、法制度整備、民主化・市場経済化支援にODAを活用していきます。資源・エネルギー分野では、省エネ推進などをODAによって進めることも重要です。そしていわゆる新興援助国との対話・協力を、今後強めてまいります。

昨年、海外経済協力会議が発足いたしました。外務省の企画・立案機能を強化し、ODAを一層積極的に進めるため生まれた新体制の下、関係省庁、経済界、NGOと連携しつつ、効果的にオールジャパンの経済協力を進めてまいります。

そのうえで、ODA事業量の100億ドルの積み増し、また対アフリカODAの倍増など、対外公約を達成すべく努めてまいります。

(主張する外交)

昨年本演説で約束しましたとおり、わたくしは外務大臣として、我が外交の意欲と、時に夢を、明確な言葉に託して語るよう努めてきました。

「主張する外交」とは、空威張りをしようというのではありません。何より情報の収集と分析の、更なる強化が不可欠です。日本の主張に耳を傾けたいと相手に思わせることが重要です。ポップカルチャー、サブカルチャーを活用することがふさわしい場合には、大いにそうすべきでしょう。日本語を学びたいという人々の意欲に応えなくてはなりませんし、メディアの激しい進歩に、ついていかねばなりません。

(外交力の強化)

昨年は与党を始め要路の皆様から、外交力強化の必要について力強い御支持を賜りました。あらためて、心より感謝申し上げるとともに、任務の重さを受け止め、国民の期待に応えられるよう、努めてまいります。

我が外務省は、任務を担うにふさわしい組織を備え、人員を確保し得ているでありましょうか。足らざるを補うことは、焦眉の急であります。

同時に、国民の厳しい視線を前に、襟を正す姿勢を一瞬たりとも失ってはなりません。

演説を終えるに際して再び、私はそのことを強調し、国民各位の御理解と御鞭撻を願うものであります。

(3) 尾身財務大臣の財政演説

平成19年度予算及び平成18年度補正予算の御審議に当たり、今後の財政政策等の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明いたします。

(我が国の経済の状況と課題)

我が国経済は、長期停滞のトンネルを抜け出し、民間需要に支えられた景気回復を続けています。政府としては、こうした回復の動きを持続可能なものとするため、規制改革などの構造改革を今後とも強力に推進するとともに、イノベーションによる成長力強化を図り、引き続き、物価安定の下での民間需要中心の持続的な成長を図ってまいります。

目を外に転じますと、経済がグローバル化する中で、経済の活性化を図っていくためには、アジアを中心とする世界の成長と活力を取り込んでいくことが必要であり、アジアを含めた世界経済に貢献し、互いに発展していく関係を築いていくことが求められます。このため、G7、アジア諸国、国際機関等と協力を進めていくとともに、多角的自由貿易体制の強化及び経済連携協定の積極的な推進や平成19年度関税改正における通関制度の改善、租税条約の改定等を行い、我が国の経済社会をオープンなものにしてまいります。

(平成19年度予算及び税制改正の大要)

平成19年度予算編成に当たっては、財政の健全化を更に進めるとの考え方の下、徹底した歳出の削減・見直しに取り組み、一般会計全体の予算規模を82兆9,088億円といたしました。

歳入面では、租税等の収入は53兆4,670億円を見込み、その他収入は4兆98億円を見込んでおります。

歳出面では、一般歳出について、徹底した歳出削減方針を貫き、多くの経費を平成18年度当初予算より減額する中で、国民や地域に対して温かみのある取組に配慮したメリハリのある予算配分を行っております。その結果、税収について、平成18年度当初予算に比べ、7兆5,890億円の増加を見込む一方で、一般歳出は46兆9,784億円にとどめております。これは、平成18年度当初予算より6,124億円の増加となっておりますが、電源開発特別会計の仕組みの変更に伴う3,179億円の歳出増加を除けば、2,945億円の増加にとどまっております。

地方交付税交付金等については、税収増により法定率分が大幅に増加する中で、地方歳出の見直し等により、可能な限り抑制し、平成18年度当初予算に比べ、3,732億円増加の14兆9,316億円にとどめております。併せて、交付税特別会計における国負担分の借入金18兆6,648億円を一般会計に承継し、その償還を開始することといたしました。

この債務償還費の増加1兆7,322億円を含め、国債費については、平成18年度当初予算に比べ、2兆2,372億円増加の20兆9,988億円としております。

これらの結果、新規国債発行額は、平成18年度当初予算に比べ、4兆5,410億円減の25兆4,320億円となり、過去最大の減額を実現いたしました。これに加え、先ほど申し上げた債務償還の開始により、実質的に平成18年度当初予算を上回る約6兆3,000億円の財政健全化を図りました。

また、この交付税特別会計借入金の一般会計への承継や、電源開発特別会計における仕組みの変更は、透明性の向上や財政資金の効果的な活用にも資するものであり、質的な面に留意した改革となっております。

次に主要な経費について申し述べます。

社会保障関係費については、少子化対策、医師確保対策等の推進を図る一方、社会保障制度について改革努力を継続し、歳出の抑制を図る観点から、雇用保険の国庫負担の縮減、生活保護の見直し等の取組を行っております。

文教及び科学振興費については、教育再生を推進する施策への重点化を図る一方、義務教育費国庫負担金等の機関補助的な予算は、着実に削減に取り組み、一層のメリハリ付けを行っております。また、イノベーションを通じた経済成長の源である科学技術分野については、選択と集中の徹底を図りつつ、増額を確保しております。

防衛関係費については、弾道ミサイル防衛や米軍再編事業等に的確に対応しつつ、一層の効率化を図っております。

公共事業関係費については、全体として抑制しつつ、地域の自立・活性化、我が国の成長力強化に直結する投資等への重点化を行っております。

経済協力費については、ODA事業量の確保に配慮しつつ、コスト縮減や予算の厳選・重点化等を通じ、抑制を図っております。

中小企業対策費については、我が国経済活力の源泉である中小企業の活性化のため、メリハリを明確にしつつ、地域活性化や再チャレンジ支援につながる事業等を中心に重点化を図っております。

エネルギー対策費については、特別会計の歳出の見直しや電源開発促進税の一般会計繰入方式への変更など、特別会計改革の内容を反映させるとともに、安定供給確保や地球温暖化対策への対応等を着実に進めております。

農林水産関係予算については、農業構造の改革を推進するため、担い手への施策の集中化を図るとともに、担い手の育成・確保、地域活性化等への重点化を図っております。

治安関係予算については、治安関連職員の増員を始め、安全で安心して暮らせる社会の実現に向けた重点化を図っております。

国家公務員の人件費については、平成18年度を上回る2,129人の国の行政機関の定員純減を行うこととするほか、給与構造改革の進展や官民給与の比較対象企業規模の見直しを的確に予算へ反映させております。また、地方公務員の人件費についても、国の改革と同様に定員の純減や給与構造改革等の見直しを行い、地方歳出の抑制につなげております。

特別会計については、行政改革推進法で定められた、特別会計の統廃合などを実施に移すため、本国会において、特別会計に関する法律案を提出しております。

道路特定財源については、昨年12月に決定した「道路特定財源の見直しに関する具体策」に基づく見直しを行い、特定の税収が自動的に全て道路整備に充てられるという、制度創設以来、約50年にわたり変わることのなかった仕組みを改めます。また、平成19年度予算においても、改革の精神を実現すべく、納税者の理解を得つつ、一般財源の拡大を図っております。

「簡素で効率的な政府」を実現する観点から、資産・債務改革に取り組む一環として、財政投融資については、対象事業の重点化・効率化等を図り、総額の抑制に努めた結果、平成19年度財政投融資計画の規模は、対前年度5.6%減の14兆1,622億円となりました。一般庁舎・宿舎などの国有財産については、民間の知見を活用した有効活用を更に推進してまいります。

