衆議院

メインへスキップ



第一六六回

衆第九号

   短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案

第一条 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。

  第十五条中第一号及び第二号を削り、第三号を第一号とし、第四号を第二号とし、同条第五号中「前各号」を「前二号」に改め、同号を同条第三号とする。

  第十六条の見出し中「短時間労働者福祉事業関係業務」を「短時間労働者雇用管理改善等事業関係業務」に改め、同条第一項中「労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第二十九条の労働福祉事業又は雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六十四条の雇用福祉事業」を「短時間労働者の雇用管理の改善等に資する事業として厚生労働省令で定めるもの」に改め、同項中第二号を削り、第三号を第二号とし、同号の次に次の一号を加える。

  三 前二号の事業に附帯する事業を行うこと。

  第十六条第一項第四号及び第五号を削り、同条第二項中「給付金に該当する労働者災害補償保険法第二十九条又は雇用保険法第六十四条の規定に基づく」を削り、同条第三項及び第四項中「短時間労働者福祉事業関係業務」を「短時間労働者雇用管理改善等事業関係業務」に改める。

  第十七条第一項及び第二項中「短時間労働者福祉事業関係業務」を「短時間労働者雇用管理改善等事業関係業務」に改める。

  第十八条の見出し中「短時間労働者福祉事業関係給付金」を「短時間労働者雇用管理改善等事業関係給付金」に改め、同条中「短時間労働者福祉事業関係業務」を「短時間労働者雇用管理改善等事業関係業務」に改め、「労働者災害補償保険法第二十三条又は雇用保険法第六十四条の規定に基づく」を削る。

  第二十一条から第二十三条まで、第二十八条第一項第五号及び第二十九条(見出しを含む。)中「短時間労働者福祉事業関係業務」を「短時間労働者雇用管理改善等事業関係業務」に改める。

第二条 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を次のように改正する。

  題名を次のように改める。

    短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律

  目次中「第三章 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等」を「第三章 短時間労働者の均等待遇の確保等に関する措置等」に、「第一節 雇用管理の改善等に関する措置(第六条−第十条)」を「第一節 均等待遇の確保等に関する措置(第五条の二−第十条の二)」に、「第四章 短時間労働援助センター(第十三条−第三十条)」を

第三章の二 紛争の解決

 

 

 第一節 紛争の解決の援助(第十二条の二−第十二条の四)

 

 

 第二節 調停(第十二条の五−第十二条の七)

 

 

第四章 短時間労働援助センター(第十三条−第三十条)

 に、「第三十五条」を「第三十六条」に改める。

  第一条中「、その」を「、通常の労働者との均等な待遇の確保並びに」に改める。

  第三条第一項中「その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して、」を「通常の労働者との均等な待遇の確保(同一の価値の労働に対しては同一の待遇を確保すべきとの観点から、短時間労働者の就業の実態に応じ、賃金の支払等につき、通常の労働者とできる限り同等の待遇を確保することをいう。)並びに」に、「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改め、同条第二項中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 事業主は、均等待遇の確保等を図るための措置を講ずるに当たっては、その雇用する通常の労働者の労働条件を合理的な理由なく低下させることがないように努めるものとする。

  第四条第一項並びに第五条第一項及び第二項第二号中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改める。

  第三章の章名及び同章第一節の節名を次のように改める。

    第三章 短時間労働者の均等待遇の確保等に関する措置等

     第一節 均等待遇の確保等に関する措置

  第六条中「除く。)」の下に「のうち厚生労働省令で定めるもの」を加え、「交付するように努めるものとする」を「交付しなければならない」に改め、第三章第一節中同条の前に次の一条を加える。

  (差別的取扱いの禁止)

 第五条の二 事業主は、賃金その他の労働条件について、労働者が短時間労働者であることを理由として、通常の労働者と差別的取扱いをしてはならない。

  第六条の次に次の一条を加える。

  (所定労働時間を超える労働及び所定労働日以外の日の労働の制限)

 第六条の二 事業主は、短時間労働者に、所定労働時間を超えて労働させ、又は所定労働日以外の日に労働させてはならない。

 2 事業主は、当該事業所に、短時間労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、短時間労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては短時間労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを厚生労働大臣に届け出た場合においては、前項の規定にかかわらず、その協定で定めるところによって、短時間労働者に、所定労働時間を超え、労働基準法第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「法定労働時間」という。)を超えない範囲内において労働させ、又は所定労働日以外の日であって同法第三十五条の休日でない日に労働させることができる。

 3 事業主は、災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、第一項の規定にかかわらず、その必要の限度において、短時間労働者に、所定労働時間を超え、法定労働時間を超えない範囲内において労働させ、又は所定労働日以外の日であって労働基準法第三十五条の休日でない日に労働させることができる。

