衆議院

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第一五一回

衆第一六号

   金融問題監視院法案

 (目的及び設置)

第一条 近年における金融不祥事の真相究明及びその責任の明確化を通じて公正かつ透明な金融行政の確立を図るため、国会に、金融行政等に関する監視、調査及び評価を行うとともに、その結果に基づいて必要な法律の制定及び改廃等に関して意見を述べる金融問題監視院を置く。

 (組織)

第二条 金融問題監視院は、金融問題監視委員三人をもって組織する。

 (金融問題監視委員の任命)

第三条 金融問題監視委員は、金融行政等に関する監視、調査及び評価(以下単に「監視」という。)に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院の議長が、両議院の承認を得て、これを任命する。

 (金融問題監視委員の身分保障)

第四条 金融問題監視委員は、心身の故障のため職務の執行ができないこと又は職務の執行上の義務違反があったことについて両議院の議決があったときを除いては、罷免されることはない。

 (金融問題監視委員の服務)

第五条 金融問題監視委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治活動をしてはならない。

2 金融問題監視委員は、他の官職を兼ね、又は公選による公職の候補者となり、若しくは公選による公職と兼ねてはならない。

 (院長)

第六条 金融問題監視院に院長を置き、両議院の議長が、両議院の承認を得て、金融問題監視委員のうちからこれを任命する。

2 院長は、金融問題監視院の事務を統理し、金融問題監視院を代表する。

3 院長は、金融問題監視委員会議の議決を経て、かつ、事前に、時宜によっては事後に、両議院の議長の承認を得て、金融問題監視院の業務の執行上必要な諸規程を定めることができる。

4 院長に事故があるとき又は院長が欠けたときは、あらかじめその指名する金融問題監視委員が、その職務を代行する。

 (金融問題監視委員会議)

第七条 金融問題監視委員会議の議長は、院長をもって、これに充てる。

2 金融問題監視院がこの法律の規定によってその所掌に属させられた事項を決定する場合においては、金融問題監視委員会議の議決を経なければならない。

 (事務局)

第八条 金融問題監視院の事務を処理させるため、金融問題監視院に、事務局を置く。

2 事務局に、事務局長、調査員その他所要の職員を置く。

3 前項の職員の任免は、金融問題監視委員会議の議決を経て、院長がこれを行う。

4 事務局長は、院長の命を受けて、事務局の事務を掌理し、所属職員を監督する。

5 前四項に定めるもののほか、事務局の組織、運営に関し必要な事項は、金融問題監視委員会議の議決を経て、かつ、両議院の議長の承認を得て、院長が定める。

 (設置期限)

第九条 金融問題監視院は、平成十六年五月三十一日まで置かれるものとする。

 (金融行政等に関する監視)

第十条 金融問題監視院は、各議院の常任委員会若しくは特別委員会又は参議院の調査会(以下「常任委員会等」という。)の要求に応じ、金融行政等に関して必要な監視を行うことができる。

2 前項の監視の要求は、当該議院の議長を経由して行うものとする。

 (報告書の提出等)

第十一条 金融問題監視院は、前条第一項の監視を行った結果を記載した報告書を、同項の要求をした常任委員会等の属する議院の議長に提出しなければならない。

2 前項の報告書が提出されたときは、議長は、これを前条第一項の要求をした常任委員会等に送付するものとする。

 (議員による監視の要求等)

第十二条 議員は、衆議院においては議員二十人以上、参議院においては議員十人以上の賛成者と連署して、金融問題監視院に対し、金融行政等に関して必要な監視を行うことを要求することができる。

2 前二条の規定は、前項の監視の要求について準用する。

 (法律の制定又は改廃等に関する意見具申)

第十三条 金融問題監視院は、常任委員会等から、監視の結果を踏まえて、必要な法律の制定又は改廃、予算の議決等に関して意見を求められたときは、これに対して意見を述べることができる。

2 第十条第二項及び第十一条の規定は、前項の意見具申について準用する。

 (議員による意見具申の要求等)

第十四条 議員は、衆議院においては議員二十人以上、参議院においては議員十人以上の賛成者と連署して、金融問題監視院に対し、監視の結果を踏まえて、必要な法律の制定又は改廃、予算の議決等に関して意見を求めることができる。

2 前条の規定は、前項の意見具申の要求について準用する。

 (資料の提出の要求)

第十五条 金融問題監視院は、監視又は意見具申のため必要があると認めるときは、国の行政機関、地方公共団体、金融機関その他の者に対して、資料の提出を要求することができる。

2 前項の要求を受けた国の行政機関及び地方公共団体は、当該要求を受けた日から二十日以内に、当該要求に係る資料を提出しなければならない。ただし、その期間内に当該資料を提出することができないことについて正当の理由がある場合において、その理由及び提出することができる合理的な期限を明示したときは、この限りでない。

3 前項ただし書に規定する場合においては、当該要求を受けた国の行政機関及び地方公共団体は、当該明示した期限内に、当該要求に係る資料を提出しなければならない。

 (職務上の秘密に関する資料の提出)

第十六条 金融問題監視院は、前条第一項の要求に係る資料について、当該要求を受けた国の行政機関又は地方公共団体が職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、その監督庁の承認を得なければならない。

2 監督庁が前項の承認を拒むときは、その理由を疎明しなければならない。この場合において、その理由を金融問題監視院において受諾し得るときは、前条第一項の要求を受けた国の行政機関又は地方公共団体は、当該要求に係る資料を提出する必要がない。

