臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案要綱
第一 臓器の摘出要件等の改正
一 医師は、次のいずれかに該当する場合には、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。)から摘出することができるものとすること。(第六条第一項関係)
1 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないとき。
2 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合及び当該意思がないことを表示している場合以外の場合であって、遺族が当該臓器の摘出について書面により承諾しているとき。
二 臓器の摘出に係る脳死判定は、次のいずれかに該当する場合に限り、行うことができるものとすること。(第六条第三項関係)
1 当該者が一の1の意思を書面により表示している場合であり、かつ、当該者が脳死判定に従う意思がないことを表示している場合以外の場合であって、その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がないとき。
2 当該者が一の1の意思を書面により表示している場合及び当該意思がないことを表示している場合以外の場合であり、かつ、当該者が脳死判定に従う意思がないことを表示している場合以外の場合であって、その者の家族が当該判定を行うことを書面により承諾しているとき。
第二 親族への優先提供
移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思を書面により表示している者又は表示しようとする者は、その意思の表示に併せて、親族に対し当該臓器を優先的に提供する意思を書面により表示することができるものとすること。(第六条の二関係)
第三 普及・啓発に係る事項
国及び地方公共団体は、国民があらゆる機会を通じて移植医療に対する理解を深めることができるよう、移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思の有無を運転免許証及び医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、移植医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとすること。(第十七条の二関係)
第四 施行期日
この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行すること。ただし、第二は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行すること。(附則第一項関係)
第五 検討
政府は、虐待を受けた児童が死亡した場合に当該児童から臓器が提供されることのないよう、移植医療に係る業務に従事する者がその業務に係る児童について虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認し、及びその疑いがある場合に適切に対応するための方策に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。(附則第五項関係)