 4 労働基準法第三十三条第一項又は第三十六条第一項の規定により、法定労働時間を延長し、又は同法第三十五条の休日に労働させる場合における当該延長する法定労働時間及び当該休日の労働については、第一項の規定は適用しない。

  第七条中「事業主」を「常時十人以上の労働者を雇用する事業主」に、「と認められる」を「ものとして厚生労働省令で定める」に、「聴くように努めるものとする」を「聴かなければならない」に改め、同条に次の二項を加える。

 2 前項の事業主は、短時間労働者に係る事項について作成し、又は変更した就業規則を労働基準法第八十九条の規定により届け出るときは、同項の意見を記した書面を添付しなければならない。

 3 第一項の事業主以外の事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、同項の厚生労働省令で定めるものの意見を聴くように努めるものとする。

  第七条の次に次の四条を加える。

  (通常の労働者への応募の機会の付与等)

 第七条の二 事業主は、通常の労働者を募集し、又は採用しようとするときは、現に雇用する同種の業務に従事する短時間労働者であって通常の労働者として雇用されることを希望するものに対し、応募の機会を優先的に与えるとともに、他の応募者の就業の機会の確保についても配意しつつ、できる限り当該短時間労働者を優先的に雇い入れる等の措置を講ずるよう努めなければならない。

  (待遇の決定に当たって考慮した事項の説明)

 第七条の三 事業主は、その雇用する短時間労働者から求めがあったときは、第五条の二から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間労働者に説明しなければならない。この場合において、事業主は、その雇用する通常の労働者の労働条件の一般的水準について、説明するように努めるものとする。

  (短時間労働者の意見を聴く機会の付与)

 第七条の四 事業主は、短時間労働者の均等待遇の確保等のための措置を講ずるに当たっては、当該事業所の短時間労働者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。

  (均等待遇等検討委員会)

 第七条の五 事業主は、事業主を代表する者並びに当該事業所の短時間労働者を代表する者及び通常の労働者を代表する者を構成員とし、短時間労働者の均等待遇の確保等を図るための措置について調査審議し、事業主に対し意見を述べることを目的とする事業所ごとの均等待遇等検討委員会を設置するように努めるものとする。

  第八条第一項中「前二条に定めるもののほか、」を「第五条の二から前条までの規定に基づき事業主が講ずべき措置その他の」に、「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改める。

  第九条の見出しを「(均等待遇等推進者)」に改め、同条中「雇用管理の改善等に関する事項を管理させるため、短時間雇用管理者を選任するように努めるものとする」を「均等待遇の確保等に関する事項に係る業務を担当させるため、均等待遇等推進者を選任しなければならない」に改める。

  第十条第一項中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改め、同条第二項を削り、第三章第一節中同条の次に次の一条を加える。

  (権限の委任)

 第十条の二 第六条の二第二項及び前条に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。

  第三章の次に次の一章を加える。

    第三章の二 紛争の解決

     第一節 紛争の解決の援助

  (苦情の自主的解決)

 第十二条の二 事業主は、第三条第一項の事業主が講ずべき均等待遇の確保等のための措置に関し、短時間労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない。

  (紛争の解決の促進に関する特例)

 第十二条の三 前条の事項についての短時間労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第四条、第五条及び第十二条から第十九条までの規定は適用せず、次条から第十二条の七までに定めるところによる。

  (紛争の解決の援助)

 第十二条の四 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。

 2 事業主は、短時間労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該短時間労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

     第二節 調停

  (調停の委任)

 第十二条の五 都道府県労働局長は、第十二条の三に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。

 2 前条第二項の規定は、短時間労働者が前項の申請をした場合について準用する。

  (調停)

 第十二条の六 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十九条、第二十条第一項及び第二十一条から第二十六条までの規定は、前条第一項の調停の手続について準用する。この場合において、同法第十九条第一項中「前条第一項」とあるのは「短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律第十二条の五第一項」と、同法第二十条第一項中「関係当事者」とあるのは「関係当事者又は関係当事者と同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人」と、同法第二十五条第一項中「第十八条第一項」とあるのは「短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律第十二条の五第一項」と読み替えるものとする。

  (厚生労働省令への委任)

 第十二条の七 この節に定めるもののほか、調停の手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

  第十三条第一項及び第十五条第三号中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改める。

  第十六条の見出し中「短時間労働者雇用管理改善等事業関係業務」を「短時間労働者均等待遇確保等事業関係業務」に改め、同条第一項中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改め、同条第三項及び第四項中「短時間労働者雇用管理改善等事業関係業務」を「短時間労働者均等待遇確保等事業関係業務」に改める。