3 前項の理由を受諾することができない場合は、金融問題監視院は、第十条第一項若しくは第十二条第一項又は第十三条第一項若しくは第十四条第一項の要求(第十九条及び第二十二条において「監視又は意見具申の要求」という。)をした常任委員会等又は議員の属する議院の議長に対して、前条第一項の要求に係る資料の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求するよう求めることができる。

4 前項の求めを受けた各議院の議長が同項の声明を要求し、これに対して同項の声明があった場合は、前条第一項の要求を受けた国の行政機関又は地方公共団体は、当該要求に係る資料を提出する必要がない。

5 前項の要求後十日以内に、内閣が第三項の声明を出さないときは、前条第一項の要求を受けた国の行政機関又は地方公共団体は、当該要求に係る資料を提出しなければならない。

 (立入調査)

第十七条 金融問題監視院は、監視又は意見具申のため必要があると認めるときは、調査員に官公署その他必要な場所に立ち入らせて、必要な調査をさせることができる。

2 前項の規定により立入調査を行う調査員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の要求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (参考人の出頭)

第十八条 金融問題監視院は、監視又は意見具申のため必要があると認めるときは、参考人の出頭を求め、その意見を聴くことができる。

 (懲戒処分の要求)

第十九条 金融問題監視院は、第十七条の立入調査又は前条の出頭の求めを受けた国の行政機関又は地方公共団体の職員がこれに応じないときは、監視又は意見具申の要求をした常任委員会等又は議員の属する議院の議長に対して、当該職員の本属長官その他監督の責任に当たる者に対し懲戒の処分を要求するよう求めることができる。

2 前項の懲戒の処分の要求は、内閣を経由して行うものとする。

 (国民の意見等の把握等)

第二十条 金融問題監視院は、その所掌事務の円滑な遂行に資するため、金融行政等に関し、幅広く国民の意見等を把握し、及び資料を収集すること等に努めるものとする。

 (議院運営委員会による審査)

第二十一条 両議院の議院運営委員会は、少なくとも六箇月に一回以上これを開会し、金融問題監視院の業務の処理状況に関する院長の報告、金融問題監視院の業務の執行上院長の定める諸規程、金融問題監視院の予算及びその他の事務につき審査する。

2 各議院の議院運営委員長は、前項の審査の結果をその議院に報告する。

 (会計検査院に対する協力の依頼)

第二十二条 金融問題監視院は、監視又は意見具申のため特に必要があると認めるときは、監視又は意見具申の要求をした常任委員会等又は議員の属する議院の議長を経由して、会計検査院に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を依頼することができる。

 (参考人の旅費及び日当)

第二十三条 第十八条の規定により金融問題監視院に出頭した参考人には、議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律(昭和二十二年法律第八十一号)の規定の例により旅費及び日当を支給する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、国会法の一部を改正する法律(平成十三年法律第▼▼▼号)の施行の日から施行する。

 (国会職員法の一部改正)

第二条 国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。

  第一条第五号中「国立国会図書館」の下に「、金融問題監視院事務局」を加え、同号を同条第六号とし、同条第四号を同条第五号とし、同条第三号の次に次の一号を加える。

  四 金融問題監視院の院長その他の金融問題監視委員、事務局長及び事務局調査員

  第五条中「国立国会図書館」の下に「、金融問題監視院事務局」を加える。

  第六条中「並びに国立国会図書館」を「、国立国会図書館」に改め、「専門調査員」の下に「並びに金融問題監視院の院長その他の金融問題監視委員」を加える。

  第十五条の六中「定める」を「定め、金融問題監視院事務局の職員については金融問題監視院の院長が金融問題監視委員会議の議決及び両議院の議院運営委員会の承認を経て定める」に改める。

  第十六条中「専門調査員」の下に「、金融問題監視院の院長その他の金融問題監視委員」を加える。

  第二十四条の三第一項中「並びに国立国会図書館の館長」を「、国立国会図書館の館長並びに金融問題監視院の院長その他の金融問題監視委員」に改める。

  第二十八条第一項中「並びに国立国会図書館」を「、国立国会図書館」に改め、「専門調査員」の下に「並びに金融問題監視院の院長その他の金融問題監視委員」を加える。

  第三十三条中「国立国会図書館」の下に「、金融問題監視院」を加える。

  第三十五条及び第三十五条の二中「並びに国立国会図書館の館長」を「、国立国会図書館の館長並びに金融問題監視院の院長」に改める。

  第三十六条中「並びに各議院法制局の法制局長及び法制次長」を「、各議院法制局の法制局長及び法制次長並びに金融問題監視院の院長」に改め、同条の次に次の一条を加える。

 第三十六条の二 金融問題監視院に設ける国会職員考査委員会の委員長は、金融問題監視院の院長、その委員には、金融問題監視委員(院長を除く。)及び金融問題監視院の事務局長、各議院事務局の事務総長及び事務次長、各議院法制局の法制局長及び法制次長並びに国立国会図書館の館長が、これに当たる。

 (国会に置かれる機関の休日に関する法律の一部改正)

第三条 国会に置かれる機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第百五号)の一部を次のように改正する。

  第一条第二項中「国立国会図書館」の下に「、金融問題監視院」を加える。

 (国会職員の育児休業等に関する法律の一部改正)

第四条 国会職員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。

  第二条中「並びに国立国会図書館」を「、国立国会図書館」に改め、「専門調査員」の下に「並びに金融問題監視院の院長その他の金融問題監視委員」を加える。

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