国債発行総額は143兆8,380億円と平成18年度と比べ、21兆5,971億円減少し、過去最大の減額となりました。しかし、国債残高は依然として多額に上り、引き続き、国債管理政策を財政運営と一体として適切に運営していく必要があります。このため、国債発行に当たっては、安定消化とともに、中長期的な調達コストの抑制に努めることを基本とし、市場のニーズ・動向等を踏まえた発行に取り組んでまいります。

税制については、現下の経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制を構築してまいります。

企業が国を選ぶ時代となる中で、税制も国際的なイコールフッティングを確保する必要があり、平成19年度において、我が国経済の成長基盤を整備する観点から、減価償却制度について、償却可能限度額を廃止するなど、国際的に遜色のない制度とするよう見直しを行います。また、中小企業について、その資本蓄積を促進するため、留保金課税制度の適用対象から除外することや、税源移譲後も中低所得者の減税額を確保するため住宅ローン減税の特例を創設するなど、国民生活等に配慮した中小企業関係税制や住宅・土地税制等の改正を行います。

(平成18年度補正予算の大要)

次に、平成18年度補正予算について申し述べます。

歳入面では、租税等の収入について、平成18年度当初予算に比べ、4兆5,900億円の増加を見込んでおります。この一方で、歳出面において、国民の安全・安心を確保する観点から災害対策に対応するなど、必要性・緊急性の高い経費を計上するとともに、増加した租税等の収入は、できる限り財政健全化に充てることとしております。この結果、国債の発行予定額を2兆5,030億円減額するとともに、平成17年度決算上の財政法第6条剰余金の全額9,009億円を、国債の償還に充てることとしております。

このほか所要の補正を行い、平成18年度補正後予算の総額は、当初予算に対し歳出・歳入ともに3兆7,723億円増加し、83兆4,583億円となっております。

また、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行っております。

(我が国財政の現状と財政運営の基本的な考え方)

次に、我が国財政の現状と財政運営の基本的な考え方について申し述べます。

平成19年度予算では、平成16年度に44.6%であった公債依存度が、3年連続で改善して30.7%となり、一般会計のプライマリーバランスは、平成15年度には約19兆6,000億円の赤字であったものが、4年連続で改善して約4兆4,000億円の赤字にとどまるなど、財政健全化に向けて確実な一歩を踏み出しました。

しかし、我が国の財政状況を見れば、決して楽観視できるような状態ではありません。国・地方を合わせた長期債務残高は、平成19年度末で773兆円、対GDP比で148%になると見込まれ、主要先進国の中で最高の水準にあります。なお、他の国を見ると、次に高いのがイタリアの121%、その他のヨーロッパ諸国や米国は50%から70%程度であります。他方、国民負担の指標として、所得の中で、租税及び医療保険等の保険料の支払いの比率を表す我が国の国民負担率は、平成19年度において39.7%であり、主要先進国の中で実質的に最低水準であります。同様に他の国を見れば、国民皆保険制度を採っていない米国の32%を例外として、ヨーロッパ諸国は50%から60%程度となっております。ちなみに、高福祉の国として知られているスウェーデンは70%となっております。端的に申し上げれば、我が国財政の状況は、債務残高が主要先進国の中で最悪の水準である反面、国民の負担を表す国民負担率は、最低の水準ということであります。このような財政の姿について、財政制度等審議会は、「中福祉・低負担」とも言うべき状態、と指摘しております。

こうした状況を踏まえれば、子どもや孫の世代に負担を先送りしないためにも、財政健全化に向けた取組を着実に進めていかなければなりません。したがって、2010年代半ばに向け、債務残高対GDP比を安定的に引き下げることを目指し、まずは、2011年度までにプライマリーバランスを確実に黒字化することを目標に、歳出・歳入一体改革に取り組んでまいります。

しかしながら、歳出・歳入一体改革の取組を進めるに当たり、非効率な歳出を放置したまま、負担増を求めることになれば、国民の理解を得ることは困難であり、国民負担の最小化を目標に、歳出削減を引き続き徹底していく必要があります。それとともに、今後とも増加する社会保障給付や少子化への対応等について、国民が広く公平に負担を分かち合う観点に留意しつつ、基礎年金国庫負担割合の引上げのための財源を含め、安定的な財源を確保するため、抜本的・一体的な税制改革を推進いたします。

こうした考え方の下、先に述べました通り、平成19年度予算では徹底した歳出削減を行ったところでありますが、更に7月頃に判明する平成18年度決算の状況や医療制度改革を受けた社会保障給付の実績等を踏まえ、本年秋以降、税制改革の本格的・具体的な議論を行い、平成19年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく、取り組んでまいります。

(むすび)

国を支える税金を国民が負担することは、民主主義国家の根幹であります。米国では、パトリック・ヘンリーらが唱えた「代表なければ課税なし」とのスローガンの下、独立戦争が戦われました。これは言い換えれば、「代表あれば課税あり」ということであります。国の財政を支える税金は、「取られるもの」ではなく、自分達の代表の決定に従い、必要な国の支出を支えるため、「自ら納めるべきもの」である、という自覚を持っていただくことが重要であると考えております。

財政の問題は、ひとり政府だけの問題ではありません。この問題は、国民一人一人が自らの問題として考えていただくことが大切であります。

財政再建の道のりはまだまだ遠く、引き続きたゆまぬ努力が必要であります。私達が、子供や孫の世代に負担を先送りすることは許されません。安倍政権の掲げる「成長なくして財政再建なし」との理念の下、経済活性化と財政健全化を両立させることを目指し、この日本が、将来に明るい展望の開ける、活力に満ちた社会となるよう、全力を尽くします。

以上、平成19年度予算及び平成18年度補正予算の大要等と、今後の財政運営の基本的考え方について御説明いたしました。関係法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただくとともに、今後の財政運営について、国民並びに議員各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。

(4) 大田経済財政政策担当大臣の経済演説

(はじめに)

経済財政政策を担当する内閣府特命担当大臣として、所信を申し述べます。

(日本経済の現状と見通し)

日本経済は、長い停滞のトンネルを抜け出し、ようやく正常な状態に戻りつつあります。今回の景気回復は、企業が設備・雇用・債務の過剰を解消させる過程であっただけに、正規雇用の回復が遅れるなど、雇用面での課題が残されています。また、地域間で回復のばらつきが見られます。こうしたことから、回復の実感に乏しいという指摘が聞かれます。しかし、バブル崩壊後の負の遺産を克服し、5年間の長きにわたって回復基調が持続しているということ、これは意義深く、喜ばしいことです。

これを更に息長く持続させることで、企業から家計へ、また日本全体へと回復を広げる必要があります。平成19年度には、物価安定の下で、国内民間需要を中心に、実質2%程度の成長を続けるものと見込んでいます。政府と日本銀行は、マクロ経済運営に関する基本的視点を共有し、物価安定の下での民間主導の持続的な成長のため、一体となった取組を行ってまいります。

(日本経済の新たな可能性を切り拓く改革)

経済環境はこのように好転していますが、グローバル化や少子高齢化など大きな変化に対応した、新しい経済・社会の仕組みはまだ出来上がっていません。これをつくることが、安倍内閣の課題です。

日本が目指すべき経済社会の姿と、それを実現するための経済財政運営の中期的な方針について、この度、「日本経済の進路と戦略」を閣議決定いたしました。

これまでの改革は、日本経済の負の遺産を取り除くための改革でした。これから始まるのは、日本経済の新たな可能性を切り拓くための改革です。「進路と戦略」に沿って、経済財政諮問会議がエンジンとなって改革を進めてまいります。

