衆議院

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第一四二回

衆第一一号

   行政情報の公開に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 行政情報の開示等

  第一節 行政情報の開示(第三条―第十三条)

  第二節 不服申立て

   第一款 行政情報開示不服審査会に対する諮問等(第十四条・第十五条)

   第二款 行政情報開示不服審査会(第十六条―第三十条)

  第三節 訴訟(第三十一条・第三十二条)

 第三章 行政情報の公開の総合的な推進等(第三十三条―第三十六条)

 第四章 雑則(第三十七条―第三十九条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政情報の開示を請求する国民の権利について定めることにより、行政運営の公開性の向上を図り、もって国民の知る権利を保障するとともに、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにし、国民の行政に対する監視及び参加の充実に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 行政機関 次に掲げる機関をいう。

  イ 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する国の行政機関として置かれる機関(ロの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)及び法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関

  ロ 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関のうち政令で定めるもの

  ハ 会計検査院

  ニ 特殊法人(総務庁設置法(昭和五十八年法律第七十九号)第四条第十一号に規定する法人(同号の規定の適用を受けない法人を除く。)のうち、商法(明治三十二年法律第四十八号)の適用を受ける法人であって、その出資の割合、役員の選任等において政府に支配されていないものとして政令で定めるもの以外の法人をいう。)

 二 行政情報 行政機関が保有する情報(前号ロの政令で定める機関が置かれる同号イの行政機関にあっては、当該政令で定める機関が保有する情報を除く。)をいう。

 三 行政資料 行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスクその他の採録物であって、当該行政機関が保有するものをいう。ただし、一般に容易に入手することができるもの又は一般に利用することができる施設において閲覧(視聴を含む。以下同じ。)に供されているものを除く。

   第二章 行政情報の開示等

    第一節 行政情報の開示

 (行政情報の開示)

第三条 何人も、行政機関の長(前条第一号ロに掲げる機関にあってはその機関ごとに政令で定める者、同号ニに掲げる機関にあっては代表権を有する者をいう。以下同じ。)に対し、行政情報(行政資料に記録されているものに限る。以下この章において同じ。)の開示を請求することができる。

2 行政機関の長は、前項の規定による開示の請求(以下「開示請求」という。)があったときは、次条第一項若しくは第二項又は第五条に該当する場合を除き、開示請求をした者(以下「開示請求者」という。)に対し、当該開示請求に係る行政情報を開示しなければならない。

 (行政情報の不開示等)

第四条 行政機関の長は、開示請求に係る行政情報の全部又は一部が次に掲げる情報(以下この条において「不開示情報」という。)のいずれかに該当すると認めるときは、当該全部又は一部を開示しないことができる。

 一 個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別されるもの(当該情報のみでは識別することができないが、一般に容易に入手することができる他の情報と照合することにより識別され得るものを含む。)のうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

  イ 法令の規定により又は慣行として公にされている情報又は公にすることが予定されている情報

  ロ 公務員(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条に規定する地方公務員をいい、第二条第一号ニに掲げる機関の職員を含む。)の職務の遂行に係る情報に含まれる当該公務員の職及び氏名に関する情報

  ハ 開示しないことにより保護される個人の正当な利益よりも、人の生命、身体、健康、財産又は生活を保護するため、開示することが必要であると認められる情報

 二 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。以下この条において「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、開示することにより、当該法人等又は当該個人の基本的な権利、その競争上又は事業運営上の地位その他正当な利益を害することが明らかであるもの。ただし、開示しないことにより保護される当該法人等又は当該個人の正当な利益よりも、当該法人等又は当該個人の事業活動によって生ずる危害又は侵害から人の生命、身体若しくは健康又は財産若しくは生活を保護するため、開示することが必要であると認められる情報を除く。

 三 開示することにより、国の安全が害されること、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれること又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被ることが明らかである情報(当該情報に係る行政資料を作成し、又は取得した日から起算して二十年を経過しないものに限る。)

 四 開示することにより、犯罪の予防若しくは捜査、公訴の提起若しくは維持、刑の執行又は警備の目的を達成することができないことが明らかである情報その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすことが明らかである情報

 五 監査、検査、取締り、争訟、交渉、契約、試験、調査、研究、人事管理、現業の事業経営その他行政機関の事務又は事業に関する情報であって、当該事務又は事業の性質上、開示することにより当該事務又は事業の目的を達成することができないことが明らかであるもの

