衆議院

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14 予算委員会

【第166回国会】

(1)委員名簿(50人)

委員長金子 一義君自民
理事斉藤斗志二君自民理事実川 幸夫君自民
理事杉浦 正健君自民理事園田 博之君自民
理事萩山 教嚴君自民理事森  英介君自民
理事枝野 幸男君民主理事中川 正春君民主
理事赤松 正雄君公明井上 喜一君自民
稲田 朋美君自民臼井日出男君自民
遠藤 武彦君自民小野寺五典君自民
大島 理森君自民大野 功統君自民
河井 克行君自民河村 建夫君自民
久間 章生君自民佐藤 剛男君自民
笹川  堯君自民中馬 弘毅君自民
中野  清君自民西村 康稔君自民
野田  毅君自民深谷 隆司君自民
細田 博之君自民増原 義剛君自民
三ッ林隆志君自民三ッ矢憲生君自民
三原 朝彦君自民宮下 一郎君自民
山本 公一君自民与謝野 馨君自民
岩國 哲人君民主小川 淳也君民主
大串 博志君民主岡田 克也君民主
川内 博史君民主中井  洽君民主
原口 一博君民主馬淵 澄夫君民主
前原 誠司君民主松木 謙公君民主
大口 善徳君公明丸谷 佳織君公明
佐々木憲昭君共産阿部 知子君社民
糸川 正晃君国民

(2)予算審議の概況

[1]平成18年度一般会計補正予算(第1号)
平成18年度特別会計補正予算(特第1号)
平成18年度政府関係機関補正予算(機第1号)

○補正予算の概要

本補正予算は、歳出面において、国民の安心・安全を確保する観点から災害対策に対応するなど、必要性・緊急性の高い経費を計上するとともに、増加した租税等の収入は、できる限り財政健全化に充てることとして編成されたものである。本補正予算は、平成19年1月25日、国会に提出され、同日、予算委員会に付託された。

本補正後の平成18年度一般会計予算の総額は、当初予算に対し、歳入歳出とも、3兆7,723億円増加して、83兆4,583億円となっている。

特別会計予算においては、国債整理基金特別会計、道路整備特別会計など18特別会計について、所要の補正を行っている。

政府関係機関予算においては、中小企業金融公庫について、所要の補正を行っている。

○審議経過

衆議院予算委員会においては、柳澤厚生労働大臣が1月27日の講演で、女性を、「産む機械」に例えたとされる発言をめぐり、同月30日に民主、社民、国民は柳澤厚生労働大臣の罷免を要求する旨の申入れを首相官邸で行い、安倍内閣総理大臣が応じない場合は今後の予算審議に応じないとした。

そうした中、同月31日、民主、共産、社民、国民の出席が得られないまま、委員会が開かれ、尾身財務大臣から提案理由の説明を聴取した。

2月1日には野党欠席のまま基本的質疑が行われ、柳澤厚生労働大臣の女性に対する発言問題、安倍内閣総理大臣の目指す、「美しい国、日本」の実現に向けた取組、経済格差・地域格差等格差問題、事務所費問題、道路特定財源改革等について、質疑が行われた。

その後、委員長は、質疑予定の民主の質疑者の通告が得られないとして、与党理事に野党の出席及び民主の質疑者の通告を要請させたが、質疑者の通告及び野党の出席が得られなかったとして、委員会の休憩を宣告し、委員会はそのまま開くに至らなかった。

同月2日の午前には基本的質疑が行われたが、質疑予定であった民主、共産、社民、国民が欠席したため、委員長は与党理事に野党の出席及び質疑者の通告を要請させたが、野党から出席及び質疑者の通告が得られなかったとして、基本的質疑の終了を宣告した。

同日の午後には、野党欠席のまま締めくくり質疑が行われ、日本経済の現状、平成18年度補正予算及び平成19年度予算におけるプライマリーバランス、学校耐震化等地震対策、格差問題等について、質疑を行った。

