新型コロナウイルス感染症対策検証委員会等の設置等に関する法律案
目次
第一章 総則(第一条)
第二章 新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の設置等
第一節 設置(第二条)
第二節 組織等(第三条―第九条)
第三節 調査等(第十条―第十五条)
第四節 財政措置等(第十六条)
第五節 補則(第十七条)
第三章 新型コロナウイルス感染症に対する対策に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会の設置等(第十八条―第二十条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症対策検証委員会等の設置等について定めるものとする。
第二章 新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の設置等
第一節 設置
第二条 新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。第十条第一号及び第十八条において同じ。)に対する対策として政府及び地方公共団体が講じた施策及び措置の内容、当該施策及び措置が講じられるまでの経緯並びに当該施策及び措置の効果を検証するための調査を適確に行うとともに、当該調査の結果に基づき、感染症に対する対策として講ずべき施策又は措置について提言を行い、もって国会による感染症に対する対策に関する立法及び行政の監視に関する機能の充実強化に資するため、別に法律で定めるところにより、国会に、新型コロナウイルス感染症対策検証委員会(以下「委員会」という。)を置くものとする。
第二節 組織等
(組織)
第三条 委員会は、委員長及び委員をもって組織するものとする。
(委員長及び委員の任命)
第四条 委員長及び委員は、委員会の職務の遂行に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、第十八条に規定する両院合同協議会(第十三条において単に「両院合同協議会」という。)の推薦に基づき、両議院の議長が、両議院の承認を得て、これを任命するものとする。
(委員長及び委員の身分保障)
第五条 委員長及び委員は、心身の故障のため職務の遂行ができないこと又は職務の執行上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があったことについて両議院の議決があったときを除いては、罷免されることはないものとする。
(委員長及び委員の服務)
第六条 委員長及び委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないものとする。その職を退いた後も同様とするものとする。
2 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治活動をしてはならないものとする。
3 委員長及び委員は、他の官職を兼ね、又は公選による公職の候補者となり、若しくは公選による公職と兼ねてはならないものとする。
(接触等の報告)
第七条 委員長及び委員は、利害関係者(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第二項に規定する一般職に属する国家公務員及び同条第三項に規定する特別職の職員のうち両議院の議長が協議して定める者その他両議院の議長が協議して定める者をいう。以下この条において同じ。)に関し、次に掲げる行為を行ったときは、利害関係者の氏名その他必要な事項を記載した報告書を両議院の議長に提出しなければならないものとする。ただし、利害関係者と私的な関係(委員長又は委員としての身分に関わらない関係をいう。)を有する場合であって、公正な職務の執行に対する国民の疑惑又は不信を招くおそれがないと認められるときは、この限りでないものとする。
一 利害関係者から、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は供応接待を受けること。
二 利害関係者から、人的役務に対する報酬の支払を受けること。
三 前二号に掲げるもののほか、その職務を遂行する場合以外の場合において、利害関係者と面会、文書の送付その他の方法により接触すること。
(参与)
第八条 委員会に、委員長及び委員に対し、専門的な知識経験に基づく意見を述べさせるため、参与を置くことができるものとする。
(事務局)
第九条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置くものとする。
2 事務局に、事務局長一人その他所要の職員を置くものとする。
3 事務局長その他の職員は、民間の有識者を積極的に登用するものとする。
第三節 調査等
(調査等)
第十条 委員会は、次に掲げる事務を行うものとする。
一 新型コロナウイルス感染症に対する対策として政府及び地方公共団体が講じた施策及び措置の内容、当該施策及び措置が講じられるまでの経緯並びに当該施策及び措置の効果を検証するための調査を行うこと。
二 前号の調査の結果に基づき、感染症に対する対策として講ずべき施策又は措置について、提言を行うこと。
三 前二号に掲げる事務を行うため必要な調査及び研究を行うこと。
(参考人の出頭)
第十一条 委員会は、前条第一号の調査のため必要があると認めるときは、参考人の出頭を求め、その意見を聴くことができるものとする。
(資料の提出の要求)
第十二条 委員会は、第十条第一号の調査のため必要があると認めるときは、国の行政機関、地方公共団体の公署その他の者に対して、資料の提出を要求することができるものとする。この場合においては、当該要求を受けた者は、別段の定めがある場合を除き、これに応じなければならないものとする。
2 前項の要求を受けた国の行政機関又は地方公共団体の公署は、当該要求に係る資料について、職務上の秘密に関するものであることの申立てを行い、その提出を拒むときは、その理由を疎明しなければならないものとする。この場合において、その理由を委員会において受諾し得るときは、当該国の行政機関又は地方公共団体の公署は、当該要求に係る資料を提出する必要がないものとする。
(両院合同協議会に対する国政調査の要請)
第十三条 委員会は、特に必要があると認めるときは、両院合同協議会に対し、国政に関する調査を行うよう、要請することができるものとする。
(報告書の提出等)
第十四条 委員会は、委員長及び委員の任命の日から起算しておおむね六月後を目途として、第十条第一号の調査の結果及び同条第二号の提言を記載した報告書を両議院の議長に提出しなければならないものとする。
2 両議院の議長は、前項の報告書を受理したときは、これを広く公表する措置を講ずるものとする。
3 第一項の報告書は、両議院の議長が協議して定めるところにより、内閣に送付するものとする。
(調査活動の終了)
第十五条 委員会は、前条第一項の報告書を提出したときに、その調査活動を終了するものとする。
第四節 財政措置等
第十六条 第二条の法律の施行に必要となる人員については、国会職員の定員に上乗せして確保されることとするとともに、当該法律の施行に必要となる経費が確保されるよう、格別の財政措置が講じられるものとする。
第五節 補則
第十七条 第二条の法律は、一年の時限を付して制定するものとする。
第三章 新型コロナウイルス感染症に対する対策に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会の設置等
(設置)
第十八条 新型コロナウイルス感染症に対する対策について、委員会の委員長及び委員の推薦、その要請を受けて国政に関する調査を行うこと等のため、第二条の法律がその効力を有する間、別に法律で定めるところにより、国会に、新型コロナウイルス感染症に対する対策に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会(次条において「両院合同協議会」という。)を置くものとする。
(国政に関する調査)
第十九条 両院合同協議会は、委員会の要請を受けた場合において必要があると認めるときは、当該要請に係る事項について、国政に関する調査を行うことができるものとする。
(報告書の提出)
第二十条 内閣は、当分の間毎年、国会に、第十四条第三項の規定により内閣に送付するものとされる委員会の報告書を受けて講じた措置に関する報告書を提出しなければならないものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
新型コロナウイルス感染症対策検証委員会等の設置等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。