2 行政機関の長は、開示請求に係る行政情報が記録されている行政資料に不開示情報とそれ以外の情報とが記録されている場合において、当該不開示情報が記録されている部分とそれ以外の情報が記録されている部分とを分離することが困難であると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政資料に記録されている行政情報の全部を開示しないことができる。

3 行政機関の長は、開示請求に係る行政情報が第一項第一号又は第二号に規定する不開示情報に該当する場合であっても、当該行政情報に係る個人又は法人等がその開示について承諾したときは、開示請求者に対し、当該行政情報を開示するものとする。

4 行政機関の長は、開示請求に係る行政情報が不開示情報に該当する場合において、開示しないことにより保護される正当な利益に優越する公益上の理由が明らかにあると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政情報を開示するものとする。

 (行政情報の存否に関する情報)

第五条 開示請求に係る行政情報が前条第一項第一号、第三号又は第四号に該当する場合において、当該行政情報の存否を答えるだけで、同項第一号、第三号又は第四号の規定により保護される利益が当該行政情報を開示した場合と同様に害されることとなることが明らかであるときは、行政機関の長は、開示請求に係る行政情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。

 (開示請求の方法)

第六条 開示請求は、政令で定めるところにより、行政機関の長に対し、次に掲げる事項を記載した請求書を提出して、行わなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所又は事務所若しくは事業所の所在地並びに法人その他の団体にあってはその代表者の氏名

 二 開示請求をする行政情報

 三 行政情報の開示の方法

 (開示決定等)

第七条 行政機関の長は、開示請求を受理した日から起算して十四日以内に、第三条第二項若しくは第四条第三項若しくは第四項の規定により開示請求に係る行政情報を開示する旨の決定(以下「開示決定」という。)又は同条第一項若しくは第二項の規定により開示請求に係る行政情報の全部若しくは一部を開示しない旨の決定(第五条の規定により又は開示請求に係る行政情報が存在しないことにより開示請求を拒否する決定を含む。以下「不開示決定」という。)をし、政令で定めるところにより、開示請求者に対し、その旨及びその決定が開示決定であるときは開示の実施に関し必要な事項を、その決定が不開示決定であるときはその理由を書面により通知しなければならない。

2 開示請求者は、行政機関の長が前項に規定する期間内に開示決定又は不開示決定(以下「開示決定等」という。)をしないときは、次条第一項又は第二項の規定による延長に係る通知を受けた場合を除き、行政機関の長が当該開示請求に係る行政情報について不開示決定をしたものとみなすことができる。

 (開示決定等の期間の特例)

第八条 行政機関の長は、事務処理上の困難その他の正当な理由により、前条第一項に規定する期間内に開示決定等をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、開示請求を受理した日から起算して三十日を限度として、これを延長することができる。この場合において、行政機関の長は、政令で定めるところにより、開示請求者に対し、同項に規定する期間内に、当該期間内に開示決定等をすることができない理由及び延長する期間を書面により通知しなければならない。

2 行政機関の長は、開示請求に係る行政情報が記録されている行政資料が著しく大量であるため、前項の規定により延長された期間内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、当該行政資料の相当な量に係る部分についてのみ当該期間内に開示決定等をし、当該部分を除く部分についての開示決定等については、開示請求を受理した日から起算して六十日を限度として、これを延長することができる。この場合においては、前項後段の規定を準用する。

3 前条第二項の規定は、開示請求者が前二項の規定による延長に係る通知を受けた場合について準用する。

 (事案の移送)

第九条 行政機関の長は、開示請求に係る行政情報が記録されている行政資料の全部又は一部が他の行政機関により作成されたものであるときその他相当の理由があるときは、当該他の行政機関の長と協議の上、当該開示請求に係る事案の全部又は一部を当該他の行政機関の長に移送することができる。この場合においては、行政機関の長は、政令で定めるところにより、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。

 (第三者保護に関する手続)

第十条 開示請求に係る行政情報が記録されている行政資料に国(第二条第一号ニに掲げる機関を含む。)、地方公共団体及び開示請求者以外の者(以下この条において「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、行政機関の長は、開示決定等をするに際し、当該第三者の意見を聴くことができる。

