児童扶養手当法の一部を改正する等の法律案
(趣旨)
第一条 この法律は、物価の高騰等により児童扶養手当(児童扶養手当法(昭和三十六年法律第二百三十八号)第四条第一項の児童扶養手当をいう。以下同じ。)の支給を受ける者の家庭が経済的に困難な状況に直面していること及び所得による児童扶養手当の支給の制限により児童扶養手当の支給を受ける者の就労の抑制が生じていることに鑑み、児童の福祉の増進を図り、及び児童扶養手当の支給を受ける者の就労を促進するため、児童扶養手当の額の増額及び所得による児童扶養手当の支給の制限を緩和するために必要な措置について定めるものとする。
(児童扶養手当法の一部改正)
第二条 児童扶養手当法の一部を次のように改正する。
第五条第一項中「四万千百円」を「次項に規定する基礎額及び同項に規定する加算額を合計した額」に改め、同条第二項中「第四条」を「基礎額は、第四条」に、「が二人以上である父、母又は養育者に支給する手当の額は、前項の規定にかかわらず、同項に定める額(次条第一項及び第二項において「基本額」という。)に監護等児童のうちの一人以外の監護等児童につきそれぞれ一万七百五十円を加算した」を「一人につき一万円とし、加算額は、監護等児童につきそれぞれ次の各号に掲げる監護等児童の区分に応じ、当該各号に定める額(次条第二項において「各加算額」という。)を合計した」に改め、同項に次の各号を加える。
一 監護等児童のうちの一人 四万六千六百九十円
二 前号の監護等児童以外の監護等児童 一万千三十円
第五条の二第一項中「基本額に」を「基礎額(前条第二項に規定する基礎額をいう。以下この項において同じ。)に」に、「平成五年」を「令和六年」に、「基本額の」を「基礎額の」に、「基本額を」を「基礎額を」に改め、同条第二項中「前条第二項の規定により基本額に加算する額」を「各加算額」に改め、同項後段を削る。
第九条第一項中「手当」の下に「(この項の規定によりその一部の支給を制限する場合にあつては、第五条第二項に規定する加算額に相当する部分に限る。)」を加える。
(所得による児童扶養手当の支給の制限を緩和するために必要な措置)
第三条 政府は、児童扶養手当の支給を受ける者の就労を促進する観点から、所得による児童扶養手当の支給の制限を緩和するために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、令和七年十月一日から施行する。ただし、第一条及び第三条並びに附則第四条の規定は、公布の日から施行する。
(児童扶養手当法の一部改正に伴う経過措置)
第二条 第二条の規定による改正後の児童扶養手当法第五条、第五条の二第一項及び第二項並びに第九条第一項の規定は、令和七年十月以降の月分の児童扶養手当の支給について適用し、同年九月以前の月分の児童扶養手当の支給については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
(検討)
第四条 政府は、児童の属する世帯でこれに属する者の所得の合計額が第二条の規定による改正後の児童扶養手当法第九条第一項に規定する政令で定める額未満であるにもかかわらず、ひとり親世帯でないため児童扶養手当の支給対象とならない世帯があることに鑑み、当該世帯において育成される児童の心身の健やかな成長に寄与するための手当の創設について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部改正)
第五条 特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和三十九年法律第百三十四号)の一部を次のように改正する。
第十六条中「基本額」を「基礎額(前条第二項に規定する基礎額をいう。以下この項において同じ。)」に改め、「の額」と」の下に「、「令和六年」とあるのは「平成五年」と、「基礎額の」とあるのは「特別児童扶養手当の額の」と、「基礎額を」とあるのは「特別児童扶養手当の額を」と」を加える。
理 由
物価の高騰等により児童扶養手当の支給を受ける者の家庭が経済的に困難な状況に直面していること及び所得による児童扶養手当の支給の制限により児童扶養手当の支給を受ける者の就労の抑制が生じていることに鑑み、児童の福祉の増進を図り、及び児童扶養手当の支給を受ける者の就労を促進するため、児童扶養手当の額の増額及び所得による児童扶養手当の支給の制限を緩和するために必要な措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
本案施行に要する経費
本案施行に要する経費としては、平年度約五百十三億円の見込みである。