衆議院

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第一四二回

衆第四号

   国会職員の倫理の保持に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条―第三条)

 第二章 国会職員倫理規程(第四条)

 第三章 贈与等の報告及び公開(第五条―第八条)

 第四章 国会職員倫理審査会(第九条―第十二条)

 第五章 雑則(第十三条・第十四条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、国会職員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「国会職員」とは、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)第一条に規定する国会職員であって常勤のものをいう。

 (国会職員の責務)

第三条 国会職員は、国民全体の奉仕者であることを自覚し、公正な職務の執行に当たるとともに、常に公私の別を明らかにし、職務や地位を私的な利益のために用いてはならない。

   第二章 国会職員倫理規程

第四条 職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為を防止し、公務に対する国民の信頼を確保するため、職務に関係のある業者等との接触に関し国会職員の遵守すべき事項、国会職員の職務に係る倫理の保持に資するための研修の実施に関する事項その他国会職員の職務に係る倫理の保持を図るために必要な事項を定めた国会職員倫理規程を、両議院の議長が協議して定める。

   第三章 贈与等の報告及び公開

 (贈与等の報告)

第五条 各議院事務局、各議院法制局、国立国会図書館、裁判官弾劾裁判所事務局及び裁判官訴追委員会事務局(以下「議院事務局等」という。)に置かれる局又は部に置かれる課の所掌事務を分掌する係の長の職として両議院の議長が協議して定める職及び両議院の議長が協議して定めるところにより当該職を占める国会職員が支給を受ける給料(国会職員法の規定に基づいて支給を受ける給料をいう。以下同じ。)の額として両議院の議長が協議して定める額(以下この条において「基準給料額」という。)と当該職以外の職を占める国会職員が支給を受けることとなる給料の額とを比較し、基準給料額に相当し、又は基準給料額を超える額の給料の支給を受けることとなる国会職員の職として両議院の議長が協議して定める職(以下「係長級以上職」という。)を占める国会職員は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる事項を記載した贈与等報告書を、毎年、四月一日から同月三十日までの間に、各本属長に提出しなければならない。

 一 前年中に親族以外の者から、贈与により財産を取得した場合(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により贈与により取得したものとみなされる場合を含む。以下同じ。)又はその者と国会職員の職務との関係に基づいて提供する人的役務に対する報酬として両議院の議長が協議して定める報酬の支払を受けた場合(当該取得又は当該支払の時において係長級以上職を占めていた場合に限り、かつ、当該贈与又は当該報酬の価額が一件につき二千円を超える場合に限る。) 当該贈与又は当該報酬の価額、年月日及び基因となった事実並びに当該贈与をした者又は当該報酬を支払った者の氏名(その者が会社その他の法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下同じ。)である場合には、名称。次号において同じ。)及び住所

 二 前年中に親族以外の者から、その者と国会職員の職務との関係に基づいて当該国会職員の配偶者若しくは生計を一にする子が贈与により財産を取得した場合又はその者と国会職員の職務との関係に基づいて当該国会職員の配偶者若しくは生計を一にする子が提供する人的役務に対する報酬として両議院の議長が協議して定める報酬の支払を受けた場合(当該取得又は当該支払の時において当該国会職員が係長級以上職を占めていた場合に限り、かつ、当該贈与又は当該報酬の価額が一件につき二千円を超える場合に限る。) 当該贈与又は当該報酬の価額、年月日及び基因となった事実並びに当該贈与をした者又は当該報酬を支払った者の氏名及び住所

2 各本属長は、前項の規定により贈与等報告書の提出を受けたときは、当該贈与等報告書の写しを国会職員倫理審査会に送付しなければならない。

 (資産等の報告)

第六条 国会職員は、議院事務局等に置かれる部に置かれる副部長の職として両議院の議長が協議して定める職又は両議院の議長が協議して定めるところにより当該職を占める国会職員が支給を受ける給料の額として両議院の議長が協議して定める額(以下この条において「基準給料額」という。)と当該職以外の職を占める国会職員が支給を受ける給料の額とを比較し、基準給料額に相当し、若しくは基準給料額を超える額の給料の支給を受けることとなる国会職員の職として両議院の議長が協議して定める職(以下「副部長級以上職」という。)に任命されたとき(国会職員が当該任命の日の前日において副部長級以上職を占めていた場合を除く。)は、当該任命された日(以下「就任日」という。)において有する次の各号に掲げる資産等について、当該資産等の区分に応じ当該各号に掲げる事項を記載した資産等報告書を、同日から起算して百日を経過する日までに、各本属長に提出しなければならない。