2 行政機関の長は、前項の規定により第三者の意見を聴いた場合において、同項に規定する行政情報を開示するときは、当該行政情報の開示決定等をした日と当該行政情報の開示を実施する日との間に当該第三者が行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立て(以下「不服申立て」という。)をするための相当な期間を確保するとともに、当該開示決定等の後速やかに、当該第三者に対し、政令で定めるところにより、政令で定める事項を書面により通知するものとする。

 (開示の方法)

第十一条 第三条第二項又は第四条第三項若しくは第四項の規定による行政情報の開示は、政令で定めるところにより、当該行政情報が記録されている行政資料を閲覧に供し、又は複写させることにより行う。

2 前項の規定にかかわらず、行政資料を閲覧に供し、若しくは複写させることが適切でないと明らかに認められるときはその理由を示して、又は開示請求者が希望するときは、当該行政資料の写しの交付をもってこれに代えることができる。

3 開示請求に係る行政情報が記録されている行政資料が行政機関のうち政令で定めるものにおいて歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別に保有されているものである場合には、前二項の規定にかかわらず、当該行政情報の開示の方法について政令で特別の定めをすることができる。

 (手数料等)

第十二条 行政資料を閲覧に供することにより行う行政情報の開示は、これを無償とする。

2 開示請求者は、前条第二項の規定による行政資料の写しの交付を受けるときは、政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

3 行政機関の長は、開示請求者に経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項の手数料を免除し、又は減額することができる。開示請求に公益上の理由があると認めるときも、同様とする。

4 開示請求者は、政令で定めるところにより、行政資料の写しの送付を受ける場合には、郵送料を納付しなければならない。

 (権限又は事務の委任)

第十三条 行政機関の長は、政令(第二条第一号イに掲げる機関のうち内閣の所轄の下に置かれる機関及び同号ハに掲げる機関にあっては、当該機関の命令)で定めるところにより、この節に定める権限又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる。

    第二節 不服申立て

     第一款 行政情報開示不服審査会に対する諮問等

 (行政情報開示不服審査会に対する諮問)

第十四条 開示決定等(第二条第一号ハに掲げる機関の長がする開示決定等を除く。)に係る不服申立てに対して決定又は裁決をしようとするときは、次に掲げる場合を除き、当該不服申立てに係る処分庁、審査庁又は再審査庁は、行政情報開示不服審査会に諮問をしなければならない。

 一 不服申立てが不適法であり、却下するとき。

 二 不開示決定(開示決定に係る不服申立てに対して、当該開示決定を取り消し、当該開示決定に係る行政情報の全部又は一部を開示しない旨の裁決を含む。以下この号及び第二十五条第一項において同じ。)を取り消し、当該不開示決定に係る行政情報の全部を開示する旨の決定又は裁決をするとき(当該行政情報が記録されている行政資料に第十条第一項に規定する第三者に関する情報が記録されている場合を除く。)。

 (答申の尊重)

第十五条 前条の規定による諮問をした処分庁、審査庁又は再審査庁(以下この節において「諮問庁」という。)は、当該諮問に対する答申を受けたときは、これを尊重しなければならない。

     第二款 行政情報開示不服審査会

 (設置)

第十六条 第十四条の規定による諮問に応じ不服申立てについて調査審議させるため、総理府に、行政情報開示不服審査会(以下この款において「審査会」という。)を置く。

 (組織)

第十七条 審査会は、委員六人をもって組織する。

2 委員のうち三人は、非常勤とすることができる。

 (委員の任命)

第十八条 委員は、人格が高潔であって、情報公開に関し優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

2 委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。

3 前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちに、その委員を罷免しなければならない。

 (委員の任期)

第十九条 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

3 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

 (委員の身分保障)

第二十条 委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。

 一 禁治産、準禁治産又は破産の宣告を受けたとき。

 二 禁錮以上の刑に処せられたとき。

 三 審査会により、心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき又は職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められたとき。

 (委員の罷免)

第二十一条 内閣総理大臣は、委員が前条各号のいずれかに該当するときは、その委員を罷免しなければならない。

 (会長)

第二十二条 審査会に会長を置き、委員の互選によって常勤の委員のうちからこれを定める。

2 会長は、会務を総理し、審査会を代表する。

3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する常勤の委員が、その職務を代理する。

 (委員の服務)

