民法の一部を改正する法律案 要綱
第一 夫婦の氏
一 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称すること。
二 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、その一方を戸籍の筆頭に記載すべき者と定めなければならないこと。
(第750条関係)
第二 子の氏
一 嫡出である子の氏
嫡出である子は、父母の氏又は第一の二により戸籍の筆頭に記載すべき者と定められた者(以下「戸籍筆頭者」という。)の氏を称すること。
(第790条第1項関係)
二 養子の氏
1 養子は、養親の氏(氏を異にする夫婦が共に養子をするときは、戸籍筆頭者の氏)を称すること。
2 氏を異にする夫婦の一方が配偶者の嫡出である子を養子とするときは、養子は、1にかかわらず、養親とその配偶者についての戸籍筆頭者の氏を称すること。
3 養子が婚姻によって氏を改めた者であるときは、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、1及び2を適用しないこと。
(第810条関係)
三 子の氏の変更
1 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができること。ただし、父母が氏を異にする夫婦である場合において子が未成年であるときは、特別の事情があるときに限ること。
2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母の氏又は父若しくは母の氏と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、1にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏又はその父若しくは母の氏を称することができること。
3 子の出生後に婚姻をした父母が氏を異にする夫婦である場合において子が戸籍筆頭者の氏と異なる氏を称しているときは、子は、1にかかわらず、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、戸籍筆頭者の氏を称することができること。ただし、父母の婚姻後に1により氏を改めた子については、この限りでないこと。
4 子が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、1から3までの行為をすることができること。
5 1から4までにより氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から1年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができること。
(第791条関係)
第三 施行期日等
一 施行期日
この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、二は、公布の日から施行すること。
(附則第1条関係)
二 法制の整備等
1 政府は、この法律の施行の日までに、次に掲げる方針に従い、戸籍法の改正を行うものとすること。
@ 戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製すること。
A 氏を異にする夫婦の戸籍に氏名を記載する順序は、戸籍筆頭者、配偶者、子の順序によること。
2 政府は、1のほか、この法律の施行の日までに、この法律を施行するために必要な法制の整備その他の措置を講ずるものとすること。
(附則第2条関係)
三 経過措置
1 この法律の施行前に婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、婚姻中に限り、配偶者との合意に基づき、この法律の施行の日から1年以内に別に法律で定めるところにより届け出ることによって、婚姻前の氏に復することができること。
2 1により夫又は妻が婚姻前の氏に復することとなったときは、この法律による改正後の民法その他の法令の規定の適用については、婚姻の際に夫婦が称する氏として定めた夫又は妻の氏を戸籍筆頭者の氏とみなすこと。
(附則第3条関係)