山村振興法の一部を改正する法律案要綱
第一 計画体系の変更
都道府県知事が山村振興計画を作成する現行の制度を改め、都道府県が定めた山村振興基本方針に基づき、市町村が山村振興計画を作成するものとすること。
一 山村振興基本方針
1 都道府県は、当該都道府県における振興山村の振興に関する基本方針を定めるものとすること。
2 山村振興基本方針は、次の事項について定めるものとすること。
イ 振興山村の振興の意義及び方向に関する事項
ロ 農業経営及び林業経営の近代化、観光の開発等産業の振興のための施策に関する基本的な事項
ハ 医療の確保、生活改善及び労働条件の改善のための施策に関する基本的な事項
ニ 施設の整備、農用地の造成及び集落の整備に関する基本的な事項
3 都道府県は、山村振興基本方針を作成するに当たっては、振興山村を広域的な経済社会生活圏の整備の体系に組み入れるよう配慮しなければならないものとすること。
4 都道府県は、山村振興基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、主務大臣に協議し、その同意を得なければならないものとすること。この場合において、主務大臣は、同意をしようとするときは、関係行政機関の長に協議するものとすること。
5 4は、山村振興基本方針の変更について準用するものとすること。
(第七条の二関係)
二 山村振興計画
1 振興山村の指定があったときは、当該振興山村の区域を管轄する市町村(以下「振興山村市町村」という。)は、山村振興基本方針に基づき、当該振興山村に係る山村振興に関する計画(以下「山村振興計画」という。)を作成しなければならないものとすること。この場合においては、あらかじめ、都道府県に協議し、その同意を得なければならないものとすること。
2 振興山村市町村は、山村振興計画を定めたときは、直ちに、主務大臣にこれを提出しなければならないものとすること。
3 主務大臣は、2により山村振興計画の提出があった場合においては、直ちに、その内容を関係行政機関の長に通知しなければならないものとすること。この場合において、関係行政機関の長は、当該山村振興計画についてその意見を主務大臣に申し出ることができるものとすること。
4 1から3までは、山村振興計画を変更する場合について準用するものとすること。
(第八条関係)
三 山村振興指針の勧告
主務大臣は、山村振興基本方針の作成に関し必要があると認めるときは、関係行政機関の長に協議し、当該都道府県における振興山村の振興に関する基本的な指針を定め、これを都道府県に勧告することができるものとすること。 (第九条関係)
第二 認定法人制度の拡充
一 認定法人の事業範囲要件の緩和
認定法人の森林等保全事業等の計画における事業の範囲について、農林業その他の地域産業の活性化に必要な事業を森林等の保全に必要な事業と併せて行わない場合にも拡充すること。
二 認定主体の変更
森林等保全事業等の計画の認定主体を、都道府県知事から市町村に変更するものとすること。
(第十二条関係)
第三 配慮規定の拡充・追加
一 情報の流通の円滑化及び通信体系の充実
振興山村における産業の振興等を図るため、高度情報通信ネットワークその他の通信体系の充実について適切な配慮をする旨を明記するものとすること。 (第十八条関係)
二 医療の確保
無医地区に関し、医療機関の協力体制(救急医療用の機器を装備したヘリコプター等により患者を輸送し、かつ、患者の輸送中に医療を行う体制を含む。)の整備等の事業が実施されるよう努める旨を明記するものとすること。 (第十九条関係)
三 都市と山村の交流等
国及び地方公共団体は、山村における森林及び農林水産業に対する国民の理解と関心が深まるよう努めるとともに、健康的でゆとりのある生活に資するため、都市と山村との間の交流の促進、公衆の保健又は教育のための森林の利用の促進等について適切な配慮をするものとすること。
(第二十一条の二関係)
四 鳥獣被害の防止
国及び地方公共団体は、振興山村における生活環境の保全、農林水産業の振興等を図るため、鳥獣による被害の防止について適切な配慮をするものとすること。 (第二十一条の三関係)
第四 期限の延長
山村振興法の有効期限を十年間延長し、平成二十七年三月三十一日限りその効力を失うものとすること。
(附則第二項関係)
第五 その他
一 施行期日
この法律は、平成十七年四月一日から施行するものとすること。ただし、第四の改正及びこれに伴う規定の整備は、公布の日から施行するものとすること。 (附則第一条関係)
二 所要の規定の整備
その他所要の規定の整備を行うものとすること。