  第十七条第一項及び第二項中「短時間労働者雇用管理改善等事業関係業務」を「短時間労働者均等待遇確保等事業関係業務」に改める。

  第十八条の見出し中「短時間労働者雇用管理改善等事業関係給付金」を「短時間労働者均等待遇確保等事業関係給付金」に改め、同条中「短時間労働者雇用管理改善等事業関係業務」を「短時間労働者均等待遇確保等事業関係業務」に改める。

  第二十一条から第二十三条まで、第二十八条第一項第五号及び第二十九条(見出しを含む。)中「短時間労働者雇用管理改善等事業関係業務」を「短時間労働者均等待遇確保等事業関係業務」に改める。

  第三十一条(見出しを含む。)中「雇用管理の改善等」を「均等待遇の確保等」に改める。

  第三十五条の次に次の一条を加える。

 第三十六条 第六条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成二十年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 附則第八条の規定 公布の日

 二 第一条並びに次条から附則第四条まで及び附則第七条の規定 平成十九年七月一日

 (短時間労働援助センターに関する経過措置)

第二条 前条第二号に規定する規定の施行の際現に第一条の規定による改正前の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下この条において「旧法」という。)第十三条第一項の規定による指定を受けている者(以下「旧短時間労働援助センター」という。)は、第一条の規定による改正後の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下この条及び次条において「新法」という。)第十三条第一項の規定による指定を受けた者とみなす。

2 前条第二号に規定する規定の施行の日前に、旧法又はこれに基づく命令により旧短時間労働援助センターに対して行い、又は旧短時間労働援助センターが行った処分、手続その他の行為(旧法第十六条第三項の規定による届出(同項の変更の届出を含む。)、旧法第十七条第一項の規定による業務規程の認可(同項の変更の認可を含む。)並びに旧法第二十条第一項の規定による事業計画書及び収支予算書の認可(同項の変更の認可を含む。)を除く。)は、新法又はこれに基づく命令中の相当する規定によって、新法第十三条第二項に規定する短時間労働援助センター(以下「新短時間労働援助センター」という。)に対して行い、又は新短時間労働援助センターが行った処分、手続その他の行為とみなす。

3 旧短時間労働援助センターの平成十九年四月一日に始まる事業年度は、前条第二号に規定する規定の施行の日の前日に終わるものとし、当該事業年度に係る事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録の作成等については、新短時間労働援助センターが従前の例により行うものとする。

4 前条第二号に規定する規定の施行の際現に旧短時間労働援助センターの役員である者が当該規定の施行の日前にした旧法第二十四条第二項に該当する行為は、新法第二十四条第二項に該当する行為とみなして、同項の規定を適用する。

5 旧短時間労働援助センターが前条第二号に規定する規定の施行の日前にした旧法第二十八条第一項第二号から第五号までに該当する行為は、新法第二十八条第一項第二号から第五号までに該当する行為とみなして、同項の規定を適用する。

 (施行前の準備)

第三条 新法第十六条第三項の規定による届出、新法第十七条第一項の規定による業務規程の認可並びに新法第二十条第一項の規定による事業計画書及び収支予算書の認可の手続は、附則第一条第二号に規定する規定の施行の日前においても行うことができる。

 (罰則に関する経過措置)

第四条 附則第一条第二号に規定する規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (就業規則の作成の手続に関する経過措置)

第五条 第二条の規定による改正後の短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律(以下「新法」という。)第七条第一項の規定は、この法律の施行の日以後における労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第八十九条の規定による届出に係る就業規則の作成及び変更について適用する。

 (紛争の解決の促進に関する特例に関する経過措置)

第六条 この法律の施行の際現に個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第六条第一項の紛争調整委員会に係属している同法第五条第一項のあっせんに係る紛争については、新法第十二条の三の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第七条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第八条 政府は、短時間労働者をはじめとする労働者の所定労働時間を超える労働及び所定労働日以外の日の労働に係る割増賃金制度の導入に関し、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (社会保険労務士法の一部改正)

第九条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項第一号の四中「手続及び」を「手続並びに」に改め、「第十八条第一項」の下に「及び短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第十二条の五第一項」を加える。

  別表第一中第二十号の十六を次のように改める。

  二十の十六 短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律

 (厚生労働省設置法の一部改正)

第十条 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。

  第九条第一項第四号中「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」を「短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律」に改める。

 (一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)

第十一条 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号)の一部を次のように改正する。

  第三百八条第四号中「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」を「短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律」に改める。


     理 由

 短時間労働者の就業の現状にかんがみ、短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保を図る等のため、事業主は労働者が短時間労働者であることを理由として差別的取扱いをしてはならないこととするとともに、短時間労働者について所定労働時間を超える労働を制限する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.