新型コロナウイルス感染症対策検証委員会等の設置等に関する法律案要綱
第一 総 則(趣 旨) (第1条関係)
この法律は、新型コロナウイルス感染症対策検証委員会等の設置等について定めるものとすること。
第二 新型コロナウイルス感染症対策検証委員会の設置等
一 設 置 (第2条関係)
新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。以下同じ。)に対する対策として政府及び地方公共団体が講じた施策及び措置の内容、当該施策及び措置が講じられるまでの経緯並びに当該施策及び措置の効果を検証するための調査を適確に行うとともに、当該調査の結果に基づき、感染症に対する対策として講ずべき施策又は措置について提言を行い、もって国会による感染症に対する対策に関する立法及び行政の監視に関する機能の充実強化に資するため、別に法律で定めるところにより、国会に、新型コロナウイルス感染症対策検証委員会(以下「委員会」という。)を置くものとすること。
二 組織等
1 組 織 (第3条関係)
委員会は、委員長及び委員をもって組織するものとすること。
2 委員長及び委員の任命 (第4条関係)
委員長及び委員は、委員会の職務の遂行に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、第三の一の両院合同協議会の推薦に基づき、両議院の議長が、両議院の承認を得て、これを任命するものとすること。
3 委員長及び委員の身分保障 (第5条関係)
委員長及び委員は、心身の故障のため職務の遂行ができないこと又は職務の執行上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があったことについて両議院の議決があったときを除いては、罷免されることはないものとすること。
4 委員長及び委員の服務 (第6条関係)
(1) 委員長及び委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないものとすること。その職を退いた後も同様とするものとすること。
(2) 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治活動をしてはならないものとすること。
(3) 委員長及び委員は、他の官職を兼ね、又は公選による公職の候補者となり、若しくは公選による公職と兼ねてはならないものとすること。
5 接触等の報告 (第7条関係)
委員長及び委員は、利害関係者(国家公務員法第2条第2項に規定する一般職に属する国家公務員及び同条第3項に規定する特別職の職員のうち両議院の議長が協議して定める者その他両議院の議長が協議して定める者をいう。以下同じ。)に関し、次に掲げる行為を行ったときは、利害関係者の氏名その他必要な事項を記載した報告書を両議院の議長に提出しなければならないものとすること。ただし、利害関係者と私的な関係(委員長又は委員としての身分に関わらない関係をいう。)を有する場合であって、公正な職務の執行に対する国民の疑惑又は不信を招くおそれがないと認められるときは、この限りでないものとすること。
@ 利害関係者から、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は供応接待を受けること。
A 利害関係者から、人的役務に対する報酬の支払を受けること。
B @及びAに掲げるもののほか、その職務を遂行する場合以外の場合において、利害関係者と面会、文書の送付その他の方法により接触すること。
6 参 与 (第8条関係)
委員会に、委員長及び委員に対し、専門的な知識経験に基づく意見を述べさせるため、参与を置くことができるものとすること。
7 事務局 (第9条関係)
(1) 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置くものとすること。
(2) 事務局に、事務局長一人その他所要の職員を置くものとすること。
(3) 事務局長その他の職員は、民間の有識者を積極的に登用するものとすること。
三 調査等
1 調査等 (第10条関係)
委員会は、次に掲げる事務を行うものとすること。
@ 新型コロナウイルス感染症に対する対策として政府及び地方公共団体が講じた施策及び措置の内容、当該施策及び措置が講じられるまでの経緯並びに当該施策及び措置の効果を検証するための調査を行うこと。
A @の調査の結果に基づき、感染症に対する対策として講ずべき施策又は措置について、提言を行うこと。
B @及びAに掲げる事務を行うため必要な調査及び研究を行うこと。
2 参考人の出頭 (第11条関係)
委員会は、1@の調査のため必要があると認めるときは、参考人の出頭を求め、その意見を聴くことができるものとすること。
3 資料の提出の要求 (第12条関係)
(1) 委員会は、1@の調査のため必要があると認めるときは、国の行政機関、地方公共団体の公署その他の者に対して、資料の提出を要求することができるものとすること。この場合においては、当該要求を受けた者は、別段の定めがある場合を除き、これに応じなければならないものとすること。
(2) (1)の要求を受けた国の行政機関又は地方公共団体の公署は、当該要求に係る資料について、職務上の秘密に関するものであることの申立てを行い、その提出を拒むときは、その理由を疎明しなければならないものとすること。この場合において、その理由を委員会において受諾し得るときは、当該国の行政機関又は地方公共団体の公署は、当該要求に係る資料を提出する必要がないものとすること。
4 両院合同協議会に対する国政調査の要請 (第13条関係)
委員会は、特に必要があると認めるときは、第三の一の両院合同協議会に対し、国政に関する調査を行うよう、要請することができるものとすること。
5 報告書の提出等 (第14条関係)
(1) 委員会は、委員長及び委員の任命の日から起算しておおむね6月後を目途として、1@の調査の結果及び1Aの提言を記載した報告書を両議院の議長に提出しなければならないものとすること。
(2) 両議院の議長は、の報告書を受理したときは、これを広く公表する措置を講ずるものとすること。
(3) (1)の報告書は、両議院の議長が協議して定めるところにより、内閣に送付するものとすること。
6 調査活動の終了 (第15条関係)
委員会は、5(1)の報告書を提出したときに、その調査活動を終了するものとすること。
四 財政措置等 (第16条関係)
一の法律の施行に必要となる人員については、国会職員の定員に上乗せして確保されることとするとともに、当該法律の施行に必要となる経費が確保されるよう、格別の財政措置が講じられるものとすること。
五 補 則 (第17条関係)
一の法律は、1年の時限を付して制定するものとすること。
第三 新型コロナウイルス感染症に対する対策に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会の設置等
一 設 置 (第18条関係)
新型コロナウイルス感染症に対する対策について、委員会の委員長及び委員の推薦、その要請を受けて国政に関する調査を行うこと等のため、第二の一の法律がその効力を有する間、別に法律で定めるところにより、国会に、新型コロナウイルス感染症に対する対策に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会(以下「両院合同協議会」という。)を置くものとすること。
二 国政に関する調査 (第19条関係)
両院合同協議会は、委員会の要請を受けた場合において必要があると認めるときは、当該要請に係る事項について、国政に関する調査を行うことができるものとすること。
三 報告書の提出 (第20条関係)
内閣は、当分の間毎年、国会に、第二の三5(3)により内閣に送付するものとされる委員会の報告書を受けて講じた措置に関する報告書を提出しなければならないものとすること。
第四 施行期日 (附則関係)
この法律は、公布の日から施行すること。