その目指すところは、人口が減る中にあって、成長を持続させ、生活の質を高くしていくことです。これは、人口増加を前提とした社会を、人口減少に適合する社会に変革せずには実現しません。未曾有の高齢化に直面する日本が、すぐれた経済社会の仕組みをつくることができるならば、それは欧米だけではなく、急速な高齢化が見込まれるアジアのモデルになります。

人口減少社会において目指すべき成長の姿は、家計を起点とした好循環です。イノベーションや規制改革によって新しい商品・サービスが提供され、消費需要が創り出されれば、それは質の高い雇用を生み出すことにもつながります。消費者の視点から供給サイドの大胆な改革を行うこと、すなわち「消費革新」を行い、家計を起点とした成長の姿を作り出すことが重要です。

(成長のための3つのカギ)

成長のかぎとなるのは、生産性上昇、オープンな国づくり、そして人材の活用です。

第1の生産性については、例えば「生産性倍増」のような明快な目標を掲げたプログラムを、4月を目途に策定します。特に重視するのは、非製造業、すなわちサービス産業の生産性改革です。サービス産業はGDPの7割を占めますが、生産性の伸びは低くとどまっています。また、健康・医療の分野、教育・職業訓練の分野、家事や子育て支援の分野などでは、利用者のニーズが高いにも関わらず、それに応えきれていません。消費者の立場に立った規制改革を進めること、それからITを本格的に活用することによって、この分野の生産性はまだまだ高めることができます。

政府の分野も生産性を高めなくてはなりません。どうしても公務員でなければならない事業以外は、市場化テストの対象とするなど、民間の活力と創意工夫を取り入れることが必要です。

第2は、「オープンな国づくり」です。世界最大の成長センターであるアジアに位置する日本は、オープンな経済システムをつくることで、成長のエネルギーを相互に活かすことができます。海外特にアジアとの経済連携を強化することが必要です。WTOを基本としつつ、経済連携協定(EPA)交渉を戦略的に展開するため、今年春までに「EPA工程表」を改定し、今後2年間で締結国を現在の4か国から少なくとも12か国へと、3倍にすることを目指します。

また、対日直接投資を飛躍的に増加させることが、産業の空洞化を防ぎ、国内で質の高い企業間競争を行うために重要です。さらに、金融・資本市場の国際競争力強化など、グローバル化のための包括的な政策を打ち出していきます。

第3は、人材です。すべての人がそれぞれの能力を活かし、働き甲斐を持ち、それが経済の活力と両立するような環境が整えられなくてはなりません。これまでの労働市場に残されている6つの壁、すなわち、正規・非正規の壁、働き方の壁、年齢の壁、性別の壁、国境の壁、官民の壁、この6つの壁を克服し、人口減少下で貴重な人材が活かされる労働市場の在り方を審議し、政策に反映させていきます。

また、90年代以降の経済低迷期に新卒で社会に出た人々の雇用が問題になっています。正規社員への道が閉ざされ、技能を身に着ける機会がないまま、不安定な雇用を余儀なくされているこれらの人々についても、人材活用の視点が重要であり、能力形成支援などを打ち出していきます。

サービス産業の生産性向上、アジアとの連携強化、多様な人材の活用は、地域の活力を高めるためにも重要なカギとなります。ヘルスケアや家事支援、観光などの需要拡大は、地域の消費と雇用に直結します。

(財政再建への取組)

さて、成長への取組と並ぶ車の両輪として、財政健全化への取組を進めます。「基本方針2006」に沿って、歳出・歳入一体改革を着実に推進し、2011年度には国、地方合わせた基礎的財政収支を確実に黒字化させます。国民負担の増加を最小にするために、歳出削減の裏付けとなる制度改革を「基本方針2007」において取りまとめるなど、歳出改革を全力で進めます。また、財政再建と景気変動への対応を両立させるには、経済状況に応じて財政再建のスピードをコントロールしながら、中期で予算を管理する必要があります。歳出改革がきちんと行われているかどうか、5年間にわたって点検することといたします。

同時に、若い世代の負担が過重にならないように、医療・介護サービス分野のコスト構造の是正など、社会保障制度の一体的見直しを進めます。

子どもや孫の世代の公的負担を極力抑制することは、私たちの責任です。高齢世代が未来の子どもたちの選択肢を狭めることがないように、ほかの世代に過度に頼らない「世代自立」の社会構造を築くことが必要だと考えます。

(中期的な経済の展望)

我が国は、これからの5年間で新しい成長経済への移行を目指します。当初の2年間をそのための離陸期と位置付け、集中的に改革に取り組みます。適切なマクロ経済運営の下で、こうした取組が行われることによって潜在成長率が徐々に高まり、今後5年間のうちに、人口の減少にもかかわらず、2%程度あるいはそれをかなり上回る実質成長率が視野に入ることが期待されます。

(むすび)

我が国は、成長のための潜在的な力を十分に持っています。働く人々の能力が存分にいかされ、内外の資金が効率的に経済活動に活用され、そして、イノベーション、すなわち技術のみならず広く経済社会のシステムの革新が絶えず創造される環境が整うならば、人口減少下にあっても、成長を続け、生活の質を向上させることができます。

しかし、そのためには制度の大胆な改革が必要です。5年後には団塊世代が高齢期に到達することや、経済のグローバル化が急速なスピードで進むことを考えれば、この5年間は、日本がしっかりした成長基盤を築くラストチャンスです。改革のために残された時間は決して長くはありません。

昭和31年の経済白書は、「もはや戦後ではない」という言葉で余りに有名ですが、この白書の真骨頂は、「世界技術革新の波に乗って、日本の新しい国造りに出発することが当面喫緊の必要事ではないであろうか」と述べ、その後の技術革新を中心とした高度成長の姿を予見したことです。資源に乏しい日本は、イノベーションが核となって成長してきました。これは、日本がイノベーションを生み出し、それを活用するすぐれた人材に恵まれている証拠です。この経済白書から50年経った今、第3次産業革命と言われるIT革命の只中で、日本は新しい成長の姿を作り出し、新しい国づくりに出発するときを迎えています。

私は、もう一度、日本の優れた人材の力を十分に引き出し、新たな成長につなげていきたいと思います。

安倍総理のリーダーシップの下、緊張感を持って、経済財政政策の運営と、経済財政諮問会議の運営に当たります。国民の皆様と議員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。

(5) 国務大臣の演説に対する質疑要旨

国務大臣の演説(1月26日)に対する質疑は、29日に小沢一郎君(民主)、中川昭一君(自民)及び松本剛明君(民主)が行い、30日には太田昭宏君(公明)、志位和夫君(共産)及び辻元清美君(社民)が行った。

質疑の主なものは、次のとおりである。

(構造改革)

[1]「地方分権に対する政府の基本方針」に関する質疑に対して、「地方のやる気、知恵と工夫を引き出すには、地域に住む方のニーズを一番よくわかっている地方がみずから考え、実行することのできる体制づくりが必要である。地方分権一括法案の3年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担や国の関与の在り方の見直しを行う。その上で、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めていく」旨の答弁があった。

[2]「公務員制度改革」に関する質疑に対して、「公務員制度改革については、新たな人事評価を導入して能力本位の任用を行うとともに、官と民が互いの知識、経験を生かせるよう、官民の人事交流を更に進めていく。また、公務員の身分保障や分限制度については、公務の中立性、安定性の確保のため設けているものであり、地位の特殊性と職務の公共性から制約がなされている労働基本権とは直ちに対比して論ぜられるべき事項でないと理解している。他方、分限制度など多くの課題を抱えており、国民の信頼を再構築するためにも断固として改革を進める必要があると考えている」旨の答弁があった。