与党の質疑後、委員長は野党から出席及び質疑者の通告が得られないとして与党理事に野党の出席及び質疑者の通告を要請させた。

野党の出席及び質疑者の通告を待つ間、与党から質疑終局の動議が提出され、採決の結果、本補正予算の質疑は終局された。

質疑終局後、野党欠席のまま討論、採決を行い、本補正予算は全会一致で可決すべきものと議決された。

同日に開かれた本会議においても、野党欠席のまま討論、採決を行い、賛成多数で可決、参議院に送付された。

参議院予算委員会においても、野党欠席のまま2月1日、尾身財務大臣から趣旨説明を聴取し、同月5日に質疑を行い、討論、採決の結果、全会一致で可決すべきものと議決された。翌6日に開かれた本会議においても、採決の結果、賛成多数で可決され、本補正予算は成立した。

[2]平成19年度一般会計予算
平成19年度特別会計予算
平成19年度政府関係機関予算

○予算の概要

我が国経済は、長期停滞のトンネルを抜け出し、民間需要に支えられた景気回復を続けている。こうした回復の動きを持続可能なものとするため、規制改革などの構造改革を今後とも強力に推進するとともに、物価安定の下での民間需要中心の持続的な成長を図ることが必要となっている。

このような中で、平成19年度予算は、財政の健全化を更に進めるとの考え方の下、徹底した歳出の削減・見直しに取り組むとの基本的考え方に立って編成され、平成19年1月25日、国会に提出され、同日、予算委員会に付託された。

一般会計予算の規模は、82兆9,088億円で、平成18年度当初予算額に対して、3兆2,228億円(4.0%)の増加となっている。

歳出については、国債費及び地方交付税交付金等の経費を除いた、いわゆる一般歳出の規模は46兆9,784億円であり、平成18年度当初予算額に対して、6,124億円(1.3%)の増加となっている。

歳出の主な内容は、次のとおりである。

ア 社会保障関係費については、少子化対策、医師確保対策等の推進を図る一方、社会保障制度について改革努力を図る観点から、雇用保険の国庫負担の縮減、生活保護の見直し等の取組を行う等とし、平成18年度当初予算額に対して、2.8%増の21兆1,409億円を計上している。

イ 文教及び科学振興費については、教育再生を推進する施策への重点化を図るなど、一層のメリハリ付けを行うとともに、科学技術分野については、選択と集中の徹底を図りつつ、増額を確保する等とし、平成18年度当初予算額に対して、0.1%増の5兆2,743億円を計上している。

ウ 防衛関係費については、弾道ミサイル防衛や米軍再編事業など防衛政策上の諸課題に的確に対応しつつ、装備品調達の一層の効率化を図る等とし、平成18年度当初予算額に対して、0.3%減の4兆8,016億円を計上している。

エ 公共事業関係費については、全体として抑制しつつ、地域の自立・活性化、我が国の成長力強化に直結する投資等への重点化を図る等とし、平成18年度当初予算額に対して、3.5%減の6兆9,473億円を計上している。このほか、産業投資特別会計社会資本整備勘定において、「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法」(昭和62年法律第86号)に基づき貸付けを受けて実施される公共的建設事業として203億円を計上しており、これを加えた公共事業関係費は6兆9,676億円となっている。その他施設費については、平成18年度当初予算額に対して0.1%増の6,789億円を計上しており、公共事業関係費と合わせた公共投資関係費は7兆6,465億円となっている

オ 経済協力費については、ODA事業量の確保に配慮しつつ、コスト縮減や予算の厳選・重点化等を通じ、抑制を図る等とし、平成18年度当初予算額に対して、4.2%減の6,913億円を計上している。

カ 中小企業対策費については、中小企業の活性化のため、メリハリを明確にしつつ、地域活性化や再チャレンジ支援につながる事業等を中心に重点化を図る等とし、平成18年度当初予算額に対して、0.6%増の1,625億円を計上している。

キ エネルギー対策費については、特別会計改革の内容を反映させるとともに、安定供給確保や地球温暖化対策への対応等を着実に進める等とし、平成18年度当初予算額に対して、83.6%増の8,647億円を計上している。

ク 国債費については、一般会計の負担に属する国債及び借入金の償還、国債及び借入金の利子等の支払いに必要な経費と、これらの事務取扱いに必要な経費を国債整理基金特別会計へ繰り入れるものとして、平成18年度当初予算額に対して、11.9%増の20兆9,988億円を計上している。