第二十三条 委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

2 委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

3 常勤の委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

 (委員の給与)

第二十四条 委員の給与は、別に法律で定める。

 (不開示決定に関する行政資料の標目等を記載した書面の提出の要求等)

第二十五条 不開示決定に係る不服申立てについて調査審議する場合においては、審査会は、当該不開示決定に関する行政情報が記録されている行政資料について、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、第四条第一項及び第二項並びに第五条の規定の趣旨に反しない限度において、当該行政資料の標目並びに当該行政資料に記録されている行政情報のうち開示しない(同条の規定により開示請求を拒否することを含む。以下この項において同じ。)部分について、これを特定するに足りる事項、その内容の要旨及びこれを開示しない理由その他必要な事項を、審査会の定める方式に従って分類し、かつ、整理することその他の方法により記載した書面の提出を求めることができる。

2 審査会は、前項の規定により書面の提出を受けた場合においても、なお必要があると認めるときは、諮問庁に対し、当該行政資料の提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された行政資料の開示を求めることができない。

3 前二項に定めるもののほか、審査会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、不服申立人、参加人及び諮問庁(以下「不服申立人等」という。)に対して意見書又は資料の提出を求め、参考人に陳述を求め、又は鑑定をさせ、その他必要な調査をすることができる。

 (審議の手続)

第二十六条 不服申立人等は、政令で定めるところにより、審査会に対し、口頭で意見を陳述することができる。ただし、審査会においてその必要がないと認めるときは、この限りでない。

2 不服申立人等は、政令で定めるところにより、審査会に対し、意見書又は資料を提出することができる。

3 不服申立人等は、政令で定めるところにより、審査会に対し、審査会に提出された意見書又は資料(前条第二項に規定する行政資料を除く。)の閲覧(複写を含む。以下この条において同じ。)又は写しの交付を求めることができる。この場合において、審査会は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は写しの交付を拒むことができない。

4 前項の規定による意見書又は資料の閲覧及び写しの交付については、第十二条の規定を準用する。

5 前各項の規定により審査会がした処分については、不服申立てをすることができない。

第二十七条 審査会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、委員のうちから審査会が指名する者三人をもって構成する合議体で、諮問に係る不服申立てについて調査審議することができる。この場合において、審査会は、その定めるところにより、当該合議体の議決をもって審査会の議決とすることができる。

2 審査会(前項の合議体を含む。)は、その委員のうち一部の者をして、第二十五条の規定による調査をさせ、又は前条第一項の規定による陳述を聴かせることができる。

 (答申の公表)

第二十八条 第十五条の答申は、これを公表するものとする。

 (事務局)

第二十九条 審査会の事務を処理させるため、審査会に、事務局を置く。

2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。

3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

 (政令への委任)

第三十条 この款に定めるもののほか、審査会に関し必要な事項は、政令で定める。

    第三節 訴訟

 (訴訟の管轄)

第三十一条 開示決定等(開示決定等に係る不服申立てに対する決定又は裁決を含む。)に係る抗告訴訟(行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三条第一項の抗告訴訟をいう。次条第一項及び第二項において同じ。)は、これを提起しようとする者の住所地の裁判所にも、提起することができる。

 (不開示決定に関する行政資料の標目等を記載した書面の提出命令等)

第三十二条 不開示決定(開示決定に係る不服申立てに対して、当該開示決定を取り消し、当該開示決定に係る行政情報の全部又は一部を開示しない旨の決定又は裁決を含む。以下この項及び次項において同じ。)に係る抗告訴訟においては、裁判所は、当該不開示決定に関する行政情報が記録されている行政資料について、必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、当事者の申立てにより又は職権で、決定をもって、第四条第一項及び第二項並びに第五条の規定の趣旨に反しない限度において、当該行政資料の標目並びに当該行政資料に記録されている行政情報のうち開示しない(同条の規定により開示請求を拒否することを含む。以下この項及び次項において同じ。)部分について、これを特定するに足りる事項、その内容の要旨及びこれを開示しない理由その他必要な事項を、その裁判所の定める方式に従って分類し、かつ、整理することその他の方法により記載した書面の提出を命ずることができる。