[3]「天下り規制への取組」に関する質疑に対して、「いわゆる天下り問題に対して国民の厳しい批判があることを真摯に受けとめ、予算や権限を背景とした押しつけ的なあっせんによる再就職を根絶する必要があると考えている。さまざまな観点から検討を加え、実効性のある行為規制の導入と監視体制の確立の具体化に向けて内容を精査していく」旨の答弁があった。

[4]「道路特定財源の見直し」に関する質疑に対して、「道路特定財源については、昨年12月に策定した「道路特定財源の見直しに関する具体策」に基づく見直しを行い、特に、揮発油税を含め、税収全額を道路整備に充てることを義務付けられているこれまでの仕組みを50年ぶりに改めることとし、来年の通常国会に所要の法案を提出する」旨の答弁があった。

[5]「格差社会についての見解」に関する質疑に対して、「一人一人が日々の生活に対して誇り、生きがいや充実感、あすへの希望を感じられることが大切と考えている。さまざまな事情や困難を抱える人たちの再チャレンジ支援を初め、国民それぞれの個性や価値観にも着目し、働き方と暮らし方をよくしていくことにこそ力を注ぐべきであると考えている」旨の答弁があった。

[6]「都市と地方との格差の是正」に関する質疑に対して、「地域活性化は内閣の最重要課題である。雇用情勢が特に厳しい地域に重点を置いて、雇用に前向きに取り組む企業を支援するほか、地方の魅力を生かして活力を引き出すため、頑張る地方応援プログラムや農業の戦略産業化等を進めていく。また、地方都市の商店街の活性化を図り、住みやすく、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを地域ぐるみで進めていく」旨の答弁があった。

(財政、税制改革)

[1]「税制改革」に関する質疑に対して、「中長期的視点からの総合的な税制改正を推進する。平成19年度においては、減価償却に関する税制度を約40年ぶりに抜本的に見直すとともに、中小企業関係税制や住宅・土地税制などの改正を行う。今後の税制改革については、本年秋以降、本格的な議論を行い、平成19年度を目途に、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させるべく取り組んでいく」旨の答弁があった。

[2]「定率減税、年金課税の見直し」に関する質疑に対して、「定率減税は、平成11年当時に景気対策として導入された暫定的な負担軽減措置であり、こうした導入の経緯や経済状況の改善を踏まえ、半減、廃止したものである。また、年金課税の見直しについては、負担能力に応じた税負担を高齢者に求めることとしたものであり、その際、標準的な年金以下の収入のみで暮らす高齢者世帯については、同水準の給与収入を得ている現役世代よりも軽い税負担となるよう配慮を行っている」旨の答弁があった。

[3]「社会保険料などの負担増」に関する質疑に対して、「国民健康保険や介護保険の保険料増については、給付の増に伴うものと税制改正に伴うものがあるが、後者について言えば、影響を受けるのは一定以上の収入のある者に限られるものであり、段階的に保険料を引き上げる2年間の激変緩和措置も講じている」旨の答弁があった。

[4]「財政健全化と経済成長との関係」に関する質疑に対して、「財政健全化に向けては、成長なくして財政再建なしの理念のもと、経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第1の目標に、歳出歳入一体改革に正面から取り組む。歳出削減等を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにする」旨の答弁があった。

[5]「消費税引き上げの意思」に関する質疑に対して、「我が国財政は引き続き極めて厳しい状況であり、今後とも、経済成長を維持しながら、歳出歳入一体改革に正面から取り組む。歳出削減等を徹底して実施した上で、それでも対応し切れない負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにしなければならない」旨の答弁があった。

[6]「経済財政運営に係る基本的な方針」に関する質疑に対して、「人口減少社会を迎えるにあっても、生産性を向上させ、成長力を強化することが必要である。同時に、歳出歳入一体改革を通じて財政健全化を進めるとともに、行政改革を引き続き進めることが不可欠である。これらを実現するため、先般閣議決定した「日本経済の進路と戦略」に沿って、経済財政政策を戦略的に推進していく」旨の答弁があった。

(経済、金融政策)

[1]「中小企業対策」に関する質疑に対して、「政府は、中小企業の経営の革新、創業の促進を図るとともに、取引の適正化など経営基盤を強化すること等を中小企業政策の基本的な考え方としている。かかる観点から、地域資源を活用した中小企業の取組への支援、再チャレンジをする起業家への支援、不動産担保や個人保証に過度に依存しない融資などにより、中小企業の頑張りを力強く応援していく」旨の答弁があった。

[2]「景気を企業から家計へ波及させるための政策」に関する質疑に対して、「オープンな経済とイノベーションを通じて成長力の強化を進め、経済全体の底上げを図りたい。また、パート労働者の正規労働者との待遇の均衡化、正規雇用への転換等に取り組み、だれでも再チャレンジが可能な社会の実現を目指す。同時に、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分に機能するよう必要な見直しを行うとともに、働く意欲を引き出す就労支援を図っていく」旨の答弁があった。

[3]「イノベーションに基づく新成長経済の姿」に関する質疑に対して、「イノベーションとは、単に技術革新だけではなく、サービスの分野やビジネスプランを含め、広く社会のシステムや国民生活などにおいても新しい考え方や取組を導入することにより、今までとは違う画期的、革新的な成果を上げることである」旨の答弁があった。

[4]「EPAをめぐる我が国の戦略」に関する質疑に対して、「我が国のEPA戦略としては、東アジア諸国との交渉を重要な課題と位置付け、交渉を積極的に進めていく。今後の交渉相手についても、平成16年12月に策定した基本方針にのっとって、有益な国際環境の形成や経済利益の確保等に留意して決定していく」旨の答弁があった。

[5]「地域活性化に向けた施策」に関する質疑に対して、「成功、失敗事例や支援策によく通じた専門家が出張相談を行う制度の創設を初め、国のワンストップ相談窓口の設置、更には、みずから考え、前向きに取り組む自治体を地方交付税により応援する頑張る地方応援プログラムなどにより、各地域の創意工夫を応援していく」旨の答弁があった。

[6]「我が国企業の強み」に関する質疑に対して、「ものづくりは、我が国が長期的視野に立って技術開発や人材育成を行ってきた結果蓄積された、技術、技能、知識、ノウハウのいわば結晶であり、我が国企業の国際競争力の源泉である。グローバル化によって資本が自由に国境を越えて移動をする中にあっても、我が国企業の強みが維持発展されるような取組を進めていく」旨の答弁があった。

[7]「総理の成長戦略」に関する質疑に対して、「新成長戦略は、国民一人一人が日々の生活についてあすへの希望を感じることにつながる経済成長を目指しており、財界や大企業のためのものではない」旨の答弁があった。

(雇用対策)

[1]「労働法制の考え方」に関する質疑に対して、「どのような働き方を選択しても、安心、納得して働くことのできる環境とするため、今国会において、希望する方が正規雇用に移行しやすくする仕組みや、女性、高齢者の就労支援など、働く人たちのための一連の労働法制の整備に取り組む」旨の答弁があった。

[2]「雇用問題・雇用対策」に関する質疑に対して、「まず、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分機能するよう必要な法制度の見直しを行う。なお、最低賃金額を大幅に引き上げることは、中小企業を中心として労働コスト増により経営を圧迫し、かえって雇用自体が失われる面があるため非現実的である。次に、今国会にパートタイム労働法改正案を提出し、すべてのパートタイム労働者を対象として待遇の改善と正規雇用への転換を促進する。また、年長フリーター等については、新たな就職・能力開発支援を行うとともに、雇用対策法を改正し、新卒一括採用システムの見直しを進めるなど若者の雇用機会の確保に取り組む」旨の答弁があった。

[3]「ホワイトカラーエグゼンプション」に関する質疑に対して、「労働時間法制の在り方については、現在検討しているところであり、さまざまな議論を踏まえた上で適切に判断する」旨の答弁があった。