 一 土地(信託している土地(自己が帰属権利者であるものに限る。)を含む。) 所在、面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨

 二 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利の目的となっている土地の所在及び面積並びに相続により取得した場合は、その旨

 三 建物 所在、床面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続により取得した場合は、その旨

 四 預金(当座預金及び普通預金を除く。)、貯金(普通貯金を除く。)及び郵便貯金(通常郵便貯金を除く。) 預金、貯金及び郵便貯金の額

 五 金銭信託 金銭信託の元本の額

 六 有価証券(証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項及び第二項に規定する有価証券に限る。) 種類及び種類ごとの額面金額の総額(株券にあっては、株式の銘柄、株数及び額面金額の総額)

 七 自動車、船舶、航空機、美術工芸品その他の動産(取得価額が百万円を超えるものに限る。) 品目及び数量

 八 ゴルフ場の利用に関する権利 ゴルフ場の名称

 九 貸付金(生計を一にする親族に対するものを除く。) 貸付金の額

 十 借入金(生計を一にする親族からのものを除く。) 借入金の額

2 就任日後引き続き副部長級以上職を占めている国会職員は、その就任日後毎年新たに有することとなった前項各号に掲げる資産等であって十二月三十一日において有するものについて、当該資産等の区分に応じ同項各号に掲げる事項を記載した資産等補充報告書を、その翌年の四月一日から同月三十日までの間に、各本属長に提出しなければならない。

3 各本属長は、第一項の規定により資産等報告書の提出を受けたとき又は前項の規定により資産等補充報告書の提出を受けたときは、当該資産等報告書又は当該資産等補充報告書の写しを国会職員倫理審査会に送付しなければならない。

 (給与外収入等の報告)

第七条 副部長級以上職を占める国会職員(前年一年間を通じて副部長級以上職を占めていた国会職員に限る。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる事項を記載した給与外収入等報告書を、毎年、四月一日から同月三十日までの間に、各本属長に提出しなければならない。ただし、次の各号に掲げる金額の合計額が五万円に満たない場合は、この限りでない。

 一 前年中に支払を受けた給与以外の収入(国会職員法の規定に基づいて支払を受ける給与に係る収入以外の収入(各種所得(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第二十一号に規定する各種所得(退職所得を除く。)をいう。以下同じ。)の金額の計算の基礎とされるものに限り、第五条第一項第一号に規定する贈与及び報酬に係る収入を除く。)をいう。)がある場合 当該収入の金額、年月日及び基因となった事実並びに当該収入を支払った者の氏名(その者が会社その他の法人である場合には、名称。次号において同じ。)及び住所

 二 前年中に国会職員の職務との関係に基づいて当該国会職員の配偶者又は生計を一にする子が支払を受けた収入(各種所得の金額の計算の基礎とされるものに限り、第五条第一項第二号に規定する贈与及び報酬に係る収入を除く。)がある場合 当該収入の金額、年月日及び基因となった事実並びに当該収入を支払った者の氏名及び住所

2 各本属長は、前項の規定により給与外収入等報告書の提出を受けたときは、当該給与外収入等報告書の写しを国会職員倫理審査会に送付しなければならない。

 (報告書の保存及び閲覧)

第八条 前三条の規定により提出された贈与等報告書、資産等報告書及び資産等補充報告書並びに給与外収入等報告書は、これらを受理した本属長において、これらを提出すべき期間の末日の翌日から起算して五年を経過する日まで保存しなければならない。

2 何人も、各本属長に対し、前項の規定により保存されている贈与等報告書、資産等報告書及び資産等補充報告書並びに給与外収入等報告書の閲覧を請求することができる。

   第四章 国会職員倫理審査会

 (設置)

第九条 国会に、国会職員倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

 (所掌事務等)

第十条 審査会は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 第五条第一項、第六条第一項及び第二項並びに第七条第一項の規定による報告書に関し調査を行い、必要があると認めるときは、各本属長に対し、監督上必要な措置を講ずるよう求めること。

