衆議院

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第一五六回

衆第四七号

   複合一貫輸送の推進に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条―第八条)

 第二章 複合一貫輸送推進基本計画の策定等(第九条・第十条)

 第三章 特定事業者の事業活動に関する計画の作成等(第十一条)

 第四章 複合一貫輸送の推進のための施策(第十二条―第十七条)

 第五章 罰則(第十八条・第十九条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、複合一貫輸送の推進が地球温暖化に影響をもたらす二酸化炭素の排出の抑制その他の環境への負荷の低減、貨物の輸送及びエネルギーの利用の効率化等に資することにかんがみ、複合一貫輸送の推進に関し、国等の責務を明らかにするとともに、複合一貫輸送推進基本計画の策定及び特定事業者の事業活動に関する計画の作成等について定めることにより、複合一貫輸送の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「複合一貫輸送」とは、鉄道又は船舶による貨物の幹線輸送と当該幹線輸送に先行し及び後続する自動車による当該貨物の輸送とを一貫して行う輸送をいう。

2 この法律において「鉄道・船舶輸送分担率」とは、鉄道運送(鉄道運送事業者(鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第二条第二項の第一種鉄道事業若しくは同条第三項の第二種鉄道事業を経営する者又は軌道法(大正十年法律第七十六号)第四条に規定する軌道経営者をいう。以下同じ。)の行う貨物の運送をいう。)及び内航運送(内航海運業法(昭和二十七年法律第百五十一号)第二条第一項に規定する内航運送をいう。)の輸送量の合計が国内における貨物の総輸送量に占める割合をいう。

3 この法律において「輸送量」とは、輸送された貨物の重量をトンで表した数値と当該貨物が輸送された距離をキロメートルで表した数値の積によって求められる数値をいう。

4 この法律において「物流事業者」とは、内航運送業者(内航海運業法第二条第三項の内航運送業を経営する者をいう。)、航空運送事業者(航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第十六項の航空運送事業を経営する者をいう。)であって貨物の運送を行うもの、鉄道運送事業者であって貨物の運送を行うもの、貨物自動車運送事業者(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)第二条第二項の一般貨物自動車運送事業又は同条第三項の特定貨物自動車運送事業を経営する者をいう。)又は貨物利用運送事業者(貨物利用運送事業法(平成元年法律第八十二号)第二条第六項の貨物利用運送事業を経営する者をいう。)をいう。

 (複合一貫輸送の推進に関する施策の当面の目標)

第三条 複合一貫輸送の推進に関する施策の当面の目標は、平成二十二年までに鉄道・船舶輸送分担率を五十パーセント以上とするものとする。

 (国の責務)

第四条 国は、複合一貫輸送の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

 (地方公共団体の責務)

第五条 地方公共団体は、複合一貫輸送の推進に関し、国との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

 (事業者の責務)

第六条 事業者である荷主及び物流事業者は、相互に連携を図りながら協力して、できる限り、複合一貫輸送による輸送を行うよう努めるとともに、国及び地方公共団体が実施する複合一貫輸送の推進に関する施策に協力する責務を有する。

 (財政上の措置等)

第七条 国及び地方公共団体は、複合一貫輸送を推進するために必要な財政上、金融上及び税制上の措置を講ずるものとする。

 (年次報告等)

第八条 政府は、毎年、国会に、複合一貫輸送による輸送の状況及び政府が複合一貫輸送の推進に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。

2 政府は、毎年、前項の報告に係る複合一貫輸送による輸送の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。

   第二章 複合一貫輸送推進基本計画の策定等

 (複合一貫輸送推進基本計画の策定等)

第九条 政府は、複合一貫輸送の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、複合一貫輸送の推進に関する基本的な計画(以下「複合一貫輸送推進基本計画」という。)を定めなければならない。

2 複合一貫輸送推進基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 複合一貫輸送の推進に関する施策についての基本的な方針

 二 複合一貫輸送の推進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策

 三 前二号に掲げるもののほか、複合一貫輸送の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 国土交通大臣は、あらかじめ広く国民の意見を聴いて複合一貫輸送推進基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

4 政府は、前項の規定により閣議の決定をしたときは、複合一貫輸送推進基本計画を国会に提出して、その承認を受けなければならない。

5 国土交通大臣は、前項の規定による国会の承認があったときは、遅滞なく、複合一貫輸送推進基本計画を公表しなければならない。

6 前三項の規定は、複合一貫輸送推進基本計画の変更について準用する。

 (複合一貫輸送推進基本計画と国の他の計画との関係)

第十条 複合一貫輸送推進基本計画以外の国の計画は、複合一貫輸送の推進に関しては、複合一貫輸送推進基本計画を基本とするものとする。

   第三章 特定事業者の事業活動に関する計画の作成等

第十一条 政令で定める規模以上の事業者であって、貨物の幹線輸送が相当程度行われると見込まれる業種として政令で定めるものに属する事業を行うもの(以下「特定事業者」という。)は、国土交通省令で定めるところにより、その事業活動に関し、単独に又は共同して、複合一貫輸送の推進のための措置に関する計画を作成し、国土交通大臣に提出しなければならない。

2 特定事業者は、単独に又は共同して、毎年、前項の計画に係る措置の実施の状況について、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に報告しなければならない。

3 国土交通大臣は、第一項の計画及び前項の実施の状況について、国土交通省令で定めるところにより、公表するものとする。

   第四章 複合一貫輸送の推進のための施策

 (情報の提供等)

第十二条 国は、事業者である荷主及び物流事業者に対し、複合一貫輸送の推進に関し必要な情報の提供又は技術的な助言及び指導をすることができる。

 (補助)

第十三条 国は、事業者である荷主及び物流事業者が、政令で定めるところにより、共同して、複合一貫輸送による環境への負荷の低減等の効果を実証する事業を行う場合には、当該事業を行う者に対し、予算の範囲内で、当該事業に要する費用の一部を補助することができる。

 (規制緩和)

第十四条 国は、複合一貫輸送に係る輸送の事業への事業者の参入についての条件を緩和する等複合一貫輸送の推進の妨げとなるような規制の撤廃又は緩和を推進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (事業者である荷主と物流事業者との連携の確保)

第十五条 国は、複合一貫輸送の推進を図るため、事業者である荷主と物流事業者との連携の確保のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (研究開発の推進等の措置)

第十六条 国は、複合一貫輸送の利便性の向上に資する輸送技術の研究開発その他の複合一貫輸送の推進に関する研究開発の推進及びその成果の普及等必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (国民の理解を深めるための措置)

第十七条 国は、広報活動等を通じて、複合一貫輸送の推進に関する国民の理解を深めるよう努めるものとする。

   第五章 罰則

第十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

 一 第十一条第一項の規定に違反して同項の計画を提出しなかった者

 二 第十一条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。

 (検討)

2 政府は、この法律の施行後二年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

     理 由

 複合一貫輸送の推進が地球温暖化に影響をもたらす二酸化炭素の排出の抑制その他の環境への負荷の低減、貨物の輸送及びエネルギーの利用の効率化等に資することにかんがみ、複合一貫輸送の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、複合一貫輸送の推進に関し、国等の責務を明らかにするとともに、複合一貫輸送推進基本計画の策定及び特定事業者の事業活動に関する計画の作成等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、初年度約三億円の見込みである。

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