[4]「ワーキングプア」に関する質疑に対して、「安定した経済成長により雇用拡大や所得増加を行うとともに、パートタイム労働法の改正、最低賃金制度の見直し等により、経済的に困難な状況にある勤労者等の所得、生活水準の底上げを図り、格差の固定化を防ぐ」旨の答弁があった。

[5]「労働時間の問題」に関する質疑に対して、「労働基準監督署による重点的な指導監督や、時間外労働の削減に取り組む中小企業への助成金の創設など、取組の強化を図る」旨の答弁があった。

(教育問題)

[1]「教育再生」に関する質疑に対して、「新しい教育基本法を踏まえ、教育に対する責任の所在を明確にし、信頼される教育行政の体制を構築することを含め、関係法律の改正に取り組むなど、社会総がかりで教育改革を推進していく」旨の答弁があった。

[2]「教育改革」に関する質疑に対して、「ゆとり教育を見直し、公教育の再生に取り組む。また、教員免許更新制の導入などの教員の質の確保や信頼される教育行政体制の構築などに全力を挙げて取り組む」旨の答弁があった。

[3]「ゆとり教育」に関する質疑に対して、「必要な授業時間の確保や国語力の育成、理数教育の充実などに取り組む。また、土曜日にさまざまな学習や体験を提供することは重要であり、放課後子どもプランなどを通じてその振興に努めていく」旨の答弁があった。

[4]「いじめ問題」に関する質疑に対して、「社会が総がかりでいじめ問題に正面から取り組む必要がある。いじめと真剣に闘う姿を教師や大人自身が示した上で、学校を挙げて問題へ早期に対応するとともに、教育委員会は外部の専門家を活用するなど、学校の対応を支援する必要がある」旨の答弁があった。

[5]「家庭にかかる教育費の軽減」に関する質疑に対して、「幼児教育の将来の無償化について、歳入改革にあわせて財源、制度等の問題を総合的に検討する。高等学校については、経済的理由により修学困難な者に対し、公立学校の授業料等の減免や奨学金事業を実施している。また、大学については、日本学生支援機構において奨学金事業を実施している」旨の答弁があった。

[6]「教員へのバックアップ」に関する質疑に対して、「教員の事務負担を軽減し、子どもとかかわる時間を確保できる環境の整備が重要である。そのため、教員OB等を活用した教育サポーター制度や、業務環境の改善について取組を進める」旨の答弁があった。

(憲法改正)

[1]「憲法改正」に関する質疑に対して、「現行憲法が占領下で制定されたこと、制定から60年を経て、新しい価値観で時代にそぐわない条文を見直すべきであることなどから憲法を改正すべきと考える。今後、与野党で論議が深められることを期待する」旨の答弁があった。

[2]「憲法第9条」に関する質疑に対して、「我が国の安全保障の在り方や国際社会の平和と安全への貢献との観点から、その規定ぶりについて十分な検証が必要である」旨の答弁があった。

[3]「憲法改正と国民投票法案」に関する質疑に対して、「憲法の在り方についての議論が与野党で一層深められ、方向性がしっかり出てくることを願っている。まずは、日本国憲法の改正手続に関する法律案の今国会での成立を強く期待している」旨の答弁があった。

(政治資金規正問題)

[1]「政治資金をめぐる問題」に関する質疑に対して、「政治において大切なことは、国民の信頼であります。政治家は、常に襟を正して当たらなければならない。佐田玄一郎前行革担当大臣が辞任を余儀なくされたことは、国民の皆様に対して責任を感じている。松岡利勝農水大臣の事務所費問題は、法にのっとった処理がなされているとの報告を受けている」旨の答弁があった。

[2]「政治資金規正法改正」に関する質疑に対して、「自由民主党総裁として、政治資金の事務所費の公表の在り方等などについて、党改革実行本部において検討を進めるよう指示し、政治資金規正法の改正を含め、既に議論が行われているところである。政治活動の自由、政治資金の透明性等の観点から、各党各会派においても同様に十分議論していただきたい」旨の答弁があった。

[3]「自民党の政党助成金」に関する質疑に対して、「政党が政党活動をするため財政をどのように運営するかは、それぞれ政党によって異なる。政党助成金制度は、いわば民主主義のコストというべき政党の政治活動の経費を国民全体が負担するものであり、民主主義の発展に重要な意義を持つものであるから、現行の政党助成金制度が政治と金をめぐる感覚麻痺につながっているとの指摘は、全く当を得ないものと考えている」旨の答弁があった。

(年金制度問題、社会保険庁改革)

[1]「年金制度の改革のビジョンとその財源」に関する質疑に対して、「公的年金の一元化について、まずは厚生年金と共済年金の一元化を速やかに実現するため、今国会に法案を提出できるよう作業を進めていく。政府としては、平成16年の年金制度改正において構築した枠組みにのっとり、定期的に年金財政の状況を十分に検証し、長期的に安定した制度運営を図っていく」旨の答弁があった。

[2]「社会保険庁改革に向けた決意」に関する質疑に対して、「社会保険庁については、残念ながら国民の信頼を失った。規律の回復と事業の効率化を徹底するため、年金制度に対する国の責任を確保しつつ、新たに非公務員型の新法人を設置し、民間へのアウトソーシングを徹底するなど、廃止・解体6分割を断行していく。このため、新たな改革法案を今国会に提出し、真に国民の信頼を得ることができる新組織を早期に実現していく」旨の答弁があった。

[3]「年金保険料」に関する質疑に対して、「年金保険料については、年金給付及び年金給付に関連する年金相談、情報提供等の事業費や事務費以外には充てないという考え方で対処するものである。今後とも、こうした考え方に立って、今国会に提出する法案に所要の規定を盛り込むとともに、無駄をなくすための取組を徹底する」旨の答弁があった。

[4]「年金記録」に関する質疑に対して、「年金の支給を決定する際には、従来から、個別に本人に年金の加入履歴等を確認していただいた上で決定しているが、昨年8月から、年金記録相談の特別強化体制をとり、すべての被保険者等の疑問に答えているところである。今後とも、年金に対する信頼が損なわれることのないよう、記録の管理や相談等に万全を期していく」旨の答弁があった。

[5]「新人口推計と年金制度の持続可能性」に関する質疑に対して、「平成16年の年金制度改正により、保険料水準の範囲内で給付水準を自動的に調整する仕組みなどを導入し、将来にわたって持続可能なものとするところであるが、年金財政においては、人口や経済の長期的な動向がどうなるか、常に注視をしていかなければならない。法律の規定により、少なくとも5年に一度、将来見通しを作成し、財政検証を行うことが規定されており、参考に供していく。今後も、安定的かつ持続可能な年金制度の維持に努めていく」旨の答弁があった。

(社会保障制度改革(年金制度問題を除く))

[1]「今後の少子化対策」に関する質疑に対して、「児童手当の乳幼児加算の創設、育児休業給付の引き上げ、延長保育などに加え『すべての子ども、すべての家族を大切に』を基本的な考え方に置き、あらゆる観点から効果的な対策の再構築、再構築を図っていく」旨の答弁があった。

[2]「新型インフルエンザ対策」に関する質疑に対して、「国民一人一人が疾患に対する関心を持ち、自ら感染症から身を守るよう心がけることが重要であり、政府としては、各国における発生状況等を注視しつつ、適切かつわかりやすい情報の周知に最善を尽くしていく」旨の答弁があった。

[3]「がん対策」に関する質疑に対して、「昨年6月に成立したがん対策基本法に基づき、がん対策推進基本計画を策定し、国立がんセンターや拠点病院を中心とした相談支援体制の拡充や、緩和ケアなど患者本位の治療体制の整備に加え、放射線医療を担う専門医等の育成、がん登録の推進などの各般にわたる対策を総合的に進めていく」旨の答弁があった。