ケ 地方財政については、国の取組と歩調を合わせ、歳出削減に取り組むとともに、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額を確保しつつ、地方交付税交付金等を可能な限り抑制することとしており、一般会計の地方交付税交付金等として、平成18年度当初予算額に対して、2.6%増の14兆9,316億円を計上している。

歳入については、租税及印紙収入は、減価償却制度、中小企業関係税制、住宅税制、関税率の改定などの税制改正を行うことにより、平成18年度当初予算額に対して、16.5%増の53兆4,670億円になると見込まれている。その他収入については、平成18年度当初予算額に対して、4.6%増の4兆98億円が見込まれている。

公債発行額については、平成18年度当初予算額に対して、過去最大の減額幅となる15.2%減の25兆4,320億円を予定しており、公債依存度は30.7%となる。

特別会計及び政府関係機関予算についても、事務事業の徹底した見直しを行うとともに、剰余金等を財政健全化に資するよう活用することとしている。特別会計の歳出総額は361兆8,800億円であり、このうち、会計間取引額などの重複額等を控除した歳出純計額は175兆4,267億円となっている。特別会計の数は、28であり、政府関係機関の数は7である。

財政投融資計画については、資産・債務改革に取り組む一環として、対象事業の重点化・効率化等を図り、総額の抑制に努めることとしている。その規模は、平成18年度計画に対して、5.6%減の14兆1,622億円となっている。

○審議経過

平成19年1月26日、衆・参両院の本会議において安倍内閣総理大臣の施政方針演説、尾身財務大臣の財政演説等政府4演説が行われ、これに対する各党の代表質問は、同月29日から3日間、衆・参両院の本会議で行われた。

衆議院予算委員会においては、1月27日に柳澤厚生労働大臣が講演で、女性を、「産む機械」に例えたとされる発言をめぐり、同月30日に民主、社民、国民は柳澤厚生労働大臣の罷免を要求する旨の申入れを首相官邸で行い、安倍内閣総理大臣が応じない場合は今後の予算審議に応じないとした。

そうした中、同月31日、民主、共産、社民、国民の出席が得られないまま、委員会が行われ、尾身財務大臣から提案理由の説明を聴取した。

その後、野党欠席のまま平成18年度補正予算の審議が続けられ、補正予算が成立したが、理事会協議の結果、2月7日及び8日は、「予算案」の審議として少子化その他の集中的審議を行うことにより予算審議に入ることで与野党が合意した。

2月7日及び8日に、予算案の審査として少子化その他の集中的審議を行った。

同月7日には、少子化対策、育児休業制度問題、産婦人科医師の減少問題、民法第772条の嫡出推定規定問題、生殖補助医療の法的整備の必要性等について、質疑が行われた。

同月8日には、雇用分野における既婚女性に対する差別的取扱い、中小企業における育児休業の在り方、多様な家族像に見合った家族政策、定率減税廃止に伴う所得税及び住民税の負担増、在外被爆者に対する健康管理手当等について、質疑が行われた。

2月9日、13日及び14日の3日間、基本的質疑を行った。

同月9日には、安倍内閣の基本的政治姿勢、財政健全化、改正教育基本法及び教育再生会議設置、ゆとり教育の見直し、集団的自衛権の在り方、在日米軍の在り方、地域活性化施策等について、質疑が行われた。

同月13日には、北朝鮮核開発問題及び拉致問題、格差問題、国土交通省の官製談合問題、事務所費問題、沖縄科学技術大学院大学構想の契約に係る問題等について、質疑が行われた。

同月14日には、六者会合合意文書における拉致問題の位置付け、憲法問題、夕張市の財政再建計画問題、格差問題、イラク問題、天下り問題、普天間飛行場移設問題、裁判員制度問題等について、質疑が行われた。

2月15日から20日までは、一般的質疑が行われた。

同月15日には、地球温暖化問題、治山・治水・砂防問題、年金問題等について、質疑が行われた。

なお、野党の質疑に当たり、要求大臣である柳澤厚生労働大臣が、参議院の厚生労働委員会の審議に出席しているため、本委員会に出席できないとして、委員会は休憩となったが、理事会協議の結果、そのまま散会となった。