 二 前号の調査に関し必要があると認めるときは、各本属長その他の者に対し、必要な報告、情報又は資料の提出を求めること。

 三 職員の職務に係る倫理の保持に関する基本的事項を調査審議し、各本属長に意見を述べること。

2 各本属長は、前項第一号の規定による求めに基づき講じた措置について、審査会に報告しなければならない。

 (組織等)

第十一条 審査会は、委員五人をもって組織する。

2 委員のうち二人は、非常勤とすることができる。

3 委員は、人格が高潔で、公務員の職務に係る倫理の保持に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院の議長が、国会の承認を得て任命する。

4 前項の場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために国会の承認を得ることができないときは、両議院の議長は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。

5 前項の場合においては、任命後最初の国会で国会の事後の承認を得なければならない。この場合において、国会の事後の承認が得られないときは、両議院の議長は、直ちにその委員を罷免しなければならない。

6 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

7 両議院の議長は、委員が禁治産者、準禁治産者若しくは破産の宣告を受け、又は禁錮以上の刑に処せられたときは、その委員を罷免しなければならない。

8 両議院の議長は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、国会の承認を得て、その委員を罷免することができる。

9 委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

10 委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

11 常勤の委員は、在任中、両議院の議長の許可のある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

 (会長)

第十二条 審査会に、会長を置き、委員の互選によって常勤の委員のうちからこれを定める。

2 会長は、会務を総理し、審査会を代表する。

3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する常勤の委員が、その職務を代理する。

   第五章 雑則

 (両院議長協議決定への委任)

第十三条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施に関し必要な事項は、両議院の議長が協議して定める。

 (罰則)

第十四条 第五条第一項、第六条第一項若しくは第二項又は第七条第一項の規定に違反して報告書を提出せず、又は虚偽の報告をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、国家公務員の倫理の保持に関する法律(平成十年法律第▼▼▼号)の施行の日から施行する。ただし、第十一条第三項中国会の承認を得ることに関する部分は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

第二条 平成十一年における第五条第一項の規定による贈与等報告書の提出については、同項第一号及び第二号中「前年中」とあるのは、「この法律の施行の日から平成十年十二月三十一日まで」とする。

第三条 この法律の施行の日において副部長級以上職を占めている国会職員は、同日において有する第六条第一項各号に掲げる資産等について、当該資産等の区分に応じ当該各号に掲げる事項を記載した資産等報告書を、同日から起算して百日を経過する日までに、各本属長に提出しなければならない。

2 前項の規定に違反して報告書を提出せず、又は虚偽の報告をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

3 第六条第三項、第八条及び第十条の規定は、第一項の規定により提出された資産等報告書について準用する。

第四条 平成十一年における第七条第一項の規定による給与外収入等報告書の提出については、同項第一号及び第二号中「前年中」とあるのは、「この法律の施行の日から平成十年十二月三十一日まで」とする。

 (国会職員法の一部改正)

第五条 国会職員法の一部を次のように改正する。

  第一条第四号の次に次の一号を加える。

  四の二 国会職員倫理審査会の委員

  第六条中「並びに国立国会図書館の館長」を「、国立国会図書館の館長」に改め、「専門調査員」の下に「並びに国会職員倫理審査会の委員」を加え、「以て」を「もつて」に改める。

  第十六条中「掌る」を「つかさどる」に改め、「及び専門調査員」の下に「、国会職員倫理審査会の委員」を加え、「条件附採用期間」を「条件付採用期間」に改める。

  第二十四条の三中「掌る」を「つかさどる」に、「並びに国立国会図書館の館長」を「、国立国会図書館の館長並びに国会職員倫理審査会の委員」に改める。

  第二十八条中「掌る」を「つかさどる」に、「並びに国立国会図書館の館長」を「、国立国会図書館の館長」に改め、「専門調査員」の下に「並びに国会職員倫理審査会の委員」を加え、「左の」を「次の」に改め、同条に次の一号を加える。

  三 国会職員の倫理の保持に関する法律(平成十年法律第▼▼▼号)の規定に違反して報告書を提出せず、又は虚偽の報告をした場合

 (国会に置かれる機関の休日に関する法律の一部改正)

第六条 国会に置かれる機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第百五号)の一部を次のように改正する。

  第一条第二項中「各議院に置かれる機関」を「国会又は各議院に置かれる機関」に改める。

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