[4]「生活保護」に関する質疑に対して、「現行の母子加算を含めた生活保護の基準額は、母子世帯全体の平均的な所得層の消費水準を上回っている。今回の見直しは、生活保護を受けている母子世帯と受けていない母子世帯との公平性を確保するためであり、激変緩和にも留意をしながら段階的に行う。母子家庭には、子育てと生活支援、就職支援など自立に向けてきめ細かな支援を総合的に進めていく」旨の答弁があった。

[5]「障害者自立支援法」に関する質疑に対して、「国の負担を義務化する一方、利用者の方に原則1割の負担をお願いしているが、障害の重い方でも必要なサービスが受けられるよう、所得に応じた負担上限の設定など、きめ細やかな負担軽減措置を講じている。さらに法の円滑な運用を図るため、3年間で1,200億円規模の負担軽減措置を講ずることとしており、引き続き、法の定着に万全を尽くしていく」旨の答弁があった。

(外交・防衛政策)

[1]「北朝鮮拉致問題の解決に向けた決意」に関する質疑に対して、「拉致問題は現内閣の最重要課題である。拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はあり得ない。引き続き、関係各国との連携を強化し、対話と圧力という一貫した考え方のもと、北朝鮮に対し、すべての拉致被害者の安全確保と速やかな帰国を強く求めていく」旨の答弁があった。

[2]「北朝鮮問題に関する六者会合に向けての政府の方針」に関する質疑に対して、「北朝鮮による核保有は断じて容認できない。関係国と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対し、核放棄に向けた具体的行動をとるよう強く求めていく。同時に、引き続き拉致問題も取り上げていく」旨の答弁があった。

[3]「日中関係に対する取組」に関する質疑に対して、「就任直後、中国を訪問し、首脳レベルで話し合いを行い、関係を改善した。今後とも、両国国民にとってお互いに利益となるよう、戦略的互恵関係を築いていく。そのため、幅広い分野で具体的協力を積み上げるとともに、首脳レベルを含め、率直な意見交換を重ねていく」旨の答弁があった。

[4]「日米同盟関係の深化の必要性」に関する質疑に対して、「世界とアジアのための日米同盟は、我が国安全保障政策のかなめであり、一層強化していく必要がある。米国と連携して、弾道ミサイル防衛システムの早急な整備に努める。在日米軍の再編については、抑止を維持しつつ、負担を軽減するものであり、着実に進めていく。いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、個別具体的な類型に即し、研究を進めていく」旨の答弁があった。

[5]「外交、安全保障政策に関する官邸機能の強化と情報収集体系」に関する質疑に対して、「安全保障に関する諸問題に対し、縦割り行政を排し、総合的かつ戦略的観点から政治の強力なリーダーシップにより即座に対応できるよう、官邸の司令塔機能の強化に向けた体制の整備と内閣の情報機能の強化を図る」旨の答弁があった。

(対イラク政策)

[1]「対イラク武力行使に対する政府の見解」に関する質疑に対して、「イラクは累次の安保理決議に違反し続け、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかった。このような認識のもとで、政府としては、安保理決議に基づきとられた行動を支持したものであり、対イラク武力行使によって、それ以前のようなイラクの脅威はなくなった」旨の答弁があった。

[2]「米政府のイラク政策に対する政府の見解」に関する質疑に対して、「イラクの安定化と復興に向けた米国の努力が効果的に進められ、よい成果を上げることを期待するとともに、我が国としては、今後とも、国際社会と協力し、イラクの復興支援に取り組んでいく」旨の答弁があった。

[3]「今後のイラクにおける自衛隊の活動」に関する質疑に対して、「イラクの政治状況、治安状況、国連及び多国籍軍の活動や構成の変化等の諸事情を見きわめながら、イラクの復興の進展状況なども十分に勘案した上で、適切に判断していく」旨の答弁があった。

[4]「自衛隊のイラクにおける活動状況の公表」に関する質疑に対して、「公表に当たっては、活動している自衛隊員はもとより、国連及び多国籍軍の要員の安全に十分に配慮することが必要である。今後も、要員の安全確保や運用を最優先事項として、国連や各国の動向などにも留意しながら、可能な範囲で活動状況を示すよう努める」旨の答弁があった。

(農業・林業・水産業政策)

[1]「国内農業の体質強化策」に関する質疑に対して、「意欲と能力のある農業者に施策の集中化、重点化を図る新たな経営安定対策は、農業の体質を強化する最善の方法であり、農村の活性化を図るためのその他の施策の展開とあわせて、農業、農村の活力を引き出していく」旨の答弁があった。

[2]「農林水産物の輸出促進策」に関する質疑に対して、「農林水産物の輸出拡大は、農林水産業の明るい展望を切り開くものであり、輸出先として有望な国との検疫交渉を進めるなどの輸出環境の整備や、日本食、日本食材の海外への情報発信などを積極的に実施していく」旨の答弁があった。

[3]「森林・林業政策の基本方針」に関する質疑に対して、「国土の3分の2を占める森林は、国土保全や地球温暖化防止等、多様な機能を有していることから、美しい森づくりを推進し、国産材の需要拡大を図りつつ、間伐の推進などの取組を加速化し、多様で健全な森林の育成に取り組む」旨の答弁があった。

[4]「水産政策見直しの方向性」に関する質疑に対して、「水産基本計画を見直し、排他的経済水域を生かした資源の回復のほか、漁船漁業及び水産物流通システムの構造改革や、輸出促進を初めとする思い切った政策改革を断行し、国際競争力のある水産業を構築する」旨の答弁があった。

[5]「食品残渣の飼料化促進策」に関する質疑に対して、「食品残渣を飼料化する施設の整備について支援策を講じるとともに、食品残渣に関する情報交換の支援や安全性確保のためのガイドラインの作成等に取り組む。食品リサイクル制度の見直しを行い、リサイクル飼料の一層の利用促進を図る」旨の答弁があった。

2 主な議案等の審議

年月日 議案等
平成19年
1月26日
○国務大臣の演説
  • 安倍内閣総理大臣の施政方針演説
  • 麻生外務大臣の外交演説
  • 尾身財務大臣の財政演説
  • 大田経済財政政策担当大臣の経済演説
1月29日 ○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

小沢一郎君(民主)、中川昭一君(自民)、松本剛明君(民主)

答弁

安倍内閣総理大臣、久間防衛大臣、柳澤厚生労働大臣

1月30日 ○国務大臣の演説に対する質疑

質疑

太田昭宏君(公明)、志位和夫君(共産)、辻元清美君(社民)

答弁 安倍内閣総理大臣、柳澤厚生労働大臣、冬柴国土交通大臣、伊吹文部科学大臣、松岡農林水産大臣
2月2日 ○平成18年度一般会計補正予算(第1号)〈可決〉

○平成18年度特別会計補正予算(特第1号)〈可決〉

○平成18年度政府関係機関補正予算(機第1号)〈可決〉

討論(以上3件)

森英介君(自民)
2月20日 ○趣旨説明・発言
  • 平成19年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)
  • 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 平成19年度地方財政計画
  • 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明・発言

尾身財務大臣、菅総務大臣

質疑

御法川信英君(自民)、池田元久君(民主)、西村智奈美君(民主)、谷口隆義君(公明)

答弁

安倍内閣総理大臣、尾身財務大臣、甘利経済産業大臣、柳澤厚生労働大臣、菅総務大臣
2月22日 ○趣旨説明

  • 特別会計に関する法律案(内閣提出)
説明

尾身財務大臣

質疑

山本明彦君(自民)、馬淵澄夫君(民主)