同月16日には、正規社員と非正規社員との格差問題、新型インフルエンザ対策、農業人口減少問題、米国産輸入牛肉問題、事務所費問題、年金問題、夕張市の財政破綻問題、築地市場の移転問題、デジタル放送問題等について、質疑が行われた。

同月19日には、従軍慰安婦問題、沖縄科学技術大学院大学構想の契約に係る問題、米国産輸入牛肉問題、ワーキングプア問題、地域間格差問題、産科医師・助産師不足問題、ホワイトカラー・エグゼンプション問題、裁判員制度広報費問題等について、質疑が行われた。

同月20日には、米国産輸入牛肉問題、六者会合と拉致問題、郵政民営化問題、沖縄科学技術大学院大学構想の契約に係る問題、地方の商店街の現状、派遣労働者の雇用問題、水道の基幹管路耐震化の現状、柳澤厚生労働大臣の一連の発言問題等について、質疑が行われた。

2月21日及び22日の午前には、公聴会が開会された。

2月22日の午後には、一般的質疑が行われ、沖縄科学技術大学院大学構想の契約に係る問題、イラク問題、事務所費問題、裁判員制度広報費問題等について、質疑が行われた。

2月23日には、安倍内閣総理大臣も出席して雇用・労働問題等について集中審議が行われ、非正規労働者の雇用問題、ワーキングプア問題、キヤノンの労働者派遣法違反問題、ホワイトカラー・エグゼンプション問題、最低賃金問題、日銀の利上げ問題、少子化問題、地域活性化のための企業立地施策、事務所費問題、公務員の労働基本権、税・社会保険料の負担増等について、質疑が行われた。

2月26日及び27日には、一般的質疑が行われた。

同月26日には、京都議定書問題、バイオエタノールの本格的導入策等について、質疑が行われた。

同月27日には、外国人研修・技能実習制度、中学校の必修科目未履修問題、地域間医療格差問題、憲法改正問題、北朝鮮との議員外交問題、事務所費問題、沖縄科学技術大学院大学構想の契約に係る問題、国土交通省の官製談合問題、イラン問題、タクシー事業の規制緩和問題等について、質疑が行われた。

2月28日及び3月1日の午前には、分科会が開会された。

3月1日の午後には、安倍内閣総理大臣も出席して地域格差等について集中審議が行われ、地域格差、在日米軍再編問題、農家の戸別所得補償の必要性、食料自給率問題、最低賃金の引上げ問題、タミフル服用後の児童生徒の異常行動問題等について、質疑が行われた。

なお、委員会後の理事会では、翌2日の締めくくり質疑、採決を要求する与党と審議は尽くしてないとして参考人招致や一般的質疑・集中審議を要求する野党との合意が得られず、委員長職権で午前は一般的質疑、午後は締めくくり質疑、採決を行うとして、2日の委員会日程が決められた。

3月2日の午前には、一般的質疑が行われ、松岡農林水産大臣の秘書によるNPO法人認証申請に係る照会問題、経済財政諮問会議における民間議員の位置付け、沖縄科学技術大学院大学構想の契約に係る問題、裁判員制度広報費問題等について、質疑が行われた。

同日の午後には、締めくくり質疑が行われ、中小企業予算を大幅に増額する必要性、非核三原則を堅持する必要性等について、質疑が行われた。

その後、野党の質疑時間に入ったが、野党が質疑を行わなかったため、委員長は締めくくり質疑及び平成19年度予算3案の質疑の終局を宣告した。

平成19年度予算審査における質疑・答弁の主なものは次のとおりである。

第1に、経済財政政策について、財政再建に対する安倍内閣総理大臣の認識についての質疑に対し、「引き続き、我が国の財政状況は極めて厳しい状況にある。しかしながら、景気においては改革の成果が着実にあらわれつつあり、力強い景気回復の軌道に乗ったと言ってもいいと思っている。企業は収益を上げ、そして税収も増えている。しかし、こうして自然増収が増えてくると、何となく新たな歳出に使っていきたいという気持ちになるわけであるが、しかしそこは、今のこの厳しい財政状況の中で、子や孫にツケを回さない、そしてまた、何といっても世界は、日本の政府がどういう予算案を組むか、財政規律を果たして守っていくのかどうかを見ているわけである。ここでやはり私たちは、財政規律を守っていくのだ、財政再建にしっかりと取り組んでいくのだという強い意思を示す必要があると考えたわけであり、国債の発行額については、過去最大の4兆5,000億円の削減・減額を行ったところであり、全体で6.3兆円の財政再建に資する予算を組むことができたわけである。我々は、今後とも、2010年代の半ば、債務残高、GDP比、これは安定的に減少になるように、そしてまた、2011年、プライマリーバランス、国と地方を合わせて黒字となるように、計画的に私どものこの歳出歳入の一体改革に正面から取り組んでいきたいと考えている」旨の答弁があった。