2 前項の抗告訴訟において不開示決定に関する行政情報が記録されている行政資料につき文書提出命令の申立てがあったときは、行政事件訴訟法第七条の規定によりその例によることとされる民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百二十条各号に掲げる場合のほか、当該行政情報が第四条第一項若しくは第二項又は第五条の規定により開示しないことができる行政情報に該当するものでない場合には、当該行政資料を保有する行政機関の長は、その提出を拒むことができない。

3 裁判所は、前項の文書提出命令の申立てがあった場合において、第一項の規定により提出を受けた書面によっても、なお当該行政資料が前項の規定により提出を拒むことができないものであるかどうかの判断をすることが困難であると認めるときは、行政機関の長に対し、決定をもって、その提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された行政資料の開示を求めることができない。

   第三章 行政情報の公開の総合的な推進等

 (行政情報の公開の総合的な推進)

第三十三条 政府は、前章に定めるところにより行政情報を開示するほか、行政情報の提供その他の行政情報の公開に関する施策の充実を図り、国民に対する行政情報の公開の総合的な推進に努めるものとする。

 (行政情報検索ファイルの作成、行政情報サービスセンターの設置その他の利便の提供)

第三十四条 行政機関の長は、政令で定めるところにより、当該行政機関に係る行政情報の検索ファイルを作成し、一般の閲覧に供しなければならない。

2 行政情報の開示を請求する者の利便に資するため、総務庁に、各都道府県をその管轄区域とする地方支分部局として、行政情報サービスセンターを置く。

3 政府は、前二項に定めるもののほか、この法律の円滑な運用を確保するため、行政情報の報道機関への積極的な提供及び広報手段の充実に努めるとともに、総合的な案内窓口の整備、行政資料の閲覧施設等行政情報を提供するための施設の整備その他行政情報の開示を請求する者の利便を考慮した適切な措置を講ずるものとする。

 (国会に対する報告等)

第三十五条 政府は、毎年度、国会に対しこの法律の施行の状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならない。

 (行政資料の管理に関する制度の整備)

第三十六条 行政機関は、行政資料の管理に関する定めを制定し、これを公にするとともに、当該定めに従い行政資料の適切な管理を行うものとする。

2 前項の定めに規定すべき行政資料の分類、収受、作成、決裁、供覧、公表、整理保管、保存及び廃棄に関する基準並びにその基準を遵守する義務及びその基準に違反した場合における罰則その他必要な事項については、別に法律で定める。

3 行政機関は、行政資料の管理に関する事務を適正に行うため、情報管理専門官を置くものとする。

   第四章 雑則

 (政令への委任)

第三十七条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

 (罰則)

第三十八条 第二十三条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

 (地方公共団体の施策)

第三十九条 地方公共団体は、この法律に規定する国の施策に準じて、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十一年四月一日から施行する。ただし、第十八条第一項(両議院の同意に関する部分に限る。)の規定は、公布の日から施行する。

 (施行日前に作成され、又は取得された行政資料に記録されている行政情報に対する適用)

第二条 この法律の規定は、この法律の施行の日前に行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した行政資料であって同日以後において引き続き当該行政機関が保有しているものに記録されている行政情報についても、適用する。

 (特別職の職員の給与に関する法律の一部改正)

第三条 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条中第十三号の五の三を第十三号の五の四とし、第十三号の五の二の次に次の一号を加える。

  十三の五の三 行政情報開示不服審査会の常勤の委員

  第一条中第十九号の七の二を第十九号の七の三とし、第十九号の七の次に次の一号を加える。

  十九の七の二 行政情報開示不服審査会の非常勤の委員

  別表第一中「最高裁判所に置かれる倫理審査会の常勤の委員」を

最高裁判所に置かれる倫理審査会の常勤の委員

 
 

行政情報開示不服審査会の常勤の委員

 に改める。

 (総務庁設置法の一部改正)

第四条 総務庁設置法の一部を次のように改正する。

  第九条に次の四項を加える。

 16 総務庁に、地方支分部局として、行政情報サービスセンターを置く。

 17 行政情報サービスセンターは、行政情報の検索ファイルの閲覧に関する事務、開示請求に関する相談その他行政情報の開示に関する事務の一部を分掌する。

 18 行政情報サービスセンターの名称、位置及び管轄区域は、政令で定める。

 19 行政情報サービスセンターの内部組織は、総理府令で定める。

 (関係法律の整理等)

第五条 前三条に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な関係法律の整理その他必要な事項については、別に法律で定める。

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