答弁

尾身財務大臣、渡辺国務大臣、柳澤厚生労働大臣、冬柴国土交通大臣

3月3日 ○予算委員長金子一義君解任決議案(枝野幸男君外1名提出)〈否決〉

趣旨弁明

枝野幸男君(民主)

討論

馳浩君(自民)、中川正春君(民主)、佐々木憲昭君(共産)

○総務委員長佐藤勉君解任決議案(武正公一君外1名提出)〈否決〉

趣旨弁明

武正公一君(民主)

討論 岡本芳郎君(自民)、寺田学君(民主)

○平成19年度一般会計予算〈可決〉

○平成19年度特別会計予算〈可決〉

○平成19年度政府関係機関予算〈可決〉

討論(以上3件)

馬淵澄夫君(民主)、斉藤斗志二君(自民)、高橋千鶴子君(共産)、重野安正君(社民)
3月6日 ○地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上2件)

逢坂誠二君(民主)

○平成19年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

○特別会計に関する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上3件)

三谷光男君(民主)
3月8日 ○趣旨説明
  • 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

柳澤厚生労働大臣

質疑

吉野正芳君(自民)、田名部匡代君(民主)

答弁

柳澤厚生労働大臣、甘利経済産業大臣、尾身財務大臣
3月15日 ○趣旨説明
  • 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

柳澤厚生労働大臣

質疑

高井美穂君(民主)

答弁

柳澤厚生労働大臣、尾身財務大臣、高市少子化・男女共同参画担当大臣
3月16日 ○趣旨説明

  • 産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案(内閣提出)
  • 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案(内閣提出)
説明

甘利経済産業大臣

質疑

近藤洋介君(民主)、伊藤渉君(公明)、塩川鉄也君(共産)

答弁

甘利経済産業大臣、山本金融担当大臣、高市科学技術政策担当大臣、塩崎内閣官房長官、渡辺国務大臣、柳澤厚生労働大臣、菅総務大臣、松岡農林水産大臣
3月20日 ○雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

○児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上2件)

柚木道義君(民主)、郡和子君(民主)

○趣旨説明
  • 国際刑事裁判所に関するローマ規程の締結について承認を求めるの件
  • 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案(内閣提出)
説明

麻生外務大臣

質疑 笠浩史君(民主)、丸谷佳織君(公明)

答弁

麻生外務大臣、長勢法務大臣

3月23日 ○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論

楠田大蔵君(民主)

○趣旨説明
  • 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案(内閣提出)
  • 説明

    久間防衛大臣

    質疑 河井克行君(自民)、長島昭久君(民主)、遠藤乙彦君(公明)、赤嶺政賢君(共産)、照屋寛徳君(社民)

    答弁 久間防衛大臣、麻生外務大臣、尾身財務大臣、塩崎内閣官房長官、菅総務大臣
3月27日 ○趣旨説明
  • 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律案(内閣提出)
説明

松岡農林水産大臣

質疑

金子恭之君(自民)、黄川田徹君(民主)

答弁

松岡農林水産大臣、塩崎内閣官房長官、菅総務大臣
3月29日 ○趣旨説明

  • 株式会社日本政策金融公庫法案(内閣提出)
  • 株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)
説明

渡辺国務大臣

質疑

木村勉君(自民)、佐々木隆博君(民主)

答弁

渡辺国務大臣、甘利経済産業大臣、松岡農林水産大臣、尾身財務大臣
4月3日 ○趣旨説明
  • 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(西村智奈美君外2名提出)
説明

柳澤厚生労働大臣、西村智奈美君(民主)

質疑

松浪健太君(自民)、菊田真紀子君(民主)

答弁

柳澤厚生労働大臣、尾身財務大臣、西村智奈美君(民主)、小宮山洋子君(民主)

○趣旨説明
  • 自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

若林環境大臣

質疑

田島一成君(民主)

答弁

若林環境大臣、塩崎内閣官房長官
4月10日 ○趣旨説明
  • 株式会社商工組合中央金庫法案(内閣提出)
説明

甘利経済産業大臣

質疑

平井たくや君(自民)、後藤斎君(民主)

答弁

甘利経済産業大臣、塩崎内閣官房長官、尾身財務大臣、山本金融担当大臣
4月12日 ○趣旨説明
  • 雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 雇用基本法案(大島敦君外2名提出)
  • 労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案(加藤公一君外2名提出)
  • 若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案(山井和則君外2名提出)
説明

柳澤厚生労働大臣、園田康博君(民主)、山井和則君(民主)、太田和美君(民主)

質疑

石崎岳君(自民)、三井辨雄君(民主)

答弁

柳澤厚生労働大臣、大島敦君(民主)、山井和則君(民主)

○趣旨説明

  • 更生保護法案(内閣提出)
  • 説明

    長勢法務大臣

    質疑

    石関貴史君(民主)

    答弁

    長勢法務大臣
4月13日 ○日本国憲法の改正手続に関する法律案(第164回国会、保岡興治君外5名提出)〈併合修正〉

○日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案(第164回国会、枝野幸男君外3名提出)〈併合修正〉
  • 上記法律案に対する修正案(枝野幸男君外2名提出)〈否決〉
趣旨弁明(修正案)

枝野幸男君(民主)

討論(以上3件)

近藤基彦君(自民)、古川元久君(民主)、大口善徳君(公明)、笠井亮君(共産)

辻元清美君(社民)

○駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案(内閣提出)〈可決〉

討論

笹木竜三君(民主)、寺田稔君(自民)、赤嶺政賢君(共産)、赤松正雄君(公明)、日森文尋君(社民)

4月17日 ○趣旨説明
  • 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

  • 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案(藤村修君外2名提出)
  • 地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案(牧義夫君外2名提出)
  • 学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案(笠浩史君外2名提出)
説明

伊吹文部科学大臣、藤村修君(民主)、牧義夫君(民主)、笠浩史君(民主)

質疑

馳浩君(自民)、野田佳彦君(民主)、西博義君(公明)、石井郁子君(共産)、保坂展人君(社民)、糸川正晃君(国民)

答弁

安倍内閣総理大臣、伊吹文部科学大臣、柳澤厚生労働大臣、藤村修君(民主)、菅総務大臣、塩崎内閣官房長官
4月19日 ○短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論

田名部匡代君(民主)

○少年法等の一部を改正する法律案(第164回国会、内閣提出)〈修正〉

討論

高山智司君(民主)

○趣旨説明
  • 地方公営企業等金融機構法案(内閣提出)
説明

菅総務大臣

質疑

森山裕君(自民)、森本哲生君(民主)

答弁

菅総務大臣、柳澤厚生労働大臣、尾身財務大臣
4月24日 ○趣旨説明
  • イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案(原口一博君外4名提出)
説明

塩崎内閣官房長官、笹木竜三君(民主)

質疑

吉川貴盛君(自民)、神風英男君(民主)、赤嶺政賢君(共産)、阿部知子君(社民)

答弁

安倍内閣総理大臣、麻生外務大臣、久間防衛大臣、原口一博君(民主)
5月8日 ○更生保護法案(内閣提出)〈可決〉

討論

大串博志君(民主)

○趣旨説明
  • 日本年金機構法案(内閣提出)
  • 国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 歳入庁設置法案(山井和則君外5名提出)
  • 国民年金事業及び厚生年金保険事業の適切な財政運営に資するための国民年金法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案(山井和則君外5名提出)
  • 公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案(山井和則君外5名提出)
説明

柳澤厚生労働大臣、内山晃君(民主)

質疑

谷畑孝君(自民)、長妻昭君(民主)、古屋範子君(公明)、高橋千鶴子君(共産)

糸川正晃君(国民)

答弁

安倍内閣総理大臣、柳澤厚生労働大臣、山井和則君(民主)
5月10日 ○趣旨説明
  • 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

久間防衛大臣

質疑

津村啓介君(民主)