第2に、格差問題について、まず国民生活における格差問題について、格差の現状について安倍内閣総理大臣の認識を問われたのに対し、安倍内閣総理大臣から、「格差というのはいつの時代もあるわけであり、格差を全くなくすことはこれは不可能であろうと思う。努力した人が報われる社会をつくっていく、汗を流した人、頑張った人が、知恵を出した人が報われる社会をつくっていかなければいけないわけであり、その努力の差あるいは能力の差に全く目をつぶって、結果平等の社会をつくろうとは全く思っていない。では、格差において何が問題かということであろうと思っている。格差においては、これは不公平、不公正な競争の結果であってはならないし、また、社会的にこれはやはり容認できないという格差であってはならない、そしてまたさらには、この格差が固定化されてはならないということではないだろうかと思う。そこで、今この日本において格差があるかといえば、当然それは格差があるが、今言ったような格差については、固定化されないような、そういう仕組みをつくっていくために再チャレンジの支援策をつくっているわけであり、予算にしても、1,720億円の予算に組んでいるわけである。そうしたことをきっちりとやっていくことが大切なのであって、格差があるかないかとかということを言うのは余り政策的にはそれほど意味がない」旨の答弁があった。

さらに、地域間の格差問題について、地域格差を解消する必要性についての質疑に対し、安倍内閣総理大臣から、「格差が固定的なものであってはならない。であるからこそ、まずはあらゆる対策をまとめて打って、再チャレンジ、チャレンジの支援をしていかなければならないと思っている。そのため237施策を、再チャレンジ総合支援プランの中に織り込んでいるわけである。それと同時に、地方を支援していく、頑張っている地方を支援していく、中央から押しつけではなくて、地域のやる気やアイデアを生かしていく形で支援をしていかなければならないと思っている。地方の中小企業についても、中小企業地域資源活用促進法により、地域資源を活用した中小企業の新商品開発等を支援していく。自治体については、地場産品のブランド化など独自のプロジェクトをみずから考え、前向きに取り組む地方公共団体に対し地方交付税等の支援措置を講じる、頑張る地方応援プログラムを4月からスタートする。農業についても、担い手を育成していって、若い人たちにとっても魅力ある農業にしていかなければならないと思っている。今後とも、地域で頑張っている、地域にあってなかなか厳しい状況であるけれども、やはり自分たちの能力を生かして未来をつくっていこうという人たちに対してはしっかりと政府としても支援をしていく」旨の答弁があった。

第3に、雇用・労働問題について、非正規社員が増加していることについての質疑に対し、柳澤厚生労働大臣から、「正規労働、正規雇用、あるいは非正規の労働・雇用といったような範疇で労働市場の動向を見ると、最近においては、非正規労働・雇用が大変多くなっている、大体3分の1近くになっている状況である。それから、その中でパートも非常に大きな部分を占めているという情勢になっている。これについての認識であるが、これがもたらしたものについては、使用者側の構造変化への対応という動機があったことは間違いないと思うが、同時に、労働者側の、労働形態を多様化して自分が労働に従事したいという意欲もあったことは間違いがないというふうに考えている。そのようなものが合致したところで今日のような労働の構造が生まれているのではないか、このように考えるわけである。それに対してどのように対応していくべきであろうかであるが、まず、基本的には、この非正規労働というような人たちの中に、非常に正規労働の方に移行したいという希望を持っている労働者も存在するので、それらについては、できる限りこれを正規労働の方に移行させるような支援をいたしたいのが1つである。もう1つは、自分の時間の配分だとか、あるいは専門知識を生かしたいというようなことで、パートの労働形態をいましばらくは選択したい、こういう労働者がいる場合には、その待遇はどうなのかというふうに考えられるわけであり、この待遇が無用に正社員の人たちと均衡を失するようなことは、やはりこれは許されるべきではないと考えており、パート労働を中心として均衡処遇の確保という方向での法律改正をいたしているところである。したがって、非正規労働を、希望者であればできる限り正規労働の方に向けていく、非正規労働を選択する人たちについても、基本的に正規社員との関係で均衡の処遇を確保するような方向での法律改正でもってこれを支援いたしたいと考えている」旨の答弁があった。

