衆議院

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第一五九回

衆第二〇号

   特定船舶等の入港の禁止に関する特別措置法案

 (趣旨)

第一条 この法律は、近年における我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全を維持し、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行し、又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、特定船舶等の入港を禁止する措置について定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「外国」とは、本邦以外の地域をいう。

2 この法律において「特定船舶等」とは、次に掲げる船舶又は航空機のうち次条第一項の閣議決定で定めるものをいう。

 一 次条第一項の閣議決定で定める特定の外国(以下「特定の外国」という。)の国籍を有する船舶又は航空機

 二 前号に掲げるもののほか、特定の外国の法令に基づいて設立された法人その他の団体又は当該特定の外国の国籍を有する者が所有し、又はこれらの者の需要に応じて運航される等当該特定の外国と一定の関係を有する船舶又は航空機

 (入港禁止の決定)

第三条 我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるとき、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるときは、閣議において、期間を定めて、特定船舶等について、本邦の港(空港を含む。以下同じ。)への入港を禁止することを決定することができる。

2 前項の閣議決定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

 一 入港禁止の理由

 二 特定の外国

 三 特定船舶等

 四 入港禁止の期間

 五 第六条の規定により特定船舶等を出港させなければならない期日

 六 第六条ただし書の特別の事情

 七 その他入港禁止の実施に関し必要な事項

3 第一項の閣議決定後、前項各号に掲げる事項の変更(当該閣議決定に基づく入港禁止の一部の実施の終了を内容とする変更を除く。)の必要が生じたときは、閣議において、当該閣議決定の変更を決定することができる。

 (告示)

第四条 内閣総理大臣は、前条第一項又は第三項の閣議決定があったときは、直ちに、その内容を告示しなければならない。

 (国会の承認)

第五条 政府は、前条の規定による告示があったときは、当該告示の日から二十日以内に国会に付議して、第三条第一項又は第三項の閣議決定に基づく入港禁止の実施につき国会の承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会において、速やかに、その承認を求めなければならない。

2 政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、速やかに、当該議決に係る入港禁止の実施を終了させなければならない。この場合においては、内閣総理大臣は、直ちに、その旨を告示しなければならない。

 (入港禁止の実施)

第六条 第三条第一項又は第三項の閣議決定があったときは、当該閣議決定で定める特定船舶等の船長又は機長(船長又は機長がその職務を行うことができない場合においては、船長又は機長に代わってその職務を行う者。以下「船長等」という。)は、当該特定船舶等に係る入港禁止の期間において、当該特定船舶等を本邦の港に入港させてはならず、また、当該入港禁止の期間が開始された際現に当該閣議決定で定める特定船舶等が本邦の港に入港している場合においては、当該特定船舶等の船長等は、当該閣議決定で定める期日までに、当該特定船舶等を本邦の港から出港させなければならない。ただし、遭難その他やむを得ない特別の事情として当該閣議決定で定める特別の事情がある場合は、この限りでない。

 (入港禁止の終了)

第七条 第三条第一項又は第三項の閣議決定後、当該閣議決定に基づく入港禁止の全部又は一部を実施する必要がなくなったと認めるとき又は国会が当該閣議決定に基づく入港禁止の全部又は一部の実施を終了すべきことを議決したときは、速やかに、閣議において、当該入港禁止の全部又は一部の実施を終了することを決定しなければならない。この場合においては、内閣総理大臣は、直ちに、その旨を告示しなければならない。

 (国際約束の誠実な履行)

第八条 この法律の施行に当たっては、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないよう留意しなければならない。

 (罰則)

第九条 第六条の規定に違反した船長等は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行する。

2 この法律は、我が国を取り巻く国際情勢に照らして、特定船舶等の入港を禁止するための措置についてその必要性がないと認められるに至ったときは、速やかに廃止するものとする。


     理 由

 近年における我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全を維持し、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行し、又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、特定船舶等の入港を禁止する措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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