答弁

久間防衛大臣、麻生外務大臣、塩崎内閣官房長官
5月11日 ○趣旨説明
  • 地方公共団体の財政の健全化に関する法律案(内閣提出)
説明

菅総務大臣

質疑

石田真敏君(自民)、福田昭夫君(民主)

答弁

菅総務大臣
5月15日 ○イラクにおける自衛隊の部隊等による対応措置を直ちに終了させるためのイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法を廃止する法律案(原口一博君外4名提出)〈否決〉

○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上2件)

楠田大蔵君(民主)、赤嶺政賢君(共産)、阿部知子君(社民)

○趣旨説明
  • 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外4名提出)
  • 特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案(馬淵澄夫君外4名提出)
  • 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外4名提出)
説明

渡辺国務大臣、鷲尾英一郎君(民主)

質疑

細野豪志君(民主)、石井啓一君(公明)、

吉井英勝君(共産)、菅野哲雄君(社民)

答弁

安倍内閣総理大臣、渡辺国務大臣、馬淵澄夫君(民主)、武正公一君(民主)、塩崎内閣官房長官
5月17日 ○趣旨説明
  • 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

長勢法務大臣

質疑

横山北斗君(民主)

答弁

長勢法務大臣
5月18日 ○日本国教育基本法案(鳩山由紀夫君外5名提出)〈否決〉

○教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案(藤村修君外2名提出)〈否決〉

○地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案(牧義夫君外2名提出)〈否決〉

○学校教育の環境の整備の推進による教育の振興に関する法律案(笠浩史君外2名提出)〈否決〉

○学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

○地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

○教育職員免許法及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上7件)

北神圭朗君(民主)、中山成彬君(自民)、石井郁子君(共産)、大口善徳君(公明)、保坂展人君(社民)

○趣旨説明
  • 特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
説明

冬柴国土交通大臣

質疑

泉健太君(民主)、高木陽介君(公明)

答弁

冬柴国土交通大臣、山本経済産業大臣臨時代理・金融担当大臣
5月22日 ○趣旨説明
  • 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

菅総務大臣

質疑

田嶋要君(民主)

答弁

菅総務大臣、塩崎内閣官房長官、山本金融担当大臣
5月24日 ○株式会社日本政策投資銀行法案(内閣提出)〈可決〉

討論

三谷光男君(民主)

○趣旨説明
  • 労働契約法案(内閣提出)

  • 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)
  • 最低賃金法の一部を改正する法律案(内閣提出)
説明

柳澤厚生労働大臣

質疑

園田康博君(民主)、江田康幸君(公明)、笠井亮君(共産)、重野安正君(社民)糸川正晃君(国民)

答弁

柳澤厚生労働大臣、塩崎内閣官房長官
5月31日

○議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案(松野頼久君外3名提出)〈否決〉

趣旨弁明

加藤公一君(民主)

討論

竹本直一君(自民)、石関貴史君(民主)

○厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案(三井辨雄君外3名提出)〈否決〉

趣旨弁明

山井和則君(民主)

討論

西川京子君(自民)、柚木道義君(民主)、高橋千鶴子君(共産)、保坂展人君(社民)

○厚生労働大臣柳澤伯夫君不信任決議案(三井辨雄君外3名提出)〈否決〉

趣旨弁明

長妻昭君(民主)

討論

岸田文雄君(自民)、郡和子君(民主)、穀田恵二君(共産)、日森文尋君(社民)

○日本年金機構法案(内閣提出)

○国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

○厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案(石崎岳君外4名提出)

討論(以上3件)

園田康博君(民主)、伊藤信太郎君(自民)

6月1日 ○日本年金機構法案(内閣提出)(前会の続)〈可決〉

○国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出)(前会の続)〈可決〉

○厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案(石崎岳君外4名提出)(前会の続)〈可決〉

討論(以上3件)

菊田真紀子君(民主)、古屋範子君(公明)、笠井亮君(共産)、阿部知子君(社民)

○犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈修正〉

討論

上川陽子君(自民)、平岡秀夫君(民主)

6月7日 ○国家公務員の離職後の就職に係る制限の強化その他退職管理の適正化等のための国家公務員法等の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外4名提出)〈否決〉

○特殊法人等の役職員の関係営利企業への就職の制限等に関する法律案(馬淵澄夫君外4名提出)〈否決〉

○独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(馬淵澄夫君外4名提出)〈否決〉

○国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出)〈可決〉

討論(以上4件)

松原仁君(民主)、木村勉君(自民)、吉井英勝君(共産)、菅野哲雄君(社民)
6月14日

○政治資金規正法の一部を改正する法律案(東順治君外5名提出)〈可決〉

  • 上記法律案に対する修正案(岡田克也君外4名提出)〈否決〉
趣旨弁明(修正案)

武正公一君(民主)

討論(以上2件)

高木陽介君(公明)、渡辺周君(民主)、佐々木憲昭君(共産)、菅野哲雄君(社民)
6月15日 ○電子記録債権法案(内閣提出)〈可決〉

討論 佐々木憲昭君(共産)
6月19日 ○議員内山晃君懲罰事犯の件〈登院停止30日間〉

議長は、同君に対し、国会法第122条第3号により、30日間の登院停止を命じた。
6月20日 ○衆議院議長河野洋平君不信任決議案(鳩山由紀夫君外6名提出)〈否決〉

趣旨弁明

松野頼久君(民主)

討論

鈴木恒夫君(自民)、大島敦君(民主)、阿部知子君(社民)
6月22日 ○本国会の会期を7月5日まで12日間延長するの件(議長発議)〈可決〉

討論

小川淳也君(民主)、三ッ林隆志君(自民)、穀田恵二君(共産)、日森文尋君(社民)
6月29日 ○安倍内閣不信任決議案(小沢一郎君外7名提出)〈否決〉

趣旨弁明

菅直人君(民主)

討論

坂本剛二君(自民)、小沢鋭仁君(民主)、西博義君(公明)、石井郁子君(共産)、重野安正君(社民)
7月5日 ○請願489件〈採択〉

3 決議

○否決したもの

予算委員長金子一義君解任決議案(枝野幸男君外1名提出、決議第1号)[民主提出](19.3.3)

本院は、予算委員長金子一義君を解任する。

右決議する。

総務委員長佐藤勉君解任決議案(武正公一君外1名提出、決議第2号)[民主提出](19.3.3)

本院は、総務委員長佐藤勉君を解任する。

右決議する。

議院運営委員長逢沢一郎君解任決議案(松野頼久君外3名提出、決議第4号)[民主・社民・国民提出](19.5.31)

本院は、議院運営委員長逢沢一郎君を解任する。

右決議する。

厚生労働委員長櫻田義孝君解任決議案(三井辨雄君外3名提出、決議第5号)[民主・社民・国民提出](19.5.31)

本院は、厚生労働委員長櫻田義孝君を解任する。

右決議する。

厚生労働大臣柳澤伯夫君不信任決議案(三井辨雄君外3名提出、決議第6号)[民主・社民・国民提出](19.5.31)

本院は、厚生労働大臣柳澤伯夫君を信任せず。

右決議する。

衆議院議長河野洋平君不信任決議案(鳩山由紀夫君外6名提出、決議第7号)[民主・社民・国民提出](19.6.20)

本院は、衆議院議長河野洋平君を信任せず。

右決議する。

安倍内閣不信任決議案(小沢一郎君外7名提出、決議第8号)[民主・社民・国民提出](19.6.29)

本院は、安倍内閣を信任せず。

右決議する。

○撤回されたもの

財務金融委員長伊藤達也君解任決議案(池田元久君外1名提出、決議第3号)[民主提出](19.3.3)

本院は、財務金融委員長伊藤達也君を解任する。

右決議する。

衆議院
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