また、最低賃金を引き上げる必要性についての質疑に対し、安倍内閣総理大臣から、「最低賃金については、低廉な労働者の労働条件の下支えとして重要なものであると認識をしている。今国会に提出する改正法案においては、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分に機能するように、生活保護の水準とも整合性を図りながら考慮することを明確にすることとしている。全国一律に引き上げるべきということは、やはり、現実面を見てみると、中小企業を中心に、労働コスト増によって事業経営が圧迫された結果、かえって雇用が失われるということになる可能性の方が高いのではないか、非現実的ではないかと思う。そしてまた、全国一律ということは、これはやはり、地域によって物価の水準に差があるし、また生計費も異なっているわけであり、適切ではないのではないかと考えている。いずれにせよ、今回の法案が成立すれば、各都道府県の地方最低賃金審議会において、法改正の趣旨に沿った議論を行い、現下の雇用経済状況を踏まえた適切な引上げ等の措置を講じていきたいと考えている」旨の答弁があった。

第4に、政治資金収支報告書の支出項目である事務所費問題について、すべての使途について領収書添付を義務付けることの必要性についての質疑に対し、安倍内閣総理大臣から、「この問題については、政党間で議論することではないかと思うわけであり、行政府の長たる私がこれはこうするべきだと言うのは控えておいた方がいいのではないかと思う。これはまさに、議員の活動、政治の自由、そしてまたそれと同時に、政治資金の透明性の問題もある。そういう観点から、政治資金規正法の改正も含めて議論をしてもらいたい。まず自由民主党において議論をして、そしてそれをまとめていくことが大切だろうと思う。いろいろな活動をしている議員がいるわけであるが、その中において有権者の声、国民の声に真摯に耳を傾けながら、そして実際に活動している上において、経験の上においてこうすべきだという議論を深めてほしい。そして、その上で、国民の信頼を得なければいけない。信頼を確保する、維持するという意味においてどう対応していくかという案を取りまとめなければならないと考えている」旨の答弁があった。

第5に、外交安保問題について、六者会合における北朝鮮核問題及び拉致問題の進捗状況についての質疑に対し、安倍内閣総理大臣から、「六者会合については、第5回六者会合において、核問題について、早期に北朝鮮が核廃棄に向けて具体的な行動をとるように、各国と連携してこの協議に日本も臨んだわけである。そして、もう1つの大きな問題である拉致問題についても、この六者会合の場を活用して、何とかこの問題が解決に向かって進むように、我々も努力をしたわけである。その中で、今般、北朝鮮が、早期の措置について、一定の考え方について六者会合の中において共有する状況に至ってきたわけであり、そういう意味においては一定の前進があった、このように思うわけであるが、さらにこの核の廃棄に向けて北朝鮮が決断をし、進んでいくように、我々も注意深く見ていかなければならないと考えている。そしてまた、この六者会合の場において、日朝で会談を行った。その場において、日本からは拉致問題の解決に向けて強く北朝鮮に求めたわけであるが、具体的な進展はなかったわけである。しかし、こうした場を通じて、さらに対話の場も生かしながらこの問題の解決を目指していかなければならないと考えている」旨の答弁があった。

