政治団体における複式簿記の導入に関する法律案要綱
一 趣旨
この法律は、最近における政治資金をめぐる状況に鑑み、政治資金の収支その他の政治団体の会計の適正性の確保及び透明性の向上により政治に対する国民の信頼の回復を図るため、政治団体における複式簿記の導入について定めるものとすること。 (第1条関係)
二 定義
この法律において「政治団体」とは、政治資金規正法第3条第1項に規定する政治団体をいうこと。 (第2条関係)
三 政治団体における複式簿記の導入
政治団体において、その会計の適正性の確保及び透明性の向上に資する合理的な会計処理及び記録の仕組みとして複式簿記を導入するものとし、このために必要な法制上の措置について、この法律の施行後2年以内を目途として講ずるものとすること。 (第3条関係)
四 複式簿記の導入に当たって講ずべき措置
政治団体における複式簿記の導入に当たっては、次に掲げる事項について、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとすること。
1 政治団体の会計は、政治団体の特殊性を考慮して必要な修正を加えた上で、原則として企業会計原則によるものとすること。この場合においては、次に掲げる観点から、政治団体の会計の適正性の確保及び透明性の向上が図られたものでなければならないものとすること。
@ 政治団体の会計については、政治団体の財政状態及び政治活動の状況に関する全ての収支その他の事象について体系的に記録し、正確な会計帳簿を作成するものとすること。
A 政治団体の会計帳簿については、政治団体の財政状態及び政治活動の状況に関する全ての収支その他の事象について、網羅的かつ検証可能な形で作成するものとすること。
B 政治団体の財務諸表については、正確な会計帳簿に基づき作成し、相互に整合性を有するものとすること。
C 政治団体の会計については、政治活動に対する国民の不断の監視と批判に資するため、財務諸表によって、国民に対し必要な会計情報を明瞭に表示し、政治団体の財政状態及び政治活動の状況に関する判断を誤らせないようにするものとすること。
D 政治団体の会計については、発生主義の考え方を導入するものとし、政治団体に発生した全ての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理するものとすること。
2 政治団体の会計監査について、次に掲げる事項に留意しつつ、その在り方を見直し、政治団体の会計監査に関する制度の拡充を図るものとすること。
@ 政党(政治資金規正法第3条第2項に規定する政党をいう。)の本部及び支部並びに政治資金団体(同法第5条第1項第2号に規定する政治資金団体をいう。)について、登録政治資金監査人(同法第19条の13第1項に規定する登録政治資金監査人をいう。Aにおいて同じ。)による政治資金監査の対象とするものとすること。
A 登録政治資金監査人による政治資金監査の対象となる政治団体においては、複式簿記により作成する会計帳簿及びこれに基づき作成する財務諸表について、登録政治資金監査人による政治資金監査を受けるものとすること。
3 政治団体の会計責任者等が高度情報通信ネットワーク及び情報通信技術(デジタル社会形成基本法第2条に規定する情報通信技術をいう。)を利用する方法により会計処理を行い、財務諸表を作成し、提出することができるようにするための情報システムを整備するものとすること。
4 政治団体の会計責任者等が複式簿記による会計処理を行い、財務諸表を作成し、提出することができるよう、必要な情報の提供及び助言を行うための体制を整備するものとすること。
(第4条関係)
五 施行期日
この法律は、公布の日から施行すること。 (附則関係)