第6に、少子化問題について、安倍内閣総理大臣の認識についての質疑に対し、安倍内閣総理大臣から、「少子化の問題というのは、よく経済政策、産業政策、あるいは社会保障政策に結びつけて語られることが多いと思う。しかし、そうした課題、問題との関係だけではなくて、社会全般にとって、子どもの数が減っていって人口が減少している、社会を支える基盤そのものに対して極めて大きな影響が出てくる、このように思うところである。そうした認識のもとに、我々は少子化を考えていかなければならない。先般、若い人たちにとったアンケートの中で、結婚したいあるいは子どもを2人以上持ちたいと思っている若い人たちの方がマジョリティーであった、そういう結果が出たわけである。しかしながら、結婚することに、あるいは子どもを持つことに躊躇する人たちがいる。では、なぜ躊躇しているのだと。そうした躊躇しているもととなる原因、障害をとっていくことが私たちの役割ではないだろうか、このように考えている。まさに、これは少子化問題、子どもは国の宝であり、子どもを生み育てていく方々、家族を支援していくこと、また家族のよさを我々はしっかりと認識をしていかなければならないと思う。そこで、今般策定をする子どもと家族を応援する日本という重点戦略では、すべての子ども、家族を大切にということを基本的な考え方にして、働き方の改革を含めた幅広い対策の効果的な再構築と実行を図っていきたいと思っている。そしてまた、子育てをしている人たち、また家族を社会総がかりで支援していく、社会総がかりで子育てを考えていく、そのことも極めて重要ではないか、そういういわば国民運動を起こしていくことも我々は考えて、また進めていかなければならないと思っている」旨の答弁があった。

3月2日の締めくくり質疑終局後、議場が混乱していたため、日本共産党から提出された、「平成19年度一般会計予算、平成19年度特別会計予算及び平成19年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議」について、趣旨の説明聴取は行わないこととされ、また、討論も省略され、採決を行った結果、動議は否決され、平成19年度予算3案はいずれも原案のとおり賛成多数で可決すべきものと議決された。

翌3日の本会議において、討論の後、記名投票による採決の結果、賛成337、反対125で平成19年度予算3案は可決され、参議院に送付された。

参議院の予算委員会は、2月1日に尾身財務大臣から平成19年度予算3案の趣旨説明を聴取し、3月5日から質疑に入り、基本的質疑、一般質疑、集中審議、公聴会、委嘱審査、締めくくり質疑を行い、同月26日に質疑を終局した。その後、討論、採決の結果、平成19年度予算3案は賛成多数で可決すべきものと議決された。同日の本会議においても、討論の後、記名投票による採決の結果、賛成128、反対101で平成19年度予算3案は可決、成立した。

(予算通過後の主な動き)

5月23日、安倍内閣総理大臣も出席して政治資金問題等について集中審議が行われ、緑資源機構問題、日本精神科病院政治連盟の献金問題、事務所費問題、政治資金規正法改正問題、該当者不明の年金納付記録問題、財政健全化と地方に対する財政支援策、医療・年金情報を含めた総合的な情報システムの必要性、道州制問題、生保・損保会社の保険金不払い問題等について、質疑が行われた。審議の中で、資金管理団体だけでなくすべての政治団体が経常経費についても領収書を添付する必要性を問われたのに対し、安倍内閣総理大臣は、「政治活動の自由、あるいは小さな団体にとっては事務の煩雑さ等もあるだろうと思うが、その中で、まずはやはり我々国会議員がすべて持っている資金団体、いわば政治

家にとっての主たる資金を預かる団体である

資金管理団体において、5万円の領収書を添付することにした。この領収書の添付についてもいろいろな議論があったが、まずは我々政治家が全部持っている資金管理団体に絞って5万円の領収書を義務付ける法改正を行うことによって国民の信頼にこたえていかなければいけないと考えている」旨答弁した。

《議案審査一覧》

予算

件名 提出日 衆院
趣旨
説明
衆院
委員会
付託日
衆院
提案
理由
衆院
委員会
質疑
衆院
委員会
議決日

結果
衆院
本会議
議決日

結果
参院
委員会名
参院
委員会
議決日

結果
参院
本会議
議決日

結果
備考
平成18年度一般会計補正予算(第1号)

平成18年度特別会計補正予算(特第1号)

平成18年度政府関係機関補正予算(機第1号)
19.1.25 1.25 1.31 2.1

2.2
2.2

可決(全)

(賛-自民・公明)

(欠-民主・共産・社民・国民)
2.2

可決
予算 2.5

可決
2.6

可決
平成19年度一般会計予算

平成19年度特別会計予算

平成19年度政府関係機関予算
1.25 1.25 1.31 2.9

2.13

〜 (連日)

2.16

2.19

2.20

2.21(公聴)

2.22(公聴)

2.22

2.23

2.26

2.27

2.28(分科)

3. 1(分科)

3. 1

3. 2
3.2

可決(多)

(賛-自民・公明)
3.3

可決
予算 3.26

可決
3.26

可決

(3)分科会・公聴会

[1] 分科会

分科会 所管 設置日 構成 開会日
第1分科会 皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び内閣府所管並びに他の分科会の所管以外の事項 平成19.2.26 分科員7人 2.28 3.1
第2分科会 総務省所管 2.26 分科員6人 2.28 3.1
第3分科会 法務省、外務省及び財務省所管 2.26 分科員6人 2.28 3.1
第4分科会 文部科学省所管 2.26 分科員6人 2.28 3.1
第5分科会 厚生労働省所管 2.26 分科員6人 2.28 3.1
第6分科会 農林水産省及び環境省所管 2.26 分科員6人 2.28 3.1
第7分科会 経済産業省所管 2.26 分科員6人 2.28 3.1
第8分科会 国土交通省所管 2.26 分科員7人 2.28 3.1

[2] 公聴会

開会承認要求日 承認日 公聴会を開いた議案 意見を聞いた問題 開会日
平成19.2.14 2.14 平成19年度一般会計予算

平成19年度特別会計予算

平成19年度政府関係機関予算
平成19年度総予算について 2.21 2.22

(4)公述人・参考人

[1] 公述人

出頭日 職業 氏名 意見を聞いた問題
平成19.2.21 慶應義塾大学経済学部教授
株式会社富士通総研経済研究所理事長
島田 晴雄君 平成19年度総予算について
日本労働組合総連合会副事務局長 逢見 直人君
株式会社日本総合研究所調査部長 湯元 健治君
労働相談サポートデスク相談員 芝   威君
関西大学大学院会計研究科教授 宮本 勝浩君
夕張青年会議所直前理事長
北寿産業株式会社常務取締役
柳沼 伸幸君
大阪商工会議所副会頭 小池 俊二君
全国労働組合総連合事務局長 小田川義和君
2.22 可児商工会議所会頭 日比野良彦君
キヤノンユニオン・宇都宮支部 支部長 大野 秀之君
東京大学医学部附属病院放射線科助教授・緩和ケア診療部長 中川 恵一君
政治評論家 森田  実君

[2] 参考人

出頭日 職業 氏名 審査・調査案件
平成 19.2.1 日本銀行総裁 福井  俊彦君 平成18年度一般会計補正予算(第1号)

平成18年度特別会計補正予算(特第1号)

平成18年度政府関係機関補正予算(機第1号)
2.2 日本銀行総裁 福井 俊彦君
19.2.14 日本銀行総裁 福井 俊彦君 平成19年度一般会計予算

平成19年度特別会計予算

平成19年度政府関係機関予算
2.20 日本郵政公社総裁 生田 正治君
2.23 日本銀行総裁 福井 俊彦君
2.27 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構理事・事務局長 三木 義郎君
独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構財務部長事務取扱 寺本 吉広君
独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構施設企画グループ総括 榎田 章三君
3.2 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構理事・事務局長 三木 義郎君
独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構財務部長事務取扱 寺本 吉広君
独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構施設企画グループ総括 榎田 章三君

(第2分科会)

出頭日 職業 氏名 審査・調査案件
平成19.2.28 日本放送協会理事 小林 良介君 平成19年度一般会計予算

平成19年度特別会計予算

平成19年度政府関係機関予算

(総務省所管)

(第6分科会)

出頭日 職業 氏名 審査・調査案件
平成19.2.28 独立行政法人緑資源機構理事長 前田 直登君 平成19年度一般会計

予算平成19年度特別会計予算

平成19年度政府関係機関予算

(農林水産省及び環境省所管)

(第7分科会)

出頭日 職業 氏名 審査・調査案件
平成19.2.28 独立行政法人国民生活センター理事 田口 義明君 平成19年度一般会計予算

平成19年度特別会計予算

平成19年度政府関係機関予算

(経済産業省所管)


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